説明

加圧装置、加圧方法およびデバイス

【課題】被加圧物の相互間の離間距離をより正確に制御することが可能な加圧技術を提供する。
【解決手段】加圧装置1は、ステージ12、ヘッド22、測距センサ33、およびピエゾアクチュエータ31等を備える。ステージ12およびヘッド22は、Z方向に離間して対向するとともにZ方向に相対移動可能である。ステージ12の加圧面とヘッド22の加圧面との間には両被加圧物91,92が介装される。両被加圧物91,92はその相互間に流動可能物質層(熱硬化性樹脂等)を挟んで配置される。測距センサ33等によって、両被加圧物91,92のZ方向における相互間距離が、XY平面に平行な平面内での複数の位置(例えば3つの位置)において測定される。そして、それらの測定結果に基づいて、当該複数の位置における相互間距離がそれぞれ目標値に近づくように、ステージ12の加圧面とヘッド22の加圧面とが相対的に移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加圧物を加圧する加圧装置およびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの被加圧物を接触させて加圧する技術が存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、モールド(原版)と基材とを平行に維持しつつ加圧し、モールドの凹凸パターンを基材上の樹脂層に転写するナノインプリント技術(微細転写技術)が記載されている。
【0004】
上記の特許文献1においては、2つの被加圧物(モールドおよび基材)を対向保持する2つの保持ツールの相互間に作用する圧力を、3つの圧力検出素子を用いて測定することによって、当該2つの保持ツールの相互間の傾きを検出し、当該傾きを補正することが記載されている。この技術は、互いに異なる位置における3つの圧力検出素子の圧力測定値が均等になるように2つの保持ツールの相対的な傾きを補正するものである。このような技術によれば、2つの保持ツール(ひいては2つの被加圧物)を平行に配置することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−116602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように特許文献1に記載の技術を用いれば、両被加圧物を平行に保つことは可能である。しかしながら、特許文献1に記載の技術を用いたとしても、2つの保持ツール(加圧部材とも称される)の相互間の離間距離、ひいては2つの被加圧物の相互間の離間距離を正確に制御することは容易ではない。
【0007】
たとえば、2つの被加圧物(モールドおよび基材)の相互間に流動性を有する樹脂層(光硬化性樹脂層等)を挟んだ状態でこれらの被加圧物を加圧する場合においては、両被加圧物を平行に保つとともに、両被加圧物の相互間の離間距離(端的に言えば隙間)を適正な値に制御することが望まれる。
【0008】
ところが、このような場合に特許文献1に記載の技術を用いたとしても、(両被加圧物を平行に保つことは可能であるが、)両被加圧物に挟まれた樹脂層が流動性を有するため、両被加圧物の相互間の離間距離を適正な値に制御することは容易ではない。
【0009】
なお、このような事情は、ナノインプリント技術だけでなく、その他の接合技術等にも存在する。
【0010】
そこで、この発明の課題は、2つの被加圧物の相互間の離間距離をより正確に制御することが可能な加圧技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、加圧装置であって、所定方向に離間して対向するとともに前記所定方向に相対移動可能な第1および第2の加圧部材と、前記第1の加圧部材の加圧面と前記第2の加圧部材の加圧面との間に介装される第1および第2の被加圧物であって相互間に流動可能物質層を挟んで配置される第1および第2の被加圧物の前記所定方向における相互間距離を、前記所定方向を法線方向とする平面内での複数の位置において測定する測定手段と、前記測定手段による測定結果に基づいて、前記複数の位置における前記相互間距離がそれぞれ目標値に近づくように、前記第1の加圧部材の加圧面と前記第2の加圧部材の加圧面とを相対的に移動する駆動手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る加圧装置において、前記複数の位置は、前記平面内での非同一直線上の3つの位置を含むことを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係る加圧装置において、前記駆動手段は、互いに独立して前記所定方向に伸縮する3つのピエゾアクチュエータを有し、前記3つのピエゾアクチュエータは、前記平面内での非同一直線上の互いに異なる位置に配置されることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る加圧装置において、前記測定手段は、前記第1の加圧部材における第1の位置と前記第2の加圧部材における第2の位置との前記所定方向における距離を計測する測距センサを有し、前記測距センサによる測定値と前記第1の被加圧物の前記所定方向における厚さと前記第2の被加圧物の前記所定方向における厚さとに基づいて前記相互間距離を測定することを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4の発明に係る加圧装置において、前記測定手段は、前記測距センサによる測定値と、前記第1の位置と前記第1の加圧部材の加圧面との前記所定方向における変位と、前記第2の位置と前記第2の加圧部材の加圧面との前記所定方向における変位と、前記第1の被加圧物の前記所定方向における厚さと、前記第2の被加圧物の前記所定方向における厚さとに基づいて、前記相互間距離を測定することを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項4または請求項5の発明に係る加圧装置において、前記第1の被加圧物の前記所定方向における厚さと前記第2の被加圧物の前記所定方向における厚さとを予め測定したデータを記憶する記憶部、を備え、前記測定手段は、前記記憶部に記憶された前記データに基づいて、前記相互間距離を測定することを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係る加圧装置において、前記第1の被加圧物および前記第2の被加圧物の少なくとも一方は、透光性部材を有し、前記第1の被加圧物は、前記第2の被加圧物に対向する第1の対向面に第1の反射面を有し、前記第2の被加圧物は、前記第1の被加圧物に対向する第2の対向面に第2の反射面を有し、前記測定手段は、前記透光性部材を透過し前記第1の反射面で反射された後に再び前記透光性部材を通過して復帰する光を用いて、基準位置から前記第1の反射面までの前記所定方向における距離である第1の距離を計測し、前記透光性部材を透過し前記第2の反射面で反射された後に再び前記透光性部材を通過して復帰する光を用いて、前記基準位置から前記第2の反射面までの前記所定方向における距離である第2の距離を計測し、前記第1の距離と前記第2の距離との差に基づいて、前記相互間距離を求めることを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項7の発明に係る加圧装置において、前記測定手段は、前記平面に平行な方向に移動可能な測距センサを有し、前記測距センサは、前記平面に平行な方向に移動して、前記複数の位置のそれぞれにおいて前記第1の距離と前記第2の距離とを測定することを特徴とする。
【0019】
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかの発明に係る加圧装置において、前記測定手段は、3つの測距センサを有し、前記3つの測距センサを用いて、前記平面内における非同一直線上の互いに異なる位置で前記相互間距離をそれぞれ測定することを特徴とする。
【0020】
請求項10の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれかの発明に係る加圧装置において、前記流動可能物質層は、熱硬化性樹脂材料および光硬化性樹脂材料のいずれかの樹脂材料で形成される層であり、前記加圧装置は、前記相互間距離の目標値に対する誤差がそれぞれ許容範囲内に収まっている状態において、流動性を有していた前記樹脂材料を硬化させる硬化手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0021】
請求項11の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかの発明に係る加圧装置において、前記流動可能物質層は、金属バンプ層であり、前記加圧装置は、前記相互間距離の目標値に対する誤差がそれぞれ許容範囲内に収まっている状態において、熱溶融されていた前記金属バンプ層を冷却して硬化させる硬化手段、をさらに備えることを特徴とする。
【0022】
請求項12の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかの発明に係る加圧装置において、前記第1および第2の被加圧物は、それぞれ、基板であり、前記測定手段は、相互間に樹脂材料を挟んで配置される前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との前記所定方向における相互間距離を、前記平面内の複数の位置において測定することを特徴とする。
【0023】
請求項13の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかの発明に係る加圧装置において、前記第1および第2の被加圧物の一方は基板であり且つ他方はチップであり、前記測定手段は、相互間に金属バンプ層を挟んで配置される前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との前記所定方向における相互間距離を、前記平面内の複数の位置において測定することを特徴とする。
【0024】
請求項14の発明は、請求項1ないし請求項9のいずれかの発明に係る加圧装置において、前記第1および第2の被加圧物の一方はモールドであり且つ他方は基板であり、前記測定手段は、光硬化性樹脂材料および熱硬化性樹脂材料のいずれかを相互間に挟んで配置される前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との前記所定方向における相互間距離を、前記平面内の複数の位置において測定することを特徴とする。
【0025】
請求項15の発明は、請求項1ないし請求項14のいずれかの発明に係る加圧装置において、前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との相互間に作用する力を検出する検出手段、をさらに備え、前記駆動手段は、前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との加圧期間中において、前記検出手段による検出値が所定の値に近づくように、前記第1の加圧部材の加圧面と前記第2の加圧部材の加圧面とを相対的に移動することを特徴とする。
