説明

光沢付与装置、画像形成装置及び後処理装置並びに画像形成システム

【課題】ブリスタの影響を受けずに高品位な、高光沢画像が得られる光沢付与装置、画像形成装置及び後処理装置並びに画像形成システムを提供する。
【解決手段】加熱部材を有する第1ローラと、該第1ローラに対して記録材の搬送方向下流側に位置する第2ローラと、前記第1及び第2ローラに張架されたベルト部材と、前記ベルト部材を介して前記第1ローラに対して加圧する第3ローラと、を有し、前記記録材を、前記ベルト部材及び前記第3ローラの間で加熱及び加圧後に、前記記録材の画像形成面が前記ベルト部材に密着するように搬送する光沢付与装置において、前記ベルト部材には、複数の貫通穴を設け、該貫通穴内面に離型剤を塗布したことを特徴とする光沢付与装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光沢付与装置及び該光沢付与装置を有する後処理装置又は画像形成装置、並びに画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光沢を付与する装置として、例えば、特許文献1に記載のように、使用する普通記録紙の両面にトナー受像層等の透気性の低い樹脂層を形成した受像記録紙(一般には光沢記録紙とも言う)を用いるものが知られている。この方法は、光沢記録紙を加熱及び加圧することで軟化した受像層にトナー画像を埋め込み、光沢記録紙表面の段差を低減させ、表面に光沢を与えるものである。一方、光沢記録紙を加熱すると、光沢記録紙に含まれる水分や気体が膨張し、加熱されて軟化した樹脂層の表面を突き破ったり膨らませたりしてしまう、いわゆるブリスタという現象が発生する。このブリスタを抑制するため、記録紙の樹脂層に穴または溝を形成する手段が、特許文献1では提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−52248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のように、ブリスタを抑制するために、記録紙に穴または溝を形成するのでは、光沢画像品位が損なわれてしまう問題が有る。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、光沢記録紙だけでなく、普通記録紙(以降、光沢記録紙と普通記録紙を合わせて記録材とする)でもブリスタの影響を受けずに高品位な、高光沢画像が長期にわたり得られる光沢付与装置、画像形成装置及び後処理装置並びに画像形成システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、下記の構成により達成される。
【0007】
1.加熱部材を有する第1ローラと、
該第1ローラに対して記録材の搬送方向下流側に位置する第2ローラと、
前記第1及び第2ローラに張架されたベルト部材と、
前記ベルト部材を介して前記第1ローラに対して加圧する第3ローラと、を有し、
前記記録材を、前記ベルト部材及び前記第3ローラの間で加熱及び加圧後に、前記記録材の画像形成面が前記ベルト部材に密着するように搬送する光沢付与装置において、
前記ベルト部材には、複数の貫通穴を設け、該貫通穴内面に離型剤を塗布したことを特徴とする光沢付与装置。
【0008】
2.前記第1ローラの下流側に、冷却部材を有することを特徴とする前記1に記載の光沢付与装置。
【0009】
3.前記ベルト部材は、金属、樹脂のいずれかで形成されていることを特徴とする前記1又は2に記載の光沢付与装置。
【0010】
4.前記ベルト部材は、無端状ベルトであることを特徴とする前記1から3までのいずれか一項に記載の光沢付与装置。
【0011】
5.前記ベルト部材は、元巻きローラに長尺で巻かれ、巻き取りローラに巻き取られる連続シートであることを特徴とする前記1から3までのいずれか一項に記載の光沢付与装置。
【0012】
6.前記ベルト部材の、前記記録材の前記画像形成面に対向する領域面に、離型剤を塗布したことを特徴とする前記1から5までのいずれか一項に記載の光沢付与装置。
【0013】
7.記録材に画像を形成するトナー像形成部と前記1から6までのいずれか一項に記載の光沢付与装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【0014】
8.有色のトナーによるトナー像を形成する有色トナー像形成部と、透明のトナーによるトナー像を形成する透明トナー像形成部と、を有することを特徴とする前記7に記載の画像形成装置。
【0015】
