説明

分散したホウ化チタン粒子を有するチタン金属組成物の製造方法法

【課題】分散したホウ化チタン粒子をその中に有するチタン金属組成物を製造するための方法を提供すること。
【解決手段】構成元素でできた物品は、少なくとも1種の非金属前駆化合物を提供することによって調製され、全ての非金属前駆化合物は集合的に構成元素を含む。構成元素は、チタンベース金属組成物と、その室温固溶解度限界よりも高い濃度で存在するホウ素と、任意選択でその室温固溶解度限界よりも高い濃度で存在する安定酸化物形成添加元素とを構成する。前駆化合物は化学的に還元されて、ホウ化チタン粒子をその中に有するチタンベース金属組成物を含む材料を、チタンベース金属組成物を溶融することなく生み出す。ホウ化チタン粒子をその中に有するチタンベース金属組成物は、溶融させることなく圧密される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その優先権が主張されその開示が参照によって組み込まれる2004年5月17日出願の米国特許出願第10/847599号の一部継続出願であり、米国特許出願第10/847599号は、その優先権が主張されその開示が参照によって組み込まれる2002年6月14日出願の米国特許出願第10/172217号の一部継続出願、その優先権が主張されその開示が参照によって組み込まれる2002年6月14日出願の米国特許出願第10/172218号の一部継続出願、その優先権が主張されその開示が参照によって組み込まれる2002年12月23日出願の米国特許出願第10/329143号の一部継続出願、その優先権が主張されその開示が参照によって組み込まれる2003年1月22日出願の米国特許出願第10/350968号の一部継続出願、およびその優先権が主張されその開示が参照によって組み込まれる2003年2月19日出願の米国特許出願第10/371743号の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、チタンベースの金属組成物を含む物品の製造に関し、詳細には、ホウ化チタン粒子をその中に有するチタンベースの金属組成物でできた物品の製造に関する。
【背景技術】
【0003】
航空機のガスタービンエンジンにおける最も要求の厳しい材料の応用の1つは、圧縮機ブレードおよびファンブレードをそれぞれ支持する圧縮機およびファンディスク(「ロータ」と呼ばれることもある)である。ガスタービンが動いているときにファンディスクは、穏やかな高温環境で毎分数千回、回転する。ファンディスクはこれらの動作条件下で必要な機械的性質を示さなければならない。
【0004】
ガスタービンエンジンのいくつかの構成部品、例えば圧縮機やファンディスクのいくつかの構成部品はチタン金属組成物から製造される。ファンディスクは一般に、選択されたチタン金属組成物の金属成分を提供し、これらの成分を溶融し、チタン金属組成物のインゴットを鋳造することによって製造される。鋳造されたインゴットは次いでビレットに変造される。さらにこのビレットが一般に鍛造によって機械的に加工される。加工されたビレットはその後に据込み鍛錬され、次いで機械加工されて、チタンベース金属組成物構成部品が生み出される。
【0005】
室温および穏やかな高温で必要な機械的性質を達成し、十分な環境抵抗性を保持し、早期の故障を防止することは、構造材料の選択および物品の製造において大きな難問である。この金属組成物の化学的性質および微細構造は、現行のチタンベース金属組成物構成部品の少なくとも約1200°Fまでの使用温度範囲にわたって、物品の必要な機械的性質が満たされることを保証するものでなければならない。このような構成部品の使用温度の上限が約1200°Fであるのは主に、これよりも高い温度では静的強さおよびクリープ強さが低下すること、ならびにチタンは高温で酸素と反応しやすく、これによってαケース(alpha case)と呼ばれる酸素に富んだもろい層が形成されることによる。最終構成部品内の機械的または化学的な小さな不規則(irregularities)が最終構成部品の使用中の早期の故障を引き起こす可能性があり、これらの不規則は最小限に抑えなければならず、またはこれらの不規則が存在する場合には使用可能な検査技法によって検出可能でなければならず、考慮されなければならない。このような不規則には例えば、割れ、空洞などの機械的不規則、およびハードα(hard alpha)不規則(低密度介在物(inclusion)と呼ばれることもある)、高密度介在物などの化学的不規則が含まれる。
【0006】
高温強さを含むチタンベース金属組成物の性質を改良する最近の1つの方法は、チタンベース金属組成物にホウ素を導入して、チタンベース金属組成物中に分散したホウ化チタン粒子を生み出す方法である。ホウ素の導入は、従来の鋳造/鍛錬(cast−and−wrought)処理、ガス噴霧法などの粉末冶金技術、混合元素法(blended elemental aprroach)など、異なるいくつかの方法によって実施されている。最初の2つの方法には、チタンへのホウ素の溶解度が限定的であるという欠点がある。ホウ素は強く偏析する傾向があり、これによって延性および疲れに対して有害な比較的に大きなホウ化チタン粒子が形成される。この偏析の問題を回避するために、これらの最初の2つの方法によって金属組成物に添加されるホウ素の濃度が厳しく制限され、これによってホウ素添加の潜在的な利益が限定され、または凝固中の冷却速度が非常に大きくなければならない。混合元素法でははるかに多くのホウ素を添加することができる。しかし、ホウ素は一般に二ホウ化チタンとして添加され、チタンのα相と熱力学的に平衡する相は非常に安定な一ホウ化チタンであるため、二ホウ化チタンを一ホウ化チタンに完全に転化させるためには長時間の高温が必要となる。この必要な長時間の高温は、金属組成物中でのホウ化チタン粒子の均一な微細分散の生成を妨げる。
【特許文献1】米国特許出願第10/847599号
【特許文献2】米国特許出願第10/172217号
【特許文献3】米国特許出願第10/172218号
【特許文献4】米国特許出願第10/329143号
【特許文献5】米国特許出願第10/350968号
【特許文献6】米国特許出願第10/371743号
【特許文献7】米国特許第5779761号
【特許文献8】米国特許第5958106号
【特許文献9】米国特許公開第2004/0123700号
【特許文献10】公開特許出願WO99/64638
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現行の溶融、鋳造および転化操作を使用して、ホウ素を含まないチタンベース金属組成物でできた圧縮機、ファンディスクなどの十分に使用可能な構成部品を準備することは可能である。しかし、ホウ化チタン粒子が存在することおよび不規則がより少ないことに起因するよりいっそう改善された性質を有するファンディスクおよび他の構成部品を製造し、それによって動作安全率を高める製造プロセスに対する要望および要求が存在する。本発明は、改良されたプロセスに対するこの要求を満たし、さらにこのプロセスに関係した利点を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の方法は、金属組成物中でのホウ素の溶解度限界よりも多い量のホウ素をさらに含む、チタンベース金属組成物の金属物品を生み出すための方法を提供する。この物品は、約1300°Fまでの温度範囲における機械的性質、酸化による環境損傷に対する可能な良好な抵抗性、および不規則の低い発生との良好な組合せを有する。ホウ化チタン粒子の存在によって材料の弾性率は改善され、耐摩耗性は増大する。このホウ化物分散は、他の製造技法によって得られる分散よりも均一かつ微細である。本発明の方法によって生み出される材料は、従来のチタン金属組成物と比較して、同じ動作温度でより良好な性質を有し、さらに、従来のチタン金属組成物で可能な温度よりも高い動作温度でこの材料を使用することを可能にする。本発明の方法は、従来の溶融手法によって使用可能な形態および分布でチタンベース金属組成物に容易に導入することができない金属合金元素の組込みを可能にする製造技法を利用する。
