説明

剥離装置、剥離システム、剥離方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体

【課題】被処理基板と支持基板の剥離処理を適切且つ効率よく行う。
【解決手段】重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置30は、被処理ウェハWを第1の温度に調節する温度調節機構124を備え、且つ当該被処理ウェハWを保持する第1の保持部110と、支持ウェハSを第1の温度よりも高い第2の温度に加熱する加熱機構141を備え、且つ当該支持ウェハSを保持する第2の保持部111と、少なくとも第1の保持部110又は第2の保持部111を相対的に移動させる移動機構150と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合基板を被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置、当該剥離装置を備えた剥離システム、当該剥離装置を用いた剥離方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいて、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」とする)の大口径化が進んでいる。また、実装などの特定の工程において、ウェハの薄型化が求められている。ここで、例えば大口径で薄いウェハを、そのまま搬送したり、研磨処理したりすると、ウェハに反りや割れが生じる恐れがある。このため、ウェハを補強するために、例えば支持基板であるウェハやガラス基板にウェハを貼り付けることが行われている。そして、このようにウェハと支持基板が接合された状態でウェハの研磨処理等の所定の処理が行われた後、ウェハと支持基板が剥離される。
【0003】
かかるウェハと支持基板の剥離は、例えば剥離装置を用いて行われる。剥離装置は、例えばウェハを保持する第1ホルダーと、支持基板を保持する第2ホルダーと、ウェハと支持基板との間に液体を噴射するノズルとを有している。そして、この剥離装置では、ノズルから接合されたウェハと支持基板との間に、当該ウェハと支持基板との間の接合強度より大きい噴射圧、好ましくは接合強度より2倍以上大きい噴射圧で液体を噴射することにより、ウェハと支持基板の剥離が行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−167724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の剥離装置を用いた場合、大きい噴射圧で液体を噴射するので、ウェハ又は支持基板が損傷を被るおそれがあった。特に、ウェハは薄型化しているので損傷を受け易い。
【0006】
また、例えば接着剤を介してウェハと支持基板が接合されている場合、ウェハと支持基板の接合強度が大きいため、非常に大きい噴射圧の液体が必要となる。このため、液体を多量に必要とし、またウェハと支持基板を剥離するのに多大な時間を要する。
【0007】
そこで、発明者らは、ウェハと支持基板を剥離し易くするため、接合された状態のウェハと支持基板の加熱処理を行い、接着剤を軟化させることを試みた。
【0008】
しかしながら、単にウェハと支持基板を加熱しただけでは、ウェハの表面に形成された電子回路等のデバイス上に酸化膜が形成されてしまう。そして、この酸化膜により、製品にダメージを与えるおそれがある。また、ウェハを加熱することによって、ウェハ上のデバイスが損傷を受けるおそれもある。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、被処理基板と支持基板の剥離処理を適切且つ効率よく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置であって、被処理基板を第1の温度に調節する温度調節機構を備え、且つ当該被処理基板を保持する第1の保持部と、支持基板を前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱する加熱機構を備え、且つ当該支持基板を保持する第2の保持部と、少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に移動させる移動機構と、を有することを特徴としている。なお、第2の温度は例えば200℃〜250℃である。また、第1の温度は第2の温度よりも低ければよいが、被処理基板に結露が発生しない温度、例えば17℃以上が好ましい。
【0011】
本発明によれば、第1の保持部によって保持された被処理基板を第1の温度に調節し、第2の保持部によって保持された支持基板を第1の温度より高い第2の温度に加熱しながら、少なくとも第1の保持部又は第2の保持部を相対的に移動させ、被処理基板と支持基板を剥離することができる。このように第2の保持部で支持基板を第2の温度に加熱することで、支持基板側の接着剤を第2の温度に加熱して軟化させることができ、被処理基板と支持基板を小さい荷重で容易に剥離することができる。このため、被処理基板が損傷を受けるのを抑制し、被処理基板と支持基板を適切且つ均一に剥離することができる。さらに、従来よりも剥離処理に要する時間を短縮することもできる。しかも、第1の保持部で保持された被処理基板を第2の温度よりも低い第1の温度に温度調節するので、被処理基板側の接着剤が第1の温度に温度調節されて軟化するのが抑制され、被処理基板の表面が接着剤に保護された状態になる。このため、被処理基板の表面に形成されたデバイスが酸化するのを抑制することができる。また、被処理基板が第1の温度に調節され、しかも被処理基板の表面が接着剤に保護された状態になるので、当該被処理基板の表面に形成されたデバイスが損傷を受けるのを抑制することができる。以上より本発明によれば、被処理基板と支持基板の剥離処理を適切且つ効率よく行うことができる。
【0012】
前記第1の温度は、被処理基板と支持基板の間の接着剤が軟化しない温度であって、前記第2の温度は、被処理基板と支持基板の間の接着剤が軟化する温度であってもよい。
【0013】
前記移動機構は、少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させてもよい。
【0014】
前記移動機構は、前記第2の保持部に保持された支持基板が、その外周部から中心部に向けて前記第1の保持部に保持された被処理基板から連続的に剥離するように、前記第2の保持部の外周部を保持して鉛直方向に移動させてもよい。
【0015】
前記剥離装置は、被処理基板と支持基板の間の接着剤の厚みより小さい径を有し、被処理基板及び支持基板の面方向に接着剤を挿通して当該接着剤を切るワイヤと、前記ワイヤを送り出す送出部と、前記送出部から送り出され、接着剤を挿通した前記ワイヤを巻き取る巻取部と、を有していてもよい。
【0016】
前記剥離装置は、前記送出部と前記巻取部の間に設けられ、接着剤を挿通する前の前記ワイヤに接着剤の溶剤を供給する溶剤供給部を有していてもよい。
【0017】
前記剥離装置は、前記送出部と前記巻取部の間に設けられ、接着剤を挿通する前の前記ワイヤを加熱する加熱部を有していてもよい。
【0018】
前記加熱部は、前記ワイヤに電流を流してもよい。
【0019】
前記剥離装置は、前記送出部と前記巻取部の間に設けられ、接着剤を挿通した前記ワイヤを洗浄する洗浄部を有していてもよい。
【0020】
前記洗浄部は、接着剤を挿通した前記ワイヤに接着剤の溶剤を供給してもよい。
【0021】
前記洗浄部は、接着剤を挿通した前記ワイヤに接触して接着剤を除去してもよい。
【0022】
前記剥離装置は、被処理基板と支持基板の間の接着剤の厚みより小さい径を有するレーザ光であって、被処理基板及び支持基板の面方向に接着剤を挿通するレーザ光を照射するレーザ光照射部を有していてもよい。
【0023】
別な観点による本発明は、前記剥離装置を備えた剥離システムであって、前記剥離装置と、前記剥離装置で剥離された被処理基板を洗浄する第1の洗浄装置と、前記剥離装置で剥離された支持基板を洗浄する第2の洗浄装置と、を備えた処理ステーションと、前記処理ステーションに対して、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬入出する搬入出ステーションと、前記処理ステーションと前記搬入出ステーションとの間で、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬送する搬送装置と、を有することを特徴としている。
【0024】
また別な観点による本発明は、被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離方法であって、第1の保持部によって保持された被処理基板を第1の温度に調節し、第2の保持部によって保持された支持基板を前記第1の温度より高い第2の温度に加熱しながら、少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に移動させ、被処理基板と支持基板を剥離する。
【0025】
前記第1の温度は、被処理基板と支持基板の間の接着剤が軟化しない温度であって、前記第2の温度は、被処理基板と支持基板の間の接着剤が軟化する温度であってもよい。
【0026】
少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させて、被処理基板と支持基板を剥離してもよい。
【0027】
前記第2の保持部の外周部を鉛直方向に移動させ、外周部から中心部に向けて支持基板を被処理基板から連続的に剥離し、その後、第2の保持部全体を鉛直方向に移動させ、被処理基板と支持基板を剥離してもよい。
【0028】
被処理基板と支持基板の間の接着剤の厚みより小さい径を有するワイヤを送出部と巻取部の間で一方向に移動させながら、被処理基板及び支持基板の面方向に前記ワイヤを接着剤に挿通させて当該接着剤を切ってもよい。
【0029】
前記送出部から送り出された後であって接着剤を挿通する前の前記ワイヤに接着剤の溶剤を供給してもよい。
【0030】
前記送出部から送り出された後であって接着剤を挿通する前の前記ワイヤを加熱してもよい。
【0031】
前記ワイヤの加熱は、当該ワイヤに電流を流すことによって行われてもよい。
【0032】
接着剤を挿通した後であって前記巻取部に巻き取られる前の前記ワイヤを洗浄してもよい。
【0033】
前記ワイヤの洗浄は、当該ワイヤに接着剤の溶剤を供給して行われてもよい。
【0034】
前記ワイヤの洗浄は、当該ワイヤにブラシを接触させて行われてもよい。
【0035】
被処理基板と支持基板の間の接着剤の厚みより小さい径を有するレーザ光を、被処理基板及び支持基板の面方向に接着剤に挿通させて当該接着剤を切ってもよい。
【0036】
また別な観点による本発明によれば、前記剥離方法を剥離装置によって実行させるために、当該剥離装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0037】
さらに別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、被処理基板と支持基板の剥離処理を適切且つ効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施の形態にかかる剥離システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】被処理ウェハと支持ウェハの側面図である。
【図3】剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図4】第1の洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図5】第1の洗浄装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図6】第2の洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図7】第2の搬送装置の構成の概略を示す側面図である。
【図8】反転装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図9】検査装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図10】検査装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図11】剥離処理の主な工程を示すフローチャートである。
【図12】第1の保持部と第2の保持部で重合ウェハを保持した様子を示す説明図である。
【図13】第2の保持部を鉛直方向及び水平方向に移動させる様子を示す説明図である。
【図14】被処理ウェハと支持ウェハを剥離した様子を示す説明図である。
