説明

光源装置

【課題】 ビームウエスト位置を検出することが可能な光源装置を提供すること。
【解決手段】 光源104からの光ビーム108は、レンズ系105を介してコーンミラー106の反射部125によって反射され、放射状に放射状光121として出力される。ビームウエスト位置算出部120は、各検出部116〜119が検出した放射状光121の断面の幅に基づいてビームウエスト122の位置を算出する。制御部102は、レンズ系位置算出部115からのレンズ系105の現在位置情報、ビームウエスト位置算出部120からのビームウエスト位置情報及び距離測定部127からの照射位置情報に基づいて、ビームウエスト122が照射点に位置するように、モータ109を制御する。スライダ112はモータ109の駆動によってレンズ系105のフォーカス位置を変更し、その結果、ビームウエスト122の位置が変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を出力する光源装置に関し、特に、放射状の光を出力する光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光源装置から測定用光を測定対象に照射し、前記測定対象で反射した測定用光を検出し、該検出した測定用光に基づいて前記測定対象の形状や汚れ等を測定する光学式測定装置が開発されている。
前記光源装置として、半導体レーザ等の光源や、前記光源が生成する光を測定対象方向等の所定方向に反射するコーンミラー等を備えた光源装置が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された光源装置では、光源からの光を頂角が90度のコーンミラーによって反射することにより放射状の光を発生させ、これにより、所定幅で所定長の光(光切断ライン)を測定対象方向に出力することができる。
したがって、前記コーンミラーからの光を用いて管内壁面の洗浄度等を測定することができる。
【0004】
しかしながら、前記光源装置においては、出力される放射状光は平行な光線ではなく非平行な構成であるため、光源とコーンミラーとの距離、あるいは、コーンミラーと測定対象との距離等が変化すると、コーンミラーから測定対象に照射されるビームのビームウエスト位置が変化する。
したがって、測定当初はビームウエスト位置を測定対象位置にあわせていた場合でも、測定開始後、ビームウエスト位置からずれた位置の光によって測定対象を照射することになる。
【0005】
また、放射状ビームの均一性を保って、線幅をより狭くするためにはコーンミラーの頂角の加工精度、ミラー形成精度のほかコーンミラー頂点への投光前のレンズアライメント精度(コリメート精度)などが影響する。
ところで、前記光源装置が三角測量方式による計測装置の光源として使われた場合、光切断ラインに相当する放射状ビームの厚さ(幅)が測定精度に影響する。測定対象の形状測定で精度を上げたい箇所の照射は、線幅が最も狭いビームウエストによって行う必要がある。ビームウエストからずれた光によって測定対象を照射すると、光の幅が広くなり、高精度な測定が困難になるという問題がある。
【0006】
【特許文献1】特開2006−349362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ビームウエスト位置を検出することが可能な光源装置を提供することを課題としている。
また本発明は、測定対象等にあわせてビームウエスト位置を調整可能な光源装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、光源と、その頂部を含む所定領域に反射部を有し、前記光源で発生した光を前記反射部によってその中心軸と交差する方向に反射して出力するコーンミラーと、前記コーンミラーの中心軸から相互に異なる位置に配設され、前記反射部で反射した光の幅を検出する複数の検出手段と、前記複数の検出手段によって検出した前記光の幅に基づいて前記光のビームウエスト位置を算出する算出手段とを備えて成ることを特徴とする光源装置が提供される。
【0009】
コーンミラーは、その頂部を含む所定領域に反射部を有し、光源で発生した光を前記反射部によってその中心軸と交差する方向に反射して出力する。複数の検出手段は、前記コーンミラーの中心軸から相互に異なる位置に配設され、前記反射部で反射した光の幅を検出する。算出手段は、前記複数の検出手段によって検出した前記光の幅に基づいて前記光のビームウエスト位置を算出する。
【0010】
ここで、前記光源からの光のフォーカス位置と前記コーンミラーの相対位置を変更する変更手段と、前記算出手段で算出したビームウエスト位置が所定位置になるように、前記フォーカス位置と前記コーンミラーの相対位置を変更するよう前記変更手段を制御する制御手段とを備えて成るように構成してもよい。
また、前記制御手段は、前記コーンミラーからの光による照射点の位置情報、前記光源からの光をフォーカスするレンズ系の現在位置情報及び前記ビームウエスト位置情報に基づいて、前記ビームウエストが前記照射点位置になるように前記変更手段を制御するように構成してもよい。