9.記録材に画像を形成する画像形成装置への接続部を有し、前記1から6までのいずれか一項に記載の光沢付与装置を有することを特徴とする後処理装置。
【0016】
10.透明のトナーによるトナー像を形成するトナー像形成部を有することを特徴とする前記9に記載の後処理装置。
【0017】
11.記録材に画像を形成する画像形成装置と前記9又は10に記載の後処理装置を有することを特徴とする画像形成システム。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ブリスタの影響を受けずに高品位な、高光沢画像が長期にわたり得られる光沢付与装置、画像形成装置及び後処理装置並びに画像形成システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る光沢付与装置を示す図である。
【図3】本発明のベルト部材の貫通穴を示す図である。
【図4】透気度の低いベルトでのブリスタ発生モデルを示す図である。
【図5】本発明の貫通穴ベルト部材でのブリスタ抑制モデルを示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る光沢付与装置を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る画像形成装置システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施の形態により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る光沢付与装置40を備えた画像形成装置100の構成を示した図である。この画像形成装置100の構成は少なくとも、給紙部1と、トナー像形成部2と、光沢付与装置40とを有する。
【0022】
給紙部1は複数のトレイ11と、複数の送り出しローラ12と、複数の搬送ローラ13と、レジストローラ14とを備える。トレイ11は決められたサイズの記録材をそれぞれ収容しており、制御部80からの指示に応じて定められたトレイ11の送り出しローラ12を作動させ、記録材を供給する。なお、普通記録紙だけでなく、光沢記録紙を供給する場合もトレイ11を利用する。搬送ローラ13はトレイ11より送り出しローラ12により送り出された記録材をレジストローラ14まで搬送する。レジストローラ14は記録材がトナー像形成部2に供給されるタイミングを調整する。
【0023】
トナー像形成部2は、中間転写体を用いた、タンデム方式のカラー画像形成装置を示している。中間転写体である転写ベルト20の周縁部には、有色であるイエローY、マゼンタM、シアンC、黒Kの有色トナー像形成部、および透明であるクリアトナーTの透明トナー像形成部から成る5組のプロセスユニット21Y〜プロセスユニット21Tが設けられている。各プロセスユニット21Y〜プロセスユニット21Tでは、それぞれY、M、C、K、およびTのトナー像が形成され、転写ベルト20の上に重ね合わせて転写される。転写されたトナー像は、レジストローラ14によりタイミングが調整された記録材上に一括転写される。クリアトナーTは、特に高光沢を必要とする画像へ光沢を持たせるために選択され、各色のトナーY、M、C、Kにて形成されたトナー像を含む記録材全面、またはトナー像のない非画像部に選択的に形成し、本発明の光沢付与装置40を通過することで高光沢の画像を得ることができる。なお、本願においては、各色のトナーY、M、C、K及びクリアトナーTの少なくとも1つが記録材に載せられた状態をトナー像と称している。
【0024】
5組のプロセスユニット21Y〜プロセスユニット21Tは何れも共通した構造となっているので、その任意の1組に関して説明する。像形成体である感光体ドラム211は、表面に光導電層の形成された像担持体であり、図示せぬ駆動装置により図中矢印A方向に回転される。帯電器212は感光体ドラム211表面に均一に電荷を与え、一様に帯電させる。露光器213はレーザーダイオード等のビーム発光源を備え、帯電された感光体ドラム211表面にビーム光を照射することで照射部分の電荷を消失させ、各色の画像データに応じた静電潜像を形成する。
【0025】
現像部214はYのトナーを収容しY画像データに応じたトナーを感光体ドラム211に供給して感光体ドラム211表面の静電潜像からYのトナー像を作像する。M、C、Kの各色トナーについても同様である。ここで、クリアトナーTを収容したプロセスユニット21Tは、制御部80により、光沢画像を得る場合には非画像部にのみクリアトナーTの静電潜像を作成し、光沢画像を得る必要がない場合にはクリアトナーTの静電潜像を作成しないように制御される。また、光沢画像を得る場合には記録材全面にクリアトナーTの静電潜像を作成することによっても同様の効果を得ることができる。一次転写ローラ215は転写ベルト20を介して感光体ドラム211と対向し、感光体ドラム211上のトナー像を転写ベルト20に転写する。
