説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】半導体デバイスが実装基板上にフリップチップ接続されてなる半導体装置において、実装基板の電極端子間に多くの配線を通し得るようにする。
【解決手段】導電性バンプ2bを有する半導体デバイス2が、前記導電性バンプが回路基板1上の電極端子1bに接続される態様にて回路基板上に実装されている半導体装置において、電極端子1bのサイズ(幅または一辺の長さまたは径)が導電性バンプ2bの径以下(1/4程度)であり、かつ、導電性バンプは電極端子の下端までは濡らしていない。つまり、導電性バンプ2bは、回路基板1の絶縁性基板1aの表面には接していない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に半導体デバイスが回路基板上にフリップチップ方式にて搭載されている半導体装置とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高機能化に伴い、実装基板に搭載される半導体デバイスはその回路規模が拡大され、端子数は増加する傾向にある。このような半導体デバイスにはBGA(Ball Grid Array)やLGA(Land Grid Array)の外部端子が形成され、端子サイズ、端子のピッチを縮小することで、端子数を増すことが可能である。半導体デバイスの端子数が増加し同時に端子ピッチが縮小すると、これを搭載する回路基板上の電極端子のピッチも狭くなると共に電極端子間にも多くの配線を通すことが求められるようになる。この要望に応える実装技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
図7は、特許文献1にて提案された半導体装置の実装構造を示す断面図である。基板212上には、導電性トレース215、216が形成されている。ダイ202のバンプ205は、基板212上の導電性トレース215に接続されている。ダイ202と基板212との間には接着剤236が充填されている。
【0004】
この半導体装置は次のように製作される。導電性トレース215、216上の相互接続サイトが接着剤236にて被覆される。ダイ202は、そのアクティブ面が基板212上のダイ取付面に向くように配置され、ダイ202のバンプ205が、導電性トレース215に位置合わせされる。バンプ205が導電性トレース215に接触した後、さらに力が加えられ、バンプ205が変形される。接着剤236が硬化され、次いでバンプ205が溶融され、導電性トレース215とバンプ205との相互接続が完了する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−511103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された半導体装置では、バンプ202が基板212の表面に接するように形成されている。バンプが基板と接するように、また基板表面に拡がるように形成される場合、電極端子(トレース205)に近接して配線(トレース206)が走っているため、わずかな位置ずれによりショートが発生することになる。また、ショートが発生しないまでも隣接する配線との間にマイグレーションが発生し易くなる。このような事故を防止する手段としては次のような方策が考えられる。
(1)電極端子(トレース215)と配線(トレース216)との間隔を拡げる、
(2)電極端子の周囲をソルダーレジストにて被覆する、
(3)実装基板を多層配線に構成し、配線の一部を内層配線とする。
【0007】
近年、半導体デバイスの小型化と多機能化が進んだことにより、端子数の増加と端子ピッチの縮小が続いている。その結果、その半導体デバイスを実装する基板側では、電極端子間のピッチを縮小すると同時に電極端子間に通す配線の本数が増加する傾向にある。ところが、上述した第1の方策を採用する場合には、電極端子間に多くの配線を通すことができなくなる。また、ソルダーレジスト被膜を形成した場合、ソルダーレジストとバンプとが接触することになる。ソルダーレジストは、リフロー工程やアンダーフィル樹脂硬化工程時、あるいは実使用時の温度変化により、膨張・収縮を繰り返す。これが、バンプを押し上げる作用を働き、バンプの接続強度を劣化させることになる。また、第3の方策を採用する場合、実装基板の配線層数の増加はコストアップを招くとともに、現況の厳しい薄型化への要求に応えられないことになる。
