説明

光電子デバイス

【課題】光電子デバイスを提供する。
【解決手段】光電子デバイスは半導体材料からなる基板(6,7)と基板上または内に配置されたスマートピクセルのアレイとを含む。各スマートピクセルは有機発光材料の少なくとも一層(12)を含み、さらに基板から隔てた側の上で有機層と接触する光透過電極(13)を含んでいる。スマートピクセルは画像の感知、処理、通信およびディスプレイを含む機能の範囲の一つ以上を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光電子デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED)は電気的刺激の元で発光することが知られているある有機材料を含んでいる。この材料は低分子または高分子材料(高分子発光ダイオードPLEDにおける)とすることができる。これらの材料は実際にデバイスを製作するのに異なるプロセスを必要とする。低分子材料は蒸着により基板上に堆積され、高分子はスピンコーティング、プリント、ドクターブレーディング、またはリール−ツー−リール(reel-to-reel)プロセスにより溶液から基板上に吐出される。典型的な高分子LEDでは、高分子層がスピンコーティングによりITO(indium tin oxide)被覆ガラス上に堆積される。続いて熱処理により残留溶媒を追い払い、高分子層の頂面上に反射性金属電極が蒸発される。透明であるITOが他方の電極を形成し、電極間に電圧が印加されると高分子はITO被覆ガラスを介して発光する。発光の電流および電圧制御は知られている。
【0003】
いくつかの異なる透明および非透明表面上にアレイを作り込むための材料およびプロセスの両タイプが使用されている。フルカラーディスプレイを生成する既知の方法は高分子溶液のインクジェットプリントと低分子材料の蒸着とを含んでいる。他の既知の方法は個別の吸収フィルタまたは色変化媒体フィルタを取り付けた単色ディスプレイの使用を含んでいる。両材料共ホトレジスト技術とコンパチブルであるように見えるが、実際上、この処理によりデバイスの効率および寿命は受け入れられないレベルまで低減されてしまう。低分子を微細キャビティ内に堆積させることにより、低分子に対する高精細カラーおよび単色ディスプレイが例証されている。EP-0,774,787では、この方法によりCMOS基板上にフルカラーOLEDアレイが作り込まれている。ダイオードアレイ用ドライバは基板内に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP-0,774,787
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さまざまなタイプの液晶ディスプレイが結晶性シリコン(LCOS)およびpolysilicon on glass等の他のシリコン材料上に作り込まれている。シリコン材料は基板だけでなくアクティブマトリクス駆動回路も提供する。同様に、真空蛍光ディスプレイは結晶性シリコン上に作り込まれている。
【0006】
CMOSまたはbi-CMOS等の非透明基板上へのOLEDアレイの製作は、発光および観察できるように有機層の頂部上に(少なくとも、半)透明電極を作り込む必要があるため、妨げられる。有機層上に直接indium tin oxideを堆積させるとデバイス性能が受け入れられないほど劣化することがある。もう一つ考慮すべき点は、微細電子製作装置と完全にコンパチブルとなるように、基板と直接接触する金属電極材料を慎重に選択する必要があることである。
【0007】
電子ディスプレイは、実際上、電子情報がディスプレイ上に与えられ、ピクセル単位で光情報に変換されるピクセル化光電子デバイスである。スマートピクセルアレイ(SPA)は各ピクセルが同じアレイまたは別のアレイ内の他のピクセルと電気的および/または光学的手段により通信する能力を有する光電子ピクセルのアレイである(セルまたはユニットとも呼ばれる)。通信の構成(どのセルが他のどのセルとどの手段によりどの方向に通信するか)は通常SPAに与えられる光または電気信号によりダイナミックにプログラムすることができる。しばしば、同じ基板上のピクセルアレイ内の通信は電子的手段により行われ、別々のアレイ内または別々すなわち隔てた基板上のピクセル間の通信は光学的手段により行われる。
【0008】
過去において、SPAは例えば結晶性シリコン上の液晶、モノリシックIII/V族半導体、およびフリップチップ技術によるCMOSシリコンに固着されるIII/V族半導体等の技術において実現されている。
【0009】
SPAは、例えば、画像処理、電気通信交換および光電子ニューラルネットワーク等の多様な分野で使用されてきている。
