半導体装置およびその製造方法
【課題】成膜工程における半導体ウェハの反り量を低減し、搬送ミスやウェハ割れを低減することができる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造法は、互いに対向する一方表面1aおよび他方表面1bを有する基板1を準備する工程と、基板1の一方表面1aおよび他方表面1bにめっき法により導電層であるNiめっき膜7およびAuめっき膜8を形成する工程とを備えている。
【解決手段】半導体装置の製造法は、互いに対向する一方表面1aおよび他方表面1bを有する基板1を準備する工程と、基板1の一方表面1aおよび他方表面1bにめっき法により導電層であるNiめっき膜7およびAuめっき膜8を形成する工程とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特にめっき法により導電層が形成された半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワー半導体素子の裏面電極は、半導体ウェハ全面に形成されている。また、裏面電極は、複数の電極材料からなる多層構造になっている。たとえば、IGBTの場合、裏面電極には接続に必要なはんだ付け性を満足するために、一般的にAl(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、Au(金)からなる多層構造の表面処理が施されている。
【0003】
近年、IGBTなどのパワー半導体素子においては、電力損失を低減させるため、基板厚さが薄厚化されている。これにより電気的な特性の向上が図られている。基板厚さは、100μm以下にまで薄厚化する方向で技術開発が進んでいる。しかし、裏面電極は、一般的に高温で金属膜を形成する乾式成膜法で形成されているため、裏面電極と基板との線膨張係数の差による半導体ウェハ(基板)の反りが問題となる。半導体ウェハの反り量は、基板厚さが薄厚化するにつれて顕著となる。半導体ウェハの反りは、搬送ミスやウェハ割れを誘発する。また、半導体ウェハの反りは、テバイス特性を低下させる。
【0004】
たとえば特開2006−59929号公報(特許文献1)には、基板厚さが100μm程度の半導体ウェハの反りを抑制する半導体装置の製造方法が記載されている。この公報には、スパッタ法で裏面電極を形成する際にウェハ温度を110℃〜150℃に保持することでウェハ反り量を4mm以内にすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−59929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2006−59929号公報の製造方法では、ウェハ温度が110℃〜150℃の範囲において適用できる半導体ウェハの厚さは90μmから110μmであり、半導体ウェハのNi膜の膜厚は0.6μmから0.8μmである。さらに、スパッタ法は蒸着法に比べ成膜の際の温度が低いためウェハ反りを大幅に低減できるが、半導体ウェハが4mm程度は反ってしまうため搬送ミスやウェハ割れが発生する懸念がある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、成膜工程における半導体ウェハの反り量を低減し、搬送ミスやウェハ割れを低減することができる半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体装置の製造法は、互いに対向する一方表面および他方表面を有する基板を準備する工程と、基板の一方表面および他方表面にめっき法により導電層を形成する工程とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、基板の一方表面および他方表面にめっき法により導電層を形成するので、一方表面および他方表面で反りが相殺されるためウェハ反りを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
【図8】比較例の半導体装置の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1における半導体装置の半導体チップの概略断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1における半導体装置の概略断面図である。
【図11】本発明の実施の形態2および3における半導体装置の概略断面図である。
【図12】本発明の実施の形態1における半導体装置に形成された半導体素子の概略断面図である。
【図13】本発明の実施の形態2および3における半導体装置に形成された半導体素子の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に、本発明の実施の形態1の半導体装置の製造方法について説明する。
【0012】
図1を参照して、互いに対向する一方表面1aおよび他方表面1bを有する基板1が準備される。基板1は、Si(シリコン)を主原料とした半導体ウェハから準備される。基板1の他方表面1b側には図12に示す半導体素子(たとえばIGBT)が形成される。基板1の一方表面1aおよび他方表面1bにはAlまたはAl−Si合金からなる金属層2が形成される。金属層2は電極および配線となる。なお、金属層2は、AlまたはCuを主成分として形成されてもよい。
【0013】
次に、基板1の他方表面1bにマスキングが行われる。マスキング方法としては、たとえば、マスキングテープ、あるいはフォトレジストによる方法が用いられる。本実施の形態では、基板1の他方表面1b側の金属層2上にレジスト3が形成されてマスキングが行われる。なお、基板1の他方表面1bの端部1d(端辺から内側に1〜2mmの領域)上の金属層2にはマスキングが行われない。
【0014】
次に、めっき処理が行われる。めっき処理として、まず図示しない脱脂処理が行われる。AlまたはAl−Si合金からなる金属層2から有機異物、無機異物などの表面汚染物が除去される。これにより、金属層2の液ぬれ性が確保される。
【0015】
続いて、図示しないエッチング処理が行われる。基板1の側面1cの保護を可能にするため、エッチング液にはSi酸化膜の除去が可能なフッ酸、酸性フッ化アンモンなどのフッ素系の液が使用される。たとえば、2質量%で酸性フッ化アンモンを含むエッチング液が使用される場合、液温20℃、処理時間1分でのエッチング処理により、AlまたはAl−Si合金からなる金属層2上の自然酸化皮膜および基板1の側面1cに形成されたSi酸化皮膜が効果的に除去される。
【0016】
次に、図2を参照して、ジンケート処理が行われる。ジンケート処理は、エッチング処理により清浄化されたAlまたはAl−Si合金の酸化を抑制するため、Zn(亜鉛)などを含むアルカリ性のジンケート処理液に浸漬することにより、AlまたはAl−Si合金にZnを付与する処理である。このジンケート処理により、基板1の一方表面1aおよび他方表面1bの端部1dに形成された金属層2上にZnめっき膜4が形成される。
【0017】
次に、導電層であるNiめっき膜7を形成するためのNiめっきが行なわれる。一般的に無電解Niめっきでは、前工程でAlまたはAl−Si合金上に付与されたZnが溶出し、同時にNiが還元析出することでZnがNiに置換される。その後、Niが自己触媒析出する。本実施の形態では、図3に示すようにAlまたはAl―Si合金からなる金属層2上に付与されたZnめっき膜4との酸化還元反応により無電解Niめっき膜7が基板1の一方表面1aおよび他方表面1bの端部1dに形成された金属層2上に一括して形成される。
【0018】
