説明

化学療法によって誘発された疼痛を予防しまたは治療するためのσリガンド

本発明は、化学療法薬によって誘発される疼痛、特にタキサン、ビンカアルカロイド、または白金含有化学療法薬によって誘発される疼痛を予防しまたは治療するための、式(I)のσリガンドの使用に言及する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学療法から生ずる疼痛の予防または治療における、σ受容体リガンドの群の使用に関する。本発明は、σ受容体リガンドおよび化学療法薬の組合せと、化学療法の結果として発症する疼痛の予防または治療における、その使用にも言及する。
【背景技術】
【0002】
疼痛状態の治療は、医学において極めて重要なものである。現在、さらなる疼痛療法が世界的に求められている。疼痛状態の特定の治療に対する差し迫った要求が、応用鎮痛薬の分野で最近著された多数の科学的著作に文書化されている。
【0003】
疼痛は、国際疼痛研究学会(IASP)によって、「実際のもしくは潜在的な組織損傷に伴うまたはそのような損傷を表す言葉で述べられる不快な感覚的および感情的な経験」と定義されている(IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、210)。疼痛は常に主観的なものであるが、その原因または症候群は、分類することができる。最も重要な疼痛のサブタイプのいくつかは、神経因性疼痛、アロディニア、痛覚過敏、および末梢神経障害である。
【0004】
一方、癌およびそれに関連した療法は、世界中で最も大きな健康上の懸念のいくつかである。化学療法は、手術と組み合わせてまたは手術の代わりとして、癌腫に罹患している患者を管理しまたは助けるためにほとんどの場合に選択される方法である。
【0005】
化学療法は、一般に、癌、腫瘍、または悪性新形成を治療するための化学物質の使用と定義され、本発明の意味では、化学療法薬と呼ばれる細胞毒性薬または細胞増殖抑制薬の使用を指す。一般に、これは全身治療である。癌治療における化学療法は、急速な癌腫瘍増殖を遅くし、腫瘍を縮小させ、癌細胞を死滅させ、癌の転移を防止するよう設計された、強力な化学療法薬の、個別化された組合せからなる。化学療法薬は、癌細胞が分裂するような典型的な制御不能な手法で細胞が複製されるのを、防止する。
【0006】
末梢神経毒性は、癌の化学療法の、臨床上有意な合併症である。最も有効な薬物のいくつかの場合(例えば、タキサン、ビンカアルカロイド、シスプラチン、ボルテゾミブ、サリドマイド、およびレノリドアミド)、神経毒性は用量制限的であり、場合によっては、通常なら首尾良く行われる療法を強制的に終了させる(PolomanoおよびBennett、Pain Med.、2001、2(1)、8-14; Parkら、Curr. Med. Chem、2008、15(29)、3081-94)。これらの薬物は、多数の血液悪性腫瘍および固形腫瘍に選択される治療薬であるので、何十万人もの患者が毎年影響を受けている。抗新生物薬で惹起された神経毒性による感覚障害は、多くの患者における中程度の知覚異常または知覚不全から、一部の患者における慢性疼痛末梢神経障害にまで及ぶ(QuasthoffおよびHartung、J.Neurol.、2002、249(1)、9-17)。神経障害の発生および重症度は、単回用量の強度、治療の持続期間、累積用量、その他の神経障害薬による事前または同時治療、および糖尿病やアルコール中毒などの共存する状態に依存する(Albertsら、Anticancer Drugs、1995、6(3)、369-83; Postmaら、Ann.Oncol.、1995、6(5)、489-94; Forsythら、J.Neurooncol.、1997、35(1)、47-53; QuasthoffおよびHartung、J.Neurol.、2002、249(1)、9-17)。神経因性疼痛を伴う抹消神経障害、アロディニア、および痛覚過敏は、化学療法の結果、かなりの数の症例で発症することが当技術分野で公知である。これらは、化学療法薬の神経毒性から生じる非常に特殊な症状である。これらの症状の治療は、病気に苦しむ患者の生活の質を維持するのに極めて重要である(Mielkeら、Eur.J.Cancer、2006、42(1)、24-30; Parkら、Curr.Med.Chem.、2008、15(29)、3081-94; Argyriouら、Blood、2008、112(5)、1593-9)。残念なことに、化学療法により誘発された末梢神経障害の有効な治療は、まだ見出されていない(Wolfら、Eur.J.Cancer、2008、44(11)、1507-15)。
【0007】
したがって、化学療法後に発症する疼痛、特に神経因性疼痛、アロディニア、痛覚過敏、および末梢神経障害に対する、新しい形態の予防および治療を提供することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2006/021462
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、210
【非特許文献2】PolomanoおよびBennett、Pain Med.、2001、2(1)、8〜14
【非特許文献3】Parkら、Curr. Med. Chem、2008、15(29)、3081〜94
【非特許文献4】QuasthoffおよびHartung、J.Neurol.、2002、249(1)、9〜17
【非特許文献5】Albertsら、Anticancer Drugs、1995、6(3)、369〜83
【非特許文献6】Postmaら、Ann.Oncol.、1995、6(5)、489〜94
【非特許文献7】Forsythら、J.Neurooncol.、1997、35(1)、47〜53
【非特許文献8】Mielkeら、Eur.J.Cancer、2006、42(1)、24〜30
【非特許文献9】Argyriouら、Blood、2008、112(5)、1593〜9
【非特許文献10】Wolfら、Eur.J.Cancer、2008、44(11)、1507〜15
【非特許文献11】Burger「Medicinal Chemistry and Drug Discovery第6版(Donald J.Abraham編、2001、Wiley)
【非特許文献12】「Design and Applications of Prodrugs」(H.Bundgaard編、1985、Harwood Academic Publishers)
【非特許文献13】Rowinskyら、Semin.Oncol.、1993a 29 4 Suppl. 3、1〜15
【非特許文献14】Rowinskyら、J.Clin.Oncol.、1993b, 11 (10)、2010〜20
【非特許文献15】Wasserheitら、J.Clin.Oncol、1996、14(7)、1993〜9
【非特許文献16】Gordonら、J.Clin.Oncol.、1997、15(5)、1965〜73
【非特許文献17】Chaudhryら、Ann.Neurol.、1994、35(3)、304〜11
【非特許文献18】Doughertyら、Pain、2004、109(1〜2)、132〜42
【非特許文献19】Cersosimo RJ.、Ann.Pharmacother.、2005、39(1)、128〜135
【非特許文献20】IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、213
【非特許文献21】IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、211
【非特許文献22】IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、212
【非特許文献23】Nietoら、Pain、2008、137(3)、520〜31
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の発明者らは、驚くべきことに、いくつかの特定のσ受容体リガンドの投与が、化学療法の結果発症する疼痛の予防または治療に非常に有効であることを見出しかつ実証した。この投与は、疼痛が神経因性、アロディニア、または痛覚過敏である場合に特に有用である。σ受容体リガンドは、抗新生物薬の後に投与した場合、疼痛が既に発症した場合、化学療法により誘発された神経因性疼痛を治療するのに非常に有効である。さらになお驚くべきことに、本発明は、これらのσ受容体リガンドと化学療法薬との同時投与によって、化学療法後に通常は発症すると考えられる疼痛の発症を予防することを実証する。したがって、σ受容体リガンドは、化学療法薬により誘発された神経因性疼痛の治療(疼痛が発症した場合、化学療法薬の後に投与されるσ受容体リガンド)および予防(σ受容体リガンドと化学療法薬との同時投与)の両方に有効である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって本発明の一態様は、同時、個別、または逐次投与のための、少なくとも1種のσ受容体リガンドと少なくとも1種の化学療法薬との組合せに関し、このσリガンドは、一般式(I)、または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグ、または溶媒和物を有する:
【0012】
【化1】

【0013】
(式中、
R1は、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換非芳香族ヘテロシクリル、置換または非置換芳香族ヘテロシクリル、置換または非置換ヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、およびハロゲンにより形成される群から選択され;
R2は、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換の芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換または非置換ヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、およびハロゲンにより形成される群から選択され;
R3およびR4は、独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換の芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換または非置換ヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、およびハロゲンにより形成される群から選択され、または一緒になって、任意選択で置換された縮合環系を形成し;
R5およびR6は、独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換の芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換または非置換ヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、およびハロゲンにより形成される群から選択され、または一緒になって、それらが結合する窒素原子と共に、置換または非置換の芳香族または非芳香族ヘテロシクリル基を形成し;
nは、1、2、3、4、5、6、7、および8から選択され;
tは、1、2、または3であり;
R8およびR9は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換の芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アリールオキシ、およびハロゲンから選択される。)。
【0014】
別の態様では、本発明は、化学療法により誘発される疼痛の予防または治療においてそれを使用するための、上記にて定義された式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグ、または溶媒和物に関する。
【0015】
本発明の別の態様は、薬剤の製造においてそれを使用するための、上記にて定義された組合せを指す。
【0016】
本発明の別の態様は、化学療法により誘発された疼痛に苦しんでおりまたは化学療法的治療の結果疼痛に苦しむ可能性の高い患者を治療する方法であって、そのような治療または予防の必要のある患者に、上記にて定義された式(I)のσリガンドを治療上有効な量で投与するステップを含む方法である。
【0017】
これらの態様およびそれらの好ましい実施形態は、特許請求の範囲においてもさらに定義される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】マウスにおける、パクリタキセルで誘発した冷感アロディニアの、時間的経過を示す図である。各点および縦線は、少なくとも12匹のマウスで得られた値の平均±S.E.M.を表す。パクリタキセルおよびビヒクルで治療した群の値の間の統計的有意差: *p<0.05; **p<0.01;治療前の日と治療後の日における値の間: #p<0.05; ##p<0.01 (2元配置反復測定ANOVAの後、Newman-Keuls検定)。
【図2】パクリタキセルの投与後10日目のマウスへの、化合物63(32、64、または128mg/kg)または生理食塩液の1回の皮下注射が、後足を舐める/噛む持続時間に及ぼす影響の時間的経過を示す図である。各点および縦線は、14〜22匹の動物で得られた値の平均±S.E.M.を表す。治療後の同じ日における、化合物63および生理食塩液で治療した群の間の統計的有意差: *p<0.05; **p<0.01;治療前の日に得られた値と、薬物または生理食塩液を投与してから10日目での様々な時間に得られた値との間: #p<0.05; ##p<0.01 (2元配置反復測定ANOVAの後、Newman-Keuls検定)。
【図3】パクリタキセル-ビヒクルの投与後10日目のマウスへの、化合物63(64mg/kg)または生理食塩液の1回の皮下注射が、後足を舐める/噛む持続時間(アセトン試験)に及ぼす影響の時間的経過を示す図である。各点および縦線は、11〜14匹の動物で得られた値の平均±S.E.M.を表す。2つの群の間に、任意の観察時間で統計的有意差は観察されなかった;治療前の日に得られた値と、薬物または生理食塩液を投与してから10日目での様々な時間に得られた値との間の統計的有意差: ##p<0.01 (2元配置反復測定ANOVAの後、Newman-Keuls検定)。
【図4】アセトン試験で後足を舐め/噛む持続時間に対する、パクリタキセル+化合物63(64mg/kg)およびパクリタキセル+生理食塩液の同時投与の影響の、時間的経過を示す図である。各点および縦線は、25〜35匹の動物で得られた値の平均±S.E.M.を表す。パクリタキセル+生理食塩液と比較した統計的有意差: *p<0.05、**p<0.01;治療前の日の値と、治療後の日の値との間: #p<0.05; ##p<0.01 (2元配置反復測定ANOVAの後、Newman-Keuls検定)。
