説明

光スキャナ装置および画像形成装置

【課題】ミラーデバイスと支持基板の位置がずれないように正確に接合することが可能な光スキャナ装置を提供する。
【解決手段】光反射部213を備えた質量部21と、質量部21を支持するための支持部24,25と、質量部21を回動可能に支持部24,25に連結する、弾性部を備えた連結部22,23とが形成された基体2に凹部61a,61bが形成され、基体2と接合し、基体2を支持する支持基板3に凹部61a,61bにはまる凸部63が形成されている。凸部63は半田合金をボール状に配置することにより形成されている。凹部61aの表面には金属膜62が形成され、凹部61aの金属膜62と凸部63を半田接合することにより、凹部61aと凸部63は固定される。一方、凸部63は凹部61bにはめ込まれるが固定はされない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光スキャナ装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を用いて画像描画を行うディスプレイ、プリンタ等に応用することを目的とした光偏向器においては、画像の解像度を上げるため、光走査の更なる高速化が要求されている。しかし、現状で用いられているポリゴンミラーやガルバノミラーの性能向上には限界があり、これらに置き換わる光偏向器としてMEMS(Micro Electro Mechanical System)によってシリコン基板を加工して製作したミラーデバイスが期待されている。このようなMEMSミラーは、ポリゴンミラーやガルバノミラーよりも高い共振周波数で駆動させることができるため、より解像度の高い画像形成が可能となる。
【0003】
一般に、シリコン基板で形成されたミラーデバイスは、土台、もしくは配線取り出し用の支持基板と接合される。この場合、ミラーデバイスと支持基板の接合位置がずれないように、精度良く貼り合わせる必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1に記載された光走査装置では、ミラー基板と接合するベース基板に貫通電極を設けておき、ミラーを駆動するための駆動電圧を貫通電極を介して外部より印加することができるようにしている。
【0005】
また、特許文献2に記載された光走査装置では、同一方向に形成されるベース基板上の駆動電極の外部電極を同一の高さで形成し、ベース基板上の電極とデバイスをはんだボール等により接合している。
【特許文献1】特開2004−109651号公報
【特許文献2】特開2005−257944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された方法は、カバー基板に貫通電極を設けなければならず、製造工程が複雑になるうえ、カバー基板を形成する材料も絶縁材料に限られる。
また、特許文献2に記載された方法では、位置合わせのための機構は別途設ける必要がある。
【0007】
本発明は、簡易な仕組みで、ミラーデバイスと支持基板の位置がずれないように正確に接合することが可能な光スキャナ装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る光スキャナ装置は、光反射性を有する光反射部を備えた質量部と、前記質量部を支持するための支持部と、前記質量部を回動可能に前記支持部に連結する、弾性部を備えた連結部と、が形成されており、前記弾性部を捩り変形させながら前記質量部を回動させることにより、前記光反射部で反射した光を対象物に走査する光スキャナ装置であって、前記質量部、前記支持部、および前記連結部を備えた第1の基板と、前記第1の基板と接合し、前記第1の基板を支持する第2の基板とを備え、前記第1の基板と前記第2の基板の一方に凹部が形成され、他方に前記凹部にはまる凸部が形成されているものである。
【0009】
本発明によれば、凹部と凸部をはめることにより、簡易な仕組みで、第1の基板と第2の基板の位置がずれないように正確に接合することができる。
【0010】
また、前記第1の基板の前記支持部には、前記凹部が備えられており、前記第2の基板には、前記凸部が備えられており、前記凹部の表面には金属膜が成膜されており、前記凸部は前記金属膜と接合可能な金属材料で形成されており、前記凹部と前記凸部は、金属接合されていることが望ましい。
【0011】