【0008】
本発明の課題は、上述した従来技術の問題点を解決することであって、その目的は、内層配線の層数を増加させることなくまたソルダーレジストの被覆を形成することなく、電極端子間により多くの配線を通すことができるようにすることであり、これにより、コスト増加を招くことなく高密度実装を実現ならしめようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明によれば、導電性バンプを有する半導体デバイスが、前記導電性バンプが回路基板上の電極端子に接続される態様にて回路基板上に実装されている半導体装置において、前記電極端子のサイズ(幅または一辺の長さまたは径)が前記導電性バンプの径の1/3以下であることを特徴とする半導体装置、が提供される。
【0010】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、導電性バンプを有する半導体デバイスが、前記導電性バンプが回路基板上の電極端子に接続される態様にて回路基板上に実装されている半導体装置において、前記電極端子のサイズ(幅または一辺の長さまたは径)が前記導電性バンプの径以下であり、かつ、前記導電性バンプは前記回路基板の基板表面とは接触していないことを特徴とする半導体装置、が提供される。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、導電性バンプを有する半導体デバイスが、前記導電性バンプが回路基板上の電極端子に接続される態様にて回路基板上に実装されており、少なくとも一組の電極端子間には配線が敷設されている半導体装置において、前記電極端子の中心から該電極端子に隣接する前記配線までの距離が、前記導電性バンプの径の1/2以下であることを特徴とする半導体装置、が提供される。
【0012】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、導電性バンプを有する半導体デバイスが、前記導電性バンプが回路基板上の電極端子に接続される態様にて回路基板上に実装されている半導体装置において、前記導電性バンプの径が前記電極端子のサイズ(幅または一辺の長さまたは径)より大きく、かつ、少なくとも一組の前記電極端子間には最大で3本以上の配線が敷設されていることを特徴とする半導体装置、が提供される。
【0013】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、導電性バンプを有する半導体デバイスが、前記導電性バンプが回路基板上の電極端子に接続される態様にて回路基板上に実装されてなり、前記導電性バンプの径が前記電極端子のサイズ(幅または一辺の長さまたは径)より大きい半導体装置の製造方法であって、前記導電性バンプの融点以下の温度で前記半導体デバイスに荷重を加えて前記電極端子の上部の一部を前記導電性バンプ内に押し込む第1の工程と、前記半導体デバイスに荷重を加えることなく前記導電性バンプを溶融させる第2の工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法、が提供される。
【0014】
また、上記の目的を達成するため、本発明によれば、導電性バンプを有する半導体デバイスが、前記導電性バンプが回路基板上の電極端子に接続される態様にて回路基板上に実装されてなり、前記導電性バンプの径が前記電極端子のサイズ(幅または一辺の長さまたは径)より大きい半導体装置の製造方法であって、前記回路基板の前記半導体デバイスの搭載領域上を、荷重が加わっていないときは粘度が高く荷重が加わると粘度が上昇する樹脂にて被覆する第1の工程と、前記導電性バンプの融点以下の温度で前記半導体デバイスに荷重を加えて前記導電性バンプを前記電極端子に押圧する第2の工程と、前記半導体デバイスに荷重を加えることなく前記導電性バンプを溶融させる第3の工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法、が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の半導体装置によれば、導電性バンプは回路基板の基板面に接触していない。そのため、隣接する配線とのショートが発生しにくくなるとともにマイグレーション耐性も向上する。その結果、ソルダーレジストで配線を被覆することなく電極端子間に多くの配線を通すことが可能になる。そして、本発明によれば、配線層数の増加を招くことなく高密度実装が可能になるので、薄化・小型化した、信頼性の高い半導体装置を安価に提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための半導体装置の断面図。
