説明

列車監視システム

軸受けアダプター上の台車の台座あご部の内部に支持された可撓性の測定パッドを利用して鉄道車両の監視を行う。パッドは、温度、圧力、移動荷重、台車の蛇行動などをモニタリングするためのセンサを含むとともに、センサから受信した情報を処理するための回路を有する。回路は、性能変数のずれを処理してリモート源に通知する。システムは、車両の各パッドに対するポーリングを繰り返し行って、異常なずれを示す信号、及び車両識別情報をリモート源に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車などの監視システムに関し、特にローラ軸受け用測定アダプターパッドを使用して車輪セット、台車、貨車、または列車のレベルでの性能劣化の発生及び原因を検出するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の所有者及び運営者は、彼らの資産がどのように運用されているかについてより深く理解する必要が高まっている。運用している車両の重量が重くなるに従って車両の性能が許容できないほどに低下した場合、「事故につながる原因車両」(レール設備が損壊し、脱線を引き起こし得る車両)を直ちに特定する必要性が高まっている。また、高速性能を高め、かつ機械故障による予想外の停電を減らすことにより、平均列車速度を上げる必要性もある。車両所有者は、機械故障を回避し、拠点での修理やその修理を行う時刻をスケジューリングするために予防メンテナンスプログラムを用いるようになっている。鉄道の運転の自動化が更に進み、安全を高めるための規制が強化されるに従って、列車、車両、及び鉄道車両台車の性能をモニタリングする新規の方法が鉄道業界に必要となっている。
【0003】
モニタリングする必要性のある性能基準として、ローラ軸受けの状態及び温度、ローラ軸受け用アダプターの変位、車輪の状態、台車の蛇行性/曲がり/拘束性、ブレーキ状態及びその性能、部分的脱線が生じているかどうか、及び問題を引き起こし得るレール状態などを挙げることができる。これらの性能上の問題によっては、列車の大事故に至る故障が極めて瞬時に発生し得る。このため、発生する異常を出来る限り迅速にモニタリングして、それを機関車または中央データ処理設備に通知することが望ましい。更に、鉄道列車を運転する環境に対する要求が厳しくなってくると、全てのシステムが厳格かつ高信頼度であり、メンテナンスをほとんど行なわずに、あるいは全く行なうことなく長期間に渡って運用することができる必要がある。更に、コスト効率を高めるためには、システムを構築及び維持するのに膨大なコストを追加することが必要となってはならない。北米だけで1.5百万輌を超える貨車が存在し、使用中の全ての車両を監視するシステムが非常に望ましいので、全てのこのようなシステムは非常に多くのアドレス、すなわち非常に多くの潜在的な機器に対応する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
北米で広く採用されている一つの方法は、鉄道線路異常検出装置を鉄道網全体における固定箇所で使用することである。軸受け温度を測定する検出装置(ホットボックス検出器)が広く用いられているが、その一方で、車輪の衝撃、軸受け状態(音響痕跡に基づく)、及び横方向の力を測定する他の鉄道線路異常検出装置が徐々に導入されている。しかしながら、一つの検出装置によって多くの貨車を、これらの貨車が通過している時点において監視することはできるが、それらの貨車に対する監視によって、ある時点における性能のチェック結果が得られるに過ぎない。異常が明らかとなっても、その異常が検出装置間で臨界レベルにまで達してしまうことが極めて高い確率で起こり得る。鉄道車両の性能を継続的にモニタリングするシステムが必要となっている。
【0005】
鉄道車両の性能をモニタリングする別のアプローチでは、車両の走行中の計測を利用する。一つのこのような高性能システムが連邦鉄道管理局で開発されている。このシステム及び他の同様のシステムでは、貨車の異なる場所に設置される多数の計測器を使用して、主要拠点に輸送される前に貨車に対して離散的な測定を行なう。鉄道線路監視装置によって実現する解決法よりも優れた解決法が提供されるが、配線作業、複雑さ、及びコストによって車両を監視するために必要な投資が大きくなる。
【0006】
本発明は、走行中に鉄道車両の台車、車輪、及び軸受けを継続的に監視する手段を提供することを目的とし、正常な性能を定常的に保証するとともに、必要に応じて、生じ得る故障または実際の故障を、故障が一部分に起きる場合の列車の運営者及び所有者にタイムリーに、かつ効果的な方法で警告することを可能にする。
【0007】
本発明の別の目的は、鉄道車両及び当該車両の部品の性能を機関車の運用データと組み合わせることが可能な列車監視システムを提供することにある。
本発明の更に別の目的は、鉄道車両の台車に取り付けられる部品間の有線電気接続、または台車に取り付けられる部品と車両の他の部分及び機関車を含む列車の他の部分に取り付けられる部品との間の有線電気接続を最小限に利用しつつ上記のような監視機能を提供することにある。
【0008】
本発明の更に別の目的は、鉄道車両に対する通常のメンテナンス作業の間に部品を検査し、修理し、または取り替えるために挿入する、あるいは取り外すことができるようにすることにある。
【0009】
本発明の更に別の目的は、列車の運転中に行われる測定をタイムリーに分析して、性能または故障に関する情報を簡便な方法で送信して、詳細な測定値を送信する必要がないようにすることができる手段を提供することにある。
【0010】
本発明の更に別の目的は、性能または故障に関して送信されるメッセージが十分な情報を含むことにより、問題となっている項目または項目群の列車上での正確な場所を明確に求めることができ、かつ列車の位置、実質的には貨車の位置を、当該情報を利用することができる場合に通知できるようにすることにある。
【0011】
本発明の更に別の目的は、無線で動作する場合に、本発明を拡張して、選択可能な動作周波数(チャネル)を利用することにより、列車の連続する(隣接する)車両間の干渉、または同じ周波数帯で動作する他の機器による干渉を防止することにある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下の説明では、車両を貨車として説明しているが、同じ方法をいずれの鉄道にも適用することができる、または或る例においては、複数の車軸を有する他の車両にも適用できることを理解し得る。また、以下の説明では、2つの台車(またはボギー(bogies))の付いた貨車に特徴があるが、当該説明は、1つまたは3つ以上の台車または車軸を有する略全ての構成に適用可能である。
【0013】
図1,2,4を参照すると、複数の台車1のそれぞれに2つの車軸2が固定される様子が模式的に示されており、各車軸には2つの車輪3が取り付けられている。図4に最も分り易く示される車軸軸受け2a及び軸受けアダプター4は、各軸受けが、当該軸受けにかかる荷重、及び当該軸受けに発生する熱をパッド16を介して台車に伝達するように構成されている。
【0014】
図4は、鉄道車両台車1の一部分を示し、他の台車部分に対する測定パッド16の関係を示している。図4では、台車側部フレーム12の一方の端部を示している。各側部フレームは下方に延伸する一対の台座あご部13を有する。各台座あご部の平行側壁14はルーフ部15と一体化されて台座あご部開口を形成する。
【0015】
台車は更に、複数の軸受けアダプター4を含み、これらの軸受けアダプターのうちの一つが図4に示される。アダプターは、上部構造のコーナーから延出する従属脚を備えた、ほぼ矩形状の上側表面を有する。これらの従属脚は、対向する屈曲側面を有し、これらの側面は車輪軸受け車軸2の端部に取り付けられる軸受け2aの外側表面に載るように構成される。アダプターは通常、鋳造鋼から成る。アダプターパッド16は、上から見るとほぼ矩形状を呈し、従属脚を有する。アダプターパッド16は、鋳込み成形または射出成形エラストマーポリマーにより構成される。アダプターパッド16は、アダプター4の上側表面に載るように形成され、この状態でアダプター4が軸受けに載っている。アダプター及びパッドの機能を荷重支持/減衰手段として関連付けるように記述しているパッドの詳細は、2005年12月8日付けの米国公開出願第2005/0268813号に更に詳細に記載されている。
