説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】トランジスタの電流駆動能力の低下を防止可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】本発明の半導体装置10は、半導体基板1の表層に第一の方向に延在するように形成された複数の活性領域1aと、前記活性領域1aの表層から深さ方向に形成されたn型不純物拡散層15と、前記複数の活性領域1aを横切り第二の方向に延在するように形成された複数の埋め込みゲート用の溝部13a,bと、ゲート絶縁膜25a,bを介して前記活性領域1a上を跨ぐように前記埋め込みゲート用の溝部13a,bに埋め込まれたゲート電極31およびダミーゲート電極32とを構成すると共に、前記半導体基板1の面上において前記第二の方向に延在する複数のワード配線層と、を具備し、前記ダミーゲート電極32の上面32cが、前記n型不純物拡散層15と前記活性領域1aとの界面よりも下方に位置していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの素子の急速な微細化に伴い、MOSトランジスタのゲート長も短くなりつつある。また、多数のMOSトランジスタをメモリセル領域に集積させることにより、隣接するMOSトランジスタ同士の距離も短くなる。また、ゲート長が短くなればなるほど、MOSトランジスタの短チャネル効果によるトランジスタ特性の悪化が問題となる。
【0003】
このようなMOSトランジスタの短チャネル効果を抑制する手段の一つとして、埋め込みゲート型のMOSトランジスタが提案されている。埋め込みゲート型のMOSトランジスタによれば、有効チャネル長(ゲート長)を物理的かつ十分に確保できるため、微細なDRAMが実現可能である。また、埋め込みゲート型のMOSトランジスタは高集積化に適した構成であるため、DRAMのセルトランジスタとしての利用も検討されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−180150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以下、従来の構成の埋め込みゲート型のMOSトランジスタ102を備えるDRAM(半導体装置)110の一例について、図27、図28を参照しながら説明する。
図27に示すように、半導体装置110のメモリセル領域は、絶縁物からなるライン状の素子分離領域104がX方向に延設されている。また、素子分離領域104により区画されたライン状の活性領域101aが所定の間隔で形成されている。
また、ワード線となるゲート電極131と素子分離用のダミーゲート電極(素子分離領域)132とが、活性領域101aを縦断する方向(図27におけるY方向)に所定の間隔で形成されている。なお、ゲート電極131とダミーゲート電極132は同時形成されたものである。
【0006】
図28に、図27に示すA−A’の位置に対応した埋め込みゲート型MOSトランジスタ102の断面図を示す。
図28に示すように、埋め込みゲート型MOSトランジスタ102は、p型の半導体基板101と、n型不純物拡散層115と、ゲート電極131から概略構成されている。
【0007】
n型不純物拡散層115は、隣接するゲート電極131同士の間の第一の領域111aの上部、および、ゲート電極131とダミーゲート電極(素子分離領域)132との間の第二の領域111bの上部に形成されている。
【0008】
また、ゲート電極131は、第一の溝部113aに第一のゲート絶縁膜125aを介して埋め込まれた第一の導電層で構成されている。
また、ダミーゲート電極(素子分離領域)132は、第二の溝部113bに第二のゲート絶縁膜125bを介して埋め込まれた第二の導電層で構成されている。
【0009】
また、ゲート電極131の上面131cと、ダミーゲート電極132の上面132cとは、半導体基板101の上面101bよりも下方(他面側)に位置している。また、ゲート電極131とダミーゲート電極132は同時に形成されたものであるため、上面131cと132cとは同じ高さで形成されている。
また、キャップ絶縁膜143が、第一の溝部113a内側の上面131c上と、第二の溝部113b内側の132c上を埋め込むように形成されている。また、図示しないビット線が、図示しない層間絶縁膜を介して、隣接するゲート電極131同士の間のn型不純物拡散層115表面に接続するように形成されている。また、ゲート電極131とダミーゲート電極132の間のn型不純物拡散層115表面には、図示しない情報蓄積用の容量素子が接続されている。
【0010】
メモリセルの動作時において、ゲート電極131に正バイアスを印加することにより、第一の溝部113aの半導体基板表面にチャネルが形成され、MOSトランジスタ102はオン状態となる。一方、ダミーゲート電極132には、第二の溝部113b周辺の半導体基板表面にチャネルが形成されないように、負バイアスが印加される。負バイアス印加時には、半導体基板表面にチャネルが形成されないので、ダミーゲート電極132を挟んで隣接する各々のn型不純物拡散層115が短絡することを抑止することができる。
したがって、ダミーゲート電極132は、ダミーゲート電極132を挟んで隣接するMOSトランジスタ102間の素子分離用の領域として機能する。
【0011】