これにより、第1の基板を製造する際に凹部もいっしょに作製することができるので、製造工程を増やす必要がない。また、第2の基板上の凸部は、金属材料を突起状に配置すれば形成できるので、第2の基板自体を加工する必要がないため、製造工程が簡易であり、また第2の基板を加工しにくい材料のもので形成することもできる。
なお、前記凸部は、例えば金属バンプや半田合金で形成することができる。
【0012】
また、前記第1の基板と前記第2の基板の一方には、前記質量部を挟んで前記凹部と反対側に第2の凹部が形成され、他方には、前記質量部の回動中心軸方向に、前記質量部を挟んで前記凸部と反対側に第2の凸部が形成され、前記凸部は前記凹部に固定され、前記第2の凸部は前記第2の凹部にはめられていることが望ましい。
【0013】
このように、質量部の回動中心軸方向において、質量部を挟んで片側のみを固定することにより、質量部の駆動中に熱などの影響によって発生する応力を緩和することができる。
【0014】
本発明に係る画像形成装置は、上記の光スキャナ装置を備えた画像形成装置であって、前記質量部を回動させることにより、前記光反射部で反射した光を走査して、対象物上に画像を形成するものである。
【0015】
本発明によれば、凹部と凸部をはめることにより、簡易な仕組みで、第1の基板と第2の基板の位置がずれないように正確に接合することができるので、画像形成装置の生産性と精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による、光スキャナ装置1の構成を説明するための斜視図、図2は図1のA−A線断面図、図3は駆動部の構成を説明するための図、図4は図1のB−B線断面図である。
【0017】
なお、以下では、説明の便宜上、図2および図4の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
【0018】
光スキャナ装置1は、図1に示すような1自由度振動系を有する基体(第1の基板)2と、この基体2を支持する支持基板(第2の基板)3とを有している。光スキャナ装置1は、質量部21を回動させるための駆動部4と、質量部21の駆動状態を検出するための駆動検出部5と接続されている。
基体2は、質量部21と、1対の連結部22、23と、1対の支持部24、25とを備えている。連結部22、23は、それぞれ、長手形状をなし弾性変形可能な弾性部で構成されている。したがって、以下、説明の便宜上、連結部22を「弾性部22」ともいい、連結部23を「弾性部23」ともいう。
【0019】
このような光スキャナ装置1にあっては、後述するコイル43に電圧を印加することにより1対の弾性部22、23を捩れ変形させながら、質量部21を回動させるように構成されている。このとき、質量部21は、図1に示す回動中心軸Xを中心にして回動する。
このような1対の弾性部22、23は、非駆動時での質量部21の平面視にて、質量部21を中心として、ほぼ左右対称となるように設けられている。すなわち、光スキャナ装置1は、非駆動時での質量部21の平面視にて、質量部21を中心として、ほぼ左右対称となるように形成されている。
【0020】
質量部21は、シリコンを主材料として構成された板状のシリコン部211と、シリコン部211の下面(支持基板3と対向する側の面)に面接合するように設けられた板状の樹脂部212と、シリコン部211の上面(樹脂部212と反対側の面)に設けられた光反射部213とを有している。すなわち、質量部21は、シリコン部211と樹脂部212と光反射部213とが、シリコン部211の面の厚さ方向へ積層した積層構造を有している。言い換えれば、質量部21は、シリコン部211を樹脂部212と光反射部213とで挟み込むようにして形成されている。樹脂部212の下面(シリコン部211と反対の面)には、後述するコイル43が設けられている。
【0021】
支持部24は、シリコンを主材料で構成された板状のシリコン部241と、そのシリコン部241の下面に面接合するように設けられ樹脂材料を主材料として構成された板状の樹脂部242を備えている。すなわち、シリコン部241と樹脂部242とが、その厚さ方向に積層している。これと同様に、支持部25は、シリコンを主材料で構成された板状のシリコン部251と、そのシリコン部251の下面に面接合するように設けられ樹脂材料を主材料として構成された板状の樹脂部252とを備えている。このような支持部24、25のうち、支持部24のシリコン部241の下面には、後述する増幅回路52が形成されている。
【0022】
