位置検出装置およびモータ駆動装置
【課題】主に、変位検出部の検出分解能を変更することなく、検出する位置情報の分解能を設定、変更することができるようにする。
【解決手段】位置検出部(エンコーダ1、ホールIC6)と、変位検出部(エンコーダ1)と、カウント部(エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ31,32)とを備える。そして、カウント部(エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ31,32)を、変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジが所定の区間エッジ数(分周比分母DEN)だけ到来する間に、区間エッジ数(分周比分母DEN)よりも小さい所定の非カウント数(分周比分母DENと分周比分子NUMとの差)だけ変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジをマスクしてカウントし得るように構成する。
【解決手段】位置検出部(エンコーダ1、ホールIC6)と、変位検出部(エンコーダ1)と、カウント部(エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ31,32)とを備える。そして、カウント部(エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ31,32)を、変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジが所定の区間エッジ数(分周比分母DEN)だけ到来する間に、区間エッジ数(分周比分母DEN)よりも小さい所定の非カウント数(分周比分母DENと分周比分子NUMとの差)だけ変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジをマスクしてカウントし得るように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物体の位置を検出する位置検出装置、および、この位置検出装置を用いてモータを回転駆動するようにしたモータ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、移動ステージに設置された物体の位置や、モータの回転子などの回転体の角度を検出するために、通常、リニアスケール(リニアエンコーダ)やロータリーエンコーダが用いられている。これらのエンコーダには、位置の変位のみを検出できるインクリメンタル型(変位検出)のものと、絶対位置が検出できるアブソリュート型(位置検出)のものとが存在する。
【0003】
そして、並進する移動ステージの位置制御や、モータの回転駆動制御などの用途においては、それぞれ移動ステージの位置や、回転子の角度などの高精度な情報が必要となるが、高分解能のアブソリュート型検出器は非常に高価であるという価格上の問題があり、また、高価なアブソリュート型検出器を大量生産する製品に採用することが困難であるという製品コスト上の問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1に記載されているように、高分解能でも比較的安価なインクリメンタル型検出器と、安価な低分解能のアブソリュート型検出器との両方を備えるようにして、アブソリュート型検出器の検出する低分解能の位置を基準に、高分解能のインクリメンタル型検出器の出力する変位を上記基準から加減算することによって、低分解能の位置情報を基に、高分解能の位置情報を生成するようにした位置検出部が提案されている。
【0005】
より具体的には、インクリメンタル型検出器を変位に応じた変位パルスを出力するエンコーダとして、アブソリュート型検出器の出力するコードの変化エッジなどを基準に、上記変位パルスのパルス数やエッジをカウントすることにより、高分解能の位置情報を生成するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のように変位パルスのパルス数やエッジをカウントするようにした位置検出部では、検出位置は離散値として得られ、その分解能はインクリメンタル型検出器の分解能によって決まることになる。
【0007】
つまり、分解能を変更するためには、インクリメンタル型検出器を変更する必要があるが、モータとエンコーダが一体となった一体型モジュールや、直動型の移動ステージにリニアスケールが組込まれている装置などでは、インクリメンタル型検出器の変更が困難な場合が多いという課題がある。
【0008】
更に、検出した位置情報を利用して物体の位置制御やモータ駆動を行う際に、例えば、制御や駆動をコンピュータ上のソフトウェアで実現し得るようにするためには、インクリメンタル型検出器の分解能によって決まる検出位置情報の分解能に合わせて、演算係数やデータテーブルを変更することが必要になるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の位置検出装置は、物体の位置を検出して位置信号を出力可能な位置検出部と、該位置検出部よりも高分解能で、前記物体の移動量に応じて変位パルスを出力可能な変位検出部と、前記位置検出部からの位置信号を基準に、前記変位検出部からの変位パルスのエッジの数をカウントし、カウントによって得られた値を位置情報として出力するカウント部とを備え、該カウント部は、前記変位パルスのエッジが所定の区間エッジ数だけ到来する間に、該区間エッジ数よりも小さい所定の非カウント数だけ変位パルスのエッジをマスクしてカウントし得るように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成によって、変位検出部の検出分解能を変更することなく、検出する位置情報の分解能を設定、変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1にかかる位置検出装置の構成を示す図である。
【図2】図1の位置検出装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】図1の非整数分周器の構成を示す図である。
【図4】図3の非整数分周器の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】実施例2にかかるモータ駆動装置の全体構成を示す図である。
【図6】図5のホールICを示す図である。
【図7】図5のブリッジ回路の構成を示す図である。
【図8】図5のモータ駆動装置にかかる角度検出の動作を示す図である。
【図9】図8の動作の詳細を示すタイミングチャートである。
【図10】図5の正弦波変調部の構成を示す図である。
【図11】図10の正弦波変調部の正弦波データテーブルに格納された値を示す図である。
【図12】図5のPMW部にかかるPWM信号、ゲート信号、端子電圧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施形態は、以下のような構成を備えている。ここで、構成1および構成2は、以下の各実施例に共通の構成である。構成3は、主に実施例1にかかる構成である。構成4および構成5は、主に実施例2にかかる構成である。なお、各構成要素には、参考として、各実施例にて説明する具体的構成や符号、記号などを付記している。
【0013】
(構成1)
物体の位置を検出して位置信号(Z相信号encz)を出力可能な位置検出部(エンコーダ1、ホールIC6)と、位置検出部(エンコーダ1、ホールIC6)よりも高分解能で、物体の移動量に応じて変位パルス(エンコーダパルスenca)を出力可能な変位検出部(エンコーダ1)と、位置検出部(エンコーダ1、ホールIC6)からの位置信号(Z相信号encz)を基準に、変位検出部(エンコーダ1)からの変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジの数をカウントし、カウントによって得られた値を位置情報(角度情報thcnt(または角度信号thcnt))として出力するカウント部(エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ31,32)とを備えた位置検出装置であって、上記カウント部(エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ31,32)は、変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジが所定の区間エッジ数(分周比分母DEN)だけ到来する間に、区間エッジ数(分周比分母DEN)よりも小さい所定の非カウント数(分周比分母DENと分周比分子NUMとの差)だけ変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジをマスクしてカウントし得るように構成する。この構成によれば、変位検出部(エンコーダ1)の検出分解能を変更することなく、検出する位置情報(角度情報thcnt)の分解能を設定、変更することができる。なお、位置情報(角度情報thcnt)の分解能の設定、変更は、カウント部(エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ31,32)において、区間エッジ数(分周比分母DEN)や非カウント数(分周比分母DENと分周比分子NUMとの差)などを適宜設定、変更することにより行う。
