低表面張力流体を用いてパターン崩壊を防ぐシステム及び方法
【解決手段】低表面張力液体を用いてウエハを処理及び乾燥するシステムは、低表面張力液体の沸点よりも25℃低い温度以上の温度まで低表面張力液体を加熱することが可能な第1の熱源を備える低表面張力液体源と、加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する供給機構と、空気/液体界面領域に向けて配置される第2の熱源であって、低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで空気/液体界面領域を加熱可能な第2の熱源と、を備える。また、低表面張力液体を用いてウエハを処理する方法を記載する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハの洗浄、すすぎ及び乾燥に関し、特に、湿式すすぎ又は洗浄処理後に半導体ウエハを乾燥するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの臨界寸法は、デバイスの幅及び/又はデバイスの間隔において、2Xnm(すなわち、約20〜30nm)及び1Xnm(すなわち、約20nm未満)と縮小している。臨界寸法が小さくなるにつれて、高アスペクト比の(たとえば、幅に対する深さのアスペクト比が5:1より大きい)構造の湿式処理がますます難しくなる。構造が微細になると、表面状態を処理する及び/又は不要な残留物を除去するために必要なこのような構造の湿式処理により損傷が生じる可能性が高くなる。このような損傷としては、洗浄及びすすぎ、メガソニック、ジェット流及びその他の粒子状物質除去手法で必要な流れ場からの力による機械的な損傷が考えられる。このような損傷は、小さな線形形状を有する低密度のパターン上で生じる場合が多く、線形構造の破壊や線形構造の一部喪失等の形で現れる。
【0003】
図1に、線形構造106の一部が分離した損傷の例を示す。線形構造106は、半導体ウエハ101の表面105上に立設されている。線形構造106の部分102及び104は、線形構造106から分離している。この結果、線形構造106は不完全となり、ギャップ107が生じる。このような部分102及び104は、すすぎ流体を噴霧するスプレージェット、ウエハの表面全体にわたって流れる液体、又は、トランスデューサや他のエネルギー源から液体または半導体ウエハ101に印加されるメガソニックエネルギー等、比較的小さな力で、線形構造106から分離する。
【0004】
図2Aは、狭い間隔で配置される線形構造202〜212の理想的なクラスタ200が乾燥時の表面張力による損傷の影響を受ける様子を例示する断面図である。図2Bは、狭い間隔で配置される線形構造202〜212の理想的なクラスタ200が乾燥時の表面張力による損傷の影響を受ける様子を例示する平面図である。線形構造202〜212は、乾燥時に、乾燥液の表面張力により損傷を受ける。この結果、線形構造202〜212は、上部で2つ以上が互いに接触する。線形構造202〜212は、高さHが幅Wの約5倍より大きな高アスペクト比の線形構造である。線形構造202〜212は、各線形構造間に間隔214〜222を有する。間隔214〜222は、線形構造202〜212の幅Wにほぼ等しい幅を有する。
【0005】
図2Bに、狭い間隔で配置される線形構造202〜212の理想的なクラスタ200の損傷例を示す。図示するように、線形構造対202と204、206と208及び210と212が各々くっつけられるため、それぞれの間の間隔214、218及び222は押しつぶされて、ゼロに近い幅となる。間隔の幅がゼロということは、線形構造が接続されていることを意味し、以降の処理やこの上に形成される構造に重大な欠陥や誤差が生じる原因となる。
【0006】
一方で、間隔216及び220は広がって、所望の幅の2倍に近い幅となる。間隔の幅が大きすぎるということは、線形構造が互いに離れ過ぎることを意味し、この場合も、以降の処理やこの上に形成される構造に重大な欠陥や誤差が生じる原因となる。
【0007】
図2Cは、狭い間隔で配置される線形構造252〜264の理想的なクラスタ250を示す斜視図である。表面張力に関係する力により、乾燥時に損傷が生じる場合がある。高アスペクト比の線形構造252〜264間に堆積した液体により、互いに線形構造を引っ張る横方向の力F1及びF2が生じる。
【0008】
対向する線形構造の2つの表面間の間隔が臨界値に達すると、多数の界面張力により表面が互いに付着する場合がある。互いにくっついた構造要素の上部の様子を図2Cに示すように、通常、高密度で高アスペクト比の構造にこのような損傷が生じる場合がある。
【0009】
図2Cは、各線形構造252〜264の間の間隔274〜284における液体の親水性の凹表面を示す。湾曲した界面を隔てた圧力差は以下のラプラス方程式で与えられる。
【数1】
ここで、γは表面張力であり、Rは液体表面の曲率半径である。
【0010】
液体表面の曲率半径Rは以下の式で与えられる。
【数2】
ここで、θは接触角度である。
【0011】
構造要素のパターン上の作用する力は、
F1:蒸発速度の変化により、メニスカスの高さを変化させる力と、
F2:線形構造の間隔の変化により、曲率半径を変化させる力と、
を含む。
【0012】
力F1は、各線形構造256、258を共に引っ張る力である。同様に、力F2は、線形構造258、260を互いに離れる方向に押す力である。力F1及びF2により、前述した図1、図2A及び図2Bに示すような損傷が生じる場合がある。
【0013】
以上を考慮して、線形構造に接触する液体の表面張力を低下させるシステムと方法が求められている。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、低表面張力液体を用いてウエハを処理するシステム及び方法を提供することにより、このような目的を達成する。本発明は、方法、装置、システム、コンピュータ読み取り可能な媒体又はデバイス等、様々な態様で実施可能である。本発明のいくつかの態様を以下に記載する。
【0015】
一つの態様は、低表面張力液体を用いてウエハを処理及び乾燥するシステムであって、低表面張力液体の沸点よりも25℃低い温度以上の温度まで低表面張力液体を加熱することが可能な第1の熱源を備える低表面張力液体源と、加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する供給機構と、空気/液体界面領域に向けて配置される第2の熱源であって、低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで空気/液体界面領域を加熱可能な第2の熱源と、を備える。
【0016】
空気/液体界面領域は、ウエハの表面上にあるものでもよい。上記システムが、さらに、ウエハの表面全体にわたって空気/液体界面領域を移動させるアクチュエータを備えるものでもよい。第2の熱源は、ウエハの正面及び裏面の少なくとも一方に向けて配置されるものでもよい。第2の熱源が、ウエハの正面に向けて配置される正面熱源と、ウエハの裏面に向けて配置される裏側熱源と、を備えるものでもよい。
【0017】
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する供給機構が、所定量の加熱された低表面張力液体を収容する容器を備え、空気/液体界面領域が所定量の加熱された低表面張力液体の表面に近接するものでもよい。
【0018】
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する供給機構が、ウエハの表面に加熱された低表面張力液体を噴霧するように、空気/液体界面領域に向けて配置されるノズルを備えるものでもよい。
【0019】
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する供給機構が、近接ヘッド表面とウエハの表面との間にメニスカスを形成する近接ヘッドを備え、空気/液体界面領域がメニスカスのトレーリングエッジ(後縁)であるものでもよい。
【0020】
別の態様は、低表面張力液体を用いて表面をすすぐ方法であって、低表面張力液体の沸点よりも25℃低い温度以上の温度まで低表面張力液体を加熱する工程と、加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する工程と、低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで空気/液体界面領域を加熱する工程と、を備える。
【0021】
空気/液体界面領域がウエハの表面上にあるものでもよい。上記方法が、さらに、ウエハの表面全体にわたって空気/液体界面領域を移動させる工程を備えるものでもよい。低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで空気/液体界面領域を加熱する工程が、ウエハの正面と裏面の少なくとも一方を加熱する工程を備えるものでもよい。低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで空気/液体界面領域を加熱する工程が、ウエハの正面と裏面とを加熱する工程を備えるものでもよい。
【0022】
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する工程が、所定量の加熱された低表面張力液体を収容する容器内にウエハを浸漬させる工程を備え、空気/液体界面領域が所定量の加熱された低表面張力液体の表面に近接するものでもよい。