【0011】
また、前記コーンミラーは、その反射部によって前記変更手段からの光を前記コーンミラーの中心軸を中心として放射状に反射すると共に、前記検出手段は、前記放射状の光の非計測領域に3個以上設けられて成るように構成してもよい。
また、前記各検出手段は前記コーンミラーの中心軸を中心とする等間隔の同心円上に配設されて成るように構成してもよい。
また、前記各検出手段は前記コーンミラーの中心軸を中心とする同心円上に等角度間隔で配設されて成るように構成してもよい。
【0012】
また、所定位置における前記光の幅の判定基準を標準偏差によって指定する入力手段を有し、前記算出手段は、前記指定された光の幅の判定基準に基づいて光の幅を算出し、外光の幅を用いて前記光のビームウエスト位置を算出するように構成してもよい。
また本発明によれば、光源からの光を測定対象に照射し、前記測定対象によって反射した前記光を検出し、前記検出した光に基づいて三角測量法によって前記測定対象の形状、所定位置から前記測定対象上の点間での距離等の前記測定対象の長さに関する測定を行う光学式測定装置において、光源として前記いずれかの光源装置を使用して成ることを特徴とする光学式測定装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る光源装置によれば、ビームウエスト位置を検出することが可能になる。
また、測定対象等にあわせてビームウエスト位置を調整することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る光源装置について説明する。尚、以下の説明で使用する各図において、同一部には同一符号を付している。
図1は、本発明の実施の形態に係る光源装置を用いた光学式測定装置の側面図である。
また、図2は、図1における部分正面図である。
【0015】
図1及び図2において、光源装置は、入力部101、制御部102、光源部103、スライダ112、エンコーダ113、モータ114、レンズ系位置算出部115、複数(本実施の形態では4つ)の光検出部116〜119、及び、ビームウエスト位置算出部120を備えている。
光源部103は、光軸110に沿って光ビーム108を出力する光源104、複数のレンズを備え光源104からの光ビーム108を集光して光軸110に略平行な光ビーム109を出力するレンズ系105、レンズ系105からの光ビーム109を反射するコーンミラー106を備えている。
【0016】
前記光源装置は、CCD(Charge Coupled Device)によって構成された光検出部126や、光検出部126によって検出した光に基づいて所定位置(例えばコーンミラー106の頂部107)を基準とする測定対象123上の測定点までの距離を算出する距離測定部127とともに光学式測定装置を構成している。
尚、光検出部116〜119、光検出部126は各々検出手段を構成し、ビームウエスト位置算出部120は算出手段を構成し、入力部101は入力手段を構成している。スライダ112、モータ114及びレンズ系105は変更手段を構成している。また、入力部101、制御部102、エンコーダ113及びレンズ系位置算出部115は制御手段を構成している。距離測定部127は距離算出手段を構成している。
【0017】
複数の検出手段は、コーンミラー106の中心軸111から相互に異なる位置に配設されており、反射部125で反射した光の幅を検出することができる。前記各検出手段はコーンミラー106の中心軸111を中心とする等間隔の同心円上に配設されることができる。前記各検出手段はコーンミラー106の中心軸111を中心する同心円上に等角度間隔で配設されることができる。
【0018】
算出手段は、前記複数の検出手段によって検出した前記光の幅に基づいて前記光のビームウエスト位置を算出することができる。
変更手段は、光源104からの光のフォーカス位置とコーンミラー106の相対位置を変更することができる。
制御手段は、前記算出手段で算出したビームウエスト位置が所定位置になるように、前記フォーカス位置とコーンミラー106の相対位置を変更するよう前記変更手段を制御することができる。
また、制御手段は、コーンミラーからの光による照射点の位置情報、光源からの光をフォーカスするレンズ系の現在位置情報及びビームウエスト位置情報に基づいて、ビームウエストが照射点位置になるように変更手段を制御することができる。
【0019】
また入力手段は、測定開始指示の入力を行い、又、各検出手段が検出した光の幅の算定基準を例えば標準偏差によって指定することができ、算出手段は前記光の幅に基づいてビームウエスト位置を算出する。例えば、測定対象123に照射される光切断ラインの任意の1断面でみると、略ガウス分布している。線幅の定義として、その断面内の全データの68.27%が含まれる、即ち1σを線幅として定義するように構成することができる。尚、それ以下の35%程度にする等、線幅の定義は種々に設定可能であるが、厳格すぎると光切断ラインが断続的になる恐れがあるため、ガウス分布の1σを線幅と定義するのが好ましい。
【0020】
