説明

位置特定プログラム、速度検知プログラム、携帯端末装置および車載装置

【課題】車載装置と連携した携帯端末の位置捕捉において、携帯端末で通話処理が発生しても速度情報による位置補正を継続すること。
【解決手段】携帯端末1に通話が発生していない場合には車載装置2から携帯端末1に移動体の速度情報を送信し、携帯端末1は速度情報を利用して現在位置を特定する処理を行なう。携帯端末1に通話処理が発生したならば、位置特定処理をサスペンドし、その間の速度情報は車載装置2に蓄積する。そして、通話が終了した後に蓄積した速度情報を携帯端末1に送信し、位置特定処理に使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体に搭載された車載装置、および車載装置と通信して位置特定を行なう携帯端装置末に関し、特に車載装置から携帯端末装置に速度情報を提供する速度検知プログラム、および車載装置から取得した速度情報を用いて位置特定を行なう位置特定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載装置にGPSを搭載し、目的地までの経路案内を行なう車両用ナビゲーションシステムが広く利用されてきた。さらに近年では、携帯電話などの携帯端末にGPSを実装し、携帯端末上で位置情報を使った各種サービス(例えば歩行者用ナビゲーションや車両用ナビゲーション、ドライブレコーダなど)が提供可能となっている。
【0003】
また、車載装置と携帯電話とを接続し、車載装置でGPS情報を得られない場合に、携帯電話のGPS機能を用いて座標を求め、得られた座標を携帯電話から車載装置に送信して車載装置側で車両用ナビゲーションサービスを提供する技術も考案されている(例えば特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−340633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車載装置においてGPSを利用して位置を特定する場合、車速情報を用いて現在位置を補正することで、見通しの悪いビル影やトンネル内などGPSによる位置特定が困難な状態でも精度良く位置の特定を行なうことができる。
【0006】
一方、携帯端末装置で車両用のナビゲーションやドライブレコーダのサービスを提供する場合に車速情報による補正を行なうには、車載装置と接続して車速情報を取得する必要がある。
【0007】
ここで、携帯端末装置としては、携帯電話を利用することが好適であるが、携帯電話端末は、本来の主機能である通話機能を使用中は他の機能の作業状態をメモリなどに退避させてサスペンド状態にすることが一般的である。
【0008】
携帯電話端末の所持者が運転者である場合には、車両用サービス提供中、すなわち運転中には通話機能が使用されないが、同乗者の携帯電話端末を用いて車両用サービスを提供する場合には、通話と車両用サービスとが同時発生する可能性がある。
【0009】
そこで、通話中における車両位置の変化をどのように携帯電話端末に提供するかが、重要な課題となっていた。GPSによる座標算出のように、その都度座標を求める処理ではサービス再開(サスペンドからの復帰)後に単純に座標算出を実行すればよいが、車両の速度情報のようにその推移を追って位置情報にフィードバックする処理では、通話期間中に取得するはずであった速度情報が失われてしまう。また、通話と速度情報取得とを並行すれば、処理負荷が過大となり、処理遅延が発生する可能性がある。
【0010】
本発明は、上述した従来技術における問題点を解決するためになされたものであり、車載装置と連携した携帯端末の位置捕捉において、携帯端末で通話処理が発生しても速度情報による位置補正を継続することが可能な位置特定プログラム、速度検知プログラム、携帯端末装置および車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明にかかる携帯端末装置および位置特定プログラムでは、通話が発生していない場合には、車載装置から移動体の速度情報を取得して現在位置を特定する処理を行ない、通話開始を検知した場合には速度情報の受信を停止して、車載装置に蓄積させておき、通話終了後に蓄積させておいた速度情報を取得する。
【0012】