【図2】本発明の実施例1の半導体装置の断面図。
【図3】本発明の実施例1の半導体装置の製造方法を説明する図。
【図4】本発明の実施例3の半導体装置の製造方法を説明する図。
【図5】本発明の実施例4の半導体装置の断面図。
【図6】本発明の実施例5の半導体装置の断面図。
【図7】従来例の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の実施の形態を形成するための半導体装置の断面図である。図1に示されるように、回路基板1上には半導体デバイス2がフリップチップ法にて搭載されている。回路基板1は、絶縁性基板1aとその上に形成された電極端子1bと配線1cとを有する。また半導体デバイス2は、電極パッド1aとその上に形成された導電性バンプ2bとを有する。そして、半導体デバイス2の導電性バンプ2bは回路基板1の電極端子1bの上部に接続されている。半導体デバイス2の電極パッド1aは、エリア配列されており、従って回路基板1の電極端子1bもエリア配列されている。半導体デバイス2と回路基板1との間には、樹脂注入・硬化により形成されたアンダーフィル3が充填されている。
【0018】
本発明による半導体装置の特徴の一つは、導電性バンプ2bが絶縁性基板1aの表面と接触していない点である。望ましくは、電極端子1bの高さの下から10%の部分は、導電性バンプ2bに被覆されていない。導電性バンプの材料や製造プロセスにもよるが、例えばアンダーフィル材料に粘性が加圧力依存性の樹脂フィルムを用いた場合などでは、導電性バンプは、電極端子1bの高さの上から60%以内の部分のみが導電性バンプと接触している。また、導電性バンプ2bは、当該導電性バンプ2bが接続されている電極端子1bに隣接する配線1c上にオーバハングしている。つまり、導電性バンプ2bの径をD、電極端子1bのサイズ(幅または一辺の長さまたは径)をS、電極端子1bと配線1cとの間の距離をGとするとき、
(1/2)D>(1/2)S+G
が成り立つ。また、電極端子1bのサイズは導電性バンプ2bの径の1/3以下である。すなわち、
S<(1/3)D
このように構成された本発明の半導体装置では、電極端子1b間に3本以上の配線を通すことが可能になる。
ここで、電極端子1bのサイズは、配線の幅と同じであってもよい。つまり、配線の端部を電極端子として用いそこに導電性バンプを接続するようにしてもよい。なお、上記で電極端子1bのサイズSとして「幅または一辺の長さまたは径」としてあるが、サイズを「幅」とするのは配線の端部をそのまま電極端子として用いる場合であり、「一辺の長さまたは径」とするのは電極端子が配線の端部に電極パッドとして配線より幅広に形成された場合のことである。
【0019】
本発明の半導体装置は、該略以下の工程を経て製造される。
(1)導電性バンプ2bを電極端子1bの上面に接触させる、
(2)導電性バンプの融点以下の温度にて押圧して導電性バンプ2b内に電極端子1bを押し込む、
(3)導電性バンプ2bを溶融させる。
[第1工程]
回路基板をボンディング装置の基板載置台上にセットした後、ツールで半導体デバイスを吸着・把持し回路基板上に半導体デバイスを案内する。位置合わせ後、半導体デバイスを降下させて、半導体デバイス2の導電性バンプ2bを回路基板1の電極端子1bの上面に接触させる。ツール、および/または、基板載置台にはヒータが内蔵されており、それらのヒータにより温度を制御しつつ各工程を行なう。
【0020】
[第2工程]
導電性バンプの溶融温度以下の温度に維持しつつ、ツールにより半導体デバイスに荷重を加えて、電極端子の上部を導電性バンプ2b内に押し込む。この荷重印加工程は、
(1)所定の時間、所定の荷重を印加する、
(2)ツールの沈み量を検出しつつ荷重印加を行ない、荷重印加を所定の沈み量に達したら荷重印加を停止する、
などにより行なう。なお、導電性バンプが金バンプのような低融点材料のものでない場合は、押し込み量は0かあるいは極わずかである。低融点材料でない導電性バンプを用いる場合には、荷重印加の際に超音波振動を印加するようにしてもよい。
【0021】
[第3工程]