【0014】
(構成2)
カウント部は、変位検出部(エンコーダ1)からの変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジを検出してエッジ検出パルスedgeを出力するエッジ検出部20と、エッジ検出部20からのエッジ検出パルスedgeを非整数分周してカウントパルスcntplsを出力する非整数分周器21と、位置検出部(エンコーダ1、ホールIC6)からの位置信号(Z相信号encz)を基準に、非整数分周器21からのカウントパルスcntplsの数をカウントし、カウントによって得られたカウント値を位置情報(角度情報thcnt)として出力する角度カウンタ31,32とを備えるようにする。この構成によれば、上記位置情報(角度情報thcnt)の分解能の設定、変更を実質的に行うことができる。なお、位置情報(角度情報thcnt)の分解能の設定、変更は、カウント部の非整数分周器21において、区間エッジ数(分周比分母DEN)や非カウント数(分周比分母DENと分周比分子NUMとの差)を設定、変更することや、角度カウンタ31,32において、角度情報分解能(ncnt)の値を設定、変更することなどにより行う。
【0015】
(構成3)
変位検出部および位置検出部は、回転軸に取付けられたエンコーダ1(ロータリーエンコーダ)であり、変位パルスが、エンコーダ1のエンコーダパルスencaであり、位置信号が、回転軸の1回転に1度だけ所定の角度においてエンコーダ1が出力するZ相信号(encz)であるようにしている。この構成によれば、エンコーダ1の検出分解能を変更することなく、検出する位置情報(角度情報thcnt)の分解能を設定、変更することができる。
【0016】
(構成4)
変位検出部は、モータ(ブラシレスモータ4)の回転軸に取付けられたエンコーダ1(ロータリーエンコーダ)であり、位置検出部は、モータ(ブラシレスモータ4)の回転子41の位置を検出するホールIC6であり、変位パルスが、エンコーダ1のエンコーダパルスencaであり、位置信号が、ホールICの出力するホール信号HU、HV、HWであるようにしている。この構成によれば、エンコーダ1の検出分解能を変更することなく、検出する位置情報(角度情報thcnt)の分解能を設定、変更することができる。
【0017】
(構成5)
モータ(ブラシレスモータ4)の回転子41の位置を検出可能な上記位置検出装置を備えると共に、位置検出装置で検出した回転子41の位置情報(角度情報thcnt)に応じた電圧をモータ(ブラシレスモータ4)のコイル端子へ印加してモータ(ブラシレスモータ4)を回転駆動可能なモータ駆動部(ブリッジ回路5、正弦波変調部7、PMW部8、ゲート信号生成部9)を備えるようにする。この構成によれば、位置検出装置の検出分解能と、モータ駆動部の位置情報の分解能とが異なる場合においても、位置検出装置とモータ駆動部とに変更を加えることなく、モータ(ブラシレスモータ4)を回転駆動することができる。
【0018】
以下、本発明を具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0020】
図1〜図4は、この実施例を示す図である。
【0021】
図1はこの実施例にかかる位置検出装置の構成を示す図である。図2は位置検出装置の各種信号の動作を示すタイミングチャートである。
【0022】
先ず、図1に示すように、上記した位置検出装置は、エンコーダ1(変位検出部および位置検出部)を備えている。また、位置検出装置は、カウント部として、エッジ検出部20と、非整数分周器21と、角度カウンタ31とを備えている。
【0023】
上記した「エンコーダ1」は、回転軸に固定されたロータリーエンコーダである。このロータリーエンコーダは、回転軸の角度変位に比例して、図2に示すような、エンコーダパルスenca(変位パルス)を出力する。また、ロータリーエンコーダは、回転軸の1回転に1度だけ所定の角度で、図2に示すような、パルス状のZ相信号encz(位置信号)を出力する。なお、エンコーダ1は、移動ステージに設置された物体の位置を検出可能なリニアエンコーダであっても良い。
【0024】
上記した「エッジ検出部20」は、上記したエンコーダパルスencaの立上りエッジを検出して、図2に示すような、クロックclkの1周期幅のエッジ検出パルスedgeを出力する。なお、上記したクロックclkは、図示しない発振子等により生成される一定周期のパルス信号である。
【0025】
上記した「非整数分周器21」は、上記エッジ検出部20からのエッジ検出パルスedgeが、分周比分母DEN(区間エッジ数)と等しいパルスだけ到来する間に、分周比分母DEN−分周比分子NUM回(非カウント数)だけエッジ検出パルスedgeをマスクしてカウントしないようにしつつカウントを行い、得られた値を、図2に示すような、カウントパルスcntplsとして出力する。
【0026】
ここで、上記した分周比分子NUMおよび分周比分母DENは、回路内部の図示しないレジスタや、回路外部に設けた図示しないスイッチなどの図示しない設定部を用いて任意に設定できる値である。分周比分子NUMと分周比分母DENとは、NUM<DENとなる範囲で設定する。
【0027】
この実施例の場合には、例として、分周比分子NUM=3、分周比分母DEN=4に設定している(但し、NUMおよびDENの値は、これに限るものではない)。これにより、非整数分周比NUM/DENは3/4となる。このとき、図2に示すように、エッジ検出パルスedgeの4パルスにつき1パルスをマスクしてカウントしないようにしつつカウントを行い、得られた値をカウントパルスcntplsとして出力することになる。非整数分周器21の詳細な動作については後述する。
【0028】
上記した「角度カウンタ31」は、上記非整数分周器21からのカウントパルスcntplsのパルス数をカウントアップして位置情報(角度情報thcnt)を出力するカウンタである。即ち、図2に示すように、検出する角度情報分解能を回転軸1周当たりncntとすると(角度情報分解能ncnt)、角度カウンタ31は0から(ncnt−1)の範囲を繰り返しカウントする。また、上記ロータリーエンコーダからのZ相信号enczの立上りエッジを、カウントパルスcntplsのカウントの基準として、カウントパルスcntplsのカウントをゼロにクリアする。そして、カウントパルスcntplsのカウント値を角度情報thcntとして出力する。なお、上記した分周比分子NUMや分周比分母DENなどと同様に、角度情報分解能ncntは、角度カウンタ31に対して任意に設定、変更することができる値である。
【0029】
以上が、本実施例における位置検出装置の構成の概要であり、上記したエッジ検出部20と非整数分周器21と角度カウンタ31は、例えば、デジタル回路により実現される。
【0030】
次に、図3および図4を用いて非整数分周器21の構成および動作の詳細について説明する。図3はこの実施例における非整数分周器21の構成を示す図であり、図4は非整数分周器21の各種信号の動作を示すタイミングチャートである。
【0031】
図3に示すように、非整数分周器21は、モジュロ加算器22と、イネーブル付フリップフロップ23(D−FF)と、ディレイ24(遅延回路)と、論理積演算器25とを備えている。
【0032】
上記した「モジュロ加算器22」は、上記したNUM(非整数分周器21の分周比分子)と、イネーブル付フリップフロップ23の後述するFF出力sum_dとを入力し、式1(モジュロ加算器の処理を示す式)および式2(剰余演算の振舞いを示す式)に示す剰余演算を実行して、キャリcy(桁上)および加算結果sum(または加算値sum)を出力する。なお、図3中、DENは上記した非整数分周器21の分周比分母である。
【0033】
式1)sum=(NUM+sum_d)mod(DEN−1)
式2)α mod β=α−(β+1)(α>βのとき)
またはα(α≦βのとき)
