説明

分離、精製、相互作用促進及び燃焼改良のための方法及び装置

結合構成成分50を分離するため、液体を精製するため、1つまたはそれ以上の構成成分50の間の相互作用を促進するため、及び燃焼を改良するための装置10及び方法。装置10は、ハウジング14と、ハウジング14内部のローター18と、ローター18から伸びる複数の突起物20と、ローター18と連結されるシャフト16と、シャフト16を回転させる主原動機と、を有する。ローター18が回転して、突起物20が流体を通過するとき、ハウジング14内部の流体にキャビテーションが発生する。キャビテーションは液体内の結合構成成分50を分離させ、流体内の好ましくない有機物を除去し、流体内の構成成分の相互作用を促進し、液体燃料の燃焼を改良する。構成成分50を分離するため、流体を精製するため、構成成分50の相互作用を促進するため、及び燃焼を改良するために、流体及び構成成分50にアブレージョン及び遠心力及び衝撃力を与えることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年10月10日に提出された米国特許仮出願第11/973,692号(参照により本出願に組み込まれる)に基づくものであり、その優先権を主張する。
【0002】
本発明は、分離、精製、相互作用の促進及び燃焼の改良のための方法及び装置に関する。特に、流体媒体の中に入れられた結合した構成成分を分離するため、液体を精製するため、2つまたはそれ以上の構成成分の間の相互作用を促進するため及び液体燃料の燃焼を改良する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
長い間、個々の構成成分を劣化させることなく、結合構成成分を高速で分離することが望まれてきた。分離を必要とする結合構成成分の例は、穀物、純粋生成物の汚染物質、固体バイオマスの液汁、及びバイオマスの澱粉及び蛋白を含む。特に、トウモロコシは構成成分を劣化させることなく個々の構成成分を分離することが望ましい穀物である。トウモロコシの内胚乳は澱粉及び蛋白豊富であり、澱粉及び蛋白は、共に、分離された成分として貴重である。
【0004】
トウモロコシを分離または製粉するための典型的工程は、約35時間から50時間湯及び二酸化硫黄の中でトウモロコシ粒を発酵(浸漬)させるステップを含む。発酵工程は、機械的処理による分離をより容易にするためにトウモロコシを軟らかくするが、同時にトウモロコシの構成成分を劣化させる。トウモロコシ粒のいくつかの構成成分は、一般に酸性水の中で溶解または懸濁し、その後廃棄される。これらの構成成分が廃棄される結果、トウモロコシの製粉の利益は小さくなる。さらに、発酵工程のせいで、製粉の最終工程において、トウモロコシをかなり乾燥させなければならない。
【0005】
発酵後、胚芽分離機(degerminator)は、トウモロコシと胚芽分離機との間のアブレージョン、個々のトウモロコシ粒間のアブレージョン(abrasion:粒同士の衝突によって粒表面が磨り減ること)及びトウモロコシと胚芽分離機との間の衝突によって胚芽、果皮及び内胚乳を分離する。従来の胚芽分離機は胚芽を破壊することが多く、胚芽と内胚乳の完全な分離を確実にもたらさない。従来の胚芽分離機は、また、内胚乳内の澱粉と蛋白を分離しない。従って、典型的なトウモロコシの製粉工程は比較的コスト高で、時間が掛かり、かつ非効率的である。
【0006】
微生物を除去するための液体の精製は、一般に、蒸留、ろ過、沸騰、化学的処理による滅菌、紫外線処理または逆浸透のいずれか1つを用いて行われる。しかし、これらの工程は全て、コスト、時間、規模、効果及び効率などの点で不都合を持つ。低温殺菌は、ジュース及び牛乳などの液体の微生物を除去するために使用される精製工程である。低温殺菌は、予め決められた時間液体を加熱することによって微生物を除去する。しかし、低温殺菌を行う際熱は液体の味を変えるので、低温殺菌は液体の中の全ての微生物を除去するわけではない。
【0007】
2つまたはそれ以上の構成成分間の相互作用を促進することは、構成成分間の反応を促進するために望ましい。構成成分間の相互作用は、一般に、構成成分の中で羽根を回転させるまたは構成成分を振動させる攪拌機または混合機を用いて行われる。
【0008】
液体燃料の燃焼の改良は、効率を向上させ、有害排出物の大気への放出を減少させるために望ましい。液体燃料の燃焼は、一般に、燃料を噴霧化して燃料の表面積を最大限大きくすることによって改良される。燃焼を改良するための従来の方法は、燃料を噴霧化できる口を持つ燃料インジェクタを用いる。
【発明の概要】
【0009】
本出願において主張される発明は、分離、精製、相互作用の促進及び燃焼の改良のための方法及び装置である。分離、精製、相互作用の促進及び燃焼の改良のための装置は、内部室を持つハウジングと、内部室内のローターと、ローターから伸びる複数の突起物と、ローターと連結されるシャフトと、シャフト及びローターを回転させる主原動機とを備える。ハウジングは、流体が内部室を出入りできるようにする入口及び出口を有する。好ましくは、ローターは内部室内において流体にキャビテーションを生じさせるのに充分な速度で回転して、流体に遠心力を与える。キャビテーション、アブレージョン、遠心力及び衝撃力は流体の中に入れられた結合構成成分を分離するのに寄与して、流体内の望ましくない有機物を除去し、流体の中に入れられた2つまたはそれ以上の構成成分間の相互作用を促進し、かつ(または)液体燃料の燃焼を改良する。
【0010】
結合構成成分を分離する方法は、流体媒体の中に結合構成成分を入れるステップと、結合構成成分を分離するために流体内部にキャビテーションを誘発するステップとを含む。分離方法は、どのようなタイプの結合構成成分にも使用でき、高速であり、必要な出力量が低く、かつ比較的安価な設備で実施できる。
【0011】
液体を精製する方法は、液体内の望ましくない有機物を除去するために液体内部にキャビテーションを誘発するステップを含む。この精製方法は、液体の味及び他の望ましい生物化学的特徴を変えることなく望ましくない微生物を除去する。
【0012】
2つまたはそれ以上の構成成分間の相互作用を促進する方法は、構成成分を流体媒体の中に入れるステップと、相互作用を促進するために構成成分にキャビテーションを生じさせるステップを含む。好ましい実施形態において、相互作用を促進するために、構成成分に遠心力、アブレージョン及び衝撃を与えることができる。
【0013】
液体燃料の燃焼を改良する方法は、液体燃料を気化するために液体燃焼内部にキャビテーションを誘発するステップを含む。気化された燃料は、燃焼室内で液体燃料より完全に燃焼する。
【0014】
本発明に属する新規の利点及び特徴と共に本発明の追加の形態は部分的に以下の説明において示され、また部分的に以下の説明を検証することによって当業者に明らかになる。または本発明の実施から習得できる。本発明の目的及び利点は、特許請求の範囲において特に記載される介在及び組合せによって実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る装置の斜視図である。
【図2】一部が取り除かれた図1の装置の前面図である。
【図3】図1の装置の分解斜視図である。
【図4】本発明に係る装置の別の実施形態の部分断面図であり、突起物を有するハウジングを示す。
【図5】本発明に係る装置の別の実施形態の部分断面図であり、ローター及びカウンターローターを示す。
【図6】C字形の突起物を持つローターの部分の斜視図である。
【図7】J字形の突起物を持つローターの部分の斜視図である。
【図8】弓状に配列された歯形の突起物を有するローターの部分の斜視図である。
【図9】回転式突起物を有するローターの部分の斜視図である。
【図10】本発明に係る装置の別の実施形態の前面図であり、ハウジングの出口と連結されたハイドロサイクロンを示す。
【図11A】本発明に係る分離方法の流れ図である。
【図11B】図11Aの流れ図の続きである。
【図12】本発明に係る精製方法の流れ図である。
【図13】本発明に係る相互作用を促進する方法の流れ図である。
【図14】本発明に係る燃焼を改良する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1〜3は、流体媒体の中に入れられた結合構成成分を分離するため、液体を精製するため、流体媒体の中に入れられた2つまたはそれ以上の構成成分間の相互作用を促進するため、液体燃料の燃焼を改良するための装置10を示す。図2は結合構成成分を分離している装置を示す。図示される結合構成成分はトウモロコシ粒12の内胚乳、胚芽及び果皮である。図2はトウモロコシを分離している装置10を示すが、どのような結合構成成分でも装置によって分離できる。さらに、図2は分離機として機能する装置を示すが、この装置は、液体を精製し、2つまたはそれ以上の構成成分間の相互作用を促進し、液体燃料の燃焼を改良できる。図1〜3は、ハウジング14と、シャフト16と、円形ローター18と、ローター18から伸びる突起物20と、シャフトと連結されたモータ22とを持つ装置を示す。
【0017】