また、無電解Niめっき膜7が基板1の側面1cのSi上にも析出される。つまり、図3に示すように基板1の側面1cのSi上にNi核6が析出する。ひきつづきNiめっきが行なわれることにより、Ni核6が自己触媒反応により成長する。また無電解Niめっきの沿面成長性が利用されて、図4に示すように無電解Niめっき膜7が基板1の側面1cのSi上に析出される。これにより、基板1の側面1cがNiめっき膜7により覆われて保護される。以下に無電解Niめっき膜7が基板1の側面1cのSi上に析出される様子を詳しく説明する。
【0019】
無電解Niめっき液中において、Si酸化皮膜上にはNi核6は析出しない。そのため、Ni核6を基板1の側面1cのSi上に析出させるためには、まず上記のエッチングによるSi酸化皮膜の除去が必要である。
【0020】
そしてSi酸化皮膜が除去された基板1の側面1cのSi上にNi核6が形成される。Niの標準酸化還元電位は−0.25(V vs.NHE)であり、Siの標準酸化還元電位は−0.86(V vs.NHE)であるため、無電解Niめっき液中において、清浄なSi上にはNi核6が析出する。つまり、Ni2+イオンは、Siに比べ高い酸化還元電位を持つため、Si表面から電子を引き抜いて還元され、Ni核6となってSi表面に付着する。なお、Ni核6下のSiはNiの付着量に見合う電子を供給し、自らは酸化されてSiO2となる。そして、Ni核6の析出後、無電解Niめっきの特徴である自己触媒反応性、沿面成長性が利用されて、Si上、つまり基板1の側面1cがNiめっき膜7で覆われる。
【0021】
無電解ニッケルめっき液としては、従来から用いられているめっき液が使用され得るが、Niめっき膜7のP(リン)含有量が5〜9質量%となるめっき液(以下、中Pタイプのめっき液と称する)または10質量%以上となるめっき液(以下、高Pタイプのめっき液)が好ましい。これは析出したNiめっき膜7自体が圧縮応力を示すためである。つまり、中Pタイプのめっき液や高Pタイプのめっき液を使用するとNiめっき膜7自体が圧縮応力となるため、衝撃に対する耐性が向上する。一方、低Pタイプのめっき液(Niめっき膜7のP含有量が1〜3質量%程度であるめっき液)を使用した場合は析出したNiめっき膜7自体が引っ張り応力を示すため、基板1の側面1cを保護する効果が少ない。
【0022】
使用される無電解Niめっき液は、たとえば、金属塩として硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤として乳酸もしくはプロピオン酸、トリエタノールアミンなどを含みpHが4.5に調整された中Pタイプのめっき液などである。
【0023】
基板1の無電解Niめっき液への浸漬時間および無電解Niめっき液の液温は、所望の膜厚のNiめっき膜7を得ることができるように適宜設定され得る。たとえば、液温80℃、めっき時間20分と設定することにより、4μm程度のNiめっき膜7が得られ得る。
【0024】
次に、図5に示すように無電解Niめっき膜7上に導電層であるAuめっき膜8を形成するため、置換型無電解Auめっき処理が行われる。置換型無電解Auめっき液は、従来から用いられているシアン系や亜硫酸金系のAuめっき液が使用され得る。シアン系の置換型無電解Auめっき液としては、たとえばシアン化金カリウムやシアン化ナトリウムなどを含み、pHが6.8に調整された液が使用され得る。亜硫酸金系のめっき液としては、亜硫酸金ナトリウムなどを含み、pHが7.0に調整された液が使用され得る。
【0025】
基板1の置換型無電解Auめっき液への浸漬時間および置換型無電解Auめっき液の液温は、所望の膜厚の置換Auめっき膜を得ることができるように適宜設定され得る。たとえば、シアン系の置換型無電解Auめっき液が使用された場合、液温90℃、めっき時間10分と設定することにより、0.05μmの置換型Auめっき膜8が得られ得る。なお、めっき処理の各工程間には1分間の純水洗処理工程を含む。
【0026】
このようにして、図5に示す半導体ウェハが得られる。続いて、この半導体ウェハがダイシングにより分割されて、複数個の半導体チップが得られる。図9を参照して、この半導体チップ16は、基板1および金属層2を有する基板部材10と、基板1の一方表面1a側に形成されたNiめっき膜7およびAuめっき膜8を有するめっき膜11とを有している。
【0027】
上記において製造された半導体チップ16がブロック14にはんだ13によりはんだ付けされる。この際、半導体チップ16のめっき膜11がブロック14にはんだ13を介在して接合される。そして、基板部材10の他方表面1b側にはボンディングワイヤ15がボンディングされる。このようにして、図10に示す半導体装置が完成する。
【0028】
次に、本実施の形態の半導体装置の構成について説明する。
まず、図5を参照して、半導体ウェハの構成について説明する。基板1の一方表面1aおよび他方表面1b上にAlまたはAl−Si合金からなる金属層2が形成されている。基板の一方表面1a、側面1cおよび他方表面1bの端部1d上に形成された金属層2上にNiめっき膜7が形成されている。Niめっき膜7上にAuめっき膜8が形成されている。基板1の他方表面1b側には開口電極が形成されている。
【0029】
次に図10を参照して、半導体装置の構成を説明する。図5に示す半導体ウェハがダイシングされて基板部材10が形成されている。基板1の他方表面1b側の基板部材10にボンディングワイヤ15がボンディングされている。基板1の一方表面1a側のめっき膜11にはんだ13を介してブロック14が取り付けられている。P1部を拡大した図が図12である。
【0030】
図12を参照して、半導体チップ16には、たとえばIGBTが形成されている。このIGBTには、N−型ドリフト領域20と、P型ベース領域21と、N+型エミッタ領域22と、N+型バッファ層26と、P+型コレクタ層27と、ゲート電極24と、エミッタ電極である金属層2と、コレクタ電極である金属層2、Niめっき膜7およびAuめっき膜8とを有している。
【0031】
P+型コレクタ層27上に、N+型バッファ層26と、N−型のドリフト領域20とが順に形成されている。これらN型の半導体層の表面には、P型ベース領域21が形成されており、更に、このP型ベース領域21の表面には、N+型エミッタ領域22が形成されている。
【0032】
また、N+型エミッタ領域22の表面からドリフト領域20に達する部位にトレンチが形成されており、トレンチ内に絶縁膜23を介してゲート電極24が埋め込まれている。
【0033】
また、ゲート電極24上を覆うように層間絶縁膜25が形成されている。そして、N+型エミッタ領域22の表面の一部とP型ベース領域21の表面の一部に接続するようにエミッタ電極である金属層2が形成されている。
【0034】
またP+型コレクタ層27に接続するように、金属層2、Niめっき膜7およびAuめっき膜8よりなるコレクタ電極が形成されている。
【0035】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、基板1の一方表面1a側と他方表面1b側の端部1d上に形成された金属層2上に一括して導電層であるNiめっき膜7およびAuめっき膜8を形成することができる。これにより、一方表面1aと他方表面1bとの間で内部応力を相殺することができる。したがって、基板1の反りを抑制することができる。よって、ウェハ反りを低減することができる。
【0036】
また、基板1の側面1cにNiめっき膜7およびAuめっき膜8を形成することができるので、側面1cを保護することができる。また、側面1c方向の衝撃に対する耐性を向上することができる。したがって、側面1cを起点としたウェハ割れやウェハチッピングの抑制が可能となる。よって、歩留りを向上させることができる。
【0037】
また、めっき法により基板1の一方表面1a側、他方表面1b側の端部1dおよび側面1cにNiめっき膜7およびAuめっき膜8が形成されるので、成膜温度が100℃以下と低温であるため、熱応力によるウェハ反りを抑制することができる。
【0038】
