冷却器
冷却器1は上部プレート2、下部プレート3、上部プレートの軸方向流入口4、上部プレート上のロータ支持部5、及びポンプロータファン6を有する。外径寸法は直径40mm及び高さ4mmである。プレート2、3の内側の隙間は4mmである。冷却装置1は低プロフィルである。形態及び動作パラメータにより、ヒートシンクに安定な又は不安定な流体流の渦を作ることができる。その結果生じた流れ場が、実際に安定に又は不安定に発生しようと、衝突冷却及び渦による熱輸送を通して局所的に熱伝達率を向上させる。また、渦がヒートシンク内に二次的流れを起こし、効果的にポンプ作用を生じさせ、それが更に熱伝達を向上させる。ヒートシンクは簡単に経済的に組み立てかつ携帯電話のような携帯型電子機器内に組み込まれ、電子機器内の既存の部品及び構造をヒートシンク本体として用いる可能性を提供する。例えば、回路基板又はハウジングのような既存の部品の表面が1以上のヒートシンク面となり得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話の冷却回路のような用途に用いる冷却器に関する。本発明は特に、流体が軸方向に入りかつ半径方向に出るラジアル冷却器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業の分野では、部品の高温が信頼性を危うくし、かつ利用者の快適さ(携帯電子機器におけるような)を低下させる場合がある。強制対流を用いた冷却器が動作温度を低下させるために使用されている。
【0003】
ヒートシンクは一般に、通常フィンと呼ばれる多数の熱伝達面から構成される。フィンを動揺させたり、フィン密度を高めることにより熱伝達を改善するように製造技術を修正するような様々な技術を用いて、フィンの熱伝達効率を高めることが行われている。フィンの存在が熱伝達面の面積を増大させることになり、従って一定の質量流量に対してより高いレベルの熱伝達が得られる。しかしながら、フィンはまた、せん断損失を生じさせてより高い圧力損失を招くことになり、それが最終的にヒートシンクにおける質量流量及び従ってヒートシンクにおける所定の圧力降下に対する熱伝達の能力を低下させる。
【0004】
衝突冷却のために高熱面に衝突する噴流を発生させるべくノズルを用いることが知られている。しかしながら、これは、ノズルの背圧、音響放射、及びエンクロージャ(筺体)の寸法及びデサインによる実用上の制限を含む重要な問題をもたらす。
【0005】
米国特許5304845号明細書には、逆V字形の小さなリブを用いて衝突領域を発生させる方法が記載されている。このリブは、ヒートシンクを通過する流体の流れと交差する。
【0006】
米国特許5927393号明細書には、隣接するフィン間を通過する空気を混ぜ合わせるために熱交換器内に波形構造を用いることが記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの方法は、熱伝達を改善するためにヒートシンク又は熱交換器に入り組んだ物理的構造を用いる必要がある。このような構造は、特に携帯電話のような用途の場合に小型に製造することが困難でありかつ費用を要する。
【0008】
本発明は、上記問題の少なくとも幾つかを解消するべく改良した冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、冷却器入口を有する流体ポンプと、冷却器出口を有するヒートシンクとを備え、前記ポンプが、前記入口を通して流体を軸方向に受け入れるため、及びそれを半径方向に前記ヒートシンクを通して揚送するための手段を有し、前記ヒートシンクが熱伝達面を有する冷却器が提供される。
【0010】
ある実施例では、前記ヒートシンクが、前記ポンプに対向するヒートシンク入口から延長する熱放散フィンなしの容積を画定し、かつ前記冷却器出口が半径方向に前記ヒートシンク入口とは反対側に位置する。
【0011】
ある実施例では、前記ヒートシンクが、軸方向に離隔されて対向する一対の熱伝達面を有する。
【0012】
ある実施例では、前記ヒートシンク入口と前記冷却器出口間の前記ヒートシンクの半径方向寸法の、前記ヒートシンクの軸方向寸法に対する割合と、前記ポンプの形態とが、前記熱伝達面上に成長する熱境界層が前記冷却器出口で合流するようにした。
【0013】
ある実施例では、前記熱伝達面の軸方向の隙間と前記ポンプの軸方向の長さとが1mm乃至10mmの範囲内にある。
【0014】
ある実施例では、前記隙間及び長さが5mm未満である。
【0015】
ある実施例では、前記熱伝達面が実質的に平行である。
【0016】
ある実施例では、前記ヒートシンクが、軸方向に離隔された少なくとも2つのプレートを有し、前記プレートの内面が前記熱伝達面である。
【0017】
別の実施例では、前記ヒートシンクが更に、前記プレートを結合する熱伝達支持ピラーを有する。
【0018】
ある実施例では、前記プレートが円板形状である。
【0019】
ある実施例では、プレートが前記冷却器入口を提供する開口を有する。
【0020】
ある実施例では、前記開口が前記プレートの中央に配置されている。
【0021】
ある実施例では、前記ポンプが、空気を前記ヒートシンク内に、少なくとも1つの流体流の渦を前記ヒートシンク内に形成させるのに十分な接線方向速度成分を持った流れにして送るための手段を有する。
【0022】
ある実施例では、前記ポンプ及びヒートシンクが流体の二次的なポンピングを起こさせる渦を形成するための手段を有する。
【0023】
ある実施例では、前記ポンプ及びヒートシンクが、前記冷却器入口が閉塞された場合に渦が第1のポンプ機構となるように構成されている。
【0024】
ある実施例では、前記ポンプがロータブレードを有し、前記ブレードの角度が流体流出口角θを40°〜90°の範囲にするように設けられる。
【0025】
ある実施例では、前記ホンプ及びヒートシンクが、前記ヒートシンク内に安定な時不変の渦を形成するための手段を有する。
【0026】
ある実施例では、前記ポンプ及びヒートシンクが、前記ヒートシンク内に不安定な時変の渦を形成するための手段を有する。
【0027】
ある実施例では、前記ヒートシンクは、対向する前記プレートの間で前記ポンプを囲む熱伝達環状フィンを有する。
【0028】
ある実施例では、前記冷却器が、前記冷却器に空気が、前記ヒートシンク上を半径方向内向きにかつ次に軸方向に前記ポンプ内へと流れることにより入るためのダクトを更に有する。
【0029】
ある実施例では、前記ヒートシンクがヒートシンク容積内にフィンを有する。
【0030】
ある実施例では、前記フィンが、少なくともその長さの幾分かについて前記ファンの軸からの距離が増すに連れて接線方向成分が次第に大きくなる非放射状の形態に湾曲している。
【0031】
ある実施例では、前記ヒートシンクの軸方向の寸法が、フィン間の間隔と同じオーダの大きさを有する。
【0032】
更に別の実施例では、前記フィンの前縁部が、前記ヒートシンク容積内で前記ポンプと前記フィンとの間に流体流の渦の形成を可能にするのに十分なだけ、前記ポンプから半径方向に離隔している。
【0033】
ある実施例では、前記フィンが複数の長いフィンとその間に交互に配置した短い第1構造フィンとを有する。
【0034】
ある実施例では、前記第1構造フィンが冷却器出口に隣接している。
【0035】
ある実施例では、前記ヒートシンクには、冷却すべき回路の回路基板が含まれ、該回路基板が熱伝達面を提供する。
【0036】
ある実施例では、前記ヒートシンクに冷却すべき携帯型電子機器又は通信機器のハウジングの壁部が含まれ、前記壁部によって熱伝達面が提供される。
【0037】
ある実施例では、前記ポンプが固定ベーンと流体を該ベーンに向けるための流体ブロアとを有する。
【0038】
本発明によれば、別の側面において、上述したように定義される冷却器を有する携帯型電子機器が提供される。
【0039】
本発明の更に別の側面によれば、上述したように定義される冷却器を有する携帯電話が提供される。
【0040】
本発明の別の側面によれば、電子回路を冷却する方法であって、ポンプが空気をポンプ軸から半径方向に、流体案内フィン又はバフル又はリブを用いることなく前記電子回路に衝突する少なくとも1つの流体流の渦が発生するような接線方向成分を有する空気速度で揚送する過程を有する方法が提供される。
【0041】
ある実施例では、前記空気速度が、前記電子回路に安定な空気の渦が衝突するような接線方向成分を有する。
