説明

光伝送用光学部品及びその製造方法

【課題】光ファイバ等の光伝送路を保持するホルダー部分とレンズアレイ等の光学機能部とを一体に成形すると共に、光学機能部と光伝送路の端面との間に充填した接着剤が光伝送用光学部品の保管温度範囲内において剥離や気泡を発生することのない光伝送用光学部品の製造方法を提供する。
【解決手段】光学機能アレイ22とファイバホルダー23が空間32を隔てて配置され、レンズ31を備えた光学機能アレイ22と下側ホルダー部23bとが透明樹脂によって一体成形される。ファイバ芯線25を下側ホルダー部23bのV溝26に載置し、その上に上側ホルダー部23aを重ねたてファイバ芯線25の端面を空間32に臨ませた後、空間32に接着剤35を充填する。この接着剤35の線膨張係数が、光学機能アレイ22と下側ホルダー部23bを結ぶ接続部33の線膨張係数よりも小さい(大きい)場合には、前記接着剤を光伝送用光学部品21の保管温度の上限値よりも高い(の下限値よりも低い)雰囲気温度のもとで硬化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送用光学部品及びその製造方法に関し、具体的には、光ファイバ等の光伝送路と光学的機能を備えたホルダーとを組み立てて光伝送用光学部品を製造する方法とその光伝送用光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は従来の光伝送用光学部品を示す概略斜視図である(例えば、特許文献1)。この光伝送用光学部品11は、光コネクタ12とレンズアレイ13からなる。光コネクタ12は、上側ホルダー14と下側ホルダー15との間に光ファイバアレイ16(テープ芯線)の各芯線17を挟みこんだものであり、その前面には各芯線17の端面が露出している。レンズアレイ13は、その前面に複数個のレンズ18が形成されており、各レンズ18のピッチは前記芯線17のピッチと等しくなっている。また、レンズアレイ13は、各レンズ18の光軸を各芯線17の中心軸に一致させるようにして、その背面を光ファイバアレイ12の前面に接着剤で接着されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−107277号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような光伝送用光学部品11では、その製造工程において、各レンズ18の光軸が光ファイバアレイ16の各芯線17の中心軸に一致するように位置合わせして、レンズアレイ13の背面を光コネクタ12の前面に接着剤で接着しなければならず、組立て作業や精度出しに手間が掛かり、コストも高くついている。
【0005】
そのため、本発明の発明者らは、レンズアレイを光コネクタのホルダー部分と一体成形することによって始めから一体化しておくことを着想した。こうしてレンズアレイをホルダー部分と一体化すれば、レンズアレイを光コネクタに接着する必要がなくなり、また光コネクタのホルダー部分に芯線を位置決めすることによってレンズの光軸と芯線の中心軸とを自動的に一致させることができる。
【0006】
しかしながら、レンズアレイとホルダー部分を一体化すると、新たな問題が発生することとなった。すなわち、レンズアレイの背面と芯線の端面との間が空間になっていると、芯線の端面やレンズアレイの背面で光の反射が生じたり、この空間から光が漏れたりして光の結合効率が低下する。そのため、レンズアレイの背面と光コネクタの前面の間の空間に接着剤を充填して空間を接着剤で埋めたが、接着剤充填後の接着剤の硬化収縮やレンズアレイ、ホルダー、硬化後の接着剤、ファイバー素材の熱膨張係数の差異のためにレンズアレイ背面などで接着剤の剥離や気泡(微細な剥離)が発生し、この剥離や気泡のために光が散乱され、光ファイバ間での光結合効率が大きく低下した。このような剥離や気泡の発生する原因を探求したところ、接着剤の硬化収縮よりも、レンズアレイと光コネクタを繋いでいる樹脂部分(接続部分)とその間の空間に充填した接着剤との線膨張係数の差異の方がより大きく影響していることが分かった。
【0007】
本発明は、このような技術的知見に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、光ファイバ等の光伝送路を保持するホルダー部分とレンズアレイ等の光学機能部とを一体に成形すると共に、光学機能部と光伝送路の端面との間に充填した接着剤が保管温度範囲内において剥離や気泡を発生することのない光伝送用光学部品とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明の第1の光伝送用光学部品の製造方法は、空間を隔てて配置された光伝送路ホルダーの少なくとも一部と光学機能部とを接続部でつないで樹脂一体成形し、光伝送路をその端面が前記空間に臨んで前記光学機能部と対向するようにして前記光伝送路ホルダーに保持させた後、前記光学機能部と前記光伝送路の端面との間のギャップ部分に前記接続部よりも線膨張係数の小さな接着剤を充填し、前記接着剤を光伝送用光学部品の保管温度の上限値よりも高い雰囲気温度のもとで硬化させることを特徴としている。
【0009】
本発明の第1の光伝送用光学部品の製造方法にあっては、光伝送路ホルダーの少なくとも一部と光学機能部とが接続部を介して樹脂により一体成形されているので、光学機能部と光伝送路ホルダーを位置合わせして組立てる手間が減る。また、部品点数も少なくなるので、光伝送用光学部品の組立て作業が軽減され、製造コストも安価になる。また、光伝送路ホルダー、光学機能部及び接続部を樹脂成形しているので、ガラスなどで製造する場合に比べて成形形状の自由度が高くなり、大量生産に適する。
【0010】
