説明

光デバイス、光走査装置及び画像形成装置

【課題】光量変動の少ない安定した光を射出することができる光デバイスを提供する。
【解決手段】 レーザチップ100、受光素子150、カバーガラス300などを有し、受光素子150は、レーザチップ100の+X側に配置されている。カバーガラス300は、その表面で反射された光束が、ブリュースター角と略一致する入射角で、受光素子150に入射するように、XZ面内でX軸方向に対して傾斜して配置されている。レーザチップ100は、射出領域内に、光学的厚さがλ/4のSiNからなる長方形状の透明層と透明層がX軸方向に対向して形成され、射出領域の中心部の相対的に反射率が高い領域は、射出領域の中心を通りX軸に平行な方向に関する幅が、射出領域の中心を通りY軸に平行な方向に関する幅よりも小さい形状異方性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光デバイス、光走査装置及び画像形成装置に係り、更に詳しくは、光を射出する光デバイス、該光デバイスを有する光走査装置、及び該光走査装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
垂直共振器型の面発光レーザ素子(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)は、基板表面に直交する方向に光を射出するものであり、基板表面に平行な方向に光を射出する端面発光型の半導体レーザ素子(以下では、「端面発光レーザ素子」ともいう)よりも低価格、低消費電力、小型、2次元デバイスに好適、かつ高性能であることから、近年注目されている。
【0003】
面発光レーザ素子の応用分野としては、プリンタにおける光書き込み系の光源(発振波長:780nm帯)、光ディスク装置における書き込み用光源(発振波長:780nm帯、850nm帯)、光ファイバを用いるLAN(Local Area Network)などの光伝送システムの光源(発振波長:1.3μm帯、1.5μm帯)が挙げられる。さらには、ボード間、ボード内、集積回路(LSI:Large Scale Integrated circuit)のチップ間、及び集積回路のチップ内の光伝送用光源としても期待されている。
【0004】
これらの応用分野においては、面発光レーザ素子から射出される光(以下では、「射出光」ともいう)は、(1)断面形状が円形、(2)偏光方向が一定、であることが必要とされる場合が多い。
【0005】
射出光の断面形状を円形とするには、高次横モードの発振を抑制することが必要であり、様々な試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、射出光の偏光方向を制御する様々な試みがなされている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
さらに、高次横モードの発振制御と偏光方向の制御とを両立させることが検討された(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。
【0008】
また、面発光レーザ素子は、環境温度の変化や面発光レーザ素子自体の劣化によって射出光量に変化が生じることがある。そこで、光走査を安定させ高品質な画像を形成するためには射出光量の監視が必要となる。
【0009】
端面発光レーザ素子を用いた光走査装置では、後方への射出光量をモニタしながらAPC(Auto Power Controll)を行っていた。しかしながら、面発光レーザ素子ではその構造上、後方への射出光量を生じないため、面発光レーザ素子を用いた光走査装置では、光源から射出される光束の一部をモニタ用光束としてフォトダイオード等のディテクタで受光し、その結果に基づいて、APCを実施している(例えば、特許文献5参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献5に開示されているパワー監視システムでは、光学素子で反射されモニタで受光される光の光量が少なく、S/N比が低いため、精度の良い光量監視が困難であるという不都合があった。
【0011】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、光量変動の少ない安定した光を射出することができる光デバイスを提供することにある。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、高精度の光走査を行うことができる光走査装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の第3の目的は、高品質の画像を形成することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、第1の観点からすると、射出領域内において中心部の反射率を周辺部に対して相対的に高くするための透明な誘電体膜を有する少なくとも1つの面発光レーザ素子と;第1の方向に関して前記面発光レーザ素子の一側に配置された受光素子と;前記面発光レーザ素子から射出された光の光路上に配置され、該光の一部をモニタ用光として前記受光素子に向けて反射する透明部材と;を備え、前記射出領域内における相対的に反射率が高い領域は、前記射出領域の中心を通り前記第1の方向に関する幅が、前記射出領域の中心を通り前記第1の方向に直交する第2の方向に関する幅よりも小さい形状異方性を有することを特徴とする光デバイスである。
【0015】
これによれば、光量変動の少ない安定した光を射出することができる。
【0016】
本発明は、第2の観点からすると、光によって被走査面を走査する光走査装置であって、本発明の光デバイスを有する光源と;前記光源からの光を偏向する偏向器と;前記偏光器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と;を備える光走査装置である。
【0017】
これによれば、光源が本発明の光デバイスを有しているため、高精度の光走査を行うことができる。
【0018】
本発明は、第3の観点からすると、少なくとも1つの像担持体と;前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報に応じて変調された光を走査する少なくとも1つの本発明の光走査装置と;を備える画像形成装置である。
【0019】
これによれば、本発明の光走査装置を備えているため、結果として、高品質の画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るレーザプリンタの概略構成を説明するための図である。
【図2】図1における光走査装置を示す概略図である。
【図3】図2における光源ユニットを説明するための図である。
【図4】光源ユニットに含まれている光デバイスを説明するための図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、それぞれ光デバイスに含まれるレーザチップ(面発光レーザ素子)を説明するための図である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、それぞれレーザチップ(面発光レーザ素子)の基板を説明するための図である。
【図8】活性層近傍を拡大した図である。
【図9】図9(A)〜図9(C)は、それぞれレーザチップ(面発光レーザ素子)の製造方法を説明するための図(その1)である。
【図10】図10(A)及び図10(B)は、それぞれレーザチップ(面発光レーザ素子)の製造方法を説明するための図(その2)である。
【図11】図10(B)におけるメサ上面を取り出して拡大した図である。
【図12】図12(A)〜図12(C)は、それぞれレーザチップ(面発光レーザ素子)の製造方法を説明するための図(その3)である。
【図13】図12(C)におけるメサ上面を取り出して拡大した図である。