【0009】
構成元素割合の構成元素でできた物品を製造するための方法は、少なくとも1種の非金属前駆化合物を提供するステップを含み、全ての非金属前駆化合物が集合的に構成元素をそれらのそれぞれの構成元素割合で含む。これらの構成元素は、チタンベースの金属組成物と、その室温固溶解度限界よりも高い濃度でチタンベース金属組成物中に存在するホウ素とを構成する。前駆化合物は化学的に還元されて、ホウ化チタン粒子をその中に有するチタンベース金属組成物を含む材料を、チタンベース金属組成物を溶融することなく生み出す。本発明の方法を説明する際に本明細書で使用されるとき、「ホウ化チタン」は、TiB、TiB、Tiまたは他のチタン−ホウ素含有化合物を指し、ことによると合金元素の存在によって修飾されている。ホウ化チタン粒子をその中に有するチタンベース金属組成物は圧密されて、圧密された物品を、チタンベース金属組成物を溶融することなく、かつ圧密されたチタンベース金属組成物を溶融することなく生み出す。本発明の方法は、本明細書に論じられる実施形態および参照によって組み込まれる実施形態と整合する。
【0010】
ホウ素構成元素は、圧密された材料中に約90体積パーセントのホウ化チタンを形成するのに必要な量を超えない量で提供されることが好ましい。最も具体的には、非金属前駆化合物は、圧密された材料中に圧密された材料の約17重量パーセントを超えない量のホウ素が存在するように提供される。より好ましくは非金属前駆化合物が、圧密された材料中に圧密された材料の約0.05から約17重量パーセントの量で存在するように提供される。この材料中に存在するホウ素の量は、チタン−ホウ素2成分系についてホウ素の量が約0.05から約1.5重量%である亜共晶範囲と、チタン−ホウ素2成分系についてホウ素の量が約1.5から約17重量%ホウ素である過共晶範囲の2つの範囲で考えることができる。チタンおよびホウ素以外の他の元素との合金は他の相および範囲を有することができるが、これらも本発明の方法の範囲に含まれる。本発明の方法は、一般に最大約5重量パーセントである、他の技法を用いて達成できるのと同じホウ素含量を有する材料の調製、さらに、一般に約5から約17重量パーセントである、他の技法を用いて達成できるよりも大きなホウ素含量を有する材料の調製を可能にする。それぞれのケースで材料は均一な微細ホウ化チタン分散を有する。
【0011】
ホウ素は、チタンベース金属組成物マトリックス中でのその室温固溶解度を超える濃度から約90体積パーセントを超えないホウ化チタンを形成するのに必要な濃度までの濃度で存在する。固溶解度限界を超えるより小さな添加に対しては、重大な高温静的強さおよび高温クリープ強さの利益を提供するホウ化チタン粒子の微細な分散が形成される。固溶解度を超えるより大きな添加に対しては、ホウ化チタン粒子のより大きな体積分率が存在し、かなりの複合則強化の利益が得られる。固溶解度限界を超えるホウ素添加のこの両方の濃度で、材料の弾性率および耐摩耗性が従来のチタンベース金属組成物に比べてかなり改善される。
【0012】
任意選択で、提供するステップが、チタンベース金属組成物中に安定な酸化物を形成する安定酸化物形成添加元素の非金属前駆化合物を提供するステップを含む。このような材料では、少なくとも1種の添加元素が、チタンベース金属組成物中でのその室温固溶解度限界よりも高い濃度で存在する。この方法は、化学的に還元するステップの後に、酸素形成添加元素を含む金属組成物を室温よりも高い温度で酸化する追加のステップを含む。提供するステップまたは化学的に還元するステップ中に、他の添加成分を添加してもよい。
【0013】
安定酸化物形成添加元素は、チタンベース金属組成物中での強い酸化物形成剤である。いくつかの安定酸化物形成添加元素は、チタンベース金属組成物が固溶体中に酸素を実質的に持たない場合、安定な酸化物を形成しない可能性があり、安定な酸化物を形成するためには固溶体中に約0.5重量パーセントまでの酸素を含む必要がある。本発明の方法を用いるとチタンベース金属組成物中にこのような濃度の酸素は存在することができるので、このような安定酸化物形成添加元素の存在は本発明の方法の範囲に含まれる。したがってチタンベース金属組成物は固溶体中にゼロから約0.5の重量パーセントまでの酸素を有することが好ましい。チタンベース金属組成物が固溶体中により大量の酸素を含んでもよいが、約0.5重量パーセントを超える酸素が存在する場合には延性が低下する可能性がある。好ましい安定酸化物形成添加元素には、マグネシウム、カルシウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウム、ならびにこれらの混合物が含まれる。性質に対して有害な効果を与えるそれらの限定された液相混和性、溶融るつぼとのそれらの反応および/または圧密中の粗いグロブ(glob)の形成のため、従来の溶融技法を使用してこれらの元素を、それらの溶解度限界を超える濃度でチタンベース金属組成物に導入することはできない。
【0014】
後に説明するように酸素含量は、還元ステップの前および/または還元ステップ中に制御することができる。酸素は、任意選択の安定酸化物形成性添加元素と反応して、還元ステップ中または還元ステップ後に、金属組成物マトリックス中に実質的に均一に分散した酸化物分散を生み出す。酸化物分散は、特に高温で必要とされるクリープ強さに関して、微細なホウ化チタン分散と同様の方法で最終金属物品の性質を改善する。微細な酸化物分散は、暴露中に形成されるスケールの性質を変更することができる。全ての安定酸化物形成剤が還元中または還元後に酸化されるわけではない場合、それは、使用時の暴露中に酸素を活発にゲッタリング(gettering)することができる。
【0015】
1種または数種の前駆化合物は、選択された化学還元技法に適した形態で提供される。前駆化合物は例えば、金属酸化物または金属ハロゲン化物として提供することができる。前駆化合物は、好ましくは所望の最終物品よりもサイズが大きな事前に圧縮された圧縮塊として、細かく分割された形態あるいは気体または液体の形態で化学還元に提供することができる。
【0016】
金属組成物材料が溶融されるものでない限り、化学還元は、使用可能な任意の方法によって実行することができる。金属組成物材料が溶融される場合、金属相、ホウ素、および任意選択の1種または数種の安定酸化物形成添加元素の凝固挙動のため、その後の後続の再凝固によって本発明の方法の利益の多くは失われる。好ましい方法は、前駆化合物および還元された金属組成物材料が溶融されない気相還元技法であり、固相還元も同様に使用することができる。この還元技法は、選択された還元技法に特徴的な物理形態の金属組成物材料を生み出す。例えば材料はスポンジまたは複数の粒子となる。
【0017】
