半導体ウエハの処理方法及び処理装置
【課題】プラズマ処理の、特にプラズマエッチング処理において、被処理層の実際の厚さを正確に測定することのできる被処理材の処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】真空処理室内に配置された半導体ウエハ表面の膜についてこの真空処理室内に形成したプラズマを用いて処理する半導体ウエハの処理方法であって、前記処理中に前記半導体ウエハ表面から得られる複数の波長の干渉光を受け前記複数の波長の各々の前記干渉光の強度の微分値を検出するステップと、この検出された前記複数の波長の干渉光のうち第1の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲を求めるステップと、前記複数の波長の干渉光のうち第2の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲から前記膜の厚さを判定するステップとを備えた。
【解決手段】真空処理室内に配置された半導体ウエハ表面の膜についてこの真空処理室内に形成したプラズマを用いて処理する半導体ウエハの処理方法であって、前記処理中に前記半導体ウエハ表面から得られる複数の波長の干渉光を受け前記複数の波長の各々の前記干渉光の強度の微分値を検出するステップと、この検出された前記複数の波長の干渉光のうち第1の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲を求めるステップと、前記複数の波長の干渉光のうち第2の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲から前記膜の厚さを判定するステップとを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の基板状の被処理材の処理方法または処理装置に関し、特に、プラズマ放電を用いた処理により基板上の膜厚を正確に測定し所望の厚さとするのに適した処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハの製造では、ウェハの表面上に形成された様々な材料の層および特に誘電材料の層の除去またはパターン形成にドライエッチングが広く使用されている。プロセス・パラメータの制御にとって最も重要なことは、このような層の加工中に所望の厚さでエッチングを停止するためのエッチング終点を正確に決定することである。
【0003】
半導体ウェハのドライエッチング処理中において、プラズマ光における特定波長の発光強度が、特定の膜のエッチング進行に伴って変化する。そこで、半導体ウェハのエッチング終点検出方法の1つとして、従来から、ドライエッチング処理中にプラズマからの特定波長の発光強度の変化を検出し、この検出結果に基づいて特定の膜のエッチング終点を検出する方法がある。その際、ノイズによる検出波形のふらつきに基づく誤検出を防ぐ必要がある。発光強度の変化を精度良く検出するための方法としては、例えば、特開昭61−53728号公報,特開昭63−200533号公報等が知られている。特開昭61−
53728号公報では移動平均法により、また、特開昭63−200533号公報では1次の最小2乗法による近似処理によりノイズの低減を行っている。
【0004】
近年の半導体の微細化,高集積化に伴い開口率(半導体ウェハの被エッチング面積)が小さくなっており、光センサーから光検出器に取り込まれる特定波長の発光強度が微弱になっている。その結果、光検出器からのサンプリング信号のレベルが小さくなり、終点判定部は、光検出器からのサンプリング信号に基づいてエッチングの終点を確実に検出することが困難になっている。
【0005】
また、エッチングの終点を検出し処理を停止させる際、実際には、誘電層の残りの厚さが所定値と等しいことが重要である。従来のプロセスでは、それぞれの層のエッチング速度が一定であるという前提に基づく時間厚さ制御技法を使用して、全体のプロセスを監視している。エッチング速度の値は、例えば、予めサンプルウェハを処理して求める。この方法では、時間監視法により、所定のエッチング膜厚に対応する時間が経過すると同時にエッチング・プロセスが停止する。
【0006】
しかし、実際の膜、例えばLPCVD(low pressure chemical vapor deposition)技法により形成されたSiO2 層は、厚さの再現性が低いことが知られている。LPCVD中のプロセス変動による厚さの許容誤差はSiO2 層の初期厚の約10%に相当する。したがって、時間監視による方法は、シリコン基板上に残るSiO2 層の実際の最終厚さを正確に測定することはできない。そして、残っている層の実際の厚さは、最終的に標準的な分光干渉計を用いた技法により測定され、過剰エッチングされていると判明した場合は、そのウェハを不合格として廃棄することになる。
【0007】
また、絶縁膜エッチング装置では、エッチングを繰り返すにつれてエッチング速度が低下するなどの経時的な変化が知られている。場合によっては、エッチングが途中でストップしてしまう場合もあり、その解決は必須である。それに加えて、エッチング速度の経時的な変動をモニターしておくこともプロセス安定稼動のためには重要であるが、従来の方法では、単に終点判定の時間モニターのみであり、エッチング速度の経時的な変化や変動に対処する適切な方法がなかった。しかも、エッチング時間が10秒程度と短い場合の終点判定は、判定準備時間を短くする終点判定方法としなければならないことと、判定時間の刻みも十分短くする必要があるが、必ずしも十分ではない。さらに、絶縁膜では、被エッチング面積が1%以下の場合が多く、エッチングにともなって発生する反応生成物からのプラズマ発光強度変化が小さい。したがって、僅かな変化も検出することのできる終点判定システムが必要になるが、実用的で安価なシステムは見当たらない。
【0008】
一方、半導体ウェハのエッチング終点検出方法の他の方法として、特開平5−179467号公報,特開平8−274082号公報,特開2000−97648公報,特開2000−
106356公報等に開示された干渉計を使用する方法も知られている。この干渉計使用法では、レーザから放出された単色放射線が異種材の積層構造を含むウェハに垂直入射角で当てられる。例えば、Si3N4層の上にSiO2 層積層が積層されているものにおいて、SiO2 層の上面で反射した放射光と、SiO2 層とSi3N4層との間に形成された境界面で反射した放射光により、干渉じまが形成される。反射した放射光は適当な検出器に照射され、これが、エッチング中のSiO2 層の厚さによって強さが変化する信号を生成する。エッチングプロセス中、SiO2 層の上面が露出されると、ただちにエッチング速度と現行エッチング厚を連続して正確に監視することができる。レーザの代わりに、プラズマによって放出される所定の放射光を分光計によって計測する方法も知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
干渉計を使用する方法によれば、積層構造の境界面の位置が正確に測定される。しかし、ある層の上面で反射した放射光と境界面で反射した反射した放射光により干渉じまが形成されるためには、処理が境界面まで到達した場合であり、それ以前の時点では測定できない。したがって、実際のエッチングプロセスにおいて、放射光の干渉じまから厚みをオンラインで測定し、処理が境界面まで到達したとしてプロセス制御にフィードバックしたとしても、被処理層は過剰エッチングされざるを得ない。過剰エッチングを避けるためには、前記時間監視法との併用等が必要になるが、これは膜厚値などについての前提が必要であり前記した理由により、近年の半導体の微細化要求のもとで適正なエッチングを行うのは困難である。
【0010】
上記した各従来文献の内容を要約すると以下のようになる。特開平5−179467号公報においては、赤,緑,青の3種類のカラーフィルタを用いて、干渉光(プラズマ光)を検出し、エッチングの終点検出を行う。
【0011】
また、特開平8−274082号公報(USP 5658418)では、2つの波長の干渉波形の時間変化とその微分波形を用いて、干渉波形の極値(波形の最大,最小:微分波形の零通過点)をカウントする。カウントが所定値に達するまでの時間を計測することによりエッチング速度を算出し、算出したエッチング速度に基づき所定の膜厚に達する迄の残りのエッチング時間を求め、それに基づきエッチングプロセスの停止を行う。
【0012】
また、特開2000−97648公報では、処理前の干渉光の光強度パターン(波長をパラメータとする)と処理後または処理中の干渉光の光強度パターンとの差の波形(波長をパラメータとする)を求め、その差波形とデータベース化されている差波形との比較により段差(膜厚)を測定する。
【0013】
また、特開2000−106356公報は回転塗布装置に関し、多波長にわたる干渉光の時間変化を測定して膜厚を求める。
【0014】
また、USP6081334では、干渉光の時間変化の特徴的な振る舞いを測定より求めデータベース化し、そのデータベースと測定される干渉波形との比較によりエッチングの終了判定を行う。この判定により、エッチングプロセス条件の変更を促す。
【0015】
以上の公知例では、以下の問題点が生じる。(1)エッチングされる材料の薄膜化に伴い、干渉光強度が小さくなり、また、干渉縞の数が少なくなる。(2)マスク材(例えば、レジスト)を用いたエッチングを行うと、エッチングされる材料からの干渉光にマスク材からの干渉光が重畳される。(3)プロセス中にエッチング速度が変化すると干渉波形が歪む。
【0016】
以上の点から被処理層、特に、プラズマエッチング処理における被処理層の厚さを、要求される測定精度で正確に測定,制御することは困難であった。
【0017】
本発明の目的は、プラズマ処理の、特にプラズマエッチング処理において、被処理層の実際の厚さを正確に測定することのできる被処理材の処理方法及び装置を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、半導体デバイスの各層をオンラインで所定厚さに高精度に制御できるエッチング・プロセスを提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、被処理層の実際の厚さで正確に測定することのできる被処理材の膜厚測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願発明者等は上記の従来技術の問題点を解消すべく、また上記本願発明の目的を達成すべく、複数の波長の各々についてその干渉波形の時間微分の波形を求め、それに基づき、干渉波形の微分値の波長依存性を示すパターン、(即ち、波長をパラメータとする干渉波形の微分値のパターン)を求め、そのパターンを用いて膜厚の測定を行うようにしたものである。
【0021】
本願発明において、干渉波形の時間微分値の波長依存性を示すパターンを用いる理由は以下の通りである。
【0022】
エッチング中のin−situ(リアルタイム)測定を前提にした計測であるため、被処理膜の膜厚は時々刻々変化している。従って、干渉波形の時間微分処理が可能である。更に、この微分処理により干渉波形のノイズの除去を行える。また、エッチングされる材料(例えば、ポリシリコン)の屈折率が波長に対し大きく変化する。従って、多波長にわたる干渉光計測によりその物質の特徴的な変化(膜厚依存)を検出可能となる。
【0023】
より具体的には、上記目的は、真空処理室内に配置された半導体ウエハ表面の膜についてこの真空処理室内に形成したプラズマを用いて処理する半導体ウエハの処理方法であって、前記処理中に前記半導体ウエハ表面から得られる複数の波長の干渉光を受け前記複数の波長の各々の前記干渉光の強度の微分値を検出するステップと、この検出された前記複数の波長の干渉光のうち第1の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲を求めるステップと、前記複数の波長の干渉光のうち第2の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲から前記膜の厚さを判定するステップとを備えた半導体ウエハの処理方法により達成される。
【0024】
また、真空容器内の試料台上に配置された処理対象の半導体ウエハ表面の膜についてこの真空容器内に形成されたプラズマを用いて所定の処理を行う半導体ウエハの処理装置であって、前記真空容器内の前記プラズマに面してこの真空容器内の光が透過するポートと、前記処理中に前記半導体ウエハ表面からの複数の波長の干渉光を前記ポートを介して受光する測定装置を有し、この測定装置において受光した前記複数の波長の干渉光のそれぞれの強度の微分値を検出し、この検出された前記複数の波長の干渉光のうち第1の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲を求めた後、前記複数の波長の干渉光のうち第2の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲から前記膜の厚さを判定する機能を備えた半導体ウエハの処理装置により達成される。
【0025】
さらには、前記検出される処理の量に基づいて前記半導体ウエハの前記膜の処理を調節することにより達成される。さらにまた、前記第1または第2の波長の干渉光の強度の微分値が零点を通過する回数を用いて前記膜の厚さを判定することにより達成される。
【0026】
さらにまた、前記膜の厚さの範囲を第1の波長の干渉光の強度の1次微分値が零点を通過するパターンを用いて求め、前記膜の厚さを前記第2の波長の干渉光の強度の2次微分値が零点を通過するパターンを用いて判定することにより達成される。
