説明

信号情報提供装置

【課題】提供される灯色情報への運転者の依存度の増加を抑制するとともに、現在の信号機の灯色と提供される灯色情報との不整合を防止することが可能な信号情報提供装置を提供すること。
【解決手段】受信した情報に基づいて、現在の自車両100前方の信号機104の灯色情報を提供する信号情報提供装置において、通常時には、一定時間又は自車両100が一定距離進む時間である標準提供時間分、運転者に灯色情報を提供する。通常時の標準提供時間の経過前(自車両が一定距離進む前)に、信号機104の灯色が切替わる場合には、灯色情報の提供方法を変更する。例えば、信号機104の灯色の切替わりに合わせて、提供時間を短縮する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信した情報に基づいて、信号機の現在の灯色情報を提供する信号情報提供装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、光ビーコンなどから送信された信号機の点灯情報および点灯時間に関する信号機情報を受信し、この受信した信号機情報を運転者に提供する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−171459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の信号機情報を提供する装置では、情報提供時間/情報提供距離を一定とする場合、情報提供中に、現在の信号機の灯色が切替わり、信号機の灯色の切替わりに合わせて、情報提供される灯色情報を切り替えることが考えられる。このような場合、提供される情報への運転者の依存度が高くなってしまい、運転者に煩わしさを感じさせてしまうおそれがある。また、信号機の灯色が切替わった場合でも、提供される灯色情報を切り替えないという方法も考えられるが、この場合には、現在の信号機の灯色と情報提供される灯色情報とに不整合が生じてしまうといった問題がある。
【0004】
本発明は、このような課題を解決するために成されたものであり、提供される灯色情報への運転者の依存度の増加を抑制するとともに、現在の信号機の灯色と提供される灯色情報との不整合を防止することが可能な信号情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の信号情報提供装置は、受信した情報に基づいて、自車両前方の信号機の現在の灯色情報を提供するものであり、通常時には、一定時間又は自車両が一定距離進む時間である標準提供時間分、灯色情報を提供する信号情報提供装置において、標準提供時間の経過前に、信号機の灯色が切替わるか否かを判定する判定手段を備え、判定手段によって、標準提供時間の経過前に、信号機の灯色が切替わると判定された場合に、灯色情報の提供方法を変更することを特徴とすることを特徴としている。
【0006】
このような信号情報提供装置によれば、一定時間又は自車両が一定距離進む時間である標準提供時間の経過前に、信号機の灯色が切替わる場合に、灯色情報の提供方法を変更することが可能であるため、現在の信号機の灯色と提供される灯色情報との不整合を防止する共に、提供される灯色情報への運転者の依存度の増加を抑制することができる。
【0007】
また、判定手段によって、標準提供時間の経過前に、信号機の灯色が切替わると判定された場合に、信号機の灯色の切替わりに合わせて灯色情報の提供を中止することで、灯色情報の提供方法を変更することが好ましい。これにより、信号機の灯色の切替わりに合わせて、灯色情報の提供時間を短縮することができるため、提供される灯色情報の不整合を防止することができる。また、信号機の灯色の切替わりに合わせて、灯色情報の提供を終了することで、提供された灯色情報への運転者の依存度を抑制することができる。
【0008】
また、判定手段によって、標準提供時間の経過前に、信号機の灯色が切替わると判定された場合に、信号機の灯色の切替わりに応じて灯色情報の提供開始を早めることで、灯色情報の提供方法を変更することが好適である。この場合、灯色情報の提供時間が一定であるため、運転者が違和感を覚えることがなしに、提供される灯色情報の不整合を防止するともに、提供された灯色情報への運転者の依存度を抑制することができる。
【0009】
また、灯色情報の提供開始から信号機の灯色が切替わるまでの時間が、灯色情報の提供開始から運転者が灯色情報を認識するまでの最短時間である情報提供可能最短時間より短くなる場合に、灯色情報の提供を実行しないことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の信号情報提供装置によれば、灯色情報への運転者の依存度の増加を抑制するとともに、現在の信号機の灯色と提供される灯色情報との不整合を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明による好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図1は、本発明の実施形態に係る信号情報提供装置を搭載した自車両の交差点への接近を示す概略図、図2は、本発明の実施形態に係る信号情報提供装置を示すブロック構成図である。