【図5】パクリタキセルビヒクル+化合物63(64mg/kg)とパクリタキセルビヒクル+生理食塩液の同時投与が、後足を舐め/噛む持続時間(アセトン試験)に及ぼす影響の、時間的経過を示す図である。各点および縦線は、15〜20匹の動物で得られた値の平均±S.E.M.を表す。2つの群の間には、任意の観察時間で統計的有意差が観察されず、またはそれらのそれぞれの治療前の日の値との比較においても観察されなかった(2元配置反復測定ANOVA)。
【図6】σ-1受容体ノックアウトマウスおよび野生型マウスでの、パクリタキセルで誘発された冷感アロディニアの時間的経過を示す図である。各点および縦線は、48匹(野生型)および21匹(ノックアウト)の動物で得られた値の平均±S.E.M.を表す。治療後の同じ日での、σ-1受容体ノックアウトマウスと野生型マウスとの間の統計的有意差: **p<0.01;治療前の日の値と治療後の日の値との間: #p<0.05; ##p<0.01 (2元配置反復測定ANOVAの後、Newman-Keuls検定)。
【図7】σ-1受容体ノックアウトマウスおよび野生型マウスにおいて、アセトン試験で後足を舐め/噛む持続時間に対するパクリタキセル-ビヒクルの影響の時間的経過を示す図である。各点および縦線は、31匹(野生型)および15匹(ノックアウト)の動物で得られた値の平均±S.E.M.を表す。2つの群の間には、任意の観察時間で統計的有意差が観察されず、またはそれらのそれぞれの治療前の日の値および治療後の日の値の比較においても観察されなかった(2元配置反復測定ANOVA)。
【図8】マウスにおける、パクリタキセルで誘発した機械的アロディニアの時間的経過を示す図である。各点および縦線は、32〜34匹の動物で得られた値の平均±S.E.M.を表す。治療後の同じ日での、パクリタキセルで治療した群およびビヒクルで治療した群の間の統計的有意差: **p<0.01;治療前の日の値と治療後の日の値との間: ##p<0.01 (2元配置反復測定ANOVAの後、Newman-Keuls検定)。
【図9】パクリタキセルの投与後10日目に、マウスに対して行われた化合物63(64mg/kg)または生理食塩液の1回の皮下注射が、後足を引っ込める閾値力に及ぼす影響の、時間的経過を示す図である。各点および縦線は、10〜14匹の動物で得られた値の平均±S.E.M.を表す。治療後の同じ時間での、化合物63および生理食塩液で治療された群の間の統計的有意差: **p<0.01;治療前の日と、薬物または生理食塩液の投与後10日目の種々の時間で得られた値の間: #p<0.05; ##p<0.01 (2元配置反復測定ANOVAの後、Newman-Keuls検定)。
【図10】パクリタキセル-ビヒクルの投与後10日目に、マウスに対して行われた化合物63(64mg/kg)または生理食塩液の1回の皮下注射が、後足を引っ込める閾値力に及ぼす影響の、時間的経過を示す図である。各点および縦線は、7〜10匹の動物で得られた値の平均±S.E.M.を表す。2つの群の間では、任意の観察時間で統計的有意差は観察されず、または各群の中で、それらのそれぞれの治療前の値との比較でも観察されなかった(2元配置反復測定ANOVA)。
【図11】σ-1受容体ノックアウトマウスおよび野生型マウスにおいて、パクリタキセルで誘発された機械的アロディニアの、時間的経過を示す図である。各点および縦線は、18匹(野生型)および20匹(ノックアウト)の動物で得られた値の平均±S.E.M.を表す。治療後の同じ日での、σ-1受容体ノックアウトマウスと野生型マウスとの間の統計的有意差: *p<0.05; **p<0.01;治療前の日の値と治療後の日の値との間: ##p<0.01 (2元配置反復測定ANOVAの後、Newman-Keuls検定)。
【図12】σ-1受容体ノックアウトマウスおよび野生型マウスにおける後足を引っ込める閾値力に対して、パクリタキセル-ビヒクルが及ぼす影響の、時間的経過を示す図である。各点および縦線は、12匹の動物で得られた値の平均±S.E.M.を表す。2つの群の間では、任意の観察時間で統計的有意差は観察されず、またはそれらのそれぞれの治療前の日の値および治療後の日の値との比較でも観察されなかった(2元配置反復測定ANOVA)。
【図13】ラットでオキサリプラチンにより誘発された神経障害の慢性モデルにおける、化合物63の予防的(同時投与パラダイム)抗アロディニア効果を示す図である(アセトン試験/反応時間)。結果は、個々の反応時間(両方の後足に関して得られた反応時間の平均値)から計算された、秒/実験群/試験日を単位とする、足を引っ込める反応時間(平均±SEM)として表される。##; ###: p<0.01およびp<0.001、HPMC/蒸留水で治療した群との比較、有意な2元配置順位ANOVA(significant Two way ANOVA on Ranks)後のBonferroni検定。***: p<0.001、0.5% HPMC/オキサリプラチンで治療した群と比較、有意な2元配置順位ANOVA後のBonferroni検定。
【図14】ラットでオキサリプラチンにより誘発された神経障害の慢性モデルにおける、化合物63(オキサリプラチンの後に投与)の抗アロディニア効果を示す図である(アセトン試験/反応時間)。結果は、個々の反応時間(両方の後足に関して得られた反応時間の平均値)から計算された、秒/実験群/試験日を単位とする、足を引っ込める反応時間(平均±SEM)として表される。##; ###: p<0.01およびp<0.001、HPMC/蒸留水で治療した群との比較、有意な2元配置順位ANOVA後のBonferroni検定。*****、および*: p<0.001、p<0.01、およびp<0.05、0.5% HPMC/オキサリプラチンで治療した群と比較、有意な2元配置順位ANOVA後のBonferroni検定。
【図15】ラットでオキサリプラチンにより誘発された神経障害の慢性モデルにおける、化合物63の予防的(同時投与パラダイム)抗アロディニア効果を示す図である(アセトン試験/累積冷感スコア(Cumulative Cold Score))。結果(累積冷感スコア)は、両方の後足/実験群/試験日に関して得られた6スコアの合計の平均±S.E.M.として表される。###: p<0.001、HPMC/蒸留水で治療した群との比較、有意な2元配置順位ANOVA後のBonferroni検定。***: p<0.001、0.5% HPMC/オキサリプラチンで治療した群と比較、有意な2元配置順位ANOVA後のBonferroni検定。
【図16】ラットでオキサリプラチンにより誘発された神経障害の慢性モデルにおける、化合物63(オキサリプラチンの後に投与)の抗アロディニア効果を示す図である(アセトン試験/累積冷感スコア)。結果(累積冷感スコア)は、両方の後足/実験群/試験日に関して得られた6スコアの合計の平均±S.E.M.として表される。###: p<0.001、HPMC/蒸留水で治療した群との比較、有意な2元配置順位ANOVA後のBonferroni検定。***および*: p<0.001およびp<0.05、0.5% HPMC/オキサリプラチンで治療した群と比較、有意な2元配置順位ANOVA後のBonferroni検定。
【図17】ラットでシスプラチンにより誘発された神経障害の慢性モデルにおける、化合物63の急性治療効果を示す図である。シスプラチン(1mg/kg)を、5週にわたり週1回投与し、化合物63(64mg/kg)は、5週目(試験の50分前)に投与した。
【図18】ラットでシスプラチンにより誘発された神経障害の慢性モデルにおける、化合物63の予防的効果を示す図である。シスプラチン(1mg/kg)および化合物63(25mg/kg)を、5週にわたり週1日、同時投与した。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の文脈において、下記の用語は、以下に詳述する意味を有する。
【0020】
「アルキル」は、不飽和を含有せずかつ分子の残りの部分に単結合によって結合されている、1から12個の炭素からなる直鎖または分枝状炭化水素鎖基を指し、例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルなどである。アルキル基は、アリール、ハロ、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、シアノ、カルボニル、アシル、アルコキシカルボニル、アミノ、ニトロ、メルカプト、アルキルチオなどの1個または複数の置換基によって、任意選択で置換されていてもよい。アリールによって置換される場合は、ベンジルやフェネチルなどの「アリールアルキル」基に該当する。好ましいアルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する。
【0021】
「アルケニル」は、2から12個の炭素からなりかつ1つまたは複数の不飽和結合を有するアルキル基を指す。
【0022】
「シクロアルキル」は、飽和しておりまたは部分飽和しておりかつ炭素および水素のみからなる、シクロヘキシルまたはアダマンチルなどの安定な3から10員単環式または2環式基を指す。本明細書で他に特に指示しない限り、「シクロアルキル」という用語は、アルキル、ハロ、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、ニトロ、アルコキシ、カルボキシ、アルコキシカルボニルなどの1個または複数の置換基によって、任意選択で置換されたシクロアルキル基を含むことを意味する。
【0023】
「アリール」は、個別および/または縮合アリール基を含有する多環基を含む、単一および多数芳香族環基を指す。典型的なアリール基は、フェニル、ナフチル、インデニル、フェナントリル、またはアントラシル基など、1から3個の個別のまたは縮合環と6から約18個の炭素環原子を含有する。アリール基は、ヒドロキシ、メルカプト、ハロ、アルキル、フェニル、アルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、シアノ、ジアルキルアミノ、アミノアルキル、アシル、アルコキシカルボニルなどの1個または複数の置換基によって、任意選択で置換されていてもよい。
【0024】
「ヘテロシクリル」は、炭素原子と、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択される1から5個のヘテロ原子とからなる、安定な3から15員環基を指し、好ましくは、1個または複数のヘテロ原子を有する4から8員環を指し、より好ましくは1個または複数のヘテロ原子を有する5または6員環を指す。これは芳香族であっても芳香族でなくてもよい。本発明において、複素環は、縮合環系を含んでいてもよい、単環式、2環式、または3環式の環系であってもよく;ヘテロシクリル基中の窒素、炭素、または硫黄原子は、任意選択で酸化されていてもよく;窒素原子は任意選択で4級化されていてもよく;ヘテロシクリル基は、部分的にもしくは完全に飽和されていてもよくまたは芳香族であってもよい。そのような複素環の例には、アゼピン、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾール、フラン、イソチアゾール、イミダゾール、インドール、ピペリジン、ピペラジン、プリン、キノリン、チアジアゾール、テトラヒドロフラン、クマリン、モルホリン;ピロール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、トリアゾール、イミダゾールなどが含まれるが、これらに限定するものではない。
【0025】
「アルコキシ」は、式-ORaの基を指し、但しRaは、上記にて定義されるようにアルキル基であり、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシなどである。
【0026】
「アミノ」は、任意選択で4級化された式-NH2、-NHRa、または-NRaRb基を指し、但しRaおよびRbは、独立して、上記にて定義されたアルキル基であり、例えばメチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノなどである。
【0027】
「ハロ」または「ハル」は、ブロモ、クロロ、ヨード、またはフルオロを指す。
【0028】
本発明の化合物中の置換された基に関して本明細書で言及する場合、1個または複数の安定な基、例えば、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードなどのハロゲン;シアノ;ヒドロキシル;ニトロ;アジド;アシルなどのC1〜6アルカノイル基などのアルカノイル;カルボキサミド;1から約12個の炭素原子、または1から約6個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を有するような基を含むアルキル基;1つまたは複数の不飽和結合、および2から約12個の炭素原子、または2から約6個の炭素原子を有する基を含むアルケニルおよびアルキニル基;1つまたは複数の酸素結合、および1から約12個の炭素原子、または1から約6個の炭素原子を有するアルコキシ基;フェノキシなどのアリールオキシ;1つまたは複数のチオエーテル結合、および1から約12個の炭素原子、または1から約6個の炭素原子を有するような部分を含むアルキルチオ基;1つまたは複数のスルフィニル結合、および1から約12個の炭素原子、または1から約6個の炭素原子を有するような部分を含むアルキルスルフィニル基;1つまたは複数のスルホニル結合、および1から約12個の炭素原子、または1から約6個の炭素原子を有するような部分を含むアルキルスルホニル基;1個または複数のN原子、および1から約12個の炭素原子、または1から約6個の炭素原子を有する基などのアミノアルキル基;6個以上の炭素を有する炭素環式アリール、特にフェニルまたはナフチル、およびベンジルなどのアラルキルによって、1つまたは複数の利用可能な位置で置換されていてもよい特定の部分を指す。他に指示しない限り、任意選択で置換された基は、この基の置換可能な位置のそれぞれに置換基を有していてもよく、各置換は、その他の置換とは無関係である。
【0029】
「塩」という用語は、前記化合物がイオン形態にありまたは帯電して対イオン(陽イオンまたは陰イオン)に結合しておりまたは溶液状態にある、本発明により使用される活性化合物の任意の形態として理解されなければならない。この定義は、第4級アンモニウム塩、活性分子とその他の分子およびイオンとの錯体、特にイオン相互作用を介して形成された錯体も含む。この定義は、特に、生理学的に許容される塩を含み;この用語は、「薬理学的に許容される塩」と均等であると理解されるべきである。
【0030】
