説明

充電装置

【課題】簡便な構成で、残電荷の放電を行う。
【解決手段】商用交流電源71が接続される通常充電インレット21と、充電ステーション81が接続される急速充電インレット41と、通常充電インレット21に接続され、商用交流電源71の電力をバッテリ11への充電電力に変換する充電器23と、バッテリ11に接続される共通充電電路50と、共通充電電路50と充電器23とを接続する第1の充電電路20と、共通充電電路50と急速充電インレット41とを接続する第2の充電電路40と、共通充電電路50に配置される共通リレー53と、を含み、第1の充電電路20は第1のプラス側充電電路27と第1のマイナス側充電電路28を含み、第1のプラス側充電電路27と第1のマイナス側充電電路28との間にスイッチングトランジスタ31と放電抵抗32とを直列に接続した放電回路30を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池に充電した電力によってモータを駆動して走行する電気自動車では、走行のために外部の電源によって二次電池を充電することが必要となる。このため、電気自動車には、交流100V或いは交流200Vの商用の外部電源に接続して二次電池を充電する充電器が搭載されている。しかし、電気自動車用の二次電池は容量が大きいことから、商用の電源を昇圧して二次電池を充電するには数時間の充電が必要となるという問題があった。このため、電気自動車に搭載している二次電池の充電電圧まで昇圧した直流電力を供給することの出来る充電ステーション等を設置し、充電ステーションと電気自動車に搭載さされた二次電池とを接続し、二次電池を短時間で充電する急速充電が行われるようになってきている。この急速充電によれば、電気自動車の二次電池を数十分で充電することが出来る。しかし、商用の交流電源から二次電池に充電する通常充電と急速充電の両方の方式で同時に二次電池を充電することは好ましくない。そこで、通常充電と急速充電の各プラグに信号線を取り付け、各プラグが差し込まれたことを検知し、両方のプラグが差し込まれた場合でもいずれか一方の充電系統のみから二次電池を充電する方法が提案されている。また、通常充電のための充電インレットと急速充電のための充電インレットを一体とし、いずれか一方の方式の充電プラグしか接続できないようにして、いずれか一方の充電系統のみから二次電池を充電する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、充電器は過電流を防止するとともに、安定して二次電池を充電することが出来るように、内部に電荷を蓄えるコンデンサを備えていることが多い。充電中、コンデンサには電荷が蓄えられているので、充電を停止する場合には蓄えられた電荷を開放しておくことが必要となる。このため、充電器の中には、コンデンサに溜まった電荷を放電させる放電抵抗が備えられている場合が多い(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−77557号公報
【特許文献2】特開平8−103030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、二次電池への充電系統と電気自動車の電源系統との間には、充電していない場合に2つの電気系統を遮断するリレーが設けられている。通常充電を行う系統の場合、電気自動車に搭載した充電器と電気自動車の電源ラインとの間にリレーが設けられ、急速充電を行う系統の場合には、急速充電インレットと電気自動車の電源ラインとの間にリレーが設けられる場合が多い。しかし、リレーを二箇所に設けると、充電系統の構成が複雑になることから、近年は、共通の充電ラインを通して二次電池への充電系統を構成し、共通の充電ラインに共通のリレーを設け、系統構成を簡素化する場合がある。また、通常充電インレットと急速充電インレットとが別々に設けられている場合に、両方の充電インレットから充電がされないように急速充電インレットが開放された場合には、インターロックによってリレーがオフとなり、充電が停止するよう構成されている場合がある。この場合、通常充電系統に取り付けられている充電器内部のコンデンサの電荷を放電することが出来ずに残電荷となり、急速充電インレットに電位が発生してしまう場合があるという問題があった。
【0006】