上記構成のメモリセルでは、n型不純物拡散層115の下面115a、すなわち接合位置が、ゲート電極の上面131cおよびダミーゲート電極の上面132cよりも下方に位置している。そのため、n型不純物拡散層115側面とダミーゲート電極132側面とが、領域dの部分で水平方向に重なりを有するようにゲート絶縁膜125を介して隣接している。そのため、負バイアスが印加されるダミーゲート電極132では、領域dにおける電界強度が強くなり、接合リーク電流が発生する。そのため、容量素子に蓄積された電荷情報がリークしてしまい、DRAMの情報保持特性が劣化する問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。すなわち、本発明の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板の表層に形成された素子分離用の溝部に素子分離絶縁膜が埋め込まれることによって、該素子分離絶縁膜の間に第一の方向に延在するように形成された複数の活性領域と、前記活性領域の表層から深さ方向に形成された不純物拡散層と、前記半導体基板の表層に、前記複数の活性領域を横切り第二の方向に延在するように形成された複数の埋め込みゲート用の溝部と、前記埋め込みゲート用の溝部の内壁面を覆うゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜を介して前記活性領域上を跨ぐように前記埋め込みゲート用の溝部に埋め込まれたゲート電極およびダミーゲート電極とを構成すると共に、前記半導体基板の面上において前記第二の方向に延在する複数のワード配線層と、を具備し、前記ダミーゲート電極の上面が、前記不純物拡散層の接合位置よりも下方に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記の構成の半導体装置によれば、ダミーゲート電極の上面が、不純物拡散層の接合位置よりも下方に位置しているため、ダミーゲート電極の側面が不純物拡散層の側面に対し、水平方向に重なるように対向することがない。したがって、不純物拡散層とダミーゲート電極との間の電界強度の増加が抑えられる。このため、接合リーク電流の増加を抑制され、DRAMの情報保持特性の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置を示す模式断面図である。
【図2】図2は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置を示す模式平面図である。
【図3】図3は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図4】図4は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図5】図5は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図6】図6は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図7】図7は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図8】図8は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図9】図9は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図10】図10は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図11】図11は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図12】図12は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図13】図13は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図14】図14は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図15】図15は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図16】図16は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図17】図17は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図18】図18は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図19】図19は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図20】図20は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図21】図21は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図22】図22は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図23】図23は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図24】図24は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図25】図25は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図26】図26は、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の製造方法を説明するための模式工程図であり、図1中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【図27】図27は、従来の半導体装置を説明するための模式平面図である。
【図28】図28は、従来の半導体装置の製造方法を説明するための模式図であり、図27中に示すA−A’線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した一実施形態である半導体装置の一例について、図面を参照にして説明する。また、本実施形態では、例えば半導体装置としてDRAM(Dynamic Random Access Memory)に、本発明を適用した場合を例に挙げて説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される原料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0016】
まず、本発明を適用した一実施形態であるDRAM(半導体装置)10の構成について説明する。本実施形態の半導体装置10は、図1に示すメモリセル領域と、図示略の周辺回路領域とから構成されている。
以下、半導体装置10を構成するメモリセルについて、図1を用いて説明する。
