説明

光導波路および光導波路の製造方法

【課題】 絶縁物からなる断熱層パターン上に良好な結晶性の光導波路を形成する。
【解決手段】 絶縁物からなる断熱層パターン2上に、断熱層パターン2から露出した基板1上の半導体結晶面1Aを核としたエピタキシャル成長により、埋込層3を形成する。断熱層パターン2上には、埋込層3が横方向にエピタキシャル成長し、これによって断熱層パターン2が埋め込まれる。断熱層パターン2上にエピタキシャル成長によって埋込層3が形成できるので、断熱層パターン2上に半導体結晶からなる光導波路10を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザの波長制御などに使用される光導波路およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光導波路の屈折率を制御することにより、波長特性を制御することのできる半導体レーザが知られている。このような光導波路の屈折率制御は、ヒータによる温度制御あるいは電流注入などにより実施される。特許文献1に記載されるように、光導波路の屈折率を制御する場合において、基板と光導波路の間に断熱層を設ける技術が知られている。断熱層を設けることで、基板側の温度が光導波路に伝わることを抑制している。この構造によって、光導波路の屈折率の制御性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−273644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、断熱層としてAlInAsPが使用されている。これは、基板として使用されるInP上にエピタキシャル成長が可能なためである。しかしながら、AlInAsPの熱伝導率は0.1W/cm・K程度であり、さらなる断熱性の向上が必要である。
【0005】
本発明は、基板と光導波路の間の断熱性をさらに向上することの可能な光導波路およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる光導波路の製造方法は、半導体基板上に、前記半導体基板よりも熱伝導率の低い絶縁物からなり、前記半導体基板上の半導体結晶面の一部を露出する断熱層パターンを形成する第1工程と、前記露出した半導体結晶面を核としたエピタキシャル成長により、前記断熱層パターン上面を埋め込む埋込層を形成する第2工程と、前記断熱層パターン上に位置する前記埋込層上にエピタキシャル成長により、光導波路を形成する第3工程と、前記光導波路上に前記光導波路の屈折率を制御するための屈折率制御部を形成する第4工程とを含むことを特徴とする。
【0007】
また、前記露出した半導体結晶面および前記埋込層はInPであり、前記断熱層パターンは酸化シリコンよりなることを特徴とする。
【0008】
また、前記埋込層のエピタキシャル成長は、有機金属気相成長法によりなされることを特徴とする。
【0009】
また、前記断熱層パターンから露出した半導体結晶面上に半導体レーザの利得部を構成する半導体層を形成する工程を含むことを特徴とする。
【0010】
また、前記屈折率制御部は、ヒータあるいは前記光導波路に電流を注入するための電極であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明にかかる光導波路は、半導体基板と、前記半導体基板よりも熱伝導率の低い絶縁物からなる断熱層パターンと、前記断熱層パターン上面をエピタキシャル成長により埋め込んだ埋込層と、前記埋込層上にエピタキシャル成長により形成された光導波路と、前記光導波路上に設けられた、前記光導波路の屈折率を制御するための屈折率制御部とを有することを特徴とする。
【0012】
また、前記半導体基板および前記埋込層はInPからなり、前記断熱層パターンは酸化シリコンからなることを特徴とする。
【0013】
また、前記屈折率制御部は、ヒータあるいは前記光導波路に電流を注入する電極であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、絶縁物を断熱層として利用することができるため、基板と光導波路の間の断熱性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態の半導体レーザの製造方法にかかる断面を示す図である。
【図2】一実施形態の半導体レーザの製造方法にかかる断面を示す図である。
【図3】一実施形態の半導体レーザの製造方法にかかる断面を示す図である。
【図4】一実施形態の半導体レーザの製造方法にかかる断面を示す図である。
【図5】一実施形態の半導体レーザの製造方法にかかる断面を示す図である。
【図6】一実施形態の半導体レーザの製造方法にかかる断面を示す図である。