半導体レーザあるいは発光ダイオード(LED)等によって構成された光源104の出射側に、光源104から出力される光(例えばレーザ光ビーム)108を光軸110に平行な光ビーム109に変換して出力するための複数のレンズによって構成されたレンズ系105が配置されている。
レンズ系105からは光軸110に沿った細い平行光線が出力されるのが望ましいが、光ビーム109は、光軸110に対して完全な平行光線とはならず、光軸110とは平行でない部分(広がり部分や収束部分)を持つ光ビーム(非平行光線)となる。
【0021】
このように、レンズ系105から出力される光ビーム109は光軸110に対して完全に平行な光線ではなく、光軸110に対して僅かな広がり等を持つ光ビームであり、レンズ系105によってフォーカスされた位置が最も断面が小さくなる。
頂部107の頂角が90度で頂部107から円錐底面に下ろした垂線(中心軸)111が光ビーム109の光軸110と一致するように円錐状のコーンミラー106が配設されている。
【0022】
コーンミラー106は頂部107を含む所定領域(本実施の形態では頂部107を含む円錐面全面)に光反射部125を有しており、反射部125は高光反射面を形成している。
コーンミラー106は、その頂部107を含む反射部125にレンズ系105から光ビーム109が入射すると、その中心軸111と交差する方向(本実施の形態では中心軸111と90度を成す方向)に光ビーム109を放射状に反射して、放射状光121を出力する。
【0023】
放射状光121は、図1に示すように側面から見ると、その断面は細いビーム状であるが、図2に示したように正面から見ると、放射状(円板状)になる。
即ち、レンズ系105からコーンミラー106に入射した光ビーム109は、中心軸111(換言すれば光軸110)と直角をなす方向に、中心軸111(換言すれば光軸110)を中心として360度方向(全円周方向)に放射状に反射され、放射状光121として出力される。
【0024】
この360度のうち例えば120度(1/3円周)の放射状光121は、コーンミラー106の頂部107から距離Aの位置に配設された測定対象123表面に線状に照射され(光切断ライン)、形状計測などに利用される。この場合、前記120度の領域は計測領域Cとなる。
【0025】
一方、残りの240度(2/3円周)には、頂部107から等間隔距離に光切断を観察できるように複数(例えば4個)の光検出部116〜119が配置される。前記240度の領域は計測を行わない非計測領域Dであり、放射状光ビーム121のビームウエスト122の位置の変更制御等に利用する制御領域等として使用する領域である。光検出部116〜119は計測の妨げにならないように、非計測領域D内に配設される。
【0026】
コーンミラー106に入射する光ビーム109は、前述したとおり、光軸110に対して非平行な部分を持つ非平行光線であるため、放射状光121の断面も非平行となる。したがって、放射状光121の断面の幅(即ち、放射状光121の中心軸111方向の厚み)は、中心軸111からの距離によって相違し、ビームウエスト122が最も幅狭になる。
【0027】
レンズ系105は、レンズ系105を構成する複数のレンズの位置関係がスライダ112によって変更制御されるように構成されている。スライダ112がモータ114によって移動されることにより、レンズ系105を構成する複数のレンズの配置関係が変更されて、レンズ系105が出力する光ビーム109のフォーカス位置が変更される。
このようにして前記フォーカス位置とコーンミラーの相対的距離が変えられることによって、光ビーム109がコーンミラー106に入射する角度が変化するため、ビームウエスト122の位置が変更される。
【0028】
尚、ビームウエスト122とコーンミラー106の相対的な位置を変更制御する方法としては、レンズ系105自身のフォーカス位置を変えることによってビームウエスト122の位置を変える方法の他に、レンズ系105のフォーカス位置は一定にして、レンズ系105とコーンミラー114との相対距離を変える方法等、種々の方法が採用できる。
【0029】
エンコーダ113はスライダ112の移動位置に対応する信号を出力する。レンズ系位置算出部115は、エンコーダ113からの信号に基づいてレンズ系105の位置を算出し、レンズ系105の現在位置を表す位置情報をレンズ系位置情報として出力する。
入力部101は、外部操作可能に構成されており、制御部102に対して測定開始の指示入力を行ったり、又、ビームウエスト位置算出部120に対して、各光検出部116〜119が検出した光の幅の算定基準を標準偏差によって指定入力する等を行う。ビームウエスト位置算出部120はビームウエスト位置を算出する際に前記光の幅に基づいて行う。
【0030】
各光検出部116〜119は、既知の位置に配設されており、放射状光121の半径方向(中心軸111に直交する方向)に所定の等間隔Eで配置され、又、円周方向(中心軸111を中心とする円の円周方向)にも所定の等間隔(等角度)Fで配置されている。