【0026】
請求項16の発明は、請求項1ないし請求項15のいずれかの発明に係る加圧装置において、前記相互間距離に関する前記目標値は、前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との加圧期間中において、経時変化する値に設定されることを特徴とする。
【0027】
請求項17の発明は、請求項16の発明に係る加圧装置において、前記目標値は、前記加圧期間中における前記流動可能物質層の厚さの変動に基づいて定められるものであることを特徴とする。
【0028】
請求項18の発明は、加圧方法であって、a)所定方向に離間して対向する第1および第2の加圧部材の相互間に介装される第1および第2の被加圧物であって相互間に流動可能物質層を挟んで配置される第1および第2の被加圧物の前記所定方向における相互間距離を、前記所定方向を法線方向とする平面内での複数の位置において測定するステップと、b)前記ステップa)による測定結果に基づいて、前記複数の位置における前記相互間距離がそれぞれ目標値に近づくように、前記第1の加圧部材の加圧面と前記第2の加圧部材の加圧面とを相対的に移動するステップと、を備えることを特徴とする。
【0029】
請求項19の発明は、請求項18の発明に係る加圧方法を用いて生成されたデバイスであることを特徴とする。
【0030】
請求項20の発明は、加圧装置であって、所定方向に離間して対向するとともに前記所定方向に相対移動可能な第1および第2の保持部材と、前記第1の保持部材に保持された第1の被加圧物と前記第2の保持部材に保持された第2の被加圧物との前記所定方向における相互間距離を、前記所定方向を法線方向とする平面内での複数の位置において測定する測定手段と、前記測定手段による測定結果に基づいて、前記複数の位置における前記相互間距離がそれぞれ目標値に近づくように、前記第1の加圧部材の加圧面と前記第2の加圧部材の加圧面とを相対的に移動する駆動手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
請求項1ないし請求項20に記載の発明によれば、被加圧物の相互間の離間距離をより正確に制御することが可能である。
【0032】
特に、請求項6に記載の発明によれば、各被加圧物の厚さに関する個別の測定データを使用することによって、相互間の離間距離をさらに正確に求めることが可能である。
【0033】
また特に、請求項7に記載の発明によれば、被加圧物の相互間の離間距離を直接的に求めることが可能である。
【0034】
また特に、請求項15の発明によれば、第1の被加圧物と第2の被加圧物との相互間に作用する力に関する検出値が所定の値に近づくように、第1の加圧部材の加圧面と第2の加圧部材の加圧面とが相対的に移動されるので、被加圧物に過大な力が作用することを防止することが可能である。
【0035】
また特に、請求項16の発明によれば、相互間距離に関する目標値は、第1の被加圧物と第2の被加圧物との加圧期間中において経時変化する値に設定されるので、当該相互間距離をより適切に制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】第1実施形態に係る加圧装置を示す縦断面図である。
【図2】ステージおよびヘッド付近の概要を示す斜視図である。
【図3】ヘッド付近を示す平面図である。
【図4】コントローラの機能ブロック図である。
【図5】データ記憶部内のデータテーブルの一例を示す図である。
【図6】アライメント動作が完了した状態を示す図である。
【図7】図6における両被加圧物付近をさらに拡大して示す図である。
【図8】非平行離間状態を示す図である。
【図9】平行離間状態を示す図である。
【図10】樹脂層と上側の被接合物とが接触している状態を示す図である。
【図11】相互間距離が調整された平行配置状態を示す図である。
【図12】変形例を示す図である。
【図13】第2実施形態における被加圧物等を示す図である。
【図14】別の変形例を示す図である。
【図15】第3実施形態に係る加圧装置を示す縦断面図である。
【図16】非平行離間状態を示す図である。
【図17】平行離間状態を示す図である。
【図18】樹脂層とモールドとが接触している状態を示す図である。
【図19】相互間距離が調整された平行配置状態を示す図である。
【図20】UV照射状態を示す図である。
【図21】光硬化性樹脂が硬化した状態を示す図である。
【図22】第4実施形態に係る加圧装置のステージ付近を示す図である。
【図23】ヘッドのZ位置および姿勢の調整後の状態を示す図である。
【図24】ステージ付近を下側から見た平面図である。
【図25】第5実施形態に係る加圧装置のステージ付近を示す図である。
【図26】ステージ付近を下側から見た平面図である。
【図27】変形例に係る加圧装置のステージ付近を示す図である。
【図28】変形例に係る加圧装置のステージ付近を示す図である。
【図29】ヘッド付近を示す平面図である。
【図30】硬化期間の開始時点における両被加圧物付近の様子を示す図である。
【図31】硬化期間の終了時点における両被加圧物付近の様子を示す図である。
【図32】樹脂層の厚さの経時変化曲線(測定結果)の一例を示す図である。
【図33】目標値曲線の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0038】
<1.第1実施形態>
<1−1.装置>
図1は、本発明の第1実施形態に係る加圧装置1(1Aとも称する)を示す縦断面図である。なお、以下、各図においては、便宜上、XYZ直交座標系を用いて方向等を示している。
【0039】
この加圧装置1は、減圧下のチャンバ(真空チャンバ)2内で、被加圧物91と被加圧物92とを対向させて加圧し、両被加圧物91,92を接合する装置である。そのため、この加圧装置1は、接合装置であるとも表現される。
【0040】
加圧装置1は、両被加圧物91,92の処理空間である真空チャンバ2を備える。真空チャンバ2は、排気管6と排気弁7とを介して真空ポンプ5に接続されている。真空ポンプ5の吸引動作に応じて真空チャンバ2内の圧力が低減(減圧)されることによって、真空チャンバ2は真空状態にされる。また、排気弁7は、その開閉動作と排気流量の調整動作とによって、真空チャンバ2内の真空度を調整することができる。
【0041】
ここでは、被加圧物91,92として、半導体ウエハ(基板)を用いるものとする。また、当該両被加圧物91,92は、流動性を有する樹脂層93を両被加圧物91,92の相互間に挟んだ状態で、加圧されるものとする。詳細には、被加圧物91、樹脂層93、および被加圧物92がこの順序で積層された状態で、加圧されるものとする。樹脂層93は、加圧期間の一部(特に、後述する加熱前)にて流動性(流動可能状態)を有する物質(本願では、「流動可能物質」とも称する)で構成されている。樹脂層93の材料としては、例えば、熱硬化性の樹脂材料等が用いられる。樹脂層93は、「流動可能物質層」とも称される。なお、被加圧物91,92は、樹脂層を介して接合される被接合物であるとも称され、装置1における加圧処理(加圧方法)は接合処理(接合方法)であるとも称される。
【0042】
また、両被加圧物91,92は、ヘッド22(加圧部材)の加圧面22fとステージ12(加圧部材)の加圧面12dとの間に介装される。具体的には、上側の被加圧物92は、ヘッド22(より詳細にはその先端部に設けられた静電チャックあるいは機械式チャック等)によって保持される。同様に、下側の被加圧物91は、当該ステージ12(より詳細にはその先端部に設けられた静電チャックあるいは機械式チャック等)によって保持される。
【0043】
ヘッド22およびステージ12は、いずれも、真空チャンバ2内に設置されている。ヘッド22は、当該ヘッド22に内蔵されたヒータ22hによって加熱され、ヘッド22に保持された被加圧物92の温度を調整することができる。同様に、ステージ12は、当該ステージ12に内蔵されたヒータ12hによって加熱され、ステージ12上の被加圧物91の温度を調整することができる。ヒータ12h,22hは、樹脂層93の樹脂材料(詳細には熱硬化性樹脂材料)を硬化させる硬化手段(熱硬化手段)としても機能する。
【0044】
ヘッド22は、アライメントテーブル23によってX方向およびY方向に移動(並進移動)されるとともに、回転駆動機構25によってθ方向(Z軸回りの回転方向)に回転される。ヘッド22は、後述する位置認識部28による位置検出結果等に基づいてアライメントテーブル23および回転駆動機構25によって駆動され、X方向、Y方向、θ方向におけるアライメント動作が実行される。
【0045】
また、ヘッド22は、Z軸昇降駆動機構26によってZ方向に移動(昇降)される。Z軸昇降駆動機構26は、複数(ここでは3つ)のピエゾアクチュエータ31(31a,31b,31c)と協働して、複数の圧力検出センサ(ロードセル等)29,32(32a,32b,32c)により検出した信号に基づいて、接合時の加圧力を制御することができる。
【0046】
また、加圧装置1は、被加圧物91,92の位置(詳細にはX,Y,θ)を認識する位置認識部28を備えている。
【0047】
図1に示すように、位置認識部28は、被加圧物等に関する光像を画像データとして取得する撮像部(カメラ)28c,28dを有する。撮像部28c,28dは、それぞれ、同軸照明系を有している。また、両被加圧物91,92には、それぞれ、位置識別用パターンマーク(以下、単にパターンあるいはマークとも称する)が付されている。例えば、一方の被加圧物91に2つの位置識別用マークが設けられ、他方の被加圧物92にも2つの位置識別用マークが設けられる。なお、当該各マークは、特定の形状を有することが好ましい。
【0048】
両被加圧物91,92の位置合わせ動作(アライメント動作)は、当該位置認識部(カメラ等)28により、両被加圧物91,92に付された2組のマークの位置を認識することによって実行される。
【0049】
図1に示すように、位置認識部28は、両被加圧物91,92が対向する状態において、撮像部28c,28dの各同軸照明系から出射された照明光の透過光および反射光に関する画像データを用いて、両被加圧物91,92の位置を認識する。なお、撮像部28c,28dの各同軸照明系の光源としては、両被加圧物91,92およびステージ12等を透過する光(例えば赤外光)が用いられる。
【0050】
具体的には、カメラ28Mにおける同軸照明系の光源(不図示)から出射された光は、ミラー28eで反射されてその進行方向が変更され上方に進行する。当該光は、さらに、窓部2b(図1)および両被加圧物91,92の一部(あるいは全部)を透過した後に両被加圧物91,92の各マークで反射されると、今度は逆向き(下向き)に進行する。そして、再び、窓部2bを透過してミラー28eで反射されて、その進行方向が左向きに変更され、カメラ28Mの撮像部28cに到達する。位置認識部28は、このようにして両被加圧物91,92に関する光像(各マークを含む画像)を画像データとして取得し、当該画像データに基づいて両被加圧物91,92に付された或る1組のマークの位置を認識するとともに、当該1組のマーク相互間の位置ずれ量を求める。