【図7】一実施形態の半導体レーザの製造方法にかかる断面を示す図である。
【図8】一実施形態の半導体レーザの製造方法にかかる断面を示す図である。
【図9】一実施形態の半導体レーザの製造方法にかかる断面を示す図である。
【図10】一実施形態の半導体レーザの製造方法にかかる断面を示す図である。
【図11】一実施形態の半導体レーザの製造方法にかかる断面を示す図である。
【図12】一実施形態の半導体レーザの製造方法にかかる断面を示す図である。
【図13】一実施形態の半導体レーザの製造方法にかかる断面を示す図である。
【図14】断熱層パターンの別の態様を説明する断面図である。
【図15】断熱層パターンの別の態様を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。図における寸法比は必ずしも実際のものと一致していない。また、同一または相当部分に対しては、同一符号を附している。
【0017】
本実施形態は、波長可変半導体レーザの製造に本発明を適用したものである。本実施形態が対象とする波長可変半導体レーザは、光増幅器(SOA)、SGDFB(Sampled Grating Distributed Feedback)領域、CSGDBR(Chirped Sampled Grating Distributed Bragg Reflector)領域が連結された構造を有している。この波長可変半導体レーザは、CSGDBR領域の光導波路上にヒータが設けられており、その発熱により、CSGBR領域の波長特性を変化させるものである。以下、図面を参照して製造工程を説明する。
【0018】
図1および図2は、本実施形態の製造工程を説明する図である。図1は光軸方向に沿った断面図である。また、図2はCSGDBR領域における光軸に対して直角方向の断面図である。図1および図2に示すように、まず、n型InPからなる半導体基板上1に絶縁物からなる断熱層パターン2を形成する。
【0019】
断熱層パターン2は、半導体基板1よりも熱伝導率の低い絶縁物からなり、本実施形態では酸化シリコンを採用している。半導体基板1となるInPの熱伝導率は0.7W/cm・K程度であり、酸化シリコンの熱伝導率は0.06W/cm・K程度であることから、断熱層パターン2の断熱性は高い。AlInAsPのような半導体からなる断熱層は、その表面にエピタキシャル成長により半導体結晶を成長することが可能であるものの、断熱効果には限界がある。いっぽう、酸化シリコンのような絶縁物の場合、その表面に直接に半導体結晶をエピタキシャル成長することはできないが、半導体からなる断熱層に比べて高い断熱性を有する材料が存在する。このような絶縁物を断熱層パターン2として利用することで、後の工程で形成される光導波路10に対する半導体基板1からの熱の影響を効果的に抑制することができる。
【0020】
酸化シリコンからなる断熱層パターン2を形成するためには、以下の工程が採用される。まず、半導体基板1上に酸化シリコンからなる絶縁物層を形成する。本実施形態における半導体基板は、主面が(100)のn型InPである。つぎに、断熱層パターン2の形状を持つレジストパターンを形成した後、CF4系のガスを使用したドライエッチングによって、レジストパターンから露出した絶縁物層を除去する。そして、レジストパターンを除去することで、図1に示す構造が得られる。なお、断熱層パターン2が設けられていない半導体基板1の上面には、半導体結晶面1Aが露出している。
【0021】
本実施形態の断熱層パターン2は、厚さ1μm、光軸に直角な方向における幅10μm、光軸に沿った方向における長さ500μmのストライプ形状を備えている。このストライプは、半導体基板1の(100)面において<110>方向に延在している。なお、半導体基板1上に複数の光導波路を並行して配置する場合、この断熱層パターン2は、各光導波路に対応して並行して配置される。この場合、隣接する断熱層パターン2同士の間隔は、20μm以上とすることが好ましい。そして、断熱層パターン2に覆われない領域には、前記したように半導体基板1の半導体結晶面1Aが露出している。なお、半導体結晶面1Aは、半導体基板1の表面でもよいし、半導体基板1と同じ材料(InP)からなるバッファ層の表面であってもよい。
【0022】