【0042】
ある実施例では、前記空気速度が、前記電子回路に不安定な空気の渦が衝突するような接線方向成分を有する。
【0043】
ある実施例では、前記ポンプが10mm未満の軸方向寸法を有し、かつ前記ポンプが前記電子回路のケーシング内に取り付けられる。
【0044】
ある実施例では、前記空気が、前記電子回路の基板付近に複数の渦が形成されるように揚送され、前記各渦が前記ポンプを囲むトロイダル形状を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明は、添付図面を参照しつつ、以下に単なる実施例として記載される幾つかの実施態様の詳細な説明からより明確に理解される。
【0046】
フィン無し冷却器
図1を参照すると、冷却器1が示されている。明確に分かるように、添付図面の構成部品は一定の比率で表されていない。冷却器1は銅材料で形成され、上部環状プレート2、下部円板状プレート3、及び上部プレート2の軸方向流入口4とを有する。上部プレート2には、ポンプロータ6を支持するロータ支持部5が設けられている。ロータ支持部5は、ロータ6内への軸方向流の冷却器入口内にある。プレート2及び3が一体となってヒートシンクを形成するが、前記プレート間にフィンは必要でない。前記冷却器出口は、プレート2と3との間のそれらの全周に亘る隙間である。冷却器1は直径40mmの寸法を有し、プレート2と3との内側の隙間は4mmである。前記ロータのブレード(以下に定義する)の先端部の角度は55°である。プレート2、3は、図示しない熱伝導ピラーで相互に結合されている。
【0047】
冷却器1は、外形が低プロフィルである。前記ロータ及びヒートシンクの形態によってかつ動作パラメータによって、前記ヒートシンク内に物理的構造を必要とすることなく、前記ヒートシンク内に安定な又は不安定な流体流の渦が形成される。「不安定」の用語は、前記ヒートシンクの特定の位置にある渦が時間と共に変化することを意味する。その結果生じる流れ場が、実際には安定して又は不安定に発生するにせよ、衝突冷却及び前記渦による熱輸送を通して局所的に熱伝達率を高める。また、前記渦は前記ヒートシンク内に二次的な流れを起こさせ、これが前記出口にある流体を流入させ、かつそれをヒートシンク内に引き込み、効果的に二次的なポンプ作用を発生させ、それが更に熱伝達を増加させる。
【0048】
前記ヒートシンクは、組み立てかつ携帯電話のような携帯型電子機器内に組み込むことが簡単かつ経済的であり、回路基板のような電子機器内の既存の部品及び構造を利用する可能性を提供する。例えば、回路基板又はハウジングのような既存の部品の表面を1以上のヒートシンク面とすることができ、前記プレートの一方又は両方を不必要にすることができる。流体流に渦を発生するのに物理的なヒートシンク構造を必要としないという事実によって、特に小型機器について優れた融通性及び簡単性が可能となる。
【0049】
冷却器1は、低プロフィルのヒートシンク2、3の上側及び下側境界面に成長する境界層が空気出口で、前記プレートが互いに十分に近い場合に合流するという事実を利用するように構成される。フィン無しヒートシンクの冷却性能は、フィン付ヒートシンクの規模と同じオーダである。間隔がより小さい場合には、フィン無しヒートシンクが同じ全体寸法のフィン付ヒートシンクの性能を凌ぐことになる。この実施例において、4mmの隙間は、境界層の厚さの2倍より小さい。更に、加えて、空気をロータ6で、プレート2、3間に渦が形成されるように揚送し、更に熱伝達に貢献させる。
【0050】
更に詳細には、図2が、Fluent(商標)で予測した同心のトロイダル渦「a」及び「b」を前記ロータの下流側(半径方向)に示している。この場合、アスペクト比によって2つの渦が可能である。前記アスペクト比は、ヒートシンクの半径方向寸法に対するヒートシンクの軸方向寸法(プレートの分離)の割合である。アスペクト比が大きくなるほど、渦の数が多くなる。
【0051】
図3は、プレート2と3との間のPIV測定を示しており、プレート2、3の熱伝達面に図2の渦「a」及び「b」と衝突領域とが示されている。図4は、PIV測定により得られた流線を示しており、同様に渦及び衝突領域が明確に示されている。また、これは、渦間及び渦とプレート間の流路を示している。
【0052】
図5(a)は、フィン無しヒートシンクの流れ構造の平面図を示しており、ブレードの端部からの空気の出口角θが示されている。前記出口角は、前記ブレードからの空気の速度を表すベクトルの角度であり、−90°〜90°の範囲で測定される。前記ヒートシンク内に流体流の渦を発生させるために、前記ロータブレードは、図5(b)に示す−50°〜90°、より好ましくは0°〜80°、更に好ましくは45°〜60°、最も好ましくは52°〜56°の先端角θbを有する。ブレード入口角は、ブレードへの流れの入射角が最小となるようにすべきである。図5(c)は、前記渦に関する空気速度を示している。
【0053】
出口角θは40°より大きいことが好ましい。
【0054】
図6は、フィン無しヒートシンクに沿って表面熱伝達率の分布を示しており、前記渦により生じる衝突冷却によって熱伝達が増加した領域を示している。
【0055】
上記図面に示される渦によって、その結果として流れの衝突、熱混合及び不安定さが生じるので、熱伝達が向上する。
【0056】
渦の存在は、ある範囲の速度、流れ角、ヒートシンクの大きさについてPIV測定を通して確認された。更に、正味の質量流量が一定に維持されている場合でさえ、出口角の接線方向成分が大きくなることによって熱伝達の増加を得られることが確認されている。これが図7に示されており、40°より大きいθの値が、渦の存在を通して、熱伝達を増加させるのに好ましいことが分かった。角度が大きくなると、より強さの大きい渦が形成され、それによって更に熱伝達量が大きくなった。図7はこの効果を詳細に示しており、ヒートシンクにおける正味の質量流量が一定に維持され、かつ渦の強度が接線方向の流速の増加と共に増大している。図8(a)(上の図)は、流れが半径方向である場合を表している。大きな接線方向成分が一旦出口流に加わると、渦が形成され(図8(b)、中)、かつ接線方向成分が更に増加すると、渦の強さが更に大きくなることが分かる(図8(c)、下)。
【0057】
局所的な熱伝達への直接の影響が、出口角の変化について相対的な局所熱流束を測定した図9に示されており、局所的熱流束の増加が認められる。これらの線図は、渦無しから安定な渦への遷移及び安定な渦から不安定な渦への遷移を示している。安定な渦がある場合には、それらは最適の熱伝達のための特定の位置、例えばヒートパイプに配置することができる。他方、不安定な渦は、時間領域においてヒートシンク全体に亘って半径方向に熱伝達を広げる。これが図10に示されている。
【0058】
また、前記ヒートシンクは、閉塞という意味で好ましい特性を証明しており、これは利用者の手が簡単にベント開口を閉塞することがあるモバイル機器のような携帯型機器について重要な特徴である。図11は、出口流の面積を約70%閉塞しても熱伝達量への影響を最小にできることを証明しており、同様の効果が入口及び出口双方の閉塞について認められる。標準的なヒートシンク構造では、いかなる閉塞もヒートシンクの熱性能を低下させることになる。更に、出口が完全に閉塞された場合、前記ヒートシンクは、正味の通過流が0であるにも拘わらず、流体がヒートシンク内に引き込まれ、循環し、かつ該ヒートシンクから吐出するので、以前として良好に機能する。これに反して、従来の組み合わせファン及びヒートシンクの組合せ構造の場合には、強制対流による熱伝達がほぼ0まで減少することになる。また、本発明の冷却器は、ヒートシンクを出口周辺の360°に亘って流出することができ、これに対して従来の冷却器は一般に僅かに90°であり、換言すれば、例えば携帯電話の一方の側の閉塞により熱管理の解決は過多なものになる。
【0059】
