説明

光センサ

【課題】高温環境で使用可能な光センサを提供する。
【解決手段】 光センサ(10)は、誘電体によって形成され、1つ又は複数の物理環境条件に応答する光キャビティと、光キャビティから離間した末端を有し、この末端から光キャビティへと光学的に光が結合されるように構成された導波手段(70)とを備える。
使用時において、光キャビティへの光学的結合を損なうほどの第二の温度に誘電体が維持されている時、光キャビティへの光学的結合を損なわない温度に維持されるよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光センサに関し、特に圧力や温度を測定するための光センサに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第99/60341号は、光センサを開示している。この光センサは、従来のマイクロマシニングによって製造されたものであって、燃焼機関内における温度及び圧力の変化を測定するように構成されている。同センサはシリコンからなるスラブ(板状部材)を備えており、スラブの一面にはエッチングにより凹部が形成されている。この凹部を閉じるように、マイクロキャピラリがシリコンスラブに接合されており、キャピラリの内部にはシリカファイバーが設けられている。シリカファイバーの端面と、このファイバーに直接対向する凹部の内面との間には、ファブリー-ペローキャビティが形成されている。シリカファイバーに沿って入射してきた光はファブリー-ペローキャビティ内で反射され、シリカファイバーに沿って戻る。反射光は干渉縞を形成し、干渉縞の特性はファブリー-ペローキャビティの長さに依存する。外圧が変化すると、ファイバーに直接対向しているシリコンスラブの壁面がたわみ、その結果ファブリー-ペローキャビティの長さが変化する。すると、干渉縞の特性が変化し、これを受けて圧力変化が記録される。適度な厚みを有するシリコンスラブを用いれば、光センサを温度変化検知用センサとして用いることもできる。温度が変化するとスラブが伸縮し、それにともないファブリー-ペローキャビティも伸縮する。
【0003】
このようなシリコン製センサは様々な用途に用いられるが、高温環境での使用には適していない。特に、シリコン製センサが機能しうる温度の上限は、約450℃である。この温度を超えると、シリコンの弾性特性が不安定になり、測定の信頼性が低下する。
【0004】
国際公開第2005/098385号は、圧力と温度の両方を感知するサファイア光センサを開示している。この光センサでは、光ファイバーや、中空セラミック管、または金属管からなる導波手段(waveguide)が用いられる。導波手段は、様々な接着手法のうちの一つを用いて、光センサに対し直接固定される。例えば一の実施形態では、サファイア製の光ファイバーを600〜1500℃の温度で光センサに融着している。
【0005】
国際公開第2005/098385号の別の実施形態においては、導波手段は、3〜100μm程度の微小距離だけ光センサから離間した状態で固定されている。しかし、このセンサは高温下での使用には適していない。600〜1500℃の温度では、導波手段と光センサとの融着が弱まったり、あるいは外れてしまうおそれがあるからである。
【0006】
米国特許出願公開第2007/0013914号明細書に開示されている光ファイバーセンサは、サファイア膜をキャピラリ管の端部に接合し、このキャピラリ管内に光ファイバーを接合することによって形成されている。光ファイバーの端部と、サファイア膜の近接面(光ファイバーに近接する面)とによって、第一の光キャビティが形成されている。光ファイバーのキャピラリ管に対する接合は、エポキシ樹脂により、あるいはレーザー溶接によって行うことができる。
【0007】
上述のサファイア膜においては、上記近接面と、遠位側の面とによって第二の光キャビティが形成されている。この第二の光キャビティは補償温度測定に用いられる。しかし、光ファイバーとキャピラリ管との熱特性が異なるため、このセンサは高温下での使用には適していない。
【0008】
上述した従来の装置は、高温下で使用したり、低温から高温へと繰り返し変化する環境下で使用したりすると熱特性の不整合により構造的な破損が生ずるので、そうした使用には適していない。そこで、これらの問題を解消しうる光センサが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第99/60341号
【特許文献2】国際公開第2005/098385号
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0013914号明細書
【発明の概要】
【0010】
本発明の第一の側面によれば、誘電体によって形成された光キャビティを有する光センサが提供される。この光キャビティは、例えば温度や圧力などの物理環境条件に応答可能である。末端を有する導波手段が光キャビティから離間して設けられており、導波手段から光キャビティへと光が結合されるように配置されている。使用時には、導波手段は誘電体よりも低い温度に維持されることにより、通常であれば導波手段が損傷を受けるほどの高温環境で光キャビティを応答させることができる。
【0011】
好ましくは、光キャビティは、導波手段から出射され且つ集光される広帯域光源からの放射に対して応答するファブリー-ペローキャビティである。
【0012】
本発明の第二の側面によれば、光センサは、導波手段の末端付近を前記第一の温度以下に維持するための温度降下手段をさらに備えている。温度降下手段を設けることによって、通常なら導光管と光キャビティとの間における光学的結合にダメージを与えるような温度環境においても、光センサを作動させることができる。このダメージとは、例えば、導波手段、他の光学部品、または機械連結部を軟化したり融解したりするものである。本発明の構成によれば、導波手段を光キャビティの十分に近くに配置することが可能であり、これにより、導波手段から出射されたビームが光キャビティに対して位置ずれするのを抑制することができる。また、通常なら導波手段又は光学的結合が損なわれるような高温又は高温サイクル下においても、光センサは環境の測定を行うことができる。
【0013】
好ましくは、前記温度降下手段は、導波手段から熱を逃すように構成されている。
【0014】
好ましくは、光センサは、基端と先端とを有し、基端において誘電体を支持し、先端において導波手段を支持するよう構成されたハウジングをさらに備える。
【0015】
前記温度降下手段は導波手段を囲む管を有していてもよい。例えば、所定の温度勾配を有する、エンジンのケーシング内に配置された場合、先端は基端よりも温度が低く、余分な熱はすべて温度降下手段によって導波手段から逃される。この管は、円形を含め、いかなる適当な断面を有していてもよく、導波手段の周りにゆるく又は隙間無く嵌合させてもよい。
【0016】
好ましくは、前記温度降下手段は、例えば銅又はその他の熱伝導性金属などの金属によって形成される。
【0017】
本発明の第三の側面によれば、導波手段の末端は光キャビティから十分に離間しているため、使用の際に、誘電体側の端部が通常であれば光学的結合を損なうような温度となってセンサが作動している状態でも、導波手段は損傷を受けないような温度に維持される。場所による温度差がある場合には、光キャビティを高温側の端部に配置し、導波手段の末端を使用中のセンサの低温側の端部に向けて配置すればよい。
【0018】
好ましくは、上記離間距離は1mmより大きい。より好ましくは、上記離間距離は10mmより大きい。さらに好ましくは、上記離間距離は25mm以上である。
【0019】
より有利な構成として、導波手段と光キャビティとの位置合わせのための光学位置合わせ機構を光センサに設けてもよい。この構成によれば、(センサの高温側端部に位置する)光キャビティから導波手段をさらに離間させても、導波手段から出射され光キャビティに入射するビームを十分正確に位置合わせすることができる。
【0020】
より有利な構成として、前記位置合わせ機構を、導波手段を支持するよう配置されたボールと、ボールを調節可能に支持するよう配置されたソケットとを有する玉継ぎ手としてもよい。
【0021】
好ましくは、玉継ぎ手はハウジング内に配置されている。導波手段が光を出射し且つ集光する状態で、その受信信号が最大となるまで玉継ぎ手を調節することが可能である。そして、受信信号が最大となった位置で、ボールを固定すればよい。
【0022】
好ましくは、ボールは、例えば溶接などの固定手段によって、ソケットに対する適所に固定される。
【0023】
導波手段を軸心がずれた状態で支持体内に取り付けることにより、導波手段と光キャビティとの位置合わせを行うようにしてもよい。この場合、受信信号が最大となるまで導波手段を回転させ、受信信号が最大となった位置で固定すればよい。
【0024】
より有利な構成として、導波手段から出射された光を平行にするためのコリメーターを光センサに設けてもよい。この構成によれば、より多くの量の導波手段からの出射光を使用でき、光センサ素子と導波手段との距離を広げることができる。平行光によれば、導波手段と光キャビティとの距離を0.5mmよりも大きくすることができる。コリメーターを用いずに離間距離を広げると位置合わせが難しくなる。
【0025】
好ましくは、前記コリメーターは、接合手段によって導波手段の末端に接合されたレンズを含む。レンズを導波手段の端部に接合することにより、位置合わせ機構は、レンズと導波手段を同時に位置合わせすることが可能になる。
【0026】
前記接合手段は、導波手段の末端とレンズとの間の融着であってもよい。レンズに対して導波手段を融着することにより、強固な接合が実現し、光センサ内の一点、すなわち導波手段の末端とレンズとの融着点でファイバー―が物理的に支持されることになる。さらに、融着によれば、熱弾性が増加し、導波手段とレンズとの界面における光学的損失を低減することができる。
【0027】
前記レンズは、平坦部分によって囲まれた湾曲部を有する第一面を有していてもよい。
【0028】
より有利な構成として、前記レンズが、前記第一面の平坦部分と平行で且つ平坦な第二面を有するようにしてもよい。
【0029】