つぎに、図3および図4に示すように、断熱層パターン2をInPからなる埋込層3によって埋め込む。図3は光軸方向に沿った断面図、図4はCSGDBR領域における光軸に対して直角方向の断面図である。断熱層パターン2は、酸化シリコンで構成されているため、その表面に直接に半導体をエピタキシャル成長することはできない。しかし、図1に示すように、断熱層パターン2が設けられない部分には、半導体結晶面1Aが露出している。本実施例では、露出した半導体結晶面1Aを核として、埋込層3をエピタキシャル成長し、断熱層パターン2を埋め込む。この成長においては、断熱層パターン2の表面に直接に半導体材料が析出しないように制御する必要である。また、露出した半導体結晶面1Aを核とした埋込層3のエピタキシャル成長は、横方向への成長速度が比較的大きくなる条件を採用する必要がある。本実施形態の断熱パターン埋込層の成長は、有機金属気相成長法(OMVPE:Organometallic Vapor Phase Epitaxy)によって形成する。具体的な条件は以下のとおりである。
【0023】
半導体結晶面1A:InP(100)面
埋込層3:n型InP
原料ガス:TMI(トリメチルインジウム)、PH3(ホスフィン)
ドーパント:SiH4(シラン)
キャリアガス:H2(水素)
成長温度:650℃
成長圧力:150mbar
【0024】
本実施形態では、上記条件によって断熱層パターン2上に埋込層3が0.5μm成長するまで成長を継続した。断熱層パターン2上における埋込層3は、半導体基板1の半導体結晶面1Aを核として横方向にエピタキシャル成長したものである。横方向のエピタキシャル成長により、断熱層パターン2は単結晶の埋込層3中に埋め込まれる。埋込層3は断熱層パターン2上においても単結晶である。このため、この後に引き続く半導体層の成長においても断熱層パターン2上には、エピタキシャル成長層が形成できる。なお、埋込層3は半導体結晶面1A上にもエピタキシャル成長しているため、その表面は全体にわたってほぼ平坦である。
【0025】
つぎに、図5に示すように、埋込層3上に回折格子層4を形成する。図5は光軸方向に沿った断面図である。回折格子層4中には回折格子パターン4aが埋め込まれている。回折格子層4はInPで構成されており、回折格子パターン4aはInGaAsPで構成されている。回折格子パターン4aは、InGaAsP層を成長した後、干渉露光法や電子ビーム露光法あるいはナノインプリント法など公知の方法を利用したフォトリソグラフ法によってパターン化される。その後、回折格子層4を構成するInP層を成長して回折格子パターン4aを埋め込む。
これら回折格子層4および回折格子パターン4aは、断熱層パターン2上においてもエピタキシャル成長されている。
【0026】
つぎに、図6に示すように、回折格子層4上にn型クラッド層5、n型SCH層6、活性層7、p型SCH層8、p型クラッド層9からなる構造を順次成長する。図6は光軸方向に沿った断面図である。各層は有機金属気相成長法によって形成され、条件は以下のとおりである。
【0027】
n型クラッド層5
材料:n型InP
成長膜厚:0.2μm
原料ガス:TMI、PH3
ドーパントガス:SiH4
成長温度:670℃
【0028】
n型SCH層6
材料:n型InGaAsP
成長膜厚:0.05μm
原料ガス:TMI、TMG、AsH3(アルシン)、PH3
ドーパントガス:SiH4
成長温度:670℃
【0029】
活性層7
材料:バリア層InGaAsP(組成波長1.2μm)/ウェル層InGaAsP(組成波長1.6μm)からなるMQW
1層あたりの成長膜厚:0.015μm
原料ガス:TMI、TMG、PH3、AsH3
成長温度:670℃
【0030】
p型SCH層8
材料:p型InGaAsP
成長膜厚:0.05μm
原料ガス:TMI、TMG、AsH3、PH3
ドーパントガス:DEZn(ジエチル亜鉛)
成長温度:670℃
【0031】
p型クラッド層9
材料:p型InP
成長膜厚:0.2μm
原料ガス:TMI、PH3
ドーパントガス:DEZn
成長温度:670℃
【0032】
つぎに、図7に示すように、p型クラッド層9上にマスクM1を形成し、SOA領域およびCSGDBR領域における、p型クラッド層9、p型SCH層8、活性層7、n型SCH層6を選択的にエッチングする。なお、SGDFB領域に残った構造は、半導体レーザにおける利得部となる。
【0033】
つぎに、図8に示すように、エッチング除去された領域に光導波路10を形成した後、SOA領域およびSGDFB領域上にコンタクト層11を選択的に形成する。各層の条件は以下のとおりである。
【0034】
光導波路10
材料:InGaAsP
原料ガス:TMI、TMG、AsH3、PH3
成長温度:670℃
【0035】
コンタクト層11
材料:InGaAs
原料ガス:TMI、TMG、AsH3
ドーパントガス:DEZn
成長温度:640℃
【0036】
なお、コンタクト層11は、これを構成する材料を全面に成長した後、選択エッチング工程により、CSGDBR領域上およびSOA領域とSGDFB領域の間の部分を除去している。
【0037】
