説明

半導体圧力センサ及びこれを実装した回路基板

【課題】正確な圧力測定を行うことができる半導体圧力センサを提供する。
【解決手段】半導体圧力センサ1は、半導体基板10と、半導体基板10の一部を薄肉に形成したダイアフラム13と、ダイアフラム13に形成された圧電素子20a〜20dと、半導体基板10上に配置され、電圧素子20a〜20dに電気的に接続された複数のパッド40a〜40dと、複数のパッド40a〜40dに電気的に接続された複数の半田バンプ50a〜50dと、を備え、複数の半田バンプ50a〜50dは、半田バンプ50a〜50d同士を結ぶ仮想直線La,Lb,Lcがダイアフラム13上を通過しないように、半導体基板10上に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体圧力センサ及びこれを実装した回路基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板と、半導体基板に形成されたダイアフラム部と、ダイアフラム部上に配置された感圧素子と、を備えた圧力センサを、当該ダイアフラム部の周囲に配置された複数のバンプを介して実装基板に直接接続した圧力センサモジュールが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
この圧力センサは、ダイアフラム部の歪みに応じた感圧素子の抵抗値の変化を電気信号として取り出すことにより、ダイアフラム部に印加された圧力を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−240250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の圧力センサでは、半導体基板と実装基板との間に熱膨張差が生じると、複数のバンプを介して半導体基板に応力が伝達され、複数のバンプに囲まれたダイアフラム部が歪んでしまい、正確な圧力測定をすることができないという問題があった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、正確な圧力測定を行うことが可能な半導体圧力センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体圧力センサは、回路基板に実装される半導体圧力センサであって、半導体基板と、前記半導体基板の一部を薄肉に形成したダイアフラムと、前記ダイアフラムに形成された圧電素子と、前記半導体基板上に配置され、前記電圧素子に電気的に接続された複数のパッドと、複数の前記パッドに電気的に接続された複数の半田バンプと、を備え、複数の前記半田バンプは、前記半田バンプ同士を結ぶ仮想直線が前記ダイアフラム上を通過しないように、前記半導体基板上に配置されることを特徴とする。
【0008】
上記発明において、複数の前記半田バンプは、前記半導体基板の一辺と、前記ダイアフラムの外縁上において前記一辺に対し最も近い点を通過し、且つ前記一辺と実質的に平行な直線と、の間の領域に配置されていてもよい。
【0009】
上記発明において、複数の前記半田バンプは、複数列に配置されていてもよい。
【0010】
上記発明において、複数の前記半田バンプは、一列に配置されていてもよい。
【0011】
上記発明において、前記半導体基板は、面方位(110)のn型シリコン基板であり、複数の前記圧電素子は、結晶方位<110>と実質的に平行に配置され、複数の前記半田バンプは、結晶方位<100>の方向に沿って配置されていてもよい。
【0012】
上記発明において、前記半導体基板上に積層された絶縁層と、前記絶縁層上に形成され、前記パッドと前記半田バンプを電気的に接続する配線と、を備え、前記絶縁層は、前記ダイアフラムを露出させる第1の開口と、複数の前記パッドをそれぞれ露出させる複数の第2の開口と、を有し、前記配線は、前記第2の開口を通じて前記パッドと接続し、前記半田バンプは、平面視において、前記パッドと異なる位置に配置されていてもよい。
【0013】
