説明

半導体素子の適用ための無洗浄低残留物ハンダペースト

無洗浄の低い残留物のハンダペーストは、半導体素子のダイ接着分配又はファインピッチ印刷として記載されている。該ハンダペーストは、ペースト分離する傾向のない均一な粘稠性を有する。均一に残りの残留物は、透明及び結晶様であり、かつ先に溶剤で洗浄してフラックス残留物を取り除かない他の加工工程と相容性がある。該ハンダペーストは、粘性のある溶剤系、チキソトロープ剤、活性剤、添加剤、及び場合による可塑剤との組合せにおけるロジンの比較的少量を含有する。溶剤、例えば2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール又はイソボルニルシクロヘキサノールの粘度は、30℃で10000cpsより大きい。該ペーストは、リフローハンダ付けのために使用されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子のダイ接着剤又はリフローハンダ付けのための無洗浄の、低残留物のハンダペーストに関する。該ハンダペーストは、ペースト分離の傾向がない均一な粘稠度を有する。最終的に残った残留物は、透明及び結晶様であり、かつ先に溶剤で洗浄してフラックス残留物を取り除かない他の加工工程と相容性である。
【0002】
背景技術
ハンダペーストは、一般にビヒクルとしても称される、フラックス中でハンダ粉末を分散することによって製造される結合材料である。ハンダペーストは、例えば、ステンシルを使用するスクリーン印刷によって印刷された回路基板に、又はそれぞれの領域上に好適な該ペーストの少量を付着してハンダ付けさせるためにシリンジを介して分配することによってあらゆる金属化表面に適用され、かつ続いて炉中で加熱されて、ハンダを溶かし、そして接着を実施する。このハンダ付け技術を、一般にリフローハンダ付けと言う。赤外線加熱、レーザー加熱、熱気加熱、及び熱板加熱を含む種々の加熱法は、リフロー炉中で使用されうる。ハンダペーストは、スクリーン印刷又は分配に好適な一定のレオロジー特性を有さなければならない。
【0003】
ハンダペーストのフラックス又はビヒクルは、接着表面から及びハンダ粉末から酸化物層を取り除いて良好に接着させることを可能にする少なくとも1つの活性剤を含有する。さらに該フラックスは、ペーストのレオロジー特性を調節する成分を含有する。従来のフラックスの主成分は、それぞれフラックスの全質量に対して、40〜70質量%の濃度で使用されるロジン及びロジン誘導体、及び20〜50質量%の濃度で使用される溶剤の組み合わせである。
【0004】
かかる従来のフラックスの一つの欠点は、ロジン及びフラックスの他の固形成分の相当量は、得られたハンダ継手上又は付近にフラックス残留物として残存することである。リフローの間、多くの化学反応が、ロジン、フラックスの他の成分と、ハンダ合金の表面上の金属酸化物との間で起こる。反応生成物の不揮発性部分及び未加工材料の不活性成分は、残留物として加工物上に残存する。工業用の無洗浄ハンダペーストは、残留物6〜7質量%を有する。
【0005】
前記残留物は、著しい量で残っている場合に、ハンダ付けされた領域の不良な外観を導き、かつハンダペーストでハンダ付けさせた電子部品のピンの接触を損なう。さらに、フラックス残留物は、フラックス残留物による吸湿によって減少する加工物の回路間での絶縁抵抗を生じてよく、又はフラックス残留物からの腐食生成物の形成によって破壊もしくは切断された回路を生じてよい。従って、高い信頼性を要求するための電子装置における使用を目的とする加工物は、リフローハンダ付け後に、洗浄剤で洗浄して、ハンダ付けさせた領域中で残っているフラックス残留物を取り除かなければならない。
【0006】
しばしば、電子装置は、湿気に反して密封させ、信頼性を増加しなければならない。密封は、全体の加工物を成形する樹脂によって行われる。そのような場合において、該加工物は、洗浄剤で洗浄され、樹脂被覆又は樹脂成形する前にあらゆるフラックス残留物を取り除かれなければならない。フッ素化溶剤及び塩化溶剤を基礎とする洗浄剤は、フラックス残留物中のロジンを溶解するために首尾よく使用されてきた。しかしながら、樹脂成形の前の加工物を洗浄する必要性は、追加の高価な製造工程を導入する。さらに、該溶剤の使用は、それらの蒸気が大気中のオゾン層の破壊を引き起こすために、現在規制されている。
【0007】