さらに、本発明の第1の光伝送用光学部品の製造方法にあっては、光学機能部と光伝送路の端面との間のギャップ部分に接続部よりも線膨張係数の小さな接着剤を充填する場合には、接着剤を光伝送用光学部品の保管温度の上限値よりも高い雰囲気温度のもとで硬化させるので、製造後の光伝送用光学部品では、光学機能部と光伝送路の端面との間のギャップ部分に充填された接着剤には圧縮応力が生じる。そのため、光伝送用光学部品の製造工程や保管中に接着剤界面に剥離や微細な気泡などが発生しにくくなり、光伝送用光学部品の歩留りを向上させることができると共に製品の信頼性を向上させることができる。
【0011】
また、本発明の第2の光伝送用光学部品の製造方法は、空間を隔てて配置された光伝送路ホルダーの少なくとも一部と光学機能部とを接続部でつないで樹脂一体成形し、光伝送路をその端面が前記空間に臨んで前記光学機能部と対向するようにして前記光伝送路ホルダーに保持させた後、前記光学機能部と前記光伝送路の端面との間のギャップ部分に前記接続部よりも線膨張係数の大きな接着剤を充填し、前記接着剤を光伝送用光学部品の保管温度の下限値よりも低い雰囲気温度のもとで硬化させることを特徴としている。
【0012】
本発明の第2の光伝送用光学部品の製造方法にあっても、光伝送路ホルダーの少なくとも一部と光学機能部とが接続部を介して樹脂により一体成形されているので、光学機能部と光伝送路ホルダーを位置合わせして組立てる手間が減る。また、部品点数も少なくなるので、光伝送用光学部品の組立て作業が軽減され、製造コストも安価になる。また、光伝送路ホルダー、光学機能部及び接続部を樹脂成形しているので、ガラスなどで製造する場合に比べて成形形状の自由度が高くなり、大量生産に適する。
【0013】
さらに、本発明の第2の光伝送用光学部品の製造方法にあっては、光学機能部と光伝送路の端面との間のギャップ部分に接続部よりも線膨張係数の大きな接着剤を充填する場合には、接着剤を光伝送用光学部品の保管温度の下限値よりも低い雰囲気温度のもとで硬化させるので、製造後の光伝送用光学部品では、光学機能部と光伝送路の端面との間のギャップ部分に充填された接着剤には圧縮応力が生じる。そのため、光伝送用光学部品の製造工程や保管中に接着剤界面に剥離や微細な気泡などが発生しにくくなり、光伝送用光学部品の歩留りを向上させることができると共に製品の信頼性を向上させることができる。
【0014】
本発明の第1又は第2の光伝送用光学部品の製造方法のある実施態様は、前記接着剤は、前記光伝送路を伝搬する光の波長域において光透過性を有する紫外線硬化型樹脂であることを特徴としている。かかる実施態様によれば、光透過性を有する接着剤を用いているので、接着剤によって光が吸収されにくくなり、光の結合効率が良好となる。また、接着剤に紫外線硬化型樹脂を用いているので、紫外線を照射することによって短時間で硬化させることができ、また、温度に関する信頼性試験におけるデバイス性能経時変化を最小限に抑えることができる。
【0015】
本発明の第1の光伝送用光学部品の製造方法の別な実施態様は、前記接着剤を硬化させるときの雰囲気温度が、前記接着剤の沸点よりも低いことを特徴としている。かかる実施態様によれば、光伝送用光学部品の保管温度の上限値よりも高い雰囲気温度のもとで接着剤を硬化させるとき、接着剤の沸点よりも低い温度で硬化させているので、接着剤が沸騰して接着剤の内部に気泡が発生し、気泡で光路が遮られるのを防ぐことができる。
【0016】
本発明の第1の光伝送用光学部品の製造方法のさらに別な実施態様は、前記接着剤を硬化させるときの雰囲気温度が、前記保管温度の上限値よりも5℃乃至15℃高い温度であることを特徴としている。かかる実施態様では、前記保管温度の上限値よりも5℃乃至15℃高い温度で接着剤を硬化させているので、接着剤に適度の圧縮応力を発生させることができ、光伝送用光学部品の保管中に接着剤に剥離や微細な気泡などが生じるのを防ぐことができる。すなわち、前記保管温度の上限値よりも15℃以上高い温度であると、接着剤の内部に気泡が発生し易くなり、また5℃以下であると、接着剤の界面に剥離や微細な気泡が発生し易くなる。
【0017】
本発明の第2の光伝送用光学部品の製造方法のさらに別な実施態様は、前記雰囲気温度が、前記接着剤の硬化を阻害しない温度(接着剤を硬化させることが可能な温度)であることを特徴としている。かかる実施態様によれば、光伝送用光学部品の保管温度の下限値よりも低い雰囲気温度で接着剤を硬化させるとき、その雰囲気温度を接着剤の硬化を阻害しない温度としているので、接着剤を確実に硬化させることができる。
【0018】
本発明の第1又は第2の光伝送用光学部品の製造方法のさらに別な実施態様は、前記光学機能部と前記光伝送路の端面との間のギャップ部分に充填された接着剤の厚みが、10μm以上であることを特徴としている。すなわち、接着剤の厚みが10μmよりも薄いと硬化収縮によって接着剤の界面に剥離や微細な気泡が発生しやすくなる。
【0019】
本発明の第1又は第2の光伝送用光学部品の製造方法のさらに別な実施態様は、前記空間が、前記光学機能部と前記光伝送路の端面とが対向するギャップ部分の上方で外部に開放しており、当該空間の開放された部分から前記光学機能部と前記光伝送路の端面との間のギャップ部分に接着剤を注入することを特徴としている。かかる実施態様によれば、前記光学機能部と前記光伝送路の端面とが対向するギャップ部分の上方から接着剤を注入することができるので、接着剤は自重によって前記ギャップ内に充填され、確実にギャップ部分の内部に接着剤を供給することができ、光伝送用光学部品の製造歩留りを向上させることができる。
【0020】
本発明の第1又は第2の光伝送用光学部品の製造方法のさらに別な実施態様は、前記光学機能部と前記光伝送路の端面との間のギャップ部分に前記接着剤を注入するとき、前記空間内の前記ギャップ部分の上方に位置する部分に補充用の前記接着剤を充填しておくことを特徴としている。かかる実施態様によれば、接着剤に硬化収縮が生じても、上の補充用の接着剤が前記光学機能部と前記光伝送路の端面との間のギャップ部分に補給される結果、前記ギャップ部分に窪みや剥離、微細な気泡などがより一層発生しにくくなる。