【0016】
更に図4を参照すると、パッド16は軸受けアダプターの上側矩形表面に載る。各軸受けは、当該軸受けが受ける荷重及び当該軸受けで発生する熱をアダプターを介して、当該軸受けが支持するパッド、すなわち鉄道車両台車に伝達する。
【0017】
図3は、本発明の目的を達成するように改善されたアダプターパッド16を模式的に示している。パッドは複数のセンサ5を含み、これらのセンサは、パッドの上側表面、側部表面、及び下側表面に埋め込まれる、または以下に更に説明するように、本発明の目的に対して必要となるパッドの端部表面のような他の位置に埋め込まれる。好適な形態では、パッド16は延出装着部17を有し、延出装着部17は、アダプター16を介して伝達される力の影響から大きく解放されるように位置する。延出部17は、電源18と、アナログ/信号調整手段及びアナログ/デジタル変換手段ならびに関連マイクロプロセッサユニット19と、好ましくは低消費電力の無線送信機/受信機である、アンテナ21を有する通信ユニット20とを含む。これらのセンサは上記アナログ/デジタル変換回路ユニットならびにマイクロプロセッサユニットに電気的に接続され、このマイクロプロセッサユニットは上記通信ユニットに接続されている。マイクロプロセッサユニットは通信ユニットを制御し、通信ユニットを利用して、メッセージを送受信することができる。電源をパッドに供給する種々の手段を用いることができる。電源は、十分大きい電圧を供給し、かつ十分に高いエネルギー貯蔵能力を有するバッテリとすることができる。従って、バッテリが以下に説明するように周期的かつ一時的にオンになると、台車に使用される軸受け部品の通常の耐用年数と一致する数年間に渡ってパッドを機能させることができる。
【0018】
別の構成として、電源はエネルギー回収装置により構成することができ、エネルギー回収装置はエネルギーを充電式バッテリまたはキャパシタに供給する。歪み誘起型(strain generated)電源を用いることもできる。エネルギー供給源は車両本体に取り付ける供給源とすることができるが、エネルギー供給源は台車に取り付けるか、最も好ましくはパッドの延出部に取り付けることにより、非常に動きの大きい車両部品の間の電気配線が必要とならないようにすることが好ましい。
【0019】
図1〜3は更に、センサ、制御ユニット19、及び通信ユニット20を備えたパッド16を装備した台車1を有する鉄道貨車22を示している。図示の例では、各台車は4つのパッド16(各軸受けに対して一つのパッド)を装備し、各パッドは、電源18と、制御回路ユニット19と、好ましくは無線送信機/受信機を含む通信ユニット20と、を有する。
【0020】
鉄道車両本体において、好ましくは2つの鉄道車両台車間のほぼ中央のポイントに取り付けられるデータ制御ユニット23も同じように無線/受信機を有し、この無線/受信機は、鉄道車両のパッド4上の無線機並びに以下に説明する機能を有するマイクロプロセッサと通信する機能を備える。データ制御ユニット23はケーブル23aによって、ここでは鉄道車両の上部に配置された通信装置24に接続されるが、通信装置の設置場所としては、本発明が適用される車両のタイプなどの要素によって変わる他の場所も適する。或る環境では、或る車両タイプの場合、データ制御ユニット及び通信装置は隣接させることができる。
【0021】
通信装置24への電源を、参照記号24aで示される太陽電池、または連続駆動を維持する機能を備える他の電気手段から供給すると有利である。通信装置24は、列車を牽引する機関車に鉄道車両を直接リンクして、技師または他の乗務員が故障車両に直ぐに気付くように機能する。任意ではあるが、通信は、線路脇の自動機器識別手段を通して行なうこともできるし、または、ユーザの要求に応じて、携帯無線システムや衛星無線システム或いは他の通信機器を経由して監視ステーションに転送されるように行なうこともできる。列車内で機関車からの有線通信を利用できる場合、例えば電子ブレーキが標準に利用できる場合、通信装置をこの通信ラインに接続することができる。通信装置24の電源は、データ制御ユニット23に電源を供給することもできる。この場合、電気接続23aは複数の接続リンクとすることができる。
【0022】
図1に更に示すのは携帯型ユニット23bであり、携帯型ユニット23bはマイクロプロセッサを含む。また、携帯型ユニット23bは、測定パッド16とそのパッドの無線機によって通信するとともに、データ制御ユニット23と通信する無線機を収容する。以後において「レジストラ(registrar )」と呼ぶユニット23bは、非常に制限された信号送信機能を持つように設計されるので、該ユニットをパッド16またはデータ制御ユニット23に物理的に近接するように配置して通信を行なう必要がある。これにより、オペレータは一つのこのような装置のみと、同様の装置を同じ列車または直ぐ傍の列車の他の車両に設けることなく通信して無線送信を受信することになる。
【0023】
レジストラによって通信を行なう無線機を使用することが好ましいが、直接的な電気的接触を用いることができる。しかしながら、鉄道車両が曝される環境条件は過酷であるので、直接的な電気的接触は、信頼性を低下させる原因となり、特に、非常に多くの車両との通信が必要となる場合には、電気的接触を得ることができる構造を提供するために非常に長い時間を要する。本発明の機能を実行する際のレジストラ使用について、以下に更に詳細に説明する。
【0024】
この時点において本発明の一つの特徴は、パッドを装着する時点、或いはパッドまたはデータ制御ユニットを取り替えている間の無線通信のアドレスの確認を容易にすることである。この容易化のために、無線通信の別の手段として、無線周波数識別(RFID)タグまたはバーコード、或いはレジストラによって読み取り且つ記録可能な拡張アドレスの他の読み取り可能形態を用いることができる。
【0025】
図1及び3に示すアンテナは、ワイヤアンテナまたはロッドアンテナとして模式的に示される。実際には、これらのアンテナはマイクロストリップまたはコンフォーマルアレイとすることができ、例えば、セラミック基板上の金属導体とすることができる。
【0026】
また、測定パッドのバッテリ電源の代わりに、オンボード電源を鉄道車両に利用することができ、利用可能であればそれを使用することができる。車輪の回転力からエネルギーを得る別のエネルギー回収装置を使用して電力を生成することもできる。電源を選択する際の実用上の重要事項として、優先度の高い電源は、バッテリ取り替えを必要とすることなく、または他のメンテナンス作業の実施を必要とすることなく、数年間稼動する可能性の最も高い電源である。
【0027】
上述したように、本発明の一つの特徴は、パッド16内の無線機及びデータ制御ユニット23が非常に短い距離を通信するだけで済むことである。この動作を実現するために、無線センサネットワークのIEEE802.15.4標準規格に対応する無線機が好ましい。この標準規格は、ZigBeeセンサネットワークシステムを例として挙げることができる短距離無線通信用の標準規格である。電力レベルは低く、電力範囲は狭いが、必要なのは、特定車両の台車のパッドとその車両のデータ制御ユニットとの間で通信する、または車両の傍に立っている作業者が保持するレジストラと通信する機能をほぼ備えていることである。データフォーマットに関する標準規格、及び高性能マイクロコントローラを備えるこれらのシステムを使用するためのオープンソースソフトウェアを導入することにより、この構成が好ましい選択となる。無線送信の持つ圧倒的な利点は、台車上での配線及び台車から鉄道車両への配線は破損し易いので望ましくなく、かつ貨物列車の長さに沿った配線は、電子ブレーキなどが産業規模で広範に採用されない限り、極めて受け入れ難いということからも明らかである。
【0028】