【0012】
本発明の第1実施形態に係る信号情報提供装置10は、図1に示すように、自車両100に搭載され、交差点の手前に設置された光ビーコン装置(信号機情報送信手段)102から送信された信号機情報(インフラ協調情報)を受信し、信号機104の灯色情報を運転者に提供するものである。信号機情報は、自車両10の前方の交差点の信号機104に関する情報であり、信号機104の現在の灯色情報(青、黄、赤、矢印)、信号機104の灯色の各点灯時間(Ta、Tb、Tc)、現在の灯色に切替わってからの経過時間Td、信号機104を識別するための識別情報、信号機104の位置情報(例えば、光ビーコン装置102から信号機104までの距離)などである。信号機情報としては、少なくとも信号機の現在の灯色情報、現在の灯色が切替わるタイミングを算出可能な情報を含んでいればよい。
【0013】
信号情報提供装置10は、図2に示すように、電子制御ユニット12(以下、「ECU」という)、光ビーコン送受信機14、GPS受信機16、ナビゲーションシステム18、車輪速センサ20、及び報知手段26を備えている。そして、これらの光ビーコン送受信機14、GPS受信機16、ナビゲーションシステム18、車輪速センサ20、及び報知手段26は、ECU12と電気的に接続されている。
【0014】
光ビーコン送受信機14は、光ビーコン装置102との間で近赤外線によりデータを送受信でき、光ビーコン装置102からVICS情報、インフラ協調情報を受信し、車両ID情報などを光ビーコン装置102に送信することができる。光ビーコン装置102から受信したVICS情報、インフラ協調情報(信号機情報)は、ECU12に送信される。
【0015】
VICS情報としては、例えば、渋滞情報、交通規制情報、駐車場情報などの道路交通情報がある。インフラ協調情報としては、信号サイクル情報(信号機情報)、道路形状情報、停止線情報、制限速度情報、車線識別情報などの車線情報がある。道路形状情報は、周辺の道路の形状を示す情報であり、各車線の情報も含んでいる。停止線情報は、停止線の位置情報などである。
【0016】
そして、光ビーコン送受信機14及びECU12は、信号機情報を取得する信号機情報取得手段として機能する。なお、信号機情報取得手段は、携帯電話、FM多重放送、電波ビーコン、車々間通信など、その他の通信手段を用いて、信号機情報を受信してもよい。例えば、車々間通信を利用する場合には、先行車が受信した信号機情報を自車両100が受信する構成が挙げられる。また、信号機104自体に、信号機情報を送信する送信機を設置し、この送信機から送信された情報を受信して、信号機情報を取得する構成としてもよい。
【0017】
GPS受信機16は、GPS衛星からGPS信号を受信して自車両100の現在位置を推定するものである。GPS受信機16では、受信したGPS信号を復調し、その復調された各GPS衛星の位置データに基づいて自車両の現在位置(緯度、経度)などを算出する。そして、GPS受信機16では、自車両の現在位置情報などをECU12に送信する。
【0018】
ナビゲーションシステム18は、自車両100の現在位置や進行方向の推定及び目的地までの経路案内などを行うシステムである。特に、ナビゲーションシステム18では、地図データベースから現在走行中の道路の形状情報を読み出し、その道路形状情報をECU12に送信する。また、ナビゲーションシステム18では、自車両の走行予定経路を示す経路案内情報をECU12に送信する。また、ナビゲーションシステム18は、地図データベースから自車両100前方の信号機104の位置情報、光ビーコン装置102の位置情報を読み出し、信号機104及び光ビーコン装置102の位置情報をECU12に送信する。
【0019】
車輪速センサ20は、車両の4輪にそれぞれ設けられ、車輪の回転速度(車輪の回転に応じたパルス数)を検出するセンサである。車輪速センサ20では、所定時間毎の車輪の回転パルス数を検出し、その検出した車輪回転パルス数を運転支援ECU12に送信する。運転支援ECU12では、各車輪の回転速度から車輪速をそれぞれ算出し、各輪の車輪速から車体速(車速)を算出する。
【0020】
報知手段26は、ECU12から出力された信号に基づいて、現在の信号機104の灯色を示す灯色情報を報知する。また、この報知手段では、通常時において、一定時間又は自車両が一定距離進む時間である標準提供時間T分、現在の灯色について運転者に情報提供を行うものである。報知手段26としては、例えばナビゲーションシステム18の表示装置を利用することができる。また、報知手段26としての表示装置は、ヘッドアップディスプレイ(head-up display)の表示部、各種メータ表示を行うコンビネーションメータの表示部を利用してもよい。また、報知手段26として、スピーカーなどの音声出力手段を用いて、音声によって情報提供を行ってもよい。