本発明の文脈で「薬学的に許容される塩」という用語は、適切な手法で使用され、特にヒトおよび/または哺乳動物において施用されまたは使用される場合、生理学的に忍容性がある任意の塩を意味する(通常は毒性がないことを意味し、特に対イオンの結果として毒性がないことを意味する。)。これらの生理学的に許容される塩は、陽イオンまたは塩基により形成されていてもよく、本発明の文脈では、この塩は、特にヒトおよび/または哺乳動物で使用される場合、本発明により使用される少なくとも1種の化合物-通常は酸(脱プロトン化された)-例えば、陰イオンと、少なくとも1種の生理学的に忍容性ある陽イオン、好ましくは無機物によって形成された塩であることが理解される。アルカリおよびアルカリ土類金属を有する塩は、アンモニウム陽イオン(NH4+)で形成されたものと同様に、特に好ましい。好ましい塩は、(モノ)もしくは(ジ)ナトリウム、(モノ)もしくは(ジ)カリウム、マグネシウム、またはカルシウムで形成されたものである。これらの生理学的に許容される塩は、陰イオンまたは酸により形成されてもよく、本発明の文脈では、特にヒトおよび/または哺乳動物で使用される場合、本発明により使用される少なくとも1種の化合物-通常は、例えば窒素中でプロトン化されたもの-例えば陽イオンと、少なくとも1種の生理学的に忍容性ある陰イオンによって形成された塩であることが理解される。この定義は、本発明の文脈において-特にヒトおよび/または哺乳動物で使用される場合、生理学的に忍容性ある酸によって形成された塩、すなわち、特定の活性化合物と生理学的に忍容性ある有機または無機酸との塩を特に含む。このタイプの塩の例は:塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、マンデル酸、フマル酸、乳酸、またはクエン酸により形成されるものである。
【0031】
本発明による「溶媒和物」という用語は、本発明による活性化合物が非共有結合によって別の分子に結合されている(通常は極性溶媒)前記化合物の任意の形態を意味すると理解されるべきであり、特に、水和物およびアルコレート、また例えばメタノレートが含まれる。好ましい溶媒和物は水和物である。
【0032】
式Iの化合物のプロドラッグである任意の化合物も、本発明の範囲内である。「プロドラッグ」という用語は、その最も広い意味で使用され、本発明の化合物にin vivoで変換されるような誘導体を包含する。プロドラッグの例には、生物加水分解性アミド、生物加水分解性エステル、生物加水分解性カルバメート、生物加水分解性カーボネート、生物加水分解性ウレイド、および生物加水分解性ホスフェート類似体などの生物加水分解性の部分を含めた、式Iの化合物の誘導体および代謝物が含まれるが、これらに限定するものではない。好ましくは、カルボキシル官能基を有する化合物のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。カルボン酸エステルは、分子中に存在するカルボン酸部分のいずれかをエステル化することによって、都合良く形成される。プロドラッグは、Burger「Medicinal Chemistry and Drug Discovery第6版 (Donald J.Abraham編、2001、Wiley)および「Design and Applications of Prodrugs」(H.Bundgaard編、1985、Harwood Academic Publishers)に記載されるような周知の方法を使用して、典型的には調製することができる。
【0033】
本明細書で使用される「治療する」および「治療」という用語は、疼痛発症後に化学療法によって誘発された疼痛の、根絶、除去、復帰、軽減、変更、または制御を含む。
【0034】
本明細書で使用される「予防」、「予防している」、「予防的な」、「予防する」、および予防法という用語は、治療によって、疾患もしくは状態が開始する前にこの疾患もしくは状態の発現もしくは発症を回避し、最小限に抑え、または困難にすることができる能力を指す。
【0035】
本明細書で使用される「化学療法」または「化学療法薬」という用語は、癌、腫瘍、または悪性新形成を治療するための化学薬品の使用を広く指す。
【0036】
本発明による「化学療法の結果として発症する」は: a)化学療法の後または開始と共に発症し、b)したがって化学療法薬の使用と同時にまたは使用の後に生じると定義される。したがって、治療される症状は、化学療法薬の毒性、細胞毒性、または特に末梢神経毒性によって引き起こされる可能性が高く、またはこれらの毒性に起因する。
【0037】
好ましい実施形態では、式(I)の化合物中のR1は、H、-COR8、および置換または非置換アルキルから選択される。より好ましくは、R1は、H、メチル、およびアセチルから選択される。より好ましい実施形態は、R1がHの場合である。
【0038】
別の好ましい実施形態では、R2は、Hまたはアルキルを表し、好ましくはメチルである。
【0039】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、R3およびR4は、フェニル基のメタ位およびパラ位に位置しており、好ましくは、ハロゲンおよび置換または非置換アルキルから独立して選択される。
【0040】
本発明の特に好ましい実施形態では、R3およびR4は共に、フェニル基と一緒になって、任意選択で置換された縮合環系を形成し、より好ましくはナフチル環系を形成する。
【0041】
また、nが2、3、4から選択される実施形態も、本発明の文脈では好ましく、より好ましくはnが2である。
【0042】
最後に、別の実施形態では、R5およびR6は、それぞれ独立してC1〜6アルキルであり、またはこれらが結合する窒素原子と一緒になって、モルホリニル、ピペリジニル、またはピロリジニル基を形成することが好ましい。より好ましくは、R5およびR6は一緒に、モルホリン-4-イル基を形成する。
【0043】
本発明の好ましい変形例では、本発明の組合せは:
[1] 4-{2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1Hピラゾール-3-イルオキシ)エチル}モルホリン
[2] 2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン
[3] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール
[4] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール
[5] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン
[6] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール
[7] 3-{1-[2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル]ピペリジン-4-イル}-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン
[8] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-4-メチルピペラジン
[9] エチル4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペラジンカルボキシレート
[10] 1-(4-(2-(1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル)ピペラジン-1-イル)エタノン
[11] 4-{2-[1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン
[12] 1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール
[13] 1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール
[14] 1-[2-(1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)エチル]ピペリジン
[15] 1-{2-[1-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール
[16] 4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン
[17] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール
[18] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール
[19] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン
[20] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1H-イミダゾール
[21] 2-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-フェニル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン
[22] 4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}モルホリン
[23] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[4-(ピロリジン-1-イル)ブトキシ]-1H-ピラゾール
[24] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}ピペリジン
[25] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-4-メチルピペラジン
[26] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-1H-イミダゾール
[27] 4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルブタン-1-アミン
[28] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-4-フェニルピペリジン
[29] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-6,7-ジヒドロ-1H-インドール-4(5H)-オン
[30] 2-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン
[31] 4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン
[32] 2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン
[33] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール
[34] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール
[35] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン
[36] 2-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-イソプロピル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン
[37] 4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン
[38] 2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ] N,N-ジエチルエタンアミン
[39] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール
[40] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン
[41] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール
[42] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペラジン
[43] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピロリジン-3-アミン
[44] 4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン
[45] 4-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン
[46] 2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルエタンアミン
[47] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール
[48] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-3-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]-1H-ピラゾール
[49] 1-{2-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-4,5-ジメチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン
[50] 4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}モルホリン
[51] (2S,6R)-4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}-2,6-ジメチルモルホリン
[52] 1-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}ピペリジン
[53] 1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[4-(ピロリジン-1-イル)ブトキシ]-1H-ピラゾール
[55] 4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N,N-ジエチルブタン-1-アミン
[56] N-ベンジル-4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N-メチルブタン-1-アミン
[57] 4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]-N-(2-メトキシエチル)-N-メチルブタン-1-アミン
[58] 4-{4-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]ブチル}チオモルホリン
[59] 1-[1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-(2-モルホリノエトキシ)-1H-ピラゾール-4-イル]エタノン
[60] 1-{1-(3!4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール-4-イル}エタノン
[61] 1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-5-メチル-3-[2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール-4-イル}エタノン
[62] 1-{1-(3,4-ジクロロフェニル)-3-[2-(ジエチルアミノ)エトキシ]-5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル}エタノン