【0023】
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する工程が、空気/液体界面領域に向けて配置されるノズルを用いて、ウエハの表面に加熱された低表面張力液体を噴霧する工程を備えるものでもよい。
【0024】
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する工程が、近接ヘッド表面とウエハの表面との間にメニスカスを形成する工程を備え、空気/液体界面領域がメニスカスのトレーリングエッジであるものでもよい。
【0025】
さらに別の態様は、低表面張力液体を用いてウエハを処理及び乾燥するシステムであって、低表面張力液体の沸点よりも25℃低い温度以上の温度まで低表面張力液体を加熱することが可能な第1の熱源を備える低表面張力液体源と、加熱された低表面張力液体をウエハの表面上にある空気/液体界面領域に供給する供給機構と、空気/液体界面領域に向けて配置される第2の熱源であって、低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで空気/液体界面領域を加熱可能であり、ウエハの正面及び裏面の少なくとも一方に向けて配置される第2の熱源と、ウエハの表面全体にわたって空気/液体界面領域を移動可能なアクチュエータと、を備える。
【0026】
本発明の他の態様及び効果は、本発明の原理を例示する添付の図面を参照した以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0027】
本発明の理解を助けるために、以下、添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】線形構造の一部が分離した損傷の例を示す図。
【0029】
【図2A】狭い間隔で配置される線形構造の理想的なクラスタが乾燥時の表面張力による損傷の影響を受ける様子を例示する断面図。
【0030】
【図2B】狭い間隔で配置される線形構造の理想的なクラスタが乾燥時の表面張力による損傷の影響を受ける様子を例示する平面図。
【0031】
【図2C】狭い間隔で配置される線形構造の理想的なクラスタを示す斜視図。
【0032】
【図3】本発明の実施形態において、力F1及びF2により線形構造が曲げられる様子を示す図。
【0033】
【図4A】本発明の一実施形態における低表面張力液体洗浄システムを示す図。
【図4B】本発明の一実施形態における低表面張力液体洗浄システムを示す図。
【0034】
【図5】本発明の一実施形態において、低表面張力洗浄流体からウエハを引き出す際に実施される処理方法を示すフローチャート。
【0035】
【図6A】本発明の一実施形態における低表面張力乾燥/洗浄流体ノズルシステムを示す図。
【0036】
【図6B】本発明の一実施形態において、ノズルを用いてウエハの乾燥/洗浄を実施する処理方法を示すフローチャート。
【0037】
【図7A】本発明の一実施形態における低表面張力乾燥/洗浄流体近接ヘッドシステムを示す図。
【0038】
【図7B】本発明の一実施形態において、近接ヘッドを用いてウエハの乾燥/洗浄を実施する処理方法を示すフローチャート。
【0039】
【図8】本発明の一実施形態における1つ又は複数の低表面張力乾燥/洗浄流体システムを備える集積システムを示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
低表面張力流体洗浄及びすすぎシステム、方法及び装置のいくつかの実施形態を以下で説明する。当業者には自明のことであるが、本明細書に記載する所定の詳細の一部又は全てを省略しても本発明は実施可能である。
【0041】
図3に、本発明の実施形態において、力F1及びF2により線形構造208及び210が曲げられる様子を示す。線形構造208及び210は、基板101に一方の端部208A及び210Aが固定されて、他方の端部が自由端であるカンチレバー構造として構成される。表面張力F1及びF2は、点線208’及び210’に示すように、一方の線形構造208を他方の線形構造210に向けて内側にたわませる。
【0042】
線形構造208及び210の横方向たわみ値又は横揺れ値δ1及びδ2が構造要素間の距離Dの半分よりも大きい場合に、パターン崩壊が生じる。
【0043】
構造要素上に作用する力は、均一な圧力負荷でもよいし、及び/又は、自由端における単一の引っ張り力でもよい。均一な圧力負荷に対する線形構造208及び210の横方向たわみ値δ1及びδ2は、以下の式で求めることができる。
【数3】
ここで、Eはヤング率であり、Aはアスペクト比(=H(高さ)/W(幅))である。
【0044】
乾燥時のパターン崩壊の問題は、2Xデバイスノードやより小型(たとえば、1X)のデバイスでは、大きな障害となっている。乾燥する溶液の物性に加えて、デバイス(たとえば、線形構造)の寸法及び剛性に応じて、パターン崩壊を避けられない基本的な限界が生じる。
【0045】
STI後のエッチングやSTI後のハードマスクオープン型洗浄等の場合に、乾燥時のパターン崩壊が大きな問題となることも多く、残留物及び汚染物質除去に最も一般的な湿式洗浄手法を用いることができない。しかし、湿式洗浄なしでは、大きな収率損失につながる。このため、超臨界CO2法など、より複雑で費用のかかる手法が用いられている。このような手法は、コストがかかるのみでなく、処理自体もより難しい。
【0046】
低表面張力液体
乾燥時のパターン崩壊を最小限に抑え、実質的になくす1つの方法は、低表面張力液体を用いることである。この液体を加熱すれば、さらに、乾燥時のパターン崩壊をなくすのに役立つ。この際、1つ又は複数の赤外線(IR)ランプを用いて加熱するようにしてもよい。
【0047】
縦型容器等を用いて低表面張力流体内にウエハを浸漬させることにより、ウエハ上に低表面張力流体を堆積させるようにしてもよい。あるいは、ノズル、エアブラシ等を用いて、又は、メニスカスを形成する近接ヘッドに低表面張力流体を流すことにより、実質的に水平に配置させたウエハに流体薄膜を堆積させるようにしてもよい。またあるいは、ノズル、エアブラシ等を用いて、実質的に鉛直方向に配置させたウエハに流体薄膜を堆積させるようにしてもよい。
【0048】
低表面張力流体又は液体を液体の沸点近くの温度まで急速に加熱すると共に、線形構造間から液体が蒸発する前に沸点より高い温度にウエハを加熱する。赤外線(IR)ランプ等を用いて放射加熱するようにしてもよい。あるいは、低表面張力流体を収容する容器に、追加の熱源を備えるようにしてもよい。
【0049】
低表面張力液体及び流体の例としては、以下に限定されるものではないが、イソプロピルアルコール(IPA)、部分的にフッ素化させたエーテル(スリーエム(3M)株式会社製のHFE7100、HFE7200等)又は完全にフッ素化させたエーテル(スリーエム(3M)株式会社製のFC−84、FC72等)が挙げられる。いくつかの液体の相対表面張力を以下に示す。
DIW(脱イオン水) 25℃でγ=72ダイン/cm
IPA 25℃でγ=22ダイン/cm
HFE7100 25℃でγ=14ダイン/cm
【0050】
表面張力が25℃で約γ=22ダイン/cm未満の任意の洗浄流体を用いることも可能である。
【0051】
熱源として好適な例として、ヘレウス株式会社製のカーボンエミッタ(中波IR)ランプが挙げられる。ランプ出力は、1700mmの長さに対して1200Wである(7ワット/mm)。サンプル表面における光密度は、約14W/cm2である。最大出力波長は2.5μmである。他の適当な熱源を用いるようにしてもよい。
【0052】
図4A及び図4Bに、本発明の一実施形態における低表面張力液体洗浄システム400を示す。図5に、本発明の一実施形態において、低表面張力洗浄流体からウエハ101を引き出す際に実施される処理方法500のフローチャートを示す。ここで示す処理工程は例示に過ぎず、ステップの一部を別のステップに置き換えることも可能であり、また、一部のステップを省略することも可能である。以下、これを念頭において、処理方法480を説明する。
【0053】
低表面張力液体洗浄システム400は、低表面張力流体414を収容する容器412と、ステップ502で容器に対して実質的に鉛直方向に配置されるウエハ101と、を備える。後述するように、ウエハ101は、低表面張力流体414の表面において、液体/空気界面416を通って、実質的に鉛直方向に、すなわち、方向404A及び404Bに移動可能である。アクチュエータ402は、ウエハ101を、液体/空気界面416(すなわち、ウエハが流体に入る又は流体から離れる領域/線)を通して方向404A及び404Bに移動させることができる。
【0054】
ステップ504で、容器内の低表面張力流体414を沸点近くの温度まで加熱する。たとえば、容器内の流体414の少なくとも上部が沸点よりも5〜10度低い温度以上になるように、低表面張力流体414を加熱する。たとえば、HFE7100を用いる場合、HFE7100の沸点は61℃であり、容器412内の流体の上部414Aは、液体の状態を保つ約50〜55℃に加熱される。
【0055】
ステップ506で、1つ又は複数の熱源410、410’により、実質的に界面領域416において、基板の表面101A、101B及び流体の上面414Bに熱410Aを加える。熱源410、410’は、流体414により吸収される放射周波数及び波長を備えるランプでもよい。