図2及び3は、内部キャビテーション室30を形成する第一端壁24、第二端壁26及び側壁28を持つハウジング14を示す。図1〜3は、流体及び構成成分がキャビテーション室30に入れるようにする第一端壁24にある入口32、及び流体及び構成成分がキャビテーション室30から出られるようにする側壁28の出口34を持つハウジング14を示す。入口32を、構成成分、液体またはその両方を収容するホッパー(図示せず)と連結できる。図3は第二端壁26のシャフト用開口36を示す。シャフト16はシャフト用開口36を介してキャビテーション室30の中へ突出する。図1〜3は側面28から伸びるフランジ38を示す。図3は、第二端壁26の開口42と整列するフランジ38の開口40を示す。図1はフランジ38を第二端壁26に固定するネジ44を示す。フランジ38と第二端壁26との間にはシール(図示せず)が配置されることが好ましく、図3に示すシール46は、流体がキャビテーション室30の外に浸透するのを防止するためにシャフト16と第二端壁26との間に配置される。
【0018】
図2は、キャビテーション室30内部においてシャフト16と連結されるローター18を示す。ローター18は入口32に面する前面48を有する。円筒形の突起物20が前面48から入口32へ向かって伸びる。全ての突起物20は前面48の外周縁に隣接してローター18の中心から等間隔である。隣り合う突起物20の間の間隔は、キャビテーション室30内部における構成成分の保持時間の長さを決定する。突起物間の間隔が小さければ、間隔が大きい突起物より構成成分は室内に長く保持される。室内により長く構成成分が保持されれば、構成成分が分離されるまたは相互作用する可能性が大きくなり、より好ましい。好ましくは、突起物は、構成成分が分離されるまたは相互作用するまでハウジングまたはキャビテーション室内部に構成成分を保持するのに充分な間隔で配置される。図2は、胚芽、果皮及び内胚乳を分離するまでキャビテーション室30内にトウモロコシ粒12を保持するのに充分な間隔で配置される隣り合う突起物20を示している。好ましくは、隣り合う突起物20間の間隔は約6〜12ミリメートルである。突起物間の間隔は、構成成分と突起物との間の衝突回数にも影響を与える。突起物間の間隔が狭ければ、それだけ構成成分と突起物との間に多くの衝突が生じる。従って、衝突を少なくしたい場合には、突起物間の距離を増大しなければならない。図にはローター中心から等間隔に配置された円筒形の突起物20を示すが、どのようなパターンで取り付けられるどのような形の突起物も、本発明の範囲内にある。
【0019】
図2は流体媒体の中に入れられたトウモロコシ粒12の内胚乳、胚芽及び果皮の分離を示す。図1及び3に示すモータ22は、流体内部でキャビテーションを生じさせるのに充分な速度でシャフト16及びローター18を回転させる。内胚乳、胚芽及び果皮は、流体内部に形成されるキャビテーション気泡の急速な生成及び爆縮(implosion)、流体とトウモロコシの構成成分との間のアブレージョン(abrasion)、トウモロコシの構成成分間のアブレージョン、トウモロコシの構成成分と突起物20との間の衝突、及び遠心力の組合せ効果によって分離される。分離前に、トウモロコシは突起物20によってハウジング14内部に保持される。トウモロコシが突起物20によって保持される間、流体はトウモロコシの中を高速で流れて、トウモロコシ表面に流体によるアブレージョンを生じさせる。トウモロコシ粒12はローター18に対して相対的に回転して、トウモロコシ粒間にアブレージョンを生じる。また、各トウモロコシ粒12は突起物20にぶつかる。これら全ての要因がトウモロコシ12を構成成分に分離することに寄与する。図2は出口34から出て行く分離された構成成分50を示す。図2はトウモロコシの分離を示すが、任意のタイプの結合構成成分を装置10において分離でき、また、液体を精製するため、流体媒体の中で2つまたはそれ以上の構成成分間の相互作用を促進するため及び液体燃料の燃焼を改良するためにもこの装置を使用できる。
【0020】
図4は本発明に係る装置110の別の実施形態を示す。装置110は、装置110がハウジング116の第一端壁114からローター118へ向かって伸びる突起物112を持つ点を除いて、図1〜3に関連して前に説明した装置10とほぼ同じである。円形に3列の突起物112は第一端壁114から伸びる。隣り合う列の間には間隔120が存在する。ローター118は4列の突起物122を有し、列が間隔120と整列するように、突起物122はローターの中心から一定の距離を置いて配置される。
【0021】
図5は本発明に係る装置210にさらに別の実施形態を示す。装置210は、装置210がチューブ212及び内部室216内部でチューブ212と連結されるカウンターローター214を持つ点を除いて、図1〜3に関連して前に説明した装置10とほぼ同じである。カウンターローター214はローター218の前面に面する前面を有する。チューブ212は入口220に受け入れられて、内部室の中へ伸びる。円形の3列の突起物222はカウンターローター214の前面からローター218へ向かって伸びる。隣り合う列の間には間隔224が存在する。ローター218は4列の突起物226を有し、突起物226は、列が間隔224と整列するように、ローターの中心から一定の距離を置いて配列される。流体が内部室216の外へ浸透するのを防止するためにチューブ212と入口220との間にシール228が配置される。チューブ212及びカウンターローター214を回転させるために、内部室216の外部でベルトなど推進機構(図示せず)をチューブ212と連結できる。装置110及び210は図4及び5において円形の列状の突起物を持つものとして示されているが、ハウジング、ローター及びカウンターローターの突起物の列は、ハウジング内部でローターが回転できるようにする任意の形態を持つことができる。
【0022】
図6〜9は図1〜5に関連して説明した装置10、110、210のいずれにも使用できる突起物の例を示す。図6はC字形の上面輪郭を有する突起物310を示す。突起物は中空であり、ローターに2列に配列される。C字形の突起物310は流体に高レベルのキャビテーションを誘発することが望ましい場合に使用されることが好ましい。図7はJ字形の側面輪郭を有する突起物312を示す。J字形の突起物312はローターの前面の外周縁に隣接して配置される。図8は間隔を置いて配置される4列の歯状の突起物314を示す。列は、突起物314が放射状の湾曲パターンを形成するようにオフセット状に配置される。図9は回転可能な突起物316を示す。突起物316は自由端318及びローター前面に回転可能に取り付けられる固定端320を有する。固定端320は、ローターから伸びるボルト322を受け入れる開口を有する。本明細書において説明する発明は特定のタイプの突起物または特定のパターンの突起物に限定されない。本明細書において示される突起物及びパターンは全て単なる例示である。
【0023】
図10は本発明に係る装置410の別の実施形態を示す。装置410は、ハウジング414の出口412がハイドロサイクロン416または遠心機と連結されることを除けば、図1〜5に示す実施形態に関連して説明した装置10、110及び210とほぼ同様である。ハイドロサイクロン416は、ほぼ、逆円錐形と、円錐形の底面から上へ向かって円筒形が伸びる形状を有する。ハイドロサイクロン416は、上部出口418、底部出口420及びハウジングの出口と連結された入口422を有する。入口422はハイドロサイクロン416の上部付近に配置される。
【0024】
作動時、図1〜3に示す装置10のモータ22のスイッチが入れられる。入口32は、流体の中に入れられた結合構成成分、未精製液体、流体の中に入れられた2つまたはそれ以上の構成成分または液体燃料を受け入れる。流体の中に入れられた結合構成成分、未精製液体、液体の中に入れられた2つまたはそれ以上の構成成分または液体燃料はキャビテーション室30へ入る。モータ22は、突起物20が流体を通過するときキャビテーション室30内部で流体のキャビテーションを生じるのに充分な速度でシャフト16及びローター18を回転させる。シャフトの回転速度は500〜10,000回/分であることが好ましい。
【0025】
流体は、突起物20が流体を通過するときに突起物の背後の流体の圧力が減少することによってキャビテーションが生じる。流体は、突起物20の背後の流体の圧力が液体の蒸気圧力より下に低下するとき、液体にキャビテーションが生じる。キャビテーションによって流体内部に多数の気泡が形成される。これらの気泡は、気泡形成の低圧力エリアからもっと高い流体圧力を持つキャビテーション室30のエリア内へ移動する。液体の蒸気圧力より大きい流体圧力のエリアに入ると、気泡は圧壊する。このような気泡の生成及び圧壊あるいは爆縮はキャビテーション室30内部に超音波を生じる。超音波のパワーは、登録商標Vibrotipとして市販される周知のキャビテーション爆縮測定機器によってハウジング14外部で測定され、約40dBから約60dBである。超音波は、流体媒体内における結合構成成分の分離、液体の中の望ましくない有機物を除去するための液体の精製、2つまたはそれ以上構成成分間の相互作用の促進及び液体燃料の気化による液体燃料の燃焼の改良において主要な要素である。
【0026】
キャビテーション室30内部での付加的力は、流体媒体内における結合構成成分の分離、液体の精製、液体媒体の中の2つまたはそれ以上の構成成分間の相互作用及び液体燃料の燃焼の改良に寄与する。このような力には、流体内でのローター18の回転の結果生じる遠心力、流体と構成成分との間のアブレージョン、構成成分間のアブレージョン及び構成成分と突起物20との間の衝突が含まれる。これらの要因の組合せ効果は、流体の中に入れられた結合構成成分の分離、液体の精製、液体の中に入れられた2つまたはそれ以上の構成成分間の相互作用の促進及び液体燃料の燃焼の改良に寄与する。分離された構成成分及び流体、精製された液体、相互作用した構成成分及び流体または液体燃料は、出口34を介してキャビテーション室30から出る。