【0027】
なお、本願発明においては、以下のような態様が考えられる。先ず、被処理材であるエッチングされる材料の膜厚が厚い場合は、干渉縞の周期性が顕著になる。一方、被処理材であるエッチングされる材料の膜厚が薄い場合は、干渉縞の周期性が現れなくなる。
【0028】
本発明によれば、プラズマ処理の、特にプラズマエッチング処理において、被処理層の実際の厚さを正確に測定することのできる半導体ウエハの試料の処理方法を提供することができる。
【0029】
また、半導体デバイスの各層をオンラインで所定厚さに高精度に制御できるエッチング・プロセスを提供することができる。さらに、被処理層の実際の厚さをオンラインで正確に測定することのできる被処理材の膜厚測定装置を提供することができる。
【0030】
本発明によれば、プラズマ処理の、特にプラズマエッチング処理において、被処理層の実際の厚さをオンラインで正確に測定することのできる被処理材の膜厚測定方法及びそれを用いた被処理材の試料の処理方法を提供することができる。
【0031】
また、半導体デバイスの各層をオンラインで所定厚さに高精度に制御できるエッチング・プロセスを提供することができる。さらに、被処理層の実際の厚さをオンラインで正確に測定することのできる被処理材の膜厚測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に本願発明の各実施の形態を図面を用いて説明する。
【実施例】
【0033】
以下の各実施例において、第1実施例と同様の機能を有するものは第1実施例と同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0034】
以下、図1〜図4で本発明の第1の実施例を説明する。この実施例は、半導体ウェハ等の被処理材をプラズマエッチングする際に、サンプル用の被処理材の所定膜厚に対する、干渉光の微分値の波長依存性を示す(波長をパラメータとする)標準パターンを設定する。次に、サンプル用被処理材と同一構成の被処理材についての実際の処理における干渉光の複数波長の強度をそれぞれ測定し、該測定された干渉光強度の微分値の波長依存性を示す(波長をパラメータとする)実パターンを求め、微分値の標準パターンと実パターンとを比較して、被処理材の膜厚を求めるものである。
【0035】
まず、図1を用いて、本発明の膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を説明する。エッチング装置1は真空容器2を備えており、その内部に導入されたエッチングガスがマイクロ波電力等により分解しプラズマとなり、このプラズマ3により試料台5上の半導体ウェハ等の被処理材4がエッチングされる。膜厚測定装置10の分光器11が有する測定用光源(例えばハロゲン光源)からの多波長の放射光が、光ファイバー8により真空容器2内に導かれ、被処理材4に垂直入射角で当てられる。被処理材4はここではポリシリコン層を含む、放射光はポリシリコン層の上面で反射した放射光と、ポリシリコン層と下地層との間に形成された境界面で反射した放射光により干渉光が形成される。干渉光は光ファイバー8を介して膜厚測定装置10の分光器11に導かれ、その状態に基づき膜厚測定や終点判定の処理を行う。
【0036】
膜厚測定装置10は、分光器11,第1デジタルフィルタ回路12,微分器13,第2デジタルフィルタ回路14,微分波形パターンデータベース15,微分波形比較器16及び比較器の結果を表示する表示器17を備えている。なお、図1は膜厚測定装置10の機能的な構成を示したものであり、表示器17と分光器11を除いた膜厚測定装置10の実際の構成は、CPUや、膜厚測定処理プログラムや干渉光の微分波形パターンデータベース等の各種データを保持したROMや測定データ保持用のRAMおよび外部記憶装置等からなる記憶装置,データの入出力装置、及び通信制御装置により構成することができる。
【0037】
分光器11が取り込んだ多波長の発光強度は、それぞれ発光強度に応じた電流検出信号となり電圧信号へ変換される。分光器11によりサンプリング信号として出力された複数の特定波長の信号は、時系列データyijとしてRAM等の記憶装置に収納される。この時系列データyijは次に、第1デジタルフィルタ回路12により平滑化処理され平滑化時系列データYijとしてRAM等の記憶装置に収納される。この平滑化時系列データ
Yijを基に、微分器13により微係数値(1次微分値あるいは2次微分値9の時系列データdijが算出され、RAM等の記憶装置に収納される。微係数値の時系列データdijは、第2デジタルフィルタ回路14により、平滑化処理され平滑化微係数時系列データ
DijとしてRAM等の記憶装置に収納される。そして、この平滑化微係数時系列データDijから干渉光強度の微分値の波長依存性を示す(波長をパラメータとする)実パターンが求められる。
【0038】
一方、微分波形パターンデータベース15には、膜厚測定の対象となる被処理材の材料、例えばポリシリコンに対応した前記各波長に対応する干渉光強度の微分波形パターンデータ値Pjが予め設定されている。微分波形比較器16において、実パターンと微分波形パターンデータ値Pjが比較され被処理材の膜厚が求められる。その結果は、結果表示器17により表示される。
【0039】
なお、実施例では分光器11が1個だけの場合を示してあるが、被処理材の面内を広く測定して制御したい場合には、複数の分光器11を設ければよい。
【0040】
図2(a),図2(b)に、エッチング処理途中の被処理材4の縦断面形状及び干渉光の波長実パターンの例を示す。図2(a)において、被処理材(ウェハ)4は、基板40の上に下地材41,その上に被エッチング材42,マスク材43が積層されている。例えばゲート膜のエッチングを行う場合、被処理材4の基板はSiO2 の絶縁膜であり、ソース,ドレーン間に対応して多結晶の下地材の上にポリシリコンのゲート層が形成される。
【0041】
分光器11から放出された多波長の光は、被エッチング材と下地材の積層構造を含む被処理材4に垂直入射角で当てられる。マスク材43が無くエッチング処理された部分へ導かれた放射光9は、被エッチング材42の上面で反射した放射光9Aと、被エッチング材42と下地材41との間に形成された境界面で反射した放射光9Bにより干渉光が形成される。放射光9Aは、エッチング処理の進行に伴って反射する位置が、A,B,Cのように変化する。反射した光は分光器11に導かれ、エッチング中の被エッチング材42の層の厚さによって強さが変化する信号を生成する。
【0042】
図2(b)に示すように、干渉光の生波形(多波長)の平滑化時系列データYijは、境界面からの距離が零近くまでは比較的大きな値を保ち、零近くで急速に低減する。なお、境界面からの距離が零の点より右側はオーバーエッチング処理を示している。この平滑化時系列データYijを基に、1次微分値あるいは2次微分値の微係数値時系列データdijが算出される。図2(b)には波長475nmの干渉光の1次微分値及び2次微分値を示している。1次微分値及び2次微分値は、境界面からの距離がある範囲内の複数箇所で、零値を横切っている。以下、この零値を横切る点を零通過点と呼ぶ。
【0043】
図2(b)から明らかなように、零通過点は境界面からの距離、換言すると膜厚が比較的大きな値でも現れる。これは、生波形が境界面付近に達するまで値の変動が少なく零近くで急速に低減するのと比べると、大きな相違である。本発明は、この事実に着目して、膜厚が比較的大きな値の状態でも膜厚を正確に測定出来るようにしたことに特徴がある。また、プラズマの出力が低下しても、干渉光の1次微分値及び2次微分値は大きな値を維持しているため、正確な膜厚測定が可能である。
【0044】
図3(a),図3(b)に、被処理材(ポリシリコン)の上記図2(a)のA,B,Cに示す所定膜厚に対する干渉光の微分値の、波長をパラメータとする(波長依存性を示す)標準パターンを、各膜厚(境界面からの距離)に対応する干渉光の微係数値時系列データdijのパターンとして示す。図3(a)は、干渉光の1次微分波形パターンデータを示し、図3(b)は同じく2次微分波形パターンデータを示す。図中のA,B,Cは、図2(a)のA(=30nm),B(=20nm),C(=10nm)の各膜厚における微分波形パターンデータを示している。
【0045】
図3(a),図3(b)から明らかなように、干渉光の1次微分波形パターンや2次微分波形パターンは、被処理材の材料及び膜厚毎に特有のパターンになっており、また、特定の波長において、零通過点すなわち1次微分値や2次微分値が零になることがわかる。例えば、膜厚Cでは、波長500nmが零通過点となっている。被処理材の材料が異なるとこれらのパターンも変わってくるので、処理に必要な種々の材料及び膜厚範囲について、予め実験などによりデータを求め、1次微分波形パターンや2次微分波形パターンとして記録装置に保持しておくのが良い。
【0046】
次に、図4のフローチャートにより、図1の膜厚測定装置10でエッチング処理を行う際に、被処理材の膜厚を求める手順について説明する。
【0047】
最初に、目標膜厚値と膜厚パターンデータベースより波長域(少なくとも3個の波長域)の抽出された微分パターンPiと判定値σ0の設定を行う(ステップ400)。すなわち、予め微分波形パターンデータベース15に保持されている、図3(a),図3(b)に示すような複数波長についての微分値の標準パターンの中から、被処理材の処理条件に応じて必要とされる膜厚に対応した少なくとも3個の標準パターンを設定する。
【0048】
次のステップにおいて干渉光のサンプリング(例えば0.25〜0.4秒毎に)を開始する(ステップ402)。すなわち、エッチング処理開始に伴い、サンプリング開始命令が出される。エッチングの進行に従って変化する多波長の発光強度が、光検出器により発光強度に応じた電圧の光検出信号として検出される。分光器11の光検出信号はデジタル変換され、サンプリング信号yi,jを取得する。
【0049】
次に、分光器からの多波長出力信号yi,jを第1段目のデジタルフィルタ12により平滑化し、時系列データYi,jを算出する(ステップ404)。すなわち、第1段目のデジタルフィルタによりノイズを低減し、平滑化時系列データyiを求める。
【0050】
次に、S−G法により、微係数di,jを算出する(ステップ406)。すなわち、微分処理(S−G法)により信号波形の係数(1次または2次)diを求める。さらに、第2段目のデジタルフィルタ14により平滑化微係数時系列データDi,jを算出する(ステップ408)。そして、σ=Σ(Di,j−pj)2 値の算出を行う(ステップ410)。次に、微分波形比較器16において、σ≦σ0の判定を行い(ステップ412)、σ≦σ0の場合、被処理材の膜厚が所定値になったものとしてその結果を表示器17に表示する。σ≦σ0でない場合、ステップ404に戻る。最後に、サンプリング終了の設定を行う(ステップ414)。
【0051】
ここで、平滑化微係数時系列データDiの算出について説明する。デジタルフィルタ回路としては、例えば2次バタワース型のローパスフィルタを用いる。2次バタワース型のローパスフィルタにより平滑化時系列データYiは式(1)により求められる。
【0052】
Yi=b1yi+b2yi−1+b3yi−2
−[a2Yi−1+a3Yi−2] ・・・・・・・(1)
ここで、係数b,aは、サンプリング周波数及びカットオフ周波数により数値が異なる。例えば、サンプリング周波数10Hz,カットオフ周波数1Hzの時、a2=−1.143,a3=0.4128,b1=0.067455,b2=0.13491,b3=0.067455となる。
【0053】
2次微係数値の時系列データdiは、微係数演算回路6により5点の時系列データYiの多項式適合平滑化微分法を用いて式(2)から以下のように算出される。
【0054】
j=2
di=ΣwjYi+j ・・・・・・・(2)
j=-2
ここで、w−2=2,w−1=−1,w0=−2,w1=−1,w2=2、である。
【0055】
前記微係数値の時系列データdiを用いて、平滑化微係数時系列データDiはデジタルフィルタ回路(2次バタワース型のローパスフィルタ、但し、デジタルフィルタ回路のa,b係数とは異なっても良い)により式(3)により求められる。
【0056】
Di=b1di+b2di−1+b 3di−2
−[a 2Di−1+a 3Di−2] ・・・・・・・・(3)
このようにして、図1の膜厚測定装置によれば、3(a),図3(b)にA,B,Cとして示したような、複数波長についての微分値の標準パターンを少くとも1つ設定し、被処理材の干渉光の複数波長の強度をそれぞれ測定し、該測定された干渉光強度の各波長の微分値の実パターンを求め、標準パターンと微分値の実パターンとを比較することにより、被処理材の膜厚を求めることができる。例えば、膜厚30nmすなわち図2のAを検出したい場合には、予め、膜厚Aに対応する複数波長についての微分値の標準パターンを設定し、複数の波長において実パターンの標準パターンに対する一致率が判定値σ0以内に達したことにより、被処理材の膜厚が30nmになったことを検出できる。標準パターンとしては、1次微分値パターン,2次微分値パターンのいずれか一方あるいは両方を用いればよい。
【0057】
この実施例によれば、境界面からの距離が例えば30nmと比較的大きい値でも、被処理材の膜厚を正確に測定することができる。
【0058】
次に、本発明の第2実施例を図5〜図7で説明する。この実施例では、予め、所定の膜厚に対応する、複数波長についての微分値の標準パターンを基に、この標準パターンの中の1つの零通過点の波長λ0と一致したこと、及び、他の1つの波長λpにおける微分値の実際の値の標準パターンに対する一致率が判定値σ0以内に達したことの2つの条件により、被処理材の膜厚が所定値になったことを検出できる。