但し、α,βは、整数で、0>β、0≦α≦2β+1
cy=1(α>βのとき)または0(α≦βのとき)
上記した「イネーブル付フリップフロップ23」は、イネーブルenがハイの時に、図示しない上記クロックclkの立上りでデータdをラッチして、FF出力sum_dとして出力する。この実施例では、イネーブルenには上記エッジ検出部20からのエッジ検出パルスedgeを、また、データdには上記モジュロ加算器22からの加算結果sumを入力する。イネーブル付フリップフロップ23の動作の概要は、図4に示す通りである。
【0034】
上記した「ディレイ24」は、上記エッジ検出部20からのエッジ検出パルスedgeを、上記クロックclkの1周期分だけ遅延させた遅延信号edge_dを出力する(図4参照)。
【0035】
上記した「論理積演算器25」は、上記モジュロ加算器22からのキャリcyと、上記ディレイ24からの遅延信号edge_dとの論理積を、上記したカウントパルスcntplsとして出力する。このとき、カウントパルスcntplsは、上記エッジ検出パルスedgeを、上記非整数分周比NUM/DENの通りに分周した信号となる(図4参照)。
【0036】
なお、この実施例では、変位パルスの立上りエッジのみをカウントする構成としているが、これに限るものではなく、例えば、立上りエッジおよび立下りエッジの両方をカウントする構成としても良く、変位パルスは1/4周期の位相差をもつA相/B相の2つの信号とする構成としても良い。
【0037】
<作用効果>以下、この実施例の作用効果について説明する。
【0038】
この実施例では、回転軸に固定されたエンコーダ1は、回転軸の角度変位に比例した変位パルス(エンコーダパルスenca)と、検出角度の基準を示すZ相信号(encz)とを出力し、エッジ検出部20は、変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジを検出してエッジ検出パルスedgeを生成し、非整数分周器21は、非整数分周してカウントパルスcntplsを生成し、角度カウンタ31は、カウントパルスcntplsを、Z相信号(encz)を基準にカウントするよう構成している。このため、エンコーダ1の分解能を変更することなく、検出する位置情報(角度情報thcnt)の分解能を設定することができる。
【実施例2】
【0039】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。ただし、実施例1と共通する構成については説明を省略する。
【0040】
図5〜図12は、この実施例を示す図である。
【0041】
図5は、本実施例におけるモータ駆動装置の構成を示す図である。
【0042】
このモータ駆動装置は、ブラシレスモータ4(モータ)と、ブリッジ回路5とを備えている。また、モータ駆動装置は、位置検出装置として、エンコーダ1(変位検出部)と、ホールIC6(位置検出部)と、カウント部としての、エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ32を備えている。更に、モータ駆動装置は、モータ駆動手段として、正弦波変調部7と、PWM部8(パルス幅変調部)と、ゲート信号生成部9とを備えている。なお、このモータ駆動装置は、ブラシレスモータ4(モータ)とエンコーダ1(変位検出部)とが一体となった一体型モジュールとなっているが、両者を別体としても良い。
【0043】
上記した「ブラシレスモータ4」は、互いに120度の位相差を有する、U相、V相、W相の3相で構成されるコイルと、このコイルと対向する位置に配置された、図6に示すような回転子41とによって構成される(この回転子41は、図5では省略されている)。この回転子41は、S極、N極が交互に並んだ永久磁石で構成されている。また、U相、V相、W相の各コイル端子は、ブリッジ回路5に接続されている。なお、この場合、ブラシレスモータ4は8極とされ、さらに、所定の一方向にのみ回転駆動するものとされている。
【0044】
上記した「ブリッジ回路5」は、図7に示すように、スイッチング素子55とダイオード56とが並列に接続された上側アーム51を有している。また、ブリッジ回路5は、上側アーム51と同様のスイッチング素子55とダイオード56とで構成された下側アーム52を有している。上側アーム51と下側アーム52とは、3相分備えた構成とされ、それぞれのスイッチング素子55は、後述するゲート信号UH、VH、WH、UL、VL、WLによって駆動されて、ブラシレスモータ4のコイルにPWM(パルス幅変調)された電圧を印加して、コイルへ駆動電流を供給し、ブラシレスモータ4を回転駆動する。
【0045】
上記した「エンコーダ1」は、上記ブラシレスモータ4の回転軸に固定されたロータリーエンコーダである。このロータリーエンコーダは、モータの回転子41の角度変位に比例してエンコーダパルスenca(変位パルス)を出力する。なお、エンコーダ1は、移動ステージに設置された物体の位置を検出可能なリニアエンコーダであっても良い。
【0046】
上記した「ホールIC6」は、ホール素子とホールアンプを1つのパッケージに封入したICである。このホールIC6は、図6に示すように、回転子41の近傍に3つ固定して配置され、回転子41の磁界の変化に応じて、図8の上段に示すような、互いに120度の位相差をもつ2値のホール信号HU、HV、HW(位置信号)を出力する。これらのホール信号HU、HV、HWは1周期内に6つの信号エッジがあり、その6点で回転子41の位置を検出することができる。また、回転子41が8極であることから回転子41の1回転につきホール信号HU、HV、HWを4周期分(極数の半分)出力する。
【0047】
上記した「エッジ検出部20」は、実施例1のものと同様である。
【0048】
上記した「非整数分周器21」は、実施例1のものと同様である。なお、この実施例においても、例として、分周比分子NUM=3、分周比分母DEN=4に設定している(但し、NUMおよびDENの値は、これに限るものではない)。
【0049】
上記した「角度カウンタ32」は、図8に示すように、上記カウントパルスcntplsのパルス数をアップカウントするカウンタであり、検出する角度情報分解能を上記ホール信号HU、HV、HWの1周期当たりncntとすると(角度情報分解能ncnt)、角度カウンタ32は0から(ncnt−1)の範囲を繰り返しカウントする。また、図8を拡大した図9に示すように、上記ホール信号HU、HV、HWの1つであるHWの立上りエッジをカウントパルスcntplsのカウントの基準として、カウントパルスcntplsのカウントをゼロにクリアする。そして、カウントパルスcntplsのカウント値を、上記回転子41の角度情報thcntとして出力する。なお、角度情報分解能ncntは、角度カウンタ32に対して、設定、変更することができる値である。この場合には、モータ駆動手段(正弦波変調部7)の分解能に合わせて設定する。
【0050】
上記した「正弦波変調部7」は、電圧振幅指令値Vampと上記角度カウンタ32からの角度情報thcntとに従って、互いに120度の位相差を持つ3相の正弦波もしくは正弦波近似波形となる、端子電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*を出力する。正弦波変調部7の詳細動作については、図10、図11を用いて後述する。なお、上記電圧振幅指令値Vampは、例えば、回転子41の挙動を制御するために図示しない制御器等によって決定される値である。
【0051】
上記した「PWM部8」は、上記正弦波変調部7からの端子電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*と、搬送波Vcとを大小比較してパルス幅変調し、PWM信号Upwm、Vpwm、Wpwmを生成する。
【0052】
ここで、PWM部8の動作を図12を用いて説明する。図12の1段目に示す搬送波Vcは、所定のPWM周期の三角波であり、接地GNDから電源電圧Vccまでの振幅を持つものであるが、ここでは、Vcc/2だけマイナス側へにオフセットして、Vcc/2を仮想ゼロとしている。PWM部8は、上記正弦波変調部7からの端子電圧指令値Vu*と上記搬送波Vcとを比較して、図12の2段目に示すPWM信号Upwmを生成する。図12にはU相のみを示すが、V相、W相についても同様である。
【0053】
上記した「ゲート信号生成部9」は、上記PWM信号Upwm、Vpwm、Wpwmに従って、上記スイッチング素子55の短絡防止区間(デッドタイム)を挿入して、各相(U相、V相、W相)における、上記上側アーム51のスイッチング素子55のゲート信号UH、VH、WHと、上記下側アーム52のスイッチング素子55のゲート信号UL、VL、WLとを生成する。