従って、低いフラックス残留物を有するハンダペースト、いわゆる無洗浄ハンダペーストが、従来開発されてきた。US 5,176,759号は、例えば、混合物で粉末ハンダ及びフラックスを有するハンダ付け後に残っている最小のフラックス残留物を有するハンダペーストを開示している。前記フラックスは、ロジン又はロジン誘導体、活性剤及びチキソトロープ剤を含有するキャリヤー成分約5質量%〜約40質量%、並びに溶剤約60質量%〜約95質量%を含有する。前記溶剤は、主に(50質量%より多い)、アルキル基において炭素原子1〜4個を有する2−アルキル−1,3−ヘキサンジオールを含有する。該溶剤において使用される2−アルキル−1,3−ヘキサンジオールの粘度は、低い(典型的に20℃で約323cpsの範囲内)。この特許において、残りの残留物は、視覚的に観察され、かつ四等級1〜4の一つを割り当てる。残っているフラックスの百分率は与えられない。このタイプのハンダペーストでのリフローハンダ付け後に残っている減少されたフラックス残留物は、高い信頼性を要求するための通常の電子装置における実質的な問題を生じない。しかしながら、減少された残留物のハンダペーストは、非常に高い信頼性を要求するための今日の電子装置について完全に十分でない。
【0008】
US 6,887,319 B2号は、あらゆるロジンを含まない残留物のないハンダペーストを開示している。残留物のないハンダは、リフローハンダ付け後に殆ど又は全くフラックス残留物を残さず、かつロジンを有さないペースト状のフラックスと混合させたハンダ粉末を含有する。該フラックスは、全量30〜90質量%で、少なくとも1つの固形の溶剤、及び少なくとも1つの高粘度の溶剤、少なくとも1つの液体溶剤に加えて、リフローハンダ付け温度で蒸発した全ての溶剤を含有する。該フラックスは、チキソトロープ剤、例えば脂肪酸アミド0.5〜12%、及び有機酸及びそれらのアミン塩から選択された活性剤1〜15%をさらに含有してよく、その際、チキソトロープ剤及び活性剤は、溶剤が蒸発している間に、溶剤の存在下で蒸発する。このハンダペーストは、リフローハンダ付け後に残った残留物量から十分であると思われるが、しかし均一性、ペースト分離に反した安定性、及び濡れの要求に関してまだ十分ではない。
【0009】
従って、リフローハンダ付け後に残っている多くて2%のフラックスを有する、良好な濡れ、より高い安定性及び均一な低残留物ハンダペーストの連続した必要がある。フラックス残留物は、成形加工が実施されなければならない場合でさえ、他の加工工程と相容性であり、従って洗浄によってフラックス残留物を取り除く必要性を回避するべきである。
【0010】
発明の概要
種々の実施態様において、本発明は、低残留物のハンダペーストを提供する。リフローハンダ付け後に残っているフラックス残留物は、透明で、固く、及び結晶様であり、かつ先に残留物を洗い流さない他の加工工程と相容性である。該ハンダペーストは、390℃までのリフローピーク温度に耐える。残りの残留物は、185℃までの成形温度に耐える。
【0011】
種々の実施態様において、前記ハンダペーストは、フラックス中で分散されたハンダ粉末を含有し、該フラックスは、溶剤系、少なくとも1つのチキソトロープ剤、少なくとも1つの活性剤、及びロジンの均質混合物を含有し、前記溶剤系は、室温で高粘度の溶剤及び/又は固形の溶剤を含有し、かつそれぞれフラックスの全質量に対して、溶剤系の濃度は、55〜75質量%に達し、並びにロジンの濃度は、10〜25質量%に達する。
【0012】
他の及びさらなる利点並びに実施態様と共に本発明のより良い理解のために、実施例、追記された請求項において示す範囲に関連して取り入れられた以下の記述を参照する。
【0013】
発明の詳細な説明
本発明は、好ましい実施態様に関連して記載されている。これら実施態様は、本発明の理解の補助をもたらし、かつあらゆる方法で本発明を制限することを意図しない、及び制限すると解されるべきではない。本発明の開示を読むことで当業者に明らかになってよい、全ての代替、修正及び同等物は、本発明の趣旨及び範囲に含まれる。
【0014】
種々の実施態様において、本発明のハンダペーストは、フラックスの多くて2%の非常に低いフラックス残留物のみを有する。該残留物は、非伝導性であり、化学的に不活性であり、硬く、かつ無色明澄である。本発明の種々の実施態様による、ハンダペーストの残留物は、さらなる組立加工の前に洗い落とされてはならず、従って組立費用を低減する。
【0015】
前記のハンダペーストは、フラックス中で分散させたハンダ粉末を含有する。計画されるように、ハンダペーストの有益な特性は、溶剤系、少なくとも1つのチキソトロープ剤、少なくとも1つの活性剤、及びロジンの均質混合物を含有するフラックスで得られることができ、その際、該溶剤系は、高粘度の溶剤及び/又は固形の溶剤を含有し、かつそれぞれフラックスの全質量に対して、溶剤系の濃度が、55〜75質量%に達し、及びロジンの濃度が、10〜25質量%に達する。
【0016】
有利には、該ハンダペーストは、ハンダ粉末80〜90質量%を含有し、バランスはフラックスである。
【0017】
ハンダペーストのフラックスは、溶剤に関して比較的少ない量のロジンを含有する。該ハンダペーストの十分な高粘度を保証するために、前記溶剤系は、室温で高粘度の溶剤及び固形の溶剤を含有する。本明細書で使用される"高粘度の溶剤"という用語は、室温で高粘度のシロップの様なレオロジー特性を有する、30℃で少なくとも10000cpsの粘度を有するものを示す。より有利には、高粘度の溶剤の粘度は、100000cpsより大きい。"固形の溶剤"という用語に関しては、溶剤が、室温で固体状態であることを意味する。