本発明に係る回路基板は、上記の半導体圧力センサを実装した回路基板であって、前記半導体圧力センサは、複数の前記半田バンプにより前記回路基板と直接接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、半田バンプ同士を結ぶ仮想直線がダイアフラム上を通過しないように、複数の半田バンプを半導体基板上に配置するので、回路基板と半導体基板との間に熱膨張差が生じても、ダイアフラムが歪み難くなり、半導体圧力センサを回路基板に直接接続した場合においても正確な圧力測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態における半導体圧力センサを実装した回路基板を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態における半導体圧力センサの平面図である。
【図3】図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態における半導体圧力センサの回路図である。
【図5】図5は、図3のV−V線に沿った断面図である。
【図6】図6は、図1のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態における半導体圧力センサの平面図である。
【図8】図8は、図7のVIII−VIII線に沿った拡大断面図である。
【図9】図9は、本発明の第3実施形態における半導体圧力センサの平面図である。
【図10】図10は、本発明の第3実施形態における半導体圧力センサの第1変形例を示す平面図である。
【図11】図11は、本発明の第3実施形態における半導体圧力センサの第2変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<<第1実施形態>>
図1は本実施形態における半導体圧力センサを実装した回路基板を示す斜視図、図2は本実施形態における半導体圧力センサの平面図、図3は図2のIII−III線に沿った断面図、図4は本実施形態における半導体圧力センサの回路図、図5は図3のV−V線に沿った断面図である。
【0017】
本実施形態における半導体圧力センサ1は、圧電素子20a〜20d(後述)のピエゾ抵抗効果を利用して圧力を検出するセンサであり、図1に示すように、半田バンプ50a〜50d(後述)を介して回路基板2に表面実装したCSP(Chip Size Package)にして、携帯電話等の小型の電子機器に組み込むことができる。
【0018】
半導体圧力センサ1は、図2〜図5に示すように、半導体基板10と、圧電素子20a〜20dと、第1の配線30と、パッド40a〜40dと、半田バンプ50a〜50dと、第1の絶縁層60と、を備えている。
【0019】
半導体基板10は、図2に示すように、板状の半導体であり、平面視において矩形となっている。この半導体基板10は、例えばシリコン結晶にリン(P)を添加したn型シリコン基板で構成されている。この半導体基板10は、面方位が(110)であり、図中のX方向が結晶方位<100>と実質的に一致し、図中のY方向が結晶方位<110>と実質的に一致している。
【0020】
半導体基板10は、図2及び図3に示すように、中空部11と、ダイアフラム13と、を有している。中空部11は、半導体基板10の内部に形成された空洞であり、減圧された状態で密閉されている。この中空部11は、例えばサーフェスマイクロマシニング技術やシリコンウェハの直接接合技術により形成される。中空部11は、平面視において半導体基板10の略中央部分に位置し、矩形となっている。また、中空部11は、側面視において半導体基板10の主面12の直下に形成されている。
【0021】
ダイアフラム13は、半導体基板10の主面12において中空部11が形成された領域であり、中空部11によって厚さが数μmの薄肉に形成されている。このダイアフラム13は、中空部11内の気圧を基準圧とし、外部から圧力を受けることで歪むようになっている。ここで、中空部11が平面視において矩形となっているので、ダイアフラム13も一辺13a〜13dに囲まれた矩形となっている。なお、中空部11及びダイアフラム13を、六角形や円形に形成してもよく、特に限定されない。
【0022】
ここで、本実施形態における半導体圧力センサ1は、中空部11内が減圧されており、基準圧が略真空である絶対圧センサとなっている。なお、半導体圧力センサ1を、基準圧を大気圧とするゲージ圧センサとしてもよい。この場合には、半導体基板10に、外部と中空部11を連通する貫通孔を形成する。
【0023】