【0054】
ゲート信号生成部9の動作を図12を用いて説明する。図12の3段目、4段目に示すように、上記PWM部8からのPWM信号Upwmに対して、ゲート信号生成部9は、立上りが長さtdだけ遅れた上側アーム51のスイッチング素子55のゲート信号UHを生成する。また、ゲート信号生成部9は、上記PWM部8からのPWM信号Upwmを反転して、立上り(Upwmでは立下がり部分)をtdだけ遅らせた下側アーム52のゲート信号ULを生成する。なお、上記tdは、上側アーム51と下側アーム52のスイッチング素子55の短絡防止を目的に設けられた短絡防止区間(デッドタイム)の長さである。図12はU相のみを示しているが、V相、W相についても同様である。
【0055】
次に、上記した「正弦波変調部7」の詳細を、図10、図11、式3(正弦波データテーブルの番地を示す式)および式4(UVW相の正弦波変調を示す式)を用いて説明する。
【0056】
式3)
addru=(thcnt+adj)mod(ncnt−1)
addrv=(thcnt+adj+2*ncnt/3)mod(ncnt−1)
addrw=(thcnt+adj+ncnt/3)mod(ncnt−1)
式4)
Vu*=Vamp×cosdat[addru]
Vv*=Vamp×cosdat[addrv]
Vw*=Vamp×cosdat[addrw]
図10に示すように、正弦波変調部7は、データ読出部71と、メモリ72(記憶部)と、乗算部73とを備えている。
【0057】
上記した「メモリ72」は、内部に正弦波データテーブルを持っている。この正弦波データテーブルには、図11に示すように、メモリ72内の所定アドレスを先頭として順に、角度情報分解能ncnt個で余弦波形1周期分を示す正弦波データcosdat[n]が格納されている。ここで、相対アドレスカウントnは、先頭アドレスからの何番目に格納されているかを示し、0から(ncnt−1)の範囲の値を取る。なお、余弦波形は正弦波形の位相を1/4周期進めた波形であり、ここでは両者を区別しない。
【0058】
上記した「データ読出部71」は、式3に示すように、上記角度カウンタ32からの角度情報thcntと上記角度情報分解能ncntと進角量adj(または進角カウントadj)から、正弦波データの相対アドレスカウントaddr_u、addr_v、addr_wを算出して、上記メモリ72に格納された正弦波テーブルから、正弦波データcosdat[addr_u]、cosdat[addr_v]、cosdat[addr_w]を読出して出力する。
【0059】
ここで、進角量adjは、角度情報thcntの値に対する端子電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*の正弦波形の位相を調整するオフセット値である。また、剰余演算modは式2と同様であるが、キャリcyはないものとする。
【0060】
上記した「乗算部73」は、式4に示すように、正弦波変調部7へ入力される上記電圧振幅指令値Vampと、上記データ読出部71が読出した3相の正弦波データcosdat[addr_u]、cosdat[addr_v]、cosdat[addr_w]とを乗じて、上記端子電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*として出力する。以上が、正弦波変調部7の構成および動作である。
【0061】
<作用効果>以下、この実施例の作用効果について説明する。
【0062】
このモータ駆動装置は、エンコーダ(ロータリーエンコーダ1)の出力する、回転子41の角度変位に比例した変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジをエッジ検出部20で検出し、エッジ検出部20で検出したエッジ検出パルスedgeを非整数分周器21で非整数分周したカウントパルスcntplsを角度カウンタ32でホール信号HU、HV、HWを基準にカウントすることにより、回転子41の角度情報thcntを検出するようにした位置検出装置(エンコーダ1(変位検出部)、ホールIC6(位置検出部)、カウント部(エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ32)を備えている。このため、従来技術では駆動する対象によってエンコーダ(ロータリーエンコーダ1)の分解能が変ると、角度カウンタ32による角度情報thcntの角度情報分解能ncntも変ってしまうため、上記正弦波変調部7(モータ駆動手段)の正弦波テーブルを変更する必要が生じるが、この実施例の位置検出装置によれば、エンコーダ(ロータリーエンコーダ1)の分解能が変化しても、角度カウンタ32による角度情報thcntの分解能を、正弦波変調部7の正弦波テーブルと同じにすることができるため、駆動する対象に応じて正弦波変調部7の正弦波テーブルを変更せずに、モータ(この場合にはブラシレスモータ4)等を回転駆動することができる。
【0063】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0064】
1 エンコーダ
20 エッジ検出部
21 非整数分周器
22 モジュロ加算器
23 イネーブル付フリップフロップ
24 ディレイ(遅延回路)
25 論理積演算器
31 角度カウンタ
32 角度カウンタ
4 ブラシレスモータ
41 回転子
5 ブリッジ回路
51 上側アーム
52 下側アーム
55 スイッチング素子
56 ダイオード
6 ホールIC
7 正弦波変調部
71 データ読出部
72 メモリ
73 乗算部
8 PWM部
9 ゲート信号生成部
enca エンコーダパルス
encz Z相信号
HU、HV、HW ホール信号
NUM 分周比分子
DEN 分周比分母
edge エッジ検出パルス
edge_d 遅延信号(edgeの1clkディレイ)
clk クロック
sum_d FF出力
sum 加算結果
cy キャリ
cntpls カウントパルス
thcnt 角度情報
ncnt 角度情報分解能
cosdat[n] 正弦波データ
adj 進角量
addr_u、addr_v、addr_w
正弦波データの相対アドレスカウント(U相、V相、W相)
Vamp 電圧振幅指令値
Vu*、Vv*、Vw* 端子電圧指令値(U相、V相、W相)
Vu、Vv、Vw 端子電圧(U相、V相、W相)
Upwm、Vpwm、Wpwm PWM信号(U相、V相、W相)
UH、VH、WH ゲート信号(U相、V相、W相 上側アーム)
UL、VL、WL ゲート信号(U相、V相、W相 下側アーム)
Vc 搬送波
td 短絡防止区間Dead(デッドタイム)の長さ
tpwm PWM周期の長さ
Vcc 電源電圧
GND 接地
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特許3171485号公報
【技術分野】
【0001】
この発明は、物体の位置を検出する位置検出装置、および、この位置検出装置を用いてモータを回転駆動するようにしたモータ駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、移動ステージに設置された物体の位置や、モータの回転子などの回転体の角度を検出するために、通常、リニアスケール(リニアエンコーダ)やロータリーエンコーダが用いられている。これらのエンコーダには、位置の変位のみを検出できるインクリメンタル型(変位検出)のものと、絶対位置が検出できるアブソリュート型(位置検出)のものとが存在する。
【0003】
そして、並進する移動ステージの位置制御や、モータの回転駆動制御などの用途においては、それぞれ移動ステージの位置や、回転子の角度などの高精度な情報が必要となるが、高分解能のアブソリュート型検出器は非常に高価であるという価格上の問題があり、また、高価なアブソリュート型検出器を大量生産する製品に採用することが困難であるという製品コスト上の問題がある。
【0004】
そこで、特許文献1に記載されているように、高分解能でも比較的安価なインクリメンタル型検出器と、安価な低分解能のアブソリュート型検出器との両方を備えるようにして、アブソリュート型検出器の検出する低分解能の位置を基準に、高分解能のインクリメンタル型検出器の出力する変位を上記基準から加減算することによって、低分解能の位置情報を基に、高分解能の位置情報を生成するようにした位置検出部が提案されている。
【0005】
