説明

分光システムのためのオートフォーカス機構

本発明は、注目ボリュームの特性を決定するよう適合される分光システム(400)のためのオートフォーカス機構を提供する。注目ボリュームは、時間で変化する光学特性を持つ。本発明は、注目ボリュームの位置(428)を決定するため注目ボリュームの光学特性の揺らぎを測定するよう適合される測定手段を提供する。分光システムは、更に、決定された注目ボリュームへ励起ビーム(418)を焦点合わせし、分光分析のため注目ボリュームから発散する戻り放射線(420)を収集するよう更に適合される。好ましくは、励起ビーム(428)の非弾性的に散乱された放射線が、分光分析のため弾性的に散乱された放射線と分離される。励起ビームの弾性的に散乱された放射線は順に、注目ボリュームの光学特性の揺らぎを測定するため活用される。制御ループを利用することは、注目ボリューム、例えば毛細血管(450)の中心の位置を本質的に特定する揺らぎの振幅及び/又は強度を最大化することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注目ボリュームの分光分析の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
分析目的のための光学分光技術の使用は、従来技術からそれ自体は知られている。国際公開第 WO 02/057758 A1号及びWO 02/057759 A1号は、人間の毛細血管を流れる血液の組成についての生体内無侵襲分光分析に対する分光分析装置を示す。好ましくは、分光分析は、生体血中内の検体濃度を測定する共焦点ラマン分光法を利用することにより実現される。検出可能な分光信号の、高い信号対ノイズ比又は高い信号対バックグラウンド比を得るために、共焦点測定ボリュームが完全に又は少なくとも大部分血管内部に位置していることが有利である。これは、人間の皮膚の表面下の毛細血管の位置を正確に決定することを必要とする。共焦点検出スキームが使用されるので、毛細血管の側面位置だけでなく、皮膚表面下での毛細血管の深度もまた把握されていなければならない。
【0003】
皮膚表面の近くに位置する毛細血管は、通常、約10μmの直径を持つ。例えばラマン信号の共焦点測定ボリュームは、5x5x5μm3程度の大きさであるボリューム内部の3次元全体に上手に閉じ込められることができる。斯かる小さな共焦点測定ボリュームを通常の毛細血管の中心に配置することで、周囲の皮膚組織からのごくわずかなバックグラウンド信号を特徴付ける分光信号を収集することが可能になる。共焦点測定ボリュームを毛細血管の中心に正確に配置するには、3次元全体における約1μmの配置分解能を必要とする。
【0004】
更に、分光データの取得には少なくとも数秒必要とするので、そのデータの取得の間に人間が動く可能性が考慮されなければならない。従って、選択された毛細血管内部の共焦点測定ボリュームの位置を維持するために、分光システムは、斯かる動きを追跡し続けることが必要である。
【0005】
共焦点検出スキームを利用する無侵襲生体内血液分析のための分光システムは、毛細血管の任意の動きに追従するためだけでなく、毛細血管の位置を決定するため、共焦点ボリュームの十分な追跡を必要とする。毛細血管、つまり注目ボリュームの側面位置を決定することは、例えば、共焦点レーザスキャン顕微鏡(CLSM)又は直交偏向スペクトル画像化(OPS画像化)といった画像化技術を効率的に使用する。
【0006】
CLSM技術は、3次元空間方向での皮膚ボリュームを通るレーザスポットのスキャンに基づかれる。毛細血管及び特に血管は、周囲の組織と比べて反射特性が異なるので、効率的に認識されることができる。CLSMは、共焦点検出スキームを利用するので、血管の深度、つまり皮膚表面からの距離は、正確に決定されることができる。斯かるCLSMシステムは、一層高価であり、サイズが大きく、かなり低いフレーム率で動作する。結果として、血管の位置を決定することは非常に時間がかかる。
【0007】
次に、OPS画像化は、皮膚の内部の光の散乱に基づかれる。血中における光の吸収のため、血管はOPS画像においては暗く見える。低い開口数(numerical aperture)を特徴付ける斯かる画像化技術を利用することは、皮膚のボリュームの比較的大規模な側面領域を取得することを可能にする。斯かる側面画像は、血管の側面位置を決定するには十分であるが、低い開口数が原因で、焦点の深度はより深い。従って、画像化された血管の深度を、十分に決定することができない。すると、OPS画像化は、血管の正確な側面位置の決定を与えるが、血管の深度については大まかな決定だけを与える。
【0008】
画像化システムとは対照的に、小さな共焦点測定ボリュームから分光データを取得することは、3次元空間方向において十分に小さな焦点スポットを生成するため高い開口数を必要とする。更に、高い開口数を用いることは、高い深度分解能の実現を可能にする。
【0009】
国際公開第WO 01/39665 A2号文書は、画像化光収集システムが使用されるか否かに関わらず、ラマン励起源の焦点の深度と位置とを保つ方法及び装置を開示する。その方法及び装置は、対象物の生体組織から分光情報を取得する方法を与える。この方法は、対象物における注目組織を、光源から第1の調節可能なレンズを通る、励起波長を持つ光で照射するステップと、その組織により放出されるスペクトルを第2の調節可能なレンズを通過させるステップとを有する。そして、第2の調節可能なレンズを通過するスペクトルは、注目する検体に関連付けられるターゲット信号を決定するため、収集及び分析される。その方法は、ターゲット信号から訂正信号を得るステップと、ターゲット信号を強化するためにその訂正信号に基づき第1の調節可能なレンズ又は第2の調節可能なレンズの位置を調節するステップとを有する。