【0017】
図1に示すように、半導体装置10のメモリセル領域内には、たとえばSTI素子分離溝を絶縁物で埋め込んで構成されるライン状の素子分離領域4がX方向に延設されている。また、素子分離領域4により区画されたライン状の複数の活性領域1aが所定の間隔で形成されている。本実施例では、製造技術の指標となる最小加工寸法をF値とすると、活性領域1aの幅および間隔共にF値で配設されている。
また、ゲート電極として機能するワード配線層(ゲート電極)31と素子分離機能を有するワード配線層(ダミーゲート電極)32とが、活性領域1aを横切る方向(図1におけるY方向)に等間隔で形成されている。ワード配線層31と32の幅および間隔も共にF値で配設される。
【0018】
また、同一の活性領域1a上に対で設けられた隣接する二本のゲート電極31は、対応する各々の埋め込みゲート型MOSトランジスタ(以下トランジスタと記す)のゲート電極として機能する。すなわち、活性領域1aは、間に対となる2本のゲート電極31が配置されるように、ダミーゲート電極32により個々の活性領域1aに分断されている。
【0019】
また、一つの活性領域1aには、第一のトランジスタTr1および第二のトランジスタTr2の、二つのトランジスタが設けられている。
第一のトランジスタTr1は、ドレイン領域となる第二のn型不純物拡散層15b、一方のゲート電極31、ソース領域となる第一のn型不純物拡散層15aで構成されている。また、第一のトランジスタTr1においては、ドレイン領域となる第二のn型不純物拡散層15bの左側にダミーゲート電極32が接して設けられている。
【0020】
また、第二のトランジスタTr2はソース領域となる第一のn型不純物拡散層15a、他方のゲート電極31、ドレイン領域となる第二のn型不純物拡散層15bで構成されている。また、第二のトランジスタTr2においては、ドレイン領域となる第二のn型不純物拡散層15bの右側にダミーゲート電極32が接するように設けられている。
【0021】
各々のトランジスタ(第一のトランジスタTr1、第二のトランジスタTr2)の第二のn型不純物拡散層15b上面には、容量素子となるキャパシタがそれぞれ接続される。ソース領域となる第一のn型不純物拡散層15aは、2本のゲート電極31に挟まれた活性領域1aに設けられ、各々のトランジスタに共通する拡散層となっている。ソース領域となる第一のn型不純物拡散層15a上面にはビット配線が接続される。
なお、上記のソース領域、ドレイン領域は便宜的に定めているものであって、動作状態によってはソース領域がドレイン領域となり、ドレイン領域がソース領域となり得るものである。
【0022】
上記の構成において、ダミーゲート電極32が所定の電位に維持されることで、隣接するトランジスタ同士が電位的に分離される。例えば、図1の左側に位置するダミーゲート電極32の場合で見ると、ダミーゲート電極32の左側に位置する第二のトランジスタTr2と右側に位置する第一のトランジスタTr1の各々のドレイン拡散層15bが短絡することをダミーゲート電極32が抑止している。
また、トランジスタがNチャネル型トランジスタである場合にはダミーゲート電極32に負のバイアス電圧が印加される。また、トランジスタがPチャネル型トランジスタである場合には、ダミーゲート電極32に正のバイアス電圧が印加されることとなる。
【0023】
また、図1中においては図示を省略するが、後述する複数のビット線51が、ゲート電極31及びダミーゲート電極32と直交する方向(図1中に示すX方向)に、所定の間隔で形成されている。
【0024】
また、メモリセル領域全体には、複数のメモリセルが形成されており、個々のメモリセルには、それぞれキャパシタ素子(図示略)が設けられている。
なお、本実施形態の半導体装置10は、一つのメモリセルが、X方向に3F、Y方向に2Fとなる領域に配置されるので、面積が3F×2F=6F2で構成されている。Fは前述の最小加工寸法である。
【0025】
次に、本実施形態の半導体装置10を構成するメモリセルについて説明する。
図2に示すように、本実施形態のメモリセルは、トランジスタ2(第一のトランジスタTr1、第二のトランジスタTr2)、キャパシタ8および配線層90が形成された積層構造体である。以下、それぞれの構成について説明する。
【0026】
トランジスタ2は、半導体基板1における活性領域1aの表層から深さ方向に形成されたn型不純物拡散層15と、ゲート電極31と、を備えている。
【0027】
半導体基板1は、たとえばP型の単結晶シリコンからなり、図1に示す素子分離領域4により区画された活性領域1aが構成されている。
また、複数の活性領域1aを横切り、第二の方向(図1におけるY方向)に延在するように形成された、埋め込みゲート用の第一の溝部13aと第二の溝部13bとが、所定の間隔(F値)で半導体基板1の表層に形成されている。第一の溝部13aは、トランジスタ2のゲート電極として動作するゲート電極31用の溝部である。また、第二の溝部13bは、ダミーゲート電極32用の溝部である。また、本実施形態では、第一の溝部13aの2本置きに、1本の第二の溝部13bが形成されている。
【0028】
また、活性領域1aは、第一の溝部13aと第二の溝部13bによって等間隔(F値)に区画されている。
また、活性領域1aのうち、隣接する第一の溝部13a同士の間の領域を第一の領域11aとし、隣接する第一の溝部13aと第二の溝部13bとの間の領域を第二の領域11bとする。
【0029】
n型不純物拡散層15は、活性領域1aの表層から深さ方向に、例えば1.0×1013/cm程度の濃度のリン等のN型不純物(イオン)が注入された領域であり、トランジスタ2のソース領域またはドレイン領域のいずれか一方として機能する。
【0030】
ここで、n型不純物拡散層15の底辺を接合位置15cとする。p型の不純物を有する半導体基板1に、n型の不純物を導入してn型不純物拡散層15を形成するので、n型不純物拡散層15の底辺、すなわち半導体基板1内部側のp型不純物領域との境界はp/n接合位置に相当する。
【0031】
また、隣接する第一の溝部13a同士の間に設けられたn型不純物拡散層15を第一のn型不純物拡散層15a(図1のソース領域)とし、隣接する第一の溝部13aと第二の溝部13bとの間に設けられたn型不純物拡散層15を第二のn型不純物拡散層15b(図1のドレイン領域)とする。