より具体的には、インクリメンタル型検出器を変位に応じた変位パルスを出力するエンコーダとして、アブソリュート型検出器の出力するコードの変化エッジなどを基準に、上記変位パルスのパルス数やエッジをカウントすることにより、高分解能の位置情報を生成するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のように変位パルスのパルス数やエッジをカウントするようにした位置検出部では、検出位置は離散値として得られ、その分解能はインクリメンタル型検出器の分解能によって決まることになる。
【0007】
つまり、分解能を変更するためには、インクリメンタル型検出器を変更する必要があるが、モータとエンコーダが一体となった一体型モジュールや、直動型の移動ステージにリニアスケールが組込まれている装置などでは、インクリメンタル型検出器の変更が困難な場合が多いという課題がある。
【0008】
更に、検出した位置情報を利用して物体の位置制御やモータ駆動を行う際に、例えば、制御や駆動をコンピュータ上のソフトウェアで実現し得るようにするためには、インクリメンタル型検出器の分解能によって決まる検出位置情報の分解能に合わせて、演算係数やデータテーブルを変更することが必要になるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の位置検出装置は、物体の位置を検出して位置信号を出力可能な位置検出部と、該位置検出部よりも高分解能で、前記物体の移動量に応じて変位パルスを出力可能な変位検出部と、前記位置検出部からの位置信号を基準に、前記変位検出部からの変位パルスのエッジの数をカウントし、カウントによって得られた値を位置情報として出力するカウント部とを備え、該カウント部は、前記変位パルスのエッジが所定の区間エッジ数だけ到来する間に、該区間エッジ数よりも小さい所定の非カウント数だけ変位パルスのエッジをマスクしてカウントし得るように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、上記構成によって、変位検出部の検出分解能を変更することなく、検出する位置情報の分解能を設定、変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1にかかる位置検出装置の構成を示す図である。
【図2】図1の位置検出装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】図1の非整数分周器の構成を示す図である。
【図4】図3の非整数分周器の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】実施例2にかかるモータ駆動装置の全体構成を示す図である。
【図6】図5のホールICを示す図である。
【図7】図5のブリッジ回路の構成を示す図である。
【図8】図5のモータ駆動装置にかかる角度検出の動作を示す図である。
【図9】図8の動作の詳細を示すタイミングチャートである。
【図10】図5の正弦波変調部の構成を示す図である。
【図11】図10の正弦波変調部の正弦波データテーブルに格納された値を示す図である。
【図12】図5のPMW部にかかるPWM信号、ゲート信号、端子電圧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この発明の実施形態は、以下のような構成を備えている。ここで、構成1および構成2は、以下の各実施例に共通の構成である。構成3は、主に実施例1にかかる構成である。構成4および構成5は、主に実施例2にかかる構成である。なお、各構成要素には、参考として、各実施例にて説明する具体的構成や符号、記号などを付記している。
【0013】
(構成1)
物体の位置を検出して位置信号(Z相信号encz)を出力可能な位置検出部(エンコーダ1、ホールIC6)と、位置検出部(エンコーダ1、ホールIC6)よりも高分解能で、物体の移動量に応じて変位パルス(エンコーダパルスenca)を出力可能な変位検出部(エンコーダ1)と、位置検出部(エンコーダ1、ホールIC6)からの位置信号(Z相信号encz)を基準に、変位検出部(エンコーダ1)からの変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジの数をカウントし、カウントによって得られた値を位置情報(角度情報thcnt(または角度信号thcnt))として出力するカウント部(エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ31,32)とを備えた位置検出装置であって、上記カウント部(エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ31,32)は、変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジが所定の区間エッジ数(分周比分母DEN)だけ到来する間に、区間エッジ数(分周比分母DEN)よりも小さい所定の非カウント数(分周比分母DENと分周比分子NUMとの差)だけ変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジをマスクしてカウントし得るように構成する。この構成によれば、変位検出部(エンコーダ1)の検出分解能を変更することなく、検出する位置情報(角度情報thcnt)の分解能を設定、変更することができる。なお、位置情報(角度情報thcnt)の分解能の設定、変更は、カウント部(エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ31,32)において、区間エッジ数(分周比分母DEN)や非カウント数(分周比分母DENと分周比分子NUMとの差)などを適宜設定、変更することにより行う。
【0014】
(構成2)
カウント部は、変位検出部(エンコーダ1)からの変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジを検出してエッジ検出パルスedgeを出力するエッジ検出部20と、エッジ検出部20からのエッジ検出パルスedgeを非整数分周してカウントパルスcntplsを出力する非整数分周器21と、位置検出部(エンコーダ1、ホールIC6)からの位置信号(Z相信号encz)を基準に、非整数分周器21からのカウントパルスcntplsの数をカウントし、カウントによって得られたカウント値を位置情報(角度情報thcnt)として出力する角度カウンタ31,32とを備えるようにする。この構成によれば、上記位置情報(角度情報thcnt)の分解能の設定、変更を実質的に行うことができる。なお、位置情報(角度情報thcnt)の分解能の設定、変更は、カウント部の非整数分周器21において、区間エッジ数(分周比分母DEN)や非カウント数(分周比分母DENと分周比分子NUMとの差)を設定、変更することや、角度カウンタ31,32において、角度情報分解能(ncnt)の値を設定、変更することなどにより行う。
【0015】
(構成3)
変位検出部および位置検出部は、回転軸に取付けられたエンコーダ1(ロータリーエンコーダ)であり、変位パルスが、エンコーダ1のエンコーダパルスencaであり、位置信号が、回転軸の1回転に1度だけ所定の角度においてエンコーダ1が出力するZ相信号(encz)であるようにしている。この構成によれば、エンコーダ1の検出分解能を変更することなく、検出する位置情報(角度情報thcnt)の分解能を設定、変更することができる。
【0016】
(構成4)
変位検出部は、モータ(ブラシレスモータ4)の回転軸に取付けられたエンコーダ1(ロータリーエンコーダ)であり、位置検出部は、モータ(ブラシレスモータ4)の回転子41の位置を検出するホールIC6であり、変位パルスが、エンコーダ1のエンコーダパルスencaであり、位置信号が、ホールICの出力するホール信号HU、HV、HWであるようにしている。この構成によれば、エンコーダ1の検出分解能を変更することなく、検出する位置情報(角度情報thcnt)の分解能を設定、変更することができる。
【0017】
(構成5)
モータ(ブラシレスモータ4)の回転子41の位置を検出可能な上記位置検出装置を備えると共に、位置検出装置で検出した回転子41の位置情報(角度情報thcnt)に応じた電圧をモータ(ブラシレスモータ4)のコイル端子へ印加してモータ(ブラシレスモータ4)を回転駆動可能なモータ駆動部(ブリッジ回路5、正弦波変調部7、PMW部8、ゲート信号生成部9)を備えるようにする。この構成によれば、位置検出装置の検出分解能と、モータ駆動部の位置情報の分解能とが異なる場合においても、位置検出装置とモータ駆動部とに変更を加えることなく、モータ(ブラシレスモータ4)を回転駆動することができる。
【0018】
以下、本発明を具体化した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0020】
図1〜図4は、この実施例を示す図である。