【0056】
ステップ508で、流体414の表面414Bを流体の沸点まで又は沸点近くまで加熱する。流体の表面414Bを激しく沸騰させるようにしてもよい。
【0057】
ステップ510で、図4Bに示すように、流体414内にウエハ101を挿入する。ウエハ101が容器412内に入る際に、ウエハが先の洗浄/すすぎ工程で濡れている場合には、先の洗浄/すすぎ工程によりウエハ上に残った液体が低表面張力流体414と混和される。
【0058】
ステップ512で、約0.5〜10mm/秒の速度で、方向404Aに、ウエハ101を乾湿界面領域416を通して引き出す。したがって、ステップ512で、乾湿界面416を通って、流体の表面414Bからウエハ101が引き出される。
【0059】
ウエハ101の第1の部分が乾湿界面416を通過する際に、ステップ514で、ウエハ表面101A、101Bの第1の部分が流体の沸点よりも有意に高い温度まで(たとえば、沸点よりも少なくとも2度高い温度まで、HFE7100の場合には51℃よりも高い温度まで)加熱される。ステップ516で、洗浄流体414の表面414Bからウエハ101の第1の部分が引き出されてから約0〜約3秒の間、流体414は沸点温度を維持する。その後、処理工程を終了する。
【0060】
熱源410、410’を、ウエハ101の正面側101A(すなわち、構造要素及びデバイスが形成される側)に向けるようにしてもよいし、裏側101B(すなわち、正面側の反対側)に向けるようにしてもよいし、あるいは、両方の側に向けるようにしてもよい。熱源410、410’を、流体とウエハ101の表面との界面416及び液体414の一部に直接向けて、界面416に近接する液体を加熱するようにしてもよい。また、熱源410、410’の一方又は両方を、界面416の上方及び/又は下方に伸長するウエハ101の一部に向けるようにしてもよい。
【0061】
図6Aに、本発明の一実施形態における低表面張力乾燥/洗浄流体ノズルシステム600を示す。図6Bに、本発明の一実施例において、ノズルを用いてウエハ101を乾燥/洗浄を実施する処理方法650のフローチャートを示す。ここで示す処理工程は例示に過ぎず、ステップの一部を別のステップに置き換えることも可能であり、また、一部のステップを省略することも可能である。以下、これを念頭において、処理方法650を説明する。
【0062】
低表面張力乾燥/洗浄流体ノズルシステム600は、ノズル602を備える。ウエハ101は、方向604に回転可能である。ウエハ101は、水平方向に配置するようにしてもよいし、鉛直方向に配置するようにしてもよいし、あるいは、これらを組み合わせた配置でもよい。
【0063】
ステップ652で、ウエハを方向604に回転させる。ステップ654で、上述したステップ504と同様に、液体をその沸点近くまで加熱する。液体をウエハ上に塗布又は噴霧する前に液体を加熱する。容器等の液体源又はその他の液体供給源内で液体を加熱するようにしてもよい。
【0064】
ステップ656で、熱源410により、ウエハ表面の第1の部分620を液体の沸点よりも高い温度まで加熱する。ステップ658で、加熱された液体414を、加熱された部分620近傍のウエハ101の第2の部分表面616上に塗布又は噴霧する。
【0065】
ステップ660で、第1の部分620内にくるように第2の部分表面616を回転させて、ウエハ101の表面から液体414を沸騰除去する。ウエハの全表面のすすぎ/洗浄が完了するまで上述の処理工程を繰り返した後、処理工程を終了する。表面の第1の部分620及び第2の部分616の位置は、所望の位置に移動又は選択可能である。低表面張力流体を用いる場合、ウエハ表面上で低表面張力流体が堆積する位置又はそのすぐ後の位置において、ウエハ101の片側又は両側に対して熱源を向けるようにしてもよい。
【0066】
図7Aに、本発明の一実施形態における低表面張力乾燥/洗浄流体近接ヘッドシステム700を示す。図7Bに、本発明の一実施形態において、近接ヘッドを用いてウエハ101の乾燥/洗浄を実施する処理方向750のフローチャートを示す。ここで示す処理工程は例示に過ぎず、ステップの一部を別のステップに置き換えることも可能であり、また、一部のステップを省略することも可能である。以下、これを念頭において、処理方法750を説明する。
【0067】
低表面張力乾燥/洗浄流体近接ヘッドシステム700は、1つ又は複数の近接ヘッド702を備える。近接ヘッド702は、近接ヘッド表面702Aとウエハ101の片面又は両面101A、101Bとの間に、1つ又は複数の液体メニスカス706を形成可能である。ウエハ101は、任意の方向(たとえば、鉛直方向、水平方向又はその組み合わせ)に配置可能である。メニスカス706のトレーリングエッジ726の位置又はそのごく近傍の位置において、ウエハ101の片面又は両面101A、101Bに対して熱源410を向ける。ここで、トレーリングエッジ726は、ウエハ101の表面101Aに対して方向704に近接ヘッド702を移動させる際にウエハの表面101Aから離れるメニスカス706の端部を意味する。近接ヘッド702が、低表面張力乾燥/洗浄流体を加熱するためのヒーター部722を備えるものでもよい。あるいは、上述したように、低表面張力乾燥/洗浄流体を、流体源又は容器内等、近接ヘッド702の外部から加熱するようにしてもよい。
【0068】
ステップ752で、ウエハ101を所定の位置に配置する。ステップ754で、ウエハ101の表面101Aに対して、近接ヘッド702を所定の位置に配置する。
【0069】
ステップ756で、低表面張力乾燥/洗浄流体を沸点近くまで加熱する。低表面張力乾燥/洗浄流体を、近接ヘッド702の内部から加熱してもよいし、外部から加熱してもよい。
【0070】
ステップ758で、加熱された低表面張力乾燥/洗浄流体を近接ヘッド表面702Aとウエハ表面101Aとの間の空間に注入してメニスカス706を形成させる。ステップ760で、減圧にして、メニスカス706のトレーリングエッジ726から流体を吸引する。ステップ762で、メニスカス706のトレーリングエッジ726に近接するウエハ表面101Aの第1の部分に熱410Aを加えて、液体の沸点よりも高い温度まで加熱する。たとえば、DIWの場合、約70℃よりも高く、沸点(たとえば、100℃)よりも低い温度までDIWを加熱するようにしてもよい。一実施形態において、DIWを約90℃まで加熱する。温度上昇に伴う表面張力の低下は比較的小さい(たとえば、DIWの場合、25℃で約72ダイン/cmから75℃で約64ダイン/cmに低下する。また、IPAの場合、25℃で約22ダイン/cmから75℃で約17ダイン/cmに低下する)。表面張力の低下がそれほど大きくない一方で、DIWの加熱(たとえば、約70℃より高い温度)により蒸発速度が上昇するため、実質的にパターン損傷が抑制される。
【0071】
ステップ764で、メニスカス706をウエハ101の表面101A全体にわたって移動させて、ウエハ表面の洗浄、すすぎ、又は乾燥を行なう。近接ヘッド702に対して横方向に又は回転方向にウエハ101を移動させて、ウエハの表面101A全体を処理し、処理完了後に処理工程を終了する。
【0072】
図8に、本発明の一実施形態における1つ又は複数の低表面張力乾燥/洗浄流体システム400、600、700を備える集積システム800のブロック図を示す。集積システム800は、1つ又は複数の低表面張力乾燥/洗浄流体システム400、600、700と、低表面張力乾燥/洗浄流体システムを連結させる集積システム制御部810と、を備える。集積システム制御部810は、ユーザインターフェース814を含む、又は、(有線ネットワーク又は無線ネットワーク812を介して)ユーザインターフェース814に接続される。ユーザインターフェース814は、ユーザ読み取り可能な出力及び表示を与えると共に、ユーザ入力を受信して、集積システム制御部810へのユーザアクセスを可能にする。
【0073】
集積システム制御部810は、専用コンピュータを備えるものでもよいし、汎用コンピュータを備えるものでもよい。集積システム制御部810は、コンピュータプログラム及び/又は論理816を実行して、システム400、600、700用のデータ818(たとえば、性能履歴、性能又は不具合の解析、オペレータログ及び履歴等)をモニタ、制御、収集及び格納することができる。たとえば、集めたデータが動作調整を必要とするものであれば、集積システム制御部810は、システム400、600、700及び/又はシステム内の構成要素の動作を調整することができる(たとえば、温度、流速、圧力、位置、動き、ウエハ101の出し入れ等)。
【0074】
別の実施形態において、残留物及び汚染物質の除去を目的として、ウエハを実質的に湿式の洗浄薬剤にさらす。この際、残留物の除去を効果的に行なうために十分な時間だけウエハを洗浄薬剤にさらす。残留物及び汚染物質除去用薬剤の例としては、以下のものに限定されないが、HF、SC1、SC2DSP溶剤が挙げられる。脱イオン水(DIW)を用いて、残留物及び汚染物質除去用薬剤をウエハからすすぎ落とす。DIW及び残った薬剤を低表面張力流体に置換する。低表面張力流体により、ウエハ表面を乾燥させる。1つの実施形態において、低表面張力液体とDIWとは必ずしも混和可能ではないため、その場合には中間薬剤を用いて、有効な置換を行なうようにしてもよい。置換後に、上述したようにウエハを乾燥させる。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、コンピュータシステム内でのデータの格納等、本発明の様々な作業をコンピュータが実施するようにしてもよい。このような作業は、物理量の物理的処理を必要とするものである。必ずというわけではないが、多くの場合、このような物理量は、電気信号又は磁気信号の形態を取り、格納、転送、結合、比較及びその他の処理が可能である。また、実施される処理としては、たとえば、生成、同定、決定又は比較等が挙げられる。