【0021】
本発明の光伝送用光学部品は、空間を隔てて配置された光伝送路ホルダーの少なくとも一部と光学機能部とが接続部を介して配置され、光伝送路をその端面が前記空間に臨んで前記光学機能部と対向するようにして前記光伝送路ホルダーに保持した光伝送路用光学素子であって、前記光学機能部と前記光伝送路の端面との間のギャップ部分に、圧縮応力を付与された接着剤(光伝送用光学部品の保管温度範囲内で圧縮応力がかかった状態の接着剤)が充填されていることを特徴としている。
【0022】
本発明の光伝送用光学部品にあっては、光伝送路ホルダーの少なくとも一部と光学機能部とが接続部を介して樹脂により一体成形されているので、光学機能部と光伝送路ホルダーを位置合わせして組立てる手間が減る。また、部品点数も少なくなるので、光伝送用光学部品の組立て作業が軽減され、製造コストも安価になる。また、光伝送路ホルダー、光学機能部及び接続部を樹脂成形しているので、ガラスなどで製造する場合に比べて成形形状の自由度が高くなり、大量生産に適する。
【0023】
さらに、本発明の光伝送用光学部品にあっては、光学機能部と光伝送路の端面との間のギャップ部分に圧縮応力を付与した接着剤(光伝送用光学部品の保管温度範囲内で圧縮応力がかかった状態の接着剤)を充填しているので、光伝送用光学部品の製造工程や保管中に接着剤界面に剥離や微細な気泡などが発生しにくくなり、光伝送用光学部品の歩留りを向上させることができると共に製品の信頼性を向上させることができる。
【0024】
本発明の光伝送用光学部品のある実施態様は、前記光伝送路の端面を当接させて位置決めするための傾斜面を前記空間の内面に形成したことを特徴としている。かかる実施態様によれば、光伝送路の端面を空間内の傾斜面に当接させることにより光学機能部と光伝送路の端面との間に所定距離のギャップが生じるように光伝送路を簡単に位置決めすることができる。
【0025】
本発明の光伝送用光学部品の別な実施態様は、前記光伝送路の端面を当接させて位置決めするための突起部を前記空間内に設けたことを特徴としている。かかる実施態様によれば、光伝送路の端面を空間内の突起部に当接させることにより光学機能部と光伝送路の端面との間に所定距離のギャップが生じるように光伝送路を簡単に位置決めすることができる。
【0026】
本発明の光伝送用光学部品のさらに別な実施態様は、前記光伝送路ホルダーが、上側ホルダー部材と下側ホルダー部材を重ね合わせることによって構成されており、下側ホルダー部材の上面に前記光伝送路を保持するためのV溝が形成されている。かかる実施態様によれば、下側ホルダー部材のV溝に光伝送路を置いて位置決めした後、光伝送路の上に上側ホルダー部材を重ねて上側ホルダー部材と下側ホルダー部材との間に光伝送路を保持させることにより、光伝送用光学部品を精度良く簡単に組立てることができる。
【0027】
本発明の光伝送用光学部品のさらに別な実施態様は、前記光伝送路ホルダーが、前記光伝送路を挿入するための孔を有し、前記孔に挿通された前記光伝送路の端面付近の空気を外部へ排出させるための排気路が形成されている。かかる実施態様によれば、光伝送路ホルダーの孔に光伝送路を挿入し、前記ギャップ部分に接着剤を注入するだけで光伝送用光学部品を組立てることができる。また、前記光伝送路の端面付近の空気を外部へ排出させるための排気路が形成されているので、光学機能部と光伝送路の端面との間に接着剤を注入する際、光伝送路の端面付近に空気が残留して光情報の伝搬を妨げることを防止できる。
【0028】
本発明の光伝送用光学部品のさらに別な実施態様は、前記光学機能部が、1枚又は2枚以上のレンズを有し、あるいは、1枚又は2枚以上のプリズムを有し、あるいは、1枚又は2枚以上のフィルタを有していてもよい。これらの実施態様によれば、光伝送用光学部品に種々の機能を付加することができる。
【0029】
また、本発明の光伝送用光学部品は、光情報を送信又は受信するための送受信用素子と組み合わせ、前記送受信用素子を光伝送用光学部品の光学機能部に対向させ、かつ、光伝送路の中心軸と一致させて配置することで、送受信用ユニットとして用いることができる。
【0030】
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0032】
(実施形態1)
図2は本発明の実施形態1による光伝送用光学部品21の外観斜視図、図3は光伝送用光学部品21の分解斜視図である。図4は光伝送用光学部品21の背面図、図5は光伝送用光学部品21の長さ方向に沿った断面を示す断面図である。また、図6は図5の断面図より接着剤を除いた状態を示す拡大断面図である。
【0033】
光伝送用光学部品21は、光学機能アレイ22(光学機能部)、ファイバホルダー23(光伝送路ホルダー)及びファイバアレイ24によって構成されている。ファイバアレイ24は、光伝送路であるファイバ芯線25を複数本有するテープ芯線であり、各ファイバ芯線25を一定ピッチで平行に並べ全体を外装コート材25aで被覆したものである。
【0034】
ファイバホルダー23は、上側ホルダー部23aと下側ホルダー部23bとに分離されている。下側ホルダー部23bの上面には、図3及び図4に示すように、ファイバ芯線25と同じピッチで複数本のV溝26が平行に、かつ全長にわたって形成されている。また、下側ホルダー部23bの両側部には、ガイドピン(図示せず)を挿入するためのガイドピン挿入孔27を有するガイドピン保持部28が形成されている。ガイドピン保持部28は、下側ホルダー部23bのV溝26が形成されている部分の上面よりも高くなっており、上側ホルダー部23aをV溝26の上方に重ねたとき、上側ホルダー部23aは左右のガイドピン保持部28間に納まるようになっている。なお、図示例では、上側ホルダー部23aは平板状に形成されているが、V溝26に嵌めて位置決めしたファイバ芯線25を押えることのできる形状となっていれば、特にどのような形状であっても差し支えない。