【図14】レーザチップ(面発光レーザ素子)の製造方法を説明するための図(その4)である。
【図15】図15(A)及び図15(B)は、それぞれカバーガラスの傾斜状態とモードフィルタとの関連を説明するための図である。
【図16】偏光抑圧比PMSRと偏光角θpとの関係を説明するための図である。
【図17】面発光レーザ素子の変形例1を説明するための図である。
【図18】面発光レーザ素子の比較例を説明するための図である。
【図19】発振モード分布を計算するのに用いた面発光レーザ素子を説明するための図である。
【図20】図19における小領域の内径L5と高次横モードにおけるQ値との関係を説明するための図である。
【図21】図19における小領域の内径L5と基本横モードの横方向の光閉じ込め係数Γとの関係を説明するための図である。
【図22】受光素子の受光面へのモニタ用光束の入射角を説明するための図である。
【図23】受光素子の受光面におけるモニタ用光束の入射角φと反射率Rpとの関係、及び入射角φと反射率Rsとの関係を説明するための図である。
【図24】受光素子に入射する光束の入射角がブリュースター角θと一致している状態を説明するための図である。
【図25】受光素子の取付状態の変形例を説明するための図である。
【図26】モードフィルタの変形例1を説明するための図である。
【図27】図27(A)及び図27(B)は、それぞれレーザチップ(面発光レーザ素子)の変形例を説明するための図である。
【図28】図28(A)〜図28(C)は、それぞれレーザチップ(面発光レーザ素子)の変形例の製造方法を説明するための図である。
【図29】モードフィルタの変形例2を説明するための図である。
【図30】モードフィルタの変形例3を説明するための図である。
【図31】モードフィルタの変形例4を説明するための図である。
【図32】モードフィルタの変形例5を説明するための図である。
【図33】相対的に反射率が高い領域を説明するための図である。
【図34】モードフィルタの変形例6を説明するための図である。
【図35】面発光レーザアレイチップを説明するための図である。
【図36】図35のA−A断面図である。
【図37】多色のカラープリンタの概略構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図25に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係る画像形成装置としてのレーザプリンタ1000の概略構成が示されている。
【0022】
このレーザプリンタ1000は、光走査装置1010、感光体ドラム1030、帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034、クリーニングユニット1035、トナーカートリッジ1036、給紙コロ1037、給紙トレイ1038、レジストローラ対1039、定着ローラ1041、排紙ローラ1042、排紙トレイ1043、通信制御装置1050、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置1060などを備えている。なお、これらは、プリンタ筐体1044の中の所定位置に収容されている。
【0023】
通信制御装置1050は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
【0024】
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されているROM、作業用のメモリであるRAMなどを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの要求に応じて各部を制御するとともに、上位装置からの画像情報を光走査装置2010に送る。
【0025】
感光体ドラム1030は、円柱状の部材であり、その表面には感光層が形成されている。すなわち、感光体ドラム1030の表面が被走査面である。そして、感光体ドラム1030は、図1における矢印方向に回転するようになっている。
【0026】
帯電チャージャ1031、現像ローラ1032、転写チャージャ1033、除電ユニット1034及びクリーニングユニット1035は、それぞれ感光体ドラム1030の表面近傍に配置されている。そして、感光体ドラム1030の回転方向に沿って、帯電チャージャ1031→現像ローラ1032→転写チャージャ1033→除電ユニット1034→クリーニングユニット1035の順に配置されている。
【0027】
帯電チャージャ1031は、感光体ドラム1030の表面を均一に帯電させる。
【0028】
光走査装置1010は、帯電チャージャ1031で帯電された感光体ドラム1030の表面を、プリンタ制御装置2090からの画像情報に基づいて変調された光束により走査し、感光体ドラム1030の表面に画像情報に対応した潜像を形成する。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って現像ローラ1032の方向に移動する。なお、この光走査装置1010の構成については後述する。
【0029】
トナーカートリッジ1036にはトナーが格納されており、該トナーは現像ローラ1032に供給される。
【0030】
現像ローラ1032は、感光体ドラム1030の表面に形成された潜像にトナーカートリッジ1036から供給されたトナーを付着させて画像情報を顕像化させる。ここでトナーが付着した潜像(以下では、便宜上「トナー像」ともいう)は、感光体ドラム1030の回転に伴って転写チャージャ1033の方向に移動する。
【0031】
給紙トレイ1038には記録紙1040が格納されている。この給紙トレイ1038の近傍には給紙コロ1037が配置されており、該給紙コロ1037は、記録紙1040を給紙トレイ1038から1枚ずつ取り出し、レジストローラ対1039に搬送する。該レジストローラ対1039は、給紙コロ1037によって取り出された記録紙1040を一旦保持するとともに、該記録紙1040を感光体ドラム1030の回転に合わせて感光体ドラム1030と転写チャージャ1033との間隙に向けて送り出す。
【0032】
転写チャージャ1033には、感光体ドラム1030の表面のトナーを電気的に記録紙1040に引きつけるために、トナーとは逆極性の電圧が印加されている。この電圧により、感光体ドラム1030の表面のトナー像が記録紙1040に転写される。ここで転写された記録紙1040は、定着ローラ1041に送られる。
【0033】
定着ローラ1041では、熱と圧力とが記録紙1040に加えられ、これによってトナーが記録紙1040上に定着される。ここで定着された記録紙1040は、排紙ローラ1042を介して排紙トレイ1043に送られ、排紙トレイ1043上に順次スタックされる。
【0034】
除電ユニット1034は、感光体ドラム1030の表面を除電する。
【0035】
クリーニングユニット1035は、感光体ドラム1030の表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラム1030の表面は、再度帯電チャージャ1031に対向する位置に戻る。
【0036】
次に、前記光走査装置1010の構成について説明する。
【0037】
この光走査装置1010は、一例として図2に示されるように、光源ユニット14、カップリングレンズ15、開口板16、シリンドリカルレンズ17、反射ミラー18、ポリゴンミラー13、偏向器側走査レンズ11a、像面側走査レンズ11b、及び走査制御装置(図示省略)などを備えている。そして、これらは、光学ハウジング30の所定位置に組み付けられている。
【0038】
光源ユニット14は、一例として図3に示されるように、光デバイス510、該光デバイス510を駆動制御するレーザ制御装置590、前記光デバイス510及びレーザ制御装置590が実装されているPCB(Printed Circuit Board)基板580を有している。
