説明

側面衝突用エアバッグ制御装置

【課題】不必要な展開動作を防止することができる側面衝突用エアバッグ制御装置を提供すること。
【解決手段】本発明に係る側面衝突用エアバッグ制御装置1は、ドア加速度センサ2又は車体加速度センサ3の出力値が閾値を超えた場合に側面衝突用エアバッグ5の展開動作を制御する制御手段4aと、車両のフロントドア又はリヤドアに設置されるドアロック機構のロック状態を検出するロック状態検出手段6aと、ロック状態検出手段6aがドアロック機構のドアロックを検出した場合に、閾値を正常値よりも高い高設定値に変更する閾値変更手段4bを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車、トラック、バス等の自動車に適用して好適な側面衝突用エアバッグ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両においては、車両の側面に他車両が衝突した場合すなわち通常のバリヤ側面衝突又は、車両がロールオーバーしたりスピンしたりして電柱等のポールに側面衝突する場合に備えた、側面衝突用エアバッグ装置を備えたものがある。
【0003】
このような側面衝突用エアバッグ装置においては、側面衝突を精度良く検出して乗員を保護するために、車体に設けられた加速度センサと、フロントドア及びリヤドアに設けられた加速度センサにより、側面衝突時の加速度を検出して、この加速度が所定の閾値を超えた場合に、側面衝突用のエアバッグを展開して、乗員を保護することが行われている。ところがこのような側面衝突用エアバッグ装置においては、フロントドア又はリヤドアを乗員が強閉した場合における衝撃力による加速度を車体又はフロントドア又はリヤドアの加速度センサが検出し、この加速度が所定の閾値を超えた場合においては、側面衝突が発生していないにもかかわらず、側面衝突用のエアバッグが展開されてしまうと言う事態が生じる。
【0004】
このような事態を回避するために、例えば特許文献1に記載されているような側面衝突用エアバッグ装置が提案されている。この側面衝突用エアバッグ装置においては、フロントドア又はリヤドアに設けられたドアスイッチにより、フロントドア又はリヤドアの開から閉への変化を検出して、開から閉への変化が検出された後、一定時間経過するまでは、上述した加速度線センサの検出した加速度が所定の閾値を超えた場合でも側面衝突用エアバッグを展開することを禁止する処理が行われている。
【特許文献1】特開2007−137332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところがこのような側面衝突用エアバッグ制御装置においては、フロントドア又はリヤドアの閉動作が終了するタイミングである、ドア閉状態をドアスイッチにより検出した後一定時間経過するまで、側面衝突用エアバッグを展開することを禁止しているが、ドア閉状態がドアスイッチにより一旦検出された後でも、乗員によりドアロックがなされる又は自動ドアロック機能により自動ドアロックがなされるまでは、依然として乗員によりドア強閉動作が行われる可能性がある。このため、ドア閉状態をドアスイッチにより一旦検出して一定時間経過した後において、ドア強閉動作が行われて、フロントドア又はリヤドアの強閉による衝撃力による加速度が加速度センサにより検出されてしまい、この加速度が所定の閾値を超えた場合においては、依然として、側面衝突が発生していないにもかかわらず、側面衝突用のエアバッグが展開されてしまい、不要な展開動作が行われてしまうと言う問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑み、不必要な展開動作を防止することができる側面衝突用エアバッグ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の問題を解決するため、本発明に係る側面衝突用エアバッグ制御装置は、
ドア加速度センサ又は車体加速度センサの出力値が閾値を超えた場合に側面衝突用エアバッグの展開動作を制御する制御手段と、
車両のフロントドア又はリヤドアに設置されるドアロック機構のロック状態を検出するロック状態検出手段と、
前記ロック状態検出手段が前記ドアロック機構のドアロックを検出した場合に、前記閾値を正常値よりも高い高設定値に変更する閾値変更手段を備えることを、
ここで、前記側面衝突用エアバッグ制御装置において、
前記ロック状態検出手段が前記ドアロック機構のドアアンロックを検出した場合に、前記閾値変更手段が、前記閾値を前記高設定値から前記正常値に変更することが好ましい。