前記湾曲部はマイクロマシニングによって形成されていてもよい。レンズは、フレネルレンズまたは回折レンズであってもよい。これら又はその他の形態のレンズは、例えばエッチングによって形成することができる。
【0030】
レンズはサファイア又はシリカによって形成してもよい。シリカレンズとシリカファイバー(これを用いた場合)との接合は、より簡単である。
【0031】
光センサにスペーサを設け、このスペーサが、誘電体から導波手段の末端に向かって延び、且つ導波手段から出射される光を囲むようにしてもよい。誘電体はスペーサに接合されていてもよい。スペーサは、例えば、導波手段から出射されるビームを透過する中空又は中実の管体である。中空の管体の場合は、光センサにおける高温側端部から低温側端部への伝熱を低減することができる。中実の管体の場合は、光センサの構造を単純化し、残留応力を低減することができる。接合技術としては、センサがさらされる高温に耐えうるものを採用するのが好ましい。適切な接合技術の例としては、熱圧着、イットリアなどの材料を用いた共融溶剤接合(米国特許第6012303号明細書参照)、レーザー溶接、レーザーを用いた接合などがある。熱圧縮シールを用いれば、光センサの温度循環中にスペーサにかかる応力を低減することができる。
【0032】
接合前及び接合後にスペーサ内の応力をすべて取り除くことが好ましい。
【0033】
スペーサは、サファイア、シリカ、酸化マグネシウム、MgAlO、アルミナ、ジルコニア、あるいはその他の同様の材料によって形成してもよい。スペーサと誘電体とを同等の熱膨張係数(CTE)を有するものとすることにより、使用中にセンサが加熱された際に各部材にさらに応力がかかるのを抑制することが好ましい。従って、スペーサと誘電体とを同じ材料で形成することが望ましい。スペーサは、多結晶相材料(例えばアルミナ)によって形成することもできるが、誘電体の材料と同等のCTEを有する必要がある。
【0034】
好ましくは、スペーサは支持体に接合されている。支持体はハウジングと一体であってもよい。
【0035】
より有利な構成として、支持体は、例えばコバール、又はこれと同様の、高温下でも熱によって大きく変化することなく使用できる合金製としてもよい。
【0036】
スペーサは、例えば酸化物接合によって支持体に接合されていてもよい。酸化物接合によれば、気密シールを構成することが可能である。
【0037】
好ましくは、スペーサにおける誘電体から離間した端部において、スペーサを支持体から離隔するために、熱圧縮シール部材が設けられている。
【0038】
より有利な構成として、熱圧縮シール部材を、例えば銅またはプラチナ等の低クリープワッシャとしてもよい。また、このワッシャを、耐酸化性延性材料またはプラチナや金などの金属によって形成してもよい。
【0039】
好ましくは、前記ワッシャは、クリープをさらに低減するために、結晶粒が安定化されている。このようなワッシャは、広い温度範囲において十分な圧縮力を付与することができ、通常ならスペーサを破壊するような、温度差による応力を吸収することができる。このように、低弾性率材料を用いることによって、スペーサを、広い温度範囲及びサイクルにおいて圧縮状態に保持することができる。
【0040】
サファイア製スペーサを用いる場合、好ましくは、当該スペーサの長軸をサファイアのC軸、すなわちゼロ複屈折の軸と一致させる。このようにC軸を利用すれば、サファイアの光軸がC軸となることにより、複屈折の影響を低減することができる。また、結晶格子の配置を考慮することにより、熱の整合性を高めることができる。したがって、サファイア製スペーサの光軸と、光センサの光軸とが一致することが好ましい。複屈折を考慮しつつ、機械的観点から他の配置を採用することも可能である。
【0041】
より有利な構成として、スペーサを熱的に及び/又は機械的にハウジングから遮断するようにしてもよい。これによれば、変動する圧力信号(音)と干渉するおそれのある振動を低減することができる。
【0042】
スペーサは、このスペーサをハウジングから離隔するように構成された隙間形成用の突起をさらに備えていてもよい。これによれば、接触点が1つであるために、単純な、すなわち単一モードの振動のみを有する構造とすることができる。このモードは、本装置が対象とする特定の周波数(例えば、モニター対象であるエンジンによって生成される典型的な周波数)から離れるように選択又は設定することが好ましい。この振動モードの固有周波数又は共鳴振動数は、特定の周波数範囲における本装置の好ましい感度に影響を与えることなく、減衰させることが可能である。
【0043】
この隙間形成用突起は環状突起であってもよい。
【0044】
好ましくは、この隙間形成用突起はスペーサと一体である。
【0045】
より有利な構成として、この隙間形成用突起をハウジングの基端部から離間配置してもよい。これにより、ファイバーまたはレンズ構造体への伝熱をさらに低減することができる。
【0046】
より有利な構成として、導波手段を約700℃未満の温度で維持可能なものとし、誘電体を約1000℃よりも高い温度で維持可能なものとしてもよい。この光センサの適切な用途の例としては、ガスタービンまたはジェットエンジン内での圧力及び/又は温度のサンプリングがある。
【0047】
好ましくは、誘電体における光キャビティは、その一端に、外圧の変化に応じて変形可能な膜を有している。この光センサによれば、瞬間的な絶対圧を測定することができる。
【0048】
この膜は、導波手段の末端に向かって凹んでいてもよい。この構成によれば、導波手段から出射されるビームの位置合わせ不良によって光センサが受ける影響を低減することができる。
【0049】
誘電体は、光キャビティの内外に連通する1つ又は複数の圧力等化チャネルをさらに備えていてもよい。これによれば、膜の両側における圧力差を低減することができるので、より薄く撓みやすい膜とすることができる。このようなセンサによっても、音波等の圧力波における小さな変化を、適切に感知することができる。
【0050】
好ましくは、導波手段は単一モード導波手段であり、誘電体はサファイア又は酸化マグネシウムである。上述のように、誘電体の材料は、スペーサと等しいCTEを有することが望ましい。
【0051】
好ましくは、導波手段はサファイア又はシリカによって形成される。同様の透明な高温セラミック材料を用いることもできる。
【0052】
本発明の第3の側面によれば、内面を有するエンジンケーシングを含むガスタービンエンジンが提供される。この内面は、内部運転温度が上昇した高温のガス空間を囲んでおり、この内面に設けられた孔に光センサが配置されている。この光センサは、誘電体によって形成され、且つ、例えば温度や圧力などの1つ又は複数の物理環境条件に応答する光キャビティと、この光キャビティに光学的に連結された末端を有する導波手段とを備え、この誘電体は前記高温のガス空間に露出されている。誘電体は、例えば、エンジンケーシングの内面を貫通して高温ガス空間内に延びることにより、この高温ガス空間と連通していてもよい。あるいは、前記内面と同一平面内に配置された誘電体、またはエンジンケーシング内に配置された誘電体に対して、エンジン内からの高温ガスが送られる構成であってもよい。
【0053】
光センサは、他のタイプのエンジン内において、例えば、内燃機関の燃焼室内において使用することもできる。
【0054】
好ましくは、使用に際し、導波手段の温度を温度降下手段によって調節することにより、上昇した内部運転温度よりも低温に維持されるように光センサを構成してもよい。誘電体がさらされる内部運転温度は、導波手段や、導波手段と光キャビティとの間の光学的連結を損なうおそれがある。しかし、温度降下手段により導波手段を低温に維持することで、このような不具合の発生を避けることができる。一方、誘電体は(このような高温に耐えうるので)、高温ガス空間にさらしておくことができる。
【0055】
より有利な構成として、前記温度降下手段を、導波手段から熱を奪うものとしてもよい。
【0056】
本発明の第3の側面によるガスタービンエンジンの光センサは、本発明の他の側面について上述した光センサのいずれか又はすべての特徴を有していてもよい。
【0057】
前記膜は、その中央部の厚みを大きくすることにより、当該中央部からの反射光の光学的歪みを低減するように構成されていてもよい。この構成によれば、光は比較的平坦な面で反射されるので、干渉縞がぼやけるのを抑制することができる。
【0058】
好ましくは、導波手段は光ファイバーである。
【0059】
光ファイバーの末端に、平らな導波手段を接合してもよい。この場合、この平らな導波手段から光キャビティに光を照射することができる。
【0060】
上記コリメーターは、上述の導波手段、平らな導波手段、または光ファイバー上で、テーパー状またはテーパーに類似した形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
本発明は、様々な方法で実施可能であり、その実施形態につき単に例示として、下記の添付図面を参照しつつ説明する。
【0062】
【図1】本発明の第1実施形態に基づく、温度及び圧力感知用光キャビティを有する光センサを例示として示した断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に基づく光センサを例示として示した概略断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に基づく光センサの断面図である。
【図4】図1の光キャビティの概略図である。
【図5】図1〜図3の光センサに光を照射し且つこの光センサからの光を検出するために用いられる、位相変調器及び光源を含む干渉計を示す概略図である。
【図5a】図5の干渉計の変形例を示す概略図である。
【図5b】2つの光源を含む、図5の干渉計の他の変形例を示す概略図である。
【図5c】図1〜3の光センサに光を照射し且つこの光センサからの光を検出するために用いられる、複数の干渉計を備えた分析器を示す概略図である。
【図6】本発明の一実施形態に基づく光センサのための図5に示す位相変調器において誘起される光路差に対する受光強度を示したグラフである。
【図7】本発明の第4実施形態において使用されるレンズ・光ファイバー支持体を示す側面図である。
【図8】図7のレンズ支持体を示す斜視図である。