圧電素子20a〜20dは、ダイアフラム13において部分的に拡散形成されたp型半導体で構成されており、ピエゾ抵抗効果によりダイアフラム13の歪みに応じて電気抵抗が変化するようになっている。ここで、ダイアフラムに歪みが生じていない状態での圧電素子20a〜20dの電気抵抗値は、何れもRであり、同一の電気抵抗値となっている。なお、本実施形態における半導体圧力センサ1では、4つの圧電素子20a〜20dを有しているが、特に限定されず、例えばshear型のように、圧電素子を1つだけ設けてもよい。
【0024】
これらの圧電素子20a〜20dは、図2に示すように、長手方向が結晶方位<110>(図中Y方向)と実質的に平行となるように形成されている。このうち圧電素子20a,20cは、ダイアフラム13の中央部分で、ダイアフラム13における図中Y方向の中心線CLを軸として対称となるように形成されている。圧電素子20aが中心線CLに対して図中左側に位置し、圧電素子20cが中心線CLに対して図中右側に位置している。このように配置された圧電素子20a,20cの電気抵抗変化ΔRは、以下の(1)式で表すことができる。
【0025】
【数1】

なお、上記(1)式において、π44はピエゾ抵抗係数であり、σrは図2中のY方向の応力である。
【0026】
一方、圧電素子20b,20dは、ダイアフラム13において、図2中の中心線CL上で一列となるように形成されている。圧電素子20bは、ダイアフラム13において、中央部分に対して一辺13b寄りに位置し、圧電素子20dは、ダイアフラム13において、中央部分に対して一辺13d寄りに位置している。このように配置された圧電素子20b,20dの電気抵抗変化ΔRは、以下の(2)式で表すことができる。
【0027】
【数2】

なお、上記(2)式において、π44はピエゾ抵抗係数であり、σrは図2中のY方向の応力である。
【0028】
上記(1)式及び(2)式が示すように、圧電素子20a〜20dの電気抵抗変化ΔR,ΔRは、図2中Y方向の応力に依存し、図2中X方向の応力の影響を受け難くなっている。このため、半導体圧力センサ1は、図2中Y方向の応力(圧力)のみを検出するようになっている。
【0029】
第1の配線30は、図4に示すように、ホイートストーンブリッジを形成するように圧電素子20a〜20d間を電気的に接続し、且つ圧電素子20a〜20dと、パッド40a〜40d(後述)と、の間をそれぞれ電気的に接続している。この第1の配線30は、図5に示すように、半導体基板10の主面12上に形成された導電性のラインであり、圧電素子20a〜20d間及び圧電素子20a〜20dとパッド40a〜40dとの間を接続している。この第1の配線30は、例えば半導体基板10上に積層したアルミニウムをエッチングすることで形成されている。
【0030】
パッド40a〜40dは、半導体圧力センサ1を外部電源(不図示)に電気的に接続するため、及び第1の配線30を介して圧電素子20a〜20dの電気抵抗変化ΔR,ΔRを外部検出器(不図示)に出力するための電極である。例えば、パッド40a,40cが一定電圧又は一定電流の入出力電極であり、パッド40b,40dが圧電素子20a〜20dの電気抵抗変化ΔR,ΔRを出力するための検出用電極である。
【0031】
このパッド40a〜40dは、図5に示すように、第1の配線30と接続している矩形のパターンとなっており、例えばアルミニウムで構成されている。このパッド40a〜40dは、第1の配線30と同様に、半導体基板10上に積層したアルミニウムをエッチングすることで形成されている。なお、パッド40a〜40dの形状は、円形であってよい。また、これらのパッド40a〜40dの配置は、半田バンプ50a〜50dと同様になっており、以下に詳しく述べる。
【0032】
半田バンプ50a〜50dは、導体圧力センサ1と回路基板2を直接接続するために設けられた瘤状の半田(solder)であり、パッド40a〜40d上に設けられている。これらの半田バンプ50a〜50d(パッド40a〜40d)は、図2に示すように、半導体基板10の図中Y方向下側の領域Bに、図中X方向(結晶方位<100>)に沿って一列に配置されている。この領域Bは、半導体基板10の一辺12bと、ダイアフラム13の外縁上において半導体基板10の一辺12bに対し最も近い点Pを通過し、且つ半導体基板10の一辺12bと実質的に平行な直線Lと、の間の領域である。
【0033】
ここで、半田バンプ50a〜50dの全てが領域Bに配置されているので、半田バンプ50a,50b間を結ぶ仮想直線Laと、半田バンプ50b,50c間を結ぶ仮想直線Lbと、半田バンプ50c,50d間を結ぶ仮想直線Lcと、の何れもがダイアフラム13の外側(領域B)を通過するようになっており、ダイアフラム13上を通過しないようになっている。