【0018】
均質混合物は、溶剤の均一な混合物(例えば、高粘度の溶剤及び/又は固形の溶剤の均一な混合物)を含む。種々の実施態様において、均質混合物は、溶剤の均一な混合物(例えば、高粘度の溶剤、固形の溶剤、グリコールエーテル、及び/又はアルコールの均一な混合物)を含む。この溶剤系は、フラックスの安定性を改善する。
【0019】
高粘度の溶剤及び/又は固形の溶剤に加えて、前記溶剤系は、高粘度の溶剤よりも低い粘度を有する1つ以上のアルコール及び1つ以上のグリコールエーテルを含有する。
【0020】
有利には、溶剤系の均質混合物は、トリメチロプロパン、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、イソボルニルシクロヘキサノール、又はそれらの組み合わせからなる群から選択された、室温で高粘度の溶剤及び/又は固形の溶剤の混合物を含む。
【0021】
前記グリコールエーテルは、モノ−、ジ−もしくはトリ−プロピレングリコールメチルエーテル、モノ−、ジ−もしくはトリ−プロピレングリコールn−ブチルエーテル、モノ−、ジ−もしくはトリ−エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、トリ−エチレングリコールメチルエーテル、ジ−エチレングリコールジ−ブチルエーテル、テトラ−エチレングリコールジ−メチルエーテル、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0022】
前記アルコールは、有利には、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、n−デシルアルコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、テルピネオール及びイソプロパノール又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
最良の結果は、それぞれのフラックスの全質量に対して、室温で高粘度の溶剤及び/又は固形の溶剤30〜50質量%、グリコールエーテル10〜30質量%、及びアルコール10〜20質量%を含有する溶剤系で得られた。
【0024】
前記ロジンは、トール油ロジン、水素化ロジン、部分的に水素化されたロジン、脱水素化ロジン又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。最も有利には、水素化ロジン又はトール油ロジンが使用される。
【0025】
フラックスのレオロジー特性を改質するためには、有利には、グリセリルトリス−12−ヒドロキシステアレート、改質グリセリルトリス−12−ヒドロキシステアレート、ポリアミド、ステアラミド又はそれらの組み合わせからなる群から選択されるチキソトロープ剤1〜6質量%を含有する。グリセリルトリス−12−ヒドロキシステアレート又はステアラミドが、最も好ましい。
【0026】
有利には、前記活性剤は、フラックスの全質量に対して、10〜20質量%に達する。良好な濡れ性を得るために、有機酸とアミンとの組み合せが、活性剤として使用される。該有機酸は、カプロン酸、フェニル酢酸、安息香酸、サリチル酸、アミノ安息香酸、4−n−ブチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、アジピン酸、マロン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。該アミンは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。良好な結果は、有機酸5〜15質量%、及びアミン1〜10質量%を含有する活性剤で得られ、その際、4−n−ブチル安息香酸又は4−tert−ブチル安息香酸が有機酸として使用され、かつモノエタノールアミン又はジエタノールアミンがアミンとして使用された。
【0027】
さらにハンダペーストの濡れ性を改良するために、添加剤0.5〜3質量%が、フラックスに添加されうる。特に、該添加剤は、エトキシ化アミンロジン、アミンロジン、ロジンのメチルエステル、n−オレイルサルコシン及びオレイルイミダゾリン、又はそれらの混合物からなる群から選択される。
【0028】