【0051】
同様に、カメラ28Nにおける同軸照明系の光源(不図示)から出射された光は、ミラー28fで反射されてその進行方向が変更され上方に進行する。当該光は、さらに、窓部2b(図1)および両被加圧物91,92の一部あるいは全部を透過した後に両被加圧物91,92の各マークで反射されると、今度は逆向き(下向き)に進行する。そして、再び、窓部2bを透過してミラー28fで反射されて、その進行方向が右向きに変更され、カメラ28Nの撮像部28dに到達する。位置認識部28は、このようにして両被加圧物91,92に関する光像(各マークを含む画像)を画像データとして取得し、当該画像データに基づいて両被加圧物91,92に付された他の1組のマークの位置を認識するとともに、当該1組のマーク相互間の位置ずれ量を求める。
【0052】
その後、位置認識部28は、これら2組のマークの位置ずれ量に基づいて、X方向、Y方向およびθ方向における両被加圧物91,92の相対的ずれ量を算出する。そして、位置認識部28により認識された当該相対的ずれ量が低減されるように、ヘッド22が2つの並進方向(X方向およびY方向)と回転方向(θ方向)とに駆動される。これにより、両被加圧物91,92が相対的に移動され、上記の位置ずれ量が補正される。
【0053】
このようにして、(X方向、Y方向およびθ方向に関する)アライメント動作が実行される。
【0054】
さらに、このような位置認識動作と位置合わせ用の駆動動作とが繰り返し実行される。これによれば、ヘッド22駆動時の駆動誤差が徐々に低減されていき、さらに正確なアライメント動作が実行される。
【0055】
図2は、ステージ12およびヘッド22付近を示す概略斜視図である。なお、図2においては、図示の簡略化のため、ステージ12およびヘッド22等は概略形状(略円柱形状)で示されている。
【0056】
図2にも示すように、加圧装置1は、3つのピエゾアクチュエータ31(31a,31b,31c)と3つの圧力検出センサ32(32a,32b,32c)と3つの測距センサ33(33a,33b,33c)と3つの反射板34(34a,34b,34c)とをさらに備えている。
【0057】
3つのピエゾアクチュエータ31a,31b,31cと3つの圧力検出センサ32a,32b,32cとは、ヘッド22とアライメントテーブル23との間に設けられている。詳細には、図3の平面図にも示すように、3つのピエゾアクチュエータ31a,31b,31cは、ヘッド22の上面において互いに異なる位置(非同一直線上の3つの位置)PE1,PE2,PE3において固定されている。より詳細には、3つのピエゾアクチュエータ31a,31b,31cは、略円柱状のヘッド22の略円形上面内の外周部付近において略等間隔で配置されている。また、3つの圧力検出センサ32a,32b,32cは、対応する各ピエゾアクチュエータ31a,31b,31cの上端面とアライメントテーブル23の下面とを接続している。換言すれば、3つの圧力検出センサ32a,32b,32cは、ヘッド22の加圧面に平行な平面内における3つの独立した位置(非同一直線上の位置)PE1,PE2,P3に配置されている。
【0058】
3つのピエゾアクチュエータ31a,31b,31cは、互いに独立して、Z方向に伸縮可能であり、ヘッド22の姿勢(詳細には2軸周り(例えばX軸周りおよびY軸周り)の姿勢角度)および位置(詳細にはZ方向の位置)を微調整することが可能である。また、3つの圧力検出センサ32a,32b,32cは、ヘッド22の下面(加圧面)22fに平行な平面内における3つの位置(非同一直線上の位置)PE1,PE2,P3での加圧力を測定することができる。各位置での加圧力を均等化するように3つのピエゾアクチュエータ31a,31b,31cを駆動することにより、ヘッド22の下面22f(図2参照)とステージ12の上面(加圧面)12fとを平行に維持することが可能である。ただし、この実施形態においては、後述するように、主に3つの測距センサ33a,33b,33cの測定値を用いて、ヘッド22の下面22fとステージ12の上面12fとの両者を平行に維持するとともに当該両者の間隙を適宜の値に制御する。
【0059】
3つの測距センサ33a,33b,33cは、ステージ12の上面12fに平行な平面(XY平面に平行な平面)内において、非同一直線上の互いに異なる位置P1,P2,P3に配置されている(図3参照)。より詳細には、3つの測距センサ33a,33b,33cは、略円柱状のステージ12の外周側面部において略等間隔で固定されている(図2参照)。また、ヘッド22の外周側面部においては、反射板34a,34b,34cが、各測距センサ33a,33b,33cにそれぞれ対応する対向位置に固定されて設けられている。
【0060】
各測距センサ33a,33b,33cとしては、例えばレーザ式の測距センサが用いられる。ステージ12に固定された各測距センサ(レーザ式測距センサ等)33a,33b,33cは、それぞれ、対応する反射板34a,34b,34cまでの距離を測定する。具体的には、各測距センサ33は、レーザ光を出射し、反射板34で反射された当該レーザ光(反射光)を用いて、測距センサ33から反射板34までの距離(位置PZ1と位置PZ2との距離)DMを測定する(図7参照)。より詳細には、各測距センサ33a,33b,33cは、それぞれ、XY平面に平行な平面内の各位置P1,P2,P3において、Z方向位置PZ1とZ方向位置PZ2との間のZ方向における距離DM(DM1,DM2,DM3)を計測する。なお、Z方向位置PZ1は、ステージ12に固定された測距センサ33のZ方向における位置であり、Z方向位置PZ2は、ヘッド22に固定された反射板34のZ方向における位置である(図7参照)。
【0061】
これによれば、後述するように、2つの両被加圧物91,92のZ方向における離間距離DA(図7参照)を測定することが可能である。このような測定動作を含む加圧動作については、後に詳述する。なお、3つの測距センサ33a,33b,33cは、上記のような3つの位置P1,P2,P3での各Z方向距離DAを測定するため、ステージ12に対するヘッド22のZ方向位置(相対位置)および姿勢(相対姿勢)を非常に正確に測定することが可能である。換言すれば、両被接合物91,92の相対位置および相対姿勢を非常に正確に測定することが可能である。
【0062】
また、この加圧装置1は、コントローラ100をさらに備えている。コントローラ100は、例えば、アライメント動作および加圧動作などの各種の動作を制御する制御部である。
【0063】
図4は、コントローラ100の機能ブロック図である。図4に示すように、コントローラ100は、アライメント制御部110と加圧制御部120とデータ記憶部130とを備える。
【0064】
アライメント制御部110は、上述のアライメント動作を制御する制御部である。具体的には、アライメント制御部110は、撮像部28c,28d等による画像の取得動作、位置認識部28等による位置ずれ量算出動作、およびアライメントテーブル23等による位置ずれ補正動作等を制御する。
【0065】
加圧制御部120は、後述する加圧動作を制御する制御部である。加圧制御部120は、距離測定(単に「測距」とも称する)制御部121と圧力検出制御部122と駆動制御部123とを有している。測距制御部121は、複数の測距センサ33による測距動作(ひいては位置姿勢検出動作)を制御し、圧力検出制御部122は、複数の圧力センサ32等による圧力検出動作(ひいては位置姿勢検出動作)を制御する。また、駆動制御部123は、Z軸昇降駆動機構26および複数のピエゾアクチュエータ31等による位置姿勢補正動作等(加圧動作を含む)を制御する。
【0066】
データ記憶部130は、予め測定された各被加圧物91,92の厚さ等を記憶する記憶部である。
【0067】
図5は、データ記憶部130内のデータテーブルTBの一例を示す図である。図5に示すように、データテーブルTB内においては、複数組の被加圧物91,92の厚さが各被加圧物91,92の識別番号(ID)とともに記憶される。具体的には、加圧動作に先立って当該加圧処理の対象となる被加圧物の厚さが当該加圧装置1の外部等において予め測定され、その測定結果がデータテーブルTB(図5参照)に記憶される。例えば、識別番号「ID00001」の被加圧物は、第1組の両被加圧物(対象物)のうちの一方の被加圧物91に対応し、識別番号「ID00002」の被加圧物は、第1組の両被加圧物(対象物)のうちの他方の被加圧物92に対応する。また、識別番号「ID00003」の被加圧物は、第2組の両被加圧物(対象物)のうちの一方の被加圧物91に対応し、識別番号「ID00004」の被加圧物は、第1組の両被加圧物(対象物)のうちの他方の被加圧物92に対応する。なお、図5においては、さらに各被加圧物の種類情報(「半導体ウエハ」)も併せて記憶されている。
【0068】
後述するように、ステージ12およびヘッド22の相互間に介装された2つの被加圧物91,92の相互間の離間距離を測定(算出)する際には、データ記憶部130に記憶された各被加圧物91,92の厚さ(測定値)等が用いられる。
【0069】
<1−2.加圧動作>
次に、2つの両被加圧物91,92に関する加圧動作について説明する。この加圧動作においては、上述のように、流動性を有する樹脂層93が両被加圧物91,92の相互間に挟まれた状態で、両被加圧物91,92が加圧される。
【0070】
図6は、上記のようなアライメント動作が完了した状態を示す両被加圧物91,92付近の様子を示す図であり、図7は、図6における両被加圧物91,92付近をさらに拡大して示す図である。
【0071】
ここでは、被加圧物91の上面には樹脂層93が予め形成されており、当該樹脂層93の上に被加圧物92を接触させて加圧するものとする。ただし、図6においては、両被加圧物91,92(詳細には樹脂層93および被加圧物92)は、まだ接触しておらず、Z方向において互いに間隔を空けた状態で配置されている。
【0072】
図6(および図7)の状態においては、上記のアライメント動作により、XY方向およびθ方向における両被加圧物91,92の相対位置は、所望の状態を有しているものとする。
【0073】
また、図7においては、ヘッド22とステージ12とが完全に平行に配置された理想的な状態(完全平行配置状態)が示されているが、実際には図8に示すようにヘッド22とステージ12とは完全な平行配置状態からずれて配置されていることが多い。図8は、このような状態(非平行配置状態)を示す模式図である。図8においては、ヘッド22とステージ12とが、微小な傾斜角度を有する状態で配置されている様子が、誇張して示されている。なお、図8等においては、ヘッド22およびステージ12等は概略形状(略矩形形状等)で示されている。
【0074】
以下では、図8の状態から、両被加圧物91,92を互いに平行に配置しつつ両被加圧物91,92の相互間の距離DA(図7参照)を所定値に制御する動作について説明する。
【0075】
まず、図8の状態において、測距制御部121は、3つの測距センサ33a,33b,33cを用いて3つの位置P1,P2,P3(図3参照)での各距離DM(詳細にはDMi(i=1,2,3))をそれぞれ計測する(図7参照)。
