説明

光検出光学系および光学システム

【課題】光検出光学系および光学システムにおいて、波長の異なる複数の入射光を簡素な構成により略光量損失がない状態で分離して、それぞれの光検出を行うことができるようにする。
【解決手段】波長の異なるレーザ光6、7を結像する軸上色収差を有する結像レンズ2と、結像レンズ2によるレーザ光6の結像位置近傍の光軸9の中心領域にレーザ光6を略すべて入射する開口部4bを、その外周領域に光検出部4aをそれぞれ備える光検出器4を設けて、開口部4bを透過するレーザ光6と、光検出部4aで受光されるレーザ光7とを分離する。そして、分離されたレーザ光6を光検出器5により受光して光検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出光学系および光学システムに関する。例えば、2つ以上の波長の光をそれぞれ分離して検出することができる光検出光学系および光学システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光検出によって、例えば高さ、長さ、大きさ、角度などの物理量や、その変化量を測定またはセンシングする種々の光学システムが知られている。
例えば、特許文献1には、光信号が、情報を含む高帯域信号からなる主信号と、主信号の周波数帯域に重ならない低周波数成分の狭帯域信号からなるパイロット信号で構成され、光信号を伝搬する光束が偏光ビームスプリッタ、光束分割ミラーにより光路を分割されて、それぞれ主信号を伝搬する光束(以下通信光と称する)を受光する受光素子、パイロット信号を伝搬する光束(以下ビーコン光と称する)を受光して受光位置を検出するPINフォトダイオードに入射され、PINフォトダイオードで検出されたビーコン光の位置ずれに応じて可動ミラーを制御し、通信光の自動追尾を行う光空間通信装置が記載されている。また、主信号とパイロット信号とが、波長多重により重畳される構成が記載されている。
また、特許文献2には、2波長レーザ光源を用いてそれぞれの波長光を平行化レンズと対物レンズとからなる光学系を通して光ディスクに照射し、その光学系に再入射する反射光を2波長用に偏光性ホログラムと1/4波長板とからなるホログラムビームスプリッタにより分離して一方の波長光を軸外に集光し、光検出器で検出する光ヘッド装置が記載されている。
また、特許文献3には、光源か発する複合波長の光を、色収差を持つ影像光学系を介して口径を絞った開口を透過させ、波長ごとの透過光量を単一素子検出器で検出することにより、光源の局部的な変化を測定する光源変化監視方法および装置が記載されている。また、これを用いて光源の光軸に直交する方向の移動位置を検出する方法が記載されている。
【特許文献1】特開平7−143064号公報(第3−5頁、図1)
【特許文献2】特開2001−155375号公報(第3−7頁、図1、5)
【特許文献3】特開平10−160567号公報(第4−8頁、図1、3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来の光検出光学系および光学システムには以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、主信号を伝搬する光束が偏光ビームスプリッタ、光束分割ミラーにより分割されるので、光量損失が大きくなるという問題がある。
この場合、通信光とビーコン光とを異なる波長に設定し、これらの光分割手段をダイクロイックフィルタとすることにより、光量損失を低減することも考えられるが、このようなダイクロイックフィルタや偏光ビームスプリッタは非常に高価なので装置のコストが増大してしまうという問題がある。
また、通信光とビーコン光との光路が分割されるので、それぞれの光路長や受光位置を光学的に一致させるために、受光素子やPINフォトダイオードなどの位置合わせが必要となり、組立に手間がかかり製作コストが増大するという問題がある。
特許文献2に記載の技術では、製作の手間がかかり高価な2波長用の偏光性ホログラムと1/4波長板とを用いて、光ディスクからの反射光を分離するので、部品コストが増大してしまうという問題がある。
特許文献3に記載の技術では、異なる波長光の同一位置におけるスポット径が光学系の色収差により異なることを利用して、所定位置に開口を設け、その透過率の変化から光源の局部的な変化を観察する構成が記載されているものの、それぞれの波長光は開口により分離されないので、分光フィルタを設けて波長ごとに分離している。したがって、この構成では、異なる波長の光束を簡素に分離して検出することができないという問題がある。
【0004】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、波長の異なる複数の入射光を簡素な構成により略光量損失がない状態で分離して、それぞれの光検出を行うことができる光検出光学系および光学システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の光検出光学系は、波長の異なる複数の入射光をそれぞれ略光軸上で異なる位置に結像する軸上色収差を有する結像光学系と、該結像光学系による前記複数の入射光の1つの結像位置近傍において、略前記光軸上に結像する前記複数の入射光の1つを略すべて入射する中心領域と該中心領域の外側に広がる外周領域との間で、前記複数の入射光を互いに分離する分離手段と、該分離手段により分離された光を、光検出するためにそれぞれ受光する複数の受光部とを備える構成とする。
この発明によれば、軸上色収差を有する結像光学系により、複数の入射光がそれぞれの波長に応じて略光軸上で異なる位置に結像される。そして、複数の入射光の1つの結像位置近傍では、複数の入射光の1つが結像スポット径に近い微小スポットを形成し、中心領域に略すべて入射する。また、複数の入射光の他は、複数の入射光の1つより大きな光束となって、中心領域および外周領域に入射する。そのため、中心領域と外周領域との間で複数の入射光を分離する分離手段により、複数の入射光の他が、その光束面積と中心領域との面積比に応じて分割され、外周領域において、複数の入射光の1つから分離される。
そして軸上色収差の大きさを適宜設定して複数の入射光の他の光束径の大きさを必要に応じて設定し、中心領域に入射する複数の入射光の他の光量を、複数の入射光の1つに対して相対的に低減することで、複数の入射光の1つと他とのそれぞれを実質的に分離することができる。そして、分離手段により分離されたそれぞれの光を複数の受光部により受光して光検出を行うことができる。
分離効率を向上するには、中心領域の面積が小さいほど、複数の入射光の他の光束面積が大きいほどよい。そのため、軸上色収差は大きいほど分離効率が高効率となる。
分離手段は、例えば、透過、反射、導光、屈折などの光学特性を中心領域と外周領域とに適宜組み合わせて設定することにより構成することができる。
【0006】
また、本発明の光検出光学系では、前記結像光学系が、パワーを有する少なくとも2つの光学素子を備え、該少なくとも2つの光学素子が、それぞれ同傾向の軸上色収差を有することが好ましい。
この場合、結像光学系を少なくとも2つ以上の光学素子により構成するため、1つの光学素子のみで構成する場合に比べて、球面収差を低減することが容易となり、結像性能を向上することができる。
また、少なくとも2つの光学素子が同傾向の軸上色収差を有することにより、結像光学系としての軸上色収差を大きくすることができる。
ここで、同傾向の軸上色収差とは、複数の波長に対する光軸に沿う結像位置の相対的なずれ方向が同じであることを意味する。
また、光学素子の光学面は、適宜のパワーと軸上色収差を備えるならば、球面に限定されず、そのような光学面を採用してもよい。例えば、光学面として非球面などを採用すれば、球面に比べて球面収差を低減できるので好都合である。
【0007】
また、本発明の同傾向の軸上色収差を有する少なくとも2つ以上の光学素子からなる結像光学系を備える光検出光学系では、前記結像光学系が、少なくとも1つの中間像を形成する構成とすることが好ましい。