【0021】
図3は、表示装置に表示された信号灯色情報の一例を示す図である。ここでは、現在の信号機104の灯色が青信号であり、現在の灯色が切替わるまでの残時間が5秒である場合について例示している。表示装置34には、信号機の現在の灯色を示す画像36a、信号機の現在の灯色を示す文字画像(「青信号」)36bが表示されている。また、点灯部分である青信号36cを点灯表示することで、視認性を向上させている。さらに、表示装置34では、現在の灯色が切替わるまでの残時間を示す画像(「残り5秒」)36dが表示される。
【0022】
図2に示すように、ECU12は、演算処理を行うCPU、記憶部となるROM及びRAM、入力信号回路、出力信号回路、電源回路などにより構成されている。ECU12では、記憶部に記憶されたプログラムを実行することで、切替わりタイミング算出部28、切替わり判定部30、及び制御部32が構築されている。
【0023】
また、ECU12の記憶部には、情報提供開始タイミングを設定するためのデータ、標準提供時間Tに関するデータなどが予め記憶されている。提供開始タイミングは、任意に設定され、例えば、光ビーコン受信からt秒後、又は、光ビーコン装置102の設置点Oから距離La(m)交差点側の地点A(図1参照)などと予め設定されている。光ビーコン受信直後に、提供開始タイミングを設定してもよい。
【0024】
切替わりタイミング算出部28は、取得した信号機情報に基づいて、信号機104の灯色が切替わるタイミングを算出する。具体的には、信号機104の現在の灯色情報(青、黄、赤、矢印)、信号機104の灯色の各点灯時間Ta,Tb,Tc、現在の灯色に切替わってからの経過時間Tdに基づいて、信号機104の灯色が切替わるまでの残時間Te(=Ta−Td)を算出する。
【0025】
切替わり判定部30は、標準提供時間Tの経過前(標準提供時間T分の情報提供中)に、信号機の現在の灯色が切替わるか否かを判定する(詳しくは後述する)。
【0026】
制御部32は、受信した信号機情報に基づいて、信号機104の現在の灯色情報を報知手段26に表示させる。制御部32では、灯色情報の情報提供(表示)内容、情報提供開始タイミング(表示開始時期)、情報提供終了タイミング(表示終了時期)、情報提供の有無など、灯色情報の提供方法を決定する。
【0027】
ここで、制御部32は、切替わり判定部30によって、標準提供時間Tの経過前に信号機104の灯色が切替わると判定された場合に、灯色情報の提供の仕方を通常時と異ならせることで、灯色情報の提供方法を変更する。具体的には、標準提供時間Tの経過前に信号機104の灯色が切替わると判定された場合に、信号機104の灯色の切替わりに合わせて灯色情報の提供を中止する。
【0028】
図4は、信号灯色切替わりタイミングと情報提供時間との関係を示す図である。図4では、時間の経過を横方向に示し、通常時をケース1とし、標準提供時間Tの経過前に灯色が切替わる場合をケース2として説明する(以下、同じ)。切替わり判定部30は、受信した信号機情報に基づいて、提供開始から信号機104が切替わるまでの残時間Tg(以下、「信号残時間Tg」という。)を算出する。信号残時間Tgは、光ビーコンを受信してから信号機104が切替わるまでの残時間Te、光ビーコンを受信してから情報提供開始までの時間である提供前時間Tfに基づいて算出される(Tg=Te−Tf)。
【0029】
切替わり判定部30は、標準提供時間Tの経過前に信号機104の灯色が切替わるか否かを判定する。切替わり判定部30では、信号残時間Tgが標準提供時間Tより短い場合には、標準提供時間Tの経過前に信号機104の灯色が切替わると判定する。
【0030】
制御部30は、標準提供時間Tの経過前に信号機104が切替わると判定された場合(ケース2)に、信号機104の灯色の切替わりのタイミングに合わせて、報知手段26による灯色情報の提供を終了させる。また、制御部30は、標準提供時間Tの経過前に信号機104が切替わると判定されなかった場合(ケース1)に、標準提供時間T分、報知手段26による情報提供を実行する。
【0031】
図5は、第1実施形態に係る信号情報提供装置による情報提供の開始地点及び終了地点を示す平面図である。図5(A)は、通常時(ケース1)について、図5(B)は、標準提供時間Tの経過前に信号機104が切替わると判定された場合(ケース2)について示している。
【0032】
図5に示すように、自車両100は、信号機104の手前の地点Oを通過する際に、光ビーコン装置102から光ビーコンを受信して、信号機104の信号機情報を取得する。自車両100が地点Aを通過して情報提供が開始される。そして、ケース1では、図5(A)に示すように、標準提供時間Tが経過して自車両100が地点Bを通過し、情報提供を終了する。ケース2では、図5(B)に示すように、標準提供時間Tの経過前に(地点B)、情報提供を終了し、情報提供の終了と同時に信号機104の灯色が切替わる。