【0076】
本発明を、コンピュータ読み取り可能な媒体及び/又は論理回路上で、コンピュータ読み取り可能なコードとして実現するようにしてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータシステムにより後で読み取ることが可能な形態でデータを格納できる任意のデータ記憶装置である。コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、ハードディスクドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD、フラッシュメモリ、磁気テープ及びその他の光学的及び非光学的記憶装置が挙げられる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、ネットワーク接続コンピュータシステムに分散可能なものでもよく、この場合には、コンピュータ読み取り可能なコードは分散して格納及び実行される。
【0077】
本発明の一部を形成する上述した処理は、いずれも、機械操作で実行可能である。本発明は、また、このような処理を実行するデバイスまたは装置として実施可能である。装置は、所定の目的のために専用に構成されるものでもよいし、汎用のコンピュータをコンピュータ内に格納されるコンピュータプログラムにより選択的に起動または構成するものでもよい。様々な汎用機械を本明細書の記載に従って書かれたコンピュータプログラムと共に用いるようにしてもよい。あるいは、場合によっては、所定の処理を実行するための専用装置として構成することが望ましい。
【0078】
さらに、上述した処理工程における各ステップは、必ずしも図示した順序で実施することが必要であるとは限らない。また、処理工程で示したすべてのステップが必ずしも本発明の実施に必要であるとは限らない。さらに、上述した処理工程における処理を、RAM、ROM又はハードディスクドライブの任意のいずれか又はその組み合わせに格納されたソフトウェアで実施するようにしてもよい。
【0079】
以上、理解を助けるために本発明を実施形態に基づいて詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲内で様々な変形及び変更が可能である。したがって、上述の実施形態は例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。本発明は、上述の詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲内及びその等価物の範囲内で変更可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハの洗浄、すすぎ及び乾燥に関し、特に、湿式すすぎ又は洗浄処理後に半導体ウエハを乾燥するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの臨界寸法は、デバイスの幅及び/又はデバイスの間隔において、2Xnm(すなわち、約20〜30nm)及び1Xnm(すなわち、約20nm未満)と縮小している。臨界寸法が小さくなるにつれて、高アスペクト比の(たとえば、幅に対する深さのアスペクト比が5:1より大きい)構造の湿式処理がますます難しくなる。構造が微細になると、表面状態を処理する及び/又は不要な残留物を除去するために必要なこのような構造の湿式処理により損傷が生じる可能性が高くなる。このような損傷としては、洗浄及びすすぎ、メガソニック、ジェット流及びその他の粒子状物質除去手法で必要な流れ場からの力による機械的な損傷が考えられる。このような損傷は、小さな線形形状を有する低密度のパターン上で生じる場合が多く、線形構造の破壊や線形構造の一部喪失等の形で現れる。
【0003】
図1に、線形構造106の一部が分離した損傷の例を示す。線形構造106は、半導体ウエハ101の表面105上に立設されている。線形構造106の部分102及び104は、線形構造106から分離している。この結果、線形構造106は不完全となり、ギャップ107が生じる。このような部分102及び104は、すすぎ流体を噴霧するスプレージェット、ウエハの表面全体にわたって流れる液体、又は、トランスデューサや他のエネルギー源から液体または半導体ウエハ101に印加されるメガソニックエネルギー等、比較的小さな力で、線形構造106から分離する。
【0004】
図2Aは、狭い間隔で配置される線形構造202〜212の理想的なクラスタ200が乾燥時の表面張力による損傷の影響を受ける様子を例示する断面図である。図2Bは、狭い間隔で配置される線形構造202〜212の理想的なクラスタ200が乾燥時の表面張力による損傷の影響を受ける様子を例示する平面図である。線形構造202〜212は、乾燥時に、乾燥液の表面張力により損傷を受ける。この結果、線形構造202〜212は、上部で2つ以上が互いに接触する。線形構造202〜212は、高さHが幅Wの約5倍より大きな高アスペクト比の線形構造である。線形構造202〜212は、各線形構造間に間隔214〜222を有する。間隔214〜222は、線形構造202〜212の幅Wにほぼ等しい幅を有する。
【0005】
図2Bに、狭い間隔で配置される線形構造202〜212の理想的なクラスタ200の損傷例を示す。図示するように、線形構造対202と204、206と208及び210と212が各々くっつけられるため、それぞれの間の間隔214、218及び222は押しつぶされて、ゼロに近い幅となる。間隔の幅がゼロということは、線形構造が接続されていることを意味し、以降の処理やこの上に形成される構造に重大な欠陥や誤差が生じる原因となる。
【0006】
一方で、間隔216及び220は広がって、所望の幅の2倍に近い幅となる。間隔の幅が大きすぎるということは、線形構造が互いに離れ過ぎることを意味し、この場合も、以降の処理やこの上に形成される構造に重大な欠陥や誤差が生じる原因となる。
【0007】
図2Cは、狭い間隔で配置される線形構造252〜264の理想的なクラスタ250を示す斜視図である。表面張力に関係する力により、乾燥時に損傷が生じる場合がある。高アスペクト比の線形構造252〜264間に堆積した液体により、互いに線形構造を引っ張る横方向の力F1及びF2が生じる。
【0008】
対向する線形構造の2つの表面間の間隔が臨界値に達すると、多数の界面張力により表面が互いに付着する場合がある。互いにくっついた構造要素の上部の様子を図2Cに示すように、通常、高密度で高アスペクト比の構造にこのような損傷が生じる場合がある。
【0009】
図2Cは、各線形構造252〜264の間の間隔274〜284における液体の親水性の凹表面を示す。湾曲した界面を隔てた圧力差は以下のラプラス方程式で与えられる。
【数1】
ここで、γは表面張力であり、Rは液体表面の曲率半径である。
【0010】
液体表面の曲率半径Rは以下の式で与えられる。
【数2】
ここで、θは接触角度である。
【0011】
構造要素のパターン上の作用する力は、
F1:蒸発速度の変化により、メニスカスの高さを変化させる力と、
F2:線形構造の間隔の変化により、曲率半径を変化させる力と、
を含む。
【0012】
力F1は、各線形構造256、258を共に引っ張る力である。同様に、力F2は、線形構造258、260を互いに離れる方向に押す力である。力F1及びF2により、前述した図1、図2A及び図2Bに示すような損傷が生じる場合がある。
【0013】
以上を考慮して、線形構造に接触する液体の表面張力を低下させるシステムと方法が求められている。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、低表面張力液体を用いてウエハを処理するシステム及び方法を提供することにより、このような目的を達成する。本発明は、方法、装置、システム、コンピュータ読み取り可能な媒体又はデバイス等、様々な態様で実施可能である。本発明のいくつかの態様を以下に記載する。
【0015】
一つの態様は、低表面張力液体を用いてウエハを処理及び乾燥するシステムであって、低表面張力液体の沸点よりも25℃低い温度以上の温度まで低表面張力液体を加熱することが可能な第1の熱源を備える低表面張力液体源と、加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する供給機構と、空気/液体界面領域に向けて配置される第2の熱源であって、低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで空気/液体界面領域を加熱可能な第2の熱源と、を備える。
【0016】
空気/液体界面領域は、ウエハの表面上にあるものでもよい。上記システムが、さらに、ウエハの表面全体にわたって空気/液体界面領域を移動させるアクチュエータを備えるものでもよい。第2の熱源は、ウエハの正面及び裏面の少なくとも一方に向けて配置されるものでもよい。第2の熱源が、ウエハの正面に向けて配置される正面熱源と、ウエハの裏面に向けて配置される裏側熱源と、を備えるものでもよい。