【0026】
転写ベルト20は無端のベルトであり、駆動ローラ201と、複数のテンションローラ202とにより張架されている。転写ベルト20は、図示せぬ駆動装置により図中矢印B方向に回転され、転写されたトナー像を二次転写ローラ203により、給紙部1から供給された記録材に転写する。トナー像が転写された記録材は、光沢付与装置40へ搬送され光沢が付与された光沢画像として排紙される。
【0027】
なお、光沢が不要な場合は、図示せぬ操作部での無光沢選択にもとづき、搬送切り替え部31により定着ユニット30への搬送路に切り替え、光沢付与装置40を通過すること無く記録材を定着し排出する。
【0028】
ここで、光沢付与装置40について図2を参照しながら説明する。光沢付与装置40は、第1ローラ41と、第2ローラ45と、第3ローラ42と、ベルト部材43と、複数の冷却部材44と、クリーニングローラ47a、bとを備える。ベルト部材43は第1ローラ41と、第1ローラ41の記録材搬送方向下流側に位置する第2ローラ45と、に張架され第1ローラ41の回転に伴い移動する。
【0029】
第1ローラ41は、熱伝導性の高い金属製の芯金に厚さ30μm程度のフッ素樹脂チューブ等からなる離型層を有し、芯金の内部にハロゲンランプ等の加熱部材である複数のヒータを備えた熱源411を備える。第1ローラ41は図示せぬ駆動装置によって図中C方向に回転されるとともに、その表面が所定の温度となるように熱源411により加熱され、温度検知センサー412により制御される。
【0030】
第3ローラ42は、熱伝導性の高い金属芯金の周囲にゴム硬度(JISA)32°程度のシリコーンゴム等からなる弾性体層を被覆してあり、その表面には第1ローラ41と同様の離型層が形成されている。第3ローラ42は図示せぬ駆動装置によって図中D方向に回転される。また、第1ローラ41に押圧しシリコーンゴム等の弾性層でニップ幅10mm以上を確保している。
【0031】
トナー像が転写された記録材は、第1ローラ41と第3ローラ42間のニップを通過することで、記録材上のトナー像は熱と圧力により軟化し、ベルト部材43表面に密着した状態で記録材に定着される。
【0032】
冷却部材44は、第1ローラ41の下流側にある第2ローラ45との間で、ベルト部材43の記録材面に複数設置され、密着状態にあるベルト部材43及び記録材の熱を放熱し、冷却する。さらに、第3ローラ42は構造上熱容量が高く、規定の温度以上になるとブリスタが発生するため、ファンやコンプレッサーなどの適切な冷却部材44で冷却する。
【0033】
ベルト部材43と密着状態にあるトナー像が定着された記録材は、冷却部材44により冷却されながらベルト部材43の移動と共に搬送される。この間に記録材上のトナー像は高い平滑度を有するベルト部材43の表面に倣って固化された状態で排紙されるので、平滑なトナー表面となった光沢面を得る事が出来る。冷却部材44は例えば、第2ローラ45の直前でベルト温度が約50℃となるのに必要な容量を配置する。
【0034】
ベルト部材43の定着距離、すなわち第1ローラ41から第2ローラ45に至るまでの、記録材の画像形成面がベルト部材43と密着状態にある距離は、一例として500mm程度である。
【0035】
第2ローラ45はベルト部材43を第1ローラ41と共に張架することで、ベルト部材43の移動に従動して回転する。第2ローラ45により、記録材は記録材自体の剛性と、ベルト部材43に与えられた曲率によって、ベルト部材43から自然に剥離する。第2ローラ45は、直径が20mm程度のアルミ材金属ローラにゴム層を5mm被覆させてあり、第2ローラ45の表面には、第1ローラ41及び、第3ローラ42と同様なフッ素樹脂チューブ等からなる離型層が形成されている。
【0036】
クリーニングローラ47a、bは、ベルト部材43の貫通穴内で固化し第2ローラ45や第1ローラ41表面に移ったトナーや樹脂類を除去する。このクリーニングローラ47a、bは、クリーニングシート471a、bを第2ローラ45と第1ローラ41の回転に合わせて移動させることで、第2ローラ45と第1ローラ41表面を清掃する。
【0037】
ここで、ベルト部材43について説明する。ベルト部材43の素材としては、厚さ60μmのポリイミド(PI)材をベースに、幅500mm、ベルト径500mmの無端ベルトを用いる。このベルト部材43に内面の開口部の径50μm、記録材と接する表面の開口部の径40μmの貫通穴を、2個/cmの密度でレーザー加工により生成する。