【0033】
次に、本発明の第1実施形態に係る信号情報提供装置10で実行される処理手順について図6のフローチャートに沿って説明する。まず、信号情報提供装置10は、光ビーコン送受信機14によって、光ビーコン(信号機104の信号機情報)を受信する(S1)。受信した情報は、ECU12に入力される。
【0034】
次に、ECU12の切替わりタイミング算出部28は、入力した信号機情報に基づいて、信号機104の現在の灯色を認識すると共に、灯色が切替わるタイミングを算出する(S2)。ここでは、ECU12は、受信した信号機情報に基づいて、信号残時間Tgを算出する。
【0035】
続いて、ECU12は、信号残時間Tgが標準提供時間T以上であるか否かを判定し、標準提供時間の経過前に信号機104の灯色が切替わるか否かを判定する(S3)。信号残時間Tgが標準提供時間T以上である場合には、ステップ4に進み、信号残時間Tgが標準提供時間T以上ではない場合には、ステップ7に進む。すなわち、標準提供時間T分、現在の灯色情報を提供するとしたときに、その情報提供期間中に信号機104の灯色が切替わる場合には、ステップ7に進む。
【0036】
ステップ4では、ECU12は、信号残時間Tgが最小表示時間Tmin(例えば、1秒)より小さいか否かを判定する。最小表示時間Tminは、例えば、運転者が灯色情報表示を見てから、その表示内容を理解するまでの最短時間である。信号残時間Tgが最小表示時間Tminより小さいと判定された場合には、ステップ5に進み、信号残時間Tgが最小表示時間Tminより小さいと判定されなかった場合には、ステップ6に進む。
【0037】
ステップ5では、ECU12の制御部32は、報知手段26による情報提供を実行しないように設定を行う。ステップ6では、制御部32は、標準提供時間T分の情報提供を行うように、提供開始タイミング、提供終了タイミング、表示内容を設定し、指令信号を報知手段26に送信する。ステップ7では、制御部32は、信号残時間Tg分の情報提供を行うように、提供開始タイミング、提供終了タイミング、表示内容を設定し、指令信号を報知手段26に送信する。
【0038】
そして、報知手段26は、ECU12から指令信号に従い、信号機104の現在の灯色情報を表示する現示表示を行うと共に、信号機104の現在の灯色が切替わるまでの残時間を表示する推移表示を行い、運転者に情報提供を行う。すなわち、標準提供時間Tより信号残時間Tgが短い場合には、情報提供時間を短縮して、信号機104の灯色の切替わりと同時に、報知手段26による情報提供を終了する。
【0039】
このような信号情報提供装置10では、標準提供時間Tの経過前に、信号機104の現在の灯色が切替わるか否かを判定し、現在の灯色が切替わる場合には、報知手段26による情報提供を通常時と比較して短縮し、灯色の切替わりに合わせて終了するため、報知手段26によって提供された情報と、現在の灯色が異なることが防止される。また、標準提供時間Tの経過前に、信号機104の現在の灯色が切替わる場合には、信号機104の灯色切り替え後に、次の灯色情報は、表示されないため、提供される灯色情報への運転者の依存度の増加を抑制することができる。
【0040】
また、信号残時間Tgが最小表示時間Tminより短い場合に、報知手段26による灯色情報の提供を実行しないため、短時間の情報提供によって、運転者に煩わしさを感じさせることがない。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態の信号情報提供装置について、図面を参照して説明する。この第2実施形態の信号情報提供装置が第1実施形態の信号情報提供装置と違う点は、ECUによる処理手順が異なる点である。具体的には、通常時の標準提供時間Tの経過前に、信号機104の現在の灯色が切替わる場合には、提供時間を短縮せずに、情報提供の開始タイミングを早める点である。なお、第2実施形態に係る信号情報提供装置の装置構成は、第1実施形態の信号情報提供装置10と同様である。
【0042】
図7は、信号灯色切替わりタイミングと情報提供開始タイミングとの関係を示す図である。図7では、時間の経過を横方向に示し、通常時をケース1とし、標準提供時間Tの経過前に灯色が切替わる場合をケース3として説明する(以下、同じ)。切替わり判定部30は、受信した信号機情報に基づいて、提供開始(繰上げ前の提供開始タイミング)から信号機104が切替わるまでの残時間Tg(以下、「信号残時間Tg」という。)を算出する。信号残時間Tgは、光ビーコンを受信してから信号機104が切替わるまでの残時間Te、光ビーコンを受信してから情報提供開始(繰上げ前の提供開始タイミング)までの時間である提供前時間Tfに基づいて算出される(Tg=Te−Tf)。
【0043】
第2実施形態の切替わり判定部30は、標準提供時間Tの経過前に信号機104の灯色が切替わるか否かを判定する。切替わり判定部30では、信号残時間Tgが標準提供時間Tより短い場合には、標準提供時間Tの経過前に信号機104の灯色が切替わる(ケース3)と判定する。
