説明

医薬組成物

【課題】頻尿、尿失禁等の疾患の治療に有用な高コンダクタンス型カルシウム感受性Kチャネル開口薬として有用な化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬の提供。
【解決手段】式:


[式中、環Qはピリジンまたはピリミジンを表す。環Aはベンゼンまたは複素環を表す。Gは置換基Rを有してもよい環B、またはアルキル等に置換されてもよいアミノを表す。環Bはベンゼン、複素環、シクロアルカンまたはシクロアルケンを表す。Rはアミド、ヒドラジド、ヒドロキサム酸、エステル基等を表す。RおよびRは同一または異なって、それぞれシアノ、ニトロ等を表す。mおよびnは、同一または異なって、それぞれ0、1または2を表す。Rは、水素原子、ハロゲン等を表す。RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル等を表す。]で表される二環化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頻尿、尿失禁、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、脳梗塞、クモ膜下出血等の疾患の治療に有用な高コンダクタンス型カルシウム感受性Kチャネル開口薬に関する。
【背景技術】
【0002】
カリウムチャネルを含むイオンチャネルはすべての哺乳類細胞に認められ、それらはさまざまな生理学的プロセスおよび正常な細胞のホメオスタシス(恒常性)の調節に関わるものである。カリウムチャネルは一般に細胞の静止膜電位を制御し、またカリウムイオンの外向きの流れが細胞の脱分極後の原形質膜を再分極させる。
カリウムチャネルのサブタイプには多くのものがある。生理学的見地からは、maxi−Kチャネルは重要なサブタイプの1つであり、これは高コンダクタンス型カルシウム感受性カリウムチャネル(BKチャネル)と規定され、神経組織および平滑筋中に存在する。細胞内カルシウム濃度および膜電位がこれら高コンダクタンス型カルシウム感受性カリウムチャネルを制御する。例えば、高コンダクタンス型カルシウム感受性カリウムチャネルは、細胞内カルシウム濃度の増加または膜の脱分極(電位の変化)によって、カリウムイオンの外向きの流出を可能にするように開放され、膜の脱分極及びそれに伴う細胞内カルシウム濃度上昇に対して抑制的に作用する。細胞内カルシウム濃度の上昇は、神経伝達物質の放出、平滑筋の収縮、ある種の細胞型の増殖等のプロセスに必要とされる。従って、maxi−Kチャネルを開口させる作用を有する薬物によって、神経細胞の興奮性を減弱させたり、神経末端からの伝達物質の放出を抑制したり、平滑筋の収縮を抑制する結果、脳梗塞、クモ膜下出血、頻尿・尿失禁等の疾患の治療に有効である。
【0003】
BKチャネルを開口させる薬物は、電子刺激によるモルモット気道標本の気道収縮を抑制する作用を有することが報告されている(非特許文献1)。よって、例えば喘息、COPD等の治療に有効である。また、BKチャネルを開口させる薬物は、勃起不全等の性的機能不全の治療薬になりうることが示唆されている(特許文献1)。
高コンダクタンス型カルシウム感受性Kチャネル開口薬としては、例えば、ピロール誘導体(特許文献2)、フラン誘導体(特許文献3)、窒素原子がフェニル基又はベンジル基で置換されている含窒素5員環誘導体(特許文献4)、ジフェニルトリアゾール誘導体(非特許文献2)、セレコキシブ誘導体(特許文献5)等種々報告されている。
4‐アミノ‐5‐(4‐シアノフェニル)ピリミジン等のピリミジン誘導体の合成方法が非特許文献3に報告されている。
特許文献6には2‐(4−フルオロフェニル)−3−(4‐ピリミジル)ピリジン誘導体がCSBP/RK/p38キナーゼが関与する疾病の治療に有効であることが報告されている。
【特許文献1】WO 00/34244
【特許文献2】WO 96/40634
【特許文献3】特開2000-351773
【特許文献4】WO 98/04135
【特許文献5】EP 1400243
【特許文献6】WO 00/40243
【非特許文献1】J. Pharmacol. Exp. Ther., (1998) 286: 952-958
【非特許文献2】J. Med. Chem., Vol. 45, p.2942-2952(2002)
【非特許文献3】Anales de la Asociacion Quimica Argentina, 56(1-2), 73(1968)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、副作用が少ない優れた高コンダクタンス型カルシウム感受性Kチャネル開口作用を有し、頻尿、尿失禁、喘息、COPD、脳梗塞、クモ膜下出血等の疾患の治療に有用な化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明者等は鋭意研究の結果、下式により表される二環化合物が優れた高コンダクタンス型カルシウム感受性Kチャネル開口作用を有することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1] 式1:


[式中、環Qはピリジンまたはピリミジンを表す。
環Aはベンゼンまたは複素芳香環を表す。
Gは

またはアルキル、アラルキル及びシクロアルキルからそれぞれ選ばれる1若しくは2の置換基によって置換されていてもよいアミノを表す。
環Bはベンゼン、複素環、シクロアルカンまたはシクロアルケンを表す。
は下式から選ばれる基を表す。

およびRは同一または異なって、それぞれシアノ、ニトロ、水酸基、アルコキシ、ハロゲン、カルボキシ、アルコキシカルボニル、置換されていてもよいカルバモイル、置換されていてもよいアミノまたは置換されていてもよいアルキルを表す。但し、mが2の時、2つのRは同一または異なっていてもよく、nが2の時、2つのRは同一または異なっていてもよい。
mおよびnは、同一または異なって、それぞれ0、1または2を表す。
は、水素原子、ハロゲン、シアノ、アルコキシ、水酸基、カルバモイル、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールオキシ、シクロアルキルオキシまたは置換されていてもよい複素環式基を表す。
およびRは同一または異なって、それぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル(該シクロアルキルはアリールと縮合されていてもよい)、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよい複素環式基、もしくはアルコキシカルボニルを表すか、またはRおよびRが一緒になって、それらが結合している原子と共に、置換されていてもよい複素環を形成してもよい。但し、4‐アミノ−5‐(4−シアノフェニル)ピリミジンを除く。]
で表される二環化合物またはその薬学上許容される塩。
[2] 式1a:

[式中、環Q、環A、環B、R、R、R、R、mおよびnは、[1]記載における意義と同義である。]
で表される[1]記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。
[3] 環Qがピリジンである[1]または[2]記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。
[4] 式1b:

[式中、XおよびYは一方が窒素原子を表し、他方がメチンを表す。
環A、環B、R、R、R、R、mおよびnは、前記と同義である。]
で表される[2]記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。
[5] 環Aが5又は6員環である[1]〜[4]のいずれか記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。
【0006】
[6] 環Aがベンゼン、ピリジン、ピリミジン、またはチオフェンである[1]〜[4]のいずれか記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。
[7] 環Aがベンゼンである[1]〜[4]のいずれか記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。
[8] 環Aが6員環であり、且つRが環Qに対してパラ位に置換している[1]〜[7]のいずれか記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。
[9] 環Bがベンゼン、ピリジン、ピリミジン、チオフェン、ピペリジン、モルホリン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ピロリジンまたはピロールである請求項1〜8のいずれか記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。
[10] Rが下式から選ばれる基である[1]〜[9]のいずれか記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。

【0007】
[11] Rが水素原子、置換されていてもよいアルキル(該置換アルキルの置換基が下式から選ばれる1〜3個の基である)、置換されていてもよいシクロアルキル(該シクロアルキルはアリールと縮合していてもよい)、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよい複素環式基であり、Rが水素原子、アルコキシカルボニル、または水酸基もしくはアルコキシで置換されてもよいアルキルであるか、あるいはRおよびRが一緒になって、それらが結合している原子と共に、置換されていてもよい複素環を形成してもよい[10]記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。

[式中、Rは(1)水素原子、(2)置換されていてもよいアリールもしくは置換されていてもよい複素環式基で置換されていてもよいアルキル、(3)ヒドロキシアルキル、(4)アルコキシアルキルまたは(5)置換されていてもよい複素環式基を表す。
およびRは同一または異なって、それぞれ(1)水素原子、(2)置換されていてもよいアリールもしくは置換されていてもよい複素環式基で置換されていてもよいアルキル、(3)ヒドロキシアルキル、(4)アルコキシアルキル、(5)アルコキシカルボニル、(6)置換されていてもよい複素環式基または(7)置換されていてもよいアリールを表すか、または(8)RおよびRが一緒になって、それらが結合している原子と共に、置換されていてもよい複素環を形成してもよい。
10およびR11は、同一または異なって、それぞれ(1)水素原子、(2)置換されていてもよいアリールもしくは置換されていてもよい複素環式基で置換されていてもよいアルキル、(3)ヒドロキシアルキル、(4)アルコキシアルキル、(5)アルカノイル、(6)アルキルスルホニル、(7)アルコキシカルボニルまたは(8)置換されていてもよい複素環式基を表す。]
[12] Rの置換アルキルの置換基が下式から選ばれる1〜3個の基である[11]記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。

