説明

内部検査装置

【課題】管路計測や孔内計測において、管路や地盤等の内部状況を的確に把握可能な内部検査装置を提供する。
【解決手段】ピッチ角、方位角、ロール角を検出する角度検出器2と、この角度検出器2の管内又は孔内の壁面に対する踊り量を検出する非接触変位センサ3,4と、を有し、管路内又は地盤に形成された孔内に挿入され、内部を移動可能な内部検査装置1であって、該管路内又は孔内を撮影する撮影手段を先端に備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部検査装置に関し、地下に埋設されている上下水道、電力、通信、ガス管など埋設配管の位置計測、ボーリング孔の変位計測、パイプルーフ坑の地盤変位計測、掘削工事の山留め施工管理やグラウンドアンカー孔の計測等の管路計測や孔内計測を行う内部検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地下に埋設されている上下水道、電力、通信、ガス管など埋設配管の位置計測、ボーリング孔の変位計測、パイプルーフ坑の地盤変位計測、掘削工事の山留め施工管理やグラウンドアンカー孔の計測等の管路計測や孔内計測を行なう場合、挿入式ジャイロが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許3191888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、何らかの原因でジャイロが途中で引掛かり、それ以上先に進むことができず、計測が不可能になってしまう場合があるが、ジャイロだけではその原因が障害物なのかどうなのかを特定することができない。また、埋設配管の位置を特定することができるが、管の亀裂や破損等の状況を把握することができないという問題があった。
そこで、本発明の主たる課題は、管路計測や孔内計測において、管路や地盤等の内部状況を的確に把握可能な内部検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
請求項1記載の発明は、ピッチ角、方位角、ロール角を検出する角度検出器と、この角度検出器の管内又は孔内の壁面に対する踊り量を検出する非接触変位センサと、を有し、 管路内又は地盤に形成された孔内に挿入され、内部を移動可能な内部検査装置であって、 該管路内又は孔内を撮影する撮影手段が先端に備えられた、ことを特徴とする内部検査装置である。
【0005】
(作用効果)
管路内又は孔内を撮影する撮影手段が先端に備えていることにより、何らかの原因で内部検査装置が途中で引掛かり、それ以上先に進むことができなくなったとしても、視覚的に障害物を特定できる。加えて、別途管内カメラ等を挿入する手間を省くことができる。また、埋設配管等の位置を特定することができると共に、管の亀裂や破損等の状況を把握することができる。さらに、角度検出器と撮影手段を搭載していることにより、岩盤等の内部状態の観察の際に、位置と画像データの両方を得ることができ、正確な地質データを得ることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、管路計測や孔内計測において、管路や地盤等の内部状況を的確に把握できる等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る内部検査装置1は、地下に埋設されている上下水道、電力、通信、ガス管など埋設配管の位置計測、ボーリング孔の変位計測、パイプルーフ坑の地盤変位計測、掘削工事の山留め施工管理やグラウンドアンカー孔の計測等の管路計測や孔内計測を行なうために、管路内又は地盤に形成された孔内に挿入されるものである。
【0008】
この内部検査装置1は、円筒状であり、その円筒形ケーシング内部の略中央部分に角度検出器2を有すると共に、この角度検出器2を挟んで先端側と後端側にそれぞれ非接触変位センサ3,4を備えている。また、先端には照明手段としての発光ダイオード5と共に、管路内又は孔内を撮影する撮影手段としてのCCDカメラ6が設けられており、前方の撮影が可能となっている。
【0009】
そして、この円筒の周面には、先端側と後端側とにそれぞれ車輪7が円周方向に90度間隔で4つずつ取付けられていて、挿入される管路や地盤に形成された孔内の壁面と接触してもスムーズに移動が可能になっている。なお、挿入される管路等の口径との関係で、車輪7は管路等の壁面と必ずしも常に接触しているものではない。
【0010】
角度検出器2としては、例えば、ピッチ角およびロール角を計測するための傾斜センサ(振り子式、サーボ式等)と、方位角(ヨー角)を計測するための角速度センサ(レートジャイロ、DTGジャイロ等の各種ジャイロ等)とを組み合わせたものを好適に用いることができる。もちろん、ピッチ角、ロール角および方位角を計測するものであれば、他のセンサを使用することもできる。
【0011】
角度検出器2のうち傾斜センサとしては、三軸静加速度センサ(相互に直交するX軸・Y軸・Z軸方向の重力加速度を検出する)を用いることができる。また、角度検出器2のうち角速度センサとしては、レートジャイロ、DTGジャイロ等の各種ジャイロ等を用いた少なくとも1軸の角速度を検出する角速度検出装置を好適に用いることができる。もちろん、他の検出装置を使用することもできる。また演算の簡素化のために、傾斜センサの基準軸と角速度センサの基準軸とを合わせるのが好ましいことはいうまでもない。