【0027】
図4に示す装置110は、図1〜3に示す装置10について前に説明したのと同様に作動する。図5に示す装置210は、装置210が回転可能なチューブ212及びカウンターローター214を持つことを除いて、図1〜3に示す装置10とほぼ同様に作動する。チューブ212と連結された推進機構(図示せず)がチューブ212及びカウンターローター214を回転させる。チューブ212及びカウンターローター214はローター218の回転方向と反対方向に回転することが好ましいが、ローター218とカウンターローター214が同じ方向に回転することは本発明の範囲内である。構成成分及び流体はチューブ212を介してキャビテーション室216へ入る。
【0028】
図10に示す装置410は図1〜5に関連して説明した装置10、110及び210のいずれかと同様に作動するローターを備えるハウジング414を有する。ただし、流体及び構成成分は、出口412から出た後、ハイドロサイクロン416へ入る。出口412から出てハイドロサイクロン416へ入る流体及び構成成分はハイドロサイクロン416の内壁の周りを回転する。回転は流体及び構成成分に遠心力を与え、遠心力は密度に基づいて構成成分を分離する。重い方の構成成分は外向きにハイドロサイクロン416の内壁に向かって移動して、底部出口420に向かってらせん状に壁の下方へ落下する。軽い方の構成成分はハイドロサイクロン416の中心軸に向かって移動して上部出口418から出る。従って、ハイドロサイクロン416は異なる密度を持つ構成成分を分離する。ハイドロサイクロン416は、特に、液体から気体を分離するのに適する。軽い方の構成成分が上部出口418から出て行くようにするために上部出口418をわずかに真空にすることができる。
【0029】
図11A及び11Bは結合構成成分を分離する方法を示す。必要な場合には、図11Aに示すように、分離工程の始めに、510において結合構成成分の皮をむき、512において洗浄し、および/または514において粉砕する。その後、結合構成成分を流体媒体の中に入れて、第一分離機516へ送る。第一分離機516はキャビテーション室518、流体アブレージョン機520、成分アブレージョン機522、遠心機524及び衝撃機526を有する。分離機は、上に説明した装置10、110及び210のいずれの構造でも持つことができ、同じ構造が同時にステップ518〜526を実施できることが分かるはずである。
【0030】
キャビテーション室518において、前に図1〜3に示す装置10に関連して説明したように、流体にキャビテーションが誘発される。流体内におけるキャビテーション気泡の生成及び爆縮の結果生じる超音波は結合構成成分の分離の1つの要因である。分離機516の他のステップも結合構成成分の分離の要因である。アブレージョン流体520は流体と結合構成成分との間のアブレージョンを誘発し、アブレージョン構成成分522は結合構成成分間のアブレージョンを誘発して、構成成分を分離する。結合構成成分間のアブレージョンは個々の構成成分間のアブレージョンであるか、または結合構成成分の個々の単位間のアブレージョンである。遠心機524は結合構成成分に遠心力を与え、衝撃機526は結合構成成分に衝撃力を与えて、構成成分を分離する。分離後、構成成分は流体媒体の中に入れられる。
【0031】
分離された構成成分は分離機516から出て、流体媒体から比較的大きい固体構成成分を分離する液体−固体分離機528に入る。微粒度の固体構成成分は流体と一緒に懸濁液を形成して、液体−固体分離機528によって流体から分離されない。液体−固体分離機528として、固体を液体から分離するための篩またはその他の適切な任意の装置が可能である。流体媒体から分離された固体構成成分は、さらに固体構成成分を分離する能力を有する乾燥機530によって分離される。固体構成成分は、その後製粉機532において所望のサイズに挽かれる。または、液体−固体分離機528から出た固体構成成分は流体媒体の中に入れられ、分離機534へ送られる。分離機534において分離機516の場合と同じステップが実施される。分離機534は、さらに、分離機516に関して前に説明したのと同様に固体構成成分を分離する。流体及び分離された固体構成成分は液体−固体分離機536へ送られる。ここで、比較的大きい固体構成成分は流体から分離されて、再収集機538へ送られる。微粒度の固体構成成分は流体と一緒に懸濁液を形成して、液体−固体分離機536によって流体から分割されない。液体−固体分離機528及び536から出た流体と微粒度の固体構成成分の懸濁液は分離機540において結合する。
【0032】
分離機540は、分離機516と同じステップを実施して、さらに流体内の結合構成成分を分離する。分離機540を出た流体及び構成成分は分離機542へ流れ込み、分離機542は分離機516と同じステップを実施する。分離機542はさらに流体内の結合構成成分を分離する。分離機542から出た流体及び構成成分は遠心機544へ流れ込む。遠心機は、図10に関連して前に説明したハイドロサイクロンと同様の構造を持つことができる。遠心機544は流体及び構成成分に遠心力を与えて、密度に基づいて構成成分を分割する。遠心機544から出る重い方の構成成分は分離機546へ送られ、遠心機544から出る軽い方の構成成分は再収集機548へ送られる。分離機546から出た後、重い方の構成成分は遠心機550へ入り、遠心機550は、再び密度に基づいて構成成分を分割する。遠心機550から出た重い方の構成成分は乾燥機552へ入り、軽い方の構成成分は再収集機548へ送られる。所望の最終生成物を得るために重い方の構成成分でも軽い方の構成成分でもさらに処理できる。
【0033】
その結果得られた重い方の構成成分が澱粉または砂糖である場合、乾燥機552へ送る代わりに、図11Bに示す別の工程へ送って、澱粉または砂糖をエタノールに変換することができる。エタノールを生成するために、図11Aに示す遠心機550から出た澱粉は、図11Bに示すステーション554において加水分解または液化するために、行程Bを進む。図11Aに示す遠心機550から出た砂糖は、図11Bに示すステーション558において発酵するために、行程Aを進む。澱粉は、ステーション554において、加水分解を促進するために熱せられて、酵素と結合される。加水分解された澱粉は、その後酵素と結合されて、ステーション556において糖化される。ステーション556において、加水分解された澱粉は砂糖シロップに変換される。図1〜5に示す装置10、110及び210のいずれによっても、図13に示し図13に関連して以下に説明する相互作用の促進方法に従って、ステーション554における加水分解及びステーション556における糖化を実施できる。
【0034】
ステーション556から出た砂糖シロップはイーストと結合して、ステーション558において発酵される(遠心機550からの砂糖の排出が始まるステップ)。砂糖シロップの発酵は液体エタノールを生成する。装置の熱を取り除くために発酵558ステップを実施する装置に熱交換器(図示せず)を連結できる。発酵後、液体エタノールは液体−固体分離機560へ送られる。液体エタノールの中の残留固体はエタノールから分離され、固体を加水分解し糖化して砂糖シロップに変換するためにステップ562において酵素処理を受ける。その後、この砂糖をステーション558において発酵させる。ステップ562はステップ554及び556とほぼ同様に実施できる。
【0035】
液体−固体分離機560から出た液体エタノールは分離機564において蒸留工程を開始する。分離機564は分離機516とほぼ同じ形態を持つ。液体を加熱するために分離機564に加熱機(図示せず)を連結できる。好ましくは、加熱機は液体エタノールを約摂氏80度に加熱する。分離機564へ入る前に、太陽エネルギーによって加熱された水に浸漬された銅線コイルの中を通過させて、液体エタノールを加熱できる。分離機564は液体エタノール内部にキャビテーションを誘発する。液体エタノール内部におけるキャビテーション気泡の急速な生成及び爆縮は液体エタノールをエタノール蒸気に変換する。ただし、液体の一部はエタノール蒸気と一緒に分離機564から出る可能性がある。残留液体は、液体エタノール及び/または前のステップにおいて付加された液体でエタノールに変換できなかった液体である可能性がある。液体及びエタノール蒸気は分離機564から出て、遠心機566へ送られる。遠心機566は図10に示すハイドロサイクロンと同様の構造を持つことができる。遠心機566は液体及びエタノール蒸気に遠心力を与えて、液体からエタノール蒸気を分離する。遠心機566から出た液体は、再収集機572によって収集されて、ここで廃棄されるか、または液体内の残留エタノールを全て回収するために第二の蒸留工程へ送られる。遠心機566から出たエタノール蒸気は蒸気を液体に凝縮させる凝縮機568へ送られる。液体エタノールは再収集機570によって収集される。
【0036】