また、オンオフ動作の際の突入電流等によってリレーが溶着してしまう場合があるが、リレーが溶着したまま充電を行うと外部電源と接続する充電系統と電気自動車の電源系統の遮断ができなくなってしまうという問題がある。このため、リレーについては、溶着が無く正常に動作しているかどうかを確認する溶着チェックが必要となる。リレーの溶着チェックを行うには、リレーの充電系統側に電圧を検出する電圧センサを設け、リレーのプラス、マイナスの各接点を一方ずつオンにして電圧センサによって検出される電圧から溶着判断を行うことが多い。しかし、電圧センサによって溶着チェックをすると部品点数が増えてしまい、構造が複雑になってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、簡便な構成で、残電荷の放電を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の充電装置は、蓄電装置を充電する充電装置であって、第1の外部電源が接続される第1の充電インレットと、第2の外部電源が接続される第2の充電インレットと、前記第1の充電インレットに接続され、前記第1の外部電源の電力を前記蓄電装置への充電電力に変換する充電器と、前記蓄電装置に接続される共通充電電路と、前記共通充電電路と前記充電器とを接続する第1の充電電路と、前記共通充電電路と前記第2の充電インレットとを接続する第2の充電電路と、前記共通充電電路に配置される共通リレーと、を含み、前記第1の充電電路は第1のプラス側充電電路と第1のマイナス側充電電路を含み、前記第1のプラス側充電電路と前記第1のマイナス側充電電路との間にスイッチング素子と放電抵抗とを直列に接続した放電回路を接続したこと、を特徴とする。
【0009】
本発明の充電装置において、前記共通リレーと前記スイッチング素子とをオンオフさせる制御部を含み、前記第1の外部電源によって前記蓄電装置の充電を行っている際に、前記第2の充電インレットが開放された場合に、前記共通リレーをオフとすると共に、前記スイッチング素子をオンとする充電停止手段を有すること、としても好適である。
【0010】
本発明の充電装置において、前記蓄電装置からの電流を検出する電流センサを含み、前記共通充電電路は、プラス側共通充電電路とマイナス側共通充電電路を含み、前記共通リレーは、前記プラス側共通充電電路を入り切りするプラス側接点と、前記マイナス側共通充電電路を入り切りするマイナス側接点とを含み、前記制御部は、前記スイッチング素子をオンとした状態でプラス側接点とマイナス側接点とをいずれか一方がオン、他方がオフとなるように交互にオンオフさせて、電流センサで検出した電流によって、プラス側接点又はマイナス側接点の溶着検出を行うリレー溶着検出手段を有すること、としても好適である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、簡便な構成で、残電荷の放電を行うことが出来るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態における充電装置の構成を示す系統図である。
【図2】本発明の実施形態における充電装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における充電装置の動作を示すタイムチャートである。
【図4】本発明の実施形態における充電装置の強制停止動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態における充電装置の強制停止動作を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の実施形態における充電装置のリレー溶着チェック動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態における充電装置のリレー溶着チェック動作を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。本実施形態の充電装置100は、電動車両に搭載された充放電可能な蓄電装置であるバッテリ11を第1、第2の外部電源によって充電するもので、バッテリ11のプラス側出力線12とマイナス側出力線13とにそれぞれ接続された共通充電電路50と、共通充電電路50に設けられ、共通充電電路50を入り切りする共通リレー53と、共通充電電路50と充電器23とを接続する第1の充電電路20と、充電器23に接続される第1の充電インレットである通常充電インレット21と、共通充電電路50と第2の充電インレットである急速充電インレット41とを接続する第2の充電電路40とを含んでいる。共通充電電路50はプラス側共通充電電路51と、マイナス側共通充電電路52とを含み、第1の充電電路20は第1のプラス側充電電路27と第1のマイナス側充電電路28とを含み、第2の充電電路40は第2のプラス側充電電路43と第2のマイナス側充電電路44とを含んでおり、プラス側共通充電電路51は、第1のプラス側充電電路27、第2のプラス側充電電路43とに接続され、マイナス側共通充電電路52は、第1のマイナス側充電電路28、第2のマイナス側充電電路44とに接続されている。また、共通充電電路50に設けられた共通リレー53は、プラス側共通充電電路51を入り切りするプラス側接点54と、マイナス側共通充電電路52を入り切りするマイナス側接点55とを備えている。
