説明

剥離用治具および剥離方法

【課題】粘着力を低下させた粘着テープから被着体を簡単に効率よく剥離できる治具および剥離方法を提供することである。
【解決手段】粘着力を低下させた粘着テープを被着体と共に挟持搬送する上側平ベルト16,下側平ベルト15と、上側平ベルト16,下側平ベルト15を介して配置された上部シャフト11,下部シャフト10と、を備え、上部シャフト11の軸心11aを下部シャフト10の軸心10aより粘着テープの搬送方向下流側に位置させ、かつ上部シャフト11,下部シャフト10を相対的に押し付けて、下側平ベルト15を下部シャフト10の表面および上部シャフト11の表面にそれぞれ沿わせ、下側平ベルト15の表面に凸曲面部26,凹曲面部27をこの順に形成する剥離用治具20および剥離方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着力を低下させた粘着テープから被着体を剥離する治具および剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば積層セラミックコンデンサ等の電子部品を回転刃等でダイシング(分割)して複数のチップ部品を得るダイシング工程では、前記電子部品は、ダイシングテープと呼ばれる粘着テープに貼着され固定された状態でダイシングされる。ダイシングテープには、ダイシング時にチップ部品がダイシングテープから飛散するのを抑制することができ、かつ得られた複数のチップ部品をダイシングテープから簡単に取り外せることが要求される。このようなダイシングテープとして、感温性粘着テープがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
該感温性粘着テープは、基材フィルムの片面または両面に設けられた粘着剤層が側鎖結晶性ポリマーからなり、該側鎖結晶性ポリマーの融点以下の温度にまで冷却処理をすると、側鎖結晶性ポリマーが結晶化することによって粘着剤層の粘着力が低下するものである。
【0004】
一方、本出願人は、粘着力を低下させた感温性粘着テープから被着体を剥離する治具として、先に特許文献2に記載のような治具を開発した。この治具は、凸曲面部および凹曲面部を有し、かつ空気吸引孔を有する壁面を備えている。被着体を貼着した感温性粘着テープの粘着力を温度変化により低下させた後、この感温性粘着テープの基材フィルムを前記空気吸引孔からの吸引力により吸着しながら凸曲面部および凹曲面部の順に通過させると、凸曲面部から凹曲面部へ乗り移る際に、被着体と感温性粘着テープとの間に隙間ができ、これにより感温性粘着テープから被着体を剥離することができる。
【0005】
しかしながら、この治具は、基材フィルムを吸着しながら凸曲面部および凹曲面部を通過させなければならないので、基材フィルムを進行方向に引っ張る際に抵抗力が発生し、簡単に凸曲面部および凹曲面部を通過させることができないという問題がある。また、凸曲面部および凹曲面部は成形によって形成されているため簡単にその形状を変更させることができず、被着体の形状や粘着力の低下率によっては、被着体を剥離し難いという問題もある。
【0006】
【特許文献1】特開平9−251923号公報
【特許文献2】特開2004−35792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、粘着力を低下させた粘着テープから被着体を簡単に効率よく剥離できる治具および剥離方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)凸曲面部および凹曲面部からなる剥離領域に、粘着力を低下させた粘着テープを被着体と共に凸曲面部および凹曲面部の順に通過させ、前記粘着テープから被着体を剥離する治具であって、前記粘着テープを被着体と共に挟持搬送する上側平ベルトおよび下側平ベルトと、前記上側平ベルトおよび下側平ベルトを介して配置された上部シャフトおよび下部シャフトと、を備え、前記上部シャフトの軸心を下部シャフトの軸心より粘着テープの搬送方向下流側に位置させ、かつ上部シャフトおよび下部シャフトを相対的に押し付けて、前記下側平ベルトを下部シャフトの表面および上部シャフトの表面にそれぞれ沿わせ、下側平ベルトの表面に前記凸曲面部および凹曲面部をこの順に形成することを特徴とする剥離用治具。
【0009】
(2)前記下部シャフトの軸心を通る鉛直線L1と、前記下部シャフトの軸心と下部シャフトの表面から下側平ベルトが離間する位置とを結ぶ線L2とのなすベルト巻付き角度αが45°以上である前記(1)記載の剥離用治具。
(3)前記下部シャフトの軸心を通る水平線L3と、前記下部シャフトの軸心と上部シャフトの軸心とを結ぶ線L4とのなすシャフト角度βが0°より大きい前記(1)または(2)記載の剥離用治具。