この場合、少なくとも1つの光学素子により少なくとも1つの中間像を形成し、軸上色収差により波長ごとに結像位置がずれた光を同傾向の軸上色収差を有する他の光学素子で再度結像するので、1回で結像する場合に比べて結像光学系の軸上色収差を増大させることができる。
すなわち、各光学素子の軸上色収差の量を増大させることなく中間像の数に応じて結像光学系の軸上色収差が増大されるので、特定の波長に対する光学性能を劣化させることなく、軸上色収差のみを増大させることができる。
これに対して、1回の結像で軸上色収差を形成する場合、結像光学系の設計上、軸上色収差を大きくすることを優先すると、複数の波長のそれぞれに対する球面収差などの光学性能が劣化する可能性が高くなる。
【0008】
また、本発明の同傾向の軸上色収差を有する少なくとも2つ以上の光学素子からなる結像光学系を備える光検出光学系では、前記少なくとも2つの光学素子のうち少なくとも1つの光学素子の光軸方向の位置が可変とされることが好ましい。
この場合、少なくとも1つの光学素子の光軸方向の位置を可変とすることで、光学素子間の距離や、物体からの距離あるいは像面までの距離を可変して、光学系の合成焦点距離を変えることができる。そのため、同じ物体からの光束に対して像面でのNAを変えることができる。
その結果、結像光学系のNAを受光部に固有のNAに合わせることができるので、受光部に入射する光の光量損失を低減することができる。例えば、受光部がNAの異なる光ファイバを切り替える構成とされる場合など、光ファイバのNAに合わせることで、光結合効率を向上することができる。
光学素子の可変機構は、例えば相対移動可能なズーム鏡枠に光学素子を固定し、ズーム鏡枠をモータやアクチュエータなどにより駆動するようにしてもよいし、単に可動鏡枠に各光学素子を固定し、必要に応じて手動移動できるようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の光検出光学系では、前記分離手段の前記中心領域が、前記複数の入射光の1つを略すべて透過させる大きさを有する開口部からなることが好ましい。
この場合、分離手段の中心領域が開口部からなるので、分離手段が、簡素に構成できるとともに、複数の入射光の1つの光量損失を低減することができる。
なお、開口部は、光が透過する光学的な開口部であればよく、例えば透過率が良好な透明媒質で満たされていてもよい。
【0010】
また、本発明の光検出光学系では、前記分離手段の前記中心領域が、前記複数の入射光の1つを略すべて光結合する光ファイバ端面からなることが好ましい。
この場合、分離手段の中心領域が光ファイバ端面からなるので、複数の入射光の1つを略すべて光ファイバに光結合して、光ファイバにより導光し、光検出を行うことができる。すなわち、光ファイバは受光部の1つとなっており、受光部の1つが分離手段に含まれる構成となっている。そのため、コンパクトな構成とすることができる。
【0011】
また、本発明の光検出光学系では、前記分離手段が、前記外周領域に、前記複数の受光部の1つとして、前記外周領域に入射する光の位置検出を行う位置検出器を設けることが好ましい。
この場合、複数の入射光の1つの略結像位置の外周領域に位置検出器を配置するので、複数の入射光の他を分離するとともに、それによりレンズなどを介することなく複数の入射光の1つと光学的に同等の位置で複数の入射光の他の位置検出を行うことができる。そのため、例えば、複数の入射光の他が複数の入射光の1つを追尾するための追尾光である場合に、簡素かつコンパクトな構成で追尾光の位置検出を行うことができる。
【0012】
また、本発明の光検出光学系では、前記分離手段が、前記中心領域または前記外周領域に入射する光を前記結像光学系の光軸方向と異なる方向に反射する反射面を備えることが好ましい。
この場合、反射面により、中心領域または外周領域に入射する光を結像光学系の光軸方向と異なる方向に導くことにより、中心領域および外周領域に入射する光がそれぞれ分離される。そのため、それぞれの受光部を、中心領域および外周領域の一方に入射する光を結像光学系の光軸上に、それらの他方に入射する光を結像光学系の光軸外の光路上に、それぞれ設けることができる。そのため、それぞれの受光部を容易に配置することができる。
また、反射面で反射された光の光路上に、適宜の光学系、光学手段、例えば、倍率を有する光学系や、光強度を増幅する光増幅手段などを配置することも容易となる。
なお、反射面を外周領域に設ける場合、中心領域への光入射の妨げとならなければ、複数の入射光の1つの略結像位置から光軸方向にずれた位置に配置することができる。
【0013】
また、本発明の前記分離手段が前記反射面を備える光検出光学系では、前記分離手段が、前記中心領域に入射する光の受光部を有する屈折率1以上の媒質からなるプリズムであり、前記反射面が、前記プリズムの内部反射面であることが好ましい。
この場合、分離手段が受光部と一体化されたプリズムで構成されるので、コンパクトな構成とすることができる。
また、反射面が内部反射面なので、取り扱い、経時変化、環境変化などによる反射率の変化が起こりにくいという利点がある。
【0014】
本発明の光学システムは、複数の入射光として、情報を伝達する信号光と、該信号光と同軸に入射され異なる波長を有する補助検出光とを受光する請求項1〜9のいずれかに記載の光検出光学系を有する光学システムであって、前記信号光が前記複数の入射光の1つであり、前記補助検出光が前記複数の入射光の他であり、前記補助検出光を受光する受光部の検出信号に応じて、前記信号光の相対的な入射状態を制御するようにした構成とする。
この発明によれば、本発明の光検出光学系を有するので、本発明の光検出光学系と同様の作用効果を有する。
そして、光検出光学系の分離手段により情報を伝達する信号光の略すべてを対応する受光部で受光し、補助検出光を分離手段により分離して対応する受光部により受光し、光検出することができる。そして、補助検出光の受光部の検出信号に応じて信号光の相対的な入射状態を制御するので、信号光の光量損失を招くことなく、信号光を受光した状態で、信号光の相対的な入射状態を制御することができる。そのため簡素かつ効率的な構成により信号光の受光状態を良好に保持することができる。
ここで、補助検出光が検出する入射状態としては、信号光の位置ずれ、角度ずれ、ピントずれなどを挙げることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光検出光学系および光学システムによれば、波長の異なる複数の入射光を軸上色収差を有する結像光学系により略光軸上で異なる位置に結像し、複数の入射光の1つのの略結像位置において、複数の入射光の1つを略すべて入射する中心領域とその外側の外周領域との間で複数の入射光を分離するので、簡素な構成により略光量損失がない状態で分離して、それぞれの光検出を行うことができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下では、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0017】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る光検出光学系について説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る光検出光学系について説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。図1(b)、(c)は、それぞれ入射光が光軸を進む場合および入射光が角度ずれを起こした場合の図1(a)のA視の模式説明図である
【0018】
本実施形態の光検出光学系1は、同軸に入射される複数の波長の入射光をそれぞれの波長ごとに分離してそれぞれ異なる受光部に導くことにより、各波長光の光検出を行うことができるものである。
