説明

半導体装置およびその作製方法

【課題】上下電極間に有機化合物を設けて記憶素子を形成するが、有機化合物を含む層の上に電極を形成した場合、電極の形成時の温度によっては有機化合物を含む層への影響があるため温度に制限がある。この温度の制限のため形成方法が限定され、希望通りの電極を形成することができず、素子の微細化を阻害している問題があった。
【解決手段】絶縁表面を有する基板上に記憶素子及びスイッチング素子が配置された半導体装置とし、前記素子は、同一平面に配置された第1の電極と第2の電極と有機化合物を含む層とを有し、前記有機化合物を含む層は前記第1の電極と前記第2の電極との間に形成され、電流は前記第1の電極から前記第2の電極へと流れ、前記第1の電極は、前記スイッチング素子と電気的に接続されている半導体装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを記憶可能な半導体装置に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
記憶素子は、記憶素子の二端子として誘電体層の上下に2つの電極を配置している構造が一般的である。
【0004】
特許文献1には素子の二端子として有機化合物を含む層の上下に電極を配置して電圧を印加することで短絡させ初期状態を0、導通状態を1として情報の記憶を行うメモリデバイス及びその駆動方法が提案されている。
【特許文献1】特開2002−26277
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置に設けられる記憶回路として、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)、マスクROM(Masked Read Only Memory)、EPROM(Electrically Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリなどが挙げられる。このうち、DRAM、SRAMは揮発性の記憶回路であり、電源をオフするとデータが消去されてしまうため、電源をオンする度にデータを書き込む必要がある。FeRAMは不揮発性の記憶回路であるが、強誘電体層を含む容量素子を用いているため、作製工程が増加してしまう。マスクROMは、簡単な構造であるが、製造工程でデータを書き込む必要があり、追記することはできない。EPROM、EEPROM、フラッシュメモリは、不揮発性の記憶回路ではあるが、2つのゲート電極を含む素子を用いているため、作製工程が増加してしまうといった問題があった。
【0006】
また、無機材料を誘電体に用いたDRAMなどの記憶回路は、キャパシタに蓄えられた電荷の有無により2値を記憶させている。
【0007】
一方、有機化合物を誘電体に用いた記憶回路は、一対の上下電極間に有機化合物を設けて記憶素子を形成するが、有機化合物を含む層の上に電極を形成した場合、電極の形成時の温度によっては有機化合物を含む層への影響があるため温度に制限がある。この温度の制限のため電極の形成方法が限定され、希望通りの電極を形成することができず、素子の微細化を阻害している問題があった。有機化合物を含む層の上に電極を形成することは、素子の微細化を阻害している面から解決されるべき問題である。
【0008】
また、二端子として有機化合物を含む層の上下に形成した一対の電極を用いた有機記憶素子の場合、一対の電極を上下に配置することで、一対の電極を複数の工程に分けて形成しなければならない。そのため製造プロセスが複雑化するといった問題があった。製造プロセスが複雑化することは、製造コストの面から解決されるべき問題である。
【0009】
上記問題を鑑み、本発明は、素子の微細化の阻害と製造プロセスの複雑化を解決することを課題とする。また、製造時以外にデータの追記が可能であり、書き換えによる偽造等を防止可能な不揮発の記憶装置及びそれを有する半導体装置を提供することを目的とする。また、信頼性が高く、安価な不揮発の記憶装置及び半導体装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を鑑み、本発明は、記憶素子の二端子として機能する第1の導電層と、第2の導電層とを同一絶縁層上に配置した記憶素子とする。
【0011】
また、本発明においては、素子の二端子間に電圧を印加し、有機化合物を含む層の変化により引き起こされる有機化合物を含む層の導電性の変化や、電極の短絡によって一対の電極を導通させる。また、有機化合物を含む層に対して基板面と平行に電圧印加し、一対の電極の導通を行う。本発明の素子は、「初期状態」と「導電性変化後状態」とに対応した2値を記憶させることができる。本発明の素子は、前記一対の電極間に電位差を形成し、前記電流経路を高抵抗状態から低抵抗状態に不可逆に変化させる構造の素子であると言える。
【0012】
本明細書で開示する発明の構成1は、図1(A)、及び図1(B)、及び図1(C)にその一例を示しており、絶縁表面を有する基板上に複数の素子及び複数のスイッチング素子がマトリクス状に配置された半導体装置であり、前記素子は、同一平面に配置された一対の電極と、同一平面に有機化合物を含む層とを有し、且つ、一対の電極のうち、一方の電極からもう一方の電極へ向かう基板面と平行な方向に電流が流れ、前記有機化合物を含む層は前記一対の電極の間に配置され、前記一対の電極のうち一方の電極は、前記スイッチング素子と電気的に接続されている半導体装置である。
【0013】
スイッチング素子のゲート線(ゲート電極)は、ワード線に相当する。また、スイッチング素子の半導体層と電気的に接続している電極は、半導体層に含まれるソース領域やドレイン領域とそれぞれ接続するため、少なくとも2つ存在している。ワード線と交差しているビット線は、スイッチング素子の半導体層と電気的に接続している。また、本明細書において、同一平面に配置された一対の電極は、第1の電極と、第2の電極とも呼び、スイッチング素子の半導体層と電気的に接続する電極を第1の電極と呼ぶ。また、第1の電極に対向して設ける第2の電極は、コモン線(コモン電極)に相当する。例えば、スイッチング素子がnチャネル型薄膜トランジスタである場合、ビット線はnチャネル型薄膜トランジスタのドレイン領域と接続し、第1の電極は、nチャネル型薄膜トランジスタのソース領域と接続する。また、スイッチング素子がpチャネル型薄膜トランジスタである場合、ビット線はpチャネル型薄膜トランジスタのソース領域と接続し、第1の電極は、pチャネル型薄膜トランジスタのドレイン領域と接続する。
【0014】
また、上記構成1において、前記有機化合物を含む層は、少なくとも前記第1の電極の一方の側面の一部、及び該側面と対向する前記コモン線側面の一部と接していればよい。
【0015】
また、有機化合物を含む層は、一対の絶縁層と、前記第1の電極と、前記第2の電極とで周りを囲む構成としてもよく、他の発明の構成2は、絶縁表面を有する基板上に複数の素子及び複数のスイッチング素子がマトリクス状に配置された半導体装置であり、前記素子は、同一平面に配置された一対の電極と、同一平面に有機化合物を含む層及び一対の絶縁層を有し、且つ、一対の電極のうち、一方の電極からもう一方の電極へ向かう基板面と平行な方向に電流が流れ、前記有機化合物を含む層は、前記一対の絶縁層及び前記一対の電極で周りを囲まれ、前記一対の電極のうち一方の電極は、前記スイッチング素子と電気的に接続されている半導体装置である。
【0016】
この一対の絶縁層は、有機化合物を含む層の形成位置を制御するために設けられており、隔壁とも呼ぶ。また、この一対の絶縁層は、一つの素子と、該素子と隣り合う記憶素子との間の領域に設けられる。発明の構成2では、有機化合物を含む層は、一方の電極からもう一方の電極へ向かう基板面と平行な方向である電流径路の方向では一対の電極間に挟まれ、電流径路と垂直な方向では一対の絶縁層に挟まれる。
【0017】
また、上記構成2において、前記一対の絶縁層は、前記電流経路の両側に電流経路を挟むように配置されている。
【0018】
また、上記構成1または上記構成2において、図1(A)にその一例を示すように、前記一対の電極の合計幅(Wa+Wc)は、有機化合物を含む層の幅(Wx)よりも広いことを特徴の一つとしている。ここでの一対の電極の合計幅及び有機化合物を含む層の幅とは、一対の電極を含む断面における幅を指している。また、一対の電極を含む断面において最短の電流経路が、一対の電極の間隔距離(Wb)に相当する。少なくとも有機化合物を含む層の幅(Wx)は、一対の電極の間隔距離(Wb)と同じもしくはそれ以上とする。
【0019】
また、有機化合物を含む層は、コモン線と第1の電極の間に配置されれば、特に限定されず、上面から見て様々なパターン形状としてもよい。例えば、有機化合物を含む層の上面形状は、矩形状、楕円状、円状、または帯状とすればよい。有機化合物を含む層を全面に形成するのではなく、選択的に有機化合物を含む層を形成することで材料の使用量を抑えることができる。
【0020】