(4)前記上側平ベルトおよび下側平ベルトは、それぞれ左右一対のシャフト間にエンドレス状に張設されると共に、これらの左右一対のシャフトのうち、少なくとも1本のシャフトが回転駆動手段に接続されている前記(1)〜(3)のいずれかに記載の剥離用治具。
(5)前記上側平ベルトおよび下側平ベルトをそれぞれ張設する前記左右一対のシャフトのうち、粘着テープの搬送方向上流側に位置するシャフトが前記上部シャフトおよび下部シャフトである前記(4)記載の剥離用治具。
【0010】
(6)凸曲面部および凹曲面部からなる剥離領域に、粘着力を低下させた粘着テープを被着体と共に凸曲面部および凹曲面部の順に通過させ、前記粘着テープから被着体を剥離する方法であって、前記粘着テープを被着体と共に上側平ベルトおよび下側平ベルトにて挟持搬送する過程において、前記上側平ベルトおよび下側平ベルトを介して配置された上部シャフトおよび下部シャフトのうち、前記上部シャフトの軸心を下部シャフトの軸心より粘着テープの搬送方向下流側に位置させ、かつ上部シャフトおよび下部シャフトを相対的に押し付けて、前記下側平ベルトを下部シャフトの表面および上部シャフトの表面にそれぞれ沿わせ、下側平ベルトの表面に前記凸曲面部および凹曲面部をこの順に形成するようにしたことを特徴とする剥離方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、粘着力を低下させた粘着テープを被着体と共に上下一対の平ベルトにて挟持搬送する過程において、凸曲面部および凹曲面部からなる剥離領域を凸曲面部および凹曲面部の順に通過させるようにした。これにより、基材フィルムを吸着することによる抵抗力の発生がなく、簡単に前記剥離領域を通過させることができる。
【0012】
しかも、前記剥離領域を、前記上下一対の平ベルトを介して配置された上部シャフトおよび下部シャフトの位置関係を調整することによって形成するようにした。これにより、被着体の形状や粘着テープの粘着力の低下率に応じて前記シャフトの位置関係を調整し、前記剥離領域を所望の形状にすることができる。
【0013】
したがって、本発明によれば、粘着力を低下させた粘着テープから被着体を損傷させることなく簡単に効率よく剥離することができるという効果が得られる。特に、被着体が複数のチップ部品等からなる場合に本発明を適用すると、その有用性がより向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明にかかる粘着テープは、被着体を所定の粘着力で固定でき、被着体から剥離する際には、該粘着力を低下させることができる。このような粘着テープとしては、例えば感温性粘着テープ、熱発泡粘着テープ、UV硬化型粘着テープ等が挙げられる。
【0015】
前記感温性粘着テープは、粘着剤層が側鎖結晶性ポリマーからなる。このポリマーは、該ポリマーの融点を境に粘着性の発現・消失を可逆的に示すという特性を有する。該感温性粘着テープとしては、例えば特許第3204455号公報等に記載されている。また、このような感温性粘着テープは市販されており、例えばニッタ株式会社製の感温性粘着テープ「インテリマーテープ(登録商標)」が好適に採用可能である。
【0016】
前記熱発泡粘着テープは、所定の感圧性接着剤に発泡剤を含有してなり、加熱処理による発泡剤の膨脹ないし発泡で粘着力が低下する。前記UV硬化型粘着テープは、UV(紫外線)が照射されることにより硬化して粘着力が低下する。これらは、いずれも公知のものが採用可能である。
【0017】
なお、前記粘着テープを構成する基材フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられ、その厚さとしては数十〜数百μm程度である。この基材フィルムの片面または両面に設けられる粘着剤層の厚さとしては、数十μm程度である。
【0018】
前記被着体としては、例えば積層セラミックコンデンサ、セラミックインダクタ、セラミックバリスタ等のセラミックチップ部品が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0019】
本発明にかかる剥離用治具は、凸曲面部および凹曲面部からなる剥離領域に、粘着力を低下させた前記粘着テープを被着体と共に凸曲面部および凹曲面部の順に通過させ、前記粘着テープから被着体を剥離するものである。以下、本発明にかかる剥離用治具の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態にかかる剥離用治具を示す概略斜視図である。図2は、図1に示す剥離用治具の投入部付近を示す概略側面図である。図3(a)は、ベルト巻付き角度αを示す概略説明図であり、図3(b)は、シャフト角度βを示す概略説明図である。
【0020】
