半導体装置およびその製造方法
【課題】配線層の第1絶縁膜に対して選択的にエッチングできるもので接続孔が形成される第2絶縁膜を形成することで、配線信頼性の高い多層配線構造を有する半導体装置を可能とする。
【解決手段】第1絶縁膜11と、前記第1絶縁膜11に形成されたもので第1配線21上のみにバリア膜22が形成された第1配線21と、前記第1配線21を被覆して前記第1絶縁膜11上に形成されかつ接続孔23が形成された第2絶縁膜12とを有し、前記第2絶縁膜12の前記第1絶縁膜11側は、前記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチング可能なものである。
【解決手段】第1絶縁膜11と、前記第1絶縁膜11に形成されたもので第1配線21上のみにバリア膜22が形成された第1配線21と、前記第1配線21を被覆して前記第1絶縁膜11上に形成されかつ接続孔23が形成された第2絶縁膜12とを有し、前記第2絶縁膜12の前記第1絶縁膜11側は、前記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチング可能なものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝配線を信頼性高く形成することが容易な半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銅(Cu)配線はアルミニウム(Al)系合金配線より低抵抗・低容量・高信頼性を与えることから、配線の寄生抵抗・寄生容量による回路遅延が支配的になる微細素子において重要性を増してきた。一般には銅はアルミニウム系合金配線と異なりドライエッチングが容易ではないため、溝配線技術(例えば、ダマシンプロセス)が広く受け入れられている。溝配線技術とは、例えばシリコン酸化膜(SiO2)などの層間絶縁膜に予め所定の溝を形成し、その溝に配線材料を埋め込み、その後余剰配線材料を化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法などにより除去することにより形成される配線のプロセスである。さらに接続孔(Via)と配線溝部分(トレンチ)を形成後、一括して配線材料を埋め込み、余剰配線材料を除去する溝配線技術(例えば、デュアルダマシン法)も工程数・コストの削減に有効である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、配線容量の増加がデバイスの速度低下につながるため、低誘電率膜を層間絶縁膜に用いた微細な多層配線が不可欠となっている。低誘電率層間絶縁膜の材料としては、従来より比較的実績のある比誘電率3.5程度のフッ素含有酸化シリコン(FSG)のみならず、ポリアリールエーテル(PAE)に代表される有機シリコン系のポリマーや、ハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)、メチルシルセスキオキサン(MSQ)に代表される無機系材料などの比誘電率2.7前後の低誘電率膜が挙げられ、近年ではそれらを多孔質化させて比誘電率を2.2前後とした材料まで導入が試みられている。
【0004】
銅配線は一般に多層化されて用いられるが、CMP直後の銅表面には拡散防止のバリアメタルが存在しないため、上層配線を形成する前に、銅の拡散防止層として機能するキャップ膜を成膜する。その際、銅は150℃の低温で、酸素を含有する雰囲気中で容易に酸化されるため、通常、シリコン窒化膜(SiN)や、炭化シリコン膜(SiC)がキャップ層として用いられている。しかしながら、窒化シリコン(SiN)や炭化シリコン(SiC)は酸化シリコン(SiO2)よりも比誘電率が大きいため、CMP後の銅表面を選択的に被覆する方法が有利といわれており、例えば、銅表面をコバルトタングステンリン(CoWP)で被覆する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、配線のエレクトロマイグレーション耐性向上として、銅配線上にのみ選択的に金属キャップ膜を形成することにより、最も弱い界面である絶縁膜/金属界面を金属/金属界面とすることにより、デバイス信頼性を向上させることが可能となる。
【0006】
しかし、この場合、ダマシンもしくはデュアルダマシン構造を形成する際に、接続孔を形成する際に用いられていたエッチングストッパー膜がなくなるため、図9に示すように、いわゆるボーダーレスの接続孔223部分で加工時の下層突き抜けを抑制することができなくなり、金属配線からなる第1配線221の側部に接続孔223が例えばスリット状に延長形成される。この部分にバリアメタルやプラグ材料の銅等の埋め込み不良が生じるので、特性・信頼性劣化が問題となる。そのため、図10に示すように、第1配線221上に、銅の酸化を防止するとともに、銅の拡散を防止するバリア膜222を選択的に形成しても、エッチングストッパー膜241として、従来から使用されていた窒化シリコン(SiN)もしくは炭化シリコン(SiC)膜の適用が不可欠となっており、また、バリア膜222の段差を被覆できるような厚さに上記エッチングストッパー膜241を形成する必要があった。その結果、層間容量の上昇を来すためにデバイス速度の上昇などの問題が発生していた。
【0007】
【特許文献1】特開平11−45887号公報
【特許文献2】米国特許第5695810号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、いわゆるボーダーレスの接続孔を形成する際、もしくは接続孔を形成するリソグラフィー工程で合わせずれが発生した際などに、下地配線の側部に接続孔が突き抜けるように形成され、その部分で埋め込み不良を発生するために、配線信頼性の低下、デバイス速度の上昇等が発生する点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の半導体装置は、第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜に形成されたもので第1配線上のみに拡散防止膜が形成された第1配線と、前記第1配線を被覆して前記第1絶縁膜上に形成されかつ接続孔が形成された第2絶縁膜とを有し、前記第2絶縁膜の前記第1絶縁膜側は、前記第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能なものであることを最も主要な特徴とする。
【0010】
本発明の半導体装置の製造方法は、第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜に形成されたもので第1配線上のみに拡散防止膜が形成された第1配線と、前記第1配線を被覆して前記第1絶縁膜上に形成されかつ接続孔が形成された第2絶縁膜とを有する半導体装置の製造方法であって、前記第2絶縁膜の少なくとも前記第1絶縁膜側を前記第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能な絶縁体で形成することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体装置は、接続孔が形成される第2絶縁膜は、第1配線が形成される第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能なものであるため、第1配線に接続する接続孔を第2絶縁膜に形成しても第1絶縁膜上でエッチングを停止することができるので、いわゆるボーダーレスの接続孔を形成する際、もしくは接続孔を形成するリソグラフィー工程で合わせずれが発生した際などに、第1配線側部に接続孔が突き抜けるように形成されることがない。このため、接続孔内に埋め込まれる材料の埋め込み不良が発生しなくなるので、良好なエレクトロマイグレーション耐性を有し、配線信頼性の向上が図れるという利点がある。よって、従来の接続孔形成時のエッチングを停止させるエッチングストッパー膜を用いた半導体装置、もしくは従来の接続孔形成時のエッチングを停止させるエッチングストッパーを設けない構造を有する半導体装置よりも、高性能で優れた信頼性特性を得ることができる。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法は、接続孔が形成される第2絶縁膜を第1配線が形成される第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能なもので形成するため、第1配線に接続する接続孔を第2絶縁膜に形成しても第1絶縁膜上でエッチングを停止することができるので、いわゆるボーダーレスの接続孔を形成する際、もしくは接続孔を形成するリソグラフィー工程で合わせずれが発生した際などに、第1配線側部に接続孔が突き抜けるように形成されることが防止できる。このため、接続孔内に埋め込み不良を発生することなく配線材料を埋め込むことができるようになるので、良好なエレクトロマイグレーション耐性を有し、配線信頼性の高い半導体装置を製造できるという利点がある。よって、従来の接続孔形成時のエッチングを停止させるエッチングストッパー膜を用いた半導体装置、もしくは従来の接続孔形成時のエッチングを停止させるエッチングストッパーを設けない構造を有する半導体装置よりも、高性能で優れた信頼性特性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
配線信頼性の高い多層配線構造を有する半導体装置形成するという目的を、配線層の第1絶縁膜に対して選択的にエッチングできるもので接続孔が形成される第2絶縁膜を形成することで、誘電率の高いエッチングストッパ膜を使用せずに実現した。
【実施例1】
【0014】
本発明の半導体装置に係る第1実施例を、図1の概略構成断面図によって説明する。
【0015】
図1に示すように、基体10上に有機絶縁膜111と無機絶縁膜112とを積層してなる第1絶縁膜11が形成されている。上記有機絶縁膜111は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上記無機絶縁膜112は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成される。上記第1絶縁膜11には第1配線21が溝配線構造にて形成されている。この第1配線21は、例えば銅(Cu)もしくは銅合金からなり、その溝内には銅の拡散防止のためのバリアメタル層(図示せず)が形成されている。この第1配線21の配線厚は、例えば150nmに形成されている。また、上記基体10にはトランジスタなどのデバイス(図示せず)が作製されている。
【0016】
上記第1配線21上にはバリア膜22が形成されている。このバリア膜22は、導電性の材料からなり、絶縁膜中から第1配線21に侵入しようとする酸素のバリア(第1配線21の酸化防止)として機能するとともに第1配線21中の銅の拡散バリアとして機能するものであり、例えばコバルトタングステンリン(CoWP)を例えば10nmの厚さに堆積して形成されている。
【0017】
上記バリア膜22を含む第1配線21上を被覆するように上記第1絶縁膜11上には第2絶縁膜12が形成されている。この第2絶縁膜12の少なくとも第1絶縁膜11側は上記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる絶縁体で形成されている。例えば、上記第2絶縁膜12は、積層膜で形成されていて、下層より有機絶縁膜121、無機絶縁膜122の順に形成されている。例えば、下層の有機絶縁膜121は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上層の無機絶縁膜122は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成されている。上記有機絶縁膜121と無機絶縁膜122の膜厚は、一例として、それぞれ80nmずつとしている。
【0018】
上記第2絶縁膜12上には配線層間絶縁膜となる第3絶縁膜13が形成されている。この第3絶縁膜13は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成されている。さらに、第3絶縁膜13上にはハードマスク層14が形成されている。ここではハードマスク層14は2層構造に形成され、例えば下層側の第1ハードマスク層141は炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成され、上層側の第2ハードマスク(図示せず)はシリコン窒化膜(SiN)で形成されている。第3絶縁膜13、第1、第2ハードマスク層141、(図示せず)のそれぞれの膜厚は、例えば80nm、140nm、30nmとする。
【0019】
上記第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、ハードマスク層14には、接続孔23および接続孔23に接続される配線溝24が形成されている。すなわち、上記ハードマスク層14および第3絶縁膜13には配線溝24が形成され、この配線溝24の底部から第2絶縁膜12には第1配線21上に形成されたバリア膜22に達する接続孔23が形成されている。上記接続孔23が形成される第1配線21上の絶縁膜は有機絶縁膜121で形成されているため、この有機絶縁膜121は、第1配線21が形成されている絶縁膜の上層の無機絶縁膜112に対するエッチング選択比が100以上得られるため、無機絶縁膜112に接続孔23は形成されていない。また、有機絶縁膜からなる第3絶縁膜13は、第2絶縁膜の上層の無機絶縁膜122に対するエッチング選択比が100以上得られるため、配線溝24には深さばらつきが生じ無い。
【0020】
上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25が形成され、上記配線溝24および上記接続孔23の内部を埋め込むように銅もしくは銅を含む合金が形成されている。したがって、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26が形成され、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27が形成されている。このようにして、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が構成されている。さらに、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28が形成されている。
【0021】
本発明の半導体装置の第1実施例は、接続孔23が形成される第2絶縁膜12の下層部分の有機絶縁膜121は、第1配線21が形成される第1絶縁膜11の上層部分の無機絶縁膜112に対して選択的にエッチング可能なものであるため、第1配線21に接続する接続孔23を第2絶縁膜12に形成しても第1絶縁膜11上でエッチングが停止されるので、接続孔23をいわゆるボーダーレスに形成する際、もしくは接続孔23を形成するリソグラフィー工程で合わせずれが発生した際などに、第1配線21側部に接続孔23が突き抜けるように形成されることがない。このため、接続孔23内に埋め込まれる材料の埋め込み不良が発生しなくなるので、配線信頼性の向上が図れるという利点がある。
【実施例2】
【0022】
次に、本発明の半導体装置に係る第2実施例を、図2の概略構成断面図によって説明する。なお、上記第1実施例と同様なる構成部品には第1実施例の構成部品と同一の符号を付与した。
【0023】
図2に示すように、基体10上に有機絶縁膜111と無機絶縁膜112とを積層してなる第1絶縁膜11が形成されている。上記有機絶縁膜111は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上記無機絶縁膜112は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成される。上記第1絶縁膜11には第1配線21が溝配線構造にて形成されている。この第1配線21は、例えば銅(Cu)もしくは銅合金からなり、その溝内には銅の拡散防止のためのバリアメタル層(図示せず)が形成されている。この第1配線21の配線厚は、例えば150nmに形成されている。また、上記基体10にはトランジスタなどのデバイス(図示せず)が作製されている。
【0024】
上記第1配線21上にはバリア膜22が形成されている。このバリア膜22は、導電性の材料からなり、絶縁膜中から第1配線21に侵入しようとする酸素のバリア(第1配線21の酸化防止)として機能するとともに第1配線21中の銅の拡散バリアとして機能するものであり、例えばコバルトタングステンリン(CoWP)を例えば10nmの厚さに堆積して形成されている。
【0025】
上記バリア膜22を含む第1配線21上を被覆するように上記第1絶縁膜11上には第2絶縁膜12が形成されている。この第2絶縁膜12は、上記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる絶縁体で形成されている。例えば、第2絶縁膜12は、有機絶縁膜で形成され、この有機絶縁膜としてはポリアリルエーテル(PAE)膜が用いられ、その膜厚は例えば240nmとしている。
【0026】
上記第2絶縁膜12上にはハードマスク層14が形成されている。ここではハードマスク層14は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成され、その膜厚は、例えば140nmとする。
【0027】
上記第2絶縁膜12、ハードマスク層14には、接続孔23および接続孔23に接続される配線溝24が形成されている。すなわち、上記ハードマスク層14および第2絶縁膜12の上層部には配線溝24が形成され、この配線溝24の底部から第2絶縁膜12には第1配線21上に形成されたバリア膜22に達する接続孔23が形成されている。上記接続孔23が形成される第2絶縁膜12は有機絶縁膜で形成されているので、この有機絶縁膜は、第1配線21が形成されている絶縁膜の上層の無機絶縁膜112に対するエッチング選択比が100以上得られるため、無機絶縁膜112に接続孔23は形成されていない。
【0028】