【0010】
好ましくは、この方法は、ラマン分光法を利用し、特に、スペクトルを分析するステップと、スペクトルにより決定されるターゲット信号を強化するためにレンズの位置を調節するステップとを利用する。この方法及び装置は、励起ビームによる注目組織の照射のため及びその組織により放出されるスペクトルの収集のため2つの別個のレンズを利用する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、共焦点測定ボリュームの深度整列のためラマン分光法を用いることは自明である。実際ラマン分光法の分析は、測定ボリュームにおける血液及び/又は周辺組織の量を示す。しかしながら、これは、1つの大きな不利益を有する。ラマン散乱は極端に非効率な処理であるので、血液と皮膚組織とを判別することを可能にする十分な分光信号を収集するのに少なくとも数秒を要する。こうして時間間隔が長いため、血管の追跡のための分光信号の分析がほとんど完全に不十分である。追跡システムは、単に余りに遅くて人間の動きに追従できないものとなる。最終的には、分光信号を検出する検出器、つまり電荷結合素子(CCD)チップの読み出しサイクルを減少させることが、取得された分光データの読み出しノイズを致命的に大きくしてしまうことになる。
【0012】
そこで、本発明は、注目ボリュームの特性を決定する分光システムの共焦点測定ボリュームの深度を整列するための改善されたオートフォーカス機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、注目ボリュームの特性を決定する分光システムを提供する。その注目ボリュームは、時間で変化する光学特性を持ち、その分光システムは、第1及び第2の時間間隔の間、少なくとも第1及び第2のボリュームの光学特性の測定に基づき、注目ボリュームの位置を決定する測定ユニットを有する。分光システムは、更に、注目ボリュームへ励起ビームの焦点を合わせる焦点合わせ手段と、分光分析のため注目ボリュームからの戻り放射線を検出する検出手段とを有する。
【0014】
本発明は、注目ボリュームの光学特性を効果的に利用する。特に、本発明は、生物学的な物質、例えば血液、中でも赤血球の生物学的な構造の光学特性の時間変動又は時間揺らぎ(変動)を効果的に利用する。近赤外線(NIR)波長範囲において、赤血球の反射率は、血漿の反射率より際立って大きい。従って、NIRビームを毛細血管内部へ向けることにより、もし赤血球が毛細血管を通り流れる場合、弾性的に散乱された光、つまり反射光の量の強い変動が観測されることができる。血球が存在しない場合、その反射は低い。赤血球がNIR放射により照射された毛細血管を通過するとき、それは著しく増加する。赤血球が分光システムの通常の共焦点測定ボリュームの大きさに匹敵するドーナツ形状ジオメトリを持つので、反射光の量は、赤血球の存在又は不在に強く依存する。毛細血管の直径、血流及び赤血球濃度に対する通常のパラメタを仮定することにより、毛細血管内部の赤血球の流量が、一秒あたり数百セル近辺で決定されることができる。
【0015】
結果として、反射光の強度における強い変動が、ミリ秒の時間スケールで発生することができる。好ましくは、生物学的管構造を流れる流体の光学特性は、励起ビームの弾性散乱、つまり反射により決定され、ストークス又はアンチストークス散乱のような非弾性的な散乱プロセスが原因で励起ビームに関して周波数シフトされる分光信号、つまり戻り放射線を分析しても決定されない。
【0016】
好ましくは、注目ボリュームの側面位置が直交偏向スペクトル画像化(OSPI)、共焦点ビデオ顕微鏡法(CVM)、光学コヒーレンス断層撮影法(OCT)、共焦点レーザスキャン顕微鏡法(CLSM)、ドップラベース画像化法及び超音波ベース画像化法のような個々の画像化システムにより決定される。対応する画像化技術が、米国特許出願US60/262582、米国特許出願US09/912127、欧州特許出願EP 03100689.3、欧州特許出願EP 03102481.3に開示され、それらの全体は本書において参照により含まれる。
【0017】
好ましくは、注目ボリュームの深度を決定する、つまり注目ボリュームに理想的に適合させるのに励起ビームの焦点が合わされなければならない平面の位置を決定するために、ある時間間隔の間少なくとも第1及び第2のボリュームの光学特性を測定することが利用される。従って、少なくとも第1及び第2のボリュームの少なくとも1つは、注目ボリュームと少なくとも部分的に重なっていなければならない。その少なくとも第1及び第2のボリュームについての決定された光学特性は、第1及び第2のボリュームと注目ボリュームとの間の重複の度合いを示す。少なくとも第1及び第2のボリュームの位置が分かるので、注目ボリュームの位置は十分に決定されることができる。例えば、第1のボリュームが部分的に注目ボリュームと重なるときでさえ、第2のボリュームは、その注目ボリュームとは一切重ならないまま、注目ボリュームの位置の十分な決定が原理上は可能である。
【0018】