断熱層パターン2上の埋込層3上面が半導体単結晶面であるため、この工程において成長された光導波路10もエピタキシャル成長されている。光導波路10がエピタキシャル成長による単結晶であることから、光導波路10の光学特性は高い。また、温度や電気的制御による屈折率の制御性も良好である。
【0038】
つぎに、以上の工程によって形成された半導体層構造をストライプ状にエッチングする。図9はCSGDBR領域における光軸に直角方向の断面図である。光導波路10上にマスクM2を形成し、n型クラッド層5が露出するまで、マスク2の両側の領域を除去する。SOA領域およびSGDFB領域においても、同様に除去される。
【0039】
つぎに、図10に示すように、露出したn型クラッド層5上に高抵抗層12を形成する。条件は以下のとおりである。
【0040】
高抵抗層12
材料:InP
原料ガス:TMI,PH3
ドーパントガス:Cp2Fe(フェロセン)
成長温度:650℃
【0041】
なお、高抵抗層12はSOA領域およびSGDFB領域におけるn型クラッド層5上にも同様に形成される。
【0042】
つぎに、図11に示すように、マスクM2を除去した後、保護膜13および溝14を形成する。図11はCSGDBR領域における光軸に直角方向の断面図である。保護膜13は例えば酸化シリコンで構成されており、溝14に対応する部分に窓が形成されている。この窓内に露出した領域をエッチングすることで、溝14を形成する。溝14により、光導波路10の両側からの熱伝導が抑制される。本実施形態では、溝14は断熱層パターン22よりも深く形成されている。溝14の深さは任意であり、断熱層パターン2よりも浅く形成することもできる。
【0043】
つぎに、図12に示すように、光導波路10に対応した保護膜13上に光導波路10の屈折率を制御するためのヒータ15を形成する。図12はCSGDBR領域における光軸に直角方向の断面図である。ヒータ15にはヒータ電極16が設けられている。ヒータ15は例えばニッケルクロム合金(NiCr)が採用できる。ヒータ電極16は例えば金(Au)が利用できる。説明は省略するが、SOA領域およびSGDFB領域における保護膜や電極の形成工程についても、適宜実施されている。
【0044】
図13は、完成した半導体レーザの光軸方向に沿った断面図である。図13に示すように、CSGDBR領域には3つのヒータ15が設けられており、それぞれにヒータ電極16が配置されている。SGDFB領域におけるコンタクト層11上にはSGDFB電極17が設けられている。SOA領域におけるコンタクト層11上にはSOA電極18が設けられている。また、半導体基板1の裏面には裏面電極19が設けられている。SGDFB電極17、SOA電極18および裏面電極19は、その表面はたとえば金(Au)で構成される。
【0045】
本実施形態では絶縁物からなる断熱層パターン2を設けているため、CSGDBR領域における光導波路10と半導体基板1との間の電気抵抗は高い。しかし、図13に示す半導体レーザでは、光導波路10の屈折率制御をヒータ15で行っているため、このような電気抵抗は問題にはならない。なお、光導波路10の屈折率を電流注入によって制御する場合には、絶縁層パターン2に離散的に開口を設けて、その電気抵抗を低減することもできる。
【0046】
以上の工程によって形成された光導波路10は、その下部に絶縁物からなる断熱層パターン2が設けられている。このため、光導波路10は絶縁物による高い断熱効果により、半導体基板1側からの熱伝導を抑制することができる。また、断熱層パターン2上には、半導体結晶面1Aを核として利用したエピタキシャル成長により埋込層3が形成されている。したがって、その上の光導波路10もエピタキシャル成長によって形成することができる。
【0047】
なお、一実施形態では、断熱層パターン2を断熱するべき光導波路(CSGDBR領域の光導波路)の長さ全体に渡って設けていたが、それを超える長さ、あるいはそれより短い長さで設けることもできる。
【0048】
また、図14に示すように、断熱層パターン2を断熱するべき光導波路の長さ方向に間欠的に設けてもよい。図14は、光軸方向に沿った断面図である。この場合、断熱層パターン2は光導波路の長さ方向において複数に分割された形態となる。断熱層パターン2が分割されることで、その間には半導体結晶面1Aが露出する。これは、埋込層3による断熱層パターン2の埋込み工程において有利である。
【0049】
また、一実施形態では、断熱層パターン2の幅は光導波路10の幅よりも広く形成されていた。これは、一実施形態のように光導波路の両側面を埋め込む高抵抗層12を介した熱伝導を抑制するためである。もちろん、断熱層パターン2の幅は、光導波路10の幅と同程度の幅で設けることもできる。
【0050】