光検出の種類としては、受光部または受光部の後段に配置される光検出器の種類により、種々の種類が考えられる。例えば、受光量を検出して入射光の有無や光量変化を検出することにより、検出対象の高さ、長さ、大きさ、角度などの物理量、もしくは物理量の変化の検出、変調された入射光が搬送する情報信号検出、入射光による画像情報の検出などが挙げられる。
入射光の複数の波長は、3つ以上でもよく、また異なる波長領域に帯域制限された複数の狭帯域光でもよい。
【0019】
以下では、簡単のため、図1(a)に示すように、それぞれの波長が波長λ、λ(ただし、λ>λ)の略平行なレーザ光6(複数の入射光の1つ)、レーザ光7(複数の入射光の他の1つ)が同軸に入射される場合の例で説明する。
ここで、レーザ光6は、情報信号や画像情報などの情報を伝達する信号光とし、レーザ光7は、信号光の入射状態を検出可能とする補助検出光とする。
光検出光学系1の概略構成は、結像レンズ2(結像光学系)、光検出器4(分離手段)、および光検出器5(受光部)からなる。
【0020】
結像レンズ2は、レーザ光6、7を結像するため、正のパワーを備える単レンズである。例えば、一定屈折率の硝材により形成された凸平レンズを採用することができる。
結像レンズ2は、一定屈折率の硝材から形成される単レンズのため軸上色収差を有する。すなわち、レーザ光6、7が共通の入射瞳径Dで入射すると、光軸9上の結像位置が一定量ずれるものである。本実施形態では、入射瞳径がDの場合、レーザ光6は、波長λに対応する結像レンズ2から距離Lの位置の結像面8A(複数の入射光の1つの結像位置)にスポット径ωで結像され、レーザ光7は、波長λに対応する距離(L−L)の結像面8Bにスポット径ωで結像される。距離Lは、結像レンズ2の波長λ、λとの間の軸上色収差に対応している。軸上色収差の大きさは、必要なスポット径ω、ωの大きさにより決定する。
スポット径ωは、開口部4bが容易に加工できる直径dに対して十分小さい値とすることが好ましい。
スポット径ωは、開口部4bの直径dに対して十分大きくする必要があり、例えば、スポット径ωをRMS値として、ω/d≧4とすることが好ましい。また、レーザ光7を光検出器4のような位置検出器により光検出する場合には、必要な位置ずれ検出範囲に応じた大きさとする必要がある。
【0021】
開口絞り3は、レーザ光6、7の入射瞳を設定するための部材である。光検出光学系1が光学システムの中に組み込まれていて、光検出光学系1に入射する前の光路中に入射瞳が形成される場合には省略することができる。
【0022】
光検出器4は、レーザ光6とレーザ光7とを分離する分離手段と、レーザ光7の照射位置を検出する位置検出器としての受光部とを兼ねるもので、図1(a)、(b)に示すように、光検出部4aと開口部4bとからなる。
光検出部4aは、1つの角が開口部4bを形成するために切り欠かれた以外は略正方形状のされた受光素子であるPD4A、4B、4C、4Dが、2×2の格子状に配列されたものである。そして、これらPDにまたがって光束が照射されたときに、それぞれの受光量から、光束の照射位置の中心位置を検出する4分割光検出器(QD)を構成している。光検出部4aの波長感度は、レーザ光7の波長λに対する感度が良好となるものを採用する。
開口部4bは、PD4A、4B、4C、4Dの切り欠かれた角部が集まる光検出器4の中心位置に形成される厚さ方向に貫通する直径dの円孔である。直径dは、レーザ光6の結像スポット径より大きい径とされ、結像されたレーザ光6が略すべて透過できる面積を有する。
そして、光検出器4は、光検出部4aが結像面8Aに略沿って配置されるとともに、開口部4bの中心が、光軸9と略一致するように配置されている。
すなわち、開口部4bは、結像面8Aにおいて光軸9に沿って進むレーザ光6を略すべて入射する中心領域に配置され、光検出部4aは、そのような中心領域の外側に広がって形成された外周領域に配置されている。
【0023】
光検出器5は、開口部4bを透過したレーザ光6のスポットが拡径した状態で受光し、レーザ光6に含まれる情報の光検出を行うものである。例えば、レーザ光6が変調された信号光である場合、変調信号を検出するために応答性のよいPINフォトダイオードなどの受光素子を採用することができる。また、レーザ光6が画像情報を含む場合、CCDなどの撮像素子を採用することができる。
特に図示しないが、光検出を効率的に行うために光検出器5の前側に、集光や撮像などを行う光学素子を適宜配置してもよい。
また、図示では、レーザ光6のスポットが拡径するように、開口部4bから離して配置しているが、例えば変調信号を受光する受光素子のように比較的受光面積が小さくてよい場合は、開口部4bに近接して配置してもよい。
【0024】
次に、光検出光学系1の作用について、光路に沿って説明する。
略平行光とされたレーザ光6、7は、開口絞り3を透過することで、光束径がDに整形された同軸光として、結像レンズ2に入射する。
レーザ光6、7は、結像レンズ2の正パワーにより集光され、各波長に応じて、それぞれ結像面8A、8Bに結像される。このため、レーザ光6、7は、図1(b)、(c)に示すように、光検出器4上では、略同心円状に広がるスポット6a、7aを形成している。
【0025】
レーザ光6、7が光軸9上を進む場合は、スポット6aは略すべての光が、開口部4bを通過して、透過して光検出器5に導かれ、スポット7aが光検出部4a上で受光される(図1(b)参照)。このとき、スポット7aの一部が開口部4bを透過して光検出器5に到達するが、結像レンズ2の軸上色収差を適宜設定することにより、スポット7aの面積に対する開口部4bの開口面積の比を適宜に設定することにより、開口部4bを透過する光量をレーザ光6の光検知のノイズとならない程度に抑えることができる。スポット7aの径は軸上色収差量に略比例し、スポット7aの面積はその2乗に比例するから、軸上色収差を少し変えるだけでも、スポット7aの面積は大きく変化するものである。
このようにして、光検出器4は、レーザ光6、7を、略光量損失なしに分離することができる。特に、本実施形態では、レーザ光6は光量損失なしに分離することができる。
【0026】
例えば、後述する第1の数値実施例のレンズ構成により、波長λ=1550nm、波長λ=780nm、入射瞳径D=3mm、結像レンズ2の焦点距離fをf(1550nm)=15mm(かっこ内の数値は、焦点距離を規定する波長を示す。以下同様。)とするとき、結像レンズ2は、凸平レンズの1枚構成なので、n=1.5168とすれば、軸上色収差に対応してL=300μmとなり、スポット径ω、ωが、ω=7.2μm、ω=48.3μmとなる(ただし、RMS値。以下のスポット径も同じ)。したがって、d=10μmとすれば、十分良好な分離特性を得ることができる。
一方、色補正したアクロマティックレンズ、例えば正パワーの両凸レンズに負のメニスカスレンズを貼り合わせた2枚構成によれば、例えば、ω=1μm、ω=15.4μm程度となり、d=10μmでは分離が困難である。ω/d≧4とするには、d=3.9μmとする必要があるが、その場合、開口部4bの加工が格段に難しくなる。
また、ω=15.4μmでは、例えば空間光通信装置の精追尾機構に用いる場合などには位置ずれ検出範囲が小さすぎて不都合である。
【0027】
一方、レーザ光6、7が光軸9からずれて入射されると、図1(c)に示すように、レーザ光6は開口部4bを透過できなくなるが、スポット7aの光束径は相対的に大きいので、光検出部4a上で3つ以上のPDにまたがって照射される範囲において、位置ずれ量を検出できる。
そのため、光検出器4の検出信号をレーザ光6の照射位置を補正するための制御信号として用いることができる。
【0028】
このように、光検出光学系1によれば、例えばホログラム素子や回折格子などの高価な光学素子を用いることなく、QDの中央部に開口部4bを設けるのみの簡素な分離手段により、レーザ光6、7を効率よく分離することができる。
また、結像光学系の軸上色収差により空間的に波長分離するので、分離手段には波長分離特性を持たせる必要がないので、高価な波長分離コーティングなど施すことなく簡素かつ安価な構成とすることができるものである。