[63] 4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン
[64] N,N-ジエチル-2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エタンアミン
[65] 1-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}ピペリジン
[66] 5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-3-[2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ]-1H-ピラゾール
から選択される式(I)のσリガンド、または薬学的に許容されるその塩、立体異性体、溶媒和物、またはプロドラッグを包含する。
【0044】
本発明のより好ましい変形例では、式(I)のσリガンドが4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンである。この特定の化合物は、化合物63として、本発明の実施例で設計される。
【0045】
本発明のさらにより好ましい変形例では、式(I)のσリガンドが4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン塩酸塩である。
【0046】
本明細書で言及される任意の化合物は、そのような特定の化合物、ならびにある特定の変形または形態を表すものである。特に、本明細書で言及される化合物は不斉中心を有していてもよく、したがって異なる鏡像異性体またはジアステレオマーの形態で存在する。このように、本明細書で言及される任意の所与の化合物は、ラセミ化合物のいずれか1つ、1つまたは複数の鏡像異性体形態、1つまたは複数のジアステレオマー形態、およびこれらの混合物を表すものである。同様に、2重結合の周りの立体異性または幾何異性も可能であり、したがって、ある場合には、分子は(E)-異性体または(Z)-異性体(トランスおよびシス異性体)として存在することができる。分子がいくつかの2重結合を含有する場合、各2重結合は、この分子のその他の2重結合の立体異性と同じでありまたは異なる可能性があるそれ自体の立体異性を有することになる。さらに、本明細書で言及される化合物は、アトロプ異性体として存在してもよい。本明細書で言及される化合物の鏡像異性体、ジアステレオマー、幾何異性体、およびアトロプ異性体を含む全ての立体異性体、およびこれらの混合物は、本発明の範囲内と見なされる。
【0047】
さらに、本明細書で言及される任意の化合物は、互変異性体として存在してもよい。特に、互変異性体という用語は、平衡して存在しかつ1つの異性体の形態から別の形態に容易に変換される、化合物の2つ以上の構造異性体の1つを指す。一般的な互変異性体の対は、アミン-イミン、アミド-イミド、ケト-エノール、ラクタム-ラクチンなどである。
【0048】
他に指示しない限り、本発明の化合物は、同位体標識された形態を含むことも意味し、すなわち、1個または複数の同位体リッチな原子の存在下でのみ異なる化合物を含むことも意味する。例えば、少なくとも1個の水素原子が重水素もしくは3重水素で置換され、または少なくとも1個の炭素が13Cもしくは14Cリッチな炭素で置換され、または少なくとも1個の窒素が15Nリッチな窒素で置換されたこと以外、本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0049】
式(I)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物は、好ましくは、薬学的に許容されまたは実質的に純粋な形態をとる。薬学的に許容される形態とは、とりわけ、希釈剤や担体などの通常の医薬品添加剤を除外したときに薬学的に許容されるレベルの純度を有し、通常の投薬レベルで毒性と見なされる材料を含まないことを意味する。薬物の物質の純度レベルは、好ましくは50%超であり、より好ましくは70%超、最も好ましくは90%超である。好ましい実施形態では、式(I)の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグの95%超である。
【0050】
式(I)の化合物およびその塩または溶媒和物は、先の出願WO2006/021462に開示されるように調製することができる。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、疼痛は、白金由来の薬物から、植物性アルカロイド、ボルテゾミブ、サリドマイド、および誘導体、およびテルペン(テルペノイド)から選択される、化学療法薬によって誘発される。
【0052】
より好ましくは、白金由来の薬物は、市販のチスプラチン、カルボプラチン、またはオキサリプラチンである。
【0053】
「植物性アルカロイド」(およびテルペノイド)は、微小管機能を妨げることによって細胞分裂を遮断する、植物由来のアルカロイドである。微小管は、細胞分裂に極めて重要であるので、その阻害によって細胞有糸分裂も妨げられる。植物性アルカロイドの主な例は、ビンカアルカロイドおよびタキサンである。
【0054】
「ビンカアルカロイド」は、チューブリンの特定の部位に結合し、微小管へのチューブリンのアセンブリを阻害する(細胞周期のM期)。これらはニチニチソウ(Madagascar periwinkle (Catharanthus roseus))(以前はツルニチニチソウ(Vinca rosea)として知られていた。)から得られる。好ましいビンカアルカロイドには、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、およびビンデシンが含まれる。
【0055】
「タキサン」は、イチイ(Pacific yew tree (Taxus brevifolia))から得られる。タキサンは、微小管の安定性を高め、後期における染色体の分離を防止する。本発明で好ましいタキサンには、パクリタキセルおよびドセタキセルが含まれる。
【0056】
式(I)のσリガンドで予防しまたは治療することができる疼痛を、誘発させる可能性のある化学療法薬(商標による)の例は:
13-シス-レチノイン酸、2-CdA、2-クロロデオキシアデノシン、5-フルオロウラシル5-FU、6-メルカプトプリン、6-MP、6-TG 6-チオグアニン、アブラキサン、Accutane(登録商標)、アクチノマイシン-D、Adriamycin(登録商標)、Adrucil(登録商標)、Agrylin(登録商標)、Ala-Cort(登録商標)、アルデスロイキン、アレムクズマブ、ALIMTA、アリトレチノイン、Alkaban-A Q(登録商標)、Alkeran(登録商標)、オール-トランスレチノイン酸、αインターフェロン、アルトレタミン、アメトプテリン、アミフォスチン、アミノグルテチミド、アナグレリド、Anandron(登録商標)、アナストロゾール、アラビノシルシトシン、Ara-C、Aranesp(登録商標)、Aredia(登録商標)、Arimidex(登録商標)、Aromasin(登録商標)、Arranon(登録商標)、3酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、ATRA、Avastin(登録商標)、アザシチジン、BCG、BCNU、ベバシズマブ、ベキサロテン、BEXXAR(登録商標)、ビカルタミド、BiCNU、Blenoxane(登録商標)、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、Busulfex(登録商標)、C225、カルシウムロイコボリン、Campath(登録商標)、Camptosar(登録商標)、カムプトテシン-11、カペシタビン、Carac(商標)、カルボプラチン、カルムスチン、カルムスチンウェーハ、Casodex(登録商標)、CC-5013、CCNU(o)、CDDP(t)、CeeNU(t)、セルビジン(t)、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、シトロボラム因子、クラドリビン、コルチゾン、コスメゲン(t)、CPT-11(o)、シクロホスファミド、シタドレン(t)、シタラビン、シタラビンリポソーム、Cytosar-U(t)、Cytoxan(登録商標)、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンα、ダウノマイシン、ダウノルビシン、ダウノルビシン塩酸塩(t)、ダウノルビシンリポソーム、ダウノキソーム(t)、デカドロン、δ-Cortef(t)、デルタゾン(t)、デニロイキン、ジフチトックス、DepoCyt(t)、デキサメタゾン、デキサメタゾンアセテート、デキサメタゾンナトリウムホスフェート、デキサゾン(t)、デキスラゾキサン、DHAD(o)、DIC(t)、Diodex(t)、ドセタキセル、ドキシル(t)、ドキソルビシン、ドキソルビシンリポソーム、ドロキシア(t)、DTIC、DTIC-Dome(t)、デュラロン(t)、エフデックス(t)、エリガード(t)、エレンス(t)、エロキサチン(t)、エルスパー(t)、Emcyt(t)、エピルビシン、エポエチンα、エルビタックス、エルロチニブ、エルウィニアL-アスパラギナーゼ(t)、エストラムスチン、エチオール、エトポホス(t)、エトポシド、エトポシドホスフェート(t)、エウレキシン(t)、エビスタ(t)、エキセメスタン、ファレストン(t)、ファスロデックス(t)、Femara(登録商標)、フィルグラスチム、フロキスリジン、フルダラ(t)、フルダラビン、フルオロプレックス(t)、フルオロウラシル、フルオロウラシル(クリーム)、フルオキシメステロン、フルタミド、ホリニン酸(o)、FUDR(t)、フルベストラント、G-CSF(t)、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲムザル(t)、Gleevec(商標)、グリアデルウェーハ(t)、GM-CSF(o)、ゴセレリン、グラヌロサイト-コロニー刺激因子(t)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(o)、ハロテスチン(t)、ヘルセプチン(t)、ヘキサドロール(t)、ヘキサレン(t)、ヘキサメチルメラミン(t)、HMM(t)、ヒカムチン(t)、ヒドレア(t)、ヒドロコルトアセテート(t)、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンナトリウムホスフェート、ヒドロコルチゾンナトリウムスクシネート、ヒドロコルトンホスフェート(t)、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブ、ルブリツモマブチウキセタン、Idamycin(登録商標)、Idarubicin Ifex(登録商標)、IFN-α、イホスファミド、IL-11、IL-2、イマチニブメシレート、イミダゾールカルボキサミド、インターフェロンα、インターフェロンα-2b(PEGコンジュゲート)(o)、インターロイキン-2(t)、インターロイキン-11(o)、Intron A(登録商標)(インターフェロンα-2b)、Iressa(登録商標)、イリノテカン、イソトレチノイン、キドロラーゼ(t)、ラナコルト(t)、L-アスパラギナーゼ(t)、LCR(o)、レナリドミド(レノリダミド)、レトロゾール、ロイコボリン、ロイケラン(t)、ロイキン(t)、ロイプロリド、ロイロクリスチン(o)、ロイスタチン(t)、リポソームAra-C(t)、液体Pred(t)、ロムスチン、L-PAM(o)、L-サルコリシン(o)、ルプロン(t)、ルプロンデポー(t)、マツラン(t)、マキシデックス(t)、メクロレタミン、メクロレタミン塩酸塩、メドラロン(t)、Medrol(登録商標)、メガス(t)、メゲストロール、メゲストロールアセテート(o)、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メスネックス(t)、メトトレキセート、メトトレキセートナトリウム(o)、メチルプレドニゾロン、メチコルテン(t)、マイトマイシン、マイトマイシン-C(o)、ミトキサントロン、M-プレドニゾール(t)、MTC(o)、MTX(o)、ムスタルゲン(t)、ムスチン、ムタマイシン(t)、ミレラン(t)、ミロセル(t)、ミロターグ(t)、ナベルビン(t)、ネララビン、ネオサル(t)、ノイラスタ(t)、ノイメガ(t)、ノイポゲン(t)、Nexavar(登録商標)、ニランドロン(t)、ニルタミド、Nipent(登録商標)、窒素マスタード(o)、ノバルデックス(t)、ノバントロン(t)、オクトレオチド、オクトレオチドアセテート(o)、オンコスパル(t)、オンコビン(t)、オンタク(t)、オンキサール(t)、オプレベルキン、オラプレド(t)、オラソン(t)、オキサリプラチン、パクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合、プアミドロネート、パンレチン(t)、パラプラチン(t)、ペジアプレド(t)、PEGインターフェロン、ペガスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、PEG-INTRON(t)、PEG-L-アスパラギナーゼ、ペメトレキセド、ペントスタチン、フェニルアラニンマスタード(o)、プラチノール(t)、プラチノール-AQ(t)、プレドニゾロン、プレロン(t)、プロカルバジン、PROCRIT(登録商標)、プロロイキン(t)、カルムスチンインプラント(t)を有するプロリフェプロスパン20、プリネトール(t)、ラロキシフェン、Revlimid(登録商標)、ロイマトレックス(t)、リツキサン(t)、リツキシマブ、Roferon-A(登録商標)、(インターフェロンα-2a)ルベックス(t)、ルビドマイシン塩酸塩(t)、Sandostatin(登録商標)、サンドスタチンLAR(t)、サルグラモスチム、Solu-Cortef(t)、Solu-Medrol(t)、ソラフェニブ、STI-571、ストレプトゾシン、SU11248、スニチニブ、Sutent(登録商標)、タモキシフェン、Tarceva(登録商標)、タルグレチン(t)、Taxol(登録商標)、タキソテレ(t)、Temodar(登録商標)、テモゾロミド、テニポシド、TESPA(o)、サリドマイド、Thalomid(登録商標)、TheraCys(t)、チオグアニン、チオグアニンタブロイド(t)、チオホスファミド(o)、チオプレックス(t)、チオテパ、TICE(登録商標)、トポサール(t)、トポテカン、トレミフェン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、トレキサール(t)、トリセノックス(t)、TSPA(o)、VCR(o)、ベルバン(t)、Velcade(登録商標)、ベペシド(t)、ベサノイド(t)、ビアデュア(t)、ビダザ(t)、ビンブラスチン、ビンブラスチンスルフェート(o)、ビンカサールPfs(t)、ビンクリスチン、ビノレルビン、ビノレルビンタルトレート(o)、VLB(o)、VM-26(o)、VP-16(t)、Vumon(t)、Xeloda(登録商標)、キシオタックス、ザノサール(t)、Zevalin(商標)、ジネカード(t)、Zoladexa(登録商標)、ゾレドロン酸、およびZometa(登録商標)である。