【0032】
ゲート電極31は、トランジスタ2のゲート電極として動作する。また、本実施形態では、対で設けられた2本の隣接するゲート電極31は、対応する各々のトランジスタ2のゲート電極として動作する。
また、ゲート電極31は、第一の溝部13aに、第一のゲート絶縁膜25aを介して埋め込まれた第一の導電層31Aから構成されている。
【0033】
図2に示されている上記のトランジスタ2は、図1に示した平面図で見ると、第一のトランジスタTr1と第二のトランジスタTr2を含む構成となっている。また、第一のトランジスタTr1は、第二のn型不純物拡散層15bからなるドレイン領域と、ゲート電極31と、第一のn型不純物拡散層15aからなるソース領域と、で構成されている。
また、第二のトランジスタTr2は、第一のn型不純物拡散層15aからなるソース領域と、ゲート電極31と、第二のn型不純物拡散層15bからなるドレイン領域と、で構成されている。また、第一のn型不純物拡散層15aからなるソース領域は、第一のトランジスタTr1と第二のトランジスタTr2とに共通する構成となっている。
【0034】
第一のゲート絶縁膜25aは、たとえば膜厚4nmのシリコン酸化膜からなり、活性領域1aとなる半導体基板1に形成された第一の溝部13aの内面を覆うように形成されている。また、第一の導電層31Aは、たとえば窒化チタン膜からなる第一の導電層材料31aと、タングステン膜からなる第二の導電層材料31bとで構成されている。
第一の導電層材料31aは、ゲート絶縁膜25aの内面の一部を覆うように設けられる。また、第二の導電層材料31bは、第一の導電層材料31aで構成される凹部を埋め込むように設けられている。したがって、第一の導電層材料31aの上面と第二の導電層材料31bの上面とは面一の状態となり、第一の導電層31A(ゲート電極31)の上面31cを構成している。また、第一のゲート絶縁膜25aに接する、窒化チタン膜からなる第一の導電層材料31aはトランジスタの閾値電圧を制御する機能を有している。また、タングステン膜からなる第二の導電層材料31bは、ワード配線層31(ゲート電極31)の低抵抗化の役割を有している。
【0035】
また、ダミーゲート電極32は、隣接するトランジスタ2同士を電気的に分離する機能を有している。また、ダミーゲート電極32は、半導体基板1に形成された第二の溝部13bに第二のゲート絶縁膜25bを介して埋め込まれた第二の導電層32Aから構成されている。なお、第二のゲート絶縁膜25bは、第一のゲート絶縁膜25aと同時に同じ材料から形成されたものであり、第二の溝部13bの内面を覆うように形成されている。
また、第二の導電層32Aは、第一の導電層31Aと同様に、第一の導電層材料31aと第二の導電層材料31bとで構成されている。また、第一の導電層材料31aは、ゲート絶縁膜25bの内面の一部を覆うように設けられる。また、第二の導電層材料31bは、第一の導電層材料31aで構成される凹部を埋め込むように設けられている。したがって、第一の導電層材料31aの上面と第二の導電層材料31bの上面とは面一の状態となり、第二の導電層32A(ダミーゲート電極32)の上面32cを構成している。
【0036】
なお、本実施形態における第一の導電層31Aおよび第二の導電層32Aは金属膜の多層膜により構成されているが、このような金属膜(導電層材料)としては、窒化チタン膜やタングステン膜に限定されない。ゲート絶縁膜と反応しないバリヤ性を有し、トランジスタの閾値電圧の制御が可能であれば第一の導電層材料31aとして用いることができる。また、配線の低抵抗化に寄与できれば第二の導電層材料31bとして用いることができる。
【0037】
また、ゲート電極31の上面31cと、ダミーダミーゲート電極32の上面32cは、半導体基板1の上面1bよりも下方に形成されている。
【0038】
また、ダミーゲート電極32の上面32cは、n型不純物拡散層15の接合位置15cよりも下方に位置し、上面32cと接合位置15cは長さeだけ、深さ方向に離間されている。このような構成により、ダミーゲート電極32の側面が、n型不純物拡散層15の側面と、水平方向に重なりを有するように第二のゲート絶縁膜25bを介して対向することがない。また、上面32cは、接合位置15cよりも少なくとも20nm下方に形成されていることが好ましい。
【0039】
また、ゲート電極31の上面31cは、基板1の上面1bから深さ方向において、接合位置15cと略同一の深さに位置していれば良く、接合位置15cよりも上方に位置していることが特に好ましい。上面31cが接合位置15cよりも上方に位置していることにより、ゲート電極31の側面は、領域dの部分で水平方向に重なりを有するように第一のゲート絶縁膜25aを介して不純物拡散層15の側面に対向する。
【0040】
このような構成により、ゲート電極31に閾値以上の電圧が印加された場合、活性領域1aのうち、第一のゲート絶縁膜25aを介してゲート電極31と接する領域に形成されるチャネルが確実に不純物拡散層15と接続される。このため、チャネル抵抗の増大を抑止してオン電流の低下を回避することができる。一方、隣接トランジスタの素子分離のために負バイアスが印加されるダミーゲート電極32では、ダミーゲート電極32とn型不純物拡散層15との間における電界強度の増大を抑制できる。このため、接合リーク電流の増加を防止できる。
【0041】
また、キャップ絶縁膜43が、第一の溝部13a内に埋め込まれたゲート電極31の上面31c上と、第二の溝部13b内に埋め込まれたダミーゲート電極32の上面32c上とを埋め込むように形成されている。また、キャップ絶縁膜43は半導体基板1の上面1bから突出するように形成されている。
【0042】
ビット線51は、トランジスタ2のソース領域(第一のn型不純物拡散層15a)と接続するコンタクトプラグの機能を兼ねており、ゲート電極31同士の間のn型不純物拡散層15(第一のn型不純物拡散層15a)上に接続されている。
また、ビット線51は、たとえばN型の不純物であるリンが1×1020/cmの濃度でドープされた膜厚80nmのポリシリコン膜からなる第一のビット線材料47と、膜厚5nm程度の窒化タングステン(WN)膜と、膜厚70nm程度のタングステン(W)膜からなる第二のビット線材料49と、から構成されている。