また、蒸着法やスパッタ法では成膜が困難な基板1の側面1cに容易にNiめっき膜7およびAuめっき膜8を形成することができる。
【0039】
また、めっき法による成膜は蒸着、スパッタ法に比べ工数が少なく、材料歩留りも向上することができるため、成膜コストの削減が可能となる。
【0040】
本発明の実施の形態1の半導体装置によれば、基板1の一方表面1aと側面1cとに形成された導電層であるNiめっき膜7およびAuめっき膜8とを備えている。これにより、側面1cを起点としたウェハ割れやウェハチッピングの抑制が可能となる。よって、歩留りを向上させることができる。
【0041】
また、導電層であるNiめっき膜7およびAuめっき膜8が基板1の他方表面1bにも形成されている。これにより、一方表面1aと他方表面1bとの間で内部応力を相殺することができる。したがって、基板1の反りを抑制することができる。よって、ウェハ反りを低減することができる。
【0042】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の半導体装置の製造方法は、実施の形態1の半導体装置の製造方法と比較して、基板の側面にめっき膜を形成しない点が主に異なっている。
【0043】
最初に本発明の実施の形態2の半導体装置の製造方法について説明する。
図6は実施の形態1における半導体装置の製造方法の第5工程を示す図5に対応する図である。図6を参照して、実施の形態1と同様に、互いに対向する一方表面1aおよび他方表面1bを有する基板1が準備される。基板1の一方表面1aおよび他方表面1bにはAlまたはAl−Si合金からなる金属層2が形成される。
【0044】
次に、基板1の他方表面1bに形成された金属層2上にレジスト3が形成されてマスキングが行なわれる。本実施の形態では、基板1の他方表面1bの端部1d上の金属層2にもレジスト3などの有機保護膜で覆われてマスキングが行われる。
【0045】
次に、一方表面1aおよび他方表面1bに一括してめっき処理が行われる。めっき処理として、まず図示しない脱脂処理が行われる。AlまたはAl−Si合金からなる金属層2から有機異物、無機異物などの表面汚染物が除去され、液ぬれ性が確保される。
【0046】
続いて、図示しないエッチング処理が行われる。基板1の側面1cにはめっきが行われない。そのためエッチング液にはSi酸化膜が除去されない水酸化ナトリウムなどが用いられたアルカリ性の液が使用される。アルカリ性のエッチング液のため、基板1の側面1cのSi酸化膜を残したまま、AlまたはAl−Si合金からなる金属層2上の自然酸化膜だけが効果的に除去される。
【0047】
次に、ジンケート処理が行われる。ジンケート処理は、めっき膜の密着性と外観性を向上させるため、付与されたZnが硝酸浸漬により剥離され、再度ジンケート処理液に浸漬されてZnが付与されるダブルジンケート処理が行われてもよい。ジンケート処理後、導電層であるNiめっき膜7を形成するためのNiめっきが行われる。次に無電解Niめっき膜7上に導電層であるAuめっき膜8を形成するため、置換型無電解Auめっき処理が行われる。なお、めっき処理の各工程間には1分間の純水洗処理工程を含む。
【0048】
このようにして、図6に示す半導体ウェハが得られる。続いて、この半導体ウェハがダイシングにより分割されて、複数個の半導体チップが得られる。この半導体チップでは、図9に示す実施の形態1の半導体チップ16の他方表面1b側の金属層2上にNiめっき膜7およびAuめっき膜8を有するめっき膜11が形成されている。
【0049】
上記において製造された半導体チップ16がブロック14にはんだ13によりはんだ付けされる。この際、半導体チップ16のめっき膜11がブロック14にはんだ13を介在して接合される。そして、基板部材10の他方表面1b側にはリード12がはんだ13を介在して接合される。またボンディングワイヤ15が基板部材10の他方表面1b側にボンディングされる。このようにして、図11に示す半導体装置が完成する。
【0050】
次に、本実施の形態の半導体装置の構成について説明する。
まず、図6を参照して、半導体ウェハの構成について説明する。基板1の一方表面1aおよび他方表面1b上にAlまたはAl−Si合金からなる金属層2が形成されている。基板の一方表面1aおよび他方表面1bの中央部に形成された金属層2上にNiめっき膜7が形成されている。Niめっき膜7上にAuめっき膜8が形成されている。基板1の他方表面1b側には開口電極が形成されている。
【0051】
次に図11を参照して、半導体装置の構成を説明する。図6に示す半導体ウェハがダイシングされて基板部材10が形成されている。基板1の他方表面1b側の基板部材10上にはめっき膜11が形成されている。当該めっき膜11にボンディングワイヤ15がボンディングされており、またはんだ13を介してリード12が取り付けられている。基板1の一方表面1a側の基板部材10上にはめっき膜11が形成されている。当該めっき膜11にはんだ13を介してブロック14が取り付けられている。P2部を拡大した図が図13である。
【0052】
図13を参照して、半導体チップ16には、たとえばIGBTが形成されている。このIGBTには、N−型ドリフト領域20と、P型ベース領域21と、N+型エミッタ領域22と、N+型バッファ層26とP+型コレクタ層27と、ゲート電極24と、エミッタ電極である金属層2、Niめっき膜7およびAuめっき膜8と、コレクタ電極である金属層2、Niめっき膜7およびAuめっき膜8とを有している。
【0053】
つまり、本実施の形態では図9に示す実施の形態1の半導体チップ16の他方表面1b側の金属層2上にNiめっき膜7およびAuめっき膜8が形成されている。そして金属層2、Niめっき膜7およびAuめっき膜8がエミッタ電極を構成している。
【0054】
なお、本実施の形態のこれ以外の製造方法および構成は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、基板1の一方表面1a側および他方表面1b側に一括して同じ膜厚のNiめっき膜7およびAuめっき膜8が形成されるため、基板1の一方表面1aおよび他方表面1bの間でより内部応力を相殺することができる。これにより、ウェハ反り量を低減させることができる。
【0056】
また、めっき法により基板1の一方表面1a側および他方表面1b側にNiめっき膜7およびAuめっき膜8を形成するので、成膜温度が100℃以下と低温であるため、熱応力によるウェハ反りを抑制することができる。
【0057】
また、めっき法による成膜は蒸着、スパッタ法に比べ工数が少なく、材料歩留りも向上することができるため、成膜コストの削減が可能となる。
【0058】
本発明の実施の形態2の半導体装置によれば、導電層であるNiめっき膜7およびAuめっき膜8が基板1の他方表面1b側にも形成されている。これにより、一方表面1aと他方表面1bとの間で内部応力をより相殺することができる。これにより、ウェハ反り量を低減させることができる。
【0059】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の半導体装置の製造方法は、実施の形態1の半導体装置の製造方法と比較して、基板の他方表面の中央部にめっき膜を形成する点が主に異なっている。
【0060】
最初に本発明の実施の形態3の半導体装置の製造方法について説明する。
図7は実施の形態1における半導体装置の製造方法の第5工程を示す図5に対応する図である。図7を参照して、実施の形態1と同様に、互いに対向する一方表面1aおよび他方表面1bを有する基板1が準備される。基板1の一方表面1aおよび他方表面1bにはAlまたはAl−Si合金からなる金属層2が形成される。
【0061】
次に、基板1の他方表面1bに形成された金属層2上にレジスト3が形成されてマスキングが行なわれる。本実施の形態では、基板1の他方表面1bの端部1d上の金属層2は、レジスト3などの有機保護膜で覆われていない。