【0034】
また、半田バンプ50a,50b間の距離l、半田バンプ50b,50c間の距離l及び半田バンプ50c,50d間の距離lは、半田バンプ50a〜50dが半導体基板10の四隅に配置されている場合と比較して、相対的に短い距離となっている。
【0035】
第1の絶縁層60は、図3に示すように、第1の配線30を覆うように半導体基板10の主面12上に積層され、第1の配線30を絶縁保護している。第1の絶縁層60は、例えばエポキシ系樹脂をスクリーン印刷することで形成される。
【0036】
図2に戻って、第1の絶縁層60は、ダイアフラム13を露出させる第1の開口61と、パッド40a〜40dを露出させる第2の開口62と、を有している。第1の開口61は、半導体基板10の主面12の中央部分に形成され、ダイアフラム13の外縁よりも若干大きい貫通孔によって構成されている。第2の開口62は、パッド40a〜40d及び半田バンプ50a〜50dと対応する位置に形成され、パッド40a〜40dよりも小さい円形の貫通孔によって構成されている。この第2の開口62によって、パッド40a〜40d及び半田バンプ50a〜50dが第1の絶縁層60から露出し、圧電素子20a〜20dと回路基板2と間の電気的接続が確保される。
【0037】
図6は図1のVI−VI線に沿った断面図である。
【0038】
以上のように構成される半導体圧力センサ1は、図1及び図6に示すように、半田バンプ50a〜50dを介して、回路基板2に表面実装される。
【0039】
回路基板2は、ガラスエポキシで構成される基板であり、表面に電気回路パターン(不図示)が形成されている。なお、回路基板2を、シリコン(silicon)で構成してもよい。この回路基板2には、半導体圧力センサ1の半田バンプ50a〜50dの配置に対応するように電極21が設けられている。この電極21と半田バンプ50a〜50dを接触させた状態で、半田バンプ50a〜50dを溶融固化することで、半導体圧力センサ1が回路基板2に直接接続される。
【0040】
このようにして回路基板2に直接接続された半導体圧力センサ1では、外部からの加熱や回路基板1自体の発熱によって、回路基板2との間に熱膨張差が生じると、半田バンプ50a〜50dを介して半導体基板10に応力Fが伝達される。また、電子機器に回路基板2を組み込む際に、回路基板2に外力Fが印加されると、この外力Fも半田バンプ50a〜50dを介して半導体基板10に伝達される。ここで、半導体基板10では、半田バンプ50a〜50d間で、このような応力Fや外力Fの影響を受けやすい傾向にある。これにより、薄肉部分であるダイアフラム13が歪んでしまい、圧電素子20a〜20dが意図しない応力Fや外力Fを検出し、オフセット値が変動してしまうことがある。
【0041】
これに対し、本実施形態における半導体圧力センサ1では、図2に示すように、半田バンプ50a〜50d同士を結ぶ仮想直線La,Lb,Lcが前記ダイアフラム13上を通過しないようになっている(仮想直線La,Lb,Lcがダイアフラム13の外側を通過する)ので、ダイアフラム13が半田バンプ50a〜50d同士の間に位置しなくなり、ダイアフラム13が応力F及び外力Fの影響を受け難くなっている。このため、半導体圧力センサ1では、意図しない応力Fや外力Fの検出が抑制され、オフセット値の変動が低減するので、回路基板2に実装された状態においても正確な圧力測定を行うことができる。
【0042】
また、本実施形態における半導体圧力センサ1では、同図に示すように、半導体基板10の一辺12bと、ダイアフラム13の外縁上において半導体基板10の一辺12bに対し最も近い点Pを通過し、且つ半導体基板10の一辺12bと実質的に平行な直線Lと、の間の領域Bに、半田バンプ50a〜50dが配置されているので、応力F及び外力Fは、領域Bに作用し、ダイアフラム13には作用し難くなっている。このため、半導体圧力センサ1では、意図しない応力Fや外力Fの検出が抑制され、オフセット値の変動が低減するので、回路基板2に実装された状態においても正確な圧力測定を行うことができる。
【0043】
また、本実施形態における半導体圧力センサ1では、同図に示すように、半田バンプ50a〜50dが図中X方向に一列に配置されているので、半田バンプ50a〜50d間に生じる応力F及び外力Fは、図中X方向のみに作用し、図中Y方向には作用しないようになっている。このため、本実施形態の半導体圧力センサ1では、図中Y方向におけるダイアフラム13の歪みが抑制され、回路基板2に実装された状態においても正確な圧力測定を行うことができる。