【図9A】本発明の第5実施形態において用いられるレンズ・光ファイバー構造体を示す断面図であり、見えない特徴部分を点線で示したものである。
【図9B】図9Aに示したレンズ・光ファイバー構造体を示す、図9AにおけるC−C線断面図である。
【図9C】図9A及び図9Bに示したレンズの部分断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態において用いられる、湾曲部を有するレンズを示す斜視図である。
【図11】図10の湾曲部を示す拡大図である。
【図12】図9A〜11のレンズを支持する支持体を示す斜視図である。
【図13】図5bに示した2つの光源を形成するために用いられる光学フィルター構成の一例を示す概略図である。
【図14a】図1に示す光センサの他の実施形態を示す端面図である。
【図14b】図14aの光センサの側面図である。
【図14c】図14aの光センサの断面図である。
【図14d】図14aの光センサの斜視図である。
【0063】
なお、図面は単純化して描かれており、必ずしも正確な縮尺率で描かれているわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0064】
図1は本発明の第1実施形態に基づく光センサを示す断面図である。使用の際には、導波手段(waveguide)から光がセンサ素子20に照射される。このセンサ素子は、誘電性材料からなる誘電体であり、ファブリー-ペローキャビティとしての光キャビティを形成している。本実施形態では、導波手段は光ファイバー70であるが、他の導波手段を適宜用いてもよい。センサ素子20には、1つまたは複数の光キャビティが形成されており、これらキャビティが、センサ素子20内の様々な面で反射する光に干渉を起こさせる。反射光は、センサ素子20に光を照射する上記光ファイバー70によって集光されたのち、干渉計(図示略)によって分析される。
【0065】
圧力及び/又は温度が変化するとセンサ素子20の物理的形状が変化し、その結果、干渉縞が変化する。こうした干渉縞の変化を検知し、分析することにより、センサ素子位置での圧力及び温度がわかる。センサ素子20は、ファイバー70に対向していない方の面が、圧力の変化に応じて撓む膜(membrane)によって形成されている。この膜が撓むとセンサ素子20の光キャビティの寸法が変化し、その結果、干渉縞が変化する。また、センサ素子20は、光ファイバー70に対向する、相対的に肉厚の材料層を有しており、この肉厚層が熱膨張すると、光キャビティの寸法がさらに変化し、やはり干渉縞の変化につながる。こうした干渉縞の変化が干渉計(図示略)によって分析される。
【0066】
センサ素子20はサファイアからなり、サファイア製スペーサ30に接合されている。このスペーサは、例えば中実の棒状部材または中空の管である。センサ素子20は、使用の際には光センサ10における高温側端部に位置するので、センサ素子とスペーサとは強固に接合されていることが望ましい。この接合は、例えば、熱圧着、レーザー溶接、レーザーを用いた接合、あるいはその他の適当な接合技術によって行うことができる。光センサの感知側端部から高温のガスが装置内に入り込む危険性を減らすため、この接合は気密封止であることが望ましい。
【0067】
キャップ90をセンサ素子20にかぶせることにより、このセンサ素子を保護したり、ガスタービンエンジンやジェットエンジンなどの検査対象装置の内部を保護してもよい。他の実施形態として、キャップを網目状の部材で被覆することにより、異物からの保護を強化するようにしてもよい。
【0068】
スペーサは支持体40によって支持されている。この支持体は、例えば酸化物シールによってスペーサに接合されている。損傷応力の発生を防止すべく、圧縮ワッシャ35が設けられており、これによって、光ファイバー70に対向する側のスペーサの端部を支持体40から離隔している。好ましくは、圧縮ワッシャは、銅や白金など、クリープの発生を最小限に抑えうる材料から形成され、さらに、こうした材料は、熱サイクルが起こった際のクリープを低減するために結晶粒が安定化されていてもよい。キャップ90は、支持体40に溶接してもよい。
【0069】
外側スリーブ80は、光センサを保護するとともに、光ファイバー70の外方延出側端部におけるひずみを除去する構成とされている。センサ素子20に対向する側における光ファイバーの端部には、コリメーターが設けられている。例えば、このコリメーターは、光ファイバー70の末端に融接されたレンズ60である。このレンズは、コレットによって保持されており、コレットはボール50内に設けられている。このボールは、支持体40に形成されたソケット内に保持されている。このような構成において、光ファイバー70は一点のみ、すなわち、レンズ60に融接された点のみにおいて固定されており、光ファイバー70に応力がかかるとすればこの箇所のみである。このような玉継ぎ手構造によれば、光ファイバー70とレンズ60とからなる構造体の位置合わせ(アライメント)を、所定の位置合わせ工程において行うことができる。レンズ60と光ファイバー70とからなる構造体を、センサ素子20に対して位置合わせするには、例えば次のようにすればよい。まず、センサ素子20に光を照射する。そして、そのときの応答出力をモニターし、これを、出力信号が最大となるまで、すなわち、光ファイバー70とセンサ素子20とが適切に位置合わせされた状態となるまで続ける。この位置合わせが完了すると、例えば支持体40に設けられた所定の開口を介するeビームあるいはレーザー溶接などの永久固定技術によって、ボール50を支持体40に固定してもよい。光ファイバー70から出射される光は、センサ素子20に対して、0.1°以内で位置合わせされることが望ましい。
【0070】
あるいは、光ファイバーを軸外配置しておき、出力信号が最大となるまで光ファイバー70を回転させることによって位置合わせしてもよい。
【0071】
シールド(図示略)は、光ファイバー70の自由端を保護する。
【0072】
好ましくは、センサ素子20は、例えばサファイアや酸化マグネシウムなどの耐火材料から形成される。これらの材料は、可視光領域及び赤外領域の光を透過し、典型的には少なくとも1300nm付近及び1550nm付近の光を透過する。しかし、これ以外の波長及び波長領域の光も適宜用いることができる。センサ素子20は、例えば所定の材料からなる複数の薄片を接合することにより形成される。キャビティは、例えばドライエッチングや化学エッチングなどのエッチングにより形成される。上記薄片の厚みを減らすことにより、圧力変化に対する高い応答性を有する圧力感知膜とすることができる。光ファイバー70は例えばシングルモードファイバーである。
【0073】
上述のように、センサ素子20には例えば1つ又は複数の光キャビティが形成されている。1つの(圧力感知専用の)光キャビティのみが必要な場合には、光センサ20における、当該キャビティを形成していない面をウェッジ状(wedged)とすることにより、他のキャビティが機能しないようにする。この場合、応答測定に関わる光キャビティが1つだけの、簡易な装置が提供される。センサ素子20の前面に対する適切なウェッジ角は、例えば5°である。このようなウェッジ面にすれば、例えば堆積したすすなどの汚染物により露出光学面の反射率が変わる場合において、不必要な反射光のカップリングを回避することができる。
【0074】
図2は、本発明に基づく第2実施形態の概略図である。なお、同図は簡略図であり、すべての部材を示しているわけではない。本実施形態においては、光ファイバー70は、外側スリーブ80の高温側端部に向かって、光センサ20に近接して配置されている。この構成によれば、光ファイバー70と光キャビティ200とが空間的に互いに接近しているので、光ファイバー70から出射される光と光キャビティとの位置合わせにおける許容誤差は小さくなる。これらの最小離間距離は、熱的要件、すなわち、使用の際に光センサ20がどのくらい高温になるか、及び、光ファイバー70がどのくらい効率的に冷却されるか、によって決まる。装置内を排気すれば、光ファイバー70への熱伝達はさらに抑えられる。例えば、この構成によれば、光ファイバー70と光センサ20との離間距離を約0.5mm以下とし、コリメーター又はレンズを用いずに十分な結合を実現することができる。さらに、本実施形態によれば、複雑な位置合わせ機構は不要である。そのかわりに、光ファイバー70は支持管210内に保持されており、この支持管は、光ファイバー70から熱を逃し、光ファイバーを最適の温度範囲内に保つヒートシンクとして機能する。このヒートシンク210は、外側スリーブ80の低温側端部に取り付けられている。本実施形態においては、コリメーターレンズは不要である。センサ素子20と光ファイバー70における末端とがわずかに離間しているため、これらの部材間の熱接触を抑制することができる。
【0075】
図2には示していないが、光ファイバー70に対する保護機能及び応力除去機能を有するスリーブが、外側スリーブ80の後部から外側に延びるように別途設けられている。この追加のスリーブは、周知の手法で設けることができ、その材料としては、700℃の温度に耐えうるものを用いることが望ましい。本発明の一実施形態として、光センサを、内燃機関のガスタービンの側部に設けられた穴に嵌入するようにしてもよい。この場合、光センサを、当該エンジンの内壁と同一平面内にあるように配置し、例えば圧力を測定可能であるようにしてもよい。後端部(光ファイバー70が光センサから延出する部分)は、エンジンの外壁と同一平面内にあるように配置してもよい。この場合、光センサの長手方向に沿った温度勾配は、主としてエンジン壁における熱流束によって規定され、エンジンの外側温度が光センサの後端部の温度を決定する。
【0076】
上記に代わる例として、光センサの後端(光ファイバー70側の端部)を保持し、光センサが高温環境内に届くようにする(例えばエンジンの燃焼領域内に延出する)こともできる。この場合、例えば、光センサ全体を、より薄肉及び/又はより長い形状とすることによって、後端部の温度をより低くすることができる。
【0077】