IEEE標準規格に対応する無線通信手段を利用可能であり、この無線通信手段は測定パッド及びデータ制御ユニットによって外部からの介入なしに接続ネットワークを構築するように構成される。無線通信手段は、台車及び鉄道車両の車軸位置の関係を認識するように設定される。あるいは、無線通信手段は、ネットワークを相互接続するマルチホップ手段をデジタル通信ユニットによって実現する構成を、同ユニットに通知するように設定される。本発明の上記態様を実行するために使用される無線機は、低電力で間欠的に動作するように構成される。幾つかの周波数帯が世界の種々の地域で許容されている。無線機が北米で動作することになる適切な利用可能周波数は約2.4GHzである。メッセージのフォーマット及び符号化ルールは前述のIEEE標準規格に従うことが好ましいと考えられるが、他の機構を用いることもできる。
【0029】
例示としてのシステムでは、測定パッド16は幾つかのセンサを収容し、これらのセンサは、動的な垂直荷重及び静的な垂直荷重、せん断力、または鉄道車両の台車、すなわち貨車から軸受けアダプターを経由して加わる横方向の力を測定する。これとは異なり、自体が車輪に固定して取り付けられ、レールの凹凸の影響を受ける車軸から台車に加わる力が存在する。例示としての測定パッド16には温度センサも搭載され、これらの温度センサは連結軸受けの温度を示すが、これは、軸受けが過熱することがないようにすることが安全面で重要となるからである。
【0030】
図1〜3を再度参照すると、車両走行状態では、測定パッド16のマイクロプロセッサは通常は、受動的な低消費電力状態であるが、マイクロプロセッサをプログラムすることにより、一時的かつ周期的に切り替えてオン状態にする。マイクロプロセッサは、上記各センサの測定値を収集し、測定値を予め分析する。サンプリング周波数の選択、及び読み出し対象のセンサの選択の合理的判断は、監視対象の挙動の種類、及び特定のアプリケーションに基づいて行なわれる。サンプリングは、データから検出される最大周波数の数倍の周波数で行なう必要がある。更に頻度の高いサンプリングからは更に有用な情報は得られず、消費電力が増大するだけである。
【0031】
サンプリングの周期性及び通知の定期性はデータ制御ユニット23によって制御される。このような構成にも拘らず、仮にパッドで故障または走行障害の兆候が検出される場合には、パッドのマイクロプロセッサをプログラムすることにより、マイクロプロセッサが制御する無線機をオン状態に切り替え、適切なメッセージを無線機を経由してデータ制御ユニット23に送信する。この場合の例として、温度の急激な上昇を挙げることができる。電力回収装置によって生成される大電圧スパイクを使用することにより、パッドのマイクロプロセッサを、該マイクロプロセッサがその時点で低消費電力状態になっているとすると起動することもできる。このような問題が無い場合には、パッドのマイクロプロセッサを該マイクロプロセッサの所定のスケジュールに従って動作させ、これにより通常は、マイクロプロセッサはほとんどの期間に渡って低消費電力状態となる。
【0032】
データ制御ユニット23は、幾つかの目的を達成するように設計される。データ制御ユニットは測定パッドのマイクロプロセッサが実行する周期的検査のタイミング、及び当該マイクロプロセッサから送出されるメッセージのタイミングを調整する。情報収集装置として、データ制御ユニットをプログラムすることにより、鉄道車両の全ての台車からの情報を比較し、車両の状態に関する推定を情報に基づいて行なう、例えばデータ制御ユニットは推論エンジン技術を使用して、横揺れ、跳ね返りのような不正な挙動を特定したり、または部分的に脱線している状態でさえも特定する。データ制御ユニットは、情報を通信装置24から順次送信する。例えば、通信装置24は全地球測位システムのような測定手段を組み込むことにより、乱調のような台車挙動をチェックするために有用な車両速度についての情報を提供することができる。この情報を使用することにより、当該情報によって目的を達成することができそうにもない場合にはセンサチェックを阻止してエネルギー利用効率を維持することもできる。
【0033】
同様にして、必要に応じて、周囲温度及び湿度のような要素(雨、雪、及び凍結)の検出器を通信装置24またはデータ制御ユニット23に内蔵することにより、分散推論エンジン機能を実現することができ、この機能は以下に説明するように使用される。更に、データ制御ユニット23または通信装置24は、所定の分析モードを起動するまたはパッドで読み取られる測定値を検証して、種々の車両本体運動に関する情報を供給するために、3軸加速度計またはレートジャイロを収容することができる。
【0034】
コンジット(conduit )として、データ制御ユニット23は、メッセージを機関車または他のリモート受信機に前方転送するためにそれを通信装置24に順次送信し、次いで、当該ユニット自体で分析してパッドに配信するために、必要に応じて、例えば機関車または他のリモートソースから情報または命令を受信する。
【0035】
図1〜3において説明した監視システムの別の構成を図5〜7に示す。図5に示す実施形態では、各測定パッド16は、パッド固有のマイクロプロセッサ及び無線機を有する。この構造は、ネットワーキングプロトコルを使用するように設計され、ネットワーキングプロトコルによって、メッセージをデジタル通信ユニット23に送信する途中で、またはメッセージがデジタル通信ユニット23から送信される途中で、メッセージがパッド間に渡される。
【0036】
図6の実施形態では、一つの台車のパッド群16の全てが、単一のマイクロプロセッサ/無線ユニット24と通信し、当該通信はマルチコアケーブル27に沿って行なわれる。この構成により、非常に多くの配線接続を台車上で行なうという不利を伴うものの電子部品の個数を最小にすることができる。台車上のマイクロプロセッサユニットにおいて行なわれる計算サービスは、図5のマイクロプロセッサユニットにおいて行なわれる計算サービスとは大幅に異なる。この実施形態では、アナログデジタル変換機能の全てが1つのマイクロプロセッサにおいて行なわれ、マイクロプロセッサで行なわれる全ての推論機能によって、台車上の全てのパッドに対応する全てのセンサの分析を行なう。
【0037】
更に別の実施形態を図7に示す。図7では、各測定パッド16は、当該パッド固有のアナログデジタル変換ユニットを有し、当該アナログデジタル変換ユニットは特定パッド上のマイクロプロセッサ28に組み込むことができる。これらのマイクロプロセッサは台車上の単一のデータ処理ユニット25と通信して、データ制御ユニット23と通信することができる。図6の構成のように、ユニット25で行なわれる全ての推論またはデータ分析では、台車上のパッドの全てに配設されるセンサの全てからの情報を考慮に入れる。
【0038】
他の選択肢として、有線リンクを使用する標準のCANBus通信システムを挙げることができる。更に、CANBusまたは他の標準規格は、広範囲の形態の電子制御エアブレーキが通信方式に関する他の選択肢となることができる場合に使用することができる。
【0039】
列車に沿った通信は、種々の方法により実現する。WiFi(IEEE802.15.11標準規格)は非常に長い貨物列車に適する。通信が旅客列車に沿って行なわれる場合、軌道交通車両インターフェース標準規格IEEE1473−199を適用することができる。
【0040】
更に、原理的には、測定パッドを列車を通じて通信させ、メッセージを一つの貨車から隣の貨車に渡すことが可能である。しかしながら、列車が長い場合、この方法ではメッセージが多数のホップを経由して送信されることになり、この動作の信頼性は、各車両から機関車または他の離れた場所まで単一の高容量リンクを通して行なわれる場合よりも非常に低くなる。他の問題として、列車を連結し直し、貨車を外し、または入れ替える可能性がある、或いは列車を、その列車に対してこれまでの反対側に連結した機関車で牽引する可能性があるということが挙げられる。車両間リンクだけでなくパッド間リンクに依存するこのようなネットワークには必ず、鉄道の操車場で列車の再構成を行なう必要がある。
【0041】