【図15】剥離装置の第1の保持部から第2の搬送装置のベルヌーイチャックに被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図16】第2の搬送装置のベルヌーイチャックから第1の洗浄装置のポーラスチャックに被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図17】第3の搬送装置のベルヌーイチャックから反転装置の第2の保持部に被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図18】反転装置の第2の保持部から第1の保持部に被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図19】反転装置の第2の保持部から第1の保持部に被処理ウェハが受け渡された状態を示す説明図である。
【図20】反転装置の第1の保持部から第3の搬送装置のベルヌーイチャックに被処理ウェハが受け渡された状態を示す説明図である。
【図21】他の実施の形態にかかる剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図22】第1の鉛直移動部の平面図である。
【図23】第1の保持部と第2の保持部で重合ウェハを保持した様子を示す説明図である。
【図24】第1の鉛直移動部によって第2の保持部外周部を鉛直下方に移動させる様子を示す説明図である。
【図25】第2の鉛直移動部によって第2の保持部を鉛直下方に移動させる様子を示す説明図である。
【図26】被処理ウェハと支持ウェハを剥離した様子を示す説明図である。
【図27】他の実施の形態にかかる剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図28】他の実施の形態にかかる剥離装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図29】他の実施の形態にかかる剥離装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図30】他の実施の形態にかかる剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図31】他の実施の形態にかかる剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図32】他の実施の形態にかかる剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図33】他の実施の形態にかかる剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図34】他の実施の形態にかかる剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図35】他の実施の形態にかかる剥離装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図36】他の実施の形態にかかる剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図37】他の実施の形態にかかる剥離装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図38】ワイヤによって接着剤を切断する様子を示す説明図である。
【図39】被処理ウェハと支持ウェハを剥離した様子を示す説明図である。
【図40】他の実施の形態にかかる剥離装置の構成の概略を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる剥離システム1の構成の概略を示す平面図である。
【0041】
剥離システム1では、図2に示すように被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとが接着剤Gで接合された重合基板としての重合ウェハTを、被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を「接合面W」といい、当該接合面Wと反対側の面を「非接合面W」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を「接合面S」といい、当該接合面Sと反対側の面を「非接合面S」という。なお、被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面W上に複数の電子回路等を備えた複数のデバイスが形成されている。また被処理ウェハWは、例えば非接合面Wが研磨処理され、薄型化(例えば厚みが50μm〜100μm)されている。支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径の円板形状を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
【0042】
剥離システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットC、C、Cが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた処理ステーション3と、処理ステーション3に隣接する後処理ステーション4との間で被処理ウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。
【0043】
搬入出ステーション2と処理ステーション3は、X方向(図1中の上下方向)に並べて配置されている。これら搬入出ステーション2と処理ステーション3との間には、ウェハ搬送領域6が形成されている。インターフェイスステーション5は、処理ステーション3のY方向負方向側(図1中の左方向側)に配置されている。インターフェイスステーション5のX方向正方向側(図1中の上方向側)には、後処理ステーション4に受け渡す前の被処理ウェハWを検査する検査装置7が配置されている。また、インターフェイスステーション5を挟んで検査装置7の反対側、すなわちインターフェイスステーション5のX方向負方向側(図1中の下方向側)には、検査後の被処理ウェハWの接合面W及び非接合面Wの洗浄と、被処理ウェハWの表裏面の反転を行う検査後洗浄ステーション8が配置されている。
【0044】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば3つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、Y方向(図1中の左右方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、剥離システム1の外部に対してカセットC、C、Cを搬入出する際に、カセットC、C、Cを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと、欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
【0045】
ウェハ搬送領域6には、第1の搬送装置20が配置されている。第1の搬送装置20は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。第1の搬送装置20は、ウェハ搬送領域6内を移動し、搬入出ステーション2と処理ステーション3との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0046】
処理ステーション3は、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置30を有している。剥離装置30のY方向負方向側(図1中の左方向側)には、剥離された被処理ウェハWを洗浄する第1の洗浄装置31が配置されている。剥離装置30と第1の洗浄装置31との間には、第2の搬送装置32が設けられている。また、剥離装置30のY方向正方向側(図1中の右方向側)には、剥離された支持ウェハSを洗浄する第2の洗浄装置33が配置されている。このように処理ステーション3には、第1の洗浄装置31、第2の搬送装置32、剥離装置30、第2の洗浄装置33が、インターフェイスステーション5側からこの順で並べて配置されている。
【0047】
検査装置7では、剥離装置30により剥離された被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無等が検査される。また、検査後洗浄ステーション8では、検査装置7で接着剤Gの残渣が確認された被処理ウェハWの洗浄が行われる。この検査後洗浄ステーション8は、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する接合面洗浄装置40、被処理ウェハWの非接合面Wを洗浄する非接合面洗浄装置41、被処理ウェハWの表裏面を上下反転させる反転装置42を有している。これら接合面洗浄装置40、非接合面洗浄装置41、反転装置42は、後処理ステーション4側からY方向に並べて配置されている。
【0048】
インターフェイスステーション5には、Y方向に延伸する搬送路50上を移動自在な第3の搬送装置51が設けられている。第3の搬送装置51は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、処理ステーション3、後処理ステーション4、検査装置7及び検査後洗浄ステーション8との間で被処理ウェハWを搬送できる。
【0049】
なお、後処理ステーション4では、処理ステーション3で剥離された被処理ウェハWに所定の後処理を行う。所定の後処理として、例えば被処理ウェハWをマウントする処理や、被処理ウェハW上のデバイスの電気的特性の検査を行う処理、被処理ウェハWをチップ毎にダイシングする処理などが行われる。
【0050】
次に、上述した剥離装置30の構成について説明する。剥離装置30は、図3に示すように、内部を密閉可能な処理容器100を有している。処理容器100の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0051】
処理容器100の底面には、当該処理容器100の内部の雰囲気を排気する排気口101が形成されている。排気口101には、例えば真空ポンプなどの排気装置102に連通する排気管103が接続されている。
【0052】
処理容器100の内部には、被処理ウェハWを下面で吸着保持する第1の保持部110と、支持ウェハSを上面で載置して保持する第2の保持部111とが設けられている。第1の保持部110は、第2の保持部111の上方に設けられ、第2の保持部111と対向するように配置されている。すなわち、処理容器100の内部では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、重合ウェハTに剥離処理が行われる。
【0053】
第1の保持部110には、例えばポーラスチャックが用いられている。第1の保持部110は、平板状の本体部120を有している。本体部120の下面側には、多孔質体であるポーラス121が設けられている。ポーラス121は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面Wと当接している。なお、ポーラス121としては例えば炭化ケイ素が用いられる。
【0054】
また、本体部120の内部であってポーラス121の上方には吸引空間122が形成されている。吸引空間122は、例えばポーラス121を覆うように形成されている。吸引空間122には、吸引管123が接続されている。吸引管123は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。そして、吸引管123から吸引空間122とポーラス121を介して被処理ウェハの非接合面Wが吸引され、当該被処理ウェハWが第1の保持部110に吸着保持される。
【0055】
また、本体部120の内部であって吸引空間122の上方には、被処理ウェハWの温度を第1の温度に調節する温度調節機構124が設けられている。温度調節機構124には、例えばペルチェ素子が用いられる。なお、第1の温度は、後述するように例えば23℃である。
【0056】
第1の保持部110の上面には、当該第1の保持部110を支持する支持板130が設けられている。支持板130は、処理容器100の天井面に支持されている。なお、本実施の形態の支持板130を省略し、第1の保持部110は処理容器100の天井面に当接して支持されてもよい。
【0057】
第2の保持部111の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管140が設けられている。吸引管140は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
【0058】
また、第2の保持部111の内部には、支持ウェハSを第2の温度に加熱する加熱機構141が設けられている。加熱機構141には、例えばヒータが用いられる。なお、第2の温度は、後述するように第1の温度よりも高い温度であって、例えば200℃〜250℃である。
【0059】