前記ハンダペーストは、電子適用のためのあらゆる有用なハンダ合金粉末、例えばダイ接着適用のための鉛の少なくとも85質量%を有する高鉛を含有する合金、例えばPbSn合金、PbSnAg合金、PbAg合金又はPbInAg合金を含有してよい。かかる合金の特定の例は、Pb90Sn10、Pb88Sn10Ag2、Pb92.5Sn5Ag2.5、PB95.5Sn2Ag2.5、Pb97Ag3、及びPb92.5In5Ag2.5である。他の好適な鉛を含有するハンダ合金は、SMT適用のために使用されるSnPb合金、SnPbAg合金、SnPbBi合金及びPbSnSb合金である。SMT適用のための鉛を有さないハンダ合金は、例えばSnAgCu合金、SnAg合金、SnCu合金、SnCuIn合金、SnAgCuSb合金、SnAgSb合金、SnSb合金、及びBiSn合金を使用されることもできる。SMT適用のための特定の鉛を含有する合金は、Sn63Pb37及びSn62Pb36Ag2であり、一方SMT適用のための鉛を含まないハンダ合金は、Sn96.5Ag3.5、Sn95.5Ag4Cu0.5、Sn96Ag3.5Cu0.5、及びSn96.5Ag3Cu0.5から選択されてもよい。
【0029】
表面実装技術の適用のためには、さらにハンダフラックスが、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルオレエート、ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジオクチルセバセート、及びそれらの混合物からなる群から選択されてよい、可塑剤0.1〜2質量%を含有することが好ましい。前記の適用のために、同様に、ハンダペーストは、鉛を含まない、又は鉛を含有するハンダ合金を有してよい。
【0030】
該適用のために、溶剤系は、有利には、室温で高粘度の溶剤及び/又は固形の溶剤20〜40質量%、及びアルコール30〜50質量%を含有するために改質される。さらに活性剤は、それぞれフラックスの全質量に対して、酸5〜15質量%、及びアミン1〜10質量%を含有する。
【0031】
前記で与えられたペースト組成物は、良好なハンダ付け性を提供する。リフローの間、ハンダペーストは、約140〜160℃まで加熱し、フラックスは、活性し始め、かつ溶剤は、蒸発し始める。温度が増加し続ける時、活性剤は、酸化物を合金及び部品の表面から取り除いて、良好な接着形成のための濡れを促進し始める。加えて、ロジンは、溶融してハンダ粉末粒子の周りの保護被覆を形成し始め、温度が上昇し続ける時に再酸化を最小限にする。前記で明記されたロジン及び活性剤の量は、完全な合金の合体が生じるまでこれらの機能を満たすのに十分であり、従ってハンダボール形成の可能性を低減する。
【0032】
ハンダペーストの分配の性能は、非常に重要である。それらは、フラックスの形成によって、さらにハンダ粉末の粒子サイズ分布及び形態によって影響を受ける。簡単な分配のために、前記の粉末粒子は、球状の形態を有すべきである。
【0033】
本発明によるハンダペーストの製造は、最初に選択された溶剤を容器中へ添加し、加熱し、そしてそれらを撹拌することによって行われる。温度が約100℃に達する時に、ロジン及びチキソトロープ剤を添加する。ロジン及びチキソトロープ剤の溶解後に、酸性の活性剤を添加する。全ての固体を溶解した後、加熱をやめて、その系を冷却する。約50℃で、該活性剤のアミン成分を添加し、そしてその組成物を室温まで、撹拌し続けながら、冷却させる。
【0034】
一般に本発明を記述してきたが、本発明は、次の実施例に対する次の参照によってより容易に理解されてよく、指示されない限り、実例として提供され、かつ本発明を制限することを意図しない。
【0035】
実施例1
この実施例において、分配によって加工物に適用することができる、本発明によるハンダペーストを製造した。
【0036】
ハンダペーストを製造するために、ハンダ合金Sn5Pb92.5Ag2.5(−325〜+500メッシュ)85質量部を、フラックス15質量部と混合した。
【0037】
該フラックスは、イソボルニルシクロヘキサノール30質量%、1,2−オクタンジオール(高粘度の溶剤及び固形の溶剤)5質量%、ブチルカルビトール(エチレングリコールエーテル)13質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール14質量%、イソプロパノール(アルコール)4質量%、Foral AX(水素化ロジン、Hercules社の商標名)16質量%、ステアラミド(チキソトロープ剤)3質量%、4−n−ブチル安息香酸5質量%、サリチル酸(活性剤)5質量%、ジエタノールアミン(活性剤)4質量%、及びPolyrad 1110(添加剤、Hercules社の商標名)1質量%から構成した。
【0038】
該フラックスのそれぞれの成分を、ガラス製のビーカー中で、機械撹拌ブレードを使用して、添加、加熱、及び溶解して、溶液を製造した。全てを加熱及び混合した後、種々の溶剤は、均質混合物になった。前記ペーストを、ハンダ粉末を該フラックスで均一に混合することによって製造した。該フラックスのブルックフィールド粘度は、30〜100kcpsであり、該ペーストは200〜300kcpsであった。
【0039】