[式中、R、R、R、R10およびR11は前記と同義である。]
【0008】
[13] Rの置換アルキルの置換基が下式から選ばれる1〜3個の基である[11]記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。

[式中、R、R、R、R10およびR11は前記と同義である。]
[14] 環Qがピリミジンであり、Rが下式から選ばれる基である[1]〜[13]のいずれか記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。

[式中、RおよびRは[1]における意義と同義であり、R51は下式から選ばれる1〜3個の基で置換されたアルキルを表す。

[式中、R、R、R、R10およびR11は[11]における意義と同義である。]
[15] mおよびnが同一または異なって、それぞれ0または1である[1]〜[14]のいずれか記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。
[16] RおよびRが同一または異なって、それぞれシアノ、水酸基、アルコキシ、ハロゲンまたは置換されていてもよいアルキルである[1]〜[15]のいずれか記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。
【0009】
[17] Rが水素原子、ハロゲン、または置換されていてもよいアルキルである[1]〜[16]のいずれか記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。
[18] [1]〜[17]のいずれか記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
[19] 高コンダクタンス型カルシウム感受性Kチャネル開口薬である[18]記載の医薬。
[20] 頻尿、尿失禁、喘息または慢性閉塞性肺疾患の予防および/または治療剤である[18]記載の医薬。
[21] 頻尿、尿失禁または慢性閉塞性肺疾患の予防および/または治療剤である[20]記載の医薬。
[22] 環Qが

であり、環Bが

でも

でもない[1]〜[17]のいずれか記載の二環化合物またはその薬学上許容される塩。
【0010】
以下、本明細書における各記号で表される基について説明する。
「アルキル」、「アルコキシアルキル」および「アルキルスルホニル」におけるアルキルとしては、例えばC1−6、好ましくはC1−4の直鎖または分枝鎖のアルキルが挙げられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、1−メチルプロピル、ペンチル、ヘキシル等が挙げられる。
「ヒドロキシアルキル」としては、例えばC1−6、好ましくはC1−4の直鎖または分枝鎖のアルキルに水酸基が置換したものが挙げられ、具体的には、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシブチル、4−ヒドロキシブチル等が挙げられる。
「アルコキシ」、「アルコキシアルキル」および「アルコキシカルボニル」におけるアルコキシとしては、例えばC1−6、好ましくはC1−4の直鎖または分枝鎖のアルコキシが挙げられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等が挙げられる。
「ハロゲン」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「アルカノイル」としては、例えばC1−6、好ましくはC1−4の直鎖または分枝鎖のアルカノイルが挙げられ、具体的には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ヘキサノイル等が挙げられる。
【0011】
「ハロアルキル」としては、例えばC1−6、好ましくはC1−4の直鎖または分枝鎖のアルキルにハロゲンが置換したものが挙げられ、具体的にはクロロメチル、ジクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3−クロロプロピル、3−フルオロプロピル、4−クロロブチル、4−フルオロブチル等が挙げられる。
「ハロアルコキシ」としては、例えばC1−6、好ましくはC1−4の直鎖または分枝鎖のアルコキシにハロゲンが置換したものが挙げられ、具体的にはクロロメトキシ、ジクロロメトキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、パーフルオロエトキシ、3−クロロプロポキシ、3−フルオロプロポキシ、4−クロロブトキシ、4−フルオロブトキシ等が挙げられる。
「アルケニル」としては、例えばC2−6、好ましくはC2−4の直鎖または分枝鎖のアルケニルが挙げられ、具体的にはビニル、アリル、1−メチル−2−プロペニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、3−ヘキセニル等が挙げられる。
【0012】
「アリール」および「アリールオキシ」におけるアリールとしては、例えばC6−14、好ましくはC6−10の単環式、二環式または三環式のアリールが挙げられ、具体的には、フェニル、ナフチル、フェナントリル、アンスリル等が挙げられ、特にフェニル、ナフチルが好ましい。
「アラルキル」としては、例えばC1−6、好ましくはC1−4の直鎖または分枝鎖状のアルキルにアリールが置換したものであって、具体的には、ベンジル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル等が挙げられ、その中でも特にベンジルが挙げられる。
【0013】
「シクロアルキル」および「シクロアルキルオキシ」におけるシクロアルキルとしては、C3−8、好ましくはC3−6のシクロアルキルが挙げられ、具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等が挙げられる。「アリールと縮合したシクロアルキル」とは、C3−8、好ましくはC3−6のシクロアルキルがアリール(好ましくはフェニル)と縮合したシクロアルキルが挙げられ、具体的にはインダニル、テトラリニル等が挙げられる。当該「シクロアルキル」および「アリールと縮合したシクロアルキル」は置換されていてもよく、置換基としては水酸基、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ等が挙げられ、好ましくは水酸基が挙げられる。置換されたアリール縮合シクロアルキルの具体例としては、2−ヒドロキシインダン−1−イル等が挙げられる。
「シクロアルカン」としては、例えばC3−8、好ましくはC3−6のシクロアルカンが挙げられ、具体的には、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
「シクロアルケン」としては、例えばC3−8、好ましくはC3−6のシクロアルケンが挙げられ、具体的には、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
【0014】
「複素環式基」としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する、全体として5〜10員の一部または全部が飽和していてもよい単環式または二環式の複素環式基が挙げられる。なお、一部または全部が飽和していてもよい単環式または二環式の複素環式基の場合、当該複素環式基はオキソにより置換されていてもよい。
単環式複素環式基としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる1〜4個の異項原子を含む、全体として5〜7員の一部または全部が飽和していてもよい複素環式基が好ましい例として挙げられる。具体例としては、オキサゾリル、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、テトラゾリル、チアゾリル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフリル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル等が挙げられる。
二環式複素環式基としては、同一または異なる上記単環式複素環式基が2個縮合した二環式複素環式基、あるいは上記単環式複素環式基とベンゼン環とが縮合した二環式複素環式基が好ましい例として挙げられる。具体例としてはジヒドロインドリル、テトラヒドロキノリル等が挙げられる。
【0015】
環QにおいてG及び環Aが置換し得る限り、環Q上の窒素原子は何れの位置に存在してもよく、好ましくは以下に示される通りである。