【0043】
また、ビット線51およびキャップ絶縁膜43の上面側を覆うように、たとえば膜厚10nm程度の窒化シリコン(Si)膜53が形成されている。
また、400nm程度の膜厚の第1層間絶縁膜55が窒化シリコン膜53の上面側を覆うように形成されている。また、コンタクトホール57Aが、第1層間絶縁膜55および窒化シリコン膜53を貫通するように形成されている。
【0044】
コンタクトホール57Aを導体で埋め込んで構成されるコンタクトプラグ58は、トランジスタ2のドレイン領域(ゲート電極31とダミーゲート電極32との間のn型不純物拡散層15)である第二のn型不純物拡散層15bに接続されている。
また、本実施形態におけるコンタクトプラグ58は、たとえばリンを含有するポリシリコンで構成されるが、コンタクトプラグ58の材料はポリシリコンに限るものではなく、タングステンなどの金属系材料を用いても構わない。コンタクトプラグ58は、金属系材料で構成されている方が抵抗を下げることができるため、DRAMの高速動作に有利となる利点がある。なお、コンタクトプラグ58の材料として金属系材料を用いる場合には、コンタクトプラグ58に接続される第二のn型不純物拡散層15bの上面に、シリサイド層と窒化金属層を積層したバリヤ層を設ける必要がある。
【0045】
容量コンタクトパッド82は、たとえば窒化タングステン(WN)膜及びタングステン膜の積層膜からなり、コンタクトプラグ58の上面側に形成されている。
また、窒化シリコン膜からなる第2層間絶縁膜83が、容量コンタクトパッド82および第1層間絶縁膜55の上面側を覆うように形成されている。また、たとえばシリコン酸化膜からなる第3層間絶縁膜84が、第2層間絶縁膜83の上面側を覆うように形成されている。
【0046】
キャパシタ8は、例えば窒化チタンからなる第一電極86と、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)膜からなる容量絶縁膜87と、例えば窒化チタンからなる第二電極88から形成されている。また、キャパシタ8は、第3層間絶縁膜84および第2層間絶縁膜83を貫通し、容量コンタクトパッド82に接続するように形成されている。このような構成により、キャパシタ8は、容量コンタクトパッド82およびコンタクトプラグ58を介して第二のn型不純物拡散層15bに接続される。
【0047】
なお、本実施形態のキャパシタ8は、第一電極86の内壁のみを電極として利用するシリンダー型の構成を一例として記載しているが、キャパシタ8の構成はこれに限定されるものではなく、他の構成であってもかまわない。例えば、第一電極86の内壁及び外壁を電極として利用するクラウン型キャパシタとしてもかまわない。
【0048】
配線層90は、キャパシタ8の上方に第3層間絶縁膜89を介して設けられている。また、配線層90は、たとえばアルミニウム(Al)膜や銅(Cu)膜から構成されている。本実施形態では、1層配線構造の配線層90を一例として記載しているが、配線層90の構成は1層配線構造に限定されるものではない。配線層90は例えば、複数の配線層及び層間絶縁膜からなる多層配線構造でもかまわない。また、保護膜91が、配線層90および第3層間絶縁膜89を覆うように形成されている。
【0049】
本実施形態の半導体装置10によれば、ゲート電極31に閾値以上の電圧を印加することにより、第一の溝13a内側の半導体基板1表面にチャネルが形成される。また、第一の溝13a内側の半導体基板1表面にチャネルが形成された状態で、ビット線51を介してトランジスタ2のソース領域(第一のn型不純物拡散層15a)に電圧をかけることにより、第一のn型不純物拡散層15aから放出される電荷が、ドレイン領域(第二のn型不純物拡散層15b)へと流れ、トランジスタ2がオン状態となる。また、第二のn型不純物拡散層15bに流れた電荷が、コンタクトプラグ58を介してキャパシタ8に充電され、メモリセルに情報が記憶される。また、ダミーゲート電極32が、ダミーゲート電極32を挟んで隣接するトランジスタ2同士を電気的に分離している。
【0050】
本実施形態の半導体装置10によれば、ダミーゲート電極32の上面32cが、n型不純物拡散層15の接合位置15cよりも、半導体基板1の上面1bから深さ方向において下方に位置している。このため、ダミーゲート電極32の側面が、n型不純物拡散層15の側面に対して、水平方向に重なりを有するように対向することがない。このため、ダミーゲート電極32とn型不純物拡散層15との間における電界強度の増大が抑えられ、接合リーク電流の増加を抑制できる。この結果、キャパシタ8に蓄積された電荷情報のリークを防止してDRAMの情報保持特性を向上させることができる。
【0051】
ダミーゲート電極32の上面32cは、n型不純物拡散層15の接合位置15cよりも少なくとも20nm、半導体基板1の上面1bから深さ方向において下方に形成されていることが望ましい。上面32cが接合位置15cよりも少なくとも20nm下方に形成されていることにより、ダミーゲート電極32の埋め込み形成時の加工ばらつきや、加工表面に生じる凹凸に起因して上面32cの位置が変動しても、接合リーク電流の増大に影響を及ぼさないように充分なマージンを持たせることができる。
また、ダミーゲート電極32の上面32cの位置は、ダミーゲート電極32が埋め込まれる第二の溝13bの深さからゲート絶縁膜25bの厚さ分を除いた深さより浅いことが必要である。ダミーゲート電極32の上面32cの位置が、第二の溝13bの深さからゲート絶縁膜25bの厚さ分を除いた深さよりも深い場合は、ダミーゲート電極32を形成する空間が存在しないことになり、素子分離ができなくなる。
【0052】
また、ゲート電極31の上面31cが、基板1の上面1bから深さ方向においてn型不純物拡散層15の接合位置15cよりも上方に位置している。このような構成により、ゲート電極31に閾値以上の電圧が印加された場合、活性領域1aのうち、第一のゲート絶縁膜25aを介してゲート電極31と接する領域に形成されるチャネルが、確実に不純物拡散層15と接続される。このため、チャネル抵抗の増大を抑止してオン電流の低下を回避することができる。