第3工程では、ツールによる荷重印加を停止した状態において、所定の時間、温度を導電性バンプの溶融温度以上の温度に維持して、導電性バンプを溶融させ、電極端子に導電性バンプを接合させる。このとき、導電性バンプのはんだが電極端子の下端にまで濡れ広がらないように、加熱温度および加熱時間を制御する必要がある。その後、半導体デバイス下にアンダーフィルとなる樹脂を注入し、熱処理を行なって樹脂硬化を行なう。なお、ボンディング工程に先立って(第1工程に先立って)アンダーフィルとなる樹脂材料を塗布ないし配置しておくこともできる。この場合には、ボンディング工程終了後に必要に応じて樹脂硬化のみを行なう。
【実施例1】
【0022】
図2は、本発明の実施例1を示す断面図である。図2において、図1の部分と同等の部位には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。本実施例においては、回路基板1の電極端子1bの幅は、配線1cのそれと同じになっている。つまり、配線1cの端部が電極端子1bとなっている。また、本実施例においては、電極端子間のスペースに最大3本の配線が敷設されている。
【0023】
図2において、回路基板1の電極端子1bと配線の幅をW、配線高さをH、電極端子と配線間の距離をGとし、半導体デバイス2の導電性バンプ2bの直径をDとすると、本実施例においては、DはWの約4倍であり、また、2W+2Gより幾分大きくなっている。また、導電性バンプ2bは、電極端子とその(0.8〜1)Hの部分で接触・接合されている。導電性バンプ2bは、電極端子の(0〜0.1)Hの部分は濡らさないことが望ましく、少なくとも絶縁性基板1aとは接触しないことが望ましい。このようにすることにより、導電性バンプの径が電極端子のサイズの4倍程度であり、導電性バンプが電極端子を越えて隣接する配線上にオーバハングしていても、また配線上がソルダーレジストによって被覆されていなくとも、導電性バンプと電極端子を選択的に接続することが可能で、また導電性バンプと配線との絶縁性を確保することも可能となる。
【0024】
次に、図3を参照して実施例1の製造方法を説明する。回路基板は、サブトラクティブ工法またはセミアディティブ工法によって作製し、電極端子の表面にはNi/Auめっきを施した。この工法による回路基板は、絶縁性基板の表面から配線および電極端子が突出した構造となる。回路基板へ搭載する半導体デバイスとしては、はんだバンプが形成されたWL−CSP(ウエハレベル−チップサイズパッケージ)を用いた。
【0025】
図3の右側に、ツール位置、導電性バンプ温度およびWL−CSPを押し付けるツールの荷重の時間変化のグラフを示し、左側にWL−CSPの導電性バンプと回路基板上の電極端子の1組の時間経緯を断面で示した。
まず、ボンディング装置の基板載置台に、回路基板を載置し吸着する。そして、導電性バンプ(はんだバンプ)が形成されたWL−CSPをツールでピックアップする。ツールを導電性バンプと回路基板上の電極端子とが接触しない位置まで下降させる。また、ツール下降の開始後に、ツールの温度をはんだ溶融温度未満の設定温度1(約200℃)に向けて上昇させ始める。以上は図3の(1)のタイミング以前に実施される。
ツールを所定の位置まで低下させたら、導電性バンプが電極端子の真上に位置するように回路基板に対しWL−CSPをX−Y方向に移動させて位置合わせを行なう〔図3(a)→図3(b)〕。この位置合わせの過程中に、ツール温度は設定温度1に到達する。以上が図3の(1)〜(2)の期間に行なわれる。
【0026】
この後、ツール温度を設定温度1に維持したまま、図3(c)のように、回路基板に対しWL−CSPをZ方向に降下させ、回路基板の電極端子の先端と、WL−CSP上の導電性バンプとを接触させる〔図3の(3)〕。
次に、図3(d)のように、ツールからWL−CSPへ荷重を加えて、位置制御により所望の押し込み量だけ電極端子の先端を導電性バンプへ食い込ませる。このとき、はんだの変形部分に現れるはんだ活性面と、回路基板の電極端子とを接触させることができる。以上が図3の(3)〜(4)の期間に実施され、導電性バンプへの電極の押し込み量が、設定された押し込み量1に達したことをトリガーとして、この時点の荷重を保持する(荷重制御)と共に、ツール加熱温度上昇を開始する。
【0027】