図3は、本発明に基づく第3実施形態の断面図である。上記実施形態と同様の要素は、同一の符号によって示している。光センサ10’は、図1の光センサ10と類似の構造である。スペーサ管130は部分的にテーパー状とされている。具体的には、スペーサ管の両端が、互いに異なる角度のテーパー状となっている。スペーサ135は中空管であり、光ファイバー70から出射された光が、この管の中空部を通過するように配置されている。スペーサ管130における、センサ素子20が取り付けられた方の端部には、テーパー部135が形成されている。スペーサ管130における、光ファイバー70の末端に対向する方の端部には、テーパー部137が形成されている。スペーサ管130の長軸に対するテーパー部135のテーパー角は、テーパー部137のテーパー角よりも小さい。
【0078】
機械加工された支持体40’がスペーサ管130を収容している。スペーサ管130の端部は、皿状の圧縮ワッシャ35’によって支持体40’から離隔されている。これにより、スペーサ管130に生じる熱膨張による応力が軽減される。第1実施形態と同様に、スペーサ管130は例えばサファイアや酸化マグネシウムなどの耐火材料から形成される。サファイアを用いた場合は、スペーサ管130の長軸がサファイアのC軸に一致するようにすればよい。
【0079】
スペーサ管130は、そのテーパー部135によって圧縮状態に保たれるような形状とされており、サファイア(又は酸化マグネシウム)内の酸化アルミニウムと、支持体40’の内面との間で酸化物シールを形成している。テーパー部137と、支持体40’における対応するテーパー部とは、異なる円錐角を有しており、これにより圧縮下で位置合わせができるようになっている。テーパー部135の角度は、適宜選択される。例えば、このテーパー角を45°程度の大きい角度とすると、センサ素子との接合領域に高い応力集中が起こる。一方、より小さいテーパー角の場合には、自己ロックがかかるとともに、軸方向の大きな負荷が径方向の小さな負荷に変換される。これは、継続的な加圧を実現し、スペーサ管130にかかる最大応力を低減する上で、より望ましい。圧縮ワッシャ35’は、主要圧力シールとして機能する。後方テーパー部137のテーパー角は約45°である。このようにゆるやかなテーパー形状とすることで、全長を短くすることができる。
【0080】
スペーサ管130の外径は、支持体40’内に設けられた孔の内径に対して、直線状の位置合わせガイドとなっている。したがって、2つのテーパー部135及び137が互いに対して作用することにより、スペーサ管130を所定の位置に、より正確に位置合わせされた状態で保持することができる。視準長さを長くすれば、上記主要圧力シールの稼動温度を低くすることもできるが、その場合、位置合わせが難しくなる。
【0081】
上述した構造の利点として、障害物のない空間路が光ファイバー70との間に設けられているという点があげられる。というのも、センサ素子20が耐えうる高温に、光ファイバー70は耐えられない場合があるからである。光ファイバー70(又はそのコリメーター)の末端と、センサ素子20との適切な距離は、例えば50〜100mmである。この距離を採用した場合、例えばガスタービンエンジン内のように、温度が燃焼ゾーン内から光ファイバーが耐えうる600℃オーダまで急激に低下するような厳しい環境においても、光センサを使用することができる。
【0082】
キャップ90’は、スペーサ管130と光学素子20とからなる構造体を支持体40’に固定している。キャップ90’はスリーブ溶接部125によって支持体40’に固定されている。
【0083】
さらに、キャップ90’は、光センサ10’の内部部品が、例えばガスタービンやジェットエンジンなどの検査対象環境内に露出したり、異物が光センサ内に入り込んで損傷を与えたりするのを防ぐ。キャップ90’には貫通孔が設けられており、この孔を介してセンサ素子20と検査対象環境とが連通している。この孔の内面は、光センサ10’の軸線の法線に対して約1°未満の角度をなすように形成し、キャップで反射した光がセンサ内に戻ることを抑制してもよい。
【0084】
本実施形態においては、スリーブは溶接部145によって支持体40’に溶接されている。第1実施形態と同様に、玉継ぎ手による位置合わせ機構によって、光ファイバー70とレンズ60とからなる構造体を、光キャビティ200に対して位置合わせすることができる。コレット165は、レンズ60をボール50内に固定している。
【0085】
コレット165はスプリットコレット(split collet)であり、レンズ60はコレット165内に圧入されている。コレット自体はボール50内に圧入されている。好ましくは、ボール50をコバールによって形成する一方、コレット165を銅などの軟質の金属によって形成し、最初の装着時に熱膨張を考慮に入れておくことによって、熱膨張してもレンズ60がゆるまないようにする。実際には、これを実現するためには、レンズ60を過度に押圧しないように、且つ、コレット165に降伏点を超える負荷がかかることによりレンズがゆるむことがないように、材料を注意深く選択して作製しなければならない。代替の実施形態において、こうした問題は、使用の際にセンサがさらされる温度よりも高温の、数百℃の温度において、レンズ60をコバールのコレットに圧入することによって、避けることができる。この後にコレットを冷却することにより、レンズがボール内に圧入される。コレット165の内孔を酸化させて、レンズを保持するのにより適した面とし、レンズ60のシリカとコレットの酸化物との化学結合によって、レンズの保持を補助することもできる。
【0086】
図4は、光素子20の概略断面図である。光素子20は、2つの部分、すなわち、スラブ400とスラブ420とを有する。スラブ400には、エッチングにより、薄膜410を残すように窪み200が形成されている。スラブ420はエッチングされておらず、均一のディスク形状であるが、他の形状も適宜採用できる。前記窪みは、好ましくは反応性イオンエッチングによる、塩素系の化学作用を用いて形成することができる。
【0087】
窪み200は深さd1を有している。膜410は厚さd2を、スラブ420は厚さd3を、それぞれ有している。
【0088】
センサ素子20においては、その様々な面によって複数の光キャビティを形成することができる。例えば、これらの光キャビティはいずれもファブリー-ペローキャビティである。窪み200の直径は例えば1mmであり、各スラブの直径は例えば4mmであるが、これとは異なる寸法を採用することもできる。例えば、d3は>200μm、d2は100μmオーダ、d1は3〜50μmとすることができる。膜410の厚み方向に圧力差が生じると、この膜は撓み、その結果寸法d1が変化する。スラブ420の両面によっても追加の光キャビティが形成され、その寸法は温度が変化すると熱膨張により変化する。典型的には、100μmのサファイア製スラブの場合、1℃あたり約8×10-10m寸法が変化する。
【0089】
他の実施形態においては、2つのスラブのそれぞれにエッチングによって窪みを形成し、これらのスラブを貼り合わせた時に2つの窪みが互いに対向して1つのキャビティを形成するようにしてもよい。
【0090】
2つのスラブを貼り合わせた後に、スラブ400を研磨して膜厚d2をさらに小さくしてもよい。典型的には、2〜3バール圧力が上昇すると、厚みが50〜100μmの膜では直径1mmあたり0.3μm撓む。こうした寸法では、膜は実質的に平坦な状態を保ち、したがって膜にかかる応力は抑えられ、その結果長時間使用によるクリープのおそれを抑制することができる。さらに、こうした寸法によれば、膜の撓みは、入手可能なテレコムグレード部品において典型的に用いられる近赤外線の波長(1300nm又は1550nm)よりも小さいものとなり、より簡略化された分析が可能となる。
【0091】
他の実施形態においては、膜410の中央部に厚みの大きいボスを形成する。このボスは、膜における他の部分ほどには撓まず、したがって、主要動作中は常にほぼ平らである。この構成によれば、反応測定中に干渉縞がぼやけるのを最小限に抑えることができる。他の実施形態においては、光ファイバー70に向かって凹んだ膜を使用する。この実施形態によれば、光ファイバー・レンズ構造体の角度ずれ及び位置ずれによる影響を低減することができる。この凹部の曲率半径は、例えばレンズ60と膜410との間の距離にほぼ等しい。このような形状は入射光が光ファイバー70に戻る際の集束及び平行化にも役立つ。
【0092】
センサ素子20から応答を得るには、例えば当該素子に光を照射すればよい。その光源としては様々なものを用いることができ、例としては、レーザーやスーパールミネッセントレーザーダイオード(SLD)が挙げられる。センサ素子20によって反射された光は、光検出器によって検出される。このように、センサ素子20、光源、及び光検出器を用いて干渉計を構成することができる。光検出器で検出される光の強度は、光源の波長及びセンサ素子20内の光キャビティの長さに依存する。したがって、光キャビティによって形成される干渉縞は、光検出器によって検出することができる。光源から一定波長の光が出射される場合、干渉縞におけるある特定の部分(最大から最小まで)に検出光の強度を相関させることによって、光キャビティの長さの変化を測定できる(光キャビティの長さの変化によって、1つ未満の縞による変化がもたらされたと仮定した場合)。光学的損失が起こらないと仮定した場合、ある特定の光キャビティの長さが変化すると、強度の正弦波状の変化が光検出器において測定される。例えば、キャビティの長さに対する光強度の参照用テーブルを作成することにより相関関係を設定し、測定された光強度が1つのキャビティ長さに関連するようにすればよい。
【0093】
しかし、レーザーが、(最大の光キャビティ長さよりも大きい可干渉距離を有する)光源として用いられた場合、各光キャビティd1、d2、d3によって形成される干渉縞を区別するのは困難な場合がある。さらに、(例えば、光ファイバー70の末端とセンサ素子20の背面との間に)他の寄生キャビティが存在し、これがさらに不要な縞パターンの形成に寄与している場合もある。SLDを光源として用いることにより、出力から様々な縞を取り除くことができる。これは、SLDによって生成される光の可干渉距離として、比較的大きいキャビティの長さと区別が可能なほど十分に小さい可干渉距離を選択することができるからである。すなわち、比較的大きい光キャビティ内で重なり合う光は可干渉性が無く、干渉縞を形成しない。例えば、d1の光キャビティ長さをd2及びd3よりも小さいものとし、SLDの可干渉距離がd2及びd3よりも小さい(しかし、d1よりも大きい)場合、干渉縞をもたらす光キャビティはd1のみである。