上記したように、本発明の一つの特徴は、システムにおいて使用される鉄道車両の各測定パッド及び全ての測定パッドをアドレス指定ならびに特定する適切な手段を持つことができることである。更に、隣接する貨車の台車上の測定パッドは、これらのパッドが同じ列車に配設されるかどうかに関係なく、互いの無線通信範囲内で相互干渉を起こすことなく動作し続けることが必要である。列車をどのような貨車でも構成することができ、かつ台車上の単一パッドを、台車上または貨車上の他のパッドの全てを取り替える必要を生じることなく取り替えることができる必要がある。通知すべき問題が発生しない場合でも、パッドが継続的に正しく動作していることをシステムが保証することが重要である。ここに説明する好適なシステムでは、測定パッドによって開始されるメッセージをこの目的のために使用する。データ制御ユニットによるポーリングを使用して測定パッドの状態をチェックする別の手段では、パッドをオン状態にし、正確に制御された時刻かつ所定期間に渡ってパッドを受信機として動作させる必要があり、この所定期間ではパッドは、データ制御ユニットが常に受信モードになっている状態でパッド固有のタイミングに従ってメッセージを送信する場合よりも長い期間に渡ってフルパワーで動作する必要がある。
【0042】
対応するデータ制御ユニットを相互に共同で利用することができる測定パッド群は全てが整合周波数を使用する必要がある。前述のIEEE802.15.4標準規格は各周波数帯の周波数またはチャネルを指定する。例えばISMバンドでは、2.4GHz帯において26チャネルが使用される。メッセージ群のパターンに関する標準規格も規定され、各メッセージは非常に多くの8ビットのバイトデータから成るパケットを構成し、各バイトは前もって割り当てられた意味を持つ。このパターン内では、1バイトをグループ番号に割り当て、2バイトをグループ内のアドレスに割り当てる。別のバイトをメッセージのタイプに割り当て、このタイプはコマンドとして解釈することができる。接続無線受信機及びこれらの受信機を制御するマイクロプロセッサは、異なるグループの送信元から受信するメッセージを無視するように構成される。無線受信機及びマイクロプロセッサは、これらの機器に関して選択される動作周波数とは異なる他の周波数で送信されるメッセージを検出しない。しかしながら、無線受信機及びマイクロプロセッサは、動作チャネル(周波数)をプログラム制御により変更することができる。無線受信機及びマイクロプロセッサは、これらの機器固有のグループに属するメッセージに従って適切に動作する。鉄道に使用される場合、2バイトアドレスによってカバーすることができる機器よりも非常に多くの機器が必要となり、更にデータ制御ユニットには、ユニット固有の貨車の測定パッドからのメッセージを認識することができるような手段を設ける必要がある。測定パッド群は、測定パッド固有のデータ制御ユニットからのメッセージを認識する機能を備える必要があり、測定パッド及びデータ制御ユニットは共に、同じ列車、またはすれ違う列車のいずれかの他の近傍の貨車の測定パッド及びデータ制御ユニットによる潜在的干渉を許容する機能を備える必要がある。測定パッド及びデータ制御ユニットは更に、同じ認可周波数帯で動作する他の機器による潜在的干渉を許容する機能を備える必要がある。
【0043】
識別番号またはアドレスを電子機器モジュールに製造時に書き込むようにしてもよい。
測定パッドの所定アドレスを更に、または別の構成として、各パッド4に取り付けられる、または埋め込まれるRFID(無線周波数識別)タグに格納することができる。パッドを台車に物理的に配置することにより、パッドが沿線の近くに位置することになる。詳細には、パッドは台車の側部フレームの外側に、従って沿線監視機器の近くに配置される。この構成により、通り過ぎる機器を固定機器によって少なくとも認識する機会を得ることができ、能動RFIDタグ技術を使用することにより、車両から中央データ格納装置または所有者に達する別の通信ルートが実現する。
【0044】
所定アドレスは、ユーザの利便性を高めるためにバーコードを任意に貼り付けた読み取り可能な番号として目視することができると便利であるが、運転環境に関する要求が厳しくなることにより、この方法の使用は非常に限定されている。
【0045】
十分な個数の個々のアドレスまたは識別情報を供給するいずれかのアドレス決定方式を使用することができることが理解し得る。パッドのアドレスは、拡張インターネットプロトコル(IPv6)アドレス決定方式に従って作成することができ、この方式では、6バイトを使用することによりこれらの機器は機器固有のIPアドレスを持つことができる。
【0046】
以下に説明する好適な実施形態の機能を増強して複数のチャネル(無線周波数)を使用することにより、列車において隣接する車両間の干渉をほぼ無くす手段を提供することができる。
【0047】
本発明の主目的は、列車の台車及び軸受け、更には車輪の全ての挙動を監視する機能を備えることにある。アラームメッセージは、いずれかの鉄道車両から機関車に、またはリモートデータ処理サービスに出来る限り迅速に、好ましくは数秒内に伝達される必要がある。
【0048】
しかしながら、このような監視を行なうためにサンプリングすることができるデータの全てを送信するための負荷が極めて大きく、普通、詳細なデータは重要ではない。好適には、或る故障または不正な挙動を示唆する観測値のみを確認する。無線トラフィックを管理可能な割合に減らすために、システムは、生のセンサデータを処理して障害の兆候を発見し、次に重要な示唆情報のみを送信する。この動作を行なうために、分散して搭載される推論エンジンを使用して重要な機能を測定パッドのマイクロプロセッサとデータ制御ユニット23のマイクロプロセッサとで共有する。パッドとデータ制御ユニットとの間の無線トラフィックを減らすことにより、データ分析の一部分をパッドで行ない、関連情報のみをデータ制御ユニットにパッドから送信して、故障を更に分析し、確認することが本発明の目的である。
【0049】
上に説明した例示としてのシステムでは、測定パッド16のマイクロプロセッサ19は一連の測定値を採取し、これらの測定値を時系列で処理する。推論エンジンを構成するサーチアルゴリズムは、例えば時系列における、かつ時系列の間の周期性及び相互相関を検出することにより、パッドの役割として検出することができる全ての挙動を観測する。例えば、直線状のレールを左右に揺れる台車の蛇行動は、台車構造及び車輪回転速度によって決まる周波数の振動である。車両の横揺れ、及びロッキングは、懸架部のバネ質量系、及び荷重でほぼ決まる周波数の振動である。車両構造によって変わる種々の度合いで、挙動のこれらの不規則性は測定パッドにおける変動荷重及び荷重分布に現われ、測定パッドは、例えば垂直力、せん断力、及び制動力を検出することができる。車輪の不規則性によって、力の繰り返しパターンが、車両速度から計算することができる回転周波数で発生する。レールの欠陥によって、大きい急激な力が車輪、軸受け、及び台車に発生し、車両及び車両の積載物に加わる。
【0050】
このような挙動が測定パッドで推測され、挙動の大きさがアラームを鳴動させるのに十分大きい場合、関連属性及びタイミング(通知の送信時刻に対する)を車両のデータ制御ユニットに伝えることができる。
【0051】
二以上の測定パッドが不正な挙動を通知する場合、データ制御ユニットの推論エンジンのコンポーネントが台車全体の分析を、最終的には貨車の分析を行なう役割を果たす。深刻な障害が推測される場合、メッセージが通信リンク23a,24を経由して機関車などに送信される。
【0052】
システムがモニタリング可能な性能指標の例としては以下を含む。
[軸受け温度]測定パッド16の温度センサが、他の軸受けに対する相対温度変化をモニタリングし、アラーム閾値または長期トレンド情報を提供して軸受け状態に関連付ける。ローラ軸受けが良好な状態であることをトレンド情報またはアラームレベルを使用して推定することができるので軸受けの焼き付きの危険ならびに脱線の危険を回避し、直接的な測定値を供給してこの測定値を使用することにより鉄道線路のホットボックス・ディテクタ(hotbox detector )からの誤アラームを回避することができる。本発明の別の目的として、鉄道線路検出器からの温度及び他の現象に関する観測値を、オンボードシステムからの観測値と比較して、相互校正及び相互検証を行なうことができる。