また、図2(A)、及び図2(B)にその一例を示すように、前記有機化合物を含む層は、上面から見て帯状のパターンに形成してもよく、電流経路の方向に互いに隣接して設けられた複数の素子で共有されてもよい。この場合、前記一対の電極の合計幅は、有機化合物を含む層の幅、即ち帯状としたパターンの長さよりも狭い。なお、帯状のパターンに形成する方法は液滴吐出法(代表的にはインクジェット法やディスペンス法など)を用いればよい。また、隣り合うコモン線とビット線との間にも有機化合物を含む層が配置されるため、隣り合うコモン線とビット線との間隔距離Wdは、第1の電極とコモン線の間隔距離(Wb)よりも広く、具体的には2μm以上することが好ましい。また、有機化合物を含む層の形成位置を制御するために一対の絶縁層が設けられている。
【0021】
また、図3(A)、及び図3(B)にその一例を示すように、前記有機化合物を含む層は、前記第1電極やコモン線上に一部重なるように形成されてもよく、前記第1電極の側面及びその上端部と、前記第1電極の側面に対向する前記コモン線の側面及びその上端部とを覆ってもよい。図3(A)における有機化合物を含む層の幅Wxは、図1(A)における有機化合物を含む層の幅Wxよりも広い。
【0022】
また、図4(A)、及び図4(B)にその一例を示すように、前記有機化合物を含む層は、隔壁を設けずに上面から見て帯状のパターンに形成してもよく、電流経路の方向に互いに隣接して設けられた複数の素子で共有されてもよい。
【0023】
また、図5(A)、及び図5(B)にその一例を示すように、接続電極及びビット線上に絶縁層を形成し、その上に第1の電極、第2の電極、有機化合物を含む層を形成する構成でもよい。なお、接続電極は、絶縁層に設けられたコンタクトホールを介して第1の電極と電気的に接続する。接続電極及びビット線上に絶縁層を設けることによって素子の占有面積縮小が図れる。
【0024】
また、上記構成1または上記構成2において、前記ビット線の側面と、前記第1の電極の側面と、該側面に対向する前記コモン線の側面は、テーパー形状を有していることを特徴の一つとしている。本明細書において、電極(または配線)の側面がテーパー形状を有しているとは、電極(または配線)の側壁面が基板面に対して傾斜していることを指している。ただし、本明細書において、テーパー形状は、電極(または配線)の上端部が突出した形状、即ちオーバーハング形状を除く。
【0025】
テーパー形状とすることで、一対の電極の対向する下端部の間隔を狭めることができ、電界が集中しやすくなるため、比較的低電力で電流経路に配置された有機化合物を含む層を高抵抗状態から低抵抗状態に不可逆に変化させることができる。本明細書において、電極(または配線)の側面がテーパー形状を有しているとは、電極(または配線)の側壁面が傾斜していることを指している。ただし、本明細書において、テーパー形状は、電極(または配線)の上端部が突出した形状、即ちオーバーハング形状を除く。
【0026】
また、上記構成1を実現するための作製工程も本発明の一つであり、本発明は、絶縁表面を有する基板上に半導体層を形成し、前記半導体層を覆う絶縁膜を形成し、前記絶縁膜上の同一面上に一方が前記半導体層と電気的に接続する一対の電極を形成し、前記一対の電極間に有機化合物を含む層を選択的に形成する半導体装置の作製方法である。
【0027】
上記作製方法に関する発明の構成において、前記一対の電極を形成する際、ビット線の側面、第1の電極の側面及びコモン線の側面をテーパー形状とすることを特徴の一つとしている。テーパー形状とすることで、その上に形成する膜の被覆性を向上させることができる。また、有機化合物を含む層を形成する方法が液滴吐出法である場合、材料液滴を一対の電極(第1の電極とコモン線)間に吐出すると、吐出位置がずれてもテーパー形状である電極側面に吐出できれば、材料液滴が側面に沿って一対の電極間の絶縁表面に移動し、一対の電極間に露出している絶縁表面を覆うことができる。
【0028】
また、上記構成2を実現するための作製工程も本発明の一つであり、本発明は、絶縁表面を有する基板上に半導体層を形成し、前記半導体層を覆う絶縁膜を形成し、前記絶縁膜上の同一面上に一方が前記半導体層と電気的に接続する一対の電極を形成し、前記絶縁膜上に一対の絶縁層を形成し、前記一対の電極と前記一対の絶縁層とで四方を囲まれた領域に重なるように、有機化合物を含む層を選択的に形成する半導体装置の作製方法である。
【0029】
上記作製方法に関する発明の構成において、前記一対の電極を形成する際、少なくとも有機化合物を含む層を挟む一対の電極の側面のうち、有機化合物を含む層と接する側面をテーパー形状とすることを特徴の一つとしている。また、一対の絶縁層を形成する際、少なくとも有機化合物を含む層を挟む一対の絶縁層の側面のうち、有機化合物を含む層と接する側面をテーパー形状とすることを特徴の一つとしている。
【発明の効果】
【0030】
本発明によって、素子の微細化と製造プロセスの簡略化といった効果を奏することができる。
【0031】
また、本発明の記憶装置及び半導体装置は、同一絶縁層上の一対の電極に有機化合物を含む層が挟まれた単純な構造の記憶素子を有するため、安価な記憶装置及び半導体装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0033】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の半導体装置が有する記憶素子の一構成例に関して図面を用いて説明する。より具体的には、複数の記憶素子がマトリクス状に配置された記憶回路の構成例に関して以下に示す。
【0034】
図1(A)は、本発明の記憶素子を複数有するメモリセルアレイの断面構造の一部を示している。図1(B)は、上面構造であり、鎖線A−Bで切断した図1(B)の断面が図1(A)に対応する。図1(C)は、断面構造であり、鎖線C−Dで切断した断面が図1(B)に対応する。
【0035】
第2の絶縁層104、第3の絶縁層106、及び第4の絶縁層107には半導体層103に達する開口(コンタクトホール)が設けられている。この開口を覆うようにビット線109、第1の電極108、及びコモン電極(第2の電極)112が設けられている。また、開口を介して半導体層103と電気的に接続している第1の電極108、及びコモン電極112は第4の絶縁層107上に設ける。図1(A)では、同じ層に、即ち第4の絶縁層107上にビット線109と第1の電極108とコモン電極112とを設けている。
【0036】
ここでは、nチャネル型の薄膜トランジスタをスイッチング素子として用いる例を示す。半導体層103、ゲート線(ワード線)105、ソース電極を兼ねる第1の電極108、及びドレイン電極を兼ねるビット線109はnチャネル型の薄膜トランジスタを構成している。nチャネル型の薄膜トランジスタは、第1の電極108とコモン電極112と有機化合物を含む層113とで構成される記憶素子に電気的に接続している。
【0037】
なお、nチャネル型の薄膜トランジスタに代えてpチャネル型トランジスタを用いる場合、ビット線は薄膜トランジスタのソース電極として機能し、第1の電極は薄膜トランジスタのドレイン電極として機能する。
【0038】
半導体層103は、少なくともチャネル形成領域とソース領域とドレイン領域を有している。また、オフ電流値を低減するため、nチャネル型の薄膜トランジスタを低濃度ドレイン(LDD:Lightly Doped Drain)構造としてもよい。このLDD構造はチャネル形成領域と、高濃度に不純物元素を添加して形成するソース領域またはドレイン領域との間に低濃度に不純物元素を添加した領域を設けたものであり、この領域をLDD領域と呼んでいる。LDD構造はドレイン近傍の電界を緩和してホットキャリア注入による劣化を防ぐ効果がある。また、ホットキャリアによるオン電流値の劣化を防ぐため、nチャネル型の薄膜トランジスタをGOLD(Gate−drain Overlapped LDD)構造としてもよい。ゲート絶縁膜を介してLDD領域をゲート電極と重ねて配置させた構造であるGOLD構造は、LDD構造よりもさらにドレイン近傍の電界を緩和してホットキャリア注入による劣化を防ぐ効果がある。このようなGOLD構造とすることで、ドレイン近傍の電界強度が緩和されてホットキャリア注入を防ぎ、劣化現象の防止に有効である。
【0039】
また、半導体層103としては、非晶質半導体膜、結晶構造を含む半導体膜、非晶質構造を含む化合物半導体膜などを適宜用いることができる。さらにTFTの活性層として、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいるセミアモルファス半導体膜(微結晶半導体膜、マイクロクリスタル半導体膜とも呼ばれる)も用いることができる。半導体層103の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコンゲルマニウム(SiGe)合金などで形成すると良い。また、半導体層103としてペンタセンなどの有機化合物を用いることもできる。
【0040】
トランジスタはスイッチング素子として機能し得るものであれば、スイッチング素子の構造に関係なく、本発明を適用することが可能である。図1(A)では、絶縁性を有する基板上にトップゲート型の薄膜トランジスタを設けた例を示しているが、ボトムゲート型(逆スタガ型)TFTや、順スタガ型TFTを用いることが可能である。また、シングルゲート構造のTFTに限定されず、複数のチャネル形成領域を有するマルチゲート型TFT、例えばダブルゲート型TFTとしてもよい。