第2の保持部111の下方には、第2の保持部111及び支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構150が設けられている。移動機構150は、第2の保持部111を鉛直方向に移動させる鉛直移動部151と、第2の保持部111を水平方向に移動させる水平移動部152とを有している。
【0060】
鉛直移動部151は、第2の保持部111の下面を支持する支持板160と、支持板160を昇降させて第1の保持部110と第2の保持部111を鉛直方向に接近、離隔させる駆動部161と、支持板160を支持する支持部材162とを有している。駆動部161は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、支持部材162は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板160と後述する支持体171との間に例えば3箇所に設けられている。
【0061】
水平移動部152は、X方向(図3中の左右方向)に沿って延伸するレール170と、レール170に取り付けられる支持体171と、支持体171をレール170に沿って移動させる駆動部172とを有している。駆動部172は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。
【0062】
なお、第2の保持部111の下方には、重合ウェハT又は支持ウェハSを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは第2の保持部111に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第2の保持部111の上面から突出可能になっている。
【0063】
次に、上述した第1の洗浄装置31の構成について説明する。第1の洗浄装置31は、図4に示すように内部を密閉可能な処理容器180を有している。処理容器180の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0064】
処理容器180内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるポーラスチャック190が設けられている。ポーラスチャック190は、平板状の本体部191と、本体部191の上面側に設けられた多孔質体であるポーラス192とを有している。ポーラス192は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面Wと当接している。なお、ポーラス192としては例えば炭化ケイ素が用いられる。ポーラス192には吸引管(図示せず)が接続され、当該吸引管からポーラス192を介して被処理ウェハWの非接合面Wを吸引することにより、当該被処理ウェハWをポーラスチャック190上に吸着保持できる。
【0065】
ポーラスチャック190の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部193が設けられている。ポーラスチャック190は、チャック駆動部193により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部193には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、ポーラスチャック190は昇降自在になっている。
【0066】
ポーラスチャック190の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ194が設けられている。カップ194の下面には、回収した液体を排出する排出管195と、カップ194内の雰囲気を真空引きして排気する排気管196が接続されている。
【0067】
図5に示すようにカップ194のX方向負方向(図5中の下方向)側には、Y方向(図5中の左右方向)に沿って延伸するレール200が形成されている。レール200は、例えばカップ194のY方向負方向(図5中の左方向)側の外方からY方向正方向(図5中の右方向)側の外方まで形成されている。レール200には、アーム201が取り付けられている。
【0068】
アーム201には、図4及び図5に示すように被処理ウェハWに洗浄液、例えば接着剤Gの溶剤である有機溶剤を供給する洗浄液ノズル202が支持されている。アーム201は、図5に示すノズル駆動部203により、レール200上を移動自在である。これにより、洗浄液ノズル202は、カップ194のY方向正方向側の外方に設置された待機部204からカップ194内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム201は、ノズル駆動部203によって昇降自在であり、洗浄液ノズル202の高さを調節できる。
【0069】
洗浄液ノズル202には、例えば2流体ノズルが用いられる。洗浄液ノズル202には、図4に示すように当該洗浄液ノズル202に洗浄液を供給する供給管210が接続されている。供給管210は、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源211に連通している。供給管210には、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群212が設けられている。また、洗浄液ノズル202には、当該洗浄液ノズル202に不活性ガス、例えば窒素ガスを供給する供給管213が接続されている。供給管213は、内部に不活性ガスを貯留するガス供給源214に連通している。供給管213には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群215が設けられている。そして、洗浄液と不活性ガスは洗浄液ノズル202内で混合され、当該洗浄液ノズル202から被処理ウェハWに供給される。なお、以下においては、洗浄液と不活性ガスを混合したものを単に「洗浄液」という場合がある。
【0070】
なお、ポーラスチャック190の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、昇降ピンはポーラスチャック190に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、ポーラスチャック190の上面から突出可能になっている。そして、ポーラスチャック190を昇降させる代わりに昇降ピンを昇降させて、ポーラスチャック190との間で被処理ウェハWの受け渡しが行われる。
【0071】
また、第2の洗浄装置33の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成とほぼ同様である。第2の洗浄装置33には、図6に示すように第1の洗浄装置31のポーラスチャック190に代えて、スピンチャック220が設けられる。スピンチャック220は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば支持ウェハSを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、支持ウェハSをスピンチャック220上に吸着保持できる。第2の洗浄装置33のその他の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成と同様であるので説明を省略する。
【0072】
なお、第2の洗浄装置33において、スピンチャック220の下方には、被処理ウェハWの裏面、すなわち非接合面Wに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、被処理ウェハWの非接合面Wと被処理ウェハWの外周部が洗浄される。
【0073】
次に、上述した第2の搬送装置32の構成について説明する。第2の搬送装置32は、図7に示すように被処理ウェハWを保持するベルヌーイチャック230を有している。ベルヌーイチャック230は、支持アーム231に支持されている。支持アーム231は、第1の駆動部232に支持されている。この第1の駆動部232により、支持アーム231は水平軸周りに回動自在であり、且つ水平方向に伸縮できる。第1の駆動部232の下方には、第2の駆動部233が設けられている。この第2の駆動部233により、第1の駆動部232は鉛直軸周りに回転自在であり、且つ鉛直方向に昇降できる。
【0074】
なお、第3の搬送装置51は、上述した第2の搬送装置32と同様の構成を有しているので説明を省略する。但し、第3の搬送装置51の第2の駆動部232は、図1に示した搬送路50に取り付けられ、第3の搬送装置51は搬送路50上を移動可能になっている。
【0075】
次に、上述した反転装置42の構成について説明する。反転装置42は、図8に示すように、その内部に複数の機器を収容する処理容器240を有している。処理容器240の側面には、第3の搬送装置51により被処理ウェハWの搬入出を行うための搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口(図示せず)には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0076】
処理容器240の底面には、当該処理容器240の内部の雰囲気を排気する排気口250が形成されている。排気口250には、例えば真空ポンプなどの排気装置251に連通する排気管252が接続されている。
【0077】
処理容器240の内部には、被処理ウェハWを下面で保持する第1の保持部260と、被処理ウェハWを上面で保持する第2の保持部261とが設けられている。第1の保持部260は、第2の保持部261の上方に設けられ、第2の保持部261と対向するように配置されている。第1の保持部260及び第2の保持部261は、例えば被処理ウェハWをほぼ同じ直径を有している。また、第1の保持部260及び第2の保持部261にはベルヌーイチャックが用いられている。これにより、第1の保持部260及び第2の保持部261は、被処理ウェハWの片面の全面をそれぞれ非接触で保持することができる。
【0078】
第1の保持部260の上面には、第1の保持部260を支持する支持板262が設けられている。なお、本実施の形態の支持板262を省略し、第1の保持部260は処理容器240の天井面に当接して支持されていてもよい。
【0079】
第2の保持部261の下方には、当該第2の保持部261を鉛直方向に移動させる移動機構270が設けられている。移動機構270は、第2の保持部261の下面を支持する支持板271と、支持板271を昇降させて第1の保持部260と第2の保持部261を鉛直方向に接近、離間させる駆動部272を有している。駆動部272は、処理容器240の底面に設けられた支持体273により支持されている。また、支持体273の上面には支持板271を支持する支持部材274が設けられている。支持部材274は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、駆動部272により支持板271を昇降させる際に、自由に伸縮することができる。
【0080】
次に、上述した検査装置7の構成について説明する。検査装置7は、図9及び図10に示すように処理容器280を有している。処理容器280の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0081】
処理容器280内には、被処理ウェハWを保持するポーラスチャック290が設けられている。ポーラスチャック290は、平板状の本体部291と、本体部291の上面側に設けられた多孔質体であるポーラス292とを有している。ポーラス292は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面Wと当接している。なお、ポーラス292としては例えば炭化ケイ素が用いられる。ポーラス292には吸引管(図示せず)が接続され、当該吸引管からポーラス292を介して被処理ウェハWの非接合面Wを吸引することにより、当該被処理ウェハWをポーラスチャック290上に吸着保持できる。
【0082】
ポーラスチャック290の下方には、チャック駆動部293が設けられている。このチャック駆動部293により、ポーラスチャック290は回転自在になっている。また、チャック駆動部293は、処理容器280内の底面に設けられ、Y方向に沿って延伸するレール294上に取付けられている。このチャック駆動部293により、ポーラスチャック290はレール294に沿って移動できる。すなわち、ポーラスチャック290は、被処理ウェハWを処理容器280の外部との間で搬入出するための受渡位置P1と、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調整するアライメント位置P2との間を移動できる。
【0083】
アライメント位置P2には、ポーラスチャック290に保持された被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出するセンサ295が設けられている。センサ295によってノッチ部の位置を検出しながら、チャック駆動部293によってポーラスチャック290を回転させて、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調節することができる。