【0017】
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する供給機構が、所定量の加熱された低表面張力液体を収容する容器を備え、空気/液体界面領域が所定量の加熱された低表面張力液体の表面に近接するものでもよい。
【0018】
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する供給機構が、ウエハの表面に加熱された低表面張力液体を噴霧するように、空気/液体界面領域に向けて配置されるノズルを備えるものでもよい。
【0019】
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する供給機構が、近接ヘッド表面とウエハの表面との間にメニスカスを形成する近接ヘッドを備え、空気/液体界面領域がメニスカスのトレーリングエッジ(後縁)であるものでもよい。
【0020】
別の態様は、低表面張力液体を用いて表面をすすぐ方法であって、低表面張力液体の沸点よりも25℃低い温度以上の温度まで低表面張力液体を加熱する工程と、加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する工程と、低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで空気/液体界面領域を加熱する工程と、を備える。
【0021】
空気/液体界面領域がウエハの表面上にあるものでもよい。上記方法が、さらに、ウエハの表面全体にわたって空気/液体界面領域を移動させる工程を備えるものでもよい。低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで空気/液体界面領域を加熱する工程が、ウエハの正面と裏面の少なくとも一方を加熱する工程を備えるものでもよい。低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで空気/液体界面領域を加熱する工程が、ウエハの正面と裏面とを加熱する工程を備えるものでもよい。
【0022】
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する工程が、所定量の加熱された低表面張力液体を収容する容器内にウエハを浸漬させる工程を備え、空気/液体界面領域が所定量の加熱された低表面張力液体の表面に近接するものでもよい。
【0023】
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する工程が、空気/液体界面領域に向けて配置されるノズルを用いて、ウエハの表面に加熱された低表面張力液体を噴霧する工程を備えるものでもよい。
【0024】
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する工程が、近接ヘッド表面とウエハの表面との間にメニスカスを形成する工程を備え、空気/液体界面領域がメニスカスのトレーリングエッジであるものでもよい。
【0025】
さらに別の態様は、低表面張力液体を用いてウエハを処理及び乾燥するシステムであって、低表面張力液体の沸点よりも25℃低い温度以上の温度まで低表面張力液体を加熱することが可能な第1の熱源を備える低表面張力液体源と、加熱された低表面張力液体をウエハの表面上にある空気/液体界面領域に供給する供給機構と、空気/液体界面領域に向けて配置される第2の熱源であって、低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで空気/液体界面領域を加熱可能であり、ウエハの正面及び裏面の少なくとも一方に向けて配置される第2の熱源と、ウエハの表面全体にわたって空気/液体界面領域を移動可能なアクチュエータと、を備える。
【0026】
本発明の他の態様及び効果は、本発明の原理を例示する添付の図面を参照した以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0027】
本発明の理解を助けるために、以下、添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】線形構造の一部が分離した損傷の例を示す図。
【0029】
【図2A】狭い間隔で配置される線形構造の理想的なクラスタが乾燥時の表面張力による損傷の影響を受ける様子を例示する断面図。
【0030】
【図2B】狭い間隔で配置される線形構造の理想的なクラスタが乾燥時の表面張力による損傷の影響を受ける様子を例示する平面図。
【0031】
【図2C】狭い間隔で配置される線形構造の理想的なクラスタを示す斜視図。
【0032】
【図3】本発明の実施形態において、力F1及びF2により線形構造が曲げられる様子を示す図。
【0033】
【図4A】本発明の一実施形態における低表面張力液体洗浄システムを示す図。
【図4B】本発明の一実施形態における低表面張力液体洗浄システムを示す図。
【0034】
【図5】本発明の一実施形態において、低表面張力洗浄流体からウエハを引き出す際に実施される処理方法を示すフローチャート。
【0035】
【図6A】本発明の一実施形態における低表面張力乾燥/洗浄流体ノズルシステムを示す図。
【0036】
【図6B】本発明の一実施形態において、ノズルを用いてウエハの乾燥/洗浄を実施する処理方法を示すフローチャート。
【0037】
【図7A】本発明の一実施形態における低表面張力乾燥/洗浄流体近接ヘッドシステムを示す図。
【0038】
【図7B】本発明の一実施形態において、近接ヘッドを用いてウエハの乾燥/洗浄を実施する処理方法を示すフローチャート。
【0039】
【図8】本発明の一実施形態における1つ又は複数の低表面張力乾燥/洗浄流体システムを備える集積システムを示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0040】
低表面張力流体洗浄及びすすぎシステム、方法及び装置のいくつかの実施形態を以下で説明する。当業者には自明のことであるが、本明細書に記載する所定の詳細の一部又は全てを省略しても本発明は実施可能である。
【0041】
図3に、本発明の実施形態において、力F1及びF2により線形構造208及び210が曲げられる様子を示す。線形構造208及び210は、基板101に一方の端部208A及び210Aが固定されて、他方の端部が自由端であるカンチレバー構造として構成される。表面張力F1及びF2は、点線208’及び210’に示すように、一方の線形構造208を他方の線形構造210に向けて内側にたわませる。
【0042】
線形構造208及び210の横方向たわみ値又は横揺れ値δ1及びδ2が構造要素間の距離Dの半分よりも大きい場合に、パターン崩壊が生じる。
【0043】
構造要素上に作用する力は、均一な圧力負荷でもよいし、及び/又は、自由端における単一の引っ張り力でもよい。均一な圧力負荷に対する線形構造208及び210の横方向たわみ値δ1及びδ2は、以下の式で求めることができる。
【数3】
ここで、Eはヤング率であり、Aはアスペクト比(=H(高さ)/W(幅))である。
【0044】
乾燥時のパターン崩壊の問題は、2Xデバイスノードやより小型(たとえば、1X)のデバイスでは、大きな障害となっている。乾燥する溶液の物性に加えて、デバイス(たとえば、線形構造)の寸法及び剛性に応じて、パターン崩壊を避けられない基本的な限界が生じる。
【0045】
STI後のエッチングやSTI後のハードマスクオープン型洗浄等の場合に、乾燥時のパターン崩壊が大きな問題となることも多く、残留物及び汚染物質除去に最も一般的な湿式洗浄手法を用いることができない。しかし、湿式洗浄なしでは、大きな収率損失につながる。このため、超臨界CO2法など、より複雑で費用のかかる手法が用いられている。このような手法は、コストがかかるのみでなく、処理自体もより難しい。
【0046】
低表面張力液体
乾燥時のパターン崩壊を最小限に抑え、実質的になくす1つの方法は、低表面張力液体を用いることである。この液体を加熱すれば、さらに、乾燥時のパターン崩壊をなくすのに役立つ。この際、1つ又は複数の赤外線(IR)ランプを用いて加熱するようにしてもよい。
【0047】
縦型容器等を用いて低表面張力流体内にウエハを浸漬させることにより、ウエハ上に低表面張力流体を堆積させるようにしてもよい。あるいは、ノズル、エアブラシ等を用いて、又は、メニスカスを形成する近接ヘッドに低表面張力流体を流すことにより、実質的に水平に配置させたウエハに流体薄膜を堆積させるようにしてもよい。またあるいは、ノズル、エアブラシ等を用いて、実質的に鉛直方向に配置させたウエハに流体薄膜を堆積させるようにしてもよい。
【0048】
低表面張力流体又は液体を液体の沸点近くの温度まで急速に加熱すると共に、線形構造間から液体が蒸発する前に沸点より高い温度にウエハを加熱する。赤外線(IR)ランプ等を用いて放射加熱するようにしてもよい。あるいは、低表面張力流体を収容する容器に、追加の熱源を備えるようにしてもよい。
【0049】
低表面張力液体及び流体の例としては、以下に限定されるものではないが、イソプロピルアルコール(IPA)、部分的にフッ素化させたエーテル(スリーエム(3M)株式会社製のHFE7100、HFE7200等)又は完全にフッ素化させたエーテル(スリーエム(3M)株式会社製のFC−84、FC72等)が挙げられる。いくつかの液体の相対表面張力を以下に示す。
