内部検出装置
【課題】 設置の自由度が大きく、かつ誤りが少ない内部検出装置を提供する。
【解決手段】 内部検出装置は、少なくとも1種類が近赤外線でありかつ互いに異なる波長である2種類以上の電磁波すなわち700nmから1000nmまでのいずれかの波長の近赤外線および可視光を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射する光源62と、生体から反射した電磁波を検出するイメージセンサ65と、反射した電磁波が結ぶ像のデータを記憶する第1メモリ68と、近赤外線が結ぶ像のうち、近赤外線以外の電磁波である可視光が結ぶ像とは異なる部分の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成する差分演算部69とを含む。
【解決手段】 内部検出装置は、少なくとも1種類が近赤外線でありかつ互いに異なる波長である2種類以上の電磁波すなわち700nmから1000nmまでのいずれかの波長の近赤外線および可視光を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射する光源62と、生体から反射した電磁波を検出するイメージセンサ65と、反射した電磁波が結ぶ像のデータを記憶する第1メモリ68と、近赤外線が結ぶ像のうち、近赤外線以外の電磁波である可視光が結ぶ像とは異なる部分の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成する差分演算部69とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部検出装置に関し、特に、血管パターンの画像を作成できる内部検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の個人認証技術は、指紋認証に代表される。指紋認証には、偽造が可能であるという問題点が存在する。他人の指紋の入手が容易であるからである。他人の指紋の入手が容易である理由は、指紋が指で触れた対象物から採取できるからである。指紋認証には、指紋が計測できない場合があるという問題点がある。指紋が計測できない理由は、一部の者(美容師などといった指先を用いる職業に従事する者)において、指紋が摩耗するためである。これらのことが、近年、指紋認証以外の個人認証技術を発達させる要因となっている。
【0003】
特許文献1には、被検体を透過した光による第1の像を得る第1像撮像回路と、被検体からの反射光による第2の像を得る第2像撮像回路と、第1および第2の像の信号を用いて第1の像の付与情報を除き被検体の血管映像を得る演算処理装置を含む検出装置を開示する。特許文献1に開示された検出装置によると、個人の静脈血管パターンを精度よく検出できる。
【0004】
特許文献2には、生体の撮像箇所に対して光を照射する光源と、撮像箇所からの透過光を検出して生体の撮像を行なう撮像部と、撮像部により変換された画像から生体の血管走行パターンを抽出して予め登録された血管パターンと比較する画像演算部とを有し、光源から照射される光量は撮像された画像の画像情報に応じて最適化されることを特徴とする認証装置を開示する。特許文献2に開示された認証装置によると、認証率の低下を防ぐことができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明および特許文献2に開示された発明では、設置の自由度が大きく制限されるという問題点がある。たとえば建物の壁面へ設置できるに過ぎない。携帯端末などへの搭載は不可能である。このような問題点が生じるのは、次のような理由が存在するからである。第1の理由は、光源と撮像素子とを、指がそれらの間に必ず挟まれるように、配置しなくてはならないという理由である。第2の理由は、外光(環境光)が入り込まないような工夫が必要であるという理由である。
【0006】
特許文献1に開示された発明および特許文献2に開示された発明では、検出したパターンに誤りが多くなるという問題点もある。通常行なわれる画像処理が誤りを増加させるからである。画像処理が必要なのは、指の屈曲に起因する皺、指に付着した汚れ、および外光の影響を除外しなくてはならないからである。
【特許文献1】特開平11−203452号公報
【特許文献2】特開2002−92616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は実施の形態の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、設置の自由度が大きく、かつ誤りが少ない内部検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のある局面にしたがうと、内部検出装置は、少なくとも1種類が生体の内部で反射する第1の電磁波でありかつ互いに異なる波長である2種類以上の電磁波を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射するための照射手段と、生体から反射した電磁波を検出するための検出手段と、反射した電磁波が結ぶ像のデータを記憶するための記憶手段と、生体の内部で反射する第1の電磁波が結ぶ像のうち、第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成するための作成手段とを含む。
【0009】
すなわち、第1の電磁波および第2の電磁波は、互いに波長が異なる。波長が異なると生体の内部の部位ごとに反射する割合の組合せが異なることがある。生体の内部において反射する割合自体が異なることもある。第1の電磁波が結ぶ像および第2の電磁波が結ぶ像は、生体から反射した電磁波により得られる。作成手段は、生体の内部で反射する第1の電磁波が結ぶ像のうち、第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成する。これにより、生体から反射した電磁波を用いて、生体の内部の誤りが少ない画像が得られる。生体から反射した電磁波を用いるので、設置の自由度は大きくなる。その結果、設置の自由度が大きく、かつ誤りが少ない内部検出装置を提供することができる。
【0010】
また、上述の第1の電磁波は、赤外線を含むことが望ましい。あわせて、第2の電磁波は可視光を含むことが望ましい。
【0011】
すなわち、第1の電磁波は赤外線を含む。第2の電磁波は可視光を含む。赤外線は、生体の内部で反射する。可視光は、生体の内部において反射する割合がきわめて少ない。作成手段は、生体の内部で反射する第1の電磁波が結ぶ像のうち、第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成する。これにより、生体の内部以外の部分の影響が除去されるので、生体の内部の誤りがより少ない画像が得られる。その結果、設置の自由度が大きく、かつ誤りがより少ない内部検出装置を提供することができる。
【0012】
また、上述の赤外線は、700nmから1000nmまでのいずれかの波長の赤外線を含むことが望ましい。
【0013】
すなわち、赤外線は、700nmから1000nmまでのいずれかの波長の赤外線を含む。700nmから1000nmまでのいずれかの波長の赤外線は、それ以外の赤外線に対し、ヘモグロビンが存在する部位において反射する割合の組合せが特に異なる。これにより、ヘモグロビンが存在する部位においては、誤りが極めて少なくなる。その結果、設置の自由度が大きく、誤りがより少なく、かつヘモグロビンが存在する部位において極めて誤りを少なくできる内部検出装置を提供することができる。
【0014】
本発明の他の局面にしたがうと、内部検出装置は、少なくとも1種類が生体の内部で反射する第1の電磁波でありかつ互いに異なる波長である2種類以上の電磁波を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射するための照射手段と、生体から反射した電磁波を検出するための検出手段と、反射した電磁波が結ぶ像のデータを記憶するための第1の記憶手段と、第1の電磁波が結ぶ像のうち、第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分を表わす第1の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成するための第1の作成手段と、生体の内部に侵入できかつ第1の電磁波および第2の電磁波のいずれとも異なる第3の電磁波が結ぶ像のうち、第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分を表わす第2の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成するための第2の作成手段と、第1の画像および第2の画像のいずれかを記憶するための第2の記憶手段と、第1の画像のうち、第2の画像に共通し、かつ第1の画像と第2の画像とで明度が異なる部分を表わす画像を作成するための第3の作成手段とを含む。
【0015】
すなわち、第1の電磁波および第2の電磁波は、互いに波長が異なる。第2の電磁波および第3の電磁波も、互いに波長が異なる。波長が異なると生体の内部の部位ごとに反射する割合の組合せが異なることがある。生体の内部において反射する割合自体が異なることもある。第1の電磁波が結ぶ像、第2の電磁波が結ぶ像、および第3の電磁波が結ぶ像は、生体から反射した電磁波により得られる。第1の作成手段は、第1の電磁波が結ぶ像のうち、第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分を表わす第1の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成する。第2の作成手段は、生体の内部に侵入できかつ第1の電磁波および第2の電磁波のいずれとも異なる第3の電磁波が結ぶ像のうち、第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分を表わす第2の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成する。第3の作成手段は、第1の画像のうち、第2の画像に共通し、かつ第1の画像と第2の画像とで明度が異なる部分を表わす画像を作成する。これにより、生体から反射した電磁波を用いて、生体の内部の部位ごとに、誤りが少ない画像が得られる。生体から反射した電磁波を用いるので、設置の自由度は大きくなる。その結果、設置の自由度が大きく、かつ誤りが少ない内部検出装置を提供することができる。