【0094】
SLDの可干渉距離は、典型的には出力波長帯域幅に比例する。センサ素子20における最小のキャビティ長さd1のみを識別可能なほど小さい可干渉距離を有するSLDを得ることは困難かもしれない。その場合、実質的に第一のSLDに近い波長(通常50nm以内)を有する第二のSLD光源を導入することにより、入射光の可干渉距離を故意に減少させ、必要な可干渉距離を得てもよい。
【0095】
他の実施形態として、異なる波長を有する2つのレーザーを光源として用いることもできる。この場合、光キャビティのそれぞれに関して2つの別個の干渉縞が形成される。この場合、光検出器において得られる絶対的な光強度値に替えて、2つの別個の波長における信号比を用いることにより、光キャビティの長さを測定することができる。これによれば、例えば劣化あるいはコネクタの不均一性による、センサの耐用期間中の挿入損失の変化による誤差を減らすことができる。各レーザーからの光は同様に損失の影響を受けるが、上記信号比はこうした損失に左右されないからである。信号比を測定可能とするためには、光検出器は、各レーザー波長を識別できなければならない。このように2つのレーザーを用いる場合は、例えば、光学部材を意図的に‘楔形に構成(wedging)’し、寄生の光キャビティによって不要な干渉縞が形成されるのを防ぐことによって、不要なキャビティが機能しないようにする必要があるかもしれない。
【0096】
さらに他の実施形態においては、1つのレーザーと、最短の光キャビティよりも短い可干渉距離を有する1つのSLDを用いてもよい。この場合は、SLDがバックグラウンド反射信号をもたらし、これによって、キャビティ長さには依存しない、センサのリターンロスを測定することができる。このように測定されたリターンロスを用いて、レーザー光の損失を補償することができる。
【0097】
2つのレーザーを用いた手法に類似する代替の信号送信手段として、中心波長の異なる2つのSLDを用いることもできる。各SLDの可干渉距離は、上述のように、慎重に選択する、すなわち、特定の光キャビティに合わせ他を排除するようにする。例えば、2つのSLDの一方又は両方について、ある特定の可干渉距離、例えば、d1<可干渉距離<d3となるような可干渉距離を選択する。これによれば、干渉計は圧力にのみ応答する。すなわち、膜410が撓むとd1のキャビティ長さが変化する。この場合も上述と同様に検出信号の比を用いて誤差補償を行うことができる。
【0098】
同様に、信号送信手段は、上記1つのレーザーと1つのSLD光源とに替えて、2つのSLD光源を有していてもよい。この場合、2つのうちの一方のSLD光源は、いかなる光キャビティについても干渉縞を形成しないような、短い可干渉距離を有するものとする(他方のSLD光源は、干渉縞を形成するのに適したものとする)。しかしながら、この短い可干渉距離を有するSLD光源は、センサの位置合わせ不良による損失を感知でき、従って、検知された信号の強度に対する内部較正を行うことができる。換言すれば、この構成においては、第二のSLDによって正規化信号が生成される。
【0099】
信号送信手段のさらなる代替例として、より広い帯域幅を有する1つのSLDを用い、これにより生じる光を分光計とコンピュータとによって解析してもよい。
【0100】
図5は、光センサ20に信号を送るのに適した信号送信手段の代替例を示す概略図である。光センサに求める情報によって、様々な信号送信方法が用いられる。光センサ内のキャビティd1、d2、d3は、互いに異なる情報をもたらすことができる。例えば、圧力変動に起因する膜410の撓みによってd1の長さが変化する。また、熱膨張によってd2及びd3が変化し、これによって温度が示される。これらの光キャビティのいずれか又はすべてに対し信号を送信し、その応答を分析することができる。この代替の信号送信手段は、マッハ-ツェンダー干渉計300を備える。このマッハ-ツェンダー干渉計には、(測定に用いられる各光キャビティd1、d2、d3よりも短い可干渉距離を有する)SLD320からの光が、このSLDにピグテール接続(pigtailed)されたシングルモードファイバー370を介して照射される。なお、このように単体で用いられるSLDは、光キャビティd1、d2、d3のいずれも識別することはできず、識別についてはマッハ-ツェンダー干渉計に頼っている。しかし、マッハ-ツェンダー干渉計は、効果的に干渉性を回復させ、1つ又はそれ以上の特定の光キャビティについて干渉縞を形成することができる。マッハ-ツェンダー干渉計300内には、少なくとも1つ、好ましくは2つの位相変調器310が設けられている。ファイバー70は、マッハ-ツェンダー干渉計300における、SLD320の反対側に接続されている。このマッハ-ツェンダー干渉計300を含む信号送信チップは、例えば表面にシリコンが設けられた絶縁体などの、集積光学プラットフォーム上に形成することができる。
【0101】
マッハ-ツェンダー干渉計及び電子制御装置(図示せず)によってスペクトルが変化させられた光は、光センサ内における対象となるキャビティ長さに対応するよう、信号が調整される。次に、この光は3dBカップラー350を介して、光センサのヘッド(ここでは概略的にセンサ素子20として示す)及びコリメーターレンズ60に送られる。3dBカップラー350からの戻り光の半分は、フォトダイオード330及び検知用電子機器に戻される。このような信号送信手段は、例えば、光キャビティd1、d2及び/又はd3のいずれか又はすべてを用いて測定を行い、圧力及び/又は温度の情報を取得するのに適している。例えば、2つ以上の光キャビティの膨張又は伸長を利用することによって、温度測定における不正確さを低減することができる。
【0102】
図5aは、図5に示した例に類似した更なる実施形態を示す概略図である。この実施形態においては、第2のフォトダイオード335が、追加のカップラー375を介してシングルモードファイバー370から分岐接続されている。この接続によって、約5%(又はその他の低い割合)の光が分岐される。したがって、この第2のフォトダイオード335は、SLD320の光出射に比例した信号を生成する。この信号を利用して、SLDの出力の変動あるいはノイズに起因する、第1のフォトダイオード330から得られる信号の変動も打ち消すことができる。例えば、第1のフォトダイオード330からの信号を、第2のフォトダイオード335からの信号で除することにより、補正信号が得られる。この補正信号によって性能を向上させることができる。
【0103】
図5bは、2つのSLDを用いた実施形態を示す概略図である。交流主電源から電力を得た直流電源600がシステムを駆動する。しかし、特にこの装置を車のエンジンをモニターするために用いる場合は、(例えば携帯型の電源などの)他の電源から電力を供給してもよい。第1SLD320及び第2SLD325に対しては、フィルター付きの駆動回路610、620を用いて電力が供給される。本実施形態においては、2つのSLDは異なる中心波長を供給する。各SLD320、325からの出力光は、光結合器630において結合される。結合光のうち、わずかな割合(〜5%)の部分が、送信ファイバーから外部へ分岐される。そして、この分岐光の2つの波長が、低密度波長分割多重(CWDM)デマルチプレクサー(送信デマルチプレクサー640)によって分離され、この波長分離された光が2つのフォトダイオード335、335’に送られ、エラー補正信号A、Bが生成される。これらのエラー補正信号は、各SLDによってそれぞれ生成されるノイズ及び/又は出力強度変動を打ち消すためのものである。2つのSLD(またはその他の2つ以上の光源)の波長帯域幅は重ならないものであってもよい。
【0104】
残りの2波長信号(〜95%)は、(3dBカップラー350を介して)光センサヘッド10に送られる。このセンサヘッドは、センサ素子20を有し、上述のように作動する。反射光は、3dBカップラー350によって集められ、CWDM受信デマルチプレクサー660において分割される。したがって、得られる光は再び波長別に分離されており、これを受信側フォトダイオード330、330’によってサンプリングし、各波長に対応した受信信号C、Dを生成する。この受信信号C、Dは、分析器650または適当なコンピュータシステムによって分析される。分析器は、“C/A及びD/B”というスキームに従って、受信信号を除する。この除算工程によって、コネクタ損失や光センサヘッド10内での損失による変動を低減することができる。こうした損失は、双方の波長について類似あるいは等しいからである。さらに、この信号処理は、各SLDによる振幅変動も低減することができる。出力が干渉縞上のどこに位置するかを把握するためには、さらに(C/A)を(D/B)で除することにより、補正信号を得ればよい。
【0105】
あるいは、1つのSLDに対してフィルターを付けることにより、2つの出力あるいは波長を生成してもよい。このような光学フィルター処理の概略を図13に示す。例えば、SLD320の波長帯域幅(x)を約30nmとする。ノッチフィルター710は、狭い波長帯域幅の光を選択的に反射し、約13nmの帯域幅(y)を有する第1の光学信号720を生成する。残りの光はノッチフィルター710を通過し、第2の光学信号730を生成する。これら2つの光学信号は、上述したような2つの光源又はSLDからの光と同様に用いることができる。
【0106】
あるいは、他の光学フィルターを用いて2つの狭い帯域幅を生成することもできる。例えば、各帯域の帯域幅は約15nmである。これらの狭い帯域の中心が、例えば1510nmや1550nmなどの利用しやすい波長となるように設定してもよい。
【0107】
上記以外の帯域幅及び波長も適宜用いることができる。
【0108】
他の実施形態において、光センサと検出器との間にマッハ-ツェンダー干渉計300を配置してもよい。これによっても、上記と同様の効果が得られる。
【0109】