【0041】
半導体層103、ゲート線(ワード線)105、ソース電極又はドレイン電極を兼ねる第1の電極108、及びソース電極又はドレイン電極を兼ねるビット線109はトランジスタを構成している。ソース電極又はドレイン電極を兼ねる第1の電極108は、コモン電極112と有機化合物を含む層113とで記憶素子を構成する。
【0042】
このように、第4の絶縁層107上に第1の電極108、コモン電極112、及び有機化合物を含む層113を形成することによって、第1の電極108、コモン電極112、及び有機化合物を含む層113で構成される記憶素子を自由に配置することができる。
【0043】
ワード線(ゲート線)105は、メモリセルアレイの中から一列を選択するための制御信号線である。メモリセルアレイは、マトリクス状に複数のメモリセルが配置されたものである。一つのメモリセルは、ビット線109とワード線(ゲート線)105との交点に配置されたトランジスタとコモン電極112の間に配置されており、読み出し、書き込みを行なうアドレスに対応するワード線の電圧を上げることで書き込み、読み出しが可能になる。
【0044】
また、ビット線109は、メモリセルアレイからデータを取り出すための信号線である。電圧が印加されたワード線(ゲート線)105に接続されているメモリセルは、記憶素子に記録されたデータをビット線109に出力することで、データの読み出しを行なう。
【0045】
また、第1の電極108とコモン電極112との間に接するように有機化合物を含む層113を設ける。本発明の記憶素子は、有機化合物を含む層113と、該有機化合物を含む層113を基板面に水平方向で挟む第1の電極108、及びコモン電極112とで構成している。有機化合物を含む層113に用いる材料は、電気的作用により、結晶状態や導電性、形状が変化する物質、代表的には、有機化合物、又は有機化合物と無機化合物との混合物を用いる。
【0046】
上記構成を有する記憶素子は、電気的作用で導電性が変化するので、「初期状態」と「導電性変化後状態」とに対応した2値を記憶させることができる。なお、電気的作用とは、第1の電極とコモン電極に電圧を印加し、有機化合物を含む層に電流を流すことである。
【0047】
ここで、電圧印加前後での上記記憶素子の導電性の変化について説明する。
【0048】
第1の電極108の側面とコモン電極112の側面との間に電圧を印加すると、有機化合物を含む層113の導電性が変化して記憶素子の導電性が高くなる。また、第1の電極108の側面とコモン電極112の側面との間に電圧を印加すると、第1の電極109とコモン電極112とが短絡する場合もある。また、第1の電極109の側面とコモン電極112の側面との間に電圧を印加すると、有機化合物を含む層113で絶縁破壊が生じ、導電性を示す場合もある。これは、電極の端部において電界が集中しやすいため、有機化合物を含む層において絶縁破壊が生じやすくなるためである。上記いずれの場合においても、電気的作用で導電性が変化するので、「初期状態」と「導電性変化後」とに対応した2値を記憶させることができる。なお、絶縁破壊とは、絶縁体にかかる電圧がある限度以上になった時に、絶縁体が電気的に破壊し絶縁性を失って電流を流すようになる現象のことを指しており、有機化合物を含む層は、材料によっては絶縁体ではないが、絶縁体と見なした場合に同じような現象が生じるため、有機化合物を含む層に絶縁破壊が生じると言う。
【0049】
有機化合物を含む層113に適用することが可能な、外部からの電気的作用により導電性が変化する有機化合物としては、正孔輸送性が高い有機化合物又は電子輸送性が高い有機化合物を用いることができる。
【0050】
正孔輸送性の高い有機化合物としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)や4,4’−ビス(N−(4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物やフタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン化合物を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質である。但し、電子よりも正孔の輸送性が高い物質であれば、上記の物質以外のものを用いてもよい。
【0051】
なお、有機化合物を含む層として、有機化合物と無機化合物との混合層を設ける場合には、正孔輸送性の高い有機化合物と電子を受け取りやすい無機化合物とを混合させることが好ましい。上記有機化合物を含む層とすることによって、本来内在的なキャリアをほとんど有さない有機化合物に多くのホールキャリアが発生し、有機化合物は極めて優れたホール注入性・輸送性を示す。その結果、有機化合物を含む層は優れた導電性を得ることが可能となる。
【0052】
電子を受け取りやすい無機化合物として、周期表第4族乃至第12族のいずれかの遷移金属の金属酸化物、金属窒化物または金属酸化窒化物を用いることができる。具体的には、チタン酸化物(TiOx)、ジルコニウム酸化物(ZrOx)、バナジウム酸化物(VOx)、モリブデン酸化物(MoOx)、タングステン酸化物(WOx)、タンタル酸化物(TaOx)、ハフニウム酸化物(HfOx)、ニオブ酸化物(NbOx)、コバルト酸化物(Cox)、レニウム酸化物(ReOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、亜鉛酸化物(ZnO)、ニッケル酸化物(NiOx)、銅酸化物(CuOx)等を用いることができる。また、ここでは具体例として酸化物を例に挙げたが、もちろんこれらの窒化物や酸化窒化物を用いてもよい。
【0053】
電子輸送性の高い有機化合物としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料を用いることができる。また、この他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などの材料も用いることができる。さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等を用いることができる。ここに述べた物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。但し、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、上記の物質以外のものを用いてもよい。
【0054】
なお、有機化合物を含む層として有機化合物と無機化合物との混合層を設ける場合には、電子輸送性の高い有機化合物と電子を与えやすい無機化合物とを混合させることが好ましい。このような構成とすることによって、本来内在的なキャリアをほとんど有さない有機化合物に多くの電子キャリアが発生し、有機化合物は極めて優れた電子注入性・輸送性を示す。その結果、有機化合物を含む層は優れた導電性を得ることが可能となる。
【0055】
電子を与えやすい無機化合物として、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類金属酸化物、アルカリ金属窒化物、アルカリ土類金属窒化物、希土類金属窒化物を用いることができる。具体的には、リチウム酸化物(LiOx)、ストロンチウム酸化物(SrOx)、バリウム酸化物(BaOx)、エルビウム酸化物(ErOx)、ナトリウム酸化物(NaOx)、リチウム窒化物(LiNx)、マグネシウム窒化物(MgNx)、カルシウム窒化物(CaNx)、イットリウム窒化物(YNx)、ランタン窒化物(LaNx)等を用いることができる。
【0056】
さらには、無機化合物として、有機化合物から電子を受け取りやすい無機化合物または有機化合物に電子を与えやすい無機化合物であれば何でもよく、アルミニウム酸化物(AlOx)、ガリウム酸化物(GaOx)、ケイ素酸化物(SiOx)、ゲルマニウム酸化物(GeOx)、インジウム錫酸化物(ITO)等のほか、種々の金属酸化物、金属窒素化物または金属酸化窒化物を用いることができる。
【0057】
また、有機化合物を含む層113が金属酸化物または金属窒化物の中から選ばれた化合物と正孔輸送性の高い化合物とから形成される場合、さらに立体障害の大きな(平面構造とは異なり空間的な広がりを有する構造をもつ)化合物を加えた構成としてもよい。立体障害の大きな化合物としては、5,6,11,12−テトラフェニルテトラセン(略称:ルブレン)が好ましい。但し、これ以外に、ヘキサフェニルベンゼン、t−ブチルペリレン、9,10−ジ(フェニル)アントラセン、クマリン545T等も用いることができる。この他、デンドリマー等も有効である。
【0058】
さらには、電子輸送性の高い有機化合物で形成される層と、正孔輸送性の高い有機化合物で形成される層との間に、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−(ジシアノメチレン)−2−tert−ブチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(略称:TBP)等の発光物質を設けてもよい。