【0008】
これによれば、乗員により前記フロントドア又はリヤドアが強閉された場合に、前記フロントドア又はリヤドアの強閉の衝撃力に起因する加速度が発生して、前記ドア加速度センサの出力値又は前記車体加速度センサの出力値が上昇しても、前記強閉が行われる可能性のある、前記ドアロックがなされていない状態を前記ロック状態検出手段が検出して、前記ドアロックがなされていない状態においては、前記閾値変更手段が前記閾値を正常値から前記正常値より高い前記高設定値に変更しているので、前記ドア加速度センサの出力値又は前記車体加速度センサの出力値が上昇して前記閾値を超えることを防止することができる。
【0009】
これにより、従来技術で問題となった、前記フロントドア又はリヤドアの閉状態をドアスイッチにより検出した後に、前記ドアロックがなされるまでの間において、前記フロントドア又はリヤドアの強閉による衝撃力による加速度が、前記ドア加速度センサ又は前記車体加速度センサにより検出されてしまい、この前記ドア加速度センサ又は前記車体加速度センサの出力値が前記閾値を超えて、側面衝突が発生していないにもかかわらず、側面衝突用のエアバッグが展開されてしまい、不要な展開動作が行われてしまうことを防止することができる。
【0010】
ここで、前記側面衝突用エアバッグ制御装置において、
車速を検出する車速検出手段を備えるとともに、前記車速が所定値以上となった場合に、自動的に前記ドアロック機構のドアロックを行う自動ドアロック手段を備えることが好ましい。
【0011】
これによれば、自動ドアロック機能を備えた車両においても、本発明を適用することができる。さらに、前記自動ドアロック手段により前記車速が所定値以上となった場合に、車両のドアロックを行った後に、前記ロック状態検出手段がドアロックを検出して初めて、前記閾値変更手段が前記閾値を前記正常値から前記高設定値に変更することになるので、車両発進から前記車速が所定値に到達するまでの低速領域において、乗員がドア強閉動作を行った場合においても、前記側面衝突用エアバッグを不必要に展開することを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、不必要な展開動作を防止することができる側面衝突用エアバッグ制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る側面衝突用エアバッグ制御装置の一実施例を示す模式図である。
【0015】
本実施例1の側面衝突用エアバッグ制御装置1は、車両のフロントドア及びリヤドアの合計四箇所に設けられるドア加速度センサ2と、車両のフロアの水平面視におけるほぼ中心に配置される車体加速度センサ3と、エアバッグECU4(Electronic Control Unit)と、エアバッグ5と、ボディECU6を備えて構成される。なおエアバッグECU4とボディECU6とはCAN(Controller Area Network)等の通信規格により接続される。
【0016】
ドア加速度センサ2は、車両のフロントドアF及びリヤドアRの内部に設けられる加速度センサにより構成されるものであり、車両の側面衝突時の衝撃力に起因するそれぞれのドアに発生する加速度を検出して、その検出値をエアバッグECU4に出力するものである。なおドア加速度センサ2は、ここでは詳細は図示しないがフロントドア及びリヤドアを構成するインパクトビームと後端部との溶接による接合部分に設置される。
【0017】
車体加速度センサ3は、車両のフロントドアとリヤドアとの車両前後方向の中間に位置して、車両のフロアの下面に水平面視においてほぼ中央に配置される加速度センサにより構成されるものであり、これも車両の側面衝突時の衝撃力に起因する加速度を検出して、その検出値をエアバッグECU4に出力するものである。
【0018】
エアバッグECU4は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバス及び入出力インターフェースから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べるそれぞれの処理を行う制御手段4a及び閾値変更手段4bを構成するものである。
【0019】
エアバッグ5は、側面衝突用エアバッグであって、フロントドア又はリヤドアの車室内に面する側面又は、シートのシートバックに設けられて、側面衝突時に乗員の主に胴部とドアとの間で展開して、主に乗員の胴部を保護するサイドエアバッグと、車両のルーフサイドレールに沿って設けられて、乗員の頭部近傍と車体内側面との間に展開して、主に乗員の頭部を保護するカーテンエアバッグとの双方を含むものとする。
