説明

使用量測定システム

【課題】
親機・子機間の無線電波の伝播条件が向上した場合に無線電波による通信が行われる、通
信成功率が向上された使用量測定システムを提供する。
【解決手段】
開閉センサ106、107、108により家屋の窓や扉の開状態が検出された場合に、子
機103、104、106と親機102間の無線電波による通信を行うようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は被測定系の電力、ガス、水道等の使用量を測定する使用量測定システムに関す
る。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般家庭や工場、事業所の電力、ガス、水道等の使用量を測定する使用量測
定システムが普及してきている。当該使用量測定システムは被測定系の使用量を測定する
メータと、当該メータで検出された使用量データを特定小電力無線等にて通信する無線子
機と、無線子機から特定小電力無線等にて送信された使用量データを受信する無線親機と
を具備している。(例えば特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−291867公報(第7頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電気、ガス、水道の無線検針が行われるようになってきた。当該使用量測定システ
ムは被測定系の使用量を測定するメータと、当該メータで検出された使用量データを特定
小電力無線等にて通信する無線子機と、当該無線子機から特定小電力無線等にて送信され
た使用量データを受信する無線親機とを具備している。当該無線親機は、上位伝送系であ
る端末側網制御装置、電話回線、センタ装置側網制御装置を介してセンタ装置に接続され
ている。当該使用量測定システムにおいて、メータにて作成された使用量データはセンタ
装置からセンタ装置側網制御装置、電話回線、端末側網制御装置を介して送信される要求
電文に呼応するいわゆるポーリングにより伝送される場合と、端末側網制御装置側から、
電話回線、センタ装置側網制御装置を介してセンタ装置に電文を送信する端末発呼の2種
類の通信方式によることが一般的である。
【0005】
しかし、当該使用量測定システムの親機・子機間で使用される電波の出力は微弱であり
親機・子機間のデータ伝送が失敗する場合も多かった。従来の使用量測定システムではデ
ータ伝送失敗時に、伝送が成功するまで数回にわたりリトライ伝送を行う方式が採用され
ていたが、親機・子機間の電波の伝播条件が変わらない中で、数次にわたりリトライ伝送
を行っても依然伝送できない場合が多いという問題点があった。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑み、親機・子機間の無線電波の伝播条件が向上した場合に無線
電波による通信が行われる、通信成功率が向上された使用量測定システムを提供すること
を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による使用量測定システムは、無線電波による信号の
伝播路に配置された建具の開閉を検出する建具開閉検出手段と、前記建具開閉検出手段に
より建具が開状態であると判断された場合に、無線電波にて使用量に関するデータを送信
する送信手段とを具備した子機と、前記子機の送信手段から無線電波にて送信された前記
使用量に関するデータを受信する親機とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、親機・子機間の無線電波の伝播条件が向上した場合に無線電波による
通信が行われる、通信成功率が向上された使用量測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明にかかる無線検針システムの構成を示す図
【図2】本発明にかかる無線検針システムの親機の内部構成を示す図
【図3】本発明にかかる無線検針システムの子機の内部構成を示す図
【図4】本発明にかかる無線検針システムの計量器の内部構成を示す図
【図5】本発明にかかる無線検針システムの子機のプログラムを示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0011】
[実施例1]
本発明による使用量測定システムの実施例1について図1を参照して説明する。
【0012】
本使用量測定システムは一例として上位伝送系101、親機102、子機103、10
4、105、開閉センサ106、107、108、計量器109、110、111からな
るものとする。
【0013】
101は上位伝送系で、電話回線を利用した自動検針システムの場合、コンピュータ等か
らなるセンタ装置、センタ装置側網制御装置、電話回線、端末側網制御装置等から構成さ
れている。また、検針員等が個別検針を行う無線検針システムの場合、市販のハンディタ
ーミナル、ポケットコンピュータ、パーソナルコンピュータ等により構成されている。
【0014】
102は親機で後述する各部により構成されており、上位伝送系101から送信された