【0044】
第2実施形態の制御部30は、標準提供時間Tの経過前に信号機104が切替わると判定された場合(ケース3)に、報知手段26による情報提供の終了と、信号機104の灯色の切り替えが一致するように、提供開始タイミングの繰上げを行う。制御部30は、標準提供時間Tと信号残時間Tgとの差である繰上げ時間Thを算出し、繰上げ時間Th分、情報提供の開始を早める。また、制御部30は、標準提供時間Tの経過前に信号機104が切替わると判定されなかった場合(ケース1)に、情報提供の開始タイミングの変更を実施せずに標準提供時間T分、報知手段26による情報提供を実行する。
【0045】
図8は、第2実施形態に係る信号情報提供装置による情報提供の開始地点及び終了地点を示す平面図である。図8(A)は、通常時(ケース1)について、図8(B)は、標準提供時間Tの経過前に信号機104が切替わると判定された場合(ケース3)について示している。
【0046】
図8に示すように、自車両100は、信号機104の手前の地点Oを通過する際に、光ビーコン装置102から光ビーコンを受信して、信号機104の信号機情報を取得する。ケース1では、図8(A)に示すように、自車両100が地点Aを通過して、報知手段26を用いた運転者への情報提供が開始され、標準提供時間Tの経過後(地点B)、情報提供を終了する。なお、情報提供が開始される地点Aは、光ビーコンを受信してからt秒後に自車両100が通過する地点、又は、光ビーコン装置102の設置点Oから距離La(m)交差点側の地点などと予め設定されている。
【0047】
一方、ケース3では、図8(B)に示すように、自車両100が地点Aを通過して、報知手段26を用いた運転者への情報提供が開始される。地点Aは、標準提供時間Tを確保すべく、情報提供開始タイミングを早めた際に自車両100が通過する地点である。そして、標準提供時間Tの経過後(地点B)、情報提供が終了すると共に、信号機104の灯色が切替わる。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態に係る信号情報提供装置10で実行される処理手順について図9を参照して説明する。図9のフローチャートが図6のフローチャートと違う点は、ステップ7に代えて、ステップ8を実行する点である。以下、ステップ8について説明する。
【0049】
ステップ8では、制御部32は、標準提供時間Tと信号残時間Tgとの差である繰上げ時間Thを算出し、繰上げ時間Th分、情報提供の開始を早めるように、提供開始タイミング、提供終了タイミング、表示内容を設定し、指令信号を報知手段26に送信する。
【0050】
なお、「標準提供時間T」が、自車両100が一定距離進む時間として設定されている場合に、車輪速センサ20によって検出された自車速、自車両100の位置に基づいて、繰上げ時間Thが算出される。例えば、上記一定距離(地点A〜B)をLabとした場合に、標準提供時間Tは、T=Lab/自車速Vによって算出され、繰上げ時間Thは、Th=T−Tgによって算出される。また、繰上げ時間Th及び自車速Vに基づいて、情報提供開始地点Aを設定する。
【0051】
このような第2実施形態の信号情報提供装置10では、標準提供時間Tの経過前に、信号機104の現在の灯色が切替わるか否かを判定し、現在の灯色が切替わる場合には、報知手段26による情報提供の開始タイミングを通常時より早めて、情報提供を灯色の切替わりに合わせて終了するため、報知手段26によって提供された情報と、現在の灯色が異なることが防止される。また、信号機104の現在の灯色が切替わる場合に、信号機104の灯色切り替え後、次の灯色情報は表示されないため、提供される灯色情報への運転者の依存度の増加を抑制することができる。また、灯色情報の提供時間が一定であるため、運転者が違和感を覚えることがなしに、提供される灯色情報の不整合を防止することができる。
【0052】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、通常時の標準提供時間Tの経過前に信号機の灯色が切替わる場合に、提供時間の短縮、又は、提供開始タイミングの繰上げを行っているが、提供開始タイミングの繰上げを行うと共に提供時間の短縮を実行してもよい。また、信号機の灯色が切替わるまでの残時間、自車両100の交差点までの残距離に応じて、運転者の違和感が低減するように、提供時間の短縮、又は、提供開始タイミングの繰上げを選択する構成としてもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、標準提供時間の経過前に信号機104の灯色が切替わる場合に、灯色の切替わりに合わせて、運転者への灯色情報の提供を終了しているが、例えば、信号機が切替わる前に、運転者への情報提供を終了してもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、信号機104の現在の灯色が青信号である場合について例示しているが、現在の灯色が、黄信号、赤信号、右折矢印信号などその他の場合にあっても適用可能である。