一旦注目ボリュームの位置が光学特性、例えば生物学的流動性を十分活用することにより決定されると、分光システムの焦点合わせ手段が、励起ビームの焦点を注目ボリュームへ合わせるよう適合される。更に、分光システムは、例えば血管といった特定の構造又は特定の物質を特定する注目ボリュームから分光データを得るためその検出手段を使用する。
【0019】
本発明の追加的な好ましい実施形態によれば、測定ユニットは更に、少なくとも第1及び第2のボリュームからの少なくとも第1及び第2の測定戻り放射線を検出するよう適合される。その第1及び第2の測定戻り放射線は、第1及び第2のボリュームの光学特性を示す。この第1及び第2の測定戻り放射線は、第1及び第2のボリュームから発散する。特に、第1又は第2のボリュームのいずれかが少なくとも部分的に注目ボリュームと重なるとき、注目ボリュームの位置が十分に決定されることができる。
【0020】
測定放射線は、励起放射線とは異なる放射線を与える別々の光源に基づき生成されることができる。例えば、画像化システムにより生成される光が使用されることができる。また、十分な測定戻り放射線を生成するため、第1及び第2のボリュームの照射を提供するものとして専ら機能する、別々の光源が実現されることができる。
【0021】
更に、第1及び第2のボリュームで弾性的に散乱される励起ビームの放射線は、第1及び第2の戻り放射線として効果的に使用されることができる。こうして、励起ビームを生成するのに、既存の光源が効率的に活用されることができる。
【0022】
好ましくは、少なくとも第1及び第2のボリュームの位置及び特に深度は、任意にシフトされることができ、皮膚の表面下といった異なる位置での弾性散乱を測定することを可能にする。弾性散乱信号における高い揺らぎは、赤血球の流れを示し、従って、注目ボリュームを規定する血管と、少なくとも第1及び第2のボリュームとの実質的な重複を示す。
【0023】
対照的に、少なくとも第1及び第2の測定戻り放射線における低い揺らぎは、少なくとも第1及び第2のボリュームが、血管とは重複しない、又は血管とわずかにのみ重複することを示す。少なくとも第1及び第2のボリュームの位置ははっきりしているので、第1及び第2のボリュームと専用の注目ボリュームとの重複を示す光学信号を分析することにより、注目ボリュームの位置が正確に決定されることができる。
【0024】
従って、注目ボリュームの位置は正確に決定されることができる。好ましくは、従来の画像化技術を用いて、側面位置決定が支配される。そして、注目ボリュームの位置の本発明による決定は、注目ボリュームの深度、例えば、人間の皮膚の表面下の深度を参照する。
【0025】
更に、注目ボリュームの位置の本発明による決定は、決して深度決定に制限されるものではない。原理上は、測定ユニットは、注目ボリュームの光学特性の変動に基づき、注目ボリュームの任意の側面位置を決定するのにも例外なく適合されることができる。
【0026】
本発明の更なる好ましい実施形態によれば、第1及び第2の時間間隔が、完全に一致する、若しくは部分的に一致するかのいずれかである、又は、第1及び第2の時間間隔が、2つの一致箇所のない連続的な時間間隔を規定する。
【0027】
第1及び第2の時間間隔が一致するとき、その少なくとも第1及び第2のボリュームの光学特性は同時に決定される。従って、第1及び第2のボリュームと注目ボリュームとの間の重なりの度合いは、同じ時間間隔の間に決定される。注目ボリュームのおよその大きさが分かり、第1及び第2のボリュームの相互分離(mutual separation)と相対位置とが更に分かるので、少なくとも第1及び第2のボリュームの光学特性の単一の同時測定に基づき、注目ボリュームの位置を決定することが可能になる。
【0028】
第1及び第2の時間間隔が全く一致せず、従って第1及び第2のボリュームが連続的に調査されるような他の極端な例は、少なくとも第1及び第2のボリュームの空間スキャンを参照する。主に、第1のボリュームは、注目ボリュームを介して連続的にスキャンされ、第1のボリュームの異なる位置を参照する対応する光学信号が測定される。そして、測定された信号の最大は、第1のボリュームと注目ボリュームとの間の最大重複を示す。そして、第1のボリュームの対応する位置が、注目ボリュームの中心を参照する。
【0029】
例えば、深度が異なる、異なる位置で散乱される弾性的に散乱された光の変動の測定は、毛細血管の中心を取得し、追跡することを効率的に可能にする。例えば、血流の変動は、ミリ秒の時間スケールで発生するので、スキャンのフレームレートは、注目ボリュームの位置の効率的な決定と追跡とを可能にするほど十分高い。
【0030】
本発明の追加的な好ましい実施形態によれば、測定ユニットは、少なくとも第1及び第2の測定戻り放射線の時間変動の最大振幅を決定するよう更に適合される。複数の異なるボリュームから弾性的に散乱される放射線の変動を取得することは、弾性散乱における大きな変動が生じる特定のボリュームを発見することを可能にする。
【0031】
通常の毛細血管の直径が実質的に赤血球の次元に等しいと仮定すると、単一の血球が血管の直径全体を満たすと結論付けられることができる。測定ビームの共焦点測定ボリュームの大きさが、赤血球の大きさと同じ範囲にあるとき、測定戻り放射線の強度変動の最大は、測定ビームの測定ボリュームが毛細血管の中心と実質的に重なるとき生じる。結果として、分光システムにおける注目ボリュームの決定に必要な焦点深度は、測定放射線を用いて深度スキャンを行い、続いて深度スキャンの間に照射される様々なボリュームから発散する弾性的に散乱された光の最大強度変動を決定することにより効率的に決定されることができる。