【0059】
また、有機化合物を含む層113は、蒸着法、電子ビーム蒸着法、スパッタリング法、CVD法等を用いて形成することができる。また、有機化合物と無機化合物とを含む混合層は、各々の材料を同時に成膜することにより形成することができ、抵抗加熱蒸着同士による共蒸着法、電子ビーム蒸着同士による共蒸着法、抵抗加熱蒸着と電子ビーム蒸着による共蒸着法、抵抗加熱蒸着とスパッタリングによる成膜、電子ビーム蒸着とスパッタリングによる成膜など、同種、異種の方法を組み合わせて形成することができる。
【0060】
また、他の有機化合物を含む層113の形成方法として、スピンコート法、ゾル−ゲル法、印刷法または液滴吐出法(インクジェット法やディスペンス法)等を用いてもよいし、上記方法とこれらを組み合わせてもよい。
【0061】
また、有機化合物を含む層113は、外部からの電気的作用により、記憶素子の導電性が変化する膜厚とする。有機化合物を含む層113の代表的な膜厚は、5nm〜100nm、好ましくは10nm〜60nmとする。
【0062】
図1(A)に示すように、有機化合物を含む層113は、コモン電極112の一方側の側面(テーパー状の側面)に接している。また、有機化合物を含む層113に接しているコモン電極112の側面に対向する第1の電極108の側面も有機化合物を含む層113に接している。
【0063】
また、図1(B)や図1(C)に示すように、有機化合物を含む層113を挟んで第5の絶縁層114を配置する。第5の絶縁層114(隔壁114ともよぶ)は、基板面に対して垂直な膜厚0.1μmから0.5μmで形成する。図1(B)に示すように、、有機化合物を含む層113は、第1の電極108、コモン電極112、及び第5の絶縁層114に四方を囲まれているため、有機化合物を含む層113に使用する有機材料は流動性の高い材料でもよい。
【0064】
図1(B)では、有機化合物を含む層113の上面形状が矩形となっているが、特に限定されず、正方形や楕円形や円であってもよい。有機化合物を含む層113の上面形状は成膜方法によって左右されやすく、例えば、抵抗加熱蒸着法や電子ビーム蒸着法を用いる場合、矩形状の開口を有する蒸着マスクを用いると、矩形状の有機化合物を含む層113を得ることができる。こうして、有機化合物を含む層113を各メモリセルごとに分離して形成すると、隣接する各々のメモリセル間において横方向への電界の影響を低減することができる。
【0065】
また、工程数削減のため、同一工程、同一材料でビット線109と第1の電極108とコモン電極112とを形成することが好ましい。また、ビット線109と第1の電極108とコモン電極112との間隔を精密に制御するため、同じフォトマスクを用いて、ビット線109と第1の電極108とコモン電極112とをパターニングすることが好ましい。
【0066】
同一絶縁層上に設ける第1の電極108とコモン電極112との間隔距離Wbは、基板面に対して平行であり、0.1μm〜0.05μm、好ましくは0.01μm以下が望ましい。また、一対の電極をなしている第1の電極108とコモン電極112を含む断面において電流経路120における最短距離が、一対の電極の間隔距離(Wb)に相当する。第1の電極108とコモン電極112との距離間隔を狭めることによって低電圧での書き込みを行うことができる。すなわち、低消費電力で書き込みを行うことが可能となる。
【0067】
また、第1の電極108及びコモン電極112の電極幅の合計幅(Wa+Wc)は、有機化合物を含む層113の幅(Wx)よりも広くすることが好ましい。
【0068】
ワード線(ゲート線)105やビット線109や第1の電極108やコモン電極112は、蒸着法、スパッタ法、CVD法、印刷法、電界メッキ法、無電界メッキ法、液滴吐出法等を用いて形成する。本発明は、有機化合物を含む層113に用いる材料として、耐熱温度が低い材料を用いる場合に特に有効である。本発明においては、ワード線(ゲート線)105やビット線109や第1の電極108やコモン電極112は有機化合物を含む層113よりも先に形成するため、電極及び配線の形成方法、特に成膜温度が限定されず、様々な形成方法を用いることができる点が長所である。
【0069】
ワード線(ゲート線)105やビット線109や第1の電極108やコモン電極112の材料には導電性の高い元素や化合物等を用いる。代表的には、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、炭素(C)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)等から選ばれた一種の元素または当該元素を複数含む合金を用いることができる。上記元素を複数含んだ合金としては、例えば、AlとTiを含んだ合金、Al、TiとCを含んだ合金、AlとNiを含んだ合金、AlとCを含んだ合金、AlとNiとCを含んだ合金またはAlとMoを含んだ合金等を用いることができる。
【0070】
また、ワード線(ゲート線)105やビット線109や第1の電極108やコモン電極112は、互いに異なる材料を使用してもよい。また、ワード線(ゲート線)105やビット線109や第1の電極108やコモン電極112は、形成方法も互いに異なるものとしてもよい。
【0071】
また、パターニング時のエッチング条件を適宜調節することにより、テーパー状の側面を有するビット線109、第1の電極108、及びコモン電極112を形成することができる。同一工程で形成する場合にはビット線109、第1の電極108、及びコモン電極112は同じテーパー形状の側面となる。テーパー形状の側面とは、電極またはビット線の側面の断面が基板面に対し傾斜していることである。好ましくは、基板面に対してビット線109、第1の電極108、及びコモン電極112の側面は、10度以上85度未満、好ましくは60度以上80度以下の傾斜角度(テーパー角)を有する。
【0072】
図1(A)及び図1(B)、及び図1(C)に示す記憶素子は、基板面に平行な方向で有機化合物を含む層113に電圧が印加される構造であり、第1の電極108とコモン電極112との距離間隔を狭めることによって、記憶素子の占有面積の縮小化が図れる。
【0073】
ここで図1(A)、及び図1(B)、及び図1(C)に示す記憶素子の作製方法の一例を以下に説明する。
【0074】
まず、絶縁表面を有する基板101上に第1の絶縁層102を形成する。
【0075】
次いで、第1の絶縁層102上に半導体層を形成する。フォトリソグラフィ法などを用いて選択的に半導体層のエッチングを行って半導体層103を形成する。次いで、半導体層103と第1の絶縁層102上に第2の絶縁層104を形成する。次いで、第2の絶縁層上に導電層を形成する。フォトリソグラフィ法などを用いて選択的に導電層をエッチングしてワード線(ゲート線)105を形成する。次いで、ワード線(ゲート線)105、及び第2の絶縁層上に第3の絶縁層106を形成する。次いで、第3の絶縁層106上に第4の絶縁層107を形成する。次いで、フォトリソグラフィ法などを用いて選択的に第2の絶縁層、第3の絶縁層、及び第4の絶縁層のエッチングを行って、半導体層103に達する開口を形成する。次いで、第4の絶縁層107、及び半導体層103に達する開口上に導電層を形成する。フォトリソグラフィ法などを用いて選択的に導電層をエッチングしてビット線109、第1の電極108、及びコモン電極112を形成する。次に、絶縁層をビット線109、第1の電極108、及びコモン電極112上に形成し、フォトリソグラフィ法などを用いてエッチングを行い、第5の絶縁層114を形成する。なお、印刷法や液滴吐出法を用いれば、エッチング工程を行うことなく第2の絶縁層104、第3の絶縁層106、第4の絶縁層107、及び第5の絶縁層114を形成することが可能である。
【0076】
次いで、液滴吐出法を用いて、第1の電極108と、コモン電極112と、第5の絶縁層114とで四方を囲まれた領域に有機物を含む材料液を滴下する。少なくとも第1の電極108と、コモン電極112との隙間を埋めるように滴下する。滴下された有機物を含む材料液は、第1の電極108と、コモン電極112と、第5の絶縁層114とで四方を囲まれているので固定される。そして、焼成を行って有機化合物を含む層113が形成される。
【0077】
なお、ここでは有機化合物を含む層113を形成する位置が、半導体層103と重ならない位置とした例を示したが特に限定されず、有機化合物を含む層113の位置を半導体層103やゲート線と重なる位置として記憶素子の占有面積縮小を図ってもよい。
【0078】
こうして得られる図1(A)、及び図1(B)に示す記憶素子は、ビット線、有機化合物を含む層113を挟む第1の電極108、及びコモン電極112を同時に形成することができ、工程短縮することができる。
【0079】
(実施の形態2)
ここでは、図2(A)、及び図2(B)に図1(A)及び図1(B)、及び図1(C)とは一部異なる記憶素子の例を示す。図2(A)は2つの記憶素子の断面図であり、図2(B)は2つの記憶素子の上面図であり、図2(B)中の鎖線E―Fで切断した図が図2(A)に対応する。
【0080】
