説明

半導体チップ、光電変換チップおよび半導体チップの製造方法

【課題】衝撃や振動になどに対して強度を向上させることで高い信頼性が得られる半導体チップ、光電変換チップおよび半導体チップの製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板2と、受光部3および制御回路部4とを形成する集積回路と、前記半導体基板2の側面に形成され、半円筒形状に形成された外部端子5と、底面を除く全体を覆う樹脂封止部6とを備えた光電変換チップ1は、プリント配線基板に搭載する場合に、ワイヤによる接続が不要なので、ワイヤボンディング工程が不要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板に、集積回路と、外部を接続するための外部端子とが形成された半導体チップ、光電変換チップおよび半導体チップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップは、樹脂で形成されたパッケージに収納され、半導体チップの外部端子とパッケージの電極とをワイヤにより接続することで導通が図られている(例えば、特許文献1。)。
【0003】
従来の半導体チップを、図11に基づいて詳細に説明する。図11に示すように、従来の半導体チップ100は、半導体基板101に集積回路102が形成され、それぞれパターンによる配線103が形成されている。そして半導体基板101上には、上述したパッケージと接続するための外部端子であるボンディングパッド104が設けられている。
【特許文献1】特開2000−340704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の半導体チップ100は、金属細線で形成されたワイヤによりパッケージと接続しているので衝撃や振動などによる断線等のおそれがある。断線するとパッケージからの信号が従来の半導体チップ100へ入力されなくなったり、従来の半導体チップ100からの信号がパッケージへ出力されなくなったりして、正常に動作しない事態となる。従って、衝撃や振動などに対して強い半導体チップが望まれている。
【0005】
そこで本発明は、衝撃や振動などに対して強度を向上させることで高い信頼性が得られる半導体チップ、光電変換チップおよび半導体チップの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、集積回路や、または集積回路として光電変換回路が形成された半導体基板の側面に外部端子を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の製造方法は、ウエハ基板の所定の位置に、前記集積回路を形成し、前記ウエハ基板の分割箇所に貫通孔またはざぐり孔を形成し、前記貫通孔またはざぐり孔の内側面に金属薄膜を被着し、前記ウエハ基板を、前記分割箇所に基づいて切断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、プリント配線基板などに直接搭載して接続することで、製造工程においてワイヤボンド工程が省略でき、衝撃や振動に対してもワイヤで接続するより強度を向上させることができる。よって、製造コストを低減することができ、高い信頼性を得ることができる。また、ボンディングパッドを設ける必要がないので、ワイヤボンドエリア分ほど小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本願の第1の発明は、半導体基板と、半導体基板に形成された集積回路と、半導体基板の側面に形成された外部端子とを備えたことを特徴としたものである。
【0010】
本発明の半導体チップは、半導体基板の側面に外部端子が設けられているので、パッケージに収納せずに、プリント配線基板などに直接搭載して接続することができる。従って、信号線や電源の接続にワイヤボンディングする必要がないので、製造工程においてワイヤボンド工程が省略できる。よって、製造コストを低減することができる。また、半導体チップを、プリント配線基板などに直接搭載することで、衝撃や振動に対してもワイヤで接続するより強度が向上するので、高い信頼性を得ることができる。更に、ワイヤボンディングするためのボンディングパッドを上面に設ける必要がないので、半導体チップをワイヤボンドエリア分ほど小型化することが可能である。
【0011】