上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25が形成され、上記配線溝24および上記接続孔23の内部を埋め込むように銅もしくは銅を含む合金が形成されている。したがって、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26が形成され、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27が形成されている。このようにして、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が構成されている。さらに、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28が形成されている。
【0029】
本発明の半導体装置の第2実施例は、接続孔23が形成される第2絶縁膜12が有機絶縁膜であり、この有機絶縁膜は第1配線21が形成される第1絶縁膜11の上層部分の無機絶縁膜112に対して選択的にエッチング可能なものであるため、第1配線21に接続する接続孔23を第2絶縁膜12に形成しても第1絶縁膜11上でエッチングが停止される。このため、接続孔23をいわゆるボーダーレスに形成する際、もしくは接続孔23を形成するリソグラフィー工程で合わせずれが発生した際などに、第1配線21側部に接続孔23が突き抜けるように形成されることがない。よって、接続孔23内に埋め込まれる材料の埋め込み不良が発生しなくなるので、配線信頼性の向上が図れるという利点がある。
【実施例3】
【0030】
次に、本発明の半導体装置に係る第3実施例を、図3の概略構成断面図によって説明する。なお、上記第1実施例と同様なる構成部品には第1、第2実施例の構成部品と同一の符号を付与した。
【0031】
図3に示すように、基体10上に有機絶縁膜111と無機絶縁膜112とを積層してなる第1絶縁膜11が形成されている。上記有機絶縁膜111は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上記無機絶縁膜112は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成される。上記第1絶縁膜11には第1配線21が溝配線構造にて形成されている。この第1配線21は、例えば銅(Cu)もしくは銅合金からなり、その溝内には銅の拡散防止のためのバリアメタル層(図示せず)が形成されている。この第1配線21の配線厚は、例えば150nmに形成されている。また、上記基体10にはトランジスタなどのデバイス(図示せず)が作製されている。
【0032】
上記第1配線21上にはバリア膜22が形成されている。このバリア膜22は、導電性の材料からなり、絶縁膜中から第1配線21に侵入しようとする酸素のバリア(第1配線21の酸化防止)として機能するとともに第1配線21中の銅の拡散バリアとして機能するものであり、例えばコバルトタングステンリン(CoWP)を例えば10nmの厚さに堆積して形成されている。
【0033】
上記バリア膜22を含む第1配線21上を被覆するように上記第1絶縁膜11上には第2絶縁膜12が形成されている。この第2絶縁膜12の少なくとも第1絶縁膜11側は上記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる絶縁体で形成されている。例えば、上記第2絶縁膜12は、積層膜で形成されていて、下層より有機絶縁膜121、エッチングストッパーとなる無機絶縁膜122の順に形成されている。例えば、下層の有機絶縁膜121は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上層の無機絶縁膜122は、例えば炭化シリコン膜(SiC)で形成されている。上記有機絶縁膜121と無機絶縁膜122の膜厚は、一例として、それぞれ150nm、10nmとする。
【0034】
上記第2絶縁膜12上には配線層間絶縁膜となる第3絶縁膜13が形成されている。この第3絶縁膜13は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成されている。さらに、第3絶縁膜13上にはハードマスク層14が形成されている。ここではハードマスク層14は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成されていて、その膜厚は、例えば140nmとする。
【0035】
上記第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、ハードマスク層14には、接続孔23および接続孔23に接続される配線溝24が形成されている。すなわち、上記ハードマスク層14および第3絶縁膜13には配線溝24が形成され、この配線溝24の底部から第2絶縁膜12には第1配線21上に形成されたバリア膜22に達する接続孔23が形成されている。上記接続孔23が形成される第1配線21上の絶縁膜は有機絶縁膜121で形成されているため、この有機絶縁膜121は、第1配線21が形成されている絶縁膜の上層の無機絶縁膜112に対するエッチング選択比が100以上得られるため、無機絶縁膜112に接続孔23は形成されていない。また、有機絶縁膜からなる第3絶縁膜13は、第2絶縁膜の上層の無機絶縁膜122に対するエッチング選択比が100以上得られるため、配線溝24には深さばらつきが生じ無い。
【0036】
上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25が形成され、上記配線溝24および上記接続孔23の内部を埋め込むように銅もしくは銅を含む合金が形成されている。したがって、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26が形成され、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27が形成されている。このようにして、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が構成されている。さらに、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28が形成されている。
【0037】
本発明の半導体装置の第3実施例は、第1配線21上にのみ選択的にバリア膜22が形成され、接続孔23の層間として有機絶縁膜である第2絶縁膜12と、配線層間のマスクである無機絶縁膜のハードマスク層14とを形成しているため、第1配線21上に誘電率の高い窒化シリコン(SiN)もしくは炭化シリコン(SiC)といった誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用することなく、良好な多層配線構造を得ることができる。また第1配線21上に誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用していないことにより、デバイス全体の容量の低減が可能となり、かつ接続孔のボーダーレス部分、もしくはリソグラフィー工程における大きな合わせズレが発生した際にも、下層の下地突き抜けを抑制することができるため、良好なエレクトロマイグレーション耐性を有し、かつ高性能(例えば応答速度が速い)・高信頼性な半導体デバイスとなる。少なくとも、本発明の半導体装置は、従来のエッチングストッパー膜を用いた半導体装置、もしくは従来の層間絶縁膜構造を用いたストッパーレス構造を有する半導体装置よりも、高性能で優れた信頼性特性を得ることができる。
【実施例4】
【0038】
本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例を、図4〜図5の概略構成断面図によって説明する。
【0039】
図4(1)に示すように、基体10上に有機絶縁膜111と無機絶縁膜112とを積層してなる第1絶縁膜11が形成されている。上記有機絶縁膜111は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上記無機絶縁膜112は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成される。上記第1絶縁膜11には第1配線21が溝配線構造にて形成されている。この第1配線21は、例えば銅(Cu)もしくは銅合金からなり、その溝内には銅の拡散防止のためのバリアメタル層(図示せず)が形成されている。この第1配線21の配線厚は、例えば150nmに形成されている。また、上記基体10にはトランジスタなどのデバイス(図示せず)が作製されている。
【0040】
さらに、しかるべき後処理の後、上記第1配線21上にのみ、選択的にバリア膜22を形成する。このバリア膜22は、導電性の材料からなり、絶縁膜中から第1配線21に侵入しようとする酸素のバリア(第1配線21の酸化防止)として機能するとともに第1配線21中の銅の拡散バリアとして機能するものであり、例えばコバルトタングステンリン(CoWP)を例えば10nmの厚さに堆積して形成される。CoWPは、例えばpH1.3の塩化パラジウム(PdCl2)水溶液で銅配線上にのみパラジウム(Pd)を置換めっきしたのち、例えばpH9.5に調整した、タングステン酸アンモニウム、塩化コバルト、次亜燐酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムをめっき液として無電界めっき法にて成膜することができる。
【0041】
続けて、上記バリア膜22を含む第1配線21上を被覆するように、上記第1絶縁膜11上に第2絶縁膜12を形成する。この第2絶縁膜12の少なくとも第1絶縁膜11側は上記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる絶縁体で形成される。例えば、上記第2絶縁膜12は、積層膜で形成され、下層より有機絶縁膜121、無機絶縁膜122の順に形成される。例えば、下層の有機絶縁膜121を、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成し、上層の無機絶縁膜122を、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成する。上記有機絶縁膜121と無機絶縁膜122の膜厚は、一例として、それぞれ80nmずつとした。上記ポリアリールエーテル膜は、しかるべき前駆体をスピンコート法により塗布した後、350℃、5分のキュア処理を行うことにより形成することができる。また、炭化シリコン酸化膜(SiOC)は、例えば平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用するガスとしては、シリコン源としてメチルシラン(SiCH3)を用いた。
【0042】
続けて、上記第2絶縁膜12上に配線層間絶縁膜となる第3絶縁膜13を形成する。この第3絶縁膜13は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成することができる。次いで、第3絶縁膜13上にハードマスク層14を形成する。ここではハードマスク層14は2層構造に形成する。まず第1ハードマスク層141として炭化シリコン酸化膜(SiOC)を形成し、第2ハードマスク142としてシリコン窒化膜(SiN)を形成する。第3絶縁膜13、第1、第2ハードマスク層141、142のそれぞれの膜厚は、例えば80nm、140nm、30nmとした。
【0043】
上記第3絶縁膜13を構成するポリアリールエーテル膜は、しかるべき前駆体をスピンコート法により塗布した後、350℃、5分のキュア処理を行うことにより形成することができる。また、上記第1ハードマスク層141を構成する炭化シリコン酸化膜(SiOC)は、例えば平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用するガスとしては、シリコン源としてメチルシラン(SiCH3)を用いた。また、上記第2ハードマスク層142を構成するシリコン窒化膜(SiN)は、例えば平行平板型のプラズマCVD装置を用いて、シラン(SiH4)、アンモニア(NH3)ガスを用いて、圧力を550Paとして成膜することができる。
【0044】
次に、上記ハードマスク層14上に配線溝パターンを形成するためのレジストマスク15を形成する。このレジストマスク15には配線溝パターンを形成するための開口部151が形成されている。その後、上記レジストマスクをエッチングマスクに用いたドライエッチング法により、第2ハードマスク層142をエッチングする。
【0045】
その結果、図4(2)に示すように、第2ハードマスク層142に配線溝パターン143が形成される。このエッチングは、例えば、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用いて、例えばエッチングガスにトリフルオロメタン(CHF3)、アルゴン(Ar)および酸素(O2)を混合したガスを用い、そのガス流量比を、例えばCHF3:Ar:O2=1:5:1とし、バイアスパワーを500Wに、基板温度を20℃に設定する。上記エッチング加工の後、しかるべき薬液を用いた後処理を行うことにより、上記レジストマスク15を除去するとともに、エッチング処理時の残留デポ物を除去する。なお、上記エッチングでは、第1ハードマスク層141上部もエッチングされることがある。
【0046】
次に、図4(3)に示すように、上記ハードマスク層14上に接続孔パターンを形成するためのレジストマスク16を形成する。このレジストマスク16には接続孔パターンを形成するための開口部161が形成されている。上記レジストマスク16をエッチングマスクに用いたドライエッチング法により、第1ハードマスク141をエッチングし、さらに第3絶縁膜13をエッチングする。
【0047】
その結果、図4(4)に示すように、第1ハードマスク層141および第3絶縁膜13に接続孔23が形成される。ここでの第1ハードマスク141はSiOC膜からなるので、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、アルゴン(Ar)を用い、バイアスパワーを400Wに設定する。ガス流量比はC4F8:Ar=1:4とし、基板温度を20℃に設定した。また、上記第3絶縁膜13はポリアリールエーテル膜からなるので、例えば一般的な高密度プラズマエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてアンモニア(NH3)を用いて行う。RFパワーを150W、基盤温度を10℃に設定した。このエッチング条件での上記レジストマスク16〔前記図4(3)参照〕のエッチングレートはポリアリールエーテル膜のエッチングレートとほぼ同等であるため、ポリアリールエーテル膜のエッチング中にレジストマスク16は後退していくが、第1ハードマスク層141があるため良好な接続孔23の開口形状を得ることができる。
【0048】
続いて、図4(5)に示すように、上記第1ハードマスク層141をエッチングマスクに用いて第2絶縁膜12の無機絶縁膜122をエッチングして接続孔23を延長形成すると同時に、第2ハードマスク層142〔前記図4(4)参照〕をエッチングマスクに用いて第1ハードマスク層141に配線溝24を形成する。ここでのエッチングは、最終的に第2ハードマスク層142が無くなるよう、例えば一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、例えばエッチングガスとしてオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)および酸素(O2)の混合ガスを用いて、ガス流量比をC5F8:Co:Ar:O2=1:10:5:1とし、バイアスパワーを1600W、基板温度を20℃に設定する。
【0049】
続いて、図4(6)に示すように、第2絶縁膜12の有機絶縁膜121と第3絶縁膜13とを同時にエッチングすることにより、第1ハードマスク層141および第3絶縁膜13に配線溝24が形成され、第2絶縁膜12に第1配線21上のバリア膜22に達する接続孔23が形成される。このようにして、いわゆる、デュアルダマシン加工が完了する。ここでのエッチングは、例えば一般的な高密度プラズマエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてアンモニア(NH3)を用いて行う。RFパワーを150W、基盤温度を10℃に設定した。このエッチング条件における第1ハードマスク141および下層の第2絶縁膜12の無機絶縁膜122に対するエッチング選択比は100以上得られるため、配線溝24には深さばらつきが生じ無い。
【0050】
その後、しかるべき薬液を用いた後処理を行うことにより、エッチング処理時の残留デポ物の除去する。続けて、しかるべき脱ガス処理およびRFスパッタリング処理を行うことにより、接続孔23の開口によって露出した第1配線21(バリア膜22)の変質層の除去を行う。
【0051】
続けて、図5(7)に示すように、上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25を形成する。その際、第1ハードマスク層141上面にも上記拡散防止膜25が形成される。この拡散防止膜25には、例えばタンタル(Ta)膜を用いることができる。この成膜は、例えば一般的なマグネトロンスパッタリング装置を用い、タンタルターゲットを用いて指向性スパッタリング法にて成膜する。ここでの拡散防止膜25の成膜は、上記デュアルダマシン構造の配線溝24および接続孔23の内面に対してカバリッジ良く形成される必要があり、好ましくは自己放電イオン化スパッタリング法もしくは遠距離スパッタリング法などの指向性スパッタリング法を用いるのが良い。
【0052】
続けて、めっき(例えば、電解めっきもしくは無電解めっき)法もしくはスパッタリング法もしくはCVD法にて、上記拡散防止膜25表面に銅もしくは銅を含む合金を成膜する。また、めっき法を用いる場合には、スパッタリング法もしくはCVD法にて予め配線溝24および接続孔23の内面に銅のシード層を形成しておくことが好ましい。上記銅もしくは銅を含む合金の成膜により、上記配線溝24および接続孔23を埋め込む。その際、第1ハードマスク層141上にも銅もしくは銅を含む合金が堆積される。
【0053】
続けて、例えば化学的機械研磨(CMP)法により配線が形成されていない領域の余剰銅もしくは銅を含む合金および拡散防止膜25を除去することにより、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26が形成され、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して、上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27が形成される。このようにして、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が得られる。次いで、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28を形成する。