図11A及び11Bに示す工程によって分離される結合構成成分として、固体、液体、気体またはこれらの任意の組合せが可能である。固体の分離の場合、流体媒体における固体のパーセンテージは体積で約10〜40%であることが好ましい。流体媒体の中に入れられる固体のパーセンテージを変化させると、分離工程に影響を与えることができる。流体媒体における固体のパーセンテージを大きくすると、結合構成成分間のアブレージョンは増大するが、突起物と構成成分との間の衝突回数は減少する。流体媒体における固体のパーセンテージを小さくすると固体構成成分間のアブレージョンは減少し、突起物と構成成分との間の衝突回数は増大する。分離される構成成分のタイプを最適に分離するために必要に応じて流体媒体における固体のパーセンテージ(体積)を変化させることができる。
【0037】
図11A及び11Bに示す分離工程に影響を与えることができるその他の外的要因は、流体媒体または構成成分のpH、粘度及び温度を含む。pHが中性から酸性またはアルカリ性へ動くと、水素のポテンシャルがより大きな原子活動を可能にして、分離を加速できる。分離機内部に創成される力(キャビテーション、流体のアブレージョン、構成成分のアブレージョン、遠心力及び衝撃力)は流体媒体と結合構成成分との間の接触を容易にするので、原子活動を促進する。流体媒体の粘度が増大すると、キャビテーション気泡の形成、爆縮及び移動を制限するので、流体内部のキャビテーション効果は減少する。温度の上昇は、液体の分子の引力を減少させ流体媒体の蒸気圧力を増大するので、流体内部のキャビテーション効果を増大する。流体媒体の蒸気圧力が増大すると、流体の圧力を増大した蒸気圧力より下に下げるために必要な圧力低下が小さくなるので、キャビテーション気泡がより頻繁に形成される。
【0038】
トウモロコシ粒の構成成分すなわち内胚乳、果皮及び胚芽を分離するために図11A及び11Bに示す分離方法を使用できる。トウモロコシ粒を分離機516へ送る前に皮むき機510でトウモロコシの皮をむき、洗浄機512で洗浄し、粉砕できる。分離機516は前述の方法で内胚乳、胚芽及び果皮を分離する。内胚乳は微細な粒度を持つので、分離後流体と懸濁液を形成する。好ましくは、分離機516の中へ入る流体とトウモロコシ粒の混合物は、体積でトウモロコシ粒を約10〜20%含む。分離機516は図1〜3に示す装置10のような構造を持つことが好ましい。トウモロコシの分離のために、ローターは1列の突起物を持つことが好ましい。列の直径は約124ミリメートルであり、突起物の直径は約9.5ミリメートルであることが好ましい。好ましくは、突起物の高さは約15ミリメートルであり、ローターの厚みは約10ミリメートルである。突起物間には約10ミリメートルの間隔が存在する。好ましくは、ローターは、約2500〜4500回転/分の速度で回転し、さらに好ましい形態においては約3600回転/分の速度で回転する。内胚乳、胚芽及び果皮を分離する工程は約2分で行われる。また、従来の分離工程のように分離前にトウモロコシ粒を水または酸性溶液に浸す必要はない。
【0039】
図11A及び11Bに示す方法に従ってトウモロコシを分離するために、分離機516を、各々装置10と同様の構造を有する連結された複数の分離機と取り替えることができる。このような形態においては、後続の分離機の突起物間の距離は徐々に小さくなる。分離機516の代わりに連結された8台の分離機を用いることができ、この場合、突起物間の距離は10ミリメートルから7.5ミリメートルへ徐々に減少する。
【0040】
液体−固体分離機は、内胚乳、胚芽及び果皮の分離後、流体及び内胚乳の懸濁液から胚芽及び果皮を分ける。胚芽及び果皮は乾燥機530へ送られる。乾燥機530は、胚芽から果皮を分離する能力を持つ空気式の摂氏60度の熱風による乾燥システムが好ましい。その後、市場の要求を満たすために、果皮及び胚芽を製粉機532において別々に粉に挽くことができる。流体及び内胚乳の懸濁液は分離機540へ送られる。
【0041】
分離機540は、流体及び内胚乳の懸濁液の内部にキャビテーションを誘発して、内胚乳の細胞から澱粉及び蛋白を分離する。好ましくは、分離機540は、2列の突起物を持つローターを有する以外は、装置10と同様の構造を有する。分離機542及び546は、各々、結合している澱粉と蛋白を分離する。遠心機544及び550は分離された澱粉と蛋白を分割する。遠心機は図10に示すハイドロサイクロンと同じ構造を持つことが好ましい。遠心機544及び550は分離された澱粉及び蛋白に遠心力を加えて、澱粉と蛋白を分ける。蛋白より重い澱粉は遠心機544及び550の内壁の周りを通って、流体と一緒に遠心機の底部へ送られる。蛋白は遠心機544及び550の上部を通って再収集機548へ送られる。
【0042】
遠心機550から出た後、澱粉を乾燥機552へ送るか、または前述の図11Bに示すステップに従ってエタノールを生成するために澱粉を加水分解し、糖化し、発酵させ、蒸留できる。本明細書において説明するトウモロコシの分離工程は、分離前にトウモロコシ粒を液に浸すことによって澱粉を劣化させないので、トウモロコシからエタノールを生成する従来のどのような工程よりも20%多くトウモロコシからエタノールを回収できる。さらに、分離前に製粉機または胚芽除去機によって粉砕されないので、構成成分はその元来の特徴を保持する。
【0043】
図11Aに示す分離方法は、トウモロコシのアトーレ(粥)を製造するためにも使用できる。トウモロコシは水の中に入れられて、乾燥機516へ送られる。乾燥機516は胚芽、果皮及び内胚乳を分離する。液体−固体分離機528は胚芽及び果皮を流体及び内胚乳の懸濁液から分離する。胚芽及び果皮は乾燥機及び製粉機532へ送られる。内胚乳は、アトーレパウダーを生産するために消化され、乾燥される。従来の方法においてはトウモロコシが硫黄溶液に浸されるので、従来の方法に従って生産されたアトーレは硫黄を含有する。本明細書において説明する方法に従って生産されるアトーレは、トウモロコシが硫黄溶液に浸されないので硫黄を含有しない。従って、本発明の方法に従って生産されるアトーレは、従来の方法で生産されるアトーレより健康的でありかつ味が良い。
【0044】
図11Aに示す方法に従ってコーヒーの実も分離できる。コーヒーの実の結合構成成分は、外皮、果肉、粘質物、豆の皮及び豆(種子)である。コーヒーの実の構成成分を分離するための従来の工程は、果肉をつぶして、種子を発酵させて粘質物を緩め、種子を洗浄して粘質物を取り除き、種子を乾燥させ、種子の外皮を除去して豆の皮を取り除くステップを必要とする。これらのステップを実施するために一般に約1日〜7日かかる。図11Aに示す方法の分離機516はわずか7〜10秒でコーヒーの実の構成成分を分離する。さらに、従来の工程より水にさらされる時間が短いので、図11Aに示す方法に従ってコーヒーの実が分離された後、コーヒー豆を乾燥させるために必要な時間が短い。本発明の方法は、また、果肉つぶしのミルによる粉砕作用も典型的な発酵工程も経ないので、より品質の良いコーヒー豆を生産する。コーヒーの加工のための本発明の方法は効率を向上させるので、従来の方法より約30%コストが低い。
【0045】
好ましくは、コーヒーの分離のために流体とコーヒーの実の混合物は体積で約15〜22%のコーヒーの実を含む。好ましくは、第一分離機は、以下に説明するようにローターを持つ図1〜3に示すような装置であり、突起物間の距離は、豆を傷つけないようにするために最も大きいコーヒー豆より約50%大きい。図11Aに示す方法に従ってコーヒーを分離するのに充分な様々なローターが存在する。1つのタイプのローターは3列の突起物を有し、各列はそれぞれ20センチメートル、30センチメートル及び40センチメートルの直径を有する。突起物は直径約10ミリメートルの円筒形である。突起物間の距離は第一列の約15ミリメートルから第三列の約10ミリメートルまで減少する。第二のタイプのローターは、各々直径約0.953センチメートル(0.375インチ)の19個の円筒形突起物を有する。突起物は、約124ミリメートルの直径を有するローターの外周縁に隣接する。突起物間には約9ミリメートルの距離が存在する。第三のタイプのローターは、各々直径約0.953センチメートル(0.375インチ)の21個の突起物を有する。突起物は、約124ミリメートルの直径を有するローターの外周縁に隣接する。突起物間には約7.5ミリメートルの距離が存在する。第四のタイプのローターは、図6に示すようにC字形の上面輪郭を持つ20個の突起物を有する。突起物は各々約9.5ミリメートルの直径を有する。突起物は約124ミリメートルの直径を有するローターの外周縁に隣接する。突起物間には約7.5ミリメートルの距離が存在する。第五のタイプのローターは図6に示すようにC字形の上面輪郭を持つ14個の突起物を有する。突起物は各々約1.27センチメートル(0.5インチ)の直径を有する。突起物は約124ミリメートルの直径を有するローターの外周縁に隣接する。突起物間には約16ミリメートルの距離が存在する。第六のタイプのローターは、各々約12ミリメートルの底面直径及び約4ミリメートルの上面直径を有する20個の円錐形突起物を有する。突起物は約125ミリメートルの直径を有するローターの外周縁に隣接する。第七のタイプのローターは、各々約9.5ミリメートルの底面直径及び約4ミリメートルの上面直径を有する24個の円錐形突起物を有する。突起物は約124ミリメートルの直径を有するローターの外周縁に隣接する。
【0046】