本実施形態では、レーザ光7が光検出部4aの後側に透過しないように分離するので、分離されたレーザ光6を、光検出部4aの後側に配置された光検出器5により受光することができる。そのため、2つの受光部を光軸9に沿って配列することができ、コンパクトなレイアウトとすることができるという利点がある。
【0029】
なお、開口部4bは、適宜の開口径を有する光学的な開口であればよいので、本実施形態は、開口部4bに透明部材を嵌め込んだり、そのような透明部材により、レンズ、プリズム、導光路などを形成したりするように変形してもよい。
【0030】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る光検出光学系について説明する。
図2(a)は、本発明の第2の実施形態に係る光検出光学系について説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。図2(b)、(c)は、それぞれ入射光が光軸を進む場合および入射光が角度ずれを起こした場合の図2(a)のB視の模式説明図である
【0031】
本実施形態の光検出光学系10は、図2(a)に示すように、第1の実施形態に係る光検出光学系1の結像レンズ2、光検出器4に代えて、結像光学系11(結像光学系)、光検出器12(分離手段)を備える。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0032】
結像光学系11は、それぞれ同傾向の軸上色収差を有する第1レンズ11A、第2レンズ11Bからなる。
第1レンズ11Aは、例えば両凸レンズを採用することができる。
第2レンズ11Bは、例えば第1レンズ11A側に凸面を有するメニスカスレンズを採用することができる。それぞれの硝材の屈折率は適宜設定することができる。
【0033】
光検出器12は、光検出器4の開口部4bに代えて、レーザ光6を受光して光電変換する受光素子12bを備えたものである。受光素子12bとしては、例えば波長λに感度特性を有するPINフォトダイオードなどを採用することができる。
受光素子12bの有効受光径は、開口部4bと同様にして決定する。
このように、光検出器12は、分離手段を構成するとともに、中心領域、外周領域にそれぞれ受光部を設けた例となっている。
【0034】
このような光検出光学系10によれば、結像光学系11を2枚構成とすることにより、2つのレンズにパワーが分散させることができる。そして各レンズに同傾向の色収差を持たせることにより、球面収差の発生量を少なくしつつ、2枚分の軸上色収差を同方向に発生させることができる。
例えば、後述する第2の数値実施例のレンズ構成により、波長λ=1550nm、波長λ=780nm、入射瞳径D=3mm、レンズ間距離を1mm、結像光学系11の合成焦点距離fを、f(1550nm)=15mm、f(780nm)=14.69mmとするとき、合成軸上色収差に対応してL=290μmとなり、スポット径ω、ωが、ω=1.3μm、ω=42.9μmとなる。したがって、d=10μmとすれば、十分良好な分離特性を得ることができる。
このように、2枚構成によりレーザ光6の結像性能を向上しつつ、第1の実施形態と略同等の軸上色収差を発生することができるものである。
【0035】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る光検出光学系について説明する。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る光検出光学系について説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。図4(a)、(b)は、それぞれ入射光が光軸を進む場合におけるC視およびD視の模式説明図である。
【0036】
本実施形態の光検出光学系20は、図3に示すように、第1の実施形態に係る光検出光学系1の結像レンズ2、光検出器4に代えて、結像光学系11、分離ミラー21(分離手段)、集光レンズ25、光検出器24(受光部)を備える。以下、第1、2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0037】
分離ミラー21は、分離ミラー本体22に光ファイバ23が一体に保持された部材である。
分離ミラー本体22は、側面の1つにレーザ光7を略すべて反射するミラー面22a(反射面)を備えた紙面垂直方向に延びる例えば三角柱状の部材であり、ミラー面22aの中央部に光ファイバ23を挿入する光ファイバ挿入孔22bが設けられている。
光ファイバ23は、結像面8A上に結像されたレーザ光6を光ファイバ端面23a上に結合して、不図示の光検出器や光伝送路などに導光するための受光部である。そして、光ファイバ挿入孔22bに挿入され、光ファイバ端面23aがミラー面22aよりわずかに突出する位置に固定されている。ただし、光ファイバ端面23aは、レーザ光6が光軸9に沿って入射するときにレーザ光6を光ファイバ23に略すべて光結合できれば、ミラー面22aよりも分離ミラー本体22の内側に位置していてもよい。
ここで、第1の実施形態の開口部4bの直径dに相当するのは、光ファイバ23のNAであったり、空間的に規定するコア径であったりする。その大きさは、開口部4bの直径と同様にして決定することができる。
【0038】
分離ミラー21は、光ファイバ端面23aが結像面8A上の光軸9近傍の中心領域に配置され、その外側に光軸9に沿って延びる外周領域に入射するレーザ光7を、ミラー面22aにより光軸9と交差する方向に反射するように配置されている。
【0039】
集光レンズ25は、ミラー面22aにより反射されたレーザ光7を集光して、光検出器24に照射されるスポットの大きさを一定もしくは可変できるようにするための正レンズである。
光検出器24は、集光レンズ25で集光されたレーザ光7を受光する受光部であり、例えば、図4(b)に示すように、PD24A、24B、24C、24DからなるQDを採用することができる。
そして、PD24A、24B、24C、24dが接するQDの検出中心位置がレーザ光7の軸上主光線が通るべき光路上に位置するように配置されている。
【0040】
このような光検出光学系20によれば、図4(a)に示すように、結像光学系11により結像面8Aに結像されたスポット6aは、光ファイバ端面23aを通して光ファイバ23に光結合される。
また、ミラー面22a上にスポット6aより大きな範囲に広がるスポット7bは、分離ミラー本体22の周りのミラー面22aにより光軸9に交差する方向に反射され(図3参照)、拡径しつつ集光レンズ25に入射する。そして、集光レンズ25により集光されて、光検出器24上にスポット7cとして受光される。
【0041】
この場合、レーザ光7はミラー面22aで反射して、レーザ光6の光路と分離し、分離したレーザ光7の光路中に光学素子等を配置するなど光路を自由に設定できるので、レーザ光7の受光位置や、スポット7cの大きさの設定自由度が高めることができるという利点がある。
例えば、レーザ光7の受光位置は、結像面8Bから離れるほど、レーザ光7の角度ずれを高感度に検出することができる。また、スポット7cは大きいほどQDによる位置検出分解能を向上することができる。
また、レーザ光7の受光位置に対するスポット7cの大きさは、集光レンズ25によっても容易に調整することができる。例えば、集光レンズ25の前側焦点位置を結像面8Bに合わせれば、レーザ光7を平行光とすることができるので、スポット径を変えずに、受光位置を可変することができ、位置検出感度を可変することができる。
【0042】
また、本実施形態では、レーザ光6の受光部を光ファイバ23とするので、レーザ光6の光検出部のレイアウトが容易となる。また、直接、他の光伝送路に導くこともできる。
また、光検出器24として開口部を有しない汎用的なQDを採用することができるので、部品コストを低減することができる。
また、ミラー面22aは、レーザ光6が光ファイバ23に光結合されて分離された後のレーザ光7のみを反射するので、単波長のみの反射膜コーティングにより形成でき、複数波長を分離するビームスプリッタなどと比べて安価な構成とすることができる。