弾性部22は、質量部21を支持部24に対して回動可能とするように、質量部21と支持部24とを連結している。これと同様に、弾性部23は、質量部21を支持部25に対して回動可能とするように、質量部21と支持部25とを連結している。このような弾性部22および弾性部23は、互いに同一形状かつ同一寸法となっている。
弾性部22および弾性部23は、互いに同軸的に設けられており、これらを回動中心軸(回転軸)Xとして、質量部21が支持部24、25に対して回動可能となっている。
また、弾性部22には、後述する応力検出素子51が設けられている。弾性部22は、シリコンを主材料として構成されたシリコン部221と、シリコン部221に接合され、樹脂材料を主材料として構成された樹脂部222とで構成されている。
【0023】
基体2は、シリコン層と樹脂層との積層構造からなる。
このシリコン層は、質量部21のシリコン部211と、弾性部22のシリコン部221と、弾性部23のシリコン部231と、支持部24のシリコン部241と、支持部25のシリコン部251とを一体的に形成している。
一方、樹脂層は、質量部21の樹脂部212と、弾性部22の樹脂部222と、弾性部23の樹脂部232と、支持部24の樹脂部242と、支持部25の樹脂部252とを一体的に形成している。このような樹脂材料としては、質量部21を回動させることができれば、特に限定されないが、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂を用いることができる。なお、後述する支持部24,25に設けられた凹部61a,61bはシリコン層のみで形成されている。
【0024】
基体2は、支持基板3に支持されている。
支持基板3は、その上面(基体2に対向する側の面)であって、支持部24、25に対向する位置に1対の接合部32、33が形成されており、接合部32、33の上面と支持部24、25の下面とを接合させることにより、支持基板3は、基体2を支持している。
【0025】
さらに、底面部30には質量部21に対応する部分に開口部31が形成されている。この開口部31は、質量部21が回動(振動)する際に、支持基板3に接触するのを防止する逃げ部を構成する。開口部31を設けることにより、光スキャナ装置1の全体の大型化を防止しつつ、質量部21の振れ角(振幅)をより大きく設定することができる。なお、底面部30には、開口部31を設けなくてもよい。
支持基板3は、例えば、ガラスやシリコンを主材料として構成されている。
【0026】
図5は、基体2と支持基板3の接合面を示す図である。図5(A)は基体2の底面、図5(B)は支持基板3の上面を示している。また、図6は図5のC−C断面を示す図である。図6(A)は、基体2と支持基板3の接合前の状態を、図6(B)は接合した状態を示している。図に示すように、基体2の底面には、凹部61a,61bが設けられており、さらに凹部61aの表面には金属膜62が形成されている。
【0027】
支持基板3の表面には、凹部61a,61bにはまる凸部63が形成されている。凸部63は半田合金をボール状に配置することにより形成されている。なお、基体2の凹部61a,61bについては、基体2のシリコン層をエッチングする際に同時に形成することができる。なお、凸部63は半田合金以外にも、金属バンプや金属モールドで形成してもよい。
【0028】
基体2と支持基板3を接合する際には、各々の凹部61a,61bに凸部63をはめ込み、さらに熱を加えて圧着することによって、凹部61aの金属膜62と凸部63を半田接合する。これにより、凹部61aと凸部63は固定される。一方、凹部61bの表面には金属膜62が設けられていないため、凸部63は凹部61bにはめ込まれるが固定はされない。
このように、質量部21の回動中心軸方向において、質量部21を挟んで片側の凹部61aと凸部63のみを固定し、他方の側の凹部61bと凸部63は固定しないようにすることにより、質量部21の駆動中に熱などの影響によって発生する応力を緩和することができる。
【0029】
次に、図3を用いて、質量部21を回動させるための駆動部4について説明する。図3は、基体2の下面(支持基板3に対向する面)の部分断面拡大図である。
駆動部4は、質量部21の樹脂部212に設けられたコイル43と、コイル43に電圧を印加する交流電源44と、質量部21を介して、回動中心軸Xに直角な方向に対向するように設けられた1対の磁石41、42とを有している。駆動部4は、交流電源44からコイル43へ交流電圧を印加することで、質量部21を支持部24、25に対して振動(回動)させるように構成されている。