【0032】
本発明の追加的な好ましい実施形態によれば、測定ユニットは、第1及び第2の測定戻り放射線の時間変動の振幅間の差を決定するよう更に適合される。この実施形態において、2つのボリュームから発散する弾性的に散乱された光だけが分析されなければならない。これは、好ましくは、第1及び第2の時間間隔が実質的に一致するとき適用可能である。2つの位置は、同じ横方向座標を持つが、深度においてわずかに異なる。好ましくは、第1及び第2のボリューム間の距離が血管の通常の直径をわずかに下回る。第1及び第2のボリュームにおいて弾性的に散乱される測定戻り放射線を収集し、分析することは、時間変動を特徴付ける2つの光学信号を提供する。第1及び第2の信号の変動の周波数は実質的に等しいが、その変動の大きさは、第1及び第2の信号間で異なることが仮定されることができる。
【0033】
特に第1の信号の変動の大きさは、第1のボリュームと血管との重複の度合いを示すものである。第2の強度信号に対して、同様な仮定が成り立つ。更に、血管がある種の円形形状であると仮定すれば、第1及び第2の強度信号の揺らぎが大きさにおいて等しいとき、第1及び第2のボリュームが、血管の中心から等しい位置に配置されるという結論が導かれることができる。
【0034】
こうして、第1及び第2の強度信号の変動の大きさを測定及び比較することが、血管の中心に対する、第1及び/又は第2のボリュームの相対位置を示す制御信号の生成を可能にする。ここで、制御信号は、単に、第1の強度信号の振幅と第2の信号の振幅との間の差に過ぎない。焦点合わせユニットを制御するよう適合される制御機構へ制御信号を供給することは、制御信号を最小化するための制御ループを確立し、従って第1及び第2のボリュームを血管の中心の周囲に、それを中心として配置することを可能にする。第1及び第2のボリュームの座標がわかると、第1及び第2のボリュームの幾何中心により規定される注目ボリュームへ励起ビームを向けることは容易である。
【0035】
本発明の追加的な好ましい実施形態によれば、測定ビームと励起ビームとは、同じ光源により生成される。更に、励起ビームと測定ビームとは、同じ焦点合わせユニットにより焦点が合わされる。測定ビームが実際に励起ビームの一部であることさえ、実用的に役に立つ。例えばラマン分光技術が分光システムに適用されるとき、サンプルに生じる、及び特にその分光システムの共焦点測定ボリュームに生じる複数の散乱プロセスが弾性的な性質を持つことが予想されることができる。
【0036】
こうして、散乱された放射線の大部分が共焦点測定ボリュームにおいて弾性的に散乱され、上述した変動測定のために使用されることができる。後退(back)散乱され収集された放射線のごく一部(minor part)は、非弾性的な散乱プロセスが原因で周波数シフトに支配される。これらの周波数シフトされた成分は、好ましくは、サンプルの分光分析のため弾性的に散乱された成分から空間的に分離される。
【0037】
本発明の追加的な好ましい実施形態によれば、測定ユニットは、少なくとも1つの検出器要素と、少なくとも第1及び第2の測定戻り放射線に対する開口を形成する少なくとも1つの開口要素とを有する。少なくとも第1のボリュームから発散される弾性的に散乱された放射線を検出する測定ユニットは通常、弾性散乱測定に支配される少なくとも第1及び第2のボリュームの簡単かつ効率的なシフトを提供する装置を利用する。開口と検出器とをシフトすることにより、少なくとも第1及び第2のボリュームの位置がシフトされることができる。検出器要素は、いずれかの種類の光検出器で実現されることができ、空間分解能を提供する必要はない。そのフレームレートは、反射光の時間変動を分解するよう十分大きくなければならず、つまり通常ミリ秒の範囲である。従来の商業的に利用可能なフォトダイオードは一般的にこうした要件を満たす。
【0038】
開口要素は、いずれかの種類の開口であり、例えば、ピンホール又は離れた位置へ光学信号を送信することさえ可能にする光学ファイバの開口とすることができる。また、検出器要素と開口要素との機能は、ピンホールサイズのフォトダイオードにまとめられることができる(merged)。
【0039】
本発明の追加的な好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの検出器要素と少なくとも1つの開口要素とは、少なくとも第1及び第2の測定戻り放射線の光学軸に沿って移動可能であるよう適合される。こうして、少なくとも第1及び第2のボリュームの位置が任意にシフトされることができる。これは、大きさにおいて異なる注目ボリュームへ測定ユニットを適合させるために、第1及び第2のボリューム間の相対的な距離を変化させることを可能にする。また第1及び第2のボリュームの深度位置が、分光システムの対物レンズを動かす必要なく修正されることができる。
【0040】
本発明の追加的な好ましい実施形態によれば、第1及び第2のボリュームは、励起ビームの焦点が合わされる測定ボリュームの中心と共に、励起ビームの光学軸上に配置される。こうして、第1及び第2のボリュームの位置は励起ビームの光学軸上でのみシフトされることができる。これは、第1及び第2のボリュームで反射される放射線の光学軸に沿って対応する開口を修正することにより効果的に実現されることができる。従って、第1及び第2のボリュームでの流体の光学特性を測定することは、はっきりした毛細血管の正確な取得及び追跡のための分光システムに対するオートフォーカス機構を実現するのに実用的に役に立つ。