【0043】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る光検出光学系について説明する。
図5は、本発明の第4の実施形態に係る光検出光学系について説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。
【0044】
本実施形態の光検出光学系30は、図5に示すように、第1の実施形態に係る光検出光学系1の結像レンズ2、光検出器4に代えて、結像光学系31、光ファイバ23、光検出器24を備える。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0045】
結像光学系31は、それぞれ同傾向の軸上色収差を有する第1レンズ31A、第2レンズ31Bからなる。そして、第1レンズ31Aにより中間像を形成し、第2レンズ31Bにより、その中間像をリレーして結像面8A、8Bに再結像するものである。
第1レンズ31A、第2レンズ31Bは、いずれも正パワーを有するレンズまたはレンズ群を採用することができるが、本実施形態では、非球面を有する両凸レンズを採用している。
【0046】
光ファイバ23は、レーザ光6を略すべて光結合できるように、光ファイバ端面23aがその中心を光軸9に一致させた状態で結像面8A上に設置される。そして光軸9に沿って延されて光検出器24の近傍で略L字状に屈曲され、光軸9に交差する方向に向けて配置される。
光ファイバ23は、本実施形態では、レーザ光6の受光部であるとともに分離手段を兼ねている。
【0047】
光検出器24は、QDの検出中心位置を光軸9上と一致させ、光ファイバ端面23aよりも後側の位置に配置されている。すなわち、光ファイバ端面23aを中心領域とすると、光検出器24はその外周領域に設けられている。
本実施形態では、光ファイバ23は、光検出器24の手前で屈曲されるので、光ファイバ23を配置するために光検出器24に穴などを設けなくてもよい。
【0048】
このような構成の光検出光学系30では、結像光学系31を用いるので、図5に示すように、レーザ光6は、第1レンズ31Aにより中間像面33に中間像を形成し、さらに第2レンズ31Bに入射することにより、結像面8Aに再結像される。また、レーザ光7は、同様にして、中間像面32に中間像を結像し、結像面8Bに再結像される。
このとき、いずれのレンズもレーザ光6の結像位置に対して、より短波長のレーザ光7の結像位置が物体側にずれるような傾向の軸上色収差を有する。そのため、中間像面33が中間像面32よりも物体側に距離Lだけずれ、そのずれた結像位置から第2レンズ31Bの軸上色収差に応じて再結像されるので、結像面8Bは、結像面8Aよりも物体側に距離L(ただし、L>L)だけずれる。
例えば、後述する第3の数値実施例のレンズ構成により、波長λ=1550nm、波長λ=780nm、入射瞳径D=3mm、結像光学系31の合成焦点距離fをf(1550nm)=15mm、f(780nm)=12.86mmとするとき、合成軸上色収差に対応してL=1300μmとなり、スポット径ω、ωが、ω=0.006μm、ω=223.4μmとなる。したがって、スポット径ω、ωの差がきわめて大きく、d=10μmとした場合、ω/d=22.3となるため、非常に良好な分離特性を得ることができる。
また、dは、1μm〜55μmの間で変えても、ω/d≧4を満足するため、十分良好な分離性能を得ることができる。
【0049】
本実施形態では、中間像をリレーしているので、中間像を形成しない光学系に比べて、軸上色収差の大きさの割に球面収差の劣化が少ない結像光学系とすることができるという利点がある。
そのため中間像の形成回数を3回、4回、…などの多数回としてもよく、その場合、球面収差の劣化が少ない状態で、レーザ光6、7の間にさらに大きなスポット径の差を設けることができ、分離特性を向上することができる。
なお、第1レンズ31A、第2レンズ31Bの具体的な設計では、情報を含む信号光であるレーザ光6の波長λにおいて、光学パラメータを最適設計し、中間像をリレーする場合にレーザ光6の収差の劣化が少なくなるようにすることが好ましい。
【0050】
このようにして、結像面8Aに再結像されたレーザ光6は、光ファイバ端面23aに入射し、光ファイバ23に光結合される。
一方、レーザ光7は、結像面8B上に結像され、拡径しつつ距離Lだけ進んで結像面8A上に至る。光軸近傍の光束の一部が光ファイバ端面23aに入射するものの大部分が光ファイバ23の外周側を通って後方の光検出器24上に照射され、光検出器24により受光される。このようにして、レーザ光6とレーザ光7とが実質的に分離される。
【0051】
この場合、光検出器24を結像面8Aの後方に配置するので、光検出器24上のレーザ光7のスポット径を第1〜第3の実施形態の場合に比べて大きくすることができ、位置検出精度が高精度となり、検出範囲を広げることができるという利点がある。
また、レーザ光7のスポット径が大きいため、光検出器24の近傍で光ファイバ23が横断しても光量損失が少なくなる。そのため位置検出精度を損なうことなく、また光検出器24に穴をあけることなく、光ファイバ23を配置することが可能となるという利点がある。
【0052】
次に本実施形態の第1変形例について説明する。
本変形例は、上記実施形態の結像光学系31の、第1レンズ31A、第2レンズ31Bを、不図示のズーム鏡枠に保持し、それらの少なくともいずれかの光軸方向の位置を可変できるようにしたものである。
図6(a)、(b)、(c)は、本発明の第4の実施形態の第1変形例に係る光検出光学系に用いる結像光学系のNAをそれぞれ0.12、0.1、0.08に変化させたときの光路説明図である。
【0053】
本変形例の結像光学系31によれば、第1レンズ31A、第2レンズ31Bを光軸方向に可動に支持するので、結像光学系31のNAを可変することができる。
例えば、図6(a)には、第1レンズ31Aと第2レンズ31Bのレンズ間隔をD1a、第2レンズ31BのバックフォーカスをD2aとすることにより、最終像面である結像位置31aでのNAがNA=0.12である場合の光路を示した。
そして、図6(b)に示すように、第2レンズ31Bを物体側に移動して、レンズ間隔をD1b<D1aとすることにより、最終像面を結像位置31aより後側の結像位置31bに移動させることができる。そのため、図6(b)では、結像位置31bでのNAは、NA=0.1となっている。同様に、図6(c)に示すように、レンズ間隔をD1c<D1bとすることで、結像位置31cでのNAをNA=0.08とすることができる。
【0054】
したがって、光ファイバ23として、NAの異なる光ファイバに切り替えたり、交換したりする場合でも、それぞれのNAに合わせて、結像光学系31のNAを可変できるものである。したがって、光ファイバのNAが小さい場合でも、情報の欠落を起こすことなく光検出を行うことができる。
【0055】
次に、本発明の第4の実施形態の第2変形例について説明する。
図7は、本発明の第4の実施形態の第2変形例の光検出光学系について説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。
【0056】
本変形例の光検出光学系40は、第3の実施形態の光検出光学系20と同様に分離手段によりレーザ光6、7の光路の方向を分離するようにした例である。
光検出光学系40は、上記第4の実施形態の光検出光学系30の分離手段として、分離プリズム41を追加し、分離プリズム41と光検出器24との間の光路中に集光レンズ43を配置したものである。以下、上記実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0057】
分離プリズム41は、分離プリズム本体42に光ファイバ23が一体に保持された部材である。