【0016】
環Aにおける「複素芳香環」としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する、全体として5〜10員の単環式または二環式の複素芳香環が挙げられ、好ましくは5または6員芳香族複素環が挙げられる。具体的には、チオフェン、フラン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ベンゾ[b]チオフェン、オキサゾール、イソキザゾール、チアゾール、ベンゾ[b]フラン、及び、キノリンが挙げられ、好ましくはピリジン、ピリミジン、チオフェンが挙げられ、特に好ましくはピリジンが挙げられる。
【0017】
環Bにおける「複素環」としては、例えば窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する、全体として5〜10員の一部または全部が飽和していてもよい単環式または二環式の複素環が挙げられ、好ましくは2以上の窒素原子を有しない5員複素環及び6員複素環が挙げられ、特に好ましくは6員芳香族複素環が挙げられる。具体的には、チオフェン、フラン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ベンゾ[b]チオフェン、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、ベンゾ[b]フラン、2,3−ジヒドロインドール、2,3−ジヒドロベンゾ[b]フラン、1,4−ベンゾジオキサン、キノリン、ピロリジン、モルホリン、チオモルホリン、ホモピペリジンおよび1,5−ベンゾジオキセピンが挙げられ、好ましくはピリジン、ピリミジン、チオフェンが挙げられ、特に好ましくは、環Qが何れの位置にあってもよいピリジンであり、好ましい環Qの位置は窒素原子に対しオルト位及びメタ位が挙げられる。
「RおよびRが一緒になって、それらが結合している原子と共に形成する複素環」並びに「RおよびRが一緒になって、それらが結合している原子と共に形成する複素環」としては、ヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、硫黄原子等)を1または2個含有する、飽和された5〜8員単環式複素環が挙げられ、具体的には、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ホモピペリジン等が挙げられる。
【0018】
当該複素環は置換されていてもよく、その置換基としては、(1)(i)ハロゲン、(ii)水酸基、(iii)ハロアルコキシ、(iv)ハロゲン、アルキル、フェニル等により置換されていてもよいアルコキシ、(v)アルキル等により置換されていてもよいカルバモイル、(vi)シアノ、(vii)アルコキシカルボニル、(viii)カルボキシ、(ix)アルキル、フェニル等により置換されていてもよいアミノ、 (x)アルコキシ、水酸基等、及び(xi)複素環式基により置換されていてもよいイミノ、から選ばれる基により置換されていてもよいアルキル、(2)シアノ、(3)ハロゲン、(4)アルキル、アルカノイル、シクロアルキル等により置換されていてもよいアミノ、(5)アルケニル、(6)アルコキシ、水酸基等により置換されていてもよいイミノ、(7)アルキル、アラルキル等により置換されていてもよいカルバモイル、(8)アルコキシカルボニル、(9)複素環式基等、(10)オキソが挙げられる。当該置換基の好ましい例としては、水酸基で置換されてもよいアルキル、並びに窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を1〜3個有する5または6員単環式複素環式基が挙げられ、特に好ましくはヒドロキシメチル、ピリミジルが挙げられる。
【0019】
からR11における「複素環式基」およびRからR11における置換アルキルの置換基における「複素環式基」の好ましい例としては、ピリジル、ピラゾリル、ピラジル、ピリミジニル、テトラゾリル、テトラヒドロピラニル、チアゾリル、ピペリジル、モルホリニル、オキサゾリル、およびピペラジニル等が挙げられる。複素環式基の置換基としてはアルキル、ハロアルキル、水酸基、およびアルコキシなどが挙げられ、好ましくはメチル、トリフルオロメチル、水酸基、およびメトキシが挙げられる。さらに好ましいRにおける複素環式基の具体例としてはピリミジルとテトラヒドロピラニルが挙げられる。さらに好ましいR10とR11における複素環式基の具体例としてはピリジルが挙げられる。
【0020】
およびRにおける置換アルキルの置換基としては、例えば、下式から選ばれる基等が挙げられ、同一または異なる1〜3個の基がアルキルに置換することができる。

[式中、R、R、R、R10およびR11は前記と同義である。]
これら基のうち、好ましくは

等が挙げられ、さらに好ましくは、

等が挙げられる。
またはRにおける置換アルキルの具体例には下式から選ばれる基が含まれる。

[式中、R12、R13、R14およびR15はそれぞれ同一または異なってもよく、それぞれは水素又はアルキル等を示す。]
【0021】
〜R11における置換アリールの置換基としては、ハロゲン、水酸基、アルコキシ、アルキル、ハロアルキル等が挙げられる。
およびRにおける置換カルバモイルの置換基としては、それぞれハロゲン、水酸基、アルコキシ、アミノ、モノまたはジアルキルアミノ等により置換されていてもよいアルキルが挙げられる。
Gにおける「アルキル、アラルキル及びシクロアルキルからそれぞれ選ばれる1若しくは2の置換基によって置換されていてもよいアミノ」のアルキルとしては、例えばC1−6の直鎖又は分枝鎖の、好ましくはC1−4の分枝鎖のアルキルが挙げられ、具体的には、イソプロピル、イソブチル、1−メチルプロピル、イソアミル等が挙げられる。さらに好ましくはイソプロピルが挙げられる。
、RおよびRにおける置換アミノの置換基としては、それぞれハロゲン、水酸基、アルコキシ、アミノ、モノまたはジアルキルアミノ等により置換されていてもよいアルキルが挙げられる。
【0022】
、RおよびRにおける置換アルキルの置換基としては、水酸基、アルコキシ、ハロゲン等が挙げられ、当該置換アルキルの具体例としては、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、メトキシメチル、トリフルオロメチル等が挙げられる。
からR13、G、環Aおよび環Bの具体例には実施例記載の化合物の対応した部分の基が含まれる。
【0023】
本発明の二環化合物(1)の薬学上許容される塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩等が挙げられる。また、カルボキシ等の酸性基を有する場合には塩基との塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエチルアミン塩等の有機塩基塩、リジン塩等のアミノ酸塩等)も挙げられる。
二環化合物(1)またはその薬理的に許容しうる塩には、その分子内塩、その水和物等の溶媒和物のいずれもが含まれる。
【0024】
二環化合物(1)に不斉炭素等が存在する場合は光学異性体が存在するが、二環化合物(1)は、それらいずれの異性体およびそれらの混合物をも包含する。さらに、二環化合物(1)に二重結合あるいはシクロアルカンジイルを有する場合は、シス体、トランス体が存在し、二環化合物(1)にカルボニル等の不飽和結合を有する場合は互変異性体が存在するが、二環化合物(1)は、それらいずれの異性体およびそれらの混合物をも包含する。
【0025】
二環化合物(1)は、以下の方法により製造することができる。
製法1

[式中、Zは塩素原子、臭素原子、アルキルスルホニルオキシまたはトリフルオロメタンスルホニルオキシを表し、Z2は保護基を有してもよい水酸基またはアミノ基を表し、Lは−B(OH)、−B(OR)または−Sn(R)を表し、Rはアルキルを表し、その他の記号は前記と同義である。]
【0026】
本製法は、Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8, 2777およびWO 98/03484を参考にして実施することができる。
化合物(2)をパラジウム触媒の存在下、化合物(3)と反応させることによって、化合物(4)を合成することができる。パラジウム触媒としては、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド、パラジウム(II)アセテート等の0価または2価のパラジウム触媒が挙げられる。Lが−B(OH)または−B(OR)である化合物(3)を用いて反応する場合は、塩基を存在させるのが好ましい。塩基としては、例えば炭酸アルカリ金属、水酸化アルカリ金属、リン酸アルカリ金属、フッ化アルカリ金属等の無機塩基およびトリエチルアミン等の有機塩基が挙げられる。溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればいかなるものでもよく、例えばジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、トルエン、ベンゼンまたはこれらの混合物が挙げられる。反応温度としては、通常60〜150℃、好ましくは80〜120℃が挙げられ、反応時間は通常1〜24時間である。
【0027】
化合物(4)のZ2を常法に従ってZに変換し、続いて、化合物(5)とパラジウム触媒の存在下、同様に反応させることで、化合物(1a)を製造することができる。
なお、化合物(2)は先に化合物(5)と反応させ、同様にZ2を変換後化合物(3)と反応させても、また実施例20の通り反応性の異なる2種のハロゲンが導入された化合物を用いても、二環化合物(1a)を好適に製造することができる。
【0028】
製法2

[式中、記号は前記と同義である。]
本製法は、Org. Lett., 2001, 3, 835を参考にして実施することができる。なお、ここではピリジンの窒素原子が上記化学式の位置であるピリジン(1c)および(1d)で説明するが、環Aと環Bの導入順序を変えることで、その位置異性体の二環化合物も同様に製造することができる。
【0029】
化合物(6)または化合物(9)を有機リチウム試薬(リチウムジイソプロピルアミド等)で処理することでピリジンリチウム塩とし、続いて塩化亜鉛を作用させることでピリジン亜鉛塩とし、製法1と同様にパラジウム触媒の存在下、化合物(7)と反応させることによって、化合物(8)または(10)を製造することができる。ピリジンリチウム塩およびピリジン亜鉛塩に変換する際の反応溶媒としては、反応に悪影響を及ぼさないものであればいかなるものでもよく、例えばジメトキシエタン、THF、ジオキサン、トルエン、ベンゼンまたはこれらの混合物が挙げられ、反応温度としては、通常-110〜-50℃が挙げられる。化合物(8)または(10)から、化合物(1c)または(1d)の製造は製法1と同様に実施することができる。
【0030】
製法3
下式で表される化合物(1e)は、例えば、製法1と同様にして製造することができ、また以下のようにしても製造することができる。