【0041】
本発明の追加的な好ましい実施形態によれば、第1及び第2のボリュームは、測定ボリュームの中心から実質的に等しい距離に分離される。例えば特定の血管との特定の重複を特定する第1及び第2のボリュームの位置を正確に決定することにより、第1及び第2のボリューム間の幾何中心にある注目ボリュームを規定することが合理的である。従って、注目ボリュームは実質的に測定ボリュームと重なる。血管の円形状の形状を仮定すれば、第1及び第2のボリュームの幾何中心は、分光システムの測定ボリュームの中心に実質的に重なる血管の中心と実質的に重なる。更に、皮膚のボリュームの側面画像を用いることにより、毛細血管の大きさ情報が得られることができ、更に、オートフォーカス機構を最適化するために分析されることができる。
【0042】
別の側面において、本発明は、注目ボリュームの特性を決定するための分光システムに対するコンピュータプログラムを与える。注目ボリュームは、時間で変化する光学特性を持ち、そのコンピュータプログラムは、少なくとも第1及び第2のボリュームの光学特性を、第1及び第2の時間間隔の間、測定ユニットを用いて測定することに基づき、注目ボリュームの位置を決定するコンピュータプログラム手段を有する。そのコンピュータプログラム手段は、焦点合わせ手段の制御により注目ボリュームへ励起ビームの焦点を合わせ、続いて、分光分析のため注目ボリュームからの戻り放射線を検出するよう更に適合される。
【0043】
更に別の側面において、本発明は、分光システムを用いて、注目ボリュームの特性を決定するため注目ボリュームの位置を決定する方法を与える。分光システムは、注目ボリュームへ励起ビームを焦点合わせする焦点合わせ手段と、更に、分光分析のため注目ボリュームからの個別の戻り放射線を検出する検出手段とを持つ。注目ボリュームの位置を決定する方法は、第1の時間間隔の間、少なくとも第1のボリュームの光学特性を測定するステップと、第2の時間間隔の間、少なくとも第2のボリュームの光学特性を測定するステップと、少なくとも第1及び第2のボリュームの光学特性に基づき、注目ボリュームの位置を決定するステップとを有する。
【0044】
特に、注目ボリュームの位置の決定と励起ビームの焦点合わせとは、同時に行われることができる。これは、励起ビームが任意のボリュームにおいて焦点合わせされることができること、励起ビームの弾性的に散乱された放射線が注目ボリュームの位置を決定するために分析されることができることを意味する。この位置の決定は、反射された放射線の変動を分析し、次に励起ビームの共焦点測定ボリュームの深度を変更する、制御ループにおいて実現されることができる。
【0045】
本発明は、例えばラマン分光法といった分光技術の特定のタイプに限定されず、他の光学分光技術も使用されることができる点に留意されたい。これは、(i)シミュレートされたラマン分光法及びコヒーレント・アンチストークス・ラマン分光法(CARS)を含むラマン散乱法に基づく他の方法、(ii)特に、赤外線吸収分光法、フーリエ変換赤外線分光法(FTIR)及び近赤外線(NIR)拡散性反射分光法といった赤外線分光法、(iii)特に、蛍光分光法、多光子蛍光分光法及び反射分光法といった他の散乱分光技術、及び(iv)光音響分光法、偏光分析法及びポンププローブ分光法といった他の分光技術を含む。本発明の適用に好ましい分光技術は、ラマン分光法及び蛍光分光法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態がより詳細に説明されることになる。
【0047】
図1は、分光システム100に対するオートフォーカス機構のブロック図を示す。オートフォーカス機構は、皮膚の表面112の下の注目ボリューム114の位置を正確に把握するよう適合される。分光システム100は、ビーム源102と、測定ユニット110と、焦点合わせ(foucusing)及び収集ユニット104とを持つ。更に、分光システム100は、注目ボリューム114からの戻り放射線(return radiation)をスペクトル的に解析するための分光計を持つ。簡単化のため分光計は図1には図示されていない。
【0048】
測定ユニット110は、検出器106と処理ユニット108とを持つ。ビーム源102、通常は近隣赤外線範囲に光を放出するレーザが、焦点合わせ及び収集ユニット104に向かう励起ビームを生成する。焦点合わせ及び収集ユニット104を用いて、励起ビーム116は、皮膚の表面112の下の注目ボリューム114へ向けられ、そこへ焦点が合わされる。
【0049】
本発明のオートフォーカス機構は、測定ボリュームが毛細血管に少なくとも部分的に重なることを示す励起ビームの弾力的に散乱された部分の強度の揺らぎを利用する。焦点合わせ及び収集ユニット104は、また、注目ボリューム114から発散する任意の種類の戻り放射線を収集するよう適合される。
【0050】
特に、弾力散乱が原因による、つまり励起放射線に関する周波数シフトの特徴を持たない(do not feature)戻り放射線の部分は、検出可能な周波数シフトを特徴に持つ(feature)分光信号とは分離される。弾力的に散乱された放射線、従って注目ボリューム114に反射されることになる放射線が、測定ユニット110の検出器106に与えられる。検出器106は順に、揺らぎを分析することが可能であり、特に、反射された放射線の揺らぎの振幅及び/又は強度を解析することが可能である。検出器106は更に、検出された揺らぎに基づき制御信号を生成する処理ユニット108に接続される。