【0076】
つぎに、計測距離DMと式(1)とに基づいて、両被加圧物91,92の相互間距離DAを算出する。
【0077】
【数1】

【0078】
ここで、図6にも示すように、値DE1は、位置PZ1とステージ12(加圧部材)の加圧面12fとのZ方向における変位(Z方向距離)であり、値DE2は、位置PZ2とヘッド22(加圧部材)の加圧面12fとのZ方向における変位(Z方向距離)である。これらの値DE1,DE2は予め測定された既知の値であるものとし、データ記憶部130内に記憶されているものとする。
【0079】
また、値DT1は、被加圧物91のZ方向における厚さであり、値DT2は、被加圧物92のZ方向における厚さである。これらの両被加圧物91,92の厚さDT1,DT2は、上述したように、予め測定されてデータ記憶部130に記憶されている。
【0080】
測距制御部121は、値DE1,DE2に関するデータをデータ記憶部130から取得するとともに、加圧処理の対象である被加圧物91,92の厚さに関するデータDT1,DT2を識別番号に基づいてデータ記憶部130から取得して、上記の式(1)に基づく算出処理を行う。このように、実際の処理対象の被加圧物91,92の厚さに関する個別の測定データを用いることによれば、各両被接合物91,92の厚さに関する理論値を用いる場合に比べて、相互間離間DAをさらに正確に求めることが可能である。
【0081】
なお、ヘッド22の加圧面22fとステージ12の加圧面12fとの離間距離DCは、上記の値DE1,DE2を用いて、式(2)のように表現される。
【0082】
【数2】

【0083】
すなわち、上記の値DE1,DE2を用いれば、距離DMを測定することと距離DCを測定することとは等価である。換言すれば、測距センサ33が距離DMを測定することは、測距センサ33が距離DCを測定することと等価である。
【0084】
そして、この式(2)を考慮すると、上記の式(1)は、式(3)のようにも表現される。
【0085】
【数3】

【0086】
すなわち、位置Piにおける2つの被加圧物91,92の相互間距離DAは、値DCと値DT1,DT2とを用いて算出される。
【0087】
さて、式(1)あるいは式(3)を用いることによれば、測距値DM(あるいはDC)と2つの被加圧91,92の厚さDT1,DT2とに基づいて、値DAが算出される。端的に言えば、測距センサ33は、距離DM(あるいはDC)を測定することによって、距離DAを測定することが可能である。
【0088】
より詳細には、3つの位置Piでの計測距離DMiについて上記の算出処理を行うことによって、3つの位置Piでの各相互間距離DAiが算出される。具体的には、測距制御部121は、計測距離DMiと値DT1,DT2と値DE1,DE2とに基づいて、3つの位置Piでの相互間距離DAiを測定することができる。
【0089】
ここで、各値DAiが完全に同一の値であれば、両被加圧物91,92は完全に平行であるが、実際には図8に示すように両被加圧物91,92は互いに傾いて配置されていることが多い。そして、このとき、各値DAiは同一ではなく互いに異なる値である。
【0090】
この実施形態では、まず、これらの値DAiが互いに同一の値になるように3つのピエゾアクチュエータ31a,31b,31cが駆動される(図8参照)。具体的には、各値DAiがいずれも第1の目標値TF(正の数)に等しくなるように、各ピエゾアクチュエータ31a,31b,31cが駆動される。ここでは、被加圧物92と樹脂層93とがこの時点では未だ接触しないようにするため、目標値TFは、後述する第2の目標値TGよりも大きな値に設定されるものとする。また、各3つのピエゾアクチュエータ31a,31b,31cの駆動量は幾何学的関係等に基づいて算出されればよい。なお、ピエゾアクチュエータ31a,31b,31cの駆動範囲を有効に利用するため(ピエゾアクチュエータが伸びきらないようにするため)、第1の目標値TFとしては、例えば3つの値DAiの平均値が定められることなどが好ましい。
【0091】
このような動作によれば、ヘッド22およびステージ12(詳細にはその加圧面22f,12f)は互いに平行に配置されるとともに、両被加圧物91,92の対向面も互いに平行に配置される(図9参照)。そして、両被加圧物91,92の相互間距離DAは値TFにほぼ一致する。
【0092】
なお、1回の測定動作と1回の駆動動作とによっては所望の平行度が実現されないこともある。このような場合には、所望の平行度が実現されるまで、上記のような測定動作と駆動動作とを繰り返すようにすればよい。
【0093】
その後、Z軸昇降駆動機構26を駆動することによって、ヘッド22を所定量DD(=TF−TG)下降させる(図10参照)。ここで、値TGは、相互間距離DAの最終的な目標値(第2の目標値)である。これにより、図10に示すように、被加圧物91上の樹脂層93が、被加圧物92の表面に接触する。なお、被接合物92と流動性を有する樹脂層93とを確実に密着させるため、所定量DDに対応するZ方向位置よりも微小量ΔD下側(−Z側)の位置にまでヘッド22を一旦下降した後に当該ヘッド22を微小量ΔD上昇させるようにしてもよい。
【0094】
このとき、ヘッド22の下降動作に伴って、図10に示すようにヘッド22とステージ12とは平行配置状態からずれることがある。
【0095】
そのため、ここでは3つの測距センサ33a,33b,33cによる測定動作を再び行う。この測定動作は、上述の測定動作と同様であり、3つの位置Piでの相互間距離DAiが、それぞれ、各計測距離DMiと値DT1,DT2と値DE1,DE2とに基づいて測定される。
【0096】
さらに、3つの位置Pi(i=1,2,3)での各距離DAiが最終的な目標値(第2の目標値)TGにそれぞれ近づくように、複数のピエゾアクチュエータ31a,31b,31cを伸縮駆動することによって、ヘッド22の位置および姿勢が微調整される。
【0097】
このような測定動作と駆動動作とが1回もしくは複数回実行されることによって、各相互間距離DAiの目標値TGに対する誤差ΔEi(=TG−DAi)がそれぞれ許容範囲内に収まっている状態(例えば、−TH1<ΔEi<TH2、(ただし、値TH1,TH2は所定の微小値))に到達する(図11参照)。すなわち、測定動作と駆動動作とを必要に応じて繰り返すことによって、所望の平行度および所望の隙間DAが実現される。なお、目標値TGとしては、例えば、1μm(マイクロメートル)などの非常に微小な値が設定され得る。
【0098】
その後、各相互間距離DAiの目標値TGに対する誤差ΔEiがそれぞれ許容範囲内に収まっている状態(例えば、−TH1<ΔEi<TH2、(ただし、値TH1,TH2は所定の微小値))において、(加熱前まで流動性を有していた)樹脂材料(樹脂層93)がヒータ12h,22hにより加熱されて硬化する。端的に言えば、各距離DAiが最終的な目標値(第2の目標値)TGに到達した状態において、樹脂層93が加熱されて硬化する。この結果、両被加圧物91,92の相互間に所望の膜厚DAの樹脂層93が形成された状態で、両被加圧物91,92が接合される。
【0099】
このような工程を経ることによって、種々の半導体デバイスが生成(製造)される。
【0100】
以上のように、この実施形態に係る加圧装置1によれば、両被加圧物91,92の相互間距離DAが、XY平面に平行な平面内での非同一直線上の複数の位置P1,P2,P3において測定される。そして、その測定結果に基づいて、複数の位置P1,P2,P3における相互間距離DAiがそれぞれ所定の目標値TGに近づくように、ヘッド22の加圧面22fがステージ12の加圧面12fに対して移動される。したがって、2つの両被加圧物91,92を平行に維持しつつ、2つの両被加圧物91,92の相互間の離間距離DAを正確に制御することが可能である。
【0101】
なお、上記実施形態においては、半導体ウエハ91と半導体ウエハ92との間の空隙において比較的大きな面積(具体的には、全面)にわたって樹脂層(樹脂材料)93が挟まれて配置される場合を例示したが、これに限定されない。
【0102】
例えば、図12に示すように、真空封止を行うために、半導体ウエハ91と半導体ウエハ92との間の空隙において、比較的狭い面積の部分(詳細には真空封止領域を囲む境界壁領域部分)に樹脂材料94が挟まれて配置される場合にも上記の思想を適用することができる。
【0103】
<2.第2実施形態>
上記第1実施形態においては、半導体ウエハ91と半導体ウエハ92との空隙に、流動性を有する樹脂層が挟まれる場合を例示したが、これに限定されない。
【0104】
例えば、チップオンウエハ(COW:Chip On Wafer)技術に上記の思想を適用することも可能である。具体的には、図13に示すように、半導体ウエハ91の上に、金属バンプ96を介してチップ(半導体チップ)95が配置される場合において、上記の思想を適用するようにしてもよい。第2実施形態においては、このような態様について説明する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0105】
この第2実施形態においては、上側の被加圧物として、上記の半導体ウエハ92の代わりにチップ95が採用される。また、流動可能物質としては、上記の樹脂層93の代わりに金属バンプ(ハンダバンプ等)96が採用される。換言すれば、流動可能物質層としては、金属バンプ96の層が採用される。なお、ここでは金属バンプ96の材料として、ハンダを用いる場合を想定するが、これに限定されず、Au(金)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)等を用いるようにしてもよい。
【0106】
半導体ウエハ91とチップ95との両被加圧物が当該両被加圧物の間に金属バンプ96(の層)を挟んだ状態で加圧される際には、当該金属バンプ96が加熱されると、金属バンプ96が熱で溶融する。このため、一般的には、両被加圧物相互間の距離(金属バンプ96の厚さ)を所定値に制御することが困難である。
【0107】
第2実施形態においては、このような状況において、本願発明の思想を適用する場合について例示する。以下のような態様によれば、半導体ウエハ91とチップ95とを平行に配置しつつ金属バンプ96の層の厚みを所望の値に制御することが可能である。
【0108】
第2実施形態に係る加圧装置1(1Bとも称する)は、第1実施形態に係る加圧装置1Aと同様の構成を有しているとともに、同様の動作を実行する。なお、第2実施形態においては、ヒータ12h,22hは、金属バンプを軟化させる軟化手段として機能するとともに、金属バンプを硬化させる硬化手段としても機能する。また、第2実施形態においては、加圧動作に先立って当該加圧処理の対象となる半導体ウエハ91の厚さとチップ95の厚さとが加圧装置1の外部等において予め測定され、その測定結果を用いて相互間距離DAが求められる。より詳細には、例えば、所定の測定装置を用いて、半導体ウエハ91の厚さとチップ95の厚さとがそれぞれ別個に測定される。あるいは、チップを半導体ウエハ上に搭載するチップ搭載機において半導体ウエハ91の厚さと金属バンプ96の厚さとチップ95の厚さとの合計値を測定するとともに、金属バンプ96の厚さを当該合計値から差し引くことによって、半導体ウエハ91の厚さとチップ95の厚さとの合算値を算出するようにしてもよい。