溶融させることのないチタンベース金属組成物および物品の調製には重要な利点がある。本発明の方法に関して、ホウ素およびほとんどの任意選択の安定酸化物形成添加元素は、溶融チタンおよびチタン金属組成物と十分に混合できず、溶融物、したがって溶融され鋳造されたチタン金属組成物にこれらを大量に導入することができず、かつ/またはそれらの元素は、チタンベース金属組成物に対する最小の溶解度を有し、その結果、溶融および鋳造の後、有用なホウ化物分散および酸化物分散を含む構造を達成することができない。溶融および鋳造によって、または粉末冶金技術によってかなりの量のホウ素を導入しようとした場合、ホウ素は、大きなホウ化物−化合物粒子として最終物品中に存在し、その結果、先に説明した性質の低下が生じる。さらに、任意選択の安定酸化物形成添加元素が溶融および鋳造によって添加される場合、その結果は、環境または溶融金属との化学反応であり、最終物品中の大きなグロブとして安定酸化物形成性添加元素が存在することである。材料のこれらのグロブは、本発明の方法を用いて達成される酸素反応特性および酸素ゲッタリング特性を提供しない。
【0018】
さらに、溶融なしでの材料および物品の製造は、従来のスポンジチタン製造、溶融および合金化ならびに鋳造プロセスに関連した汚染および元素の偏析を回避する。この金属組成物材料は、従来の金属スポンジ製造プロセスに起因する不純物の導入ならびに溶融および鋳造操作に関連した不純物の導入を伴わずに製造することができる。スポンジ製造容器からチタン金属組成物への鉄、クロムおよびニッケルの導入は、これらの元素がチタン金属組成物のクリープ強さに不利な影響を与えるので特に心配である。
【0019】
化学還元の後、金属組成物材料を圧密して、金属組成物材料を溶融することなく、かつ圧密された金属物品を溶融することなく圧密された金属物品を生成することが好ましい。ホットアイソスタティック成形、鍛造、押出成形、圧縮成形/焼結あるいは直接粉末圧密押出成形または圧延、あるいはこれらの方法の組合せなどの使用可能な任意の圧密化技法を使用することができる。ホウ化チタン粒子ならびに任意選択の酸化物分散および/または強い酸化物形成粒子の粗大化を避けるため、圧密はできるだけ低い温度で実行することが好ましい。この処理の初期の段階と同様に、金属材料が溶融される場合には、材料の凝固挙動ならびに溶融物および凝固に関連した不規則の導入のため、再凝固後にその利益が大幅に失われる。
【0020】
圧密された物品は、任意の機械成形技術によって希望どおりに機械成形することができる。
【0021】
化学還元ステップの後、圧密ステップの後(このステップを使用する場合)、機械形成の後、またはその後に、この材料を熱処理することができる。
【0022】
室温まで冷却した後の金属組成物材料は、微細な分散としてまたはより高体積分率のホウ化チタン相としてホウ化チタン粒子を含み、任意選択で1種またな数種の安定酸化物形成添加元素がその中に分散したチタンベース金属組成物である。任意選択の1種またな数種の安定酸化物形成添加元素は、固溶体中に(溶解度限界よりも低い状態または過飽和状態で)存在し、かつ/または1つまたは複数の不連続分散相として存在する。この分散相は、酸化されていない安定酸化物形成添加元素、またはすでに酸化された分散、あるいはこれらの両方の混合物である。固溶体または酸化されていない不連続分散中にある安定酸化物形成添加元素は、マトリックス中にある酸素または後続の処理または使用中に金属材料に拡散する酸素との後の反応に使用可能である。
【0023】
圧密された材料は物品全体を形成することができ、あるいは従来の鋳造および加工、鋳造または本明細書に記載の同様の方法を含む任意の方法で製造された他の物品にインサートとして加えることができる。このインサートは実質的に均一な単一のバルク組成物を含むことができ、または異なるバルク組成物を有する少なくとも2種類の材料の混合物を含むことができる。圧密された材料がインサートとして加えられる実施形態では、それを取り巻く物品が同じ組成または異なる組成を有することができる。このインサートは、この処理の可能な任意の時点で提供することができる。
【0024】
任意選択の安定酸化物形成元素を添加する一般的な応用では、製造された物品が、これを金属形態にする化学還元の後に、酸素を含む環境中またはチタン中の酸素の反応によって、室温よりも高い一般に約1000°Fを超える温度で酸化される。この酸化によって、この1種または数種の安定酸化物形成添加元素の反応せずに残った部分の少なくとも一部が酸素と化学的に反応して、材料中にさらなる酸化物分散相を形成する。酸素への暴露は、使用中に、または使用前の熱処理の一部として、あるいはその両方で実施される。この暴露が使用中であるとき、この1種または数種の酸素形成元素は、環境から物品の内部へ拡散する酸素と化学的に結合する(すなわちゲッタリングする)。この反応は、物品の表面の近くで最も強く起こり、そのためその結果生じる酸化物分散相は主に表面の近くに位置する。暴露が熱処理の一部であるときには、酸化物分散相の深さを特定の値に制御することができる。金属物品が非常に薄い(例えば約0.005インチ以下の)場合には均一な分散を得ることができる。
【0025】
ホウ化物分散の形成にはいくつかの重要な利点がある。第1に、実質的に均一に分布した分散は、静的強さ、疲れ強さおよびクリープ強さを含む所望の機械的性質を、ベースメタルチタン金属組成物マトリックスの分散強化によって、高温への長期の暴露にわたって安定的に達成するのを助ける。実質的に均一に分布した分散はさらに、ベースメタルチタン金属組成物マトリックスの結晶粒の成長を制限するのを助ける。第2に、チタンベース金属組成物の弾性率がかなり増大し、弾性変形中に物品が大幅に高い荷重に耐えることができるようになる。第3に、物品の耐摩耗性および耐侵食性が大幅に向上し、所与の応用における使用時間が増大する。第4に、微細な分散が存在する結果、従来の鋳造/鍛錬、鋳造あるいはガス噴霧または混合元素粉末冶金法によって製造された物品と比べて延性が改善される。ホウ化物分散は、α、近α(near−alpha)、α+β、近βおよびβチタン金属組成物を含む任意のチタンベース金属組成物マトリックス、ならびにα−2、斜方晶系およびγチタンアルミナイドに基づくチタンベース金属間化合物含む任意のチタンベース金属間化合物中に形成することができる。
【0026】
任意選択の酸化物分散の形成には重要ないくつかの利点がある。第1に、実質的に均一に分布した分散は、所望の機械的性質を、ベースメタルマトリックスの分散強化によって、高温への長期の暴露にわたって安定的に達成するのを助け、さらにベースメタルマトリックスの結晶粒の成長を制限するのを助ける。第2に、使用前酸化中または使用中に環境酸素への暴露が起こると、物品中へ拡散する酸素は通常、α相を含む従来のチタン金属組成物の表面の近くに「αケース」を形成させると思われる。本発明の方法では、固溶体中の安定酸化物形成添加元素または別の相としての安定酸化物形成添加元素が、固溶体から内部へ拡散する酸素をゲッタリングして酸化物分散に加え、それによってαケースの形成およびこれに関連した起こりうる早期故障を低減させる。第3に、いくつかのケースでは、酸化物分散相が、それらが形成された不連続金属相より大きな体積を有する。酸化物分散相の形成は、物品の深い部分よりも物品の表面近くでより大きい圧縮応力状態を生み出す。この圧縮応力状態は、使用中の早期の割れの形成および成長を妨げるのを助ける。第4に、物品の表面の安定な酸化物分散の形成は、追加の酸素の内部への拡散を遮る障壁の働きをする。第5に、マトリックスからの固溶体中の過剰の酸素を除去することは、アルミニウム、スズなどのα安定化元素のより高い金属合金濃度の導入を可能にし、このことは弾性率、クリープ強さおよびマトリックスの酸化抵抗の改善を促進する。第6に、固溶体中の過剰の酸素の存在は、α−2、斜方晶系、γベースのアルミナイドなどのチタン金属組成物のいくつかのタイプで、チタン金属組成物の延性を低下させる。本発明の方法はその酸素をゲッタリングし、そのため延性が不利な影響を受けない。
【0027】