【0016】
また、上述の第1の電磁波は、700nmから800nmまでの波長の赤外線を含むことが望ましい。あわせて、第3の電磁波は、800nmから1000nmまでの波長の赤外線を含むことが望ましい。
【0017】
すなわち、第1の電磁波は、700nmから800nmまでの波長の赤外線を含む。第3の電磁波は、800nmから1000nmまでの波長の赤外線を含む。700nmから800nmまでの波長の赤外線は、800nmから1000nmまでの波長の赤外線に対し、静脈において反射する割合が低い。800nmから1000nmまでの波長の赤外線は、700nmから800nmまでの波長の赤外線に対し、動脈において反射する割合が低い。これにより、生体から反射した電磁波を用いて、動脈および静脈において誤りが少ない画像が得られる。生体から反射した電磁波を用いるので、設置の自由度は大きくなる。その結果、設置の自由度が大きく、かつ動脈および静脈において誤りが少ない内部検出装置を提供することができる。
【0018】
また、上述の800nmから1000nmまでの波長の赤外線は、第1の電磁波に対する波長の差が100nm以上ある電磁波を含むことが望ましい。
【0019】
すなわち、第3の電磁波は、第1の電磁波に対する波長の差が100nm以上ある電磁波を含む。これにより、反射する割合の組合せが異なる可能性が高くなる。その可能性が高くなると、生体から反射した電磁波により得られる像において、動脈および静脈における明度の差異はより高くなる。明度の差異が高くなると、画像の誤りは少なくなる。その結果、設置の自由度が大きく、かつ動脈および静脈において誤りがより少ない内部検出装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る内部検出装置は、設置の自由度を大きく、かつ誤りを少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0022】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態に係る内部検出装置について説明する。
【0023】
図1を参照して、本実施の形態に係る内部検出装置は、光源62と、調整器63と、駆動部64と、イメージセンサ65と、センサ制御部66と、AD(Analog-to-Digital)変換器67と、第1メモリ68と、差分演算部69と、第2メモリ70と、メイン制御部71とを含む。光源62は、人体(指や掌など)61に対し電磁波を照射する。本実施の形態の場合、光源62は、少なくとも1種類が生体の内部で反射する第1の電磁波でありかつ互いに異なる波長である2種類の電磁波を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射する。2種類の電磁波のうち1種類目は、可視光(波長400〜700nm、たとえば一例として400nm)である。2種類目は、近赤外線(波長700〜1200nm、たとえば一例として1000nm)である。本実施の形態に係る光源62は、2種類のLED(Light-Emitting Diode)を備えることにより、2種類の電磁波を照射できる。LEDは、本実施の形態に係る内部検出装置の、電磁波の発生源として適している。LEDは特定の波長の電磁波のみを発生できるからである。調整器63は、光源62が照射する電磁波の強度を調整する。本実施の形態に係る調整器63は、光源62の2種類の電磁波を独立して調整できる。駆動部64は、光源62が照射する電磁波の種類および発生のタイミングを制御する。イメージセンサ65は、生体である人体61から反射した電磁波を検出する。本実施の形態に係るイメージセンサ65は公知のCCD(Charge-Coupled Device)である。このようなイメージセンサは、可視光(波長約400nm)から近赤外線(波長約1200nm)までの電磁波を検出できる。電磁波の種類ごとに異なるイメージセンサを設ける必要性はない。本実施の形態に係るイメージセンサ65は、シリコンによって形成されている。本実施の形態に係るイメージセンサ65は、モノクロタイプのイメージセンサである。本実施の形態の場合、2種類以上の波長の電磁波を同時に検出する必要がないためである。特に多角的な像を得たい場合、複数のイメージセンサを用いてもよい(複数のイメージセンサを用いる場合については後述する)。本実施の形態に係るイメージセンサ65は、赤外線カットフィルタを備えていない。近赤外線を検出する必要があるからである。センサ制御部66は、イメージセンサ65を直接制御する。AD変換器67は、イメージセンサ65の出力(アナログ出力)をデジタル出力に変換する。第1メモリ68は、反射した可視光および近赤外線が結ぶ像のデータを記憶する。差分演算部69は、第1メモリ68が保存したデータに対する処理を実施する。具体的な処理の内容は後述する。第2メモリ70は、差分演算部69による処理の結果得られたデータを保存する。メイン制御部71は、駆動部64、センサ制御部66、差分演算部69をそれぞれ制御する。
【0024】
図2を参照して、本実施の形態に係る内部検出装置で実行されるプログラムは、血管パターンの画像の抽出に関し、以下のような制御構造を有する。
【0025】
ステップ100(以下、ステップをSと略す。)にて、メイン制御部71は、駆動部64およびセンサ制御部66に、人体61から反射した可視光を検出する旨の信号を出力する。駆動部64は、調整器63に、可視光の強度を合わす信号を出力する。調整器63は、光源62が照射する可視光の強度を調整する。強度が調整されると、駆動部64は、光源62に可視光を発生させる。光源62が発生させた可視光は人体61を照射する。センサ制御部66は、イメージセンサ65に人体61から反射した可視光を検出する旨の信号を出力する。イメージセンサ65は、光源62が照射し、かつ人体61から反射した可視光を検出する。
【0026】
S102にて、メイン制御部71は、駆動部64およびセンサ制御部66に、人体61から反射した近赤外線を検出する旨の信号を出力する。駆動部64は、調整器63に、近赤外線の強度を表わす信号を出力する。調整器63は、光源62が発生させる近赤外線の強度を調整する。駆動部64は、光源62に、近赤外線を発生させる。光源62は、近赤外線を人体61に照射する。センサ制御部66は、イメージセンサ65に人体61から反射した近赤外線を検出する旨の信号を出力する。イメージセンサ65は、光源62が照射し、かつ人体61から反射した近赤外線を検出する。AD変換器67は、イメージセンサ65が出力したデータをデジタルデータに変換する。第1メモリ68は、AD変換器67が出力したデータを保存する。
【0027】
S104にて、メイン制御部71は、差分演算部69に、反射した可視光の像と反射した近赤外線の像とを比較する旨の信号を出力する。差分演算部69は、第1メモリ68から、反射した可視光の像のデータと反射した近赤外線の像のデータとを読出す。データが読出されると、差分演算部69は、反射した可視光の像と反射した近赤外線の像とを比較する。
【0028】
S106にて、差分演算部69は、人体61の内部で反射する近赤外線が結ぶ像のうち、近赤外線以外の電磁波である可視光が結ぶ像とは異なる部分の画像を、反射した可視光の像のデータと反射した近赤外線の像のデータとから作成する。このために、差分演算部69は、反射した近赤外線の像から反射した可視光の像に共通する部分を取除くように、近赤外線の像のデータを修正する。このとき共通する部分を確実に除去するために、S100およびS102における、電磁波の強度、電磁波の照射を継続する時間、およびイメージセンサ65が電磁波を検出する時間が予め調整されている。これらの値は、内部検出装置のメーカが予め定めてある。S108にて、差分演算部69は、第2メモリ70に、反射した近赤外線の像(S106にて画像が除去されたもの)を記憶させる。
【0029】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、内部検出装置の動作について説明する。
【0030】
光源62は可視光を人体61に照射する。イメージセンサ65は、光源62が照射し、かつ人体61から反射した可視光を検出する(S100)。図4に、可視光がどのように反射するかを示す。可視光81はすべて指14の表面で反射する。画像が撮像されると、光源62は、近赤外線を人体61に照射する。イメージセンサ65は、光源62が照射し、かつ人体61から反射した近赤外線を検出する(S102)。図5に、近赤外線がどのように反射するかを示す。近赤外線91の一部は指14の表面から数mmの深さまで侵入する。残りは指14の表面で反射する。指14の血管15に侵入した近赤外線91はヘモグロビンなどに吸収される。それ以外の近赤外線はすべて反射する。なお、S100およびS102における電磁波の検出は短い間(本実施の形態の場合0.1秒)に実施される。人体61が移動することによる影響を抑制するためである。図3を参照して、S100にて検出された像を表わす画像(1)およびS102にて検出された像を表わす画像(2)を示す。画像(2)には指14の汚れ16および皺17が現れている。画像(1)には、汚れ16および皺17に加え、血管15が現れている。このような差異が現れる理由は、図4および図5に示したような、反射される位置の相違にある。