以上により、ダミーゲート電極32で素子分離を達成しつつ、接合リーク電流の増大を抑制してDRAMの情報保持特性の劣化を防ぐことができる半導体装置10が提供される。
【0053】
[半導体装置の製造方法]
続いて、上記構成を有するDRAM(半導体装置)10の製造方法について、図1、図3〜図26を参照しながら説明する。ここで、図3〜図26は、本実施形態のDRAMの製造方法を説明するための図であり、各図における断面は、それぞれ、図1中に示すA−A’線に沿った断面を示している。
【0054】
本実施形態の半導体装置10の製造方法は、トランジスタ2形成工程と、ビット線51形成工程と、キャパシタ8形成工程と、配線層90形成工程と、から概略構成されている。
【0055】
はじめに、活性領域1aを区画するための素子分離領域4(図1参照)を形成する。まず、詳細な図示を省略するが、p型の単結晶シリコンからなる半導体基板1上に、熱酸化法により厚さ5nmのパッドシリコン酸化膜(SiO)を形成する。次いで、シリコン酸化膜上に、マスクとして用いる厚さ50nmの窒化シリコン膜(Si)をCVD法により堆積する。
次いで、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いて、これら窒化シリコン膜、シリコン酸化膜及び半導体基板1を順次異方性ドライエッチングする。このエッチングにより、半導体基板1に、活性領域1aを区画するための素子分離溝(トレンチ)が形成される。このとき、素子分離溝の深さは200nmとなるようにエッチングする。このとき、半導体基板1の活性領域1aの表面は、マスク用の窒化シリコン膜およびパッドシリコン酸化膜で覆われている。
【0056】
次いで、例えばCVD法によって、素子分離溝を充填するように、全面にシリコン酸化膜を堆積する。次いで前記シリコン酸化膜を、CMP法によりマスク用のシリコン窒化膜表面が露出するまで研磨除去する。次いで、マスク用のシリコン窒化膜およびパッドシリコン酸化膜を除去する。以上により、図1に示すように、X方向に延在する素子分離領域4が形成される。また、素子分離領域4で区画された活性領域1aが形成される。
【0057】
次いで、図3に示すように、活性領域1aの上面1bを覆うように、熱酸化法により例えば10nm程度の膜厚のパッドシリコン酸化膜12を形成する。
次いで、図4に示すように、n型不純物拡散層15を活性領域1aの表層部分に形成する。まず、パッドシリコン酸化膜12をマスクとして、リン等のn型不純物を、例えば1.0×1013/cm程度のドーズ量で20keVの加速エネルギーで活性領域1aにイオン注入する。次いで、前記n型不純物を熱処理で拡散させることにより、活性領域1aにn型不純物拡散層15を形成する。このn型不純物拡散層15は、トランジスタ2のソース領域またはドレイン領域のいずれか一方として機能する。また、n型不純物拡散層15の底辺はp/n接合を形成している。この接合が形成されている位置を接合位置15cとする。本実施例では、接合位置15cの深さは、活性領域1aの上面1bから50nmの位置となっている。
【0058】
次に、図5に示すように、CVD法により、70nm程度の膜厚の窒化シリコン膜17を、パッドシリコン酸化膜12を覆うように形成する。次に、窒化シリコン膜17を覆うように、たとえばカーボン膜(アモルファス・カーボン膜)21をCVD法により形成する。
次いで、図6に示すように、リソグラフィ法とドライエッチング法により、カーボン膜21にレジストパターンを転写する。
【0059】
次いで、図6に示すように、パターン形成されたカーボン膜21をマスクとして、シリコン窒化膜17、パッドシリコン酸化膜12を連続的に異方性ドライエッチングする。これにより、活性領域1aの半導体基板1の上面が露出する。その後、マスクとして用いたカーボン膜21を除去してシリコン窒化膜17の上面を露出させる。
【0060】
次いで、図7に示すように、シリコン窒化膜17をマスクとして、半導体基板1上面を異方性ドライエッチングする。このエッチングにより、第一の溝部13aおよび第二の溝部13bが形成される。第一の溝部13aおよび第二の溝部13bは、活性領域1aと交差する所定の方向(例えば、図1中のY方向)に延在するライン状のパターンとして形成される。このとき、第一の溝部13aおよび第二の溝部13bの底面13cの深さは、素子分離領域4の底面よりも浅く形成する。ここでは、半導体基板1の上面から150nmの深さとなるようにエッチング条件を調整した。
【0061】
また、第一の溝部13aと第二の溝部13bとを形成することにより、隣接する第一の溝部13a同士の間に第一の領域11aが形成され、隣接する第一の溝部13aと第二の溝部13bとの間に第二の領域11bが形成される。
【0062】
次に、図8に示すように、ISSG(In Situ Steam Generation)熱酸化法により、第一の溝部13aおよび第二の溝部13bの内面に露出している半導体基板1表面(シリコン表面)と、シリコン窒化膜17の表面とに、4nmの膜厚のシリコン酸化膜を形成する。これにより、第一の溝部13aおよび第二の溝部13bの内面に露出しているシリコン表面に、シリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜25が形成される。
【0063】
次に、図9に示すように、第一の溝部13aおよび第二の溝部13bの内面を含む全面を覆うように、厚さ10nmの窒化チタン膜からなる第一の導電層材料31aをCVD法により堆積させる。さらに、第一の溝部13aおよび第二の溝部13bの内部を埋め込むように、全面に、厚さ50nmのタングステン膜からからなる第二の導電層材料31bをCVD法により堆積させる。
【0064】
次いで、図10に示すように、第二の導電材料31bおよび第一の導電材料31aを塩素系のガスプラズマを用いたドライエッチング法によりエッチバックし、第二の導電材料31bおよび第一の導電材料31aの各々の上面が第一の溝部13aおよび第二の溝部13bの内部に位置するように掘り下げる。第二の導電材料31bおよび第一の導電材料31aは、いずれもメタル系材料であるので、エッチング速度が同じとなるドライエッチング条件を設定することができる。
【0065】