SPA間の光通信はしばしば可視波長以外の光または電磁放射を使用して実施される。例えば、電気通信システムに使用されるSPAはしばしば赤外波長を使用する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に従って、半導体材料からなる基板およびその基板上または内に配置されたスマートピクセルアレイを含む光電子デバイスが提供され、各スマートピクセルは有機発光材料の少なくとも一層、およびその基板から隔てた側で有機層と接触する(少なくとも、半)透明電極を含んでいる。
【0011】
好ましくは、特にデバイスがディスプレイを形成する場合には、電極は導電性高分子を含み、好ましくは、基板の表面は研磨または平滑化されて平坦な表面を作り出す。
【0012】
基板は非晶質、多結晶質または単結晶質シリコンからなることができる。あるいは、基板はガラスまたはサファイヤ層上に重なる非晶質、多結晶質または単結晶質シリコン層を含むことができる。好ましくは、基板の研磨または平滑化は各OLEDスマートピクセルの電極、すなわち有機、材料を堆積する前に遂行される。アレイのスマートピクセルは異なる、類似または同一とすることができ、あるいはアレイは異なる、類似または同一スマートピクセルの任意の2つまたは3つ全てを含むことができる。物理的に類似または同一のアレイ内のピクセルは同じまたは異なる機能を実施するように一度だけまたはダイナミックにプログラムすることができる。
【0013】
好ましくは、スマートピクセルは同じサイズでありカルテシアン格子上に正方格子として配置することができる。六角格子またはリング上の六角ピクセル、および極または放射格子上の楔形ピクセルも本発明の実施例として実現可能である。
【0014】
アレイの各スマートピクセルは下記のタスクの1つ、いくつかまたは全てを実施することができる。
・ ピクセル内で情報を電子的に処理する、
・ ピクセル内に情報を格納する、
・ アクティブ回路の一部を形成する導電層により同じアレイ内の一つ以上の他のピクセルへ電気信号を送信する、または電気的あるいは光学的チップツーチップ配線(PCB上の銅トラック、リボンケーブルや光ファイバー内のワイヤ等)において従来使用される手段により一つ以上の他のアレイ内の一つ以上のピクセルへ電気信号を送信する、
・ アクティブ回路の一部を形成する導電層により同じアレイ内の一つ以上の他のピクセルからの電気信号を受信する、または電気的あるいは光学的チップツーチップ配線(PCB上の銅トラック、リボンケーブルや光ファイバー内のワイヤ等)において従来使用される手段により一つ以上の他のアレイ内の一つ以上のピクセルへの電気信号を受信する、
・ 自由空間内または光システム中を伝播する光波により同じアレイまたは別のアレイ内の一つ以上の他のピクセルに光信号を送信する、
・ LED、微細キャビティLED、レーザダイオードまたは吸収シフト機構を利用する有機変調器等の有機発光器の場合には、オフチップ通信用に電気信号を光信号に変換する、
・ 自由空間内または光システム中を伝播する光波により同じアレイまたは別のアレイ内の一つ以上の他のピクセルから光信号を受信する。
【0015】
上記プロセスは単独に、いくつかまたは全てを同時に、逐次に、交互にまたは任意の他の組合せにより実施することができる。
【0016】
ピクセルにより受信される光信号は変換手段、例えば、下記の1つにより電気信号に変換されるようにすることができる。
・ アクティブ基板内で(各々が)アクティブ回路内の適切な増幅回路に電気的に接続された、一つ以上のPN接合ダイオード、PINダイオード、ホトトランジスタ、光導電体または一つ以上の他の感光素子またはそれらのある組合せ、
・ (各々が)アクティブ回路内の適切な増幅回路の入力に電気的に接続された、アクティブ回路上の層内に形成された一つ以上の有機ホトダイオード、ホトトランジスタ、または他の感光素子、
・ 各々がアクティブ回路内の適切な増幅回路の入力に電気的に接続される上記半導体感光または有機感光構造。
【0017】
ピクセル内の電気信号は好ましくはアクティブ回路内の一つ以上のドライバ回路により光信号に変換され、その(各々の)出力がアクティブ回路上の層内に形成された一つ以上の有機発光ダイオード構成の下側に直列または並列接続される。有機発光ダイオードの頂部側は好ましくはスマートピクセルアレイ内のいくつかまたは全ての有機発光ダイオードに対して共通の電極に接続される。この共通電極は好ましくは金属であり基板と接触している。金属と透明電極との相対仕事関数に応じて、いずれかが陽極として働き他方が陰極を構成することができる。
【0018】
一実施例では、スマートピクセルはマイクロシステム集積、コンピュータ配線、データコムまたはテレコム応用に対するオンおよびオフチップ光電子通信リンクを形成するように構成される。例えば、スマートピクセルはチップ−ツー−チップ通信のデータボトルネックを軽減させ、光クロック分布をシステムに同期させあるいは電気信号に対する変換がスマートピクセルにおいて実施される光ディスクまたは光メモリへの直接チップアクセスを許可することができる。