【0059】
図5において、分光器11によりサンプリング信号として出力された2つの特定波長の信号は、時系列データyi,λoとyi,λpとしてRAM等の記憶装置(図示せず)に収納される。これらの時系列データは次に、第1デジタルフィルタ回路12により平滑化処理され平滑化時系列データYi,λoとYi,λpとして記憶装置に収納される。これらの平滑化時系列データYi,λoとYi,λpを基に、微分器13により微係数値(1次微分値あるいは2次微分値)の時系列データdi,λoとdi,λpが算出され、記憶装置に収納される。これらの微係数値の時系列データは、第2デジタルフィルタ回路14により、平滑化処理され平滑化微係数時系列データDi,λoとDi,λpとして記憶装置に収納される。そして、これらの平滑化微係数時系列データDi,λoとDi,λpから干渉光強度の各波長についての微分値の実パターンが求められる。
【0060】
一方、微分波形パターンデータベース15には、予め、標準パターンの中の1つの零通過点の波長λ0と、他の1つの波長λpにおける微分値の標準パターンが設定されている。微分波形比較器16において、これらが比較され被処理材の膜厚が求められる。
【0061】
例えば、膜厚30nmすなわち図2(a)のAを検出したい場合には、図7に示すように、零通過点λ0の波長と、他の波長λp=450nmに対応する1次微分値Ppを設定する。
【0062】
なお、本実施例においても構成要素12−16はCPU,メモリ等を有するコンピュータにより構成して良い。
【0063】
この実施例の動作を図6のフローチャートで説明する。まず、目標膜厚値と膜厚パターンデータベースより零通過波長λoと、少なくとも1つの他の波長λpと、波長λpの微分値Ppと判定値σpの設定を行う(ステップ600)。
【0064】
次に、被処理材の干渉光のサンプリングを開始し(ステップ602)、分光器からの波長λ0とλpの出力信号を第1段目のデジタルフィルタにより平滑化時系列データYi,oとYi,pを算出する(ステップ604)。
【0065】
次に、S−G法により微係数di,oとdi,pを算出する(ステップ606)。さらに、第2段目のデジタルフィルタにより平滑化微係数時系列データDi,oとDi,pを算出する(ステップ608)。さらに、σ=Σ(Di,p−Pp)2 の算出を行う(ステップ
610)。
【0066】
次に、Di−1,o*Di,o≦0 かつσ≦σ0の判定を行う(ステップ612)。
【0067】
Di−1,o*Di,oの符号の正負判定において負であれば真と判定し、かつ、σ≦σ0であれば膜厚判定を終了する(ステップ614)。もし、Di−1,o*Di,oの符号が正、あるいはσ>σ0であればステップ604に戻る。
【0068】
この実施例によれば、2つの特定の波長に着目するだけで、すなわち図7に示す微分値パターンがλ0で零(X軸)を横切って通過したこと及び他の波長λpの微分値Ppが判定値σ0になったことにより、被処理材の膜厚を測定できる。特に、境界面からの距離が例えば30nmと比較的大きい値でも、被処理材の膜厚を正確に測定することができる。
【0069】
本発明の第3の実施例を、図8〜図10で説明する。この実施例では、被処理材の所定膜厚に対する干渉光のなかで、ターゲットとなる波長(ターゲット波長)λT の微分値の零通過パターンPjを設定し、被処理材の実際の干渉光強度の微分値の零通過パターンを求め、零通過の回数nから、被処理材の膜厚を求めるものである。
【0070】
図8において、分光器11によりサンプリング信号として出力されたターゲット波長
λT の信号は、時系列データyi,λT としてRAM等の記憶装置(図示せず)に収納される。この時系列データは次に、第1デジタルフィルタ回路12により平滑化処理され平滑化時系列データYi,λT として記憶装置に収納される。この平滑化時系列データを基に、微分器13により微係数値(1次微分値あるいは2次微分値)の時系列データdi,λT が算出され、記憶装置に収納される。この微係数値の時系列データは、第2デジタルフィルタ回路14により、平滑化処理され平滑化微係数時系列データDi,λT として記憶装置に収納される。一方、微分波形パターンデータベース15には、予め、標準パターンの零通過パターンPjのデータが設定されている。そして、微分波形比較器16において、この平滑化微係数時系列データが微分値の零通過パターンPjと比較され、零通過回数から、被処理材の膜厚を求める。
【0071】
図9に示すように、例えば、ターゲット波長λT の3つの零通過点が、それぞれ膜厚A,B,Cに対応する場合、微分値がこれらの零通過点を通過したことにより、C点の例えば10nmという膜厚を測定することができる。
【0072】
なお、本実施例においても構成要素12−16はCPU,メモリ等を有するコンピュータにより構成して良い。
【0073】
この実施例の動作を図10のフローチャートで説明する。まず、最初に目標膜厚値と膜厚パターンデータベースから、分光器の波長λTと目標零通過回数NT を設定してから
(ステップ1000)、サンプリングを開始する(ステップ1002)。次に、分光器
(波長λT )からの出力信号を第1段目のデジタルフィルタにより平滑化し時系列データYi,λT を算出する(ステップ1004)。次に、S−G法により微係数di,λT を算出する(ステップ1006)。さらに、第2段目デジタルフィルタにより平滑化微係数時系列データDi,λT を算出する(ステップ1008)。
【0074】
次に、(Di−1,λT )*(Di,λT )の値符号の正負判定を行い、負=真により微分係数の零通過を検出する(ステップ1010)。さらに、微分係数の零通過回数を加算(n=n+1)し(ステップ1012)、目標零通過回数NT とnとの比較をする(ステップ1014)。もし、目標零通過回数NT に達していなかったらステップ1004に戻り、また、目標零通過回数NT に達していたら所定の膜厚になったものと判定してサンプリング終了の設定を行う。
【0075】
この実施例では、特定波長λT の微分値波形の零通過パターンPjを設定し、実際のパターンの零通過回数から被処理材の膜厚を求めるものであり、境界面からの距離が比較的大きい値でも、被処理材の膜厚を正確に測定することができる。
【0076】
次に、本発明による膜厚測定方法の第4の実施例を図11〜図14で説明する。この実施例では、被処理材の干渉光における特定の波長を、ガイド波長λG 及びターゲット波長λT として選定し、ガイド波長λG の微分値の零通過パターンから、被処理材の膜厚範囲を求め、この膜厚範囲にある被処理材の膜厚を、ターゲット波長λT の微分値の零通過パターンから求めるものである。
【0077】
図11において、分光器11によりサンプリング信号として出力された2つの特定波長の信号は、時系列データyi,λG とyi,λT として記憶装置(図示せず)に収納される。これらの時系列データは次に、2個の第1デジタルフィルタ回路12(12A,12B)により平滑化処理され平滑化時系列データYi,λG とYi,λT として記憶装置に収納される。これらの平滑化時系列データを基に、2個の微分器13(13A,13B)により微係数値(1次微分値あるいは2次微分値)の時系列データdi,λG とdi,λT が算出され、記憶装置に収納される。これらの微係数値の時系列データは、2個の第2デジタルフィルタ回路14(14A,14B)により、平滑化処理され平滑化微係数時系列データDi,λG とDi,λT として記憶装置に収納される。一方、微分波形パターンデータベース15には、予め、波長λG ,λT の零通過パターンPjのデータが設定されている。そして、2個の微分波形比較器16(16A,16B)において、これらの平滑化微係数時系列データが微分値の零通過パターンPjと比較され、被処理材の膜厚を求める。
【0078】
なお、本実施例においても構成要素12A,12B〜16A,11BはCPU,メモリ等を有するコンピュータにより構成して良い。
【0079】
ここで、波長λG ,λT の零通過パターンPjのデータの関係について、図12,図
13で説明する。図において、ターゲット波長λT の4つの零通過点が、それぞれ膜厚A,B,C,Dに対応し、ガイド波長λG の3つの零通過点が、それぞれ膜厚a,b,cに対応している。そして、各膜厚a,b,cに対応するガイド波長λG の3つの零通過点と、各目標の膜厚A,B,C,Dすなわちターゲット波長λT の4つの零通過点の、膜厚に対する関係は図13のようになる。
【0080】
従って、例えば、膜厚Dを目標膜厚として測定する場合を考えると、膜厚cに対応するガイド波長λG の零通過点が膜厚Dに対応するターゲット波長λT の零通過点に先行して出現することがわかる。そこで、ガイド波長λG で3つの零通過点が検出され、ターゲット波長λT で4つの零通過点が検出されると、目標膜厚Dになっていることが分かる。
【0081】
この実施例の動作を図14のフローチャートで説明する。まず、目標膜厚値と膜厚パターンデータベースから、分光器のガイド波長λG とターゲット波長λT 、各波長の目標零通過回数NG ,NT を設定する(ステップ1400)。
【0082】
次に、ガイド波長λG の目標零通過回数mを知るために、分光器(波長λG )からの出力信号を第1段目のデジタルフィルタにより平滑化時系列データYi,λG を算出する
(ステップ1402)。さらに、S−G法により微係数di,λG を算出する(ステップ1404)。次に、第2段目のデジタルフィルタにより平滑化微係数時系列データDi,λG を算出する(ステップ1406)。さらに、(Di−1,λG )*(Di,λG )値符号の正負判定(負=真)により微分係数の零通過を検出する(ステップ1410)。そして、零通過を検出したら微分係数の零通過回数を加算(m=m+1)し(ステップ1412)、目標零通過回数NG との比較を行い(ステップ1414)、目標零通過回数mに達したら、次に、ターゲット波長λT の目標零通過回数nを求める処理に進む。
【0083】
ターゲット波長λT の目標零通過回数nを求めるために、まず、分光器(波長λT )からの出力信号を第1段目のデジタルフィルタにより平滑化時系列データYi,λT を算出する(ステップ1416)。次に、S−G法により微係数di,λT を算出する(ステップ1418)。さらに、第2段目のデジタルフィルタにより平滑化微係数時系列データ
Di,λT を算出する(1420)。次に、(Di−1,λT )*(Di,λT )値符号の正負判定(負=真)により微分係数の零通過を検出する(ステップ1422)。そして、零通過を検出したら微分係数の零通過回数を加算(n=n+1)し(ステップ1424)、目標零通過回数NT との比較を行い(ステップ1426)、目標零通過回数nに達したら、目標膜厚になっているので、その結果を記録,出力すると共にサンプリング終了の設定を行う。
【0084】
この実施例では、ガイド波長λG とターゲット波長λT の零通過回数によって膜厚を判定するので、境界面からの距離が比較的大きい値でも、被処理材の膜厚を正確に測定することができる。
【0085】
発明者等の実験によれば、絶縁膜の加工を例にとると、多波長についての1次微分波形パターン,2次微分波形パターンの零通過点は、図15に示すような特性がある。すなわち、膜厚の大きい範囲では、1次微分波形パターン,2次微分波形パターンのいずれにも零通過点が現れる。しかし、膜厚が薄くなると1次微分波形パターンには零通過点が現れなくなる。従って、膜厚の大きい範囲では、1次微分波形パターン,2次微分波形パターンのいずれの波長を、ガイド波長λG あるいはターゲット波長λT にしても良い。しかし、膜厚が薄い範囲では、1次微分波形パターンの波長をガイド波長λG とし、2次微分波形パターンの波長をターゲット波長λT にするのが望ましい。図15の特性を利用して、例えば絶縁膜を加工したい場合には、ガイド波長λG を475nmとし、残りの膜厚が
50nmの場合、ターゲット波長λT は2次微分波形パターンの波長455nm、あるいは1次微分波形パターンの波長475nmとする。残りの膜厚が15nm以下の場合、ターゲット波長λT は、2次微分波形パターンを用いる。残りの膜厚が15nm〜35nmの場合、ターゲット波長λT は1次微分波形パターンのm=1.35nm 〜100nmの場合、1次微分波形パターンのm=2を採用する。
【0086】
以上述べた本発明の膜厚測定装置によれば、半導体デバイスの製造プロセス等における被処理材の膜厚を正確に測定することができる。従って、このシステムを利用して、被処理材のエッチングを高精度に実施する方法を提供することができる。以下、このような半導体デバイスの製造プロセスを説明する。
【0087】
まず、図16は、図1〜図4で説明した本発明の第1の実施例を採用したエッチング装置の構成例である。表示器17の被処理材の膜厚のデータは、プラズマ発生装置20に送られ、真空容器内のプラズマの発生条件を制御するのに利用される。例えば、図17(a)に示すような被処理材に対して、本発明の膜厚測定装置により求めた膜厚すなわち被エッチング材のエッチングの進行状況に応じて、真空容器内のプラズマの発生条件を変更することにより、図17(b)に示すような適切な形状のエッチング処理を行うことが可能になる。
【0088】
なお、本実施例においても構成要素12−16はCPU,メモリ等を有するコンピュータにより構成して良い。
【0089】