【0062】
次に、一方表面1a、側面1cおよび他方表面1bの端部1dに一括してめっき処理が行われる。めっき処理として、まず図示しない脱脂処理が行われる。AlまたはAl−Si合金からなる金属層2から有機異物、無機異物などの表面汚染物が除去され、液ぬれ性が確保される。
【0063】
続いて、図示しないエッチング処理が行われる。基板1の側面1cの保護を可能にするため、エッチング液にはSi酸化膜の除去が可能なフッ酸、酸性フッ化アンモンなどのフッ素系の液が使用される。これにより、AlまたはAl−Si合金からなる金属層2上の自然酸化皮膜および基板1の側面1cに形成されたSi酸化皮膜が効果的に除去される。
【0064】
次に、ジンケート処理が行われる。基板1の一方表面1aおよび他方表面1bの中央部に形成された金属層2上にZnめっき膜が形成される。
【0065】
次に、導電層であるNiめっき膜7を形成するためのNiめっきが行なわれる。本実施の形態では、AlまたはAl―Si合金からなる金属層2上に付与したZnめっき膜との酸化還元反応により無電解Niめっき膜7が基板1の一方表面1aおよび他方表面1bの中央部に形成された金属層2上に一括して形成される。また無電解Niめっき膜7が基板1の側面1cのSi上にも析出される。
【0066】
次に、図7に示すように無電解Niめっき膜7上に導電層であるAuめっき膜8を形成するため、置換型無電解Auめっき処理が行われる。なお、めっき処理の各工程間には1分間の純水洗処理工程を含む。
【0067】
このようにして、図7に示す半導体ウェハが得られる。続いて、この半導体ウェハがダイシングにより分割されて、複数個の半導体チップが得られる。この半導体チップは、実施の形態2と同様に、図9に示す実施の形態1の半導体チップ16の他方表面1b側の金属層2上にNiめっき膜7およびAuめっき膜8を有するめっき膜11が形成されている。
【0068】
本実施の形態の半導体装置は、実施の形態2の半導体装置と同様に構成されている。
なお、本実施の形態のこれ以外の製造方法および構成は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
以上により、本実施の形態3の半導体装置の製造方法および半導体装置によれば、実施の形態1および2と同様の作用効果を有する。
【0070】
また、本実施の形態によれば、Niめっき膜7およびAuめっき膜8が基板1の一方表面1a、側面1cおよび他方表面1bの中央部上の金属層2上に形成されているので、衝撃に対する耐性をより向上させることができる。ウェハの厚さ方向に対する耐性だけでなく、ウェハの側面方向に対する耐性を向上させることができる。これにより、ウェハ割れ、ウェハチッピングをより抑制することができる。よって歩留りをより向上させることができる。
【実施例】
【0071】
以下、本発明の実施例について詳細に述べる。
(実施例1)
本発明の実施例1について説明する。
【0072】
ウェハサイズ6インチ、基板厚さ100umの基板1を準備した。基板1の一方表面1aおよび他方表面1b上にはAl−Si合金からなる金属層2が形成されている。金属層2の他方表面1bには開口電極が形成されている。
【0073】
上記基板1に実施の形態1で説明した成膜方法に従い、一方表面1a、側面1cおよび他方表面1bの端部1d上の金属層2上に厚さ4umの無電解Niめっき膜7を形成した。そして水洗処理を1分間行った。その後、実施の形態1で説明した方法に従い、厚さ0.05umの無電解Auめっき膜8を形成した。このようにして、図5に示す半導体ウェハを製造した。
【0074】
(実施例2)
本発明の実施例2について説明する。
【0075】
実施例2では、上記基板1に実施の形態2で説明した成膜方法に従い、一方表面1aおよび他方表面1bの中央部上の金属層2上に無電解Niめっき膜7および無電解Auめっき膜8を形成した。その他は実施例1と同様の条件で試験を行った。このようにして、図6に示す半導体ウェハを製造した。
【0076】
(実施例3)
本発明の実施例3について説明する。
【0077】
実施例3では、上記基板1に実施の形態3で説明した成膜方法に従い、一方表面1a、側面1cおよび他方表面1bの中央部上の金属層2上に無電解Niめっき膜7および無電解Auめっき膜8を形成した。その他は実施例1と同様の条件で試験を行った。このようにして、図7に示す半導体ウェハを製造した。
【0078】
(比較例)
比較例1について説明する。
【0079】
実施例1〜3と同様にウェハサイズ6インチ、基板厚100umの基板1を準備した。基板1の一方表面1aおよび他方表面1b上にはAl−Si合金からなる金属層2が形成されている。金属層2の他方表面1bには開口電極が形成されている。
【0080】
図8に示すように基板1の一方表面1aにスパッタ法により実施例1〜3と同様にNi膜91(膜厚4μm)とAu膜92(膜厚0.05μm)を形成した。
【0081】
実施例との相違点はNi膜91およびAu膜92の成膜をスパッタ法で行い、側面1cにはNi膜91およびAu膜92が形成されていないことである。
【0082】
表1に本発明の実施例1〜3および比較例について、ウェハ反り量およびウェハチッピング枚数を示す。ウェハ反り量については、実施例1〜3および比較例のそれぞれの半導体ウェハについて、めっき処理後の半導体ウェハの反り量をレーザ変位計で測定した。ウェハチッピング枚数については、実施例1〜3および比較例のそれぞれの半導体ウェハについて、300mmウェハ出荷容器(信越ポリマー製)に半導体ウェハを5枚投入し、500mmの高さから当該出荷容器をコンクリート面に5回落下させて、チッピングまたは割れが発生したウェハ枚数を測定した。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示すように、比較例では本発明の実施例1〜3よりもウェハ反り量が大きくなった。また実施例1〜3よりもウェハのチッピングまたは割れが多く発生した。
【0085】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、めっき法により導電層が形成された半導体装置およびその製造方法に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0087】
1 基板、2 金属層、3 レジスト、4 Znめっき膜、6 Ni核、7 Niめっき膜、8 Auめっき膜、10 半導体ウェハ、11 めっき膜、12 リード、13 はんだ、14 ブロック、15 ボンディングワイヤ、16 半導体チップ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特にめっき法により導電層が形成された半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などのパワー半導体素子の裏面電極は、半導体ウェハ全面に形成されている。また、裏面電極は、複数の電極材料からなる多層構造になっている。たとえば、IGBTの場合、裏面電極には接続に必要なはんだ付け性を満足するために、一般的にAl(アルミニウム)、Ni(ニッケル)、Au(金)からなる多層構造の表面処理が施されている。
【0003】
近年、IGBTなどのパワー半導体素子においては、電力損失を低減させるため、基板厚さが薄厚化されている。これにより電気的な特性の向上が図られている。基板厚さは、100μm以下にまで薄厚化する方向で技術開発が進んでいる。しかし、裏面電極は、一般的に高温で金属膜を形成する乾式成膜法で形成されているため、裏面電極と基板との線膨張係数の差による半導体ウェハ(基板)の反りが問題となる。半導体ウェハの反り量は、基板厚さが薄厚化するにつれて顕著となる。半導体ウェハの反りは、搬送ミスやウェハ割れを誘発する。また、半導体ウェハの反りは、テバイス特性を低下させる。
【0004】