【0044】
また、本実施形態における半導体圧力センサ1では、半導体基板10に、面方位(110)のn型シリコン基板を用い、圧電素子20a〜20dを結晶方位<110>と実施的に平行に配置したので、上記(1)式及び(2)に示すように、圧電素子20a〜20dの電気抵抗変化ΔR,ΔRが結晶方位<100>(図2中X方向)の応力の影響を受け難くなっている。さらに本実施形態における半導体圧力センサ1では、半田バンプ50a〜50dを、この結晶方位<100>(図2中X方向)に沿って一列に配置したので、応力F及び外力Fがダイアフラム13に伝達されても、ダイアフラム13の歪み方向は、結晶方位<100>(図2中X方向)に沿うようになっている。このため、半導体圧力センサ1では、意図しない応力Fや外力Fの検出が抑制され、オフセット値の変動が低減するので、回路基板2に実装された状態においても正確な圧力測定を行うことができる。
【0045】
ここで、半導体基板10(ダイアフラム13)では、半田バンプ50a〜50d間の距離l,l,lが長くなる程、応力F及び外力Fの影響が大きくなる傾向にある。
【0046】
これに対し、本実施形態における半導体圧力センサ1では、半田バンプ50a〜50d間の距離l,l,lが、半田バンプ50a〜50dを半導体基板10の四隅に配置した場合と比較して相対的に短くなっており、応力Fや外力Fによるダイアフラム13への影響が低減されている。このため、半導体圧力センサ1では、意図しない応力Fや外力Fの検出が抑制され、オフセット値の変動が低減するので、回路基板2に実装された状態においても正確な圧力測定を行うことができる。
【0047】
<<第2実施形態>>
図7は本実施形態における半導体圧力センサの平面図、図8は図7のVIII−VIII線に沿った拡大断面図である。
【0048】
本実施形態における半導体圧力センサ1aでは、パッド41a〜41dの配置と、第2の配線70a〜70d及び第2の絶縁層80を備えている点で第1実施形態と相違するが、それ以外の構成は同様である。以下に、第1実施形態と相違する点についてのみ説明し、第1実施形態と同様の構成である部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
パッド41a〜41dは、図7及び図8に示すように、半田バンプ50a〜50dと異なる位置に配置されている。パッド41a,41bは、ダイアフラム13の図7中左側に配置され、パッド41c,41dは、ダイアフラム13の図7中右側に配置されている。なお、パッド41a〜41dは、第1実施形態と同様に、第1の配線30を介して圧電素子20a〜20dと電気的に接続しており、第1の絶縁層60の第2の開口62により第1の絶縁層60から露出している。
【0050】
第2の配線70a〜70dは、第1の絶縁層60上に形成された導電性のラインであり、これらの第2の配線70a〜70dは、例えば銅ペーストをスクリーン印刷し、硬化させることで形成される。なお、第2の配線70a〜70dを、銀ペーストやカーボンペースト等で構成してもよい。これらの第2の配線70a〜70dにおいて、図7に示すように、第2の配線70aがパッド41aと半田バンプ50bとの間を電気的に接続し、第2の配線70bがパッド41bと半田バンプ50aとの間を電気的に接続し、第2の配線70cがパッド41dと半田バンプ50cとの間を電気的に接続し、第2の配線70dがパッド41cと半田バンプ50dとの間を電気的に接続している。
【0051】
第2の配線70a〜70dは、図7及び図8に示すように、第1の端部71a〜71dと、第2の端部72a〜72dと、をそれぞれ有している。第1の端部71a〜71dは、第1の絶縁層60における第2の開口62を介してパッド41a〜41dとそれぞれ接続している。第2の端部72a〜72dは、第2の絶縁層80の第4の開口82(後述)を介して半田バンプ50a〜50dとそれぞれ接続している。なお、この第2の端部72a〜72dは、半田バンプ50a〜50dが載置されるのに十分な大きさの円形パターンとなっている。
【0052】
第2の絶縁層80は、第2の配線70a〜70dを覆うように第1の絶縁層60上に積層され、第2の配線70a〜70dを絶縁保護している。第2の絶縁層80は、例えばエポキシ系樹脂をスクリーン印刷することで形成される。