また、本発明にかかる車載装置および速度検知プログラムでは、車両から速度情報を取得した後、携帯端末が通話処理中である場合には速度情報を携帯端末に随時送信するが、携帯端末が通話処理を実行中である場合には度情報を蓄積手段に蓄積し、通話終了後に蓄積した速度情報を携帯端末に送信する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば携帯端末装置および位置特定プログラムは、通話が発生していない場合には車載装置から移動体の速度情報を取得して現在位置を特定する処理を行ない、通話中は速度情報の受信を停止して車載装置に蓄積させておき、通話終了後に蓄積させておいた速度情報を取得するので、携帯端末で通話処理が発生しても速度情報に基づく位置補正を継続することが可能な携帯端末装置および位置特定プログラムを得ることができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明によれば携帯端末装置および位置特定プログラムは、通話開始時に速度情報送信抑止要求を送信することで速度情報の送信を停止させ、通話終了時に車載装置に対して抑止解除通知を送信して蓄積させておいた通話中の速度情報を取得するので、車載装置に対して携帯端末の処理状態を適宜通知し、車載装置と協調して動作する携帯端末装置および位置特定プログラムを得ることができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明によれば携帯端末装置および位置特定プログラムは、通話開始時に速度情報送信抑止要求を送信したのち位置特定処理をサスペンドし、サスペンドから復帰した場合に車載装置から通話中の速度情報を取得するので、携帯端末で通話処理中に位置特定処理を停止しても再開後には速やかに速度情報に基づく位置補正を継続することが可能な携帯端末装置および位置特定プログラムを得ることができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明によれば携帯端末装置および位置特定プログラムは、通話開始時に速度情報送信抑止要求を送信したのち位置特定処理をサスペンドし、サスペンドから復帰した場合に車載装置から通話中の速度情報を取得するので、携帯端末で通話処理中に位置特定処理を停止しても再開後には速やかに速度情報に基づく位置補正を継続することが可能な携帯端末装置および位置特定プログラムを得ることができるという効果を奏する。
【0017】
また、携帯端末装置および位置特定プログラムは、通話が発生していない場合には車載装置から移動体の速度情報を取得して現在位置を特定する処理を行ない、通話中は速度情報の受信を停止して車載装置に蓄積させておき、通話終了後に蓄積させておいた速度情報を取得するので、携帯端末で通話処理が発生しても速度情報に基づく位置補正を継続することが可能な携帯端末装置および位置特定プログラムを得ることができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明によれば携帯端末装置および位置特定プログラムは、通話中は速度情報の受信を停止して車載装置に蓄積させておき、通話終了後に蓄積させておいた速度情報を取得してGPS座標を補正するので、携帯端末で通話処理が発生しても速度情報に基づくGPS座標の補正を継続することが可能な携帯端末装置および位置特定プログラムを得ることができるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明によれば携帯端末装置および位置特定プログラムは、通話中は速度情報の受信を停止して車載装置に蓄積させておき、通話終了後に蓄積させておいた速度情報を取得してマップマッチングに使用するので、携帯端末で通話処理が発生しても速度情報に基づくマップマッチングを継続することが可能な携帯端末装置および位置特定プログラムを得ることができるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明によれば車載装置および速度検知プログラムは、車両から速度情報を取得した後、携帯端末が通話処理中である場合には速度情報を携帯端末に随時送信するが、携帯端末が通話処理を実行中である場合には度情報を蓄積手段に蓄積し、通話終了後に蓄積した速度情報を携帯端末に送信するので、携帯端末で通話処理が発生しても速度情報に基づく位置補正を継続させることが可能な車載装置および速度検知プログラムを得ることができるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明によれば車載装置および速度検知プログラムは、携帯端末から速度情報送信抑止要求を受信した場合に速度情報の蓄積を開始し、携帯端末から抑止解除通知を受信した場合に通話が終了したと判定して蓄積した情報を携帯端末に送信するので、携帯端末の動作状態に合わせて速度情報の管理を行なう車載装置および速度検知プログラムを得ることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る位置特定プログラム、速度検知プログラム、携帯端末装置および車載装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0023】