【0031】
電磁波が検出されると、差分演算部69は、反射した可視光の像と反射した近赤外線の像とを比較する(S104)。図3の画像(1)および画像(2)に示すように、イメージセンサ65が検出した像には汚れ16および皺17が現れる。可視光だけでなく近赤外線も人体61の表面で反射するからである。可視光は人体61の表面でそのすべてが反射する。画像(1)には血管15が現れ、画像(2)には血管15が現れないこととなる。差分演算部69は反射した近赤外線の像から反射した可視光の像に共通する画像を除去する(S106)。これにより、画像(1)における汚れ16および皺17の画像が除去される。画像(3)はそれらが除去された後の画像である。血管15のみが鮮明に現れる。
【0032】
画像が除去されると、差分演算部69は、S106にて画像を除去した反射した近赤外線の像を第2メモリ70に記憶させる(S108)。
【0033】
以上のようにして、本実施の形態に係る内部検出装置は、人体の血管パターンを抽出することができる。血管パターンの抽出には、手指から反射した可視光や赤外線を用いる。反射した可視光や赤外線が用いられるので、光源やイメージセンサを手指の片側(指の腹側など)に設置できる。透過光を利用する必要がないので、設置の自由度は大きくなる。さらに、本実施の形態に係る内部検出装置は、可視光および赤外線をそれぞれ検出する。血管パターンは、可視光により得られた像と赤外線により得られた像とを単純に比較することで抽出される。高度な画像処理は不用になる。抽出された血管パターンの誤りは少なくなる。外光(環境光)の影響も排除される。その結果、設置の自由度が大きく、かつ誤りが少ない内部検出装置を提供することができる。
【0034】
なお、ガイド51に接した人体61を撮像することとしてもよい。図6は、ガイド51に接した人体61からの反射光を検出した場合の、血管の像を抽出する過程を表わす図である。本変形例におけるガイド51は、指14の形にあわせて加工されている。ガイド51が人体61の動きを制限するので、人体61の移動による影響が抑制される。ガイド51は、単に指14の周辺を固定する枠であってもよい。
【0035】
また、人体61は、手の甲などといった人体の指や掌以外の部分であってもよい。また、光源62が照射する電磁波は、3種類以上であってもよい。また、イメージセンサ65はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージャであってもよい。また、光源62はハロゲンランプに光学フィルタを組み合わせて、ハロゲンランプから発する広い波長範囲の電磁波のうち、特定の波長の電磁波を取り出すようにしたものでもよい。
【0036】
また、上述したように、複数のイメージセンサを用いて多角的な像を得てもよい。複数のイメージセンサを用いる場合、図7を参照して、内部検出装置は、イメージセンサ72と、AD変換器73とをさらに含む。内部検出装置は、差分演算部69に代えて、差分演算部74を含む。イメージセンサ72は、人体61から反射した電磁波を検出する。AD変換器73は、イメージセンサ72の出力(アナログ出力)をデジタル出力に変換する。イメージセンサ65およびイメージセンサ72は、それぞれ人体61の同じ部分から互いに異なる方向へ反射した電磁波を検出するように配置される(図7の場合、イメージセンサ65は人体61の左下に配置され、イメージセンサ72は人体61の右下に配置される)。この場合、電磁波を同時に検出することととする(電磁波を検出するタイミングは特に限定されるものではない)。同時に電磁波が検出されるので、センサ制御部66がイメージセンサ65およびイメージセンサ72を制御できる。差分演算部74は、差分演算部69と同様の処理に加え、次の処理のいずれかを実施する。第1の処理は、イメージセンサ65およびイメージセンサ72が検出した電磁波の像のデータをつなぎ合わせることにより、1つの像のデータを形成する処理である。第2の処理は、イメージセンサ65およびイメージセンサ72が検出した電磁波の像のデータから、反射した電磁波の立体的な像のデータを形成する処理である(具体的に立体的な像のデータを形成するための手順は、人間が2個の眼を用いて立体を認識する手順を用いるとよい)。第1の処理および第2の処理のいずれを実施するかということは、内部検出装置の設計者により任意に決定される。このとき、S106にて用いられる像のデータは、差分演算部74が第1の処理および第2の処理のいずれかにより形成した像のデータとなる。なお、その他のハードウェア構成および処理フローは上述の説明と同じであることとする。これにより、1つのイメージセンサを用いる場合に比べ、人体61のうち反射する電磁波を検出できる範囲を広げたり、人体61の一部から得られる情報を増やしたりすることができる。
【0037】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る内部検出装置について説明する。
【0038】
図8を参照して、本発明の実施の形態に係る内部検出装置は、第1の実施の形態に係る光源62に代えて光源82を含む。光源82は、3種類の電磁波を人体61に照射する。3種類の電磁波の1種類目は、可視光である。2種類目は、第1の近赤外線である。第1の近赤外線の波長は750nmである。第1の近赤外線の波長は700nmから800nmの範囲に含まれる。3種類目は、第2の近赤外線である。第2の近赤外線の波長は950nmである。第2の近赤外線の波長は800nmから1000nmの範囲に含まれる。第1の近赤外線および第2の近赤外線の波長は、波長の差が100nm以上離れている。波長の差が少なくなると、3種類の波長を用いる意味が失われるからである。これにより、光源82は、少なくとも1種類が生体である人体61の内部で反射する第1の近赤外線であって互いに異なる波長である2種類以上の電磁波を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射することができる。光源82は、ハロゲンランプに光学フィルタを組合せたものである。この光学フィルタは、上述した3種類の電磁波の発生タイミングが異なるように、ハロゲンランプが発した電磁波を遮蔽できる。本実施の形態において、この光学フィルタは、駆動部64により制御される。電磁波の強度は、調整器63により制御される。なお、その他のハードウェア構成については第1の実施の形態と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、それについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0039】
図9を参照して、内部検出装置で実行されるプログラムは、血管パターンの抽出に関し、以下のような制御構造を有する。なお、図9に示すフローチャートの中で、前述の図2に示した処理は同じステップ番号を付してある。それらの処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0040】
S202にて、メイン制御部71は、駆動部64およびセンサ制御部66に、人体61から反射した第1の近赤外線を検出する旨の信号を出力する。駆動部64は、調整器63に第1の近赤外線の強度を表わす信号を出力する。調整器63は、光源82の電磁波の強度を調整する。駆動部64は、光源82に第1の近赤外線を照射させる。センサ制御部66は、イメージセンサ65に、人体61から反射した第1の近赤外線を検出させる。イメージセンサ65は、検出したデータを出力する。AD変換器67は、イメージセンサ65が出力したアナログデータをデジタルデータに変換する。第1メモリ68は、AD変換器67が出力したデジタルデータを保存する。
【0041】
S204にて、メイン制御部71は、駆動部64およびセンサ制御部66に、人体61から反射した第2の近赤外線を検出する旨の信号を出力する。駆動部64は、調整器63に第2の近赤外線の強度を表わす信号を出力する。調整器63は、光源82の電磁波の強度を調整する。駆動部64は、光源82に第2の近赤外線を照射させる。センサ制御部66は、イメージセンサ65に、人体61から反射した第2の近赤外線を検出させる。イメージセンサ65は、検出したデータを出力する。AD変換器67は、イメージセンサ65が出力したアナログデータをデジタルデータに変換する。第1メモリ68は、AD変換器67が出力したデジタルデータを保存する。
【0042】
S206にて、メイン制御部71は、差分演算部69に、反射した可視光の像と反射した第1の近赤外線の像とを比較する旨の信号を出力する。差分演算部69は、第1メモリ68から、反射した可視光の像と反射した第1の近赤外線の像とを読出す。画像が読出されると、差分演算部69は、反射した可視光の像と反射した第1の近赤外線の像とを比較する。
【0043】
S208にて、メイン制御部71は、反射した可視光の像と反射した第2の近赤外線の像とを比較する旨の信号を差分演算部69に出力する。差分演算部69は、第1メモリ68から反射した可視光の像と反射した第2の近赤外線の像とを読出す。画像が読出されると、差分演算部69は、反射した可視光の像と反射した第2の近赤外線の像とを比較する。
【0044】
S210にて、差分演算部69は、第2の近赤外線の像から可視光の像に共通する部分を取除くように、第2の近赤外線の像のデータを修正する。差分演算部69は、画像が除去された後の像のデータを第2メモリ70に記憶させる。
【0045】
S212にて、差分演算部69は、第2メモリ70から、S106にて画像が除去された第1の近赤外線の像(画像(4))を読出す。差分演算部69は、第2メモリ70から、S210にて画像が除去された第2の近赤外線の像(画像(5))を読出す。画像が読出されると、差分演算部69は、画像(4)と画像(5)とを比較する。