分離機516によってコーヒーの実の豆、果肉、粘質物、果皮及び豆の皮が分離された後、豆は分離機によって果肉、粘質物、果皮及び豆の皮から分離される。分離機として、サイズに基づいて様々な構成成分を分離するために設計された1つの篩または一連の篩が可能である。その後、コーヒー豆を乾燥させ、選別して、出荷のために梱包する。果肉、粘質物、果皮及び豆の皮は、好ましくは図1〜3に示す装置10と同様の構造を有する別の分離機へ送られる。分離された構成成分は分離機へ送られ、分離機は、豆の皮及び果皮から果肉及び粘質物を分離する。図11Bに関連して前に説明したようにエタノールを生成するために果肉及び粘質物を発酵させるか、またはメタンガスを生成するためにこれを使用できる。豆の皮及び果皮は、構成成分から栄養素及び/または繊維を抽出する抽出工程を経る。
【0047】
キャッサバの根から澱粉及び細胞を分離するためにも図11A及び11Bに示す方法を使用できる。キャッサバの根は、水に入れる前に、皮はぎ機510において皮をはがれ、洗浄機512において洗浄され、粉砕機514において粉砕されることが好ましい。水と粉砕されたキャッサバの根との比率は、体積でキャッサバの根が約25〜35%である。キャッサバの根は、好ましくは図1〜3に示す装置10と同様の構造を有する分離機516へ送られる。分離機516の後、キャッサバの固体バイオマスから分離された澱粉は水と一緒に懸濁液を形成する。キャッサバの固体バイオマス、水及び澱粉は液体−固体分離機528へ送られ、ここで、澱粉及び水の懸濁液はキャッサバの固体バイオマスから分離される。澱粉及び水の懸濁液は分離機540へ送られる。キャッサバの固体バイオマスは水に入れられ、さらに澱粉及びキャッサバの固体バイオマスを分離するために分離機534へ送られる。液体−固体分離機536は、分離機534から出てきた澱粉及び水の懸濁液をキャッサバの固体バイオマスから分割する。キャッサバの固体バイオマスは再収集機538へ送られ、澱粉及び水の懸濁液は分離機540へ送られ、ここで分割機528からの澱粉及び水の懸濁液と結合される。分離機540から、工程はトウモロコシの分離に関して前に説明したように続行する。好ましくは、分離機は、約9.5ミリメートルの直径を有する突起物及び約10ミリメートルの突起物間の距離を持つローターを有する。キャッサバの根の分離のために、どの分離機も、根の破砕を改良するためにカウンターローターと一緒に2列のローターを持つこともできる。
【0048】
サトウキビからサトウキビ汁を分離するために図11A及び11Bに示す方法を使用できる。サトウキビからサトウキビ汁を回収するための従来の方法は、サトウキビを粉砕または圧延してサトウキビ汁を抽出する。その後、サトウキビは廃棄されるかリサイクルされる。この場合、まだサトウキビに残留するサトウキビ汁は失われる。図11A及び11Bに示す方法は、従来のサトウキビ汁の抽出工程後廃棄される固体サトウキビから重量で約9.5%のサトウキビ汁を回収する。
【0049】
図11Aの分離方法に従って、まずサトウキビは粉砕機514において粉砕され、粉砕時に抽出されたサトウキビ汁が収集される。その後、粉砕されたサトウキビを水の中に入れて、分離機516へ送る。分離機516は図1〜3に示す装置10と同様の構造を持つことができる。好ましくは、水及びサトウキビの混合物は体積でサトウキビ約25%〜35%である。分離機516は上述の要素を介してサトウキビからサトウキビ汁を分離する。液体−固体分離機528は水及びサトウキビ汁から固体サトウキビを分割する。固体サトウキビは再び水の中に入れられて、分離機534へ送られる。分離機はさらにサトウキビからサトウキビ汁を分離する。液体−固体分離機536は分離機534から出たサトウキビ汁とサトウキビを分割する。固体サトウキビは再収集機538へ送られて、ここで骨材としてまたは紙の生産に使用される。サトウキビ汁を結晶糖に加工するか、またはステップ558〜572に関連して前に説明したようにサトウキビ汁を発酵させ蒸留してエタノールを生成できる。サトウキビからサトウキビ汁を分離するために前に説明したのと同様に、サトウダイコンからサトウダイコン汁を分離できる。
【0050】
液体から気体不純物を分離するためにも図11Aに示す方法を使用できる。例えば、二酸化硫黄またはその他の気体不純物を液体燃料から分離するためにこの方法を使用できる。二酸化硫黄は燃料に存在する化合物であり、燃焼によって大気に放出され、健康にも環境にも有害である。図11Aに示す方法に従って燃料と二酸化硫黄を分離するために、二酸化硫黄を含有する燃料は、直接、542及び544など遠心機と連結される分離機へ送られる。好ましくは、二酸化硫黄と燃料を分離するために図10に示すような装置410が使用される。分離機は液体燃料内部にキャビテーションを誘発する。キャビテーションは燃料内部における二酸化硫黄の気泡の形成を増大する。遠心機は燃料に遠心力を与えて、液体燃料から気体の二酸化硫黄を分離する。好ましくは、気体二酸化硫黄は遠心機上部から出て行き、精製された燃料は遠心機の底部から出て行く。気体も燃料も再収集機に収集できる。
【0051】
穀物から土及び毒素を分離するために図11Aに示す方法を使用できる。分離のために、土及び毒素で覆われた穀物は水に入れられて、分離機516へ送られる。分離機は穀物、土及び毒素を分離する。液体−固体分離機528は、土及び毒素からきれいな穀物を分離する。土及び毒素はそのまま水に懸濁している。液体−固体分離機528として篩が可能である。きれいな穀物は乾燥機530において乾燥されて、要望に合わせて処理される。水から汚染物質を分離して残留水を精製するためにもこの方法を使用できる。例えば、キャッサバの澱粉加工の残留水からシアン化合物を分離するためにこの方法を使用できる。
【0052】
また、植物性または動物性織物の任意の構成成分を分離するためにも図11Aに示す方法を使用できる。植物性または動物性織物の構成成分を分離するために、織物を加工し、選択し、水に入れて、分離機516へ送る。その後、任意の方法で織物の構成成分は分割され、洗浄され、乾燥され、梱包される。
【0053】
図11Aに示す方法に従って大豆を分離できる。本明細書において説明する大豆の分離方法は、伝統的な方法が必要とするステップ及び設備の数を大幅に減少する。大豆の結合構成成分は、外皮、胚芽及び内胚乳である。大豆は水の中に入れられ、分離機516へ送られる。分離機516は、外皮、胚芽及び内胚乳を分離する。液体−固体分離機528を用いて外皮、胚芽及び内胚乳を分離できる。液体−固体分離機528としては、構成成分を分離するための寸法を持つ1つの篩または一連の篩が可能である。また、他の豆類、モロコシなど穀物から結合構成成分、パイナップル繊維からパイナップルジュース及びジャガイモから澱粉を分離するためにもこの方法を使用できる。
【0054】
図12は本発明に従って液体を精製する方法を示す。液体に懸濁する固体が存在する場合、液体にステップ610〜614の予備処理方法を施すことが好ましい。液体に懸濁する固体がない場合、液体を直接キャビテーション室616へ送ることができる。予備処理方法に従って、液体はハイドロサイクロン610へ送られる。ハイドロサイクロンは図10に示す装置に関連して前に述べたように固体から液体を分離するのを助ける。その後直ちに、液体は化学処理612を受ける。化学処理は、液体内で沈殿物と結合して沈殿物の沈降を促進する凝結剤を添加するステップを含むことが好ましい。沈殿タンク614は、タンクの底に凝結剤及び沈殿物を沈降させるのに充分な時間、液体を維持する。沈殿タンク614の中の液体は、次にキャビテーション室616へ送られ、ここで、液体内部にキャビテーションが誘発されて液体内の望ましくない有機物が除去される。望ましくない有機物は液体内部に形成されるキャビテーション気泡の急速な生成及び爆縮によって除去される。キャビテーション室616は図1〜5に関連して説明した装置10、110及び210のいずれかと同様の構造を持つことができる。キャビテーションは細胞溶解によって有機物を除去できる。精製対象の液体が水である場合、キャビテーション及びキャビテーションによって創成される高温は、水のオゾン化を促進することが好ましい。オゾンは液体内部の望ましくない有機物を除去する。液体内部の望ましくない有機物が除去された後、液体が蛇口620から出る前に、液体内の残留微粒子を除去するために、液体はフィルター618においてろ過される。
【0055】
好ましくは、図12に示す工程のキャビテーション室は図1〜5に示す装置のいずれかと同様の構造を有する。好ましくは、図12に示す工程に使用される装置は、液体内部のキャビテーションを最大限に生じさせるために、図6に示すようにC字形の上面輪郭を持つ突起物を有する。公共給水ラインから建物へ入る水を精製するために家庭または事務所内部に図1〜5に示すような装置を設置できる。好ましくは、家庭または事務所の水の精製のために設置される装置は1.27センチメートル(0.5インチ)より小さい入口及び約1.90センチメートル(0.75インチ)の出口を有する。配水ラインにおいて水を精製するために、図1〜5に示すような装置を配水ライン内に設置することもできる。図12に示す方法を用いて精製される液体は、例えば水、ジュースまたは精製を必要とするその他の任意の液体である。例えば、ジュースまたは牛乳を精製するために、低温殺菌の代わりにまたは低温殺菌に加えてこの精製工程を使用できる。本明細書において説明する精製工程は、液体を加熱せず、液体の味を変えないので有益である。残留水を精製するためにも図12に示す精製工程を使用できる。
【0056】