[式中、各記号は前記と同義である。]
【0031】
β位にRで置換されたピリジン(1e)は、Org. Lett., 2000, 15, p.2339を参考にして製造することができ、その原料である化合物(11)および化合物(12)は、それぞれJ. Org. Chem., 2000, 65, p.8415およびJ. Org. Chem., 2000, 65, p.4571を参考にして製造することができる。なお、ここではピリジンの窒素原子が上記化学式の位置であるピリジン(1e)で説明するが、2位に環Aが置換し、3位に環Bが置換したピリジンでも同様に実施することができる。
【0032】
ケトン(11)を、0℃〜40℃の温度で、THF、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン等のエーテル中、tert-ブトキシカリウム等のアルカリアルコキシドと処理した後、化合物(12)を反応させ、得られた反応液を酢酸とトリフルオロ酢酸の混合酸に滴下し、最後にアンモニア水等のアンモニアと50℃から溶媒の沸点までの温度で加温閉環することで、化合物(1e)を製造することができる。
【0033】
製法4

[式中、ZはZn-ZまたはMg-Zを表し、Zは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、Pは水酸基の保護基(ベンジル基など)を表し、その他の記号は前記と同義である。]
【0034】
化合物(15)は、J. Org. Chem., 62, 503(1997)を参考にして化合物(13)から製造でき、つづいて製法1と同様にして化合物(15)から、化合物(1d)を製造することができる。
なお、ここではピリジンの窒素原子が上記化学式の位置であるピリジンについて説明するが、3位に環Aが置換し、4位に環Bが置換したピリジン誘導体も同様に製造することができる。
【0035】
製法5

[式中、G1は置換されてもよいアミノを表し、その他の記号は前記と同義である。]
【0036】
式1おいて、G1が無置換アミノである化合物は製法1に従い製造できる。また、G1が置換アミノである化合物(1f)は、製法1に準じて製造できる化合物(16)とアミンG1-Hを反応させることにより製造できる。
【0037】
1の置換位置がNの隣に位置する場合は、実施例83を参考に製造できる。溶媒としては反応に悪影響を及ぼさないものであればいかなるものでもよく、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、THF、ジオキサン、DMF、DMA、トルエンまたはそれらの混合物が挙げられる。反応温度としては通常0℃〜150℃、好ましくは室温〜使用した溶媒沸点が挙げられる。反応時間は通常1時間から3日間である。なお、適宜、塩基存在下で反応させてもよい。塩基としては炭酸アルカリ金属のような無機塩基およびトリエチルアミンのような有機塩基が挙げられる。
の置換位置がNに隣接しない置換位置の場合には、Acc. Chem. Res. 31 (1998), 805またはAngew. Chem., Int. Ed. 37 (1998), 2046を参考に、パラジウム触媒を用いたアミノ化反応によって製造することができる。
【0038】
製法6
カルボン酸(1i)は、上記製法および実施例を参考に製造できる化合物 (1)に含まれる化合物(1g)から以下のようにして製造することができる。

[式中、各記号は前記と同義である。]
【0039】
化合物(1g)を溶媒(アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、DMF、その混合物等)中、シアノ化剤(シアン化ナトリウム、シアン化第一銅等)と室温〜100℃で1〜24時間反応させることでニトリル(1h)を合成できる。また、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム触媒等の存在下、シアン化亜鉛、シアン化カリウム等のシアノ化剤を反応させることもできる。
【0040】
ニトリル(1h)を溶媒(水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、それらの混合物等)中、酸(塩酸、硫酸等)または塩基(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を用いて加水分解することで、カルボン酸(1i)を製造することができる。反応温度としては、通常-20〜150℃が挙げられ、反応時間は、通常30分〜48時間である。
また、製法1と同様の方法で、化合物(1h)を製造することもできる。
なお、ニトリル(1h)を溶媒(水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert-ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、それらの混合物等)中、水酸化アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)で加水分解することで、RおよびRが水素原子である化合物(1j)-1を直接製造することもできる。
【0041】
製法7
カルボン酸(1i)を常法に従って対応する化合物と反応させることで、下記二環化合物(1j)〜(1s)を製造することができる。
具体的には、例えば、下記のように実施できる。

[式中、Arは化合物(1i)の残基を表し、その他の記号は前記と同義である。]
【0042】
二環化合物(1)に含まれる化合物(1j)、(1k)、(1m)および(1n)は、次のいずれかの方法により製造することができる。
(A) カルボン酸(1i)をハロゲン化剤(塩化チオニル等)で処理して酸ハライドに変換し、反応式中に記載のそれぞれの試薬と、塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン等)の存在下、-78℃から室温で30分から24時間反応させることで、化合物(1j)、(1k)、(1m)および(1n)を製造することができる。
(B) カルボン酸(1i)を溶媒(DMF、THF、ジオキサン等)中、縮合剤(1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、カルボニルジイミダゾール、シアノリン酸ジエチル等)の存在下、反応式中に記載のそれぞれの試薬と縮合させることで、化合物(1j)、(1k)、(1m)および(1n)を製造することができる。反応温度としては通常0℃から100℃が挙げられ、反応時間は通常30分から24時間が挙げられる。なお、縮合剤を用いる反応においては、必要に応じて1−ヒドロキシベンズトリアゾール、N−ヒドロキシスクシンイミド等の存在下で行うこともできる。
(C) カルボン酸(1i)を炭酸メチル・炭酸イソブチルなどの炭酸モノアルキルエステルとの混合酸無水物、あるいはピバル酸やイソ吉草酸などの有機酸との混合酸無水物に変換し、適当な溶媒(THF、トルエン、ニトロベンゼン、これらの混合溶媒等)中、塩基(トリエチルアミン、ピリジン等)の存在下、−20℃から室温で1〜24時間、反応式中に記載のそれぞれの試薬と縮合させることで、化合物(1j)、(1k)、(1m)および(1n)を製造することができる。
【0043】

[式中、各記号は前記と同義である。]
【0044】
二環化合物(1)に含まれる化合物(1q)は、以下の方法で製造することができる。カルボン酸(1i)から常法に従って導くことができるアルデヒド(1p)に、グリニャール試薬を溶媒(THF、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジオキサン等)中、-20〜100℃で30分〜24時間反応させることでアルコール(17)を製造する。続いて、アルコール(17)を-78〜100℃で30分〜24時間酸化剤と反応させることで、化合物(1q)を製造することができる。酸化剤としては、クロム酸−硫酸、酸化クロム(VI)−硫酸−アセトン(Jones試薬)、酸化クロム(VI)−ピリジン錯体(Collins試薬)、二クロム酸塩(二クロム酸ナトリウム、二クロム酸カリウム等)−硫酸、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二酸化マンガン、ジメチルスルホキシド−親電子活性化試薬(ジシクロヘキシルカルボジイミド、無水酢酸、五酸化リン、三酸化硫黄−ピリジン錯体、無水トリフルオロ酢酸、塩化オキサリル、ハロゲン)、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、亜臭素酸ナトリウム等を用いることができる。
【0045】