前記渦によって、ファンにより生じるものに追加して効果的なポンプ作用を生じさせることによって、熱伝達量に二次的な有利な効果が得られる。空気が渦の中に引き込まれかつ押し出され、それにより正味の熱伝達量が増加する。冷却器1は一定容積における熱流束を増加させ、特に携帯電話のような低プロフィルの用途に適している。ヒートシンク構造からフィンを無くすことによって、それらを製造することがより簡単かつ安価になり、モバイル電子機器内の既存の構造をヒートシンク面として利用する可能性が提供され、それによって組込みを簡単にできるようにしている。実際、本発明の冷却器は、ファンとファンを取り付けるための手段とから構成することができ、それにより、ヒートシンクが、回路基板またはハウジングの壁部のような、いずれにせよ既存の部品で提供される。フィン付きヒートシングを無くすことによって、重量が減少し、かつまた、空力的騒音が減少することになる。また、ヒートシンクにおける圧力降下は、粘性抵抗に加えるべき表面積が少ないので、より小さくなる。更に、前記渦は小さい容積で発生させることができる。また、熱伝達量の高い領域における局所的な熱の増加が、他の冷却器を組込む可能性を示している。
【0060】
本発明の幾つかの有利な側面が、図12乃至図15の測定によって示されている。図12は、ヒートシンクの上部と下部とからの熱の割合が変化するにも拘わらす、カバープレートとファンとの距離は重要でなく、本発明の熱伝達全体への影響が小さいものに過ぎないことを証明している。図13は、ロータの寸法の変化が熱伝達率全体に与える影響を示している。ロータ直径がヒートシンク直径と同じ寸法に近づくに連れて、渦の衝突領域が少なくなり、従って、ロータを駆動する出力を増す必要に拘わらず、熱伝達は僅かな増加しか得られない。図14は、ファンのプロフィルを小さくした場合に、ヒートシンクの全体高さを変化させることの結果を示している。この結果は、僅か20%の全体の熱伝達の損失で、ヒートシンクのプロフィルを2等分以上にできることを示している。この結果は特に、携帯電話のような低プロフィルの携帯型電子機器について意味がある。図15は、携帯電話で必要となるような異なる高さでファン入口の上にカバーを配置することの効果を示している。
【0061】
図16は、フィン無しヒートシンクの直径の増加が、質量流量を、予想されるような減少ではなくむしろ増加させることを示している。これは、より大きな寸法のヒートシンクに対して熱流束を増加させることに寄与する。
【0062】
図17は、熱抵抗への出口ロータ角の影響を示している。ファンを先端が20°乃至70°のロータブレ−ド角で前方へ湾曲した向きに運転することによって、熱抵抗がほぼ一定する最良の結果が得られる。これは、24mm及び40mmのヒートシンクに関する2つの曲線から分かるように、異なる寸法のヒートシンクについて認められた。
【0063】
図18は、熱抵抗対フィン無しヒートシンクのフットプリント(ロータがヒートシンク直径の75%であり、かつ速度が3000RPMである)の関係を示している。熱抵抗は
フットプリントの大きさに反比例する。
【0064】
図19は、上部プレート及び下部プレートに平行な環状のフィン構造を有する別のフィン無し冷却器を示している。これは、従来の半径方向のフィンであればそうしたであろう、渦の形成を妨げることなしに、渦が追加の表面領域に衝突することを可能にしている。更に、前記環状フィンにより生じる圧力損失は、速度が比較的小さい場合に、前記フィンが大きな半径位置に配置されているので、小さい。
【0065】
図20は、冷却装置の更に別のヒートシンクを示している。この場合には、上部及び下部プレートが、境界層の厚さの約2倍で分離されている。
【0066】
フィン付き冷却器
図21及び図22を参照すると、冷却器100は、ヒートシンク101と、軸受及び駆動システム(図示せず)により駆動されるロータ102とを有する。ヒートシンク101は、高伝導性材料例えば銅で形成され、中央部から末端部まで概ね半径方向に延長する伝導通路を熱源から多数の冷却フィン103まで形成している。ロータ102は、該ロータのブレードが冷却フィン103と同じ平面内にあるように、前記ヒートシンクの中央に配置される。モータを用いて前記ロータを回転させることによって、図示するように、空気が環境から軸方向に取り入れられ、かつヒートシンクフィン103の表面に沿って半径方向に押し出される。
【0067】
フィン103は2つの機能を有する。第1に、上述したように、これらはヒートシンクとして機能し、かつ第2に空力的役割を果たし、流れを接線方向から半径方向に偏向させ、それにより流れを減速させ、静圧を回復し、ファンロータの空力性能を向上させる。ファンブレードからの空気流の接線方向成分のために、前記フィンは湾曲し、かつ従って、その長さが軸からの所定の半径距離に対して長くなっている。
【0068】
ヒートシンクにマルチスケールの特徴(異なる型のフィン)を用いることは、ヒートシンクの性能を改善するのに利用することができる。しかしながら、半径方向流のヒートシンクにマルチスケールの特徴を適用することは、流れが流れ方向に減速されるという事実により複雑化する。数値シュミレーションは、半径方向流の形態について2番目に大きい寸法のフィン、以下「第1構造」と称するものの最良の位置が、図22に示すように、ヒートシンクの出口にあることを示している。これは、流れの減速がない従来の平行なプレートの熱交換器の場合と対照的であり、前記第1構造はヒートシンクの上流端に配置される。図22に示す数値シュミレーションは、マルチスケールの特徴(「最初のジオメトリ」と呼ぶ主要フィンと「第1構造」と呼ぶ外側の小さいフィン)によって、マルチスケールの特徴を用いない半径方向流のヒートシンクを最適化した場合に対して約10%の熱伝達の増加が得られることを示している。
【0069】
図23は、試験した4つのフィン形状の入口及び出口の速度三角形を示している。ロータの上の矢印は、各例における回転方向を表している。画像及び/又は速度三角形は一定の比率ではなく、単に目で見えるようにすることを目的としている。これは、ファンの設計及びヒートシンクの一体化の重要性を示している。ヒートシンクの湾曲したフィンは、流れが第1及び第2構造を有する例(b)の形態にある場合に、特に有利である。4つの構成の主な相違点を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
図24は、図23(a)乃至図23(d)にそれぞれ付した熱抵抗の例A〜Dに関する相対的な容積流量を示している。これは、図23(a)乃至図(d)において試験した4つの形態について得られた流量の増加を示している。図25は、熱抵抗の各例について熱抵抗を℃/Wで示している。これは、前記4つの形態で達成される熱抵抗値を示している。図26は、上記図23(b)に示す最適の形態に設計されている場合のブレード角の鈍感さを示している。流れは出口角がフィン角に一致する場合に最良となるが、これに近い角度では僅かな振れが認められる。
【0072】
本発明によって非常に効果的かつ小型で、従って携帯電話やラップトップコンピュータのような用途に理想的に適した冷却装置が提供されることが分かる。
【0073】
本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、その構造及び詳細において変化させることができる。例えば、前記プレートは平行である必要がなく、また円板形状である必要もない。また、前記ポンプは回転ブレードを持つものでなくてもよい。その代わりに固定ブレードを有するものとすることができ、それに向けて別個の送風器により空気を送り込む。このような外部の送風器は、固定ブレードを有する多数の冷却器の組に空気を送ることができる。また、フィン付きのヒートシンクを有する冷却器は、渦がブレードとフィンとの間の開いたスペースに形成されるように、軸から十分に離して配置したフィンを有することができる。更に、前記冷却器は、冷却液のような空気以外の流体について動作するように構成することができる。また、ヒートシンクの内部寸法は、低プロフィルの形態を達成するように、約10mmまでのあらゆる値に設定することができる。上述した実施例では、冷却器の材料が銅であるが、冷却仕様及び製造規準によって他のあらゆる適当な材料で形成することができる。また、本発明の冷却器は、空気が冷却器に、ヒートシンクの上を半径方向内向きにかつ次にポンプ内へと軸方向に流れることにより入るためのダクトを更に備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の冷却器の斜視図である。
【図2】冷却器のヒートシンク内の空気流の渦を示す図である。
【図3】冷却器のヒートシンク内の空気流の渦を示す図である。
【図4】冷却器のヒートシンク内の空気流の渦を示す図である。