【0020】
エアバッグ5は、側面衝突をエアバッグECU4の制御手段4aが前述したドア加速度センサ2又は車体加速度センサ3により検出した場合に、制御手段4aの展開信号に基づいて、内蔵するインフレータ内のガス発生剤が点火されて、瞬間的に発生する大量の窒素ガス等の不活性ガスがエアバッグ5を構成するエアバッグ内に充填されることにより膨張することにより、展開動作される。
【0021】
エアバッグECU4の制御手段4aは、ドア加速度センサ2の出力値が閾値αを超えた場合、又は、車体加速度センサ3の出力値が閾値βを超えた場合において、エアバッグ5を動作させる展開信号を出力する。なお、ドア加速度センサ2の出力値が閾値αを超えた場合においては、このドア加速度センサ2が設置されているフロントドア又はリヤドアに該当する部位のエアバッグ5のみを展開しても良いし、全てのエアバッグ5を展開しても良い。
【0022】
ボディECU6は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバス及び入出力インターフェースから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べるそれぞれの処理を行うロック状態検出手段6aを構成するものであって、ロック状態検出手段6aは図示しないドアロック機構に設けられた接点の出力に基づいて、フロントドア又はリヤドアのロック状態がドアロックであるかドアアンロックであるかを検出する。
【0023】
エアバッグECU4の閾値変更手段4bは、ボディECU6のロック状態検出手段6aがフロントドア又はリヤドアのドアロックを検出した場合においては、閾値αを正常値よりも高い高設定値に変更するとともに、閾値βも正常値よりも高い高設定値に変更する。
【0024】
エアバッグECU4の閾値変更手段4bは、ボディECU6のロック状態検出手段6aがフロントドア又はリヤドアのドアアンロックを検出した場合においては、閾値αを正常値よりも高い高設定値から正常値に変更するとともに、閾値βも正常値よりも高い高設定値から正常値に変更する。
【0025】
なお、閾値αと閾値βは、同一の側面衝突においても、フロントドア又はリヤドアに発生する加速度と、フロア中央で発生する加速度は相違しており、これに伴って、前者の加速度を検出するドア加速度センサ2の出力値と、後者の加速度を検出する車体加速度センサ3の出力値とも相違するため、閾値αに適用される正常値と正常値よりも高い高設定値と、閾値βに適用される正常値と正常値よりも高い高設定値とは相違するものとする。
【0026】
ここで、閾値α及び閾値β双方において、正常値に対して高設定値をどの程度たかくするかは、実車を用いたドア強閉試験により測定された実験値に基づいて、適宜決定することができる。
【0027】
以下本実施例1の側面衝突用エアバッグ制御装置1の制御内容を、フローチャートを用いて説明する。図2は、本発明に係わる側面衝突用エアバッグ制御装置の一実施例による制御内容を示すフローチャートである。
【0028】
図2に示すように、S1において、エアバッグECU4の制御手段4aはドア加速度センサ2の出力値を検出し、S2において、エアバッグECU4の制御手段4aは車体加速度センサ3の出力値を検出し、S3において、ボディECU6のロック状態検出手段6aは、ドアロック機構のロック状態を検出する。
【0029】
S4において、エアバッグECU4の閾値変更手段4bは、ボディECU6のロック状態検出手段6aの検出したロック状態がドアロックかドアアンロックかを判定し、ドアロックでない場合すなわちドアアンロックである場合においては、S5にすすんで、閾値αを正常値から正常値よりも高い高設定値に変更し、閾値βも正常値から正常値よりも高い高設定値に変更する。
【0030】
S4において、エアバッグECU4の閾値変更手段4bは、ボディECU6のロック状態検出手段6aの検出したロック状態がドアロックかドアアンロックかを判定し、ドアロックである場合においては、S6にすすんで、閾値αを正常値よりも高い高設定値から正常値に変更し、閾値βも正常値よりも高い高設定値から正常値に変更する。
【0031】
その後、S7にすすんで、S7において、エアバッグECU4の制御手段4aは、ドア加速度センサ2の出力値が閾値αを越えたかどうかを判定し、超えた場合には、側面衝突が発生しているとみなして、S9にすすみ、エアバッグ5を動作させるようにエアバッグ5に対して展開信号を出力する。