【0051】
制御信号に応じて、励起ビーム116の共焦点測定ボリュームをシフトするため、処理ユニット108は焦点合わせ及び収集ユニット104を制御する。好ましくは、共焦点測定ボリュームは、励起ビーム116の光学軸に沿ってのみ、つまり皮膚の表面に対して垂直な方向にのみシフトされる。共焦点測定ボリュームのシフトに応じて、反射された放射線の変動の大きさもまた変化することができる。斯かる修正は、検出器により検出され、更に、処理ユニット108により分析される。反射された放射線での変動の大きさの変化に基づき、処理ユニット108は、対応する制御信号を生成する。
【0052】
焦点合わせ及び収集ユニット104、検出器106及び処理ユニット108は、その大きさ、つまり皮膚の表面112の下の様々な深度から発散される反射された放射線の変動における振幅及び/又は強度を最大化するための制御ループを形成する。様々なボリュームの様々な深度は、反射された放射線の変動における様々な大きさに対応する。変動の最大の大きさは、共焦点測定ボリュームと毛細血管との最大重複を示す。皮膚112を通る垂直方向のスキャン、その結果、反射された放射線の変動の最大強度を生じさせるボリュームの位置を決定することは、皮膚の表面112に対して注目ボリューム114の深度を正確に決定することを可能にする。
【0053】
図2は、図1と同様な実施形態を示し、そこでは、測定ユニット110が第1の検出器120と第2の検出器122とを持つ。第1の検出器120は、第1のボリューム124から反射される放射線のみを検出するような態様で配置され、第2の検出器122は、第2のボリューム126から発散する放射線のみを検出するような態様で配置される。第1及び第2のボリューム124、126は部分的に毛細血管118と重なる。分光分析のための注目ボリュームは、毛細血管118の中央にある。
【0054】
血液、特に毛細血管118を流れる赤血球は、第1及び第2のボリューム124、126と単に同じ幾何学的次元を特徴づけるに過ぎない。励起ビーム116は、第1及び第2のボリューム124、126だけでなく毛細血管118も同時に照射する。すると、第1の検出器120は、順に、第1のボリューム124内で反射光のみを検出し、第2の検出器は、第2のボリューム126から発散する励起ビームの反射光のみを検出するよう適合される。
【0055】
ここで、オートフォーカス機構は、赤血球が血漿及び周囲の組織とは本質的に異なる反射率を持つという事実を明示的に利用する。ここでは赤血球が毛細血管118を通過するとき、反射率におけるはっきりした増加が検出されることができる。第1のボリューム124と血管との間の重複は、第2のボリューム126と血管との重複とは実質的に異なるので、第1の検出器120により検出される反射光の強度と第2の検出器により検出される反射光の強度とは明らかに異なることになる。この場合、第2の検出器122により検出される強度の変動の大きさは、第1の検出器120により検出される対応する大きさよりも大きくなるであろう。
【0056】
検出器120、122は両方とも、処理ユニット108へ送信される、対応する強度信号を生成する。処理ユニット108は、第1及び第2の検出器120、122から得られる2つの強度信号に基づき、制御信号又は差分信号を生成することができる。それから処理ユニット108は、各ボリューム124、126の毛細血管118との重複が実質的に等しくなるよう、第1のボリューム124と第2のボリューム126とをわずかにシフトするために、焦点合わせ及び収集ユニット104を制御する。毛細血管118が円形状形状であると仮定すると、第1のボリューム124と第2のボリューム126との幾何中心は、毛細血管118の中心を特定する。こうして、2つのボリューム124、126は、注目ボリュームの位置を効果的に特定する。
【0057】
図3は、図2の第1及び第2の検出器120、122により生成される2つの強度信号300、302を説明するものである。更に、図3は、2つの強度信号300、302の強度の揺らぎ(変動)を説明する。図3における水平軸304は、時間を特定し、2つの垂直軸306、308は、各信号300、302の振幅を特定する。図に見られるように、第1の信号300と第2の信号302とは共に不規則な変動に支配される。2つの信号300、302の揺らぎは、同時に起こるが、その大きさは異なっている。ここで、第2の信号302の揺らぎは、第1の信号300の揺らぎより大きく、これは、第2のボリューム126と毛細血管118との間の重複の度合いが、第1のボリューム124と毛細血管118との間の重複の度合いよりも大きいことを示す。
【0058】
オートフォーカス機構は、第1及び第2のボリューム124、126と毛細血管118との間の均一な重複を生じさせる2つの信号300、302の大きさの差を最小化し、毛細血管118の中心を正確に決定することを可能にすることを目的とする。
【0059】
第1の信号300と第2の信号とを監視することにより、特に、発生する強度揺らぎの周波数を監視することにより、2つの信号が共通の毛細血管と重複するボリュームを参照することが効率的に保証されることができる。さもないと、揺らぎの周波数は、一層相関性がないものとなるであろう。
【0060】
図4は、分光システム400に対するオートフォーカスシステムの詳細な実施形態を示す。分光システム400は、レーザ402、第1の検出器404、第2の検出器406、分光計408、焦点合わせユニット410、3つのピンホール412、414、416、二色性ミラー432、及び2つのビームスプリッタ434、436を持つ。