以下、エッチング処理の手順について簡単に説明する。最初に、被処理材に関するエッチング処理条件の設定を行う。この中には、エッチング処理される被処理材の各層の膜毎に処理パターンに応じた目標膜厚値と膜厚毎の所定の波長域(少なくとも3個の波長域)の微分パターン抽出Piと判定値σ0が含まれる。次に、被処理材を電極上に搬入し、真空容器を減圧排気する。そして、真空容器内に所定の処理ガスを導入し、プラズマを発生させて被処理材のエッチングを開始する。同時に、干渉光のサンプリングを開始するエッチングの進行に従って変化する多波長の発光強度が、光検出器により発光強度に応じた電圧の光検出信号として検出される。分光器11の光検出信号はデジタル変換され、サンプリング信号yi,jを取得する。次に、分光器からの多波長出力信号yi,jを平滑化し、時系列データYi,jを算出する。次に、微分処理(S−G法)により信号波形の係数
(1次または2次)diを求め、さらに、平滑化微係数時系列データDi,jを算出する。そして、σ=Σ(Di,j−pj)2 値の算出を行うと共にσ≦σ0の判定を行い、σ≦σ0の場合、被処理材の膜厚が所定値になったものとして、エッチング処理を終了し、処理ガスを排気し、被処理材を真空容器から搬出する。
【0090】
例えば、膜厚を図2(a)のC値にしたい場合には、予め、各膜厚A,B,Cに対応する微分値の波長依存性を示す標準パターンを設定し、複数の波長において実パターンの標準パターンに対する一致率が判定値σ0以内に達したことにより、被処理材の残りの膜厚が順次A,Bになったことを検出して処理ガス供給などプラズマによる処理条件を適宜制御しながら処理を進め、膜厚が正確にCとなるように制御してエッチング処理を終了する。
【0091】
場合によっては、所定の膜厚、例えば膜厚Aになったことを検知した状態で一旦エッチング処理を停止し、必要な処理,操作を行った後、エッチング処理を再開するようにしても良い。あるいは、膜厚を連続的に正確に測定しつつ、膜厚に応じてエッチング処理条件を連続的に変える処理を行うようにしても良い。
【0092】
また、本発明の他の実施例の計測方法を採用して同様なプラズマエッチング制御を行っても良い。また、本発明は、プラズマCVD,スパッタ,CMP(chemical mechanical
polishing)或いは熱CVD等の処理にも適用できる。
【0093】
次に、図18は、本発明の第1の実施例を採用したエッチング装置の他の構成例である。表示器17の被処理材の膜厚のデータは制御装置18で処理され、プラズマ発生装置
20,ガス供給装置21,ウエハバイアス電源22に送られ、真空容器内のプラズマの発生条件を制御するのに利用される。例えば、絶縁膜の孔加工のように被エッチング材の膜厚がかなり厚い場合、図19(a),図19(b),図19(c)に示すようにエッチングを2段階の処理に分け、本発明の膜厚測定装置により測定した膜厚すなわち被エッチング材のエッチングの進行状況に応じて図19(b)、真空容器内の各種処理条件を変更することにより、図19(c)に示すように処理速度を早くしてかつ下地材に対するオーバーエッチングのない適切な形状のエッチング処理を行うことが可能になる。この場合も、本発明の他の実施例を採用して同様な制御を行っても良い。
【0094】
なお、本実施例においても構成要素12−16はCPU,メモリ等を有するコンピュータにより構成して良い。
【0095】
なお、以上述べた各実施例は、光源を有する分光器から多波長の放射光を放出し、被処理物からの反射光の干渉光を利用して膜厚を測定するものである。一方、光源を有しない分光器を用いプラズマによって放出される多波長の放射光を光源として利用しても良い。例えば、図20に示すように、プラズマ光による被処理材上の干渉光を上面から観察すべく真空容器2の上部壁に設けたポートから光ファイバーによって干渉光を第1の分光計
11Aに導き、分光器真空容器2の側壁に設けた他のポートから光ファイバーによってプラズマ光の状態を観察すべくこれを第2の分光計11Bに導き、両分光計の光を除算器
19で処理したものを、微分器に導き、以下、既に述べた方法で処理するようにしても良い。尚、分光計11A,11Bは光源を有しない。また、図20においても、構成要素
13,15,16,19はCPU、メモリ等を有するコンピュータにより構成して良い。
【0096】
上記の方法によれば、独立した光源が不要であり、また、プラズマ光が変化しても、常に安定して正確な膜厚の計測が可能である。さらに、被処理の処理枚数が増えることによってプラズマ処理装置が経時変化して処理時間が長くなるのを検知出来るので、メンテナンスの指示を出すこともできる。
【0097】
次に、本発明における膜厚精度を向上する実施例を説明する。実際のエッチング処理では、エッチング処理中にプラズマが変動することがある。そのために、測定される膜厚値の精度が悪くなることが起こる。図21は下地酸化膜2.5nm のポリシリコンエッチング時の膜厚変化を示したもので、●印は本発明のパターン比較により求めた各時刻の膜厚測定値を示す。エッチング初期にポリシリコンの厚みが厚くポリシリコンからの干渉光強度が弱い場合、または、エッチング処理中にプラズマ変動があった場合、膜厚測定値のバラツキがしばしば起こる。このような場合、膜厚精度を向上するために以下の処理を行う。以下の処理は、上記コンピュータのソフトウエアで行う。
【0098】
(1)膜厚算出開始はポリシリコンの厚みが薄く(例えば175nm以下)かつプラズマ変動の少ない時刻T1、例えばエッチング処理開始から30秒経過時から行う。時刻
T1以降は、(2)過去の膜厚測定値を用いて、回帰直線を算出する。(3)その回帰直線からはずれている膜厚測定値はノイズとする(例えば、ノイズとして扱わない膜厚測定値の許容値は±10nmとする)。(4)ノイズを除いた膜厚測定値から回帰直線を再度算出する。(5)その再度算出した回帰直線から現在の膜厚値を算出し、膜厚算出値とする。以下、所定時間経過毎に上記処理(2)から(5)を繰り返し行い各時刻の膜厚算出値を求め、この膜厚算出値が最終目標膜厚値Thfに一致するまで上記処理を行う。なお、膜厚算出値が最終目標膜厚値Thfに達すると、エッチング処理を終了する。
【0099】
次に、本発明におけるエッチング処理状態監視に関する実施例を説明する。上記した各時刻における膜厚算出値のデータ列を上記コンピュータ内のメモリまたは外部記録器に収納すると共に、該収容したデータ列をウェハ処理番号と関連付けてデータベース化する。このデータベースにおいて、エッチング処理終了時間が予定のエッチング処理終了時間に対して例えば±5%を超えた場合、または、エッチング処理中の適当な時間(例えば時刻T2)における膜厚算出値が、該時刻T2での目標膜厚値(図21のTh2)に対して例えば±5%を超えた場合、このウェハ処理番号のエッチング処理が異常であることを示す警告を発する。
【0100】
この方法によれば、膜厚測定値にバラツキがあっても精度よく膜厚を算出でき、目標とする膜厚を正確に判定するエッチング処理が行える。また、エッチング処理の状態監視が行え、ウェハの不良処理枚数を最小限度に抑えることができる。
【0101】
上記の本発明の実施例によれば、プラズマ処理の、特にプラズマエッチング処理において、被処理層の実際の厚さをオンラインで正確に測定することができるという効果がある。
【0102】
また、半導体デバイスの各層をオンラインで所定厚さに高精度に制御できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の一実施例による膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図2】エッチング処理途中の被処理材の縦断面形状及び干渉光の波長実パターンの例を示す図である。
【図3】図2(a),図2(b)のA,B,Cに示す各膜厚(境界面からの距離)に対応する、干渉光の微係数値時系列データの波長をパラメータとする図である。
【図4】図1の膜厚測定装置でエッチング処理を行う際に、被処理材の膜厚を求める手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施例による膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図6】図5の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図7】図5の実施例の動作説明図である。
【図8】本発明の第3の実施例による膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図9】図8の実施例の動作を説明するためのグラフ図である。
【図10】図8の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施例による膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図12】図11の実施例において、エッチング処理される、被処理材の断面形状を示す図である。
【図13】図11の実施例の動作説明図である。
【図14】図11の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図15】図11の実施例の動作説明図である。
【図16】本発明の第5の実施例による膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図17】図16の実施例において、エッチング処理される被処理材の断面形状を示す図である。
【図18】本発明の第6の実施例になる膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図19】図18の実施例において、エッチング処理される、被処理材の断面形状を示す図である。
【図20】本発明の第7の実施例による膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図21】本発明の更に第8の実施例を説明するための、膜厚変化を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1…エッチング装置、2…真空容器、3…プラズマ、4…被処理材、5…試料台、8…光ファイバー、10…膜厚測定装置、11…分光器、12…第1デジタルフィルタ回路、13…微分器、14…第2デジタルフィルタ回路、15…微分波形パターンデータベース、16…微分波形比較器、17…結果表示器、18…制御装置、19…除算器、20…プラズマ発生装置、21…ガス供給装置、22…ウエハバイアス電源。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の基板状の被処理材の処理方法または処理装置に関し、特に、プラズマ放電を用いた処理により基板上の膜厚を正確に測定し所望の厚さとするのに適した処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハの製造では、ウェハの表面上に形成された様々な材料の層および特に誘電材料の層の除去またはパターン形成にドライエッチングが広く使用されている。プロセス・パラメータの制御にとって最も重要なことは、このような層の加工中に所望の厚さでエッチングを停止するためのエッチング終点を正確に決定することである。
【0003】
半導体ウェハのドライエッチング処理中において、プラズマ光における特定波長の発光強度が、特定の膜のエッチング進行に伴って変化する。そこで、半導体ウェハのエッチング終点検出方法の1つとして、従来から、ドライエッチング処理中にプラズマからの特定波長の発光強度の変化を検出し、この検出結果に基づいて特定の膜のエッチング終点を検出する方法がある。その際、ノイズによる検出波形のふらつきに基づく誤検出を防ぐ必要がある。発光強度の変化を精度良く検出するための方法としては、例えば、特開昭61−53728号公報,特開昭63−200533号公報等が知られている。特開昭61−
53728号公報では移動平均法により、また、特開昭63−200533号公報では1次の最小2乗法による近似処理によりノイズの低減を行っている。
【0004】
近年の半導体の微細化,高集積化に伴い開口率(半導体ウェハの被エッチング面積)が小さくなっており、光センサーから光検出器に取り込まれる特定波長の発光強度が微弱になっている。その結果、光検出器からのサンプリング信号のレベルが小さくなり、終点判定部は、光検出器からのサンプリング信号に基づいてエッチングの終点を確実に検出することが困難になっている。
【0005】
また、エッチングの終点を検出し処理を停止させる際、実際には、誘電層の残りの厚さが所定値と等しいことが重要である。従来のプロセスでは、それぞれの層のエッチング速度が一定であるという前提に基づく時間厚さ制御技法を使用して、全体のプロセスを監視している。エッチング速度の値は、例えば、予めサンプルウェハを処理して求める。この方法では、時間監視法により、所定のエッチング膜厚に対応する時間が経過すると同時にエッチング・プロセスが停止する。
【0006】
しかし、実際の膜、例えばLPCVD(low pressure chemical vapor deposition)技法により形成されたSiO2 層は、厚さの再現性が低いことが知られている。LPCVD中のプロセス変動による厚さの許容誤差はSiO2 層の初期厚の約10%に相当する。したがって、時間監視による方法は、シリコン基板上に残るSiO2 層の実際の最終厚さを正確に測定することはできない。そして、残っている層の実際の厚さは、最終的に標準的な分光干渉計を用いた技法により測定され、過剰エッチングされていると判明した場合は、そのウェハを不合格として廃棄することになる。
【0007】