断熱層パターン2の幅が大きい場合、埋込層3によって断熱層パターン2を埋め込むことが困難になる可能性がある。このため、光導波路10の幅よりも狭い幅で断熱層パターン2を設けることは有用である。断熱層パターン2を狭くしたことにより、断熱層パターン2の断熱効果の低下が懸念される場合には、図15に示すように、幅の狭い断熱層パターン2を複数設けることもできる。図15は光軸方向に対して直角方向の断面図である。図15に示すように、断熱層パターン2を光導波路10の幅Wよりも小さくすることで、断熱層パターン2の埋込みを容易にすることができる。また、そのような断熱層パターン2を光導波路10の下部に複数に配置することで、断熱性の低下を抑制することもできる。また、このような断熱層パターン2は、図15に示すように光導波路10の幅Wよりも広い範囲に分布して配置することもできる。
【0051】
また、断熱層パターン2は半導体基板1の表面にリセス(窪み)を設けて、その中に形成することができる。その場合のリセスの深さは断熱層パターン2の厚みと同程度でもよいし、浅くてもよい。また、断熱層パターン2の厚みよりも深く形成することもできる。リセス中に断熱層パターン2を設けることで、埋込層3による断熱層パターン2の埋込みが容易になる。
【0052】
一実施形態は、波長可変半導体レーザの反射器(CSGDBR)を構成する光導波路に本発明を適用したものであるが、これに限るものではない。たとえば、半導体光波長フィルタに本発明を適用することもできる。その場合、半導体光波長フィルタの波長選択部を構成する光導波路を製造する工程において、本発明を採用すればよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1…半導体基板、2…断熱層パターン、3…埋込層、4…回折格子層、5…n型クラッド層、6…n型SCH層、7…活性層、8…p型SCH層、9…p型クラッド層、10…光導波路11…コンタクト層、12…i型層、13…保護膜、14…溝、15…ヒータ、16…ヒータ電極、17…SGDFB電極、18…SOA電極、19…裏面電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に、前記半導体基板よりも熱伝導率の低い絶縁物からなり、前記半導体基板上の半導体結晶面の一部を露出する断熱層パターンを形成する第1工程と、
前記露出した半導体結晶面を核としたエピタキシャル成長により、前記断熱層パターン上面を埋め込む埋込層を形成する第2工程と、
前記断熱層パターン上に位置する前記埋込層上にエピタキシャル成長により、光導波路を形成する第3工程と、
前記光導波路上に前記光導波路の屈折率を制御するための屈折率制御部を形成する第4工程と、
を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。
【請求項2】
前記露出した半導体結晶面および前記埋込層はInPであり、前記断熱層パターンは酸化シリコンよりなることを特徴とする請求項1記載の光導波路の製造方法。
【請求項3】
前記埋込層のエピタキシャル成長は、有機金属気相成長法によりなされることを特徴とする請求項1または2いずれか一項に記載の光導波路の製造方法。
【請求項4】
前記断熱層パターンから露出した半導体結晶面上に半導体レーザの利得部を構成する半導体層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載の光導波路の製造方法。
【請求項5】
前記屈折率制御部は、ヒータあるいは前記光導波路に電流を注入するための電極であることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の光導波路の製造方法。
【請求項6】
半導体基板と、
前記半導体基板よりも熱伝導率の低い絶縁物からなる断熱層パターンと、
前記断熱層パターン上面をエピタキシャル成長により埋め込んだ埋込層と、
前記埋込層上にエピタキシャル成長により形成された光導波路と、
前記光導波路上に設けられた、前記光導波路の屈折率を制御するための屈折率制御部と、
を有することを特徴とする光導波路。
【請求項7】
前記半導体基板および前記埋込層はInPからなり、前記断熱層パターンは酸化シリコンからなることを特徴とする請求項6記載の光導波路。
【請求項8】
前記屈折率制御部は、ヒータあるいは前記光導波路に電流を注入する電極であることを特徴とする請求項6または7いずれか一項に記載の光導波路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−26254(P2013−26254A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156289(P2011−156289)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】