図2(A)において、図1(A)と同様に、絶縁表面を有する基板201上に第1の絶縁層202が設けられ、第1の絶縁層202上には半導体層203が設けられている。第1の絶縁層202、半導体層203上には第2の絶縁層204が設けられ、第2の絶縁層204上にはワード線(ゲート線)205が設けられている。ワード線(ゲート線)205上には第3の絶縁層206が設けられ、第3の絶縁層206上には第4の絶縁層207が設けられている。第4の絶縁層207上にはビット線209、第1の電極208及び、コモン電極212が設けられている。ビット線209、第1の電極208及び、コモン電極212は同じ材料で形成されている。第2の絶縁層204、第3の絶縁層206及び、第4の絶縁層207には半導体層203に達する左右一対の開口(コンタクトホール)が設けられている。この開口を覆うようにビット線209、と第1の電極208がそれぞれ設けられている。同じ層に、即ち第4の絶縁層207上にビット線209と第1の電極208とコモン電極212とを設けている。
【0081】
半導体層203、ゲート線(ワード線)205、第1の電極208、及びビット線209はトランジスタを構成している。
【0082】
図2(A)に示す記憶素子は、有機化合物を含む層213がビット線209の両側面、第1の電極208の両側面、及びコモン電極212の両側面を覆って接している。
【0083】
また、一対の電極をなしている第1の電極208とコモン電極212を含む断面において電流経路220の最短距離が、一対の電極の間隔距離(Wb)に相当する。
【0084】
また、図2(B)に示すように、有機化合物を含む層213は、帯状(ライン状とも呼ぶ)に形成されている。また、有機化合物を含む層213を固定するために絶縁層(隔壁)を形成してもよく、その場合、有機化合物を含む層213と平行な帯状(ライン状とも呼ぶ)の第5の絶縁層214も形成する。第5の絶縁層214は有機化合物を含む層213を挟むように形成される。
【0085】
また、図2(B)では、有機化合物を含む層213の幅は、特に限定されず、第5の絶縁層214の幅よりも有機化合物を含む層213の幅を広くしてもよい。
【0086】
図2(B)に示す有機化合物を含む層213は、図1(B)の有機化合物を含む層113の上面形状とは異なる構造である。図2(A)及び図2(B)に示す記憶素子は、有機化合物を含む層213の幅を広くできる構造であるため、有機化合物を含む層213の形成時における位置ズレの許容範囲を広くすることができる。
【0087】
また、コモン電極212とビット線209との間にも有機化合物を含む層213が配置されるため、隣り合うコモン電極212とビット線209との間隔距離(Wd)は、第1の電極とコモン電極の間隔距離(Wb)よりも広く、具体的には2μm以上することが好ましい。間隔距離(Wd)が間隔距離(Wb)と同じまたは狭いと、隣り合うコモン電極212とビット線209との間が短絡し、記憶素子に書き込み等が行われてしまう可能性がある。よって、間隔距離(Wd)を間隔距離(Wb)よりも広くすることで誤動作が起きるのを防ぐことができる。
【0088】
また、図2(A)に示す記憶素子において、第4の絶縁層207、ビット線209、第1の電極208、コモン電極212、及び有機化合物を含む層213を覆うように保護層を設けてもよい。
【0089】
また、本実施の形態は、実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0090】
(実施の形態3)
ここでは、図3(A)、及び図3(B)に図1(A)及び図1(B)、及び図1(C)とは一部異なる記憶素子の例を示す。図3(A)は2つの記憶素子の断面図であり、図3(B)は2つの記憶素子の上面図であり、図3(B)中の鎖線G―Hで切断した図が図3(A)に対応する。
【0091】
図3(A)において、図1(A)と同様に、絶縁表面を有する基板301上に第1の絶縁層302が設けられ、第1の絶縁層302上には半導体層303が設けられている。第1の絶縁層302、半導体層303上には第2の絶縁層304が設けられ、第2の絶縁層304上にはワード線(ゲート線)305が設けられている。ワード線(ゲート線)305上には第3の絶縁層306が設けられ、第3の絶縁層306上には第4の絶縁層307が設けられている。第4の絶縁層307上にはビット線309、第1の電極308及び、コモン電極312が設けられている。ビット線309、第1の電極308及び、コモン電極312は同じ材料で形成されている。第2の絶縁層304、第3の絶縁層306及び、第4の絶縁層307には半導体層303に達する左右一対の開口(コンタクトホール)が合計6個設けられている。この開口を覆うようにビット線309、及び第1の電極308が設けられている。同じ層に、即ち第4の絶縁層307上にビット線309と第1の電極308とコモン電極312とを設けている。また、図3(B)に示すように、第4の絶縁層307上に有機化合物を含む層313を挟むように一対の第5の絶縁層(隔壁)314も設ける。
【0092】
半導体層303、ゲート線(ワード線)305、第1の電極308、及びビット線309はトランジスタを構成している。
【0093】
図3(A)及び図3(B)に示す記憶素子では、有機化合物を含む層313の形状は、図1(A)の有機化合物を含む層113の断面形状及び上面形状とは異なる。図1(A)においては、有機化合物を含む層113が第1の電極108、及びコモン電極112の側面のみに接する例であるが、図3(A)においては、有機化合物を含む層313が第1の電極308、及びコモン電極312の側面、及び上面の一部(上端部)と接している。有機化合物を含む層313の上面形状は少なくとも一辺の長さがWxである矩形である。
【0094】
また、図3(A)に示す記憶素子において、ビット線309、第1の電極308、コモン電極312、及び有機化合物を含む層313を覆うように保護層を設けてもよい。図3(A)及び(B)に示す記憶素子は、確実に一対の電極間を有機化合物を含む層で埋めることができる。そのため、どの記憶素子でも均一の抵抗を持つようにすることができ、一対の電極間の抵抗が記憶素子毎でばらつくのを防ぐことができる。また、有機化合物を含む層313をフォトリソグラフィ法等を用いてエッチングにより形成する際は、図1(A)〜(C)に示す構成よりもエッチングしやすい。
【0095】
また、本実施の形態は、実施の形態1、または実施の形態2と自由に組み合わせることができる。
【0096】
(実施の形態4)
ここでは、図4(A)、及び図4(B)に図1(A)及び図1(B)、及び図1(C)とは一部異なる記憶素子の例を示す。図4(A)は2つの記憶素子の断面図であり、図4(B)は2つの記憶素子の上面図であり、図4(B)中の鎖線J―Kで切断した図が図4(A)に対応する。
【0097】
図4(A)において、図1(A)と同様に、絶縁表面を有する基板401上に第1の絶縁層402が設けられ、第1の絶縁層402上には半導体層403が設けられている。第1の絶縁層402、半導体層403上には第2の絶縁層404が設けられ、第2の絶縁層404上にはワード線(ゲート線)405が設けられている。ワード線(ゲート線)405上には第3の絶縁層406が設けられ、第3の絶縁層406上には第4の絶縁層407が設けられている。第4の絶縁層407上にはビット線409、第1の電極408及び、コモン電極412が設けられている。ビット線409、第1の電極408及び、コモン電極412は同じ材料で形成されている。第2の絶縁層404、第3の絶縁層406及び、第4の絶縁層407には半導体層403に達する左右一対の開口(コンタクトホール)が設けられている。この開口を覆うようにビット線409、及び第1の電極408が設けられている。同じ層に、即ち第4の絶縁層407上にビット線409と第1の電極408とコモン電極412とを設けている。
【0098】
半導体層403、ゲート線(ワード線)405、第1の電極408、及びビット線409はトランジスタを構成している。
【0099】
有機化合物を含む層413の材料として、硬化の早い材料を用いることが望ましい。硬化の早い材料を用いることによって、図1(B)に示すような第5の絶縁層114を設けなくともよい。また、蒸着法によって蒸着マスクを用いて選択的に有機化合物を含む層413を形成する場合にも図1(B)に示すような第5の絶縁層114を設けなくともよい。
【0100】
図4(A)に示す記憶素子は、有機化合物を含む層413がビット線409の両側面、第1の電極408の両側面、及びコモン電極412の両側面を覆って接している。
【0101】
また、図4(B)に示すように、有機化合物を含む層413は、帯状(ライン状とも呼ぶ)に形成されている。また、図1(B)に示すような一対の第5の絶縁層114を形成してもよく、その場合、有機化合物を含む層413と平行な帯状(ライン状とも呼ぶ)に第5の絶縁層も形成する。
【0102】
図4(B)に示す記憶素子では、有機化合物を含む層413の上面形状は、図1(B)の有機化合物を含む層113の上面形状とは異なる構造である。図4(A)及び図4(B)に示す記憶素子は、有機化合物を含む層413の幅を広くできる構造であるため、有機化合物を含む層413の形成時における位置ズレの許容範囲を広くすることができる。
【0103】