次に、荷重を一定に保持しながら、ツール加熱により上昇した温度が、はんだ融点より低い設定温度2に達したことをトリガとして、荷重保持は終了し荷重を0とし、この時点のツール位置の保持(位置制御)を開始する〔図3の(5)〕。そして、ツール位置を保持しながら、ツールをさらに加熱し、加熱されたツールがはんだ融点を越える設定温度3に達したらその温度を設定時間1だけ保持した後、加熱を終了して冷却を開始する〔図3の(6)〕。導電性バンプの温度がはんだ融点より低い設定温度2に達したら、ツールによるWL−CSPの吸着を終了し、ツールをWL−CSPから離脱・上昇させる〔図3の(7)〕。ツールによるWL−CSPの吸着を終了するタイミングを決める温度は、必ずしも設定温度2である必要はなく、はんだ融点以下であればこれ以上であってもこれ以下であってもよい。
なお、図3によると、(4)のタイミング以降ツール位置が若干上昇し、(5)のタイミング以降荷重が僅かにかかるが、これらは絶縁性基板1aや電極端子1bの熱膨張による。
以上のようにしてフリップチップボンディングを行なった後、WL−CSPと回路基板との接続の脆弱性を改善するため、WL−CSPと基板との間に樹脂を充填し、これを硬化させてアンダーフィルを形成して半導体装置の作製工程を完了する。
【実施例2】
【0028】
実施例2は、電極端子の表面処理がNi/Pd/AuとなったことがNi/Auであった実施例1とは異なり、それ以外の点では実施例1と同じである。実施例2では、NiとAuの直接的な密着とは異なり、間にPdを介しているので、NiとAuとの密着性よりも、NiとPdならびにPdとAuとの密着性が優れているので、回路基板の電極端子の品質向上を実現でき、導電性バンプの電極端子へのぬれ性を安定化させ、製造時の歩留まりを高めることができる。
【実施例3】
【0029】
実施例3では、予め回路基板に樹脂シートを貼り付け、ボンディング工程終了後に樹脂硬化を行なってアンダーフィルを形成した。本実施例で用いる樹脂シートは、樹脂シートへの荷重によって、樹脂の粘度が変化するというもので、具体的には大きな荷重が加わると樹脂粘度が下がり、小さな荷重または荷重が加わっていないときは、粘度が上昇するというものである。このような特性を有する樹脂シートを用いると、実施例1のようなツールの位置制御が不要となり、荷重印加のまま位置制御を行なうことなく所望の構造を実現することが可能となる。
【0030】
図4は、実施例3のボンディング工程の説明図であって、図4の右側に、ツール位置、導電性バンプ温度およびWL−CSPを押し付けるツールの荷重の時間変化のグラフを示し、左側にWL−CSPの導電性バンプと回路基板上の電極端子の1組の時間経緯を断面にて示す。
まず、回路基板のWL−CSP搭載面へ上記した特徴を有する樹脂シートを貼り付ける。この工程は、樹脂の特性に合わせて、特に樹脂の硬化を出来るだけ進めないよう設定された加熱・加圧プロファイルで実施する。
次に、樹脂シートが貼り付けられた回路基板を、ボンディング装置の基板搭載台に載置し、吸着・固定する。ツールを導電性バンプと樹脂シートとが接触しない、位置合わせ位置まで下降させ、図4の(1)のタイミングで、位置合わせを開始する〔図4(a)〕。その間、ツールの温度を、使用する樹脂シートの粘度や硬化特性を考慮し、設定温度1に向けて上昇させる。この温度は、樹脂粘度を低粘度化させ、硬化を急激に促進させない温度(約200℃)である。
【0031】
ツール温度が設定温度1に達したらその温度に維持し、位置合わせが完了したら、そのタイミング〔図4の(2)〕で、ツールを降下させる。ツールを降下させ、図4の(3)の時点で、図4(b)に示すように、導電性バンプ先端が樹脂シートに接触し、続いて図4(c)に示すように、WL−CSPの基板面が樹脂シートに接触する。WL−CSPへの荷重印加は、導電性バンプの樹脂シートへの押し込みの始まる(3)のタイミングで始まる。次いで、図4の(4)の時点で、図4(d)に示すように、導電性バンプ先端が電極端子の表面に接触し、それ以降荷重はさらに増大する。(3)〜(4)の期間は、荷重はすべて樹脂シートに印加される。
【0032】
そのため樹脂シートの粘性は低下し、WL−CSPは導電性バンプが電極端子に接触する〔タイミング(4)〕まで低抵抗で降下する。接触した瞬間、荷重は主に電極へ加わり、樹脂への荷重は抜け樹脂シートの粘度は上昇し、これ以降導電性バンプと電極端子との位置関係はほぼ固定される。その後、導電性バンプを電極端子に押し付けつつ荷重を増加させ、荷重が設定荷重1に達したら〔(5)のタイミング〕、その荷重を維持しつつ、ツールの温度を上昇させ始める。
【0033】