【0084】
処理容器280のアライメント位置P2側の側面には、撮像装置300が設けられている。撮像装置300には、例えば広角型のCCDカメラが用いられる。処理容器280の上部中央付近には、ハーフミラー301が設けられている。ハーフミラー301は、撮像装置300と対向する位置に設けられ、鉛直方向から45度傾斜して設けられている。ハーフミラー301の上方には、照度を変更することができる照明装置302が設けられ、ハーフミラー301と照明装置302は、処理容器280の上面に固定されている。また、撮像装置300、ハーフミラー301及び照明装置302は、ポーラスチャック290に保持された被処理ウェハWの上方にそれぞれ設けられている。そして、照明装置302からの照明は、ハーフミラー301を通過して下方に向けて照らされる。したがって、この照射領域にある物体の反射光は、ハーフミラー301で反射して、撮像装置300に取り込まれる。すなわち、撮像装置3 00は、照射領域にある物体を撮像することができる。そして、撮像した被処理ウェハWの画像は、後述する制御部350に出力され、制御部350において被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無が検査される。
【0085】
以上の剥離システム1には、図1に示すように制御部350が設けられている。制御部350は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、剥離システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、剥離システム1における後述の剥離処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部350にインストールされたものであってもよい。
【0086】
次に、以上のように構成された剥離システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理方法について説明する。図11は、かかる剥離処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0087】
先ず、複数枚の重合ウェハTを収容したカセットC、空のカセットC、及び空のカセットCが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。第1の搬送装置20によりカセットC内の重合ウェハTが取り出され、処理ステーション3の剥離装置30に搬送される。このとき、重合ウェハTは、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で搬送される。
【0088】
剥離装置30に搬入された重合ウェハTは、第2の保持部111に吸着保持される。その後、移動機構150により第2の保持部111を上昇させて、図12に示すように第1の保持部110と第2の保持部111で重合ウェハTを挟み込んで保持する。このとき、第1の保持部110に被処理ウェハWの非接合面Wが吸着保持され、第2の保持部111に支持ウェハSの非接合面Sが吸着保持される。
【0089】
その後、第2の保持部111に保持された支持ウェハSは、加熱機構141によって第2の温度、例えば200℃〜250℃に加熱される。この第2の温度は、接着剤Gが軟化する温度である。そして、被処理ウェハWと支持ウェハSの間の接着剤Gにおいて、支持ウェハS側の接着剤Gが軟化する。
【0090】
一方、第2の保持部111に保持された支持ウェハSを第2の温度に加熱する間、第1の保持部110に保持された被処理ウェハWは、温度調節機構124によって第1の温度、例えば23℃に温度調節される。この第1の温度は、少なくとも第2の温度よりも低く、接着剤Gが軟化しない温度である。そして、被処理ウェハWと支持ウェハSの間の接着剤Gにおいて、被処理ウェハW側の接着剤Gは軟化しない。すなわち、被処理ウェハWの接合面Wが接着剤Gに保護された状態になる。このため、被処理ウェハWの接合面Wに形成されたデバイスが酸化するのを抑制することができる。また、被処理ウェハWが低い温度である第1の温度に温度調節され、しかも被処理ウェハWの接合面Wが接着剤Gに保護された状態になるので、当該接合面Wに形成されたデバイスが損傷を受けるのを抑制することができる。なお、デバイスの酸化抑制と損傷抑制という観点からは、第1の温度は低ければ低いほど好ましいが、被処理ウェハWが結露するのを防止するため、第1の温度は17℃以上であるのが好ましい。
【0091】
続いて、加熱機構141によって支持ウェハS側の接着剤Gの軟化状態を維持しながら、図13に示すように移動機構150によって第2の保持部111と支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向、すなわち斜め下方に移動させる。このとき、支持ウェハS側の接着剤Gが軟化しているので、第2の保持部111を小さい荷重で容易に移動させることができる。そして、図14に示すように第1の保持部110に保持された被処理ウェハWと、第2の保持部111に保持された支持ウェハSとが剥離される(図11の工程A1)。
【0092】
このとき、第2の保持部111は、鉛直方向に100μm移動し、且つ水平方向に300mm移動する。ここで、本実施の形態では、重合ウェハT中の接着剤Gの厚みは例えば30μm〜40μmであって、被処理ウェハWの接合面Wに形成されたデバイス(バンプ)の高さは例えば20μmである。したがって、被処理ウェハW上のデバイスと支持ウェハSとの間の距離が微小となる。そこで、例えば第2の保持部111を水平方向にのみ移動させた場合、デバイスと支持ウェハSが接触し、デバイスが損傷を被るおそれがある。この点、本実施の形態のように第2の保持部111を水平方向に移動させると共に鉛直方向にも移動させることによって、デバイスと支持ウェハSとの接触を回避し、デバイスの損傷を抑制することができる。なお、この第2の保持部111の鉛直方向の移動距離と水平方向の移動距離の比率は、被処理ウェハW上のデバイス(バンプ)の高さに基づいて設定される。
【0093】
その後、剥離装置30で剥離された被処理ウェハWは、第2の搬送装置32によって第1の洗浄装置31に搬送される。ここで、第2の搬送装置32による被処理ウェハWの搬送方法について説明する。
【0094】
図15に示すように第2の搬送装置32の支持アーム231を伸長させて、ベルヌーイチャック230を第1の保持部110に保持された被処理ウェハWの下方に配置する。その後、ベルヌーイチャック230を上昇させ、第1の保持部110における吸引管123からの被処理ウェハWの吸引を停止する。そして、第1の保持部110からベルヌーイチャック230に被処理ウェハWが受け渡される。その後、ベルヌーイチャック230を所定の位置まで下降させる。なお、被処理ウェハWはベルヌーイチャック230によって非接触の状態で保持される。このため、被処理ウェハWの接合面W上のデバイスが損傷を被ることなく被処理ウェハWが保持される。なお、このとき、第2の保持部111は第1の保持部110に対向する位置まで移動する。
【0095】
次に図16に示すように、第2の搬送装置32の支持アーム231を回動させてベルヌーイチャック230を第1の洗浄装置31のポーラスチャック190の上方に移動させると共に、ベルヌーイチャック230を反転させて被処理ウェハWを下方に向ける。このとき、ポーラスチャック190をカップ194よりも上方まで上昇させて待機させておく。その後、ベルヌーイチャック230からポーラスチャック190に被処理ウェハWが受け渡され吸着保持される。
【0096】
このようにポーラスチャック190に被処理ウェハWが吸着保持されると、ポーラスチャック190を所定の位置まで下降させる。続いて、アーム201によって待機部204の洗浄液ノズル202を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、ポーラスチャック190によって被処理ウェハWを回転させながら、洗浄液ノズル202から被処理ウェハWの接合面Wに洗浄液を供給する。供給された洗浄液は遠心力により被処理ウェハWの接合面Wの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面Wが洗浄される(図11の工程A2)。
【0097】
ここで、上述したように搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
【0098】
正常な重合ウェハTから剥離された正常な被処理ウェハWは、工程A2で接合面Wが洗浄された後、非接合面Wが下方を向いた状態で第3の搬送装置51によって検査装置7に搬送される。なお、この第3の搬送装置51による被処理ウェハWの搬送は、上述した第2の搬送装置32による被処理ウェハWの搬送とほぼ同様であるので説明を省略する。
【0099】
検査装置7に搬送された被処理ウェハWは、受渡位置P1においてポーラスチャック290上に保持される。続いて、チャック駆動部293によってポーラスチャック290をアライメント位置P2まで移動させる。次に、センサ295によって被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出しながら、チャック駆動部293によってポーラスチャック290を回転させる。そして、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調整して、当該被処理ウェハWを所定の向きに配置する。
【0100】
その後、チャック駆動部293によってポーラスチャック290をアライメント位置P2から受渡位置P1に移動させる。そして、被処理ウェハWがハーフミラー301の下を通過する際に、照明装置302から被処理ウェハWに対して照明を照らす。この照明による被処理ウェハW上での反射光は撮像装置300に取り込まれ、撮像装置300において被処理ウェハWの接合面Wの画像が撮像される。撮像された被処理ウェハWの接合面Wの画像は制御部350に出力され、制御部350において、被処理ウェハWの接合面Wにおける接着剤Gの残渣の有無が検査される(図11の工程A3)。
【0101】
検査装置7において接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置51により検査後洗浄ステーション8の接合面洗浄装置40に搬送され、接合面洗浄装置40において接合面W上の接着剤Gが除去される(図11の工程A4)。なお、この工程A4は、上述した工程A2と同様であるので説明を省略する。また、例えば検査装置7において接着剤Gの残渣がないと確認された場合、工程A4を省略してもよい。
【0102】
接合面Wが洗浄されると、被処理ウェハWは第3の搬送装置51によって反転装置42に搬送され、反転装置42により表裏面を反転、すなわち上下方向に反転される(図11の工程A5)。ここで、反転装置42による被処理ウェハWの反転方法について説明する。
【0103】
接合面洗浄装置40で接合面Wが洗浄され被処理ウェハWは、図17に示すように、第3の搬送装置51のベルヌーイチャック230により接合面Wを保持された状態で反転装置42に搬送される。そして、被処理ウェハWは、反転装置42の第2の保持部261に接合面Wを上方に向けた状態で受け渡され、第2の保持部261により被処理ウェハWの非接合面Wの全面が保持される。
【0104】
次いで、第3の搬送装置51のベルヌーイチャック230を第2の保持部261の上方から退避させ、その後、駆動部283により第2の保持部261を上昇、換言すれば、図18に示すように第1の保持部260に接近させる。そして、第1の保持部260により被処理ウェハWの接合面Wを保持すると共に、第2の保持部261による被処理ウェハWの保持を停止して、被処理ウェハWを第1の保持部260に受け渡す。これにより図19に示すように、被処理ウェハWが第1の保持部260により、非接合面Wを下方に向けた状態で保持される。
【0105】
その後、第2の保持部261を下降させて第1の保持部260と第2の保持部261を離隔し、次いで退避していた第3の搬送装置51のベルヌーイチャック230を水平軸回りに回動させる。そして、ベルヌーイチャック230が上方を向いた状態で、当該ベルヌーイチャック230を第1の保持部260の下方に配置する。次いでベルヌーイチャック230を上昇させ、それと共に第1の保持部260による被処理ウェハWの保持を停止する。これにより、接合面洗浄装置40に搬入される際にベルヌーイチャック230により接合面Wを保持されていた被処理ウェハWは、図20に示すように、ベルヌーイチャック230により非接合面Wが保持された状態となる。すなわち、ベルヌーイチャック230により保持される被処理ウェハの面の表裏が反転した状態となる。その後、被処理ウェハWの非接合面Wを保持した状態で、ベルヌーイチャック230を反転装置42から退避させる。
【0106】
なお、検査装置7において接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは接合面洗浄装置40に搬送されることなく反転装置42にて被処理ウェハWの反転が行われるが、反転の方法については、上述の方法と同様である。
