説明

半導体素子の製造方法

【課題】本発明は、歩留まりを向上できる半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る半導体素子の製造方法は、半導体基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜の一部をエッチングして複数段の段部を形成する工程と、前記第1の絶縁膜上に前記段部を覆うように導電層を形成する工程と、前記導電層の前記段部を覆う部分をエッチングする工程と、を備えることを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子の製造方法に関し、特に、所定の工程において、半導体基板上の絶縁膜等の構造で段差が生じる半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力用半導体素子を応用した機器が、大形化、大容量化する傾向がある。これに伴って、大電流特性及び高ブレークダウン電圧特性を有する電力用半導体素子の必要性が高まっている。特に、電力用半導体素子を用いた回路において、ある電力用半導体素子がオン状態からオフ状態になるときに、オフ状態になった電力用半導体素子やそれとは別の電力用半導体素子のpn接合に、高い逆方向電圧が印加されることがある。このような場合にも、それら電力用半導体素子のpn接合において、ブレークダウンが生じない高ブレークダウン電圧特性が要求されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
半導体素子のブレークダウン電圧はpn接合の空乏領域により決定される。これは、pn接合に印加された電圧の大部分が空乏領域に印加されるからである。また、このブレークダウン電圧は、空乏領域の曲率の影響を受ける。
【0004】
このため、プレーナ接合においては、空乏領域の曲率が平坦部よりも大きくなるエッジ部に電界が集中し、エッジ部からアバランシェブレークダウンが発生しやすい。従って、プレーナ接合において、空乏領域全体のブレークダウン電圧は、エッジ部におけるブレークダウン電圧で決定される。
【0005】
そこで、プレーナ接合における空乏領域のブレークダウン電圧を増加させる手法として、エッジ部にフィールドプレートを形成し、エッジ部における空乏領域の曲率を改善する方法が知られている(例えば、非特許文献1)。この方法は、フィールドプレートに電圧を印加することにより、半導体基板の表面電位を変化させて空乏層の曲率を制御する方法である。
【0006】
この方法では、フィールドプレートは半導体基板上に設けられた絶縁膜の上面に形成される。そして、ブレークダウン電圧を増加させるためには、この絶縁膜の膜厚を厚くすることが必要である。ところが、膜厚を厚くすると、半導体基板の上面と絶縁膜の上面との間の段差が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−335631号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】「パワーセミコンダクタデバイス」、1966年、B.J.Baliga著、p.100〜102
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そして、絶縁膜の上面にフィールドプレートを形成するときには、まず、導電膜を絶縁膜の上面に成膜する。このとき、絶縁膜の側面にも導電膜は成膜される。上述のように、半導体基板の上面と絶縁膜の上面との間の段差が大きくなる場合、絶縁膜の側面に成膜された導電膜においては、半導体基板の上面と垂直な方向の厚みが大きくなる。
【0010】
このため、ドライエッチング等によって不要な導電膜を除去し、導電膜を絶縁膜の上面に残してフィールドプレートにするときに、絶縁膜の側面の導電膜を完全に除去しきれないことがある。この場合、導電膜の残渣が絶縁膜の側面に発生する。
【0011】
この結果、導電膜の残渣が残った状態で、フィールドプレートを形成した後の工程が実行されることになる。そして、フィールドプレートを形成した後の工程において、導電膜の残渣が剥がれ、半導体基板に再付着することになる。この結果、電力用半導体素子の歩留まりが低下する。
【0012】
また、上述のように、フィールドプレートを形成する際に、半導体基板の上面と絶縁膜の上面との間の段差が大きくなった場合に、フィールドプレート用の導電膜とは異なる導電膜を絶縁膜上に成膜することもある。この場合にも、導電膜の残渣が絶縁膜の側面に発生する。そして、導電膜の残渣が後の工程で剥がれ、半導体基板に再付着する。この結果、電力用半導体素子の歩留まりが低下する。
【0013】
本発明は、この問題を解決するためになされ、歩留まりを向上できる半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の発明に係る半導体素子の製造方法は、半導体基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の絶縁膜の一部をエッチングして複数段の段部を形成する工程と、前記第1の絶縁膜上に前記段部を覆うように導電層を形成する工程と、前記導電層の前記段部を覆う部分をエッチングする工程と、を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、半導体素子の歩留まりを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施の形態1に係る電力用半導体素子の要部を示す縦断面図である。