【0021】
図1はこの実施例にかかる位置検出装置の構成を示す図である。図2は位置検出装置の各種信号の動作を示すタイミングチャートである。
【0022】
先ず、図1に示すように、上記した位置検出装置は、エンコーダ1(変位検出部および位置検出部)を備えている。また、位置検出装置は、カウント部として、エッジ検出部20と、非整数分周器21と、角度カウンタ31とを備えている。
【0023】
上記した「エンコーダ1」は、回転軸に固定されたロータリーエンコーダである。このロータリーエンコーダは、回転軸の角度変位に比例して、図2に示すような、エンコーダパルスenca(変位パルス)を出力する。また、ロータリーエンコーダは、回転軸の1回転に1度だけ所定の角度で、図2に示すような、パルス状のZ相信号encz(位置信号)を出力する。なお、エンコーダ1は、移動ステージに設置された物体の位置を検出可能なリニアエンコーダであっても良い。
【0024】
上記した「エッジ検出部20」は、上記したエンコーダパルスencaの立上りエッジを検出して、図2に示すような、クロックclkの1周期幅のエッジ検出パルスedgeを出力する。なお、上記したクロックclkは、図示しない発振子等により生成される一定周期のパルス信号である。
【0025】
上記した「非整数分周器21」は、上記エッジ検出部20からのエッジ検出パルスedgeが、分周比分母DEN(区間エッジ数)と等しいパルスだけ到来する間に、分周比分母DEN−分周比分子NUM回(非カウント数)だけエッジ検出パルスedgeをマスクしてカウントしないようにしつつカウントを行い、得られた値を、図2に示すような、カウントパルスcntplsとして出力する。
【0026】
ここで、上記した分周比分子NUMおよび分周比分母DENは、回路内部の図示しないレジスタや、回路外部に設けた図示しないスイッチなどの図示しない設定部を用いて任意に設定できる値である。分周比分子NUMと分周比分母DENとは、NUM<DENとなる範囲で設定する。
【0027】
この実施例の場合には、例として、分周比分子NUM=3、分周比分母DEN=4に設定している(但し、NUMおよびDENの値は、これに限るものではない)。これにより、非整数分周比NUM/DENは3/4となる。このとき、図2に示すように、エッジ検出パルスedgeの4パルスにつき1パルスをマスクしてカウントしないようにしつつカウントを行い、得られた値をカウントパルスcntplsとして出力することになる。非整数分周器21の詳細な動作については後述する。
【0028】
上記した「角度カウンタ31」は、上記非整数分周器21からのカウントパルスcntplsのパルス数をカウントアップして位置情報(角度情報thcnt)を出力するカウンタである。即ち、図2に示すように、検出する角度情報分解能を回転軸1周当たりncntとすると(角度情報分解能ncnt)、角度カウンタ31は0から(ncnt−1)の範囲を繰り返しカウントする。また、上記ロータリーエンコーダからのZ相信号enczの立上りエッジを、カウントパルスcntplsのカウントの基準として、カウントパルスcntplsのカウントをゼロにクリアする。そして、カウントパルスcntplsのカウント値を角度情報thcntとして出力する。なお、上記した分周比分子NUMや分周比分母DENなどと同様に、角度情報分解能ncntは、角度カウンタ31に対して任意に設定、変更することができる値である。
【0029】
以上が、本実施例における位置検出装置の構成の概要であり、上記したエッジ検出部20と非整数分周器21と角度カウンタ31は、例えば、デジタル回路により実現される。
【0030】
次に、図3および図4を用いて非整数分周器21の構成および動作の詳細について説明する。図3はこの実施例における非整数分周器21の構成を示す図であり、図4は非整数分周器21の各種信号の動作を示すタイミングチャートである。
【0031】
図3に示すように、非整数分周器21は、モジュロ加算器22と、イネーブル付フリップフロップ23(D−FF)と、ディレイ24(遅延回路)と、論理積演算器25とを備えている。
【0032】
上記した「モジュロ加算器22」は、上記したNUM(非整数分周器21の分周比分子)と、イネーブル付フリップフロップ23の後述するFF出力sum_dとを入力し、式1(モジュロ加算器の処理を示す式)および式2(剰余演算の振舞いを示す式)に示す剰余演算を実行して、キャリcy(桁上)および加算結果sum(または加算値sum)を出力する。なお、図3中、DENは上記した非整数分周器21の分周比分母である。
【0033】
式1)sum=(NUM+sum_d)mod(DEN−1)
式2)α mod β=α−(β+1)(α>βのとき)
またはα(α≦βのとき)
但し、α,βは、整数で、0>β、0≦α≦2β+1
cy=1(α>βのとき)または0(α≦βのとき)
上記した「イネーブル付フリップフロップ23」は、イネーブルenがハイの時に、図示しない上記クロックclkの立上りでデータdをラッチして、FF出力sum_dとして出力する。この実施例では、イネーブルenには上記エッジ検出部20からのエッジ検出パルスedgeを、また、データdには上記モジュロ加算器22からの加算結果sumを入力する。イネーブル付フリップフロップ23の動作の概要は、図4に示す通りである。
【0034】
上記した「ディレイ24」は、上記エッジ検出部20からのエッジ検出パルスedgeを、上記クロックclkの1周期分だけ遅延させた遅延信号edge_dを出力する(図4参照)。
【0035】
上記した「論理積演算器25」は、上記モジュロ加算器22からのキャリcyと、上記ディレイ24からの遅延信号edge_dとの論理積を、上記したカウントパルスcntplsとして出力する。このとき、カウントパルスcntplsは、上記エッジ検出パルスedgeを、上記非整数分周比NUM/DENの通りに分周した信号となる(図4参照)。
【0036】
なお、この実施例では、変位パルスの立上りエッジのみをカウントする構成としているが、これに限るものではなく、例えば、立上りエッジおよび立下りエッジの両方をカウントする構成としても良く、変位パルスは1/4周期の位相差をもつA相/B相の2つの信号とする構成としても良い。
【0037】
<作用効果>以下、この実施例の作用効果について説明する。
【0038】
この実施例では、回転軸に固定されたエンコーダ1は、回転軸の角度変位に比例した変位パルス(エンコーダパルスenca)と、検出角度の基準を示すZ相信号(encz)とを出力し、エッジ検出部20は、変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジを検出してエッジ検出パルスedgeを生成し、非整数分周器21は、非整数分周してカウントパルスcntplsを生成し、角度カウンタ31は、カウントパルスcntplsを、Z相信号(encz)を基準にカウントするよう構成している。このため、エンコーダ1の分解能を変更することなく、検出する位置情報(角度情報thcnt)の分解能を設定することができる。
【実施例2】
【0039】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。ただし、実施例1と共通する構成については説明を省略する。
【0040】
図5〜図12は、この実施例を示す図である。
【0041】
図5は、本実施例におけるモータ駆動装置の構成を示す図である。
【0042】
このモータ駆動装置は、ブラシレスモータ4(モータ)と、ブリッジ回路5とを備えている。また、モータ駆動装置は、位置検出装置として、エンコーダ1(変位検出部)と、ホールIC6(位置検出部)と、カウント部としての、エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ32を備えている。更に、モータ駆動装置は、モータ駆動手段として、正弦波変調部7と、PWM部8(パルス幅変調部)と、ゲート信号生成部9とを備えている。なお、このモータ駆動装置は、ブラシレスモータ4(モータ)とエンコーダ1(変位検出部)とが一体となった一体型モジュールとなっているが、両者を別体としても良い。
【0043】
上記した「ブラシレスモータ4」は、互いに120度の位相差を有する、U相、V相、W相の3相で構成されるコイルと、このコイルと対向する位置に配置された、図6に示すような回転子41とによって構成される(この回転子41は、図5では省略されている)。この回転子41は、S極、N極が交互に並んだ永久磁石で構成されている。また、U相、V相、W相の各コイル端子は、ブリッジ回路5に接続されている。なお、この場合、ブラシレスモータ4は8極とされ、さらに、所定の一方向にのみ回転駆動するものとされている。