【0014】
第1の外部電源は、100V或いは200Vの商用交流電源71であり、コネクタ72,73と通常充電ケーブル74を介して通常充電プラグ75に接続されている。通常充電インレット21に取り付けられている蓋22を開けて通常充電プラグ75を通常充電インレット21に挿入すると商用交流電源71と充電器23とが接続されるよう構成されている。また、第2の外部電源は、充電ステーション81から供給される商用交流電源よりも高圧の200V或いは400Vの高圧の直流電源である。充電ステーション81には急速充電ケーブル84が接続され急速充電ケーブル84の先端には急速充電プラグ85が取り付けられている。急速充電インレット41に取り付けられている蓋42を開けて急速充電インレット41に急速充電プラグ85を挿入すると、高圧の直流電源は第2の充電電路に接続される。また、通常充電インレット21、急速充電インレット41には、それぞれ通常充電プラグ75、急速充電プラグ85が挿入、接続されると、その接続状態を出力する信号線が内蔵されている。
【0015】
充電器23は、交流電力をバッテリ充電用の高圧の直流電力の変換する電力変換回路24を内部に含み、プラス側の出力端には逆流防止のためのダイオード26が設けられ、ダイオード26の上流側のプラス側出力端とマイナス側出力端との間にはコンデンサ25が接続されている。また、第1の充電電路20の第1のプラス側充電電路27と第1のマイナス側充電電路28との間には、スイッチング素子であるスイッチングトランジスタ31と放電抵抗32とが直列に接続された放電回路30が設けられている。
【0016】
バッテリ11のプラス側出力線12には、バッテリ11の入出力電流を検出する電流センサ63が設けられている。また、通常充電インレット21、急速充電インレット41にはそれぞれ蓋22,42の開閉を検知するスイッチ61,62が設けられている。
【0017】
バッテリ11のプラス側出力線12、マイナス側出力線13はパワーコントロールユニット(PCU)15に接続され、PCU15は車両駆動用のモータジェネレータ16に接続され、バッテリ11に充電した電力で車両を駆動するよう構成されている。バッテリ11の出力線にはプラス側出力線12、マイナス側出力線13を入り切りするシステムメインリレー14が設けられている。
【0018】
システムメインリレー14、共通リレー53、スイッチングトランジスタ31、充電器23はそれぞれ制御部90に接続され、制御部90の指令によって動作するよう構成されている。共通リレー53は、プラス側接点54とマイナス側接点55とがそれぞれ制御部90に接続され、各接点54,55はそれぞれ独立してオンオフされるよう構成されている。また、電流センサ63、通常充電インレット21、急速充電インレット41、スイッチ61,62の信号はそれぞれ制御部90に入力されるよう構成されている。制御部90は、内部に信号処理を行うCPUと、制御プログラムや制御データ等を記憶する記憶部とを含むコンピュータである。
【0019】
以上のように構成された充電装置100によってバッテリ11を充電する場合の動作について説明する。まず、通常充電を行う場合には、商用交流電源71のコネクタ72に通常充電プラグ75側のコネクタ73を差し込んで商用交流電源71と通常充電プラグ75とを接続する。そして、通常充電インレット21の蓋22を開けて、通常充電インレット21に通常充電プラグ75を挿入し、商用交流電源71と充電器23とを接続する。通常充電インレット21に通常充電プラグ75が挿入、接続されると、制御部90には接続状態となったことを示す信号が通常充電インレット21から出力される。制御部90は、図2のステップS101に示すように、その信号により商用交流電源71と充電器23とが接続されたと判断する。制御部90は、通常充電インレット21に通常充電プラグ75が接続され、商用交流電源71と充電器23とが接続されたと判断したら、図2のステップS102に示すように、それまでオンとなっていたスイッチングトランジスタ31をオフとして、第1のプラス側充電電路27と第1のマイナス側充電電路28の間を遮断する。