【図5】(a)図はロータポンプからの空気流の向きを示しかつ出口角θを表した平面図、(b)図はロータのブレード角θbを示す平面図、(c)図は2つの渦が存在する空気流のPIV測定を示す図である。
【図6】ロータ軸からの距離に関する熱伝達の変化の予測値を示した図であり、rは距離、Rはrの最大値である。
【図7】公称熱抵抗対ロータブレードからの空気の速度の出口角θの関係を示す線図である。
【図8】出口角θの関数として空気流の渦まく状態を示すPIV測定図である。
【図9】正規化局所熱流束及び不安定性対正規化出口流れ角の関係を示す線図であり、空気流の3つの相が示されている。
【図10】不安定な渦の発生を示す公称熱流速対時間の線図である。
【図11】正規化熱抵抗と入口閉塞及び出口閉塞との関係をそれぞれ示す線図である。
【図12】様々な冷却器パラメータの関数として熱抵抗を示す線図である。
【図13】様々な冷却器パラメータの関数として熱抵抗を示す線図である。
【図14】様々な冷却器パラメータの関数として熱抵抗を示す線図である。
【図15】様々な冷却器パラメータの関数として熱抵抗を示す線図である。
【図16】空気流量対ロータ直径の関係を示す線図である。
【図17】熱抵抗対ブレード角θbの関係を示す線図である。
【図18】熱抵抗対冷却器フットプリントの関係を示す線図である。
【図19】別の冷却器の斜視図及び側面図である。
【図20】本発明の更に別の冷却器のヒートシンクの側部断面(左図)及び端部断面(右図)を示す図である。
【図21】フィン付きのヒートシンクを有する冷却器の斜視図である。
【図22】ヒートシンクにフィンを有する更に別の冷却器に関する温度予測を示す線図である。
【図23】(a)〜(d)図はフィン付きヒートシンクの平面図である。
【図24】図23のヒートシンクの性能を示す線図である。
【図25】図23のヒートシンクの性能を示す線図である。
【図26】図23のヒートシンクの性能を示す線図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話の冷却回路のような用途に用いる冷却器に関する。本発明は特に、流体が軸方向に入りかつ半径方向に出るラジアル冷却器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体産業の分野では、部品の高温が信頼性を危うくし、かつ利用者の快適さ(携帯電子機器におけるような)を低下させる場合がある。強制対流を用いた冷却器が動作温度を低下させるために使用されている。
【0003】
ヒートシンクは一般に、通常フィンと呼ばれる多数の熱伝達面から構成される。フィンを動揺させたり、フィン密度を高めることにより熱伝達を改善するように製造技術を修正するような様々な技術を用いて、フィンの熱伝達効率を高めることが行われている。フィンの存在が熱伝達面の面積を増大させることになり、従って一定の質量流量に対してより高いレベルの熱伝達が得られる。しかしながら、フィンはまた、せん断損失を生じさせてより高い圧力損失を招くことになり、それが最終的にヒートシンクにおける質量流量及び従ってヒートシンクにおける所定の圧力降下に対する熱伝達の能力を低下させる。
【0004】
衝突冷却のために高熱面に衝突する噴流を発生させるべくノズルを用いることが知られている。しかしながら、これは、ノズルの背圧、音響放射、及びエンクロージャ(筺体)の寸法及びデサインによる実用上の制限を含む重要な問題をもたらす。
【0005】
米国特許5304845号明細書には、逆V字形の小さなリブを用いて衝突領域を発生させる方法が記載されている。このリブは、ヒートシンクを通過する流体の流れと交差する。
【0006】
米国特許5927393号明細書には、隣接するフィン間を通過する空気を混ぜ合わせるために熱交換器内に波形構造を用いることが記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの方法は、熱伝達を改善するためにヒートシンク又は熱交換器に入り組んだ物理的構造を用いる必要がある。このような構造は、特に携帯電話のような用途の場合に小型に製造することが困難でありかつ費用を要する。
【0008】
本発明は、上記問題の少なくとも幾つかを解消するべく改良した冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、冷却器入口を有する流体ポンプと、冷却器出口を有するヒートシンクとを備え、前記ポンプが、前記入口を通して流体を軸方向に受け入れるため、及びそれを半径方向に前記ヒートシンクを通して揚送するための手段を有し、前記ヒートシンクが熱伝達面を有する冷却器が提供される。
【0010】
ある実施例では、前記ヒートシンクが、前記ポンプに対向するヒートシンク入口から延長する熱放散フィンなしの容積を画定し、かつ前記冷却器出口が半径方向に前記ヒートシンク入口とは反対側に位置する。
【0011】
ある実施例では、前記ヒートシンクが、軸方向に離隔されて対向する一対の熱伝達面を有する。
【0012】
ある実施例では、前記ヒートシンク入口と前記冷却器出口間の前記ヒートシンクの半径方向寸法の、前記ヒートシンクの軸方向寸法に対する割合と、前記ポンプの形態とが、前記熱伝達面上に成長する熱境界層が前記冷却器出口で合流するようにした。
【0013】
ある実施例では、前記熱伝達面の軸方向の隙間と前記ポンプの軸方向の長さとが1mm乃至10mmの範囲内にある。
【0014】
ある実施例では、前記隙間及び長さが5mm未満である。
【0015】
ある実施例では、前記熱伝達面が実質的に平行である。
【0016】
ある実施例では、前記ヒートシンクが、軸方向に離隔された少なくとも2つのプレートを有し、前記プレートの内面が前記熱伝達面である。
【0017】
別の実施例では、前記ヒートシンクが更に、前記プレートを結合する熱伝達支持ピラーを有する。
【0018】
ある実施例では、前記プレートが円板形状である。
【0019】
ある実施例では、プレートが前記冷却器入口を提供する開口を有する。
【0020】
ある実施例では、前記開口が前記プレートの中央に配置されている。
【0021】
ある実施例では、前記ポンプが、空気を前記ヒートシンク内に、少なくとも1つの流体流の渦を前記ヒートシンク内に形成させるのに十分な接線方向速度成分を持った流れにして送るための手段を有する。
【0022】
ある実施例では、前記ポンプ及びヒートシンクが流体の二次的なポンピングを起こさせる渦を形成するための手段を有する。
【0023】
ある実施例では、前記ポンプ及びヒートシンクが、前記冷却器入口が閉塞された場合に渦が第1のポンプ機構となるように構成されている。
【0024】
ある実施例では、前記ポンプがロータブレードを有し、前記ブレードの角度が流体流出口角θを40°〜90°の範囲にするように設けられる。
【0025】
ある実施例では、前記ホンプ及びヒートシンクが、前記ヒートシンク内に安定な時不変の渦を形成するための手段を有する。
【0026】
ある実施例では、前記ポンプ及びヒートシンクが、前記ヒートシンク内に不安定な時変の渦を形成するための手段を有する。
【0027】
ある実施例では、前記ヒートシンクは、対向する前記プレートの間で前記ポンプを囲む熱伝達環状フィンを有する。
【0028】
ある実施例では、前記冷却器が、前記冷却器に空気が、前記ヒートシンク上を半径方向内向きにかつ次に軸方向に前記ポンプ内へと流れることにより入るためのダクトを更に有する。
【0029】
ある実施例では、前記ヒートシンクがヒートシンク容積内にフィンを有する。
【0030】
ある実施例では、前記フィンが、少なくともその長さの幾分かについて前記ファンの軸からの距離が増すに連れて接線方向成分が次第に大きくなる非放射状の形態に湾曲している。
【0031】
ある実施例では、前記ヒートシンクの軸方向の寸法が、フィン間の間隔と同じオーダの大きさを有する。
【0032】
更に別の実施例では、前記フィンの前縁部が、前記ヒートシンク容積内で前記ポンプと前記フィンとの間に流体流の渦の形成を可能にするのに十分なだけ、前記ポンプから半径方向に離隔している。
【0033】
ある実施例では、前記フィンが複数の長いフィンとその間に交互に配置した短い第1構造フィンとを有する。
【0034】
ある実施例では、前記第1構造フィンが冷却器出口に隣接している。
【0035】
ある実施例では、前記ヒートシンクには、冷却すべき回路の回路基板が含まれ、該回路基板が熱伝達面を提供する。
【0036】