【0032】
S7において、エアバッグECU4の制御手段4aがドア加速度センサ2の出力値が閾値αを超えていないと判定する場合には、S8にすすみ、S8において、エアバッグECU4の制御手段4aは、車体加速度センサ3の出力値が閾値βを超えているかどうかを判定する。S8において、車体加速度センサ3の出力値が閾値βを超えていると判定される場合には、エアバッグECU4の制御手段4aは側面衝突が発生しているとみなして、S9にすすんで、エアバッグ5を動作させるようにエアバッグ5に対して展開信号を出力する。
【0033】
S8において、車体加速度センサ3の出力値が閾値βを超えていると判定されない場合には、エアバッグECU4の制御手段4aは側面衝突が発生していないとみなして、エアバッグ5に展開信号を出力することなく、制御を終了する。
【0034】
以上述べた本実施例1によれば、以下のような作用効果を得ることができる。すなわち、乗員によりフロントドア又はリヤドアが強閉された場合に、フロントドア又はリヤドアの強閉の衝撃力に起因する加速度が発生して、ドア加速度センサ2の出力値又は車体加速度センサ3の出力値が上昇しても、強閉が行われる可能性のある、ドアロックがなされていない状態を、ボディECU6のロック状態検出手段6aが検出して、ドアロックがなされていない状態においては、エアバッグECU4の閾値変更手段4bが閾値α及び閾値βを正常値から正常値より高い高設定値に変更しているので、ドア加速度センサ2の出力値が上昇して閾値αを超える、又は、車体加速度センサ3の出力値が上昇して閾値βを超えることを防止することができる。
【0035】
これにより、従来技術で問題となった、フロントドア又はリヤドアの閉状態をドアスイッチにより検出した後に、ドアロックがなされるまでの間において、フロントドア又はリヤドアの強閉が行われて、強閉による衝撃力による加速度が、ドア加速度センサ2又は車体加速度センサ3により検出されてしまい、このドア加速度センサ2の出力値が閾値αを超えて又は車体加速度センサ3の出力値が閾値βを超えて、側面衝突が発生していないにもかかわらず、側面衝突用のエアバッグ5が展開されてしまい、不要な展開動作が行われてしまうことを防止することができる。
【0036】
上述した実施例1においては、ドアロックを乗員がマニュアルにて行う場合を示したが、車両が自動ドアロック機能を備えるものである場合にも、本発明を適用することができる。これに関する実施例2について以下に述べる。
【実施例2】
【0037】
図3は、本発明に係る側面衝突用エアバッグ制御装置の一実施例を示す模式図である。
【0038】
本実施例2の側面衝突用エアバッグ制御装置11は、車両のフロントドア及びリヤドアの合計四箇所に設けられるドア加速度センサ2と、車両のフロアの水平面視におけるほぼ中心に配置される車体加速度センサ3と、エアバッグECU4(Electronic Control Unit)と、エアバッグ5と、ボディECU6と、ドアロックアクチュエータ7を備えて構成される。なお、実施例1に示した構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付して、重複する構成の説明は割愛する。
【0039】
ボディECU6は、例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを相互に接続するデータバス及び入出力インターフェースから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べるそれぞれの処理を行うロック状態検出手段6a、車速検出手段6b、自動ドアロック手段6cを構成するものであって、ロック状態検出手段6aは図示しないドアロック機構に設けられた接点の出力に基づいて、フロントドア又はリヤドアのロック状態がドアロックであるかドアアンロックであるかを検出する。
【0040】
ボディECU6の車速検出手段6bは図示しない車輪速センサから車速を検出し、自動ロアロック手段6cは、車速検出手段6bの検出した車速が所定値(例えば15km/h)以上となった場合においては、ドアロックアクチュエータ7を動作させて、図示しないドアロック機構によりドアロックを行う。
【0041】
エアバッグECU4の閾値変更手段4bは、ボディECU6のロック状態検出手段6aがフロントドア又はリヤドアの、自動ドアロック手段6cの制御に基づくドアロックを検出した場合においては、閾値αを正常値よりも高い高設定値に変更するとともに、閾値βも正常値よりも高い高設定値に変更する。