次に、ツール温度が、はんだ融点より低い設定温度2に達したら〔(6)のタイミング〕、これをトリガとして、荷重保持は終了し荷重を0とする。そして、ツール加熱をされに続け、加熱されたツールがはんだ融点を越える設定温度3に達したらその温度を設定時間1だけ保持した後、加熱を終了して冷却を開始する〔(7)のタイミング〕。ツール温度がはんだ融点より低い設定温度2に達したら、ツールによるWL−CSPの吸着を終了し、ツールをWL−CSPから離脱・上昇させる〔(8)〕。その後、必要に応じて、樹脂シートを本硬化させるためにオーブン等に搬入し加熱する。
【実施例4】
【0034】
図5は、本発明の実施例4を示す断面図である。図5において、図1の部分と同等の部位には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。本実施例においては、アディティブ工法により作製した回路基板を用いた。絶縁性基板1aとして触媒入りの基板を用い、絶縁性基板1a上にめっきレジスト1dを回路パターンの反転パターン状に形成し、活性化処理、無電解めっきを行なって、めっきレジスト1dの膜厚程度の膜厚のCuパターンの電極端子1b、配線1cを形成した。そして、電極端子部にはNi/Auめっきを施した。本実施例に用いる回路基板では、Ni/Auめっきの膜厚(3〜10μm程度)分の膜厚がめっきレジストの表面から突出している。この突出膜厚は、サブトラクティブ工法やセミアディティブ工法で形成した場合の基板表面からの電極端子の突出膜厚(15〜20μm程度)に比べて小さい。そのため、電極端子を導電性バンプ内に食い込ませる工程〔図3の(3)〜(5)に相当する〕では、導電性バンプの進行がめっきレジストによって抵抗を受けることになる。よって、印加する荷重の最大値をサブトラクティブ工法やセミアディティブ工法で形成した回路基板の場合よりも高く設定しておく必要がある。そして、本実施例の場合、導電性バンプが電極端子脇のめっきレジストにめり込んだ状態で半導体デバイスの仮搭載が完了する。めっきレジストの材質は、絶縁性基板のそれに比較して柔軟であるため、比較的めり込ませ易い。
また、図7のアディティブ工法による回路基板の場合、回路基板の電極端子表面へNi/Auのめっき処理が施されていなくてもよい。サブトラクト工法やセミアディティブ工法を用いた回路基板では、電極端子にNi/Au処理を施していたが、この場合、Cu製の電極端子が3〜10μmのNi膜で被覆されるため、剛性が高められており、微細化された電極端子がボンディング時(導電性バンプによる押圧時)に変形するのが抑制されている。本実施例の場合、Cu製の電極端子がめっきレジストによって支えられているため、Ni/Auめっき層の補強がなくても電極端子を導電性バンプにめり込ませる際の変形は防止できる。Ni/Auめっき処理を省略した場合、この回路基板へ半導体デバイスを搭載する際、回路基板上の電極端子部へフラックスを塗布し、低荷重でもって導電性バンプを接触させ、溶融、再凝固させる。その後、フラックス洗浄を行ない、樹脂を注入・硬化させてアンダーフィルを形成する。
【実施例5】
【0035】
図6は、本発明の実施例5を示す断面図である。図6において、図1の部分と同等の部位には同一の参照符号を付し、重複する説明は適宜省略する。本実施例においては、半導体デバイス2としてベアチップを用い、その電極パッド2a上に導電性バンプとして金スタッドバンプ2cを形成した。すなわち、ベアチップをワイヤボンディング装置に搭載し、金細線を用いてベアチップの電極パッド上に金スタッドバンプを形成した。その後、金スタッドバンプ2cを有する半導体デバイスを回路基板上に搭載し、加熱・加圧しつつ超音波振動を印加してボンディングを行なった。本実施例においては、Au−Au接合であるため、信頼性の高い接合が実現できる。ボンディング工程終了後に、半導体デバイス下に樹脂を注入し、硬化してアンダーフィル3を形成した。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、BGAパッケージやLGAパッケージの電極と、携帯電話のメインボードや、モジュールに用いる小型基板の電極端子との接続に適用される。また、フリップチップパッケージのインターポーザ基板上の電極端子とベアチップの電極パッドとの接続に適用される。
【符号の説明】
【0037】
1 回路基板
1a 絶縁性基板
1b 電極端子
1c 配線
1d めっきレジスト
2 半導体デバイス
2a 電極パッド
2b 導電性バンプ
2c 金スタッドバンプ