[式中、各記号は前記と同義である。]
【0046】
二環化合物(1)に含まれる化合物(1r)および(1s)は、以下の方法で製造することができる。化合物(1j)に含まれる化合物(1j)-1に上記反応式に記載の酸ハライドを塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ピリジン等)の存在下、-20℃から室温で30分から24時間反応させることで、化合物(1r)および(1s)を製造することができる。
【0047】
なお、上記方法において、本発明の二環化合物、中間化合物、原料化合物等に官能基(水酸基、アミノ、カルボキシ等)を有する場合は、有機合成化学において通常用いる保護基で保護して反応を行い、反応後、当該保護基を除去することにより、目的とする化合物を得ることができる。なお、水酸基の保護基としては、例えばテトラヒドロピラニル、トリメチルシリル、ベンジル等が挙げられ、アミノの保護基としては、例えばtert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等が挙げられ、カルボキシの保護基としては、例えばメチル、エチル等のアルキル、ベンジル等が挙げられる。
【0048】
また、上記方法に従って本発明の二環化合物、中間化合物を製造した後、官能基を常法に従って変換または修飾することもできる。具体的には以下の方法が挙げられる。
(1)アミノの修飾
必要に応じてアミノを保護した後、(i)塩基(水素化ナトリウム、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)の存在下、ハロゲン化アルキル等と反応させるか、または(ii)アルコール等をジアルキルアゾジカルボキシラートおよびトリフェニルホスフィンを用いた光延反応に付し、必要に応じて脱保護することによって、モノまたはジアルキルアミノに誘導することができる。
(2)アミノのアミドへの変換
アミノをアシルハライドと反応させ、対応するアミドに変換することができる。
(3)カルボキシのカルバモイルへの変換
カルボキシにアミンを反応させ、対応するカルバモイルに変換することができる。
【0049】
(4)CC二重結合の水素添加
CC二重結合を、遷移金属(白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、ニッケル等)触媒を用いて接触水素還元することで、対応する単結合に変換することができる。
(5)エステルの加水分解
エステルをアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)で加水分解することにより、対応するカルボキシに変換することができる。
(6)カルバモイルのニトリルへの変換
カルバモイルを無水トリフルオロ酢酸と反応させることで、対応するニトリルに変換することができる。
【0050】
(7)カルボキシの4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イルへの変換
カルボキシを、縮合剤の存在下、2−ハロエチルアミンと反応させることで、対応する4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イルに変換することができる。
(8)水酸基のハロゲン化、アルキル化
水酸基を、ハロゲン化剤と反応させることで、対応するハライドに変換することができる。また、ハライドを、アルコールと反応させることで、対応するアルコキシに変換することができる。
(9)エステルの還元
エステルを還元剤(水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム等の金属還元試薬、ジボラン等)を用いて還元することで、対応する水酸基に変換することができる。
【0051】
(10)水酸基の酸化
水酸基を酸化することで、アルデヒド、ケトン、カルボキシに変換することができる。
(11)ケトン、アルデヒドのアミノ化
ケトンまたはアルデヒドをアミンと還元剤(水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム等)の存在下、還元的アミノ化反応を行うことで、モノまたはジ置換アミノメチルに変換することができる。
(12)ケトンまたはアルデヒドの二重結合への変換
ケトンまたはアルデヒドをウィッティッヒ(Wittig)反応に付すことで、二重結合に変換することができる。
(13)スルホンアミドの塩への変換
スルホンアミドをアルコール(メタノール、エタノール等)中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等と処理することで、対応するスルホンアミドの塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)に変換することができる。
【0052】
(14)アルデヒドのオキシム等への変換
アルデヒドをアルコール(メタノール、エタノール等)中、塩基(炭酸水素ナトリウム等)の存在下、ヒドロキシルアミンまたはO−アルキルヒドロキシルアミンと反応させることで、対応するオキシム等に変換することができる。
(15)ハライドのニトリルへの変換
ハライドをシアノ化剤と反応させることで、対応するニトリルに変換することができる。
(16)ハライドのアミノ化
Tetrahedron, 2002, p.2041記載の方法に準じてハライドを反応させることで、対応するアミンに変換することができる。
(17)カルボン酸のカルバモイル、ヒドロキシメチルへの変換
カルボン酸をN−ヒドロキシスクシンイミドと縮合させてスクシンイミドエステルとした後、アミンと反応させることで、対応するカルバモイルに変換することができる。また、スクシンイミドエステルを還元剤(水素化ホウ素ナトリウム等)で処理することで、対応するヒドロキシメチルに変換することができる。
【0053】
(18)脱ハロゲン化
ハロゲン置換された芳香環は、接触水素化反応によって脱ハロゲン化できる。また、Organometallics 2001, 20, 3607および実施例4記載の方法に従って、パラジウム触媒存在下、カリウムメトキシドと反応させることでも脱ハロゲン化できる。
(19)アリールハライドの変換
製法5に準じ、アリールハライドまたはヘテロアリールハライドに対し、求核試薬(1級アミン、2級アミン、アルコール、フェノール等)を反応することにより、ハライドを対応するアミノ、アルコキシまたはアリールオキシに変換することができる。
(20)ヘテロアリールハライドのアルキル化
Chem. Commun., 1996, 2719、J. Chem. Soc., Chem. Commun., 1988, 638、またはTetrahedron Lett., 37,1309(1996)に記載の方法に準じハロゲンをアルキルに変換することができる。
【0054】
また、上記の製造において、製造される各化合物および各中間体は、通常の方法、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶等で精製することができる。再結晶溶媒としては例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール溶媒、ジエチルエーテル等のエーテル溶媒、酢酸エチル等のエステル溶媒、トルエン等の芳香族溶媒、アセトン等のケトン溶媒、ヘキサン等の炭化水素溶媒、水等またはこれらの混合溶媒等が挙げられる。また、本発明の二環化合物は常法に従って薬学上許容される塩にすることができ、その後再結晶等を行うこともできる。
【0055】
二環化合物(1)またはその薬理学的に許容しうる塩は、当該化合物の治療上有効量および薬理学的に許容される担体からなる医薬組成物に製剤化することができる。薬理学的に許容される担体としては、希釈剤、結合剤(シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、トラガカント、ポリビニルピロリドン等)、賦形剤(乳糖、ショ糖、コーンスターチ、リン酸カリウム、ソルビット、グリシン等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカ等)、崩壊剤(バレイショデンプン等)および湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウム)等を挙げることができる。
【0056】
二環化合物(1)またはその薬理的に許容しうる塩は、経口的または非経口的に投与することができ、適当な医薬製剤として用いることができる。経口的に投与する場合の適当な医薬製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤等の固体製剤、あるいは溶液製剤、懸濁製剤または乳化製剤等が挙げられる。非経口的に投与する場合の適当な医薬製剤としては、坐剤、注射用蒸留水、生理食塩水またはブドウ糖水溶液等を用いた注射剤または点滴製剤、あるいは吸入剤等が挙げられる。
【0057】
二環化合物(1)またはその薬理的に許容し得る塩の投与量は、投与方法、患者の年令、体重、状態或いは疾患の種類・程度によっても異なるが、通常、1日当り約0.1〜50 mg/kg、より好ましくは約0.1〜30 mg/kgとするのが好ましい。
【発明の効果】
【0058】
本発明の二環化合物(1)またはその薬理的に許容し得る塩は、優れた高コンダクタンス型カルシウム感受性Kチャネル開口作用を有し、細胞の膜電気ポテンシャルを過分極させるので、例えば高血圧、早産、過敏性腸症候群、慢性心不全、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、クモ膜下出血、脳血管スパスム、大脳低酸素症、末梢血管障害、不安、雄性禿頭症、勃起不全、糖尿病、糖尿病性末梢神経障害、その他の糖尿病性合併症、不妊症、尿路結石とそれに伴う疼痛、頻尿、尿失禁、夜尿症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息もしくはCOPDに伴う咳、脳卒中、脳虚血、外傷性脳障害等の予防、軽減及び/又は治療薬として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下、本発明を実施例、参考例により詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0060】
実施例1

(1) 化合物A(12.0 g, 41.4 mmol)をTHF(200 ml)に溶解し、アルゴン気流下0℃でtert-ブトキシカリウム(6.09 g, 54.3 mmol)のTHF(50 ml)溶液を30分間かけて滴下した。滴下後、室温で1時間撹拌した後、化合物B(12.7 g, 41.4 mmol)を一気に加えた。45分間撹拌後、反応液をアルゴン気流下、カニューレを通してトリフルオロ酢酸(3.19 ml, 41.4 mmol)と酢酸(20.7 ml, 362 mmol)の混合液中に室温で滴下する。室温で1時間撹拌後、28%アンモニア水溶液(250 ml)を加え、一晩加熱還流する。反応液を室温まで戻した後、約半分量まで減圧濃縮し、酢酸エチル(400 ml)にて抽出後、抽出液を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮した。残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1→1:1)で精製することにより、化合物C(12.42 g, 88%)を固体として得た。
MS: 359/361[M+H]+, APCI(MeOH)
(2) 化合物C(4.00 g, 11.1 mmol)、シアン化亜鉛(1.306 g, 11.1 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.285 g, 1.1 mmol)のDMF(50 ml)懸濁液を80℃に加熱して1時間撹拌した。懸濁液を酢酸エチル/水に注ぎ、有機層を飽和食塩水で洗浄後、芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製し、化合物D(2.79 g, 82%)を粉末として得た。
MS: 306/308[M+H]+, APCI(MeOH)
(3) 化合物D(100 mg, 0.327 mmol)のtert-ブタノール溶液(5.0 ml)に、粉末水酸化カリウム(165 mg, 2.94 mmol)を加え、攪拌しながら2時間加熱還流した。反応液を冷却後、飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→90:10)で精製し、化合物E(102 mg, 96%)を固体として得た。
MS: 324/326[M+H]+, APCI(MeOH)
【0061】
実施例2