本願の第2の発明は、第1の発明において、外部端子は、一部分、または全体が半円筒形状に形成されていることを特徴としたものである。
【0012】
本願の第2の発明においては、外部端子の一部分、または全体を、半円筒形状に形成することで、半導体基板の側面に外部端子を形成するときに、半導体基板となるウエハ基板に貫通孔またはざぐり孔を形成し、ウエハ基板を分割するときに貫通孔またはざぐり孔を切断することで、容易に基板の側面に外部端子を形成することができる。
【0013】
本願の第3の発明は、半導体基板と、半導体基板の上面に形成された光電変換回路と、半導体基板の側面に形成された外部端子とを備えたことを特徴としたものである。
【0014】
本発明の光電変換チップは、半導体基板の側面に外部端子が設けられているので、パッケージに収納せず、プリント配線基板などに直接搭載して接続することができる。従って、ワイヤボンディングする必要がないので、製造工程においてワイヤボンド工程が省略できることで、製造コストを低減することができる。また、プリント配線基板などに直接搭載することで、衝撃や振動に対してもワイヤで接続するより強度が向上するので、高い信頼性を得ることができる。また、外部端子を半導体基板の側面に設けているので、光電変換部を形成するための面積を広く確保することができる。更に、ワイヤボンディングするためのボンディングパッドを上面に設ける必要がないので、半導体チップをワイヤボンドエリア分ほど小型化することが可能である。
【0015】
本願の第4の発明は、半導体基板に集積回路が形成された半導体チップの製造方法において、ウエハ基板の分割箇所に貫通孔またはざぐり孔を形成する穿孔工程と、ウエハ基板の所定の位置に、集積回路を形成する回路形成工程と、貫通孔またはざぐり孔の内側面に金属薄膜層を被着する電極形成工程と、ウエハ基板を、分割箇所に基づいて切断する分割工程とを含むことを特徴としたものである。
【0016】
本発明の半導体チップの製造方法によれば、外部端子が半導体基板の側面に形成された半導体チップを容易に作製することができる。
【0017】
本願の第5の発明は、第4の発明において、電極形成工程を行う際に、集積回路と金属薄膜層を接続する配線も同時に形成することを特徴としたものである。
【0018】
本願の第5の発明においては、電極形成工程にて外部端子を形成する際に、集積回路と金属薄膜層を接続する配線も同時に形成することで、工程の短縮を図ることができる。
【0019】
(実施の形態)
本発明の実施の形態に係る半導体チップを、光電変換チップを例に、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る光電変換チップを示す斜視図である。図2は、図1に示す光電変換チップの部分拡大図である。
【0020】
図1に示すように光電変換チップ1は、平面視矩形状で、全体がブロック状に形成された受光素子である。光電変換チップ1は、半導体基板2の上面に、集積化された光電変換回路である受光部3および制御回路部4が形成され、半導体基板2の側面全体の所定間隔ごとに、外部端子5が設けられている。そして、光電変換チップ1は、底面を除く上面および側面全体が樹脂封止部6により覆われている。
【0021】
この光電変換チップ1は、例えば、赤外線による光信号を受光部3で受光すると、制御回路部4にてデジタルデータに変換して出力するもので、光ディスク装置のフロントモニタとして使用されるものである。
【0022】
図2に示すように光電変換チップ1は、例えば、Si、SiGe、GaAsなどのp型半導体で形成された半導体基板2に、n型半導体層S1、p型半導体層S2およびn型半導体層S3を積層することで、受光部3または制御回路部4を構成する集積回路7が形成されている。そして、集積回路7は、他の集積回路7とAlまたはCuなどによる配線8により接続されている。光電変換チップ1は、上面全体を、酸化膜などによる保護膜(図示せず)が覆うことで保護されている。
【0023】
また、配線8により集積回路7と外部端子5とを接続することで、外部から集積回路7への信号の入力、集積回路7から外部への信号の出力、または集積回路7への電源の供給を行っている。
【0024】
外部端子5は、全体が半円筒形状に形成され、内側面に配線8と接続する金属薄膜層5aが形成されている。この金属薄膜層5aは、Al、Cu、またはAuなどにより形成されている。
【0025】