【0107】
その後、被処理ウェハWを保持した状態で第3の搬送装置51のベルヌーイチャック230を水平軸回りに回動させ、被処理ウェハWを上下方向に反転させる。そして、被処理ウェハWは、非接合面Wが上方を向いた状態でベルヌーイチャック230により再び検査装置7に搬送され、非接合面Wの検査が行われる(図11の工程A6)。そして、非接合面Wにパーティクルの汚れが確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置51によって非接合面洗浄装置41に搬送され、非接合面洗浄装置41において非接合面Wが洗浄される(図11の工程A7)。なお、この工程A7は、上述した工程A2と同様であるので説明を省略する。また、例えば検査装置7において接着剤Gの残渣がないと確認された場合、工程A7を省略してもよい。
【0108】
次いで、洗浄された被処理ウェハWは、第3の搬送装置51によって後処理ステーション4に搬送される。なお、検査装置7で接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは非接合面洗浄装置41に搬送されることなくそのまま後処理ステーション4に搬送される。
【0109】
その後、後処理ステーション4において被処理ウェハWに所定の後処理が行われる(図11の工程A8)。こうして、被処理ウェハWが製品化される。
【0110】
一方、欠陥のある重合ウェハTから剥離された欠陥のある被処理ウェハWは、工程A2及びA3で接合面Wが洗浄された後、第1の搬送装置20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、欠陥のある被処理ウェハWは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図11の工程A9)。
【0111】
被処理ウェハWに上述した工程A1〜A9が行われている間、剥離装置30で剥離された支持ウェハSは、第1の搬送装置20によって第2の洗浄装置33に搬送される。そして、第2の洗浄装置33において、支持ウェハSの接合面S上の接着剤が除去されて、接合面Sが洗浄される(図11の工程A10)。なお、工程A10における支持ウェハSの洗浄は、上述した工程A2における被処理ウェハW上の接着剤Gの除去と同様であるので説明を省略する。
【0112】
その後、接合面Sが洗浄された支持ウェハSは、第1の搬送装置20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、支持ウェハSは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図11の工程A11)。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理が終了する。
【0113】
以上の実施の形態によれば、第1の保持部110によって保持された被処理ウェハWを第1の温度に調節し、第2の保持部111によって保持された支持ウェハSを第1の温度より高い第2の温度に加熱しながら、第2の保持部111を第1の保持部110に対して相対的に水平方向に移動させ、被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離することができる。このように第2の保持部111で支持ウェハSを第2の温度に加熱することで、支持ウェハS側の接着剤Gを第2の温度に加熱して軟化させることができ、被処理ウェハWと支持ウェハSを小さい荷重で容易に剥離することができる。このため、被処理ウェハWが損傷を受けるのを抑制し、被処理ウェハWと支持ウェハSを適切且つ均一に剥離することができる。さらに、従来よりも剥離処理に要する時間を短縮することもできる。しかも、第1の保持部110で保持された被処理ウェハWを第2の温度よりも低い第1の温度に温度調節するので、被処理ウェハW側の接着剤Gが第1の温度に温度調節されて軟化するのが抑制され、被処理ウェハWの接合面Wが接着剤Gに保護された状態になる。このため、被処理ウェハWの接合面Wに形成されたデバイスが酸化するのを抑制することができる。また、被処理ウェハWが第1の温度に調節され、しかも被処理ウェハWの接合面Wが接着剤Gに保護された状態になるので、当該被処理ウェハWの接合面Wに形成されたデバイスが損傷を受けるのを抑制することができる。以上より本実施の形態によれば、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理を適切且つ効率よく行うことができる。
【0114】
以上の実施の形態の剥離システム1によれば、剥離装置30において重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離した後、第1の洗浄装置31において、剥離された被処理ウェハWを洗浄すると共に、第2の洗浄装置33において、剥離された支持ウェハSを洗浄することができる。このように本実施の形態によれば、一の剥離システム1内で、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄までの一連の剥離処理を効率よく行うことができる。また、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33において、被処理ウェハWの洗浄と支持ウェハSの洗浄をそれぞれ並行して行うことができる。さらに、剥離装置30において被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する間に、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33において別の被処理ウェハWと支持ウェハSを処理することもできる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離を効率よく行うことができ、剥離処理のスループットを向上させることができる。
【0115】
また、このように一連のプロセスにおいて、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離から被処理ウェハWの後処理まで行うことができるので、ウェハ処理のスループットをさらに向上させることができる。
【0116】
以上の実施の形態では、剥離装置30において第2の保持部111を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、第1の保持部110を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。あるいは、第1の保持部110と第2の保持部111の両方を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。
【0117】
以上の剥離装置30において第2の保持部111を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、第2の保持部111を水平方向のみに移動させ、当該第2の保持部111の移動速度を変化させてもよい。具体的には、第2の保持部111を移動させ始める際の移動速度を低速にし、その後徐々に移動速度を加速してもよい。すなわち、第2の保持部111を移動させ始める際には、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が大きく、被処理ウェハW上のデバイスが接着剤Gの影響を受け易いため、第2の保持部111の移動速度を低速にする。その後、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が小さくなるにつれ、被処理ウェハW上のデバイスが接着剤Gの影響を受け難くなるため、第2の保持部111の移動速度を徐々に加速する。かかる場合でも、デバイスと支持ウェハSとの接触を回避し、デバイスの損傷を抑制することができる。
【0118】
また、以上の実施の形態では、剥離装置30において第2の保持部111を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、例えば被処理ウェハW上のデバイスと支持ウェハSとの間の距離が十分大きい場合には、第2の保持部111を水平方向にのみ移動させてもよい。かかる場合、デバイスと支持ウェハSとの接触を回避できると共に、第2の保持部111の移動の制御が容易になる。さらに、第2の保持部111を鉛直方向にのみ移動させて被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離させてもよい。
【0119】
以上の実施の形態の剥離装置30において、第1の保持部110と第2の保持部111との間の処理空間を覆うカバー(図示せず)を設けてもよい。かかる場合、処理空間を不活性ガスの雰囲気にすることにより、被処理ウェハWが加熱処理されても、当該被処理ウェハWの接合面W上のデバイスに酸化膜が形成されるのを抑制することができる。
【0120】
また、以上の実施の形態の剥離装置30において、第2の保持部111に追従して水平方向に移動可能であって、複数の孔から不活性ガスを供給するポーラスプレート(図示せず)を設けてもよい。かかる場合、重合ウェハTを剥離するために第2の保持部111を移動させる際、第2の保持部111に追従してポーラスプレートを移動させながら、剥離により露出した被処理ウェハWの接合面Wに不活性ガスを供給する。そうすると、被処理ウェハWが加熱処理されても、被処理ウェハWの接合面W上のデバイスに酸化膜が形成されるのを抑制することができる。
【0121】
なお、以上の実施の形態の剥離装置30では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。
【0122】
以上の実施の形態では、被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する際、少なくとも第1の保持部110又は第2の保持部111を相対的に水平方向に移動させていたが、第1の保持部110と第2の保持部111を移動させる方法はこれに限定されない。例えば第2の保持部111に保持された支持ウェハSが、その外周部から中心部に向けて第1の保持部110に保持された被処理ウェハWから連続的に剥離するように、第2の保持部の外周部111を鉛直方向に移動させてもよい。
【0123】
かかる場合、剥離装置30には、上記実施の形態において第2の保持部111を移動させる移動機構150に代えて、図21に示すように第2の保持部111の下方に移動機構400が設けられる。移動機構400は、第2の保持部111を保持し、且つ第2の保持部111の外周部のみを鉛直方向に移動させる第1の鉛直移動部401と、第1の鉛直移動部401を保持し、且つ第1の鉛直移動部401と第2の保持部111を鉛直方向に移動させる第2の鉛直移動部402と、第1の鉛直移動部401、第2の鉛直移動部402及び第2の保持部111を水平方向に移動させる水平移動部403とを有している。第1の鉛直移動部401、第2の鉛直移動部402、水平移動部403は、鉛直方向に上からこの順で配置されている。
【0124】
第1の鉛直移動部401は、第2の保持部111の外周部を円環状に鉛直方向に移動させる複数、例えば6つのシリンダ410と、第2の保持部111の中央部を支持する支持柱411と、シリンダ410と支持柱411を支持する支持板412とを有している。図22に示すように6つのシリンダ410は、支持板412と同一円周上に等間隔に配置されている。また、これらシリンダ410は、第2の保持部111の外周部に対応する位置に配置されている。支持柱411は、支持板412の中央部であって、第2の保持部111の中央部に対応する位置に配置されている。すなわち、シリンダ410によって第2の保持部111の外周部が鉛直下方に移動する際、当該第2の保持部111の中央部の鉛直方向の位置が変化しないように、支持柱411が配置されている。
【0125】
第2の鉛直移動部402は、図21に示すように支持板412を昇降させる駆動部420と、支持板412を支持する支持部材421とを有している。駆動部420は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、支持部材421は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板412と水平移動部403との間に例えば3箇所に設けられている。
【0126】
水平移動部403は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有し、第1の鉛直移動部401、第2の鉛直移動部402及び第2の保持部111を水平方向に移動させることができる。
【0127】
なお、剥離装置30のその他の構成は、上記実施の形態の剥離装置30の構成と同様であるので説明を省略する。但し、本実施の形態の第2の保持部111と当該第2の保持部111の加熱機構141には、それぞれ弾性体である例えばアルミニウムが用いられる。