【0035】
図2に示すように、光学機能アレイ22は、長方形状をした基板29の前面に長方形状の凹部30を形成し、当該凹部30内においてV溝26と同じピッチで複数個のレンズ31が成形されている。レンズ31が基板29の前面から引っ込んでいるので、光伝送用光学部品21を取り扱っているときに、レンズ31に傷が付きにくくなっている。
【0036】
図3及び図6に示すように、下側ホルダー部23bは、その前面が光学機能アレイ22の背面につながるようにして、光学機能アレイ22と一体成形されている。具体的にいうと、光学機能アレイ22の背面とホルダー23の前面との間には空間32があいており、空間32を隔てて対向した光学機能アレイ22と下側ホルダー部23bとは接続部33によってつながっている。接続部33は、図示例ではV溝26よりも低い位置とガイドピン保持部28の前面に位置しているが、V溝26に載置されたファイバ芯線25の端面と光学機能アレイ22との間の空間を遮らない限り、どのような位置に設けていても差し支えない。また、光学機能アレイ22の前面に設けられたレンズ31は、V溝26にファイバ芯線25を載置したとき、ファイバ芯線25の中心軸と光軸が一致するように配置されている。また、下側ホルダー部23bのガイドピン保持部28に設けられたガイドピン挿入孔27は、光学機能アレイ22の前面まで貫通している。
【0037】
光学機能アレイ22、下側ホルダー部23b及び接続部33は、ファイバ芯線25を伝搬する光信号や接着剤硬化用の紫外線が透過するように透明な樹脂によって一体成形されている。上側ホルダー部23aは、透明なガラス板(カバーガラス)や透明樹脂によって形成されていてもよく、不透明な素材によって成形されていてもよい。
【0038】
しかして、光伝送用光学部品21にあっては、光学機能アレイ22の前面に光学機能としてレンズ31を設けているので、ファイバ芯線25から出射された光情報をレンズ31によって集光または平行光化して出力することができる。あるいは、レンズ31に入射した光情報をファイバ芯線25の端面に集光させることができる。
【0039】
この光伝送用光学部品21にあっては、図4及び図5に示すように、V溝26の上に載置して位置決めされたファイバ芯線25を上側ホルダー部23aと下側ホルダー部23bとの間に挟み込み、前記空間32とV溝26内、および上側ホルダー部23aと下側ホルダー部23bの間に接着剤35を注入し、接着剤35を硬化させて組立てられている。
【0040】
本発明の光伝送用光学部品21では、このように光学機能アレイ22とファイバホルダー23の一部、特にV溝26を有する下側ホルダー部23bとが一体成形されているので、光学機能アレイ22をファイバホルダー23に接着したり、レンズ31とファイバ芯線25を軸合わせしたりして組立てる手間が軽減される。また、部品点数も少なくなるので、光伝送用光学部品21の組立て作業が軽減され、製造コストも安価になる。また、光学機能アレイ22やファイバホルダー23をガラスによって成形する場合には、成形形状が制約されたり、大量生産が困難であったりするが、この光伝送用光学部品21ではプラスチックで成形しているので、成形形状の自由度が高くなり、大量生産に適する。
【0041】
次に、上記光伝送用光学部品21の製造工程を説明する。はじめに、接続部33よりも線膨張係数の小さな接着剤35を用いて光伝送用光学部品21を組立てる場合の製造工程を図7、図8及び図9に従って説明する。なお、ファイバ芯線25をV溝26に載置し、ファイバ芯線25の上に上側ホルダー部23aを重ねて置いた状態では、光学機能アレイ22の背面とファイバホルダー23の前面との間には、上側ホルダー部23aの上面と同じ高さからV溝26の最下位置あたりの深さまで空間32が形成される。以下においては、この空間32のうち、ファイバ芯線25の端面と光学機能アレイ22の背面との間の空間をギャップ部分34と呼び、ギャップ部分34の上方で、かつ、上側ホルダー部23aの前面と光学機能アレイ22の背面との間に位置する空間を補充空間36と呼ぶことにする。
【0042】
光伝送用光学部品21の製造にあたっては、下側ホルダー部23b、光学機能アレイ22及び接続部33の一体成形品は、予め透明樹脂によって製造されている。これとは別に、上側ホルダー部23aが成形されている。また、ファイバアレイ24は、先端部の被覆を剥いで各ファイバ芯線25を必要な長さにわたって露出させてあり、ファイバ芯線25の先端は一直線状に揃うように切り揃えてある。
【0043】
これらの部品を組立てる工程では、図7(a)に示すように、下側ホルダー部23bのV溝26に各ファイバ芯線25を並べて位置決めし、ファイバ芯線25の端面を光学機能アレイ22の背面に対向させる。このときファイバ芯線25の端面と光学機能アレイ22の背面との間のギャップ部分34の距離αは、10μm以上30μm以下となるようにする。この距離αが10μmよりも短いと、ここに接着剤35を充填したときに、硬化収縮によって接着剤35の界面に剥離や微細な気泡が発生し易くなり、また距離αが30μmよりも長いと、硬化収縮による引っ張り応力が大きくなり、剥離しやすくなる。
【0044】
つぎに、図7(b)に示すように、ファイバ芯線25の上に上側ホルダー部23aを重ねて置き、上側ホルダー部23aと下側ホルダー部23bの間に各ファイバ芯線25を挟み込む。このとき、V溝26に接着剤35を塗布してV溝26とファイバ芯線25の間に接着剤35を充填しておき、またファイバ芯線25と上側ホルダー部23aとの間にも接着剤35を塗布しておいてもよい。
【0045】