実施例1で得られた化合物D(2.69 g, 8.80 mmol)に、6N塩酸(50 ml)を加え、攪拌しながら4時間加熱還流した。反応液を濃縮後、残渣をエタノール−エーテルにて懸濁洗浄し、化合物F(3.34 g, 100%)を固体として得た。
MS: 323/325[M-H]-, ESI(MeOH)
【0062】
実施例3

実施例2で得られた化合物F(76 mg, 0.20 mmol)に、塩化チオニル(0.5 ml)を加え、攪拌しながら1時間加熱還流した。反応液を濃縮後、ジクロロメタンに懸濁させ、氷冷したエタノールアミン(24 mg, 0.40 mmol)およびトリエチルアミン(112μl, 0.80 mmol)のジクロロメタン(2 ml)溶液に加えた。室温で一晩撹拌後、反応液を濃縮し、酢酸エチル加え有機層を水で洗浄後、減圧濃縮した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(メタノール−水)で精製し、化合物G(25.2 mg, 34%)を固体として得た。
MS: 368/370[M+H]+, ESI(MeOH)
【0063】
実施例4

後記実施例11の化合物(60 mg, 0.15 mmol)、(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(9 mg, 16μmol)、1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)イミダゾリウム クロリド(5 mg, 15μmol)、カリウムメトキシド(21 mg, 0.30 mmol)をジオキサン(10ml)に懸濁させ、アルゴン気流下100℃で2時間撹拌した。不溶物を濾別後、反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=90:10)で精製し、N−(2−ヒドロキシプロピル)−4−(2−フェニルピリジン−3−イル)ベンズアミド(3.6 mg, 7%)を固体として得た。
MS: 333[M+H]+,APCI(MeOH)
【0064】
実施例5〜8
実施例1および2と同様に反応することで、以下の化合物を得た。

【0065】
実施例9〜19
実施例3と同様に反応することで、以下の化合物を得た。

【0066】

【0067】

【0068】
実施例20

(1) 化合物A(10.95 g, 48 mmol: J.Chem.Soc., 1646(1953))、トリn-ブチルフェニルチン(20.0 g, 0.54 mol)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(1.01 g, 1.4 mmol)をDMF(100 ml)中、18時間70℃で加熱した。放冷後、酢酸エチルと20%フッ化カリウム水溶液を加えて攪拌した。析出した沈殿を濾過して除いた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=97:3)で精製し、化合物B(6.82 g, 53%)を固体として得た。
MS: 269/271[M+H]+, APCI
(2) 化合物B(0.45 g, 1.67 mmol)、ジメチルアミン塩酸塩(0.54 g, 6.62 mmol)、トリエチルアミン(1.39 ml, 9.97 mmol)をエタノール(15 ml)に溶解し、15時間加熱還流した。溶媒を減圧溜去、得られた残渣を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:1)で精製し、化合物C(0.38 g, 82%)を固体として得た。
MS: 278/280[M+H]+, APCI
(3) 化合物C(1 g, 3.60 mmol)、4‐カルボキフェニルホウ酸(656 mg, 3.95 mmol)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(252 mg, 0.36 mmol)、及び2N炭酸ナトリウム水溶液(7.2 ml)をDME(7.2 ml)中、マイクロウェーブ照射下、100℃で1時間加熱した。冷却後、反応液に水、エーテルを加えた。水層を分取し、pH4になるまで酢酸を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、芒硝で乾燥し、減圧濃縮し、粗化合物Dを固体として得た。得られた化合物DとN−ヒドキシスクシンイミド(0.497 g, 4.32 mmol)をDMF(5 ml)に溶解し、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(0.754 g, 3.95 mmol)を氷冷下加え、室温で3日間攪拌した。反応液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10→1:1)で精製し、化合物E(869 mg, 58%)を固体として得た。
MS: 417[M+H]+, APCI
(4) 化合物E(75 mg, 0.18 mmol)、2−アミノ―1,3−プロパンジオール(33 mg, 0.36 mmol)、ピリジン(0.05 ml)をTHF(5 ml)、DMF(5 ml)に溶解し50℃で3時間攪拌した。反応液を冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0→90:10)で精製し、化合物F(20mg, 28%)を固体として得た。
MS: 393[M+H]+, APCI
【0069】
実施例21

実施例124記載の化合物A(100 mg,0.32 mmol)、トリメチルアルミニウム(1.0Mヘキサン溶液 0.97 ml,0.97 mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(74 mg,64μmol)のジオキサン(3 ml)懸濁液をアルゴン気流下70℃に加熱して9時間撹拌した。反応液を0℃に冷却した後、飽和K2CO3水溶液を添加した。酢酸エチルにて抽出後、芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=95:5→88:12)で精製することにより、化合物B(64 mg,0.22 mmol,68%)を粉末として得た。
MS:290 [M+H]+,APCI (MeOH)
【0070】
実施例22


化合物A(500 mg,1.61 mmol)のジクロロメタン(3 ml)懸濁液に、氷冷下で濃ヨウ化水素水(3 ml,12.9 mmol)を加え、その温度で8時間撹拌した。K2CO3で中和した後、10%NaHSO3水溶液でヨウ素を還元した。不溶物を濾取し、水、ヘキサンで洗浄して粗2−ヨードピリミジン(225 mg)を得た。得られた粗2−ヨードピリミジンは精製せずに次の反応に用いた。粗2−ヨードピリミジン(175 mg)、銅粉末(333 mg,5.24 mmol)、ジブロモジフルオロカーボン(0.16 ml,1.75 mmol)のDMA(6 ml)懸濁液を、アルゴン気流下100 ℃で6時間加熱撹拌した。放冷後、反応液を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄した。有機層を芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣を高速液体クロマトグラフィー(メタノール−水)で精製することにより、化合物B(9 mg,2%)を粉末として得た。
MS:344 [M+H]+,APCI (MeOH)
【0071】
実施例23〜66
本明細書において記載した方法及び実施例、ならびに公知文献に記載された方法に準じて、以下の化合物を得た。

【0072】
実施例30

MS 360[M+H]+, APCI
【0073】
実施例31

MS 333[M+H]+, APCI
【0074】

【0075】

【0076】

【0077】

【0078】
実施例67

60%NaH(25 mg,0.65 mmol)のDMF(3 ml)懸濁液に、氷冷下シクロヘキシルアルコール(0.17 ml,1.6 mmol)を滴下した。反応液を室温で30分間撹拌した後、化合物A (10 mg,0.32 mmol)を加え、80℃で2時間30分間撹拌した。放冷後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:2→酢酸エチル)で精製することにより、化合物B(41 mg,0.11 mmol,34%)を粉末として得た。
MS:374 [M+H]+, APCI (MeOH)
【0079】
実施例68〜82
本明細書において記載した方法及び実施例、ならびに公知文献に記載された方法に準じて、以下の化合物を得た。

【0080】

【0081】
実施例83

(1)化合物A(5.2 g, 29.9 mmol)、及び化合物B(5.4 g, 35.6 mmol)のDME(50 ml)溶液と、2M炭酸ナトリウム水溶液(30 ml)による懸濁液を、減圧下超音波により脱気し、アルゴン置換した。その混合液に二塩化ビス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(II)(2.1 g,2.9 mmol)を加え、アルゴン雰囲気下16時間加熱還流した。反応液を室温まで戻した後、酢酸エチル(300 ml)、水(50 ml)を加え、ラヂオライトにてろ過し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、ケムエルート5 mlを用いて乾燥し減圧下濃縮した。得られた結晶性残渣を酢酸エチルで懸濁洗浄することにより、化合物C(2.65 g,45%)を固体として得た。
MS:197[M+H]+,APCI (MeOH)
(2)化合物C(2.65 g,13.5 mmol)のピリジン(40 ml)溶液に、氷冷下トリフルオロメタンスルホン酸無水物(6.8 ml, 40.4 mmol)を10分間で滴下した。反応液を室温まで上昇させ、16時間攪拌した後減圧下濃縮し、酢酸エチル、水を加えた。酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、ケムエルート5 mlを用いて乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1→3:1)で精製し、更に得られた結晶性残渣をヘキサンで懸濁洗浄することにより、化合物D(3.9 g,88%)を固体として得た。
MS:329[M+H]+,APCI (MeOH)
(3)化合物E(98 mg,0.30 mmol)、ピペリジン(90μl,0.91 mmol)のTHF(3 ml)溶液を、24時間加熱還流した後、ピペリジン(90μl,0.91 mmol)、THF(3 ml)を追加し、さらに24時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10→70:30)で精製することにより、化合物E(27.4 mg,35%)を粉末として得た。
MS:264 [M+H]+,APCI (MeOH)
【0082】
実施例84