【0039】
なお、本明細書では、光源ユニット14からの光の射出方向をZ軸方向、このZ軸方向に垂直な平面内で互いに直交する2つの方向をX軸方向及びY軸方向として説明する。また、以下では、便宜上、主走査方向に対応する方向を「主走査対応方向」と略述し、副走査方向に対応する方向を「副走査対応方向」と略述する。
【0040】
光デバイス510は、一例として図4及び図5に示されるように、レーザチップ100、受光素子150、レーザチップ100及び受光素子150を保持するパッケージ部材200、カバーガラス300などを有している。
【0041】
なお、図4は、光デバイス510の平面図であり、図5は、図4のA−A断面図である。また、図5では、煩雑さを避けるため、レーザチップ100とパッケージ部材200とを繋ぐボンディングワイヤ、受光素子150とパッケージ部材200とを繋ぐボンディングワイヤの図示は省略している。
【0042】
パッケージ部材200は、セラミックと複数の金属配線を有する多層構造CLCC(Ceramic leaded chip carrier)と呼ばれるフラットパッケージである。複数の金属配線は、パッケージ側面の複数の金属キャスターに個別に接続されており、パッケージ部材の周辺から中央に向かって伸びている。
【0043】
このパッケージ部材200は、その+Z側には、周囲が壁で囲まれている空間領域を有している。
【0044】
空間領域の底面には、金属膜が設けられている。この金属膜は、ダイアタッチエリアとも呼ばれており、共通電極になっている。
【0045】
レーザチップ100及び受光素子150は、空間領域の底面の金属膜上にAuSn等の半田材を用いてダイボンドされている。すなわち、レーザチップ100及び受光素子150は、周囲が壁で囲まれている領域の底面上に保持されている。
【0046】
ここでは、レーザチップ100及び受光素子150は、Y軸方向に関しては、いずれも底面の中央に配置され、X軸方向に関しては、底面の−X側にレーザチップ100が配置され、+X側に受光素子150が配置されている。すなわち、レーザチップ100の+X側に受光素子150が配置されている。
【0047】
カバーガラス300は、矩形形状の透明なガラス板であり、レーザチップ100及び受光素子150の+Z側に配置され、空間領域を封止している。これにより、レーザチップ100及び受光素子150にごみなどが付着するのを防止できる。
【0048】
また、ここでは、カバーガラス300は、その表面が、XZ面内において、X軸方向に対して反時計まわりに傾斜(傾斜角α)して配置されている。そして、レーザチップ100から射出された光束の一部は、カバーガラス300の表面で反射され、受光素子150に入射する。
【0049】
受光素子150は、受光光量に応じた信号(光電変換信号)をレーザ制御装置590に出力する。
【0050】
なお、レーザチップ100から射出され、カバーガラス300を透過した光束が、光デバイス510から射出される光束、すなわち、光源ユニット14から射出される光束となる。
【0051】
図2に戻り、カップリングレンズ15は、光源ユニット14から射出された光束を略平行光とする。
【0052】
開口板16は、開口部を有し、カップリングレンズ15を介した光束のビーム径を規定する。
【0053】
シリンドリカルレンズ17は、開口板16の開口部を通過した光束を、反射ミラー18を介してポリゴンミラー13の偏向反射面近傍に副走査対応方向に関して結像する。
【0054】
光デバイス510とポリゴンミラー13との間の光路上に配置される光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。本実施形態では、偏向器前光学系は、カップリングレンズ15と開口板16とシリンドリカルレンズ17と反射ミラー18とから構成されている。
【0055】
ポリゴンミラー13は、高さの低い正六角柱状部材からなり、側面に6面の偏向反射面が形成されている。このポリゴンミラー13は、副走査対応方向に平行な軸のまわりを等速回転しながら、反射ミラー18からの光束を偏向する。
【0056】
偏向器側走査レンズ11aは、ポリゴンミラー13で偏向された光束の光路上に配置されている。
【0057】
像面側走査レンズ11bは、偏向器側走査レンズ11aを介した光束の光路上に配置されている。そして、この像面側走査レンズ11bを介した光束が、感光体ドラム1030の表面に照射され、光スポットが形成される。この光スポットは、ポリゴンミラー13の回転に伴って感光体ドラム1030の長手方向に移動する。すなわち、感光体ドラム1030上を走査する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」である。また、感光体ドラム1030の回転方向が「副走査方向」である。
【0058】
ポリゴンミラー13と感光体ドラム1030との間の光路上に配置される光学系は、走査光学系とも呼ばれている。本実施形態では、走査光学系は、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bとから構成されている。なお、偏向器側走査レンズ11aと像面側走査レンズ11bの間の光路上、及び像面側走査レンズ11bと感光体ドラム1030の間の光路上の少なくとも一方に、少なくとも1つの折り返しミラーが配置されても良い。
【0059】
レーザチップ100は、発振波長が780nm帯の面発光レーザ素子であり、一例として図6(A)及び図6(B)に示されるように、基板101、バッファ層102、下部半導体DBR103、下部スペーサ層104、活性層105、上部スペーサ層106、上部半導体DBR107、コンタクト層109などを有している。なお、図6(A)はレーザチップ100をXZ面に平行に切断したときの切断面を示す図であり、図6(B)はレーザチップ100をYZ面に平行に切断したときの切断面を示す図である。
【0060】
基板101は、表面が鏡面研磨面であり、図7(A)に示されるように、鏡面研磨面(主面)の法線方向が、結晶方位[1 0 0]方向に対して、結晶方位[1 1 1]A方向に向かって15度(θ=15度)傾斜したn−GaAs単結晶基板である。すなわち、基板101はいわゆる傾斜基板である。ここでは、図7(B)に示されるように、結晶方位[0 −1 1]方向が+X方向、結晶方位[0 1 −1]方向が−X方向となるように配置されている。
【0061】
また、ここでは、基板101に傾斜基板を用いることによって、偏光方向をX軸方向に安定させようとする作用が働くものとする。
【0062】
バッファ層102は、基板101の+Z側の面上に積層され、n−GaAsからなる層である。
【0063】
下部半導体DBR103は、バッファ層102の+Z側に積層され、n−AlAsからなる低屈折率層と、n−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層のペアを40.5ペア有している。各屈折率層の間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成へ向かって組成を徐々に変化させた厚さ20nmの組成傾斜層が設けられている(図8参照)。そして、各屈折率層はいずれも、隣接する組成傾斜層の1/2を含んで、発振波長をλとするとλ/4の光学的厚さとなるように設定されている。なお、光学的厚さがλ/4のとき、その層の実際の厚さDは、D=λ/4n(但し、nはその層の媒質の屈折率)である。
【0064】
下部スペーサ層104は、下部半導体DBR103の+Z側に積層され、ノンドープの(Al0.1Ga0.90.5In0.5Pからなる層である。
【0065】
活性層105は、下部スペーサ層104の+Z側に積層され、3層の量子井戸層105aと4層の障壁層105bとを有する3重量子井戸構造の活性層である(図8参照)。各量子井戸層105aは、0.7%の圧縮歪みを誘起する組成であるGaInAsPからなり、バンドギャップ波長が約780nmである。また、各障壁層105bは、0.6%の引張歪みを誘起する組成であるGaInPからなる。