また、図4(A)に示す記憶素子において、第4の絶縁層407、ビット線409、第1の電極408、コモン電極412、及び有機化合物を含む層413を覆うように保護層を設けてもよい。
【0104】
また、本実施の形態は、実施の形態1、実施の形態2または実施の形態3と自由に組み合わせることができる。
【0105】
(実施の形態5)
ここでは、図5(A)、及び図5(B)に図1(A)及び図1(B)、及び図1(C)とは一部異なる記憶素子の例を示す。図5(A)は3つの記憶素子の断面図であり、図5(B)は3つの記憶素子の上面図であり、図5(B)中の鎖線L―Mで切断した図が図5(A)に対応する。
【0106】
図5(A)において、図1(A)と同様に、絶縁表面を有する基板501上に第1の絶縁層502が設けられ、第1の絶縁層502上には半導体層503が設けられている。
【0107】
第1の絶縁層502、半導体層503上には第2の絶縁層504が設けられ、第2の絶縁層504上にはワード線(ゲート線)505が設けられている。ワード線(ゲート線)505上には第3の絶縁層506が設けられ、第3の絶縁層506上には第4の絶縁層507が設けられている。第4の絶縁層507上にはビット線509、接続電極508が設けられている。
【0108】
ビット線509、及び接続電極508は同じ材料で形成されている。第2の絶縁層504、第3の絶縁層506及び、第4の絶縁層507には半導体層503に達する左右一対の開口(コンタクトホール)が設けられている。この開口を覆うようにビット線509、及び接続電極508が設けられている。第4の絶縁層507、ビット線509、及び接続電極508上には第5の絶縁層510が設けられている。
【0109】
第5の絶縁層510上には第1の電極511、コモン電極(第2の電極)512が設けられている。第1の電極511、及びコモン電極512は同じ材料で形成されている。第5の絶縁層510には接続電極508に達する開口(コンタクトホール)が設けられている。この開口を覆うように第1の電極511が設けられている。即ち、同一絶縁層上に第1の電極511とコモン電極512を設けている。
【0110】
半導体層503、ゲート線(ワード線)505、接続電極508、及びビット線509はトランジスタを構成している。
【0111】
また、図5(B)に示すように、有機化合物を含む層513を挟んで第6の絶縁層(隔壁)514を配置する。第6の絶縁層514は、基板面に対して垂直な方向において膜厚0.1μmから0.5μmを有するように形成する。図5(B)に示すように、有機化合物を含む層513に使用する有機材料は、有機化合物を含む層513が第1の電極511、コモン電極512、及び第6の絶縁層514に四方を囲まれているため、流動性の高い材料でもよい。
【0112】
本実施形態の記憶素子は、第5の絶縁層510を設けることによってトランジスタと重ねて設けることができ、素子の集積化が図れる。隣接する記憶素子間の距離を短くでき、さらなる微細化が期待できる。
【0113】
また、図5(A)に示す記憶素子において、第5の絶縁層510、第1の電極511、コモン電極512、及び有機化合物を含む層513を覆うように保護層を設けてもよい。
【0114】
また、本実施の形態は、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、または実施の形態4と自由に組み合わせることができる。
【0115】
(実施の形態6)
ここでは、図6(A)、及び図6(B)に図1(A)及び図1(B)、及び図1(C)とは一部異なる記憶素子の例を示す。図6(A)は記憶素子の断面図であり、図6(B)は図6(A)に対応する上面図である。
【0116】
図6(A)において、図1(A)と同様に、絶縁表面を有する基板1301上に第1の絶縁層1302が設けられ、第1の絶縁層1302上には半導体層1303が設けられている。第1の絶縁層1302、半導体層1303上には第2の絶縁層1304が設けられ、第2の絶縁層1304上にはワード線(ゲート線)1305が設けられている。ワード線(ゲート線)1305上には第3の絶縁層1306が設けられている。第2の絶縁層1304、第3の絶縁層1306には半導体層1303に達する左右一対の開口(コンタクトホール)が設けられている。第3の絶縁層1306上にはこの開口を覆うようにビット線1309、接続電極1308が設けられている。ビット線1309、及び接続電極1308は同じ材料で形成されている。第3の絶縁層1306、ビット線1309、接続電極1308上には第4の絶縁層1307が設けられている。第4の絶縁層1307には接続電極に達する開口(コンタクトホール)が設けられている。第4の絶縁層1307上にはこの開口を覆うように第1の電極1311、及びコモン電極(第2の電極)1312が設けられている。
【0117】
半導体層1303、ゲート線(ワード線)1305、接続電極1308、及びビット線1309はトランジスタ1315を構成している。
【0118】
本実施の形態では、記憶素子を第4の絶縁層1307を介して、トランジスタ1315と重ねることができる。これにより有機化合物を含む層1313をトランジスタ1315の上方に形成することができる。従って、隣接する記憶素子間の距離を短くでき、さらなる微細化が期待できる。
【0119】
図6(A)においては、有機化合物を含む層1313が第1の電極1311、及びコモン電極1312の側面と接している。
【0120】
また、図6(B)に示すように、有機化合物を含む層1313を挟んで一対の第5の絶縁層(隔壁)1314を配置する。一対の第5の絶縁層1314は、基板面に対して垂直な方向において膜厚0.1μmから0.5μmを有するように形成する。図6(B)に示すように、有機化合物を含む層1313に使用する有機材料は、有機化合物を含む層1313が第1の電極1311、コモン電極1312、及び一対の第5の絶縁層1314に四方を囲まれているため、流動性の高い材料でもよい。
【0121】
また、図6(A)に示す記憶素子において、第1の電極1311、コモン電極1312、及び有機化合物を含む層1313を覆うように保護層を設けてもよい。
【0122】
また、本実施の形態は、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、または実施の形態5と自由に組み合わせることができる。
【0123】
(実施の形態7)
本実施の形態では、図7(A)及び図7(B)に示す等価回路を用いて本発明の半導体装置を説明する。
【0124】
本実施の形態で示す記憶装置の一構成例は、カラムデコーダ801、ローデコーダ802、読み出し回路804、書き込み回路805、セレクタ803、メモリセルアレイ822を有する。メモリセルアレイ822はビット線Bm(1≦m≦x)、ワード線Wn(1≦n≦y)、ビット線とワード線との交点にx×y個のメモリセル821を有する。
【0125】
メモリセル821は、ビット線Bx(1≦x≦m)を構成する第1の配線と、ワード線Wy(1≦y≦n)を構成する第2の配線と、トランジスタ840と、記憶素子841とを有する。記憶素子841は、実施の形態1〜6のように、水平に並べて配置された一対の導電層の間に、有機化合物を含む層が挟まれた構造を有する。なお、ここで示す記憶装置816の構成はあくまで一例であり、センスアンプ、出力回路、バッファ等の他の回路を有していてもよいし、書き込み回路をビット線駆動回路に設けてもよい。
【0126】
カラムデコーダ801はメモリセルアレイの行を指定するアドレス信号を受けて、指定行のセレクタ803に信号を与える。セレクタ803はカラムデコーダ801の信号を受けて指定行のビット線を選択する。ローデコーダ802はメモリセルアレイの列を指定するアドレス信号を受けて、指定列のワード線を選択する。上記動作によりアドレス信号に対応する一つのメモリセル821が選択される。読み出し回路804は選択されたメモリセルの記憶素子が有するデータを読み出し、増幅して出力する。書き込み回路805は書き込みに必要な電圧を生成し、選択されたメモリセルの記憶素子に電圧を印加することでデータの書き込みを行う。
【0127】
図7(B)に本発明の記憶装置が有する書き込み回路805の構成を示す。書き込み回路805は電圧発生回路811、タイミング制御回路812、スイッチSW0、SW1、出力端子Pwを有する。電圧発生回路811は昇圧回路等で構成され、書き込みに必要な電圧V1を生成し、出力Paから出力する。タイミング制御回路812は、書き込み制御信号(WEと記載する)、データ信号(DATAと記載する)、クロック信号(CLKと記載する)等からスイッチSW0、SW1をそれぞれ制御する信号S0、S1を生成し、それぞれ出力P0、P1から出力する。スイッチSW0は接地との接続、スイッチSW1は電圧発生回路811の出力Paとの接続、スイッチがいずれかの接続状態となるかによって、書き込み回路の出力Pwからの出力電圧Vwriteを切り替えることができる。
【0128】