DIW(脱イオン水) 25℃でγ=72ダイン/cm
IPA 25℃でγ=22ダイン/cm
HFE7100 25℃でγ=14ダイン/cm
【0050】
表面張力が25℃で約γ=22ダイン/cm未満の任意の洗浄流体を用いることも可能である。
【0051】
熱源として好適な例として、ヘレウス株式会社製のカーボンエミッタ(中波IR)ランプが挙げられる。ランプ出力は、1700mmの長さに対して1200Wである(7ワット/mm)。サンプル表面における光密度は、約14W/cm2である。最大出力波長は2.5μmである。他の適当な熱源を用いるようにしてもよい。
【0052】
図4A及び図4Bに、本発明の一実施形態における低表面張力液体洗浄システム400を示す。図5に、本発明の一実施形態において、低表面張力洗浄流体からウエハ101を引き出す際に実施される処理方法500のフローチャートを示す。ここで示す処理工程は例示に過ぎず、ステップの一部を別のステップに置き換えることも可能であり、また、一部のステップを省略することも可能である。以下、これを念頭において、処理方法480を説明する。
【0053】
低表面張力液体洗浄システム400は、低表面張力流体414を収容する容器412と、ステップ502で容器に対して実質的に鉛直方向に配置されるウエハ101と、を備える。後述するように、ウエハ101は、低表面張力流体414の表面において、液体/空気界面416を通って、実質的に鉛直方向に、すなわち、方向404A及び404Bに移動可能である。アクチュエータ402は、ウエハ101を、液体/空気界面416(すなわち、ウエハが流体に入る又は流体から離れる領域/線)を通して方向404A及び404Bに移動させることができる。
【0054】
ステップ504で、容器内の低表面張力流体414を沸点近くの温度まで加熱する。たとえば、容器内の流体414の少なくとも上部が沸点よりも5〜10度低い温度以上になるように、低表面張力流体414を加熱する。たとえば、HFE7100を用いる場合、HFE7100の沸点は61℃であり、容器412内の流体の上部414Aは、液体の状態を保つ約50〜55℃に加熱される。
【0055】
ステップ506で、1つ又は複数の熱源410、410’により、実質的に界面領域416において、基板の表面101A、101B及び流体の上面414Bに熱410Aを加える。熱源410、410’は、流体414により吸収される放射周波数及び波長を備えるランプでもよい。
【0056】
ステップ508で、流体414の表面414Bを流体の沸点まで又は沸点近くまで加熱する。流体の表面414Bを激しく沸騰させるようにしてもよい。
【0057】
ステップ510で、図4Bに示すように、流体414内にウエハ101を挿入する。ウエハ101が容器412内に入る際に、ウエハが先の洗浄/すすぎ工程で濡れている場合には、先の洗浄/すすぎ工程によりウエハ上に残った液体が低表面張力流体414と混和される。
【0058】
ステップ512で、約0.5〜10mm/秒の速度で、方向404Aに、ウエハ101を乾湿界面領域416を通して引き出す。したがって、ステップ512で、乾湿界面416を通って、流体の表面414Bからウエハ101が引き出される。
【0059】
ウエハ101の第1の部分が乾湿界面416を通過する際に、ステップ514で、ウエハ表面101A、101Bの第1の部分が流体の沸点よりも有意に高い温度まで(たとえば、沸点よりも少なくとも2度高い温度まで、HFE7100の場合には51℃よりも高い温度まで)加熱される。ステップ516で、洗浄流体414の表面414Bからウエハ101の第1の部分が引き出されてから約0〜約3秒の間、流体414は沸点温度を維持する。その後、処理工程を終了する。
【0060】
熱源410、410’を、ウエハ101の正面側101A(すなわち、構造要素及びデバイスが形成される側)に向けるようにしてもよいし、裏側101B(すなわち、正面側の反対側)に向けるようにしてもよいし、あるいは、両方の側に向けるようにしてもよい。熱源410、410’を、流体とウエハ101の表面との界面416及び液体414の一部に直接向けて、界面416に近接する液体を加熱するようにしてもよい。また、熱源410、410’の一方又は両方を、界面416の上方及び/又は下方に伸長するウエハ101の一部に向けるようにしてもよい。
【0061】
図6Aに、本発明の一実施形態における低表面張力乾燥/洗浄流体ノズルシステム600を示す。図6Bに、本発明の一実施例において、ノズルを用いてウエハ101を乾燥/洗浄を実施する処理方法650のフローチャートを示す。ここで示す処理工程は例示に過ぎず、ステップの一部を別のステップに置き換えることも可能であり、また、一部のステップを省略することも可能である。以下、これを念頭において、処理方法650を説明する。
【0062】
低表面張力乾燥/洗浄流体ノズルシステム600は、ノズル602を備える。ウエハ101は、方向604に回転可能である。ウエハ101は、水平方向に配置するようにしてもよいし、鉛直方向に配置するようにしてもよいし、あるいは、これらを組み合わせた配置でもよい。
【0063】
ステップ652で、ウエハを方向604に回転させる。ステップ654で、上述したステップ504と同様に、液体をその沸点近くまで加熱する。液体をウエハ上に塗布又は噴霧する前に液体を加熱する。容器等の液体源又はその他の液体供給源内で液体を加熱するようにしてもよい。
【0064】
ステップ656で、熱源410により、ウエハ表面の第1の部分620を液体の沸点よりも高い温度まで加熱する。ステップ658で、加熱された液体414を、加熱された部分620近傍のウエハ101の第2の部分表面616上に塗布又は噴霧する。
【0065】
ステップ660で、第1の部分620内にくるように第2の部分表面616を回転させて、ウエハ101の表面から液体414を沸騰除去する。ウエハの全表面のすすぎ/洗浄が完了するまで上述の処理工程を繰り返した後、処理工程を終了する。表面の第1の部分620及び第2の部分616の位置は、所望の位置に移動又は選択可能である。低表面張力流体を用いる場合、ウエハ表面上で低表面張力流体が堆積する位置又はそのすぐ後の位置において、ウエハ101の片側又は両側に対して熱源を向けるようにしてもよい。
【0066】
図7Aに、本発明の一実施形態における低表面張力乾燥/洗浄流体近接ヘッドシステム700を示す。図7Bに、本発明の一実施形態において、近接ヘッドを用いてウエハ101の乾燥/洗浄を実施する処理方向750のフローチャートを示す。ここで示す処理工程は例示に過ぎず、ステップの一部を別のステップに置き換えることも可能であり、また、一部のステップを省略することも可能である。以下、これを念頭において、処理方法750を説明する。
【0067】
低表面張力乾燥/洗浄流体近接ヘッドシステム700は、1つ又は複数の近接ヘッド702を備える。近接ヘッド702は、近接ヘッド表面702Aとウエハ101の片面又は両面101A、101Bとの間に、1つ又は複数の液体メニスカス706を形成可能である。ウエハ101は、任意の方向(たとえば、鉛直方向、水平方向又はその組み合わせ)に配置可能である。メニスカス706のトレーリングエッジ726の位置又はそのごく近傍の位置において、ウエハ101の片面又は両面101A、101Bに対して熱源410を向ける。ここで、トレーリングエッジ726は、ウエハ101の表面101Aに対して方向704に近接ヘッド702を移動させる際にウエハの表面101Aから離れるメニスカス706の端部を意味する。近接ヘッド702が、低表面張力乾燥/洗浄流体を加熱するためのヒーター部722を備えるものでもよい。あるいは、上述したように、低表面張力乾燥/洗浄流体を、流体源又は容器内等、近接ヘッド702の外部から加熱するようにしてもよい。
【0068】
ステップ752で、ウエハ101を所定の位置に配置する。ステップ754で、ウエハ101の表面101Aに対して、近接ヘッド702を所定の位置に配置する。
【0069】
ステップ756で、低表面張力乾燥/洗浄流体を沸点近くまで加熱する。低表面張力乾燥/洗浄流体を、近接ヘッド702の内部から加熱してもよいし、外部から加熱してもよい。
【0070】
ステップ758で、加熱された低表面張力乾燥/洗浄流体を近接ヘッド表面702Aとウエハ表面101Aとの間の空間に注入してメニスカス706を形成させる。ステップ760で、減圧にして、メニスカス706のトレーリングエッジ726から流体を吸引する。ステップ762で、メニスカス706のトレーリングエッジ726に近接するウエハ表面101Aの第1の部分に熱410Aを加えて、液体の沸点よりも高い温度まで加熱する。たとえば、DIWの場合、約70℃よりも高く、沸点(たとえば、100℃)よりも低い温度までDIWを加熱するようにしてもよい。一実施形態において、DIWを約90℃まで加熱する。温度上昇に伴う表面張力の低下は比較的小さい(たとえば、DIWの場合、25℃で約72ダイン/cmから75℃で約64ダイン/cmに低下する。また、IPAの場合、25℃で約22ダイン/cmから75℃で約17ダイン/cmに低下する)。表面張力の低下がそれほど大きくない一方で、DIWの加熱(たとえば、約70℃より高い温度)により蒸発速度が上昇するため、実質的にパターン損傷が抑制される。
【0071】
ステップ764で、メニスカス706をウエハ101の表面101A全体にわたって移動させて、ウエハ表面の洗浄、すすぎ、又は乾燥を行なう。近接ヘッド702に対して横方向に又は回転方向にウエハ101を移動させて、ウエハの表面101A全体を処理し、処理完了後に処理工程を終了する。