(1)60% NaH(4.42 g,111 mmol)を化合物A(10.0 g,105 mmol)のDMF(100 ml)溶液に0℃で加え、つづいて臭化ベンジル(13.7 ml, 115 mmol)を加えた。その後、室温で一晩撹拌した。反応液を氷水に注ぎ、ジエチルエーテルにて抽出を行った。抽出液を水で洗浄した後、芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=97:3→50:50)で精製することにより、化合物B(16.3 g,84%)を液体として得た。
MS:186 [M+H]+,APCI (MeOH)
(2)クロルギ酸フェニル(3.45 ml,27.5 mmol)のTHF(20 ml)溶液を化合物B(4.63 g,25.0 ml)、塩化リチウム(0.21 g,5.0 mmol)、ヨウ化銅(I)(0.476 g,2.5 mmol)のTHF(500 ml)溶液に−23℃で滴下した。滴下終了から20分後、化合物C(0.5M THF溶液、50 ml,25.0 mmol)を−23℃で滴下した。滴下終了から20分後、反応液温度を徐々に室温に戻した。20%塩化アンモニウム水溶液(100 ml)、及び5%アンモニア水(20 ml)を加えた後、THFを減圧留去した。ジエチルエーテルを加え、水で洗浄、芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣にトルエン(200 ml)を加え、o−クロラニル(6.15 g,25.0 mmol)のトルエン(50 ml)溶液を0 ℃で滴下した。滴下後、室温にて一晩撹拌した。ジエチルエーテルを加え、10%水酸化ナトリウム水溶液、水にて洗浄し、芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5→50:50)で精製することにより、化合物D(2.61 g,31%)を粉末として得た。
MS:334 [M+H]+,APCI (MeOH)
(3)化合物D(2.61 g,7.83 mmol)及び、10%パラジウム炭素(0.26 g)をメタノール(40 ml)に懸濁させ、水素雰囲気下、室温にて一晩撹拌した。不溶物を濾別した後、濾液を減圧濃縮した。残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=95:5→75:25)で精製することにより、化合物E(1.87 g, 91%)を粉末として得た。
MS:244 [M+H]+,APCI (MeOH)
(4)化合物Eを実施例83(2)に従いトリフルオロメタンスルホニル化したのち、製法1に従いフェニル基を導入後、常法に従い、エステル基を加水分解し、続いて製法7(B)の手法を用い化合物Fを得た。
MS:275[M+H]+,APCI (MeOH)
【0083】
実施例85〜126
本明細書において記載した方法及び実施例、ならびに公知文献に記載された方法に準じて、以下の化合物を得た。

【0084】
実施例100

MS: 274[M-H]-,ESI
【0085】
実施例101

【0086】
MS: 271[M+H]+,APCI


【0087】
実施例106

MS: 304[M+H]+,APCI
【0088】

【0089】

【0090】

【0091】

【0092】

【0093】
実施例 133

MS: 347 [M+H]+, APCI
【0094】
実施例134

化合物A(32 mg, 0.102 mmol)と10%パラジウム−炭素(6 mg)をメタノール(2 ml)溶液を、水素雰囲気下、室温で1日攪拌した。パラジウム触媒を濾別し、濾液を減圧濃縮した。残渣を分取用薄層クロマトグラフィー(NHシリカゲル クロロホルム:メタノール=20:1)で精製後、塩化水素で処理し、化合物B(22 mg, 68%)を粉末として得た。
MS: 281 [M+H]+, APCI
【0095】
実施例135
実施例22の化合物は以下の手法によって好収率で得ることができた。


(1)化合物A(1.50 g, 5.14 mmol)の塩化メチレン(20 ml)溶液に55%ヨウ化水素水溶液(15 ml, 107 mmol)を、アルゴン雰囲気下、0℃で15分以上かけて滴下した。滴下後、反応液を同温で30分間攪拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と10%亜硫酸ナトリウム水溶液を続け様に加えた。反応液をクロロホルムで抽出し、有機層を芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10→80:20)で精製することにより、化合物Aと化合物Bの混合物(1.16 g,モル比B:A = 87:13)を粉末として得た。
(2)得られた化合物Aと化合物Bの混合物(1.16 g,モル比B:A = 87:13)、ジフルオロ(フルオロスルホニル)酢酸メチル(775 μl, 6.09 mmol)、及び臭化(I)銅(87 mg, 0.61 mmol)をN−メチルピペリドン(30 ml)中で、アルゴン雰囲気下120℃で3時間攪拌した。反応液を冷却した後、酢酸エチルを加え、有機層を水、及び飽和食塩水で洗浄し、芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=90:10)で精製することにより、化合物C(0.744 g, 2工程で収率44%)を粉末として得た。
MS: 326 [M+H]+, APCI (MeOH)
(3)化合物C(0.449 g, 1.38 mmol)を48%臭化水素水溶液(15 ml)に加え、その懸濁液をアルゴン雰囲気下8時間加熱還流した。反応液を冷却した後、ジエチルエーテルを加え、有機層より2M水酸化ナトリウム水溶液で抽出した。水層に36%塩酸を加えてpHを1に調節した後、その水層をクロロホルム−メタノール(9:1)で抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮することにより、化合物D(0.478 g, 100%)を固体として得た。
MS: 343 [M-H]-, ESI (MeOH)
(4)化合物D(80 mg, 0.232 mmol)のクロロホルム(5.0 ml)懸濁液に塩化オキザリル(61 μl, 0.699 mmol)とN,N−ジメチルホルムアミド(1滴)を加え、室温下30分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた酸クロリドのクロロホルム(3.0 ml)懸濁液を0℃で3分間以上かけて28%アンモニア水溶液(3.0 ml, 49 mmol)に滴下した。滴下後反応液を同温で30分間攪拌した。水を加え、反応液をクロロホルム−メタノール(9:1)で抽出した。有機層を芒硝で乾燥し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:1→90:10)で精製することにより、化合物E(45 mg, 57%)を粉末として得た。
MS: 344 [M+H]+, APCI (MeOH)
【0096】
参考例1〜4
本明細書において記載した方法及び実施例、ならびに公知文献に記載された方法に準じて、以下の化合物を合成中間体として得た。

【0097】
試験例1
〔ウサギ摘出膀胱標本における弛緩作用〕
ウサギ(体重2.0kg〜3.5kg)から摘出した膀胱を直ちに氷冷したクレブス栄養液(118mM NaCl、4.7mM KCl、2.55mM CaCl2、1.18mM MgSO4、1.18mM KH2PO4、24.88mM NaHCO3及び11.1mM グルコースを含有する)に浸漬し、周囲の結合組織を除去した。膀胱は内腔の膜状組織を除いた後、尿路に対して縦走する方向に幅3〜4 mmに切断し、縦走筋方向に全長約5 mmの条片とした。
オルガンバスに、37℃に加温した95%O2-5%CO2の混合ガスを十分に通気したクレブス栄養液を満たし、標本の上下端に綿糸を結び付け、一方をオルガンバス下端に、もう一方をストレインゲージトランスデューサーに固定した。等尺性に標本から発生する張力を測定し、ペンレコーダー上に連続的に記録した。標本は静止張力が2.0 gとなるように伸長した。静止張力が安定した時点で、オルガンバス内にカリウムイオンの濃度が30 mMとなるようにKCl溶液を添加し、標本を収縮させた。
安定した収縮を示した標本に、被検薬物は公比10で累積的にオルガンバスに添加し、用量−反応曲線を得た。薬物の添加開始直前の発生張力を0%弛緩、累積添加終了後、栄養液中に10-4Mパパベリンを添加した際の発生張力を100%弛緩として、薬物添加によるそれぞれの標本の弛緩率を百分率で示し、被験薬の作用は弛緩率50%となる用量(IC50)(μM)として表し、実施例化合物のIC50値範囲(μM)を表1に示した。なお、A、BおよびCの範囲は以下の通りである。3μM≧C>1μM≧B>0.5μM≧A
【0098】
【表1】