各種コマンド等の電文を子機103、104、105に対し無線電波にて送信し、計量器
109、110、111にかかる使用量データ等の電文を子機103、104、105を
介し無線電波により受信し、さらに、同電文を上位伝送系101に対し送信する。
【0015】
親機102の内部構成を図2に示す。
【0016】
201は通信部でRS232C等の有線通信を行う通信回路により構成されており、後述
する制御部206に制御され、上位伝送系101と通信を行う。
【0017】
202は表示部で発光ダイオード等により構成されており、親機102と上位伝送系10
1間の通信状態、親機102と子機103、104、105間の通信状態等を表示する。
【0018】
203は無線通信部で特定小電力無線等の無線電波送受信回路により構成されており、後
述する制御部206に制御され、子機103、104、105との間で無線電波による通
信を行う。
【0019】
204は記憶部でRAMのような半導体メモリにより構成されており、後述する制御部2
06により制御され、子機103、104、105を介して無線通信部203により受信
された計量器109、110、111にかかる使用量データを記憶する。
【0020】
205は電源部で、リチウム電池等を有する電源回路により構成されており、親機102
内の各部に電源電圧を供給する。
【0021】
206は制御部で、マイクロコンピュータ等により構成されており、通信部201の通信
動作、表示部202の表示動作、無線通信部203の通信動作、記憶部204の記憶動作
の制御を行う。
【0022】
上位伝送系101からのポーリングによる通信の場合、制御部206は、上位伝送系10
1から送信された各種コマンド等の通信電文を通信部201にて受信し、無線通信部20
3から無線電波にて子機103、104、105に対し送信する。また、計量器109、
110、111にかかる、子機103、104、105から無線電波にて送信された使用
量データ等の通信電文を無線通信部203にて受信し、通信部201から上位伝送系10
1に対して送信する。
【0023】
一方、計量器109、110、111の端末発呼による通信の場合、制御部206は、計
量器109、110、111にかかる、子機103、104、105からの送信された無
線電波にて送信された使用量データ等の通信電文を無線通信部203にて受信し、通信部
201から上位伝送系101に対して送信する。
【0024】
制御部206は、子機103、104、105から送信された電力、ガス、水道等の使用
量に関する使用量データを受信し、当該使用量データを記憶部204に記憶させる。
【0025】
103、104、105は子機で後述する各部により構成されており、上位伝送系10
1からのポーリングによる通信の場合、親機102を介し、無線電波にて送信された各種
コマンド等の電文をそれぞれ計量器109、110、111に対し送信し、使用量データ
等の通信電文を計量器109、110、111から受信し、さらに、同電文を親機102
に対し無線電波にて送信する。また、子機103、104、105は、端末発呼による通
信の場合、使用量データ等の通信電文を計量器109、110、111から受信し、同電
文を親機102に対し無線電波にて送信する。子機103の内部構成を図3に示す。なお
子機104、105も同様の内部構成となっている。
【0026】
301は無線通信部で特定小電力無線等の無線電波送受信回路により構成されており、後
述する制御部308に制御され、親機102との間で無線電波による通信を行う。
【0027】
302は開閉検出部で、後述する開閉センサ106からの信号を受信し、家屋の窓や扉の
開閉を検出する。
【0028】
303は第一のタイマで水晶発振器によるカウンタ回路等により構成されており、ポーリ
ングによる通信が行われていない時間Tを計時する。
【0029】
304は表示部で発光ダイオード等により構成されており、子機103と親機102間の
通信状態、子機103と計量器109間の通信状態等を表示する。
【0030】
305は有線通信部でカレントループ等のインタフェース回路等により構成されており、
後述する制御部308に制御され、計量器109との間で通信を行う。
【0031】
306は記憶部でRAMのような半導体メモリにより構成されており、後述する制御部3
08により制御され、計量器109から送信された使用量データ等を記憶する。
【0032】
307は電源部で、リチウム電池等を有する電源回路により構成されており、子機103
内の各部に電源電圧を供給する。
【0033】
308は制御部で、マイクロコンピュータ等により構成されており、無線通信部301の
通信動作、表示部304の表示動作、有線通信部305の通信動作、記憶部306の記憶
動作等の制御を行う。
【0034】
上位伝送系101からのポーリングによる通信の場合、制御部308は、親機102から
送信された各種コマンド等の通信電文を無線通信部301にて受信し、有線通信部305
から計量器109に対し送信する。また、計量器109から送信された使用量データ等の
通信電文を有線通信部305にて受信し、無線通信部301から親機102に対して送信
する。
【0035】