図5cは、3つの干渉計を用いた構成を示す概略図である。3つの干渉計301、302、303はすべてマッハ-ツェンダー干渉計であり、それぞれが、3つのキャビティd1、d2、d3のうち、対象となる1つに合わせた、あるいは実質的に一致させたものである。3方向スプリッター350’は、信号を3つの干渉計用に分割する。3つのフォトダイオード330、335、337は3つのマッハ-ツェンダー干渉計301、302、303にそれぞれ接続されている。あるいは、多重方式を用いて3つのマッハ-ツェンダー干渉計301、302、303を1つのフォトダイオードに接続してもよい。図5cに示す例では、マッハ-ツェンダー干渉計301、302、303は、センサ素子20と、3つのフォトダイオード330、335、337との間に配置されている。これに替えて、マッハ-ツェンダー干渉計301、302、303を光源320(例えばSLD)とセンサ素子20との間に配置してもよい。
【0110】
4つ以上の干渉計を図5cに示したものと同様の配置構成で用い、特に4つ以上のキャビティを用いて測定を行うことも可能である。また、干渉計をこれとは異なる配置構成とすることも可能である。例えば、複数の干渉計のうちの1つ(またはそれ以上)によって複数のキャビティを用いた測定を行い、残りの複数の干渉計によって1つのキャビティを用いた測定を行うこともできる。
【0111】
なお、キャビティを用いた測定方法は、“Phase-nulling fibre-optic gyro", Cahill and Udd, Opt. Lett. Vol.4, pp93に記載されている。
【0112】
マッハ‐ツェンダー干渉計300に対して位相をずらすことにより、その分光透過率がセンサ素子20の反射信号のスペクトルと正確に一致するようにしてもよい。小さいディザ信号(例えば三角波)を位相偏移器310に付加してもよい。この場合、伝達関数が局所的に対称となるので、得られる信号も対称となる。すなわち、2つのディザ位置における検出器からの出力は等しく、これらの差であるところのエラー信号の大きさはゼロとなる。しかし、マッハ-ツェンダー干渉計が初期状態でナル・ポイント(null point)にない場合、ディザ信号の両端において生成される検出器の信号は互いに等しく、それらの差によってゼロではないエラー信号が生成される場合がある。このエラー信号は適宜処理されてマッハ-ツェンダーオフセット位相を変化させるよう指示を与え、エラー信号を最小限に抑えることができる。ディザ信号は例えば数MHzまでである。したがって、数百キロヘルツ又は約1メガヘルツに及んで起こる光キャビティ200の寸法d1の変化には対応することができ、これを検知できる。このように、音の測定が可能である。
【0113】
他の実施形態において、米国特許出願公開第2006/0061768号明細書に開示された2ビーム干渉計による白色光干渉法を用いることができる。例えばCCDのような分散センサを用いることができる。しかし、これは音の測定に特に適しているというわけではない。
【0114】
位相変調器210は、国際公開第99/24867号、国際公開第99/60341号及び米国特許出願公開第2005/0157305号明細書に開示されているようなPINダイオード位相変調器であってもよい。このような位相変調器は、制御装置を備えていてもよい。例えば、この制御装置は、センサのキャビティのいずれか又はすべてに一致するために必要な光路長を、高ダ
イナミックレンジの音を測定するのに十分な速度及び分解能で実現することができるものである。
【0115】
代替例として、センサ素子からの信号を複数のマッハ-ツェンダー干渉計によって受信するものの、マッハ-ツェンダー干渉計のそれぞれをセンサにおける対応する1つのキャビティのために最適化し、各自が対応する検出器及び増幅器に信号を送信するようにしてもよい。
【0116】
図6は、サファイアセンサ素子20用の位相変調器310によって誘起される光路差と受光強度との関係を示したグラフである。このセンサ素子は、厚さが150μm(d3)で、且つ40μmの真空キャビティ(d1)が形成されたサファイアのシートと、厚さ100μm(d2)のもう一方のサファイア層(圧力に対して応答する膜を形成する)とを有する。
【0117】
図6のグラフに示すように、応答値は、352μmと960μmの時に最小となり、432μmの時に最大となる。これは、屈折率の高い材料から低い材料への反射時における位相の変化によるものである。これは、厚さ100μmの第1のサファイア片の光路長(すなわち、厚さ100μmにサファイアの屈折率1.76を乗じ、さらに、この光路はマッハ-ツェンダー干渉計内を1度だけしか通過しないがセンサ内を2度通過するので、これに2を乗じたもの)に一致する。この値に、2×40μmを足すと432μmとなり、432μmに150μm×2×1.76を足すと960μmとなる。この検知アルゴリズムによれば、これら3つの値のいずれかの端の値をスキャンすることにより、1つのマッハ-ツェンダー干渉計を用いて3つの異なる最小値を‘探す’か、あるいは、センサからの戻り光を3つのマッハ-ツェンダー干渉計に供給し、それぞれのマッハ-ツェンダー干渉計が1つのキャビティ長さ(d1、d2、又はd3)を探し、信号を最小化してそれぞれ対応する光検出器に送ることができる。この場合、マッハ-ツェンダー干渉計を光源とセンサ素子20との間に配置するのは適切ではないかもしれない。例えば、ニオブ酸リチウムなどの電気光学効果にすぐれた材料を用いた場合、その電気光学効果を利用して位相をずらすことができる。
【0118】
図6のグラフは、寄生キャビティによる信号も示しているが、明瞭化のため、これらの寄生キャビティについての説明は省略する。
【0119】
当業者であればわかるように、上記実施形態の詳細は、以下の特許請求の範囲によって定められる本発明の範囲内において変更可能である。
【0120】
例えば、位置合わせにおいては、上述の玉継ぎ手装置以外の位置合わせ機構を用いることもできる。
【0121】
導波手段としての使用に適した光ファイバーとしては、上記以外にも、例えばフォトニックバンドギャップファイバー(photonic band gap fibres)やLEAFファイバーがある。
【0122】
レンズ60は、GRINレンズ、シリカ非球面レンズ、凸球面レンズ、あるいはその他の600〜700℃での使用に適したレンズであってもよい。
【0123】
光キャビティを形成していない光学面に、例えばモスアイ(moth eye)やその他の被覆技術による反射防止被覆をほどこしてもよい。
【0124】
玉継ぎ手は、Eビームによる溶接、又はその他の高熱によるハウジング本体の変形を避けることができる技術によって、位置合わせ後に適所に固定してもよい。
【0125】
光ファイバー70から出射される光を平行にする又は集束するために、2つ以上のレンズを備えていてもよい。この場合、照射及び集光の効率を向上させる、より径の大きなビームとすることができる。
【0126】
膜410上に他の材料を付着させることによって光センサの熱応答性を向上させてもよい。例えば、この材料としては、窒化ケイ素などの材料によって適宜不動態化されたSiCまたはSiを用いることができる。これらの材料によって熱効果が増大し、これにより感温性が高まり、したがって、使用する材料の量を減らすことができ、熱検知及びモニタリングの時定数を低減することができる。
【0127】
光ファイバー70から出射されるビームが膜410の面内方向に進行するように、光センサの構造を変えることもできる。この場合、膜厚d2を2〜3μmとした場合でも、数ミリメートルもの光路が形成される。これによって、必要な質量が減少するので、速度の速い温度センサが得られる。
【0128】
光素子20のキャビティは、デュアルレーザー(dual laser)、すなわち、長さの異なるキャビティを区別するためSLDとレーザーとを用いて、または広帯域の光でスレーブ(slave)干渉計を用いて分析することもできる。
【0129】
光センサの部品は、稼動温度範囲において確実に圧縮されるようにするために、適当な昇温状態で組み立ててもよい。
【0130】
他の実施形態において、2つ以上のファイバーをコリメーターレンズの後部に接合することにより、強度及び耐久性を高めてもよい。この場合、1つの光ファイバーによって光を伝送し、残りの光ファイバーは機械的な目的のために使用すればよい。
【0131】
レンズ60と光ファイバー70との接合部の機械的強度を向上させるために、この接合部の周囲をさらにガラスで封止してもよい。
【0132】
光ファイバー70を上記誘電体よりも低温に保つために、部分真空もしくは完全真空としたり、又はガスを充填するなど、他の断熱手段を用いてもよい。
【0133】
他の実施形態において、光ファイバー70とレンズ60との接合体の位置合わせ機構は、図7に示すような円筒状ばねクリップ構造を有していてもよい。この円筒状ばねクリップ400は、レンズ60の外周を支持することによってレンズ60を保持している。この構造によれば、レンズ60の軸方向の位置合わせに対する熱膨張の影響を低減することができる。
【0134】
図8は、レンズが適所に保持された状態におけるばねクリップ400の斜視図である。複数のスプリングフィンガー(spring finger)410がレンズ60の外周を把持し、この外周に力を加えている。
【0135】
図9Aは、本発明における別の実施形態における、ファイバー・レンズ構造体を示している。本実施形態におけるレンズ60’は、2つの平行な平面を有する円筒基板510を用いて形成されている。この基板510における平面の1つにエッチング又はマイクロマシニングを施して平面で囲まれた曲面を形成することによって、曲面状のレンズ面500が形成されている。基板510は、例えばサファイア又はガラスによって形成される。図9Cは、レンズ面500の拡大図である。レンズ面500は、球面、非球面のいずれであってもよい。レンズは集束レンズ、発散レンズのいずれであってもよい。一実施形態においては、レンズ面500の半径520は0.5mmであるが、これより小さくてもよい。レンズ面の曲率半径は、例えば0.25mmである。これらの寸法は、レンズと光センサとの間の離間距離に依存する。円筒基板510の円周部分は、レンズ60’を支持する支持面を形成しており、この支持面はレンズ60’の光軸に対して垂直である。
【0136】