【0046】
S214にて、差分演算部69は、画像(4)のうち、画像(5)に共通する画像であって画像(5)より明るく現れた画像を除去する。画像が除去されると、差分演算部69は、画像を除去した後の画像データを動脈パターンの画像データとして第2メモリ70に保存する。差分演算部69は、画像(4)のうち、画像(5)に共通する画像であって画像(5)より暗く現れた画像を除去する。差分演算部69は、画像が除去された後の画像データを静脈パターンの画像データとして第2メモリ70に保存する。これらにより、差分演算部69は、画像(4)のうち、画像(5)に共通し、かつ画像(4)と画像(5)とで明度が異なる部分を表わす画像を作成することとなる。
【0047】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、内部検出装置の動作について説明する。
【0048】
イメージセンサ65は、人体61から反射した第1の近赤外線を検出する(S202)。第1の近赤外線が検出されると、イメージセンサ65は、第2の近赤外線を検出する(S204)。可視光の検出から第2の近赤外線の検出までは短い時間(本実施の形態の場合0.1秒以内)に実施される。図10を参照して、このとき検出された電磁波が結ぶ像を表わす画像(1)〜画像(3)を示す。画像(1)は、第1の近赤外線が結ぶ像を表わす。画像(2)は可視光が結ぶ像を表わす。画像(3)は第2の近赤外線が結ぶ像を表わす。
【0049】
電磁波が検出されると、差分演算部69は、可視光の像と第2の近赤外線の像とを比較する(S206)。比較が実施されると、差分演算部69は、第1の近赤外線の像から可視光の像に共通する部分を取除くように、第1の近赤外線の像のデータを修正する(S106)。これにより、差分演算部69は、反射した第1の近赤外線が結ぶ像のうち、反射した第1の近赤外線以外の電磁波である可視光が結ぶ像とは異なる部分を表わす画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成することとなる。図10の画像(4)はこのとき可視光の像に共通する部分が除去された、第1の近赤外線の像を示す。
【0050】
差分演算部69は、可視光の像と第2の近赤外線の像とを比較する(S208)。比較が実施されると、差分演算部69は、第2の近赤外線の像から可視光の像に共通する部分を取除くように、第2の近赤外線の像のデータを修正する(S210)。これにより、差分演算部69は、生体の内部に侵入できかつ反射した第1の近赤外線および可視光のいずれとも異なる反射した第2の近赤外線が結ぶ像のうち、可視光が結ぶ像とは異なる部分を表わす画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成することとなる。図10に示す画像(5)はこのとき反射した可視光の像に共通する部分が除去された第2の近赤外線の像を示す。
【0051】
差分演算部69は、画像(4)と画像(5)とを比較する(S212)。図11を参照して、画像(4)および画像(5)に差異が現れる理由を説明する。図11は、血管中を流れるヘモグロビンの光(波長600nm〜1000nm)に対する吸収率を示す図である。図11の横軸は光の波長を示す。縦軸は吸収率を示す。この図は、ヘモグロビンが赤外線を吸収することを示す。このヘモグロビンが赤外線を吸収する性質により、血管のない部分に照射された近赤外線は反射する。反射した近赤外線はイメージセンサ65により検出される。血管がある部分に照射された近赤外線は吸収される。イメージセンサ65に検出されない。これらのことによって、イメージセンサ65が検出した像には、血管のない部分が明るく現れる。イメージセンサ65が検出した像には、血管がある部分が暗く現れる。また、酸化ヘモグロビンの吸収率と還元ヘモグロビンの吸収率とは、近赤外線の波長により異なる。700nmから800nmまでの範囲(特に750nm付近)の近赤外線に対しては、還元ヘモグロビンの吸収率が酸化ヘモグロビンの吸収率より高い。800nmから1000nmまでの範囲の近赤外線に対しては、酸化ヘモグロビンの吸収率が還元ヘモグロビンの吸収率より高い。酸化ヘモグロビンは酸素を含んだヘモグロビンである。酸化ヘモグロビンは、動脈血の中に多く含まれている。還元ヘモグロビンは、酸素を含まないヘモグロビンである。還元ヘモグロビンは、静脈血の中に多く含まれている。これにより、700nmから800nmまでの範囲(特に750nm付近)の近赤外線の像において、動脈の像が静脈の像より明るく現れる。800nmから1000nmまでの範囲の近赤外線の像において、静脈の像が動脈の像より明るく現れる。これにより、画像(4)および画像(5)に差異が現れる。画像(4)および画像(5)を比較することにより、動脈パターンの図が得られる。静脈パターンの図も得られる。波長画像が比較されると、差分演算部69は、静脈パターンの図を作成する(S214)。図10の画像(6)に静脈パターンの図を示す。差分演算部69は、動脈パターンの画像を作成する。図10に示す画像(7)は動脈パターンの図を示す。
【0052】
以上のようにして、本実施の形態に係る内部検出装置は、動脈パターンおよび静脈パターンの抽出をすることができる。これらのパターンの抽出にあたり、反射光が利用される。透過光は利用されない。これにより、設備の自由度が大きくなる。その結果、設備の自由度を大きくできる内部検出装置を提供することができる。
【0053】
また、光源82は特定の波長の電磁波を発生することのできるLEDであってもよい。
【0054】
なお、4種類以上の電磁波の像を用いて、パターンを抽出してもよい。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る内部検出装置の制御ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るパターン抽出処理の制御の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る内部検出装置が得た画像を示す図である。
【図4】可視光の反射を示す模式図である。
【図5】近赤外線による反射を示す模式図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の変形例に係るガイドに接した人体の像を抽出する過程を表わす図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る内部検出装置の制御ブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る内部検出装置の制御ブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るパターン抽出処理の制御の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る内部検出装置が得た画像を示す図である。
【図11】血液中のヘモグロビンの吸光度を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
14 指、15 血管、16 汚れ、17 皺、51 ガイド、61 人体、62,82 光源、63 調整器、64 駆動部、65,72 イメージセンサ、66 センサ制御部、67,73 AD変換器、68 第1メモリ、69,74 差分演算部、70 第2メモリ、71 メイン制御部、81 可視光、91 近赤外線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部検出装置に関し、特に、血管パターンの画像を作成できる内部検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の個人認証技術は、指紋認証に代表される。指紋認証には、偽造が可能であるという問題点が存在する。他人の指紋の入手が容易であるからである。他人の指紋の入手が容易である理由は、指紋が指で触れた対象物から採取できるからである。指紋認証には、指紋が計測できない場合があるという問題点がある。指紋が計測できない理由は、一部の者(美容師などといった指先を用いる職業に従事する者)において、指紋が摩耗するためである。これらのことが、近年、指紋認証以外の個人認証技術を発達させる要因となっている。
【0003】
特許文献1には、被検体を透過した光による第1の像を得る第1像撮像回路と、被検体からの反射光による第2の像を得る第2像撮像回路と、第1および第2の像の信号を用いて第1の像の付与情報を除き被検体の血管映像を得る演算処理装置を含む検出装置を開示する。特許文献1に開示された検出装置によると、個人の静脈血管パターンを精度よく検出できる。
【0004】
特許文献2には、生体の撮像箇所に対して光を照射する光源と、撮像箇所からの透過光を検出して生体の撮像を行なう撮像部と、撮像部により変換された画像から生体の血管走行パターンを抽出して予め登録された血管パターンと比較する画像演算部とを有し、光源から照射される光量は撮像された画像の画像情報に応じて最適化されることを特徴とする認証装置を開示する。特許文献2に開示された認証装置によると、認証率の低下を防ぐことができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された発明および特許文献2に開示された発明では、設置の自由度が大きく制限されるという問題点がある。たとえば建物の壁面へ設置できるに過ぎない。携帯端末などへの搭載は不可能である。このような問題点が生じるのは、次のような理由が存在するからである。第1の理由は、光源と撮像素子とを、指がそれらの間に必ず挟まれるように、配置しなくてはならないという理由である。第2の理由は、外光(環境光)が入り込まないような工夫が必要であるという理由である。