一方、一定時間親機102からのポーリングによる通信がなかった場合、または一定時間
親機102からのポーリングによる通信がなく、かつ開閉検出部302が窓や扉等の建具
の開状態を検出した場合、制御部308は端末発呼による通信を行うため、計量器109
に対しデータを要求する電文を送信する。その後制御部308は、計量器109から送信
された使用量データ等の通信電文を有線通信部305にて受信し、無線通信部301から
親機102に対して送信する。
【0036】
制御部308は、計量器109から送信された電力、ガス、水道等の使用量に関する使用
量データを受信し、当該使用量データを記憶部306に記憶させる。
【0037】
106、107、108は開閉センサで、赤外線センサや接点式の開閉センサにより構成
されており、各子機103、104、105と親機102との電波の伝播路である家屋の
窓や扉等の建具に設置され、当該窓や扉等の建具の開閉状態をそれぞれ子機103、10
4、105に対し報知する。
【0038】
109、110、111は計量器で後述する各部により構成されており、需要家の電気
、ガス、水道等の使用量を測定し使用量データとして、それぞれ子機103、104、1
05、に対し送信する。計量器109の内部構成を図4に示す。なお計量器110、11
1も同様の内部構成となっている。
【0039】
401は有線通信部でカレントループ等のインタフェース回路等により構成されており、
後述する制御部406に制御され、子機103との間で通信を行う。
【0040】
402は表示部で液晶表示装置等により構成されており、需要家にて使用された電気、ガ
ス、水道等の使用量にかかる使用量データを表示する。
【0041】
403は検出部で、需要家の電気使用量を測定する電力使用量測定装置、需要家のガス使
用量を測定するガス使用量測定装置、需要家の水道使用量を測定する水道使用量測定装置
等により構成されており、後述する制御部406に対し需要家にて使用された電気、ガス
、水道等の使用量にかかるデータを出力する。
【0042】
404は記憶部でRAMのような半導体メモリにより構成されており、後述する制御部4
06により制御され、需要家にて使用された電気、ガス、水道等の使用量データを記憶す
る。
【0043】
405は電源部で、リチウム電池等を有する電源回路により構成されており、計量器10
7内の各部に電源電圧を供給する。
【0044】
406は制御部で、マイクロコンピュータ等により構成されており、有線通信部401の
通信動作、表示部402の表示動作、記憶部404の記憶動作の制御を行う。
【0045】
制御部406は検出部403で検出された電力、ガス、水道等の使用量にかかるデータを
使用量データに編集し、当該使用量データを記憶部404に記憶させ、表示部402に表
示させる。
【0046】
上位伝送系101からのポーリングによる通信の場合、制御部406は、子機103から
送信された各種コマンド等の通信電文を有線通信部401にて受信し、使用量データ等の
通信電文を子機103に対して送信する。
【0047】
一方、端末発呼による通信の場合、制御部310は、子機103からの電文の要求に応じ
使用量データ等の通信電文を有線通信部401から子機103に対して送信する。
【0048】
次に、本実施例の動作を図5に示す子機103のプログラムフロー図を参照しつつ説明す
る。本プログラムは子機103の制御部308内の図示しないプログラムメモリ内に記憶
され、制御部308の動作を制御している。当該プログラムは例えば1秒等の一定インタ
ーバルにて起動されるものとする。なお、以下には、子機103の通信動作の部分につい
てのみ示すこととする。
【0049】
子機の制御部308は、親機102からのポーリングによる信号を受信したかの判断を行
う(ステップ501)。親機102からのポーリングによる信号を受信したと判断された場
合、制御部308は有線通信部305を介し、計量器109に対しデータを要求する電文
を送信し、計量器109から送信された使用量データ等の通信電文を受信し、無線通信部
301から親機102に対して送信する(ステップ502)。
【0050】
一方ステップ501で、親機102からのポーリングによる信号を受信していないと判断
された場合、制御部308は、タイマ303にて計時されたポーリングによる通信を行っ
ていない時間Tが、予め設定された一定時間T1以上かの判断を行い(ステップ503)
ポーリングによる通信を行っていない時間Tが設定された一定時間T1以上であると判断
された場合であり、かつ端末発呼による通信の失敗回数Nが予め設定された回数N1未満
であると判断された場合(ステップ504)、有線通信部305を介し、計量器109に
対しデータを要求する電文を送信し、その後計量器109から送信された使用量データ等
の通信電文を受信し、無線通信部301から親機102に対して端末発呼による通信にて
当該使用量データ等を送信する(ステップ506)。また、端末発呼による通信の失敗回
数Nを計数する(ステップ507)。なおここで、予め設定された一定時間T1とは、例
えば24時間のような値が選択され、予め設定された回数N1とは、例えば10回のよう
な値が選択される。
【0051】