したがって本発明の方法は、チタン金属組成物マトリックス、安定なホウ化チタン分散相の分布、および任意選択でチタン−金属組成物マトリックス中の安定な酸化物分散相の分布を含む物品に拡張される。ホウ素は、チタン金属組成物マトリックス中でのその室温固溶解度限界よりも多い量で存在する。任意選択の安定な酸化物分散相は、チタン金属組成物マトリックス中でのその室温固溶解度限界よりも多い量で存在する安定酸化物形成添加元素の酸化物である。チタン金属組成物マトリックスは溶融/鋳造性の微細構造を持たない。本明細書に論じる他の適合する特徴をこの物品とともに使用することができる。
物品は、チタン金属組成物マトリックス、およびチタン金属組成物マトリックス中のホウ化チタン粒子の分布を含み、この物品は約0.05から約17重量パーセントのホウ素を有する。この物品は、少なくとも0.1体積パーセントの添加元素の酸化物を含むことができる。本明細書に論じる他の適合する特徴をこの実施形態とともに使用することができる。
【0028】
この物品は、独立したホウ化チタン相の存在なしで製造されることが好ましい。すなわち、その中に分散したホウ化チタン相を有するチタンベースの物品を製造する1つの可能な方法は、ホウ化チタン相を粉末、繊維などの独立した粒子として製造し、次いでこれらの独立した粒子をチタンベースの組成物に分散させる方法である。この方法は、これらの粒子が、本発明の方法によって製造される粒子よりもサイズが大きく、それらの機械的性質を低下させる欠陥をその中に有する可能性があり、チタンベースマトリックス中に均一に分散させることがより難しいという欠点を有する。
【0029】
したがって本発明の方法は、改善された性質および改善された安定性を有するチタンベース金属物品を提供する。本発明の他の特徴および効果は、好ましい実施形態の以下の詳細な説明ならびに本発明の原理を一例として示す添付図面から明らかである。しかし本発明の範囲はこの好ましい実施形態に制限されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1に、構成元素割合の構成元素でできた金属物品を製造するための好ましい一方法を示す。少なくとも1種の非金属前駆化合物を提供する(ステップ20)。全ての非金属前駆化合物は集合的に構成元素をそれらのそれぞれの構成元素割合で含む。金属元素は、前駆化合物によって、使用可能な任意の方法で供給することができる。この好ましい方法では、金属合金元素ごとに正確に1種類の前駆化合物が存在し、1種類の前駆化合物が、金属組成物中のそれぞれの金属成分に全ての材料を提供する。例えば、プロセスの最終結果である4元素金属材料に対しては、第1の前駆化合物が全ての第1の元素を供給し、第2の前駆化合物が全ての第2の元素を供給し、第3の前駆化合物が全ての第3の元素を供給し、第4の前駆化合物が全ての第4の元素を供給する。ただしこの方法の範囲に含まれる代替法もある。例えば、複数の前駆化合物が特定の1つの金属元素の全てを一緒に供給してもよい。他の代替法では1種の前駆化合物が2つ以上の金属元素の全部または一部を供給する。これらの代替法は最終金属材料中の元素割合の正確な決定をより困難にするので、あまり好ましくない。最終金属材料は一般に、小さな整数で表すことができる相対量の金属成分を有する化学量論的化合物ではない。
【0031】
処理後、これらの構成元素は、チタンベースの金属組成物、ホウ素、および任意選択の安定酸化物形成添加元素を構成する。チタンベースの金属組成物は、重量換算で、他のどの元素よりもチタンを多く含む(ただし原子分率では、例えばある種のγ相チタンアルミナイドのように、チタンが他の元素を上回っていないこともある)。このチタンベース金属組成物は純粋なチタン(例えば商業上純粋なチタンすなわちCPチタン)とすることができ、またはチタンと他の元素の金属合金、例えばTi−6Al−4V、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Mo−0.1Si、Ti−6Al−2Sn−4Zr−6Mo−0.1Si、Ti−5.8Al−4Sn−3.5Zr−0.7Nb−0.5Mo−0.35Si、Ti−10V−2Fe−3Al、Ti−15Mo−3Al−2.7Nb−0.25Si(別名ベータ21S)、Ti−32.7Al−2.5Cr−4.8Nb(別名Ti−48−2−2)とすることができる。特に明記しない限り、全ての組成物は重量パーセントで与えられる。関心のチタン金属合金組成物には、α−β相チタン金属組成物、β相チタン金属組成物、α−2、斜方晶系、およびγ相チタンアルミナイド金属組成物が含まれる。ただし本発明はこれらの金属組成物に限定されない。ホウ素濃度の範囲は、そのチタンベース金属組成物中でのホウ素の室温での溶解度限界よりも高い濃度から、90体積%を超えないホウ化チタンを生み出すのに必要な濃度までである。ホウ素は一般に、圧密された最終材料の総重量の0.05から17重量パーセント存在する。この結果は、チタンベース金属組成物を構成する1つまたは複数の金属相、ホウ化チタン、および任意選択の1つまたは複数の安定な酸化物相を含む、少なくとも2つの相を有する圧密された材料である。本発明の方法を説明する際に本明細書で使用されるとき、「ホウ化チタン」は、本発明の方法によって作られるほとんどの材料に存在するTiB、マトリックスがγ相チタンアルミナイドである場合に存在するTiB、Ti、および他のホウ化チタンまたは他のチタン−ホウ素含有化合物を指し、ことによると合金元素の存在によって修飾されている。「一ホウ化チタン」は特にTiBを指し、「二ホウ化チタン」は特にTiBを指す。
【0032】

任意選択の安定酸化物形成添加元素は、チタンベース金属組成物中に安定な酸化物を形成することを特徴とする。チタンベース金属組成物が固溶体中に実質的に酸素を持たず、またはチタンベース金属組成物が固溶体中に少量の酸素を有するときにチタンベース金属組成物中に安定な酸化物を形成する場合、その元素は安定酸化物形成添加元素とみなされる。安定酸化物形成添加元素が有効な安定酸化物形成元素として機能するためには、固溶体中に約0.5重量パーセントの酸素が存在する必要がある。したがって、チタンベース金属組成物が固溶体中に0から約0.5重量パーセントの酸素を有することが好ましい。これよりも多くの酸素が存在してもよいが、このような量の酸素は延性に対して有害な効果を有することがある。酸素は一般に、固溶体中に、または安定酸化物形成添加元素が酸素と反応したときに形成される酸化物などの不連続酸化物相として材料に存在する。
【0033】
チタンは、酸素に対して強い親和性を有し、酸素との反応性が高く、そのためチタンは自体を含む多くの酸化物を溶解する。本発明の方法の範囲に含まれる安定酸化物形成添加元素は、還元、圧密、熱処理および暴露に関連した一般的な熱条件中にチタン金属組成物マトリックスによって溶解されない安定な酸化物を形成する。安定酸化物形成添加元素の例は、マグネシウム、カルシウム、スカンジウムおよびイットリウム、ならびにランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウムなどの希土類元素などの強い酸化物形成元素およびこられの混合物である。
【0034】
任意選択で、少なくとも1種の添加元素が、チタンベース金属組成物中でのその室温固溶解度限界よりも高い濃度で存在してもよい。次の処理の後、このような添加元素はそれぞれいくつかある形態のうちの1つの形態で存在することができる。この添加元素はその元素の非酸化物分散として存在することができる。この添加元素はさらに固溶体中に存在することができる。この添加元素はさらに、酸素と反応して粗い酸化物分散または微細な酸化物分散を形成する形態で存在することができる。粗い酸化物分散は、その元素の非酸化物分散と一般に金属マトリックス中に存在する酸素との反応によって形成し、それによって酸素をゲッタリングする。微細な酸化物分散は、固溶体中の安定酸化物形成添加元素と、マトリックス中に存在する酸素または酸素を含む環境への暴露中に表面から金属材料中に拡散した酸素との反応によって形成する。