たとえば特開2006−59929号公報(特許文献1)には、基板厚さが100μm程度の半導体ウェハの反りを抑制する半導体装置の製造方法が記載されている。この公報には、スパッタ法で裏面電極を形成する際にウェハ温度を110℃〜150℃に保持することでウェハ反り量を4mm以内にすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−59929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2006−59929号公報の製造方法では、ウェハ温度が110℃〜150℃の範囲において適用できる半導体ウェハの厚さは90μmから110μmであり、半導体ウェハのNi膜の膜厚は0.6μmから0.8μmである。さらに、スパッタ法は蒸着法に比べ成膜の際の温度が低いためウェハ反りを大幅に低減できるが、半導体ウェハが4mm程度は反ってしまうため搬送ミスやウェハ割れが発生する懸念がある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、成膜工程における半導体ウェハの反り量を低減し、搬送ミスやウェハ割れを低減することができる半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体装置の製造法は、互いに対向する一方表面および他方表面を有する基板を準備する工程と、基板の一方表面および他方表面にめっき法により導電層を形成する工程とを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、基板の一方表面および他方表面にめっき法により導電層を形成するので、一方表面および他方表面で反りが相殺されるためウェハ反りを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第4工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における半導体装置の製造方法の第5工程を示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3における半導体装置の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
【図8】比較例の半導体装置の製造方法の一工程を示す概略断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1における半導体装置の半導体チップの概略断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1における半導体装置の概略断面図である。
【図11】本発明の実施の形態2および3における半導体装置の概略断面図である。
【図12】本発明の実施の形態1における半導体装置に形成された半導体素子の概略断面図である。
【図13】本発明の実施の形態2および3における半導体装置に形成された半導体素子の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
最初に、本発明の実施の形態1の半導体装置の製造方法について説明する。
【0012】
図1を参照して、互いに対向する一方表面1aおよび他方表面1bを有する基板1が準備される。基板1は、Si(シリコン)を主原料とした半導体ウェハから準備される。基板1の他方表面1b側には図12に示す半導体素子(たとえばIGBT)が形成される。基板1の一方表面1aおよび他方表面1bにはAlまたはAl−Si合金からなる金属層2が形成される。金属層2は電極および配線となる。なお、金属層2は、AlまたはCuを主成分として形成されてもよい。
【0013】
次に、基板1の他方表面1bにマスキングが行われる。マスキング方法としては、たとえば、マスキングテープ、あるいはフォトレジストによる方法が用いられる。本実施の形態では、基板1の他方表面1b側の金属層2上にレジスト3が形成されてマスキングが行われる。なお、基板1の他方表面1bの端部1d(端辺から内側に1〜2mmの領域)上の金属層2にはマスキングが行われない。
【0014】
次に、めっき処理が行われる。めっき処理として、まず図示しない脱脂処理が行われる。AlまたはAl−Si合金からなる金属層2から有機異物、無機異物などの表面汚染物が除去される。これにより、金属層2の液ぬれ性が確保される。
【0015】
続いて、図示しないエッチング処理が行われる。基板1の側面1cの保護を可能にするため、エッチング液にはSi酸化膜の除去が可能なフッ酸、酸性フッ化アンモンなどのフッ素系の液が使用される。たとえば、2質量%で酸性フッ化アンモンを含むエッチング液が使用される場合、液温20℃、処理時間1分でのエッチング処理により、AlまたはAl−Si合金からなる金属層2上の自然酸化皮膜および基板1の側面1cに形成されたSi酸化皮膜が効果的に除去される。
【0016】
次に、図2を参照して、ジンケート処理が行われる。ジンケート処理は、エッチング処理により清浄化されたAlまたはAl−Si合金の酸化を抑制するため、Zn(亜鉛)などを含むアルカリ性のジンケート処理液に浸漬することにより、AlまたはAl−Si合金にZnを付与する処理である。このジンケート処理により、基板1の一方表面1aおよび他方表面1bの端部1dに形成された金属層2上にZnめっき膜4が形成される。
【0017】
次に、導電層であるNiめっき膜7を形成するためのNiめっきが行なわれる。一般的に無電解Niめっきでは、前工程でAlまたはAl−Si合金上に付与されたZnが溶出し、同時にNiが還元析出することでZnがNiに置換される。その後、Niが自己触媒析出する。本実施の形態では、図3に示すようにAlまたはAl―Si合金からなる金属層2上に付与されたZnめっき膜4との酸化還元反応により無電解Niめっき膜7が基板1の一方表面1aおよび他方表面1bの端部1dに形成された金属層2上に一括して形成される。
【0018】
また、無電解Niめっき膜7が基板1の側面1cのSi上にも析出される。つまり、図3に示すように基板1の側面1cのSi上にNi核6が析出する。ひきつづきNiめっきが行なわれることにより、Ni核6が自己触媒反応により成長する。また無電解Niめっきの沿面成長性が利用されて、図4に示すように無電解Niめっき膜7が基板1の側面1cのSi上に析出される。これにより、基板1の側面1cがNiめっき膜7により覆われて保護される。以下に無電解Niめっき膜7が基板1の側面1cのSi上に析出される様子を詳しく説明する。
【0019】
無電解Niめっき液中において、Si酸化皮膜上にはNi核6は析出しない。そのため、Ni核6を基板1の側面1cのSi上に析出させるためには、まず上記のエッチングによるSi酸化皮膜の除去が必要である。
【0020】
そしてSi酸化皮膜が除去された基板1の側面1cのSi上にNi核6が形成される。Niの標準酸化還元電位は−0.25(V vs.NHE)であり、Siの標準酸化還元電位は−0.86(V vs.NHE)であるため、無電解Niめっき液中において、清浄なSi上にはNi核6が析出する。つまり、Ni2+イオンは、Siに比べ高い酸化還元電位を持つため、Si表面から電子を引き抜いて還元され、Ni核6となってSi表面に付着する。なお、Ni核6下のSiはNiの付着量に見合う電子を供給し、自らは酸化されてSiO2となる。そして、Ni核6の析出後、無電解Niめっきの特徴である自己触媒反応性、沿面成長性が利用されて、Si上、つまり基板1の側面1cがNiめっき膜7で覆われる。
【0021】