【0030】
コイル43は、質量部21の樹脂部212の下面(シリコン部211と反対側の面)のほぼ全域にわたって渦巻状に形成されている。樹脂部212が絶縁層として機能するため、コイル43の配線間での短絡を防止することができる。なお、コイル43のパターニング形状は、質量部21を回動させることができれば、渦巻状に限定されない。
【0031】
コイル43を形成する電線(配線)の両端部のうちの一方は、支持部24に設けられた端子431に接続され、他方は、支持部25に設けられた端子432に接続されている。そして、端子431、432には交流電源44が接続されており、交流電源44が、コイル43に交流電圧を印加することにより、コイル43から磁界を発生させることができる。
【0032】
磁石41と磁石42とは、質量部21の平面視にて、質量部21を介して回動中心軸Xに直角な方向に対向して設けられている。さらに、磁石41と42とは、磁石41の磁石42と対向する側の面と、磁石42の磁石41と対向する側の面とが、互いに異なる磁極となるように設けられている。
磁石41、42としては、特に限定されないが、ネオジウム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、アルニコ磁石などの永久磁石(硬磁性体)を好適に用いることができる。
【0033】
駆動部4は、次のようにして質量部21を回動(駆動)させる。
なお、説明の便宜上、図3に示すように、磁石41の磁石42と対向する側の面をS極とし、磁石42の磁石41と対向する側の面をN極とした場合について代表して説明する。また、図4の上側を「上」とし、下側を「下」とする。
まず、交流電源44により、端子431から端子432へ向けてコイル43に電流を流した場合(以下「第1の状態」という)について説明する。この場合、質量部21の回動中心軸Xよりも磁石42側の部分には、図4にて下方向の電磁力が作用する(フレミングの左手の法則)。一方、質量部21の回動中心軸Xよりも磁石41側の部分には、図4にて上方向の電磁力が作用する。これにより、質量部21は、回動中心軸Xを軸として反時計回りに回転する。
【0034】
反対に、交流電源44により、端子432から端子431へ向けてコイル43に電流を流した場合(以下「第2の状態」という)、質量部21のうち、回動中心軸Xよりも磁石42側では、図4にて上方向の電磁力が発生する。一方、質量部21のうち、回動中心軸Xよりも磁石41側では、図4にて下方向の電磁力が発生する。これにより、質量部21は、回動中心軸Xを軸として時計回りに回転する。
【0035】
そして、このような第1の状態と第2の状態とを交互に繰り返すことにより、弾性部22、23を捩れ変形させながら、質量部21を支持部24に対して回動させることができる。
さらに、電圧印加手段として交流電源44を用いることで、第1の状態と第2の状態とを周期的に、かつ、円滑に切り換えることができ、質量部21を円滑に回動させることができる。ただし、電圧印加手段としては、コイル43に電圧を印加することができれば、本実施形態(交流電源44)に限定されず、例えば、直流電源を用いてもよい。この場合には、例えば、コイル43に直流電圧を間欠的に印加することで、質量部21を支持部24に対して回動させることができる。
【0036】
次に、質量部21の駆動状態を検出する駆動検出部5について説明する。
駆動検出部5は、図3に示すように、弾性部22のシリコン部221の下面(樹脂部222側の面)に設けられた応力検出素子51と、支持部24のシリコン部241に形成され、応力検出素子51に電気的に接続された増幅回路52とを有している。また支持部24の樹脂部242には、応力検出素子51と増幅回路52とを接続するための貫通孔53が複数形成されている。また、支持部24の樹脂部242には、入力端子521と出力端子522とが形成されており、これらは、それぞれ増幅回路52と電気的に接続されている。応力検出素子51は、例えば圧電素子(ピエゾ素子)を用いることができる。
【0037】
駆動検出部5は、増幅回路52からの信号に基づいて質量部21の駆動状態を検知するように構成されている。具体的には、応力検出素子51は、変形量に対応して抵抗値が変化する性質を有する。このような応力検出素子51を弾性部22上に設けることで、弾性部22の捩れ変形の程度(振れ角)に対応して応力検出素子51の抵抗値を変化させることができる。