【0066】
上部スペーサ層106は、活性層105の+Z側に積層され、ノンドープの(Al0.1Ga0.90.5In0.5Pからなる層である。
【0067】
下部スペーサ層104と活性層105と上部スペーサ層106とからなる部分は、共振器構造体とも呼ばれており、その厚さが1波長の光学的厚さとなるように設定されている(図8参照)。なお、活性層105は、高い誘導放出確率が得られるように、電界の定在波分布における腹に対応する位置である共振器構造体の中央に設けられている。
【0068】
上部半導体DBR107は、上部スペーサ層106の+Z側に積層され、p−Al0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層とp−Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層のペアを25ペア有している。
【0069】
上部半導体DBR107における各屈折率層の間には、電気抵抗を低減するため、一方の組成から他方の組成へ向かって組成を徐々に変化させた組成傾斜層が設けられている。そして、各屈折率層はいずれも、隣接する組成傾斜層の1/2を含んで、λ/4の光学的厚さとなるように設定されている。
【0070】
上部半導体DBR107における低屈折率層の1つには、p−AlAsからなる被選択酸化層108が厚さ30nmで挿入されている。この被選択酸化層108の挿入位置は、電界の定在波分布において、活性層105から3番目となる節に対応する位置である。
【0071】
コンタクト層109は、上部半導体DBR107の+Z側に積層され、p−GaAsからなる層である。
【0072】
なお、このように基板101上に複数の半導体層が積層されたものを、以下では、便宜上「積層体」ともいう。
【0073】
次に、レーザチップ100の製造方法について簡単に説明する。なお、ここでは、所望の偏光方向(所望の偏光方向Pという)は、X軸方向であるものとする。
【0074】
(1)上記積層体を有機金属気相成長法(MOCVD法)あるいは分子線エピタキシャル成長法(MBE法)による結晶成長によって作成する(図9(A)参照)。
【0075】
ここでは、III族の原料には、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリメチルガリウム(TMG)、トリメチルインジウム(TMI)を用い、V族の原料には、フォスフィン(PH)、アルシン(AsH)を用いている。また、p型ドーパントの原料には四臭化炭素(CBr)、ジメチルジンク(DMZn)を用い、n型ドーパントの原料にはセレン化水素(HSe)を用いている。
【0076】
(2)積層体の表面に一辺が25μmの正方形状のレジストパターンを形成する。
【0077】
(3)Clガスを用いるECRエッチング法で、上記レジストパターンをフォトマスクとして四角柱状のメサ構造体(以下では、便宜上「メサ」と略述する)を形成する。ここでは、エッチングの底面は下部スペーサ層104中に位置するようにした。
【0078】
(4)フォトマスクを除去する(図9(B)参照)。
【0079】
(5)積層体を水蒸気中で熱処理する。これにより、被選択酸化層108中のAl(アルミニウム)がメサの外周部から選択的に酸化され、メサの中央部に、Alの酸化物108aによって囲まれた酸化されていない領域108bが残留する(図9(C)参照)。すなわち、発光部の駆動電流の経路をメサの中央部だけに制限する、いわゆる酸化狭窄構造体が形成される。上記酸化されていない領域108bが電流通過領域である。このようにして、例えば幅4μmから6μm程度の略正方形状の電流通過領域が形成される。
【0080】
(6)気相化学堆積法(CVD法)を用いて、SiNからなる保護層111を形成する(図10(A)参照)。ここでは、保護層111の光学的厚さがλ/4となるようにした。具体的には、SiNの屈折率nが1.86、発振波長λが780nmであるため、実際の膜厚(=λ/4n)は約105nmに設定した。
【0081】
(7)レーザ光の射出面となるメサ上部にp側電極コンタクトの窓開けを行うためのエッチングマスク(マスクMという)を作成する。ここでは、一例として図10(B)及び該図10(B)におけるメサのみを取り出して拡大した図11に示されるように、メサの周囲、メサ上面の外周、及びメサ上面の中心部を挟んで所望の偏光方向P(ここでは、X軸方向)に平行な方向に関して対向している2つの小領域(第1の小領域と第2の小領域)がエッチングされないようにマスクMを作成する。具体的には、図11における符号L1を5μm、符号L2を2μm、符号L3を8μmとした。
【0082】
(8)BHFにて保護層111をエッチングし、p側電極コンタクトの窓開けを行う。
【0083】
(9)マスクMを除去する(図12(A)及び図12(B)参照)。なお、以下では、便宜上、第1の小領域に残存している保護層111を「透明層111A」とし、第2の小領域に残存している保護層111を「透明層111B」という。
【0084】
ところで、保護層111をエッチングする際に、マスクMも横方向(Z軸方向に直交する方向)からエッチングされるため、エッチングが進行するにつれてマスクMの形状は縮むこととなる。そこで、透明層111A及び透明層111Bの側面は、Z軸方向に対して傾斜した側面となる。
【0085】
(10)メサ上部の光射出部となる領域(射出領域)に一辺10μmの正方形状のレジストパターンを形成し、メサ上部にp側の電極材料の蒸着を行なう。p側の電極材料としてはCr/AuZn/Auからなる多層膜、もしくはTi/Pt/Auからなる多層膜が用いられる。
【0086】
(11)射出領域に蒸着された電極材料をリフトオフし、p側電極113を形成する(図12(C)参照)。このp側電極113で囲まれた領域が射出領域である。なお、図12(C)におけるメサのみを取り出して拡大した図が図13に示されている。射出領域の形状は、一辺の長さがL4(ここでは、10μm)の正方形である。本実施形態では、射出領域内の2つの小領域(第1の小領域、第2の小領域)に、光学的厚さがλ/4のSiNからなる透明な誘電体膜として透明層111Aと透明層111Bが存在している。これにより、2つの小領域(第1の小領域、第2の小領域)の反射率は、射出領域の中心部の反射率よりも低くなる。そこで、2つの小領域(第1の小領域、第2の小領域)によって挟まれた領域は、相対的に反射率が高い領域となる。なお、射出領域内に形成された透明な誘電体膜は、「モードフィルタ」とも呼ばれている。
【0087】
(12)基板101の裏側を所定の厚さ(例えば100μm程度)まで研磨した後、n側電極114を形成する(図14参照)。ここでは、n側電極114はAuGe/Ni/Auからなる多層膜である。
【0088】
(13)アニールによって、p側電極113とn側電極114のオーミック導通をとる。これにより、メサは発光部となる。
【0089】
(14)チップ毎に切断する。
【0090】
そして、種々の後工程を経て、レーザチップ100となる。
【0091】
このように、レーザチップ100は、射出領域内において中心部の反射率を周辺部に対して相対的に高くするための透明な誘電体膜を有している。そして、射出領域内における相対的に反射率が高い領域は、射出領域の中心を通りX軸に平行な方向に関する幅Dxが、射出領域の中心を通りY軸に平行な方向に関する幅Dyよりも小さい形状異方性を有している(図15(A)参照)。そこで、レーザチップ100から射出される光束は、偏光方向がP方向に規制された光束となる。
【0092】
ところで、受光素子150は、レーザチップ100の+X側に配置されている。従って、カバーガラス300で反射され受光素子150に入射する光束(モニタ用光束)は、その電界ベクトルの振動方向が受光素子150における入射面内に含まれることとなる。すなわち、モニタ用光束は、p偏光として受光素子150に受光される(図15(B)参照)。