図1に示すように、本実施形態にかかる剥離用治具20は、左右一対のシャフト11,12間にエンドレス状に張設される上側平ベルト16と、左右一対のシャフト10,13間にエンドレス状に張設される下側平ベルト15とを備えている。この上下一対の平ベルト15,16にて投入部21から排出部22へ被着体および粘着テープを挟持搬送する。
【0021】
すなわち、下側平ベルト15を張設するシャフト10,13のうち、排出部22側に位置するシャフト13は、一端がモータ14(回転駆動手段)に接続されている。平ベルト15,16は互いに接触しており、モータ14を駆動させてシャフト13を回転させ、下側平ベルト15を例えば時計回りに走行させると、上側平ベルト16は連れ回り方式によって自動的に反時計回りに走行し、これにより被着体および粘着テープを挟持搬送することができる。
【0022】
シャフト10〜13としては、直径20〜40mmφ程度、長さ100〜300mm程度の鉄製やステンレス鋼製のものが挙げられる。特に、モータ14が接続されるシャフト13は、摩擦係数を向上させる上で、表面がウレタン焼付けされているのが好ましい。平ベルト15,16は、表面平滑であり、厚さ0.6〜0.7mm程度であり、挟持搬送可能な公知の平ベルトが採用可能である。
【0023】
ここで、投入部21側に位置するシャフト10,11は、互いの位置関係を調整自在に構成されている。具体的に説明すると、剥離用治具20は、鉄等の金属からなる板状の台1を備えている。この台1上の投入部21側には調節部2、排出部22側には調節部3がそれぞれ配置されている。
【0024】
調節部2には、調節部ハンドル4が取り付けられており、該調節部ハンドル4を回すことによって、調節部2が左右方向に粗動し、下側平ベルト15に対して張力変化を与えることができるよう構成されている。
【0025】
すなわち、投入部21側の台1上には平ベルト15,16の長手方向に沿ってガイドレール2a,2aが配置されている。調節部2は、下面に取り付けられた図示しないガイド部材によってガイドレール2a,2a上にスライド自在に保持されている。また、調節部2の背面には、図示しないナット部材が取り付けられている。
【0026】
一方、調節部ハンドル4には、ガイドレール2a,2aと平行にネジ棒である切り込み軸4aが取り付けられている。この切り込み軸4aには、比較的大きなネジ溝が切り込まれており、一端が前記ナット部材に螺合されている。したがって、調節部ハンドル4を回すと、切り込み軸4aが回転し、これと螺合する前記ナット部材を介して調節部2が左右方向に粗動する。
【0027】
これと同様に、調節部3には、調節部ハンドル5が接続されており、該調節部ハンドル5を回すことによって、調節部3が左右方向に粗動し、上側平ベルト16に対して張力変化を与えることができるよう構成されている。
【0028】
すなわち、調節部3には、調節部ハンドル5と、回転自在にシャフト12とが取り付けられている。排出部22側の台1上には平ベルト15,16の長手方向に沿って図示しないガイドレールが配置されている。調節部3は、下面に取り付けられた図示しないガイド部材によって前記ガイドレール上にスライド自在に保持されている。また、調節部3の背面には、図示しないナット部材が取り付けられている。
【0029】
調節部ハンドル5には、前記ガイドレールと平行にネジ棒である切り込み軸5aが取り付けられている。この切り込み軸5aには、比較的大きなネジ溝が切り込まれており、一端が前記ナット部材に螺合されている。したがって、調節部ハンドル5を回すと、切り込み軸5aが回転し、これと螺合する前記ナット部材を介して調節部3が左右方向に粗動する。
【0030】
一方、調節部2には、上下方向に微動する微調整部6と、左右方向に微動する微調整部7とが備えられている。微調整部6には、微調整部ハンドル8と、回転自在にシャフト10とが取り付けられている。微調整部7には、微調整部ハンドル9と、回転自在にシャフト11とが取り付けられている。微調整部ハンドル8,9を回すことによって、微調整部6,7が上下左右方向に微動し、シャフト10,11の位置関係を調整することができる。
【0031】
すなわち、調節部2の正面一方には、鉛直方向にガイドレール6a,6aが配置されている。微調整部6は、背面に取り付けられた図示しないガイド部材によってガイドレール6a,6a上にスライド自在に保持されている。また、微調整部6の上面には、微調整部ハンドル8側に向かって突出したナット部材6bが取り付けられている。
【0032】
微調整部ハンドル8には、ガイドレール6a,6aと平行にネジ棒である切り込み軸8aが取り付けられている。この切り込み軸8aには、比較的小さなネジ溝が切り込まれており、一端がナット部材6bに螺合されている。したがって、微調整部ハンドル8を回すと、切り込み軸8aが回転し、これと螺合するナット部材6bを介して微調整部6が上下方向に微動する。
【0033】