【0061】
レーザ402は、ビームスプリッタ434により反射され、焦点合わせユニット410に向かう励起ビーム418を生成する。好ましくは、励起ビーム418の反射された部分は、焦点合わせユニット410により注目する焦点平面428に焦点が合わされる。しかしながら、第1の焦点平面430に含まれる領域と第2の焦点平面426に含まれる領域とも、励起ビームにより照射される。
【0062】
注目ボリュームを決定する測定システムは、第1の検出器404及び第2の検出器406と共に、ピンホール412及びピンホール414とからなる。測定ユニットの要素と特にピンホール412及び第1の検出器404とは、検出器404が、第1の焦点平面430の周囲のボリュームから弾性的に散乱される放射線のみを検出するよう配置される。同様に、第2の検出器406とピンホール414とは、第2の検出器406が、第2の焦点平面426の周囲のボリュームから弾性的に散乱される励起ビームの弾性的に散乱される放射線のみを検出するよう配置される。
【0063】
ビームスプリッタ436、434と二色性ミラー432とのシステムは、非弾性的に散乱された放射線420が二色性ミラー432で反射され、ピンホール416を通り分光計408へ向かうようデザインされる。励起ビーム418の弾性的に散乱された放射線は、基本的に二色性ミラー432を通り運ばれ、ビームスプリッタ436を介して2つの検出器404、406へ分配される。
【0064】
ここで、第1の検出器404により検出される第1の測定戻り放射線424は、第1の焦点平面430の周囲のボリュームと毛細血管との部分空間的な重複を示し、第2の検出器406により検出される第2の測定戻り放射線422は、第2の焦点平面426の周囲のボリュームと毛細血管との重複を示す。好ましくはフォトダイオードとして実現される検出器404、406は、第1及び第2の測定戻り放射線424、422の強度揺らぎの大きさを示す信号を生成するよう適合される。
【0065】
ピンホール412、414は、第1及び第2の測定戻り放射線424、422の光学軸に沿って移動可能であるよう適合される。こうして、第1及び第2の焦点平面430、426により特定される共焦点測定ボリュームの中心は任意にシフトされることができる。ピンホール412及び/若しくはピンホール414又はその両方のピンホールは、第1及び第2の測定戻り放射線の揺らぎの大きさに適合するよう、同時にシフトされることができる。この適合は、本質的に毛細血管の中心を特定する。各ピンホール412、414、416の位置は、焦点平面426、428、430それぞれの垂直位置を特定するので、毛細血管の中心位置は、正確に決定されることができる。
【0066】
一旦注目ボリュームの位置が分かれば、分光計408の共焦点測定ボリュームを毛細血管の中心に動かすためピンホール416をシフトすること、又は代替的に注目する焦点平面428が毛細血管の中心と重なるよう、焦点合わせユニット410を動かすことのいずれかを可能にする。
【0067】
様々な焦点平面426、428、430をシフトすることに関する非常に大きな自由度を可能にするために、ピンホールと焦点平面とだけでなく、2つの検出器404、406が、それぞれの個別の測定戻り放射線の光学軸に沿って移動可能であるよう適合される。
【0068】
特に皮膚表面下のボリュームの側面画像化と共に上述されたオートフォーカス機構を利用することは、異なる大きさの様々な血管へオートフォーカス機構を適合させることを可能にする。例えば、皮膚のボリュームの2次元側面画像を取得することにより、大きな焦点深度を特徴付けることは、血管の検出を可能にし、及び分光システムに対して皮膚の側面の位置決めをすることを可能にする。血管の側面画像は、検出された血管の特定の大きさに対する最適な分離(separation)を表す第1及び第2の焦点平面430、426の分離を調節することを可能にする血管の大きさを決定するために、ここでは更に十分に活用されることができる。
【0069】
図5は、焦点平面426、428及び430と焦点合わせユニット410との拡大図を示す。楕円領域450は、毛細血管を示す。注目ボリュームの中心452は、毛細血管450の中心周辺に位置し、分光計408により検出される戻り放射線420が理想的に発散する基になる位置を特定する。第1の焦点平面430は、第1のボリューム440を特定し、第2の焦点平面426は、第2のボリューム442を特定する。ピンホール412と414とは、第1の検出器404が第1のボリューム440から発散する第1の測定戻り放射線424のみを収集するよう配置される。
【0070】
同様に、ピンホール414は、検出器406が第2のボリューム442の周囲の第2の測定戻り放射線422のみを収集するよう配置される。第1の重複444と第2の重複446として表される影付きボリュームは、第1及び第2のボリューム440、442と毛細血管450との部分的な重複を示す。血球が毛細血管を流れていると仮定すると、重複444、446に比例して対応する揺らぎは、個別の検出器404、406により検出可能であることになる。
【0071】