そして、図2のステップS103,S104に示すように、制御部90は、共通リレー53とシステムメインリレー14をオンとして充電器23とバッテリ11とを接続し、図2のステップS105に示すように、充電器23を始動する。充電器23が始動すると、充電器23に入力された交流電力は、内部の電力変換回路によって直流電力に変換されると共に、バッテリ11を充電するために必要な電圧まで昇圧され、一端コンデンサ25に電荷として蓄えられた後、出力端から第1の充電電路20に流れる。第1の充電電路20に流れた高圧の直流電力は、共通充電電路50、共通リレー53を通ってバッテリ11のプラス側出力線12、マイナス側出力線13に流れ、バッテリ11を充電していく。この際、第2の充電電路40にも第1の充電電路20と同様の電位が発生するが、急速充電インレット41の蓋42は閉じられており、その電位が外部に漏れることはない。
【0020】
図2のステップS106に示すように、制御部90は、バッテリ11の残存容量(SOC)が所定の閾値以上になったら、図2のステップS107に示すように、充電器23を停止した後、図2のステップS108に示すように、システムメインリレー14をオフとして車両の電源系統とバッテリ11とを切り離すとともに、図2のステップS109に示すように、共通リレー53をオフとして充電系統と電動車両の電源系統とを切り離す。そして、図2のステップS110に示すように、通常充電プラグ75が引き抜かれるまで、待機する。通常充電プラグ75が引き抜かれると、通常充電プラグ75から制御部90に出力されている接続信号がなくなるので、制御部90は、通常充電プラグ75が引き抜かれたと判断し、図2のステップS111に示すように、スイッチングトランジスタ31をオンとする指令を出力する。この指令によって図3に示す時間tに、スイッチングトランジスタ31がオンとなり、第1のプラス側充電電路27と第1のマイナス側充電電路28とが放電抵抗32を介して接続される。すると、図3(a)に示すように、コンデンサ25に残留していた残電荷は第1のプラス側充電電路27、スイッチングトランジスタ31、放電抵抗32を通して第1のマイナス側充電電路28に流れて放電される。残電荷がなくなって放電電流がゼロとなっても、スイッチングトランジスタ31はオンの状態を保持する。そして、最後に通常充電インレット21の蓋22を閉めて充電作業を終了する。このように、スイッチングトランジスタ31をオンとすることにより第1の充電電路20の残留電位をゼロとすると、それに接続されている第2の充電電路40の電位もゼロとなり、急速充電のために急速充電インレット41の蓋42を開けて急速充電インレット41を開放した場合でもその残留している電位によって外部にある他の機器が損傷を受けたりすることを抑制することができる。
【0021】
また、充電ステーション81によってバッテリ11を充電する場合には、急速充電インレット41の蓋42を開けて、急速充電インレット41に急速充電プラグ85を挿入し、充電ステーション81と第2の充電電路40を接続する。充電ステーション81と第2の充電電路40とが接続されると、制御部90には接続状態となったことを示す信号が急速充電インレット41から出力される。制御部90は、その信号により、充電ステーション81と第2の充電電路40とが接続されたと判断する。このとき、通常充電プラグ75は通常充電インレット21に差し込まれていないので、スイッチングトランジスタ31はオフの状態を保っており、第1のプラス側充電電路27と第1のマイナス側充電電路28とは遮断された状態となっている。また、ダイオード26によって第2の充電電路40から充電器23へ電流が流れないようになっている。制御部90は、共通リレー53とシステムメインリレー14をオンとして充電ステーション81とバッテリ11とを接続し、充電ステーションからの高圧の直流電力の供給を開始し、バッテリ11を充電する。急速充電によってバッテリ11が充電されて、残存容量(SOC)が所定の閾値以上となったら、充電ステーション81からの直流電力の供給を停止した後、急速充電プラグ85を急速充電インレット41から抜いて急速充電インレット41の蓋42を閉めて充電作業を終了する。
【0022】