【0093】
次に、モードフィルタの形状と偏光安定性について説明する。
【0094】
一般に、基本横モードの光出力は射出領域の中心付近で最も大きく、周辺になるにつれて低下する傾向がある。これに対して、高次横モードの中には光出力が射出領域の周辺部で大きくなり、中心に近づくにつれて低下するものもある。
【0095】
本実施形態では、射出領域の周辺部に設定された2つの小領域(第1の小領域、第2の小領域)の反射率を、中心部の反射率よりも低くしている。そこで、基本横モードに対する反射率を低下させずに高次横モードの反射率を低下させることができる。すなわち、基本横モードの光出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制する作用が働く。
【0096】
レーザチップ100について、偏光抑圧比PMSR(Polarization Mode Suppression Ratio)と偏光角θpとの関係を求めた。その結果が比較例とともに図16に示されている。なお、偏光抑圧比とは、所望の偏光方向における光強度とそれに直交する方向における光強度との比であり、複写機などでは20dB程度必要であるとされている。ここでは、Y軸方向が偏光角θp=0度、X軸方向が偏光角θp=90度である。
【0097】
図16における符号Aは本実施形態に係るレーザチップ100の場合である。図16における符号Cは、一例として図17に示されるように、レーザチップ100をZ軸まわりに90度回転させたのと同等のレーザチップの場合である。また、図16における符号Dは、一例として図18に示されるように、射出領域内に中央部を取り囲む1つの小領域が設定され、そこに光学的厚さがλ/4の透明な誘電体膜が形成されているレーザチップ(比較例)の場合である。
【0098】
符号Aの場合は、偏光方向はX軸方向で安定し、符号Cの場合は、偏光方向はY軸方向で安定しているという結果が得られた。また、いずれの場合も、符号Dの場合に比べて、約5dB以上高いPMSRが得られた。一方、符号Dの場合は、偏光方向はX軸方向で安定はしているが、PMSRが10dBを下回り、偏光方向が不安定な場合があった。
【0099】
光学的厚さがλ/4の透明な誘電体膜が形成される小領域の数を複数にすることで偏光安定性が向上した要因として、互いに直交する2方向(ここでは、X軸方向とY軸方向)における光閉じ込め作用に異方性が生じたことが考えられる。本実施形態では、偏光方向がX軸方向と一致する光は、射出領域の周辺部に比べて反射率の高い射出領域の中心部への閉じ込め作用が働き、偏光方向がY軸方向と一致する光に比べて発振しきい値が低下する。その結果、偏光抑圧比が向上したと考えられる。
【0100】
ここで、一例として図19に示されるように、円形の射出領域内に中央部を取り囲む1つのリング状の小領域を設定し、該小領域に光学的厚さがλ/4の透明な誘電体膜が形成されているレーザチップ(計算上のレーザチップ)について、小領域の幅L6を3μmに固定し、小領域の内径L5を変更しつつ発振モード分布を計算により求めた。なお、計算では、電流通過領域の直径を4.5μmとしている。また、図19では、便宜上、レーザチップ100と同等のものについては、同じ符号を用いている。
【0101】
上記計算結果から得られた、小領域の内径L5と高次横モードにおけるQ値との関係が図20に示されている。これによると、L5の値を1μmから大きくしていくと、Q値が大幅に低下することがわかる。これは、高次横モードにおける光強度の高い部分が小領域と重なり、高次横モードの発振が抑制されたものと考えられる。
【0102】
また、上記計算結果から得られた、小領域の内径L5と基本横モードの横方向の光閉じ込め係数Γとの関係が図21に示されている。これによると、横方向の光閉じ込め作用はL5の値が5μm以下のときに強く、L5の値が5μmよりも大きいと、大きくなるにつれて横方向の光閉じ込め作用が小さくなることが分かる。このことから、小領域の数を複数にして、各小領域の間隔に異方性をもたせることにより、横方向の閉じ込め作用に異方性を生じさせることが可能となる。その結果、閉じ込め作用の強い方向の偏光成分は閉じ込め作用の弱い方向の偏光成分に比べて発振しやすくなり、偏光方向を閉じ込め作用の強い方向に規制することができる。
【0103】
図16と図20と図21とから、各小領域の間隔に異方性をもたせることによって、射出領域の中央部の相対的に反射率が高い領域が形状異方性を有することとなり、そのために偏光方向が規制され、安定化されていることがわかる。安定化されている偏光方向は、図16からわかるように、2つの小領域が対向する方向(ここでは、X軸方向)である。これは計算値からわかるように、光閉じ込め係数ΓまたはQ値の大きさが、L5に依存していることによる。つまり、L5に異方性がある場合には、L5の小さい方に偏光方向が安定する。
【0104】
一般化して述べると、射出領域内において、相対的に反射率が高い領域に光が閉じ込められ、その相対的に反射率が高い領域に形状異方性があるときに偏光方向が安定する。その安定する偏光方向は、相対的に反射率が高い領域における短手方向である。これは、モードフィルタがどのような構造であっても、相対的に反射率が高い領域が形状異方性を持つことで成り立つ。なお、相対的に反射率が高い領域における短手方向とは、射出領域の中心を通る幅が最も短くなる方向である。
【0105】
受光素子150に入射する光束(モニタ用光束)の偏光方向と、該光束の受光素子150への入射角φ(図22参照)と、受光素子150の表面での該光束の反射率との関係について説明する。
【0106】
受光素子150に入射する光束がp偏光のときの反射率Rpは次の(1)式で与えられ、s偏光のときの反射率Rsは次の(2)式で与えられる。
【0107】
【数1】

【0108】
【数2】

【0109】
なお、空気の屈折率をn、受光素子150の受光面の屈折率をnとすると、n=(n/n)である。ここでは、受光素子150の受光面は、透明な樹脂で封止されており、該透明な樹脂の屈折率は1.516である。
【0110】
図23には、上記(1)式から得られた反射率Rpと入射角φとの関係、及び上記(2)式から得られた反射率Rsと入射角φとの関係が示されている。これによると、反射率Rpは、入射角φが0°から増加するにつれて低下し、一旦0となった後増加に転じている。一方、反射率Rsは、入射角φが0°から増加するにつれて単調に増加している。
【0111】
本実施形態では、受光素子150に入射する光束がp偏光となるようにレーザチップ100が配置されるとともに、受光素子150に入射する光束の入射角φがブリュースター角θと一致するようにカバーガラス300を傾斜させている(図24参照)。ここでのブリュースター角θは、約57°である。
【0112】
これにより、受光素子150の表面での反射率を非常に小さくすることができる。その結果、カバーガラス300で反射された光束(モニタ用光束)のほとんどを受光素子150で受光し、電気信号に変換することができる。
【0113】
なお、カバーガラス300の傾斜のみでは受光素子150に入射する光束の入射角φをブリュースター角θと一致させるのが困難な場合には、一例として図25に示されるように、傾斜板などを用いて受光素子150をX軸方向に対して傾斜させ、受光素子150に入射する光束の入射角φをブリュースター角θと一致させても良い。
【0114】
そして、レーザ制御装置590は、受光素子150の出力信号に基づいて、APCを行う。
【0115】
以上説明したように、本実施形態に係る光デバイス510によると、レーザチップ100、受光素子150、レーザチップ100及び受光素子150を保持するパッケージ部材200、カバーガラス300などを有している。
【0116】
そして、レーザチップ100は、射出領域内に、光学的厚さがλ/4のSiNからなる長方形状の透明層111Aと透明層111BがX軸方向に対向して形成されている。