各光検出部116〜119は、CCD等の線幅を測定可能な光検出素子によって構成されており、各光検出部116〜119が置かれている位置の放射状光121の幅B(即ち、中心軸111方向の放射状光121の厚み)を検出して出力する。即ち、複数の光検出部116〜119からの画素位置と光情報(例えば強度)に関する情報がビームウエスト位置算出部120に送られる。
【0031】
ビームウエスト位置算出部120は、各光検出部116〜119が検出した放射状光121の幅Bに基づいて、所定値(例えばコーンミラー106の頂部107)を基準として放射状光121のビームウエスト122の位置を算出し、ビームウエスト位置情報として出力する。
例えば、各光検出部116〜119で観察した放射状ビーム121の線幅Bを比較してビームウエスト122の位置が算出される。
放射状光121の光分布が予め既知の場合、複数の光検出部116〜119から入力される放射状光121の複数点の幅Bに基づいて、ビームウエスト122の位置を算出することができる。
【0032】
また、所定の推定手法を用いて、複数の光検出部116〜119から入力される放射状光121の複数点の幅Bに基づいて、ビームウエスト122の位置を算出することができる。
例えば、ビームウエスト位置算出部120は、4個の光検出部116〜119からの幅の情報から、ビームウエスト122に相当する位置を算出する微分処理に代表される数学的処理によるピーク位置予測とスロープ予測からビームウエスト122の位置を算出する。特別な場合として、この間にピーク(山又は谷)がないときの処理と判定も含めて処理する。
尚、ビームウエスト122の位置を算出するには、前記光検出部は少なくとも3個あればよい。
【0033】
制御部102は、ビームウエスト122を所定位置(例えば測定対象123の所定表面位置)に一致させるように、ビームウエスト122位置を変えるためのレンズ系105のアライメントを変更するモータ114に是正量を指令する機能を有している。
制御部102は、距離測定部127からの照射点の位置情報、レンズ系位置算出部115からのレンズ系105の現在位置情報及びビームウエスト位置算出部120からのビームウエスト位置情報に基づいて、ビームウエスト122が、測定対象123の所定位置に位置するように、モータ109を制御する。
【0034】
これにより、スライダ112はレンズ系105のフォーカス位置を変え、スライダ112のフォーカス位置とコーンミラー106との相対距離が変更制御され、ビームウエスト122が測定対象123の所定位置に設定される。
放射状ビーム121のビームウエスト122を測定対象の所定表面位置に位置させた状態で、測定対象の形状等を測定する。
例えば、コーンミラー106の頂部107を光源位置とすると共に、頂部107と所定の位置関係にある光検出部126によって検出した検出光に基づいて、所定位置から測定対象123の所定点までの距離等を三角測量方式によって算出し、測定対象123の3次元形状等を算出する。
【0035】
図3及び図4は、ビームウエスト122の位置制御を行う際の制御部102、ビームウエスト位置算出部120等の処理を示すフローチャートである。尚、図3及び図4で使用する記号の意味は次の通りである。
L:コーンミラー106の頂部107から測定対象123上の照射点までの距離
Ln:距離Lのn回目の測定距離
Ln+1:距離Lの(n+1)回目の測定距離
Lw:コーンミラー106の頂部107からビームウエスト122までの距離(ビームウエスト距離)
Bm:所定しきい値(例えば1σ)における線幅
【0036】
図3及び図4において、光源部103からの光を測定対象123の所望測定エリアのうちの重要な位置に照射し(ステップS301)、測定用対象123から反射した光を光検出部126によって検出し、光検出部126によって検出した光に基づいて、距離測定部127が所定位置から測定対象123の測定点までの距離Lnを算出しする(ステップS302)。このとき、距離測定部127は、所定位置(例えば、コーンミラー106の頂部107)と光検出部126の位置を基準とする三角測量法によって測定する。距離測定部127が算出した距離Lnのデータは制御部102に入力される。
【0037】
制御部102は、レンズ系105を駆動制御することによって焦点距離を変えた後(ステップS303)、ビームウエスト位置算出部120が光検出部116〜119からの検出信号に基づいて、コーンミラー106の頂部107からビームウエスト122までのビームウエスト距離Lwを測定する(ステップS304)。尚、処理ステップS304の詳細な処理は後述する。
【0038】
次に、制御部102は、照射点までの距離Lnとビームウエスト距離Lwの差Δwを算出し(ステップS305)、差Δwが、略零である所定の微少距離e1以下でない場合には処理ステップS303に戻って前記処理を繰り返すことにより、差Δwがゼロになるように制御部102によってレンズ系105を駆動してビームウエスト位置を変更する(ステップS306)。これにより、ビームウエスト位置を測定対象123の前記照射点の位置に略一致させる。
【0039】