レンズ面500を囲む平面は、エンドキャップ90もしくは90’における対応する面、または支持体40もしくは40’における適所、に当接させられる。これらの面はレンズ面500より大きいので、レンズの位置合わせが簡単になる。ばねクリップ400のスプリングフィンガー410がレンズ60に対して軸方向の力を加えるようにすることにより、レンズ60を囲む平面を、エンドキャップ90もしくは90’または支持体40もしくは40’に対して押圧してもよい。この押圧は、例えば、スプリングフィンガー410がばねクリップ400の本体に繋がっている箇所において、スプリングフィンガーをある程度曲げることによって行うことができる。より正確にレンズ60を位置合わせするために、エンドキャップ90もしくは90’または支持体40もしくは40’における当接面に孔または面取り部を形成し、この孔又は面取り部内にレンズ面500を収容してもよい。
【0137】
平面レンズは装置の位置合わせ精度を向上させることができる。平面レンズはハウジング内に(すなわち光軸に対して)、より正確に収まるからである。その後、ファイバー70とレンズとの構造体を、上述のように位置合わせし、例えばCO2レーザーによって溶接固定してもよい。このようなパッシブアライメント技術は、例えばロッドレンズなどの他のタイプのレンズにも適用することができる。
【0138】
図9Bは、図9AのC−C線断面図である。基板530における反対側の平面(湾曲レンズ面500を含むエッチング面の反対側)は、図1及び図3を参照して述べたように、光ファイバー70に接合されており、この光ファイバーは平面530に対して垂直である。この接合は、熱融着又はその他の適切な接合技術によって行うことができる。レンズ面500及び光ファイバーの接合点は、各平面の中心に配置してもよく、少なくとも互いに反対側にあり、かつ、同一直線上になければならない。
【0139】
円筒基板510は、例えば、直径540が3mmで厚さ550が1.5mmである。
【0140】
図10は、図9A〜Cの円筒基板510及びファイバー70の斜視図である。図11は、基板510のエッチング部分又はマイクロマシニング部分内におけるレンズ面500の拡大図である。この実施形態によれば、製造及び位置合わせの際のレンズ60’の取り扱いが容易になる。ここでは円筒形の基板510を図示したが、四角形、矩形、六角形などの他の形状とすることもできる。
【0141】
図7及び図8を参照して述べたような円筒形ばねクリップ400、あるいはその他の適当な支持機構や位置合わせ機構によって基板510を支持してもよい。図12は、図8を参照して述べたばねクリップに類似するばねクリップ400によって支持された、レンズ60’とファイバー70との構造体を示している。
【0142】
レンズは、フレネルレンズ、又は、複数個の(例えば20〜50)小型レンズからなるレンズアレイであってもよい。これらのタイプのレンズは、リソグラフィ及び/又はウエハスケールドライエッチングによってより容易に製造することができる。ただし、これらの技術では20μmより深いスケールは製造が難しい。
【0143】
図14a〜dは、さらなる実施形態における光センサを示す。図14aは端面図、図14bは側面図、図14cは図14bのA−A線断面図、図14dはこの光センサの斜視図である。本実施形態においては、図1を参照して述べたのと同様にして、内側支持管30(ただし、ここでは中実ではなく中空である)がセンサ素子20を支持している。また、レンズ60は、ファイバー70に溶接されており、センサ素子20を照射する平行光を提供するとともに、センサ素子からの反射光を集光する構成とされている。
【0144】
しかし、この実施形態では、内側支持管30すなわちスペーサ自体がハウジングすなわちケース40から離間しており、これにより機械的及び/又は熱的遮断性が向上している。この場合、この離間は、内側支持管(スペーサ)30の周りに設けられた、環状突起800の形態を有する隙間形成用突起によって実現されている。この構造によれば、光学部品と、外側ケースまたはハウジング40との接続点が、他の部分から離隔した1つの固定点に限られる。換言すれば、センサ素子20、レンズ60、及びファイバー70を含む光学部品は、実質的に外部ケーシング40から機械的及び/又は熱的に分離される一方で、適切に支持され且つ外部環境から保護された状態を維持することができる。内側支持管すなわちスペーサ30は、隙間によって実質的に外側ケース40から離隔されており、この隙間にガス又はその他の流体を充填したり、あるいは排気したりすることにより、熱衝撃からの保護や遮断をさらに確実にすることもできる。
【0145】
本実施例によれば、光学部品の熱的及び機械的な遮断性を向上することができる。外側ケース40(これは昇温下にあるかもしれない)の外部の環境からこれらの光学部品への伝熱経路は、1つの接触点に限られている。あるいは、環状突起800を分割することにより、光学部品と外部ケーシング40との接触面積を減らしてもよい。この場合、2つ以上の接触点(すなわち、複数の出張り(lugs)又はシム(shims))を形成すれば、熱的及び機械的な遮断性を向上させることができる。
【0146】
スペーサ30は重大な機械的負荷を受けず、熱的分路を形成する。環状突起800は、対称の固定点を形成するため、いかなる共鳴も制御及び予測可能である。内側支持管30内の光学部品の共鳴振動数は、本装置が検出する対象である圧力変動すなわち音の振動数の範囲外に設定してもよい。例えば約9キロヘルツより高い共鳴振動数が適しており、内側管すなわちスペーサ30の長さ又は質量を変更することにより、共鳴振動数を調節することができる。必要であれば、内側管30をテーパー状にすることによっても、特定の周期又は振動数を減衰させることが可能である。
【0147】
上記接触点は、本装置における、センサ素子20側の端部から後方に離れた位置、すなわち使用の際の高温側端部から離間した位置に設定してもよい。これによれば、ファイバーとレンズとの接合部を含め、すべての光学部品への伝熱をさらに抑制することができる。高温側端部が熱的分路の機能を果たすことにより、内部光学アセンブリをより確実に後端側(低温側)の温度に維持することができる。
【0148】
本実施形態によれば、例えば、装置が衝撃を受けたり適所に固定されたりした時(ねじ止めされた時)などの変形に対する復元力を向上させることが可能である。
【0149】
本実施形態においては、上述のように、ファイバーを、適所に固定する前にアクティブアライメントによって位置合わせしてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体によって形成され、1つ又は複数の物理環境条件に応答する光キャビティと、
前記光キャビティから離間した末端を有し、この末端から前記光キャビティへと光が光学的結合により結合されるように構成された導波手段と、を備え、
使用時において、前記光キャビティへの前記光学的結合を損なうのに十分な第二の温度に前記誘電体が維持されているときに、前記光キャビティへの前記光学的結合を損なわない第一の温度に前記導波手段が維持されるように構成されている、光センサ。
【請求項2】
前記導波手段の前記末端と前記光キャビティとの距離は、前記導波手段を前記第一の温度に維持するのに十分な距離である、請求項1に記載の光センサ。
【請求項3】
前記距離は10mmより大きい、請求項2に記載の光センサ。
【請求項4】
前記導波手段と前記光キャビティとの位置合わせのための光学位置合わせ機構をさらに備えた、請求項2又は3に記載の光センサ。
【請求項5】
前記光学位置合わせ機構は、玉継ぎ手であり、この玉継ぎ手は、前記導波手段を前記末端の近傍で支持するよう構成されたボールと、このボールを調節可能に支持するよう構成されたソケットと、を有している、請求項4に記載の光センサ。
【請求項6】
前記ボールは、所定の固定手段によって前記ソケットに対して位置決めされている、請求項5に記載の光センサ。
【請求項7】
前記固定手段は溶接である、請求項6に記載の光センサ。
【請求項8】
基端と先端とを有するハウジングをさらに備えており、前記ハウジングは、前記基端において前記誘電体を支持するとともに、前記先端において前記導波手段を支持するよう構成されている、請求項4〜7のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項9】
前記玉継ぎ手は前記ハウジング内に配置されている、請求項8に記載の光センサ。
【請求項10】
前記導波手段から出射された光を平行にするためのコリメーターをさらに備えた、請求項1〜9のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項11】
前記コリメーターはビーム拡大器である、請求項10に記載の光センサ。
【請求項12】
前記コリメーターは、接合手段によって前記導波手段の前記末端に接合されたレンズを含む、請求項10又は11に記載の光センサ。
【請求項13】
前記接合手段は、前記導波手段の前記末端と前記レンズとの間の融着である、請求項12に記載の光センサ。
【請求項14】
前記レンズは、平坦部分によって囲まれた湾曲部を含む第一面を有している、請求項12又は13に記載の光センサ。
【請求項15】
前記レンズは、前記第一面の前記平坦部分と平行で且つ平坦な第二面をさらに有する、請求項14に記載の光センサ。
【請求項16】
前記湾曲部はマイクロマシニングによって形成されている、請求項14又は15に記載の光センサ。
【請求項17】
前記湾曲部はエッチングによって形成されている、請求項14又は15に記載の光センサ。
【請求項18】
レンズ支持体をさらに備えた、請求項12〜17のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項19】
前記レンズ支持体は、前記レンズを支持する複数のスプリングフィンガーを有する、請求項18に記載の光センサ。
【請求項20】
前記複数のスプリングフィンガーは、前記レンズに対して軸方向の力を加える、請求項19に記載の光センサ。
【請求項21】
前記レンズは、サファイア又はシリカによって形成されている、請求項12〜20のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項22】
前記レンズはモールド成形されたものである、請求項12〜20のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項23】