ある実施例では、前記ヒートシンクに冷却すべき携帯型電子機器又は通信機器のハウジングの壁部が含まれ、前記壁部によって熱伝達面が提供される。
【0037】
ある実施例では、前記ポンプが固定ベーンと流体を該ベーンに向けるための流体ブロアとを有する。
【0038】
本発明によれば、別の側面において、上述したように定義される冷却器を有する携帯型電子機器が提供される。
【0039】
本発明の更に別の側面によれば、上述したように定義される冷却器を有する携帯電話が提供される。
【0040】
本発明の別の側面によれば、電子回路を冷却する方法であって、ポンプが空気をポンプ軸から半径方向に、流体案内フィン又はバフル又はリブを用いることなく前記電子回路に衝突する少なくとも1つの流体流の渦が発生するような接線方向成分を有する空気速度で揚送する過程を有する方法が提供される。
【0041】
ある実施例では、前記空気速度が、前記電子回路に安定な空気の渦が衝突するような接線方向成分を有する。
【0042】
ある実施例では、前記空気速度が、前記電子回路に不安定な空気の渦が衝突するような接線方向成分を有する。
【0043】
ある実施例では、前記ポンプが10mm未満の軸方向寸法を有し、かつ前記ポンプが前記電子回路のケーシング内に取り付けられる。
【0044】
ある実施例では、前記空気が、前記電子回路の基板付近に複数の渦が形成されるように揚送され、前記各渦が前記ポンプを囲むトロイダル形状を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明は、添付図面を参照しつつ、以下に単なる実施例として記載される幾つかの実施態様の詳細な説明からより明確に理解される。
【0046】
フィン無し冷却器
図1を参照すると、冷却器1が示されている。明確に分かるように、添付図面の構成部品は一定の比率で表されていない。冷却器1は銅材料で形成され、上部環状プレート2、下部円板状プレート3、及び上部プレート2の軸方向流入口4とを有する。上部プレート2には、ポンプロータ6を支持するロータ支持部5が設けられている。ロータ支持部5は、ロータ6内への軸方向流の冷却器入口内にある。プレート2及び3が一体となってヒートシンクを形成するが、前記プレート間にフィンは必要でない。前記冷却器出口は、プレート2と3との間のそれらの全周に亘る隙間である。冷却器1は直径40mmの寸法を有し、プレート2と3との内側の隙間は4mmである。前記ロータのブレード(以下に定義する)の先端部の角度は55°である。プレート2、3は、図示しない熱伝導ピラーで相互に結合されている。
【0047】
冷却器1は、外形が低プロフィルである。前記ロータ及びヒートシンクの形態によってかつ動作パラメータによって、前記ヒートシンク内に物理的構造を必要とすることなく、前記ヒートシンク内に安定な又は不安定な流体流の渦が形成される。「不安定」の用語は、前記ヒートシンクの特定の位置にある渦が時間と共に変化することを意味する。その結果生じる流れ場が、実際には安定して又は不安定に発生するにせよ、衝突冷却及び前記渦による熱輸送を通して局所的に熱伝達率を高める。また、前記渦は前記ヒートシンク内に二次的な流れを起こさせ、これが前記出口にある流体を流入させ、かつそれをヒートシンク内に引き込み、効果的に二次的なポンプ作用を発生させ、それが更に熱伝達を増加させる。
【0048】
前記ヒートシンクは、組み立てかつ携帯電話のような携帯型電子機器内に組み込むことが簡単かつ経済的であり、回路基板のような電子機器内の既存の部品及び構造を利用する可能性を提供する。例えば、回路基板又はハウジングのような既存の部品の表面を1以上のヒートシンク面とすることができ、前記プレートの一方又は両方を不必要にすることができる。流体流に渦を発生するのに物理的なヒートシンク構造を必要としないという事実によって、特に小型機器について優れた融通性及び簡単性が可能となる。
【0049】
冷却器1は、低プロフィルのヒートシンク2、3の上側及び下側境界面に成長する境界層が空気出口で、前記プレートが互いに十分に近い場合に合流するという事実を利用するように構成される。フィン無しヒートシンクの冷却性能は、フィン付ヒートシンクの規模と同じオーダである。間隔がより小さい場合には、フィン無しヒートシンクが同じ全体寸法のフィン付ヒートシンクの性能を凌ぐことになる。この実施例において、4mmの隙間は、境界層の厚さの2倍より小さい。更に、加えて、空気をロータ6で、プレート2、3間に渦が形成されるように揚送し、更に熱伝達に貢献させる。
【0050】
更に詳細には、図2が、Fluent(商標)で予測した同心のトロイダル渦「a」及び「b」を前記ロータの下流側(半径方向)に示している。この場合、アスペクト比によって2つの渦が可能である。前記アスペクト比は、ヒートシンクの半径方向寸法に対するヒートシンクの軸方向寸法(プレートの分離)の割合である。アスペクト比が大きくなるほど、渦の数が多くなる。
【0051】
図3は、プレート2と3との間のPIV測定を示しており、プレート2、3の熱伝達面に図2の渦「a」及び「b」と衝突領域とが示されている。図4は、PIV測定により得られた流線を示しており、同様に渦及び衝突領域が明確に示されている。また、これは、渦間及び渦とプレート間の流路を示している。
【0052】
図5(a)は、フィン無しヒートシンクの流れ構造の平面図を示しており、ブレードの端部からの空気の出口角θが示されている。前記出口角は、前記ブレードからの空気の速度を表すベクトルの角度であり、−90°〜90°の範囲で測定される。前記ヒートシンク内に流体流の渦を発生させるために、前記ロータブレードは、図5(b)に示す−50°〜90°、より好ましくは0°〜80°、更に好ましくは45°〜60°、最も好ましくは52°〜56°の先端角θbを有する。ブレード入口角は、ブレードへの流れの入射角が最小となるようにすべきである。図5(c)は、前記渦に関する空気速度を示している。
【0053】
出口角θは40°より大きいことが好ましい。
【0054】
図6は、フィン無しヒートシンクに沿って表面熱伝達率の分布を示しており、前記渦により生じる衝突冷却によって熱伝達が増加した領域を示している。
【0055】
上記図面に示される渦によって、その結果として流れの衝突、熱混合及び不安定さが生じるので、熱伝達が向上する。
【0056】
渦の存在は、ある範囲の速度、流れ角、ヒートシンクの大きさについてPIV測定を通して確認された。更に、正味の質量流量が一定に維持されている場合でさえ、出口角の接線方向成分が大きくなることによって熱伝達の増加を得られることが確認されている。これが図7に示されており、40°より大きいθの値が、渦の存在を通して、熱伝達を増加させるのに好ましいことが分かった。角度が大きくなると、より強さの大きい渦が形成され、それによって更に熱伝達量が大きくなった。図7はこの効果を詳細に示しており、ヒートシンクにおける正味の質量流量が一定に維持され、かつ渦の強度が接線方向の流速の増加と共に増大している。図8(a)(上の図)は、流れが半径方向である場合を表している。大きな接線方向成分が一旦出口流に加わると、渦が形成され(図8(b)、中)、かつ接線方向成分が更に増加すると、渦の強さが更に大きくなることが分かる(図8(c)、下)。
【0057】
局所的な熱伝達への直接の影響が、出口角の変化について相対的な局所熱流束を測定した図9に示されており、局所的熱流束の増加が認められる。これらの線図は、渦無しから安定な渦への遷移及び安定な渦から不安定な渦への遷移を示している。安定な渦がある場合には、それらは最適の熱伝達のための特定の位置、例えばヒートパイプに配置することができる。他方、不安定な渦は、時間領域においてヒートシンク全体に亘って半径方向に熱伝達を広げる。これが図10に示されている。
【0058】
また、前記ヒートシンクは、閉塞という意味で好ましい特性を証明しており、これは利用者の手が簡単にベント開口を閉塞することがあるモバイル機器のような携帯型機器について重要な特徴である。図11は、出口流の面積を約70%閉塞しても熱伝達量への影響を最小にできることを証明しており、同様の効果が入口及び出口双方の閉塞について認められる。標準的なヒートシンク構造では、いかなる閉塞もヒートシンクの熱性能を低下させることになる。更に、出口が完全に閉塞された場合、前記ヒートシンクは、正味の通過流が0であるにも拘わらず、流体がヒートシンク内に引き込まれ、循環し、かつ該ヒートシンクから吐出するので、以前として良好に機能する。これに反して、従来の組み合わせファン及びヒートシンクの組合せ構造の場合には、強制対流による熱伝達がほぼ0まで減少することになる。また、本発明の冷却器は、ヒートシンクを出口周辺の360°に亘って流出することができ、これに対して従来の冷却器は一般に僅かに90°であり、換言すれば、例えば携帯電話の一方の側の閉塞により熱管理の解決は過多なものになる。