以上のように構成された本実施の形態に係る光電変換チップ1の製造方法について、図3から図10に基づいて説明する。図3は、ウエハ基板に貫通孔が設けられた状態を示す図である。図4は、外部端子となる貫通孔の金属薄膜層と配線とを示す拡大図である。図5は、ウエハ基板を切断するダイシングラインを示す平面図である。図6は、樹脂層が形成されたウエハ基板を示す平面図である。図7は、光電変換チップとプリント配線基板とをバンプにより接続した状態を示す正面図である。図8は、光電変換チップとプリント配線基板とを導電性ペーストにより接続した状態を示す正面図である。図9は、樹脂封止部が省略された光電変換チップとプリント配線基板とを導電性ペーストにより接続した状態を示す正面図である。図10は、外部端子をざぐり孔により形成した状態を示す拡大図である。
【0026】
図3に示すように、ウエハ基板10に、貫通孔11をダイシングラインL1に沿って形成する穿孔工程を行う。次に、ウエハ基板10の所定の位置に受光部3および制御回路部4(図1参照)を形成する回路形成工程を行う。
【0027】
ウエハ基板10に形成された貫通孔11の内側面に、Al、Cu、またはAuを被着させることで金属薄膜層5aを形成する電極形成工程を行う。金属薄膜層5aを、配線8と同じ材質のAlまたはCuで形成する場合には、図4に示すように、配線8を形成する際に、同じ工程にて貫通孔11内に金属薄膜層5aを被着する。つまり、配線8を形成する回路形成工程の中で、電極形成工程を行うことで、配線8と金属薄膜層5aとを同時に形成することができるので、工程の短縮を図ることができる。
【0028】
回路形成工程と電極形成工程とを別々に行う場合には、ウエハ基板10に予め貫通孔11を形成する穿孔工程を行う前に、受光部3および制御回路部4を形成する回路形成工程を行うようにしてもよい。
【0029】
次に、ウエハ基板10の裏面側(受光部3および制御回路部4が形成された面とは反対側となる面)を下にしてダイシング用の粘着シートに貼り付ける。そして、図5に示すように、ダイサーによりダイシングラインL1に沿ってウエハ基板10を縦方向および横方向に切断して分割することで、個片となった半導体基板2の側面に半円筒形状の外部端子5が形成される共に、半導体基板2の周囲に、粘着シートを底面とし、それぞれの半導体基板2の側面を壁面とした溝12が形成される(分割工程)。
【0030】
図6に示すように、分割されたウエハ基板10(半導体基板2)全体を樹脂で覆い硬化させることで、樹脂封止部6となる樹脂層13を形成する。分割されたウエハ基板10に樹脂を塗布する場合には、スピンコート法、スクリーン印刷法や、ポッティング法などで行うことができる。
【0031】
そして、溝12に沿ったダイシングラインL2を、ウエハ基板10を切断したときより幅細く切断することで、樹脂層13が切断されて樹脂封止部6となった光電変換チップ1(図1参照)が得られる。
【0032】
ガラスエポキシ樹脂などの絶縁基板に、配線が金属薄膜で形成されたプリント配線基板14(図7参照)に、光電変換チップ1をフリップチップボンディングで搭載する場合には、プリント配線基板14に設けられた接続端子14aに光電変換チップ1の外部端子5の位置を合わせる共にバンプ15を介して載置し接続する。
【0033】
また、図8に示すように、プリント配線基板14に光電変換チップ1を、導電性ペースト16を介在させて搭載する場合には、プリント配線基板14に設けられた接続端子14aに導電性ペースト16を塗布し、光電変換チップ1の外部端子5の位置を合わせ、光電変換チップ1を上面から加圧すると共に加熱して、導電性ペースト16を硬化させて接続する。
【0034】
このように、光電変換チップ1は、半導体基板2の側面に外部端子5が設けられているので、パッケージに収納せずに、プリント配線基板14などに直接搭載して接続することができる。従って、信号線や電源の接続にワイヤボンディングする必要がないので、製造工程においてワイヤボンド工程が省略できる。よって、製造コストを低減することができる。また、プリント配線基板14などに光電変換チップ1を直接搭載することで、衝撃や振動に対してもワイヤで接続するより強度が向上するので、高い信頼性を得ることができる。また、従来の半導体チップ100(図11参照)のように、上面にボンディングパット104を設ける必要がないので、光電変換チップ1は、ワイヤボンドエリアの代わりに、光電変換部である受光部3を形成するための面積を広く確保したり、ワイヤボンドエリア分ほど小型化したりすることが可能である。
【0035】