次に記憶素子の導電性を変化させない初期状態を「0」とし、記憶素子の導電性を変化させる短絡状態の場合を「1」としたときの書き込み動作について説明する。まず入力信号WEがHighレベルになると、行を指定するアドレス信号を受けたカラムデコーダ801は指定行のセレクタ803に信号を与え、セレクタ803は指定行のビット線と書き込み回路の出力Pwとを電気的に接続する。指定されていないビット線は非接続(フローティングと記載する)状態となっている。書き込み回路の出力電圧VwriteはV1であり、指定行のビット線に電圧V1が印加される。同様に列を指定するアドレス信号を受けたローデコーダ802は指定列のワード線に電圧V2を印加し、指定されていないワード線に0Vを印加する。上記動作によりアドレス信号に対応する一つの記憶素子841が選択される。このとき記憶素子841の第2の電極には、0Vが印加される。
【0129】
同時にHighレベルのデータ信号DATAを受けることにより、電圧発生回路811は電圧V1を生成し、出力Paから出力することができる。タイミング制御回路812は入力信号WE、DATA、CLK、電源電位(VDD)等から、スイッチSW0、SW1を制御する信号S0=Low、S1=Highを生成し、出力P0、P1から出力することができる。当該信号S0、S1によりスイッチSW0はオフ、SW1はオンとなり、書き込み回路805は出力Pwから出力電圧Vwriteとして電圧V1を出力することができる。
【0130】
選択された記憶素子は、上記動作によりワード線に電圧V2が印加され、ビット線に電圧V1が印加され、第2の電極に0Vが印加されることとなる。すると薄膜トランジスタの不純物領域が導通して、ビット線の電圧V1が記憶素子の第1の電極に印加される。その結果、記憶素子の導電性が変化し、短絡状態となり「1」が書き込まれる。
【0131】
また入力信号WEがLowレベル(書き込み不許可となる低い電圧)になると、全てのワード線は0Vとなり、全てのビット線と記憶素子の第2の電極はフローティング状態となる。このときタイミング制御回路812は信号S0、S1としてそれぞれLowを生成し、出力P0、P1から出力し、出力Pwはフローティング状態となる。上記動作により、「1」の書き込みは終了する。
【0132】
次に、「0」の書き込みを説明する。「0」の書き込みは記憶素子の導電性を変化させない書き込みであり、これは記憶素子に電圧を印加しない、つまり初期状態を維持することで実現される。まず「1」の書き込みと同様に入力信号WEがHighレベル(書き込み許可となる高い電圧)になると、行を指定するアドレス信号を受けたカラムデコーダ801は指定行のセレクタに信号を与え、セレクタ803は指定行のビット線を書き込み回路の出力Pwに接続する。このとき指定されていないビット線はフローティング状態となる。同様に列を指定するアドレス信号を受けたローデコーダ802は指定列のワード線に電圧V2を印加し、指定されていないワード線に0Vを印加する。上記動作によりアドレス信号に対応する一つの記憶素子807が選択される。このとき記憶素子841の第2の電極には、0Vが印加される。
【0133】
同時にLowレベルの入力信号DATAを受け、タイミング制御回路812はそれぞれ制御信号S0=High、S1=Lowレベルを生成し、当該制御信号を出力P0、P1からそれぞれ出力する。当該制御信号によりスイッチSW0はオン、SW1はオフとなり、出力Pwから出力電圧Vwriteとして0Vを出力する。
【0134】
選択された記憶素子は、上記動作によりワード線にV2が印加され、ビット線と共通電極(第2の電極)に0Vが印加される。すると記憶素子には電圧が印加されず、導電性は変化しないので、初期状態である「0」を維持する。
【0135】
入力信号WEがLowレベルになると、全てのワード線は0V、全てのビット線と第2の電極はフローティング状態となる。同時にタイミング制御回路812は信号S0、S1はLowを生成して、それぞれ出力P0、P1から出力し、出力Pwriteはフローティング状態となる。上記動作により、「0」の書き込みは終了する。
【0136】
このようにして「1」又は「0」の書き込み、及び書き込みを終了することができる。
【0137】
また、メモリセルアレイ822は、絶縁表面を有する基板上にスイッチング素子として機能するトランジスタ840および当該トランジスタ840に接続された記憶素子841とを複数有している。
【0138】
図7(A)及び図7(B)に示すように、メモリセル821はトランジスタ840と記憶素子841とを有する。本明細書の添付図において記憶素子821は長方形を用いて表す。トランジスタ840はゲート電極にワード線が接続され、トランジスタの一方の高濃度不純物領域にビット線が接続され、トランジスタのもう一方の高濃度不純物領域に記憶素子841の第1の電極が接続されている。記憶素子の第2の電極はメモリセルアレイ内の全ての記憶素子の第2の電極と導通しており、記憶装置の動作時、つまり書き込み時、読み出し時に一定の電圧が印加される。したがって、本明細書において第2の電極を共通電極と記載する場合がある。
【0139】
また、本実施の形態は、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、実施の形態5、または実施の形態6と自由に組み合わせることができる。
【0140】
(実施の形態8)
本実施の形態の半導体装置の構成について、図8を参照して説明する。図8に示すように、本発明の半導体装置1520は、非接触でデータを交信する機能を有し、電源回路1511、クロック発生回路1512、データ復調/変調回路1513、他の回路を制御する制御回路1514、インターフェイス回路1515、記憶回路1516、データバス1517、アンテナ(アンテナコイル)1518、センサ1523a、センサ回路1523bを有する。
【0141】
電源回路1511は、アンテナ1518から入力された交流信号を基に、半導体装置1520の内部の各回路に供給する各種電源を生成する回路である。クロック発生回路1512は、アンテナ1518から入力された交流信号を基に、半導体装置1520の内部の各回路に供給する各種クロック信号を生成する回路である。データ復調/変調回路1513は、リーダライタ1519と交信するデータを復調/変調する機能を有する。制御回路1514は、記憶回路1516を制御する機能を有する。アンテナ1518は、電波の送受信を行う機能を有する。リーダライタ1519は、半導体装置との交信、制御及びそのデータに関する処理を制御する。なお、半導体装置は上記構成に制約されず、例えば、電源電圧のリミッタ回路や暗号処理専用ハードウエアといった他の要素を追加した構成であってもよい。
【0142】
記憶回路1516は、記憶素子として実施の形態1〜6で述べた、外部からの電気的作用により変化する有機化合物を含む層が一対の導電層間に挟まれた記憶素子を有する。なお、記憶回路1516は、一対の導電層間に有機化合物を含む層が挟まれた記憶素子のみを有していてもよいし、他の構成の記憶回路を有していてもよい。他の構成の記憶回路とは、例えば、DRAM、SRAM、FeRAM、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROM及びフラッシュメモリから選択される1つ又は複数に相当する。
【0143】
センサ1523aは抵抗素子、容量結合素子、誘導結合素子、光起電力素子、光電変換素子、熱起電力素子、トランジスタ、サーミスタ、ダイオードなどの半導体素子で形成される。センサ回路1523bはインピーダンス、リアクタンス、インダクタンス、電圧又は電流の変化を検出し、アナログ/デジタル変換(A/D変換)して制御回路1514に信号を出力する。
【0144】
また、本実施の形態は、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、実施の形態5、実施の形態6、または実施の形態7と自由に組み合わせることができる。
【0145】
(実施の形態9)
本発明により無線チップとして機能する半導体装置を形成することができる。無線チップの用途は広範にわたるが、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図10(A)参照)、包装用容器類(包装紙やボトル等、図10(C)参照)、記録媒体(DVDソフトやビデオテープ等、図10(B)参照)、乗物類(自転車等、図10(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等)、食品類、植物類、動物類、人体、衣類、生活用品類、電子機器等の商品や荷物の荷札(図10(E)、図10(F)参照)等の物品に設けて使用することができる。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(単にテレビ、テレビ受像機、テレビジョン受像機とも呼ぶ)及び携帯電話等を指す。
【0146】
本発明の半導体装置9210は、プリント基板に実装したり、表面に貼ったり、埋め込んだりして、物品に固定される。例えば、本なら紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージなら当該有機樹脂に埋め込んだりして、各物品に固定される。本発明の半導体装置9210は、小型、薄型、軽量を実現するため、物品に固定した後も、その物品自体のデザイン性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類等に本発明の半導体装置9210を設けることにより、認証機能を設けることができ、この認証機能を活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に本発明の半導体装置を設けることにより、検品システム等のシステムの効率化を図ることができる。