【図2】実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図3】実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図4】実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図5】実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図6】実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図7】実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図8】実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図9】実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図10】実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図11】実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図12】実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図13】実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図14】第1の比較例に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図15】第1の比較例に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図16】第1の比較例に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図17】第1の変形例に係る電力用半導体素子の要部を示す縦断面図である。
【図18】第2の変形例に係る電力用半導体素子の要部を示す縦断面図である。
【図19】実施の形態2に係る電力用半導体素子の要部を示す縦断面図である。
【図20】実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図21】実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図22】実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図23】実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図24】実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図25】実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図26】実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図27】実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図28】実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図29】実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図30】実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図31】実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図32】実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【図33】第2の比較例に係る電力用半導体素子の製造方法を要部を示す工程断面図である。
【図34】第2の比較例に係る電力用半導体素子の製造方法を要部を示す工程断面図である。
【図35】第2の比較例に係る電力用半導体素子の製造方法を要部を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る電力用半導体素子の要部を示す縦断面図である。電力用半導体素子10は還流ダイオードである。n型の半導体基板12の上面側には、p型の不純物領域14が形成されている。半導体基板の上面12aにおいては、絶縁膜16が不純物領域の端部14bの位置から半導体基板の側面12bにまで形成されている。絶縁膜の上面16aにはフィールドプレート20が形成されている。そして、絶縁膜16には複数段の段部18が形成されている。また、不純物領域の上面14aには、Al−Si電極20が形成されている。半導体基板12の下面側には、n型の半導体層22が形成されている。
【0018】
還流ダイオードである電力用半導体素子10は、IGBTやMOSFET等のトランジスタとともに同一の回路内で用いられる。課題で説明したように、IGBTやMOSFET等のトランジスタがオン状態からオフ状態になるときには、この電力用半導体素子10における不純物領域14と半導体基板12のpn接合には高い逆方向電圧が印加され、ブレークダウンが生じる恐れがある。これを防止するため、電力用半導体素子10では、不純物領域の端部14bの近くに集中した電界をフィールドプレート20によって緩和する。
【0019】
以下、実施の形態1に係る電力用半導体素子10の製造方法の要部を説明する。図2〜図13は、実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【0020】
まず、図2に示すように、n型の半導体基板12にp型の不純物を拡散してp型の不純物領域14を形成する。