【0006】
特許文献1に開示された発明および特許文献2に開示された発明では、検出したパターンに誤りが多くなるという問題点もある。通常行なわれる画像処理が誤りを増加させるからである。画像処理が必要なのは、指の屈曲に起因する皺、指に付着した汚れ、および外光の影響を除外しなくてはならないからである。
【特許文献1】特開平11−203452号公報
【特許文献2】特開2002−92616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は実施の形態の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、設置の自由度が大きく、かつ誤りが少ない内部検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のある局面にしたがうと、内部検出装置は、少なくとも1種類が生体の内部で反射する第1の電磁波でありかつ互いに異なる波長である2種類以上の電磁波を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射するための照射手段と、生体から反射した電磁波を検出するための検出手段と、反射した電磁波が結ぶ像のデータを記憶するための記憶手段と、生体の内部で反射する第1の電磁波が結ぶ像のうち、第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成するための作成手段とを含む。
【0009】
すなわち、第1の電磁波および第2の電磁波は、互いに波長が異なる。波長が異なると生体の内部の部位ごとに反射する割合の組合せが異なることがある。生体の内部において反射する割合自体が異なることもある。第1の電磁波が結ぶ像および第2の電磁波が結ぶ像は、生体から反射した電磁波により得られる。作成手段は、生体の内部で反射する第1の電磁波が結ぶ像のうち、第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成する。これにより、生体から反射した電磁波を用いて、生体の内部の誤りが少ない画像が得られる。生体から反射した電磁波を用いるので、設置の自由度は大きくなる。その結果、設置の自由度が大きく、かつ誤りが少ない内部検出装置を提供することができる。
【0010】
また、上述の第1の電磁波は、赤外線を含むことが望ましい。あわせて、第2の電磁波は可視光を含むことが望ましい。
【0011】
すなわち、第1の電磁波は赤外線を含む。第2の電磁波は可視光を含む。赤外線は、生体の内部で反射する。可視光は、生体の内部において反射する割合がきわめて少ない。作成手段は、生体の内部で反射する第1の電磁波が結ぶ像のうち、第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成する。これにより、生体の内部以外の部分の影響が除去されるので、生体の内部の誤りがより少ない画像が得られる。その結果、設置の自由度が大きく、かつ誤りがより少ない内部検出装置を提供することができる。
【0012】
また、上述の赤外線は、700nmから1000nmまでのいずれかの波長の赤外線を含むことが望ましい。
【0013】
すなわち、赤外線は、700nmから1000nmまでのいずれかの波長の赤外線を含む。700nmから1000nmまでのいずれかの波長の赤外線は、それ以外の赤外線に対し、ヘモグロビンが存在する部位において反射する割合の組合せが特に異なる。これにより、ヘモグロビンが存在する部位においては、誤りが極めて少なくなる。その結果、設置の自由度が大きく、誤りがより少なく、かつヘモグロビンが存在する部位において極めて誤りを少なくできる内部検出装置を提供することができる。
【0014】
本発明の他の局面にしたがうと、内部検出装置は、少なくとも1種類が生体の内部で反射する第1の電磁波でありかつ互いに異なる波長である2種類以上の電磁波を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射するための照射手段と、生体から反射した電磁波を検出するための検出手段と、反射した電磁波が結ぶ像のデータを記憶するための第1の記憶手段と、第1の電磁波が結ぶ像のうち、第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分を表わす第1の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成するための第1の作成手段と、生体の内部に侵入できかつ第1の電磁波および第2の電磁波のいずれとも異なる第3の電磁波が結ぶ像のうち、第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分を表わす第2の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成するための第2の作成手段と、第1の画像および第2の画像のいずれかを記憶するための第2の記憶手段と、第1の画像のうち、第2の画像に共通し、かつ第1の画像と第2の画像とで明度が異なる部分を表わす画像を作成するための第3の作成手段とを含む。
【0015】
すなわち、第1の電磁波および第2の電磁波は、互いに波長が異なる。第2の電磁波および第3の電磁波も、互いに波長が異なる。波長が異なると生体の内部の部位ごとに反射する割合の組合せが異なることがある。生体の内部において反射する割合自体が異なることもある。第1の電磁波が結ぶ像、第2の電磁波が結ぶ像、および第3の電磁波が結ぶ像は、生体から反射した電磁波により得られる。第1の作成手段は、第1の電磁波が結ぶ像のうち、第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分を表わす第1の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成する。第2の作成手段は、生体の内部に侵入できかつ第1の電磁波および第2の電磁波のいずれとも異なる第3の電磁波が結ぶ像のうち、第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分を表わす第2の画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成する。第3の作成手段は、第1の画像のうち、第2の画像に共通し、かつ第1の画像と第2の画像とで明度が異なる部分を表わす画像を作成する。これにより、生体から反射した電磁波を用いて、生体の内部の部位ごとに、誤りが少ない画像が得られる。生体から反射した電磁波を用いるので、設置の自由度は大きくなる。その結果、設置の自由度が大きく、かつ誤りが少ない内部検出装置を提供することができる。
【0016】
また、上述の第1の電磁波は、700nmから800nmまでの波長の赤外線を含むことが望ましい。あわせて、第3の電磁波は、800nmから1000nmまでの波長の赤外線を含むことが望ましい。
【0017】
すなわち、第1の電磁波は、700nmから800nmまでの波長の赤外線を含む。第3の電磁波は、800nmから1000nmまでの波長の赤外線を含む。700nmから800nmまでの波長の赤外線は、800nmから1000nmまでの波長の赤外線に対し、静脈において反射する割合が低い。800nmから1000nmまでの波長の赤外線は、700nmから800nmまでの波長の赤外線に対し、動脈において反射する割合が低い。これにより、生体から反射した電磁波を用いて、動脈および静脈において誤りが少ない画像が得られる。生体から反射した電磁波を用いるので、設置の自由度は大きくなる。その結果、設置の自由度が大きく、かつ動脈および静脈において誤りが少ない内部検出装置を提供することができる。
【0018】
また、上述の800nmから1000nmまでの波長の赤外線は、第1の電磁波に対する波長の差が100nm以上ある電磁波を含むことが望ましい。
【0019】
すなわち、第3の電磁波は、第1の電磁波に対する波長の差が100nm以上ある電磁波を含む。これにより、反射する割合の組合せが異なる可能性が高くなる。その可能性が高くなると、生体から反射した電磁波により得られる像において、動脈および静脈における明度の差異はより高くなる。明度の差異が高くなると、画像の誤りは少なくなる。その結果、設置の自由度が大きく、かつ動脈および静脈において誤りがより少ない内部検出装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る内部検出装置は、設置の自由度を大きく、かつ誤りを少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0022】
<第1の実施の形態>
以下、本発明の第1の実施の形態に係る内部検出装置について説明する。
【0023】