【0059】
前記渦によって、ファンにより生じるものに追加して効果的なポンプ作用を生じさせることによって、熱伝達量に二次的な有利な効果が得られる。空気が渦の中に引き込まれかつ押し出され、それにより正味の熱伝達量が増加する。冷却器1は一定容積における熱流束を増加させ、特に携帯電話のような低プロフィルの用途に適している。ヒートシンク構造からフィンを無くすことによって、それらを製造することがより簡単かつ安価になり、モバイル電子機器内の既存の構造をヒートシンク面として利用する可能性が提供され、それによって組込みを簡単にできるようにしている。実際、本発明の冷却器は、ファンとファンを取り付けるための手段とから構成することができ、それにより、ヒートシンクが、回路基板またはハウジングの壁部のような、いずれにせよ既存の部品で提供される。フィン付きヒートシングを無くすことによって、重量が減少し、かつまた、空力的騒音が減少することになる。また、ヒートシンクにおける圧力降下は、粘性抵抗に加えるべき表面積が少ないので、より小さくなる。更に、前記渦は小さい容積で発生させることができる。また、熱伝達量の高い領域における局所的な熱の増加が、他の冷却器を組込む可能性を示している。
【0060】
本発明の幾つかの有利な側面が、図12乃至図15の測定によって示されている。図12は、ヒートシンクの上部と下部とからの熱の割合が変化するにも拘わらす、カバープレートとファンとの距離は重要でなく、本発明の熱伝達全体への影響が小さいものに過ぎないことを証明している。図13は、ロータの寸法の変化が熱伝達率全体に与える影響を示している。ロータ直径がヒートシンク直径と同じ寸法に近づくに連れて、渦の衝突領域が少なくなり、従って、ロータを駆動する出力を増す必要に拘わらず、熱伝達は僅かな増加しか得られない。図14は、ファンのプロフィルを小さくした場合に、ヒートシンクの全体高さを変化させることの結果を示している。この結果は、僅か20%の全体の熱伝達の損失で、ヒートシンクのプロフィルを2等分以上にできることを示している。この結果は特に、携帯電話のような低プロフィルの携帯型電子機器について意味がある。図15は、携帯電話で必要となるような異なる高さでファン入口の上にカバーを配置することの効果を示している。
【0061】
図16は、フィン無しヒートシンクの直径の増加が、質量流量を、予想されるような減少ではなくむしろ増加させることを示している。これは、より大きな寸法のヒートシンクに対して熱流束を増加させることに寄与する。
【0062】
図17は、熱抵抗への出口ロータ角の影響を示している。ファンを先端が20°乃至70°のロータブレ−ド角で前方へ湾曲した向きに運転することによって、熱抵抗がほぼ一定する最良の結果が得られる。これは、24mm及び40mmのヒートシンクに関する2つの曲線から分かるように、異なる寸法のヒートシンクについて認められた。
【0063】
図18は、熱抵抗対フィン無しヒートシンクのフットプリント(ロータがヒートシンク直径の75%であり、かつ速度が3000RPMである)の関係を示している。熱抵抗は
フットプリントの大きさに反比例する。
【0064】
図19は、上部プレート及び下部プレートに平行な環状のフィン構造を有する別のフィン無し冷却器を示している。これは、従来の半径方向のフィンであればそうしたであろう、渦の形成を妨げることなしに、渦が追加の表面領域に衝突することを可能にしている。更に、前記環状フィンにより生じる圧力損失は、速度が比較的小さい場合に、前記フィンが大きな半径位置に配置されているので、小さい。
【0065】
図20は、冷却装置の更に別のヒートシンクを示している。この場合には、上部及び下部プレートが、境界層の厚さの約2倍で分離されている。
【0066】
フィン付き冷却器
図21及び図22を参照すると、冷却器100は、ヒートシンク101と、軸受及び駆動システム(図示せず)により駆動されるロータ102とを有する。ヒートシンク101は、高伝導性材料例えば銅で形成され、中央部から末端部まで概ね半径方向に延長する伝導通路を熱源から多数の冷却フィン103まで形成している。ロータ102は、該ロータのブレードが冷却フィン103と同じ平面内にあるように、前記ヒートシンクの中央に配置される。モータを用いて前記ロータを回転させることによって、図示するように、空気が環境から軸方向に取り入れられ、かつヒートシンクフィン103の表面に沿って半径方向に押し出される。
【0067】
フィン103は2つの機能を有する。第1に、上述したように、これらはヒートシンクとして機能し、かつ第2に空力的役割を果たし、流れを接線方向から半径方向に偏向させ、それにより流れを減速させ、静圧を回復し、ファンロータの空力性能を向上させる。ファンブレードからの空気流の接線方向成分のために、前記フィンは湾曲し、かつ従って、その長さが軸からの所定の半径距離に対して長くなっている。
【0068】
ヒートシンクにマルチスケールの特徴(異なる型のフィン)を用いることは、ヒートシンクの性能を改善するのに利用することができる。しかしながら、半径方向流のヒートシンクにマルチスケールの特徴を適用することは、流れが流れ方向に減速されるという事実により複雑化する。数値シュミレーションは、半径方向流の形態について2番目に大きい寸法のフィン、以下「第1構造」と称するものの最良の位置が、図22に示すように、ヒートシンクの出口にあることを示している。これは、流れの減速がない従来の平行なプレートの熱交換器の場合と対照的であり、前記第1構造はヒートシンクの上流端に配置される。図22に示す数値シュミレーションは、マルチスケールの特徴(「最初のジオメトリ」と呼ぶ主要フィンと「第1構造」と呼ぶ外側の小さいフィン)によって、マルチスケールの特徴を用いない半径方向流のヒートシンクを最適化した場合に対して約10%の熱伝達の増加が得られることを示している。
【0069】
図23は、試験した4つのフィン形状の入口及び出口の速度三角形を示している。ロータの上の矢印は、各例における回転方向を表している。画像及び/又は速度三角形は一定の比率ではなく、単に目で見えるようにすることを目的としている。これは、ファンの設計及びヒートシンクの一体化の重要性を示している。ヒートシンクの湾曲したフィンは、流れが第1及び第2構造を有する例(b)の形態にある場合に、特に有利である。4つの構成の主な相違点を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
図24は、図23(a)乃至図23(d)にそれぞれ付した熱抵抗の例A〜Dに関する相対的な容積流量を示している。これは、図23(a)乃至図(d)において試験した4つの形態について得られた流量の増加を示している。図25は、熱抵抗の各例について熱抵抗を℃/Wで示している。これは、前記4つの形態で達成される熱抵抗値を示している。図26は、上記図23(b)に示す最適の形態に設計されている場合のブレード角の鈍感さを示している。流れは出口角がフィン角に一致する場合に最良となるが、これに近い角度では僅かな振れが認められる。
【0072】
本発明によって非常に効果的かつ小型で、従って携帯電話やラップトップコンピュータのような用途に理想的に適した冷却装置が提供されることが分かる。
【0073】
本発明は、上述した実施例に限定されるものでなく、その構造及び詳細において変化させることができる。例えば、前記プレートは平行である必要がなく、また円板形状である必要もない。また、前記ポンプは回転ブレードを持つものでなくてもよい。その代わりに固定ブレードを有するものとすることができ、それに向けて別個の送風器により空気を送り込む。このような外部の送風器は、固定ブレードを有する多数の冷却器の組に空気を送ることができる。また、フィン付きのヒートシンクを有する冷却器は、渦がブレードとフィンとの間の開いたスペースに形成されるように、軸から十分に離して配置したフィンを有することができる。更に、前記冷却器は、冷却液のような空気以外の流体について動作するように構成することができる。また、ヒートシンクの内部寸法は、低プロフィルの形態を達成するように、約10mmまでのあらゆる値に設定することができる。上述した実施例では、冷却器の材料が銅であるが、冷却仕様及び製造規準によって他のあらゆる適当な材料で形成することができる。また、本発明の冷却器は、空気が冷却器に、ヒートシンクの上を半径方向内向きにかつ次にポンプ内へと軸方向に流れることにより入るためのダクトを更に備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の冷却器の斜視図である。