応力検出素子51の抵抗値が変化することで、応力検出素子51に流れる電流値(電気信号)が変化し、その電気信号の変化を支持部24のシリコン部241に形成された増幅回路52で増幅し、増幅後の信号に基づいて、質量部21の駆動状態を検知する。これにより、より正確に光スキャナ装置1の振動系の駆動状態を検知することができる。検知された駆動状態に基づいて、交流電源44が印加する電圧の周波数を調整し、光スキャナ装置1の振動系が自己の共振周波数にて振動するように制御する。これにより、光スキャナ装置1の光反射部213を大きく変位させ、光スキャナ装置1による走査角度を最大にすることができる。
【0038】
(画像形成装置)
光スキャナ装置1は、例えば、プロジェクタ、レーザープリンタ、イメージング用ディスプレイ、バーコードリーダー、走査型共焦点顕微鏡などの画像形成装置に好適に適用することができる。その結果、優れた描画特性を有する画像形成装置を提供することができる。
例えば、図7に示すようなプロジェクタ(画像形成装置)90について説明する。なお、説明の便宜上、スクリーンSの長手方向を「横方向(水平方向)」といい、長手方向に直角な方向を「縦方向(鉛直方向)」という。
【0039】
プロジェクタ90は、レーザーなどの光を照出する光源装置911,912,913と、クロスダイクロイックプリズム92と、1対の光スキャナ装置93、94と、固定ミラー95とを有している。
光源装置911,912,913は、それぞれ赤色光を照出する赤色光源装置911、青色光を照出する青色光源装置912と、緑色光を照出する緑色光源装置913である。
クロスダイクロイックプリズム92は、4つの直角プリズムを貼り合わせて構成され、赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913のそれぞれから照出された光を合成する光学素子である。
【0040】
このようなプロジェクタ90は、赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913のそれぞれから、図示しないホストコンピュータからの画像情報に基づいて照出された光をクロスダイクロイックプリズム92で合成し、この合成された光を光スキャナ装置93、94によって走査させ、さらに固定ミラー95によって反射させ、スクリーンS上でカラー画像を形成するように構成されている。
ここで、光スキャナ装置93、94の光走査について具体的に説明する。
【0041】
まず、クロスダイクロイックプリズム92で合成された光は、光スキャナ装置93によって横方向に走査される(以下「主走査」ともいう)。そして、この横方向に走査された光は、光スキャナ装置94によってさらに縦方向に走査される(以下「副走査」ともいう)。これにより、2次元カラー画像をスクリーンS上に形成することができる。
このような光スキャナ装置93、94として本発明に係る光スキャナ装置を用いることにより、小型で、優れた描画特性を有するプロジェクタ90を提供することができる。
【0042】
なお、一般的に、副走査を行う光スキャナ装置94の回動速度は、主走査を行う光スキャナ93の回動速度に対して低速である。形成する画像の種類、大きさなどによっても異なるが、一般的には、副走査を行う光スキャナ装置94の回動周波数が60kHz程度で、主走査を行う光スキャナ装置93の回動周波数が10〜256kHz程度である。このような観点から見れば、光スキャナ装置93、94として本発明の光スキャナ装置を用いることで、主走査および副走査のそれぞれに適したねじりバネ定数を備える光スキャナ装置を容易に提供することができる。したがって、小型で、優れた描画特性を発揮するプロジェクタ90を提供することができる。ただし、プロジェクタ90の構成は、カラー画像をスクリーンS上に形成することができれば、特に限定されない。
【0043】
以上のように、実施の形態1によれば、基体2の表面に形成された凹部61a,61bと支持基板3の表面に形成された凸部63をはめることにより、簡易な仕組みで、基体2と支持基板3の位置がずれないように正確に接合することができる。
【0044】
また、質量部21の回動中心軸方向において、質量部21を挟んで片側の凹部61aと凸部63のみを固定し、他方の側の凹部61bと凸部63は固定しないようにしたので、質量部21の駆動中に熱などの影響によって発生する応力を緩和することができる。
【0045】