【0117】
この場合は、射出領域の中心部の相対的に反射率が高い領域は、射出領域の中心を通りX軸に平行な方向に関する幅が、射出領域の中心を通りY軸に平行な方向に関する幅よりも小さい形状異方性を有する。
【0118】
そこで、レーザチップ100は、基本横モードの光出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制するとともに、偏光方向がX軸方向の直線偏光を安定して射出することができる。
【0119】
また、受光素子150は、レーザチップ100の+X側に配置されている。そして、カバーガラス300は、その表面で反射された光束(モニタ用光束)が、ブリュースター角と略一致する入射角で、受光素子150に入射するように、XZ面内でX軸方向に対して傾斜して配置されている。
【0120】
この場合は、カバーガラス300で反射された光束(モニタ用光束)のほとんどを受光素子150で受光し、電気信号に変換することができる。すなわち、S/N比を従来よりも向上させることができる。その結果、レーザ制御装置590では、高い精度でAPCを行うことができる。
【0121】
そこで、光デバイス510は、光量変動の少ない安定した光を射出することができる。
【0122】
また、本実施形態に係る光走査装置1010は、光源ユニット14が光デバイス510を有しているため、安定した光走査を行うことができる。
【0123】
そして、本実施形態に係るレーザプリンタ1000によると、光走査装置1010を備えているため、高品質の画像を形成することが可能となる。
【0124】
ところで、従来の面発光レーザ素子を用いた画像形成装置では、光量変動を抑制するために、例えば特開2005−156933号公報に示されるようなモニタ光学系を必要としていた。しかしながら、上記実施形態では、光量監視用の受光素子がレーザチップと一体化されているため、モニタ光学系が不要であり、小型化及び低コスト化を図ることが可能である。
【0125】
なお、上記実施形態では、透明層111A及び透明層111Bの形状が長方形である場合について説明したが、これに限定されるものではない。楕円形状、半円状など任意の形状であっても良い(図26参照)。
【0126】
また、上記実施形態では、透明層111A及び透明層111Bが保護層111と同じ材質である場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、各透明層の材質がSiOであっても良い。
【0127】
また、上記実施形態では、透明層111A及び透明層111Bの光学的厚さがλ/4の場合について説明したが、これに限定されるものではない。一例として図27(A)及び図27(B)に示されるように、透明層111A及び透明層111Bの光学的厚さが3λ/4であっても良い。要するに、透明層111A及び透明層111Bの光学的厚さがλ/4の奇数倍であれば、上記実施形態のレーザチップ100と同様な高次横モードの抑制効果を得ることができる。なお、図27(A)はこのレーザチップ100AをXZ面に平行に切断したときの切断面を示す図であり、図27(B)はこのレーザチップ100AをYZ面に平行に切断したときの切断面を示す図である。
【0128】
この場合には、一例として図28(A)に示されるように、上記実施形態におけるp側電極113が形成された後、気相化学堆積法(CVD法)を用いて、一例として図28(B)に示されるように、SiNからなる保護層111を光学的厚さが2λ/4となるように形成する。具体的には、SiNの屈折率nが1.86、発振波長λが780nmであるため、実際の膜厚(=2λ/4n)は約210nmに設定した。そして、基板101の裏側を所定の厚さ(例えば100μm程度)まで研磨した後、n側電極114を形成する(図28(C)参照)。
【0129】
このとき、射出領域の中心部は、光学的厚さが2λ/4の保護層111(誘電体膜)で被覆されることとなる。また、射出領域の周辺部で2つの小領域(第1の小領域と第2の小領域)を除く領域も、光学的厚さが2λ/4の保護層111(誘電体膜)で被覆されることとなる。
【0130】
また、レーザチップ100Aでは、射出面全部が保護層111(誘電体膜)に被覆されていることとなるため、射出面の酸化や汚染を抑制することができる。なお、射出領域の中心部も保護層111(誘電体膜)に覆われているが、その光学的厚さをλ/4の偶数倍としているため、反射率を低下させることがなく、保護層111(誘電体膜)がない場合と同等の光学特性が得られた。
【0131】
すなわち、反射率を低下させたい部分の光学的厚さがλ/4の奇数倍、それ以外の部分の光学的厚さがλ/4の偶数倍であれば、基本横モードの光出力を低下させることなく、高次横モードの発振を抑制することができる。
【0132】
また、上記実施形態では、モードフィルタが2つの透明層(111A、111B)からなる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図29に示されるように、モードフィルタが中央部に楕円形状の開口を有する1つの透明層111であっても良い。この場合は、射出領域の中心部の相対的に反射率が高い領域は楕円形状となる。そして、該楕円形状の長軸方向がY軸方向と一致し、短軸方向がX軸方向と一致するようになっていれば、偏光方向がX軸方向の直線偏光を安定して射出させることができる。
【0133】
また、一例として図30に示されるように、モードフィルタが中央部に多角形状の開口を有する1つの透明層111であっても良い。この場合は、射出領域の中心部の相対的に反射率が高い領域は多角形状となる。そして、多角形状が形状異方性を有し、射出領域の中心を通りX軸に平行な方向に関する幅Dxが、射出領域の中心を通りY軸に平行な方向に関する幅Dyよりも小さければ、偏光方向がX軸方向の直線偏光を安定して射出させることができる。
【0134】
また、一例として図31に示されるように、透明層111Aと透明層111Bからなるモードフィルタの重心が、射出領域の中心と一致していなくても良い。この場合に、射出領域の中心部の相対的に反射率が高い領域が形状異方性を有し、射出領域の中心を通りX軸に平行な方向に関する幅Dxが、射出領域の中心を通りY軸に平行な方向に関する幅Dyよりも小さければ、偏光方向がX軸方向の直線偏光を安定して射出させることができる。
【0135】
また、一例として図32に示されるように、透明層111からなるモードフィルタの重心が、射出領域の中心と一致していなくても良い。この場合に、射出領域の中心部の相対的に反射率が高い領域が形状異方性を有し、射出領域の中心を通りX軸に平行な方向に関する幅Dxが、射出領域の中心を通りY軸に平行な方向に関する幅Dyよりも小さければ、偏光方向がX軸方向の直線偏光を安定して射出させることができる。
【0136】
ところで、一例として図33に示されるように、2つの透明層(111A、111B)の外側にあたる部分KKも、相対的に反射率が高い領域であるが、発振モードへの寄与は小さく、本明細書では、射出領域の中心部の相対的に反射率が高い領域には含まれない。
【0137】
また、一例として図34に示されるように、透明層111A及び透明層111Bが、三角形状であって、射出領域の中心を挟んで対向していても良い。この場合に、射出領域の中心部の相対的に反射率が高い領域が形状異方性を有し、射出領域の中心を通りX軸に平行な方向に関する幅Dxが、射出領域の中心を通りY軸に平行な方向に関する幅Dyよりも小さければ、偏光方向がX軸方向の直線偏光を安定して射出させることができる。この場合は、各透明層の重心を結ぶ線分は、カバーガラス300における光束の入射位置での法線を射出領域が含まれる平面上に投影したときの直線(X軸に平行な直線)と直交しない。
【0138】
また、上記実施形態では、受光素子150に入射する光束の入射角φをブリュースター角θと略一致させる場合について説明したがこれに限定されるものではない。