【0054】
本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例では、図6(1)に示すように、接続孔23と下層の第1配線21との間で合わせずれが発生した場合であっても、第1絶縁膜11の無機絶縁膜122に対して第2絶縁膜12の有機絶縁膜121が選択的にエッチングできるので、第1配線21が形成されている第1絶縁膜11(無機絶縁膜112)に接続孔23が突き抜けて形成されることはなく、接続孔23を制御性良く形成することができる。
【0055】
したがって、図6(2)に示すように、上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25をカバリッジよく形成することができる。さらに、配線溝24および接続孔23の内面に銅のシード層をカバリッジよく形成することができ、また、上記配線溝24および接続孔23の内部に銅もしくは銅を含む合金をボイドを発生することなく埋め込むことができる。したがって、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26を信頼性良く形成することができ、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27を信頼性良く形成することができる。このようにして、たとえ、接続孔を形成する際に合わせずれが発生しても、信頼性の高いいわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が得られる。なお、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28が形成される。
【0056】
上記第1実施例の製造方法では、第1配線21上にのみ選択的にバリア膜22を形成し、接続孔23の層間として有機絶縁膜121と、配線層間のマスクとして2層からなる無機絶縁膜のハードマスク層14とを形成しているため、誘電率の高い窒化シリコン(SiN)もしくは炭化シリコン(SiC)といった誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用することなく、良好な多層配線構造を得ることができる。また誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用していないことにより、デバイス全体の容量の低減が可能となり、かつ接続孔のボーダーレス部分、もしくはリソグラフィー工程における大きな合わせズレが発生した際にも、下層の下地突き抜けを抑制することができるため、良好なエレクトロマイグレーション耐性を有し、かつ高性能(例えば応答速度が速い)・高信頼性な半導体デバイスを得ることができる。少なくとも、上記各工程を経て形成された半導体装置は、従来のエッチングストッパー膜を用いた半導体装置、もしくは従来の層間絶縁膜構造を用いたストッパーレス構造を有する半導体装置よりも、高性能で優れた信頼性特性を得ることができる。
【0057】
尚、上記記載の各種絶縁膜およびバリア膜22、28は、表記された膜種、膜厚、製法に限定されることはない。銅配線上にのみ選択的に形成するバリア膜22、28はコバルトタングステンリン(CoWP)の代わりに、例えば、ニッケルタングステンリン(NiWP)、コバルトタングステンホウ素(CoWB)などの合金、もしくは通常の銅のバリアメタルとして用いているタンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、さらには、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、もしくはこれら金属の合金、窒化膜でも良く、さらにはこれら金属、合金、窒化膜を複数組み合わせたものでもよい。
【0058】
上記接続孔23が形成される絶縁膜として用いている有機絶縁膜121にはポリアリールエーテル(PAE)の他に、例えば、ポリアリレンエーテル膜、アモルファスカーボン膜、ポリテトラトラフロロエチレン膜の適用でもよく、さらにはこれらを多孔質(ポーラス)化させた膜でも問題なく用いることができる。
【0059】
また、第1ハードマスク141として用いているSiOC膜の代わりに、シリコン酸化膜(SiO2)、スピンコート法により形成されるメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜やハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)膜などの適用が可能である。
【実施例5】
【0060】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施例を、図7の概略構成断面図によって説明する。なお、上記第1実施例と同様なる構成部品には第1実施例の構成部品と同一の符号を付与した。
【0061】
図7(1)に示すように、基体10上に有機絶縁膜111と無機絶縁膜112とを積層してなる第1絶縁膜11が形成されている。上記有機絶縁膜111は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上記無機絶縁膜112は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成される。上記第1絶縁膜11には第1配線21が溝配線構造にて形成されている。この第1配線21は、例えば銅(Cu)もしくは銅合金からなり、その溝内には銅の拡散防止のためのバリアメタル層(図示せず)が形成されている。この第1配線21の配線厚は、例えば150nmに形成されている。また、上記基体10にはトランジスタなどのデバイス(図示せず)が作製されている。
【0062】
さらに、しかるべき後処理の後、上記第1配線21上にのみ、選択的にバリア膜22を形成する。このバリア膜22は、導電性の材料からなり、絶縁膜中から第1配線21に侵入しようとする酸素のバリア(第1配線21の酸化防止)として機能するとともに第1配線21中の銅の拡散バリアとして機能するものであり、例えばコバルトタングステンリン(CoWP)を例えば10nmの厚さに堆積して形成される。CoWPは、例えばpH1.3の塩化パラジウム(PdCl2)水溶液で銅配線上にのみパラジウム(Pd)を置換めっきしたのち、例えばpH9.5に調整した、タングステン酸アンモニウム、塩化コバルト、次亜燐酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムをめっき液として無電界めっき法にて成膜することができる。
【0063】
続けて、上記バリア膜22を含む第1配線21上を被覆するように、上記第1絶縁膜11上に第2絶縁膜12を形成する。この第2絶縁膜12の少なくとも第1絶縁膜11側は上記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる絶縁体で形成される。例えば、上記第2絶縁膜12は有機絶縁膜で形成される。例えば、この有機絶縁膜はポリアリルエーテル(PAE)膜で形成される。上記第2絶縁膜12の膜厚は、一例として、それぞれ240nmとした。上記ポリアリールエーテル膜は、しかるべき前駆体をスピンコート法により塗布した後、350℃、5分のキュア処理を行うことにより形成することができる。
【0064】
続けて、第2絶縁膜12上にハードマスク層14を形成する。ここではハードマスク層14を、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成する。このハードマスク層14の膜厚は、例えば140nmmとした。また、上記ハードマスク層14を構成する炭化シリコン酸化膜(SiOC)は、例えば平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用するガスとしては、シリコン源としてメチルシラン(SiCH3)を用いた。
【0065】
次に、上記ハードマスク層14上に接続孔パターンを形成するためのレジストマスク17を形成する。このレジストマスク17には接続パターンを形成するための開口部171が形成されている。その後、上記レジストマスクをエッチングマスクに用いたドライエッチング法により、ハードマスク層14および第2絶縁膜12をエッチングする。
【0066】
その結果、図7(2)に示すように、ハードマスク層14および第2絶縁膜12に接続孔23が形成される。ここでのハードマスク層14のエッチング加工は、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、アルゴン(Ar)を用い、バイアスパワーを400Wに設定する。ガス流量比はC4F8:Ar=1:4とし、基板温度は20℃と設定した。また、上記ポリアリールエーテル膜からなる第2絶縁膜12のエッチング加工は、一般的な高密度プラズマエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてアンモニア(NH3)を用いて行う。RFパワーを150W、基盤温度を10℃に設定した。また、加工した接続孔の深さが150nmになるよう加工時間を設定した。このエッチング条件での上記レジストマスク17のエッチングレートはポリアリールエーテルのエッチングレートとほぼ同等であるため、ポリアリールエーテルのエッチング中にレジストマスク17は後退していくが、SiOCからなるハードマスク14が存在しているため良好な接続孔23の開口形状を得ることができる。続いて、しかるべき薬液を用いた後処理を行うことにより、レジストマスク17の除去、エッチング処理時の残留デポ物の除去をする。
【0067】
次に、図7(3)に示すように、上記ハードマスク層14上に配線溝パターンを形成するためのレジストマスク18を形成する。このレジストマスク18には配線溝パターンを形成するための開口部181が形成されている。その後、上記レジストマスク18をエッチングマスクに用いたドライエッチング法により、ハードマスク層14をエッチングする。
【0068】
その結果、図7(4)に示すように、ハードマスク層14に配線溝24が形成される。ここでのハードマスク層14のエッチング加工は、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、アルゴン(Ar)を用い、バイアスパワーを400Wに設定する。ガス流量比はC4F8:Ar=1:4とし、基板温度は20℃と設定した。
【0069】
続けて、図7(5)に示すように、第2絶縁膜12に配線溝24および接続孔23を延長形成する。そして、接続孔23がバリア膜22に到達して、エッチング加工を終了する。このようにして、いわゆるデュアルダマシン加工が完了する。このでのエッチングは、例えば一般的な高密度プラズマエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてアンモニア(NH3)を用いて行う。RFパワーを150W、基盤温度を10℃に設定する。また、加工した配線溝24の深さが80nmになるよう加工時間を設定する。このエッチング条件におけるハードマスク層14および下層の第1絶縁膜11上層の無機絶縁膜112のSiOC膜に対するエッチング選択比は100以上得られるため、接続孔23と第1配線21とで合わせずれを発生させた場合でも下層突き抜けを発生させることなく、制御性良く接続孔23のエッチング加工を行うことができる。
【0070】
その後、しかるべき薬液を用いた後処理を行うことにより、エッチング処理時の残留デポ物の除去する。続けて、しかるべき脱ガス処理およびRFスパッタリング処理を行うことにより、接続孔23の開口によって露出した第1配線21の変質層の除去を行う。
【0071】
続けて、図7(6)に示すように、上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25を形成する。その際、ハードマスク層14上面にも上記拡散防止膜25が形成される。この拡散防止膜25には、例えばタンタル(Ta)膜を用いることができる。この成膜は、例えば一般的なマグネトロンスパッタリング装置を用い、タンタルターゲットを用いて指向性スパッタリング法にて成膜する。ここでの拡散防止膜25の成膜は、上記デュアルダマシン構造の配線溝24および接続孔23の内面に対してカバリッジ良く形成される必要があり、好ましくは自己放電イオン化スパッタリング法もしくは遠距離スパッタリング法などの指向性スパッタリング法を用いるのが良い。
【0072】
続けて、めっき(例えば、電解めっきもしくは無電解めっき)法もしくはスパッタリング法もしくはCVD法にて、上記拡散防止膜25表面に銅もしくは銅を含む合金を成膜する。また、めっき法を用いる場合には、スパッタリング法もしくはCVD法にて予め配線溝24および接続孔23の内面に銅のシード層を形成しておくことが好ましい。上記銅もしくは銅を含む合金の成膜により、上記配線溝24および接続孔23を埋め込む。その際、ハードマスク層14上にも銅もしくは銅を含む合金が堆積される。
【0073】
続けて、例えば化学的機械研磨(CMP)法により配線が形成されていない領域の余剰銅もしくは銅を含む合金および拡散防止膜25を除去することにより、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26が形成され、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27が形成される。このようにして、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が得られる。次いで、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21上のバリア膜22と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28を形成する。
【0074】
上記第2実施例の製造方法では、第1配線21上にのみ選択的にバリア膜22を形成し、接続孔23の層間として有機絶縁膜である第2絶縁膜12と、配線層間のマスクである無機絶縁膜のハードマスク層14とを形成しているため、誘電率の高い窒化シリコン(SiN)もしくは炭化シリコン(SiC)といった誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用することなく、良好な多層配線構造を得ることができる。また誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用していないことにより、デバイス全体の容量の低減が可能となり、かつ接続孔のボーダーレス部分、もしくはリソグラフィー工程における大きな合わせズレが発生した際にも、下層の下地突き抜けを抑制することができるため、良好なエレクトロマイグレーション耐性を有し、かつ高性能(例えば応答速度が速い)・高信頼性な半導体デバイスを得ることができる。少なくとも、上記各工程を経て形成された半導体装置は、従来のエッチングストッパー膜を用いた半導体装置、もしくは従来の層間絶縁膜構造を用いたストッパーレス構造を有する半導体装置よりも、高性能で優れた信頼性特性を得ることができる。
【0075】
尚、上記記載の各種絶縁膜およびバリア膜22、28は、表記された膜種、膜厚、製法に限定されることはない。銅配線上にのみ選択的に形成するバリア膜22、28はコバルトタングステンリン(CoWP)の代わりに、例えば、ニッケルタングステンリン(NiWP)、コバルトタングステンホウ素(CoWB)などの合金、もしくは通常の銅のバリアメタルとして用いているタンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、さらには、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、もしくはこれら金属の合金、窒化膜でも良く、さらにはこれら金属、合金、窒化膜を複数組み合わせたものでもよい。
【0076】
上記接続孔23が形成される絶縁膜として用いている有機絶縁膜の第2絶縁膜12にはポリアリールエーテル(PAE)の他に、例えば、ポリアリレンエーテル膜、アモルファスカーボン膜、ポリテトラトラフロロエチレン膜の適用でもよく、さらにはこれらを多孔質(ポーラス)化させた膜でも問題なく用いることができる。
【0077】
また、ハードマスク14として用いているSiOC膜の代わりに、シリコン酸化膜(SiO2)、スピンコート法により形成されるメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜やハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)膜などの適用が可能である。
【実施例6】
【0078】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る第3実施例を、図8の概略構成断面図によって説明する。なお、上記第1、第2実施例と同様なる構成部品には第1実施例の構成部品と同一の符号を付与した。
【0079】
図8(1)に示すように、基体10上に有機絶縁膜111と無機絶縁膜112とを積層してなる第1絶縁膜11が形成されている。上記有機絶縁膜111は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上記無機絶縁膜112は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成される。上記第1絶縁膜11には第1配線21が溝配線構造にて形成されている。この第1配線21は、例えば銅(Cu)もしくは銅合金からなり、その溝内には銅の拡散防止のためのバリアメタル層(図示せず)が形成されている。この第1配線21の配線厚は、例えば150nmに形成されている。また、上記基体10にはトランジスタなどのデバイス(図示せず)が作製されている。
【0080】