【0053】
[軸受け状態]荷重センサを測定パッド16の上部に使用して軸受けからの振動(ローラ軸受けアダプターを通って伝達される)をモニタリングする。特定の軸受け欠陥は、周波数スペクトル分析により推定することができる。欠陥軸受けを欠陥の初期段階で特定することは、予防メンテナンスプログラムにおいて重要である。
【0054】
[車輪状態]周期的に繰り返される(車輪の直径及び速度によって変わる)非常に大きな荷重(基礎荷重に比べて)を検出して、フラットスポットまたは凹凸状の車輪踏面を特定する測定パッドの荷重センサ。磨耗して窪んだ車輪を測定パッドの他のセンサのうちの幾つかのセンサを使用して特定することもできる。車輪による衝撃をモニタリングすることにより、所有者は、衝撃が沿線の車輪衝撃荷重検出器によって確認されて計画外のメンテナンスを余儀なくされる前に、車輪の取り替えをスケジューリングすることができる。衝撃をモニタリングすることによって更に、故障の原因を考察することもできる。
【0055】
[車輪脱線]同じ計測手段を車輪状態と同様に使用するが、車輪セットの両方の車輪からの高い振動周波数、及び類似の信号を検出する。車輪セットが脱線した時点を特定することにより、完全に脱線してしまう危険、及び大惨事を招く危険を防止する。
【0056】
[台車蛇行動]測定パッド16に装着される荷重センサを使用して長さ方向の力、横力、及びヨー力を検出し、車軸または台車の蛇行動を示唆する高速に変化する荷重(すなわち、車輪セットのアタック角)をモニタリングする。台車の両方の車輪セット、及び車両の両方の台車でモニタリングされるこのような荷重を分析することにより、台車及び車軸の蛇行動だけでなく、台車のゆがみも特定することができる。更に、各台車の車輪セットのアタック角を見積もることにより、側部の軸受けを拘束することにより生じる、または中心の細い円筒型ボウル(center bowls)が乾燥することにより生じる大きな回転摩擦を特定することができる。これらの状態を特定することにより、貨車台車及び貨物だけでなく、軌道インフラストラクチャへのダメージを防止し易くなる。
【0057】
[車両重量]貨車に配設される全ての8個の測定パッドにおいて測定される荷重を合計して、貨車の重量を求める。粗い測定でも(すなわち、全荷重のプラスマイナス10%)、貨車及び貨車の部品の性能を分析する役割を担うこれらのパッドに関する有用な情報が得られる。間違った荷積み、または輸送中の積み荷の移動に起因する荷重の不平衡を検出することができるという更に別の利点が得られる。
【0058】
[ローラ軸受けアダプター変位]測定パッド脚における荷重をモニタリングすることにより、ローラ軸受けアダプターが変位した時点を特定することができる。これにより、変位を生じさせた原因に関する情報が得られるだけでなく、ローラ軸受けへのダメージを回避するための緊急メンテナンスが必要であることに気付かせることができる。
【0059】
[ブレーキ性能及び状態]長さ方向の力を測定パッドでモニタリングすることにより、ブレーキパッドから車輪に加わる力に関する情報が得られる。これにより、ブレーキ効率についての知見が得られる(制動力を示すブレーキ荷重が過度に大きくなると車輪を拘束してしまう恐れがあり、制動力を示すブレーキ荷重が過度に小さくなると、ブレーキが正しく効かない)。更に、ブレーキ状態をチェックすることにより、列車が手動ブレーキのうちの幾つかのブレーキを作動させて動く場合にアラームを送信することができる。
【0060】
[レール欠陥]測定パッドにおける垂直荷重をモニタリングし、垂直荷重を車輪セットの間で比較することにより、車両所有者に、貨車または貨車の積み荷にダメージを与える恐れのあるレール欠陥についての知見を与えることができる。
【0061】
装置の構成及び装置間の通信に関する幾つかの選択肢について上述してきたが、好適な実施形態について以下に説明する。
マイクロコントローラのプログラミング、及び低消費電力通信及び衛星通信または携帯電話通信の両方のプロトコル及び機能に精通する当業者ならば、本明細書に記載する機能は既存の技術及びコンポーネントで実現することを理解し得る。例えば、カリフォルニア州のパロ・アルト(Palo Alto )市に本拠を置くクロスボウ社(Crossbow Corp.)によって製造され、かつチップコン社(ChipCon )製無線機を内蔵するMicaz低消費電力モーツは、パッドの機能及びデータ制御ユニットの機能を遂行する。通信装置24はステラー(Stellar-Sat, Inc. )社が製造するモデルDS300−RDTである。同装置は計算能力が非常に大きいので、データ制御ユニット23に関してここに説明する複数の機能のうちの幾つかの機能をDS300−RDTにおいて実行するのがよい。実際、これらの2つの装置を良好に組み合わせることにより、またはこれらの装置の機能を共有することにより、これらの2つの装置を区別する必要を無くすことができる。
【0062】
電源は、バージニア州ハンプトン市に本拠を置くメジャメント(Measurement Specialities, Inc.)社が提供する圧電膜のようなエネルギー回収デバイスを、電荷蓄積キャパシタまたは充電式バッテリとともに組み込むことにより構成される。
【0063】
測定パッドには製造段階で、グループ番号、チャネル番号、及び固有の拡張アドレスが書き込まれ、拡張アドレスは不揮発性メモリに保存され、使用される場合のRFIDタグ及びバーコードのデータに一致する。プログラムが適切に行なわれる場合、異なる測定パッドに利用することができるアドレスの数は必要なだけ増やすことができる。
【0064】
グループ番号は、このようなIEEE802.15.4システムでは標準であるように、このアプリケーションを、同じ無線周波数(チャネル)を使用する可能性がある他の全てのアプリケーションから区別するように機能する。
【0065】
パッドが配設されると、これらのパッドの拡張アドレスを、RFIDまたはバーコードデータを収集するために装備されるレジストラ23bが読み出す。ユーザはレジストラに、レジストラのキーパッド及びスクリーンを使用して、台車のどの場所、従って貨車のどの場所に各パッドが設置されているかについて知らせる。従って、レジストラはデータ制御ユニット23の近傍に配置され、無線チャネルを使用して、そのデータ制御ユニット自体の貨車のパッドに関するアドレス及び場所データをデータ制御ユニットに渡す。
【0066】
RFID手段またはバーコード手段の使用を回避するために、レジストラは別の方法として、パッド及び電子機器の機能を利用することができ、この機能をプログラムして、レジストラの電源がオンになっているときには必ずメッセージを送出するようにする。これらのメッセージは、以下に説明するように、パッドの拡張アドレスを必ず含むので、レジストラは、レジストラがパッドに近接する場合には当該アドレスを収集することができる。この動作モードでは、パッドの電源をオンにしてデータの授受を行なわせる必要があり、この動作は、パッドをエネルギー回収手段によって正常動作で作動させることになる場合には都合が悪く不利である。手段を余分に設けて電気エネルギーを、例えば電磁誘導によって供給する場合には、無線通信を使用することが好ましい。
【0067】
パッドデータの登録内容は別の構成として、データ制御ユニット23に、データリンク24を使用するように、他の手段を使用して伝送することができる。いずれにしても、データはデータ制御ユニットの不揮発性メモリに記録されるので、電力の一時的な損失によって登録を繰り返す必要が生じることはない。登録プロセスによって、鉄道システム全体の機器をトラッキングすることができる。
【0068】
一旦、パッド識別情報がデータ制御ユニットに書き込まれると、測定パッドからの次の送信をデータ制御ユニットが、これらの送信が登録済み測定パッドから発信される場合に認識することになる。同様に、データ制御ユニットからの次の送信は、正しい測定パッドに送ることができる。
【0069】