1.発明の概要
まず、図1を参照し、本発明の概要について説明する。本発明においては、車両に搭載された車載装置2と、ユーザ(例えば運転者)が所持する携帯端末1とを通信接続し、携帯端末1は車載装置2から取得した車両の速度情報を用いて現在位置を特定する。
【0024】
携帯端末1は、通話を主機能とする携帯電話端末であり、CPUやメモリなどの演算リソースを用いてプログラムを実行することで、位置特定処理やナビゲーション処理などの機能をソフトウェア的に実現することができる。
【0025】
車載装置2は、車両に搭載され、車両から車速パルスを取得する。車載装置2と携帯端末1は、有線、もしくはBluetoothなどの近距離無線で接続されており、車載装置2は携帯端末1に車両の速度情報を送信する。この速度情報は、車両から取得した車速パルスをそのまま送信しても良いし、適宜加工をおこなって送信しても良い。
【0026】
携帯端末1は、車載装置2から受信した速度情報に基づき算出できる移動距離を用いて現在位置の判定を行なう。このように携帯端末1では車両の速度を利用して位置特定処理を実行し、その結果得られた位置情報を任意のサービス、たとえば車両用ナビゲーションやドライブレコーダに利用することが出来る。
【0027】
携帯端末1は、その主機能が通話であるので、通話処理が起動した場合には既に起動中の処理に割り込み、割り込まれた処理はサスペンド状態となる。例えば位置特定処理がサスペンド状態となった場合、通話終了後に復帰するが、それまでは位置特定を行なうことができない。また、サスペンド状態である間に車載装置から送信された速度情報も受信することが出来なくなる。
【0028】
そこで、本発明では、携帯端末1が通話処理中である場合には、車載装置2に速度情報を蓄積しておき、通話が終了した後に蓄積された速度情報を取得するとともに、新たな速度情報の取得を再開するように構成している。このように、車載装置が携帯端末の動作状態に応じて速度情報の送信・蓄積を管理する点に、本発明の主たる特徴がある。
【0029】
2.本発明の構成例
つづいて、図2を参照し、本発明の主要な機能構成について説明する。既に述べたように、本発明における機能要素は、その一部をソフトウェア的に実現可能であるが、同図に示した構成では、その機能をハードウェア、ソフトウェアのいずれで実現するかは適宜選択可能である。
【0030】
同図に示す様に、携帯端末1は、その内部に通話処理部10、位置特定処理部11、通信処理部12、GPSユニット13を有する。通話処理部10は、図示しないマイクロフォンおよびスピーカを用い、所定の通信回線を介して接続された他の端末と通話を行なう機能を実現する処理部であり、通話処理の開始時と通話処理の終了時に位置特定処理部11に通知する。
【0031】
GPSユニット13は、GPS人工衛星と通信し、現在の座標を算出して出力する処理部である。また,通信処理部12は、車載装置2と通信する処理部である。
【0032】
位置特定処理部11は、その内部にGPS座標情報取得部11a、位置判定部11b、車速情報取得部11cを有する。GPS座標情報取得部11aは、GPSユニット13から座標情報を取得する処理を行なう。また、車速情報取得部11cは、通信処理部12を介して車速装置2から車両の速度情報を取得する処理を行なう。
【0033】
位置判定部11bは、GPS座標情報取得部11aが取得した座標情報に対して車両の速度情報による補正をおこなって現在位置を判定し、位置情報として出力する。
【0034】
また、位置特定処理部11は、通話処理部10から通話開始の通知を受けた場合に、作業状態をメモリなどに退避させてサスペンド状態に移行し、その後、通話終了の通知を受けた場合に、メモリから作業状態を読み出すことでサスペンド状態から復帰する。
【0035】
そして、位置特定処理部11は、サスペンド状態に移行する前に、通信処理部12を介して車載装置2に速度情報送信抑止要求を送信することで、サスペンド中(すなわち通話中)の速度情報の送信を停止させる。また、サスペンド状態から復帰した際には、通信処理部12を介して車載装置2に抑止解除通知を送信する。
【0036】
この抑止解除通知を送信した後、車載装置1からサスペンド中に蓄積された速度情報が送られてくるので、位置判定部11bは、これの蓄積された速度情報を用いて現在位置の判定を行なう。