図1を参照して、本実施の形態に係る内部検出装置は、光源62と、調整器63と、駆動部64と、イメージセンサ65と、センサ制御部66と、AD(Analog-to-Digital)変換器67と、第1メモリ68と、差分演算部69と、第2メモリ70と、メイン制御部71とを含む。光源62は、人体(指や掌など)61に対し電磁波を照射する。本実施の形態の場合、光源62は、少なくとも1種類が生体の内部で反射する第1の電磁波でありかつ互いに異なる波長である2種類の電磁波を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射する。2種類の電磁波のうち1種類目は、可視光(波長400〜700nm、たとえば一例として400nm)である。2種類目は、近赤外線(波長700〜1200nm、たとえば一例として1000nm)である。本実施の形態に係る光源62は、2種類のLED(Light-Emitting Diode)を備えることにより、2種類の電磁波を照射できる。LEDは、本実施の形態に係る内部検出装置の、電磁波の発生源として適している。LEDは特定の波長の電磁波のみを発生できるからである。調整器63は、光源62が照射する電磁波の強度を調整する。本実施の形態に係る調整器63は、光源62の2種類の電磁波を独立して調整できる。駆動部64は、光源62が照射する電磁波の種類および発生のタイミングを制御する。イメージセンサ65は、生体である人体61から反射した電磁波を検出する。本実施の形態に係るイメージセンサ65は公知のCCD(Charge-Coupled Device)である。このようなイメージセンサは、可視光(波長約400nm)から近赤外線(波長約1200nm)までの電磁波を検出できる。電磁波の種類ごとに異なるイメージセンサを設ける必要性はない。本実施の形態に係るイメージセンサ65は、シリコンによって形成されている。本実施の形態に係るイメージセンサ65は、モノクロタイプのイメージセンサである。本実施の形態の場合、2種類以上の波長の電磁波を同時に検出する必要がないためである。特に多角的な像を得たい場合、複数のイメージセンサを用いてもよい(複数のイメージセンサを用いる場合については後述する)。本実施の形態に係るイメージセンサ65は、赤外線カットフィルタを備えていない。近赤外線を検出する必要があるからである。センサ制御部66は、イメージセンサ65を直接制御する。AD変換器67は、イメージセンサ65の出力(アナログ出力)をデジタル出力に変換する。第1メモリ68は、反射した可視光および近赤外線が結ぶ像のデータを記憶する。差分演算部69は、第1メモリ68が保存したデータに対する処理を実施する。具体的な処理の内容は後述する。第2メモリ70は、差分演算部69による処理の結果得られたデータを保存する。メイン制御部71は、駆動部64、センサ制御部66、差分演算部69をそれぞれ制御する。
【0024】
図2を参照して、本実施の形態に係る内部検出装置で実行されるプログラムは、血管パターンの画像の抽出に関し、以下のような制御構造を有する。
【0025】
ステップ100(以下、ステップをSと略す。)にて、メイン制御部71は、駆動部64およびセンサ制御部66に、人体61から反射した可視光を検出する旨の信号を出力する。駆動部64は、調整器63に、可視光の強度を合わす信号を出力する。調整器63は、光源62が照射する可視光の強度を調整する。強度が調整されると、駆動部64は、光源62に可視光を発生させる。光源62が発生させた可視光は人体61を照射する。センサ制御部66は、イメージセンサ65に人体61から反射した可視光を検出する旨の信号を出力する。イメージセンサ65は、光源62が照射し、かつ人体61から反射した可視光を検出する。
【0026】
S102にて、メイン制御部71は、駆動部64およびセンサ制御部66に、人体61から反射した近赤外線を検出する旨の信号を出力する。駆動部64は、調整器63に、近赤外線の強度を表わす信号を出力する。調整器63は、光源62が発生させる近赤外線の強度を調整する。駆動部64は、光源62に、近赤外線を発生させる。光源62は、近赤外線を人体61に照射する。センサ制御部66は、イメージセンサ65に人体61から反射した近赤外線を検出する旨の信号を出力する。イメージセンサ65は、光源62が照射し、かつ人体61から反射した近赤外線を検出する。AD変換器67は、イメージセンサ65が出力したデータをデジタルデータに変換する。第1メモリ68は、AD変換器67が出力したデータを保存する。
【0027】
S104にて、メイン制御部71は、差分演算部69に、反射した可視光の像と反射した近赤外線の像とを比較する旨の信号を出力する。差分演算部69は、第1メモリ68から、反射した可視光の像のデータと反射した近赤外線の像のデータとを読出す。データが読出されると、差分演算部69は、反射した可視光の像と反射した近赤外線の像とを比較する。
【0028】
S106にて、差分演算部69は、人体61の内部で反射する近赤外線が結ぶ像のうち、近赤外線以外の電磁波である可視光が結ぶ像とは異なる部分の画像を、反射した可視光の像のデータと反射した近赤外線の像のデータとから作成する。このために、差分演算部69は、反射した近赤外線の像から反射した可視光の像に共通する部分を取除くように、近赤外線の像のデータを修正する。このとき共通する部分を確実に除去するために、S100およびS102における、電磁波の強度、電磁波の照射を継続する時間、およびイメージセンサ65が電磁波を検出する時間が予め調整されている。これらの値は、内部検出装置のメーカが予め定めてある。S108にて、差分演算部69は、第2メモリ70に、反射した近赤外線の像(S106にて画像が除去されたもの)を記憶させる。
【0029】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、内部検出装置の動作について説明する。
【0030】
光源62は可視光を人体61に照射する。イメージセンサ65は、光源62が照射し、かつ人体61から反射した可視光を検出する(S100)。図4に、可視光がどのように反射するかを示す。可視光81はすべて指14の表面で反射する。画像が撮像されると、光源62は、近赤外線を人体61に照射する。イメージセンサ65は、光源62が照射し、かつ人体61から反射した近赤外線を検出する(S102)。図5に、近赤外線がどのように反射するかを示す。近赤外線91の一部は指14の表面から数mmの深さまで侵入する。残りは指14の表面で反射する。指14の血管15に侵入した近赤外線91はヘモグロビンなどに吸収される。それ以外の近赤外線はすべて反射する。なお、S100およびS102における電磁波の検出は短い間(本実施の形態の場合0.1秒)に実施される。人体61が移動することによる影響を抑制するためである。図3を参照して、S100にて検出された像を表わす画像(1)およびS102にて検出された像を表わす画像(2)を示す。画像(2)には指14の汚れ16および皺17が現れている。画像(1)には、汚れ16および皺17に加え、血管15が現れている。このような差異が現れる理由は、図4および図5に示したような、反射される位置の相違にある。
【0031】
電磁波が検出されると、差分演算部69は、反射した可視光の像と反射した近赤外線の像とを比較する(S104)。図3の画像(1)および画像(2)に示すように、イメージセンサ65が検出した像には汚れ16および皺17が現れる。可視光だけでなく近赤外線も人体61の表面で反射するからである。可視光は人体61の表面でそのすべてが反射する。画像(1)には血管15が現れ、画像(2)には血管15が現れないこととなる。差分演算部69は反射した近赤外線の像から反射した可視光の像に共通する画像を除去する(S106)。これにより、画像(1)における汚れ16および皺17の画像が除去される。画像(3)はそれらが除去された後の画像である。血管15のみが鮮明に現れる。
【0032】
画像が除去されると、差分演算部69は、S106にて画像を除去した反射した近赤外線の像を第2メモリ70に記憶させる(S108)。
【0033】
以上のようにして、本実施の形態に係る内部検出装置は、人体の血管パターンを抽出することができる。血管パターンの抽出には、手指から反射した可視光や赤外線を用いる。反射した可視光や赤外線が用いられるので、光源やイメージセンサを手指の片側(指の腹側など)に設置できる。透過光を利用する必要がないので、設置の自由度は大きくなる。さらに、本実施の形態に係る内部検出装置は、可視光および赤外線をそれぞれ検出する。血管パターンは、可視光により得られた像と赤外線により得られた像とを単純に比較することで抽出される。高度な画像処理は不用になる。抽出された血管パターンの誤りは少なくなる。外光(環境光)の影響も排除される。その結果、設置の自由度が大きく、かつ誤りが少ない内部検出装置を提供することができる。
【0034】
なお、ガイド51に接した人体61を撮像することとしてもよい。図6は、ガイド51に接した人体61からの反射光を検出した場合の、血管の像を抽出する過程を表わす図である。本変形例におけるガイド51は、指14の形にあわせて加工されている。ガイド51が人体61の動きを制限するので、人体61の移動による影響が抑制される。ガイド51は、単に指14の周辺を固定する枠であってもよい。
【0035】
また、人体61は、手の甲などといった人体の指や掌以外の部分であってもよい。また、光源62が照射する電磁波は、3種類以上であってもよい。また、イメージセンサ65はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージャであってもよい。また、光源62はハロゲンランプに光学フィルタを組み合わせて、ハロゲンランプから発する広い波長範囲の電磁波のうち、特定の波長の電磁波を取り出すようにしたものでもよい。
【0036】
また、上述したように、複数のイメージセンサを用いて多角的な像を得てもよい。複数のイメージセンサを用いる場合、図7を参照して、内部検出装置は、イメージセンサ72と、AD変換器73とをさらに含む。内部検出装置は、差分演算部69に代えて、差分演算部74を含む。イメージセンサ72は、人体61から反射した電磁波を検出する。AD変換器73は、イメージセンサ72の出力(アナログ出力)をデジタル出力に変換する。イメージセンサ65およびイメージセンサ72は、それぞれ人体61の同じ部分から互いに異なる方向へ反射した電磁波を検出するように配置される(図7の場合、イメージセンサ65は人体61の左下に配置され、イメージセンサ72は人体61の右下に配置される)。この場合、電磁波を同時に検出することととする(電磁波を検出するタイミングは特に限定されるものではない)。同時に電磁波が検出されるので、センサ制御部66がイメージセンサ65およびイメージセンサ72を制御できる。差分演算部74は、差分演算部69と同様の処理に加え、次の処理のいずれかを実施する。第1の処理は、イメージセンサ65およびイメージセンサ72が検出した電磁波の像のデータをつなぎ合わせることにより、1つの像のデータを形成する処理である。第2の処理は、イメージセンサ65およびイメージセンサ72が検出した電磁波の像のデータから、反射した電磁波の立体的な像のデータを形成する処理である(具体的に立体的な像のデータを形成するための手順は、人間が2個の眼を用いて立体を認識する手順を用いるとよい)。第1の処理および第2の処理のいずれを実施するかということは、内部検出装置の設計者により任意に決定される。このとき、S106にて用いられる像のデータは、差分演算部74が第1の処理および第2の処理のいずれかにより形成した像のデータとなる。なお、その他のハードウェア構成および処理フローは上述の説明と同じであることとする。これにより、1つのイメージセンサを用いる場合に比べ、人体61のうち反射する電磁波を検出できる範囲を広げたり、人体61の一部から得られる情報を増やしたりすることができる。