【0044】
上記した「ブリッジ回路5」は、図7に示すように、スイッチング素子55とダイオード56とが並列に接続された上側アーム51を有している。また、ブリッジ回路5は、上側アーム51と同様のスイッチング素子55とダイオード56とで構成された下側アーム52を有している。上側アーム51と下側アーム52とは、3相分備えた構成とされ、それぞれのスイッチング素子55は、後述するゲート信号UH、VH、WH、UL、VL、WLによって駆動されて、ブラシレスモータ4のコイルにPWM(パルス幅変調)された電圧を印加して、コイルへ駆動電流を供給し、ブラシレスモータ4を回転駆動する。
【0045】
上記した「エンコーダ1」は、上記ブラシレスモータ4の回転軸に固定されたロータリーエンコーダである。このロータリーエンコーダは、モータの回転子41の角度変位に比例してエンコーダパルスenca(変位パルス)を出力する。なお、エンコーダ1は、移動ステージに設置された物体の位置を検出可能なリニアエンコーダであっても良い。
【0046】
上記した「ホールIC6」は、ホール素子とホールアンプを1つのパッケージに封入したICである。このホールIC6は、図6に示すように、回転子41の近傍に3つ固定して配置され、回転子41の磁界の変化に応じて、図8の上段に示すような、互いに120度の位相差をもつ2値のホール信号HU、HV、HW(位置信号)を出力する。これらのホール信号HU、HV、HWは1周期内に6つの信号エッジがあり、その6点で回転子41の位置を検出することができる。また、回転子41が8極であることから回転子41の1回転につきホール信号HU、HV、HWを4周期分(極数の半分)出力する。
【0047】
上記した「エッジ検出部20」は、実施例1のものと同様である。
【0048】
上記した「非整数分周器21」は、実施例1のものと同様である。なお、この実施例においても、例として、分周比分子NUM=3、分周比分母DEN=4に設定している(但し、NUMおよびDENの値は、これに限るものではない)。
【0049】
上記した「角度カウンタ32」は、図8に示すように、上記カウントパルスcntplsのパルス数をアップカウントするカウンタであり、検出する角度情報分解能を上記ホール信号HU、HV、HWの1周期当たりncntとすると(角度情報分解能ncnt)、角度カウンタ32は0から(ncnt−1)の範囲を繰り返しカウントする。また、図8を拡大した図9に示すように、上記ホール信号HU、HV、HWの1つであるHWの立上りエッジをカウントパルスcntplsのカウントの基準として、カウントパルスcntplsのカウントをゼロにクリアする。そして、カウントパルスcntplsのカウント値を、上記回転子41の角度情報thcntとして出力する。なお、角度情報分解能ncntは、角度カウンタ32に対して、設定、変更することができる値である。この場合には、モータ駆動手段(正弦波変調部7)の分解能に合わせて設定する。
【0050】
上記した「正弦波変調部7」は、電圧振幅指令値Vampと上記角度カウンタ32からの角度情報thcntとに従って、互いに120度の位相差を持つ3相の正弦波もしくは正弦波近似波形となる、端子電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*を出力する。正弦波変調部7の詳細動作については、図10、図11を用いて後述する。なお、上記電圧振幅指令値Vampは、例えば、回転子41の挙動を制御するために図示しない制御器等によって決定される値である。
【0051】
上記した「PWM部8」は、上記正弦波変調部7からの端子電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*と、搬送波Vcとを大小比較してパルス幅変調し、PWM信号Upwm、Vpwm、Wpwmを生成する。
【0052】
ここで、PWM部8の動作を図12を用いて説明する。図12の1段目に示す搬送波Vcは、所定のPWM周期の三角波であり、接地GNDから電源電圧Vccまでの振幅を持つものであるが、ここでは、Vcc/2だけマイナス側へにオフセットして、Vcc/2を仮想ゼロとしている。PWM部8は、上記正弦波変調部7からの端子電圧指令値Vu*と上記搬送波Vcとを比較して、図12の2段目に示すPWM信号Upwmを生成する。図12にはU相のみを示すが、V相、W相についても同様である。
【0053】
上記した「ゲート信号生成部9」は、上記PWM信号Upwm、Vpwm、Wpwmに従って、上記スイッチング素子55の短絡防止区間(デッドタイム)を挿入して、各相(U相、V相、W相)における、上記上側アーム51のスイッチング素子55のゲート信号UH、VH、WHと、上記下側アーム52のスイッチング素子55のゲート信号UL、VL、WLとを生成する。
【0054】
ゲート信号生成部9の動作を図12を用いて説明する。図12の3段目、4段目に示すように、上記PWM部8からのPWM信号Upwmに対して、ゲート信号生成部9は、立上りが長さtdだけ遅れた上側アーム51のスイッチング素子55のゲート信号UHを生成する。また、ゲート信号生成部9は、上記PWM部8からのPWM信号Upwmを反転して、立上り(Upwmでは立下がり部分)をtdだけ遅らせた下側アーム52のゲート信号ULを生成する。なお、上記tdは、上側アーム51と下側アーム52のスイッチング素子55の短絡防止を目的に設けられた短絡防止区間(デッドタイム)の長さである。図12はU相のみを示しているが、V相、W相についても同様である。
【0055】
次に、上記した「正弦波変調部7」の詳細を、図10、図11、式3(正弦波データテーブルの番地を示す式)および式4(UVW相の正弦波変調を示す式)を用いて説明する。
【0056】
式3)
addru=(thcnt+adj)mod(ncnt−1)
addrv=(thcnt+adj+2*ncnt/3)mod(ncnt−1)
addrw=(thcnt+adj+ncnt/3)mod(ncnt−1)
式4)
Vu*=Vamp×cosdat[addru]
Vv*=Vamp×cosdat[addrv]
Vw*=Vamp×cosdat[addrw]
図10に示すように、正弦波変調部7は、データ読出部71と、メモリ72(記憶部)と、乗算部73とを備えている。
【0057】
上記した「メモリ72」は、内部に正弦波データテーブルを持っている。この正弦波データテーブルには、図11に示すように、メモリ72内の所定アドレスを先頭として順に、角度情報分解能ncnt個で余弦波形1周期分を示す正弦波データcosdat[n]が格納されている。ここで、相対アドレスカウントnは、先頭アドレスからの何番目に格納されているかを示し、0から(ncnt−1)の範囲の値を取る。なお、余弦波形は正弦波形の位相を1/4周期進めた波形であり、ここでは両者を区別しない。
【0058】
上記した「データ読出部71」は、式3に示すように、上記角度カウンタ32からの角度情報thcntと上記角度情報分解能ncntと進角量adj(または進角カウントadj)から、正弦波データの相対アドレスカウントaddr_u、addr_v、addr_wを算出して、上記メモリ72に格納された正弦波テーブルから、正弦波データcosdat[addr_u]、cosdat[addr_v]、cosdat[addr_w]を読出して出力する。
【0059】
ここで、進角量adjは、角度情報thcntの値に対する端子電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*の正弦波形の位相を調整するオフセット値である。また、剰余演算modは式2と同様であるが、キャリcyはないものとする。
【0060】
上記した「乗算部73」は、式4に示すように、正弦波変調部7へ入力される上記電圧振幅指令値Vampと、上記データ読出部71が読出した3相の正弦波データcosdat[addr_u]、cosdat[addr_v]、cosdat[addr_w]とを乗じて、上記端子電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*として出力する。以上が、正弦波変調部7の構成および動作である。
【0061】
<作用効果>以下、この実施例の作用効果について説明する。
【0062】