【0109】
まず、その下面に金属バンプ(ここでは、ハンダバンプ)96を付着したチップ95が、位置(X,Y,θ)に関するアライメント動作が実行された状態で半導体ウエハ91上においてフラックスで仮固定されているものとする。
【0110】
その後、図9と同様に、ヘッド22とステージ12との相互間距離DCiがいずれも第1の目標値TL(=TF+DT1+DT2)に等しくなるように(図7参照)、各ピエゾアクチュエータ31a,31b,31cが駆動される。このような動作によれば、ヘッド22およびステージ12(詳細にはその加圧面22f,12f)は互いに平行に配置されるとともに、両被加圧物91,95の対向面も互いに平行に配置される。そして、ヘッド22およびステージ12の相互間距離DCは値TLにほぼ一致する。
【0111】
つぎに、ヒータ12h(及び/又はヒータ22h)を用いてハンダが所定の温度にまで加熱され、ハンダが熱溶融し軟化する。
【0112】
その後、Z軸昇降駆動機構26を駆動することによって、ヘッド22を所定量DD(=TF−TG)下降させる。これにより、ステージ12とヘッド22との間に介装された両被加圧物91,95が、ステージ12とヘッド22とによって加圧される。
【0113】
このとき、上記実施形態と同様にして、3つの異なる位置で距離DMiを計測しつつ、チップ95と半導体ウエハ91との相互間距離DAiがそれぞれ所望の値TGになるように、複数のピエゾアクチュエータ31a,31b,31c等が駆動される。これにより、各距離DAiが最終的な目標値(第2の目標値)TGに到達する(図13参照)。
【0114】
そして、各距離DAiが最終的な目標値(第2の目標値)TGに到達した状態において、ハンダが冷却され、当該ハンダが再び硬化する。詳細には、各相互間距離DAiの目標値TGに対する誤差ΔEiがそれぞれ許容範囲内に収まっている状態において、ヒータ12h等の温度を低下させることによって、熱溶融されていた金属バンプ層が冷却されて硬化する。この結果、所望の厚さTGを有する金属バンプ(ハンダバンプ)96を介して、チップ95が半導体ウエハ91上に固定される。
【0115】
このような態様によれば、半導体ウエハ(基板)91とチップ95とを平行に配置しつつ金属バンプ96の厚さDAを所望の値に制御することが可能である。
【0116】
なお、この第2実施形態においては、半導体ウエハ91上にチップを1段積層する場合を例示したが、これに限定されない。例えば、複数のチップ層を半導体ウエハ91上に積層する場合に上記の思想を適用するようにしてもよい。より具体的には、図14に示すように、複数のチップ95(95a,95b,95c)と複数の金属バンプ96(96a,96b,96c)の層とがZ方向に交互に積層される場合に、上記の思想を適用するようにしてもよい。図14はこのような変形例を示す図である。
【0117】
このような変形例においては、複数の金属バンプ96(96a,96b,96c等)の層の厚さの合計値が所望の値になるように制御すればよい。具体的には、ヘッド22とステージ12とのZ方向の離間距離DCが目標値TCに近づくように、複数のピエゾアクチュエータ31等を用いてヘッド22とステージ12とがZ方向において相対的に移動されればよい。このとき、ヘッド22とステージ12との離間距離DCに関する目標値TCは、半導体ウエハ91の実際の厚さ(測定値)と、複数のチップ95の実際の厚さ(測定値)の合計値と、複数の金属バンプ96の理論厚さ(目標値)の合計値とを加算した値として算出されればよい。これによれば、複数の金属バンプ96の合計値をその目標値に近づけることが可能である。
【0118】
特に、このような変形例において、最下層の金属バンプ96aのみを溶融する場合には、上記と同様にして最下層の金属バンプ96aの厚さを正確に制御することが可能である。
【0119】
また、この第2実施形態においては、半導体ウエハ上にチップが金属バンプを介して接合される場合を例示したが、これに限定されない。例えば、下側の半導体ウエハと上側の半導体ウエハとの間に金属バンプの層が設けられる場合に上記の思想を適用するようにしてもよい。これによれば、両半導体ウエハの相互間距離を正確に制御することによって、金属バンプの層の厚さを正確に制御することが可能である。
【0120】
<3.第3実施形態>
上記第1および第2実施形態においては、両被加圧物に圧力を加えて当該両被加圧物を接合する技術について本発明の思想を適用する場合を例示したが、これに限定されず、例えば、ナノインプリント技術に本発明の思想を適用するようにしてもよい。
【0121】
この第3実施形態においては、このような変形例、すなわちナノインプリント技術に本発明の思想を適用する場合を例示する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0122】
また、上記第1実施形態においては、流動可能物質として樹脂材料(詳細には熱硬化性樹脂材料)を用いるとともに、ヒータ12h,22hを硬化手段(熱硬化手段)として用いて当該熱硬化性樹脂材料を硬化させる場合を例示した。これに対して、この第3実施形態においては、流動可能物質として樹脂材料(詳細には光硬化性樹脂材料(UV硬化性樹脂材料))を用いるとともに、UV照射部61を硬化手段(光硬化手段)として用いて当該光硬化性樹脂材料を硬化させる場合を例示する。また、第3実施形態においては、加圧処理の対象となる半導体ウエハ92の厚さとモールド97(後述)の厚さとが加圧装置1の外部等において当該加圧処理に先立って予め測定されており、その測定結果を用いて相互間距離DAが求められる。より具体的には、例えば、半導体ウエハ92の厚さとモールド97の厚さとが加圧装置1の外部で所定の治具等を用いてそれぞれ別個に測定される。あるいは、加圧装置1の外部において半導体ウエハ92とモールド97とが所定の治具に固定され且つ半導体ウエハ92とモールド97とが接触した状態で半導体ウエハ92の厚さとモールド97の厚さとの合計値が測定されるようにしてもよい。
【0123】
図15は、第3実施形態に係る加圧装置1(詳細には1Cとも称する)の構成を示す図である。この加圧装置1Cは、第1実施形態の加圧装置1Aと同様の構成を有している。ただし、加圧装置1Cは、UV(紫外線)照射部61を備える点、およびUV照射時にはミラー固定部材28gがY軸方向に移動して退避可能である点などにおいて、加圧装置1Aとは相違する。ミラー固定部材28gは、ミラー28e,28fを固定する部材である。なお、この加圧装置1Cは、ナノインプリント装置(微細転写装置)とも称される。
【0124】
また、ここでは、被加圧物(半導体ウエハ)92がヘッド22に保持されるとともに、モールド(原版)97がステージ12に保持される場合を例示する(図16参照)。また、被加圧物92の表面(下側表面)には光硬化樹脂が予め塗布されている。換言すれば、被加圧物92の下面側には、光硬化樹脂で形成された樹脂層(流動可能物質層とも称される)98が設けられている。さらに、モールド97は透光性部材(例えば石英等)で形成されており、モールド97の表面(図の上側)には凹凸のパターンが設けられている。端的に言えば、モールド97は、透明金型である。
【0125】
なお、後述するように、このような両被加圧物92,97が光硬化樹脂で形成される樹脂層98を挟んで加圧され、モールド97の凹凸パターンが樹脂層98の樹脂材料に押し付けられることなどによって、当該凹凸パターンが樹脂層98に転写される。ナノインプリント技術においては、このような原理で、所定のパターンが被加圧物92上に形成される。
【0126】
つぎに、第3実施形態における動作について、図16〜図21を参照しながら説明する。
【0127】
まず、光硬化樹脂が塗布された被加圧物92がヘッド22に保持されるとともにモールド(原版)97がステージ12に保持された状態で、第1実施形態と同様に、位置(X,Y,θ)に関するアライメント動作が実行される。
【0128】
図16は、上述のアライメント動作直後の様子を示す図である。図16においては、両被加圧物92,97(詳細には被加圧物92および樹脂層98)は、まだ接触しておらず、Z方向において互いに間隔を空けた状態で配置されている。図16の状態においては、上記のアライメント動作により、XY方向およびθ方向における両被加圧物91,92の相対位置は、所望の状態を有しているものとする。また、図16においては、ヘッド22とステージ12とが非平行配置状態で配置されているものとする。
【0129】
その後、被加圧物(半導体ウエハ)92と被加圧物(モールド)97との相互間距離DAiがいずれも第1の目標値TFに等しくなるように、各ピエゾアクチュエータ31a,31b,31cが駆動される(図16)。このような動作により、ヘッド22およびステージ12(詳細にはその加圧面22f,12f)が互いに平行に配置されるとともに、両被加圧物92,97の対向面も互いに平行に配置される。そして、両被加圧物92,97の相互間距離DAは値TFにほぼ一致する(図17)。
【0130】
つぎに、Z軸昇降駆動機構26を駆動することによって、ヘッド22を所定量DD(=TF−TG)下降させる。これにより、図18に示すように、被加圧物97上の樹脂層98が、被加圧物92の表面に接触する。
【0131】
その後、上記各実施形態と同様にして、3つの異なる位置で距離DMiを計測しつつ、被加圧物92と被加圧物97との相互間距離DAiがそれぞれ所望の値TGになるように、複数のピエゾアクチュエータ31a,31b,31c等が駆動される(図18参照)。これにより、各相互間距離DAiの目標値TGに対する誤差ΔEiがそれぞれ許容範囲内に収まる。端的に言えば、各距離DAiが最終的な目標値(第2の目標値)TGに到達する(図19)。図19においては、被加圧物92,97が互いに平行に配置されるとともに相互間の距離DAiがそれぞれ所望の値TGに等しい状況が示されている。なお、目標値TGとしては、非常に小さな値、例えば、数百nm(ナノメートル)が設定され得る。
【0132】
そして、各相互間距離DAiの目標値TGに対する誤差ΔEiがそれぞれ許容範囲内に収まっている状態(端的に言えば各距離DAiが最終的な目標TGに到達した状態)において、UV照射部61によって紫外線(UV)が照射される(図20参照)。照射された紫外線は、透光性を有するモールド97を透過して樹脂層98に到達する。これにより、UV照射前まで流動性を有していた当該樹脂層98の光硬化樹脂が硬化する(図21参照)。この結果、所定の凹凸パターンを有する樹脂層98が、所望の残差TGを有し且つ硬化した状態で、被加圧物92の表面に形成される。
【0133】
以上のような工程を経ることによって、ナノインプリント技術を用いて、各種のデバイス(半導体デバイスあるいはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス等)が生成(製造)される。
【0134】
このような態様によれば、半導体ウエハ92とモールド97とを平行に配置しつつ樹脂層98の厚さ(残差)DAを所望の値TGに制御することが可能である。