【0128】
かかる剥離装置30では、当該剥離装置30に搬入された重合ウェハTが、第2の保持部111に吸着保持される。その後、図23に示すように移動機構400の第2の鉛直移動部402により第2の保持部111を上昇させて、第1の保持部110と第2の保持部111で重合ウェハTを挟み込んで保持する。このとき、第1の保持部110に被処理ウェハWの非接合面Wが吸着保持され、第2の保持部111に支持ウェハSの非接合面Sが吸着保持される。
【0129】
その後、第2の保持部111に保持された支持ウェハSは、加熱機構141によって第2の温度、例えば200℃〜250℃に加熱される。この第2の温度は、接着剤Gが軟化する温度である。そして、被処理ウェハWと支持ウェハSの間の接着剤Gにおいて、支持ウェハS側の接着剤Gが軟化する。
【0130】
一方、第2の保持部111に保持された支持ウェハSを第2の温度に加熱する間、第1の保持部110に保持された被処理ウェハWは、温度調節機構124によって第1の温度、例えば23℃に温度調節される。この第1の温度は、少なくとも第2の温度よりも低く、接着剤Gが軟化しない温度である。そして、被処理ウェハWと支持ウェハSの間の接着剤Gにおいて、被処理ウェハW側の接着剤Gは軟化しない。すなわち、被処理ウェハWの接合面Wが接着剤Gに保護された状態になる。このため、被処理ウェハWの接合面Wに形成されたデバイスが酸化するのを抑制することができる。また、被処理ウェハWが低い温度である第1の温度に温度調節され、しかも被処理ウェハWの接合面Wが接着剤Gに保護された状態になるので、当該接合面Wに形成されたデバイスが損傷を受けるのを抑制することができる。なお、デバイスの酸化抑制と損傷抑制という観点からは、第1の温度は低ければ低いほど好ましいが、被処理ウェハWが結露するのを防止するため、第1の温度は17℃以上であるのが好ましい。
【0131】
続いて、加熱機構141によって支持ウェハS側の接着剤Gの軟化状態を維持しながら、図24に示すように移動機構400の第1の鉛直移動部401によって第2の保持部111の外周部のみを円環状に鉛直下方に移動させる。すなわち、シリンダ410によって第2の保持部111の外周部が鉛直下方に移動する際、第2の保持部111の中央部が支持柱411に支持され、当該第2の保持部111の中央部の鉛直方向の位置が変化しない。
【0132】
かかる場合、工程A1において、第2の保持部111に保持された支持ウェハSが、その外周部から中心部に向けて第1の保持部110に保持された被処理ウェハWから連続的に剥離される。ここで、被処理ウェハWの接合面Wには電子回路が形成されているため、被処理ウェハWと支持ウェハSを一度に剥離しようとすると、接合面W、Sに多大な荷重がかかり、接合面W上のデバイスが損傷を受けるおそれがある。この点、本実施の形態では、外周部から中心部に向けて支持ウェハSが被処理ウェハWから連続的に剥離されるので、接合面W、Sに大きな荷重がかからない。したがって、デバイスの損傷を抑制することができる。
【0133】
その後、被処理ウェハWの中心部と支持ウェハSの中心部のみが接着した状態で、図25に示すように第2の鉛直移動部402によって第2の保持部111全体を鉛直下方に移動させる。そして、支持ウェハSの外周部が鉛直下方に撓んだ状態で、支持ウェハSが被処理ウェハWから剥離される。その後、図26に示すように第1の鉛直移動部401によって第2の保持部111と支持ウェハSの外周部が鉛直上方に移動され、当該第2の保持部111と支持ウェハSが平坦化される。こうして、第1の保持部110に保持された被処理ウェハWと、第2の保持部111に保持された支持ウェハSとが剥離される。
【0134】
本実施の形態によっても、第1の保持部110によって保持された被処理ウェハWを第1の温度に調節し、第2の保持部111によって保持された支持ウェハSを第1の温度より高い第2の温度に加熱しながら、被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離することができる。このように支持ウェハS側の接着剤Gを第2の温度に加熱して軟化させることができ、被処理ウェハWと支持ウェハSを小さい荷重で容易に剥離することができるので、被処理ウェハWと支持ウェハSを適切且つ均一に剥離することができる。しかも、被処理ウェハW側の接着剤Gが第1の温度に温度調節されて軟化するのが抑制され、被処理ウェハWの接合面Wが接着剤Gに保護された状態になる。このため、被処理ウェハWの接合面Wに形成されたデバイスが酸化するのを抑制することができ、さらに当該デバイスが損傷を受けるのを抑制することができる。
【0135】
以上の実施の形態の剥離装置30には、図27及び図28に示すように被処理ウェハWと支持ウェハSの間の接着剤Gを切るワイヤ430が設けられていてもよい。ワイヤ430は、接着剤Gの厚み、例えば1000μmより小さい径、例えば300μmを有している。また、ワイヤ430には、金属製のワイヤ、例えばピアノ線が用いられる。そして、ワイヤ430は、被処理ウェハW及び支持ウェハSの面方向に接着剤Gを挿通して当該接着剤Gを切ることができる。
【0136】
第1の保持部110と第2の保持部111の外側には、ワイヤ430を送り出す送出部としての送出ロール431と、接着剤Gを挿通したワイヤ430を巻き取る巻取部としての巻取ロール432とが設けられている。送出ロール431と巻取ロール432の間で延伸するワイヤ430の延伸方向は、例えば第2の保持部111の進行方向(図28の太矢印方向)と同じである。また、送出ロール431と巻取ロール432は、移動機構(図示せず)によって、それぞれ第2の保持部111の進行方向に直交する方向に移動可能に構成されている。
【0137】
かかる場合、工程A1において、第1の保持部110と第2の保持部111が被処理ウェハWと支持ウェハSを保持した際、ワイヤ430、送出ロール431及び巻取ロール432は、それぞれ被処理ウェハWと支持ウェハSの外側に待機している。その後、第2の保持部111に保持された支持ウェハSが、加熱機構141によって第2の温度、例えば200℃〜250℃に加熱されると共に、第1の保持部110に保持された被処理ウェハWが、温度調節機構124によって第1の温度、例えば23℃に温度調節される。そうすると、支持ウェハS側の接着剤Gが軟化し、被処理ウェハW側の接着剤Gが軟化しない。
【0138】
その後、送出ロール431と巻取ロール432の間でワイヤ430を一方向に移動させながら、当該送出ロール431と巻取ロール432を被処理ウェハWと支持ウェハS側に移動させ、ワイヤ430を接着剤Gに挿通させる。そうすると、ワイヤ430によって接着剤Gが切断される。
【0139】
また、このようにワイヤ430で接着剤Gを切断する際、移動機構150によって第2の保持部111と支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向、すなわち斜め下方に移動させる。そして、第1の保持部110に保持された被処理ウェハWと、第2の保持部111に保持された支持ウェハSとが剥離される。
【0140】
本実施の形態によれば、被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する際、支持ウェハS側の接着剤Gが軟化すると共に、ワイヤ430によって接着剤Gが切断されるので、第2の保持部111をより小さい荷重で容易に移動させることができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSをさらに適切且つ均一に剥離することができ、剥離処理に要する時間をさらに短縮することもできる。しかも、被処理ウェハW側の接着剤Gが第1の温度に温度調節されて軟化するのが抑制されるので、被処理ウェハWの接合面Wに形成されたデバイスが酸化するのを抑制することができ、また当該デバイスが損傷を受けるのを抑制することができる。
【0141】
以上の実施の形態では、ワイヤ430を第2の保持部111の進行方向と同じ方向に延伸させて、当該ワイヤ430によって接着剤Gを切断したが、ワイヤ430による接着剤Gの切断方法はこれに限定されない。
【0142】
例えば図29に示すようにワイヤ430は、第2の保持部111の進行方向(図29の太矢印方向)と直交する方向に延伸していてもよい。かかる場合、送出ロール431と巻取ロール432は、移動機構(図示せず)によって、それぞれ第2の保持部111の進行方向と同じ方向に移動可能に構成されている。
【0143】
そして、工程A1において、送出ロール431と巻取ロール432の間でワイヤ430を一方向に移動させながら、当該送出ロール431と巻取ロール432を被処理ウェハWと支持ウェハS側に移動させ、ワイヤ430を接着剤Gに挿通させる。そうすると、ワイヤ430によって接着剤Gが切断される。また、このようにワイヤ430で接着剤Gを切断する際、移動機構150によって第2の保持部111と支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向、すなわち斜め下方に移動させる。そして、第1の保持部110に保持された被処理ウェハWと、第2の保持部111に保持された支持ウェハSとが剥離される。なお、本実施の形態では、ワイヤ430によって接着剤Gが切断されたが、当該ワイヤ430によって接着剤Gに切れ目を形成してもよい。
【0144】
かかる場合においても、被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する際、支持ウェハS側の接着剤Gが軟化すると共に、ワイヤ430によって接着剤Gが切断されるので、第2の保持部111をより小さい荷重で容易に移動させることができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSをさらに適切且つ均一に剥離することができ、剥離処理に要する時間をさらに短縮することもできる。しかも、被処理ウェハW側の接着剤Gが第1の温度に温度調節されて軟化するのが抑制されるので、被処理ウェハWの接合面Wに形成されたデバイスが酸化するのを抑制することができ、また当該デバイスが損傷を受けるのを抑制することができる。
【0145】
以上の実施の形態の剥離装置30において、図30に示すように送出ロール431と重合ウェハTの間に、溶剤供給部としての溶剤ノズル440が設けられていてもよい。溶剤ノズル440は、接着剤Gを挿通する前のワイヤ430に接着剤Gの溶剤(有機溶剤)を供給する。かかる場合、ワイヤ430に接着剤Gの溶剤が付着しているので、ワイヤ430による接着剤Gの切断をより容易に行うことができる。したがって、第2の保持部111をより小さい荷重で容易に移動させることができるので、被処理ウェハWと支持ウェハSをさらに適切且つ均一に剥離することができ、剥離処理に要する時間をさらに短縮することもできる。
【0146】
以上の実施の形態の剥離装置30において、図31に示すように送出ロール431と重合ウェハTの間に、加熱部450が設けられていてもよい。加熱部450はワイヤ430に電流を流すことができ、この電流によってワイヤ430は熱線となる。そして、送出ロール431から送出されたワイヤ430は、加熱部450によって所定の温度に加熱される。そうすると、ワイヤ430による接着剤Gの切断をより容易に行うことができる。したがって、第2の保持部111をより小さい荷重で容易に移動させることができるので、被処理ウェハWと支持ウェハSをさらに適切且つ均一に剥離することができ、剥離処理に要する時間をさらに短縮することもできる。なお、このようにワイヤ430を加熱している間も、第1の保持部110に保持された被処理ウェハWは温度調節機構124によって第1の温度に温度調節されている。したがって、ワイヤ430からの熱が被処理ウェハWに伝わることがなく、被処理ウェハWの接合面Wに形成されたデバイスが酸化するのを抑制し、またデバイスが損傷を受けるのを抑制することができる。
【0147】
なお、上記実施の形態では、加熱部450はワイヤ430に電流を流していたが、加熱部450には種々の加熱手段が用いられる。例えば加熱部450には、ヒータを用いてもよい。
【0148】
また、剥離装置30には、上述した溶剤ノズル440と加熱部450が共に設けられていてもよい。
【0149】
以上の実施の形態の剥離装置30において、接着剤Gを挿通した後であって、巻取ロール432に巻き取られる前のワイヤ430を洗浄してもよい。
【0150】
例えば図32に示すように、重合ウェハTと巻取ロール432の間において、ワイヤ430に接着剤Gの溶剤を供給する、洗浄部としての溶剤ノズル460が設けられていてもよい。かかる場合、接着剤Gを挿通した後であって巻取ロール432に巻き取られる前のワイヤ430に、溶剤ノズル460から接着剤Gの溶剤が供給される。そうすると、ワイヤ430に付着した接着剤Gが除去され、ワイヤ430が洗浄される。なお、溶剤ノズル460に代えて、接着剤Gの溶剤を貯留し、ワイヤ430を浸漬させて接着剤Gを除去する溶剤槽(図示せず)を設けてもよい。
【0151】