【図2】冷却器のヒートシンク内の空気流の渦を示す図である。
【図3】冷却器のヒートシンク内の空気流の渦を示す図である。
【図4】冷却器のヒートシンク内の空気流の渦を示す図である。
【図5】(a)図はロータポンプからの空気流の向きを示しかつ出口角θを表した平面図、(b)図はロータのブレード角θbを示す平面図、(c)図は2つの渦が存在する空気流のPIV測定を示す図である。
【図6】ロータ軸からの距離に関する熱伝達の変化の予測値を示した図であり、rは距離、Rはrの最大値である。
【図7】公称熱抵抗対ロータブレードからの空気の速度の出口角θの関係を示す線図である。
【図8】出口角θの関数として空気流の渦まく状態を示すPIV測定図である。
【図9】正規化局所熱流束及び不安定性対正規化出口流れ角の関係を示す線図であり、空気流の3つの相が示されている。
【図10】不安定な渦の発生を示す公称熱流速対時間の線図である。
【図11】正規化熱抵抗と入口閉塞及び出口閉塞との関係をそれぞれ示す線図である。
【図12】様々な冷却器パラメータの関数として熱抵抗を示す線図である。
【図13】様々な冷却器パラメータの関数として熱抵抗を示す線図である。
【図14】様々な冷却器パラメータの関数として熱抵抗を示す線図である。
【図15】様々な冷却器パラメータの関数として熱抵抗を示す線図である。
【図16】空気流量対ロータ直径の関係を示す線図である。
【図17】熱抵抗対ブレード角θbの関係を示す線図である。
【図18】熱抵抗対冷却器フットプリントの関係を示す線図である。
【図19】別の冷却器の斜視図及び側面図である。
【図20】本発明の更に別の冷却器のヒートシンクの側部断面(左図)及び端部断面(右図)を示す図である。
【図21】フィン付きのヒートシンクを有する冷却器の斜視図である。
【図22】ヒートシンクにフィンを有する更に別の冷却器に関する温度予測を示す線図である。
【図23】(a)〜(d)図はフィン付きヒートシンクの平面図である。
【図24】図23のヒートシンクの性能を示す線図である。
【図25】図23のヒートシンクの性能を示す線図である。
【図26】図23のヒートシンクの性能を示す線図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却器入口を有する流体ポンプと、冷却器出口を有するヒートシンクとを備え、前記ポンプが、前記入口を通して流体を軸方向に受け入れるため、及びそれを半径方向に前記ヒートシンクを通して揚送するための手段を有し、前記ヒートシンクが熱伝達面を有する冷却器。
【請求項2】
前記ヒートシンクが、前記ポンプに対向するヒートシンク入口から延長する熱放散フィンなしの容積を画定し、かつ前記冷却器出口が半径方向に前記ヒートシンク入口とは反対側に位置する請求項1に記載の冷却器。
【請求項3】
前記ヒートシンクが、軸方向に離隔されて対向する1対の熱伝達面を有する請求項2に記載の冷却器。
【請求項4】
前記ヒートシンク入口と前記冷却器出口間の前記ヒートシンクの半径方向寸法の、前記ヒートシンクの軸方向寸法に対する割合と、前記ポンプの形態とが、前記熱伝達面上に成長する熱境界層が前記冷却器出口で合流するようにした請求項3に記載の冷却器。
【請求項5】
前記熱伝達面の軸方向の隙間と前記ポンプの軸方向の長さとが1mm乃至10mmの範囲内にある請求項4に記載の冷却器。
【請求項6】
前記隙間及び前記長さが5mm未満である請求項5に記載の冷却器。
【請求項7】
前記熱伝達面が平行である請求項3乃至6のいずれかに記載の冷却器。
【請求項8】
前記ヒートシンクが、軸方向に離隔された少なくとも2つのプレートを有し、前記プレートの内面が前記熱伝達面である請求項3乃至7のいずれかに記載の冷却器。
【請求項9】
前記ヒートシンクが更に、前記プレートを結合する熱伝導支持ピラーを有する請求項8に記載の冷却器。
【請求項10】
前記プレートが円板形状である請求項8又は9に記載の冷却器。
【請求項11】
プレートが前記冷却器入口を提供する開口を有する請求項8乃至10のいずれかに記載の冷却器。
【請求項12】
前記開口が前記プレートの中央に配置されている請求項11に記載の冷却器。
【請求項13】
前記ポンプが、空気を前記ヒートシンク内に、少なくとも1つの流体流の渦を前記ヒートシンク内に形成させるのに十分な接線方向速度成分を持った流れにして送るための手段を有する請求項1乃至12のいずれかに記載の冷却器。
【請求項14】
前記ポンプ及びヒートシンクが、流体の2次的なポンピングを起こさせる渦を形成するための手段を有する請求項13に記載の冷却器。
【請求項15】
前記ポンプ及びヒートシンクが、前記冷却器入口が閉塞された場合に渦が第1のポンプ機構となるように構成されている請求項13又は14に記載の冷却器。
【請求項16】
前記ポンプがロータブレードを有し、前記ブレードの角度が流体流出口角θを40°〜90°の範囲にするように設けられる請求項13乃至15のいずれかに記載の冷却器。
【請求項17】
前記ポンプ及びヒートシンクが、前記ヒートシンク内に安定な時不変の渦を形成するための手段を有する請求項13乃至16のいずれかに記載の冷却器。
【請求項18】
前記ポンプ及びヒートシンクが、前記ヒートシンク内に不安定な時変の渦を形成するための手段を有する請求項13乃至16のいずれかに記載の冷却器。
【請求項19】
前記ヒートシンクが、対向する前記プレートの間に前記ポンプを囲む熱伝達環状フィンを有する請求項8乃至18のいずれかに記載の冷却器。
【請求項20】
前記冷却器に空気が、前記ヒートシンク上を半径方向内向きにかつ次に軸方向に前記ポンプ内へと流れることにより入るためのダクトを更に有する請求項1乃至19のいずれかに記載の冷却器。
【請求項21】
前記ヒートシンクがヒートシンク容積内にフィンを有する請求項1乃至20のいずれかに記載の冷却器。
【請求項22】
前記フィンが、少なくともその長さの幾分かについて前記ファンの軸からの距離が増すに連れて接線方向成分が次第に大きくなる非放射状の形態に湾曲している請求項21に記載の冷却器。
【請求項23】
前記ヒートシンクの軸方向の寸法が、前記フィン同士の間隔の大きさと同じオーダである請求項21又は22に記載の冷却器。
【請求項24】
前記フィンの前縁部が、前記ヒートシンク容積内で前記ポンプと前記フィンとの間に流体流の渦の形成を可能にするのに十分なだけ、前記ポンプから半径方向に離隔している請求項21乃至23のいずれかに記載の冷却器。
【請求項25】
前記フィンが、複数の長いフィンとその間に交互に配置された短い第1構造フィンとからなる請求項21乃至24のいずれかに記載の冷却器。
【請求項26】
前記第1構造フィンが前記冷却器出口に隣接する請求項25に記載の冷却器。
【請求項27】
前記ヒートシンクに冷却すべき回路の回路基板が含まれ、前記回路基板によって熱伝達面が提供される請求項1乃至26のいずれかに記載の冷却器。
【請求項28】
前記ヒートシンクに冷却すべき携帯型電子機器又は通信機器のハウジングの壁部が含まれ、前記壁部によって熱伝達面が提供される請求項1乃至27のいずれかに記載の冷却器。
【請求項29】
前記ポンプが固定ベーンと前記ベーンに流体を向けるための流体ブロアとを有する請求項1乃至28のいずれかに記載の冷却器。
【請求項30】
請求項1乃至29のいずれかに記載の冷却器を有する携帯型電子機器。
【請求項31】
請求項1乃至29のいずれかに記載の冷却器を有する携帯電話。
【請求項32】
電子回路を冷却する方法であって、ポンプが空気をポンプ軸から半径方向に、流体案内フィン又はバフル又はリブを用いることなく前記電子回路に衝突する少なくとも1つの流体流の渦が発生するような接線方向成分を有する空気速度で揚送する過程を有する方法。
【請求項33】