【0035】
前駆化合物は非金属化合物であり、前駆化合物は、この前駆化合物を金属形態に還元する還元プロセスで使用可能なものが選択される。関心の一還元プロセスである気相還元では、前駆化合物が金属ハロゲン化物であることが好ましい。他の関心の還元プロセスである固相還元では、前駆化合物が金属酸化物であることが好ましい。異なるタイプの前駆化合物の混合物を使用してもよい。
【0036】
「他の添加成分」と呼ぶ成分には金属組成物に導入することが難しいものがある。例えば、これらの成分の適当な非金属前駆化合物が使用できず、またはこれらの成分の使用可能な非金属前駆化合物が、他の非金属前駆物質化合物の化学的還元と一致した方法または温度では容易には還元できないことがある。このような他の添加成分は最終的に、例えば、金属組成物中の固溶体中の元素として、金属組成物の他の成分との反応によって形成された化合物として、または金属組成物中に分散したすでに反応した実質的に不活性な化合物として存在する必要である。これらの他の添加成分またはそれらの前駆物質は、以下に記載する4つの方法のうちの1つ、または他の使用可能な方法を使用して、気相、液相または固相から導入することができる。
【0037】
第1の方法では、1種または数種の他の添加成分を元素または化合物として提供し、化学的に還元するステップの前にまたは化学的に還元するステップと同時に前駆化合物と混合する。前駆化合物と他の添加成分の混合物はステップ22の化学還元処理にかけられるが、実際には前駆化合物だけが還元され、他の添加成分は還元されない。
【0038】
第2の方法では、固体粒子の形態の1種または数種の他の添加成分を提供するが、これらは、ベースメタルに対して使用される化学還元処理にはかけない。その代わりに、これらの添加成分は、化学還元ステップ22が完了した後に、化学還元ステップによって生じた初期の金属材料と混合される。この方法は、前駆化合物の流動粉末に対して化学還元ステップが実行されるときに特に有効だが、この方法は、予め圧密された前駆化合物塊を使用して実施することもでき、この場合には初期の金属材料のスポンジ状の塊が得られる。これらの他の添加成分は粉末の表面に付着し、またはスポンジ状塊の表面および空隙に付着する。他の添加成分の前駆物質である場合には、任意選択で固体粒子を1つまたは複数のステップで反応させてもよい。
【0039】
第3の方法では、最初に前駆物質を粉末粒子として製造し、または金属元素の前駆化合物を圧密することによってスポンジとして製造する。次いでこれらの粒子またはスポンジを化学的に還元する。その後に、粒子の表面(粒子がスポンジ状の場合には外部および内部表面)、またはスポンジの外部および内部表面に、他の添加成分を気相から生成する。一技法では、気体前駆物質または元素(例えばメタン、窒素またはボランガス)を粒子またはスポンジの表面に流して、このガスからこの表面に化合物または元素を付着させる。他の添加成分の前駆物質である場合には、任意選択で、表面に生成された材料を1つまたは複数のステップで反応させてもよい。一例では、チタン表面にボランを流すことによってチタン表面にホウ素が供給され、次の処理で、付着したホウ素を反応させてホウ化チタンを形成する。関心の成分を運ぶ気体は、市販の気体を使用する、セラミックまたは金属の電子ビーム蒸発などによって気体を発生させる、プラズマを使用するなどの使用可能な任意の方法で供給することができる。
【0040】
第4の方法は、他の添加成分を気体ではなく液体から付着させることを除き、第3の方法と同様である。最初に前駆物質を粉末粒子として製造し、または金属元素の前駆化合物を圧密することによってスポンジとして製造する。次いでこれらの粒子またはスポンジを化学的に還元する。その後に、粒子の表面(粒子がスポンジ状の場合には外部および内部表面)、またはスポンジの外部および内部表面に、他の添加成分を液体からの付着によって生成する。一技法では、この微粒子またはスポンジを、他の添加成分の前駆化合物の液体溶体に浸して、粒子またはスポンジの表面をコーティングする。次に他の添加成分の前駆化合物を化学的に反応させて、粒子の表面またはスポンジの表面に他の添加成分を残す。一例では、(前駆化合物から生成された)還元された粒子またはスポンジの表面を塩化ランタンでコーティングすることによって、チタンベース金属組成物にランタンを導入する。その後、コーティングされた粒子またはスポンジを加熱しかつ/または真空に暴露して、塩素を追い出し、粒子またはスポンジの表面にランタンを残す。任意選択で、ランタンでコーティングされた粒子またはスポンジを、環境からの酸素または金属中の溶体からの酸素を使用して酸化して、微細なランタン−酸素分散を形成し、あるいはランタンでコーティングされた粒子またはスポンジを硫黄などの他の元素と反応させてもよい。他の方法では、粒子またはスポンジの表面にこの成分を電気化学めっきする。他の方法では、粒子またはスポンジを他の添加成分を含む浴に浸し、浴から取り出し、溶媒または担体を蒸発させて、粒子またはスポンジの表面にコーティングを残す。
【0041】
ステップ22で使用される還元技法および他の添加成分を導入する方法の如何にかかわらず、その結果は金属組成物を含む混合物である。他の添加成分を導入する方法は、ベースメタル成分の還元の前の前駆物質に対して、またはすでに還元された材料に対して実行することができる。この金属組成物は、ある状況では自由に流動する粒子となり、または他のケースではスポンジ状構造を有する。この固相還元法では、実際の化学還元の開始前に前駆化合物が最初に圧密される場合に、スポンジ状構造が生み出される。この前駆化合物を圧縮して、所望の最終金属物品よりも寸法が大きい圧縮された塊を形成することができる。
【0042】
この初期の金属組成物の化学組成は、ステップ20で提供される非金属前駆化合物の混合物中の金属のタイプおよび量、ならびにこの処理において導入される他の添加成分によって決定される。金属元素の相対的な割合は、ステップ20の混合物中のそれぞれの金属元素の比(化合物の比ではなく金属元素の比)によって決定される。初期の金属組成物は、重量換算で、前駆化合物中の他のどの金属元素よりもチタンを多く有し、チタンベースの初期金属組成物を生成する。
【0043】
非金属前駆化合物は、最終金属物品に必要な金属合金元素を提供するように選択され、金属物品中のこれらの金属合金元素の必要な割合を得るために適当な割合で混合される。例えば、最終物品が、重量比86.5:6:4:2:3:0.5のチタン、アルミニウム、バナジウム、ホウ素、エルビウムおよび酸素を有する場合、非金属前駆化合物は、気相還元用の塩化チタン、塩化アルミニウム、塩化バナジウム、塩化ホウ素および塩化エルビウムであることが好ましい。最終的な酸素含量は、後に論じるように還元プロセスによって制御される。最終金属物品中の2種以上の金属の供給源の働きをする非金属前駆化合物を使用してもよい。これらの前駆化合物は、前駆化合物の混合物中のチタンとアルミニウムとバナジウムとホウ素とエルビウムの比が最終物品中の金属組成物を形成するのに必要な比となるような適切な比率で提供され、混合される。
【0044】