このフラックスによって製造された無洗浄ペーストは、非常に良好な分配性、ハンダ付け性、及び濡れ性を示し、さらに残っている残留物約2%を有する非常に良好なペースト安定性(分離が適用中に生じない)を示す。
【0040】
実施例2
この実施例において、ファインピッチ印刷によって加工物に適用することができる、本発明によるハンダペーストを製造した。
【0041】
ハンダペーストを製造するために、ハンダ合金Sn96.5/Ag3.5(−325〜+500メッシュ)88質量部を、フラックス12質量部と混合した。
【0042】
そのビヒクルは、イソボルニルシクロヘキサノール20質量%、トリメチロプロパン(高粘度の溶剤及び固形の溶剤)6質量%、テルピネオール27質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール5質量%、イソプロパノール(アルコール)5質量%、Foral AX(水素化ロジン)16質量%、ステアラミド(チキソトロープ剤)5質量%、4−n−ブチル安息香酸5質量%、安息香酸5質量%、ジエタノールアミン(活性剤)4質量%、Polyrad 1110(添加剤)1質量%、及びジメチルフタレート(可塑剤)1質量%から構成した。
【0043】
該フラックスのそれぞれの成分を、ガラス製のビーカー中で、機械撹拌ブレードを使用して、添加、加熱、及び溶解して、溶液を製造した。全てを加熱及び混合した後、種々の溶剤は、均質混合物になった。前記ペーストを、ハンダ粉末を該フラックスで均一に混合することによって製造した。該フラックスのブルックフィールド粘度は、20〜80kcpsであり、該ペーストは600〜800kcpsであった。
【0044】
このフラックスによって製造された無洗浄ペーストは、非常に良好な印刷適性、ハンダ付け性、及び濡れ性を示し、さらに残っている残留物約2%を有する非常に良好なペースト安定性(分離が適用中に生じない)を示す。
【0045】
本発明は、本発明の特定の実施態様に関して記述しているが、さらに修正できることが理解され、かつこの適用は、一般に本発明の原則に従い、かつ本発明の属する技術の範囲内の公知の又は従来の実施の範囲内にあり、前記に示す本質的な特徴に適用されてよく、追加の請求項の範囲に従う本発明の開示からの逸脱を含む本発明のあらゆる変更、使用又は適応を保護することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラックス中で分散されたハンダ粉末を含有する半導体素子のダイ接着のためのハンダペーストであって、該フラックスが、溶剤系、少なくとも1つのチキソトロープ剤、少なくとも1つの活性剤、及びロジンの均質混合物を含有し、前記溶剤系は、室温で高粘度の溶剤及び/又は固形の溶剤を含有し、かつそれぞれフラックスの全質量に対して、溶剤系の濃度は、55〜75質量%に達し、並びにロジンの濃度は、10〜25質量%に達する、ハンダペースト。
【請求項2】
さらに前記溶剤系が、1つ以上のグリコールエーテル、及び1つ以上のアルコールを含有する、請求項1に記載のハンダペースト。
【請求項3】
前記の高粘度の溶剤及び/又は固形の溶剤が、トリメチロプロパン、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、イソボルニルシクロヘキサノール又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載のハンダペースト。
【請求項4】
前記グリコールエーテルが、モノ−、ジ−もしくはトリ−プロピレングリコールメチルエーテル、モノ−、ジ−もしくはトリ−プロピレングリコールn−ブチルエーテル、モノ−、ジ−もしくはトリ−エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、トリ−エチレングリコールメチルエーテル、ジ−エチレングリコールジ−ブチルエーテル、テトラ−エチレングリコールジ−メチルエーテル、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項3に記載のハンダペースト。
【請求項5】
前記アルコールが、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、n−デシルアルコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、テルピネオール及びイソプロパノール又はそれらの混合物からなる群から選択される、請求項4に記載のハンダペースト。
【請求項6】
前記ロジンが、トール油ロジン、水素化ロジン、部分的に水素化されたロジン、脱水素化ロジン又はそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載のハンダペースト。
【請求項7】