熱伝達のために使用される液体を精製するためにも図12の精製方法を使用できる。熱伝達のために使用される水またはその他の液体において望ましくない有機物が繁殖する可能性がある。液体と接する可能性のある個体間の病気を防止するためにこのような望ましくない有機物を除去することが望ましい。加熱のために液体を使用する場合、キャビテーション室及び遠心機は熱交換器から液体を受け取り、この液体を精製した後、加熱機へ液体を送ることができる。その後、液体は加熱機から熱交換器へ送られ、キャビテーション室へ戻される。冷却のために液体が使用される場合、キャビテーション室は熱交換器から液体を受け取り、液体を精製した後、液体を冷却塔へ液体を送ることができる。液体はその後冷却塔から熱交換器へ送られ、キャビテーション室へ戻される。液体の精製は液体の比熱容量を増大させるので、熱交換工程の効率を向上させることができる。
【0057】
図13は本発明に従って2つまたはそれ以上の構成成分間の相互作用を促進する方法を示す。構成成分は流体媒体の中に入れられ、相互作用促進機710へ送られる。相互反応促進機710は、キャビテーション室712、アブレージョン流体714、アブレージョン構成成分716、遠心機712及び衝撃機720を有する。相互作用促進機は図1〜5に関連して前に説明した装置10、110及び210のいずれかと同様の構造を持つことができる。単純な構造がステップ712〜720を同時に実施できることが分かるはずである。キャビテーション室712は流動内部にキャビテーションを誘発して構成成分間の相互作用を促進する。アブレージョン流体714は流体と構成成分との間のアブレージョンを誘発し、アブレージョン構成成分716は、構成成分間のアブレージョンを誘発して構成成分間の相互作用を促進する。遠心機718は構成成分に遠心力を与えて構成成分間の相互作用を促進し、衝撃機720は構成成分に衝撃力を与えて構成成分間の相互作用を促進する。相互作用促進機710から出ると、相互作用した構成成分は再収集機722に収集される。相互作用する構成成分として、固体、液体、気体またはこの3つの任意の組合せが可能である。
【0058】
加水分解反応など任意の化学反応または物理反応を促進するために図13の方法を使用できる。例えば、澱粉を加水分解する目的で酵素と澱粉の相互作用を促進するためにこの方法を使用できる。澱粉と酵素は流体媒体の中に入れられて、相互作用促進機710へ送られる。相互作用促進機内部で創成されるキャビテーション、アブレージョン及びその他の力は、澱粉と酵素の相互作用を促進して、澱粉の加水分解を生じる。加水分解された澱粉の糖化を促進して砂糖シロップを生成するために図13の方法を使用できる。加水分解された澱粉及び酵素は流体媒体の中に入れられて、相互作用促進機710へ送られる。促進機は酵素と加水分解された澱粉の相互作用を促進する。相互作用促進機内部で創成されるキャビテーション、アブレージョン及びその他の力は、加水分解された澱粉と酵素の相互作用を促進して砂糖シロップを生成する。砂糖シロップは、その後再収集機722において収集される。
【0059】
トウモロコシのニクスタマリゼーション(nixtamalization−水酸化カルシウムのアルカリ溶液による調理)のために図13の方法を使用できる。典型的なニクスタマリゼーション工程においては、トウモロコシから果皮を分離してトウモロコシの内胚乳の澱粉をデキストリン化するためにアルカリ溶液でトウモロコシを煮る。アルカリ溶液で調理されたトウモロコシは製粉がより容易であり、デキストリン化された澱粉は栄養がより高い。本発明の相互作用の促進方法に従ってトウモロコシをアルカリ溶液で調理するために、トウモロコシを、好ましくは酸化カルシウム及び水を含むアルカリ性溶液に入れる。トウモロコシとアルカリ溶液との間の相互作用を促進するために、トウモロコシ及びアルカリ溶液は加熱された後、相互作用促進機へ送る。アルカリ溶液と間の相互作用を促進する相互作用促進機内部に創成される力の組合せ効果によってトウモロコシはアルカリ溶液で調理される。トウモロコシの分離方法に関して前に述べたように、キャビテーション、アブレージョン及び遠心力及び衝撃力によってもトウモロコシの構成成分を分離できる。相互作用促進機710から出た後、トウモロコシは乾燥機(図示せず)へ送られる。図13に示す方法に従えばトウモロコシを約5分間で調理することができる。従来の方法を用いると、トウモロコシのニクスタマリゼーションには約12時間掛かる。
【0060】
図13に示す方法に従って物質を乳化、カプセル化(encapsular)及び均質化して相互作用を促進することも可能である。例えば、バナナからバナナのピューレを、ココナッツからココナッツクリームを、肉からブイヨンを生産するためにこの方法を使用できる。フルーツジュース、アイスクリーム、ソース、ペースト状薬剤、ペースト状化学薬品及びソーセージ用肉を乳化するためにこの方法を使用できる。梱包前に牛乳、フルーツジュース及び果肉と添加物の相互作用を促進するためにこの方法を使用できる。また、2つまたはそれ以上の構成成分の相互作用の結果として生じる化学反応または物理反応を加速するためにもこの方法を使用できる。例えば、木材をパルプに変換するためにこの方法を使用できる。この場合、相互作用する構成成分は木材及び1つまたはそれ以上の化学生成物である。
【0061】
図14は液体燃料の気化によって液体燃料の燃焼を改良する方法を示す。燃焼室814において空気と燃料の比率はより均等に分布するので、液体燃料の気化は燃焼を改良する。本発明の方法に従って燃料を気化するために、燃料はキャビテーション室810へ送られる。ここで、燃料の中にキャビテーションが誘発される。燃料内部におけるキャビテーション気泡の急激な生成及び爆縮は燃料を気化させる。キャビテーション室810から出た後、液体燃料の一部はそのまま存続する可能性があるので、遠心機812は気化燃料と液体燃料の組合せに遠心力を与えて、液体燃料から気化燃料を分離する。遠心機812は図10に示すハイドロサイクロンと同様の構造を持つことができる。気化燃料は酸素と混合され、燃焼室814で燃焼され、液体燃料は再びキャビテーション室810へ戻される。図14に示す方法に従って液体燃料の燃焼を改良するために図1〜10に示すいずれの装置でも使用できる。
【0062】
以上のことから、本発明が、自明のまた本発明に固有の他の利点と共に、本発明に明示される全ての目的を達成するために非常に適することが分かる。
【0063】
本発明の範囲から逸脱することなく本発明の多くの実施形態を実現できるので、本明細書に記載されるまたは添付図面に図示される事項を限定的にではなく例示と解釈すべきである。
【0064】
以上、特定の実施形態を示し、論証したが、当然様々な修正を加えることができ、本発明は、特許請求の範囲に限定が含まれない限り、本明細書において説明される部分及びステップの特定の形態または配列に限定されない。さらに、特定の特徴及び副組合せは便宜上示されており、参照なしに他の特徴及び副組合せを採用することができる。これは特許請求の範囲内に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結合構成成分を流体媒体の中に入れるステップと、
前記結合構成成分を分離するために前記流体内部にキャビテーションを誘発するステップと、
を含む、結合構成成分を分離する方法。
【請求項2】
さらに、前記結合構成成分を分離するために前記流体と前記結合構成成分との間にアブレージョンを誘発するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記結合構成成分を分離するために前記結合構成成分間にアブレージョンを誘発するステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記結合構成成分を分離するために前記結合構成成分に遠心力を与えるステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記結合構成成分を分離するために前記結合構成成分に衝撃力を与えるステップを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記結合構成成分が固体であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記結合構成成分がトウモロコシ粒の内胚乳、胚芽及び果皮を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
さらに、
前記内胚乳、胚芽及び果皮を分離した後、前記流体及び前記内胚乳から前記胚芽及び前記果皮を分けるステップと、
前記内胚乳の細胞から澱粉及び蛋白を分離するために前記流体及び内胚乳内部にキャビテーションを誘発するステップと、
前記澱粉と蛋白を分けるために前記分離された澱粉及び蛋白に遠心力を与えるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
さらに、前記澱粉を加水分解するステップと、
前記加水分解された澱粉を糖化して砂糖シロップを生成するステップと、
前記砂糖シロップを発酵させて液体エタノールを生成するステップと、
前記液体エタノールをエタノール蒸気に変換するために前記蒸気エタノール内部にキャビテーションを誘発するステップと、
前記液体から前記エタノール蒸気を分けるために前記エタノール蒸気に遠心力を与えるステップと、
前記エタノール蒸気を凝縮させるステップと、