また、絶縁膜エッチング装置では、エッチングを繰り返すにつれてエッチング速度が低下するなどの経時的な変化が知られている。場合によっては、エッチングが途中でストップしてしまう場合もあり、その解決は必須である。それに加えて、エッチング速度の経時的な変動をモニターしておくこともプロセス安定稼動のためには重要であるが、従来の方法では、単に終点判定の時間モニターのみであり、エッチング速度の経時的な変化や変動に対処する適切な方法がなかった。しかも、エッチング時間が10秒程度と短い場合の終点判定は、判定準備時間を短くする終点判定方法としなければならないことと、判定時間の刻みも十分短くする必要があるが、必ずしも十分ではない。さらに、絶縁膜では、被エッチング面積が1%以下の場合が多く、エッチングにともなって発生する反応生成物からのプラズマ発光強度変化が小さい。したがって、僅かな変化も検出することのできる終点判定システムが必要になるが、実用的で安価なシステムは見当たらない。
【0008】
一方、半導体ウェハのエッチング終点検出方法の他の方法として、特開平5−179467号公報,特開平8−274082号公報,特開2000−97648公報,特開2000−
106356公報等に開示された干渉計を使用する方法も知られている。この干渉計使用法では、レーザから放出された単色放射線が異種材の積層構造を含むウェハに垂直入射角で当てられる。例えば、Si3N4層の上にSiO2 層積層が積層されているものにおいて、SiO2 層の上面で反射した放射光と、SiO2 層とSi3N4層との間に形成された境界面で反射した放射光により、干渉じまが形成される。反射した放射光は適当な検出器に照射され、これが、エッチング中のSiO2 層の厚さによって強さが変化する信号を生成する。エッチングプロセス中、SiO2 層の上面が露出されると、ただちにエッチング速度と現行エッチング厚を連続して正確に監視することができる。レーザの代わりに、プラズマによって放出される所定の放射光を分光計によって計測する方法も知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
干渉計を使用する方法によれば、積層構造の境界面の位置が正確に測定される。しかし、ある層の上面で反射した放射光と境界面で反射した反射した放射光により干渉じまが形成されるためには、処理が境界面まで到達した場合であり、それ以前の時点では測定できない。したがって、実際のエッチングプロセスにおいて、放射光の干渉じまから厚みをオンラインで測定し、処理が境界面まで到達したとしてプロセス制御にフィードバックしたとしても、被処理層は過剰エッチングされざるを得ない。過剰エッチングを避けるためには、前記時間監視法との併用等が必要になるが、これは膜厚値などについての前提が必要であり前記した理由により、近年の半導体の微細化要求のもとで適正なエッチングを行うのは困難である。
【0010】
上記した各従来文献の内容を要約すると以下のようになる。特開平5−179467号公報においては、赤,緑,青の3種類のカラーフィルタを用いて、干渉光(プラズマ光)を検出し、エッチングの終点検出を行う。
【0011】
また、特開平8−274082号公報(USP 5658418)では、2つの波長の干渉波形の時間変化とその微分波形を用いて、干渉波形の極値(波形の最大,最小:微分波形の零通過点)をカウントする。カウントが所定値に達するまでの時間を計測することによりエッチング速度を算出し、算出したエッチング速度に基づき所定の膜厚に達する迄の残りのエッチング時間を求め、それに基づきエッチングプロセスの停止を行う。
【0012】
また、特開2000−97648公報では、処理前の干渉光の光強度パターン(波長をパラメータとする)と処理後または処理中の干渉光の光強度パターンとの差の波形(波長をパラメータとする)を求め、その差波形とデータベース化されている差波形との比較により段差(膜厚)を測定する。
【0013】
また、特開2000−106356公報は回転塗布装置に関し、多波長にわたる干渉光の時間変化を測定して膜厚を求める。
【0014】
また、USP6081334では、干渉光の時間変化の特徴的な振る舞いを測定より求めデータベース化し、そのデータベースと測定される干渉波形との比較によりエッチングの終了判定を行う。この判定により、エッチングプロセス条件の変更を促す。
【0015】
以上の公知例では、以下の問題点が生じる。(1)エッチングされる材料の薄膜化に伴い、干渉光強度が小さくなり、また、干渉縞の数が少なくなる。(2)マスク材(例えば、レジスト)を用いたエッチングを行うと、エッチングされる材料からの干渉光にマスク材からの干渉光が重畳される。(3)プロセス中にエッチング速度が変化すると干渉波形が歪む。
【0016】
以上の点から被処理層、特に、プラズマエッチング処理における被処理層の厚さを、要求される測定精度で正確に測定,制御することは困難であった。
【0017】
本発明の目的は、プラズマ処理の、特にプラズマエッチング処理において、被処理層の実際の厚さを正確に測定することのできる被処理材の処理方法及び装置を提供することにある。
【0018】
本発明の他の目的は、半導体デバイスの各層をオンラインで所定厚さに高精度に制御できるエッチング・プロセスを提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、被処理層の実際の厚さで正確に測定することのできる被処理材の膜厚測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願発明者等は上記の従来技術の問題点を解消すべく、また上記本願発明の目的を達成すべく、複数の波長の各々についてその干渉波形の時間微分の波形を求め、それに基づき、干渉波形の微分値の波長依存性を示すパターン、(即ち、波長をパラメータとする干渉波形の微分値のパターン)を求め、そのパターンを用いて膜厚の測定を行うようにしたものである。
【0021】
本願発明において、干渉波形の時間微分値の波長依存性を示すパターンを用いる理由は以下の通りである。
【0022】
エッチング中のin−situ(リアルタイム)測定を前提にした計測であるため、被処理膜の膜厚は時々刻々変化している。従って、干渉波形の時間微分処理が可能である。更に、この微分処理により干渉波形のノイズの除去を行える。また、エッチングされる材料(例えば、ポリシリコン)の屈折率が波長に対し大きく変化する。従って、多波長にわたる干渉光計測によりその物質の特徴的な変化(膜厚依存)を検出可能となる。
【0023】
より具体的には、上記目的は、真空処理室内に配置された半導体ウエハ表面の膜についてこの真空処理室内に形成したプラズマを用いて処理する半導体ウエハの処理方法であって、前記処理中に前記半導体ウエハ表面から得られる複数の波長の干渉光を受け前記複数の波長の各々の前記干渉光の強度の微分値を検出するステップと、この検出された前記複数の波長の干渉光のうち第1の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲を求めるステップと、前記複数の波長の干渉光のうち第2の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲から前記膜の厚さを判定するステップとを備えた半導体ウエハの処理方法により達成される。
【0024】
また、真空容器内の試料台上に配置された処理対象の半導体ウエハ表面の膜についてこの真空容器内に形成されたプラズマを用いて所定の処理を行う半導体ウエハの処理装置であって、前記真空容器内の前記プラズマに面してこの真空容器内の光が透過するポートと、前記処理中に前記半導体ウエハ表面からの複数の波長の干渉光を前記ポートを介して受光する測定装置を有し、この測定装置において受光した前記複数の波長の干渉光のそれぞれの強度の微分値を検出し、この検出された前記複数の波長の干渉光のうち第1の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲を求めた後、前記複数の波長の干渉光のうち第2の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲から前記膜の厚さを判定する機能を備えた半導体ウエハの処理装置により達成される。
【0025】
さらには、前記検出される処理の量に基づいて前記半導体ウエハの前記膜の処理を調節することにより達成される。さらにまた、前記第1または第2の波長の干渉光の強度の微分値が零点を通過する回数を用いて前記膜の厚さを判定することにより達成される。
【0026】
さらにまた、前記膜の厚さの範囲を第1の波長の干渉光の強度の1次微分値が零点を通過するパターンを用いて求め、前記膜の厚さを前記第2の波長の干渉光の強度の2次微分値が零点を通過するパターンを用いて判定することにより達成される。
【0027】
なお、本願発明においては、以下のような態様が考えられる。先ず、被処理材であるエッチングされる材料の膜厚が厚い場合は、干渉縞の周期性が顕著になる。一方、被処理材であるエッチングされる材料の膜厚が薄い場合は、干渉縞の周期性が現れなくなる。
【0028】
本発明によれば、プラズマ処理の、特にプラズマエッチング処理において、被処理層の実際の厚さを正確に測定することのできる半導体ウエハの試料の処理方法を提供することができる。
【0029】
また、半導体デバイスの各層をオンラインで所定厚さに高精度に制御できるエッチング・プロセスを提供することができる。さらに、被処理層の実際の厚さをオンラインで正確に測定することのできる被処理材の膜厚測定装置を提供することができる。
【0030】
本発明によれば、プラズマ処理の、特にプラズマエッチング処理において、被処理層の実際の厚さをオンラインで正確に測定することのできる被処理材の膜厚測定方法及びそれを用いた被処理材の試料の処理方法を提供することができる。
【0031】
また、半導体デバイスの各層をオンラインで所定厚さに高精度に制御できるエッチング・プロセスを提供することができる。さらに、被処理層の実際の厚さをオンラインで正確に測定することのできる被処理材の膜厚測定装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に本願発明の各実施の形態を図面を用いて説明する。
【実施例】
【0033】
以下の各実施例において、第1実施例と同様の機能を有するものは第1実施例と同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0034】
以下、図1〜図4で本発明の第1の実施例を説明する。この実施例は、半導体ウェハ等の被処理材をプラズマエッチングする際に、サンプル用の被処理材の所定膜厚に対する、干渉光の微分値の波長依存性を示す(波長をパラメータとする)標準パターンを設定する。次に、サンプル用被処理材と同一構成の被処理材についての実際の処理における干渉光の複数波長の強度をそれぞれ測定し、該測定された干渉光強度の微分値の波長依存性を示す(波長をパラメータとする)実パターンを求め、微分値の標準パターンと実パターンとを比較して、被処理材の膜厚を求めるものである。
【0035】
まず、図1を用いて、本発明の膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を説明する。エッチング装置1は真空容器2を備えており、その内部に導入されたエッチングガスがマイクロ波電力等により分解しプラズマとなり、このプラズマ3により試料台5上の半導体ウェハ等の被処理材4がエッチングされる。膜厚測定装置10の分光器11が有する測定用光源(例えばハロゲン光源)からの多波長の放射光が、光ファイバー8により真空容器2内に導かれ、被処理材4に垂直入射角で当てられる。被処理材4はここではポリシリコン層を含む、放射光はポリシリコン層の上面で反射した放射光と、ポリシリコン層と下地層との間に形成された境界面で反射した放射光により干渉光が形成される。干渉光は光ファイバー8を介して膜厚測定装置10の分光器11に導かれ、その状態に基づき膜厚測定や終点判定の処理を行う。
【0036】
膜厚測定装置10は、分光器11,第1デジタルフィルタ回路12,微分器13,第2デジタルフィルタ回路14,微分波形パターンデータベース15,微分波形比較器16及び比較器の結果を表示する表示器17を備えている。なお、図1は膜厚測定装置10の機能的な構成を示したものであり、表示器17と分光器11を除いた膜厚測定装置10の実際の構成は、CPUや、膜厚測定処理プログラムや干渉光の微分波形パターンデータベース等の各種データを保持したROMや測定データ保持用のRAMおよび外部記憶装置等からなる記憶装置,データの入出力装置、及び通信制御装置により構成することができる。
【0037】
分光器11が取り込んだ多波長の発光強度は、それぞれ発光強度に応じた電流検出信号となり電圧信号へ変換される。分光器11によりサンプリング信号として出力された複数の特定波長の信号は、時系列データyijとしてRAM等の記憶装置に収納される。この時系列データyijは次に、第1デジタルフィルタ回路12により平滑化処理され平滑化時系列データYijとしてRAM等の記憶装置に収納される。この平滑化時系列データ
Yijを基に、微分器13により微係数値(1次微分値あるいは2次微分値9の時系列データdijが算出され、RAM等の記憶装置に収納される。微係数値の時系列データdijは、第2デジタルフィルタ回路14により、平滑化処理され平滑化微係数時系列データ
DijとしてRAM等の記憶装置に収納される。そして、この平滑化微係数時系列データDijから干渉光強度の微分値の波長依存性を示す(波長をパラメータとする)実パターンが求められる。
【0038】
一方、微分波形パターンデータベース15には、膜厚測定の対象となる被処理材の材料、例えばポリシリコンに対応した前記各波長に対応する干渉光強度の微分波形パターンデータ値Pjが予め設定されている。微分波形比較器16において、実パターンと微分波形パターンデータ値Pjが比較され被処理材の膜厚が求められる。その結果は、結果表示器17により表示される。
【0039】