【0139】
また、上記実施形態において、光デバイス510は、前記レーザチップ100に代えて、一例として図35に示される面発光レーザアレイチップ100Mを有しても良い。
【0140】
この面発光レーザアレイチップ100Mは、複数(ここでは21個)の発光部が同一基板上に配置されている。ここでは、図35におけるX軸方向は主走査対応方向であり、Y軸方向は副走査対応方向である。複数の発光部は、すべての発光部をY軸方向に伸びる仮想線上に正射影したときに等間隔d2となるように配置されている。すなわち、21個の発光部は、2次元的に配列されている。なお、本明細書では、「発光部間隔」とは2つの発光部の中心間距離をいう。また、発光部の数は21個に限定されるものではない。
【0141】
各発光部は、図35のA−A断面図である図36に示されるように、前述したレーザチップ100と同様な構造を有している。そして、この面発光レーザアレイチップ100Mは、前述したレーザチップ100と同様な方法で製造することができる。そこで、各発光部間で均一な偏光方向を持つ単一基本横モードの複数のレーザ光を得ることができる。従って、円形で且つ光密度の高い微小な光スポットを21個同時に感光体ドラム1030上に形成することが可能である。
【0142】
また、面発光レーザアレイチップ100Mでは、各発光部を副走査対応方向に延びる仮想線上に正射影したときの発光部間隔が等間隔d2であるので、点灯のタイミングを調整することで感光体ドラム1030上では副走査方向に等間隔で発光部が並んでいる場合と同様な構成と捉えることができる。
【0143】
そして、例えば、上記間隔d2を2.65μm、光走査装置1010の光学系の倍率を2倍とすれば、4800dpi(ドット/インチ)の高密度書込みができる。もちろん、主走査対応方向の発光部数を増加したり、副走査対応方向のピッチd1を狭くして間隔d2を更に小さくするアレイ配置としたり、光学系の倍率を下げる等を行えばより高密度化でき、より高品質の印刷が可能となる。なお、主走査方向の書き込み間隔は、発光部の点灯のタイミングで容易に制御できる。
【0144】
また、この場合には、レーザプリンタ1000では書きこみドット密度が上昇しても印刷速度を落とすことなく印刷することができる。また、同じ書きこみドット密度の場合には印刷速度を更に速くすることができる。
【0145】
また、この場合には、各発光部からの光束の偏光方向が安定して揃っているため、レーザプリンタ1000では、高品質の画像を安定して形成することができる。
【0146】
また、上記実施形態において、前記レーザチップ100に代えて、レーザチップ100と同様の発光部が1次元配列された面発光レーザアレイチップを用いても良い。
【0147】
また、上記実施形態では、基板の主面の法線方向が、結晶方位[1 0 0]方向に対して、結晶方位[1 1 1]A方向に向かって15度傾斜している場合について説明したが、これに限定されるものではない。基板の主面の法線方向が、結晶方位<1 0 0>の一の方向に対して、結晶方位<1 1 1>の一の方向に向かって傾斜していれば良い。
【0148】
また、上記実施形態では、発光部の発振波長が780nm帯の場合について説明したが、これに限定されるものではない。感光体の特性に応じて、発光部の発振波長を変更しても良い。
【0149】
また、上記光デバイス510は、画像形成装置以外の用途にも用いることができる。その場合には、レーザチップの発振波長は、その用途に応じて、650nm帯、850nm帯、980nm帯、1.3μm帯、1.5μm帯等の波長帯であっても良い。この場合に、活性層を構成する半導体材料は、発振波長に応じた混晶半導体材料を用いることができる。例えば、650nm帯ではAlGaInP系混晶半導体材料、980nm帯ではInGaAs系混晶半導体材料、1.3μm帯及び1.5μm帯ではGaInNAs(Sb)系混晶半導体材料を用いることができる。
【0150】
また、各反射鏡の材料及び構成を発振波長に応じて選択することにより、任意の発振波長に対応した発光部を形成することができる。例えば、AlGaInP混晶などのAlGaAs混晶以外のものを用いることができる。なお、低屈折率層及び高屈折率層は、発振波長に対して透明で、かつ可能な限り互いの屈折率差が大きく取れる組み合わせが好ましい。
【0151】
また、上記実施形態では、画像形成装置としてレーザプリンタ1000の場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0152】
例えば、レーザ光によって発色する媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
【0153】
例えば、媒体が、CTP(Computer to Plate)として知られている印刷版であっても良い。つまり、光走査装置1010は、印刷版材料にレーザアブレーションによって直接画像形成を行い、印刷版を形成する画像形成装置にも好適である。
【0154】
また、レーザ光によって発色に可逆性を与えることができる媒体(例えば、用紙)に直接、レーザ光を照射する画像形成装置であっても良い。
【0155】
例えば、媒体が、いわゆるリライタブルペーパーであっても良い。これは、例えば紙や樹脂フィルム等の支持体上に、以下に説明するような材料が記録層として塗布されている。そして、レーザ光による熱エネルギー制御によって発色に可逆性を与え、表示/消去を可逆的に行うものである。
【0156】
透明白濁型リライタブルマーキング法とロイコ染料を用いた発消色型リライタブルマーキング法があり、いずれも適用できる。
【0157】
透明白濁型は、高分子薄膜の中に脂肪酸の微粒子を分散したもので、110℃以上に加熱すると脂肪酸の溶融により樹脂が膨張する。その後、冷却すると脂肪酸は過冷却状態になり液体のまま存在し、膨張した樹脂が固化する。その後、脂肪酸が固化収縮して多結晶の微粒子となり樹脂と微粒子間に空隙が生まれる.この空隙により光が散乱されて白色に見える。次に、80℃から110℃の消去温度範囲に加熱すると、脂肪酸は一部溶融し、樹脂は熱膨張して空隙を埋める。この状態で冷却すると透明状態となり画像の消去が行われる。
【0158】
ロイコ染料を用いたリライタブルマーキング法は、無色のロイコ型染料と長鎖アルキル基を有する顕消色剤との可逆的な発色及び消色反応を利用している。レーザ光により加熱されるとロイコ染料と顕消色剤が反応して発色し、そのまま急冷すると発色状態が保持される。そして、加熱後、ゆっくり冷却すると顕消色剤の長鎖アルキル基の自己凝集作用により相分離が起こり、ロイコ染料と顕消色剤が物理的に分離されて消色する。
【0159】
また、媒体が、紫外光を当てるとC(シアン)に発色し、可視光のR(レッド)の光で消色するフォトクロミック化合物、紫外光を当てるとM(マゼンタ)に発色し、可視光のG(グリーン)の光で消色するフォトクロミック化合物、紫外光を当てるとY(イエロー)に発色し、可視光のB(ブルー)の光で消色するフォトクロミック化合物が、紙や樹脂フィルム等の支持体上に設けられた、いわゆるカラーリライタブルペーパーであっても良い。
【0160】
これは、一旦紫外光を当てて真っ黒にし、R・G・Bの光を当てる時間や強さで、Y・M・Cに発色する3種類の材料の発色濃度を制御してフルカラーを表現し、仮に、R・G・Bの強力な光を当て続ければ3種類とも消色して真っ白にすることもできる。
【0161】
このような、光エネルギー制御によって発色に可逆性を与えるものも上記実施形態と同様な光走査装置を備える画像形成装置として実現できる。
【0162】
また、像担持体として銀塩フィルムを用いた画像形成装置であっても良い。この場合には、光走査により銀塩フィルム上に潜像が形成され、この潜像は通常の銀塩写真プロセスにおける現像処理と同等の処理で可視化することができる。そして、通常の銀塩写真プロセスにおける焼付け処理と同等の処理で印画紙に転写することができる。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として実施できる。