空間32の厚みβ、すなわち光学機能アレイ22の背面と上側ホルダー部23aの前面との間の距離は、ギャップ部分34の上方(補充空間36)に十分な量の接着剤35を溜めておくことができるよう、ギャップ空間34の厚みαよりも大きいことが望ましい。但し、空間32の厚みβがあまり大き過ぎると、接着剤35の硬化収縮が大きくなるので、空間32の厚みβは200μm以下、特に50μm以下とすることが望ましい。
【0046】
ついで、図7(c)に示すように、光学機能アレイ22の背面と上側ホルダー部23aの前面との間の補充空間36から、ディスペンサ37等により紫外線硬化型の透明な接着剤35を空間32内へ注入する。空間32内へ注入された接着剤35は、空間32内に充填される。このとき接着剤35は、ギャップ部分34の上の補充空間36まで十分に充填される。なお、可能であれば、予めV溝26内や上側ホルダー部23aとファイバ芯線25との間に接着剤35を塗布せず、空間32内に注入された接着剤35が、上側ホルダー部23aの下面とファイバ芯線25の間の隙間やV溝26内などに流入するようにしてもよい。
【0047】
この後、組立途中の光伝送用光学部品21を高温雰囲気中に置く。高温雰囲気中に置くと、図8(a)に太矢印で示すように、光学機能アレイ22とファイバホルダー23の一体成形品、特にその接続部33が熱膨張して延びる。これに伴って空間32の容積は増加するが、補充空間36には十分な接着剤35を注入しているので、接着剤35の界面がギャップ部分34の上端よりも下がることはない。接着剤35が沸騰すると接着剤35中に気泡が発生するので、このときの温度は接着剤35の沸騰温度よりも十分に低くなければならず、光伝送用光学部品21の保管温度(−40℃以上85℃以下)の上限値よりも5℃乃至15℃高い温度であることが望ましい。すなわち、前記保管温度の上限値よりも15℃以上高い温度であると、接着剤35の内部に気泡が発生し易くなり、また5℃以下であると、接着剤35の界面に剥離や微細な気泡が発生し易くなるからである。よって、この実施形態1では、雰囲気温度を100℃とした。なお、保管温度とは、光伝送用光学部品21が保存時、輸送時等の保管中にさらされる周囲温度の上限値と下限値の温度範囲をいう。
【0048】
高温雰囲気中に保持したまま、図8(b)に示すように、紫外線照射部38から紫外線39を照射し、接着剤35を硬化させる。接着剤35は紫外線硬化型であるから紫外線照射により硬化するが、また高温雰囲気中に保持されているので、同時に熱硬化も進行する。こうして、光伝送用光学部品21の製造工程で紫外線硬化と同時に熱硬化も進行させることで、光伝送用光学部品21の保管中における熱硬化を小さくすることができ、保管中における接着剤35の剥離等をより良く抑制することができる。なお、紫外線39は上方から接着剤35に照射しているが、上側ホルダー部23aが不透明である場合には、下方から照射してもよい。
【0049】
こうして接着剤35が紫外線硬化及び熱硬化すると、接着剤35は硬化収縮を起こすが、接着剤35は補充空間36内に十分に充填されているので、ギャップ部分34で接着剤35のヒケが生じることはない。また、接着剤35は光学機能アレイ22の背面とファイバ芯線25の端面に接着しているので、接続部33も収縮させられ、図8(c)に太矢印で示すように接着剤35が硬化収縮すると、図8(c)に白抜き矢印で示すように接着剤35には引張応力が発生する。ただし、このときただちに、ギャップ部分34で剥離や気泡が発生することはない。
【0050】
この後ただちに、光伝送用光学部品21をエージング温度まで自然冷却(放冷)させる。エージング温度は、前記雰囲気温度(100℃)よりも低く、かつ保管温度の上限値より高い温度であって、例えば85℃以上100℃以下の温度である。実施形態1では90℃とした。接着剤35の線膨張係数は接続部33の線膨張係数よりも小さいので、光伝送用光学部品21を自然冷却させると、接着剤35よりも大きく接続部33が熱収縮する。そのため、図9(a)に示す白抜き矢印のようにギャップ部分34の接着剤35に働いていた引張応力が圧縮応力に変化する。
【0051】
こうして所定時間のエージングが完了したら、光伝送用光学部品21を常温(25℃)まで自然冷却する。常温まで自然冷却させると、図9(b)に太矢印で示すように、接続部33は接着剤35よりもさらに大きく熱収縮するので、ついには、図9(b)に白抜き矢印で示すように、ギャップ部分34内の接着剤35には圧縮応力が発生する。こうして、製造された光伝送用光学部品21においては、図9(c)に示すように、接着剤35、特にギャップ部分34の接着剤35には圧縮応力が残留応力として残ることになる。
【0052】
このようにして製造された光伝送用光学部品21にあっては、接着剤35が圧縮応力を受けた状態で空間32内に充填されているので、保管中や使用中に光学機能アレイ22と接着剤35の界面などに剥離や微細な気泡などが発生しにくくなり、光伝送用光学部品の歩留りを向上させることができると共に製品の信頼性を向上させることができる。例えば、図10(a)は光伝送用光学部品21の雰囲気温度が40℃となったときを表わしている。このときは、常温の場合よりも圧縮応力は小さくなるが、接着剤35に加わる圧縮応力は残っているので、やはり剥離や気泡は発生しにくい。また、図10(b)は光伝送用光学部品21の雰囲気温度が85℃となったときを表わしている。このときは、エージング温度よりも少し低い温度であるので圧縮応力はかなり小さくなるが、接着剤35に加わる圧縮応力は多少残っているので、やはり剥離や気泡は発生しにくい。
【0053】
なお、図示していないが、光伝送用光学部品21の雰囲気温度が保管温度の下限値である−40℃となったときは、エージング温度に対して最も低い温度となり、圧縮応力も最も大きくなる。すなわち、この温度においても剥離や気泡は発生しにくい。