無電解ニッケルめっき液としては、従来から用いられているめっき液が使用され得るが、Niめっき膜7のP(リン)含有量が5〜9質量%となるめっき液(以下、中Pタイプのめっき液と称する)または10質量%以上となるめっき液(以下、高Pタイプのめっき液)が好ましい。これは析出したNiめっき膜7自体が圧縮応力を示すためである。つまり、中Pタイプのめっき液や高Pタイプのめっき液を使用するとNiめっき膜7自体が圧縮応力となるため、衝撃に対する耐性が向上する。一方、低Pタイプのめっき液(Niめっき膜7のP含有量が1〜3質量%程度であるめっき液)を使用した場合は析出したNiめっき膜7自体が引っ張り応力を示すため、基板1の側面1cを保護する効果が少ない。
【0022】
使用される無電解Niめっき液は、たとえば、金属塩として硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン酸ナトリウム、錯化剤として乳酸もしくはプロピオン酸、トリエタノールアミンなどを含みpHが4.5に調整された中Pタイプのめっき液などである。
【0023】
基板1の無電解Niめっき液への浸漬時間および無電解Niめっき液の液温は、所望の膜厚のNiめっき膜7を得ることができるように適宜設定され得る。たとえば、液温80℃、めっき時間20分と設定することにより、4μm程度のNiめっき膜7が得られ得る。
【0024】
次に、図5に示すように無電解Niめっき膜7上に導電層であるAuめっき膜8を形成するため、置換型無電解Auめっき処理が行われる。置換型無電解Auめっき液は、従来から用いられているシアン系や亜硫酸金系のAuめっき液が使用され得る。シアン系の置換型無電解Auめっき液としては、たとえばシアン化金カリウムやシアン化ナトリウムなどを含み、pHが6.8に調整された液が使用され得る。亜硫酸金系のめっき液としては、亜硫酸金ナトリウムなどを含み、pHが7.0に調整された液が使用され得る。
【0025】
基板1の置換型無電解Auめっき液への浸漬時間および置換型無電解Auめっき液の液温は、所望の膜厚の置換Auめっき膜を得ることができるように適宜設定され得る。たとえば、シアン系の置換型無電解Auめっき液が使用された場合、液温90℃、めっき時間10分と設定することにより、0.05μmの置換型Auめっき膜8が得られ得る。なお、めっき処理の各工程間には1分間の純水洗処理工程を含む。
【0026】
このようにして、図5に示す半導体ウェハが得られる。続いて、この半導体ウェハがダイシングにより分割されて、複数個の半導体チップが得られる。図9を参照して、この半導体チップ16は、基板1および金属層2を有する基板部材10と、基板1の一方表面1a側に形成されたNiめっき膜7およびAuめっき膜8を有するめっき膜11とを有している。
【0027】
上記において製造された半導体チップ16がブロック14にはんだ13によりはんだ付けされる。この際、半導体チップ16のめっき膜11がブロック14にはんだ13を介在して接合される。そして、基板部材10の他方表面1b側にはボンディングワイヤ15がボンディングされる。このようにして、図10に示す半導体装置が完成する。
【0028】
次に、本実施の形態の半導体装置の構成について説明する。
まず、図5を参照して、半導体ウェハの構成について説明する。基板1の一方表面1aおよび他方表面1b上にAlまたはAl−Si合金からなる金属層2が形成されている。基板の一方表面1a、側面1cおよび他方表面1bの端部1d上に形成された金属層2上にNiめっき膜7が形成されている。Niめっき膜7上にAuめっき膜8が形成されている。基板1の他方表面1b側には開口電極が形成されている。
【0029】
次に図10を参照して、半導体装置の構成を説明する。図5に示す半導体ウェハがダイシングされて基板部材10が形成されている。基板1の他方表面1b側の基板部材10にボンディングワイヤ15がボンディングされている。基板1の一方表面1a側のめっき膜11にはんだ13を介してブロック14が取り付けられている。P1部を拡大した図が図12である。
【0030】
図12を参照して、半導体チップ16には、たとえばIGBTが形成されている。このIGBTには、N−型ドリフト領域20と、P型ベース領域21と、N+型エミッタ領域22と、N+型バッファ層26と、P+型コレクタ層27と、ゲート電極24と、エミッタ電極である金属層2と、コレクタ電極である金属層2、Niめっき膜7およびAuめっき膜8とを有している。
【0031】
P+型コレクタ層27上に、N+型バッファ層26と、N−型のドリフト領域20とが順に形成されている。これらN型の半導体層の表面には、P型ベース領域21が形成されており、更に、このP型ベース領域21の表面には、N+型エミッタ領域22が形成されている。
【0032】
また、N+型エミッタ領域22の表面からドリフト領域20に達する部位にトレンチが形成されており、トレンチ内に絶縁膜23を介してゲート電極24が埋め込まれている。
【0033】
また、ゲート電極24上を覆うように層間絶縁膜25が形成されている。そして、N+型エミッタ領域22の表面の一部とP型ベース領域21の表面の一部に接続するようにエミッタ電極である金属層2が形成されている。
【0034】
またP+型コレクタ層27に接続するように、金属層2、Niめっき膜7およびAuめっき膜8よりなるコレクタ電極が形成されている。
【0035】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、基板1の一方表面1a側と他方表面1b側の端部1d上に形成された金属層2上に一括して導電層であるNiめっき膜7およびAuめっき膜8を形成することができる。これにより、一方表面1aと他方表面1bとの間で内部応力を相殺することができる。したがって、基板1の反りを抑制することができる。よって、ウェハ反りを低減することができる。
【0036】
また、基板1の側面1cにNiめっき膜7およびAuめっき膜8を形成することができるので、側面1cを保護することができる。また、側面1c方向の衝撃に対する耐性を向上することができる。したがって、側面1cを起点としたウェハ割れやウェハチッピングの抑制が可能となる。よって、歩留りを向上させることができる。
【0037】
また、めっき法により基板1の一方表面1a側、他方表面1b側の端部1dおよび側面1cにNiめっき膜7およびAuめっき膜8が形成されるので、成膜温度が100℃以下と低温であるため、熱応力によるウェハ反りを抑制することができる。
【0038】
また、蒸着法やスパッタ法では成膜が困難な基板1の側面1cに容易にNiめっき膜7およびAuめっき膜8を形成することができる。
【0039】
また、めっき法による成膜は蒸着、スパッタ法に比べ工数が少なく、材料歩留りも向上することができるため、成膜コストの削減が可能となる。
【0040】
本発明の実施の形態1の半導体装置によれば、基板1の一方表面1aと側面1cとに形成された導電層であるNiめっき膜7およびAuめっき膜8とを備えている。これにより、側面1cを起点としたウェハ割れやウェハチッピングの抑制が可能となる。よって、歩留りを向上させることができる。
【0041】
また、導電層であるNiめっき膜7およびAuめっき膜8が基板1の他方表面1bにも形成されている。これにより、一方表面1aと他方表面1bとの間で内部応力を相殺することができる。したがって、基板1の反りを抑制することができる。よって、ウェハ反りを低減することができる。
【0042】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の半導体装置の製造方法は、実施の形態1の半導体装置の製造方法と比較して、基板の側面にめっき膜を形成しない点が主に異なっている。
【0043】
最初に本発明の実施の形態2の半導体装置の製造方法について説明する。
図6は実施の形態1における半導体装置の製造方法の第5工程を示す図5に対応する図である。図6を参照して、実施の形態1と同様に、互いに対向する一方表面1aおよび他方表面1bを有する基板1が準備される。基板1の一方表面1aおよび他方表面1bにはAlまたはAl−Si合金からなる金属層2が形成される。
【0044】