【0057】
癌療法で使用される別の薬物(主に化学療法薬として)は:
(商標として)アルダラ、アリムタ、アンドロクル、アルイミデックス、ボレア、カエリキス、カンプト、カソデックス、デカペプチル、エロキサチン、オイチロックス、ファスロデックス、フェマラ、ゲムザル、ゴナペプチル、グリセチン、ヘルセプチン、イソボリン、リソドレン、メゲフレン、メトビックス、ナベルビン、ノバルデックス、ノバントロン、パラプラチン、プロクリン、プロスタクル、スプレファクト、タモキシフェノファンク、タキソール、タキソテレ、テステックス、エルム/プロロンガツム、トムデックス、ウテホス、ベペシド、キセロダ、ゾラデックス;
(活性化合物として):アナストロゾール、ビカルタミド、ブセレリン、カペセタビン、シスプラチン、カルボプラチン、デソキソルビシン、ドセタキセル、エトポシド、フルベストラント、ゲムシタビン、ゴセレリン、イリノテカン、レトロゾール、ロイプロレリン、メゲストロール、ミトタン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、タモキシフェン、テガフール、トリプトレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、およびビンデシン
である。
【0058】
本発明の好ましい実施形態では、化学療法薬は、タキサン、ビンカアルカロイド、白金由来の薬物、ボルテゾミブ、またはサリドマイド、およびその誘導体から選択される。好ましくは、化学療法薬は、パクリタキセル、オキサリプラチン、シスプラチン、ビンクリスチン、ボルテゾミブ、サリドマイド、またはレノリダミドから選択される。
【0059】
本発明のより好ましい実施形態では、化学療法薬はタキサンであり、特にパクリタキセルである。パクリタキセル(Taxol(登録商標))は、最も有効な、固形腫瘍の治療に一般に使用される抗新生物薬の1種である。この薬物には深刻な2つの副作用、骨髄抑制および末梢神経毒性がある。顆粒球コロニー刺激因子は、ほとんどの患者において好中球減少を有効に相殺する。しかし、神経損傷を予防しまたは最小限に抑えるための許容される療法はなく、神経毒性および著しい用量制限的副作用がもたらされる(Rowinskyら、Semin.Oncol.、1993a 29 4 Suppl. 3、1〜15; Rowinskyら、J.Clin.Oncol.、1993b, 11 (10)、2010〜20; Wasserheitら、J.Clin.Oncol、1996、14(7)、1993〜9; Gordonら、J.Clin.Oncol.、1997、15(5)、1965〜73; Mielkeら、Eur.J.Cancer、2006、42(1)、24〜30)。パクリタキセルで誘発された神経毒性は、典型的には感覚性神経障害として出現し、ほとんどの一般的な病訴は痺れ感、刺痛、灼熱痛、および冷感アロディニアである(Rowinskyら、Semin.Oncol.、1993a 29 4 Suppl. 3、1〜15; Chaudhryら、Ann.Neurol.、1994、35(3)、304〜11; Forsythら、J.Neurooncol.、1997、35(1)、47〜53; Doughertyら、Pain、2004、109(1〜2)、132〜42)。感覚的症状は、通常、足で対称的に始まるが、時々、手と足の両方で同時に現れる(Rowinskyら、Semin.Oncol.、1993a 29 4 Suppl.3、1〜15; QuasthoffおよびHartung、J.Neurol.、2002、249(1)、9〜17; Mielkeら、Eur.J.Cancer、2006、42(1)、24〜30)。パクリタキセルで誘発された神経障害を有する臨床上有意な数の患者が、神経因性疼痛を経験する。例えば、135、175、および250〜300mg/m2のパクリタキセル用量で治療した27名の患者の研究では、それぞれ、神経因性症状が患者の50、79、および100%で生じ、患者の0、21、71%で用量制限的神経毒性に進行する(Postmaら、Ann.Oncol.、1995、6(5)、489〜94)。
【0060】
本発明の別のより好ましい実施形態では、化学療法薬が白金含有薬であり、特にオキサリプラチンおよびシスプラチンである。これらの白金ベースの化学療法薬は、固形腫瘍、特に結腸直腸、またそれだけではなく卵巣、精巣、膀胱、および肺癌の治療の主力であるが、それらの臨床使用は、用量制限的神経毒性によって厳しく抑制されている。この種類の抗癌剤により誘発された神経毒性は、肢遠位部で神経因性疼痛(すなわち、痺れ感、刺痛、灼熱痛、アロディニア、および痛覚過敏)の症状を示す、用量依存的有痛性感覚神経障害により特徴付けられる。オキサリプラチンの治療は、2つの形態の神経毒性、すなわち:急性および慢性をもたらす。急性形態は、患者の>90%で生じ、注入中にまたは終了から数時間以内に始まる可能性があり、通常は自己限定的であり、冷気に曝すことにより悪化する可能性がある。慢性神経障害は累積的で、合計≧540mg/m2の用量が与えられた患者で最も一般的に見られる。感覚的神経障害ではあるが、その強度は、物を持ったり書いたりという身体的機能を損なう点まで増大する可能性がある(Cersosimo RJ.、Ann.Pharmacother.、2005、39(1)、128〜135)。
【0061】
本発明の好ましい組合せは、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン(化合物63)と、パクリタキセル、オキサリプラチン、シスプラチン、およびビンクリスチンから選択される化学療法薬との組合せを含む。
【0062】
本発明のより好ましい組合せは、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンとパクリタキセルとの組合せ、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンとオキサプラチンとの組合せ、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンとシスプラチンとの組合せを含む。
【0063】
追加の好ましい実施形態では、上式における種々の群および置換基ならびに化学療法薬に関する上述の選択が、組み合わされる。本発明は、そのような組合せも対象とする。
【0064】
本発明の組合せは、少なくとも薬学的に許容される担体、添加剤、アジュバント、またはビヒクルと共に、その同時、個別、または逐次投与のために処方されてもよい。これには、2種の活性化合物の組合せを:
- これら2種の活性化合物が後で常に同時に投与される、同じ薬品製剤の一部をなす組合せとして、
- 2つの単位、すなわちそのそれぞれにおいて活性物質の1種が、同時、逐次、または個別投与の可能性を引き起こすものである、2つの単位の組合せとして
投与してもよいという意味がある。
【0065】
特定の実施形態では、式(I)のσリガンドは、化学療法薬から独立して(すなわち、2つの単位で)、しかし同時に投与される。
【0066】
別の特定の実施形態では、式(I)のσリガンドは最初に投与され、次いで化学療法薬が個別にまたは逐次投与される。
【0067】
これらの特定の投与方法は、好ましくは、化学療法の結果として発症する疼痛を予防するのに使用される。
【0068】
さらに別の特定の実施形態では、化学療法薬が最初に投与され、次いで式(I)のσリガンドが、定義されるように個別にまたは逐次投与される。
【0069】
この特定の投与方法は、好ましくは、化学療法の結果発症する疼痛を治療するのに使用される。
【0070】
補助材料または添加剤は、担体、賦形剤、支持材料、滑沢剤、充填剤、溶媒和物、希釈剤、着色剤、糖などの香味調整剤、抗酸化剤、および/または凝着剤の中から選択することができる。坐剤の場合は、非経口施用のための、蝋、または脂肪酸エステル、または保存剤、乳化剤、および/または担体が示唆される。これら補助材料および/または添加剤の選択と、使用される量は、医薬品組成物の施用形態に依存することになる。
【0071】
本発明による医薬品の組合せは、任意の投与形態、経口または非経口に適合させることができ、例えば肺、鼻、直腸、および/または静脈内からの投与に適合させることができる。したがって、本発明による製剤は、局所または全身施用に、特に皮膚、皮下、筋肉内、関節内、腹腔内、肺、頬、舌下、鼻、経皮、膣、経口、または非経口施用に適合させてもよい。
【0072】
経口施用に適した調製物は、錠剤、丸剤、チューイングガム、カプセル剤、顆粒剤、ドロップ剤、またはシロップ剤である。
【0073】
非経口施用に適した調整物は、溶液剤、懸濁剤、再構成可能な乾燥調製物、またはスプレー剤である。
【0074】
本発明の組合せは、経皮施用のために、溶解した形態でのまたはパッチでの堆積物として処方されてもよい。
【0075】
皮膚施用には、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、ローション剤、懸濁剤、または乳剤が含まれる。
【0076】
直腸施用に適した形態は、坐剤を用いる。
【0077】
上述のように、式(I)の化合物は、化学療法によって誘発された疼痛を予防しまたは治療する際のその使用に適している。好ましくは、疼痛は、タキサン、ビンカアルカロイド、白金由来の薬物、ボルテゾミブ、またはサリドマイド、およびその誘導体から選択される化学療法薬によって誘発される。好ましくは、化学療法薬は、パクリタキセル、オキサリプラチン、シスプラチン、ビンクリスチン、ボルテゾミブ、サリドマイド、またはレノリダミドから選択され、より好ましくは、パクリタキセル、オキサリプラチン、またはシスプラチンから選択される。
【0078】
さらに、少なくとも1種の式(I)の化合物と少なくとも1種の化学療法薬との組合せは、化学療法の結果発症する疼痛を予防しまたは治療する際のその使用に適している。疼痛を予防しまたは治療する際に使用されるこの組合せは、同時に、個別に、または逐次投与することができる。化学療法の結果発症する疼痛を予防しまたは治療するには、単回または反復投与が考えられる。
【0079】
したがって、本発明の別の態様は、化学療法により誘発された疼痛を予防しまたは治療する際に使用される、上記にて定義された組合せを指す。
【0080】
特定の実施形態では、前記組合せは、化学療法により誘発された疼痛の予防に使用される。
【0081】
別の特定の実施形態では、前記組合せは、化学療法によって誘発された疼痛の治療に使用される。
【0082】
本発明の特定の実施形態では、疼痛は、末梢神経因性疼痛、アロディニア、カウザルギー、痛覚過敏、知覚過敏、ヒペルパチー、神経痛、神経炎、または神経障害である。より好ましくは、疼痛は、冷感アロディニアまたは機械的アロディニアである。
【0083】
「神経因性疼痛」は、IASPにより、「神経系の一次損傷または機能不全によって生じまたは引き起こされた疼痛」と定義される(IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、210)。本発明においては、この用語は、「末梢または中枢神経系の一次損傷、機能不全、または一過性の混乱によって生じまたは引き起こされた疼痛」とIASPによって定義される「神経原性疼痛」の、同義語として扱われる。本発明による神経因性疼痛は、化学療法から生じる神経因性疼痛に限定され、化学療法での化学療法薬の使用に引き起こされたことを意味する。この疼痛の最も可能性ある原因は、化学療法薬神経毒性であり、より具体的には、その末梢神経毒性である。
【0084】
IASPによれば、「アロディニア」は、「通常なら疼痛を引き起こさない刺激に起因した疼痛」と定義される(IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、210)。IASPによれば、「末梢神経因性疼痛」は、「末梢神経系の一次損傷または機能不全により生じまたは引き起こされた疼痛」と定義され、「末梢神経原性疼痛」は、「末梢神経系の一次損傷、機能不全、または一過性の混乱によって生じ又は引き起こされた疼痛」と定義される(IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、213)。
【0085】
IASPによれば、「カウザルギー」は、「血管運動性および発汗促進性の機能不全および後の栄養変化としばしば組み合わされる、外傷性神経損傷後の、持続性灼熱痛、アロディニア、およびヒペルパチーからなる症候群」と定義される(IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、210)。
【0086】
IASPによれば、「痛覚過敏」は、「正常な状態で痛みを生じさせる刺激に対する、増大した応答」と定義される(IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、211)。
【0087】
IASPによれば、「知覚過敏」は、「感覚以外の刺激に対する亢進した感受性」と定義される(IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、211)。
【0088】
IASPによれば、「ヒペルパチー」は、「刺激、特に反復性の刺激に対する、異常に痛みのある反応、ならびに閾値上昇を特徴とする、有痛性症候群」と定義される(IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、212)。
【0089】
IASPは、「アロディニア」、「痛覚過敏」、および「ヒペルパチー」の間の下記の相違を示す(IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、212):
【0090】
【表1】

【0091】
IASPによれば、「神経痛」は、「1つまたは複数の神経の分布における疼痛」と定義される(IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、212)。
【0092】
IASPによれば、「神経炎」は、「1つまたは複数の神経の炎症」と定義される(IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、212)。
【0093】
IASPによれば、「神経障害/神経炎」は、「神経の機能の障害または病理学的変化。1つの神経の場合は単神経障害、いくつかの神経の場合は多発性単神経障害、びまん性および両側性の場合は多発神経障害」と定義される(IASP、Classification of chronic pain、第2版、IASP Press (2002)、212)。
【0094】
本発明の一実施形態では、式(I)の化合物は、治療上有効な量で使用されることが好ましい。医師は、最も適したものになる本発明の治療薬の投薬量を決定することになり、この量は、投与形態および選択される特定の化合物に合わせて変わることになり、さらに、治療を受ける患者、患者の年齢、治療がなされる癌および疼痛のタイプに応じて変わることになる。医師は一般に、化合物の最適用量よりもはるかに少ない低投薬量から治療を開始し、環境下で最適な効果が発揮されるまで少しずつの増分で投薬量を増加させることを望む。組成物を経口投与する場合、非経口的に与えられた、より少ない量と同じ効果をもたらすには、より多くの量の活性剤が必要になる。化合物は、同等の治療薬と同じ手法で有用であり、投薬量のレベルは、これらのその他の治療薬と共に一般に用いられるのと同じ規模である。