傍の測定パッド及びデータ制御ユニットから受け取る重要ではないメッセージは、これらのメッセージが所望のメッセージと時間軸上で衝突することがない場合には問題となることがない。重要ではないメッセージは簡単に無視することができる。これらのメッセージが衝突する場合、メッセージが壊れることになる。しかしながら、メッセージの有効性の巡回冗長チェックを指定する通常のIEEE802.15.4規格を使用することにより、重要ではないメッセージが認識されないことになるので、紛失することになる。この問題を最小限に抑えるために、データ制御ユニットが当該ユニット固有の測定パッドへの、測定パッドからのメッセージのタイミングを管理する。
【0070】
最初、測定パッドはメッセージの送信を1分に1回の速度で、または同様の速度でこれらのパッドの電源がオンになった直後に開始する。あたかも全ての受信側にブロードキャストされるかのようであるが、正しいグループ番号付きで、かつ適切なチャネルで送信されるこのメッセージは、パッドのアドレスを送信側アドレスとして伝送する。ブロードキャストとしてこの方式において送信されるのはこのタイプのメッセージだけである。次に、パッドは少しの間だけ応答を待つ。データ制御ユニットは、当該ユニットの電源がオンになると、受信機として機能するので、当該ユニットはメッセージを受け取る。データ制御ユニットは、当該ユニットが受け持つパッド群のうちの一つのパッドに属するものとして送信側アドレスを認識することができるので、当該ユニットは直ちにメッセージで応答してパッドに、どのデータ収集タスクを実行すべきか、いつ(どのくらい時間が経過した時点で)通知を返送すべきかについて指示する。パッドをプログラムして、当該パッドが受け取り、かつ当該パッド固有のフルアドレスを使用する全てのメッセージを、当該パッドを制御するデータ制御ユニットから直接到着した、または間接的に到着したものであるとして受け入れるようにし、パッドが自動的に応答を該当する送信側に返送するようにする。その結果、これらのパッドはこの時点以降、アドレスを指定する命令をパッドの有効寿命の残りの期間の間は必要としない。この理由は、これらのパッドは、これらのパッドを直接アドレス指定し、かつこれらのパッドに十分近接するどの機器からでも自動的に命令を取り出し、どの機器にも通知を返信するからである。メッセージをデータ制御ユニットから受信すると、パッドは、当該パッドが次のタスクを実行することが必要になるまで、低消費電力状態に復帰する(スリープモード)。
【0071】
この方式によって、パッドは回収電力が失われるので動作を停止し、電力が回復したときに、更に動作状態に戻り、これらのパッドの適切なデータ制御ユニットとの接続を行なうことができる。
【0072】
この方式によって、ネットワークにおいてデータ制御ユニットを、パッドのアドレスを受け持つことになるデータ制御ユニットに渡すことにより取り替えることができる。単一のパッドはネットワークにおいて、当該パッドのIDを適切なデータ制御ユニットに渡すことにより取り替えることができる。
【0073】
この方式によって更に、他の機器をネットワークにおいて、これらの機器が近傍に接続先のデータ制御ユニットを有する限り動作させることができる。
一つのデータ制御ユニットに属する測定パッドの全てが通信を一通り終えるまでに、これらのパッドは或るスケジュールに従って動作することになり、このスケジュールによって、データ制御ユニットが予測することができる時刻に順番にこれらのパッドの電源がオンになる。測定パッドは、電源がオンにならない中間期間においてほぼ通信不通の状態となって電力を節約する。
【0074】
メッセージをシステムにおいてスケジューリングする方式では、単一の貨車に設置される測定パッド群からのメッセージを意図的に時間軸上で分離することにより、無線信号衝突を回避する。これらの測定パッド自体が受信機としてほんの短い期間だけ動作するだけであるので、これらのパッドが偽のメッセージを受信する危険も小さい。測定パッドからの無線送信がスケジュール通りに行なわれる期間が中間休眠期間よりも非常に短い、例えば数ミリ秒であるので、隣接する貨車または完全に独立した他の機器からの無線信号の衝突の危険も低い。しかしながら、これらの危険は最終的に発生する。IEEE方式の標準的なアプローチでは、信号を送出しようとしている無線機がまず、受信機モードになって、他のいずれかの無線機がチャネルで送信を行なっているかどうかを調査する。他の無線機が送信を行なっている場合、信号を送出しようとしている無線機はその送信を、メッセージ長に対してランダムな時間量だけ遅延させる。この手順によってほとんどの衝突を無くすことができる。
【0075】
測定パッドからの予測されるスケジュール通りのメッセージが合理的な時間フレーム内に到着することがない場合、データ制御ユニットは多数の異なる処置を行なうことができる。データ制御ユニットは或る場合には、メッセージを受信したが壊れていたことを検出することができる。送信側の測定パッドが暫くの間は応答を待っているであろうと認識して、データ制御ユニットは、タイミングのランダム且つわずかなシフトを指示して、問題が隣接する貨車が原因で発生する場合には、次のメッセージが非常に高い確率で到着するであろうというメッセージを送信することができる。
【0076】
従って、測定パッドは、当該パッドが応答を得ることができない場合に、当該パッドからのメッセージをスケジュール外で繰り返して、常にオンになっていて、かつ通常、受信機として機能しているデータ制御ユニットが直ぐに接続を行ない、初期始動プロセスにおけるように、送信用の新規のスケジュール時刻を割り当てることができるようにする。データ制御ユニットは別のサイクルを待って、応答を得ることができないのが偶発イベントであったかどうかを調査することができ、当該ユニットは、当該ユニットが受け持つ他の測定パッド群を、これらのパッドが呼び出しを行なっているときに暫く休止状態にして、これらのパッドが通信不通の機器からの送信に干渉することがないようにすることができる。これらの他の同様の方式によって、測定パッド及びデータ制御ユニットは、通信を復旧する処置を採ることができる。最終的には、これらの処置が全て失敗すると、データ制御ユニットは通信障害をメッセージリンク23aを通して通知することになる。
【0077】
次の通知の前には、長い明確な遅れを必然的に認めることになるが、パッド群がデータ制御ユニットとの通信を行なおうとする試みを、これらのパッドが十分大きい電力を持ち、かつパッドへの外部からのメッセージによって該当するプロセスを停止することができない限り決して止めることがないというのが、本発明の特徴である。
【0078】
通信が構築されると、データ制御ユニットはパッドに、どのデータ獲得タスクを実行すべきか、いつ通知を返信して情報を提供することにより、上記した推定の実行を可能にするようにすべきかについて指示する。このようなタスクとして、これらには制限されないが、温度測定、力の平均を求める処理、横方向の力、垂直方向の力、または長さ方向の力についてのスペクトルデータを配信する処理、垂直方向の力を数サイクルに渡って車輪回転周波数で測定する処理を挙げることができる。これらの測定シーケンスの各シーケンスは特定の推定に対応し、この推定は、データによって当該推定が正しいことを証明することができる場合に結論付けることができる。
【0079】
各タスクでは、通知を返信する前に待機する時間が割り当てられる。各タスクでは、測定に掛ける必要がある時間または周期が割り当てられる。
タスクでは、パッド群が中間測定を行ない、これらの測定の値を一時的に無線通信区間の間で保存する必要がある。これらの時刻が指定された中間の処置は、データ制御ユニットによる介入なしで行なうことができる。このような処置の間に、パッド群は、再始動するために十分に長い時間があるとすると、低消費電力スリープモードに復帰し、プロセスのエネルギー効率を高めることになる。
【0080】
パッドから返送される全ての通知によって、リクエストされたタスク、及び通知セットに含まれるデータを収集した時点以降の経過時間を確認することができる。
全ての通知が、パッド構成部品、特にセンサの機能に関するステータス情報(ステータスバイト)を含む。
【0081】
一連のリクエストは、受信信号強度を通信に関するチェック項目として通知するように要求するリクエストのオプションを含む。