固相還元などの技法による化学還元の前に、任意選択で非金属前駆化合物を事前に圧密してもよい(ステップ21)。この事前圧密によって、次の処理では粒子ではなくスポンジが生成される。事前圧密ステップ21が使用されるとき、このステップは、非金属前駆化合物を事前圧密された塊にプレスするなどの使用可能な任意の方法によって実行される。
【0045】
単一の非金属前駆化合物または非金属前駆化合物の混合物を化学的に還元して、金属粒子またはスポンジを、前駆化合物または金属を溶融することなく生成する(ステップ22)。本明細書で使用するとき、「溶融することなく」、「溶融なしで」およびこれらに関連した概念は、材料が、長時間にわたって巨視的にまたは総体的に、材料が液化しその形状を失うようには溶融されないことを意味する。例えば、低融点元素が溶け、溶融していない高融点元素と拡散的によって合金を形成するときにある少量の局所化された溶融が生じることがあり、または約10秒未満の非常に短い溶融が生じることがある。このようなケースでも材料全体の形状は変化しない。
【0046】
非金属前駆化合物が蒸気または気相として提供されるため気相還元と呼ばれる好ましい1つの還元方法では、ベースメタルのハロゲン化物と金属合金元素のハロゲン化物の混合物を液体アルカリ金属または液体アルカリ土類金属を使用して還元することによって化学還元を実行することができる。例えば、四塩化チタンおよび金属合金元素のハロゲン化物を気体として供給する。適当な量のこれらの気体の混合物を溶融ナトリウムと接触させて、これらの金属ハロゲン化物が金属形態に還元されるようにする。この金属組成物をナトリウムから分離する。この還元は、金属組成物の融点よりも低い温度で実行される。この方法は、米国特許第5779761号および5958106号、ならびに米国特許公開第2004/0123700号により詳細に記載されている。これらの文献の開示は全て参照によって本明細書に組み込まれる。
【0047】
高温での還元よりも低温での還元のほうが好ましい。還元は、600℃以下、好ましくは500℃以下の温度で実行されることが望ましい。これと比較すると、チタン組成物および他の金属組成物を調製する従来の方法ではしばしば900℃以上の温度に達する。低温還元はより制御しやすく、さらに金属組成物への汚染物質の導入を受けにくい。このような汚染は化学的な不規則をもたらす可能性がある。さらに、低温は、還元ステップ中の粒子の焼結の発生を低下させ、安定なホウ化物分散および任意選択の酸化物分散の潜在的な結晶粒粗大化を制限する。
【0048】
この気相還元法では、液体アルカリ金属または液体アルカリ土類金属と反応させる前に、気体の形態で提供される非金属修飾元素または化合物を混合して、気体非金属前駆化合物とすることができる。一例では、気体酸素を、1種または数種の気体非金属前駆化合物と混合して、初期の金属粒子の酸素濃度を増大させることができる。例えば、安定酸化物形成添加元素との反応によって酸化物分散を形成して最終金属物品を強化するために、金属材料の当初の酸素含量が十分に高いことが時に望ましい。従来の溶融技法によって生み出されたチタンベース金属組成物に対してときに実施されるように固体二酸化チタン粉末の形態で酸素を添加するのではなく、酸素は、混合を容易にし、最終物品中のハードα相の形成の可能性を最小化する気体の形態で添加される。従来の溶融操作において酸素が二酸化チタン粉末の形態で添加されるときには、粉末の集塊が十分に溶解せず、化学的な不規則を構成する微粒子が最終金属物品中に残る可能性がある。本発明の方法はその可能性を回避する。還元ステップではホウ素をボランガスとして加え、または窒素を気体の形態で加えることができる。
【0049】
非金属前駆化合物が固体として提供されるため固相還元と呼ばれる他の還元方法では、化学還元を溶融塩電解によって実行することができる。溶融塩電解は、例えば公開特許出願WO99/64638に記載されている周知の技法である。この文献の開示はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。簡単に説明すると、溶融塩電解のこの変法では、細かく分割された固体の形態で提供された非金属前駆化合物の混合物を、この非金属前駆化合物から形成する金属組成物の融解温度よりも低い温度の塩化物塩などの電解槽の中の溶融塩電解質の中に浸す。非金属前駆化合物の混合物が電解槽のカソードとなり、不活性アノードを有する。非金属前駆化合物中の金属と結合した元素、好ましい酸化物非金属前駆物質化合物のケースでは酸素は、化学還元(すなわち化学酸化の逆反応)によって混合物から部分的にまたは完全に除去される。カソードからの酸素または他の気体の拡散を促進するためこの反応は高温で実行される。カソード電位は、非金属前駆化合物の還元が起こり、溶融塩の分解などの他の可能な化学反応がおこらないように制御される。電解質は塩、好ましくは還元中の金属の等価の塩よりも安定であり、所望の低濃度まで酸素または他の気体を除去するために理想的に非常に安定な塩である。バリウム、カルシウム、セシウム、リチウム、ストロンチウムおよびイットリウムの塩化物およびこれらの塩化物の混合物が好ましい。非金属前駆物質化合物が完全に還元されるようにこの化学還元を完了させることが好ましいが、完了させる必要があるわけではない。このプロセスを完了させないことは、生み出された金属の酸素含量を制御し、次の酸化物分散の形成を可能にする1つの方法である。事前圧密ステップ21を実行する場合、このステップ22の結果は金属スポンジである。ホウ素および窒素含量は、ホウ化物または窒化物から出発し、電解プロセスによってこれらの化合物を還元することによって制御することができる。
【0050】
「急速プラズマクエンチ」還元と呼ばれる他の還元方法では、塩化チタンなどの前駆化合物を、4500℃を超える温度のプラズマアーク中で解離させる。この前駆化合物は急速に加熱され、解離され、水素ガス中で急冷される。その結果は微細な金属−水素化物粒子である。金属粒子の溶融は、10秒程度またはそれ以下と非常に短く、本明細書で使用される「溶融なし」等の範囲に含まれる。その後、真空熱処理によって金属−水素化物粒子から水素が除去される。酸素を加え、安定酸化物形成添加元素と反応させて安定な酸化物分散を形成してもよい。ホウ素を添加しチタンと反応させて、ホウ化チタンを生成する。
【0051】
ステップ22で使用される還元技法がなんであれ、その結果は、金属チタンベース金属組成物、ホウ化チタンおよび任意選択の安定な酸化物粒子からなる材料である。この材料は、ある状況では自由に流動する粒子となり、または他のケースではスポンジ状構造を有する。この固相還元法では、実際の化学還元の開始前に前駆化合物が最初に事前圧密される場合(すなわち任意選択のステップ21)に、スポンジ状構造が生み出される。この前駆化合物を圧縮して、所望の最終金属物品よりも寸法が大きい圧縮された塊を形成することができる。
【0052】
任意選択で、この材料を圧密して、チタンベース金属組成物を溶融することなく、かつ圧密されたチタンベース金属組成物を溶融することなく、圧密された金属物品を生み出すことが好ましい(ステップ24)。圧密化ステップ24は使用可能な任意の技法によって実行することができる。このような技法の例は、ホットアイソスタティック成形、鍛造、押出成形、圧縮成形/焼結、ならびに直接粉末圧密押出成形または圧延、またはこれらの方法の組合せである。
【0053】