【0054】
次に、接続部33よりも線膨張係数の大きな接着剤35を用いて光伝送用光学部品21を組立てる場合の製造工程を図11及び図12に従って説明する。この場合も空間32に接着剤35を充填する工程は、図7(a)〜(c)と同じであるので接着剤35を充填するまでの工程は省略する。
【0055】
接着剤35を充填し終えたら、組立途中の光伝送用光学部品21は低温雰囲気中に置かれる。低温雰囲気中に置くと、図11(a)に太矢印で示すように、光学機能アレイ22とファイバホルダー23の一体成形品、特にその接続部33が熱収縮して縮む。この雰囲気温度があまり低すぎると接着剤35を熱硬化させることができなくなるので、この低温の雰囲気温度は接着剤35の硬化を阻害しない温度(接着剤を硬化させることが可能な温度)でなければならない。この実施形態では、このときの雰囲気温度は−15℃(−15℃で硬化させることが可能な接着剤を使用)とした。
【0056】
低温雰囲気中に保持したまま、図11(b)に示すように、紫外線照射部38から紫外線39を照射し、接着剤35を硬化させる。この場合には接着剤35の紫外線硬化は緩慢であるので、紫外線39は接着剤35が硬化するのに十分な時間照射する。
【0057】
こうして、接着剤35が硬化して硬化収縮を起こすと接着剤35も収縮させられ、図11(c)に白抜き矢印で示すように接着剤35には引張応力が発生する。
【0058】
この後、光伝送用光学部品21を常温(25℃)になるまで放置する。常温まで温度を上昇させると、図12(a)に太矢印で示すように、接着剤35は接続部33よりも大きく熱膨張するので、図12(a)に白抜き矢印で示すように、ギャップ部分34内の接着剤35には圧縮応力が発生する。こうして、製造された光伝送用光学部品21においては、図12(b)に示すように、接着剤35、特にギャップ部分34の接着剤35には圧縮応力が残留応力として残ることになる。
【0059】
このようにして製造された光伝送用光学部品21にあっても、接着剤35が圧縮応力を受けた状態で空間32内に充填されているので、保管中や使用中に光学機能アレイ22と接着剤35の界面などに剥離や微細な気泡などが発生しにくくなり、光伝送用光学部品の歩留りを向上させることができると共に製品の信頼性を向上させることができる。
【0060】
なお、上記実施形態では、V溝26は下側ホルダー部23bの上面だけに設けたが、接続部33の上面までV溝26を延長していても差し支えない。
【0061】
(実施形態2)
図13は本発明の実施形態2による光伝送用光学部品41の構造を示す概略断面図である。この光伝送用光学部品41は、実施形態1の光伝送用光学部品21とほぼ同じ構造を有しているので、異なる部分の構成だけを説明する(以下の実施形態についても同様)。
【0062】
この光伝送用光学部品41にあっては、空間32内において光学機能アレイ22の背面下部から接続部33の上面にかけて幅方全長にわたって傾斜面42を形成している。よって、V溝26内に各ファイバ芯線25を載置し、各ファイバ芯線25を押し出してファイバ芯線25の端面下部を傾斜面42に当接させることにより、光学機能アレイ22の背面と各ファイバ芯線25の端面との距離γを均一に保つことができる。
【0063】
なお、光学機能アレイ22等を成形するための樹脂の屈折率は1.5くらいであり、接着剤35の屈折率は1.45〜1.5くらいであり、この程度の屈折率差であれば、傾斜面42による光路の屈折は問題とならない。
【0064】
(実施形態3)
図14は本発明の実施形態3による光伝送用光学部品51の構造を示す概略断面図である。この光伝送用光学部品51にあっては、空間32内において光学機能アレイ22の背面下端部から突起部52を突出させている。突起部52は空間32の幅方向全長にわたって形成されており、V溝26内に各ファイバ芯線25を載置し、各ファイバ芯線25を押し出してファイバ芯線25の端面下部を突起部52に当接させることにより、光学機能アレイ22の背面と各ファイバ芯線25の端面との距離δを均一に保つことができる。なお、突起部52は、ファイバ芯線25のコアにかからないよう、コアよりも下に設けることが望ましい。
【0065】
(実施形態4)
図15は本発明の実施形態4による光伝送用光学部品61の構造を示す概略断面図である。この光伝送用光学部品61にあっては、光学機能アレイ22の前面に光学機能として複数個のプリズム62を設けている。従って、ファイバ芯線25に入出射する光情報の光路をプリズム62によって曲げることができる。
【0066】
(実施形態5)
図16は本発明の実施形態5による光伝送用光学部品71の構造を示す概略断面図である。この光伝送用光学部品71にあっては、光学機能アレイ22の前面に光学機能として透過波長域の異なる複数個のフィルタ72を設けている。従って、各ファイバ芯線25から出射された光情報のうち特定波長域の光だけを各々外部へ出力させることができ、また特定波長域の光だけを各ファイバ芯線25に結合させることができる。
【0067】
(実施形態6)
図17は本発明の実施形態6による光伝送用光学部品81を示す斜視図、図18はその長さ方向に沿った断面図である。また、図19(a)は光学機能アレイ22とファイバホルダー23の一体成形品の断面図、図19(b)はその背面図である。
【0068】
この光伝送用光学部品81では、図19(a)(b)に示すように、光学機能アレイ22とファイバホルダー23とが透明樹脂によって一体成形されており、光学機能アレイ22とファイバホルダー23の間には上面から下方へ向けて溝82が形成され、この溝82の内部が空間32となっており、溝82の下が接続部33となっている。また、このファイバホルダー23は実施形態1のように2分割されておらず、全体が1つと成っている。このファイバホルダー23には、ファイバ芯線25を挿通させて位置決めするための複数本の孔83が前面から後面にかけて穿孔されている。この孔83は、その中心軸がレンズ31の光軸と一致するように形成されている。