【0037】
車載装置2は、その内部に車速パルス取得部21、速度情報管理部22、通信処理部23、速度情報蓄積部24を有する。車速パルス取得部41は、車両から車速パルスを取得し、速度情報管理部22に出力する。車速パルスはその周波数が速度に比例する速度情報、速度が上昇するに従ってパルス間隔が短く(周波数が高く)なる。
【0038】
速度情報管理部22は、携帯端末1が通話処理中でない場合には、通信処理部23を介して速度情報を携帯端末に送信する。また、携帯端末1が通話処理中となった場合、すなわち、携帯端末1から速度情報送信抑止要求を受信した場合には、速度情報の送信を停止し、速度情報蓄積部24への蓄積を開始する。
【0039】
そして、携帯端末1が通話処理を終了した場合、すわなち、携帯端末1から抑止解除通知を受信した場合には、速度情報蓄積部24に蓄積していた速度情報を読み出して携帯端末1に送信し、以降取得した速度情報は通信処理部23を介して携帯端末に送信する。
【0040】
なお、車載装置2から携帯端末1に送信する速度情報は、車速パルスをそのまま送信しても良いが、携帯端末1側の通信負荷や処理負荷、消費電力を低減するよう、所定の加工を行なって送信するようにしても良い。
【0041】
続いて、図3のフローチャートを参照し、車載装置2の処理動作を説明する。同図に示す処理動作は、車載装置2のメイン処理として、もしくはその一部として繰り返し実行することが好適である。
【0042】
同図に示すように、車載装置2は、まず車速パルス取得部21によって車両から車速パルスを取得し、速度情報管理部22に出力する(ステップS101)。速度情報管理部22は、携帯端末1から速度情報の送信抑止を要求されているか否かを判定し(ステップS102)、抑止されていないならば(ステップS102,No)、通信処理部23を介して速度情報を携帯端末1に送信する(ステップS103)。
【0043】
一方、速度情報の送信抑止を要求されているならば(ステップS102,Yes)、速度情報管理部22は、速度情報を速度情報蓄積部24に蓄積する。(ステップS104)。
【0044】
その後、抑止解除通知を受信したか、すなわち速度情報の送信抑止が解除されたか否かを判定し(ステップS105)、解除されていなければ(ステップS105,No)、車速パルスの取得(ステップS106)と速度情報蓄積部24への蓄積(ステップS104)を繰り返す。
【0045】
一方、抑止解除通知を受信し、速度情報の送信抑止が解除されたならば(ステップS105,Yes)、速度情報管理部22は、速度情報蓄積部24に蓄積した速度情報を携帯端末1に送信し(ステップS106)、ステップS101に戻る。
【0046】
図4は、携帯端末1による位置特定処理のフローチャートである。この処理動作は、携帯端末1上で位置特定処理が起動された場合にスタートする。位置特定処理が起動すると、車速情報取得部11cが車載装置2から速度情報を取得し(ステップS201)、位置判定部11bは、GPS座標情報取得部11aが取得したGPS座標情報を速度情報で補正して現在位置を補正する処理を行なう(ステップS202)。
【0047】
さらに、位置特定処理部11は通話処理部10から通話割り込みが発生したか否かを判定する(ステップS203)。そして、通話割り込みが発生していなければ(ステップS203,No)、位置特定処理の終了要求があったかを判定する(ステップS204)。その結果、位置特定処理の終了要求があった場合(ステップS204,No)には処理を終了し、終了要求がなければ再度ステップS101に戻る。
【0048】
また、通話割り込みが発生した場合(ステップS203歩9、位置特定処理部11は、車載装置2に対して速度情報送信抑止要求を送信し、車載装置2による速度情報の送信を抑止した(ステップS205)うえで、サスペンド状態に移行する(ステップS206)。
【0049】
そして、通話割り込みが終了するまで待機し(ステップS207)、通話割り込みが終了した場合(ステップS207,Yes)にサスペンド状態から復帰し(ステップS208)、車載装置2に対して抑止解除通知を送信することで車載装置2による速度情報の送信抑止を解除する(ステップS209)。
【0050】
その後、車載装置2からサスペンド中に蓄積された速度情報が送信されてくるのでこれを受信し(ステップS210)、受信した速度情報を用いて位置特定処理を行なった(ステップS211)うえで、ステップS201に戻る。
【0051】