【0037】
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る内部検出装置について説明する。
【0038】
図8を参照して、本発明の実施の形態に係る内部検出装置は、第1の実施の形態に係る光源62に代えて光源82を含む。光源82は、3種類の電磁波を人体61に照射する。3種類の電磁波の1種類目は、可視光である。2種類目は、第1の近赤外線である。第1の近赤外線の波長は750nmである。第1の近赤外線の波長は700nmから800nmの範囲に含まれる。3種類目は、第2の近赤外線である。第2の近赤外線の波長は950nmである。第2の近赤外線の波長は800nmから1000nmの範囲に含まれる。第1の近赤外線および第2の近赤外線の波長は、波長の差が100nm以上離れている。波長の差が少なくなると、3種類の波長を用いる意味が失われるからである。これにより、光源82は、少なくとも1種類が生体である人体61の内部で反射する第1の近赤外線であって互いに異なる波長である2種類以上の電磁波を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射することができる。光源82は、ハロゲンランプに光学フィルタを組合せたものである。この光学フィルタは、上述した3種類の電磁波の発生タイミングが異なるように、ハロゲンランプが発した電磁波を遮蔽できる。本実施の形態において、この光学フィルタは、駆動部64により制御される。電磁波の強度は、調整器63により制御される。なお、その他のハードウェア構成については第1の実施の形態と同じである。それらについての機能も同じである。したがって、それについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0039】
図9を参照して、内部検出装置で実行されるプログラムは、血管パターンの抽出に関し、以下のような制御構造を有する。なお、図9に示すフローチャートの中で、前述の図2に示した処理は同じステップ番号を付してある。それらの処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
【0040】
S202にて、メイン制御部71は、駆動部64およびセンサ制御部66に、人体61から反射した第1の近赤外線を検出する旨の信号を出力する。駆動部64は、調整器63に第1の近赤外線の強度を表わす信号を出力する。調整器63は、光源82の電磁波の強度を調整する。駆動部64は、光源82に第1の近赤外線を照射させる。センサ制御部66は、イメージセンサ65に、人体61から反射した第1の近赤外線を検出させる。イメージセンサ65は、検出したデータを出力する。AD変換器67は、イメージセンサ65が出力したアナログデータをデジタルデータに変換する。第1メモリ68は、AD変換器67が出力したデジタルデータを保存する。
【0041】
S204にて、メイン制御部71は、駆動部64およびセンサ制御部66に、人体61から反射した第2の近赤外線を検出する旨の信号を出力する。駆動部64は、調整器63に第2の近赤外線の強度を表わす信号を出力する。調整器63は、光源82の電磁波の強度を調整する。駆動部64は、光源82に第2の近赤外線を照射させる。センサ制御部66は、イメージセンサ65に、人体61から反射した第2の近赤外線を検出させる。イメージセンサ65は、検出したデータを出力する。AD変換器67は、イメージセンサ65が出力したアナログデータをデジタルデータに変換する。第1メモリ68は、AD変換器67が出力したデジタルデータを保存する。
【0042】
S206にて、メイン制御部71は、差分演算部69に、反射した可視光の像と反射した第1の近赤外線の像とを比較する旨の信号を出力する。差分演算部69は、第1メモリ68から、反射した可視光の像と反射した第1の近赤外線の像とを読出す。画像が読出されると、差分演算部69は、反射した可視光の像と反射した第1の近赤外線の像とを比較する。
【0043】
S208にて、メイン制御部71は、反射した可視光の像と反射した第2の近赤外線の像とを比較する旨の信号を差分演算部69に出力する。差分演算部69は、第1メモリ68から反射した可視光の像と反射した第2の近赤外線の像とを読出す。画像が読出されると、差分演算部69は、反射した可視光の像と反射した第2の近赤外線の像とを比較する。
【0044】
S210にて、差分演算部69は、第2の近赤外線の像から可視光の像に共通する部分を取除くように、第2の近赤外線の像のデータを修正する。差分演算部69は、画像が除去された後の像のデータを第2メモリ70に記憶させる。
【0045】
S212にて、差分演算部69は、第2メモリ70から、S106にて画像が除去された第1の近赤外線の像(画像(4))を読出す。差分演算部69は、第2メモリ70から、S210にて画像が除去された第2の近赤外線の像(画像(5))を読出す。画像が読出されると、差分演算部69は、画像(4)と画像(5)とを比較する。
【0046】
S214にて、差分演算部69は、画像(4)のうち、画像(5)に共通する画像であって画像(5)より明るく現れた画像を除去する。画像が除去されると、差分演算部69は、画像を除去した後の画像データを動脈パターンの画像データとして第2メモリ70に保存する。差分演算部69は、画像(4)のうち、画像(5)に共通する画像であって画像(5)より暗く現れた画像を除去する。差分演算部69は、画像が除去された後の画像データを静脈パターンの画像データとして第2メモリ70に保存する。これらにより、差分演算部69は、画像(4)のうち、画像(5)に共通し、かつ画像(4)と画像(5)とで明度が異なる部分を表わす画像を作成することとなる。
【0047】
以上のような構造およびフローチャートに基づく、内部検出装置の動作について説明する。
【0048】
イメージセンサ65は、人体61から反射した第1の近赤外線を検出する(S202)。第1の近赤外線が検出されると、イメージセンサ65は、第2の近赤外線を検出する(S204)。可視光の検出から第2の近赤外線の検出までは短い時間(本実施の形態の場合0.1秒以内)に実施される。図10を参照して、このとき検出された電磁波が結ぶ像を表わす画像(1)〜画像(3)を示す。画像(1)は、第1の近赤外線が結ぶ像を表わす。画像(2)は可視光が結ぶ像を表わす。画像(3)は第2の近赤外線が結ぶ像を表わす。
【0049】
電磁波が検出されると、差分演算部69は、可視光の像と第2の近赤外線の像とを比較する(S206)。比較が実施されると、差分演算部69は、第1の近赤外線の像から可視光の像に共通する部分を取除くように、第1の近赤外線の像のデータを修正する(S106)。これにより、差分演算部69は、反射した第1の近赤外線が結ぶ像のうち、反射した第1の近赤外線以外の電磁波である可視光が結ぶ像とは異なる部分を表わす画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成することとなる。図10の画像(4)はこのとき可視光の像に共通する部分が除去された、第1の近赤外線の像を示す。
【0050】
差分演算部69は、可視光の像と第2の近赤外線の像とを比較する(S208)。比較が実施されると、差分演算部69は、第2の近赤外線の像から可視光の像に共通する部分を取除くように、第2の近赤外線の像のデータを修正する(S210)。これにより、差分演算部69は、生体の内部に侵入できかつ反射した第1の近赤外線および可視光のいずれとも異なる反射した第2の近赤外線が結ぶ像のうち、可視光が結ぶ像とは異なる部分を表わす画像を、反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成することとなる。図10に示す画像(5)はこのとき反射した可視光の像に共通する部分が除去された第2の近赤外線の像を示す。
【0051】