【0095】
例えば、患者に投与しなければならない投薬レジメンは、患者の体重、施用のタイプ、疾患の状態および重症度に依存することになる。好ましい投薬レジメンは、0.5から100mg/kgの範囲内での式(I)の化合物と、0.15から15mg/kgの化学療法薬との投与を含み、この化合物は、1日1回または数回に分けて投与される。
【0096】
下記の実施例および図は、本発明のある実施形態の単なる例示であり、いかなる方法によってもそれに制限すると見なすことはできない。
【0097】
(実施例)
(実施例1)
4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン(化合物63)およびその塩酸塩の合成
【0098】
【化2】

【0099】
化合物63は、先の出願WO2006/021462に開示されるように調製することができる。その塩酸塩は、下記の手順により得ることができる:
【0100】
化合物63(6.39g)を、HClを飽和させたエタノールに溶解し、次いでこの混合物を何分間か撹拌し、蒸発乾固した。残留物を、イソプロパノールから結晶化させた。最初の結晶化から得た母液は、濃縮することによって第2の結晶化をもたらした。両方の結晶化によって、対応する塩酸塩が、まとめて5.24g(63%)得られた(融点=197〜199℃)。
1H-NMR (DMSO-d6) δ ppm: 10.85 (bs, 1H)、7.95 (m, 4H)、7.7 (dd, J=2.2, 8.8Hz, 1H)、7.55 (m, 2H)、5.9 (s, 1H)、4.55 (m, 2H)、3.95 (m, 2H)、3.75 (m, 2H)、3.55〜3.4 (m, 4H)、3.2 (m, 2H)、2.35 (s, 3H)。
HPLC純度: 99.8%
【0101】
(実施例2)
マウスでパクリタキセルにより誘発した神経障害のモデルにおける、化合物63の予防的および治療的抗アロディニア効果の評価。
一般的手順
実験は、少なくともn=10/実験群の、CD-1マウス(Charles River、U.S.A.)で行った。パクリタキセルで誘発された有痛性末梢神経障害を、パクリタキセルを5日間にわたって1日1回腹腔内投与することにより、発生させた。対照動物には、同じ体積の溶媒(エタノールとクレモフォアELの混合物)を与えた。
【0102】
機械的アロディニアを、既に記述されるように(Nietoら、Pain、2008、137(3)、520〜31)、電子駆動されるVon Freyフィラメント(ダイナミックプランターエステシオメーター(Dynamic Plantar Aesthesiometer)、Ugo Basile、Varese、イタリア)で評価し、冷感アロディニアは、アセトンドロップ法(Nietoら、Pain、2008、137(3)、520-31)を使用して評価した。σ受容体リガンド化合物63 (4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン)を、それぞれのパクリタキセル注射の30分前に皮下注射して、σ受容体リガンドが有痛性抹消神経障害の発症または10日目(パクリタキセル注射が終了し、神経障害が完全に発症しているとき)に影響を及ぼすか否か試験をした。さらに、このプロセスにおけるσ1受容体の影響を研究するために、アロディニアの発症の差を、野生型マウスおよびσ1-受容体ノックアウトマウスを使用して決定した。
【0103】
25〜30gの重さのマウスを使用した。動物を、実験前に、食物および水を自由に摂取できるコロニーケージに収容した。動物を、温度および光が制御された部屋(22±1℃、照明は08.00時に点灯し20.00時に消灯し、空気は20分ごとに入れ替えた。)で維持した。試験は、明期(9.00時から15.00時)に行った。
【0104】
パクリタキセルを、50%クレモフォアELおよび50%無水エタノールで構成された溶液に溶解して、濃度6mg/mlを得た。このパクリタキセル溶液を、最長14日間、-20℃で保存し、投与直前に正常生理食塩液(NaCl 0.9%)に希釈して、最終濃度2mg/10mlにした。パクリタキセルのビヒクルは、パクリタキセル溶液と同じ割合で、生理食塩液(NaCl 0.9%)を用いて注射時に希釈した。
【0105】
パクリタキセル(2mg/kg)を、10ml/kgの体積で、連続5日間にわたり1日1回腹腔内投与(i.p.)した。したがって累積用量は、マウス1匹当たり10mg/kgであった。対照群では、パクリタキセルのビヒクルを、同じスケジュールに従い投与した。パクリタキセル注射の同じスケジュールを、野生型マウスの群に対してσ-1-ノックアウトマウスの群に関して試験をするときにも適用した。
【0106】
化合物63を、投与直前に正常生理食塩液に溶解し、8、16、32、または64mg/kgの用量で皮下施用した。
【0107】
パクリタキセルで誘発された神経因性疼痛に対する化合物63の作用を、2つの異なる方法で試験した。パクリタキセルで誘発された疼痛の発症に対するσ受容体拮抗薬化合物63の作用を評価するために、動物に、5日間連続して、パクリタキセルをそれぞれ腹腔内注射する30分前に化合物63の皮下注射を行った。異なる侵害受容性刺激に対する動物の応答を、いかなる追加の治療もせず、試験に応じて(下記参照)引き続き2〜4週間にわたり試験した。各動物は、1つの侵害受容性モデルでのみ試験した。パクリタキセルで誘発された疼痛の発現に対する化合物63の作用を試験するために、1回の化合物63の注射を、機械的アロディニアまたは冷感アロディニアが最大限に発症する日である10日目に行った(詳細については図参照)。各動物には、化合物63を1回分の用量だけ与え、ただ1つの侵害受容性モデルで試験した。
【0108】
冷感アロディニアの評価のための手順。冷感アロディニアは、Nietoら、Pain、2008、137(3)、520-31により既に記述されるように、薄いポリエチレンチューブに接続された注射器で形成されたアセトンバブルで、後足の足底の皮膚に優しく触れることによって試験をした。マウスを、ワイヤメッシュで作製された床を有する透明なプラスチックボックス(7×7×13cm)に収容し、30分間慣らした。順応期間後、アセトンを、30秒の間隔でそれぞれの足に3回交互に施用し、舐めまたは噛む持続時間を記録した。小さな鏡をチャンバの後ろに配置して、足をはっきりと観察できるようにした。足を舐めまたは噛むのに費やされる時間を、ストップウォッチで記録し、6回の測定における舐め/噛む累積時間として表した。実験中、10秒を超えて舐める動作が続くことが非常に稀であるので、各試験ごとに10秒のカットオフ時間を使用した。
【0109】
対照マウスでの、パクリタキセルで誘発された冷感アロディニアの時間的経過を明らかにするために、動物を、パクリタキセル投与前(治療前の値、初回のパクリタキセル治療の3日前)および初回のパクリタキセルまたはビヒクル注射後の異なる日(7、10、14、17、21、および24日目)に試験をした。
【0110】
同じ手順に従って、σ-1-ノックアウトマウスを野生型と比較し、それによって、対照マウスでパクリタキセルにより誘発された冷感アロディニアの時間的経過を明らかにした。したがって、動物(ノックアウトマウスおよび野生型マウスの2つの等価な群)について、パクリタキセル投与前(治療前の値、初回のパクリタキセル治療の3日前)および初回のパクリタキセルまたはビヒクル注射後の異なる日(7、10、14、17、21、および24日目))に試験をした。
【0111】
同じ手順に従って、冷感アロディニアの発症に対する化合物63の作用について試験をしたが、この場合、化合物63またはそのビヒクルは、5回のパクリタキセル腹腔内注射のそれぞれの30分前に皮下注射した。もう1度、パクリタキセル/化合物63の投与の前(治療前の値、初回のパクリタキセル/化合物63治療の3日前)および初回のパクリタキセル/化合物63またはビヒクル注射後の異なる日(7、10、14、17、21、および24日目)に、動物を試験した。パクリタキセルで誘発された冷感アロディニアの発症に対する化合物63の作用を、10日目に評価したが、これは最大限のアロディニア効果がその日に観察されたからである。したがって、装置に慣らした期間から10日目には、化合物63または生理食塩液を皮下注射した30分後にベースラインの潜時を記録し、注射後60、120、および180分で、足を引っ込める潜時も評価した。パクリタキセルで治療した対照動物の約33%は、冷感アロディニアを示さず;したがって、この試験では、「レスポンダー」マウスと「非レスポンダー」マウスとの間で差が示された。「非レスポンダー」マウスは、パクリタキセル投与後7および10日目にアセトンで刺激したとき、足を舐め/噛む動作に2秒未満を費やしたので、容易に特定された。「非レスポンダー」動物は、十分な冷感アロディニアを示さないので、冷感アロディニアの発現に対する化合物63の作用を試験するのに使用しなかった。
【0112】
機械的アロディニアを評価するための手順。機械的アロディニアを評価するために、足を引っ込める閾値を、ダイナミックプランターエステシオメーター(Ugo Basile、イタリア)を使用して測定した。電子Von Freyデバイスは、20秒間にわたり後足の足底面に対して漸進的に増大する力(0から10g)を加える、単一非可撓性フィラメントを用いる。侵害防御的な引込み反射によって自動的に刺激が停止し、機械的閾値がスクリーンに示される。実験の当日、マウスを個々に、ワイヤメッシュの底面を有する試験コンパートメント(9×9×14cm)内に入れ、2時間順応させた。慣らした後、各マウスを、そのそれぞれの後足について交互に3回試験した。
【0113】
対照マウスにおける、パクリタキセルで誘発された機械的アロディニアの時間的経過を明らかにするために、これらの動物について、パクリタキセルを投与する前(治療前の値;パクリタキセルで治療する3日前)、および最初にパクリタキセルまたはビヒクル注射を行った後の異なる日(7、10、14、および17日目)に試験をした。
【0114】
同じ手順に従って、σ-1-ノックアウトマウスを野生型マウスと比較し、それによって、対照マウスでパクリタキセルにより誘発された機械的アロディニアの時間的経過を明らかにした。したがって、動物(ノックアウトマウスおよび野生型マウスの2つの等価な群)について、パクリタキセル投与前(治療前の値、初回のパクリタキセル治療の3日前)および初回のパクリタキセルまたはビヒクル注射後の異なる日(7、10、14、および17日目)に試験をした。
【0115】
同じ手順に従って、パクリタキセルで誘発された機械的アロディニアの発症に対する化合物63の作用について試験をした。この場合、化合物63またはそのビヒクルは、5回のパクリタキセル腹腔内注射のそれぞれの30分前に皮下注射した。もう1度、パクリタキセル/化合物63の投与の前(治療前の値、初回のパクリタキセル/化合物63治療の3日前)および初回のパクリタキセル/化合物63またはビヒクル注射後の異なる日(7、10、14、および17日目)に、動物を試験した。パクリタキセルで誘発された機械的アロディニアの発症に対する化合物63の作用を、10日目に評価したが、これは機械的閾値の最大限の変化がその日に観察されたからである。したがって、装置に慣らした期間から10日目には、化合物63または生理食塩液を皮下注射した30分後にベースラインの潜時を記録し、注射後30、60、90、120、および180分で、足を引っ込める潜時も評価した。パクリタキセルで治療したほとんどの動物(96%)は、機械的閾値の低下を示し;機械的アロディニアを示さないような動物は、パクリタキセルで誘発された機械的アロディニアの発現に対する化合物63の作用を試験するのに使用しなかった。
【0116】
冷感アロディニアに関する結果
A)対照マウスでパクリタキセルにより誘発された冷感アロディニアの時間的経過。
動物を、1から5日目に1日1回、パクリタキセル(2mg/kg)またはそのビヒクルで、腹腔内を介して治療した。アセトン試験で後足を舐め/噛む持続時間を、初回のパクリタキセルまたはそのビヒクル注射の3日前(PRE)および数日後に記録した。各動物を、1つの侵害受容性モデルでのみ試験した。パクリタキセルおよびビヒクルで治療した動物の、治療前の日に得られた値は、アセトン試験において有意な差がなかった。パクリタキセル-ビヒクルを5日間にわたり投与した場合、治療前の値と比較すると、任意の治療後の日に行ったアセトン試験での動物の応答は有意に変化しなかった。
【0117】
アセトン試験(図1)では、5日間にわたり1日1回パクリタキセル(2mg/kg、腹腔内)を投与することにより、2つの動物群は、それらの応答に応じて区別することが可能になった。パクリタキセルで治療したほとんどの動物(67%)は、治療前の日の値と比較した場合、治療後の日の全てで、刺激された足を舐め/噛むのに費やされる時間(図1)および足を舐め/噛む頻度が有意に増大した(p<0.01)。これらの動物は、パクリタキセル-レスポンダー動物を構成する。一方、パクリタキセルで治療した動物の33%は冷感アロディニアを示さず、それらのアセトンに対する応答は、パクリタキセル-ビヒクルで治療した動物の場合と区別がつかなかった(図1)。同じ評価の日に得られた、異なる群の中での舐め/噛む持続時間の値を比較した場合、パクリタキセル-レスポンダーとその他の2つの群(パクリタキセル-非レスポンダーまたはパクリタキセル-ビヒクル)との間の統計的有意差が、治療後のそれぞれの評価の日に観察された(図1)。パクリタキセルで誘発された冷感アロディニアは、抗新生物の初回注射から10〜14日目で最大であり;したがって、冷感アロディニアの発現に対する化合物63の作用は、10日目に評価された。
【0118】
B)パクリタキセルで誘発された冷感アロディニアの発現に対する化合物63の作用。
動物を、1から5日目まで1日1回、パクリタキセルの腹腔内投与で治療し、10日目に、化合物63または生理食塩液の1回の皮下注射を行った。後足を舐め/噛む持続時間を、初回のパクリタキセル注射の3日前(PRE)および10日後に、各動物について記録した。その日に、後足を舐め/噛む持続時間を、化合物63または生理食塩液を注射する直前(時間0)および後に数回(60、120、および180分)記録した。
【0119】
試験がなされた薬物または生理食塩液で治療する前、10日目の、足を舐め/噛む持続時間は、治療がなされた動物の全ての群において、それらの治療前の日の値とは著しく異なっていた。予測通り、パクリタキセルは、その初回注射から10日後に冷感アロディニアを誘発させた。10日目の生理食塩液の1回の皮下注射は、パクリタキセルで誘発された冷感アロディニアの発現を有意に変化させなかった。化合物63の様々な量(32〜128mg/kg)での急性治療は、パクリタキセルで誘発された冷感アロディニアの発現を阻害した。化合物63のこの作用は用量依存性であり、生理食塩液の場合と著しく異なっていた(図2)。
【0120】
C)パクリタキセル-ビヒクルで治療したマウスのアセトンへの応答に対する化合物63の作用。