前記チキソトロープ剤が、グリセリルトリス−12−ヒドロキシステアレート、改質グリセリルトリス−12−ヒドロキシステアレート、ポリアミド、ステアラミド又はそれらの組み合わせからなる群から選択された、請求項6に記載のハンダペースト。
【請求項8】
前記活性剤が、カプロン酸、フェニル酢酸、安息香酸、サリチル酸、アミノ安息香酸、4−n−ブチル安息香酸、4−t−ブチル安息香酸、3,4−ジメトキシ安息香酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、アジピン酸、マロン酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される有機酸を含有し、かつさらに該活性剤は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、又はそれらの組み合わせからなる群から選択されるアミンを含有する、請求項7に記載のハンダペースト。
【請求項9】
さらに前記ペーストが、エトキシ化アミンロジン、アミンロジン、ロジンのメチルエステル、n−オレイルサルコシン及びオレイルイミダゾリン、又はそれらの混合物からなる群から選択される添加剤を含有する、請求項8に記載のハンダペースト。
【請求項10】
前記フラックス成分が、それぞれフラックスの全質量に対して、チキソトロープ剤1〜6質量%、活性剤10〜20質量%、及び添加剤0.5〜3質量%を含有する、請求項9に記載のハンダペースト。
【請求項11】
それぞれフラックスの全質量に対して、前記溶剤系が、室温で高粘度の溶剤及び/又は固形の溶剤30〜50質量%、グリコールエーテル10〜30質量%及びアルコール10〜20質量%を含有し、かつ前記活性剤が、酸5〜15質量%及びアミン1〜10質量%を含有する、請求項10に記載のハンダペースト。
【請求項12】
前記ハンダ粉末が、鉛を含有するハンダ合金又は鉛を有さないハンダ合金から選択される、請求項11に記載のハンダペースト。
【請求項13】
前記の鉛を含有するハンダ合金が、少なくとも85質量%の鉛を有するPbSn−、PbSnAg−、PbAg−、又はPblnAg−合金から選択される、請求項12に記載のハンダペースト。
【請求項14】
さらに前記ペーストが、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソデシルフタレート、ブチルオレエート、ジイソブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、ジオクチルセバセート、及びそれらの混合物からなる群から選択される可塑剤を含有する、請求項9に記載のハンダペースト。
【請求項15】
前記フラックスが、それぞれフラックスの全質量に対して、チキソトロープ剤1〜6質量%、活性剤10〜20質量%、添加剤0.5〜3質量%、及び可塑剤0.1〜2質量%を含有する、請求項14に記載のハンダペースト。
【請求項16】
それぞれフラックスの全質量に対して、前記溶剤系が、室温で高粘度の溶剤及び/又は固形の溶剤20〜40質量%、アルコール30〜50質量%を含有し、かつ前記活性剤が、酸5〜15質量%及びアミン1〜10質量%を含有する、請求項15に記載のハンダペースト。
【請求項17】
前記ハンダ粉末が、鉛を含有するハンダ合金又は鉛を有さないハンダ合金から製造される、請求項16に記載のハンダペースト。
【請求項18】
前記の鉛を含有するハンダ合金が、SnPb−、SnPbAg−、SnPbBi−、及びPbSnSb−合金から選択される、請求項17に記載のハンダペースト。
【請求項19】
前記の鉛を有さないハンダ合金が、SnAgCu−、SnAg−、SnCu−、SnCuIn−、SnAgCuSb−、SnAgSb−、SnSb−又はBiSn−合金から選択される、請求項17に記載のハンダペースト。
【請求項20】
前記溶剤系の高粘度の溶剤及び/又は固形の溶剤が、リフローハンダ付け工程の間に蒸発される、請求項1に記載の半導体素子のダイ接着のためのハンダペースト。

【公表番号】特表2009−542019(P2009−542019A)
【公表日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−516932(P2009−516932)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/005192
【国際公開番号】WO2008/000349
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(501399500)ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト (139)
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D−63457 Hanau,Germany
【Fターム(参考)】