制御部102は、処理ステップS306において、差Δwが所定の微少距離e1以下の場合には、そのときの光を用いて距離L(n+1)を測定するように光検出部126及び距離測定部127を制御する(ステップS307)。距離測定部127は制御部102の制御の下、光検出部126が検出した測定対象123からの前記光に基づいて、前記照射点までの距離L(n+1)を測定し、制御部102に出力する。
【0040】
次に、制御部102は、今回測定した距離L(n+1)と前回測定した距離Lnの差が、略零である所定の微少距離e2以下でない場合には(ステップS308)、nの値を1増やして(ステップS310)、処理ステップS303に戻り、前記処理を繰り返す。
制御部102は、処理ステップS308において、今回測定した距離L(n+1)と前回測定した距離Lnの差が所定の微少距離e2以下の場合には、ビームウエスト122が測定対象123の所定位置(照射点)に略一致していると判断して、オートフォーカス処理を終了して、測定対象123の形状測定作業等を開始する(ステップS309)。前記形状測定等は、距離測定部127が測定したデータに基づいて行う。
【0041】
図4は、処理ステップS304に示したビームウエスト距離Lw測定処理の詳細を示すフローチャートである。尚、図4の処理例では、ビームウエスト距離Lwは、複数の光検出部116〜119のいずれかが配置されている位置に決定するようにしている。
図4において、光検出部116〜119は、放射状光ビーム121を検出し、各々の位置で検出した光ビーム121の線幅Bmに対応する検出信号を出力する。ビームウエスト位置算出部120は、各光検出部116〜119からの検出信号に基づいて、各光検出部116〜119の位置における線幅Bmを認識する(ステップS401)。
【0042】
次に、ビームウエスト位置算出部120は、光検出部116〜119が検出した線幅Bmの変化を、下記式を用いて算出する。
δm=(B(m+1)−B(m))/Δm
ここで、Δmは光検出部mと光検出部(m+1)との間の距離である。例えば、光検出部116、117間の線幅B1の変化(換言すれば勾配)δ1は、前記式にm=1を代入した下記式によって表される。
δ1=(B2−B1)/Δ1
同様に、
δ2=(B3−B2)/Δ2
δ3=(B4−B3)/Δ3
となる。
【0043】
ビームウエスト位置算出部120は、変化δ1〜δ3が全て正、即ち光検出部116から光検出部119に行くに従って線幅Bmが大きくなると判断した場合には(ステップS、ビームウエスト122の位置は光検出部116の位置(m=1)であり、ビームウエスト距離Lw=L1、ビームウエストの線幅は線幅B1と認識して(ステップS404)、ビームウエスト位置を決定する(ステップS411)。
【0044】
ビームウエスト位置算出部120は、処理ステップS403において変化δ1〜δ3の中の少なくとも1つが正ではないと判断した後、変化δ1が負で且つδ2及びδ3が正と判断した場合には(ステップS405)、ビームウエスト122の位置は光検出部117の位置(m=2)であり、ビームウエスト距離Lw=L2、ビームウエストの線幅は線幅B2と認識して(ステップS406)、ビームウエスト位置を決定する(ステップS411)。
【0045】
ビームウエスト位置算出部120は、処理ステップS405において変化δ1が負で且つδ2及びδ3が正という条件が成立しないと判断した後、変化δ1及びδ2が負で且つδ3と判断した場合(ステップS407)、ビームウエスト122の位置は光検出部118の位置(m=3)であり、ビームウエスト距離Lw=L3、ビームウエストの線幅は線幅B3と認識して(ステップS408)、ビームウエスト位置を決定する(ステップS411)。
【0046】
ビームウエスト位置算出部120は、処理ステップS407において変化δ1及びδ2が負で且つδ3が正という条件が成立しないと判断した後、変化δ1〜δ3の全てが負、即ち光検出部116から光検出部119に行くに従って線幅Bmが小さくなると判断した場合には(ステップS409)、ビームウエスト122の位置は光検出部119の位置(m=4)であり、ビームウエスト距離Lw=L4、ビームウエストの線幅は線幅B4と認識して(ステップS410)、ビームウエスト位置を決定する(ステップS411)。
以上のようにして、ビームウエスト位置を決定した後、処理ステップS305以降の前述した処理を行う。
【0047】
以上述べたように、本発明の実施の形態に係る光源装置では、光源104からの光ビーム108は、レンズ系105を介してコーンミラー106の反射部125によって反射され、放射状に放射状光121として出力される。ビームウエスト位置算出部120は、各検出部116〜119が検出した放射状光121の断面の幅に基づいてビームウエスト122の位置を算出する。
【0048】
また、制御部102は、レンズ系位置算出部115からのレンズ系105の現在位置情報、ビームウエスト位置算出部120からのビームウエスト位置情報及び距離算出部127からの照射点の位置情報に基づいて、ビームウエスト122が前記照射点に略一致するようにモータ109を制御する。スライダ112はモータ109の駆動によってレンズ系105のフォーカス位置を変更し、その結果、ビームウエスト122の位置が前記照射点位置に変更される。