以上説明してきたように、本実施例にかかる携帯端末1および車載装置2は、通話が発生していない場合には車載装置2から携帯端末1に移動体の速度情報を送信して現在位置を特定する処理を行ない、携帯端末1が通話処理中である場合には、車載装置2に速度情報を蓄積しておき、通話が終了した後に蓄積された速度情報を携帯端末1に送信するので、携帯端末1で通話処理が発生してもその間の速度情報を失うことなく、位置補正を継続することが可能である。
【0052】
3.本発明の変形例
本実施例に示した構成および動作はあくまでも一例であり、本発明は適宜変形して実施することが可能である。ここでは、本発明の他の実施形態を図5〜図6を参照して説明する。
【0053】
図5は、位置の特定にマップマッチングを用いる場合の構成例である。同図では、携帯端末30は、その内部に位置特定処理部31を有し、位置特定処理部31はさらに地図情報取得部31a、マップマッチング処理部31b、車速情報取得部31cを有している。
【0054】
地図情報取得部31aは、携帯端末内から、もしくは車載装置2や図示しないセンタから地図情報を取得する処理を行なう。そして、マップマッチング処理部31bは、地図情報取得部31aが取得した地図情報と車速情報取得部11cが判定した車速情報から算出する移動距離とを用いてマップマッチングを行ない、現在位置を特定する。
【0055】
その他の構成および動作は、図2に示した携帯端末1と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。また、図2に示した構成と組み合わせ、GPSによる座標算出とマップマッチングとを共に使用する構成としても実施可能である。
【0056】
図6は、速度情報以外の情報を車載装置から取得する場合の構成例である。同図では、車載装置50は、その内部に車速パルス取得部21、通信処理部23、GPSユニット51、走行情報管理部52、走行情報蓄積部53、操舵情報取得部54、加速度センサ55、方位センサ56をさらに有する。
【0057】
GPSユニット51は、GPS人工衛星と通信し、現在の座標を算出して出力する。また、操舵情報取得部54はハンドルの操作状態などを取得し、加速度センサ55は車両にかかる加速度を、方位センサ56は車両の向きを、それぞれ取得して出力する。
【0058】
走行情報管理部52は、速度情報に加え、GPS座標情報、操舵情報、加速度情報、方位情報などを走行情報として管理する処理部であり、携帯端末40が通話処理中でなければ走行情報を携帯端末40に送信し、携帯端末40が通話処理中であれば走行情報を走行情報蓄積部53に蓄積する。
【0059】
従って、携帯端末40の位置特定処理部41では、GPS座標情報取得部41aがGPS座標情報を通信処理部12から取得する。また、位置判定部41bは、GPS座標情報、車速情報に加え、操舵情報、加速度情報、方位情報を用いて現在位置を判定する。
【0060】
このように、GPS座標情報を車載装置から取得すれば、GPS機能を持たない携帯端末であっても本発明を適用可能である。また、操舵情報などの情報をさらに取得して使用することで、位置捕捉の精度を向上することが出来る。
【0061】
なお、ここで、操舵情報、加速度情報、方位情報を利用する場合を例に説明を行なったが、このうちの一部のみを利用しても良いし、また他の情報を利用することも可能であることは言うまでもない。
【0062】
なお、携帯端末が通話処理に際してサスペンドする処理は、位置特定処理やナビゲーション処理に限る必要はなく、携帯端末が車載装置から通知される、車載装置が搭載されている移動体に関する情報を用いて行う処理であれば、どのようなプログラムを実行することにより携帯端末により実行される処理であっても構わない。
【0063】
例えば、タコメータに記録された情報を携帯端末を介してセンタへ送信する処理が考えられる。この場合には、非通話中は車載装置から定期的にタコメータの情報を携帯端末へ送信し、携帯端末は該情報を適宜加工してセンタへ送信し、また、通話中は車載装置でタコメータの情報を蓄積しておき、通話終了後に、車載装置から通話中に蓄積していたタコメータの情報をまとめて携帯電話へ送信し、携帯電話では、該タコメータの情報をまとめたものをセンタへ送信することができる。
【0064】
また、不経済運転や非安全運転をチェックするためなどに、ブレーキ操作や操舵情報などの運転記録を携帯端末を介してセンタへ送信する処理が考えられる。この場合には、車載端末が運転状況に関する情報を取得して経時的に記録し、非通話中は車載装置から定期的に運転記録情報を携帯端末へ送信し、携帯端末は該情報を適宜加工してセンタへ送信し、また、通話中は車載装置で運転記録情報を蓄積しておき、通話終了後に、車載装置から通話中に蓄積していた運転記録情報をまとめて携帯電話へ送信し、携帯電話では、該運転記録情報をまとめたものをセンタへ送信することができる。