【0038】
複数の貫通穴が生成されたベルト部材43は、離型剤を貫通穴内部と、記録材と接する表面又は、ベルト部材43の両面に5μmから10μm塗布する。塗布された離型剤により生成された離型層により、記録材と接するベルト部材43の表面は高い平滑度が得られ、複数の貫通穴の内面は、入り込んで固化したトナーや樹脂類が、詰まらず排出される。
【0039】
ベルト部材43の貫通穴の詳細を、図3を用いて説明する。図3(a),(b),(c)は、ベルト部材43に貫通穴Hを開け、離型剤を塗布し離型層Rを作成した図である。
【0040】
図3(a)に示すようにベルト部材43を単位距離移動させながらレーザー装置LSでレーザー光LBを照射し、複数の貫通穴を形成する。
【0041】
図3(b)は、レーザー装置LSで厚さAが60μmの熱硬化型ポリイミド(PI)ベルト部材43にレーザー光LBを照射し、レーザー照射側の貫通穴径D1を50μm、貫通側の貫通穴径D2を40μmで開けた貫通穴Hの拡大図である。この様にベルト内側の穴径が広いテーパー形状となる貫通穴Hは、トナーやゴミが貫通穴Hに入り込んでも、テーパー形状がトナーやゴミを排出しやすくしている。
【0042】
貫通穴Hは、2個/cmの密度で開口させた。レーザー加工は材料の分子間結合力よりも大きなエネルギーを瞬時(16nsec程)に材料に吸収させ、照射した部位をガス化又は超微粒子化させ、分子間結合を断ち切る熱影響の極めて少ない高品位な加工が可能である。
【0043】
図3(c)は、離型剤をディッピング+スクイズ方式で塗布し、膜厚5μmから10μmでベルト部材43の両面と、貫通穴H内面とに離型層Rを均一に形成した状態を示している。このときのベルト部材43の貫通穴Hは、離型層Rが形成されたことで貫通穴径D1の50μmが貫通穴径D3の30μmになり、貫通穴径D2の40μmが貫通穴径D4の20μmに変化する。
【0044】
離型剤の塗布方法は離型剤の粘度と塗布後の塗布厚みにより、様々な方法が有る。ベルト部材43の内面に離型剤が不要の片面塗布の場合は、線番3のバーコーターを利用する。また、離型剤は、図3(c)では非シリコーン系の離型コーティング剤を用いたが、シリコーン系の離型剤を利用しても良い。
【0045】
ここでベルト部材43に、金属又は耐熱性樹脂に多数の貫通穴を開けた素材、又は多孔質素材で形成されたベルトを用いてブリスタが抑制出来る効果を図4及び図5で説明する。
【0046】
まず、ベルト部材43に透気性のないベルトを用いた場合にブリスタが発生する様子を図4で説明する。図4(a)に示すように、記録材Sに作成されたトナー像Uは、画像形成面がベルト部材43に密着して加熱される。この時、図4(b)に示すように記録材S内より発生する水蒸気等の気体Gは、ベルト部材43の透気性が低いと、記録材S上にとどまり、発生した水蒸気等の気体Gがベルト部材43を押し上げる。その際に、トナー像面とベルト部材43面が剥がれ、図4(c)に示すように、ベルト部材43とトナー像Uの間が剥がれたままとなり、画像荒れの原因となる。このような問題は、1個/cm以下の貫通穴Hの密度で発生する。
【0047】
一方、ベルト部材43として、金属又は耐熱性樹脂材に多数の貫通穴を開けた素材、又は多孔質素材で形成されたベルトを利用しブリスタが抑制出来る効果を図5で説明する。図5(a)に示すように、記録材Sより発生する水蒸気等の気体Gがベルト部材43に開けられた多数の貫通穴Hを通し排出される。
【0048】
すなわち多数の貫通穴Hにより、記録材Sに作成されたトナー像Uは、画像形成面がベルト部材43に密着されて加熱された場合でも、記録材Sとベルト部材43の間に水蒸気等の気体Gがとどまらない。このことで図5(b)に示すように、記録材Sとベルト部材43は密着状態を保ち、ベルト表面形状が転写され高品位な光沢画像が得られる。
【0049】
この様な状態を維持するためには、少なくとも2個/cm以上の貫通穴Hの密度が必要である。しかし、4個/cm以上の貫通穴Hの密度のベルト部材43では、貫通穴Hの高密度化によりベルト部材43の平滑度が失われ、光沢度が低下し高品位な光沢画像には不向きになる。
【0050】
以上の構成のもと、画像形成装置100は入力された画像データに応じたトナー像を形成する。具体的には、画像形成装置100は、給紙部1から供給された記録材に、トナー像形成部2によって作成されたトナー像を転写する。続いて、トナー像が転写された記録材は光沢付与装置40へ搬送される。
【0051】