一方ステップ504で、端末発呼による通信の失敗回数Nが予め設定された回数N1以上
であると判断された場合は、電波の透過が悪いことが想定されるため、電波の通路となる
窓や扉等の建具が開かれたときに端末発呼通信を行うようにする。つまり、端末発呼によ
る通信の失敗回数Nが予め設定された回数N1以上であると判断された場合(ステップ5
04)は、子機103の開閉検出部302が開閉センサ106からの信号を受信し、家屋
の窓や扉等の建具が開かれたかの判断を行い(ステップ505)家屋の窓や扉等の建具が
開かれたと判断された場合は、有線通信部305を介し、計量器109に対しデータを要
求する電文を送信し、その後、計量器109から送信された使用量データ等の通信電文を
受信し、無線通信部301から親機102に対して端末発呼による通信にて当該使用量デ
ータ等を送信する(ステップ506)。その後、端末発呼による通信の失敗回数Nを計数
し(ステップ507)一連の通信動作を終了する。
【0052】
本実施例では、子機内部に開閉検出部を設け、各子機に対応する開閉センサを設けるよ
うにしたが、親機内部に開閉検出部を、親機側に開閉センサを設けるようにし、親機が開
窓や扉等の建具の開状態を検出した場合にポーリングによる伝送を各子機に対して行い、
子機は当該ポーリング信号に呼応して使用量データ等の通信電文を送信するようにしても
いよい。
【0053】
本実施例を用いれば、電波の伝播路において遮蔽物となる家屋の窓や扉等の建具が開いて
いる状態が検出され、無線電波が伝播しやすい状態のときに、親機・子機間の無線電波に
よる通信が行われるため、通信エラーの発生を低減させることができる。
【0054】
以上のように本発明を用いれば、親機・子機間の無線電波の伝播条件が向上した場合に無
線電波による通信が行われる、通信成功率が向上された使用量測定システムを提供するこ
とができる。
【符号の説明】
【0055】
101 上位伝送系
102 親機
103、104、105 子機
106、107、108 開閉センサ
109、110、111 計量器
201 通信部
202 表示部
203 無線通信部
204 記憶部
205 電源
206 制御部
301 無線通信部
302 開閉検出部
303 タイマ
304 表示部
305 有線通信部
306 記憶部
307 電源
308 制御部
401 有線通信部
402 表示部
403 検出部
404 記憶部
405 電源
406 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電波による信号の伝播路に配置された建具の開閉を検出する建具開閉検出手段と、
前記建具開閉検出手段により建具が開状態であると判断された場合に、無線電波にて使用
量に関するデータを送信する送信手段と
を具備した子機と、
前記子機の送信手段から無線電波にて送信された前記使用量に関するデータを受信する親
機と、
を有することを特徴とする使用量測定システム。
【請求項2】
親機から送出された無線電波によるポーリング信号を受信しない時間を計時する計時手段
と、
前記計時手段により計時された時間が予め設定された一定時間以上であった場合に、無線
電波による信号の伝播路に配置された建具の開閉を検出する建具開閉検出手段と、
前記建具開閉検出手段により建具が開状態であると判断された場合に、無線電波にて使用
量に関するデータを送信する送信手段と
を具備した子機と、
前記子機の送信手段から無線電波にて送信された前記使用量に関するデータを受信する親
機と、
を有することを特徴とする使用量測定システム。
【請求項3】
無線電波の送信失敗回数を計数する計数手段と、
前記計数手段により計数された送信失敗回数が予め設定された一定回数以上であった場合
に、無線電波による信号の伝播路に配置された建具の開閉を検出する建具開閉検出手段と

前記建具開閉検出手段により建具が開状態であると判断された場合に、無線電波にて使用
量に関するデータを送信する送信手段と
を具備した子機と、
前記子機の送信手段から無線電波にて送信された前記使用量に関するデータを受信する親
機と、
を有することを特徴とする使用量測定システム。
【請求項4】
無線電波による信号の伝播路に配置された建具の開閉を検出する建具開閉検出手段と、
前記建具開閉検出手段により建具が開状態であると判断された場合に、無線電波にてポー
リング信号を送信する送信手段と
を具備した親機と、
前記親機の送信手段から無線電波にて送信されたポーリング信号に呼応して使用量に関す
るデータを送信する子機と、
を有することを特徴とする使用量測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−204967(P2010−204967A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49928(P2009−49928)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(309042071)東光東芝メーターシステムズ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】