さらに、しかるべき後処理の後、上記第1配線21上にのみ、選択的にバリア膜22を形成する。このバリア膜22は、導電性の材料からなり、絶縁膜中から第1配線21に侵入しようとする酸素のバリア(第1配線21の酸化防止)として機能するとともに第1配線21中の銅の拡散バリアとして機能するものであり、例えばコバルトタングステンリン(CoWP)を例えば10nmの厚さに堆積して形成される。CoWPは、例えばpH1.3の塩化パラジウム(PdCl2)水溶液で銅配線上にのみパラジウム(Pd)を置換めっきしたのち、例えばpH9.5に調整した、タングステン酸アンモニウム、塩化コバルト、次亜燐酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムをめっき液として無電界めっき法にて成膜することができる。
【0081】
続けて、上記バリア膜22を含む第1配線21上を被覆するように、上記第1絶縁膜11上に第2絶縁膜12を形成する。この第2絶縁膜12の少なくとも第1絶縁膜11側は上記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる絶縁体で形成される。例えば、上記第2絶縁膜12は、積層膜で形成され、下層より有機絶縁膜121、エッチングストッパーとなる無機絶縁膜122の順に形成される。例えば、下層の有機絶縁膜121を、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成し、上層の無機絶縁膜122を、例えば炭化シリコン膜(SiC)で形成する。上記有機絶縁膜121と無機絶縁膜122の膜厚は、一例として、それぞれ150nmと10nmとした。ここで、無機絶縁膜122は、炭化シリコンで形成するが、平坦な面上に形成され、かつ単に有機絶縁膜のエッチングストッパーとしての機能を有するだけでよいので、非常に薄い膜厚で形成すればよい。このため、層間容量に大きな影響は及ぼさない。上記ポリアリールエーテル膜は、しかるべき前駆体をスピンコート法により塗布した後、350℃、5分のキュア処理を行うことにより形成することができる。また、炭化シリコン膜(SiC)は、例えば平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用するガスとしては、トリメチルシラン(SiH(CH3)3)を用いた。
【0082】
続けて、上記第2絶縁膜12上に配線層間絶縁膜となる第3絶縁膜13を形成する。この第3絶縁膜13は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成することができる。次いで、第3絶縁膜13上にハードマスク層14を形成する。ここではハードマスク層14は炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成する。第3絶縁膜13、ハードマスク層14のそれぞれの膜厚は、例えば80nm、140nmとした。
【0083】
上記第3絶縁膜13を構成するポリアリールエーテル膜は、しかるべき前駆体をスピンコート法により塗布した後、350℃、5分のキュア処理を行うことにより形成することができる。また、上記ハードマスク層14を構成する炭化シリコン酸化膜(SiOC)は、例えば平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用するガスとしては、シリコン源としてメチルシラン(SiCH3)を用いた。
【0084】
次に、上記ハードマスク層14上に接続孔パターンを形成するためのレジストマスク17を形成する。このレジストマスク17には接続パターンを形成するための開口部171が形成されている。その後、上記レジストマスクをエッチングマスクに用いたドライエッチング法により、ハードマスク層14および第2絶縁膜12をエッチングする。
【0085】
その結果、図8(2)に示すように、ハードマスク層14および第3絶縁膜13および第2絶縁膜12の無機絶縁膜122に接続孔23が形成される。ここでのハードマスク層14のエッチング加工は、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、アルゴン(Ar)を用い、バイアスパワーを400Wに設定する。ガス流量比はC4F8:Ar=1:4とし、基板温度は20℃と設定した。また、上記ポリアリールエーテル膜からなる第3絶縁膜13のエッチング加工は、一般的な高密度プラズマエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてアンモニア(NH3)を用いて行う。RFパワーを150W、基盤温度を10℃に設定した。また、このエッチング条件での上記レジストマスク17のエッチングレートはポリアリールエーテルのエッチングレートとほぼ同等であるため、ポリアリールエーテルのエッチング中にレジストマスク17は後退していくが、SiOCからなるハードマスク14が存在しているため良好な接続孔23の開口形状を得ることができる。さらに、第2絶縁膜12の無機絶縁膜122をエッチングし、接続孔23を延長形成する。この無機絶縁膜122は炭化シリコンからなるので、このエッチング加工には、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用いて行う。RFパワーを400W、基盤温度を20℃に設定した。続いて、しかるべき薬液を用いた後処理を行うことにより、レジストマスク17の除去、エッチング処理時の残留デポ物の除去をする。
【0086】
次に、図8(3)に示すように、上記ハードマスク層14上に配線溝パターンを形成するためのレジストマスク18を形成する。このレジストマスク18には配線溝パターンを形成するための開口部181が形成されている。その後、上記レジストマスク18をエッチングマスクに用いたドライエッチング法により、ハードマスク層14をエッチングする。
【0087】
その結果、図8(4)に示すように、ハードマスク層14に配線溝24が形成される。ここでのハードマスク層14のエッチング加工は、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、アルゴン(Ar)を用い、バイアスパワーを400Wに設定する。ガス流量比はC4F8:Ar=1:4とし、基板温度は20℃と設定した。
【0088】
続いて、図8(5)に示すように、上記ハードマスク層14をエッチングマスクに用いて第3絶縁膜13に配線溝24を延長形成するとともに、第2絶縁膜12の無機絶縁膜122をエッチングマスクに用いて第2絶縁膜12の有機絶縁膜121に接続孔23を延長形成する。この接続孔23は上記第1配線21上に形成されたバリア膜22に達するように形成される。このようにして、いわゆるデュアルダマシン加工が完了する。ここでのエッチングは、例えば一般的な高密度プラズマエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてアンモニア(NH3)を用いて行う。RFパワーを150W、基盤温度を10℃に設定する。
【0089】
このエッチング条件における上記有機絶縁膜121は、ハードマスク層14および第2絶縁膜12の無機絶縁膜122のSiC膜に対するエッチング選択比が100以上得られるため、配線溝24の加工は制御性良く無機絶縁膜122上で停止させることができる。このように、配線溝24のエッチング加工において、無機絶縁膜122上でエッチングを停止させることができるので、配線溝24の深さを制御性良く決定することができる。すなわち、第3絶縁膜13とハードマスク層14の膜厚で配線溝24の深さを決定することが可能になる。
【0090】
また、このエッチング条件における上記有機絶縁膜111は、第2絶縁膜12のSiC膜からなる無機絶縁膜122および第1絶縁膜11のSiOC膜からなる無機絶縁膜112に対するエッチング選択比が100以上得られるため、接続孔23と第1配線21とで合わせずれを発生させた場合でも下層の無機絶縁膜112をエッチングすることが抑制されるので、いわゆる突き抜けを発生させることなく、制御性良く接続孔23のエッチング加工を行うことができる。
【0091】
その後、しかるべき薬液を用いた後処理を行うことにより、エッチング処理時の残留デポ物の除去する。続けて、しかるべき脱ガス処理およびRFスパッタリング処理を行うことにより、接続孔23の開口によって露出した第1配線21の変質層の除去を行う。
【0092】
続けて、図8(6)に示すように、上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25を形成する。その際、ハードマスク層14上面にも上記拡散防止膜25が形成される。この拡散防止膜25には、例えばタンタル(Ta)膜を用いることができる。この成膜は、例えば一般的なマグネトロンスパッタリング装置を用い、タンタルターゲットを用いて指向性スパッタリング法にて成膜する。ここでの拡散防止膜25の成膜は、上記デュアルダマシン構造の配線溝24および接続孔23の内面に対してカバリッジ良く形成される必要があり、好ましくは自己放電イオン化スパッタリング法もしくは遠距離スパッタリング法などの指向性スパッタリング法を用いるのが良い。
【0093】
続けて、めっき(例えば、電解めっきもしくは無電解めっき)法もしくはスパッタリング法もしくはCVD法にて、上記拡散防止膜25表面に銅もしくは銅を含む合金を成膜する。また、めっき法を用いる場合には、スパッタリング法もしくはCVD法にて予め配線溝24および接続孔23の内面に銅のシード層を形成しておくことが好ましい。上記銅もしくは銅を含む合金の成膜により、上記配線溝24および接続孔23を埋め込む。その際、ハードマスク層14上にも銅もしくは銅を含む合金が堆積される。
【0094】
続けて、例えば化学的機械研磨(CMP)法により配線が形成されていない領域の余剰銅もしくは銅を含む合金および拡散防止膜25を除去することにより、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26が形成され、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27が形成される。このようにして、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が得られる。次いで、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28を形成する。
【0095】
上記第3実施例の製造方法では、第1配線21上にのみ選択的にバリア膜22を形成し、接続孔23の層間として有機絶縁膜である第2絶縁膜12と、配線層間のマスクである無機絶縁膜のハードマスク層14とを形成しているため、第1配線21上に誘電率の高い窒化シリコン(SiN)もしくは炭化シリコン(SiC)といった誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用することなく、良好な多層配線構造を得ることができる。また第1配線21上に誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用していないことにより、デバイス全体の容量の低減が可能となり、かつ接続孔のボーダーレス部分、もしくはリソグラフィー工程における大きな合わせズレが発生した際にも、下層の下地突き抜けを抑制することができるため、良好なエレクトロマイグレーション耐性を有し、かつ高性能(例えば応答速度が速い)・高信頼性な半導体デバイスを得ることができる。少なくとも、上記各工程を経て形成された半導体装置は、従来のエッチングストッパー膜を用いた半導体装置、もしくは従来の層間絶縁膜構造を用いたストッパーレス構造を有する半導体装置よりも、高性能で優れた信頼性特性を得ることができる。
【0096】
尚、上記記載の各種絶縁膜およびバリア膜22、28は、表記された膜種、膜厚、製法に限定されることはない。銅配線上にのみ選択的に形成するバリア膜22、28はコバルトタングステンリン(CoWP)の代わりに、例えば、ニッケルタングステンリン(NiWP)、コバルトタングステンホウ素(CoWB)などの合金、もしくは通常の銅のバリアメタルとして用いているタンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、さらには、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、もしくはこれら金属の合金、窒化膜でも良く、さらにはこれら金属、合金、窒化膜を複数組み合わせたものでもよい。
【0097】
上記接続孔23が形成される絶縁膜として用いている第2絶縁膜12の有機絶縁膜121および第3絶縁膜13にはポリアリールエーテル(PAE)の他に、例えば、ポリアリレンエーテル膜、アモルファスカーボン膜、ポリテトラトラフロロエチレン膜の適用でもよく、さらにはこれらを多孔質(ポーラス)化させた膜でも問題なく用いることができる。
【0098】
また、ハードマスク14として用いているSiOC膜の代わりに、シリコン酸化膜(SiO2)、スピンコート法により形成されるメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜やハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)膜などの適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の半導体装置およびその製造方法は、各種半導体装置の多層配線構造という用途に適用することが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の半導体装置に係る第1実施例を示した概略構成断面図である。
【図2】本発明の半導体装置に係る第2実施例を示した概略構成断面図である。
【図3】本発明の半導体装置に係る第3実施例を示した概略構成断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例を示した製造工程断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例を示した製造工程断面図である。
【図6】第1実施例の製造方法において合わせずれが生じた場合を説明する製造工程断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施例を示した製造工程断面図である。
【図8】本発明の半導体装置の製造方法に係る第3実施例を示した製造工程断面図である。
【図9】本発明の課題を説明する概略構成断面図である。
【図10】本発明の課題を説明する概略構成断面図である。
【符号の説明】
【0101】
11…第1絶縁膜、12…第2絶縁膜、22…バリア膜、23…接続孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝配線を信頼性高く形成することが容易な半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銅(Cu)配線はアルミニウム(Al)系合金配線より低抵抗・低容量・高信頼性を与えることから、配線の寄生抵抗・寄生容量による回路遅延が支配的になる微細素子において重要性を増してきた。一般には銅はアルミニウム系合金配線と異なりドライエッチングが容易ではないため、溝配線技術(例えば、ダマシンプロセス)が広く受け入れられている。溝配線技術とは、例えばシリコン酸化膜(SiO2)などの層間絶縁膜に予め所定の溝を形成し、その溝に配線材料を埋め込み、その後余剰配線材料を化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法などにより除去することにより形成される配線のプロセスである。さらに接続孔(Via)と配線溝部分(トレンチ)を形成後、一括して配線材料を埋め込み、余剰配線材料を除去する溝配線技術(例えば、デュアルダマシン法)も工程数・コストの削減に有効である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、配線容量の増加がデバイスの速度低下につながるため、低誘電率膜を層間絶縁膜に用いた微細な多層配線が不可欠となっている。低誘電率層間絶縁膜の材料としては、従来より比較的実績のある比誘電率3.5程度のフッ素含有酸化シリコン(FSG)のみならず、ポリアリールエーテル(PAE)に代表される有機シリコン系のポリマーや、ハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)、メチルシルセスキオキサン(MSQ)に代表される無機系材料などの比誘電率2.7前後の低誘電率膜が挙げられ、近年ではそれらを多孔質化させて比誘電率を2.2前後とした材料まで導入が試みられている。
【0004】
銅配線は一般に多層化されて用いられるが、CMP直後の銅表面には拡散防止のバリアメタルが存在しないため、上層配線を形成する前に、銅の拡散防止層として機能するキャップ膜を成膜する。その際、銅は150℃の低温で、酸素を含有する雰囲気中で容易に酸化されるため、通常、シリコン窒化膜(SiN)や、炭化シリコン膜(SiC)がキャップ層として用いられている。しかしながら、窒化シリコン(SiN)や炭化シリコン(SiC)は酸化シリコン(SiO2)よりも比誘電率が大きいため、CMP後の銅表面を選択的に被覆する方法が有利といわれており、例えば、銅表面をコバルトタングステンリン(CoWP)で被覆する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、配線のエレクトロマイグレーション耐性向上として、銅配線上にのみ選択的に金属キャップ膜を形成することにより、最も弱い界面である絶縁膜/金属界面を金属/金属界面とすることにより、デバイス信頼性を向上させることが可能となる。
【0006】
しかし、この場合、ダマシンもしくはデュアルダマシン構造を形成する際に、接続孔を形成する際に用いられていたエッチングストッパー膜がなくなるため、図9に示すように、いわゆるボーダーレスの接続孔223部分で加工時の下層突き抜けを抑制することができなくなり、金属配線からなる第1配線221の側部に接続孔223が例えばスリット状に延長形成される。この部分にバリアメタルやプラグ材料の銅等の埋め込み不良が生じるので、特性・信頼性劣化が問題となる。そのため、図10に示すように、第1配線221上に、銅の酸化を防止するとともに、銅の拡散を防止するバリア膜222を選択的に形成しても、エッチングストッパー膜241として、従来から使用されていた窒化シリコン(SiN)もしくは炭化シリコン(SiC)膜の適用が不可欠となっており、また、バリア膜222の段差を被覆できるような厚さに上記エッチングストッパー膜241を形成する必要があった。その結果、層間容量の上昇を来すためにデバイス速度の上昇などの問題が発生していた。
【0007】
【特許文献1】特開平11−45887号公報