データ制御ユニットは、通知時刻をスケジューリングすることにより、無線送信が互いに衝突することがないようにする。
【0082】
データ制御ユニットは、データリクエストを、周囲温度または車両速度のような関連情報でパラメータ化することができる。測定タスクを選択するコマンドは、GPS情報を使用することにより、場所によって変わるコマンドとすることができる。コマンドは、データ制御ユニットで測定される加速度によって、このような設備が配設される場合には、影響を受ける可能性がある。
【0083】
データ制御ユニットは、一通り実施する測定のデフォルトプログラムを有し、このプログラムを実行する際には、当該ユニットが受け持つパッド群をデータ収集装置として使用することにより、貨車の挙動に対する通常の分析がタイムリーに行なわれるようにする。しかしながら、この通常のパターンは、中央データ格納装置からデータ制御ユニットに送信されるコマンドに、または所有者またはオペレータのコマンドに入れ替えることができる。
【0084】
データ制御ユニットは情報収集装置としての当該役割において、パッド群からのデータを融合し、必要に応じて、データが通知され、収集されたわずかに異なる時刻に関して調整を行なう。次に、データ制御ユニットは、推論エンジンに関して上に説明した分析を行なって、貨車、当該貨車の台車、または車輪、或いは車軸の挙動が極めて悪く、中央データ処理位置または所有者またはオペレータ、或いは機関車に対する通知が必要であるかどうかについてチェックする。通知が必要である場合、通知を送信することができる。データ送信は量によって課金され、かつデータを送信する鉄道車両の数が多くなり得るので、送信されているデータを最小にすることが重要である。そのような場合、データ制御ユニットは、不具合が発生しない限り、「全てが良好である」メッセージの送信を適切な間隔でスケジューリングすることになる。
【0085】
貨車の性能を分析するルールは、データの紛失を許容するように規定される。この理由は、システムに関する上の記述から、通信が困難であることに起因して、または環境が過酷であることに起因して、構成部品がリクエストされたデータの全てを供給することに失敗する恐れがあることが明らかであるからである。
【0086】
この好適な実施形態では、データ授受の開始をパッド群に委任するので、更に別の利点は、或る極端な状態が発生したときに、パッドが通知を一方的に、スケジューリングされた複数の通知区間の間のいずれの時刻でも送信することができることである。データトラフィックを最小にするために、同じアプローチが、データ制御ユニットから中央データベースへのデータの送信において行なわれる。
【0087】
幾つか(例えば、2.4GHz帯で26個)の利用可能な動作周波数を選択する利点を生かすことができる本発明の或る形態では、以下の更に別の機能が付加される。中央データ制御手段は車両が送信するGPSデータから、どの一対の車両が実際に隣接しているかについての情報を抽出することができる。車両が通信障害を通知している場合、このような一対の車両のうちの一方に、センターから車両への通信によって指示することにより、別のチャネルに切り替えさせることができる。IEEE802.15.4対応機器から成るネットワークをプログラムすることにより周波数ホップを相互の合意により行なって干渉を回避することができる。通信が不通になると、このような機器は、応答によって、通信を再構築するための基礎環境が実現するまで、メッセージを一連の異なる周波数でブロードキャストする。選択を限定し、試行する一連の周波数を事前に定義することにより、復旧プロセスを促進する。システムを更にプログラムして、意図的な周波数変更を、変更命令を、パッドとデータ制御ユニットとの間の通常の通信の一部として送信することにより実行することができる。以上記述した手段によって、本発明の目的が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の目的を達成するために使用されるように適合させた部品群の構成を示す模式図である。
【図2】本発明の目的を達成するために使用されるように適合させた部品群の構成を示す模式図である。
【図3】本発明の目的を達成するために使用されるように適合させた部品群の構成を示す模式図である。
【図4】鉄道車両台車の位置の分解透視図であり、鉄道車両台車に対する本発明の測定パッドの位置を示している。
【図5】本発明の構成要素群の別の構成を示す模式図である。
【図6】本発明の構成要素群の別の構成を示す模式図である。
【図7】本発明の構成要素群の別の構成を示す模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両の性能基準を列車走行中にモニタリングする監視システムであって、前記車両が、車両本体と、前記鉄道車両の支持フレームに相対する車輪軸受けを各々備えた複数の車輪セットとを含み、当該監視システムが、
前記鉄道車両とレールとの間で荷重を伝達する、各前記車輪軸受けと前記支持フレームとの間の荷重支持用弾性パッドであって、該複数の車輪軸受けと前記支持フレームとの間の荷重を減衰可能なパッドと、各前記パッドに搭載され、前記鉄道車両の運転性能に関する少なくとも一つのパラメータを測定するための少なくとも一つの検出素子と、前記運転性能を分析して、該分析結果を示す信号を送信する前記鉄道車両上のデータ収集・分析・通信手段と、前記鉄道車両から離れた位置に配置され、前記信号を受信するための受信機とを備える、監視システム。
【請求項2】
前記列車は機関車を含み、前記受信機は前記機関車内に配置される、請求項1記載の監視システム。
【請求項3】
前記データ収集・分析・通信手段は前記受信機への信号を生成し、同信号は前記所定のずれの存在を示す前記信号を送信する前記鉄道車両を特定する、請求項2記載の監視システム。
【請求項4】
前記データ収集・分析・通信手段は前記離れた位置に配置された前記受信機に前記信号を送信するための無線送信機を含む、請求項3記載の監視システム。
【請求項5】
前記データ収集・分析・通信手段は、前記鉄道車両の各パッド上の第1送受信機と、前記第1送受信機と通信するための前記車両本体上の第2送受信機とを含む、請求項1記載の監視システム。
【請求項6】
前記パッド上に複数のセンサを備え、前記複数のセンサの各々は複数の変数のうちの一つに応答するものであり、前記複数の変数は、前記パッド内における圧縮応力の変化、せん断応力の変化、及び温度を含む、請求項4記載の監視システム。
【請求項7】
前記温度に応答するセンサは前記パッド上に配置されて軸受け温度に応答する、請求項6記載の監視システム。
【請求項8】
前記温度に応答するセンサは前記車輪軸受けに隣接して配置されている、請求項7記載の監視システム。
【請求項9】
各前記センサは固有のアドレスによって前記通信回路に対して特定され、前記通信回路は、各前記アドレスを定期的にアドレス指定するための手段と、特定の鉄道車両の特定のセンサの性能基準の臨界ずれを示す値を、前記離れた位置における前記受信機にのみ送信するための手段とを含む、請求項7記載の監視システム。
【請求項10】
前記第1及び第2送受信機はそれらの間で無線通信可能な無線ユニットである、請求項5記載の監視システム。
【請求項11】
前記信号は、前記ずれの存在を示す信号を送信するパッドを特定するものである、請求項3記載の監視システム。
【請求項12】
鉄道車両の性能をモニタリングするシステムであって、前記車両は複数の台車を有し、各台車は、車軸上で離間する複数の車輪セットと、前記車軸に接続された各車輪であって、前記車軸に相対回転可能に設けられた車輪セットの各車輪に個別の複数の軸受けアセンブリとを有し、前記台車は、離間した台座ポケットを含む側部フレームを有し、前記台座ポケット内には前記軸受けアセンブリが収容されており、前記側部フレームと前記軸受けアセンブリとの組み合わせが、前記台座ポケットと前記軸受けアセンブリとの間に配設された荷重支持用弾性パッドを備え、前記パッドは前記台座ポケットと前記軸受けアセンブリとの間の相対移動を制限し、かつ衝撃及び磨耗を低減し、前記パッドは更に、前記台座ポケット内での前記車軸のヨー運動を制御し、前記パッドは、前記パッド上に支持された少なくとも一つの検出素子を有し、前記少なくとも一つの検出素子は、軸受けに隣接する前記パッド上に配置されて軸受け温度を検出する温度センサであり、前記車両は更に制御回路を有し、前記制御回路は、各パッド上に設けられて当該パッドに固有の軸受け温度を示す信号を受信する第1通信回路と、鉄道車両本体に設けられた第2通信回路とを含み、前記第2通信回路は、鉄道車両上の各検出素子を定期的にアドレス指定し、前記センサによって生成された値を離れた場所に送信するための論理回路を含み、前記値は、前記論理回路によって前記値が運転障害の可能性を示すと判断された場合にのみ送信される、システム。