一方、調節部2の正面他方には、水平方向にガイドレール7a,7aが配置されている。微調整部7は、背面に取り付けられた図示しないガイド部材によってガイドレール7a,7a上にスライド自在に保持されている。また、微調整部7の一側面には、上方に向かって突出したナット部材7bが取り付けられている。
【0034】
微調整部ハンドル9には、ガイドレール7a,7aと平行にネジ棒である切り込み軸9aが取り付けられている。この切り込み軸9aには、比較的小さなネジ溝が切り込まれており、一端がナット部材7bに螺合されている。したがって、微調整部ハンドル9を回すと、切り込み軸9aが回転し、これと螺合するナット部材7bを介して微調整部7が左右方向に微動する。
【0035】
これら調節部2,3および微調整部6,7を操作することによって、投入部21側(搬送方向上流側)に位置するシャフト10,11の位置関係を調整することができる。そして、シャフト10,11の位置関係を調整することによって、図2に示すように、連続した凸曲面部26および凹曲面部27からなる剥離領域25を形成することができる。
【0036】
すなわち、まず、調節部ハンドル4,5を回して調節部2,3を左右方向に粗動させ、大まかな位置決めをする。ついで、微調整部ハンドル9を回して微調整部7を左右方向に微動させ、シャフト11(上部シャフト)の軸心11aをシャフト10(下部シャフト)の軸心10aより排出部22側(搬送方向下流側)に位置させる。
【0037】
この状態で微調整部ハンドル8を回して微調整部6を上下方向に微動させ、シャフト10,11を相対的に押し付ける。これにより、下側平ベルト15をシャフト10の表面およびシャフト11の表面にそれぞれ沿わせることができ、下側平ベルト15の表面に凸曲面部26,凹曲面部27がこの順に形成される。
【0038】
剥離領域25の形状としては、被着体の形状や粘着力の低下率に応じて所望の形状が採用可能であり、特に、ベルト巻付き角度α,シャフト角度βがそれぞれ以下の値となる形状が好ましい。すなわち、図3(a)に示すように、シャフト10の軸心10aを通る鉛直線L1と、シャフト10の軸心10aとシャフト10の表面から下側平ベルト15が離間する位置15aとを結ぶ線L2とのなすベルト巻付き角度αが45°以上、好ましくは45°以上90°未満であるのがよい。
【0039】
一方、ベルト巻付き角度αが45°未満であると、凸曲面部26,凹曲面部27の段差が小さすぎ、剥離領域25を通過させても粘着テープから被着体を剥離できないおそれがある。また、ベルト巻付き角度αが90°以上であると、下側平ベルト15の内面同士が接触する。
【0040】
図3(b)に示すように、シャフト10の軸心10aを通る水平線L3と、シャフト10の軸心10aとシャフト11の軸心11aとを結ぶ線L4とのなすシャフト角度βが0°より大きく、好ましくは0°より大きく45°以下であるのがよい。シャフト角度βが0°以下になると、下側平ベルト15の内面同士が接触する。また、シャフト角度βが45°を超えると、凸曲面部26,凹曲面部27の段差が小さすぎ、剥離領域25を通過させても粘着テープから被着体を剥離できないおそれがある。なお、ベルト巻付き角度α,シャフト角度βは、式:α+β=90°を満足する。
【0041】
次に、上記した剥離用治具20を用いて被着体を粘着テープから剥離する方法について、被着体としてチップ部品、粘着テープとして感温性粘着テープを例に挙げ、図面を参照して詳細に説明する。図4は、本実施形態にかかる剥離方法を示す概略説明図である。
【0042】
同図に示すように、まず、チップ部品30を貼着した感温性粘着テープ31の粘着力を温度変化により低下させる。ついで、平ベルト15,16にて投入部21から排出部22へチップ部品30,感温性粘着テープ31を挟持搬送する(図1参照)。
【0043】
この搬送過程において、凸曲面部26,凹曲面部27からなる剥離領域25に、感温性粘着テープ31をチップ部品30と共に凸曲面部26,凹曲面部27の順に通過させ、感温性粘着テープ31からチップ部品30を剥離する。具体的には、投入部21に形成された剥離領域25の凸曲面部26に感温性粘着テープ31,チップ部品30を通過させると、チップ部品30の前方が感温性粘着テープ31から浮き上がる(図4中のチップ部品30a参照)。ついで、凹曲面部27を通過させると、チップ部品30の後方が感温性粘着テープ31から浮き上がる(図4中のチップ部品30b参照)。その結果、感温性粘着テープ31からチップ部品30が完全に剥離される。
【0044】
剥離領域25で剥離されたチップ部品30,感温性粘着テープ31は平ベルト15,16にて挟持搬送され、排出部22から感温性粘着テープ31と損傷のないチップ部品30とに分別される。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内において、種々の改善や変更が可能である。例えば上記した実施形態では、シャフト10,11のうち、シャフト10を微調整部6にて上下方向に動かす場合について説明したが、シャフト10,11は相対的に押し付け可能であればよく、シャフト11を上下方向に動かすように構成してもよい。