【0065】
(付記1)通話機能を有する携帯端末上で動作する位置特定プログラムであって、
移動体に搭載された車載装置と通信して取得した前記移動体の速度情報を用いて現在位置を特定する位置特定ステップと、
前記通話機能による通話開始を検知した場合に速度情報の受信を停止する受信停止ステップと、
前記通話終了後に前記車載装置に蓄積されていた当該通話中の速度情報を取得する蓄積情報受信ステップと、
を含んだことを特徴とする位置特定プログラム。
【0066】
(付記2)前記受信停止ステップは、前記車載装置に対して速度情報送信抑止要求を送信し、前記蓄積情報受信ステップは、前記通話終了時に前記車載装置に対して抑止解除通知を送信することを特徴とする付記1に記載の位置特定プログラム。
【0067】
(付記3)前記受信停止ステップ後、サスペンド状態に移行し、該サスペンド状態からの復帰時に前記蓄積情報受信ステップを実行することを特徴とする付記1または2に記載の位置特定プログラム。
【0068】
(付記4)前記位置特定ステップは、GPSによって算出された座標情報に対して前記速度情報に基づく補正を行なって現在位置を特定することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の位置特定プログラム。
【0069】
(付記5)前記位置特定ステップは、地図情報と前記移動速度とを組み合わせて前記移動体の位置を特定することを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載の位置特定プログラム。
【0070】
(付記6)通話機能を有する携帯端末上で動作するプログラムであって、
移動体に搭載された車載装置と通信して取得した前記移動体に関する情報を用いて所定の処理を行うステップと、
前記通話機能による通話開始を検知した場合に前記移動体に関する情報の受信を停止する受信停止ステップと、
前記通話終了後に前記車載装置に蓄積されていた当該通話中の前記移動体に関する情報を取得する蓄積情報受信ステップと、
を含んだことを特徴とする位置特定プログラム。
【0071】
(付記7)移動体に搭載される車載装置上で動作するプログラムであって、
前記移動体に関する情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報を通話機能付きの携帯端末に送信する速度情報送信ステップと、
前記携帯端末が前記通話機能による通話処理を実行中である場合に、前記移動体に関する情報を蓄積する情報蓄積ステップと、
前記通話終了後に前記蓄積した移動体に関する情報を前記携帯端末に送信する蓄積情報送信ステップと、
を含んだことを特徴とする速度検知プログラム。
【0072】
(付記8)移動体に搭載される車載装置上で動作する速度検知プログラムであって、
前記移動体の速度情報を取得する速度情報取得ステップと、
前記速度情報を通話機能付きの携帯端末に送信する速度情報送信ステップと、
前記携帯端末が前記通話機能による通話処理を実行中である場合に、前記速度情報を蓄積する速度情報蓄積ステップと、
前記通話終了後に前記蓄積した速度情報を前記携帯端末に送信する蓄積情報送信ステップと、
を含んだことを特徴とする速度検知プログラム。
【0073】
(付記9)前記速度情報蓄積ステップは、前記携帯端末から速度情報送信抑止要求を受信した場合に前記速度情報の蓄積を開始し、前記蓄積情報送信ステップは、前記携帯端末から抑止解除通知を受信した場合に前記蓄積した情報を前記携帯端末に送信することを特徴とする付記8に記載の速度検知プログラム。
【0074】
(付記10)通話機能を有する携帯端末における位置特定方法であって、
移動体に搭載された車載装置と通信して取得した前記移動体の速度情報を用いて現在位置を特定する位置特定工程と、
前記通話機能による通話開始を検知した場合に速度情報の受信を停止する受信停止工程と、
前記通話終了後に前記車載装置に蓄積されていた当該通話中の速度情報を取得する蓄積情報受信工程と、
を含んだことを特徴とする位置特定方法。
【0075】
(付記11)前記受信停止工程は、前記車載装置に対して速度情報送信抑止要求を送信し、前記蓄積情報受信工程は、前記通話終了時に前記車載装置に対して抑止解除通知を送信することを特徴とする付記10に記載の位置特定方法。
【0076】