【0135】
なお、この第3実施形態では、光硬化性樹脂材料を用いる場合を例示したが、これに限定されず、例えば熱硬化性樹脂材料を用いたナノインプリント技術に上記の思想を適用するようにしてもよい。
【0136】
<4.第4実施形態>
上記各実施形態においては、3つの測距センサ33a,33b,33cによる各計測距離DMiと値DT1,DT2と値DE1,DE2とに基づいて、3つの相互間距離DAiが測定される場合を例示した。端的に言えば、各相互間距離DAiが間接的に測定される場合を例示した。しかしながら、本発明はこれに限定されない。この第4実施形態においては、各相互間距離DAiが謂わば直接的に測定される場合を例示する。なお、第4実施形態は、第3実施形態の変形例であり、以下では、第3実施形態との相違点を中心に説明する。
【0137】
図22および図23は、第4実施形態に係る加圧装置1(1Dとも称する)のヘッド22およびステージ12付近を示す側面図(一部断面図)である。図22は、ヘッド22のZ方向位置および姿勢の調整前(もしくは調整中)の状態を示しており、図23は、ヘッド22のZ方向位置および姿勢の調整後の状態を示している。また、図24は、加圧装置1Dのステージ12および窓部2b付近を下側から見た平面図である。なお、図24においては、図示の都合上、窓部2bは省略されている。
【0138】
図22および図24に示すように、この第4実施形態においては、3つの測距センサ33a,33b,33cの代わりに、3つの測距センサ36(詳細には36a,36b,36c)が設けられている。
【0139】
これら3つの測距センサ36a,36b,36cを用いて、それぞれ、位置Qi(Q1,Q2,Q3)での相互間距離DAi(DA1,DA2,DA3)が測定される。なお、位置Q1,Q2,Q3は、XY平面に平行な平面内における3つの位置であり、非同一直線上の互いに異なる位置である。以下では、このような測定手法について詳細に説明する。
【0140】
図22に示すように、半導体ウエハ(被加圧物)92は、モールド(被加圧物)97に対向する対向面(樹脂が塗布された面)92fに、反射面38pを有している。また、モールド97は、半導体ウエハ92に対向する対向面(半導体ウエハ92側に突出した部分の面)97fに、反射面38qを有している。これらの反射面38p,38qは、例えば、光を反射する金属材料等を用いて非常に薄い薄膜として形成される。
【0141】
測距センサ36および測距制御部121は、XY平面に平行な平面内での各位置Qi(図24も参照)における相互間距離DAiを測定する。具体的には、各測距センサ36は、2つのサブセンサ37p,37qを有している。また、各サブセンサ37p,37qは、それぞれ、基準位置BPから対象物までのZ方向距離を測定する距離センサである。また、サブセンサ37p,37qは、XY平面に平行な平面内において微小距離ΔP隔てて配置されており、それぞれ、位置Qi(厳密には位置Qi付近)におけるZ方向距離を測定することができる。
【0142】
例えば、測距センサ36aおよび測距制御部121は、次のようにして位置Q1における相互間距離DA1を求める。
【0143】
図22に示すように、まず、測距センサ36aのサブセンサ37pは、位置Q1付近におけるZ方向距離DZ1を計測し、測距センサ36aのサブセンサ37qは、位置Q1付近におけるZ方向距離DZ2を計測する。ここで、Z方向距離DZ1は、基準位置BPから反射面38pまでのZ方向における距離であり、Z方向距離DZ2は、基準位置BPから反射面38qまでのZ方向における距離である。
【0144】
より具体的には、サブセンサ37pは、基準位置BPから測定光(レーザー光)を出射し、反射面38pで反射されて再び入射してきた光を用いてZ方向距離DZ1を測定する。
【0145】
詳細には、サブセンサ37pから出射された光は、窓部2bを通過(透過)しステージ12の孔部(中空部)12eを通過するととともに、透光性のモールド97をも通過(透過)する。そして、当該光は、透光性を有する樹脂材料で形成された樹脂層98を通過(透過)して、被加圧物92の表面92fに設けられた反射面38pに到達して反射する。その後、反射された光は、逆向きに進行し、再びサブセンサ37pに入射する。具体的には、反射面38pでの反射光は、樹脂層98、モールド97、孔部12eおよび窓部2bをこの順序で通過してサブセンサ37pに復帰する。サブセンサ37pは、このような光を用いて、基準位置BPと反射面38pとのZ方向距離DZ1を測定することができる。
【0146】
一方、サブセンサ37qは、基準位置BPから測定光(レーザー光)を出射し、反射面38qで反射されて再び入射してきた光を用いてZ方向距離DZ2を測定する。
【0147】
詳細には、サブセンサ37qから出射された光は、窓部2bを通過(透過)しステージ12の孔部(中空部)12eを通過するととともに、透光性のモールド97の内部を進行して反射面38qに到達して反射する。その後、反射された光は、逆向きに進行し、再びサブセンサ37qに入射する。具体的には、反射面38qでの反射光は、モールド97、孔部12eおよび窓部2bをこの順序で通過してサブセンサ37qに復帰する。サブセンサ37qは、このような光を用いて、基準位置BPと反射面38qとのZ方向距離DZ2を測定することができる。
【0148】
そして、測距制御部121は、Z方向距離DZ1とZ方向距離DZ2とに基づいて相互間距離DA1を求める。具体的には、次の式(4)に基づいて、相互間距離DA(DAii)を算出する。
【0149】
【数4】

【0150】
このようにして、測距センサ36aおよび測距制御部121は、Z方向距離DZ1とZ方向距離DZ2との差を、相互間距離DAiとして求める。
【0151】
同様にして、測距センサ36bおよび測距制御部121は、位置P2における相互間距離DA2を求め、測距センサ36cおよび測距制御部121は、位置P3における相互間距離DA3を求める。
【0152】
第4実施形態においては、以上のようにして、各相互間距離DAiが測定される。なお、その他の動作(駆動動作等)については、第3実施形態と同様である。
【0153】
このような態様によれば、相互間距離DAiを謂わば直接的に測定することが可能である。そのため、被加圧物92,97の厚さを予め測定しておくことを要しない。また、間接的な測定結果の影響を受けないため、より正確な測定動作を行うことが可能である。
【0154】
なお、3つの測距センサ36a,36b,36cは、並列的に動作可能であるため、位置Q1,Q2,Q3での相互間距離DA1,DA2,DA3は並列的に(端的に言えば同時に)測定され得る。
【0155】
<5.第5実施形態>
第5実施形態は、第4実施形態の変形例である。以下、第4実施形態との相違点を中心に説明する。
【0156】
上記第4実施形態においては、3つの測距センサ36a,36b,36cを用いて相互間距離DA1,DA2,DA3を並列的に(同時に)測定する場合を例示した。この第5実施形態においては、単一の測距センサ36(詳細には36s)を用いて3つの相互間距離DA1,DA2,DA3を逐次的に測定する場合を例示する。なお、第5実施形態に係る加圧装置1(1E)の測距センサ36sは、移動機構を有する点を除いて、上記の測距センサ36a等と同様の構成を有している。
【0157】
図25および図26に示すように、測距センサ36sは、ステージ12の下方(且つ、窓部2bの下方)において、X方向およびY方向に移動可能に設けられる。なお、図26は、ステージ12および窓部2b付近を下側から見た平面図である。図26においては、図示の都合上、窓部2bは省略されている。
【0158】
まず、測距センサ36sおよび測距制御部121は、位置Q1において距離DA1を求める。具体的には、測距センサ36sは、2つのサブセンサ37p,37qを用いて、位置Q1におけるZ方向距離DZ1,DZ2を計測するとともに、測距制御部121は当該Z方向距離DZ1,DZ2に基づいて値DA1を求める。
【0159】
その後、測距センサ36sは、X方向およびY方向に移動して位置Q2へと到達すると停止し、距離DA2が測定される。具体的には、測距センサ36sは、2つのサブセンサ37p,37qを用いて、位置Q2におけるZ方向距離DZ1,DZ2を計測するとともに、測距制御部121は当該Z方向距離DZ1,DZ2に基づいて値DA2を求める。
【0160】
さらに、測距センサ36sは、今度はY方向に移動して位置Q3へと到達すると停止して、距離DA3が測定される。具体的には、測距センサ36sは、2つのサブセンサ37p,37qを用いて、位置P3におけるZ方向距離DZ1,DZ2を計測するとともに、測距制御部121は当該Z方向距離DZ1,DZ2に基づいて値DA3を求める。
【0161】
このように第5実施形態においては、測距センサ36sは、XY平面に平行な方向に移動して、非同一線上の3つの位置Q1,Q2,Q3のそれぞれにおいて、第4実施形態と同様の原理に基づいて各距離DAiを測定する。
【0162】
この第5実施形態においては、このようにして各相互間距離DAiが逐次的に取得される。なお、その他の動作については、第4実施形態と同様である。
【0163】
このような態様によれば、単一の測距センサ36sを用いて各距離DAiを測定し、ヘッド22の位置および姿勢を微調整することによって、各距離DAiを所望の大きさに調整することが可能である。
【0164】
<6.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0165】
たとえば、上記各実施形態においては、3つの位置P1,P2,P3(あるいはQ1,Q2,Q3)における3つの相互間距離DAi(i=1,2,3)のみを求める場合を例示したが、これに限定されず、4つ以上の位置における4個以上の相互間距離DAi(i=1,2,3,...,N)を求めるようにしてもよい。
【0166】
また、逆に、所定の条件が満たされる場合には、2つの位置(例えば位置P1,P2(あるいは位置Q1,Q2))のみでの各離間距離DAiを測定するようにしてもよい。
【0167】
図27は、当該変形例に係る加圧装置1(1Fとも称する)を示す図であり、図28は、当該加圧装置1Fのヘッド22が位置CPを中心に若干傾いた状態を示す図である。また、図27および図28においては、ヘッド22およびステージ12を簡略化して示している。さらに、図29は、この変形例に係る加圧装置1(1F)のヘッド22付近を示す平面図である。
【0168】
たとえば、図27および図28に示すように、ヘッド22(詳細にはその上側の略半球状摺動面22u)がバネ27sの付勢力によって略半球状の球面軸受27vに押しつけられて支持されているとともに、ヘッド22の回転中心位置CPがZ方向において所望の位置に存在すること(すなわち位置CPのZ方向位置が目標位置に存在すること)を前提として、ステージ12に対するヘッド22の傾きが生じ得る場合を想定する。
【0169】
このような場合には、図29にも示すように、2つの位置P4,P5での各相互間距離DAを求めるようにしてもよい。すなわち、位置CPでのZ方向距離DAが正しい値(TG等)に調整されているとの前提条件が満たされているときには、2つの位置P4,P5での相互間距離DAのみを測定して当該各相互間距離DAを目標値(TG等)に調整するようにしてもよい。これによっても、ヘッド22とステージ12とを平行に維持し且つ相互間距離DM(ひいてはDA)を所定値に調整することが可能である。