【特許文献2】米国特許第5695810号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
解決しようとする問題点は、いわゆるボーダーレスの接続孔を形成する際、もしくは接続孔を形成するリソグラフィー工程で合わせずれが発生した際などに、下地配線の側部に接続孔が突き抜けるように形成され、その部分で埋め込み不良を発生するために、配線信頼性の低下、デバイス速度の上昇等が発生する点である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の半導体装置は、第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜に形成されたもので第1配線上のみに拡散防止膜が形成された第1配線と、前記第1配線を被覆して前記第1絶縁膜上に形成されかつ接続孔が形成された第2絶縁膜とを有し、前記第2絶縁膜の前記第1絶縁膜側は、前記第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能なものであることを最も主要な特徴とする。
【0010】
本発明の半導体装置の製造方法は、第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜に形成されたもので第1配線上のみに拡散防止膜が形成された第1配線と、前記第1配線を被覆して前記第1絶縁膜上に形成されかつ接続孔が形成された第2絶縁膜とを有する半導体装置の製造方法であって、前記第2絶縁膜の少なくとも前記第1絶縁膜側を前記第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能な絶縁体で形成することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の半導体装置は、接続孔が形成される第2絶縁膜は、第1配線が形成される第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能なものであるため、第1配線に接続する接続孔を第2絶縁膜に形成しても第1絶縁膜上でエッチングを停止することができるので、いわゆるボーダーレスの接続孔を形成する際、もしくは接続孔を形成するリソグラフィー工程で合わせずれが発生した際などに、第1配線側部に接続孔が突き抜けるように形成されることがない。このため、接続孔内に埋め込まれる材料の埋め込み不良が発生しなくなるので、良好なエレクトロマイグレーション耐性を有し、配線信頼性の向上が図れるという利点がある。よって、従来の接続孔形成時のエッチングを停止させるエッチングストッパー膜を用いた半導体装置、もしくは従来の接続孔形成時のエッチングを停止させるエッチングストッパーを設けない構造を有する半導体装置よりも、高性能で優れた信頼性特性を得ることができる。
【0012】
本発明の半導体装置の製造方法は、接続孔が形成される第2絶縁膜を第1配線が形成される第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能なもので形成するため、第1配線に接続する接続孔を第2絶縁膜に形成しても第1絶縁膜上でエッチングを停止することができるので、いわゆるボーダーレスの接続孔を形成する際、もしくは接続孔を形成するリソグラフィー工程で合わせずれが発生した際などに、第1配線側部に接続孔が突き抜けるように形成されることが防止できる。このため、接続孔内に埋め込み不良を発生することなく配線材料を埋め込むことができるようになるので、良好なエレクトロマイグレーション耐性を有し、配線信頼性の高い半導体装置を製造できるという利点がある。よって、従来の接続孔形成時のエッチングを停止させるエッチングストッパー膜を用いた半導体装置、もしくは従来の接続孔形成時のエッチングを停止させるエッチングストッパーを設けない構造を有する半導体装置よりも、高性能で優れた信頼性特性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
配線信頼性の高い多層配線構造を有する半導体装置形成するという目的を、配線層の第1絶縁膜に対して選択的にエッチングできるもので接続孔が形成される第2絶縁膜を形成することで、誘電率の高いエッチングストッパ膜を使用せずに実現した。
【実施例1】
【0014】
本発明の半導体装置に係る第1実施例を、図1の概略構成断面図によって説明する。
【0015】
図1に示すように、基体10上に有機絶縁膜111と無機絶縁膜112とを積層してなる第1絶縁膜11が形成されている。上記有機絶縁膜111は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上記無機絶縁膜112は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成される。上記第1絶縁膜11には第1配線21が溝配線構造にて形成されている。この第1配線21は、例えば銅(Cu)もしくは銅合金からなり、その溝内には銅の拡散防止のためのバリアメタル層(図示せず)が形成されている。この第1配線21の配線厚は、例えば150nmに形成されている。また、上記基体10にはトランジスタなどのデバイス(図示せず)が作製されている。
【0016】
上記第1配線21上にはバリア膜22が形成されている。このバリア膜22は、導電性の材料からなり、絶縁膜中から第1配線21に侵入しようとする酸素のバリア(第1配線21の酸化防止)として機能するとともに第1配線21中の銅の拡散バリアとして機能するものであり、例えばコバルトタングステンリン(CoWP)を例えば10nmの厚さに堆積して形成されている。
【0017】
上記バリア膜22を含む第1配線21上を被覆するように上記第1絶縁膜11上には第2絶縁膜12が形成されている。この第2絶縁膜12の少なくとも第1絶縁膜11側は上記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる絶縁体で形成されている。例えば、上記第2絶縁膜12は、積層膜で形成されていて、下層より有機絶縁膜121、無機絶縁膜122の順に形成されている。例えば、下層の有機絶縁膜121は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上層の無機絶縁膜122は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成されている。上記有機絶縁膜121と無機絶縁膜122の膜厚は、一例として、それぞれ80nmずつとしている。
【0018】
上記第2絶縁膜12上には配線層間絶縁膜となる第3絶縁膜13が形成されている。この第3絶縁膜13は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成されている。さらに、第3絶縁膜13上にはハードマスク層14が形成されている。ここではハードマスク層14は2層構造に形成され、例えば下層側の第1ハードマスク層141は炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成され、上層側の第2ハードマスク(図示せず)はシリコン窒化膜(SiN)で形成されている。第3絶縁膜13、第1、第2ハードマスク層141、(図示せず)のそれぞれの膜厚は、例えば80nm、140nm、30nmとする。
【0019】
上記第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、ハードマスク層14には、接続孔23および接続孔23に接続される配線溝24が形成されている。すなわち、上記ハードマスク層14および第3絶縁膜13には配線溝24が形成され、この配線溝24の底部から第2絶縁膜12には第1配線21上に形成されたバリア膜22に達する接続孔23が形成されている。上記接続孔23が形成される第1配線21上の絶縁膜は有機絶縁膜121で形成されているため、この有機絶縁膜121は、第1配線21が形成されている絶縁膜の上層の無機絶縁膜112に対するエッチング選択比が100以上得られるため、無機絶縁膜112に接続孔23は形成されていない。また、有機絶縁膜からなる第3絶縁膜13は、第2絶縁膜の上層の無機絶縁膜122に対するエッチング選択比が100以上得られるため、配線溝24には深さばらつきが生じ無い。
【0020】
上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25が形成され、上記配線溝24および上記接続孔23の内部を埋め込むように銅もしくは銅を含む合金が形成されている。したがって、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26が形成され、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27が形成されている。このようにして、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が構成されている。さらに、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28が形成されている。
【0021】
本発明の半導体装置の第1実施例は、接続孔23が形成される第2絶縁膜12の下層部分の有機絶縁膜121は、第1配線21が形成される第1絶縁膜11の上層部分の無機絶縁膜112に対して選択的にエッチング可能なものであるため、第1配線21に接続する接続孔23を第2絶縁膜12に形成しても第1絶縁膜11上でエッチングが停止されるので、接続孔23をいわゆるボーダーレスに形成する際、もしくは接続孔23を形成するリソグラフィー工程で合わせずれが発生した際などに、第1配線21側部に接続孔23が突き抜けるように形成されることがない。このため、接続孔23内に埋め込まれる材料の埋め込み不良が発生しなくなるので、配線信頼性の向上が図れるという利点がある。
【実施例2】
【0022】
次に、本発明の半導体装置に係る第2実施例を、図2の概略構成断面図によって説明する。なお、上記第1実施例と同様なる構成部品には第1実施例の構成部品と同一の符号を付与した。
【0023】
図2に示すように、基体10上に有機絶縁膜111と無機絶縁膜112とを積層してなる第1絶縁膜11が形成されている。上記有機絶縁膜111は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上記無機絶縁膜112は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成される。上記第1絶縁膜11には第1配線21が溝配線構造にて形成されている。この第1配線21は、例えば銅(Cu)もしくは銅合金からなり、その溝内には銅の拡散防止のためのバリアメタル層(図示せず)が形成されている。この第1配線21の配線厚は、例えば150nmに形成されている。また、上記基体10にはトランジスタなどのデバイス(図示せず)が作製されている。
【0024】
上記第1配線21上にはバリア膜22が形成されている。このバリア膜22は、導電性の材料からなり、絶縁膜中から第1配線21に侵入しようとする酸素のバリア(第1配線21の酸化防止)として機能するとともに第1配線21中の銅の拡散バリアとして機能するものであり、例えばコバルトタングステンリン(CoWP)を例えば10nmの厚さに堆積して形成されている。
【0025】
上記バリア膜22を含む第1配線21上を被覆するように上記第1絶縁膜11上には第2絶縁膜12が形成されている。この第2絶縁膜12は、上記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる絶縁体で形成されている。例えば、第2絶縁膜12は、有機絶縁膜で形成され、この有機絶縁膜としてはポリアリルエーテル(PAE)膜が用いられ、その膜厚は例えば240nmとしている。
【0026】
上記第2絶縁膜12上にはハードマスク層14が形成されている。ここではハードマスク層14は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成され、その膜厚は、例えば140nmとする。
【0027】
上記第2絶縁膜12、ハードマスク層14には、接続孔23および接続孔23に接続される配線溝24が形成されている。すなわち、上記ハードマスク層14および第2絶縁膜12の上層部には配線溝24が形成され、この配線溝24の底部から第2絶縁膜12には第1配線21上に形成されたバリア膜22に達する接続孔23が形成されている。上記接続孔23が形成される第2絶縁膜12は有機絶縁膜で形成されているので、この有機絶縁膜は、第1配線21が形成されている絶縁膜の上層の無機絶縁膜112に対するエッチング選択比が100以上得られるため、無機絶縁膜112に接続孔23は形成されていない。
【0028】
上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25が形成され、上記配線溝24および上記接続孔23の内部を埋め込むように銅もしくは銅を含む合金が形成されている。したがって、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26が形成され、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27が形成されている。このようにして、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が構成されている。さらに、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28が形成されている。
【0029】
本発明の半導体装置の第2実施例は、接続孔23が形成される第2絶縁膜12が有機絶縁膜であり、この有機絶縁膜は第1配線21が形成される第1絶縁膜11の上層部分の無機絶縁膜112に対して選択的にエッチング可能なものであるため、第1配線21に接続する接続孔23を第2絶縁膜12に形成しても第1絶縁膜11上でエッチングが停止される。このため、接続孔23をいわゆるボーダーレスに形成する際、もしくは接続孔23を形成するリソグラフィー工程で合わせずれが発生した際などに、第1配線21側部に接続孔23が突き抜けるように形成されることがない。よって、接続孔23内に埋め込まれる材料の埋め込み不良が発生しなくなるので、配線信頼性の向上が図れるという利点がある。
【実施例3】
【0030】
次に、本発明の半導体装置に係る第3実施例を、図3の概略構成断面図によって説明する。なお、上記第1実施例と同様なる構成部品には第1、第2実施例の構成部品と同一の符号を付与した。
【0031】
図3に示すように、基体10上に有機絶縁膜111と無機絶縁膜112とを積層してなる第1絶縁膜11が形成されている。上記有機絶縁膜111は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上記無機絶縁膜112は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成される。上記第1絶縁膜11には第1配線21が溝配線構造にて形成されている。この第1配線21は、例えば銅(Cu)もしくは銅合金からなり、その溝内には銅の拡散防止のためのバリアメタル層(図示せず)が形成されている。この第1配線21の配線厚は、例えば150nmに形成されている。また、上記基体10にはトランジスタなどのデバイス(図示せず)が作製されている。
【0032】
上記第1配線21上にはバリア膜22が形成されている。このバリア膜22は、導電性の材料からなり、絶縁膜中から第1配線21に侵入しようとする酸素のバリア(第1配線21の酸化防止)として機能するとともに第1配線21中の銅の拡散バリアとして機能するものであり、例えばコバルトタングステンリン(CoWP)を例えば10nmの厚さに堆積して形成されている。
【0033】
上記バリア膜22を含む第1配線21上を被覆するように上記第1絶縁膜11上には第2絶縁膜12が形成されている。この第2絶縁膜12の少なくとも第1絶縁膜11側は上記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる絶縁体で形成されている。例えば、上記第2絶縁膜12は、積層膜で形成されていて、下層より有機絶縁膜121、エッチングストッパーとなる無機絶縁膜122の順に形成されている。例えば、下層の有機絶縁膜121は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上層の無機絶縁膜122は、例えば炭化シリコン膜(SiC)で形成されている。上記有機絶縁膜121と無機絶縁膜122の膜厚は、一例として、それぞれ150nm、10nmとする。
【0034】
上記第2絶縁膜12上には配線層間絶縁膜となる第3絶縁膜13が形成されている。この第3絶縁膜13は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成されている。さらに、第3絶縁膜13上にはハードマスク層14が形成されている。ここではハードマスク層14は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成されていて、その膜厚は、例えば140nmとする。
【0035】
上記第2絶縁膜12、第3絶縁膜13、ハードマスク層14には、接続孔23および接続孔23に接続される配線溝24が形成されている。すなわち、上記ハードマスク層14および第3絶縁膜13には配線溝24が形成され、この配線溝24の底部から第2絶縁膜12には第1配線21上に形成されたバリア膜22に達する接続孔23が形成されている。上記接続孔23が形成される第1配線21上の絶縁膜は有機絶縁膜121で形成されているため、この有機絶縁膜121は、第1配線21が形成されている絶縁膜の上層の無機絶縁膜112に対するエッチング選択比が100以上得られるため、無機絶縁膜112に接続孔23は形成されていない。また、有機絶縁膜からなる第3絶縁膜13は、第2絶縁膜の上層の無機絶縁膜122に対するエッチング選択比が100以上得られるため、配線溝24には深さばらつきが生じ無い。
【0036】