【0019】
ピクセル構成はデータバァッファリング機能と多重化および多重分離化機能とを提供しデータプロトコルを処理することができる。有機ホトダイオードまたはホトトランジスタは光信号をオンチップ通信用電気信号に変換することができる。空間、時間または波長多重化により並列通信リンクを提供することができる。波長多重化は異なる色の光を優先的に発光および/または吸収する異なるピクセルにより提供することができる。例えば、恐らくは稀土類金属のドーピングと共に、選択された波長において狭幅ソースを与えるように微細キャビティ構造を利用することができる。ドーピング、微細構造、または印加電圧を必要に応じてピクセル毎に波長を変えるように選択することができる。また、狭幅ホトルミネセントを、色変換構造と共に、有機発光デバイスを利用することができる。
【0020】
光電子通信リンクはポイント−ツー−ポイント、マルチキャストまたは同報とすることができる。リンクはスタティック(固定)またはダイナミック(変更可能)とすることができる。送信元から受信先へ光を転送するのに光ファイバー、光導波路または自由空間のマイクロオプティクス/オプティクスを使用することができる。有機光電子デバイスは微細構造として光結合を容易にすることができる。有機または無機材料のパッシブまたはアクティブ光導波路構造を同じ基板上でスマートピクセルと集積することができる。
【0021】
一実施例では、スマートピクセルはイメージセンサおよび/またはディスプレイとして構成される。スマートピクセル上に入射する紫外線から赤外線の波長範囲内の広帯域または狭帯域光はデジタル表現に変換してピクセル内に格納することができる。画像エンハンスメント、等化またはデータ暗号化等の局所化された画像処理操作を実施することができる。次に、データをディスプレイされた画像の形式で光学的に出力するか、あるいは光または電気通信信号としてどこかへ送ることができる。例えば、赤外画像を可視色でディスプレイするように変換することができる。
【0022】
一実施例では、スマートピクセルはイメージセンサおよび/またはプリンタとして構成される。ピクセルアレイ上の記憶装置から感光膜まで画像を転送するのに光信号を使用することができる。
【0023】
有機発光材料は好ましくは高分子であるが、単量体または遷移金属キレートとすることができる。発光材料は別として、ピクセル要素内の有機層は電子輸送材料層、正孔輸送材料層、保護キャップ材料層および導電性高分子材料層を含むことができる。
【0024】
導電性高分子だけでなく、(少なくとも、半)透明電極はさらに基板から最も遠い有機層上に堆積された、例えばITO(indium tin oxide)あるいは他の透明または半透明金属酸化物あるいは低または高仕事関数金属、あるいは導電性エポキシ樹脂の層を含むことができる。あるいは、ITO、導電性高分子、または(少なくとも、半)透明電極を構成する層の少なくとも一つが被覆されたガラスまたはプラスチックシートをこの電極の前記最も遠い層または別の層に固着して電極を完了し酸素および水の浸入に対するバリアとして働くことができる。デバイスの表面はもう一つの高分子またはガラス層でカプセル化して完了することができる。
【0025】
好ましい導電性高分子はBayer AG社からPEDOTの商標で市販されているポリ(エチレンジオキシチオフェン)である。他の分子的に変えられたポリ(チオフェン)も導電性であり、ポリアニリンのエマラルディン塩と同様に使用することができる。PEDOTのある滑らかな基板への粘着性を改善するために、非導電性高分子、好ましくはポリ(ビニルアルコール)(PVA)、との高分子ブレンドを作ることができる。例えば、体積比10(PVA):6のPEDOTを含むPVAの9wt%溶液を使用することができる。得られる膜またはその導電率にあまり差を生じることなく、広範な分子量のPVAを使用することができる。
【0026】
さらにもう一つの実施例では、金属電極は複数の金属層、例えば基板上に堆積されたアルミニウムのような仕事関数のより高い金属、および仕事関数のより高い金属上に堆積されたカルシウム等の仕事関数のより低い金属、からなることができる。別の例では、アルミニウム等の安定な金属の頂部上にもう一つの導電性高分子層がある。好ましくは、電極はまた各ピクセルの後ろでミラーとして働き、基板の平坦化された表面上に堆積されるか、あるいはその中に沈められる。しかしながら、各ピクセル間に光吸収黒色層または反射構造があることがある。
【0027】
使用できる高仕事関数金属にはタングステン、ニッケル、コバルト、プラチナ、パラジウムおよびそれらの合金、および恐らくはニオビウム、セレン、金、クロム、タンタル、ハフニウム、テクネチウムおよびそれらの合金が含まれる。