【0069】
しかして、この光伝送用光学部品81では、図17及び図18に示すように、ファイバホルダー23の孔83に各ファイバ芯線25を挿通させて各ファイバ芯線25の端面を空間32に臨ませ、空間32の上面から接着剤35を注入し、紫外線照射等によって接着剤35を硬化させている。接着剤35の注入時、ファイバ芯線25の端面近傍の空気は空間32の両側面から排出される。なお、ギャップ部分34における接着剤35のヒケを防止するために、空間32の上方に図7及び図8に示したような補充空間36を設けてもよい。
【0070】
このような光伝送用光学部品81によれば、部品点数をより少なくすることができる。
【0071】
また、この光伝送用光学部品81も、接着剤35の線膨張率が接続部33より大きい場合も、接着剤35の線膨張率が接続部33より小さい場合も、実施形態1の場合(図7〜図9、図11〜図12)と同様にして製造される。
【0072】
(実施形態7)
本発明の光伝送用光学部品は、発光素子や受光素子(送受信用素子)と組み合わせてユニット化することができる。図20(a)は光伝送用光学部品(例えば、実施形態1の光伝送用光学部品21)と複数個のレーザーダイオード(LD)92とを組み合わせてユニット化した送受信ユニット91であって、各レーザーダイオード92の光軸を各ファイバ芯線25の中心軸(コア)に一致させるようにして、レーザーダイオード92を各レンズ31の前方に配置している。この送受信ユニット91によれば、レーザーダイオード92から出力された光情報をレンズ31で集光させることによってファイバ芯線25に結合させることができる。このような送受信ユニット91によれば、接着剤35の界面に剥離や気泡が発生しにくいので、レーザーダイオード92とファイバ芯線25との光情報の結合効率を高めることができる。
【0073】
また、図20(b)は光伝送用光学部品(例えば、実施形態1の光伝送用光学部品21)と複数個のファトダイオード94とを組み合わせてユニット化した送受信ユニット93であって、各ファトダイオード94の光軸を各ファイバ芯線25の中心軸(コア)に一致させるようにして、ファトダイオード94を各レンズ31の前方に配置している。この送受信ユニット93によれば、ファイバ芯線25から出力された光情報をレンズ31で集光させることによってファトダイオード94に集光させることができる。このような送受信ユニット93によれば、接着剤35の界面に剥離や気泡が発生しにくいので、ファイバ芯線25とファトダイオード94との光情報の結合効率を高めることができる。
【0074】
(実施形態8)
図21は2つの光伝送用光学部品(例えば、光伝送用光学部品21)どうしを接続した状態を示す概略断面図である。この実施形態では、同じチャンネルどうしを結合させるため、一方の光伝送用光学部品を上下反転させた状態で結合させてあり、互いにガイドピンによって結合される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】図1は、従来の光伝送用光学部品を示す概略斜視図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態1による光伝送用光学部品の外観斜視図である。
【図3】図3は、実施形態1の光伝送用光学部品の分解斜視図である。
【図4】図4は、実施形態1の光伝送用光学部品の背面図である。
【図5】図5は、実施形態1の光伝送用光学部品の長さ方向に沿った断面を示す断面図である。
【図6】図6は、実施形態1の光伝送用光学部品の接着剤注入前の断面図である。
【図7】図7(a)(b)(c)は、実施形態1の光伝送用光学部品を組立てる手順を示す概略断面図である。
【図8】図8(a)(b)(c)は、実施形態1の光伝送用光学部品を組立てる手順を示す概略断面図であって、図7の続図である。
【図9】図9(a)(b)(c)は、実施形態1の光伝送用光学部品を組立てる手順を示す概略断面図であって、図7の続図である。
【図10】図10(a)(b)は、実施形態1の光伝送用光学部品の作用説明図である。
【図11】図11(a)(b)(c)は、実施形態1の光伝送用光学部品を組立てる別な手順を示す概略断面図である。
【図12】図12(a)(b)は、実施形態1の光伝送用光学部品を組立てる別な手順を示す概略断面図であって、図11の続図である。
【図13】図13は、本発明の実施形態2による光伝送用光学部品の構造を示す概略断面図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態3による光伝送用光学部品の構造を示す概略断面図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態4による光伝送用光学部品の構造を示す概略断面図である。
【図16】図16は、本発明の実施形態5による光伝送用光学部品の構造を示す概略断面図である。
【図17】図17は、本発明の実施形態6による光伝送用光学部品を示す斜視図である。
【図18】図18は、実施形態6の光伝送用光学部品の長さ方向に沿った断面図である。
【図19】図19(a)は、実施形態6の光伝送用光学部品に用いる光学機能アレイとファイバホルダーの一体成形品を示す断面図、図19(b)はその背面図である。
【図20】図20(a)は本発明にかかる送受信ユニットを示す概略断面図、図20(b)は本発明にかかる別な送受信ユニットを示す概略断面図である。
【図21】図21は、2つの光伝送用光学部品どうしを接続した状態を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0076】
21、41、51、61、71、81 光伝送用光学部品
22 光学機能アレイ