動物を、1から5日目まで1日1回、パクリタキセル-ビヒクルの腹腔内投与で治療し、10日目に、化合物63または生理食塩液の1回の皮下注射を行った。後足を舐め/噛む持続時間を、初回のパクリタキセル-ビヒクル注射の3日前(PRE)および10日後に、各動物について記録した。その日に、後足を舐め/噛む持続時間を、化合物63または生理食塩液を注射する直前(時間0)および後に数回(60、120、および180分)記録した。予測通り、パクリタキセル-ビヒクルで治療した動物は、パクリタキセル-ビヒクルの初回用量を投与してから10日後に評価したとき、冷感アロディニアを発症しなかった(すなわち、アセトンで誘発された、足を舐め/噛む持続時間は、増加しなかった(図3)。
【0121】
化合物63(64mg/kg、皮下)による急性治療は、対照(パクリタキセル-ビヒクルで治療された)動物のアセトンへの応答に影響を及ぼさなかった(図3)。
【0122】
D)パクリタキセルで誘発された冷感アロディニアの発症に対する化合物63の効果。
マウスを、1から5日目まで1日1回、それぞれパクリタキセルを腹腔内注射(2mg/kg)する30分前に、化合物63(64mg/kg)または生理食塩液を皮下注射することによって治療した。応答を、パクリタキセル+化合物63またはパクリタキセル+生理食塩液の初回注射の3日前(PRE)およびその注射後の異なる日に、各動物について記録した。治療前の値は、アセトン試験において全ての実験群で同様であった(図4)。
【0123】
予測通り、パクリタキセルをそれぞれ投与する30分前に生理食塩液を皮下注射した動物群は、パクリタキセルの初回用量を投与した後24日間にわたり評価したときに、冷感アロディニアを発症した(アセトンで誘発された、足を舐め/噛む持続時間の増大が明らかにされた。)(図4)。さらに、最大限の冷感アロディニアが、抗新生物を最初に投与してから10〜14日目に見出された(図4)。
【0124】
パクリタキセル(2mg/kg、腹腔内)およびσ1受容体拮抗薬化合物63(64mg/kg、皮下)の同時投与は、パクリタキセルで誘発された冷感アロディニアの発症を阻害した(図4)。
【0125】
E)アセトンへの応答に対する、パクリタキセル-ビヒクルと化合物63との同時投与の効果。
マウスを、1から5日目まで1日1回、それぞれパクリタキセル-ビヒクルを腹腔内注射(64mg/kg)する30分前に、化合物63(64mg/kg)または生理食塩液を皮下注射することによって治療した。応答を、パクリタキセル-ビヒクル+化合物63またはパクリタキセル-ビヒクル+生理食塩液の初回注射の3日前(PRE)およびその注射後の異なる日に、各動物について記録した。予測通り、パクリタキセル-ビヒクルで治療した動物群の中で、パクリタキセル-ビヒクルの初回用量を投与した後24日間にわたり評価したときに冷感アロディニアを発症したものはなかった(すなわち、これらの動物群は、アセトンで誘発された、足を舐め/噛む持続時間の増加を示さなかった。)。
【0126】
パクリタキセル-ビヒクルおよび化合物63(64mg/kg、皮下)の同時投与は、パクリタキセル-ビヒクルおよび生理食塩液を同時投与した動物に見られる場合に比べ、アセトンに対する動物の応答を有意に変化させなかった(図5)。
【0127】
F)野生型およびσ-1受容体ノックアウトマウスにおけるパクリタキセルおよびパクリタキセル-ビヒクルの効果。
動物を、1から5日目まで1日1回、パクリタキセル(2mg/kg)の腹腔内投与で治療した。アセトン試験で後足を舐め/噛む持続時間を、初回のパクリタキセル注射の3日前(PRE)およびこの注射の後の数日に記録した。パクリタキセルで治療する前(PRE)の、アセトンで誘発された足を舐め/噛む持続時間は、野生型およびσ-1ノックアウトマウスで非常に類似していた(図6)。
【0128】
アセトンに対する応答(後足を舐め/噛む持続時間)は、初回のパクリタキセル投与後7から21日目に、野生型マウスで増大した(図6)。対照的に、アセトンで誘発された、舐め/噛む持続時間は、σ1受容体ノックアウトでのパクリタキセル治療によって変化しなかった。この結果、σ1受容体ノックアウトマウスは、パクリタキセルで誘発された冷感アロディニアを発現せずかつ/または発症しなかった。
【0129】
一方、パクリタキセル-ビヒクルで治療した動物は冷感アロディニアを発症せず(図7)、パクリタキセル-ビヒクルで治療した動物のアセトンに対する応答は、野生型およびσ1受容体ノックアウトマウスで同じであった(図7)。
【0130】
機械的アロディニアに関する結果
G)対照マウスでパクリタキセルにより誘発された機械的アロディニアの時間的経過。
動物を、1から5日目まで1日1回、パクリタキセル(2mg/kg)またはそのビヒクルの腹腔内投与で治療した。ダイナミックプランターエステシオメーターで後足を引っ込めるための閾値力を、パクリタキセルまたはそのビヒクルの初回注射の3日前(PRE)およびこの注射の後数日で記録した。パクリタキセル(2mg/kg、腹腔内、5日間)の投与はマウスに機械的アロディニアを引き起こしたが、それは、パクリタキセル-ビヒクルで治療した動物における治療前の日の値と、同じ日に観察された値との両方と比較した場合、10日目のVon Frey試験で足を引っ込めるための閾値力が著しく低下したからである。したがって、機械的アロディニアの発現に対する化合物63の作用については、10日目に試験がなされた。冷感アロディニアの結果とは対照的に、パクリタキセルで治療したマウスの約4%のみが非レスポンダー動物と見なされ;すなわち、10日目のそれらの機械的閾値は、それらの治療前の値(パクリタキセル治療を開始する3日前に得られた。)よりも低くはなかった。
【0131】
H)パクリタキセルで誘発された機械的アロディニアの発現に対する化合物63の作用。
動物を、1から5日目まで1日1回、パクリタキセルで治療し、10日目に、化合物63または生理食塩液を1回皮下注射した。後足を引っ込めるための閾値力を、パクリタキセルの初回注射の3日前(PRE)およびこの注射の10日後に記録した。その日に、足を引っ込める潜時を、化合物63または生理食塩液を注射する直前(時間0)および後に数回(30、60、90、120、および180分)記録した。試験がなされた薬物または生理食塩液で治療する前、10日目の、足を引っ込める閾値力は、治療がなされた動物の全ての群において、それらの治療前の日の値とは著しく異なっていた。したがってパクリタキセルは、その初回注射から10日後に機械的アロディニアを誘発させた。10日目の生理食塩液の1回の皮下注射は、パクリタキセルで誘発された機械的アロディニアの発現を有意に変化させなかった(図9)。
【0132】
化合物63(64mg/kg、皮下)による急性治療は、パクリタキセルにより誘発される機械的アロディニアの発現を阻害した(図9)。
【0133】
I)パクリタキセル-ビヒクルで治療したマウスの後足を引っ込めるための閾値力に対する、化合物63の作用。
動物を、1から5日目まで1日1回、パクリタキセル-ビヒクルの腹腔内投与で治療し、10日目に、化合物63または生理食塩液を1回皮下注射した。後足を引っ込めるための閾値力を、パクリタキセル-ビヒクルの初回注射の3日前(PRE)およびこの注射の10日後に記録した。その日に、足を引っ込める潜時を、化合物63または生理食塩液を注射する直前(時間0)および後に数回(30、60、90、120、および180分)記録した。予測通り、パクリタキセル-ビヒクルで治療した動物群の場合、パクリタキセル-ビヒクルの初回用量を投与した後10日目に評価したときに、機械的アロディニアを発症したものはなかった(すなわち、これらの動物群は、後足を引っ込める動作を引き起こすのに必要な閾値力の低下を示さなかった。)(図10)。
【0134】
パクリタキセル-ビヒクルの初回注射から10日目に行った化合物63(64mg/kg、皮下)の1回の皮下注射は、これら対照動物の機械的応答に影響を及ぼさなかった(図10)。
【0135】
J)野生型およびσ-1受容体ノックアウトマウスにおけるパクリタキセルおよびパクリタキセル-ビヒクルの作用。
動物を、1から5日目まで1日1回、パクリタキセル(2mg/kg)またはそのビヒクルの腹腔内投与で治療した。ダイナミックプランターエステシオメーターで後足を引っ込める閾値力を、パクリタキセルまたはそのビヒクルの初回注射の3日前(PRE)およびこの注射の後の数日で記録した。パクリタキセルで治療する前(PRE)の足を引っ込めるための閾値力は、野性型およびσ-1ノックアウトマウスで非常に類似していた(図11)。
【0136】
足を引っ込めるための閾値力は、最初にパクリタキセルを投与した後7から10日目に、野生型マウスで著しく低下した(図11)。対照的に、足を引っ込めるための閾値力は、σ1受容体ノックアウトマウスにおいて、パクリタキセル治療によって著しく変化しなかった(図11)。したがって、σ1受容体を持っていない動物は、パクリタキセルで誘発された機械的アロディニアを発現せずかつ/または発症しなかった。
【0137】
野生型およびσ1受容体ノックアウトマウスの機械的閾値は、パクリタキセル-ビヒクル投与の前(PRE)と後で著しく異ならなかった(図12)。これらのデータは、σ1受容体ノックアウトマウスが、機械的な点状刺激に正常に応答できることを示す。
【0138】
(実施例3)
ラットでの、オキサリプラチンで誘発された神経障害の慢性モデルにおける、化合物63の予防的および治療的な抗アロディニア効果の評価。
一般的手順
実験段階の開始時(D-2に化合物の初回投与)に重さが136〜169gである、60匹のオスSprague-Dawleyラット(CERJ、フランス)を使用した。ラットを、温度(19.5〜24.5℃)および相対湿度(45%〜65%)が制御された、明/暗サイクルが12時間の部屋に収容し、研究の全体を通して標準的なペレット状の実験室用食餌および水を自由に摂取できる状態にした。
【0139】
動物を、1ケージ当たり3または4匹収容し、いずれの試験の前にも4日間の馴化期間の観察をした。各ラットは、尾部にマークを付けることによって識別した。
【0140】
蒸留水を、オキサリプラチンのビヒクルとして使用した。0.5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を、化合物63のビヒクルとして使用した。
【0141】
主要なデータ処理システム: SigmaStatソフトウェア(バージョン3.5、SPSS Science Software、Erkrath GmbH)
【0142】
それぞれ10匹の6つの群を、この研究に含めた:
・群1: 0.5%HPMC、腹腔内(試験化合物ビヒクル)/蒸留水、腹腔内(オキサリプラチンビヒクル)(n=10)
・群2: 0.5%HPMC、腹腔内(試験化合物ビヒクル)/オキサリプラチン3mg/kg、腹腔内(n=10)
・群3:化合物63 40mg/kg、腹腔内(1日2回×18)/オキサリプラチン3mg/kg、腹腔内(n=10)
・群4:化合物63 20mg/kg、腹腔内(毎日×8)/オキサリプラチン3mg/kg、腹腔内(n=10)
・群5:化合物63 40mg/kg、腹腔内(毎日×8)/オキサリプラチン3mg/kg、腹腔内(n=10)
・群6:化合物63 80mg/kg、腹腔内(毎日×8)/オキサリプラチン3mg/kg、腹腔内(n=10)
【0143】
0.5%HPMC、化合物63、およびオキサリプラチンを、腹腔内注射した(10ml/kg)。全ての治療薬は、可能である場合にはコードされた順序で投与した。
【0144】
化合物63の調製は、新たに毎日行い、この調製物は、1日2回治療される群のために午前中および午後に使用した。両方の投与の間、調製物は+4℃で保存した。
【0145】
慢性末梢神経障害を、週に3回、0、2、4、7、9、11、および14日目(D)に、オキサリプラチン(3mg/kg、腹腔内)の反復腹腔内注射によって誘発させた(7回の注射、合計用量=21mg/kg、腹腔内)。
【0146】
動物を、化合物63での治療中に2回(すなわち、D8およびD15)、化合物63での治療終了後24時間で1回(すなわち、D16)、試験した。
【0147】
化合物63の予防的効果を評価するために、オキサリプラチン3mg/kgの初回腹腔内注射の2日前(D-2)から最後のオキサリプラチン注射(D15)の翌日まで、この化合物を腹腔内投与した(10ml/kg)。
【0148】
化合物63の治療的効果を評価するために、試験初日(D8)から最後のオキサリプラチン注射(D15)の翌日まで、この化合物を腹腔内投与した(10ml/kg)。
【0149】
オキサリプラチンで治療した群に属する動物には、試験初日(D8)から最後のオキサリプラチン注射(D15)の翌日まで、化合物63ビヒクル(0.5%HPMC、10ml/kg)を毎日投与した。
【0150】
毎日の治療の中で、化合物63および0.5%HPMCは午前中に投与し、一方オキサリプラチンは午後に投与した。
【0151】
化合物63で1日2回治療される動物群に関しては、両方の投与の間に費やされる時間は8時間であった。オキサリプラチン治療の日は、オキサリプラチン注射の30分前に化合物63を動物に投与した。
【0152】
試験の日(すなわち、D8、D15)は、試験の30分前に化合物63および0.5%HPMCを投与した。
【0153】
冷感アロディニアは、D8、D15、およびD16に、熱非侵害受容的刺激(アセトン試験)に対する応答を測定することによって評価した。
【0154】
冷感アロディニアは、アセトン試験を使用して評価した。この試験において、後足を引っ込める潜時は、両方の後足の足底面にアセトンを1滴付着させた後に測定し(反応時間)、応答の強度をスコアに付けた(冷感スコア)。
【0155】
アセトンの冷却作用に対する反応時間を、アセトン付着から20秒以内(カットオフ)に測定した。またアセトンに対する応答は、下記の4点スケールに従いグレード付けした: 0(応答なし); 1(足の素早い引込み、びくつき); 2(足の長時間の引込みまたは著しいびくつき); 3(舐めまたは噛む動作と共に足を繰り返しびくつかせる)。
【0156】
各実験群に関し、結果は、下記の項目として表した:
- 足の反応を引き出すのに必要な、秒を単位とする時間として定義された反応時間(各ラットに関する6つの測定値合算の平均±SEM)。
-各ラットに関する6つのスコア合算の合計±SEMと定義された累積冷感スコア。最小スコアは0(6つの試験のいずれに対しても反応なし)であり、最大限に可能性あるスコアは18(6つの試験のそれぞれにおいて、足をびくつかせかつ舐めまたは噛む動作を繰り返す。)である。
【0157】
治療群とビヒクル治療群との間の統計的有意差は、順位による2元配置反復測定ANOVAを行い、その後、F値が有意である場合には、SigmaStatソフトウェアを使用して適切なpost-hoc比較(Bonferroni検定)を行うことにより決定した。有意レベルはp<0.05であった。統計分析は、SigmaStatソフトウェアを使用して行った。
【0158】
オキサプラチンで誘発された冷感アロディニアに関する結果
A)アセトン試験/反応時間
図13および14に示されるように、オキサプラチンは、時間的経過の最中の、0.5%HPMC/オキサプラチンで治療した群におけるアセトン付着後の足を引っ込める反応時間の著しい低下から明らかなように、冷感アロディニアを誘発させた。この低下は漸進的であり、HPMC/蒸留水で治療した群に比べてD8(-19%、p<0.01)からD15(-37%、p<0.001)およびD16(-36%、p<0.001)で有意であった。