なお、実施例では分光器11が1個だけの場合を示してあるが、被処理材の面内を広く測定して制御したい場合には、複数の分光器11を設ければよい。
【0040】
図2(a),図2(b)に、エッチング処理途中の被処理材4の縦断面形状及び干渉光の波長実パターンの例を示す。図2(a)において、被処理材(ウェハ)4は、基板40の上に下地材41,その上に被エッチング材42,マスク材43が積層されている。例えばゲート膜のエッチングを行う場合、被処理材4の基板はSiO2 の絶縁膜であり、ソース,ドレーン間に対応して多結晶の下地材の上にポリシリコンのゲート層が形成される。
【0041】
分光器11から放出された多波長の光は、被エッチング材と下地材の積層構造を含む被処理材4に垂直入射角で当てられる。マスク材43が無くエッチング処理された部分へ導かれた放射光9は、被エッチング材42の上面で反射した放射光9Aと、被エッチング材42と下地材41との間に形成された境界面で反射した放射光9Bにより干渉光が形成される。放射光9Aは、エッチング処理の進行に伴って反射する位置が、A,B,Cのように変化する。反射した光は分光器11に導かれ、エッチング中の被エッチング材42の層の厚さによって強さが変化する信号を生成する。
【0042】
図2(b)に示すように、干渉光の生波形(多波長)の平滑化時系列データYijは、境界面からの距離が零近くまでは比較的大きな値を保ち、零近くで急速に低減する。なお、境界面からの距離が零の点より右側はオーバーエッチング処理を示している。この平滑化時系列データYijを基に、1次微分値あるいは2次微分値の微係数値時系列データdijが算出される。図2(b)には波長475nmの干渉光の1次微分値及び2次微分値を示している。1次微分値及び2次微分値は、境界面からの距離がある範囲内の複数箇所で、零値を横切っている。以下、この零値を横切る点を零通過点と呼ぶ。
【0043】
図2(b)から明らかなように、零通過点は境界面からの距離、換言すると膜厚が比較的大きな値でも現れる。これは、生波形が境界面付近に達するまで値の変動が少なく零近くで急速に低減するのと比べると、大きな相違である。本発明は、この事実に着目して、膜厚が比較的大きな値の状態でも膜厚を正確に測定出来るようにしたことに特徴がある。また、プラズマの出力が低下しても、干渉光の1次微分値及び2次微分値は大きな値を維持しているため、正確な膜厚測定が可能である。
【0044】
図3(a),図3(b)に、被処理材(ポリシリコン)の上記図2(a)のA,B,Cに示す所定膜厚に対する干渉光の微分値の、波長をパラメータとする(波長依存性を示す)標準パターンを、各膜厚(境界面からの距離)に対応する干渉光の微係数値時系列データdijのパターンとして示す。図3(a)は、干渉光の1次微分波形パターンデータを示し、図3(b)は同じく2次微分波形パターンデータを示す。図中のA,B,Cは、図2(a)のA(=30nm),B(=20nm),C(=10nm)の各膜厚における微分波形パターンデータを示している。
【0045】
図3(a),図3(b)から明らかなように、干渉光の1次微分波形パターンや2次微分波形パターンは、被処理材の材料及び膜厚毎に特有のパターンになっており、また、特定の波長において、零通過点すなわち1次微分値や2次微分値が零になることがわかる。例えば、膜厚Cでは、波長500nmが零通過点となっている。被処理材の材料が異なるとこれらのパターンも変わってくるので、処理に必要な種々の材料及び膜厚範囲について、予め実験などによりデータを求め、1次微分波形パターンや2次微分波形パターンとして記録装置に保持しておくのが良い。
【0046】
次に、図4のフローチャートにより、図1の膜厚測定装置10でエッチング処理を行う際に、被処理材の膜厚を求める手順について説明する。
【0047】
最初に、目標膜厚値と膜厚パターンデータベースより波長域(少なくとも3個の波長域)の抽出された微分パターンPiと判定値σ0の設定を行う(ステップ400)。すなわち、予め微分波形パターンデータベース15に保持されている、図3(a),図3(b)に示すような複数波長についての微分値の標準パターンの中から、被処理材の処理条件に応じて必要とされる膜厚に対応した少なくとも3個の標準パターンを設定する。
【0048】
次のステップにおいて干渉光のサンプリング(例えば0.25〜0.4秒毎に)を開始する(ステップ402)。すなわち、エッチング処理開始に伴い、サンプリング開始命令が出される。エッチングの進行に従って変化する多波長の発光強度が、光検出器により発光強度に応じた電圧の光検出信号として検出される。分光器11の光検出信号はデジタル変換され、サンプリング信号yi,jを取得する。
【0049】
次に、分光器からの多波長出力信号yi,jを第1段目のデジタルフィルタ12により平滑化し、時系列データYi,jを算出する(ステップ404)。すなわち、第1段目のデジタルフィルタによりノイズを低減し、平滑化時系列データyiを求める。
【0050】
次に、S−G法により、微係数di,jを算出する(ステップ406)。すなわち、微分処理(S−G法)により信号波形の係数(1次または2次)diを求める。さらに、第2段目のデジタルフィルタ14により平滑化微係数時系列データDi,jを算出する(ステップ408)。そして、σ=Σ(Di,j−pj)2 値の算出を行う(ステップ410)。次に、微分波形比較器16において、σ≦σ0の判定を行い(ステップ412)、σ≦σ0の場合、被処理材の膜厚が所定値になったものとしてその結果を表示器17に表示する。σ≦σ0でない場合、ステップ404に戻る。最後に、サンプリング終了の設定を行う(ステップ414)。
【0051】
ここで、平滑化微係数時系列データDiの算出について説明する。デジタルフィルタ回路としては、例えば2次バタワース型のローパスフィルタを用いる。2次バタワース型のローパスフィルタにより平滑化時系列データYiは式(1)により求められる。
【0052】
Yi=b1yi+b2yi−1+b3yi−2
−[a2Yi−1+a3Yi−2] ・・・・・・・(1)
ここで、係数b,aは、サンプリング周波数及びカットオフ周波数により数値が異なる。例えば、サンプリング周波数10Hz,カットオフ周波数1Hzの時、a2=−1.143,a3=0.4128,b1=0.067455,b2=0.13491,b3=0.067455となる。
【0053】
2次微係数値の時系列データdiは、微係数演算回路6により5点の時系列データYiの多項式適合平滑化微分法を用いて式(2)から以下のように算出される。
【0054】
j=2
di=ΣwjYi+j ・・・・・・・(2)
j=-2
ここで、w−2=2,w−1=−1,w0=−2,w1=−1,w2=2、である。
【0055】
前記微係数値の時系列データdiを用いて、平滑化微係数時系列データDiはデジタルフィルタ回路(2次バタワース型のローパスフィルタ、但し、デジタルフィルタ回路のa,b係数とは異なっても良い)により式(3)により求められる。
【0056】
Di=b1di+b2di−1+b 3di−2
−[a 2Di−1+a 3Di−2] ・・・・・・・・(3)
このようにして、図1の膜厚測定装置によれば、3(a),図3(b)にA,B,Cとして示したような、複数波長についての微分値の標準パターンを少くとも1つ設定し、被処理材の干渉光の複数波長の強度をそれぞれ測定し、該測定された干渉光強度の各波長の微分値の実パターンを求め、標準パターンと微分値の実パターンとを比較することにより、被処理材の膜厚を求めることができる。例えば、膜厚30nmすなわち図2のAを検出したい場合には、予め、膜厚Aに対応する複数波長についての微分値の標準パターンを設定し、複数の波長において実パターンの標準パターンに対する一致率が判定値σ0以内に達したことにより、被処理材の膜厚が30nmになったことを検出できる。標準パターンとしては、1次微分値パターン,2次微分値パターンのいずれか一方あるいは両方を用いればよい。
【0057】
この実施例によれば、境界面からの距離が例えば30nmと比較的大きい値でも、被処理材の膜厚を正確に測定することができる。
【0058】
次に、本発明の第2実施例を図5〜図7で説明する。この実施例では、予め、所定の膜厚に対応する、複数波長についての微分値の標準パターンを基に、この標準パターンの中の1つの零通過点の波長λ0と一致したこと、及び、他の1つの波長λpにおける微分値の実際の値の標準パターンに対する一致率が判定値σ0以内に達したことの2つの条件により、被処理材の膜厚が所定値になったことを検出できる。
【0059】
図5において、分光器11によりサンプリング信号として出力された2つの特定波長の信号は、時系列データyi,λoとyi,λpとしてRAM等の記憶装置(図示せず)に収納される。これらの時系列データは次に、第1デジタルフィルタ回路12により平滑化処理され平滑化時系列データYi,λoとYi,λpとして記憶装置に収納される。これらの平滑化時系列データYi,λoとYi,λpを基に、微分器13により微係数値(1次微分値あるいは2次微分値)の時系列データdi,λoとdi,λpが算出され、記憶装置に収納される。これらの微係数値の時系列データは、第2デジタルフィルタ回路14により、平滑化処理され平滑化微係数時系列データDi,λoとDi,λpとして記憶装置に収納される。そして、これらの平滑化微係数時系列データDi,λoとDi,λpから干渉光強度の各波長についての微分値の実パターンが求められる。
【0060】
一方、微分波形パターンデータベース15には、予め、標準パターンの中の1つの零通過点の波長λ0と、他の1つの波長λpにおける微分値の標準パターンが設定されている。微分波形比較器16において、これらが比較され被処理材の膜厚が求められる。
【0061】
例えば、膜厚30nmすなわち図2(a)のAを検出したい場合には、図7に示すように、零通過点λ0の波長と、他の波長λp=450nmに対応する1次微分値Ppを設定する。
【0062】
なお、本実施例においても構成要素12−16はCPU,メモリ等を有するコンピュータにより構成して良い。
【0063】
この実施例の動作を図6のフローチャートで説明する。まず、目標膜厚値と膜厚パターンデータベースより零通過波長λoと、少なくとも1つの他の波長λpと、波長λpの微分値Ppと判定値σpの設定を行う(ステップ600)。
【0064】
次に、被処理材の干渉光のサンプリングを開始し(ステップ602)、分光器からの波長λ0とλpの出力信号を第1段目のデジタルフィルタにより平滑化時系列データYi,oとYi,pを算出する(ステップ604)。
【0065】
次に、S−G法により微係数di,oとdi,pを算出する(ステップ606)。さらに、第2段目のデジタルフィルタにより平滑化微係数時系列データDi,oとDi,pを算出する(ステップ608)。さらに、σ=Σ(Di,p−Pp)2 の算出を行う(ステップ
610)。
【0066】
次に、Di−1,o*Di,o≦0 かつσ≦σ0の判定を行う(ステップ612)。
【0067】
Di−1,o*Di,oの符号の正負判定において負であれば真と判定し、かつ、σ≦σ0であれば膜厚判定を終了する(ステップ614)。もし、Di−1,o*Di,oの符号が正、あるいはσ>σ0であればステップ604に戻る。
【0068】
この実施例によれば、2つの特定の波長に着目するだけで、すなわち図7に示す微分値パターンがλ0で零(X軸)を横切って通過したこと及び他の波長λpの微分値Ppが判定値σ0になったことにより、被処理材の膜厚を測定できる。特に、境界面からの距離が例えば30nmと比較的大きい値でも、被処理材の膜厚を正確に測定することができる。
【0069】
本発明の第3の実施例を、図8〜図10で説明する。この実施例では、被処理材の所定膜厚に対する干渉光のなかで、ターゲットとなる波長(ターゲット波長)λT の微分値の零通過パターンPjを設定し、被処理材の実際の干渉光強度の微分値の零通過パターンを求め、零通過の回数nから、被処理材の膜厚を求めるものである。
【0070】
図8において、分光器11によりサンプリング信号として出力されたターゲット波長
λT の信号は、時系列データyi,λT としてRAM等の記憶装置(図示せず)に収納される。この時系列データは次に、第1デジタルフィルタ回路12により平滑化処理され平滑化時系列データYi,λT として記憶装置に収納される。この平滑化時系列データを基に、微分器13により微係数値(1次微分値あるいは2次微分値)の時系列データdi,λT が算出され、記憶装置に収納される。この微係数値の時系列データは、第2デジタルフィルタ回路14により、平滑化処理され平滑化微係数時系列データDi,λT として記憶装置に収納される。一方、微分波形パターンデータベース15には、予め、標準パターンの零通過パターンPjのデータが設定されている。そして、微分波形比較器16において、この平滑化微係数時系列データが微分値の零通過パターンPjと比較され、零通過回数から、被処理材の膜厚を求める。
【0071】
図9に示すように、例えば、ターゲット波長λT の3つの零通過点が、それぞれ膜厚A,B,Cに対応する場合、微分値がこれらの零通過点を通過したことにより、C点の例えば10nmという膜厚を測定することができる。
【0072】
なお、本実施例においても構成要素12−16はCPU,メモリ等を有するコンピュータにより構成して良い。
【0073】
この実施例の動作を図10のフローチャートで説明する。まず、最初に目標膜厚値と膜厚パターンデータベースから、分光器の波長λTと目標零通過回数NT を設定してから
(ステップ1000)、サンプリングを開始する(ステップ1002)。次に、分光器
(波長λT )からの出力信号を第1段目のデジタルフィルタにより平滑化し時系列データYi,λT を算出する(ステップ1004)。次に、S−G法により微係数di,λT を算出する(ステップ1006)。さらに、第2段目デジタルフィルタにより平滑化微係数時系列データDi,λT を算出する(ステップ1008)。