基板はデータドライバ、データ変換器および画像を生成するようなピクセルのアレイをアドレスする情報を処理する走査ドライバも提供することができる。
【0028】
本発明に従って光電子デバイスを作る方法では、有機デバイスは、半導体回路基板上に直接集積され、真空蒸着、プリント、ステンシルまたはスピンコーティング方法により形成され、あるいはフリップチップまたはウエーハボンディング方法を使用して個別に形成されてハイブリッド化されることができる。これらのプロセスは低温(<100℃)とすることができかつ完全密封カプセル化してデバイス寿命および性能を最大限とすることができる。
【0029】
本方法のさらにもう一つの実施例では、底部導電性高分子層の選択的領域は適切な水溶液に曝して非導電性とされ、その水溶液はピクセル電極の底部コンタクトとして働く導電性ピクセルパッドのアレイを形成する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明を使用して実現することができるスマートピクセルの図である。
【図2】本発明の実施例に従ったスマートピクセルの断面図である。
【図3】本発明の実施例に従った平坦化された基板の単一ピクセルの断面図である(高分子LEDは図示せず)。
【図4】堆積された高分子LEDを示す代替基板の断面図である。
【図5】高分子LEDのアレイの部分側面図である。
【実施例】
【0031】
図1は光受信器において光信号を受信し電気受信器2において電気信号を受信することができるスマートピクセルを示す。受信信号はプロセッサ3内で処理されそこでデータは選択的に格納することができる。光信号は光送信器4から送信され電気信号は電気送信器5から送信される。
【0032】
本発明のアレイ内の各スマートピクセルは図2に例示することができる。ピクセルは、底部から頂部にかけて、下記の要素を含んでいる、パッシブ基板6、アクティブ基板7、アクティブ電子デバイス8、回路電気配線9、有機導電性の発光/光検出層へのパッド接続10、導電性、有機導電性、正孔輸送、電子輸送、および有機発光または光検出、の非特異の二連の層11,12、および透明電極を形成する透明導電層13。一方の一連の層11は少なくとも一つの光検出層を含み、他方の一連の層12は少なくとも一つの発光層を含んでいる。プラズマ化誘電体14がアクティブ基板7を被覆することができる。
【0033】
例えばCMOS技術を使用して、半導体基板内にアクティブマトリクス回路が作り込まれると、基板の表面を平坦化することができる。この平坦化は集積回路の製作技術の一部または後のカスタム化ステップとして行われる。
【0034】
図3に示すように、平坦化はアクティブ基板7の表面上に誘電体14、例えば高分子材料、を堆積することにより有効となる。絶縁領域を生成するためにパターン化されることができる導電性高分子を、この目的のために、替わりに使用することができる。一方の一連の層11を回路内の適切なポイントに接続するために、アルミニウムとすることができる、金属ミラー/電極34が次に堆積され、金属導電性ビア36により回路への接続が確立される。CMOS回路のメタライズされた部分は38で示される。
【0035】
図4は電極/ミラー34が誘電体表面内に堆積される、すなわち完全平坦化が達成される、別の構成を示す。
【0036】
図4はデバイス構造を達成することができる一つの方法も示している。一連の層11が堆積され、導電性高分子と任意にITOとを含む透明導電層43により内面が被覆されたガラス板42で被覆することによりディスプレイが封止される。
【0037】
図5は一連の堆積層の特定例を含む別のデバイス構造を示す。簡単にするために、図5にはスマートピクセルの代わりに通常のピクセルが示されているが、本例は本発明に従ってスマートピクセルを形成するのに同等に応用することができる。基板32上に、順次、平坦化されたアルミニウム電極/ミラー34、任意に電子または正孔輸送層44、発光高分子46、および透明電極48が堆積される。透明電極は例えば、適当に透明となる厚さの、高仕事関数金属の薄層49、導電性高分子層50およびITO層51からなることができる。側面も含めてアレイの全LEDを封止するカプセル化層/バリヤ52がディスプレイ構造のこの例を完了させ、それら3ピクセルが図5に示されている。
【0038】
図5に示すディスプレイの製作において、平坦な金属ミラー34がミラー間の間隙を最小にして各ピクセルの大部分の面積を覆うように基板32(好ましくは、CMOSまたはbi-CMOSバックプレーン)の表面に被せられる。グローバルおよびローカル平坦化を向上させるために化学機械研磨を使用することができる。
【0039】
高分子と関連する材料との層を、集積回路層のパターニングに使用されるホトレジスト塗布用に現在使用されている装置を使用する自動化された技術で、堆積することができる。それにより各層に対する精密な制御と均一な厚さとが得られる。あるいは、高分子層をインクジェットプリントすることができる。稀土類キレートを真空蒸着することができる。