また、例えば図33に示すように、重合ウェハTと巻取ロール432の間において、ワイヤ430に接触する洗浄部としてのブラシ470が設けられていてもよい。かかる場合、接着剤Gを挿通した後であって巻取ロール432に巻き取られる前のワイヤ430に、ブラシ470が接触する。そうすると、ワイヤ430に付着した接着剤Gが除去され、ワイヤ430が洗浄される。
【0152】
溶剤ノズル460又はブラシ470を設けるいずれの場合においても、巻取ロール432に巻き取られる前のワイヤ430を洗浄することができるので、巻取ロール432のワイヤ430を再利用することができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理にかかるコストを低廉化することができる。なお、剥離装置30には、上述した溶剤ノズル460とブラシ470が共に設けられていてもよい。
【0153】
以上の実施の形態では、被処理ウェハWと支持ウェハSの間の接着剤Gを切断する際にワイヤ430を用いていたが、ワイヤ430に代えて、例えばレーザ光を用いてもよい。
【0154】
剥離装置30には、図34及び図35に示すようにレーザ光照射部480が設けられている。レーザ光照射部480は、内部にレンズやミラーを内蔵し、これらを用いて集光したレーザ光481を照射することができる。レーザ光481は、接着剤Gの厚み、例えば1000μmより小さい径、例えば300μmを有している。また、レーザ光照射部480は、移動機構(図示せず)によって、第2の保持部111の進行方向に直交する方向に移動可能に構成されている。そして、レーザ光照射部480から被処理ウェハWと支持ウェハSの間の接着剤Gに照射されたレーザ光481は、被処理ウェハW及び支持ウェハSの面方向に接着剤Gを挿通して当該接着剤Gを切ることができる。
【0155】
かかる場合、レーザ光照射部480を第2の保持部111の進行方向に直交する方向に移動させながら、当該レーザ光照射部480からレーザ光481を接着剤Gに照射して挿通させる。そうすると、レーザ光481によって接着剤Gが切断される。また、このようにレーザ光481によって接着剤Gを切断する際、移動機構150によって第2の保持部111と支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向、すなわち斜め下方に移動させる。そして、第1の保持部110に保持された被処理ウェハWと、第2の保持部111に保持された支持ウェハSとが剥離される。
【0156】
本実施の形態によっても、ワイヤ430を設けた場合と同様に、被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離する際、支持ウェハS側の接着剤Gが軟化すると共に、レーザ光481よって接着剤Gが切断されるので、第2の保持部111をより小さい荷重で容易に移動させることができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSをさらに適切且つ均一に剥離することができ、剥離処理に要する時間をさらに短縮することができる。
【0157】
次に、剥離装置30の別の実施の形態について説明する。剥離装置30は、図36に示すように、内部を密閉可能な処理容器500を有している。処理容器500の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0158】
処理容器500の底面には、当該処理容器500の内部の雰囲気を排気する排気口501が形成されている。排気口501には、例えば真空ポンプなどの排気装置502に連通する排気管503が接続されている。
【0159】
処理容器500の内部には、被処理ウェハWを下面で吸着保持する第1の保持部510と、支持ウェハSを上面で載置して保持する第2の保持部511とが設けられている。第1の保持部510は、第2の保持部511の上方に設けられ、第2の保持部511と対向するように配置されている。すなわち、処理容器100の内部では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、重合ウェハTに剥離処理が行われる。
【0160】
第1の保持部510には、例えばポーラスチャックが用いられている。第1の保持部510は、平板状の本体部520を有している。本体部520の下面側には、多孔質体であるポーラス521が設けられている。ポーラス521は、例えば被処理ウェハWとほぼ同じ径を有し、当該被処理ウェハWの非接合面Wと当接している。なお、ポーラス521としては例えば炭化ケイ素が用いられる。
【0161】
また、本体部520の内部であってポーラス521の上方には吸引空間522が形成されている。吸引空間522は、例えばポーラス521を覆うように形成されている。吸引空間522には、吸引管523が接続されている。吸引管523は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。そして、吸引管523から吸引空間522とポーラス521を介して被処理ウェハの非接合面Wが吸引され、当該被処理ウェハWが第1の保持部510に吸着保持される。
【0162】
第1の保持部510の上面には、当該第1の保持部510を支持する支持板530が設けられている。支持板530は、処理容器100の天井面に支持されている。なお、本実施の形態の支持板530を省略し、第1の保持部510は処理容器500の天井面に当接して支持されてもよい。
【0163】
第2の保持部511の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管540が設けられている。吸引管540は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
【0164】
第2の保持部511の下方には、第2の保持部511及び支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構550が設けられている。移動機構550は、第2の保持部511を鉛直方向に移動させる鉛直移動部551と、第2の保持部511を水平方向に移動させる水平移動部552とを有している。水平移動部552は、駆動部(図示せず)によって、水平方向に移動可能に構成されている。
【0165】
鉛直移動部551は、第2の保持部511の下面を支持する支持板560と、支持板560を昇降させて第1の保持部510と第2の保持部511を鉛直方向に接近、離隔させる駆動部561と、支持板560を支持する支持部材562とを有している。駆動部561は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、支持部材562は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板160と水平移動部552との間に例えば3箇所に設けられている。
【0166】
処理容器500の内部には、被処理ウェハWと支持ウェハSの間の接着剤Gを切るワイヤ570が設けられていてもよい。ワイヤ570は、接着剤Gの厚み、例えば1000μmより小さい径、例えば300μmを有している。また、ワイヤ570には、金属製のワイヤ、例えばピアノ線が用いられる。そして、ワイヤ570は、被処理ウェハW及び支持ウェハSの面方向に接着剤Gを挿通して当該接着剤Gを切ることができる。
【0167】
第1の保持部510と第2の保持部511の外側には、ワイヤ570を送り出す送出部としての送出ロール571と、接着剤Gを挿通したワイヤ570を巻き取る巻取部としての巻取部572とが設けられている。送出ロール571と巻取ロール572は、図37に示すように移動機構(図示せず)によって、それぞれワイヤ570の延伸方向に直交する方向に移動可能に構成されている。
【0168】
なお、第2の保持部511の下方には、重合ウェハT又は支持ウェハSを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは第2の保持部511に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、第2の保持部511の上面から突出可能になっている。
【0169】
かかる場合、工程A1において、剥離装置30に搬入された重合ウェハTは、第2の保持部511に吸着保持される。その後、移動機構550により第2の保持部511を上昇させて、第1の保持部510と第2の保持部511で重合ウェハTを挟み込んで保持する。このとき、第1の保持部510に被処理ウェハWの非接合面Wが吸着保持され、第2の保持部511に支持ウェハSの非接合面Sが吸着保持される。また、このとき、ワイヤ570、送出ロール571及び巻取ロール572は、それぞれ被処理ウェハWと支持ウェハSの外側に待機している。
【0170】
その後、図38に示すように送出ロール571と巻取ロール572の間でワイヤ570を一方向に移動させながら、当該送出ロール571と巻取ロール572を被処理ウェハWと支持ウェハS側に移動させ、ワイヤ570を接着剤Gに挿通させる。そうすると、ワイヤ570によって接着剤Gが切断される。
【0171】
その後、ワイヤ570によって接着剤Gが切断されると、図39に示すように移動機構550によって第2の保持部511と支持ウェハSを鉛直下方に移動させる。そして、第1の保持部510に保持された被処理ウェハWと、第2の保持部511に保持された支持ウェハSとが剥離される。
【0172】
なお、その他の工程A2〜A11については、上記実施の形態の工程A2〜A11と同様であるので説明を省略する。
【0173】
本実施の形態によれば、ワイヤ570によって接着剤Gを切断した後、第2の保持部511を鉛直下方に移動させ、被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離することができる。このため、被処理ウェハWと支持ウェハSを極めて小さい荷重で容易に剥離することができる。したがって、被処理ウェハWが損傷を受けるのを抑制し、被処理ウェハWと支持ウェハSを適切且つ均一に剥離することができる。さらに、従来よりも剥離処理に要する時間を短縮することもできる。しかも、被処理ウェハWを加熱していないので、被処理ウェハWの接合面Wに形成されたデバイスが酸化するのを防止することができる。また、当該被処理ウェハWの接合面Wに形成されたデバイスが損傷を受けるのを抑制することもできる。以上より本実施の形態によれば、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理を適切且つ効率よく行うことができる。
【0174】
なお、以上の実施の形態では、ワイヤ570によって接着剤Gを切断した後、第2の保持部511を鉛直下方に移動させたが、ワイヤ570によって接着剤Gを切断しながら、第2の保持部511を鉛直下方に移動させてもよい。かかる場合でも、被処理ウェハWと支持ウェハSを小さい荷重で容易に剥離することができる。
【0175】
以上の実施の形態では、ワイヤ570、送出ロール571及び巻取ロール572は、それぞれ1つずつ設けられていたが、複数設けられてもよい。例えば図40に示すように、ワイヤ570、送出ロール571及び巻取ロール572は、2つずつ設けられていてもよい。かかる場合、ワイヤ570による接着剤Gの切断をより迅速に行うことができ、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理に要する時間をさらに短縮することができる。
【0176】
また、以上の実施の形態では、ワイヤ570によって接着剤Gを切断していたが、ワイヤ570によって接着剤Gに切れ目を形成してもよい。そして、接着剤Gに切れ目が形成された状態で、第2の保持部511を鉛直下方に移動させる。かかる場合でも、被処理ウェハWと支持ウェハSを小さい荷重で容易に剥離することができる。
【0177】
以上の実施の形態のワイヤ570に対して、図30に示した溶剤ノズル440を設けてもよい。かかる場合、送出ロール571から送出されて接着剤Gを挿通する前のワイヤ570に対して、溶剤ノズル440から接着剤Gの溶剤を供給する。そして、ワイヤ570に接着剤Gの溶剤が付着しているので、ワイヤ430による接着剤Gの切断をより容易に行うことができる。
【0178】
また、以上の実施の形態のワイヤ570に対して、図31に示した加熱部450を設けてもよい。加熱部450には、例えばワイヤ570に電流を流して当該ワイヤ570を加熱するものを用いてもよいし、例えばヒータを用いてもよい。そして、送出ロール571から送出されたワイヤ570は、加熱部450によって所定の温度に加熱される。そうすると、ワイヤ570による接着剤Gの切断をより容易に行うことができる。なお、加熱部450の熱によって被処理ウェハWが加熱されるのを防止するため、被処理ウェハWを保持する第1の保持部110に温度調節機構(図示せず)を設けてもよい。この温度調節機構には、上記実施の形態における温度調節機構124と同様のものを用いてもよい。
【0179】
なお、剥離装置30には、上述した溶剤ノズル440と加熱部450が共に設けられていてもよい。
【0180】