上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25が形成され、上記配線溝24および上記接続孔23の内部を埋め込むように銅もしくは銅を含む合金が形成されている。したがって、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26が形成され、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27が形成されている。このようにして、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が構成されている。さらに、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28が形成されている。
【0037】
本発明の半導体装置の第3実施例は、第1配線21上にのみ選択的にバリア膜22が形成され、接続孔23の層間として有機絶縁膜である第2絶縁膜12と、配線層間のマスクである無機絶縁膜のハードマスク層14とを形成しているため、第1配線21上に誘電率の高い窒化シリコン(SiN)もしくは炭化シリコン(SiC)といった誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用することなく、良好な多層配線構造を得ることができる。また第1配線21上に誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用していないことにより、デバイス全体の容量の低減が可能となり、かつ接続孔のボーダーレス部分、もしくはリソグラフィー工程における大きな合わせズレが発生した際にも、下層の下地突き抜けを抑制することができるため、良好なエレクトロマイグレーション耐性を有し、かつ高性能(例えば応答速度が速い)・高信頼性な半導体デバイスとなる。少なくとも、本発明の半導体装置は、従来のエッチングストッパー膜を用いた半導体装置、もしくは従来の層間絶縁膜構造を用いたストッパーレス構造を有する半導体装置よりも、高性能で優れた信頼性特性を得ることができる。
【実施例4】
【0038】
本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例を、図4〜図5の概略構成断面図によって説明する。
【0039】
図4(1)に示すように、基体10上に有機絶縁膜111と無機絶縁膜112とを積層してなる第1絶縁膜11が形成されている。上記有機絶縁膜111は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上記無機絶縁膜112は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成される。上記第1絶縁膜11には第1配線21が溝配線構造にて形成されている。この第1配線21は、例えば銅(Cu)もしくは銅合金からなり、その溝内には銅の拡散防止のためのバリアメタル層(図示せず)が形成されている。この第1配線21の配線厚は、例えば150nmに形成されている。また、上記基体10にはトランジスタなどのデバイス(図示せず)が作製されている。
【0040】
さらに、しかるべき後処理の後、上記第1配線21上にのみ、選択的にバリア膜22を形成する。このバリア膜22は、導電性の材料からなり、絶縁膜中から第1配線21に侵入しようとする酸素のバリア(第1配線21の酸化防止)として機能するとともに第1配線21中の銅の拡散バリアとして機能するものであり、例えばコバルトタングステンリン(CoWP)を例えば10nmの厚さに堆積して形成される。CoWPは、例えばpH1.3の塩化パラジウム(PdCl2)水溶液で銅配線上にのみパラジウム(Pd)を置換めっきしたのち、例えばpH9.5に調整した、タングステン酸アンモニウム、塩化コバルト、次亜燐酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムをめっき液として無電界めっき法にて成膜することができる。
【0041】
続けて、上記バリア膜22を含む第1配線21上を被覆するように、上記第1絶縁膜11上に第2絶縁膜12を形成する。この第2絶縁膜12の少なくとも第1絶縁膜11側は上記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる絶縁体で形成される。例えば、上記第2絶縁膜12は、積層膜で形成され、下層より有機絶縁膜121、無機絶縁膜122の順に形成される。例えば、下層の有機絶縁膜121を、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成し、上層の無機絶縁膜122を、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成する。上記有機絶縁膜121と無機絶縁膜122の膜厚は、一例として、それぞれ80nmずつとした。上記ポリアリールエーテル膜は、しかるべき前駆体をスピンコート法により塗布した後、350℃、5分のキュア処理を行うことにより形成することができる。また、炭化シリコン酸化膜(SiOC)は、例えば平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用するガスとしては、シリコン源としてメチルシラン(SiCH3)を用いた。
【0042】
続けて、上記第2絶縁膜12上に配線層間絶縁膜となる第3絶縁膜13を形成する。この第3絶縁膜13は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成することができる。次いで、第3絶縁膜13上にハードマスク層14を形成する。ここではハードマスク層14は2層構造に形成する。まず第1ハードマスク層141として炭化シリコン酸化膜(SiOC)を形成し、第2ハードマスク142としてシリコン窒化膜(SiN)を形成する。第3絶縁膜13、第1、第2ハードマスク層141、142のそれぞれの膜厚は、例えば80nm、140nm、30nmとした。
【0043】
上記第3絶縁膜13を構成するポリアリールエーテル膜は、しかるべき前駆体をスピンコート法により塗布した後、350℃、5分のキュア処理を行うことにより形成することができる。また、上記第1ハードマスク層141を構成する炭化シリコン酸化膜(SiOC)は、例えば平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用するガスとしては、シリコン源としてメチルシラン(SiCH3)を用いた。また、上記第2ハードマスク層142を構成するシリコン窒化膜(SiN)は、例えば平行平板型のプラズマCVD装置を用いて、シラン(SiH4)、アンモニア(NH3)ガスを用いて、圧力を550Paとして成膜することができる。
【0044】
次に、上記ハードマスク層14上に配線溝パターンを形成するためのレジストマスク15を形成する。このレジストマスク15には配線溝パターンを形成するための開口部151が形成されている。その後、上記レジストマスクをエッチングマスクに用いたドライエッチング法により、第2ハードマスク層142をエッチングする。
【0045】
その結果、図4(2)に示すように、第2ハードマスク層142に配線溝パターン143が形成される。このエッチングは、例えば、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用いて、例えばエッチングガスにトリフルオロメタン(CHF3)、アルゴン(Ar)および酸素(O2)を混合したガスを用い、そのガス流量比を、例えばCHF3:Ar:O2=1:5:1とし、バイアスパワーを500Wに、基板温度を20℃に設定する。上記エッチング加工の後、しかるべき薬液を用いた後処理を行うことにより、上記レジストマスク15を除去するとともに、エッチング処理時の残留デポ物を除去する。なお、上記エッチングでは、第1ハードマスク層141上部もエッチングされることがある。
【0046】
次に、図4(3)に示すように、上記ハードマスク層14上に接続孔パターンを形成するためのレジストマスク16を形成する。このレジストマスク16には接続孔パターンを形成するための開口部161が形成されている。上記レジストマスク16をエッチングマスクに用いたドライエッチング法により、第1ハードマスク141をエッチングし、さらに第3絶縁膜13をエッチングする。
【0047】
その結果、図4(4)に示すように、第1ハードマスク層141および第3絶縁膜13に接続孔23が形成される。ここでの第1ハードマスク141はSiOC膜からなるので、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、アルゴン(Ar)を用い、バイアスパワーを400Wに設定する。ガス流量比はC4F8:Ar=1:4とし、基板温度を20℃に設定した。また、上記第3絶縁膜13はポリアリールエーテル膜からなるので、例えば一般的な高密度プラズマエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてアンモニア(NH3)を用いて行う。RFパワーを150W、基盤温度を10℃に設定した。このエッチング条件での上記レジストマスク16〔前記図4(3)参照〕のエッチングレートはポリアリールエーテル膜のエッチングレートとほぼ同等であるため、ポリアリールエーテル膜のエッチング中にレジストマスク16は後退していくが、第1ハードマスク層141があるため良好な接続孔23の開口形状を得ることができる。
【0048】
続いて、図4(5)に示すように、上記第1ハードマスク層141をエッチングマスクに用いて第2絶縁膜12の無機絶縁膜122をエッチングして接続孔23を延長形成すると同時に、第2ハードマスク層142〔前記図4(4)参照〕をエッチングマスクに用いて第1ハードマスク層141に配線溝24を形成する。ここでのエッチングは、最終的に第2ハードマスク層142が無くなるよう、例えば一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、例えばエッチングガスとしてオクタフルオロシクロペンテン(C5F8)、一酸化炭素(CO)、アルゴン(Ar)および酸素(O2)の混合ガスを用いて、ガス流量比をC5F8:Co:Ar:O2=1:10:5:1とし、バイアスパワーを1600W、基板温度を20℃に設定する。
【0049】
続いて、図4(6)に示すように、第2絶縁膜12の有機絶縁膜121と第3絶縁膜13とを同時にエッチングすることにより、第1ハードマスク層141および第3絶縁膜13に配線溝24が形成され、第2絶縁膜12に第1配線21上のバリア膜22に達する接続孔23が形成される。このようにして、いわゆる、デュアルダマシン加工が完了する。ここでのエッチングは、例えば一般的な高密度プラズマエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてアンモニア(NH3)を用いて行う。RFパワーを150W、基盤温度を10℃に設定した。このエッチング条件における第1ハードマスク141および下層の第2絶縁膜12の無機絶縁膜122に対するエッチング選択比は100以上得られるため、配線溝24には深さばらつきが生じ無い。
【0050】
その後、しかるべき薬液を用いた後処理を行うことにより、エッチング処理時の残留デポ物の除去する。続けて、しかるべき脱ガス処理およびRFスパッタリング処理を行うことにより、接続孔23の開口によって露出した第1配線21(バリア膜22)の変質層の除去を行う。
【0051】
続けて、図5(7)に示すように、上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25を形成する。その際、第1ハードマスク層141上面にも上記拡散防止膜25が形成される。この拡散防止膜25には、例えばタンタル(Ta)膜を用いることができる。この成膜は、例えば一般的なマグネトロンスパッタリング装置を用い、タンタルターゲットを用いて指向性スパッタリング法にて成膜する。ここでの拡散防止膜25の成膜は、上記デュアルダマシン構造の配線溝24および接続孔23の内面に対してカバリッジ良く形成される必要があり、好ましくは自己放電イオン化スパッタリング法もしくは遠距離スパッタリング法などの指向性スパッタリング法を用いるのが良い。
【0052】
続けて、めっき(例えば、電解めっきもしくは無電解めっき)法もしくはスパッタリング法もしくはCVD法にて、上記拡散防止膜25表面に銅もしくは銅を含む合金を成膜する。また、めっき法を用いる場合には、スパッタリング法もしくはCVD法にて予め配線溝24および接続孔23の内面に銅のシード層を形成しておくことが好ましい。上記銅もしくは銅を含む合金の成膜により、上記配線溝24および接続孔23を埋め込む。その際、第1ハードマスク層141上にも銅もしくは銅を含む合金が堆積される。
【0053】
続けて、例えば化学的機械研磨(CMP)法により配線が形成されていない領域の余剰銅もしくは銅を含む合金および拡散防止膜25を除去することにより、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26が形成され、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して、上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27が形成される。このようにして、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が得られる。次いで、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28を形成する。
【0054】
本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例では、図6(1)に示すように、接続孔23と下層の第1配線21との間で合わせずれが発生した場合であっても、第1絶縁膜11の無機絶縁膜122に対して第2絶縁膜12の有機絶縁膜121が選択的にエッチングできるので、第1配線21が形成されている第1絶縁膜11(無機絶縁膜112)に接続孔23が突き抜けて形成されることはなく、接続孔23を制御性良く形成することができる。
【0055】
したがって、図6(2)に示すように、上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25をカバリッジよく形成することができる。さらに、配線溝24および接続孔23の内面に銅のシード層をカバリッジよく形成することができ、また、上記配線溝24および接続孔23の内部に銅もしくは銅を含む合金をボイドを発生することなく埋め込むことができる。したがって、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26を信頼性良く形成することができ、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27を信頼性良く形成することができる。このようにして、たとえ、接続孔を形成する際に合わせずれが発生しても、信頼性の高いいわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が得られる。なお、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28が形成される。
【0056】
上記第1実施例の製造方法では、第1配線21上にのみ選択的にバリア膜22を形成し、接続孔23の層間として有機絶縁膜121と、配線層間のマスクとして2層からなる無機絶縁膜のハードマスク層14とを形成しているため、誘電率の高い窒化シリコン(SiN)もしくは炭化シリコン(SiC)といった誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用することなく、良好な多層配線構造を得ることができる。また誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用していないことにより、デバイス全体の容量の低減が可能となり、かつ接続孔のボーダーレス部分、もしくはリソグラフィー工程における大きな合わせズレが発生した際にも、下層の下地突き抜けを抑制することができるため、良好なエレクトロマイグレーション耐性を有し、かつ高性能(例えば応答速度が速い)・高信頼性な半導体デバイスを得ることができる。少なくとも、上記各工程を経て形成された半導体装置は、従来のエッチングストッパー膜を用いた半導体装置、もしくは従来の層間絶縁膜構造を用いたストッパーレス構造を有する半導体装置よりも、高性能で優れた信頼性特性を得ることができる。
【0057】
尚、上記記載の各種絶縁膜およびバリア膜22、28は、表記された膜種、膜厚、製法に限定されることはない。銅配線上にのみ選択的に形成するバリア膜22、28はコバルトタングステンリン(CoWP)の代わりに、例えば、ニッケルタングステンリン(NiWP)、コバルトタングステンホウ素(CoWB)などの合金、もしくは通常の銅のバリアメタルとして用いているタンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、さらには、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、もしくはこれら金属の合金、窒化膜でも良く、さらにはこれら金属、合金、窒化膜を複数組み合わせたものでもよい。
【0058】
上記接続孔23が形成される絶縁膜として用いている有機絶縁膜121にはポリアリールエーテル(PAE)の他に、例えば、ポリアリレンエーテル膜、アモルファスカーボン膜、ポリテトラトラフロロエチレン膜の適用でもよく、さらにはこれらを多孔質(ポーラス)化させた膜でも問題なく用いることができる。
【0059】
また、第1ハードマスク141として用いているSiOC膜の代わりに、シリコン酸化膜(SiO2)、スピンコート法により形成されるメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜やハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)膜などの適用が可能である。
【実施例5】
【0060】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施例を、図7の概略構成断面図によって説明する。なお、上記第1実施例と同様なる構成部品には第1実施例の構成部品と同一の符号を付与した。
【0061】