【0072】
図8に、本発明の一実施形態における1つ又は複数の低表面張力乾燥/洗浄流体システム400、600、700を備える集積システム800のブロック図を示す。集積システム800は、1つ又は複数の低表面張力乾燥/洗浄流体システム400、600、700と、低表面張力乾燥/洗浄流体システムを連結させる集積システム制御部810と、を備える。集積システム制御部810は、ユーザインターフェース814を含む、又は、(有線ネットワーク又は無線ネットワーク812を介して)ユーザインターフェース814に接続される。ユーザインターフェース814は、ユーザ読み取り可能な出力及び表示を与えると共に、ユーザ入力を受信して、集積システム制御部810へのユーザアクセスを可能にする。
【0073】
集積システム制御部810は、専用コンピュータを備えるものでもよいし、汎用コンピュータを備えるものでもよい。集積システム制御部810は、コンピュータプログラム及び/又は論理816を実行して、システム400、600、700用のデータ818(たとえば、性能履歴、性能又は不具合の解析、オペレータログ及び履歴等)をモニタ、制御、収集及び格納することができる。たとえば、集めたデータが動作調整を必要とするものであれば、集積システム制御部810は、システム400、600、700及び/又はシステム内の構成要素の動作を調整することができる(たとえば、温度、流速、圧力、位置、動き、ウエハ101の出し入れ等)。
【0074】
別の実施形態において、残留物及び汚染物質の除去を目的として、ウエハを実質的に湿式の洗浄薬剤にさらす。この際、残留物の除去を効果的に行なうために十分な時間だけウエハを洗浄薬剤にさらす。残留物及び汚染物質除去用薬剤の例としては、以下のものに限定されないが、HF、SC1、SC2DSP溶剤が挙げられる。脱イオン水(DIW)を用いて、残留物及び汚染物質除去用薬剤をウエハからすすぎ落とす。DIW及び残った薬剤を低表面張力流体に置換する。低表面張力流体により、ウエハ表面を乾燥させる。1つの実施形態において、低表面張力液体とDIWとは必ずしも混和可能ではないため、その場合には中間薬剤を用いて、有効な置換を行なうようにしてもよい。置換後に、上述したようにウエハを乾燥させる。
【0075】
以上、本発明の実施形態を説明したが、コンピュータシステム内でのデータの格納等、本発明の様々な作業をコンピュータが実施するようにしてもよい。このような作業は、物理量の物理的処理を必要とするものである。必ずというわけではないが、多くの場合、このような物理量は、電気信号又は磁気信号の形態を取り、格納、転送、結合、比較及びその他の処理が可能である。また、実施される処理としては、たとえば、生成、同定、決定又は比較等が挙げられる。
【0076】
本発明を、コンピュータ読み取り可能な媒体及び/又は論理回路上で、コンピュータ読み取り可能なコードとして実現するようにしてもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータシステムにより後で読み取ることが可能な形態でデータを格納できる任意のデータ記憶装置である。コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、ハードディスクドライブ、ネットワーク接続ストレージ(NAS)、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD、フラッシュメモリ、磁気テープ及びその他の光学的及び非光学的記憶装置が挙げられる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、ネットワーク接続コンピュータシステムに分散可能なものでもよく、この場合には、コンピュータ読み取り可能なコードは分散して格納及び実行される。
【0077】
本発明の一部を形成する上述した処理は、いずれも、機械操作で実行可能である。本発明は、また、このような処理を実行するデバイスまたは装置として実施可能である。装置は、所定の目的のために専用に構成されるものでもよいし、汎用のコンピュータをコンピュータ内に格納されるコンピュータプログラムにより選択的に起動または構成するものでもよい。様々な汎用機械を本明細書の記載に従って書かれたコンピュータプログラムと共に用いるようにしてもよい。あるいは、場合によっては、所定の処理を実行するための専用装置として構成することが望ましい。
【0078】
さらに、上述した処理工程における各ステップは、必ずしも図示した順序で実施することが必要であるとは限らない。また、処理工程で示したすべてのステップが必ずしも本発明の実施に必要であるとは限らない。さらに、上述した処理工程における処理を、RAM、ROM又はハードディスクドライブの任意のいずれか又はその組み合わせに格納されたソフトウェアで実施するようにしてもよい。
【0079】
以上、理解を助けるために本発明を実施形態に基づいて詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲内で様々な変形及び変更が可能である。したがって、上述の実施形態は例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではない。本発明は、上述の詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲内及びその等価物の範囲内で変更可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低表面張力液体を用いてウエハを処理及び乾燥するシステムであって、
前記低表面張力液体の沸点よりも25℃低い温度以上の温度まで前記低表面張力液体を加熱することが可能な第1の熱源を備える低表面張力液体源と、
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する供給機構と、
前記空気/液体界面領域に向けて配置される第2の熱源であって、前記低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで前記空気/液体界面領域を加熱可能な第2の熱源と、を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記空気/液体界面領域がウエハの表面上にある、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、さらに、
前記ウエハの表面全体にわたって前記空気/液体界面領域を移動させるアクチュエータを備える、システム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムであって、
前記ウエハの正面及び裏面の少なくとも一方に向けて前記第2の熱源が配置される、システム。
【請求項5】
請求項2に記載のシステムであって、
前記第2の熱源が、前記ウエハの正面に向けて配置される正面熱源と、前記ウエハの裏面に向けて配置される裏側熱源と、を備える、システム。
【請求項6】
請求項2に記載のシステムであって、
前記加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する前記供給機構が、所定量の前記加熱された低表面張力液体を収容する容器を備え、
前記空気/液体界面領域は、前記所定量の加熱された低表面張力液体の表面に近接する、システム。
【請求項7】
請求項2に記載のシステムであって、
前記加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する前記供給機構が、前記ウエハの表面に前記加熱された低表面張力液体を噴霧するように、前記空気/液体界面領域に向けて配置されるノズルを備える、システム。
【請求項8】
請求項2に記載のシステムであって、
前記加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する前記供給機構が、近接ヘッド表面と前記ウエハの表面との間にメニスカスを形成する近接ヘッドを備え、
前記空気/液体界面領域が、前記メニスカスのトレーリングエッジである、システム。
【請求項9】
低表面張力液体を用いて表面をすすぐ方法であって、
前記低表面張力液体の沸点よりも25℃低い温度以上の温度まで前記低表面張力液体を加熱する工程と、
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する工程と、
前記低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで前記空気/液体界面領域を加熱する工程と、を備える方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記空気/液体界面領域がウエハの表面上にある、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記ウエハの表面全体にわたって前記空気/液体界面領域を移動させる工程を備える、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
前記低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで前記空気/液体界面領域を加熱する前記工程が、前記ウエハの正面と裏面の少なくとも一方を加熱する工程を備える、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、