このエッチングにより、エッチバックされた第二の導電材料31bおよび第一の導電材料31aの各々の上面の位置は面一の状態となる。また、このエッチバックにおいては、第二の導電材料31bを異方性エッチングにより所定の位置まで掘り下げ、その後、溝内面に露出した第一の導電材料31aを等方性のエッチングを用いて除去することもできる。
なお、上記のエッチバックにおいては、第一の導電材料31aの上面および第二の導電材料31bの上面で構成される上面31cおよび上面32cが、半導体基板1の上面1bから深さ方向において下方に位置し、かつ、不純物拡散層15の接合位置15cよりも上方に位置するように、エッチング条件を調整する。
【0066】
上記エッチバックにより、第一の溝部13aにゲート絶縁膜25を介して埋め込まれた第一の導電層31A(第一の導電層材料31a、第二の導電層材料31b)からなるゲート電極31と、第二の溝部13bにゲート絶縁膜25を介して埋め込まれた第二の導電層32A(第一の導電層材料31a、第二の導電層材料31b)からなる、素子分離用のダミーゲート電極32が形成される。
【0067】
このとき、第一の導電層31Aと第二の導電層32Aとは同じ工程で形成されるため、第一の導電層31Aの上面31cと、第二の導電層32Aの上面32cは、基板1の上面1bから深さ方向において同じ高さとなる。また、上面31cおよび上面32cは接合位置15cよりも深さ方向において上方に形成されているため、n型不純物拡散層15の側面と、第一の導電層31Aおよび第二の導電層32Aの側面とは、領域dの部分でゲート絶縁膜25を介して水平方向に重なりを有している。
【0068】
次いで、図11に示すように、第1犠牲マスク41と第2犠牲マスク42とを形成する。
まず、非晶質カーボン膜からなる第1犠牲マスク41を、第一の溝部13aと第二の溝部13bを埋め込むようにCVD法により全面に形成する。次いで、第1犠牲マスク41上を覆うように、厚さ5nmのシリコン窒化膜からなる第2犠牲マスク42を形成する。次いで、リソグラフィとドライエッチング法を用いて第二の溝部13bの上方に位置する第2犠牲マスク42を選択的に除去し、第1犠牲マスク41上面を露出させる。
【0069】
次いで、図12に示すように、第2犠牲マスク42をマスクにして、非晶質カーボン膜からなる第1犠牲マスク41をエッチングし、第二の導電層32Aの上面32cを露出させる。カーボン膜は炭素のみで構成されている材料であるので、ドライエッチングで常用されているフッ素や塩素などのエッチングガスを必要とせず、酸素のみでエッチングできる特性を有する。このエッチングにおいては、上記特性を利用し、酸素ガスプラズマを用いて非晶質カーボン膜だけをエッチングできるので、シリコン窒化膜からなる第2犠牲マスク42やゲート絶縁膜25は全くエッチングされることがない。したがって、他の構造物に対して形状変化を及ぼすことなく、第二の導電層32Aの上面32cを露出させることができる。
【0070】
次いで、図13に示すように、ダミーゲート電極32を成す第二の導電層32Aの上面32cを、n型不純物拡散層15の接合位置15cよりも下方になるまでエッチバックする。
このとき、上面32cが、接合位置15cよりも深さ方向において20nm以上下方
になるように、エッチバックする。
次いで、燐酸を用いたウエットエッチングによりシリコン窒化膜からなる第2犠牲マスク42を除去し、さらに、酸素ガスプラズマを用いたドライエッチングにより残存している第1犠牲マスク41を除去する。これにより、接合位置15cよりも高い位置にあるゲート電極31の上面31cと、接合位置15cよりも低い位置にあるダミーゲート電極32の上面32cとが露出する。
【0071】
次いで、図14に示すように、キャップ絶縁膜43を形成する。まず、第一の溝部13a内と第二の溝部13b内を埋め込むように、たとえば140nm程度の膜厚のプラズマ酸化膜を形成する。次いで、CMP法により、窒化シリコン膜17が露出するまでプラズマ酸化膜を表面研磨する。この研磨により、第一の溝部13a内と第二の溝部13b内を埋め込む構成のキャップ絶縁膜43が形成される。また、シリコン窒化膜17の上面に形成されていたゲート絶縁膜25は除去される。これにより、第一の溝部13aの内面には、ゲート絶縁膜25aが残存し、第二の溝部13bの内面には、ゲート絶縁膜25bが残存する。
【0072】
次いで、図15に示すように、全面に厚さ10nmのシリコン酸化膜60を堆積した後、リソグラフィとドライエッチング法を用いて、ソース領域となる第一のn型不純物拡散層15aの上方に位置するシリコン窒化膜17の表面が露出するように、シリコン酸化膜60に開口を形成する。次いで、リソグラフィで用いた図示しないレジストパターンを除去した後、燐酸を用いたウエットエッチングにより、シリコン酸化膜60をマスクとして表面が露出しているシリコン窒化膜17を選択的に除去する。これにより、パッドシリコン酸化膜12の表面が露出する。
【0073】
次いで、図16に示すように、表面が露出したパッドシリコン酸化膜12をウエットエッチングし、ソース領域となる第一のn型不純物拡散層15aの上面を露出させる。この時、マスクとして用いたシリコン酸化膜60と、キャップ絶縁膜43の側壁に位置するゲート絶縁膜25aの一部も除去される。
【0074】
次いで、図17に示すように、ビット線51を形成する。まず、例えば、N型の不純物であるリンが1×1020/cmの濃度でドープされた膜厚80nmのポリシリコン膜からなる第一のビット線材料47を、第一の領域11a上部を埋め込み、かつ、キャップ絶縁膜43の表面を覆うように形成する。
次いで、第一のビット線材料47を覆うように、例えば、膜厚5nm程度の窒化タングステン(WN)膜と、膜厚70nm程度のタングステン(W)膜とを順次堆積させ、W/WN膜からなる第二のビット線材料49を形成する。
【0075】
次に、第一のビット線材料47および第二のビット線材料49からなる積層膜をライン形状にパターニングする。このパターニングにより、第一のn型不純物拡散層15aと接続するビット線51が形成される。また、ビット線51が形成されることにより、トランジスタ2が形成される。
なお、本実施形態におけるビット線51は、ゲート電極31およびダミーゲート電極32と交差する方向(図1中におけるX方向)に延在する構成となる。ビット線51のパターンは直線形状とすることができるが、直線形状に限定されず、例えば、一部を湾曲させた形状としてもよい。