【0021】
次に、図3に示すように、半導体基板の上面12aに絶縁膜(第1の絶縁膜)16を成膜する。次に、図4に示すように、写真製版によって絶縁膜16上にレジストパタン26を形成する。次に、図5に示すように、ドライエッチング等によって絶縁膜16の一部を除去し、不純物領域の端部14bの位置から半導体基板の側面12bにまで絶縁膜16を残す。不純物領域14の一部は、絶縁膜16から露出する。また、半導体基板の上面12aと絶縁膜の上面16aとの間に段差24が生じる。
【0022】
次に、図6に示すように、写真製版によって、絶縁膜の上面16aにおいて段差24側の所定領域以外にレジストパタン26を形成する。次に、図7に示すように、ドライエッチング等によって、レジストパタン26が無い部分の絶縁膜16を所定の厚さになるまでエッチングする。次に、図8に示すように、絶縁膜の上面16aにおいて段差24側の所定領域以外にレジストパタン26を再度形成し、レジストパタン26が無い部分の絶縁膜16を所定の厚さになるまでエッチングする。次に、図9に示すように、残ったレジストを除去する。これにより、絶縁膜16において、段差24が生じた箇所に複数段の段部18を形成する。
【0023】
次に、図10に示すように、絶縁膜16上に複数段の段部18を覆うようにドープトポリシリコン膜(導電層)28を形成する。次に、図11に示すように、ドープトポリシリコン膜28上において、絶縁膜の上面16aの上の部分に、写真製版によってレジストパタン26を形成する。次に、図12に示すように、ドライエッチング等によって、ドープトポリシリコン膜28における上述した複数段の段部18を覆う部分を除去し、図13に示すように、レジストパタン26を除去する。これにより、ドープトポリシリコン膜28を絶縁膜の上面16aに残してフィールドプレート10とする。以上のように、電力用半導体素子は製造される。
【0024】
ここで、以上の実施の形態1に係る製造方法を、第1の比較例に係る電力用半導体素子の製造方法と比較して、実施の形態1の効果を説明する。図14〜図16は、第1の比較例に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【0025】
第1の比較例では、図14に示すように、絶縁膜16に複数段の段部18を形成することなく、絶縁膜16上にドープトポリシリコン膜28を形成する。次に、図15に示すように、ドープトポリシリコン膜28上にレジストパタン26を形成する。次に、図16に示すように、ドライエッチング等によってドープトポリシリコン膜28の一部を除去しフィールドプレート10を形成する。
【0026】
絶縁膜16に複数段の段部18を形成しないため、絶縁膜の側面16bに形成されたドープトポリシリコン膜28において、半導体基板の上面12aと垂直な方向の厚みが大きくなる。従って、絶縁膜の側面16bのドープトポリシリコン膜28を完全に除去しきれず、残渣30が残る。
【0027】
一方、実施の形態1に係る製造方法では、絶縁膜16に複数段の段部18を形成した上で、ドープトポリシリコン膜28を成膜する。これにより、図11に示すように、絶縁膜の側面16bに形成されたドープトポリシリコン膜28において、半導体基板の上面12aと垂直な方向の厚みは、第1の比較例と比較して小さくなる。
【0028】
従って、絶縁膜の側面16bのドープトポリシリコン膜28を完全に除去できる。このため、残渣30が発生することがなくなり、電力用半導体素子の歩留まりを向上できる。
【0029】
なお、図13に示す絶縁膜の厚さtを1.5μm以上にすると、複数段の段部18を形成しない場合において、ドープトポリシリコン膜28の残渣30が発生し易くなる。このため、上述の効果は得やすい。これは、以下の実施の形態でも同様である。
【0030】
また、図13に示す複数段の段部の各段の幅wに対する、図13に示す当該各段の高さhの比を1.0以下にすると、残渣30の発生を抑制する効果は大きくなる。一方、当該比を0.1以下にするとその効果は飽和する。更に、当該比が小さくなると、フィールドプレート10の効果が得られない図13に示した終端領域32が広くなる。例えば、該各段の高さhが2μmで当該比が1.0の場合には当該各段の幅wは2μmであるが、該各段の高さhが2μmで当該比が0.01の場合には当該各段の幅wは200μmとなり、終端領域32は広くなる。従って、当該比をを0.1〜1.0にすれば、残渣30の発生を効果的に抑制しつつ終端領域32が広くなるのを抑制できる。これは、以下の実施の形態でも同様である。
【0031】
そして、半導体基板の上面12aと絶縁膜の側面16bとの角度αを60度以下にすると、この絶縁膜の側面16bに形成されたドープトポリシリコン膜28においては、半導体基板の上面12aと垂直な方向の厚みがより小さくなる。このため、残渣30の発生を効果的に抑制できる。これは、以下の実施の形態でも同様である。
【0032】
更に、実施の形態1において、半導体基板12は、シリコン基板、SiC基板、及びダイヤモンド基板のいずれでも構わない。いずれであっても、上述した効果を得られる。これは、以下の実施の形態でも同様である。
【0033】
また、実施の形態1では、半導体基板の上面12aと絶縁膜の上面16aとの間に段差が生じる場合に、絶縁膜16に複数段の段部18を形成しているが、半導体基板12と半導体基板12と同じ材質の部材との間に段差が生じた場合にも、同様に複数段の段部18を形成することにより、同様の効果が得られる。
【0034】
以下に、実施の形態1の変形例について説明する。
実施の形態1に係る電力用半導体素子は還流ダイオードであったが、実施の形態1に係る電力用半導体素子の製造方法は、還流ダイオード以外の電力用半導体素子にも適用できる。
【0035】