次に、通常充電中に充電を強制停止する場合の動作について説明する。本実施形態では、通常充電の際の充電器23からバッテリ11へは第1の充電電路20と共通充電電路50を通して電流が流れる。ところが、共通充電電路50は、第2の充電電路40と接続されていることから、第1の充電電路20からバッテリ11に充電している場合には第2の充電電路40の第2のプラス側充電電路43と第2のマイナス側充電電路44との間には電位が発生している。このため、通常充電中に急速充電インレット41の蓋42を開けてしまった場合には、第2の充電電路40の電位によって外部にある機器が損傷を受けてしまう場合がある。このため、本実施形態の充電装置100では、通常充電中に急速充電インレット41の蓋42が開けられて、急速充電インレット41が開放された場合には、そのことを検知して通常充電を強制停止するインターロックが組み込まれている。
【0023】
図4のステップS201に示すように、制御部90は、通常充電が正常に行われている場合には、強制停止動作をせずに待機している。そして、図4のステップS202に示すように、通常充電中に急速充電インレット41の蓋42が開けられると、スイッチ62が動作し、信号が制御部90に入力される。この信号が入力されると制御部90は、通常充電中に急速充電インレット41の蓋42が開放されたと判断し、図4のステップS203に示すように充電器23を停止させ、図4のステップS204、図5の時間tに示すように、システムメインリレー14をオフとして車両の電源系統とバッテリ11とを切り離すとともに、図4のステップS205、図5の時間tに示すように、共通リレー53をオフとして充電系統と電動車両の電源系統とを切り離す。図5に示すように、この間も通常充電プラグ75は通常充電インレット21に差し込まれたままである。そして、制御部90は、図4のステップS206、図5の時間tに示すように、スイッチングトランジスタ31をオンとする。すると、図5(a)に示すように、コンデンサ25に残留していた残電荷は第1のプラス側充電電路27、スイッチングトランジスタ31、放電抵抗32を通して第1のマイナス側充電電路28に流れて放電される。
【0024】
以上説明したように、本実施形態では、通常充電中に急速充電インレット41の蓋42が開放された場合に、充電を強制的に停止するとともに、スイッチングトランジスタ31をオンとしてコンデンサ25を放電させるので、第1、第2の充電電路20,40に電荷が残留せず、充電を強制停止させた場合でも外部にある他の機器が損傷を受けたりすることを抑制することができる。
【0025】
次に図6、図7を参照しながら本実施形態の充電装置100によって、共通リレー53の溶着チェックを行う動作について説明する。共通リレーの溶着チェックを行う場合には充電は停止している状態であり、スイッチングトランジスタ31はオンとなっている。図6のステップS301に示すように、制御部90は、まずシステムメインリレー14をオンとする。そして、図6のステップS302、図7の時間tに示すように、共通リレー53のプラス側接点54をオンとし、マイナス側接点55をオフの状態にする。この際、マイナス側接点が溶着しており、制御部90からのオフの指令によっても開放されない場合には、バッテリ11の電位によって、バッテリ11プラス側からプラス側出力線12、システムメインリレー14、プラス側共通充電電路51、オンとなっている共通リレー53のプラス側接点54、第1のプラス側充電電路27、スイッチングトランジスタ31、放電抵抗32、第1のマイナス側充電電路28、溶着している共通リレー53のマイナス側接点55、マイナス側共通充電電路52、バッテリ11のマイナス側出力線13を経由してバッテリ11のマイナス側に電流が流れ、電流センサ63によって図7の点線aに示すように電流が検出される。この状態で、制御部90は、図6のステップS303に示すように、バッテリ11のプラス側出力線12に設けられた電流センサ63によって検出される電流値を取得し、図6のステップS304に示すように、その電流値が閾値よりも大きい場合には共通リレー53のマイナス側接点55が溶着していると判断し、その電流値が閾値よりも小さい場合には、共通リレー53のマイナス側接点55は溶着せず正常であると判断する。マイナス側接点55が正常でなく、溶着していると判断したら制御部90は、図6のステップS310に示すように、共通リレー異常の信号を出力した後、図6のステップS309に示すように、システムメインリレー14をオフとして共通リレー53の溶着チェックを終了する。
【0026】