分離プリズム本体42は、光ファイバ23を光軸9上に保持するための光ファイバ挿入孔42dを内部に設けた、例えば略三角柱状のプリズムである。そしてその三角柱の側面に、光ファイバ挿入孔42dに略直交する光透過性の入射面42aと、光ファイバ挿入孔42dに斜めに交差して内部反射可能とされた内部反射面42bと、内部反射面42bで内部反射された光を外部に透過させる光透過性の出射面42cとが形成されている。
光ファイバ23は、内部反射面42b側から挿入され、光ファイバ端面23aが入射面41aの近傍に位置するように保持されている。
内部反射面42bは、反射膜コーティングにより形成することができるが、配置角度を適宜設定して全反射面を形成すればより好ましい。この場合、反射膜コーティングを省略できるので、より安価な装置とすることができる。
【0058】
集光レンズ43は、分離プリズム41から射出されたレーザ光7を集光して光検出器24上に導く光学系である。本実施形態では、レーザ光7の光検出器24上での移動量を低減するためにスポット径を縮径するようにしているが、必要に応じて第3の実施形態の集光レンズ25のように略平行光としてもよい。
【0059】
このような構成により、レーザ光6は、光ファイバ端面23aに略すべて入射して光ファイバ23に光結合される。また、レーザ光7は、結像面8Aの近傍の入射面41a上では光ファイバ端面23aの外周領域に拡径した状態となって、入射面41aに入射し、光ファイバ23の外周側を光軸9に沿って進んで、内部反射面41bにより内部反射され、出射面41cから外部に射出され、集光レンズ43により集光されて光検出器24により受光される。
【0060】
本変形例によれば、上記第4の実施形態と同様に、レーザ光7を結像面8Aよりも後方で受光するとともに、集光レンズ43を配置してレーザ光7の移動量やスポット径を調整できるので、位置検出条件の調整が容易となるという利点がある。
また、分離プリズム41の内部反射面42bにより、外周領域の光路を折り曲げてレーザ光7の光路を変えるので、光ファイバ23、集光レンズ43、光検出器24の配置が容易となるという利点がある。
また、レーザ光7の光路を折り返す際、内部反射面を用いるので、第3の実施形態のように表面ミラーを用いる場合に比べて、取り扱い、経時変化、環境変化などによる反射率の変化が起こりにくい構成とすることができるという利点がある。
【0061】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係る光学システムについて説明する。
図8は、本発明の第5の実施形態に係る光学システムについて説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。
【0062】
本実施形態の空間光通信装置100(光学システム)は、図8に示すように、結像光学系31と光検出器12とを組み合わせた光検出光学系50を備える光学システムの一例である。
空間光通信装置100は、信号光として変調された情報信号を含むレーザ光6と、補助検出光としてレーザ光6の送光方向を追尾するためのレーザ光7を受光し、レーザ光6を受光して情報信号200として外部に送出するとともに、レーザ光7を受光して位置検出信号201を検出し、レーザ光6を追尾するための装置である。レーザ光6、7の波長は、例えば、それぞれ1550nm、780nmのように異なる波長とされる。
そして、光検出光学系50の他に、レーザ光6、7を受光するとともに通信光を送光する送受光光学系51と、レーザ光7の入射方向を相対的に大きな角度範囲で検出する粗追尾光検出機構54と、装置本体を可動に保持する回動支持台56と、送受光光学系51を透過したレーザ光6、7の入射方向ずれを補正する回動ミラー52と、回動ミラー52の偏向制御を行う精追尾制御部55と、回動ミラー52で反射された光路を粗追尾光検出機構54と光検出光学系50とに分岐する光分岐手段53とを備える。
【0063】
空間光通信装置100によれば、レーザ光6、7が略平行光として入射されると送受光光学系51により角倍率が変換され、回動ミラー52により偏向され、光分岐手段53により分岐されて一部が粗追尾光検出機構54に入射し、レーザ光7の位置ずれ量が検出される。その検出信号により回動支持台56が駆動されて、レーザ光6、7が概略光軸に沿って入射するように粗追尾される。
その状態で、光分岐手段53を透過した光は、結像光学系31により波長ごとに集光され、光検出器12によりレーザ光6、7がそれぞれ分離される。
光検出部4a(図2参照)に入射したレーザ光7により光軸からの位置ずれ量が検出され、位置検出信号201として精追尾制御部55に送られ、レーザ光7が光軸に沿うように回動ミラー52の回動角度が制御される。
このとき、レーザ光7と同軸に入射するレーザ光6が光軸に沿って進み、光検出器12の受光素子12b(図2参照)に略すべて入射する状態となる。そのため、入射したレーザ光6を光量損失なしに受光され情報信号200が検出される。
【0064】
このように、空間光通信装置100では、光検出光学系50のような簡素な構成の分離手段により効率的に、レーザ光6、7を分離してそれぞれの光検出を行うことができる。
【0065】
[第6の実施形態]
本発明の第6の実施形態に係る光学システムについて説明する。
図9は、本発明の第6の実施形態に係る光学システムについて説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。
【0066】
本実施形態の顕微鏡110(光学システム)は、図9に示すように、光検出光学系50を備える光学システムの一例である。
顕微鏡110は、それぞれ異なる波長を有する第1波長光60(波長λ)、第2波長光70(波長λ。ただし、λ>λ)を対物光学系59を介して載置台57上の被検物58に落射照明し、その反射光を光分岐手段61により光路分岐して光検出光学系50に入射せしめ、第1波長光60、第2波長光70をそれぞれ分離して光検出できるようにしたものである。
【0067】
不図示の光源から適宜の光学系を介して略平行光とされた第1波長光60、第2波長光70は、被検物58上の略同一の観察範囲に対物光学系59を介して照明される。その反射光は、対物光学系59により集光され、略平行光として光分岐手段61により反射され、結像光学系31に入射する。
そして、結像光学系31の色収差に応じて、第1波長光60は、光検出器12の受光素子12b(図2参照)上に結像され、第2波長光70は、光検出器12の光検出部4a(図2参照)で受光され、被検物58の凹凸など光軸方向高さやフォーカス情報を含む情報信号200を検出する。
このとき、被検物58の反射面に微小な傾斜があると、第1波長光60の結像位置がずれて第1波長光60による凹凸などの検出精度が劣化してしまうが、光検出器12により第2波長光70位置ずれ量を位置検出信号201として検出することにより、被検物58の微小な傾きを位置検出信号201として検出することができる。そのため、位置検出信号201に基づいて不図示のモニタ上に傾き量を表示したり、載置台57の姿勢を自動制御したりして、第1波長光60の受光位置を最適化する操作や制御を行うことができ、簡素な構成により高精度の顕微鏡観察を行うことができる。
【0068】
[第7の実施形態]
本発明の第7の実施形態の光学システムについて説明する。
図10は、本発明の第7の実施形態に係る光学システムについて説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。
【0069】
本実施形態の光ピックアップ120(光学システム)は、図10に示すように、光検出光学系50を備える光学システムの一例である。
光ピックアップ120は、2波長レーザ64により発生するそれぞれ異なる波長を有する第1波長光60(波長λ)、第2波長光70(波長λ。ただし、λ>λ)をコリメートレンズ63により平行光として、対物レンズ62により光ディスク65に照射し、光ディスク65により反射された光を光分岐手段61により分岐して、光検出光学系50に導いて、光検出を行うものである。
第1波長光60は、対物レンズ62により微小スポットに結像され、光ディスク上のピットの有無を検出する信号光である。
第2波長光70は、同じく光ディスク65の傾きやオフセット調整量を検出するための補助検出光である。