図17は、第1の変形例に係る電力用半導体素子の要部を示す縦断面図である。第1の変形例に係る電力用半導体素子10は、IGBT(絶縁ゲ−トバイポ−ラトランジスタ)である。p型のコレクタ層40上に、n型のバッファ層42、及びn型のエピタキシャル層44が、順番に形成されている。エピタキシャル層44の上面側には、pベース領域46が形成されている。pベース領域46の上面からエピタキシャル層44の内部まで形成された溝に、ポリシリコンゲート48が形成されている。pベース領域46の上面側において、ポリシリコンゲート48の周りには、ゲート酸化膜50を介して、n型のエミッタ領域52が形成されている。
【0036】
更に、エピタキシャル層44上においては、pベース領域の端部46bの位置からエピタキシャル層の側面44bにまで、絶縁膜16が形成されている。絶縁膜16には、実施の形態1と同様に、複数段の段部18が設けられている。そして、絶縁膜の上面16aには、フィールドプレート20が形成されている。
【0037】
第1の変形例に係る電力用半導体素子を製造する場合にも、実施の形態1に係る製造方法を適用して、絶縁膜16に複数段の段部18を形成できる。これにより、フィールドプレート20用の導電層の残渣が発生するのを抑制し、電力用半導体素子の歩留まりを向上できる。
【0038】
図18は、第2の変形例に係る電力用半導体素子の要部を示す縦断面図である。第2の変形例に係る電力用半導体素子10はMOSFETである。n型の半導体基板54上に、n型のエピタキシャル層56が形成されている。エピタキシャル層56の上面側には、pベース領域58が形成されている。pベース領域58の上面からエピタキシャル層56の内部まで形成された溝に、ポリシリコンゲート60が形成されている。pベース領域46の上面側において、ポリシリコンゲート60の周りには、ゲート酸化膜62を介して、n型のソース領域64が形成されている。
【0039】
更に、エピタキシャル層52上においては、pベース領域の端部58bの位置からエピタキシャル層の側面56bにまで、絶縁膜16が形成されている。絶縁膜16には、実施の形態1と同様に、複数段の段部18が設けられている。そして、絶縁膜の上面16aには、フィールドプレート20が形成されている。
【0040】
第2の変形例に係る電力用半導体素子を製造する場合にも、実施の形態1に係る製造方法を適用して、絶縁膜16に複数段の段部18を形成できる。これにより、フィールドプレート20用の導電層の残渣が発生するのを抑制し、電力用半導体素子の歩留まりを向上できる。
【0041】
実施の形態2.
図19は、実施の形態2に係る電力用半導体素子の要部を示す縦断面図である。電力用半導体素子10は、IGBT(絶縁ゲ−トバイポ−ラトランジスタ)である。n型の半導体基板12の上面側にはpベース領域46が形成され、pベース領域46にはn型のエミッタ領域52が形成されている。半導体基板12上には、第1の絶縁膜70及び第2の絶縁膜72が形成されている。
【0042】
そして、第1の絶縁膜の上面70aには、フィールドプレート(図示せず)が形成される。ブレークダウン電圧を増加させるために、第1の絶縁膜70は厚く形成されている。また、第1の絶縁膜70には複数段の段部18が形成されている。更に、第2の絶縁膜72には、エミッタ領域52に達するコンタクトホール74が形成されている。コンタクトホール74の内部には、タングステンプラグ76が形成されている。タングステンプラグ76上にはAl−Si電極78が形成されている。
【0043】
以下、実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を説明する。図20〜図31は、実施の形態2に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を示す工程断面図である。
【0044】
まず、図20に示すように、半導体基板12上に第1の絶縁膜70を成膜する。なお、半導体基板12の上面側にはpベース領域46が形成され、pベース領域46にはn型のエミッタ領域52が形成されている。
【0045】
次に、図21に示すように、写真製版によってレジストパタン26を形成後に、ドライエッチング等によって第1の絶縁膜70の一部を除去する。エミッタ領域52は露出する。また、半導体基板の上面12aと第1の絶縁膜の上面70aとの間に段差24が生じる。
【0046】
次に、図22に示すように、写真製版によって、第1の絶縁膜の上面70aにおいて、エミッタ領域52側の所定領域以外にレジストパタン26を形成する。次に、図23に示すように、ドライエッチング等によって、レジストパタン26が無い部分の第1の絶縁膜70を所定の厚さになるまでエッチングする。次に、図24に示すように、第1の絶縁膜の上面70aにおいて、エミッタ領域52側の所定領域以外にレジストパタン26を再度形成し、レジストパタン26が無い部分の第1の絶縁膜70を所定の厚さになるまでエッチングする。これにより、図25に示すように、第1の絶縁膜70において、段差24が生じた箇所に複数段の段部18を形成する。
【0047】
次に、図26に示すように、半導体基板12上に第2の絶縁膜72を形成する。次に、図27に示すように、第2の絶縁膜72上に写真製版によってレジストパタン26を形成し、ドライエッチング等によって第2の絶縁膜72の一部を除去する。これにより、図28に示すように、半導体基板12のエミッタ領域52に達するコンタクトホール74を形成する
【0048】
次に、図29に示すように、第1の絶縁膜70及び第2の絶縁膜72上に、コンタクトホール74の内壁を覆うようにTi/TiN等のバリアメタル80を成膜する。次に、図30に示すように、バリアメタル80上に、タングステン膜(導電層)82をCVD法により成膜する。この時には、複数段の段部18を覆うようにタングステン膜82を成膜し、更に、コンタクトホール74の内部が埋まるようにタングステン膜82を成膜する。