スペーサをさらに備えており、前記スペーサは、その基端に設けられた前記誘電体から前記導波手段の前記末端に向かって延びている、請求項1〜22のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項24】
前記スペーサは、サファイア、MgO、MgAlO、アルミナ、ジルコニアからなる群から選択される材料からなる、請求項23に記載の光センサ。
【請求項25】
前記スペーサは支持体に接合されている、請求項23又は24に記載の光センサ。
【請求項26】
前記接合は酸化物シールによって行われる、請求項25に記載の光センサ。
【請求項27】
前記支持体は、前記誘電体と実質的に等しい熱膨張特性を有する材料によって形成されている、請求項25又は26に記載の光センサ。
【請求項28】
前記支持体はコバールによって形成されている、請求項27に記載の光センサ。
【請求項29】
前記誘電体から遠い側における前記スペーサの端部において、前記スペーサを前記支持体から離隔するように設けられた熱圧縮シール部材をさらに備える、請求項25〜28のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項30】
前記熱圧縮シール部材は低クリープワッシャである、請求項29に記載の光センサ。
【請求項31】
前記低クリープワッシャは、結晶粒安定化プラチナによって形成されている、請求項30に記載の光センサ。
【請求項32】
前記スペーサの長軸は、そのゼロ複屈折の軸と一致する、請求項23〜31のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項33】
前記スペーサは熱的に及び/又は機械的に前記ハウジングから遮断されている、請求項8に従属する請求項23〜32のうちのいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項34】
前記スペーサは、このスペーサを前記ハウジングから離隔するように構成された隙間形成用突起をさらに備える、請求項23〜33のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項35】
前記隙間形成用突起は環状突起である、請求項34に記載の光センサ。
【請求項36】
前記隙間形成用突起は前記スペーサと一体である、請求項25に記載の光センサ。
【請求項37】
前記隙間形成用突起は前記ハウジングの基端部から離間している、請求項34〜26のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項38】
前記第一の温度は約700℃未満である、請求項1〜37のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項39】
前記第二の温度は約1000℃より高い、請求項1〜38のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項40】
前記誘電体における前記光キャビティの一端は、外圧の変化に応じて変形可能な膜によって形成されている、請求項1〜39のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項41】
前記膜は、前記導波手段の前記末端に向かって凹んでいる、請求項40に記載の光センサ。
【請求項42】
前記膜は、その中央部の厚みを大きくすることにより、当該中央部からの反射光の光学的歪みが低減されている、請求項40又は41に記載の光センサ。
【請求項43】
前記光キャビティは、前記膜と、誘電体スラブとの間に形成されている、請求項40〜42のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項44】
前記誘電体スラブは2つの平行面を有する、請求項43に記載の光センサ。
【請求項45】
前記2つの平行面は、第二の光キャビティを形成しており、光が前記導波手段の前記末端から当該第二の光キャビティへと光学的に結合するよう構成されている、請求項44に記載の光センサ。
【請求項46】
前記第二の光キャビティは、前記誘電体スラブの熱膨張又は収縮によって前記2つの平行面の離間距離が変化することにより、温度変化に対して応答する構成とされている、請求項45に記載の光センサ。
【請求項47】
前記導波手段に接続され、前記光キャビティの特性の変化を検知するよう構成された分析器をさらに備えた、請求項1〜46のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項48】
前記分析器は光源と光検出器とを備える、請求項47に記載の光センサ。
【請求項49】
前記光検出器は、前記光キャビティによって形成される干渉縞の光強度を測定するように構成されており、測定された前記光強度が前記光キャビティの長さの変化を示している、請求項48に記載の光センサ。
【請求項50】
前記光源は、互いに異なる波長の光を出射する2つの別個の光発生器を有し、前記光検出器は、これらの光発生器から出射され、前記光キャビティによる干渉縞を形成する光の強度を測定し、測定された2つの光強度の比が光キャビティの長さの変化を示している、請求項48又は49に記載の光センサ。
【請求項51】
前記光源は、1つ又は複数のレーザーと、1つ又は複数のスーパールミネッセントレーザーダイオードと、ブロードバンド光源とからなる群から選択される1つ又は複数の光発生器である、請求項48〜50のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項52】
前記分析器はマッハ-ツェンダー干渉計をさらに備える、請求項47〜51のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項53】
前記マッハ-ツェンダー干渉計は2つの光キャビティを同時に利用して測定を行うよう構成されている、請求項43〜46のいずれか1つに従属する場合の請求項52に記載の光センサ。
【請求項54】
前記マッハ-ツェンダー干渉計は少なくとも1つの位相変調器と少なくとも1つの検出器とを備える、請求項53に記載の光センサ。
【請求項55】
前記少なくとも1つの位相変調器は、前記少なくとも1つの検出器が同時に2つの光キャビティの光学特性の変化を検知できるよう設定される、請求項54に記載の光センサ。
【請求項56】
前記光源の振幅を検出するよう構成されたセンサをさらに備え、前記光源の振幅の変化に応じて、前記分析器の出力を補正可能である、請求項48〜55のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項57】
前記2つの光源は、フィルター付きの1つの光源により実現されている、請求項50に記載の光センサ。
【請求項58】
前記フィルターは、バンドパスフィルター又はノッチフィルターである、請求項50に記載の光センサ。
【請求項59】
前記誘電体は、前記光キャビティの内外を連通する1つ又は複数の圧力等化チャネルをさらに備える、請求項1〜58のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項60】
前記誘電体は、サファイア、マグネシウム・アルミニウム酸化物、MgO、アルミナ、及びジルコニアからなる群から選択される材料からなる、請求項1〜59のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項61】
前記導波手段はサファイア又はシリカによって形成されている、請求項1〜60のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項62】
前記導波手段は光ファイバーである、請求項1〜61のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項63】
前記導波手段の末端付近を前記第一の温度以下に維持するための温度降下手段をさらに備えた、請求項1に記載の光センサ。
【請求項64】
前記温度降下手段は、前記導波手段から熱を逃すように構成されている、請求項63に記載の光センサ。
【請求項65】
基端と先端とを有し、当該基端において前記誘電体を支持し、当該先端において前記導波手段を支持するよう構成されたハウジングをさらに備える、請求項64に記載の光センサ。
【請求項66】
前記温度降下手段は、前記導波手段を囲む管を含む、請求項65に記載の光センサ。
【請求項67】
前記管は前記ハウジングの前記先端に向かって延びている、請求項66に記載の光センサ。
【請求項68】
前記温度降下手段は、前記導波手段から前記ハウジングの前記先端に向かって熱を逃すように構成されている、請求項65、66、又は67に記載の光センサ。
【請求項69】
前記温度降下手段は金属によって形成されている、請求項63〜68のいずれか1つに記載の光センサ。
【請求項70】
前記金属は銅である、請求項69に記載の光センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−506949(P2011−506949A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537513(P2010−537513)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【国際出願番号】PCT/GB2008/004104
【国際公開番号】WO2009/077727
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(507187802)ザ サイエンス アンド テクノロジー ファシリティーズ カウンシル (15)
【氏名又は名称原語表記】THE SCIENCE AND TECHNOLOGY FACILITIES COUNCIL
【住所又は居所原語表記】Harwell Innovation Campus, Rutherford Appleton Laboratory, Chilton, Didcot, Oxon OX11 0QX, UNITED KINGDOM
【Fターム(参考)】