図7(1)に示すように、基体10上に有機絶縁膜111と無機絶縁膜112とを積層してなる第1絶縁膜11が形成されている。上記有機絶縁膜111は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上記無機絶縁膜112は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成される。上記第1絶縁膜11には第1配線21が溝配線構造にて形成されている。この第1配線21は、例えば銅(Cu)もしくは銅合金からなり、その溝内には銅の拡散防止のためのバリアメタル層(図示せず)が形成されている。この第1配線21の配線厚は、例えば150nmに形成されている。また、上記基体10にはトランジスタなどのデバイス(図示せず)が作製されている。
【0062】
さらに、しかるべき後処理の後、上記第1配線21上にのみ、選択的にバリア膜22を形成する。このバリア膜22は、導電性の材料からなり、絶縁膜中から第1配線21に侵入しようとする酸素のバリア(第1配線21の酸化防止)として機能するとともに第1配線21中の銅の拡散バリアとして機能するものであり、例えばコバルトタングステンリン(CoWP)を例えば10nmの厚さに堆積して形成される。CoWPは、例えばpH1.3の塩化パラジウム(PdCl2)水溶液で銅配線上にのみパラジウム(Pd)を置換めっきしたのち、例えばpH9.5に調整した、タングステン酸アンモニウム、塩化コバルト、次亜燐酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムをめっき液として無電界めっき法にて成膜することができる。
【0063】
続けて、上記バリア膜22を含む第1配線21上を被覆するように、上記第1絶縁膜11上に第2絶縁膜12を形成する。この第2絶縁膜12の少なくとも第1絶縁膜11側は上記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる絶縁体で形成される。例えば、上記第2絶縁膜12は有機絶縁膜で形成される。例えば、この有機絶縁膜はポリアリルエーテル(PAE)膜で形成される。上記第2絶縁膜12の膜厚は、一例として、それぞれ240nmとした。上記ポリアリールエーテル膜は、しかるべき前駆体をスピンコート法により塗布した後、350℃、5分のキュア処理を行うことにより形成することができる。
【0064】
続けて、第2絶縁膜12上にハードマスク層14を形成する。ここではハードマスク層14を、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成する。このハードマスク層14の膜厚は、例えば140nmmとした。また、上記ハードマスク層14を構成する炭化シリコン酸化膜(SiOC)は、例えば平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用するガスとしては、シリコン源としてメチルシラン(SiCH3)を用いた。
【0065】
次に、上記ハードマスク層14上に接続孔パターンを形成するためのレジストマスク17を形成する。このレジストマスク17には接続パターンを形成するための開口部171が形成されている。その後、上記レジストマスクをエッチングマスクに用いたドライエッチング法により、ハードマスク層14および第2絶縁膜12をエッチングする。
【0066】
その結果、図7(2)に示すように、ハードマスク層14および第2絶縁膜12に接続孔23が形成される。ここでのハードマスク層14のエッチング加工は、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、アルゴン(Ar)を用い、バイアスパワーを400Wに設定する。ガス流量比はC4F8:Ar=1:4とし、基板温度は20℃と設定した。また、上記ポリアリールエーテル膜からなる第2絶縁膜12のエッチング加工は、一般的な高密度プラズマエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてアンモニア(NH3)を用いて行う。RFパワーを150W、基盤温度を10℃に設定した。また、加工した接続孔の深さが150nmになるよう加工時間を設定した。このエッチング条件での上記レジストマスク17のエッチングレートはポリアリールエーテルのエッチングレートとほぼ同等であるため、ポリアリールエーテルのエッチング中にレジストマスク17は後退していくが、SiOCからなるハードマスク14が存在しているため良好な接続孔23の開口形状を得ることができる。続いて、しかるべき薬液を用いた後処理を行うことにより、レジストマスク17の除去、エッチング処理時の残留デポ物の除去をする。
【0067】
次に、図7(3)に示すように、上記ハードマスク層14上に配線溝パターンを形成するためのレジストマスク18を形成する。このレジストマスク18には配線溝パターンを形成するための開口部181が形成されている。その後、上記レジストマスク18をエッチングマスクに用いたドライエッチング法により、ハードマスク層14をエッチングする。
【0068】
その結果、図7(4)に示すように、ハードマスク層14に配線溝24が形成される。ここでのハードマスク層14のエッチング加工は、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、アルゴン(Ar)を用い、バイアスパワーを400Wに設定する。ガス流量比はC4F8:Ar=1:4とし、基板温度は20℃と設定した。
【0069】
続けて、図7(5)に示すように、第2絶縁膜12に配線溝24および接続孔23を延長形成する。そして、接続孔23がバリア膜22に到達して、エッチング加工を終了する。このようにして、いわゆるデュアルダマシン加工が完了する。このでのエッチングは、例えば一般的な高密度プラズマエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてアンモニア(NH3)を用いて行う。RFパワーを150W、基盤温度を10℃に設定する。また、加工した配線溝24の深さが80nmになるよう加工時間を設定する。このエッチング条件におけるハードマスク層14および下層の第1絶縁膜11上層の無機絶縁膜112のSiOC膜に対するエッチング選択比は100以上得られるため、接続孔23と第1配線21とで合わせずれを発生させた場合でも下層突き抜けを発生させることなく、制御性良く接続孔23のエッチング加工を行うことができる。
【0070】
その後、しかるべき薬液を用いた後処理を行うことにより、エッチング処理時の残留デポ物の除去する。続けて、しかるべき脱ガス処理およびRFスパッタリング処理を行うことにより、接続孔23の開口によって露出した第1配線21の変質層の除去を行う。
【0071】
続けて、図7(6)に示すように、上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25を形成する。その際、ハードマスク層14上面にも上記拡散防止膜25が形成される。この拡散防止膜25には、例えばタンタル(Ta)膜を用いることができる。この成膜は、例えば一般的なマグネトロンスパッタリング装置を用い、タンタルターゲットを用いて指向性スパッタリング法にて成膜する。ここでの拡散防止膜25の成膜は、上記デュアルダマシン構造の配線溝24および接続孔23の内面に対してカバリッジ良く形成される必要があり、好ましくは自己放電イオン化スパッタリング法もしくは遠距離スパッタリング法などの指向性スパッタリング法を用いるのが良い。
【0072】
続けて、めっき(例えば、電解めっきもしくは無電解めっき)法もしくはスパッタリング法もしくはCVD法にて、上記拡散防止膜25表面に銅もしくは銅を含む合金を成膜する。また、めっき法を用いる場合には、スパッタリング法もしくはCVD法にて予め配線溝24および接続孔23の内面に銅のシード層を形成しておくことが好ましい。上記銅もしくは銅を含む合金の成膜により、上記配線溝24および接続孔23を埋め込む。その際、ハードマスク層14上にも銅もしくは銅を含む合金が堆積される。
【0073】
続けて、例えば化学的機械研磨(CMP)法により配線が形成されていない領域の余剰銅もしくは銅を含む合金および拡散防止膜25を除去することにより、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26が形成され、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27が形成される。このようにして、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が得られる。次いで、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21上のバリア膜22と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28を形成する。
【0074】
上記第2実施例の製造方法では、第1配線21上にのみ選択的にバリア膜22を形成し、接続孔23の層間として有機絶縁膜である第2絶縁膜12と、配線層間のマスクである無機絶縁膜のハードマスク層14とを形成しているため、誘電率の高い窒化シリコン(SiN)もしくは炭化シリコン(SiC)といった誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用することなく、良好な多層配線構造を得ることができる。また誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用していないことにより、デバイス全体の容量の低減が可能となり、かつ接続孔のボーダーレス部分、もしくはリソグラフィー工程における大きな合わせズレが発生した際にも、下層の下地突き抜けを抑制することができるため、良好なエレクトロマイグレーション耐性を有し、かつ高性能(例えば応答速度が速い)・高信頼性な半導体デバイスを得ることができる。少なくとも、上記各工程を経て形成された半導体装置は、従来のエッチングストッパー膜を用いた半導体装置、もしくは従来の層間絶縁膜構造を用いたストッパーレス構造を有する半導体装置よりも、高性能で優れた信頼性特性を得ることができる。
【0075】
尚、上記記載の各種絶縁膜およびバリア膜22、28は、表記された膜種、膜厚、製法に限定されることはない。銅配線上にのみ選択的に形成するバリア膜22、28はコバルトタングステンリン(CoWP)の代わりに、例えば、ニッケルタングステンリン(NiWP)、コバルトタングステンホウ素(CoWB)などの合金、もしくは通常の銅のバリアメタルとして用いているタンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、さらには、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、もしくはこれら金属の合金、窒化膜でも良く、さらにはこれら金属、合金、窒化膜を複数組み合わせたものでもよい。
【0076】
上記接続孔23が形成される絶縁膜として用いている有機絶縁膜の第2絶縁膜12にはポリアリールエーテル(PAE)の他に、例えば、ポリアリレンエーテル膜、アモルファスカーボン膜、ポリテトラトラフロロエチレン膜の適用でもよく、さらにはこれらを多孔質(ポーラス)化させた膜でも問題なく用いることができる。
【0077】
また、ハードマスク14として用いているSiOC膜の代わりに、シリコン酸化膜(SiO2)、スピンコート法により形成されるメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜やハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)膜などの適用が可能である。
【実施例6】
【0078】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る第3実施例を、図8の概略構成断面図によって説明する。なお、上記第1、第2実施例と同様なる構成部品には第1実施例の構成部品と同一の符号を付与した。
【0079】
図8(1)に示すように、基体10上に有機絶縁膜111と無機絶縁膜112とを積層してなる第1絶縁膜11が形成されている。上記有機絶縁膜111は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成され、上記無機絶縁膜112は、例えば炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成される。上記第1絶縁膜11には第1配線21が溝配線構造にて形成されている。この第1配線21は、例えば銅(Cu)もしくは銅合金からなり、その溝内には銅の拡散防止のためのバリアメタル層(図示せず)が形成されている。この第1配線21の配線厚は、例えば150nmに形成されている。また、上記基体10にはトランジスタなどのデバイス(図示せず)が作製されている。
【0080】
さらに、しかるべき後処理の後、上記第1配線21上にのみ、選択的にバリア膜22を形成する。このバリア膜22は、導電性の材料からなり、絶縁膜中から第1配線21に侵入しようとする酸素のバリア(第1配線21の酸化防止)として機能するとともに第1配線21中の銅の拡散バリアとして機能するものであり、例えばコバルトタングステンリン(CoWP)を例えば10nmの厚さに堆積して形成される。CoWPは、例えばpH1.3の塩化パラジウム(PdCl2)水溶液で銅配線上にのみパラジウム(Pd)を置換めっきしたのち、例えばpH9.5に調整した、タングステン酸アンモニウム、塩化コバルト、次亜燐酸アンモニウム、シュウ酸アンモニウムをめっき液として無電界めっき法にて成膜することができる。
【0081】
続けて、上記バリア膜22を含む第1配線21上を被覆するように、上記第1絶縁膜11上に第2絶縁膜12を形成する。この第2絶縁膜12の少なくとも第1絶縁膜11側は上記第1絶縁膜11に対して選択的にエッチングされる絶縁体で形成される。例えば、上記第2絶縁膜12は、積層膜で形成され、下層より有機絶縁膜121、エッチングストッパーとなる無機絶縁膜122の順に形成される。例えば、下層の有機絶縁膜121を、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成し、上層の無機絶縁膜122を、例えば炭化シリコン膜(SiC)で形成する。上記有機絶縁膜121と無機絶縁膜122の膜厚は、一例として、それぞれ150nmと10nmとした。ここで、無機絶縁膜122は、炭化シリコンで形成するが、平坦な面上に形成され、かつ単に有機絶縁膜のエッチングストッパーとしての機能を有するだけでよいので、非常に薄い膜厚で形成すればよい。このため、層間容量に大きな影響は及ぼさない。上記ポリアリールエーテル膜は、しかるべき前駆体をスピンコート法により塗布した後、350℃、5分のキュア処理を行うことにより形成することができる。また、炭化シリコン膜(SiC)は、例えば平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用するガスとしては、トリメチルシラン(SiH(CH3)3)を用いた。
【0082】
続けて、上記第2絶縁膜12上に配線層間絶縁膜となる第3絶縁膜13を形成する。この第3絶縁膜13は、例えばポリアリルエーテル(PAE)膜で形成することができる。次いで、第3絶縁膜13上にハードマスク層14を形成する。ここではハードマスク層14は炭化シリコン酸化膜(SiOC)で形成する。第3絶縁膜13、ハードマスク層14のそれぞれの膜厚は、例えば80nm、140nmとした。
【0083】
上記第3絶縁膜13を構成するポリアリールエーテル膜は、しかるべき前駆体をスピンコート法により塗布した後、350℃、5分のキュア処理を行うことにより形成することができる。また、上記ハードマスク層14を構成する炭化シリコン酸化膜(SiOC)は、例えば平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際に使用するガスとしては、シリコン源としてメチルシラン(SiCH3)を用いた。
【0084】
次に、上記ハードマスク層14上に接続孔パターンを形成するためのレジストマスク17を形成する。このレジストマスク17には接続パターンを形成するための開口部171が形成されている。その後、上記レジストマスクをエッチングマスクに用いたドライエッチング法により、ハードマスク層14および第2絶縁膜12をエッチングする。
【0085】
その結果、図8(2)に示すように、ハードマスク層14および第3絶縁膜13および第2絶縁膜12の無機絶縁膜122に接続孔23が形成される。ここでのハードマスク層14のエッチング加工は、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、アルゴン(Ar)を用い、バイアスパワーを400Wに設定する。ガス流量比はC4F8:Ar=1:4とし、基板温度は20℃と設定した。また、上記ポリアリールエーテル膜からなる第3絶縁膜13のエッチング加工は、一般的な高密度プラズマエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてアンモニア(NH3)を用いて行う。RFパワーを150W、基盤温度を10℃に設定した。また、このエッチング条件での上記レジストマスク17のエッチングレートはポリアリールエーテルのエッチングレートとほぼ同等であるため、ポリアリールエーテルのエッチング中にレジストマスク17は後退していくが、SiOCからなるハードマスク14が存在しているため良好な接続孔23の開口形状を得ることができる。さらに、第2絶縁膜12の無機絶縁膜122をエッチングし、接続孔23を延長形成する。この無機絶縁膜122は炭化シリコンからなるので、このエッチング加工には、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、アルゴン(Ar)、酸素(O2)を用いて行う。RFパワーを400W、基盤温度を20℃に設定した。続いて、しかるべき薬液を用いた後処理を行うことにより、レジストマスク17の除去、エッチング処理時の残留デポ物の除去をする。
【0086】
次に、図8(3)に示すように、上記ハードマスク層14上に配線溝パターンを形成するためのレジストマスク18を形成する。このレジストマスク18には配線溝パターンを形成するための開口部181が形成されている。その後、上記レジストマスク18をエッチングマスクに用いたドライエッチング法により、ハードマスク層14をエッチングする。
【0087】
その結果、図8(4)に示すように、ハードマスク層14に配線溝24が形成される。ここでのハードマスク層14のエッチング加工は、一般的なマグネトロン方式のエッチング装置にて、エッチングガスとしてオクタフルオロブタン(C4F8)、アルゴン(Ar)を用い、バイアスパワーを400Wに設定する。ガス流量比はC4F8:Ar=1:4とし、基板温度は20℃と設定した。