【0074】
次に、(Di−1,λT )*(Di,λT )の値符号の正負判定を行い、負=真により微分係数の零通過を検出する(ステップ1010)。さらに、微分係数の零通過回数を加算(n=n+1)し(ステップ1012)、目標零通過回数NT とnとの比較をする(ステップ1014)。もし、目標零通過回数NT に達していなかったらステップ1004に戻り、また、目標零通過回数NT に達していたら所定の膜厚になったものと判定してサンプリング終了の設定を行う。
【0075】
この実施例では、特定波長λT の微分値波形の零通過パターンPjを設定し、実際のパターンの零通過回数から被処理材の膜厚を求めるものであり、境界面からの距離が比較的大きい値でも、被処理材の膜厚を正確に測定することができる。
【0076】
次に、本発明による膜厚測定方法の第4の実施例を図11〜図14で説明する。この実施例では、被処理材の干渉光における特定の波長を、ガイド波長λG 及びターゲット波長λT として選定し、ガイド波長λG の微分値の零通過パターンから、被処理材の膜厚範囲を求め、この膜厚範囲にある被処理材の膜厚を、ターゲット波長λT の微分値の零通過パターンから求めるものである。
【0077】
図11において、分光器11によりサンプリング信号として出力された2つの特定波長の信号は、時系列データyi,λG とyi,λT として記憶装置(図示せず)に収納される。これらの時系列データは次に、2個の第1デジタルフィルタ回路12(12A,12B)により平滑化処理され平滑化時系列データYi,λG とYi,λT として記憶装置に収納される。これらの平滑化時系列データを基に、2個の微分器13(13A,13B)により微係数値(1次微分値あるいは2次微分値)の時系列データdi,λG とdi,λT が算出され、記憶装置に収納される。これらの微係数値の時系列データは、2個の第2デジタルフィルタ回路14(14A,14B)により、平滑化処理され平滑化微係数時系列データDi,λG とDi,λT として記憶装置に収納される。一方、微分波形パターンデータベース15には、予め、波長λG ,λT の零通過パターンPjのデータが設定されている。そして、2個の微分波形比較器16(16A,16B)において、これらの平滑化微係数時系列データが微分値の零通過パターンPjと比較され、被処理材の膜厚を求める。
【0078】
なお、本実施例においても構成要素12A,12B〜16A,11BはCPU,メモリ等を有するコンピュータにより構成して良い。
【0079】
ここで、波長λG ,λT の零通過パターンPjのデータの関係について、図12,図
13で説明する。図において、ターゲット波長λT の4つの零通過点が、それぞれ膜厚A,B,C,Dに対応し、ガイド波長λG の3つの零通過点が、それぞれ膜厚a,b,cに対応している。そして、各膜厚a,b,cに対応するガイド波長λG の3つの零通過点と、各目標の膜厚A,B,C,Dすなわちターゲット波長λT の4つの零通過点の、膜厚に対する関係は図13のようになる。
【0080】
従って、例えば、膜厚Dを目標膜厚として測定する場合を考えると、膜厚cに対応するガイド波長λG の零通過点が膜厚Dに対応するターゲット波長λT の零通過点に先行して出現することがわかる。そこで、ガイド波長λG で3つの零通過点が検出され、ターゲット波長λT で4つの零通過点が検出されると、目標膜厚Dになっていることが分かる。
【0081】
この実施例の動作を図14のフローチャートで説明する。まず、目標膜厚値と膜厚パターンデータベースから、分光器のガイド波長λG とターゲット波長λT 、各波長の目標零通過回数NG ,NT を設定する(ステップ1400)。
【0082】
次に、ガイド波長λG の目標零通過回数mを知るために、分光器(波長λG )からの出力信号を第1段目のデジタルフィルタにより平滑化時系列データYi,λG を算出する
(ステップ1402)。さらに、S−G法により微係数di,λG を算出する(ステップ1404)。次に、第2段目のデジタルフィルタにより平滑化微係数時系列データDi,λG を算出する(ステップ1406)。さらに、(Di−1,λG )*(Di,λG )値符号の正負判定(負=真)により微分係数の零通過を検出する(ステップ1410)。そして、零通過を検出したら微分係数の零通過回数を加算(m=m+1)し(ステップ1412)、目標零通過回数NG との比較を行い(ステップ1414)、目標零通過回数mに達したら、次に、ターゲット波長λT の目標零通過回数nを求める処理に進む。
【0083】
ターゲット波長λT の目標零通過回数nを求めるために、まず、分光器(波長λT )からの出力信号を第1段目のデジタルフィルタにより平滑化時系列データYi,λT を算出する(ステップ1416)。次に、S−G法により微係数di,λT を算出する(ステップ1418)。さらに、第2段目のデジタルフィルタにより平滑化微係数時系列データ
Di,λT を算出する(1420)。次に、(Di−1,λT )*(Di,λT )値符号の正負判定(負=真)により微分係数の零通過を検出する(ステップ1422)。そして、零通過を検出したら微分係数の零通過回数を加算(n=n+1)し(ステップ1424)、目標零通過回数NT との比較を行い(ステップ1426)、目標零通過回数nに達したら、目標膜厚になっているので、その結果を記録,出力すると共にサンプリング終了の設定を行う。
【0084】
この実施例では、ガイド波長λG とターゲット波長λT の零通過回数によって膜厚を判定するので、境界面からの距離が比較的大きい値でも、被処理材の膜厚を正確に測定することができる。
【0085】
発明者等の実験によれば、絶縁膜の加工を例にとると、多波長についての1次微分波形パターン,2次微分波形パターンの零通過点は、図15に示すような特性がある。すなわち、膜厚の大きい範囲では、1次微分波形パターン,2次微分波形パターンのいずれにも零通過点が現れる。しかし、膜厚が薄くなると1次微分波形パターンには零通過点が現れなくなる。従って、膜厚の大きい範囲では、1次微分波形パターン,2次微分波形パターンのいずれの波長を、ガイド波長λG あるいはターゲット波長λT にしても良い。しかし、膜厚が薄い範囲では、1次微分波形パターンの波長をガイド波長λG とし、2次微分波形パターンの波長をターゲット波長λT にするのが望ましい。図15の特性を利用して、例えば絶縁膜を加工したい場合には、ガイド波長λG を475nmとし、残りの膜厚が
50nmの場合、ターゲット波長λT は2次微分波形パターンの波長455nm、あるいは1次微分波形パターンの波長475nmとする。残りの膜厚が15nm以下の場合、ターゲット波長λT は、2次微分波形パターンを用いる。残りの膜厚が15nm〜35nmの場合、ターゲット波長λT は1次微分波形パターンのm=1.35nm 〜100nmの場合、1次微分波形パターンのm=2を採用する。
【0086】
以上述べた本発明の膜厚測定装置によれば、半導体デバイスの製造プロセス等における被処理材の膜厚を正確に測定することができる。従って、このシステムを利用して、被処理材のエッチングを高精度に実施する方法を提供することができる。以下、このような半導体デバイスの製造プロセスを説明する。
【0087】
まず、図16は、図1〜図4で説明した本発明の第1の実施例を採用したエッチング装置の構成例である。表示器17の被処理材の膜厚のデータは、プラズマ発生装置20に送られ、真空容器内のプラズマの発生条件を制御するのに利用される。例えば、図17(a)に示すような被処理材に対して、本発明の膜厚測定装置により求めた膜厚すなわち被エッチング材のエッチングの進行状況に応じて、真空容器内のプラズマの発生条件を変更することにより、図17(b)に示すような適切な形状のエッチング処理を行うことが可能になる。
【0088】
なお、本実施例においても構成要素12−16はCPU,メモリ等を有するコンピュータにより構成して良い。
【0089】
以下、エッチング処理の手順について簡単に説明する。最初に、被処理材に関するエッチング処理条件の設定を行う。この中には、エッチング処理される被処理材の各層の膜毎に処理パターンに応じた目標膜厚値と膜厚毎の所定の波長域(少なくとも3個の波長域)の微分パターン抽出Piと判定値σ0が含まれる。次に、被処理材を電極上に搬入し、真空容器を減圧排気する。そして、真空容器内に所定の処理ガスを導入し、プラズマを発生させて被処理材のエッチングを開始する。同時に、干渉光のサンプリングを開始するエッチングの進行に従って変化する多波長の発光強度が、光検出器により発光強度に応じた電圧の光検出信号として検出される。分光器11の光検出信号はデジタル変換され、サンプリング信号yi,jを取得する。次に、分光器からの多波長出力信号yi,jを平滑化し、時系列データYi,jを算出する。次に、微分処理(S−G法)により信号波形の係数
(1次または2次)diを求め、さらに、平滑化微係数時系列データDi,jを算出する。そして、σ=Σ(Di,j−pj)2 値の算出を行うと共にσ≦σ0の判定を行い、σ≦σ0の場合、被処理材の膜厚が所定値になったものとして、エッチング処理を終了し、処理ガスを排気し、被処理材を真空容器から搬出する。
【0090】
例えば、膜厚を図2(a)のC値にしたい場合には、予め、各膜厚A,B,Cに対応する微分値の波長依存性を示す標準パターンを設定し、複数の波長において実パターンの標準パターンに対する一致率が判定値σ0以内に達したことにより、被処理材の残りの膜厚が順次A,Bになったことを検出して処理ガス供給などプラズマによる処理条件を適宜制御しながら処理を進め、膜厚が正確にCとなるように制御してエッチング処理を終了する。
【0091】
場合によっては、所定の膜厚、例えば膜厚Aになったことを検知した状態で一旦エッチング処理を停止し、必要な処理,操作を行った後、エッチング処理を再開するようにしても良い。あるいは、膜厚を連続的に正確に測定しつつ、膜厚に応じてエッチング処理条件を連続的に変える処理を行うようにしても良い。
【0092】
また、本発明の他の実施例の計測方法を採用して同様なプラズマエッチング制御を行っても良い。また、本発明は、プラズマCVD,スパッタ,CMP(chemical mechanical
polishing)或いは熱CVD等の処理にも適用できる。
【0093】
次に、図18は、本発明の第1の実施例を採用したエッチング装置の他の構成例である。表示器17の被処理材の膜厚のデータは制御装置18で処理され、プラズマ発生装置
20,ガス供給装置21,ウエハバイアス電源22に送られ、真空容器内のプラズマの発生条件を制御するのに利用される。例えば、絶縁膜の孔加工のように被エッチング材の膜厚がかなり厚い場合、図19(a),図19(b),図19(c)に示すようにエッチングを2段階の処理に分け、本発明の膜厚測定装置により測定した膜厚すなわち被エッチング材のエッチングの進行状況に応じて図19(b)、真空容器内の各種処理条件を変更することにより、図19(c)に示すように処理速度を早くしてかつ下地材に対するオーバーエッチングのない適切な形状のエッチング処理を行うことが可能になる。この場合も、本発明の他の実施例を採用して同様な制御を行っても良い。
【0094】
なお、本実施例においても構成要素12−16はCPU,メモリ等を有するコンピュータにより構成して良い。
【0095】
なお、以上述べた各実施例は、光源を有する分光器から多波長の放射光を放出し、被処理物からの反射光の干渉光を利用して膜厚を測定するものである。一方、光源を有しない分光器を用いプラズマによって放出される多波長の放射光を光源として利用しても良い。例えば、図20に示すように、プラズマ光による被処理材上の干渉光を上面から観察すべく真空容器2の上部壁に設けたポートから光ファイバーによって干渉光を第1の分光計
11Aに導き、分光器真空容器2の側壁に設けた他のポートから光ファイバーによってプラズマ光の状態を観察すべくこれを第2の分光計11Bに導き、両分光計の光を除算器
19で処理したものを、微分器に導き、以下、既に述べた方法で処理するようにしても良い。尚、分光計11A,11Bは光源を有しない。また、図20においても、構成要素
13,15,16,19はCPU、メモリ等を有するコンピュータにより構成して良い。
【0096】
上記の方法によれば、独立した光源が不要であり、また、プラズマ光が変化しても、常に安定して正確な膜厚の計測が可能である。さらに、被処理の処理枚数が増えることによってプラズマ処理装置が経時変化して処理時間が長くなるのを検知出来るので、メンテナンスの指示を出すこともできる。
【0097】
次に、本発明における膜厚精度を向上する実施例を説明する。実際のエッチング処理では、エッチング処理中にプラズマが変動することがある。そのために、測定される膜厚値の精度が悪くなることが起こる。図21は下地酸化膜2.5nm のポリシリコンエッチング時の膜厚変化を示したもので、●印は本発明のパターン比較により求めた各時刻の膜厚測定値を示す。エッチング初期にポリシリコンの厚みが厚くポリシリコンからの干渉光強度が弱い場合、または、エッチング処理中にプラズマ変動があった場合、膜厚測定値のバラツキがしばしば起こる。このような場合、膜厚精度を向上するために以下の処理を行う。以下の処理は、上記コンピュータのソフトウエアで行う。
【0098】
(1)膜厚算出開始はポリシリコンの厚みが薄く(例えば175nm以下)かつプラズマ変動の少ない時刻T1、例えばエッチング処理開始から30秒経過時から行う。時刻