光沢付与装置40においては、第1ローラ41と第3ローラ42が記録材を加熱しながら記録材上のトナー像を溶融させ、ベルト部材43に押圧させ搬送する。このとき、記録材表面の溶融したトナー像がベルト部材43の平滑な表面に倣い、ベルト部材43に密着されたまま搬送され、第2ローラ45までの間に冷却部材44によって冷却、固化されるので、トナー像は表面が高平滑な光沢画像として排出される。
【0052】
本実施形態の画像形成装置100においては、光沢付与装置40によって記録材が加熱されるときに、光沢付与装置40内の、ベルト部材43に開けられた多数の貫通穴より、ブリスタの原因となる水蒸気等の気体が発散される経路を形成している。この多数の貫通穴により、記録材からの水蒸気等の気体が良好に発散されることによって、記録材が高温になってもブリスタの発生を抑制出来る。ゆえに、本実施形態の画像形成装置100によれば、ブリスタの発生を危惧すること無く記録材を加熱し、高光沢の画像を得る事が可能となる。
【0053】
さらに、ベルト部材43に開けられた多数の貫通穴に溶融したトナーや樹脂類が詰まり、ブリスタの原因となる水蒸気等の気体が発散する経路を塞がないように、貫通穴の内面に離型剤を塗布し離型層を形成して防いでいる。又、ベルト部材43の記録材面より貫通穴内面を経由し出てきたトナーや樹脂類がベルト部材43の内面で固化し、第1ローラと第2ローラに移った物を、クリーニングローラ47a、bにて除去している。
【0054】
これら対応により、長期間にわたり、ベルト部材43はブリスタの影響を受けることなく高品位な光沢画像を提供できる。
【0055】
[第2実施形態]
続いて、本発明の光沢付与装置40の第2実施形態を説明する。第2実施形態の係る光沢付与装置40を有する画像形成装置は、上述した第1実施形態の画像形成装置100とほぼ同等の構成であり、その相違点は、光沢付与装置40での構成のみである。そこで本実施形態では、この相違点についてのみ説明する。
【0056】
図6は第2実施形態に係る光沢付与装置40の構成を示したものである。図6に示す光沢付与装置40は、図2に示すベルト部材43に代え、元巻きローラ48に長尺で巻かれ、巻き取りローラ49に巻き取られる連続シートを用いたものである。
【0057】
図6に示すように、多数の貫通穴を開け貫通穴内面と、シート両面又は記録材と密着する面とに離型剤を塗布し、離型層を形成したPIシート431を元巻きローラ48に巻いてある。このPIシート431は、第1ローラ41と第2ローラ45に張架され第1ローラ41に従動して移動し、記録材に密着して光沢を付与した後、巻き取りローラ49に巻き取られる。前述のPIシート431を用いる場合、ブリスタ防止の効果に加え、クリーニング機構が不要となり、信頼性向上や、スペース効率向上、コスト削減効果が得られる。さらに、無端状ベルトであるベルト部材43に比して、PIシート431は耐久性の配慮を要さないことで、無端状ベルトであるベルト部材43より薄いPIシート431が利用可能である。同時に記録材の定着に必要な熱を効率よく伝えられ、より高品位の高光沢画像が可能となる。
【0058】
[第3実施形態]
本発明の光沢付与装置40の第3実施形態を説明する。図7は、記録材上に転写されたトナー像を加熱された定着ローラ32と加圧ローラ33で定着する定着部を有する画像形成装置200に、クリアトナーT付与装置400と光沢付与装置40を有する後処理装置300を接続した画像形成システム500を示す図である。画像形成装置200の構成は少なくとも、給紙部1と、トナー像形成部2と、定着部を有する。給紙部は第1実施形態での給紙部1とその役割や機能は全く同一である。トナー像形成部2は第1実施形態で説明したプロセスユニット21Y、M、C、KによりY、M、C、K各トナー像が形成され、転写ベルト20の上で重ね合わせて転写される。転写されたトナー像は給紙部1よりタイミングを調整された記録材上に一括転写される。トナー像が転写された記録材は、定着部で、記録材上のトナー像を記録材に定着させる。
【0059】
定着部でトナー像が定着された記録材に、本発明で説明したベルト部材方式の光沢付与装置40を、後処理装置300として画像形成装置200の排紙口に設けた接続部に接続することで、従来からある画像形成装置に高品位な光沢付与機能を付加できる。更に、この後処理装置300内に、第1実施形態の中で説明した、クリアトナーTを単独で記録材に付加可能なプロセスユニット21Tと同様な、クリアトナーT付加装置400を付加した後処理装置300とすることで、高品位な光沢付加が可能になる。
【0060】