【0088】
続いて、図8(5)に示すように、上記ハードマスク層14をエッチングマスクに用いて第3絶縁膜13に配線溝24を延長形成するとともに、第2絶縁膜12の無機絶縁膜122をエッチングマスクに用いて第2絶縁膜12の有機絶縁膜121に接続孔23を延長形成する。この接続孔23は上記第1配線21上に形成されたバリア膜22に達するように形成される。このようにして、いわゆるデュアルダマシン加工が完了する。ここでのエッチングは、例えば一般的な高密度プラズマエッチング装置を用い、例えばエッチングガスとしてアンモニア(NH3)を用いて行う。RFパワーを150W、基盤温度を10℃に設定する。
【0089】
このエッチング条件における上記有機絶縁膜121は、ハードマスク層14および第2絶縁膜12の無機絶縁膜122のSiC膜に対するエッチング選択比が100以上得られるため、配線溝24の加工は制御性良く無機絶縁膜122上で停止させることができる。このように、配線溝24のエッチング加工において、無機絶縁膜122上でエッチングを停止させることができるので、配線溝24の深さを制御性良く決定することができる。すなわち、第3絶縁膜13とハードマスク層14の膜厚で配線溝24の深さを決定することが可能になる。
【0090】
また、このエッチング条件における上記有機絶縁膜111は、第2絶縁膜12のSiC膜からなる無機絶縁膜122および第1絶縁膜11のSiOC膜からなる無機絶縁膜112に対するエッチング選択比が100以上得られるため、接続孔23と第1配線21とで合わせずれを発生させた場合でも下層の無機絶縁膜112をエッチングすることが抑制されるので、いわゆる突き抜けを発生させることなく、制御性良く接続孔23のエッチング加工を行うことができる。
【0091】
その後、しかるべき薬液を用いた後処理を行うことにより、エッチング処理時の残留デポ物の除去する。続けて、しかるべき脱ガス処理およびRFスパッタリング処理を行うことにより、接続孔23の開口によって露出した第1配線21の変質層の除去を行う。
【0092】
続けて、図8(6)に示すように、上記配線溝24および上記配線溝24に連続する上記接続孔23の各内部を被覆するように、銅配線の層間絶縁膜に対する拡散防止膜25を形成する。その際、ハードマスク層14上面にも上記拡散防止膜25が形成される。この拡散防止膜25には、例えばタンタル(Ta)膜を用いることができる。この成膜は、例えば一般的なマグネトロンスパッタリング装置を用い、タンタルターゲットを用いて指向性スパッタリング法にて成膜する。ここでの拡散防止膜25の成膜は、上記デュアルダマシン構造の配線溝24および接続孔23の内面に対してカバリッジ良く形成される必要があり、好ましくは自己放電イオン化スパッタリング法もしくは遠距離スパッタリング法などの指向性スパッタリング法を用いるのが良い。
【0093】
続けて、めっき(例えば、電解めっきもしくは無電解めっき)法もしくはスパッタリング法もしくはCVD法にて、上記拡散防止膜25表面に銅もしくは銅を含む合金を成膜する。また、めっき法を用いる場合には、スパッタリング法もしくはCVD法にて予め配線溝24および接続孔23の内面に銅のシード層を形成しておくことが好ましい。上記銅もしくは銅を含む合金の成膜により、上記配線溝24および接続孔23を埋め込む。その際、ハードマスク層14上にも銅もしくは銅を含む合金が堆積される。
【0094】
続けて、例えば化学的機械研磨(CMP)法により配線が形成されていない領域の余剰銅もしくは銅を含む合金および拡散防止膜25を除去することにより、上記配線溝24の内部に拡散防止膜25を介して銅もしくは銅を含む合金からなる第2配線26が形成され、上記接続孔23の内部に拡散防止膜25を介して上記第1配線21と上記第2配線26とを電気的に接続するもので銅もしくは銅を含む合金からなるプラグ27が形成される。このようにして、いわゆるデュアルダマシン構造の多層配線構造が得られる。次いで、上記第2配線26の上面にのみ、第1配線21と同様な銅の酸化防止および拡散防止となるバリア膜28を形成する。
【0095】
上記第3実施例の製造方法では、第1配線21上にのみ選択的にバリア膜22を形成し、接続孔23の層間として有機絶縁膜である第2絶縁膜12と、配線層間のマスクである無機絶縁膜のハードマスク層14とを形成しているため、第1配線21上に誘電率の高い窒化シリコン(SiN)もしくは炭化シリコン(SiC)といった誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用することなく、良好な多層配線構造を得ることができる。また第1配線21上に誘電率の高いエッチングストッパー膜を適用していないことにより、デバイス全体の容量の低減が可能となり、かつ接続孔のボーダーレス部分、もしくはリソグラフィー工程における大きな合わせズレが発生した際にも、下層の下地突き抜けを抑制することができるため、良好なエレクトロマイグレーション耐性を有し、かつ高性能(例えば応答速度が速い)・高信頼性な半導体デバイスを得ることができる。少なくとも、上記各工程を経て形成された半導体装置は、従来のエッチングストッパー膜を用いた半導体装置、もしくは従来の層間絶縁膜構造を用いたストッパーレス構造を有する半導体装置よりも、高性能で優れた信頼性特性を得ることができる。
【0096】
尚、上記記載の各種絶縁膜およびバリア膜22、28は、表記された膜種、膜厚、製法に限定されることはない。銅配線上にのみ選択的に形成するバリア膜22、28はコバルトタングステンリン(CoWP)の代わりに、例えば、ニッケルタングステンリン(NiWP)、コバルトタングステンホウ素(CoWB)などの合金、もしくは通常の銅のバリアメタルとして用いているタンタル(Ta)、チタン(Ti)、タングステン(W)、さらには、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)、もしくはこれら金属の合金、窒化膜でも良く、さらにはこれら金属、合金、窒化膜を複数組み合わせたものでもよい。
【0097】
上記接続孔23が形成される絶縁膜として用いている第2絶縁膜12の有機絶縁膜121および第3絶縁膜13にはポリアリールエーテル(PAE)の他に、例えば、ポリアリレンエーテル膜、アモルファスカーボン膜、ポリテトラトラフロロエチレン膜の適用でもよく、さらにはこれらを多孔質(ポーラス)化させた膜でも問題なく用いることができる。
【0098】
また、ハードマスク14として用いているSiOC膜の代わりに、シリコン酸化膜(SiO2)、スピンコート法により形成されるメチルシルセスキオキサン(MSQ)膜やハイドロゲンシルセキオサン(HSQ)膜などの適用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の半導体装置およびその製造方法は、各種半導体装置の多層配線構造という用途に適用することが好適である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の半導体装置に係る第1実施例を示した概略構成断面図である。
【図2】本発明の半導体装置に係る第2実施例を示した概略構成断面図である。
【図3】本発明の半導体装置に係る第3実施例を示した概略構成断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例を示した製造工程断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法に係る第1実施例を示した製造工程断面図である。
【図6】第1実施例の製造方法において合わせずれが生じた場合を説明する製造工程断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の製造方法に係る第2実施例を示した製造工程断面図である。
【図8】本発明の半導体装置の製造方法に係る第3実施例を示した製造工程断面図である。
【図9】本発明の課題を説明する概略構成断面図である。
【図10】本発明の課題を説明する概略構成断面図である。
【符号の説明】
【0101】
11…第1絶縁膜、12…第2絶縁膜、22…バリア膜、23…接続孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜に形成されたもので第1配線上のみにバリア膜が形成された第1配線と、
前記第1配線を被覆して前記第1絶縁膜上に形成されかつ接続孔が形成された第2絶縁膜とを有し、
前記第2絶縁膜の前記第1絶縁膜側は、前記第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能なものである
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2絶縁膜は、積層構造の絶縁膜であり、少なくとも最下層の絶縁膜が前記第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能な絶縁膜である
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1絶縁膜は少なくとも最上層が無機絶縁膜からなり、
前記第2絶縁膜は少なくとも最下層が有機絶縁膜からなる
ことを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1絶縁膜は少なくとも最上層が無機絶縁膜からなり、
前記第2絶縁膜は有機絶縁膜からなる
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記拡散防止膜は、パラジウム、ニッケル、コバルト、タングステン、タンタル、チタン、ルテニウムおよびアルミニウムから選択される金属、もしくは前記金属のうちの少なくとも1種が含まれる合金、もしくは前記金属の窒化物、または前記金属、前記合金、前記窒化物のうちの複数を組み合わせてなる多層膜からなる
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜に形成されたもので第1配線上のみにバリア膜が形成される第1配線と、
前記第1配線を被覆して前記第1絶縁膜上に形成されかつ接続孔が形成される第2絶縁膜とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記第2絶縁膜の少なくとも前記第1絶縁膜側を前記第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能な絶縁体で形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1絶縁膜上に絶縁膜を積層して前記第2絶縁膜を形成し、その際、少なくとも最下層の絶縁膜を前記第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能な絶縁膜で形成する
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1絶縁膜の少なくとも最上層を無機絶縁膜で形成し、
前記第2絶縁膜の少なくとも最下層の絶縁膜を有機絶縁膜で形成する
ことを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1絶縁膜の少なくとも最上層を無機絶縁膜で形成し、
前記第2絶縁膜を有機絶縁膜で形成する
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2絶縁膜上に第3絶縁膜を形成する工程と、
前記第3絶縁膜上に第1ハードマスク層と第2ハードマスク層からなる2層のハードマスク層を形成する工程とを備え、
前記第2ハードマスク層を用いて前記第1ハードマスク層に配線溝パターンを形成するとともに前記第1ハードマスク層を用いて前記第3絶縁膜に配線溝を形成する
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第2絶縁膜上にハードマスク層を形成する工程を備え、
前記ハードマスク層を用いて前記第2絶縁膜に前記配線溝および前記接続孔を形成する
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2絶縁膜を有機絶縁膜とエッチングストッパとなる無機絶縁膜とを積層して形成し、
前記第2絶縁膜上に第3絶縁膜を形成する工程と、
前記第3絶縁膜上にハードマスク層を形成する工程とを備え、
前記ハードマスク層を用いて前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜に接続孔を形成するとともに前記ハードマスク層を用いて前記第3絶縁膜に配線溝を形成する
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記拡散防止膜を、パラジウム、ニッケル、コバルト、タングステン、タンタル、チタン、ルテニウムおよびアルミニウムから選択される金属、もしくは前記金属のうちの少なくとも1種が含まれる合金、もしくは前記金属の窒化物、または前記金属、前記合金、前記窒化物のうちの複数を組み合わせてなる多層膜で形成する
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜に形成されたもので第1配線上のみにバリア膜が形成された第1配線と、
前記第1配線を被覆して前記第1絶縁膜上に形成されかつ接続孔が形成された第2絶縁膜とを有し、
前記第2絶縁膜の前記第1絶縁膜側は、前記第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能なものである
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第2絶縁膜は、積層構造の絶縁膜であり、少なくとも最下層の絶縁膜が前記第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能な絶縁膜である
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1絶縁膜は少なくとも最上層が無機絶縁膜からなり、
前記第2絶縁膜は少なくとも最下層が有機絶縁膜からなる
ことを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1絶縁膜は少なくとも最上層が無機絶縁膜からなり、
前記第2絶縁膜は有機絶縁膜からなる
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記拡散防止膜は、パラジウム、ニッケル、コバルト、タングステン、タンタル、チタン、ルテニウムおよびアルミニウムから選択される金属、もしくは前記金属のうちの少なくとも1種が含まれる合金、もしくは前記金属の窒化物、または前記金属、前記合金、前記窒化物のうちの複数を組み合わせてなる多層膜からなる
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜に形成されたもので第1配線上のみにバリア膜が形成される第1配線と、
前記第1配線を被覆して前記第1絶縁膜上に形成されかつ接続孔が形成される第2絶縁膜とを有する半導体装置の製造方法であって、
前記第2絶縁膜の少なくとも前記第1絶縁膜側を前記第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能な絶縁体で形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1絶縁膜上に絶縁膜を積層して前記第2絶縁膜を形成し、その際、少なくとも最下層の絶縁膜を前記第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能な絶縁膜で形成する
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1絶縁膜の少なくとも最上層を無機絶縁膜で形成し、
前記第2絶縁膜の少なくとも最下層の絶縁膜を有機絶縁膜で形成する
ことを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1絶縁膜の少なくとも最上層を無機絶縁膜で形成し、
前記第2絶縁膜を有機絶縁膜で形成する
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第2絶縁膜上に第3絶縁膜を形成する工程と、
前記第3絶縁膜上に第1ハードマスク層と第2ハードマスク層からなる2層のハードマスク層を形成する工程とを備え、
前記第2ハードマスク層を用いて前記第1ハードマスク層に配線溝パターンを形成するとともに前記第1ハードマスク層を用いて前記第3絶縁膜に配線溝を形成する
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第2絶縁膜上にハードマスク層を形成する工程を備え、
前記ハードマスク層を用いて前記第2絶縁膜に前記配線溝および前記接続孔を形成する
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第2絶縁膜を有機絶縁膜とエッチングストッパとなる無機絶縁膜とを積層して形成し、
前記第2絶縁膜上に第3絶縁膜を形成する工程と、
前記第3絶縁膜上にハードマスク層を形成する工程とを備え、
前記ハードマスク層を用いて前記第3絶縁膜および前記第2絶縁膜に接続孔を形成するとともに前記ハードマスク層を用いて前記第3絶縁膜に配線溝を形成する
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記拡散防止膜を、パラジウム、ニッケル、コバルト、タングステン、タンタル、チタン、ルテニウムおよびアルミニウムから選択される金属、もしくは前記金属のうちの少なくとも1種が含まれる合金、もしくは前記金属の窒化物、または前記金属、前記合金、前記窒化物のうちの複数を組み合わせてなる多層膜で形成する
ことを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2006−196642(P2006−196642A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6065(P2005−6065)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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