【0012】
角速度センサは、自己ドリフトが積分演算されることによる計測誤差の経時的増大が問題となるが、これを回避するために、管内又は孔内の壁面に対する踊り量を計測する非接触変位センサ3,4を取付けることで対処している。本実施の形態の非接触変位センサ3,4は、渦電流式非接触変位センサを用いているが、その他公知のものを用いてもよい。非接触変位センサ3,4は、内部検査装置1の軸方向において角度検出器2を挟んで先端側と後端側にそれぞれ設けられており、例えば、円周方向に90度間隔で4つ設けられ、これらセンサと管内又は孔内の壁面との距離を、それぞれ対向するセンサ同士で距離差を測定し、管内又は孔内の壁面に対する踊り量を計測する。そして、角度検出器2から出力される計測値からこの踊り量を差し引くことによって、管内又は孔内の高精度な計測を行なうものである。
【0013】
内部検査装置1は、後部にケーブル8が連結されており、このケーブル8はケーブルリール9により巻取り及び巻き出し可能になっている。ケーブル8の内部は、後述する電気ケーブル14やカメラケーブル13等が配線され、外部は硬質ポリエチレンケーブルで被覆されている。挿入する配管等が水平に配設されていれば、このケーブル8を押し込むことにより内部検査装置1を挿入でき、リール9を巻き取ることにより引き出すことができる。また、挿入する配管等が垂直に配設されていれば、内部検査装置1を落とし込む(落下させる)ことにより挿入でき、リール9を巻き取ることにより引き上げることができる。そして、ケーブルリール9には、ロータリーエンコーダ10が取付けられており、内部検査装置1の挿入量(測定点の距離)を計測できるようになっている。
【0014】
撮影手段としてはCCDカメラ6を用いているが、このCCDカメラ6の外周に複数の発光ダイオードが略等間隔に配設されており、この発光ダイオード5により、前方が照らされるようになっている。発光ダイオード5により照射された対象がCCDカメラ6に映し出され、その映像信号はカメラケーブル13を介して、後述するカメラモニター11に伝送されるものである。
【0015】
ここで、CCDカメラ6が内部検査装置1に取付けられていることにより、何らかの原因で内部検査装置1が途中で引掛かり、それ以上先に進むことができなくなったとしても、視覚的に障害物を特定できる。加えて、別途管内カメラ等を挿入する手間を省くことができる。また、埋設配管等の位置を特定することができると共に、管の亀裂や破損等の状況を把握することができる。さらに、角度検出器2とCCDカメラ6を搭載していることにより、岩盤等の内部状態の観察の際に、位置と画像データの両方を得ることができ、正確な地質データを得ることができる。
【0016】
角度検出器2、非接触変位センサ3,4やロータリーエンコーダ10からの各種信号は、電気ケーブル14からA/D変換器(図示せず)を介してコンピュータ等の演算表示記録装置12に伝送され、内部検査装置1の位置が測定され、そして記録される。また、CCDカメラ6の映像信号はカメラケーブル13を介して伝送され、カメラモニター11に映像が表示される。このように、内部検査装置1にカメラモニター11や演算表示記録装置12等が取付けられることにより、内部検査システムが構成され、管路や地盤等の内部状況が的確に把握される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る内部検査装置の概要を示す正面図である。
【図2】内部検査装置とカメラモニター及び演算表示記録装置の関係を示す概略図である。
【符号の説明】
【0018】
1…内部検査装置、2…角度検出器、3,4…非接触変位センサ、5…発光ダイオード、6…CCDカメラ、7…車輪、8…ケーブル、9…ケーブルリール、10…ロータリーエンコーダ、11…カメラモニター、12…演算表示記録装置、13…カメラケーブル、14…電気ケーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピッチ角、方位角、ロール角を検出する角度検出器と、この角度検出器の管内又は孔内の壁面に対する踊り量を検出する非接触変位センサと、を有し、
管路内又は地盤に形成された孔内に挿入され、内部を移動可能な内部検査装置であって、
該管路内又は孔内を撮影する撮影手段が先端に備えられた、
ことを特徴とする内部検査装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−205956(P2007−205956A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−26550(P2006−26550)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【出願人】(000115463)ライト工業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】