23 ファイバホルダー
23a 上側ホルダー部
23b 下側ホルダー部
25 ファイバ芯線
26 V溝
31 レンズ
32 空間
33 接続部
34 ギャップ部分
35 接着剤
36 補充空間
42 傾斜面
52 突起部
62 プリズム
72 フィルタ
82 溝
83 孔
91 送受信ユニット
92 レーザーダイオード
93 送受信ユニット
94 ファトダイオード
94 受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を隔てて配置された光伝送路ホルダーの少なくとも一部と光学機能部とを接続部でつないで樹脂一体成形し、光伝送路をその端面が前記空間に臨んで前記光学機能部と対向するようにして前記光伝送路ホルダーに保持させた後、
前記光学機能部と前記光伝送路の端面との間のギャップ部分に前記接続部よりも線膨張係数の小さな接着剤を充填し、前記接着剤を光伝送用光学部品の保管温度の上限値よりも高い雰囲気温度のもとで硬化させることを特徴とする光伝送用光学部品の製造方法。
【請求項2】
空間を隔てて配置された光伝送路ホルダーの少なくとも一部と光学機能部とを接続部でつないで樹脂一体成形し、光伝送路をその端面が前記空間に臨んで前記光学機能部と対向するようにして前記光伝送路ホルダーに保持させた後、
前記光学機能部と前記光伝送路の端面との間のギャップ部分に前記接続部よりも線膨張係数の大きな接着剤を充填し、前記接着剤を光伝送用光学部品の保管温度の下限値よりも低い雰囲気温度のもとで硬化させることを特徴とする光伝送用光学部品の製造方法。
【請求項3】
前記接着剤は、前記光伝送路を伝搬する光の波長域において光透過性を有する紫外線硬化型樹脂であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光伝送用光学部品の製造方法。
【請求項4】
前記接着剤を硬化させるときの雰囲気温度は、前記接着剤の沸点よりも低いことを特徴とする、請求項1に記載の光伝送用光学部品の製造方法。
【請求項5】
前記接着剤を硬化させるときの雰囲気温度は、前記保管温度の上限値よりも5℃乃至15℃高い温度であることを特徴とする、請求項1に記載の光伝送用光学部品の製造方法。
【請求項6】
前記雰囲気温度は、前記接着剤の硬化を阻害しない温度であることを特徴とする、請求項2に記載の光伝送用光学部品の製造方法。
【請求項7】
前記光学機能部と前記光伝送路の端面との間のギャップ部分に充填された接着剤の厚みは、10μm以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光伝送用光学部品の製造方法。
【請求項8】
前記空間が、前記光学機能部と前記光伝送路の端面とが対向するギャップ部分の上方で外部に開放しており、当該空間の開放された部分から前記光学機能部と前記光伝送路の端面との間のギャップ部分に接着剤を注入することを特徴とする、請求項1又は2に記載の光伝送用光学部品の製造方法。
【請求項9】
前記光学機能部と前記光伝送路の端面との間のギャップ部分に前記接着剤を注入するとき、前記空間内の前記ギャップ部分の上方に位置する部分に補充用の前記接着剤を充填しておくことを特徴とする、請求項1又は2に記載の光伝送用光学部品の製造方法。
【請求項10】
空間を隔てて配置された光伝送路ホルダーの少なくとも一部と光学機能部とが接続部を介して配置され、光伝送路をその端面が前記空間に臨んで前記光学機能部と対向するようにして前記光伝送路ホルダーに保持した光伝送路用光学素子であって、
前記光学機能部と前記光伝送路の端面との間のギャップ部分に、圧縮応力を付与された接着剤が充填されていることを特徴とする光伝送用光学部品。
【請求項11】
前記光伝送路の端面を当接させて位置決めするための傾斜面を前記空間の内面に形成したことを特徴とする、請求項10に記載の光伝送用光学部品。
【請求項12】
前記光伝送路の端面を当接させて位置決めするための突起部を前記空間内に設けたことを特徴とする、請求項10に記載の光伝送用光学部品。
【請求項13】
前記光伝送路ホルダーは、上側ホルダー部材と下側ホルダー部材を重ね合わせることによって構成されており、下側ホルダー部材の上面に前記光伝送路を保持するためのV溝が形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の光伝送用光学部品。
【請求項14】
前記光伝送路ホルダーは、前記光伝送路を挿入するための孔を有し、前記孔に挿通された前記光伝送路の端面付近の空気を外部へ排出させるための排気路が形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の光伝送用光学部品。
【請求項15】
前記光学機能部は、1枚又は2枚以上のレンズを有することを特徴とする、請求項10に記載の光伝送用光学部品。
【請求項16】
前記光学機能部は、1枚又は2枚以上のプリズムを有することを特徴とする、請求項10に記載の光伝送用光学部品。
【請求項17】
前記光学機能部は、1枚又は2枚以上のフィルタを有することを特徴とする、請求項10に記載の光伝送用光学部品。
【請求項18】
請求項10に記載の光伝送用光学部品と光情報を送信又は受信するための送受信用素子とを備え、
前記光伝送用光学部品の前記光学機能部に対向させ、かつ、前記光伝送路の中心軸と一致させて前記送受信用素子を配置したことを特徴とする送受信ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−151843(P2008−151843A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336955(P2006−336955)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】