(付記12)前記受信停止工程の後、サスペンド状態に移行し、該サスペンド状態からの復帰時に前記蓄積情報受信工程を実行することを特徴とする付記10または11に記載の位置特定方法。
【0077】
(付記13)前記位置特定工程は、GPSによって算出された座標情報に対して前記速度情報に基づく補正を行なって現在位置を特定することを特徴とする付記10〜12のいずれか一つに記載の位置特定方法。
【0078】
(付記14)前記位置特定工程は、地図情報と前記移動速度とを組み合わせて前記移動体の位置を特定することを特徴とする付記10〜13のいずれか一つに記載の位置特定方法。
【0079】
(付記15)移動体に搭載される車載装置における速度検知方法であって、
前記移動体の速度情報を取得する速度情報取得工程と、
前記速度情報を通話機能付きの携帯端末に送信する速度情報送信工程と、
前記携帯端末が前記通話機能による通話処理を実行中である場合に、前記速度情報を蓄積する速度情報蓄積工程と、
前記通話終了後に前記蓄積した速度情報を前記携帯端末に送信する蓄積情報送信工程と、
を含んだことを特徴とする速度検知方法。
【0080】
(付記16)前記速度情報蓄積工程は、前記携帯端末から速度情報送信抑止要求を受信した場合に前記速度情報の蓄積を開始し、前記蓄積情報送信工程は、前記携帯端末から抑止解除通知を受信した場合に前記蓄積した情報を前記携帯端末に送信することを特徴とする付記15に記載の速度検知方法。
【0081】
(付記17)通話機能を有する携帯端末装置であって、
移動体に搭載された車載装置と通信し、前記移動体の速度情報を取得する通信手段と、
前記移動速度を用いて前記移動体の位置を特定する位置特定手段と、
を備え、
前記位置特定手段は、前記通話機能による通話開始を検知した場合に前記速度情報の取得を停止させ、通話終了後に前記車載装置に蓄積されていた当該通話中の速度情報を取得することを特徴とする携帯端末装置。
【0082】
(付記18)前記位置特定手段は、前記車載装置に対して速度情報送信抑止要求を送信して前記速度情報の取得を停止させ、前記通話終了時に前記車載装置に対して抑止解除通知を送信することを特徴とする付記17に記載の携帯端末装置。
【0083】
(付記19)前記位置特定手段は、前記速度情報の取得停止後にサスペンド状態に移行し、該サスペンド状態からの復帰時に前記車載装置に蓄積されていた速度情報を取得することを特徴とする付記17または18に記載の携帯端末装置。
【0084】
(付記20)前記位置特定手段は、GPSによって算出された座標情報に対して前記速度情報に基づく補正を行なって現在位置を特定することを特徴とする付記17〜19のいずれか一つに記載の携帯端末装置。
【0085】
(付記21)前記位置特定手段は、地図情報と前記移動速度とを組み合わせて現在位置を特定することを特徴とする付記17〜20のいずれか一つに記載の携帯端末装置。
【0086】
(付記22)移動体に搭載される車載装置であって、
前記移動体の速度情報を取得する速度情報取得手段と、
前記速度情報を通話機能付きの携帯端末に送信する速度情報送信手段と、
前記携帯端末が前記通話機能による通話処理を実行中である場合に、前記速度情報を蓄積する速度情報蓄積手段と、
を備えたことを特徴とする車載装置。
【0087】
(付記23)前記速度情報蓄積手段は、前記携帯端末から速度情報送信抑止要求を受信した場合に前記速度情報の蓄積を開始し、前記速度情報送信手段は、前記携帯端末から抑止解除通知を受信した場合に前記蓄積した情報を前記携帯端末に送信することを特徴とする付記22に記載の車載装置。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上のように、本発明にかかる位置特定プログラム、速度検知プログラム、携帯端末装置および車載装置は、車載端末装置と連携した携帯端末装置による位置捕捉に有用であり、特に携帯電話における車速を利用した位置捕捉処理に適している。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の概要について説明する説明図である。
【図2】本発明にかかる携帯端末および車載装置の概要構造を説明する概要説明図である。
【図3】図2に示した車載装置の処理動作を説明するフローチャートである。
【図4】図2に示した携帯端末の処理動作を説明するフローチャートである。
【図5】マップマッチングによる位置特定を行なう場合の構成例について説明する説明図である。
【図6】車速情報以外の情報を車載装置から取得する場合の構成例について説明する説明図である。
【符号の説明】
【0090】
1、30、40 携帯端末
2、50 車載装置
10 通話処理部