次に、基板1の他方表面1bに形成された金属層2上にレジスト3が形成されてマスキングが行なわれる。本実施の形態では、基板1の他方表面1bの端部1d上の金属層2にもレジスト3などの有機保護膜で覆われてマスキングが行われる。
【0045】
次に、一方表面1aおよび他方表面1bに一括してめっき処理が行われる。めっき処理として、まず図示しない脱脂処理が行われる。AlまたはAl−Si合金からなる金属層2から有機異物、無機異物などの表面汚染物が除去され、液ぬれ性が確保される。
【0046】
続いて、図示しないエッチング処理が行われる。基板1の側面1cにはめっきが行われない。そのためエッチング液にはSi酸化膜が除去されない水酸化ナトリウムなどが用いられたアルカリ性の液が使用される。アルカリ性のエッチング液のため、基板1の側面1cのSi酸化膜を残したまま、AlまたはAl−Si合金からなる金属層2上の自然酸化膜だけが効果的に除去される。
【0047】
次に、ジンケート処理が行われる。ジンケート処理は、めっき膜の密着性と外観性を向上させるため、付与されたZnが硝酸浸漬により剥離され、再度ジンケート処理液に浸漬されてZnが付与されるダブルジンケート処理が行われてもよい。ジンケート処理後、導電層であるNiめっき膜7を形成するためのNiめっきが行われる。次に無電解Niめっき膜7上に導電層であるAuめっき膜8を形成するため、置換型無電解Auめっき処理が行われる。なお、めっき処理の各工程間には1分間の純水洗処理工程を含む。
【0048】
このようにして、図6に示す半導体ウェハが得られる。続いて、この半導体ウェハがダイシングにより分割されて、複数個の半導体チップが得られる。この半導体チップでは、図9に示す実施の形態1の半導体チップ16の他方表面1b側の金属層2上にNiめっき膜7およびAuめっき膜8を有するめっき膜11が形成されている。
【0049】
上記において製造された半導体チップ16がブロック14にはんだ13によりはんだ付けされる。この際、半導体チップ16のめっき膜11がブロック14にはんだ13を介在して接合される。そして、基板部材10の他方表面1b側にはリード12がはんだ13を介在して接合される。またボンディングワイヤ15が基板部材10の他方表面1b側にボンディングされる。このようにして、図11に示す半導体装置が完成する。
【0050】
次に、本実施の形態の半導体装置の構成について説明する。
まず、図6を参照して、半導体ウェハの構成について説明する。基板1の一方表面1aおよび他方表面1b上にAlまたはAl−Si合金からなる金属層2が形成されている。基板の一方表面1aおよび他方表面1bの中央部に形成された金属層2上にNiめっき膜7が形成されている。Niめっき膜7上にAuめっき膜8が形成されている。基板1の他方表面1b側には開口電極が形成されている。
【0051】
次に図11を参照して、半導体装置の構成を説明する。図6に示す半導体ウェハがダイシングされて基板部材10が形成されている。基板1の他方表面1b側の基板部材10上にはめっき膜11が形成されている。当該めっき膜11にボンディングワイヤ15がボンディングされており、またはんだ13を介してリード12が取り付けられている。基板1の一方表面1a側の基板部材10上にはめっき膜11が形成されている。当該めっき膜11にはんだ13を介してブロック14が取り付けられている。P2部を拡大した図が図13である。
【0052】
図13を参照して、半導体チップ16には、たとえばIGBTが形成されている。このIGBTには、N−型ドリフト領域20と、P型ベース領域21と、N+型エミッタ領域22と、N+型バッファ層26とP+型コレクタ層27と、ゲート電極24と、エミッタ電極である金属層2、Niめっき膜7およびAuめっき膜8と、コレクタ電極である金属層2、Niめっき膜7およびAuめっき膜8とを有している。
【0053】
つまり、本実施の形態では図9に示す実施の形態1の半導体チップ16の他方表面1b側の金属層2上にNiめっき膜7およびAuめっき膜8が形成されている。そして金属層2、Niめっき膜7およびAuめっき膜8がエミッタ電極を構成している。
【0054】
なお、本実施の形態のこれ以外の製造方法および構成は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態によれば、基板1の一方表面1a側および他方表面1b側に一括して同じ膜厚のNiめっき膜7およびAuめっき膜8が形成されるため、基板1の一方表面1aおよび他方表面1bの間でより内部応力を相殺することができる。これにより、ウェハ反り量を低減させることができる。
【0056】
また、めっき法により基板1の一方表面1a側および他方表面1b側にNiめっき膜7およびAuめっき膜8を形成するので、成膜温度が100℃以下と低温であるため、熱応力によるウェハ反りを抑制することができる。
【0057】
また、めっき法による成膜は蒸着、スパッタ法に比べ工数が少なく、材料歩留りも向上することができるため、成膜コストの削減が可能となる。
【0058】
本発明の実施の形態2の半導体装置によれば、導電層であるNiめっき膜7およびAuめっき膜8が基板1の他方表面1b側にも形成されている。これにより、一方表面1aと他方表面1bとの間で内部応力をより相殺することができる。これにより、ウェハ反り量を低減させることができる。
【0059】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の半導体装置の製造方法は、実施の形態1の半導体装置の製造方法と比較して、基板の他方表面の中央部にめっき膜を形成する点が主に異なっている。
【0060】
最初に本発明の実施の形態3の半導体装置の製造方法について説明する。
図7は実施の形態1における半導体装置の製造方法の第5工程を示す図5に対応する図である。図7を参照して、実施の形態1と同様に、互いに対向する一方表面1aおよび他方表面1bを有する基板1が準備される。基板1の一方表面1aおよび他方表面1bにはAlまたはAl−Si合金からなる金属層2が形成される。
【0061】
次に、基板1の他方表面1bに形成された金属層2上にレジスト3が形成されてマスキングが行なわれる。本実施の形態では、基板1の他方表面1bの端部1d上の金属層2は、レジスト3などの有機保護膜で覆われていない。
【0062】
次に、一方表面1a、側面1cおよび他方表面1bの端部1dに一括してめっき処理が行われる。めっき処理として、まず図示しない脱脂処理が行われる。AlまたはAl−Si合金からなる金属層2から有機異物、無機異物などの表面汚染物が除去され、液ぬれ性が確保される。
【0063】
続いて、図示しないエッチング処理が行われる。基板1の側面1cの保護を可能にするため、エッチング液にはSi酸化膜の除去が可能なフッ酸、酸性フッ化アンモンなどのフッ素系の液が使用される。これにより、AlまたはAl−Si合金からなる金属層2上の自然酸化皮膜および基板1の側面1cに形成されたSi酸化皮膜が効果的に除去される。
【0064】
次に、ジンケート処理が行われる。基板1の一方表面1aおよび他方表面1bの中央部に形成された金属層2上にZnめっき膜が形成される。
【0065】
次に、導電層であるNiめっき膜7を形成するためのNiめっきが行なわれる。本実施の形態では、AlまたはAl―Si合金からなる金属層2上に付与したZnめっき膜との酸化還元反応により無電解Niめっき膜7が基板1の一方表面1aおよび他方表面1bの中央部に形成された金属層2上に一括して形成される。また無電解Niめっき膜7が基板1の側面1cのSi上にも析出される。
【0066】
次に、図7に示すように無電解Niめっき膜7上に導電層であるAuめっき膜8を形成するため、置換型無電解Auめっき処理が行われる。なお、めっき処理の各工程間には1分間の純水洗処理工程を含む。
【0067】