を含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記結合構成成分がコーヒーの実の外皮、果肉、粘質物、豆の皮及び豆を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記結合構成成分がキャッサバの根の澱粉及び細胞を含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記結合構成成分が液体であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記結合構成成分の少なくとも1つが液体であり、少なくとも1つが気体であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記結合構成成分が液体燃料及び二酸化硫黄を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記液体燃料と二酸化硫黄を分けるために前記分離された液体燃料及び二酸化硫黄に遠心力を与えるステップを含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記結合構成成分の少なくとも1つが液体であり、少なくとも1つが固体であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記結合構成成分がサトウキビ及びサトウキビ汁を含むことを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記結合構成成分の少なくとも1つが固体であり、少なくとも1つが気体であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
内部室と、流体及び結合構成成分が前記内部室へ入れるようにする入口と、シャフト用開口と、前記構成成分が分離された後前記流体及び前記構成成分が前記内部室から出られるようにする出口と、を備えるハウジングと、
前記シャフト用開口を介して前記内部室の中へ突出するシャフトと、
前記内部室内部で前記シャフトと連結されるローターと、
前記ローターから伸びる複数の突出部と、
前記突出部が前記流体を通過するとき前記内部室内部において前記流体にキャビテーションを生じさせるのに充分な速度で前記シャフト及びローターを回転させる主原動機と、
を備え、
前記流体内部において形成されるキャビテーション気泡の急速な生成及び爆縮によって前記結合構成成分が分離されることを特徴とする、
流体媒体の中に入れられた結合構成成分を分離するための装置。
【請求項20】
前記結合構成成分が、遠心力、前記流体と前記構成成分との間のアブレージョン、前記構成成分間のアブレージョン及び前記構成成分と前記突起物との間の衝突の組合せ効果によって分離されることを特徴とする、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記ハウジングが前記内部室を形成する第一及び第二の端壁及び1つの側壁を備え、前記入口が前記第一端壁にあり、前記シャフト用開口が前記第二端壁にあり、前記出口が前記側壁にあり、前記ローターが前記入口に面する前面を備え、前記複数の突起物が前記ローターの前記前面から前記入口へ向かって伸びることを特徴とする、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記結合構成成分がトウモロコシ粒の内胚乳、胚芽及び果皮を含み、前記ローターが円形であり、前記突起物が前記ローターの前記前面の外周縁に隣接して前記ローターの中心から等間隔であり、前記突起物が円筒形であり、かつ果皮、胚芽及び内胚乳が分離されるまで前記トウモロコシ粒を前記内部室内に保持するために隣り合う突起物間に約6〜12ミリメートルの空間が存在することを特徴とする、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
さらに、前記第一端壁から前記ローターへ向かって伸びる突起物を備えることを特徴とする、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
さらに、
前記入口によって受け入れられかつ前記内部室の中へ伸びるチューブと、
前記内部室内部で前記チューブと連結されるカウンターローターであって、該カウンターローターが前記ローターの前記前面に面する前面を備える、カウンターローターと、
前記カウンターローターの前記前面から前記ローターへ向かって伸びる突起物と、
を備えることを特徴とする、請求項21に記載の装置。
【請求項25】
さらに、前記出口に連結される遠心機を備えることを特徴とする、請求項19に記載の装置。
【請求項26】
前記液体中の望ましくない有機物を除去するために前記液体内部にキャビテーションを誘発するステップを含む、液体を精製する方法。
【請求項27】
前記液体が水であることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記水内部のキャビテーション気泡の急速な生成及び爆縮が前記水のオゾン化を促進し、前記オゾンが前記水の中の望ましくない有機物を除去することを特徴とする、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
さらに、前記液体から固体を分けるために前記液体に遠心力を与えるステップを含むことを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
さらに、前記液体内部における沈殿物の沈降を誘発するために化学薬品で前記液体を処理するステップを含むことを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
さらに、前記液体から沈殿物をろ過するステップを含むことを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記液体がジュースであることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記有機物が細胞溶解によって除去されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記液体が蛇口から出る前に精製されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記液体が配水ラインにおいて精製されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
内部室と、液体が前記内部室へ入れるようにする入口と、シャフト用開口と、前記液体が精製された後に前記液体が前記内部室から出られるようにする出口と、を備えるハウジングと、
前記シャフト用開口を介して前記内部室の中へ突出するシャフトと、
前記内部室内部で前記シャフトと連結されるローターと、
前記ローターから伸びる複数の突起物と、
前記突起物が前記流体を通過するとき前記内部室内部において前記流体にキャビテーションを生じさせるのに充分な速度で前記シャフト及びローターを回転させる主原動機と、を備え、
前記液体内の望ましくない有機物が、前記流体内部に形成されるキャビテーション気泡の急速な生成及び爆縮によって除去されることを特徴とする、液体を精製するための装置。
【請求項37】
前記ハウジングが、前記内部室を形成する第一及び第二端壁及び1つの側壁を備え、前記入口が前記第一端壁にあり、前記シャフト用開口が前記第二端壁にあり、前記出口が前記側壁にあり、前記ローターが前記入口に面する前面を備え、前記複数の突起物が前記ローターの前記前面から前記入口へ向かって伸びることを特徴とする、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
さらに、前記第一端壁から前記ローターへ向かって伸びる突起物を備えることを特徴とする、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
さらに、
前記入口によって受け入れられかつ前記内部室の中へ伸びるチューブと、
前記内部室内部で前記チューブと連結されるカウンターローターであって、該カウンターローターが前記ローターの前記前面に面する前面を備える、カウンターローターと、
前記カウンターローターの前記前面から前記ローターへ向かって伸びる突起物と、
を備えることを特徴とする、請求項37に記載の装置。
【請求項40】
前記突起物がC字形の上面輪郭を有することを特徴とする、請求項36に記載の装置。
【請求項41】
前記突起物がJ字形の側面輪郭を有することを特徴とする、請求項36に記載の装置。
【請求項42】
前記突起物が前記ローターの前記前面に回転可能に取り付けられる固定端と自由端とを有することを特徴とする、請求項36に記載の装置。
【請求項43】
前記構成成分を流体媒体の中に入れるステップと、
前記構成成分間の相互作用を促進するために前記流体内部にキャビテーションを誘発するステップと、
を含む、2つまたはそれ以上の構成成分間の相互作用を促進する方法。
【請求項44】
さらに、前記構成成分間の相互作用を促進するために前記構成成分に遠心力を与えるステップを含むことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
さらに、前記構成成分間の相互作用を促進するために前記流体と前記構成成分との間のアブレージョンを誘発するステップを含むことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