【0046】
また、上記した実施形態では、剥離領域25は投入部21に形成されているが、本発明にかかる剥離領域は、被着体および粘着テープを挟持搬送する過程に形成されていればよい。投入部21以外に剥離領域を形成する場合には、挟持搬送過程における所望の位置に上部シャフト,下部シャフトを配置して剥離領域を形成すればよい。その他の構成は、前記した一実施形態にかかる剥離用治具20と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態にかかる剥離用治具を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す剥離用治具の投入部付近を示す概略側面図である。
【図3】(a)は、ベルト巻付き角度αを示す概略説明図であり、(b)は、シャフト角度βを示す概略説明図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる剥離方法を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 台
2,3 調節部
2a,6a,7a ガイドレール
4,5 調節部ハンドル
4a,5a,8a,9a 切り込み軸
6,7 微調整部
6b,7b ナット部材
8,9 微調整部ハンドル
10,11,12,13 シャフト
10a,11a 軸心
14 モータ
15 下側平ベルト
16 上側平ベルト
20 剥離用治具
21 投入部
22 排出部
25 剥離領域
26 凸曲面部
27 凹曲面部
30 チップ部品
31 感温性粘着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸曲面部および凹曲面部からなる剥離領域に、
粘着力を低下させた粘着テープを被着体と共に凸曲面部および凹曲面部の順に通過させ、
前記粘着テープから被着体を剥離する治具であって、
前記粘着テープを被着体と共に挟持搬送する上側平ベルトおよび下側平ベルトと、
前記上側平ベルトおよび下側平ベルトを介して配置された上部シャフトおよび下部シャフトと、を備え、
前記上部シャフトの軸心を下部シャフトの軸心より粘着テープの搬送方向下流側に位置させ、かつ上部シャフトおよび下部シャフトを相対的に押し付けて、
前記下側平ベルトを下部シャフトの表面および上部シャフトの表面にそれぞれ沿わせ、下側平ベルトの表面に前記凸曲面部および凹曲面部をこの順に形成することを特徴とする剥離用治具。
【請求項2】
前記下部シャフトの軸心を通る鉛直線L1と、前記下部シャフトの軸心と下部シャフトの表面から下側平ベルトが離間する位置とを結ぶ線L2とのなすベルト巻付き角度αが45°以上である請求項1記載の剥離用治具。
【請求項3】
前記下部シャフトの軸心を通る水平線L3と、前記下部シャフトの軸心と上部シャフトの軸心とを結ぶ線L4とのなすシャフト角度βが0°より大きい請求項1または2記載の剥離用治具。
【請求項4】
前記上側平ベルトおよび下側平ベルトは、それぞれ左右一対のシャフト間にエンドレス状に張設されると共に、これらの左右一対のシャフトのうち、少なくとも1本のシャフトが回転駆動手段に接続されている請求項1〜3のいずれかに記載の剥離用治具。
【請求項5】
前記上側平ベルトおよび下側平ベルトをそれぞれ張設する前記左右一対のシャフトのうち、粘着テープの搬送方向上流側に位置するシャフトが前記上部シャフトおよび下部シャフトである請求項4記載の剥離用治具。
【請求項6】
凸曲面部および凹曲面部からなる剥離領域に、
粘着力を低下させた粘着テープを被着体と共に凸曲面部および凹曲面部の順に通過させ、
前記粘着テープから被着体を剥離する方法であって、
前記粘着テープを被着体と共に上側平ベルトおよび下側平ベルトにて挟持搬送する過程において、
前記上側平ベルトおよび下側平ベルトを介して配置された上部シャフトおよび下部シャフトのうち、
前記上部シャフトの軸心を下部シャフトの軸心より粘着テープの搬送方向下流側に位置させ、かつ上部シャフトおよび下部シャフトを相対的に押し付けて、
前記下側平ベルトを下部シャフトの表面および上部シャフトの表面にそれぞれ沿わせ、下側平ベルトの表面に前記凸曲面部および凹曲面部をこの順に形成するようにしたことを特徴とする剥離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−3819(P2010−3819A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−160656(P2008−160656)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】