【0163】
また、一例として図37に示されるように、複数の感光体ドラムを備えるカラープリンタ2000であっても良い。
【0164】
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、ブラック用の「感光体ドラムK1、帯電装置K2、現像装置K4、クリーニングユニットK5、及び転写装置K6」と、シアン用の「感光体ドラムC1、帯電装置C2、現像装置C4、クリーニングユニットC5、及び転写装置C6」と、マゼンタ用の「感光体ドラムM1、帯電装置M2、現像装置M4、クリーニングユニットM5、及び転写装置M6」と、イエロー用の「感光体ドラムY1、帯電装置Y2、現像装置Y4、クリーニングユニットY5、及び転写装置Y6」と、光走査装置2010と、転写ベルト2080と、定着ユニット2030などを備えている。
【0165】
各感光体ドラムは、図37中の矢印の方向に回転し、各感光体ドラムの周囲には、回転方向に沿って、それぞれ帯電装置、現像装置、転写装置、クリーニングユニットが配置されている。各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面を均一に帯電する。帯電装置によって帯電された各感光体ドラム表面に光走査装置2010により光が照射され、各感光体ドラムに潜像が形成されるようになっている。そして、対応する現像装置により各感光体ドラム表面にトナー像が形成される。さらに、対応する転写装置により、転写ベルト2080上の記録紙に各色のトナー像が転写され、最終的に定着ユニット2030により記録紙に画像が定着される。
【0166】
光走査装置2010は、前記光デバイス510と同様な光デバイスを、色毎に有している。そこで、上記光走査装置1010と同様の効果を得ることができる。また、カラープリンタ2000は、この光走査装置2010を備えているため、上記レーザプリンタ1000と同様の効果を得ることができる。
【0167】
ところで、カラープリンタ2000では、各部品の製造誤差や位置誤差等によって色ずれが発生する場合がある。このような場合であっても、光走査装置2010の各光源が前記面発光レーザアレイチップ100Mと同様な面発光レーザアレイチップを有していると、点灯させる発光部を選択することで色ずれを低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0168】
以上説明したように、本発明の光デバイスによれば、光量変動の少ない安定した光を射出するのに適している。また、本発明の光走査装置によれば、高精度の光走査を行うのに適している。また、本発明の画像形成装置によれば、高品質の画像を形成するのに適している。
【符号の説明】
【0169】
11a…偏向器側走査レンズ(走査光学系の一部)、11b…像面側走査レンズ(走査光学系の一部)、13…ポリゴンミラー(偏向器)、14…光源ユニット(光源)、100…レーザチップ(面発光レーザ素子)、100A…レーザチップ(面発光レーザ素子)、100M…面発光レーザアレイチップ(複数の面発光レーザ素子)、111A…透明層(誘電体膜)、111B…透明層(誘電体膜)、150…受光素子、200…パッケージ部材、300…カバーガラス(透明部材)、510…光デバイス、1000…レーザプリンタ(画像形成装置)、1010…光走査装置、1030…感光体ドラム(像担持体)、2000…カラープリンタ(画像形成装置)、2010…光走査装置、K1,C1,M1,Y1…感光体ドラム(像担持体)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0170】
【特許文献1】特許第3566902号公報
【特許文献2】特許第3955925号公報
【特許文献3】特開2007−201398号公報
【特許文献4】特開2004−289033号公報
【特許文献5】特開平10‐051067号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出領域内において中心部の反射率を周辺部に対して相対的に高くするための透明な誘電体膜を有する少なくとも1つの面発光レーザ素子と;
第1の方向に関して前記面発光レーザ素子の一側に配置された受光素子と;
前記面発光レーザ素子から射出された光の光路上に配置され、該光の一部をモニタ用光として前記受光素子に向けて反射する透明部材と;を備え、
前記射出領域内における相対的に反射率が高い領域は、前記射出領域の中心を通り前記第1の方向に関する幅が、前記射出領域の中心を通り前記第1の方向に直交する第2の方向に関する幅よりも小さい形状異方性を有することを特徴とする光デバイス。
【請求項2】
前記射出領域内における相対的に反射率が低い領域は、前記射出領域の中心部を挟んで対向する第1の領域と第2の領域とからなり、
前記第1の領域の重心と前記第2の領域の重心とを結ぶ直線は、前記透明部材における前記面発光レーザ素子から射出された光の入射位置での法線を前記射出領域が含まれる平面上に投影したときの直線と直交しないことを特徴とする請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記受光素子の受光面に対する前記モニタ用光の入射角は、ブリュースター角と略一致していることを特徴とする請求項1又は2に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記射出領域内における相対的に反射率が高い領域は、透明な誘電体膜で覆われており、該誘電体膜の光学的厚さは、「発振波長/4」の偶数倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記射出領域内における相対的に反射率が低い領域は、透明な誘電体膜で覆われており、該誘電体膜の光学的厚さは、「発振波長/4」の奇数倍であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記誘電体膜は、珪素の酸化膜もしくは珪素の窒化膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の光デバイス。
【請求項7】
周囲が壁で囲まれた空間領域を有するパッケージ部材を備え、
前記面発光レーザ素子及び前記受光素子は、前記空間領域の底面上に保持され、
前記透明部材は、前記空間領域を封止することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの面発光レーザ素子は、複数の面発光レーザ素子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光デバイス。
【請求項9】
光によって被走査面を走査する光走査装置であって、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の光デバイスを有する光源と;
前記光源からの光を偏向する偏向器と;
前記偏向器で偏向された光を前記被走査面上に集光する走査光学系と;を備える光走査装置。
【請求項10】
少なくとも1つの像担持体と;
前記少なくとも1つの像担持体に対して画像情報に応じて変調された光を走査する少なくとも1つの請求項9に記載の光走査装置と;を備える画像形成装置。
【請求項11】
前記画像情報は多色のカラー画像情報であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate


【公開番号】特開2011−233549(P2011−233549A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99646(P2010−99646)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】