一方、マイナス側接点55が正常であると判断したら、制御部90は、図6のステップS305に示すように、プラス側接点54をオフとし、マイナス側接点55をオンとする。この場合、プラス側接点54が溶着していると、先に説明したと同様にバッテリ11からの電流が流れ、電流センサ63によって図7の実線bに示すように電流が検出される。図6のステップS306に示すように、制御部90はこの電流値を取得する。図6のステップS307に示すように、制御部90は電流センサ63の電流値によってプラス側接点54の溶着判断を行う。そして、プラス側接点54が正常で溶着していないと判断した場合には、共通リレー53の各接点54,55共に正常であることから、共通リレー正常の信号を出力する。また、プラス側接点54が正常ではなく、溶着状態にあると判断した場合には、図6のステップS310に示すように、共通リレー異常の信号を出力した後、図6のステップS309に示すように、システムメインリレー14をオフとして溶着チェックを終了する。
【0027】
以上説明した本実施形態では、バッテリ11の出力電流を検出する電流センサ63を用いて共通リレー53の溶着チェックを行うことができるので、溶着チェックのための電圧センサ等他の計器を用いない簡便な構成とすることができる。
【符号の説明】
【0028】
11 バッテリ、12 プラス側出力線、13 マイナス側出力線、14 システムメインリレー、15 パワーコントロールユニット(PCU)、16 モータジェネレータ、20 第1の充電電路、21 通常充電インレット、22,42 蓋、23 充電器、24 電力変換回路、25 コンデンサ、26 ダイオード、27 プラス側充電電路、28 マイナス側充電電路、30 放電回路、31 スイッチングトランジスタ、32 放電抵抗、40 第2の充電電路、41 急速充電インレット、43 プラス側充電電路、44 マイナス側充電電路、50 共通充電電路、51 プラス側共通充電電路、52 マイナス側共通充電電路、53 共通リレー、54 プラス側接点、55 マイナス側接点、61,62 スイッチ、63 電流センサ、71 商用交流電源、72,73 コネクタ、74 通常充電ケーブル、75 通常充電プラグ、81 充電ステーション、84 急速充電ケーブル、85 急速充電プラグ、90 制御部、100 充電装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置を充電する充電装置であって、
第1の外部電源が接続される第1の充電インレットと、
第2の外部電源が接続される第2の充電インレットと、
前記第1の充電インレットに接続され、前記第1の外部電源の電力を前記蓄電装置への充電電力に変換する充電器と、
前記蓄電装置に接続される共通充電電路と、
前記共通充電電路と前記充電器とを接続する第1の充電電路と、
前記共通充電電路と前記第2の充電インレットとを接続する第2の充電電路と、
前記共通充電電路に配置される共通リレーと、を含み、
前記第1の充電電路は第1のプラス側充電電路と第1のマイナス側充電電路を含み、
前記第1のプラス側充電電路と前記第1のマイナス側充電電路との間にスイッチング素子と放電抵抗とを直列に接続した放電回路を接続したこと、
を特徴とする充電装置。
【請求項2】
請求項1記載の充電装置であって、
前記共通リレーと前記スイッチング素子とをオンオフさせる制御部を含み、
前記第1の外部電源によって前記蓄電装置の充電を行っている際に、前記第2の充電インレットが開放された場合に、前記共通リレーをオフとすると共に、前記スイッチング素子をオンとする充電停止手段を有すること、
を特徴とする充電装置。
【請求項3】
請求項2に記載の充電装置であって、
前記蓄電装置からの電流を検出する電流センサを含み、
前記共通充電電路は、プラス側共通充電電路とマイナス側共通充電電路を含み、
前記共通リレーは、前記プラス側共通充電電路を入り切りするプラス側接点と、前記マイナス側共通充電電路を入り切りするマイナス側接点とを含み、
前記制御部は、前記スイッチング素子をオンとした状態でプラス側接点とマイナス側接点とをいずれか一方がオン、他方がオフとなるように交互にオンオフさせて、電流センサで検出した電流によって、プラス側接点又はマイナス側接点の溶着検出を行うリレー溶着検出手段を有すること、
を特徴とする充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−205755(P2011−205755A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69231(P2010−69231)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】