【0049】
次に、図31に示すように、タングステン膜82をエッチバッグして、タングステン膜82における上述した複数段の段部18を覆う部分を除去する。これにより、タングステン膜82をコンタクトホール74の内部に残し、タングステンプラグ76を形成する。次に、図32に示すように、タングステンプラグ76上にAl−Si電極78を形成し、不要なバリアメタル80を除去する。
【0050】
ここで、第2の比較例に係る電力用半導体素子の製造方法の要部を説明する。図33〜図35は、第2の比較例に係る電力用半導体素子の製造方法を要部を示す工程断面図である。
【0051】
第2の比較例に係る製造方法では、図33に示すように、第1の絶縁膜70に複数段の段部18を形成することなく、タングステン膜82をCVD法により成膜する。次に、図34に示すように、タングステン膜82をエッチバッグしてタングステンプラグ76を形成する。次に、図35に示すように、Al−Si電極78を形成し、不要なバリアメタル80を除去する。
【0052】
第2の比較例では、第1の絶縁膜70に複数段の段部18を形成しない。このため、第1の絶縁膜の側面70bに成膜されたタングステン膜82においては、半導体基板の上面12aと垂直な方向の厚みが大きくなる。従って、タングステン膜82をエッチバッグするときに、第1の絶縁膜の側面70bのタングステン膜82を完全に除去しきれず、残渣30が残る。
【0053】
一方、実施の形態2に係る製造方法では、絶縁膜16に複数段の段部18を形成した上で、タングステン膜82を成膜する。これにより、図30に示すように、第1の絶縁膜の側面70bに形成されたタングステン膜82においては、半導体基板の上面12aと垂直な方向の厚みが、第2の比較例と比較して小さくなる。
【0054】
従って、第1の絶縁膜の側面70bのタングステン膜82を完全に除去できる。このため、残渣30が発生することがなくなり、電力用半導体素子の歩留まりを向上できる。
【0055】
また、実施の形態2では、タングステン膜82は上述のようにCVD法で成膜される。このため、タングステン膜82は、他の方法で成膜された導電層と比較して、その残渣30が発生し易く剥がれやすい。このため、実施の形態2では、CVD法以外の方法で導電層を成膜する場合と比較して、半導体素子の歩留まりを効率的に向上できる。
【符号の説明】
【0056】
10 電力用半導体素子
12 半導体基板
14 不純物領域
16 絶縁膜
18 複数段の段部
28 ドープトポリシリコン膜(導電層)
30 残渣
70 第1の絶縁膜
72 第2の絶縁膜
74 コンタクトホール
82 タングステン膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜の一部をエッチングして複数段の段部を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に前記段部を覆うように導電層を形成する工程と、
前記導電層の前記段部を覆う部分をエッチングする工程と、
を備えることを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項2】
前記半導体基板は、第1導電型の半導体基板であり、
前記第1の絶縁膜を形成する前に、前記半導体基板に第2導電型の不純物を拡散して不純物領域を形成する工程を更に備え、
前記第1の絶縁膜を形成する時に、前記不純物領域の一部が露出するように、前記不純物領域の端部上に、前記第1の絶縁膜を形成し、
前記導電層をエッチングする時に、前記導電層を前記第1の絶縁膜上に残してフィールドプレートとすることを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項3】
前記段部を形成した後に、前記半導体基板上に第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記導電層を形成する前に、前記第2の絶縁膜をエッチングして前記半導体基板に達するコンタクトホールを形成する工程と、
を更に備え、
前記導電層を形成する時に、前記導電層を前記コンタクトホールの内部に形成し、
前記導電層をエッチングする時に、前記導電層を前記コンタクトホールの内部に残すことを特徴とする請求項1に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項4】
前記導電層を形成する時に、前記導電層をタングステンから構成し、CVD法によって形成することを特徴とする請求項3に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項5】
前記第1の絶縁膜を形成する時に、前記第1の絶縁膜の厚さを1.5μm以上にすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項6】
前記段部を形成する時に、前記段部の各段の幅に対する当該各段の高さの比を0.1〜1.0にすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項7】
前記段部を形成する時に、前記半導体基板の上面と前記段部の側面との角度を60度以下にすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2011−82411(P2011−82411A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234827(P2009−234827)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】