【0159】
A.1.)化合物63による予防的治療
D-2からD15まで、40mg/kgで1日2回、腹腔内投与された化合物63は、図13に示されるように、時間的経過中に有益な効果を引き起こした。D8では、この効果はそれほど顕著でないが、D15およびD16、化合物63での治療終了後24時間では、その効果は統計上存在したままであった。
【0160】
A.2.)化合物63による治癒的な治療
動物には、最初に、化合物63を20mg/kg、40mg/kg、および80mg/kgをD8に腹腔内投与し、試験初日中およびそれ以降、動物には、D15(最後の投与)まで毎日治療を行った。これらの実験条件(図14)では、用量に関連した作用が観察された。事実、最低用量(すなわち、20mg/kg、腹腔内)は、この研究全体を通して低い効果をもたらした。しかし、中用量(すなわち、40mg/kg、腹腔内)は、この研究全体を通して中程度の効果をもたらした。
【0161】
最高用量(すなわち、80mg/kg、腹腔内)に関しては、0.5%HPMC/オキサリプラチンで治療した群に比べ、足を引っ込める反応時間に非常に有意な増加が観察された(19.1±0.3秒対14.7±0.9秒、p<0.01)。D8で観察された有益な効果は、D15(17.5±0.5秒対11.5±1.6秒、p<0.01)およびD16(15.5±1.0秒対11.5±0.9秒、p<0.05)で統計的上は存在したままであった。
【0162】
B)アセトン試験/累積冷感スコア
D8では、図15および16に示されるように、オキサリプラチンは、累積冷感スコアに劇的な上昇を引き起こし、足を引っ込める反応時間の減少に非常に相関していた。オキサリプラチン治療の継続により、累積冷感スコアはD15で最大限の効果に達し(7.0±1.2対1.4±0.4、p<0.001)、D16で統計上は有意なままであった(6.7±0.9対1.3±0.4、p<0.001)。
【0163】
B.1.)化合物63による予防的治療
足を引っ込める反応時間で観察されるように、40mg/kgでD-2からD15まで1日2回腹腔内注射された化合物63は有益な効果を引き起こし、その累積冷感スコアの値(D8で2.3±0.6; D15で3.0±0.6およびD16で3.5±0.7)は、HPMC/オキサリプラチンで治療した群で得られた値よりもHPMC/蒸留水で治療した群で観察された値に近いものであった。
【0164】
B.2.)化合物63による治療的な治療
D8からD15まで20mg/kg、40mg/kg、および80mg/kgで腹腔内投与された化合物63は、用量に関連した効果を累積冷感スコアにもたらした(図16).
【0165】
D8では、最低用量の化合物63(すなわち、20mg/kg、腹腔内)が低い効果を示したのに対し(4.3±0.6)、最高用量(すなわち、80mg/kg、腹腔内)は、累積冷感スコアに非常に著しい低下を引き起こした(0.5%HPMC/オキサリプラチンで治療した群と比べた場合、1.0±0.4対5.0±0.8、p<0.001)。D15では、抗アロディニア効果が最高用量で維持され(1.8±0.3、p<0.001)、D16、化合物63の最後の注射の24時間後にようやく低下した(3.1±0.6、p<0.05)。
【0166】
中用量(すなわち、40mg/kg、腹腔内)に関しては、中程度の効果を引き起こし、その累積冷感スコアの値は、足を引っ込める反応時間で観察されるように、HPMC/蒸留水で治療した群で得られた値およびHPMC/オキサリプラチンで治療した群で得られた値を結び付けたものである(図16)。
【0167】
(実施例4)
ラットのシスプラチン誘発性神経障害の慢性モデルにおける化合物63の予防的および治療的抗アロディニア効果の評価。
一般的手順
オスWistarラット(250〜300g)を、Harlan-Iberica(Barcelona、スペイン)から得た。本発明者らの研究室に到着したら、動物を、環境が制御された状態(温度=20℃;湿度=60%)にありかつ12時間明状態/12時間暗状態のサイクルを備えた(08:00から20:00時の間、点灯)標準的な透明ケージ(40×28×25cm)内で保管した。動物は、水道水および標準的な実験ラット用食餌(Harlan-Iberica(Barcelona、スペイン)を自由に摂取させた。
【0168】
実験の前に、ラットを隔離状態に慣れさせた。ラットには、5週間にわたり週1日、シスプラチン(1mg/kg)+ビヒクル(急性治療の対照群)またはシスプラチン(1mg/kg)+化合物63(25mg/kg)の腹腔内注射を行った。最後の週(36日目)に、対照群には、64mg/kgの化合物63の急性投与を行った。
【0169】
機械的アロディニアを、シスプラチン投与の前(基準)および各実験週(w1、w2、w3、w4)の終わりに評価した。化合物63の急性評価では(w5)、機械的アロディニアを、薬物投与後50分で評価した。それらの日に、ラットを個々に、透明プラスチックケージ内の高い位置にある鉄メッシュ上に置いて、少なくとも10分間、試験環境に適合させるようにした。この環境への馴化も、評価の2日前に行った。較正されたvon Frey Hairs(0.9、1.4、2.1、2.5、3、4、5.5、7.5、8、10.5、13、14、15、17、25、27、32、および40g)を、メッシュ床の下から、各後足の足底面に付着させた。各刺激は、約3秒の刺激間の間隔で、約1秒間与えた。刺激からの堅固で即座に生じる引込み応答だけを、記録した。肯定的な結果は、3つ以上の引込み応答が、各モノフィラメントによる5回の連続した試験から得られた場合と見なされた。機械的アロディニアは、機械的刺激によって惹起されたvon Frey hair閾値の有意な低下と定義された。
【0170】
シスプラチンで誘発された機械的アロディニアに関する結果
化合物63の急性治療
予測通り、週1回投与されるシスプラチンは、対照群において、漸進的に著しく低下するvon Frey圧力応答を引き起こし、これは3および4週目で明らかであった。5週目に、64mg/kgの化合物63を急性投与することによって、シスプラチンにより誘発された作用が基準レベルに戻った(図17)。
【0171】
化合物63による予防的治療
5週間にわたり週1回投与されたシスプラチンは、von Frey圧力応答の低下を引き起こした。最後のシスプラチン投与後、5週目に、このパラメータは、8週目の基準レベルに回復した。興味深いことに、週1日、1日2回、シスプラチンが投与される同じ日の25mg/kgの化合物63の同時投与は、シスプラチンによる機械的アロディニアの発症を予防した。本発明の結果は、化合物63が、末梢神経障害のラットモデルでシスプラチンにより誘発される機械的アロディニアの発症を予防することを示す(図18)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同時、個別、または逐次投与のための、少なくとも1種のσリガンドと少なくとも1種の化学療法薬との組合せであって、前記σリガンドは、一般式(I)、または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグ、または溶媒和物を有するものである組合せ:
【化1】

(式中、
R1は、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換非芳香族ヘテロシクリル、置換または非置換芳香族ヘテロシクリル、置換または非置換ヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、およびハロゲンにより形成される群から選択され;
R2は、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換の芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換または非置換ヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、およびハロゲンにより形成される群から選択され;
R3およびR4は、独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換の芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換または非置換ヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、およびハロゲンにより形成される群から選択され、または一緒になって、任意選択で置換された縮合環系を形成し;
R5およびR6は、独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換アリールアルキル、置換または非置換の芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換または非置換ヘテロシクリルアルキル、-COR8、-C(O)OR8、-C(O)NR8R9、-CH=NR8、-CN、-OR8、-OC(O)R8、-S(O)t-R8、-NR8R9、-NR8C(O)R9、-NO2、-N=CR8R9、およびハロゲンにより形成される群から選択され、または一緒になって、それらが結合する窒素原子と共に、置換または非置換ヘテロシクリル基を形成し;
nは、1、2、3、4、5、6、7、および8から選択され;
tは、1、2、または3であり;
R8およびR9は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換シクロアルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換アリール、置換または非置換の芳香族または非芳香族ヘテロシクリル、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アリールオキシ、およびハロゲンから選択される。)。
【請求項2】
R1が、H、-COR8、および置換または非置換アルキルから選択される、請求項1に記載の組合せ。
【請求項3】
R2が、Hまたはアルキルである、請求項1または2に記載の組合せ。
【請求項4】
R3およびR4が一緒になって、縮合ナフチル環系を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項5】
R5およびR6が一緒になって、モルホリン-4-イル基を形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項6】
式(I)の前記σリガンドが、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン、または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグ、または溶媒和物である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項7】
式(I)の前記σリガンドが、4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリン塩酸塩である、請求項1から6のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項8】
前記化学療法薬が、タキサン、ビンカアルカロイド、白金由来の薬物、ボルテゾミブ、またはサリトマイド、およびその誘導体によって形成された群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項9】
前記化学療法薬が、パクリタキセル、オキサリプラチン、シスプラチン、ビンクリスチン、ボルテゾミブ、サリドマイド、またはレノリダミドによって形成された群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項10】
4-{2-[5-メチル-1-(ナフタレン-2-イル)-1H-ピラゾール-3-イルオキシ]エチル}モルホリンと、パクリタキセル、オキサリプラチン、またはシスプラチンから選択される化学療法薬とを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項11】
薬剤の製造に使用される、請求項1から10のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項12】
化学療法によって誘発される疼痛の予防または治療で使用される、請求項1から10のいずれか一項に記載の組合せ。
【請求項13】
前記疼痛が、末梢神経因性疼痛、アロディニア、カウザルギー、痛覚過敏、知覚過敏、ヒペルパチー、神経痛、神経炎、または神経障害から選択される、請求項12に記載の組合せ。
【請求項14】
化学療法によって誘発される疼痛の治療または予防に使用される、請求項1から7のいずれか一項に定義された式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグ、または溶媒和物。
【請求項15】
タキサン、ビンカアルカロイド、白金誘導体、ボルテゾミブ、またはサリトマイド、およびその誘導体から選択される化学療法薬によって誘発された疼痛の治療または予防に使用される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
化学療法によって誘発される疼痛の予防に使用される、請求項14に記載の化合物、または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグ、または溶媒和物。
【請求項17】
前記疼痛が、末梢神経因性疼痛、アロディニア、カウザルギー、痛覚過敏、知覚過敏、ヒペルパチー、神経痛、神経炎、または神経障害から選択される、請求項14、15、または16に記載の化合物。
【請求項18】
化学療法によって誘発される疼痛を治療しまたは予防するための薬剤の製造における、請求項1から7のいずれか一項に定義された式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩、異性体、プロドラッグ、または溶媒和物の使用。
【請求項19】
化学療法によって誘発された疼痛に苦しみ、または化学療法的治療の結果として疼痛に苦しむ可能性の高い患者を治療する方法であって、そのような治療または予防の必要がある患者に、請求項1から7のいずれか一項に定義された式(I)のσリガンドを治療上有効な量で投与するステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2013−501754(P2013−501754A)
【公表日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−524233(P2012−524233)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061720
【国際公開番号】WO2011/018487
【国際公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(512036166)ラボラトリオス・デル・ドクター・エステベ・ソシエテ・アノニム (6)
【Fターム(参考)】