図2および3に、環境44に面した表面42を有する材料40の微細構造を示す。金属物品40は、ホウ化チタン粒子および任意選択の1種または数種の安定酸化物形成添加元素がその中に分散したチタンベース金属組成物マトリックス46の微細構造を有する。ホウ化チタン粒子は、存在するホウ素のパーセンテージおよび他の因子によって決まるさまざまな形態で存在することができる。ホウ素は、総重量の0.05から17重量パーセント存在することが好ましい。ホウ素が0.05重量パーセント未満の場合、ホウ素は固溶体中にあるので、存在するホウ化チタンは有効な強化とはならない。ホウ素が0.05から1.5重量パーセント存在する場合、ホウ化チタン粒子は、図2に示すように、チタンベース金属組成物マトリックス46中に分散した微細なホウ化チタン分散相62として存在し、分散相強化効果を生む。これらの微細な分散相粒子は、チタン−ホウ化チタン材料を調製する従来のプロセスによって生み出される粒子に比べてサイズが小さい。ホウ素が1.5から17重量パーセント存在する場合、ホウ化チタン粒子は、図2に示された構造に比べて相対的に高い体積分率を有する、図3に示すような粗いホウ化チタン相64として存在する。(本明細書で使用されるとき、「粗い」と「微細な」は単に互いに対する相対的な意味において使用されており、「粗い」相は「微細な」分散相よりもサイズが大きい。)粗いホウ化チタン相64は複合強化効果を生み出す。しかし、高重量パーセント(1.5〜7%)ホウ素組成物の微細構造を圧密中の低温処理によって操作して、微細な分散相62の体積分率がより高くなることを除き微細構造が図2のそれにやや類似するようにすることが可能である。17重量%を超えるホウ素が存在する場合、この構造は、90体積パーセントを超えて存在するホウ化チタンを有し、チタンベース金属組成物マトリックス46が存在する利益が低下し、ついには失われる。
【0054】
図3では、微細なホウ化チタン分散相62と粗いホウ化チタン分散相64の両方が強化効果を提供する。ただしその機構は異なる。微細なホウ化チタン分散相62は、チタンベース金属組成物マトリックス46中の転位と相互作用することによって分散相(すなわちOrowan)強化を提供する。粗いホウ化チタン分散質相64はある分散相強化を提供することができるが、図3に示されているように存在するときには複合則複合強化も提供する。1.5〜1.7重量パーセントの範囲では、微細なホウ化チタン分散質62と粗いホウ化チタン分散質64の両方が存在する可能性があり、そのためそれぞれのタイプの強化がある程度観察される。存在するホウ素の量を増大させるとホウ化チタンの体積分率が増大し、その結果、ホウ化チタンはほとんど連続相になる。
【0055】
任意選択の1種または数種の安定酸化物形成添加元素は固溶体48中に存在し、または1つまたは複数の反応していない不連続相50として存在することができる。最初に固溶体中にあるこの1種または数種の安定酸化物形成添加元素の一部は、最初にマトリックス46中に存在する酸素と反応して微細な酸化物分散相52の分散を形成している場合がある。最初に反応していない不連続相50として存在しているこの1種または数種の安定酸化物形成添加元素の一部は、最初にマトリックス46中に存在する酸素と反応して粗い酸化物分散相54の分散を形成している場合がある。これらの安定酸化物分散相52および54はマトリックス46の全体を通じて実質的に均一に分布している。
【0056】
まとめると、ホウ化チタン分散相62または64および酸化物分散相52または54は、最終材料40の機械的性質を制御する際に多くの柔軟性を提供する。ホウ化チタン分散相62または64および酸化物分散相52または54の相対的な量、サイズおよび分布は、ホウ素を含む1種または数種の前駆化合物および1種または数種の安定酸化物形成添加元素の1種または数種の前駆化合物の量の制御および次に説明される他の処理によって、概ね互いから独立に確立される。
【0057】
任意選択で、圧密された金属物品のこのほかの処理(ステップ26)が実施されることが好ましい。この処理では物品が溶融されない。このような処理には例えば、圧密された金属物品を使用可能な任意の方法によって機械的に成形する処理(ステップ28)、または圧密された金属物品を使用可能な任意の方法によって熱処理する処理(ステップ30)が含まれる。使用される場合、成形ステップ28および/または熱処理ステップ30は、チタンベース金属組成物の性質に基づいて選択される。それぞれのチタンベース金属組成物に対するこのような成形および熱処理は当技術分野では周知である。
【0058】
チタン合金マトリックス中の固溶体中および/または粒子の形態で強い酸化物形成元素が存在する場合には特に、圧密された材料40を室温よりも高い温度で酸化してもよい(ステップ32)。図3に示された酸化物に関連したタイプの微細構造をもたらす酸素暴露ステップ32は、制御された製造セッティングでの金属物品の初期の調製中か、または後の使用時の高温への暴露中に実施することができる。いずれにせよ、酸素は表面42からマトリックス46の内部へ拡散する。内部へ拡散した酸素は、固溶体48または不連続相50として表面42の近くに存在する1種または数種の酸化物形成添加元素と化学的に反応する。その結果、表面42の近くの固溶体48または不連続相50中に反応していない安定酸化物形成添加元素はあったとしてもごくわずかであり、その代わりに全てが反応して、それぞれ追加の微細な酸化物分散相52および粗い酸化物分散相54を形成する。結果的に、表面42および表面42の直下の深さD1の拡散−酸化ゾーン56の微細な酸化物分散相52の濃度は、より深いところの微細な酸化物分散相52の濃度よりも高くなる。D1は一般に約0.001から約0.003インチだが、これよりも浅くこともまたは深いこともある。さらに、安定酸化物形成元素によって形成される特定の酸化物に応じて、環境44から物品40内への追加の酸素の拡散に対する拡散障壁の役目を果たす酸化物表面層58が形成される可能性がある。
【0059】
酸化物分散相52および54の存在および分布の性質は重要ないくつかの追加の結果を有する。酸化物分散相52および54は、分散強化効果によってマトリックス46を強化し、さらにマトリックス46の高温クリープ強さを向上させる働きをする。酸化物分散相52および54はさらに、マトリックス46の結晶粒界を固定して、処理および/または高温暴露中の結晶粒構造の粗大化を抑制することができる。さらに、いくつかの環境では、酸化物分散相52および54が、これらを生み出した安定酸化物形成添加元素よりも大きい比体積を有する。この相対的に大きい比体積は、表面42に近いマトリックス46中に矢印60によって指示された圧縮力を生み出す。この圧縮力60は、使用中に物品に張力またはねじれが加えられたときに割れの形成および成長を抑制するという非常に有益な結果をもたらす。
【0060】
本発明の方法の重要な1つの利用は、圧密された物品が、多くの異なる材料に関してインサート(insert)を形成することができることである。図4〜7にこの方法のいくつかの実施形態を示す。インサートは、図4および5に示すように単一のバルク組成物を有することができ、または図6および7に示すように異なるバルク組成物を有する少なくとも2種類の材料の混合物を含むことができる。図4の実施形態では、ホウ化チタン粒子をその中に有する圧密されたチタンベース金属組成物の粒子70が、ホウ化チタン粒子をその中に有する圧密されたチタンベース金属組成物でない金属塊72の中にインサートを形成する。図5の実施形態では、第1の体積分率のホウ化チタン粒子をその中に有する第1の圧密されたチタンベース金属組成物の粒子74が、第2の体積分率のホウ化チタン粒子をその中に有する第2の圧密されたチタンベース金属組成物である塊76の中にインサートを形成する。図6の実施形態では、高体積分率のホウ化チタン粒子を有する結晶粒90が、低体積分率のホウ化チタンを有する結晶粒92と混合されて、インサートを形成している。図7の実施形態では、高体積分率のホウ化チタンを有する結晶粒94(および/または低体積分率のホウ化チタンを有する結晶粒96)が、実質的にホウ化チタンを持たない結晶粒98と混合されて、インサートを形成している。