【0099】
試験例2
〔ウレタン麻酔ラットのSP誘発律動性収縮に対する作用〕
実験には、体重200-300gのSD系雌性ラット(9-12週齢)を使用した。ウレタン麻酔後(1.2 g/kg, 皮下投与)、自発呼吸下にて両輸尿管および外尿道口より膀胱内にカニューレを挿入した。他端は三方活栓を介して圧トランスデューサーおよびインフュ−ジョンポンプに連結した。さらに頚部から血圧測定用カニューレを左頚動脈に挿入した。薬液の静脈内投与用に左大腿静脈に、さらにSubstance Pの持続注入用に右大腿静脈にそれぞれカニューレを挿入した。血圧、心拍数および膀胱内圧が安定した後、膀胱用カニューレを介して約0.6mlの生理食塩水を負荷した。約10分後に微量注入器を用いてSubstance Pの静脈内への持続注入 (0.33μg/kg/min)を開始した。必要に応じて膀胱内の生理食塩水の量を増減して安定した律動性収縮を誘導した。膀胱内圧、血圧、心拍数の変化は連続的にレコーダーに記録した。一定の収縮の発現が約15分程度持続することを確認した後、0.5 % Tween 80水溶液に縣濁させた試験化合物を静脈内投与用カニューレを介して投与した。評価項目は律動性膀胱収縮の抑制時間及び膀胱収縮力とし、試験化合物投与後35分まで観察した。
【0100】
その結果、本発明の有効成分化合物は膀胱収縮力には影響せずに律動性膀胱収縮の発現を抑制した。また薬物0.25 mg/kg静脈内投与時に律動性収縮の発現を100%抑制した時間(分)を表2に示した。
【0101】
【表2】

【0102】
また高コンダクタンス型カルシウム感受性Kチャネルの特異的阻害剤であるイベリオトキシン(0.15mg/kg、静脈投与)の前投与により、本発明化合物の律動性膀胱収縮発現抑制作用は減弱した。よって本発明の二環化合物は、高コンダクタンス型カルシウム感受性Kチャネル開口作用を介した頻尿、尿失禁等の予防・治療薬として有用であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の二環化合物は、優れた高コンダクタンス型カルシウム感受性Kチャネル開口作用を有することから、頻尿、尿失禁、喘息、COPD等の予防、軽減及び/又は治療薬として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:

[式中、環Qはピリジンまたはピリミジンを表す。
環Aはベンゼンまたは複素芳香環を表す。
Gは

またはアルキル、アラルキル及びシクロアルキルからそれぞれ選ばれる1若しくは2の置換基によって置換されていてもよいアミノを表す。
環Bはベンゼン、複素環、シクロアルカンまたはシクロアルケンを表す。
は下式から選ばれる基を表す。

およびRは同一または異なって、それぞれシアノ、ニトロ、水酸基、アルコキシ、ハロゲン、カルボキシ、アルコキシカルボニル、置換されていてもよいカルバモイル、置換されていてもよいアミノまたは置換されていてもよいアルキルを表す。但し、mが2の時、2つのRは同一または異なっていてもよく、nが2の時、2つのRは同一または異なっていてもよい。
mおよびnは、同一または異なって、それぞれ0、1または2を表す。
は、水素原子、ハロゲン、シアノ、アルコキシ、水酸基、カルバモイル、置換されていてもよいアミノ、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリールオキシ、シクロアルキルオキシまたは置換されていてもよい複素環式基を表す。
およびRは同一または異なって、それぞれ水素原子、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル(該シクロアルキルはアリールと縮合されていてもよい)、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよい複素環式基、もしくはアルコキシカルボニルを表すか、またはRおよびRが一緒になって、それらが結合している原子と共に、置換されていてもよい複素環を形成してもよい。但し、4‐アミノ−5‐(4−シアノフェニル)ピリミジンを除く。]
で表される二環化合物またはその薬学上許容される塩からなる医薬。
【請求項2】
式1a:

[式中、環Q、環A、環B、R、R、R、R、mおよびnは、請求項1における意義と同義である。]
で表される請求項1記載の医薬。
【請求項3】
環Qがピリジンである請求項1または2記載の医薬。
【請求項4】
式1b:

[式中、XおよびYは一方が窒素原子を表し、他方がメチンを表す。
環A、環B、R、R、R、R、mおよびnは、請求項1における意義と同義である。]
で表される請求項1記載の医薬。
【請求項5】
環Aが5又は6員環である請求項1〜4のいずれか記載の医薬。
【請求項6】
環Aがベンゼン、ピリジン、ピリミジン、またはチオフェンである請求項1〜4のいずれか記載の医薬。
【請求項7】
環Aがベンゼンである請求項1〜4のいずれか記載の医薬。
【請求項8】
環Aが6員環であり、且つRが環Qに対してパラ位に置換している請求項1〜7のいずれか記載の医薬。
【請求項9】
環Bがベンゼン、ピリジン、ピリミジン、チオフェン、ピペリジン、モルホリン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、ピロリジンまたはピロールである請求項1〜8のいずれか記載の医薬。
【請求項10】
が下式から選ばれる基である請求項1〜9のいずれか記載の医薬。

【請求項11】
が水素原子、置換されていてもよいアルキル(該置換アルキルの置換基が下式から選ばれる1〜3個の基である)、置換されていてもよいシクロアルキル(該シクロアルキルはアリールと縮合していてもよい)、置換されていてもよいアリール、または置換されていてもよい複素環式基であり、Rが水素原子、アルコキシカルボニル、または水酸基もしくはアルコキシで置換されてもよいアルキルであるか、あるいはRおよびRが一緒になって、それらが結合している原子と共に、置換されていてもよい複素環を形成してもよい請求項10記載の医薬。

[式中、Rは(1)水素原子、(2)置換されていてもよいアリールもしくは置換されていてもよい複素環式基で置換されていてもよいアルキル、(3)ヒドロキシアルキル、(4)アルコキシアルキルまたは(5)置換されていてもよい複素環式基を表す。
およびRは同一または異なって、それぞれ(1)水素原子、(2)置換されていてもよいアリールもしくは置換されていてもよい複素環式基で置換されていてもよいアルキル、(3)ヒドロキシアルキル、(4)アルコキシアルキル、(5)アルコキシカルボニル、(6)置換されていてもよい複素環式基または(7)置換されていてもよいアリールを表すか、または(8)RおよびRが一緒になって、それらが結合している原子と共に、置換されていてもよい複素環を形成してもよい。
10およびR11は、同一または異なって、それぞれ(1)水素原子、(2)置換されていてもよいアリールもしくは置換されていてもよい複素環式基で置換されていてもよいアルキル、(3)ヒドロキシアルキル、(4)アルコキシアルキル、(5)アルカノイル、(6)アルキルスルホニル、(7)アルコキシカルボニルまたは(8)置換されていてもよい複素環式基を表す。]
【請求項12】
の置換アルキルの置換基が下式から選ばれる1〜3個の基である請求項11記載の医薬。

[式中、R、R、R、R10およびR11は請求項11における意義と同義である。]
【請求項13】
の置換アルキルの置換基が下式から選ばれる1〜3個の基である請求項11記載の医薬。

[式中、R、R、R、R10およびR11は請求項11における意義と同義である。]
【請求項14】
環Qがピリミジンであり、Rが下式から選ばれる基である請求項1〜13のいずれか記載の医薬。

[式中、RおよびRは請求項1における意義と同義であり、R51は下式から選ばれる1〜3個の基で置換されたアルキルを表す。

[式中、R、R、R、R10およびR11は請求項11における意義と同義である。]
【請求項15】
mおよびnが同一または異なって、それぞれ0または1である請求項1〜14のいずれか記載の医薬。
【請求項16】
およびRが同一または異なって、それぞれシアノ、水酸基、アルコキシ、ハロゲンまたは置換されていてもよいアルキルである請求項1〜15のいずれか記載の医薬。
【請求項17】
が水素原子、ハロゲン、または置換されていてもよいアルキルである請求項1〜16のいずれか記載の医薬。
【請求項18】
高コンダクタンス型カルシウム感受性Kチャネル開口薬である請求項1〜17のいずれか記載の医薬。
【請求項19】
頻尿、尿失禁、喘息または慢性閉塞性肺疾患の予防および/または治療剤である請求項1〜17のいずれか記載の医薬。
【請求項20】
頻尿、尿失禁または慢性閉塞性肺疾患の予防および/または治療剤である請求項19記載の医薬。

【公開番号】特開2007−176933(P2007−176933A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320941(P2006−320941)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000002956)田辺製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】