【0170】
また、上記第1および第3実施形態等においては、流動可能物質として、熱硬化性樹脂材料および光硬化性樹脂材料を例示したが、これに限定されない。たとえば、流動可能物質として、熱可塑性樹脂材料を用いるようにしてもよい。具体的には、当該熱可塑性樹脂材料を加熱して流動化させた状態にて両被加圧物の相互間距離(すなわち当該樹脂材料の厚さ)を所望の値に制御し、その後、当該相互間距離を当該所望の値に維持したまま当該樹脂材料を冷却して固化するようにすればよい。
【0171】
また、上記各実施形態等においては、下側の加圧部材であるステージ12が固定され且つ上側の加圧部材であるヘッド22が移動することによって、両加圧部材の相対移動が実現される場合を例示したが、これに限定されない。例えば、逆に、上側の加圧部材であるヘッド22が固定され且つ下側の加圧部材であるステージ12が移動することによって、両加圧部材の相対移動が実現されるようにしてもよい。より詳細には、ステージ12がZ方向、X方向、Y方向、θ方向(Z軸周り)および他の回転2方向(X軸周りの回転方向とY軸周りの回転方向)に移動されるようにしてもよい。
【0172】
また、上記各実施形態等においては、複数のピエゾアクチュエータ31a,31b,31cのみを用いて上下の被加圧物のZ方向における相対位置を調整する場合を例示したが、これに限定されない。たとえば、上下の被加圧物を接触させて複数の圧力検出センサ32a,32b,32cを用いて上下の被加圧物が互いに平行になるように両被加圧物の相対位置関係を大まかに予め調整(粗調整)した後に、上述のような複数のピエゾアクチュエータ31a,31b,31cを用いた相対位置の調整動作を行うようにしてもよい。
【0173】
また、上記各実施形態等においては、3つの相互間距離DAiを求める際に、値DT1,DT2および値DE1,DE2としては、それぞれ、各位置Piに関して同じ値を用いているが、これに限定されない。例えば、値DT1,DT2および値DE1,DE2としては、それぞれ、各位置Piの近傍の部位においてそれぞれ測定された別個の値を各位置Piごとに用いるようにしてもよい。
【0174】
また、上記各実施形態等においては、上側の被加圧物と下側の被加圧物とが平行に配置される場合を例示したが、これに限定されない。例えば、3つの位置P1,P2,P3において、3つの相互間距離DAiをそれぞれ互いに異なる目標値に到達させる(収束させる)ように上側の被加圧物と下側の被加圧物との相対位置関係を調整するようにしてもよい。
【0175】
また、上記各実施形態等における加圧動作においては、両被加圧物の相互間距離DAとともに両被加圧物の相互間の圧力も適切に制御されることが好ましい。端的に言えば、位置制御とともに圧力制御(力制御)も精緻に実行されることが好ましい。
【0176】
より詳細には、上記各実施形態等において、コントローラ100は、圧力検出センサ29(および/または32)等による検出信号に基づいて、加圧時(接合時)に2つの被加圧物の相互間に作用する力(加圧力)を所定値に近づけるように、Z軸昇降駆動機構26を制御すればよい。たとえば、両被加圧物91,92が接触した後の加圧期間(接合期間)中(図10,図11参照)において、次のような力制御が行われればよい。具体的には、まず、コントローラ100は、両被加圧物91,92の相互間に作用する力(詳細には当該力の大きさ)を圧力検出センサ29等を用いて検出する。そして、コントローラ100は、圧力検出センサ29等による検出値を所定値(例えば0.5N(ニュートン))THfに近づけるように、ステージ12の加圧面とヘッド22の加圧面とを相対的に移動する。このような動作が繰り返し実行されればよい。
【0177】
また、この場合(位置制御と力制御とを併用する場合)において、両被加圧物の相互間の位置制御と力制御とが競合するときには、力制御が優先的に用いられることが好ましい。たとえば、圧力検出センサ29による検出値が所定値(比較的小さな値)THfに等しくなるように両被加圧物の相対位置が制御され、両被加圧物に対して過大な力が加わることが防止されることが好ましい。より具体的には、コントローラ100は、圧力検出センサ29の検出値が所定値THfを超えてしまうような相対位置変化(相互間距離DAiが小さくなり過ぎること)を禁止しつつ、3つの相互間距離DAiを均等にそれぞれの目標値に近づけるように制御すればよい。
【0178】
これによれば、両被加圧物相互間の相対的姿勢を適切に維持しつつ(例えば両被加圧物91,92を平行に維持しつつ)、さらに両被加圧物の相互間に加わる力をも適切に制御することができるので、両被加圧物を非常に良好に接合することができる。
【0179】
また、上記各実施形態等においては、相互間距離DAが固定値としての目標値に一致するように制御される場合を例示したが、これに限定されず、当該距離DAの目標値は、時間に応じて変化(経時変化)する値に設定されるようにしてもよい。このような改変は、流動可能物質層の厚さ等が経時変化する場合に特に有用である。
【0180】
例えば第3実施形態においては、両被加圧物97,92の加圧期間のうち特に樹脂層98の硬化期間には、当該樹脂層98は光硬化に伴って収縮していく。図30は、硬化期間の開始時点tsにおける両被加圧物97,92付近の様子を示す図であり、図31は硬化期間の終了時点teにおける両被加圧物97,92付近の様子を示す図である。図30および図31においては、モールド97の表面の凹凸(特に凹部)は省略されており、樹脂層98の収縮は誇張されて示されている。これらの図30と図31とを比較すると判るように、樹脂層98の厚さHは、光硬化に伴って値HSから値HEへと減少している(HS>HE)。換言すれば、硬化期間において流動可能物質層が収縮し、流動可能物質層の厚さが低減している。
【0181】
これに対して、この改変例においては、樹脂層98の収縮に伴う樹脂層98の厚さHの時間変化が予め測定され、当該厚さHの経時変化曲線CLはコントローラ100内の記憶部に記憶されるものとする。図32は、樹脂層98の厚さHの経時変化曲線CL(測定結果)の一例を示す図である。そして、樹脂層98の厚さHの経時変化(図32参照)に応じて相互間距離DAの目標値が経時変化するように、接合動作(硬化動作)が実行される。換言すれば、上述の目標値(第2の目標値)TG(図19参照)が経時変化する値として設定されて、硬化動作が実行される。この硬化動作においては、相互間距離DAの目標値の経時変化曲線は、樹脂層98の厚さHの経時変化曲線CLと同様の変化率等を有する曲線に設定されることが好ましい。例えば、相互間距離DAの目標値は、加圧期間(詳細には硬化期間)の開始時点tsの値HSから当該加圧期間の終了時点teの値HEまでの各時点において、上述の経時変化曲線CL(図32参照)を所定方向にオフセットした曲線LF(図33参照)上の値として設定されればよい。或いは、当該相互間距離DAの目標値は、経時変化曲線CLと同一の曲線上の値として設定されてもよい。
【0182】
これによれば、時間変化しない一定の値(すなわち固定値)を目標値として用いる場合に比べて、複数の時刻のそれぞれにおいて目標値を常時適切な値に設定することができる。したがって、流動可能物質層の厚さの変動をも考慮して、両被加圧物に加わる力(加圧力)が小さくなり過ぎること(あるいは大きくなり過ぎること)を防止することができる。
【0183】
さらに、このような改変は、硬化期間において流動可能物質層の厚さHが低減していく状況のみならず、硬化期間において流動可能物質層の厚さHが増大していく状況にも適用可能である。たとえば、第1実施形態において、樹脂層93の熱硬化樹脂層の厚さHが硬化期間に変動する場合(詳細には、熱の付与に応じて熱硬化樹脂層93の厚さが増大していく場合)において、当該熱硬化樹脂層の厚さHに応じて相互間距離DAの目標値を経時変化(この場合には増大)させるようにしてもよい。これによっても、上記の改変例と同様の効果を得ることができる。なお、第2実施形態等に対しても同様の改変を行うことが可能である。
【0184】
また、これらの改変は、流動可能物質層の厚さが変動する場合のみならず、両被加圧物自体の厚さが変動する場合にも適用することが可能である。たとえば、第1実施形態において、加熱(もしくは冷却)によって両被加圧物91,92の厚さが増大(もしくは減少)する場合に、当該両被加圧物91,92の厚さに関する変動曲線(経時変化曲線)に基づいて、相互間距離DAの目標値の経時変化曲線を定めるようにしてもよい。あるいは、第2実施形態(図13参照)において、被加圧物91,95の厚さが加熱(もしくは冷却)によって増大(もしくは減少)する場合に、当該被加圧物91,95の厚さの変動に関する変動曲線(経時変化曲線)に基づいて、相互間距離DAの目標値の経時変化曲線を定めるようにしてもよい。
【0185】
また、流動可能物質以外の物質であって両被加圧物の相互間に配置される物質の厚さが変動する場合にも当該改変を適用することが可能である。たとえば、第2実施形態の変型例(図14参照)において、加熱等により複数のチップ95a,95bの厚さが変動する場合に、当該チップ95a,95bの厚さに関する変動曲線(経時変化曲線)に基づいて、相互間距離DAの目標値の経時変化曲線を定めるようにしてもよい。
【0186】
また、加圧期間中(硬化期間中等)において、両被加圧物に関する相互間距離DAの目標値を経時変化させる態様と、両被加圧物相互間の圧力値を所定値に近づける態様とを組み合わせて実行するようにしてもよい。特に、両被加圧物相互間に作用する力が所定値THfを超えないように当該力を所定値THfに近づけつつ、各相互間距離DAiを互いに均等にそれぞれの目標値に近づけることが好ましい。これによれば、流動可能物質層の厚さH等が経時変化する場合においても、加圧装置1は、両被加圧物相互間の圧力値を所定程度に抑制しつつ両被加圧物を平行に維持して両被加圧物を接合することが可能である。
【0187】
より詳細には、一定のスピードで両被加圧物の間隔(相互間距離DA)を縮めていく動作(両被加圧物を接近させていく動作)において、所定値以上の力(圧力)が検出されるときには当該両被接合物の接近動作を一時停止あるいはその接近スピードを低減するようにすればよい。これによれば、所定の圧力値以下で当該間隔を縮める動作をより適切に行うことが可能である。
【0188】
あるいは、各相互間距離DAiの目標値に関する経時変化曲線を、各時点での目標値が本来の目標値よりも微小量大きな値になるような曲線として設定するようにしてもよい。このような目標値を設定することによれば、各時点における相互間距離DAは小さくなり過ぎないように(両被加圧物が近づき過ぎないように)制御されるので、両被加圧物の相互間に過大な力が作用することを適切に防止することが可能である。
ことが可能である。
【0189】