【0070】
光ピックアップ120は、第1波長光60を光検出器12の受光素子12b(図2参照)で受光して情報信号200を検出する。そして第2波長光70を光検出器12の光検出部4a(図2参照)で受光して光ディスク65の傾きやオフセット量などの情報を検出し、位置検出信号201を出力する。そして、位置検出信号201が光ピックアップ120の姿勢制御を行う不図示の制御部に入力され、第1波長光60が最適の状態で検出されるように光ピックアップ120の姿勢制御を行うことができる。
【0071】
なお、上記の説明では、分離手段が複数の入射光の1つを開口部や光ファイバで透過させる例で説明したが、分離手段は複数の入射光の1つと他とを分離できればよく、例えば、外周領域の複数の入射光の他を透過し、中心領域の複数の入射光の1つを略すべて反射したり屈折させたりすることにより、それぞれを分離してもよい。
【0072】
また、上記の説明では、中心領域の分離位置が複数の入射光の1つの結像位置に略一致する例で説明したが、中心領域の大きさを大きくしても複数の入射光の他のスポット径が大きいために良好な分離特性が得られるならば、中心領域を光軸方向にずらして結像位置の近傍に設けてもよい。
【0073】
また、上記の説明では、中心領域に入射する複数の波長光の1つが像側の結像位置に結像する例で説明したが、スポット径の差が生じるのは、物体側の結像位置でも同様であるから、物体側の結像位置に結像する波長光を中心領域で分離してもよい。
【0074】
また、上記の説明では、入射光が単波長光の例で説明したが、入射光が狭帯域光である場合でも、帯域中心波長光が上記単波長光に相当するとして、容易に理解される。
【0075】
また、上記の説明では、入射光が異なる2つの波長を有する場合の例で説明したが、入射光の波長は3つ以上であってもよい。
その場合、例えば、入射光の波長の1つと入射光の波長の他を上記の説明のように分離して、入射光の波長の他同士を例えば波長フィルタなどの他の分離手段により分離することができる。
【0076】
また、上記の説明では、結像光学系が球面レンズの組合せの例で説明したが、軸上色収差を有する光学系であれば、各光学素子は、どのような光学素子でもよい。例えば、非球面レンズを備えるようにすれば、球面収差を向上することができるので、光検出精度を向上することができる。
【0077】
また、上記の説明では、位置検出を行う受光部として、QDを用いた例で説明したが、このような受光部はQDに限定されるものではない。例えば、2分割PDやCCDなどでもよい。
【0078】
また、上記第4の実施形態の説明では、結像光学系のNAが可変とされた例で説明したが、NAを可変する必要がなければ、中間像を有する場合でもレンズ間距離を固定しておいてもよい。
【0079】
また、上記の説明では、分離手段を配置する中心領域が、結像スポット径よりもわずかに大きい場合の例で説明したが、複数の入射光の他のスポット径に十分大きければ、中心領域に設ける例えば開口部などの分離手段の大きさを複数の入射光の1つの結像スポット径に比べて十分大きくしてもよい。この場合、複数の入射光の1つがある程度位置ずれしても略すべて分離されるから、入射光の入射位置ずれ範囲の許容値を広げることができるという利点がある。
【0080】
また、上記の第5〜第7の実施形態の説明では、光検出光学系として光検出光学系50を用いた例で説明したが、上記第1〜第4の実施形態およびそれらの構成を適宜組み合わせた構成を必要に応じて採用することができる。
【0081】
また、上記に説明したすべての実施形態は、本発明の技術的思想の範囲で、適宜組合せを変えたり、複合させたりするなどの変形を施して実施することができる。
【実施例1】
【0082】
次に、上記に説明した第1の実施形態の結像レンズ2用いた光検出光学系1(図1(a)参照)の実施例である第1の数値実施例について説明する。
下記に第1の数値実施例の、光学系の構成パラメータを示す。図1に表記されたr、d(iは整数)は、下記に示す光学系の構成パラメータのr、dに対応する。また屈折率については、d線(波長587.56nm)に対するものを表記している。これらの表記は以下の参照図面すべてに共通である。
以下に示す構成パラメータにおいて、長さの単位は(mm)である(他の実施例も同様)。
【0083】
面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
物体面 ∞ ∞
1 絞り面 d1 = 0.00
2 7.51 d2 = 2.00 n1 = 1.5168 ν1 = 64.1
3 ∞ d3 = 13.58
像 面 ∞ d4 = 0.00
【0084】
本実施例における焦点距離、スポット径、距離Lなどの値は、上記第1の実施形態に記載した通りである。
【実施例2】
【0085】
次に、上記に説明した第2の実施形態の結像光学系11を用いた光検出光学系10(図2(a)参照)の実施例である第2の数値実施例について説明する。下記にこの光学系の構成パラメータを示す。
【0086】
面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
物体面 ∞ ∞
1 絞り面 d1 = 0.00
2 16.61 d2 = 2.00 n1 = 1.5168 ν1 = 64.1
3 -123.00 d3 = 1.00
4 8.62 d4 = 2.00 n2 = 1.5168 ν2 = 64.1
5 19.15 d5 = 12.12
6 ∞ d6 = 0.00
像 面 ∞ d7 = 0.00
【0087】
本実施例における焦点距離、スポット径、距離Lなどの値は、上記第2の実施形態に記載した通りである。
【実施例3】
【0088】
次に、上記に説明した第4の実施形態の結像光学系31を用いた光検出光学系30(図5参照)の実施例である第3の数値実施例について説明する。下記にこの光学系の構成パラメータを示す。
【0089】
本実施例で非球面形状の定義式に用いる座標系は、光線追跡において、開口絞り3の中心を結像光学系の原点Oとして、光軸9に沿う方向をZ軸方向とし、物体側から像側に向かう方向をZ軸正方向とし、紙面をY−Z平面とし、紙面の表から裏へ向かう方向をX軸正方向とし、X軸、Z軸と右手直交座標系を構成する軸をY軸とする。
本実施例に用いる非球面の形状は、このようなXYZ直交座標系を用いて、以下の定義式(a)で与えられる回転対称非球面である。
【0090】
【数1】

【0091】
ここで、h=√(X2 +Y2 )であり、cは頂点の近軸曲率半径、kはコーニック定数(円錐定数)、A、B、C、D、…はそれぞれ4次、6次、8次、10次、…の非球面係数である。この定義式のZ軸が回転対称非球面の軸となる。
また、下記に記載のない係数は0である。
【0092】
面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
物体面 ∞ ∞
1 絞り面 d1 = 0.00
2 非球面[1] d2 = 3.50 n1 = 1.7340 ν1 = 51.0
3 非球面[2] d3 = 5.20
4 非球面[3] d4 = 4.00 n2 = 1.6050 ν2 = 50.4
5 非球面[4] d5 = 9.81
像 面 ∞ d6 = 0.00

非球面[1]
c 4.06
k -3.3660x10-1
A -8.4900x10-4 B -4.7770x10-5 C -4.9590x10-6 D 3.3740x10-9
非球面[2]
c -16.89
k 0.00
非球面[3]
c 2.30
k -4.5111
A 4.7980x10-3 B -1.1410x10-3 C 3.1600x10-4 D -2.2580x10-5
非球面[4]
c -2.32
k -8.1900x10-1
A 6.9970x10-3 B 4.9260x10-4 C -1.6460x10-4 D 2.7460x10-5
【0093】
本実施例における焦点距離、スポット径、距離Lなどの値は、上記第4の実施形態に記載した通りである。