【0053】
この第2の絶縁層80には、ダイアフラム13を露出させる第3の開口81と、第2の端部72a〜72dを露出させる第4の開口82と、を有している。第3の開口81は、半導体基板10の主面12の中央部分に形成され、第1の絶縁層60の第1の開口61と連通し、且つダイアフラム13の外縁よりも若干大きい貫通孔によって構成されている。第4の開口82は、第2の配線70a〜70dの第2の端部72a〜72dと対応する位置に形成され、第2の端部72a〜72dよりも小さい円形の貫通孔によって構成されている。この第4の開口82によって、第2の端部72a〜72d及び半田バンプ50a〜50dが第2の絶縁層80から露出し、圧電素子20a〜20dと回路基板2と間の電気的接続が確保される。
【0054】
このように、本実施形態における半導体圧力センサ1aは、パッド41a〜41dと半田バンプ50a〜50dを電気的に接続する第2の配線70a〜70dを備えているので、パッド41a〜41dの配置に係わらず、半田バンプ50a〜50dを所望の位置に配置させることができる。
【0055】
なお、本実施形態における第1の絶縁層60が本発明における絶縁層の一例に相当し、本実施形態における第2の配線70が本発明における配線の一例に相当する。
【0056】
<<第3実施形態>>
図9は本実施形態における半導体圧力センサの平面図、図10は本実施形態における半導体圧力センサの第1変形例を示す平面図、図11は本実施形態における半導体圧力センサの第2変形例を示す平面図である。
【0057】
本実施形態における半導体圧力センサ1bでは、半導体基板10aと、圧電素子21a〜21dの配置と、パッドの配置と、半田バンプ51a〜51dの配置と、において第1実施形態と相違しているが、それ以外の構成については第1実施形態と同様である。以下に、第1実施形態と相違する点についてのみ説明し、第1実施形態と同様の構成である部分については同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施形態における半導体圧力センサ1bの半導体基板10aは、図9に示すように、面方位(100)のn型シリコン基板であり、図中X方向が結晶方位<110>と実施的に一致し、図中Y方向が結晶方位<110>と実施的に一致している。
【0059】
圧電素子21a〜21dは、同図に示すように、長手方向が図中Y方向と実質的に平行となるように形成されている。このうち圧電素子21aは、ダイアフラム13において図中X方向の中心線CL上に位置し、ダイアフラム13の一辺13aと接するように配置されている。圧電素子21bは、ダイアフラム13において図中Y方向の中心線CL上に位置し、ダイアフラム13の一辺13bと接するように配置されている。圧電素子21cは、ダイアフラム13において図中X方向の中心線CL上に位置し、ダイアフラム13の一辺13cと接するように配置されている。圧電素子21dは、ダイアフラム13において図中Y方向の中心線CL上に位置し、ダイアフラム13の一辺13dと接するように配置されている。
【0060】
半田バンプ51a〜51d及びパッド(不図示)は、領域Bにおいてマトリックス状に配置されている。なお、図10に示すように、半田バンプ52a〜52d及びパッド(不図示)を、2列に配置してもよい。また、半田バンプ及びパッドがそれぞれ5つ以上設けられている場合には、半田バンプ及びパッドを3列以上の複数例に配置してもよい。このように、半田バンプ51a〜51dを複数列に配置することで、半導体圧力センサ1bを回路基板2に実装する際の機械的な安定性が向上する。
【0061】
また、図11に示すように、半田バンプ53a〜53d及びパッド(不図示)を、半導体基板10aの一辺12cと、ダイアフラム13の外縁上において半導体基板10aの一辺12cに対し最も近い点Pを通過し、且つ半導体基板10aの一辺12cと実質的に平行な直線Lと、の間の領域Cに、配置してもよい。このように、半田バンプ53a〜53dを、領域Cに配置することで、第1実施形態と同様に、半田バンプ53a〜53dを介して伝達される応力Fや外力Fがダイアフラム13に作用し難くなる。このため、半導体圧力センサ1bでは、意図しない応力Fや外力Fの検出が抑制され、オフセット値の変動が低減するので、回路基板2に実装された状態においても正確な圧力測定を行うことができる。
【0062】