上述のように、各実施形態および変型例等によれば上記の各利点を得ることができる。また特に、適宜の態様によれば、たとえば、両被加圧物相互間に流動可能物質(硬化材料等)を介装し、両被加圧物の平面方向(XY平面内)の位置合わせと両被加圧物の相対的姿勢(平行維持等)と両被加圧物の相互間距離(高さ方向(Z方向)距離)とを制御して3次元的な位置をアライメントするととともに、UV光の照射等によって流動可能物質等の状態を固める3次元的な組み立て(実装)が可能となり、且つ、ウエハレベルで複数個のデバイスを一括生産することが可能となる。
【符号の説明】
【0190】
1,1A〜1F 加圧装置
2 真空チャンバ
12 ステージ
12f,22f 加圧面
12h,22h ヒータ
22 ヘッド
23 アライメントテーブル
25 回転駆動機構
26 Z軸昇降駆動機構
31,31a,31b,31c ピエゾアクチュエータ
32,32a,32b,32c 圧力検出センサ
33,33a,33b,33c、36,36a,36b,36c、36s 測距センサ
34,34a,34b,34c 反射板
91,92 半導体ウエハ(被加圧物)
93,94,98 樹脂層(流動可能物質層)
95 チップ(被加圧物)
96 金属バンプ(流動可能物質層)
97 モールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧装置であって、
所定方向に離間して対向するとともに前記所定方向に相対移動可能な第1および第2の加圧部材と、
前記第1の加圧部材の加圧面と前記第2の加圧部材の加圧面との間に介装される第1および第2の被加圧物であって相互間に流動可能物質層を挟んで配置される第1および第2の被加圧物の前記所定方向における相互間距離を、前記所定方向を法線方向とする平面内での複数の位置において測定する測定手段と、
前記測定手段による測定結果に基づいて、前記複数の位置における前記相互間距離がそれぞれ目標値に近づくように、前記第1の加圧部材の加圧面と前記第2の加圧部材の加圧面とを相対的に移動する駆動手段と、
を備えることを特徴とする加圧装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加圧装置において、
前記複数の位置は、前記平面内での非同一直線上の3つの位置を含むことを特徴とする加圧装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の加圧装置において、
前記駆動手段は、互いに独立して前記所定方向に伸縮する3つのピエゾアクチュエータを有し、
前記3つのピエゾアクチュエータは、前記平面内での非同一直線上の互いに異なる位置に配置されることを特徴とする加圧装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の加圧装置において、
前記測定手段は、
前記第1の加圧部材における第1の位置と前記第2の加圧部材における第2の位置との前記所定方向における距離を計測する測距センサを有し、
前記測距センサによる測定値と前記第1の被加圧物の前記所定方向における厚さと前記第2の被加圧物の前記所定方向における厚さとに基づいて前記相互間距離を測定することを特徴とする加圧装置。
【請求項5】
請求項4に記載の加圧装置において、
前記測定手段は、
前記測距センサによる測定値と、前記第1の位置と前記第1の加圧部材の加圧面との前記所定方向における変位と、前記第2の位置と前記第2の加圧部材の加圧面との前記所定方向における変位と、前記第1の被加圧物の前記所定方向における厚さと、前記第2の被加圧物の前記所定方向における厚さとに基づいて、前記相互間距離を測定することを特徴とする加圧装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の加圧装置において、
前記第1の被加圧物の前記所定方向における厚さと前記第2の被加圧物の前記所定方向における厚さとを予め測定したデータを記憶する記憶部、
を備え、
前記測定手段は、前記記憶部に記憶された前記データに基づいて、前記相互間距離を測定することを特徴とする加圧装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の加圧装置において、
前記第1の被加圧物および前記第2の被加圧物の少なくとも一方は、透光性部材を有し、
前記第1の被加圧物は、前記第2の被加圧物に対向する第1の対向面に第1の反射面を有し、
前記第2の被加圧物は、前記第1の被加圧物に対向する第2の対向面に第2の反射面を有し、
前記測定手段は、
前記透光性部材を透過し前記第1の反射面で反射された後に再び前記透光性部材を通過して復帰する光を用いて、基準位置から前記第1の反射面までの前記所定方向における距離である第1の距離を計測し、
前記透光性部材を透過し前記第2の反射面で反射された後に再び前記透光性部材を通過して復帰する光を用いて、前記基準位置から前記第2の反射面までの前記所定方向における距離である第2の距離を計測し、
前記第1の距離と前記第2の距離との差に基づいて、前記相互間距離を求めることを特徴とする加圧装置。
【請求項8】
請求項7に記載の加圧装置において、
前記測定手段は、前記平面に平行な方向に移動可能な測距センサを有し、
前記測距センサは、前記平面に平行な方向に移動して、前記複数の位置のそれぞれにおいて前記第1の距離と前記第2の距離とを測定することを特徴とする加圧装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の加圧装置において、
前記測定手段は、3つの測距センサを有し、前記3つの測距センサを用いて、前記平面内における非同一直線上の互いに異なる位置で前記相互間距離をそれぞれ測定することを特徴とする加圧装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の加圧装置において、
前記流動可能物質層は、熱硬化性樹脂材料および光硬化性樹脂材料のいずれかの樹脂材料で形成される層であり、
前記加圧装置は、
前記相互間距離の目標値に対する誤差がそれぞれ許容範囲内に収まっている状態において、流動性を有していた前記樹脂材料を硬化させる硬化手段、
をさらに備えることを特徴とする加圧装置。
【請求項11】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の加圧装置において、
前記流動可能物質層は、金属バンプ層であり、
前記加圧装置は、
前記相互間距離の目標値に対する誤差がそれぞれ許容範囲内に収まっている状態において、熱溶融されていた前記金属バンプ層を冷却して硬化させる硬化手段、
をさらに備えることを特徴とする加圧装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の加圧装置において、
前記第1および第2の被加圧物は、それぞれ、基板であり、
前記測定手段は、相互間に樹脂材料を挟んで配置される前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との前記所定方向における相互間距離を、前記平面内の複数の位置において測定することを特徴とする加圧装置。
【請求項13】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の加圧装置において、
前記第1および第2の被加圧物の一方は基板であり且つ他方はチップであり、
前記測定手段は、相互間に金属バンプ層を挟んで配置される前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との前記所定方向における相互間距離を、前記平面内の複数の位置において測定することを特徴とする加圧装置。
【請求項14】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の加圧装置において、
前記第1および第2の被加圧物の一方はモールドであり且つ他方は基板であり、
前記測定手段は、光硬化性樹脂材料および熱硬化性樹脂材料のいずれかを相互間に挟んで配置される前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との前記所定方向における相互間距離を、前記平面内の複数の位置において測定することを特徴とする加圧装置。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の加圧装置において、
前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との相互間に作用する力を検出する検出手段、
をさらに備え、
前記駆動手段は、前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との加圧期間中において、前記検出手段による検出値が所定の値に近づくように、前記第1の加圧部材の加圧面と前記第2の加圧部材の加圧面とを相対的に移動することを特徴とする加圧装置。
【請求項16】
請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の加圧装置において、
前記相互間距離に関する前記目標値は、前記第1の被加圧物と前記第2の被加圧物との加圧期間中において、経時変化する値に設定されることを特徴とする加圧装置。
【請求項17】
請求項16に記載の加圧装置において、
前記目標値は、前記加圧期間中における前記流動可能物質層の厚さの変動に基づいて定められるものであることを特徴とする加圧装置。
【請求項18】
加圧方法であって、
a)所定方向に離間して対向する第1および第2の加圧部材の相互間に介装される第1および第2の被加圧物であって相互間に流動可能物質層を挟んで配置される第1および第2の被加圧物の前記所定方向における相互間距離を、前記所定方向を法線方向とする平面内での複数の位置において測定するステップと、
b)前記ステップa)による測定結果に基づいて、前記複数の位置における前記相互間距離がそれぞれ目標値に近づくように、前記第1の加圧部材の加圧面と前記第2の加圧部材の加圧面とを相対的に移動するステップと、
を備えることを特徴とする加圧方法。
【請求項19】
請求項18に記載の加圧方法を用いて生成されたデバイス。
【請求項20】
所定方向に離間して対向するとともに前記所定方向に相対移動可能な第1および第2の保持部材と、
前記第1の保持部材に保持された第1の被加圧物と前記第2の保持部材に保持された第2の被加圧物との前記所定方向における相互間距離を、前記所定方向を法線方向とする平面内での複数の位置において測定する測定手段と、
前記測定手段による測定結果に基づいて、前記複数の位置における前記相互間距離がそれぞれ目標値に近づくように、前記第1の加圧部材の加圧面と前記第2の加圧部材の加圧面とを相対的に移動する駆動手段と、
を備えることを特徴とする加圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2011−51328(P2011−51328A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30439(P2010−30439)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(304019355)ボンドテック株式会社 (36)
【Fターム(参考)】