【実施例4】
【0094】
次に、上記に説明した第4の実施形態の結像光学系31を可動とした第1変形例(図6参照)の実施例である第4の数値実施例について説明する。下記にこの光学系の構成パラメータを示す。
【0095】
面番号 曲率半径 面間隔 偏心 屈折率 アッベ数
物体面 ∞ ∞
1 絞り面 d1 = 0.00
2 非球面[1] d2 = 3.50 n1 = 1.7340 ν1 = 51.0
3 非球面[2] D(可変)
4 非球面[3] d4 = 4.00 n2 = 1.6050 ν2 = 50.4
5 非球面[4] D(可変)
像 面 ∞ d6 = 0.00

非球面[1]
c 4.05
k -3.3660x10-1
A -8.4900x10-4 B -4.7770x10-5 C -4.9590x10-6 D 3.3740x10-9
非球面[2]
c -17.92
k 0.00
非球面[3]
c 2.34
k -4.5111
A 4.7980x10-3 B -1.1410x10-3 C 3.1600x10-4 D -2.2580x10-5
非球面[4]
c -2.27
k -8.1900x10-1
A 6.9970x10-3 B 4.9260x10-4 C -1.6460x10-4 D 2.7460x10-5
【0096】
本実施例における焦点距離、スポット径、距離Lなどの移動位置ごとの値は、下表に示す通りである。ここで、距離Lは、図6に示していないが、図5と同様に定義される。
【0097】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光検出光学系について説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図、および入射光の照射される様子を説明するためのA視の模式説明図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る光検出光学系について説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図、および入射光の照射される様子を説明するためのB視の模式説明図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る光検出光学系について説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。
【図4】入射光の照射される様子を説明するための図3のCおよびD視の模式説明図である。
【図5】本発明の第4の実施形態に係る光検出光学系について説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。
【図6】本発明の第4の実施形態の第1変形例に係る光検出光学系に用いる結像光学系のNAを変化させたときの光路説明図である。
【図7】本発明の第4の実施形態の第2変形例の光検出光学系について説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係る光学システムについて説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。
【図9】本発明の第6の実施形態に係る光学システムについて説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。
【図10】本発明の第7の実施形態に係る光学システムについて説明するための光軸を含む断面の模式的な光路説明図である。
【符号の説明】
【0099】
1、10、20、30、40、50 光検出光学系
2 結像レンズ(結像光学系)
4、12 光検出器(分離手段)
4a 光検出部(受光部)
4b 開口部
6a、7a スポット
5、24 光検出器(受光部)
6 レーザ光(複数の入射光の1つ)
7 レーザ光(複数の入射光の他の1つ)
8A、8B 結像面
9 光軸(結像光学系の光軸)
11、31 結像光学系
11A、31A 第1レンズ
11B、31B 第2レンズ
12b 受光素子(受光部)
21 分離ミラー(分離手段)
22a ミラー面
23 光ファイバ(受光部)
23a 光ファイバ端面
25、43 集光レンズ
32、33 中間像面
31a、31b、31c 結像位置
41 分離プリズム(分離手段)
42b 内部反射面
55 精追尾制御部
60 第1波長光(複数の入射光の1つ)
70 第2波長光複数の入射光の他の1つ)
100 空間光通信装置(光学システム)
110 顕微鏡(光学システム9
120 光ピックアップ(光学システム)
200 情報信号
201 位置検出信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長の異なる複数の入射光をそれぞれ略光軸上で異なる位置に結像する軸上色収差を有する結像光学系と、
該結像光学系による前記複数の入射光の1つの結像位置近傍において、略前記光軸上に結像する前記複数の入射光の1つを略すべて入射する中心領域と該中心領域の外側に広がる外周領域との間で、前記複数の入射光を互いに分離する分離手段と、
該分離手段により分離された光を、光検出するためにそれぞれ受光する複数の受光部とを備えることを特徴とする光検出光学系。
【請求項2】
前記結像光学系が、
パワーを有する少なくとも2つの光学素子を備え、
該少なくとも2つの光学素子が、それぞれ同傾向の軸上色収差を有することを特徴とする請求項1に記載の光検出光学系。
【請求項3】
前記結像光学系が、少なくとも1つの中間像を形成することを特徴とする請求項2に記載の光検出光学系。
【請求項4】
前記少なくとも2つの光学素子のうち少なくとも1つの光学素子の光軸方向の位置が可変とされたことを特徴とする請求項2または3に記載の光検出光学系。
【請求項5】
前記分離手段が、前記中心領域に、前記複数の入射光の1つを略すべて透過させる大きさを有する開口部からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光検出光学系。
【請求項6】
前記分離手段の前記中心領域が、前記複数の入射光の1つを略すべて光結合する光ファイバ端面からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光検出光学系。
【請求項7】
前記分離手段が、前記外周領域に、前記複数の受光部の1つとして、前記外周領域に入射する光の位置検出を行う位置検出器を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光検出光学系。
【請求項8】
前記分離手段が、前記中心領域または前記外周領域に入射する光を前記結像光学系の光軸方向と異なる方向に反射する反射面を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光検出光学系。
【請求項9】
前記分離手段が、前記中心領域に入射する光の受光部を有する屈折率1以上の媒質からなるプリズムであり、
前記反射面が、前記プリズムの内部反射面であることを特徴とする請求項8に記載の光検出光学系。
【請求項10】
複数の入射光として、情報を伝達する信号光と、該信号光と同軸に入射され異なる波長を有する補助検出光とを受光する請求項1〜9のいずれかに記載の光検出光学系を有する光学システムであって、
前記信号光が前記複数の入射光の1つであり、
前記補助検出光が前記複数の入射光の他であり、
前記補助検出光を受光する受光部の検出信号に応じて、前記信号光の相対的な入射状態を制御するようにしたことを特徴とする光学システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−140013(P2007−140013A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−332467(P2005−332467)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】