【0040】
カプセル化層52は各ピクセル内の透明電極への接続を行った後で被せられる。カプセル化、および恐らくはピクセルの組み立て、は部分真空下の清浄な乾燥状態、あるいは適切な不活性または制御された雰囲気内で実施される。
【0041】
本発明のディスプレイはロバストであり、有機LEDはうまく保護されるが、製作およびカプセル化は単純化されている。熱として発生される電力は管理できなければならないが、各要素を駆動するのに使用される電流または電圧を低減することにより減少させることができる。電流ルーティング問題が生じる場合には、シリコンチップ上で多数の電源ボンドパッドを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に従ったデバイスは下記のいずれかを実現するのに使用することができる。
・ 光電子ディスプレイ
・ ニューラルネットワークとデジタル並列網とを含む光電子計算システム
・ データコム/テレコム、光バックプレーンおよびチップ−ツー−チップ(インターおよびイントラ)配線における電気/電子領域と光領域との間の光電子インターフェイス
・ データコム/テレコムと光バックプレーンと計算配線とに対する光電子クロスコネクト、スイッチ、バァッファ、アッド/ドロップマルチプレクサ
・ デジタル写真とホトリソグラフィと材料処理とに対するスマートセンサおよび/またはプリンタ
・ パターン認識、圧縮データ、イメージエンハンスメント、スマートレゾルーション、スマートゲイン、スマート色変換等の統合機能を有するスマートセンサおよび/またはディスプレイ。
【0043】
本明細書における動詞“含む(to comprise)”の全ての形式は“からなるまたは含む(to consist of or include)”を意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブ回路(8)を提供する基板(7)と、回路電気配線(9)と、複数のパッド接続(10)とを順に含む光電子デバイスであって、
該光電子デバイスは、更に、
導電性層と、有機導電性層と、正孔輸送層と、電子輸送層と、有機発光層とからなる第1の一連の層(11)であって、ひとつの前記パッド接続(10)上に配置される前記第1の一連の層(11)と、
導電性層と、有機導電性層と、正孔輸送層と、電子輸送層と、有機発光層とからなる第2の一連の層(12)であって、他のひとつの前記パッド接続(10)上に配置される前記第2の一連の層(12)と、
透明電極を形成する透明導電層(13)と、を含むことによって、スマートピクセルのアレイを提供し、
各スマートピクセルは、前記アクティブ回路の一部を含む前記光電子デバイス。
【請求項2】
請求項1記載のデバイスであって、前記基板は半導体層を含む前記デバイス。
【請求項3】
請求項2記載のデバイスであって、前記基板はシリコン層を含む前記デバイス。
【請求項4】
請求項3記載のデバイスであって、前記シリコン層は絶縁材料層上に重なる前記デバイス。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかひとつに記載のデバイスであって、基板の表面が平滑化または研磨されて、平坦な表面を作り出す前記デバイス。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記アレイは前記ピクセル内に情報を電子的に処理することができるスマートピクセルを含む前記デバイス。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記アレイは前記ピクセル内に情報を格納することができるスマートピクセルを含む前記デバイス。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかひとつに記載のデバイスであって、一つ以上の他のピクセルに対して情報を送受信する前記アレイのスマートピクセルを介して、電気的手段を含む前記デバイス。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかひとつに記載のデバイスであって、一つ以上の他のピクセルに対して情報を送受信する前記アレイのスマートピクセルを介して、光学的手段を含む前記デバイス。
【請求項10】
請求項8または9記載のデバイスであって、前記一つ以上の他のピクセルは別のアレイ内にある前記デバイス。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記アレイは光信号を電気信号に変換することができる変換手段を含むスマートピクセルを含む前記デバイス。
【請求項12】
請求項11記載のデバイスであって、前記変換手段はPN接合ダイオードとPINダイオードとホトトランジスタと光導電体との少なくとも一つを含む前記デバイス。