また、以上の実施の形態のワイヤ570に対して、図32に示した溶剤ノズル460を設けてもよい。かかる場合、接着剤Gを挿通した後であって巻取ロール572に巻き取られる前のワイヤ570に対して、溶剤ノズル460から接着剤Gの溶剤が供給される。そうすると、ワイヤ570に付着した接着剤Gが除去され、ワイヤ570が洗浄される。
【0181】
また、以上の実施の形態のワイヤ570に対して、図33に示したブラシ470を設けてもよい。かかる場合、接着剤Gを挿通した後であって巻取ロール572に巻き取られる前のワイヤ570に、ブラシ470が接触する。そうすると、ワイヤ570に付着した接着剤Gが除去され、ワイヤ570が洗浄される。
【0182】
いずれの場合においても、巻取ロール572に巻き取られる前のワイヤ570を洗浄することができるので、巻取ロール572のワイヤ570を再利用することができる。したがって、被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理にかかるコストを低廉化することができる。なお、剥離装置30には、上述した溶剤ノズル460とブラシ470が共に設けられていてもよい。
【0183】
以上の実施の形態のワイヤ570に代えて、図34及び図35に示したレーザ光照射部480を用いてもよい。レーザ光照射部480から照射されるレーザ光481は、接着剤Gの厚み、例えば1000μmより小さい径、例えば300μmを有している。また、レーザ光照射部480は、移動機構(図示せず)によって、第2の保持部511の進行方向に直交する方向に移動可能に構成されている。そして、レーザ光照射部480から被処理ウェハWと支持ウェハSの間の接着剤Gに照射されたレーザ光481は、被処理ウェハW及び支持ウェハSの面方向に接着剤Gを挿通して当該接着剤Gを切ることができる。
【0184】
かかる場合においても、ワイヤ570を設けた場合と同様に、レーザ光照射部480から照射されたレーザ光481によって接着剤Gを切断した後、第2の保持部511を鉛直下方に移動させ、被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離することができる。このため、被処理ウェハWと支持ウェハSを極めて小さい荷重で容易に剥離することができる。したがって、被処理ウェハWが損傷を受けるのを抑制し、被処理ウェハWと支持ウェハSを適切且つ均一に剥離することができる。さらに、従来よりも剥離処理に要する時間を短縮することもできる。
【0185】
以上の実施の形態では、第1の洗浄装置31、第2の洗浄装置32、接合面洗浄装置40、非接合面洗浄装置41の洗浄液ノズル202には2流体ノズルが用いられていたが、洗浄液ノズル202の形態は本実施の形態に限定されず種々のノズルを用いることができる。例えば洗浄液ノズル202として、有機溶剤を供給するノズルと不活性ガスを供給するノズルとを一体化したノズル体や、スプレーノズル、ジェットノズル、メガソニックノズルなどを用いてもよい。また、洗浄処理のスループットを向上させるため、例えば80℃に加熱された洗浄液を供給してもよい。
【0186】
また、第1の洗浄装置31、第2の洗浄装置32、接合面洗浄装置40、非接合面洗浄装置413において、洗浄液ノズル202に加えて、IPA(イソプロピルアルコール)を供給するノズルを設けてもよい。かかる場合、洗浄液ノズル202からの洗浄液によって被処理ウェハW又は支持ウェハSを洗浄した後、被処理ウェハW又は支持ウェハS上の洗浄液をIPAに置換する。そうすると、被処理ウェハW又は支持ウェハSの接合面W、Sがより確実に洗浄される。
【0187】
また、検査装置7の構成は上記実施の形態の構成に限定されない。検査装置7は、被処理ウェハWの画像を撮像して、当該被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無が検査できれば、種々の構成を取り得る。
【0188】
以上の実施の形態の重合ウェハTには、当該重合ウェハTの損傷を抑制するための保護部材、例えばダイシングフレーム(図示せず)が設けられていてもよい。ダイシングフレームは、被処理ウェハW側に設けられている。そして、被処理ウェハWが支持ウェハSから剥離された後も、薄型化された被処理ウェハWはダイシングフレームに保護された状態で、所定の処理や搬送が行われる。したがって、剥離後の被処理ウェハWの損傷を抑制することができる。
【0189】
以上の実施の形態では、後処理ステーション4において被処理ウェハWに後処理を行い製品化する場合について説明したが、本発明は、例えば3次元集積技術で用いられる被処理ウェハを支持ウェハから剥離する場合にも適用することができる。なお、3次元集積技術とは、近年の半導体デバイスの高集積化の要求に応えた技術であって、高集積化した複数の半導体デバイスを水平面内で配置する代わりに、当該複数の半導体デバイスを3次元に積層する技術である。この3次元集積技術においても、積層される被処理ウェハの薄型化が求められており、当該被処理ウェハを支持ウェハに接合して所定の処理が行われる。
【0190】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0191】
1 剥離システム
2 搬入出ステーション
3 処理ステーション
20 第1の搬送装置
30 剥離装置
31 第1の洗浄装置
32 第2の搬送装置
110 第1の保持部
111 第2の保持部
124 温度調節機構
141 加熱機構
150 移動機構
151 鉛直移動部
152 水平移動部
350 制御部
400 移動機構
401 第1の鉛直移動部
402 第2の鉛直移動部
403 水平移動部
430 ワイヤ
431 送出ロール
432 巻取ロール
440 溶剤ノズル
450 加熱部
460 溶剤ノズル
470 ブラシ
480 レーザ光照射部
481 レーザ光
G 接着剤
S 支持ウェハ
T 重合ウェハ
W 被処理ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置であって、
被処理基板を第1の温度に調節する温度調節機構を備え、且つ当該被処理基板を保持する第1の保持部と、
支持基板を前記第1の温度よりも高い第2の温度に加熱する加熱機構を備え、且つ当該支持基板を保持する第2の保持部と、
少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に移動させる移動機構と、を有することを特徴とする、剥離装置。
【請求項2】
前記第1の温度は、被処理基板と支持基板の間の接着剤が軟化しない温度であって、
前記第2の温度は、被処理基板と支持基板の間の接着剤が軟化する温度であることを特徴とする、請求項1に記載の剥離装置。
【請求項3】
前記移動機構は、少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の剥離装置。
【請求項4】
前記移動機構は、前記第2の保持部に保持された支持基板が、その外周部から中心部に向けて前記第1の保持部に保持された被処理基板から連続的に剥離するように、前記第2の保持部の外周部を保持して鉛直方向に移動させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の剥離装置。
【請求項5】
被処理基板と支持基板の間の接着剤の厚みより小さい径を有し、被処理基板及び支持基板の面方向に接着剤を挿通して当該接着剤を切るワイヤと、
前記ワイヤを送り出す送出部と、
前記送出部から送り出され、接着剤を挿通した前記ワイヤを巻き取る巻取部と、を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項6】
前記送出部と前記巻取部の間に設けられ、接着剤を挿通する前の前記ワイヤに接着剤の溶剤を供給する溶剤供給部を有することを特徴とする、請求項5に記載の剥離装置。
【請求項7】
前記送出部と前記巻取部の間に設けられ、接着剤を挿通する前の前記ワイヤを加熱する加熱部を有することを特徴とする、請求項5又は6に記載の剥離装置。
【請求項8】
前記加熱部は、前記ワイヤに電流を流すことを特徴とする、請求項7に記載の剥離装置。
【請求項9】
前記送出部と前記巻取部の間に設けられ、接着剤を挿通した前記ワイヤを洗浄する洗浄部を有することを特徴とする、請求項5〜8のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項10】
前記洗浄部は、接着剤を挿通した前記ワイヤに接着剤の溶剤を供給することを特徴とする、請求項9に記載の剥離装置。
【請求項11】
前記洗浄部は、接着剤を挿通した前記ワイヤに接触して接着剤を除去することを特徴とする、請求項9又は10に記載の剥離装置。
【請求項12】
被処理基板と支持基板の間の接着剤の厚みより小さい径を有するレーザ光であって、被処理基板及び支持基板の面方向に接着剤を挿通するレーザ光を照射するレーザ光照射部を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の剥離装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかに記載の剥離装置を備えた剥離システムであって、
前記剥離装置と、前記剥離装置で剥離された被処理基板を洗浄する第1の洗浄装置と、前記剥離装置で剥離された支持基板を洗浄する第2の洗浄装置と、を備えた処理ステーションと、
前記処理ステーションに対して、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬入出する搬入出ステーションと、
前記処理ステーションと前記搬入出ステーションとの間で、被処理基板、支持基板又は重合基板を搬送する搬送装置と、を有することを特徴とする、剥離システム。
【請求項14】
被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離方法であって、
第1の保持部によって保持された被処理基板を第1の温度に調節し、第2の保持部によって保持された支持基板を前記第1の温度より高い第2の温度に加熱しながら、少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に移動させ、被処理基板と支持基板を剥離することを特徴とする、剥離方法。
【請求項15】
前記第1の温度は、被処理基板と支持基板の間の接着剤が軟化しない温度であって、
前記第2の温度は、被処理基板と支持基板の間の接着剤が軟化する温度であることを特徴とする、請求項14に記載の剥離方法。
【請求項16】
少なくとも前記第1の保持部又は前記第2の保持部を相対的に水平方向に移動させて、被処理基板と支持基板を剥離することを特徴とする、請求項14又は15に記載の剥離方法。
【請求項17】
前記第2の保持部の外周部を鉛直方向に移動させ、外周部から中心部に向けて支持基板を被処理基板から連続的に剥離し、
その後、第2の保持部全体を鉛直方向に移動させ、被処理基板と支持基板を剥離することを特徴とする、請求項14又は15に記載の剥離方法。
【請求項18】
被処理基板と支持基板の間の接着剤の厚みより小さい径を有するワイヤを送出部と巻取部の間で一方向に移動させながら、被処理基板及び支持基板の面方向に前記ワイヤを接着剤に挿通させて当該接着剤を切ることを特徴とする、14〜17のいずれかに記載の剥離方法。
【請求項19】
前記送出部から送り出された後であって接着剤を挿通する前の前記ワイヤに接着剤の溶剤を供給することを特徴とする、請求項18に記載の剥離方法。
【請求項20】
前記送出部から送り出された後であって接着剤を挿通する前の前記ワイヤを加熱することを特徴とする、請求項18又は19に記載の剥離方法。
【請求項21】
前記ワイヤの加熱は、当該ワイヤに電流を流すことによって行われることを特徴とする、請求項20に記載の剥離方法。
【請求項22】
接着剤を挿通した後であって前記巻取部に巻き取られる前の前記ワイヤを洗浄することを特徴とする、請求項18〜21のいずれかに記載の剥離方法。
【請求項23】
前記ワイヤの洗浄は、当該ワイヤに接着剤の溶剤を供給して行われることを特徴とする、請求項22に記載の剥離方法。
【請求項24】
前記ワイヤの洗浄は、当該ワイヤにブラシを接触させて行われることを特徴とする、請求項22又は23に記載の剥離方法。
【請求項25】
被処理基板と支持基板の間の接着剤の厚みより小さい径を有するレーザ光を、被処理基板及び支持基板の面方向に接着剤に挿通させて当該接着剤を切ることを特徴とする、14〜17のいずれかに記載の剥離方法。
【請求項26】
請求項14〜25のいずかに記載の剥離方法を剥離装置によって実行させるために、当該剥離装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項27】
請求項26に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【公開番号】特開2013−98366(P2013−98366A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240053(P2011−240053)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】