【0042】
エアバッグECU4の閾値変更手段4bは、ボディECU6のロック状態検出手段6aがフロントドア又はリヤドアのドアアンロックを検出した場合においては、閾値αを正常値よりも高い高設定値から正常値に変更するとともに、閾値βも正常値よりも高い高設定値から正常値に変更する。
【0043】
なおここでも、閾値αと閾値βは、同一の側面衝突においても、フロントドア又はリヤドアに発生する加速度と、フロア中央で発生する加速度は相違しており、これに伴って、前者の加速度を検出するドア加速度センサ2の出力値と、後者の加速度を検出する車体加速度センサ3の出力値とも相違するため、閾値αに適用される正常値と正常値よりも高い高設定値と、閾値βに適用される正常値と正常値よりも高い高設定値とは相違するものとする。
【0044】
以下本実施例2の側面衝突用エアバッグ制御装置11の制御内容を、フローチャートを用いて説明する。図4は、本発明に係わる側面衝突用エアバッグ制御装置の一実施例による制御内容を示すフローチャートである。
【0045】
図4に示すように、S11において、エアバッグECU4の制御手段4aはドア加速度センサ2の出力値を検出し、S12において、エアバッグECU4の制御手段4aは車体加速度センサ3の出力値を検出し、S13において、ボディECU6のロック状態検出手段6aは、ドアロック機構のロック状態を検出し、S14において、ボディECU6の車速検出手段6bは、車速を検出する。
【0046】
S15において、ボディECU6の自動ドアロック手段6cは、車速検出手段6bの検出した車速が所定値以上であるかを判定し、所定値以上である場合にはS16にすすんで、ドアロックアクチュエータ7を動作させてドアロック機構をドアロックし、所定値以上でない場合には、S16のステップをとばして、S17にすすむ。
【0047】
S17において、エアバッグECU4の閾値変更手段4bは、ドアロック機構がドアロックであるかドアアンロックであるかを判定し、ドアロックでない場合すなわちドアアンロックである場合においては、S18にすすんで、閾値αを正常値から正常値よりも高い高設定値に変更し、閾値βも正常値から正常値よりも高い高設定値に変更する。
【0048】
S17において、エアバッグECU4の閾値変更手段4bは、ボディECU6のロック状態検出手段6aの検出したロック状態がドアロックかドアアンロックかを判定し、ドアロックである場合においては、S19にすすんで、閾値αを正常値よりも高い高設定値から正常値に変更し、閾値βも正常値よりも高い高設定値から正常値に変更する。
【0049】
その後、S20にすすんで、S20において、エアバッグECU4の制御手段4aは、ドア加速度センサ2の出力値が閾値αを越えたかどうかを判定し、超えた場合には、側面衝突が発生しているとみなして、S22にすすみ、エアバッグ5を動作させるようにエアバッグ5に対して展開信号を出力する。
【0050】
S20において、エアバッグECU4の制御手段4aがドア加速度センサ2の出力値が閾値αを超えていないと判定する場合には、S21にすすみ、S21において、エアバッグECU4の制御手段4aは、車体加速度センサ3の出力値が閾値βを超えているかどうかを判定する。S21において、車体加速度センサ3の出力値が閾値βを超えていると判定される場合には、エアバッグECU4の制御手段4aは側面衝突が発生しているとみなして、S22にすすんで、エアバッグ5を動作させるようにエアバッグ5に対して展開信号を出力する。
【0051】
S21において、車体加速度センサ3の出力値が閾値βを超えていると判定されない場合には、エアバッグECU4の制御手段4aは側面衝突が発生していないとみなして、エアバッグ5に展開信号を出力することなく、制御を終了する。
【0052】
以上述べた本実施例2によれば、以下のような作用効果を得ることができる。すなわち、乗員によりフロントドア又はリヤドアが強閉された場合に、フロントドア又はリヤドアの強閉の衝撃力に起因する加速度が発生して、ドア加速度センサ2の出力値又は車体加速度センサ3の出力値が上昇しても、強閉が行われる可能性のある、自動ドアロック手段6cの制御に基づくドアロックがなされていない状態を、ボディECU6のロック状態検出手段6aが検出して、ドアロックがなされていない状態においては、エアバッグECU4の閾値変更手段4bが閾値α及び閾値βを正常値から正常値より高い高設定値に変更しているので、ドア加速度センサ2の出力値が上昇して閾値αを超える、又は、車体加速度センサ3の出力値が上昇して閾値βを超えることを防止することができる。