差分演算部69は、画像(4)と画像(5)とを比較する(S212)。図11を参照して、画像(4)および画像(5)に差異が現れる理由を説明する。図11は、血管中を流れるヘモグロビンの光(波長600nm〜1000nm)に対する吸収率を示す図である。図11の横軸は光の波長を示す。縦軸は吸収率を示す。この図は、ヘモグロビンが赤外線を吸収することを示す。このヘモグロビンが赤外線を吸収する性質により、血管のない部分に照射された近赤外線は反射する。反射した近赤外線はイメージセンサ65により検出される。血管がある部分に照射された近赤外線は吸収される。イメージセンサ65に検出されない。これらのことによって、イメージセンサ65が検出した像には、血管のない部分が明るく現れる。イメージセンサ65が検出した像には、血管がある部分が暗く現れる。また、酸化ヘモグロビンの吸収率と還元ヘモグロビンの吸収率とは、近赤外線の波長により異なる。700nmから800nmまでの範囲(特に750nm付近)の近赤外線に対しては、還元ヘモグロビンの吸収率が酸化ヘモグロビンの吸収率より高い。800nmから1000nmまでの範囲の近赤外線に対しては、酸化ヘモグロビンの吸収率が還元ヘモグロビンの吸収率より高い。酸化ヘモグロビンは酸素を含んだヘモグロビンである。酸化ヘモグロビンは、動脈血の中に多く含まれている。還元ヘモグロビンは、酸素を含まないヘモグロビンである。還元ヘモグロビンは、静脈血の中に多く含まれている。これにより、700nmから800nmまでの範囲(特に750nm付近)の近赤外線の像において、動脈の像が静脈の像より明るく現れる。800nmから1000nmまでの範囲の近赤外線の像において、静脈の像が動脈の像より明るく現れる。これにより、画像(4)および画像(5)に差異が現れる。画像(4)および画像(5)を比較することにより、動脈パターンの図が得られる。静脈パターンの図も得られる。波長画像が比較されると、差分演算部69は、静脈パターンの図を作成する(S214)。図10の画像(6)に静脈パターンの図を示す。差分演算部69は、動脈パターンの画像を作成する。図10に示す画像(7)は動脈パターンの図を示す。
【0052】
以上のようにして、本実施の形態に係る内部検出装置は、動脈パターンおよび静脈パターンの抽出をすることができる。これらのパターンの抽出にあたり、反射光が利用される。透過光は利用されない。これにより、設備の自由度が大きくなる。その結果、設備の自由度を大きくできる内部検出装置を提供することができる。
【0053】
また、光源82は特定の波長の電磁波を発生することのできるLEDであってもよい。
【0054】
なお、4種類以上の電磁波の像を用いて、パターンを抽出してもよい。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る内部検出装置の制御ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るパターン抽出処理の制御の手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る内部検出装置が得た画像を示す図である。
【図4】可視光の反射を示す模式図である。
【図5】近赤外線による反射を示す模式図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の変形例に係るガイドに接した人体の像を抽出する過程を表わす図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の変形例に係る内部検出装置の制御ブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る内部検出装置の制御ブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るパターン抽出処理の制御の手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る内部検出装置が得た画像を示す図である。
【図11】血液中のヘモグロビンの吸光度を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
14 指、15 血管、16 汚れ、17 皺、51 ガイド、61 人体、62,82 光源、63 調整器、64 駆動部、65,72 イメージセンサ、66 センサ制御部、67,73 AD変換器、68 第1メモリ、69,74 差分演算部、70 第2メモリ、71 メイン制御部、81 可視光、91 近赤外線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類が生体の内部で反射する第1の電磁波でありかつ互いに異なる波長である2種類以上の電磁波を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射するための照射手段と、
前記生体から反射した電磁波を検出するための検出手段と、
前記反射した電磁波が結ぶ像のデータを記憶するための記憶手段と、
生体の内部で反射する第1の電磁波が結ぶ像のうち、前記第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分の画像を、前記反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成するための作成手段とを含む、内部検出装置。
【請求項2】
前記第1の電磁波は赤外線を含み、
前記第2の電磁波は可視光を含む、請求項1に記載の内部検出装置。
【請求項3】
前記赤外線は、700nmから1000nmまでのいずれかの波長の赤外線を含む、請求項2に記載の内部検出装置。
【請求項4】
少なくとも1種類が生体の内部で反射する第1の電磁波でありかつ互いに異なる波長である2種類以上の電磁波を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射するための照射手段と、
前記生体から反射した電磁波を検出するための検出手段と、
前記反射した電磁波が結ぶ像のデータを記憶するための第1の記憶手段と、
前記第1の電磁波が結ぶ像のうち、前記第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分を表わす第1の画像を、前記反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成するための第1の作成手段と、
生体の内部に侵入できかつ前記第1の電磁波および第2の電磁波のいずれとも異なる第3の電磁波が結ぶ像のうち、前記第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分を表わす第2の画像を、前記反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成するための第2の作成手段と、
前記第1の画像および第2の画像のいずれかを記憶するための第2の記憶手段と、
前記第1の画像のうち、前記第2の画像に共通し、かつ前記第1の画像と第2の画像とで明度が異なる部分を表わす画像を作成するための第3の作成手段とを含む、内部検出装置。
【請求項5】
前記第1の電磁波は、700nmから800nmまでの波長の赤外線を含み、
前記第3の電磁波は、800nmから1000nmまでの波長の赤外線を含む、請求項4に記載の内部検出装置。
【請求項6】
前記800nmから1000nmまでの波長の赤外線は、前記第1の電磁波に対する波長の差が100nm以上ある電磁波である、請求項5に記載の内部検出装置。
【請求項1】
少なくとも1種類が生体の内部で反射する第1の電磁波でありかつ互いに異なる波長である2種類以上の電磁波を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射するための照射手段と、
前記生体から反射した電磁波を検出するための検出手段と、
前記反射した電磁波が結ぶ像のデータを記憶するための記憶手段と、
生体の内部で反射する第1の電磁波が結ぶ像のうち、前記第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分の画像を、前記反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成するための作成手段とを含む、内部検出装置。
【請求項2】
前記第1の電磁波は赤外線を含み、
前記第2の電磁波は可視光を含む、請求項1に記載の内部検出装置。
【請求項3】
前記赤外線は、700nmから1000nmまでのいずれかの波長の赤外線を含む、請求項2に記載の内部検出装置。
【請求項4】
少なくとも1種類が生体の内部で反射する第1の電磁波でありかつ互いに異なる波長である2種類以上の電磁波を、生体の同じ部分に1種類ずつ照射するための照射手段と、
前記生体から反射した電磁波を検出するための検出手段と、
前記反射した電磁波が結ぶ像のデータを記憶するための第1の記憶手段と、
前記第1の電磁波が結ぶ像のうち、前記第1の電磁波以外の電磁波である第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分を表わす第1の画像を、前記反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成するための第1の作成手段と、
生体の内部に侵入できかつ前記第1の電磁波および第2の電磁波のいずれとも異なる第3の電磁波が結ぶ像のうち、前記第2の電磁波が結ぶ像とは異なる部分を表わす第2の画像を、前記反射した電磁波が結ぶ像のデータから作成するための第2の作成手段と、
前記第1の画像および第2の画像のいずれかを記憶するための第2の記憶手段と、
前記第1の画像のうち、前記第2の画像に共通し、かつ前記第1の画像と第2の画像とで明度が異なる部分を表わす画像を作成するための第3の作成手段とを含む、内部検出装置。
【請求項5】
前記第1の電磁波は、700nmから800nmまでの波長の赤外線を含み、
前記第3の電磁波は、800nmから1000nmまでの波長の赤外線を含む、請求項4に記載の内部検出装置。
【請求項6】
前記800nmから1000nmまでの波長の赤外線は、前記第1の電磁波に対する波長の差が100nm以上ある電磁波である、請求項5に記載の内部検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−98340(P2006−98340A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287506(P2004−287506)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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