T1以降は、(2)過去の膜厚測定値を用いて、回帰直線を算出する。(3)その回帰直線からはずれている膜厚測定値はノイズとする(例えば、ノイズとして扱わない膜厚測定値の許容値は±10nmとする)。(4)ノイズを除いた膜厚測定値から回帰直線を再度算出する。(5)その再度算出した回帰直線から現在の膜厚値を算出し、膜厚算出値とする。以下、所定時間経過毎に上記処理(2)から(5)を繰り返し行い各時刻の膜厚算出値を求め、この膜厚算出値が最終目標膜厚値Thfに一致するまで上記処理を行う。なお、膜厚算出値が最終目標膜厚値Thfに達すると、エッチング処理を終了する。
【0099】
次に、本発明におけるエッチング処理状態監視に関する実施例を説明する。上記した各時刻における膜厚算出値のデータ列を上記コンピュータ内のメモリまたは外部記録器に収納すると共に、該収容したデータ列をウェハ処理番号と関連付けてデータベース化する。このデータベースにおいて、エッチング処理終了時間が予定のエッチング処理終了時間に対して例えば±5%を超えた場合、または、エッチング処理中の適当な時間(例えば時刻T2)における膜厚算出値が、該時刻T2での目標膜厚値(図21のTh2)に対して例えば±5%を超えた場合、このウェハ処理番号のエッチング処理が異常であることを示す警告を発する。
【0100】
この方法によれば、膜厚測定値にバラツキがあっても精度よく膜厚を算出でき、目標とする膜厚を正確に判定するエッチング処理が行える。また、エッチング処理の状態監視が行え、ウェハの不良処理枚数を最小限度に抑えることができる。
【0101】
上記の本発明の実施例によれば、プラズマ処理の、特にプラズマエッチング処理において、被処理層の実際の厚さをオンラインで正確に測定することができるという効果がある。
【0102】
また、半導体デバイスの各層をオンラインで所定厚さに高精度に制御できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の一実施例による膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図2】エッチング処理途中の被処理材の縦断面形状及び干渉光の波長実パターンの例を示す図である。
【図3】図2(a),図2(b)のA,B,Cに示す各膜厚(境界面からの距離)に対応する、干渉光の微係数値時系列データの波長をパラメータとする図である。
【図4】図1の膜厚測定装置でエッチング処理を行う際に、被処理材の膜厚を求める手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施例による膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図6】図5の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図7】図5の実施例の動作説明図である。
【図8】本発明の第3の実施例による膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図9】図8の実施例の動作を説明するためのグラフ図である。
【図10】図8の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施例による膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図12】図11の実施例において、エッチング処理される、被処理材の断面形状を示す図である。
【図13】図11の実施例の動作説明図である。
【図14】図11の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図15】図11の実施例の動作説明図である。
【図16】本発明の第5の実施例による膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図17】図16の実施例において、エッチング処理される被処理材の断面形状を示す図である。
【図18】本発明の第6の実施例になる膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図19】図18の実施例において、エッチング処理される、被処理材の断面形状を示す図である。
【図20】本発明の第7の実施例による膜厚測定装置を備えた半導体ウェハのエッチング装置の全体構成を示す図である。
【図21】本発明の更に第8の実施例を説明するための、膜厚変化を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1…エッチング装置、2…真空容器、3…プラズマ、4…被処理材、5…試料台、8…光ファイバー、10…膜厚測定装置、11…分光器、12…第1デジタルフィルタ回路、13…微分器、14…第2デジタルフィルタ回路、15…微分波形パターンデータベース、16…微分波形比較器、17…結果表示器、18…制御装置、19…除算器、20…プラズマ発生装置、21…ガス供給装置、22…ウエハバイアス電源。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空処理室内に配置された半導体ウエハ表面の膜についてこの真空処理室内に形成したプラズマを用いて処理する半導体ウエハの処理方法であって、
前記処理中に前記半導体ウエハ表面から得られる複数の波長の干渉光を受け前記複数の波長の各々の前記干渉光の強度の微分値を検出するステップと、
この検出された前記複数の波長の干渉光のうち第1の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲を求めるステップと、
前記複数の波長の干渉光のうち第2の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲から前記膜の厚さを判定するステップとを備えた半導体ウエハの処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体ウエハの処理方法であって、
前記検出される処理の量に基づいて前記半導体ウエハの前記膜の処理を調節するステップを備えた半導体ウエハの処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体ウエハの処理方法であって、
前記第1または第2の波長の干渉光の強度の微分値が零点を通過する回数を用いて前記膜の厚さを判定する半導体ウエハの処理方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体ウエハの処理方法であって、
前記膜の厚さの範囲を求めるステップにおいてこの膜の厚さの範囲が第1の波長の干渉光の強度の1次微分値が零点を通過するパターンを用いて求められ、
前記膜の厚さを判定するステップにおいてこの膜の厚さが前記第2の波長の干渉光の強度の2次微分値が零点を通過するパターンを用いて判定される半導体ウエハの処理方法。
【請求項5】
真空容器内の試料台上に配置された処理対象の半導体ウエハ表面の膜についてこの真空容器内に形成されたプラズマを用いて所定の処理を行う半導体ウエハの処理装置であって、
前記真空容器内の前記プラズマに面してこの真空容器内の光が透過するポートと、前記処理中に前記半導体ウエハ表面からの複数の波長の干渉光を前記ポートを介して受光する測定装置を有し、
この測定装置において受光した前記複数の波長の干渉光のそれぞれの強度の微分値を検出し、この検出された前記複数の波長の干渉光のうち第1の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲を求めた後、前記複数の波長の干渉光のうち第2の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲から前記膜の厚さを判定する機能を備えた半導体ウエハの処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体ウエハの処理装置であって、
前記検出される処理の量に基づいて前記半導体ウエハの前記膜の処理を調節する半導体ウエハの処理装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の半導体ウエハの処理装置であって、
前記第1または第2の波長の干渉光の強度の微分値が零点を通過する回数を用いて前記膜の厚さを判定する半導体ウエハの処理装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載の半導体ウエハの処理装置であって、
前記膜の厚さの範囲を第1の波長の干渉光の強度の1次微分値が零点を通過するパターンを用いて求め、前記膜の厚さを前記第2の波長の干渉光の強度の2次微分値が零点を通過するパターンを用いて判定する半導体ウエハの処理装置。
【請求項1】
真空処理室内に配置された半導体ウエハ表面の膜についてこの真空処理室内に形成したプラズマを用いて処理する半導体ウエハの処理方法であって、
前記処理中に前記半導体ウエハ表面から得られる複数の波長の干渉光を受け前記複数の波長の各々の前記干渉光の強度の微分値を検出するステップと、
この検出された前記複数の波長の干渉光のうち第1の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲を求めるステップと、
前記複数の波長の干渉光のうち第2の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲から前記膜の厚さを判定するステップとを備えた半導体ウエハの処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体ウエハの処理方法であって、
前記検出される処理の量に基づいて前記半導体ウエハの前記膜の処理を調節するステップを備えた半導体ウエハの処理方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体ウエハの処理方法であって、
前記第1または第2の波長の干渉光の強度の微分値が零点を通過する回数を用いて前記膜の厚さを判定する半導体ウエハの処理方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体ウエハの処理方法であって、
前記膜の厚さの範囲を求めるステップにおいてこの膜の厚さの範囲が第1の波長の干渉光の強度の1次微分値が零点を通過するパターンを用いて求められ、
前記膜の厚さを判定するステップにおいてこの膜の厚さが前記第2の波長の干渉光の強度の2次微分値が零点を通過するパターンを用いて判定される半導体ウエハの処理方法。
【請求項5】
真空容器内の試料台上に配置された処理対象の半導体ウエハ表面の膜についてこの真空容器内に形成されたプラズマを用いて所定の処理を行う半導体ウエハの処理装置であって、
前記真空容器内の前記プラズマに面してこの真空容器内の光が透過するポートと、前記処理中に前記半導体ウエハ表面からの複数の波長の干渉光を前記ポートを介して受光する測定装置を有し、
この測定装置において受光した前記複数の波長の干渉光のそれぞれの強度の微分値を検出し、この検出された前記複数の波長の干渉光のうち第1の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲を求めた後、前記複数の波長の干渉光のうち第2の波長の干渉光についてその強度の微分値が零点を通過するパターンを用いて前記膜の厚さの範囲から前記膜の厚さを判定する機能を備えた半導体ウエハの処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体ウエハの処理装置であって、
前記検出される処理の量に基づいて前記半導体ウエハの前記膜の処理を調節する半導体ウエハの処理装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の半導体ウエハの処理装置であって、
前記第1または第2の波長の干渉光の強度の微分値が零点を通過する回数を用いて前記膜の厚さを判定する半導体ウエハの処理装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれかに記載の半導体ウエハの処理装置であって、
前記膜の厚さの範囲を第1の波長の干渉光の強度の1次微分値が零点を通過するパターンを用いて求め、前記膜の厚さを前記第2の波長の干渉光の強度の2次微分値が零点を通過するパターンを用いて判定する半導体ウエハの処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−119145(P2006−119145A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328237(P2005−328237)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【分割の表示】特願2001−77431(P2001−77431)の分割
【原出願日】平成13年3月19日(2001.3.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【出願人】(390010973)日立笠戸エンジニアリング株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【分割の表示】特願2001−77431(P2001−77431)の分割
【原出願日】平成13年3月19日(2001.3.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【出願人】(390010973)日立笠戸エンジニアリング株式会社 (20)
【Fターム(参考)】
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