【0053】
これにより、従来技術で問題となった、フロントドア又はリヤドアの閉状態をドアスイッチにより検出した後に、ドアロックがなされるまでの間において、フロントドア又はリヤドアの強閉が行われて、強閉による衝撃力による加速度が、ドア加速度センサ2又は車体加速度センサ3により検出されてしまい、このドア加速度センサ2の出力値が閾値αを超えて又は車体加速度センサ3の出力値が閾値βを超えて、側面衝突が発生していないにもかかわらず、側面衝突用のエアバッグ5が展開されてしまい、不要な展開動作が行われてしまうことを防止することができる。
【0054】
これに加えて、ボディECU6の自動ドアロック手段6cにより車速が所定値以上となった場合に、車両のドアロックを行った後に、ボディECU6のロック状態検出手段6aがドアロックを検出して初めて、エアバッグECU4の閾値変更手段4bが閾値α及び閾値βを正常値から高設定値に変更することになる。このため、車両発進から車速が所定値に到達するまでの低速領域においては、乗員がドア強閉動作を行う可能性が大きいことを鑑みて、万一低速走行中に乗員がドア強閉動作を行った場合においても、エアバッグ5を不必要に展開することを防止することができる。
【0055】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、自動車に適用される側面衝突用エアバッグ制御装置に関するものであり、比較的軽微な装置の追加変更によりより、不必要な展開動作を防止することができる側面衝突用エアバッグ制御装置を提供することができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用可能であると共に有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る側面衝突用エアバッグ制御装置の一実施例を示す模式図である。
【図2】本発明に係る側面衝突用エアバッグ制御装置の一実施例の制御内容を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る側面衝突用エアバッグ制御装置の一実施例を示す模式図である。
【図4】本発明に係る側面衝突用エアバッグ制御装置の一実施例の制御内容を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1 側面衝突用エアバッグ制御装置
2 ドア加速度センサ
3 車体加速度センサ
4 エアバッグECU
4a 制御手段
4b 閾値変更手段
5 エアバッグ
6 ボディECU
6a ロック状態検出手段
6b 車速検出手段
6c 自動ドアロック手段
7 ドアロックアクチュエータ
11 側面衝突用エアバッグ制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア加速度センサ又は車体加速度センサの出力値が閾値を超えた場合に側面衝突用エアバッグの展開動作を制御する制御手段と、車両のフロントドア又はリヤドアに設置されるドアロック機構のロック状態を検出するロック状態検出手段と、前記ロック状態検出手段が前記ドアロック機構のドアロックを検出した場合に、前記閾値を正常値よりも高い高設定値に変更する閾値変更手段を備えることを特徴とする側面衝突用エアバッグ制御装置。
【請求項2】
前記ロック状態検出手段が前記ドアロック機構のドアアンロックを検出した場合に、前記閾値変更手段が、前記閾値を前記高設定値から前記正常値に変更することを特徴とする請求項1に記載の側面衝突用エアバッグ制御装置。
【請求項3】
車速を検出する車速検出手段を備えるとともに、前記車速が所定値以上となった場合に、自動的に前記ドアロック機構のドアロックを行う自動ドアロック手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の側面衝突用エアバッグ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−161059(P2009−161059A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−1152(P2008−1152)
【出願日】平成20年1月8日(2008.1.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】