前記空気速度が、前記電子回路に空気の安定な渦が衝突するような前記接線方向成分を有する請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記空気速度が、前記電子回路に空気の不安定な渦が衝突するような前記接線方向成分を有する請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記ポンプが10mm未満の軸方向寸法を有し、前記ポンプを前記電子回路のケーシング内に取り付ける請求項32乃至34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記空気が、前記電子回路の基板付近に複数の渦が形成されるように揚送され、前記各渦が前記ポンプを囲むトロイダル形状を有する請求項32乃至35のいずれかに記載の方法。
【請求項1】
冷却器入口を有する流体ポンプと、冷却器出口を有するヒートシンクとを備え、前記ポンプが、前記入口を通して流体を軸方向に受け入れるため、及びそれを半径方向に前記ヒートシンクを通して揚送するための手段を有し、前記ヒートシンクが熱伝達面を有する冷却器。
【請求項2】
前記ヒートシンクが、前記ポンプに対向するヒートシンク入口から延長する熱放散フィンなしの容積を画定し、かつ前記冷却器出口が半径方向に前記ヒートシンク入口とは反対側に位置する請求項1に記載の冷却器。
【請求項3】
前記ヒートシンクが、軸方向に離隔されて対向する1対の熱伝達面を有する請求項2に記載の冷却器。
【請求項4】
前記ヒートシンク入口と前記冷却器出口間の前記ヒートシンクの半径方向寸法の、前記ヒートシンクの軸方向寸法に対する割合と、前記ポンプの形態とが、前記熱伝達面上に成長する熱境界層が前記冷却器出口で合流するようにした請求項3に記載の冷却器。
【請求項5】
前記熱伝達面の軸方向の隙間と前記ポンプの軸方向の長さとが1mm乃至10mmの範囲内にある請求項4に記載の冷却器。
【請求項6】
前記隙間及び前記長さが5mm未満である請求項5に記載の冷却器。
【請求項7】
前記熱伝達面が平行である請求項3乃至6のいずれかに記載の冷却器。
【請求項8】
前記ヒートシンクが、軸方向に離隔された少なくとも2つのプレートを有し、前記プレートの内面が前記熱伝達面である請求項3乃至7のいずれかに記載の冷却器。
【請求項9】
前記ヒートシンクが更に、前記プレートを結合する熱伝導支持ピラーを有する請求項8に記載の冷却器。
【請求項10】
前記プレートが円板形状である請求項8又は9に記載の冷却器。
【請求項11】
プレートが前記冷却器入口を提供する開口を有する請求項8乃至10のいずれかに記載の冷却器。
【請求項12】
前記開口が前記プレートの中央に配置されている請求項11に記載の冷却器。
【請求項13】
前記ポンプが、空気を前記ヒートシンク内に、少なくとも1つの流体流の渦を前記ヒートシンク内に形成させるのに十分な接線方向速度成分を持った流れにして送るための手段を有する請求項1乃至12のいずれかに記載の冷却器。
【請求項14】
前記ポンプ及びヒートシンクが、流体の2次的なポンピングを起こさせる渦を形成するための手段を有する請求項13に記載の冷却器。
【請求項15】
前記ポンプ及びヒートシンクが、前記冷却器入口が閉塞された場合に渦が第1のポンプ機構となるように構成されている請求項13又は14に記載の冷却器。
【請求項16】
前記ポンプがロータブレードを有し、前記ブレードの角度が流体流出口角θを40°〜90°の範囲にするように設けられる請求項13乃至15のいずれかに記載の冷却器。
【請求項17】
前記ポンプ及びヒートシンクが、前記ヒートシンク内に安定な時不変の渦を形成するための手段を有する請求項13乃至16のいずれかに記載の冷却器。
【請求項18】
前記ポンプ及びヒートシンクが、前記ヒートシンク内に不安定な時変の渦を形成するための手段を有する請求項13乃至16のいずれかに記載の冷却器。
【請求項19】
前記ヒートシンクが、対向する前記プレートの間に前記ポンプを囲む熱伝達環状フィンを有する請求項8乃至18のいずれかに記載の冷却器。
【請求項20】
前記冷却器に空気が、前記ヒートシンク上を半径方向内向きにかつ次に軸方向に前記ポンプ内へと流れることにより入るためのダクトを更に有する請求項1乃至19のいずれかに記載の冷却器。
【請求項21】
前記ヒートシンクがヒートシンク容積内にフィンを有する請求項1乃至20のいずれかに記載の冷却器。
【請求項22】
前記フィンが、少なくともその長さの幾分かについて前記ファンの軸からの距離が増すに連れて接線方向成分が次第に大きくなる非放射状の形態に湾曲している請求項21に記載の冷却器。
【請求項23】
前記ヒートシンクの軸方向の寸法が、前記フィン同士の間隔の大きさと同じオーダである請求項21又は22に記載の冷却器。
【請求項24】
前記フィンの前縁部が、前記ヒートシンク容積内で前記ポンプと前記フィンとの間に流体流の渦の形成を可能にするのに十分なだけ、前記ポンプから半径方向に離隔している請求項21乃至23のいずれかに記載の冷却器。
【請求項25】
前記フィンが、複数の長いフィンとその間に交互に配置された短い第1構造フィンとからなる請求項21乃至24のいずれかに記載の冷却器。
【請求項26】
前記第1構造フィンが前記冷却器出口に隣接する請求項25に記載の冷却器。
【請求項27】
前記ヒートシンクに冷却すべき回路の回路基板が含まれ、前記回路基板によって熱伝達面が提供される請求項1乃至26のいずれかに記載の冷却器。
【請求項28】
前記ヒートシンクに冷却すべき携帯型電子機器又は通信機器のハウジングの壁部が含まれ、前記壁部によって熱伝達面が提供される請求項1乃至27のいずれかに記載の冷却器。
【請求項29】
前記ポンプが固定ベーンと前記ベーンに流体を向けるための流体ブロアとを有する請求項1乃至28のいずれかに記載の冷却器。
【請求項30】
請求項1乃至29のいずれかに記載の冷却器を有する携帯型電子機器。
【請求項31】
請求項1乃至29のいずれかに記載の冷却器を有する携帯電話。
【請求項32】
電子回路を冷却する方法であって、ポンプが空気をポンプ軸から半径方向に、流体案内フィン又はバフル又はリブを用いることなく前記電子回路に衝突する少なくとも1つの流体流の渦が発生するような接線方向成分を有する空気速度で揚送する過程を有する方法。
【請求項33】
前記空気速度が、前記電子回路に空気の安定な渦が衝突するような前記接線方向成分を有する請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記空気速度が、前記電子回路に空気の不安定な渦が衝突するような前記接線方向成分を有する請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記ポンプが10mm未満の軸方向寸法を有し、前記ポンプを前記電子回路のケーシング内に取り付ける請求項32乃至34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記空気が、前記電子回路の基板付近に複数の渦が形成されるように揚送され、前記各渦が前記ポンプを囲むトロイダル形状を有する請求項32乃至35のいずれかに記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2009−516386(P2009−516386A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540779(P2008−540779)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【国際出願番号】PCT/IE2006/000129
【国際公開番号】WO2007/057871
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(506016495)ユニバーシティ・オブ・リムリック (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【国際出願番号】PCT/IE2006/000129
【国際公開番号】WO2007/057871
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(506016495)ユニバーシティ・オブ・リムリック (6)
【Fターム(参考)】
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