このモータ駆動装置は、エンコーダ(ロータリーエンコーダ1)の出力する、回転子41の角度変位に比例した変位パルス(エンコーダパルスenca)のエッジをエッジ検出部20で検出し、エッジ検出部20で検出したエッジ検出パルスedgeを非整数分周器21で非整数分周したカウントパルスcntplsを角度カウンタ32でホール信号HU、HV、HWを基準にカウントすることにより、回転子41の角度情報thcntを検出するようにした位置検出装置(エンコーダ1(変位検出部)、ホールIC6(位置検出部)、カウント部(エッジ検出部20、非整数分周器21、角度カウンタ32)を備えている。このため、従来技術では駆動する対象によってエンコーダ(ロータリーエンコーダ1)の分解能が変ると、角度カウンタ32による角度情報thcntの角度情報分解能ncntも変ってしまうため、上記正弦波変調部7(モータ駆動手段)の正弦波テーブルを変更する必要が生じるが、この実施例の位置検出装置によれば、エンコーダ(ロータリーエンコーダ1)の分解能が変化しても、角度カウンタ32による角度情報thcntの分解能を、正弦波変調部7の正弦波テーブルと同じにすることができるため、駆動する対象に応じて正弦波変調部7の正弦波テーブルを変更せずに、モータ(この場合にはブラシレスモータ4)等を回転駆動することができる。
【0063】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、実施例はこの発明の例示にしか過ぎないものであるため、この発明は実施例の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施例に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、複数の実施例や変形例が示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。
【符号の説明】
【0064】
1 エンコーダ
20 エッジ検出部
21 非整数分周器
22 モジュロ加算器
23 イネーブル付フリップフロップ
24 ディレイ(遅延回路)
25 論理積演算器
31 角度カウンタ
32 角度カウンタ
4 ブラシレスモータ
41 回転子
5 ブリッジ回路
51 上側アーム
52 下側アーム
55 スイッチング素子
56 ダイオード
6 ホールIC
7 正弦波変調部
71 データ読出部
72 メモリ
73 乗算部
8 PWM部
9 ゲート信号生成部
enca エンコーダパルス
encz Z相信号
HU、HV、HW ホール信号
NUM 分周比分子
DEN 分周比分母
edge エッジ検出パルス
edge_d 遅延信号(edgeの1clkディレイ)
clk クロック
sum_d FF出力
sum 加算結果
cy キャリ
cntpls カウントパルス
thcnt 角度情報
ncnt 角度情報分解能
cosdat[n] 正弦波データ
adj 進角量
addr_u、addr_v、addr_w
正弦波データの相対アドレスカウント(U相、V相、W相)
Vamp 電圧振幅指令値
Vu*、Vv*、Vw* 端子電圧指令値(U相、V相、W相)
Vu、Vv、Vw 端子電圧(U相、V相、W相)
Upwm、Vpwm、Wpwm PWM信号(U相、V相、W相)
UH、VH、WH ゲート信号(U相、V相、W相 上側アーム)
UL、VL、WL ゲート信号(U相、V相、W相 下側アーム)
Vc 搬送波
td 短絡防止区間Dead(デッドタイム)の長さ
tpwm PWM周期の長さ
Vcc 電源電圧
GND 接地
【先行技術文献】
【特許文献】
【0065】
【特許文献1】特許3171485号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の位置を検出して位置信号を出力可能な位置検出部と、
該位置検出部よりも高分解能で、前記物体の移動量に応じて変位パルスを出力可能な変位検出部と、
前記位置検出部からの位置信号を基準に、前記変位検出部からの変位パルスのエッジの数をカウントし、カウントによって得られた値を位置情報として出力するカウント部とを備え、
該カウント部は、前記変位パルスのエッジが所定の区間エッジ数だけ到来する間に、該区間エッジ数よりも小さい所定の非カウント数だけ変位パルスのエッジをマスクしてカウントし得るように構成されたことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記カウント部は、
前記変位検出部からの変位パルスのエッジを検出してエッジ検出パルスを出力するエッジ検出部と、
該エッジ検出部からのエッジ検出パルスを非整数分周してカウントパルスを出力する非整数分周器と、
前記位置検出部からの位置信号を基準に、前記非整数分周器からのカウントパルスの数をカウントし、カウントによって得られたカウント値を位置情報として出力する角度カウンタとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記変位検出部および前記位置検出部は、回転軸に取付けられたエンコーダであり、
前記変位パルスが、エンコーダのエンコーダパルスであり、
前記位置信号が、回転軸の1回転に1度だけ所定の角度においてエンコーダが出力するZ相信号であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記変位検出部は、モータの回転軸に取付けられたエンコーダであり、
前記位置検出部は、前記モータの回転子の位置を検出するホールICであり、
前記変位パルスが、エンコーダのエンコーダパルスであり、
前記位置信号が、前記ホールICの出力するホール信号であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項5】
モータの回転子の位置を検出可能な請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の位置検出装置を備えると共に、
前記位置検出装置で検出した回転子の位置情報に応じた電圧を前記モータのコイル端子へ印加してモータを回転駆動可能なモータ駆動部とを備えたことを特徴とするモータ駆動装置。
【請求項1】
物体の位置を検出して位置信号を出力可能な位置検出部と、
該位置検出部よりも高分解能で、前記物体の移動量に応じて変位パルスを出力可能な変位検出部と、
前記位置検出部からの位置信号を基準に、前記変位検出部からの変位パルスのエッジの数をカウントし、カウントによって得られた値を位置情報として出力するカウント部とを備え、
該カウント部は、前記変位パルスのエッジが所定の区間エッジ数だけ到来する間に、該区間エッジ数よりも小さい所定の非カウント数だけ変位パルスのエッジをマスクしてカウントし得るように構成されたことを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記カウント部は、
前記変位検出部からの変位パルスのエッジを検出してエッジ検出パルスを出力するエッジ検出部と、
該エッジ検出部からのエッジ検出パルスを非整数分周してカウントパルスを出力する非整数分周器と、
前記位置検出部からの位置信号を基準に、前記非整数分周器からのカウントパルスの数をカウントし、カウントによって得られたカウント値を位置情報として出力する角度カウンタとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記変位検出部および前記位置検出部は、回転軸に取付けられたエンコーダであり、
前記変位パルスが、エンコーダのエンコーダパルスであり、
前記位置信号が、回転軸の1回転に1度だけ所定の角度においてエンコーダが出力するZ相信号であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記変位検出部は、モータの回転軸に取付けられたエンコーダであり、
前記位置検出部は、前記モータの回転子の位置を検出するホールICであり、
前記変位パルスが、エンコーダのエンコーダパルスであり、
前記位置信号が、前記ホールICの出力するホール信号であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項5】
モータの回転子の位置を検出可能な請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の位置検出装置を備えると共に、
前記位置検出装置で検出した回転子の位置情報に応じた電圧を前記モータのコイル端子へ印加してモータを回転駆動可能なモータ駆動部とを備えたことを特徴とするモータ駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−185106(P2012−185106A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−49779(P2011−49779)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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