前記低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで前記空気/液体界面領域を加熱する前記工程が、前記ウエハの正面と裏面とを加熱する工程を備える、方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法であって、
前記加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する前記工程が、所定量の前記加熱された低表面張力液体を収容する容器内に前記ウエハを浸漬させる工程を備え、
前記空気/液体界面領域は、前記所定量の加熱された低表面張力液体の表面に近接する、方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法であって、
前記加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する前記工程が、前記空気/液体界面領域に向けて配置されるノズルを用いて、前記ウエハの表面に前記加熱された低表面張力液体を噴霧する工程を備える、方法。
【請求項16】
請求項10に記載の方法であって、
前記加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する前記工程が、近接ヘッド表面と前記ウエハの表面との間にメニスカスを形成する工程を備え、
前記空気/液体界面領域が、前記メニスカスのトレーリングエッジである、方法。
【請求項17】
低表面張力液体を用いてウエハを処理及び乾燥するシステムであって、
前記低表面張力液体の沸点よりも25℃低い温度以上の温度まで前記低表面張力液体を加熱することが可能な第1の熱源を備える低表面張力液体源と、
加熱された低表面張力液体をウエハの表面上にある空気/液体界面領域に供給する供給機構と、
前記空気/液体界面領域に向けて配置される第2の熱源であって、前記低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで前記空気/液体界面領域を加熱可能であり、前記ウエハの正面及び裏面の少なくとも一方に向けて配置される第2の熱源と、
前記ウエハの表面全体にわたって前記空気/液体界面領域を移動可能なアクチュエータと、を備えるシステム。
【請求項1】
低表面張力液体を用いてウエハを処理及び乾燥するシステムであって、
前記低表面張力液体の沸点よりも25℃低い温度以上の温度まで前記低表面張力液体を加熱することが可能な第1の熱源を備える低表面張力液体源と、
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する供給機構と、
前記空気/液体界面領域に向けて配置される第2の熱源であって、前記低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで前記空気/液体界面領域を加熱可能な第2の熱源と、を備えるシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記空気/液体界面領域がウエハの表面上にある、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムであって、さらに、
前記ウエハの表面全体にわたって前記空気/液体界面領域を移動させるアクチュエータを備える、システム。
【請求項4】
請求項2に記載のシステムであって、
前記ウエハの正面及び裏面の少なくとも一方に向けて前記第2の熱源が配置される、システム。
【請求項5】
請求項2に記載のシステムであって、
前記第2の熱源が、前記ウエハの正面に向けて配置される正面熱源と、前記ウエハの裏面に向けて配置される裏側熱源と、を備える、システム。
【請求項6】
請求項2に記載のシステムであって、
前記加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する前記供給機構が、所定量の前記加熱された低表面張力液体を収容する容器を備え、
前記空気/液体界面領域は、前記所定量の加熱された低表面張力液体の表面に近接する、システム。
【請求項7】
請求項2に記載のシステムであって、
前記加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する前記供給機構が、前記ウエハの表面に前記加熱された低表面張力液体を噴霧するように、前記空気/液体界面領域に向けて配置されるノズルを備える、システム。
【請求項8】
請求項2に記載のシステムであって、
前記加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する前記供給機構が、近接ヘッド表面と前記ウエハの表面との間にメニスカスを形成する近接ヘッドを備え、
前記空気/液体界面領域が、前記メニスカスのトレーリングエッジである、システム。
【請求項9】
低表面張力液体を用いて表面をすすぐ方法であって、
前記低表面張力液体の沸点よりも25℃低い温度以上の温度まで前記低表面張力液体を加熱する工程と、
加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する工程と、
前記低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで前記空気/液体界面領域を加熱する工程と、を備える方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記空気/液体界面領域がウエハの表面上にある、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、さらに、
前記ウエハの表面全体にわたって前記空気/液体界面領域を移動させる工程を備える、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、
前記低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで前記空気/液体界面領域を加熱する前記工程が、前記ウエハの正面と裏面の少なくとも一方を加熱する工程を備える、方法。
【請求項13】
請求項10に記載の方法であって、
前記低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで前記空気/液体界面領域を加熱する前記工程が、前記ウエハの正面と裏面とを加熱する工程を備える、方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法であって、
前記加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する前記工程が、所定量の前記加熱された低表面張力液体を収容する容器内に前記ウエハを浸漬させる工程を備え、
前記空気/液体界面領域は、前記所定量の加熱された低表面張力液体の表面に近接する、方法。
【請求項15】
請求項10に記載の方法であって、
前記加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する前記工程が、前記空気/液体界面領域に向けて配置されるノズルを用いて、前記ウエハの表面に前記加熱された低表面張力液体を噴霧する工程を備える、方法。
【請求項16】
請求項10に記載の方法であって、
前記加熱された低表面張力液体を空気/液体界面領域に供給する前記工程が、近接ヘッド表面と前記ウエハの表面との間にメニスカスを形成する工程を備え、
前記空気/液体界面領域が、前記メニスカスのトレーリングエッジである、方法。
【請求項17】
低表面張力液体を用いてウエハを処理及び乾燥するシステムであって、
前記低表面張力液体の沸点よりも25℃低い温度以上の温度まで前記低表面張力液体を加熱することが可能な第1の熱源を備える低表面張力液体源と、
加熱された低表面張力液体をウエハの表面上にある空気/液体界面領域に供給する供給機構と、
前記空気/液体界面領域に向けて配置される第2の熱源であって、前記低表面張力液体の沸点よりも少なくとも2℃高い温度まで前記空気/液体界面領域を加熱可能であり、前記ウエハの正面及び裏面の少なくとも一方に向けて配置される第2の熱源と、
前記ウエハの表面全体にわたって前記空気/液体界面領域を移動可能なアクチュエータと、を備えるシステム。
【図1】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【公表番号】特表2013−513954(P2013−513954A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543326(P2012−543326)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/060023
【国際公開番号】WO2011/072279
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/060023
【国際公開番号】WO2011/072279
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】
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