【0055】
また、上記実施形態では、信号残時間Tgが最小表示時間Tminより小さい場合に、運転者への灯色情報の提供を中止しているが、この場合に、灯色情報の提供を実行してもよい。また、システム上必要な最短時間を最小表示時間Tmin(情報提供可能最短時間)として設定してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、信号残時間Tgと標準提供時間Tとを比較して、標準提供時間Tの期間中に、信号機が切替わるか否かを判定しているが、その他の手法により、標準提供時間Tの期間中に、信号機が切替わるか否かを判定してもよい。例えば、標準提供時間Tに相当する自車両の移動距離Lを算出すると共に、信号残時間Tgに相当する自車両の移動距離Lgを算出し、移動距離Lgが移動距離Lより小さい場合に、標準提供時間Tの期間中に信号機が切替わると判定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係る信号情報提供装置を搭載した自車両の交差点への接近を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る信号情報提供装置を示すブロック構成図である。
【図3】表示装置に表示された信号灯色情報の一例を示す図である。
【図4】信号灯色切替わりタイミングと情報提供時間との関係を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る信号情報提供装置による情報提供の開始地点及び終了地点を示す平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る信号情報提供装置で実行される処理手順を示すフローチャートである。
【図7】信号灯色切替わりタイミングと情報提供開始タイミングとの関係を示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る信号情報提供装置による情報提供の開始地点及び終了地点を示す平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る信号情報提供装置で実行される処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
10…信号情報提供装置、12…電子制御ユニット、14…光ビーコン送受信機、16…GPS受信機、18…ナビゲーションシステム、20…車輪速センサ、26…報知手段、28…切替わりタイミング算出部、30…切替わり判定部(判定手段)、32…制御部、100…自車両、102…光ビーコン装置、104…信号機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した情報に基づいて、自車両前方の信号機の現在の灯色情報を提供するものであり、通常時には、一定時間又は自車両が一定距離進む時間である標準提供時間分、前記灯色情報を提供する信号情報提供装置において、
前記標準提供時間の経過前に、前記信号機の灯色が切替わるか否かを判定する判定手段を備え、
前記判定手段によって、前記標準提供時間の経過前に、前記信号機の灯色が切替わると判定された場合に、前記灯色情報の提供方法を変更することを特徴とする信号情報提供装置。
【請求項2】
前記判定手段によって、前記標準提供時間の経過前に、前記信号機の灯色が切替わると判定された場合に、前記信号機の灯色の切替わりに合わせて前記灯色情報の提供を中止することで、前記灯色情報の提供方法を変更する請求項1記載の信号情報提供装置。
【請求項3】
前記判定手段によって、前記標準提供時間の経過前に、前記信号機の灯色が切替わると判定された場合に、前記信号機の灯色の切替わりに応じて前記灯色情報の提供開始を早めることで、前記灯色情報の提供方法を変更する請求項1又は2記載の信号情報提供装置。
【請求項4】
前記灯色情報の提供開始から前記信号機の灯色が切替わるまでの時間が、前記灯色情報の提供開始から運転者が前記灯色情報を認識するまでの最短時間である情報提供可能最短時間より短くなる場合に、前記灯色情報の提供を実行しないことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の信号情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−258778(P2009−258778A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103623(P2008−103623)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】