【0049】
このようにして、ビームウエスト122の位置を検出することが可能になり又、測定位置等にあわせてビームウエスト位置を変更することが可能になる。
また、本実施の形態に係る光源装置を光源とする光学式測定装置によれば、測定対象の形状や座標等の長さに関する特性を高精度に測定することが可能になる。
また、光源からの光を測定対象に照射し、前記測定対象によって反射した前記光を検出し、前記検出した光に基づいて三角測量法によって前記測定対象の形状、所定位置から前記測定対象上の点間での距離等の前記測定対象の長さに関する測定を行う光学式測定装置において、前記光源として前記光源装置を使用して成ることを特徴とする光学式測定装置が提供される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
光学式測定装置用の光源装置等として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態に係る光源装置の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る光源装置の部分正面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る光源装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る光源装置の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0052】
101・・・入力部
102・・・制御部
103・・・光源部
104・・・光源
105・・・レンズ系
106・・・コーンミラー
107・・・頂部
108、109・・・光ビーム
110・・・光軸
111・・・中心軸
112・・・スライダ
113・・・エンコーダ
114・・・モータ
115・・・レンズ系位置算出部
116〜119・・・光検出部
120・・・ビームウエスト位置算出部
121・・・放射状光
122・・・ビームウエスト
123・・・測定対象
125・・・反射部
126・・・光検出部
127・・・距離測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
その頂部を含む所定領域に反射部を有し、前記光源で発生した光を前記反射部によってその中心軸と交差する方向に反射して出力するコーンミラーと、
前記コーンミラーの中心軸から相互に異なる位置に配設され、前記反射部で反射した光の幅を検出する複数の検出手段と、
前記複数の検出手段によって検出した前記光の幅に基づいて前記光のビームウエスト位置を算出する算出手段とを備えて成ることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記光源からの光のフォーカス位置と前記コーンミラーの相対位置を変更する変更手段と、
前記算出手段によって算出したビームウエスト位置が所定位置になるように、前記フォーカス位置と前記コーンミラーの相対位置を変更するよう前記変更手段を制御する制御手段とを備えて成ることを特徴とする請求項1記載の光源装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記コーンミラーからの光による照射点の位置情報、前記光源からの光をフォーカスするレンズ系の現在位置情報及び前記ビームウエスト位置情報に基づいて、前記ビームウエストが前記照射点位置になるように前記変更手段を制御することを特徴とする請求項2記載の光源装置。
【請求項4】
前記コーンミラーは、その反射部によって前記変更手段からの光を前記コーンミラーの中心軸を中心として放射状に反射すると共に、
前記検出手段は、前記放射状の光の非計測領域に3個以上設けられて成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の光源装置。
【請求項5】
前記各検出手段は前記コーンミラーの中心軸を中心とする等間隔の同心円上に配設されて成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一に記載の光源装置。
【請求項6】
前記各検出手段は前記コーンミラーの中心軸を中心とする同心円上に等角度間隔で配設されて成ることを特徴とする請求項5記載の光源装置。
【請求項7】
所定位置における前記光の幅の判定基準を標準偏差によって指定する入力手段を有し、
前記算出手段は、前記指定された光の幅の判定基準に基づいて光の幅を算出し、外光の幅を用いて前記光のビームウエスト位置を算出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−128166(P2009−128166A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303120(P2007−303120)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(391030077)株式会社ソアテック (30)
【Fターム(参考)】