11 位置特定処理部
11a,41a GPS座標情報取得部
11b、41b 位置判定部
11c 車速情報取得部
12,23 通信処理部
13,51 GPSユニット
21 車速パルス取得部
22 速度情報管理部
24 速度情報蓄積部
31a 地図情報取得部
31b マップマッチング処理部
52 走行情報管理部
53 走行情報蓄積部
54 操舵情報取得部
55 加速度センサ
56 方位センサ
81a 速度情報加工要求部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話機能を有する携帯端末上で動作する位置特定プログラムであって、
移動体に搭載された車載装置と通信して取得した前記移動体の速度情報を用いて現在位置を特定する位置特定ステップと、
前記通話機能による通話開始を検知した場合に速度情報の受信を停止する受信停止ステップと、
前記通話終了後に前記車載装置に蓄積されていた当該通話中の速度情報を取得する蓄積情報受信ステップと、
を含んだことを特徴とする位置特定プログラム。
【請求項2】
前記受信停止ステップは、前記車載装置に対して速度情報送信抑止要求を送信し、前記蓄積情報受信ステップは、前記通話終了時に前記車載装置に対して抑止解除通知を送信することを特徴とする請求項1に記載の位置特定プログラム。
【請求項3】
通話機能を有する携帯端末上で動作するプログラムであって、
移動体に搭載された車載装置と通信して取得した前記移動体に関する情報を用いて所定の処理を行うステップと、
前記通話機能による通話開始を検知した場合に前記移動体に関する情報の受信を停止する受信停止ステップと、
前記通話終了後に前記車載装置に蓄積されていた当該通話中の前記移動体に関する情報を取得する蓄積情報受信ステップと、
を含んだことを特徴とする位置特定プログラム。
【請求項4】
移動体に搭載される車載装置上で動作するプログラムであって、
前記移動体に関する情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報を通話機能付きの携帯端末に送信する速度情報送信ステップと、
前記携帯端末が前記通話機能による通話処理を実行中である場合に、前記移動体に関する情報を蓄積する情報蓄積ステップと、
前記通話終了後に前記蓄積した移動体に関する情報を前記携帯端末に送信する蓄積情報送信ステップと、
を含んだことを特徴とする速度検知プログラム。
【請求項5】
移動体に搭載される車載装置上で動作する速度検知プログラムであって、
前記移動体の速度情報を取得する速度情報取得ステップと、
前記速度情報を通話機能付きの携帯端末に送信する速度情報送信ステップと、
前記携帯端末が前記通話機能による通話処理を実行中である場合に、前記速度情報を蓄積する速度情報蓄積ステップと、
前記通話終了後に前記蓄積した速度情報を前記携帯端末に送信する蓄積情報送信ステップと、
を含んだことを特徴とする速度検知プログラム。
【請求項6】
前記速度情報蓄積ステップは、前記携帯端末から速度情報送信抑止要求を受信した場合に前記速度情報の蓄積を開始し、前記蓄積情報送信ステップは、前記携帯端末から抑止解除通知を受信した場合に前記蓄積した情報を前記携帯端末に送信することを特徴とする請求項5に記載の速度検知プログラム。
【請求項7】
通話機能を有する携帯端末装置であって、
移動体に搭載された車載装置と通信し、前記移動体の速度情報を取得する通信手段と、
前記移動速度を用いて前記移動体の位置を特定する位置特定手段と、
を備え、
前記位置特定手段は、前記通話機能による通話開始を検知した場合に前記速度情報の取得を停止させ、通話終了後に前記車載装置に蓄積されていた当該通話中の速度情報を取得することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項8】
移動体に搭載される車載装置であって、
前記移動体の速度情報を取得する速度情報取得手段と、
前記速度情報を通話機能付きの携帯端末に送信する速度情報送信手段と
前記携帯端末が前記通話機能による通話処理を実行中である場合に、前記速度情報を蓄積する速度情報蓄積手段と、
を備えたことを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−190871(P2008−190871A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−22225(P2007−22225)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】