更に、本発明は、焦点の様々な平面(426、428、430)の垂直な配置と組み合わせて適用されることができるだけではない点に留意されたい。注目ボリュームの位置を決定することは、注目ボリュームと部分的に重複する態様で任意に配置されるボリュームの光学検査も参照することができる。従って、本発明は、水平構成又は何らかのねじれた構成において実現されることもできる。つまり、少なくとも第1及び第2のボリュームは、例えば、分光システムの光学軸のように、直線上に配置されている必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】分光システムのオートフォーカス機構のブロック図を示す図である。
【図2】第1及び第2のボリュームから発散する第1及び第2の光学信号を利用するオートフォーカスシステムのブロック図を示す図である。
【図3】第1及び第2の光学信号の揺らぎを示す図である。
【図4】オートフォーカスシステムの詳細な実現を示す図である。
【図5】2つの部分的に重複するボリュームと共に毛細血管を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注目ボリュームの特性を決定する分光システムであって、前記注目ボリュームが、時間で変化する光学特性を持ち、
−第1及び第2の時間間隔の間、少なくとも第1及び第2のボリュームの光学特性の測定に基づき、前記注目ボリュームの位置を決定する測定ユニットと、
−励起ビームを前記注目ボリュームに焦点合わせする焦点合わせ手段と、
−分光分析のため前記注目ボリュームからの戻り放射線を検出する検出手段とを有する分光システム。
【請求項2】
前記測定ユニットが、更に、前記少なくとも第1及び第2のボリュームから少なくとも第1及び第2の測定戻り放射線を検出し、前記少なくとも第1及び第2の測定戻り放射線は、前記少なくとも第1及び第2のボリュームの前記光学特性を示す、請求項1に記載の分光システム。
【請求項3】
前記第1及び第2の時間間隔が、完全に一致する又は部分的に一致するかのいずれかであり、前記第1及び第2の時間間隔は、2つの一致箇所のない連続的な時間間隔を規定する、請求項1に記載の分光システム。
【請求項4】
前記測定ユニットが、前記少なくとも第1及び第2の測定戻り放射線の時間変動の最大値を決定する、請求項3に記載の分光システム。
【請求項5】
前記測定ユニットが、前記少なくとも第1及び第2の測定戻り放射線の時間変動の値間の差を決定する、請求項3に記載の分光システム。
【請求項6】
測定放射線と前記励起ビームとが同じ光学源により生成され、前記焦点合わせ手段は、更に、前記少なくとも第1及び第2のボリュームへ前記測定放射ビームを向ける、請求項2に記載の分光システム。
【請求項7】
前記測定ユニットが、少なくとも1つの検出器要素と、前記少なくとも第1及び第2の測定戻り放射線に対する開口を形成する少なくとも1つの開口要素とを有する、請求項2に記載の分光システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの検出器要素と前記少なくとも1つの開口要素とが、前記少なくとも第1及び第2の戻り放射線の光学軸に沿って移動可能である、請求項7に記載の分光システム。
【請求項9】
前記第1及び第2のボリュームの位置が、前記開口要素の位置に基づき決定可能である、請求項7に記載の分光システム。
【請求項10】
前記第1及び第2のボリュームが、前記励起ビームの前記光学軸上に位置される、請求項3に記載の分光システム。
【請求項11】
前記第1及び第2のボリュームが、前記分光システムの測定ボリュームの中心から実質的に等距離に分離される、請求項3に記載の分光システム。
【請求項12】
注目ボリュームの特性を決定する分光システムのためのコンピュータプログラムであって、前記注目ボリュームが、時間で変化する光学特性を持ち、
−測定ユニットを用いることにより、第1及び第2の時間間隔の間少なくとも第1及び第2のボリュームの光学特性の測定に基づき、前記注目ボリュームの位置を決定し、
−焦点合わせ手段を制御することにより、前記注目ボリュームへ励起ビームを焦点合わせし、
−分光分析のため前記注目ボリュームからの戻り放射線を検出する、
ためのコンピュータプログラム手段を有するコンピュータプログラム。
【請求項13】
分光システムを用いて注目ボリュームの特性を決定するため前記注目ボリュ−ムの位置を決定する方法であって、前記分光システムが、励起ビームを前記注目ボリュームへ焦点合わせする焦点合わせ手段と、分光分析のため前記注目ボリュームからの戻り放射線を検出する検出手段とを持ち、
−第1の時間間隔の間、少なくとも第1のボリュームの光学特性を測定するステップと、
−第2の時間間隔の間、少なくとも第2のボリュームの光学特性を測定するステップと、
−前記第1及び第2のボリュームの前記光学特性に基づき、前記注目ボリュームの前記位置を決定するステップとを有する、方法。
【請求項14】
前記第1及び第2の時間間隔が、完全に一致する又は部分的に一致するかのいずれかであり、前記第1及び第2の時間間隔は、2つの一致箇所のない連続的な時間間隔を規定する、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−502898(P2008−502898A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516092(P2007−516092)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051848
【国際公開番号】WO2005/124423
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】