【0147】
次に、本発明の半導体装置を実装した電子機器の一態様について図面を参照して説明する。ここで例示する電子機器は携帯電話機であり、筐体2700、2706、パネル2701、ハウジング2702、プリント配線基板2703、操作ボタン2704、バッテリ2705を有する(図9参照)。パネル2701はハウジング2702に脱着自在に組み込まれ、ハウジング2702はプリント配線基板2703に嵌着される。ハウジング2702はパネル2701が組み込まれる電子機器に合わせて、形状や寸法が適宜変更される。プリント配線基板2703には、パッケージングされた複数の半導体装置が実装されており、このうちの1つとして、本発明の半導体装置を用いることができる。プリント配線基板2703に実装される複数の半導体装置は、コントローラ、中央処理ユニット(CPU、Central Processing Unit)、メモリ、電源回路、音声処理回路、送受信回路等のいずれかの機能を有する。
【0148】
パネル2701は、接続フィルム2708を介して、プリント配線基板2703と固定される。上記のパネル2701、ハウジング2702、プリント配線基板2703は、操作ボタン2704やバッテリ2705と共に、筐体2700、2706の内部に収納される。パネル2701が含む画素領域2709は、筐体2700に設けられた開口窓から視認できるように配置されている。
【0149】
上記の通り、本発明の半導体装置は、小型、薄型、軽量であることを効果としており、上記効果により、電子機器の筐体2700、2706内部の限られた空間を有効に利用することができる。
【0150】
また、本発明の半導体装置は、外部からの電気的作用により変化する有機化合物を含む層が一対の導電層に挟まれた単純な構造の記憶素子を有するため、安価な半導体装置を用いた電子機器を提供することができる。また、本発明の半導体装置は高集積化が容易なため、大容量の記憶回路を有する半導体装置を用いた電子機器を提供することができる。本発明の半導体装置が有する記憶素子として、実施の形態1〜6で述べた記憶素子を用いることができる。
【0151】
また、本発明の半導体装置が有する記憶装置は、外部からの電気的作用によりデータの書き込みを行うものであり、不揮発性であって、データの追記が可能である。上記特徴により、書き換えによる偽造を防止することができ、新たなデータを追加して書き込むことができる。従って、高機能化と高付加価値化を実現した半導体装置を用いた電子機器を提供することができる。
【0152】
なお、筐体2700、2706は、携帯電話機の外観形状を一例として示したものであり、本実施の形態に係る電子機器は、その機能や用途に応じて様々な態様に変容しうる。
【0153】
また、本実施の形態は、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3、実施の形態4、実施の形態5、実施の形態6、実施の形態7、または実施の形態8と自由に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】本発明の半導体装置の断面図及び上面図を示す図。(実施の形態1)
【図2】本発明の半導体装置の断面図及び上面図を示す図。(実施の形態2)
【図3】本発明の半導体装置の断面図及び上面図を示す図。(実施の形態3)
【図4】本発明の半導体装置の断面図及び上面図を示す図。(実施の形態4)
【図5】本発明の半導体装置の断面図及び上面図を示す図。(実施の形態5)
【図6】本発明の半導体装置の断面図及び上面図を示す図。(実施の形態6)
【図7】本発明の半導体装置の等価回路図を示す図。(実施の形態7)
【図8】本発明の半導体装置の構成例について説明する図。(実施の形態8)
【図9】本発明の半導体装置の使用形態について説明する図。(実施の形態9)
【図10】本発明の半導体装置を有する電子機器を説明する図。(実施の形態10)
【符号の説明】
【0155】
101:絶縁表面を有する基板
102:第1の絶縁層
103:半導体層
104:第2の絶縁層
105:ワード線(ゲート線)
106:第3の絶縁層
107:第4の絶縁層
108:第1の電極
109:ビット線
112:コモン線
113:有機化合物を含む層
114:第5絶縁層(隔壁)
120:電流経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁表面を有する基板上に記憶素子及びスイッチング素子が配置された半導体装置であり、
前記記憶素子は、
第1の電極、
第2の電極、及び
前記第1の電極と前記第2の電極との間に有機化合物を含む層を有し、
前記第1の電極、前記第2の電極、前記有機化合物を含む層は同一平面に形成され、
電流は前記第1の電極から前記第2の電極へ流れ、
前記第1の電極は、前記スイッチング素子と電気的に接続されている半導体装置。
【請求項2】
絶縁表面を有する基板上に記憶素子及びスイッチング素子が配置された半導体装置であり、
一対の絶縁層を有し、
前記記憶素子は、
第1の電極、
第2の電極、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に有機化合物を含む層を有し、
前記第1の電極、前記第2の電極、前記有機化合物を含む層は同一平面に形成され、
電流は前記第1の電極から前記第2の電極へ流れ、
前記有機化合物を含む層は、前記一対の絶縁層、前記第1の電極、及び前記第2の電極で周りを囲まれ、
前記第1の電極は、前記スイッチング素子と電気的に接続されている半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、前記一対の絶縁層は、前記有機化合物を含む層の両側を挟むように配置されている半導体装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一において、前記記憶素子は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電位差を形成し、前記有機化合物を含む層を高抵抗状態から低抵抗状態に不可逆に変化させる構造の素子である半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一において、前記第1の電極と前記第2の電極の電極幅の合計幅は、前記有機化合物を含む層の幅よりも広い半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一において、前記スイッチング素子のゲート電極は、ワード線である半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一において、前記有機化合物を含む層の上面形状は、矩形状、楕円状、円状、または帯状である半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一において、前記第1の電極及び前記第2の電極の側面は、テーパー形状を有している半導体装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一において、前記スイッチング素子は、nチャネル型の薄膜トランジスタである半導体装置。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれか一において、前記スイッチング素子は、pチャネル型の薄膜トランジスタである半導体装置。
【請求項11】
絶縁表面を有する基板上に半導体層を形成し、
前記半導体層を覆う絶縁膜を形成し、
一方が前記半導体層と電気的に接続する一対の電極を前記絶縁膜上で同一面上に形成し、
前記一対の電極間に有機化合物を含む層を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項12】
絶縁表面を有する基板上に半導体層を形成し、
前記半導体層を覆う絶縁膜を形成し、
一方が前記半導体層と電気的に接続する一対の電極を前記絶縁膜上で同一面上に形成し、
前記絶縁膜上に一対の絶縁層を形成し、
前記一対の電極と前記一対の絶縁層とで囲まれた領域に重なるように、有機化合物を含む層を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項13】
請求項11または請求項12において、前記有機化合物を含む層の上面形状は、矩形状、楕円状、円状、または帯状である半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−73950(P2007−73950A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217936(P2006−217936)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】