適合する他の配置も同様に使用することができる。図8〜9の実施形態では、ホウ化チタン粒子を有する圧密されたチタンベース金属組成物のインサート78が、ガスタービンエンジンブレード82のエーロフォイル80の残部を構成する金属合金を含む非ホウ化物の中に配置されている。このブレードの断面は例えば、図4に示した微細構造に類似した微細構造を有する。このインサートは、燃焼ガスに暴露することなく、かつエアフォイル80の形状を変更することなく、エーロフォイル80の強度および引張応力を増大させる。あるいはこのインサートは、図6および7に示すように、異なるバルク組成物を有する少なくとも2種類の材料の混合物を含むことができる。インサートは、使用可能な任意の方法、例えば鋳造によって非ホウ化物部分を適当な位置に製造することによって、鋳造および加工によって、または拡散接合などの非溶融法によって組み込むことができる。
【0061】
本発明の方法によって製造することができる物品の他の例には、ベーン、ディスク、ブリスク(blisk)、ブリング(bling)、シャフト、ケース、エンジンマウント、ステータベーン、シールおよびハウジングを含む、ガスタービンエンジンの構成部品が含まれる。他の物品には自動車部品および生医学物品が含まれる。しかし本発明の使用はこれらの特定の物品に限定されない。
【0062】
本発明の特定の実施形態を例示のため詳細に説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくさまざまな変更および拡張を実施することができる。したがって本発明は添付の請求項による以外は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明を実施する一方法のブロック流れ図である。
【図2】均一な酸化物分散を生み出すある酸化の後の金属物品の理想化された微細構造である。
【図3】熱処理中または使用中の酸素の内部拡散後の金属物品の理想化された微細構造である。
【図4】チタンベース領域中の顕微鏡レベルインサートの理想化された微細構造である。
【図5】顕微鏡レベルでホウ素が単一の構造に結合された、2つの異なるタイプのチタンベース金属組成物の理想化された微細構造である。
【図6】高ホウ素結晶粒および低ホウ素結晶粒を有する材料の理想化された微細構造である。
【図7】高ホウ素結晶粒およびホウ素を実質的に含まない結晶粒を有する材料の理想化された微細構造である。
【図8】本発明の方法によって製造されたチタン−ホウ素インサートを有するガスタービン構成部品の透視図である。
【図9】線9−9で切った図8のガスタービン構成部品の断面図である。
【符号の説明】
【0064】
40 金属物品
42 表面
44 環境
46 チタンベース金属組成物マトリックス
48 固溶体
50 不連続相
52 微細な酸化物分散相
54 粗い酸化物分散相
58 酸化物表面層
60 圧縮力
62 微細なホウ化チタン分散相
64 粗いホウ化チタン分散相
70 チタンベース金属組成物の粒子
72 チタンベース金属組成物でない金属塊
74 チタンベース金属組成物の粒子
76 チタンベース金属組成物の塊
78 インサート
80 エーロフォイル
82 ガスタービンエンジンブレード
90 結晶粒
92 結晶粒
94 結晶粒
96 結晶粒
98 結晶粒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成元素割合の構成元素からなる物品を製造する方法であって、
少なくとも1種の非金属前駆化合物を提供するステップを含み、
全ての前記非金属前駆化合物が集合的に前記構成元素をそれらのそれぞれの構成元素割合で含み、前記構成元素は、
チタンベースの金属組成物と、
その室温固溶解度限界よりも高い濃度で前記チタンベース金属組成物中に存在するホウ素とを有し、さらに、この方法は、
前記前駆化合物を化学的に還元して、ホウ化チタン粒子をその中に有するチタンベース金属組成物を含む材料を、前記チタンベース金属組成物を溶融することなく生み出すステップと、
前記ホウ化チタン粒子をその中に有する前記チタンベース金属組成物を圧密して、前記チタンベース金属組成物を溶融することなく、かつ圧密されたチタンベース金属組成物を溶融することなく、圧密された物品を生み出すステップとを具備する製造方法。
【請求項2】
前記提供ステップは、
前記圧密された材料中に約90体積パーセントのホウ化チタンを形成するのに必要な量を超えない量の前記ホウ素構成元素を提供するステップとを具備することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記提供ステップは、
前記圧密された材料中に前記圧密された材料の約17重量パーセントを超えない量のホウ素が存在するように前記非金属前駆化合物を提供するステップとを具備することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記提供ステップは、
前記圧密された材料中に前記圧密された材料の約0.05から約17重量パーセントの量のホウ素が存在するように前記非金属前駆化合物を提供するステップを具備することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記提供ステップは、
前記圧密された材料中に前記圧密された材料の約0.05から約1.5重量パーセントの量のホウ素が存在するように前記非金属前駆化合物を提供するステップを具備することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記提供ステップは、
前記圧密された材料中に前記圧密された材料の約1.5から約17重量パーセントの量のホウ素が存在するように前記非金属前駆化合物を提供するステップを具備することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記提供ステップは、
前記圧密された材料中に前記圧密された材料の約5から約17重量パーセントの量のホウ素が存在するように前記非金属前駆化合物を提供するステップを具備することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記提供ステップは、
前記チタンベース金属組成物中に安定な酸化物を形成する安定酸化物形成添加元素の非金属前駆化合物を提供するステップを含み、
少なくとも1種の添加元素が、その室温固溶解度限界よりも高い濃度で前記チタンベース金属組成物中に存在し、
化学的に還元する前記ステップの後に、前記金属組成物を室温よりも高い温度で酸化する追加のステップを具備することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記提供ステップまたは化学的還元ステップが、他の添加成分を添加するステップを具備することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記圧密された物品を、他のボディのインサート(78)として製造する追加のステップを具備することを特徴とする請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−138016(P2006−138016A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318002(P2005−318002)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】