3 アンダーフィル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性バンプを有する半導体デバイスが、前記導電性バンプが回路基板上の電極端子に接続される態様にて回路基板上に実装されている半導体装置において、前記電極端子のサイズ(幅または一辺の長さまたは径)が前記導電性バンプの径の1/3以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
導電性バンプを有する半導体デバイスが、前記導電性バンプが回路基板上の電極端子に接続される態様にて回路基板上に実装されている半導体装置において、前記電極端子のサイズ(幅または一辺の長さまたは径)が前記導電性バンプの径以下であり、かつ、前記導電性バンプは前記回路基板の基板表面とは接触していないことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記電極端子の高さの10%の部分は、前記導電性バンプとは接触していないことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電極端子の側面の少なくとも下部は、めっきレジストに接触していることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
導電性バンプを有する半導体デバイスが、前記導電性バンプが回路基板上の電極端子に接続される態様にて回路基板上に実装されており、少なくとも一組の電極端子間には配線が敷設されている半導体装置において、前記電極端子の中心から該電極端子に隣接する前記配線までの距離が、前記導電性バンプの径の1/2以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
導電性バンプを有する半導体デバイスが、前記導電性バンプが回路基板上の電極端子に接続される態様にて回路基板上に実装されている半導体装置において、前記導電性バンプの径が前記電極端子のサイズ(幅または一辺の長さまたは径)より大きく、かつ、少なくとも一組の前記電極端子間には最大で3本以上の配線が敷設されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
前記半導体デバイスと前記回路基板との間には、荷重により粘度の変化する樹脂が充填されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
導電性バンプを有する半導体デバイスが、前記導電性バンプが回路基板上の電極端子に接続される態様にて回路基板上に実装されてなり、前記導電性バンプの径が前記電極端子のサイズ(幅または一辺の長さまたは径)より大きい半導体装置の製造方法であって、前記導電性バンプの融点以下の温度で前記半導体デバイスに荷重を加えて前記電極端子の上部の一部を前記導電性バンプ内に押し込む第1の工程と、前記半導体デバイスに荷重を加えることなく前記導電性バンプを溶融させる第2の工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
導電性バンプを有する半導体デバイスが、前記導電性バンプが回路基板上の電極端子に接続される態様にて回路基板上に実装されてなり、前記導電性バンプの径が前記電極端子のサイズ(幅または一辺の長さまたは径)より大きい半導体装置の製造方法であって、前記回路基板の前記半導体デバイスの搭載領域上を、荷重が加わっていないときは粘度が高く荷重が加わると粘度が上昇する樹脂にて被覆する第1の工程と、前記導電性バンプの融点以下の温度で前記半導体デバイスに荷重を加えて前記導電性バンプを前記電極端子に押圧する第2の工程と、前記半導体デバイスに荷重を加えることなく前記導電性バンプを溶融させる第3の工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体デバイスに荷重を加える工程においては、温度を上昇させつつ荷重を加え前記導電性バンプの溶融温度以下の所定の温度に達したら前記半導体デバイスへの荷重を停止することを特徴とする請求項8または9に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−258116(P2010−258116A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104590(P2009−104590)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】