さらに、前記構成成分間の相互作用を促進するために前記構成成分間のアブレージョンを誘発するステップを含むことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
さらに、前記構成成分間の相互作用を促進するために前記構成成分に衝撃力を与えるステップを含むことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記相互作用が加水分解反応を含むことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項49】
前記構成成分が澱粉及び酵素を含み、前記加水分解反応が澱粉の加水分解を含むことを特徴とする、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
さらに、前記加水分解された澱粉を糖化して砂糖シロップを生成するステップを含み、前記糖化が、前記加水分解された澱粉及び酵素を流体媒体の中に入れて、前記加水分解された澱粉と前記酵素との間の相互作用を促進するために前記加水分解された澱粉及び前記酵素にキャビテーション及びアブレージョンを生じさせることによって実施されることを特徴とする、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記構成成分がトウモロコシ及びアルカリを含み、前記相互作用がニクスタマリゼーションを含むことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項52】
前記構成成分が固体及び液体を含むことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項53】
前記構成成分が液体及び気体を含むことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項54】
前記構成成分が固体及び気体を含むことを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項55】
前記相互作用が化学反応であることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項56】
前記相互作用が物理反応であることを特徴とする、請求項43に記載の方法。
【請求項57】
内部室と、流体及び構成成分が前記内部室へ入れるようにする入口と、シャフト用開口と、前記流体及び前記構成成分が前記内部室から出られるようにする出口とを備えるハウジングと、
前記シャフト用開口を介して前記内部室の中へ突出するシャフトと、
前記内部室内部で前記シャフトと連結されるローターと、
前記ローターから伸びる複数の突起物と、
前記突起物が前記流体を通過するとき前記内部室内部において前記流体にキャビテーションを生じさせるのに充分な速度で前記シャフト及びローターを回転させる主原動機と、
を備え、
前記流体内において形成されるキャビテーション気泡の急速な生成及び爆縮によって前記構成成分間の相互作用が促進されることを特徴とする、流体媒体の中に入れられた2つまたはそれ以上の構成成分間の相互作用を促進するための装置。
【請求項58】
前記主原動機が、前記2つまたはそれ以上の構成成分間の相互作用を促進するために前記構成成分に遠心力を与えるのに充分な速度で前記シャフト及びローターを回転させることを特徴とする、請求項57に記載の装置。
【請求項59】
前記構成成分間の前記相互作用が、前記流体と構成成分との間のアブレージョン、前記構成成分間のアブレージョン及び前記構成成分と突起物との間の衝突の組合せ効果によって促進されることを特徴とする、請求項57に記載の装置。
【請求項60】
前記突起物が、前記構成成分間の相互作用まで前記ハウジング内部に前記2つまたはそれ以上の構成成分を保持するのに充分な距離の間隔で配置されることを特徴とする、請求項57に記載の装置。
【請求項61】
前記ハウジングが前記内部室を形成する第一及び第二の端壁及び1つの側壁を備え、前記入口が前記第一端壁にあり、前記シャフト用開口が前記第二端壁にあり、前記出口が前記側壁にあり、前記ローターが前記入口に面する前面を備え、前記複数の突起物が前記ローターの前記前面から前記入口へ向かって伸びることを特徴とする、請求項57に記載の装置。
【請求項62】
さらに、前記第一端壁から前記ローターへ向かって伸びる突起物を備えることを特徴とする、請求項61に記載の装置。
【請求項63】
さらに、
前記入口によって受け入れられかつ前記内部室の中へ伸びるチューブと、
前記内部室の内部において前記チューブと連結されるカウンターローターであって、該カウンターローターが前記ローターの前記前面に面する前面を備える、カウンターローターと、
前記カウンターローターの前記前面から前記ローターへ向かって伸びる突起物と、
を備えることを特徴とする、請求項61に記載の装置。
【請求項64】
前記突起物がJ字形の側面輪郭を有することを特徴とする、請求項57に記載の装置。
【請求項65】
前記突起物がC字形の上面輪郭を有することを特徴とする、請求項57に記載の装置。
【請求項66】
前記突起物が前記ローターの前記前面に回転可能に取り付けられる固定端と自由端とを有することを特徴とする、請求項57に記載の装置。
【請求項67】
液体燃料を気化するために前記液体燃料内部にキャビテーションを誘発するステップを含む、液体燃料の燃焼を改良する方法。
【請求項68】
さらに、気化されなかった液体から気化された燃料を分けるために前記気化された燃料に遠心力を与えるステップを含むことを特徴とする、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
さらに、前記気化された燃料を燃焼するステップを含むことを特徴とする、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
キャビテーション室と、液体燃料が前記キャビテーション室へ入れるようにする入口と、シャフト用開口と、前記液体燃料が前記キャビテーション室から出られるようにする出口と、を備えるハウジングと、
前記シャフト用開口を介して前記キャビテーション室の中へ突出するシャフトと、
前記キャビテーション室内部において前記シャフトと連結されるローターと、
前記ローターから伸びる複数の突起物と、
前記突起物が前記液体燃料を通過するとき前記キャビテーション室内部において前記液体燃料にキャビテーションを生じさせるのに充分な速度で前記シャフト及びローターを回転させる主原動機と、
を備え、
前記キャビテーションが前記液体燃料を気化して、前記液体燃料の燃焼を改良することを特徴とする、液体燃料の燃焼を改良するための装置。
【請求項71】
さらに、1つの入口及び第一及び第二の出口を備える遠心機を備え、前記遠心機の前記入口が前記ハウジングの前記出口と連結され、前記気化された液体燃料が前記遠心機の前記第一出口から出て行き、前記液体燃料が前記遠心機の第二出口から出て行くことを特徴とする、請求項70に記載の装置。
【請求項72】
前記遠心機の前記第一出口が燃焼室と連結されることを特徴とする、請求項71に記載の装置。
【請求項73】
前記ハウジングが前記キャビテーション室を形成する第一及び第二の端壁及び1つの側壁を備え、前記入口が前記第一端壁にあり、前記シャフト用開口が前記第二端壁にあり、前記出口が前記側壁にあり、前記ローターが前記出口に面する前面を備え、前記複数の突起物が前記ローターの前記前面から前記入口へ向かって伸びることを特徴とする、請求項70に記載の装置。
【請求項74】
さらに、前記第一端壁から前記ローターへ向かって伸びる突起物を備えることを特徴とする、請求項73に記載の装置。
【請求項75】
さらに、
前記入口によって受け入れられかつ前記キャビテーション室の中へ伸びるチューブと、
前記キャビテーション室内部において前記チューブと連結されるカウンターローターであって、該カウンターローターが前記ローターの前記前面に面する前面を備える、カウンターローターと、
前記カウンターローターの前記前面から前記ローターへ向かって伸びる突起物と、
を備えることを特徴とする、請求項73に記載の装置。
【請求項76】
前記突起物がC字形の上面輪郭を有することを特徴とする、請求項70に記載の装置。
【請求項77】
前記突起物がJ字形の側面輪郭を有することを特徴とする、請求項70に記載の装置。
【請求項78】
前記突起物が前記ローターの前記前面に回転可能に取り付けられる固定端と自由端とを有することを特徴とする、請求項70に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−504133(P2011−504133A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528818(P2010−528818)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【国際出願番号】PCT/MX2008/000137
【国際公開番号】WO2009/048313
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(510098168)インドゥストリアス セントリ,ソシエダ アノニマ デ カピタル バリアブレ (1)
【Fターム(参考)】