このようにして、図7に示す半導体ウェハが得られる。続いて、この半導体ウェハがダイシングにより分割されて、複数個の半導体チップが得られる。この半導体チップは、実施の形態2と同様に、図9に示す実施の形態1の半導体チップ16の他方表面1b側の金属層2上にNiめっき膜7およびAuめっき膜8を有するめっき膜11が形成されている。
【0068】
本実施の形態の半導体装置は、実施の形態2の半導体装置と同様に構成されている。
なお、本実施の形態のこれ以外の製造方法および構成は上述した実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0069】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
以上により、本実施の形態3の半導体装置の製造方法および半導体装置によれば、実施の形態1および2と同様の作用効果を有する。
【0070】
また、本実施の形態によれば、Niめっき膜7およびAuめっき膜8が基板1の一方表面1a、側面1cおよび他方表面1bの中央部上の金属層2上に形成されているので、衝撃に対する耐性をより向上させることができる。ウェハの厚さ方向に対する耐性だけでなく、ウェハの側面方向に対する耐性を向上させることができる。これにより、ウェハ割れ、ウェハチッピングをより抑制することができる。よって歩留りをより向上させることができる。
【実施例】
【0071】
以下、本発明の実施例について詳細に述べる。
(実施例1)
本発明の実施例1について説明する。
【0072】
ウェハサイズ6インチ、基板厚さ100umの基板1を準備した。基板1の一方表面1aおよび他方表面1b上にはAl−Si合金からなる金属層2が形成されている。金属層2の他方表面1bには開口電極が形成されている。
【0073】
上記基板1に実施の形態1で説明した成膜方法に従い、一方表面1a、側面1cおよび他方表面1bの端部1d上の金属層2上に厚さ4umの無電解Niめっき膜7を形成した。そして水洗処理を1分間行った。その後、実施の形態1で説明した方法に従い、厚さ0.05umの無電解Auめっき膜8を形成した。このようにして、図5に示す半導体ウェハを製造した。
【0074】
(実施例2)
本発明の実施例2について説明する。
【0075】
実施例2では、上記基板1に実施の形態2で説明した成膜方法に従い、一方表面1aおよび他方表面1bの中央部上の金属層2上に無電解Niめっき膜7および無電解Auめっき膜8を形成した。その他は実施例1と同様の条件で試験を行った。このようにして、図6に示す半導体ウェハを製造した。
【0076】
(実施例3)
本発明の実施例3について説明する。
【0077】
実施例3では、上記基板1に実施の形態3で説明した成膜方法に従い、一方表面1a、側面1cおよび他方表面1bの中央部上の金属層2上に無電解Niめっき膜7および無電解Auめっき膜8を形成した。その他は実施例1と同様の条件で試験を行った。このようにして、図7に示す半導体ウェハを製造した。
【0078】
(比較例)
比較例1について説明する。
【0079】
実施例1〜3と同様にウェハサイズ6インチ、基板厚100umの基板1を準備した。基板1の一方表面1aおよび他方表面1b上にはAl−Si合金からなる金属層2が形成されている。金属層2の他方表面1bには開口電極が形成されている。
【0080】
図8に示すように基板1の一方表面1aにスパッタ法により実施例1〜3と同様にNi膜91(膜厚4μm)とAu膜92(膜厚0.05μm)を形成した。
【0081】
実施例との相違点はNi膜91およびAu膜92の成膜をスパッタ法で行い、側面1cにはNi膜91およびAu膜92が形成されていないことである。
【0082】
表1に本発明の実施例1〜3および比較例について、ウェハ反り量およびウェハチッピング枚数を示す。ウェハ反り量については、実施例1〜3および比較例のそれぞれの半導体ウェハについて、めっき処理後の半導体ウェハの反り量をレーザ変位計で測定した。ウェハチッピング枚数については、実施例1〜3および比較例のそれぞれの半導体ウェハについて、300mmウェハ出荷容器(信越ポリマー製)に半導体ウェハを5枚投入し、500mmの高さから当該出荷容器をコンクリート面に5回落下させて、チッピングまたは割れが発生したウェハ枚数を測定した。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示すように、比較例では本発明の実施例1〜3よりもウェハ反り量が大きくなった。また実施例1〜3よりもウェハのチッピングまたは割れが多く発生した。
【0085】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、めっき法により導電層が形成された半導体装置およびその製造方法に特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0087】
1 基板、2 金属層、3 レジスト、4 Znめっき膜、6 Ni核、7 Niめっき膜、8 Auめっき膜、10 半導体ウェハ、11 めっき膜、12 リード、13 はんだ、14 ブロック、15 ボンディングワイヤ、16 半導体チップ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一方表面および他方表面を有する基板を準備する工程と、
前記基板の前記一方表面および前記他方表面にめっき法により導電層を形成する工程とを備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記導電層は前記基板の側面にも形成される、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
側面と互いに対向する一方表面および他方表面とを有する基板を準備する工程と、
前記基板の前記一方表面および前記側面にめっき法により導電層を形成する工程とを備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
側面と互いに対向する一方表面および他方表面とを有する基板と、
前記基板の前記一方表面と前記側面とに形成された導電層とを備えた、半導体装置。
【請求項5】
前記導電層が前記基板の前記他方表面にも形成されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項1】
互いに対向する一方表面および他方表面を有する基板を準備する工程と、
前記基板の前記一方表面および前記他方表面にめっき法により導電層を形成する工程とを備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記導電層は前記基板の側面にも形成される、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
側面と互いに対向する一方表面および他方表面とを有する基板を準備する工程と、
前記基板の前記一方表面および前記側面にめっき法により導電層を形成する工程とを備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項4】
側面と互いに対向する一方表面および他方表面とを有する基板と、
前記基板の前記一方表面と前記側面とに形成された導電層とを備えた、半導体装置。
【請求項5】
前記導電層が前記基板の前記他方表面にも形成されている、請求項4に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−205991(P2010−205991A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50760(P2009−50760)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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