なお、本発明の光スキャナ装置1の各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【0046】
また、本実施形態では、基体2に凹部61a,61bを設け、支持基板3に凹部61a,61bにはまる凸部63を設けるようにしたが、支持基板3側に凹部を設け、基体2側に凸部を設ける構造にしてもよい。また、本実施形態では凹部と凸部は半田接合により固定しているが、例えば接着剤を用いて固定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1による、光スキャナ装置の構成を説明するための斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】駆動部を説明するための図である。
【図4】図1のB−B線断面図である。
【図5】基体と支持基板の接合面を示す図である。
【図6】図5のC−C線断面図である。
【図7】本発明の画像形成装置を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0048】
1 光スキャナ装置、2 基体、21 質量部、211 シリコン部、212 樹脂部、213 光反射部、22,23 弾性部(連結部)、221,231 シリコン部、222,232 樹脂部、24,25 支持部、241,251 シリコン部、242,252 樹脂部、3 支持基板、30 底面部、31 開口部、32,33 接合部、4 駆動部、41,42 磁石、43 コイル、431,432 端子、44 交流電源、5 駆動検出部、51 応力検出素子、52 増幅回路、521 入力端子、522 出力端子、53 貫通孔、61a,61b 凹部、62 金属膜、63 凸部、90 プロジェクタ、911 赤色光源装置、912 青色光源装置、913 緑色光源装置、92 クロスダイクロイックプリズム、93,94 光スキャナ、95 固定ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射性を有する光反射部を備えた質量部と、
前記質量部を支持するための支持部と、
前記質量部を回動可能に前記支持部に連結する、弾性部を備えた連結部と、が形成されており、
前記弾性部を捩り変形させながら前記質量部を回動させることにより、前記光反射部で反射した光を対象物に走査する光スキャナ装置であって、
前記質量部、前記支持部、および前記連結部を備えた第1の基板と、
前記第1の基板と接合し、前記第1の基板を支持する第2の基板とを備え、
前記第1の基板と前記第2の基板の一方に凹部が形成され、他方に前記凹部にはまる凸部が形成されていることを特徴とする光スキャナ装置。
【請求項2】
前記第1の基板の前記支持部には、前記凹部が備えられており、
前記第2の基板には、前記凸部が備えられており、
前記凹部の表面には金属膜が成膜されており、
前記凸部は前記金属膜と接合可能な金属材料で形成されており、
前記凹部と前記凸部は、金属接合されていることを特徴とする請求項1に記載の光スキャナ装置。
【請求項3】
前記凸部は、金属バンプで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光スキャナ装置。
【請求項4】
前記凸部は、半田合金で形成されていることを特徴とする請求項2に記載の光スキャナ装置。
【請求項5】
前記第1の基板と前記第2の基板の一方には、前記質量部を挟んで前記凹部と反対側に第2の凹部が形成され、他方には、前記質量部の回動中心軸方向に、前記質量部を挟んで前記凸部と反対側に第2の凸部が形成され、
前記凸部は前記凹部に固定され、前記第2の凸部は前記第2の凹部にはめられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の光スキャナ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の光スキャナ装置を備えた画像形成装置であって、
前記質量部を回動させることにより、前記光反射部で反射した光を走査して、対象物上に画像を形成する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−294425(P2009−294425A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147800(P2008−147800)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】