【請求項13】
各前記パッドに接続された電源を更に備える、請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記電源はバッテリである、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記電源はエネルギー回収装置である、請求項13記載のシステム。
【請求項16】
前記電源は前記鉄道車両の車輪の回転によってエネルギーを蓄える、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
前記エネルギー回収装置は、前記鉄道車両の振動エネルギーを電力に変換する振動エネルギー取り出し装置である、請求項12記載のシステム。
【請求項18】
前記エネルギー回収装置は前記パッドに一体的に取り付けられている、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記第1及び第2通信回路は、IEEE802.15.4の低消費電力無線規格に準拠する低消費電力無線送受信機を含む、請求項12記載のシステム。
【請求項20】
前記第2通信回路に電源を供給する太陽エネルギー電源を更に含む、請求項12記載のシステム。
【請求項21】
前記パッドは前記パッド上に支持された第2検出素子を有し、前記第2検出素子は振動検出素子であり、前記パッド上に配置されて軸受けの振動を検出し、前記第1通信回路は、振動を表しかつ故障の可能性を示す振動レベルを特定する前記第2検出素子からの信号を受信し、前記故障の可能性を示す振動レベルを表す前記信号を、前記離れた位置に送信する、請求項12記載のシステム。
【請求項22】
運転中の機関車を含む列車の複数の鉄道車両の性能をモニタリングする監視システムであって、各鉄道車両は、車両本体と、台座開口部を有する側部フレームを備えた支持台車と、車輪セットとを備え、前記車輪セットは、車軸と、前記台座開口部によって離間して保持された車輪とを含み、前記車軸は、前記台座開口部に保持された車輪軸受けと、台座開口部内の弾性パッドであって、前記車輪軸受けと台座あご部との間で伝達される荷重を減衰させる弾性パッドとを支持し、前記パッドは、振動、動的な垂直方向の荷重、静的な垂直方向の荷重、せん断力、及び温度から成る群から選択された運転パラメータを検出するための検出素子を備え、各パッドはマイクロプロセッサを有し、各マイクロプロセッサは、故障の可能性を示す前記検出されたデータを検査するために定期的に活性状態にプログラムされ、各パッドは更に送信機を有し、当該監視システムは更に、前記車両本体上に設けられたデータ収集ユニットを備え、前記データ収集ユニットは、前記故障の可能性を示す前記信号を受信し、当該故障の可能性を示す信号を離れた位置に送信する手段を含む、監視システム。
【請求項23】
前記機関車に配置され、前記機関車内に位置する乗務員に前記信号を伝達するための受信機を含む、請求項22記載の監視システム。
【請求項24】
前記機関車の受信機への前記信号の送信は無線送信である、請求項22記載の監視システム。
【請求項25】
各データ収集ユニットは、故障を示す信号をブロードキャストしている車両を特定するための信号を前記機関車内の前記受信機にブロードキャストする、請求項24記載の監視システム。
【請求項26】
前記離れた位置に信号を送受信する手段は、故障の可能性を示す信号が無い状態では非活性状態になっている、請求項24記載の監視システム。
【請求項27】
前記パッド上の前記マイクロプロセッサの電源はスイッチを含み、前記スイッチは前記パッド上のセンサを検査するときに前記電源をオンにするように動作する、請求項22記載の監視システム。
【請求項28】
車輪によって支持される本体を有し、車輪駆動され且つ相互接続される移動ユニット群の性能をモニタリングする方法であって、前記移動ユニット群の一つは制御可能な原動機であり、前記移動ユニット群の残りは前記ユニット群の一つに相互接続されており、当該方法は、
前記車輪駆動される前記移動ユニットの本体と車輪との間に、介挿部材である柔軟性を有する弾性パッドを設けることであって、温度、変位、速度、加速度、応力、引っ張り圧力、力、及びそれらの組み合わせから成る群から選択されたパラメータを測定する複数のセンサが組み込まれた弾性パッドを設けること、
前記パラメータを表わす信号を前記センサによって生成し、各パラメータに関して受信した複数の信号を個別に処理及び分析し、アラームを鳴動させるのに十分であると考えられる性能挙動を前記複数の信号から特定し、該アラームを鳴動させるのに十分な性能挙動のみを特定するメッセージを前記原動機に送信すること、
を備える、方法。
【請求項29】
前記原動機に通知する前記メッセージ内に、前記アラームを鳴動させるのに十分であると考えられる挙動を特定する信号を送信している送信元の移動ユニットに固有の識別コードを含めるステップを更に備える請求項28記載の方法。
【請求項30】
荷重軸受け構造をモニタリングする方法であって、
前記荷重軸受け構造内の比較的剛性の高い要素間に複数の圧縮可能な弾性パッドを配置するステップであって、前記パッド内には、温度、変位、速度、加速度、応力、引っ張り圧力、力、及びそれらの組み合わせから成る群から選択されたパラメータを検出するための複数のセンサと、前記複数のセンサから受信したデータを処理するマイクロプロセッサと、低電力送受信機と、前記マイクロプロセッサに電源を供給するために定期的に作動するエネルギー回収及び貯蔵装置とが内蔵されている、ステップと、
前記パッドにパッド固有の特定アドレスを書き込むステップであって、該特定アドレスは、前記パッドの用途を同じブロードキャスト周波数を使用する他の用途と区別するための番号を含む、ステップと、
前記パッド近傍の前記荷重軸受け構造上に、受信機能及び送信機能を有するデータ制御ユニットと、記憶装置付きデータ処理ユニットとを配置するステップと、
前記データ処理ユニットに、前記パッド固有の特定アドレスを書き込むステップと、
前記パッド用の電源を時系列的に作動させるように前記データ処理ユニットをプログラムするステップと;
通信先のパッドに、当該パッドが実行するタスクと、通知を返信する時刻とを通知するステップと、
前記パッドから受信したデータ信号を処理するステップと、
情報を前記パッドから受信したデータから導き出される他の参考情報と融合させてアラーム状態が発生しているかどうかを判断するステップと、
前記データ制御ユニットと通信している他のパッドから得られた情報、及び他の全てのアラーム状態を、前記データ制御ユニットから離れた場所に送信するステップと、
を備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−521902(P2009−521902A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547651(P2008−547651)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/049221
【国際公開番号】WO2007/076107
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(508176946)エーエスエフ−キーストーン インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】ASF−KEYSTONE,INC.
【Fターム(参考)】