なお、本実施の形態では、光電変換チップ1として、半導体基板2に樹脂封止部6を設けているが、図9に示すように、樹脂封止部6を省略した光電変換チップ1xとすることも可能である。その場合には、プリント配線基板14の接続端子に銀ペーストなどの導電性ペースト17を塗布し、接続端子14aに光電変換チップ1xの外部端子5の位置を合わせて載置し、導電性ペースト17を加熱することで、光電変換チップ1xと搭載基板としたプリント配線基板14とを導通接続することができる。
【0036】
また、本実施の形態では、外部端子5を、貫通孔11をダイシングで半分に切断することで、図4に示すような外部端子5全体が半円筒形状となっているが、図10に示すような有底の孔であるざぐり孔18をダイシングして一部を半円筒形状とすることも可能である。外部端子5xをざぐり孔18から形成しても、導電性ペーストが外部端子5xの内側面に設けられた金属薄膜層5xaに付着する程度に塗布されていれば、接続端子を外部端子5xに導通接続することが可能である。
【0037】
また、本実施の形態では、半導体チップとして受光部3を有する光電変換チップ1を例に説明したが、発光部を有する光電変換チップや、集積回路として演算回路が形成された半導体チップとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、衝撃や振動になどに対して強度を向上させることで高い信頼性が得られると共に、チップを小型化できるので、半導体基板に、集積回路と外部を接続するための外部端子とが形成された半導体チップ、光電変換チップおよび半導体チップの製造方法に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係る光電変換チップを示す斜視図
【図2】図1に示す光電変換チップの部分拡大図
【図3】ウエハ基板に貫通孔が設けられた状態を示す図
【図4】外部端子となる貫通孔の金属薄膜層と配線とを示す拡大図
【図5】ウエハ基板を切断するダイシングラインを示す平面図
【図6】樹脂層が形成されたウエハ基板を示す平面図
【図7】光電変換チップとプリント配線基板とをバンプにより接続した状態を示す正面図
【図8】光電変換チップとプリント配線基板とを導電性ペーストにより接続した状態を示す正面図
【図9】樹脂封止部が省略された光電変換チップとプリント配線基板とを導電性ペーストにより接続した状態を示す正面図
【図10】外部端子をざぐり孔により形成した状態を示す拡大図
【図11】従来の半導体チップを示す部分拡大図
【符号の説明】
【0040】
1,1x 光電変換チップ
2 半導体基板
3 受光部
4 制御回路部
5,5x 外部端子
5a,5xa 金属薄膜層
6 樹脂封止部
7 集積回路
8 配線
10 ウエハ基板
11 貫通孔
12 溝
13 樹脂層
14 プリント配線基板
15 バンプ
16 導電性ペースト
17 導電性ペースト
18 ざぐり孔
S1,S3 n型半導体層
S2 p型半導体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、前記半導体基板に形成された集積回路と、前記半導体基板の側面に形成された外部端子とを備えた半導体チップ。
【請求項2】
前記外部端子は、一部分、または全体が半円筒形状に形成されている請求項1記載の半導体チップ。
【請求項3】
半導体基板と、前記半導体基板の上面に形成された光電変換回路と、前記半導体基板の側面に形成された外部端子とを備えた光電変換チップ。
【請求項4】
半導体基板に集積回路が形成された半導体チップの製造方法において、
ウエハ基板の分割箇所に貫通孔またはざぐり孔を形成する穿孔工程と、
前記ウエハ基板の所定の位置に、前記集積回路を形成する回路形成工程と、
前記貫通孔またはざぐり孔の内側面に金属薄膜層を被着する電極形成工程と、
前記ウエハ基板を、前記分割箇所に基づいて切断する分割工程とを含む半導体チップの製造方法。
【請求項5】
前記電極形成工程を行う際に、前記集積回路と前記金属薄膜層を接続する配線も同時に形成する請求項4記載の半導体チップの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−194132(P2009−194132A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32881(P2008−32881)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】