また、本実施形態では、半田バンプ51a,51bを結ぶ仮想直線Laと、半田バンプ51b,51cを結ぶ仮想直線Lbと、半田バンプ51c,51dを結ぶ仮想直線Lcと、半田バンプ51a,51dを結ぶ仮想直線Ldと、半田バンプ51a,51cを結ぶ仮想直線Le及び半田バンプ51b,51dを結ぶ仮想直線Lfの何れもがダイアフラム13上を通過しないように、半田バンプ51a〜51dが半導体基板10a上に配置されている。このため、半田バンプ51a〜51dを介して伝達される応力F及び外力Fがダイアフラム13に作用し難くなっている。このため、本実施形態における半導体圧力センサ1bでは、意図しない応力Fや外力Fの検出が抑制され、オフセット値の変動が低減するので、回路基板2に実装された状態においても正確な圧力測定を行うことができる。
【0063】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0064】
1,1a,1b…半導体圧力センサ
10,10a…半導体基板
11…中空部
12…主面
12b,12c…一辺
13…ダイアフラム
13a〜13d…一辺
20a〜20d…圧電素子
30…第1の配線
40a〜40d…パッド
50a〜50d…半田バンプ
60…第1の絶縁層
61…第1の開口
62…第2の開口
70a〜70d…第2の配線
71a〜71d…第1の端部
72a〜72d…第2の端部
80…第2の絶縁層
81…第3の開口
82…第4の開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に実装される半導体圧力センサであって、
半導体基板と、
前記半導体基板の一部を薄肉に形成したダイアフラムと、
前記ダイアフラムに形成された圧電素子と、
前記半導体基板上に配置され、前記電圧素子に電気的に接続された複数のパッドと、
複数の前記パッドにそれぞれ電気的に接続された複数の半田バンプと、を備え、
複数の前記半田バンプは、前記半田バンプ同士を結ぶ仮想直線が前記ダイアフラム上を通過しないように、前記半導体基板上に配置されることを特徴とする半導体圧力センサ。
【請求項2】
請求項1記載の半導体圧力センサであって、
複数の前記半田バンプは、前記半導体基板の一辺と、前記ダイアフラムの外縁上において前記一辺に対し最も近い点を通過し、且つ前記一辺と実質的に平行な直線と、の間の領域に配置されていることを特徴とする半導体圧力センサ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の半導体圧力センサであって、
複数の前記半田バンプは、複数列に配置されていることを特徴とする半導体圧力センサ。
【請求項4】
請求項1又は2記載の半導体圧力センサであって、
複数の前記半田バンプは、一列に配置されていることを特徴とする半導体圧力センサ。
【請求項5】
請求項4記載の半導体圧力センサであって、
前記半導体基板は、面方位(110)のn型シリコン基板であり、
複数の前記圧電素子は、結晶方位<110>と実質的に平行に配置され、
複数の前記半田バンプは、結晶方位<100>の方向に沿って配置されていることを特徴とする半導体圧力センサ。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の半導体圧力センサであって、
前記半導体基板上に積層された絶縁層と、
前記絶縁層上に形成され、前記パッドと前記半田バンプを電気的に接続する配線と、を備え、
前記絶縁層は、
前記ダイアフラムを露出させる第1の開口と、
複数の前記パッドをそれぞれ露出させる複数の第2の開口と、を有し、
前記配線は、前記第2の開口を通じて前記パッドと接続し、
前記半田バンプは、平面視において、前記パッドと異なる位置に配置されることを特徴とする半導体圧力センサ。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の半導体圧力センサを実装した回路基板であって、
前記半導体圧力センサは、複数の前記半田バンプにより前記回路基板と直接接続されていることを特徴とする回路基板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−112432(P2011−112432A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267307(P2009−267307)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】