【請求項13】
請求項11または12記載のデバイスであって、前記変換手段は前記アクティブ回路内にある前記デバイス。
【請求項14】
請求項11または12記載のデバイスであって、前記変換手段は基板上に形成された少なくとも一つの有機層を含む前記デバイス。
【請求項15】
請求項1から14のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記アレイは電気信号を光信号に変換することができるスマートピクセルを含む前記デバイス。
【請求項16】
請求項15記載のデバイスであって、電気信号を光信号に変換することができる前記スマートピクセルは基板上の層内に形成された有機発光ダイオードの構成に接続された前記デバイス。
【請求項17】
請求項15記載のデバイスであって、電気信号を光信号に変換することができる前記スマートピクセルは基板上の層内に形成された有機光変調器または増幅器の構成に接続された前記デバイス。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記アレイは電気信号の制御下で光を修正または増幅することができる前記スマートピクセルを含む前記デバイス。
【請求項19】
請求項1から18のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記スマートピクセルの少なくとも一つのアクティブ回路部は、データバァッファリングと多重化と多重分離化とデータプロトコル処理とから選択される機能を提供するようにされた前記デバイス。
【請求項20】
請求項1から19のいずれかひとつに記載のデバイスであって、空間と時間と波長多重化との一つにより提供される並列通信リンクを含む前記デバイス。
【請求項21】
請求項20記載のデバイスであって、異なるピクセルが、波長多重化を生じるために異なる色の光を、優先的に発光および/または吸収する前記デバイス。
【請求項22】
請求項21記載のデバイスであって、選択された波長の狭帯域ソースを提供する微細キャビティピクセル構造を含む前記デバイス。
【請求項23】
請求項22記載のデバイスであって、前記構造はピクセルからピクセルへ前記波長を変えるように別々にドープされる前記デバイス。
【請求項24】
請求項23記載のデバイスであって、狭帯域ホトルミネセント色変換ピクセル構造を含む前記デバイス。
【請求項25】
請求項1から24のいずれかひとつに記載のデバイスであって、ポイント−ツー−ポイント光電子通信リンクを含む前記デバイス。
【請求項26】
請求項1から24のいずれかひとつに記載のデバイスであって、マルチキャスト光電子通信リンクを含む前記デバイス。
【請求項27】
請求項1から24のいずれかひとつに記載のデバイスであって、同報光電子通信リンクを含む前記デバイス。
【請求項28】
請求項25,26または27に記載のデバイスであって、前記光電子通信リンクは変更可能である前記デバイス。
【請求項29】
請求項25から28のいずれかひとつに記載のデバイスであって、同じ基板上に前記スマートピクセルと共に集積された光導波路構造を含む前記デバイス。
【請求項30】
請求項1から29のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記スマートピクセルはインテリジェントイメージセンサとして構成される前記デバイス。
【請求項31】
請求項30記載のデバイスであって、前記スマートピクセルはその上に入射する光をデジタル表現に変換して、該表現を格納するようにされている前記デバイス。
【請求項32】
請求項1から31のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記スマートピクセルはイメージエンハンスメント、等化またはデータ暗号化等の局所化された画像処理操作を実施するようにされている前記デバイス。
【請求項33】
請求項1から32のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記スマートピクセルはインテリジェント画像ディスプレイとして構成された前記デバイス。
【請求項34】
請求項1から33のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記スマートピクセルはプリンタとして構成され、ピクセルアレイ上の記憶装置から感光膜へ画像を転送するのに光信号が使用される前記デバイス。
【請求項35】
請求項1から34のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記有機層は高分子を含む前記デバイス。
【請求項36】
請求項1から35のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記有機層は単量体を含む前記デバイス。