いずれの場合も、後処理装置300の制御部81と、画像形成装置200の制御部80との間でプログラム連携をとることにより、全面光沢付加、非画像部のみ光沢付加、光沢付加無しなどの機能の選択が可能になる。また、前述のプログラム連携により、記録材厚さによる最適光沢付与条件の設定などの対応も可能となる。
【0061】
なお、上記の説明では、後処理装置300に第1実施形態で説明した光沢付与装置40を適用した例で説明したが、同様に第2実施形態で説明した光沢付与装置40を適用できるのはもちろんである。
【符号の説明】
【0062】
1 給紙部
2 トナー像形成部
11 トレイ
12 送り出しローラ
13 搬送ローラ
14 レジストローラ
20 転写ベルト
21 プロセスユニット
30 定着ユニット
31 搬送切り替え部
32 定着ローラ
33 加圧ローラ
40 光沢付与装置
41 第1ローラ
42 第3ローラ
43 ベルト部材
44 冷却部材
45 第2ローラ
47a、b クリーニングローラ
48 元巻きローラ
49 巻き取りローラ
80 制御部
81 制御部
100 画像形成装置
200 画像形成装置
201 駆動ローラ
202 テンションローラ
203 二次転写ローラ
211 感光体ドラム
212 帯電器
213 露光器
214 現像部
215 一次転写ローラ
300 後処理装置
400 クリアトナーT付加装置
411 熱源
412 温度検知センサー
431 PIシート
471a、b クリーニングシート
500 画像形成システム
D1、2、3、4 貫通穴径
H 貫通穴
G 気体
R 離型層
S 記録材
U トナー像
LS レーザー装置
LB レーザー光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部材を有する第1ローラと、
該第1ローラに対して記録材の搬送方向下流側に位置する第2ローラと、
前記第1及び第2ローラに張架されたベルト部材と、
前記ベルト部材を介して前記第1ローラに対して加圧する第3ローラと、を有し、
前記記録材を、前記ベルト部材及び前記第3ローラの間で加熱及び加圧後に、前記記録材の画像形成面が前記ベルト部材に密着するように搬送する光沢付与装置において、
前記ベルト部材には、複数の貫通穴を設け、該貫通穴内面に離型剤を塗布したことを特徴とする光沢付与装置。
【請求項2】
前記第1ローラの下流側に、冷却部材を有することを特徴とする請求項1に記載の光沢付与装置。
【請求項3】
前記ベルト部材は、金属、樹脂のいずれかで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光沢付与装置。
【請求項4】
前記ベルト部材は、無端状ベルトであることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の光沢付与装置。
【請求項5】
前記ベルト部材は、元巻きローラに長尺で巻かれ、巻き取りローラに巻き取られる連続シートであることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の光沢付与装置。
【請求項6】
前記ベルト部材の、前記記録材の前記画像形成面に対向する領域面に、離型剤を塗布したことを特徴とする請求項1から5までのいずれか一項に記載の光沢付与装置。
【請求項7】
記録材に画像を形成するトナー像形成部と請求項1から6までのいずれか一項に記載の光沢付与装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
有色のトナーによるトナー像を形成する有色トナー像形成部と、透明のトナーによるトナー像を形成する透明トナー像形成部と、を有することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
記録材に画像を形成する画像形成装置への接続部を有し、請求項1から6までのいずれか一項に記載の光沢付与装置を有することを特徴とする後処理装置。
【請求項10】
透明のトナーによるトナー像を形成するトナー像形成部を有することを特徴とする請求項9に記載の後処理装置。
【請求項11】
記録材に画像を形成する画像形成装置と請求項9又は10に記載の後処理装置を有することを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−47860(P2012−47860A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188000(P2010−188000)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】