【請求項37】
請求項1から36のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記有機層は遷移金属キレートを含む前記デバイス。
【請求項38】
請求項1から37のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記スマートピクセルは電子輸送材料層と正孔輸送材料層と保護キャップ材料層と導電性高分子材料層とから選択される少なくとも更に一層を含む前記デバイス。
【請求項39】
請求項1から38のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記有機層と接触する光透過電極を含む前記デバイス。
【請求項40】
請求項40記載のデバイスであって、前記光透過電極は前記有機層の前記基板から隔てた側にある前記デバイス。
【請求項41】
請求項40記載のデバイスであって、前記光透過電極は導電性高分子を含む前記デバイス。
【請求項42】
請求項41記載のデバイスであって、前記導電性高分子は分子的に変えられたポリ(チオフェン)である前記デバイス。
【請求項43】
請求項42記載のデバイスであって、前記導電性高分子はポリ(エチレンジオキシチオフェン)である前記デバイス。
【請求項44】
請求項43記載のデバイスであって、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)はポリ(ビニルアルコール)がブレンドされた前記デバイス。
【請求項45】
請求項41から44のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記光透過電極は、更に、前記基板から最も隔てた前記ピクセルの前記有機層上に、indium tin oxideと、もう一つの光透過金属または金属酸化物と、導電性エポキシ樹脂と、から選択される更に一つの層を含む前記デバイス。
【請求項46】
請求項1から45のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記デバイスの前記表面上に少なくとも一つの有機カプセル化層を含む前記デバイス。
【請求項47】
請求項1から46のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記基板上に堆積された、アルミニウムと、タングステンと、ニッケルと、コバルトと、プラチナと、パラジウムと、ニオビウムと、セレンと、金と、クロムと、タンタルと、ハフニウムと、テクネチウムおよびそれらの合金と、indium tin oxideと、から選択された、高仕事関数と、光透過と、導電性材料と、から形成された電極を含む前記デバイス。
【請求項48】
請求項1から47のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記安定な金属上に重なる導電性高分子層を有する安定な金属電極を含む前記デバイス。
【請求項49】
請求項47または48記載のデバイスであって、前記電極は各ピクセルの後ろでミラーとして作用するようにされている前記デバイス。
【請求項50】
請求項1から49のいずれかひとつに記載のデバイスであって、前記基板は画像を生成するように前記ピクセルのアレイをアドレスする情報を処理する回路を有する前記デバイス。
【請求項51】
請求項1記載のデバイスであって、前記有機層は前記基板上に直接集積される前記デバイス。
【請求項52】
請求項1記載のデバイスであって、前記有機層は個別に形成されてハイブリッド化される前記デバイス。
【請求項53】
請求項1記載のデバイスであって、前記水溶液は前記光透過ピクセル電極の底部コンタクトとして働く導電性ピクセルパッドのアレイを形成する前記デバイス。
【請求項54】
請求項51,52または53記載のデバイスであって、indium tin oxideと、導電性高分子と、少なくとも一層の光透過電極と、の一つが被覆されたガラスまたはプラスチックシートがピクセルの基板から最も隔てた前記有機層または前記電極のもう一つの層に固着されて、酸素または水の浸入に対する障壁として働く前記デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−4041(P2010−4041A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142912(P2009−142912)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【分割の表示】特願2002−535172(P2002−535172)の分割
【原出願日】平成13年10月10日(2001.10.10)
【出願人】(501435978)マイクロエミッシブ ディスプレイズ リミティド (2)
【Fターム(参考)】