【0076】
次に、図18に示すように、例えば、LP−CVD法を用いて、キャップ絶縁膜43およびビット線51を覆うように、たとえば膜厚10nmの窒化シリコン(Si)膜53を形成する。
【0077】
次に、図19に示すように、窒化シリコン膜53を覆うように、たとえば、B(ボロン)及びP(リン)を含有する400nmの膜厚のSiO膜からなる第1層間絶縁膜55を、CVD法により形成する。さらに、CMP法を用いて第1層間絶縁膜55の表面を平坦化する。
【0078】
次に、図20に示すように、コンタクトホール57Aを形成する。まず、従来公知のリソグラフィ技術を用いて、コンタクトホールパターンを形成する。次いで、前記コンタクトホールパターンをマスクとして異方性ドライエッチングを行い、第1層間絶縁膜55をエッチングする。これにより、第二のn型不純物拡散層15bを露出する構成のコンタクトホール57Aを形成する。
【0079】
次に、図21に示すように、コンタクトプラグ58を形成する。まず、LP−CVD法を用いて、たとえばリンを1×1020/cmの濃度でドープしたポリシリコンを、コンタクトホール57A内を埋め込み、かつ、第1層間絶縁膜55を覆うように形成する。次いでCMP法により、第1層間絶縁膜55上のポリシリコンを研磨除去する。これにより、第二のn型不純物拡散層15bに接続する構成のコンタクトプラグ58が形成される。なお、コンタクトプラグ58の材料はポリシリコンに限られず、タングステンなどの金属系材料を用いて同様に形成することができる。金属系材料で構成した方が抵抗を下げることができるので、DRAMの高速動作に有利となる利点がある。なお、コンタクトプラグ58の材料として金属系材料を用いる場合には、接続される第二のn型不純物拡散層15bの上面に、シリサイド層と窒化金属層を積層したバリヤ層を設ける必要がある。
【0080】
次に、図22に示すように、容量コンタクトパッド82を形成する。まず、第1層間絶縁膜55およびコンタクトプラグ58の上面側を覆うように、窒化タングステン(WN)及びタングステン(W)を順次積層する。次いで、前記WN及びW膜をパターニングする。これにより、コンタクトプラグ58に接続する構成の容量コンタクトパッド82が形成される。このとき、容量コンタクトパッド82は、図1に示すメモリセル領域に均等な間隔で形成する必要がある。このため、容量コンタクトパッド82は、コンタクトプラグ58の直上からずらした位置に形成することが望ましい。
【0081】
次に、図23に示すように、第1層間絶縁膜55および容量コンタクトパッド82を覆うように、例えば、窒化シリコン膜からなる第2層間絶縁膜83を形成する。次いで、第2層間絶縁膜83を覆うように、例えばシリコン酸化膜からなる第3層間絶縁膜84を形成する。
【0082】
次に、図24に示すように、キャパシタの下部電極となる第一電極86を形成する。まず、第2層間絶縁膜83および第1層間絶縁膜55を貫通するコンタクトホール85を形成し、容量コンタクトパッド82の上面側を露出させる。次に、コンタクトホール85の内壁面と容量コンタクトパッド82の上面側を覆うように、例えば窒化チタンからなる第一電極86を形成する。このような構成により、第一電極86の底部は、容量コンタクトパッド82の上面に接続される。
【0083】
次に、図25に示すように、キャパシタ8を形成する。まず、第一電極86の内壁面および第3層間絶縁膜84上を覆うように容量絶縁膜87を形成する。容量絶縁膜87としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)膜、酸化アルミニウム(Al)膜、酸化ハフニウム(HfO)膜及びこれらの積層膜を用いることができる。次に、例えば、窒化チタンを用いて、容量絶縁膜87表面および第3層間絶縁膜84上を覆うように、キャパシタの上部電極となる、窒化チタンからなる第2電極88を形成する。これにより、容量コンタクトパッド82と接続する構成のキャパシタ8が形成される。
【0084】
次に、図26に示すように、配線層90を形成する。まず、キャパシタ8を覆うように第3層間絶縁膜89を形成する。次いで、第3層間絶縁膜89の上面側に、例えばアルミニウム(Al)や銅(Cu)からなる配線層90を形成する。次いで、配線層90を覆うように保護膜91を形成する。以上により、本実施形態の半導体装置10が製造される。
【0085】
本実施形態の半導体装置10の製造方法によれば、ダミーゲート電極32を成す第二の導電層32Aの上面32cを、深さ方向において、n型不純物拡散層15の接合位置15cよりも下方になるようにエッチバックする。このエッチバックにより、第二の導電層32Aの上面32cを、接合位置15cから深さ方向において下方に離間できる。このため、ダミーゲート電極32の側面が、第二のゲート絶縁膜25bを介してn型不純物拡散層15の側面に水平方向の重なりを有して対向することを防ぐことができる。このため、ダミーゲート電極32とn型不純物拡散層15との間における電界強度の増加を抑えることができる。このため、n型不純物拡散層15の接合リーク電流の増大を抑えることができる。このため、結果的にDRAMの情報保持特性を向上させることができる。
【0086】
また、上面32cを接合位置15cよりも深さ方向において20nm以上下方になるまでエッチバックすることにより、上面32cがエッチングされる量にばらつきがあっても、上面32cがn型不純物拡散層15の接合位置15cよりも上方に形成されることを防ぐことができる。
【0087】
また、ゲート電極31の上面31cを、n型不純物拡散層15の接合位置15cよりも深さ方向において上方に形成することにより、チャネル抵抗の増大を防止してトランジスタ2の電流駆動能力を向上できる。以上により、半導体装置10の微細化に起因する情報保持特性の劣化を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0088】
1…半導体基板、1a…活性領域、2…トランジスタ、4…素子分離領域、10…半導体装置、11a…第一の領域、11b…第二の領域、13a…第一の溝部、13b…第二の溝部13…n型不純物拡散層、15c…接合位置、25a…第一のゲート絶縁膜、25b…第二のゲート絶縁膜、31…ゲート電極、31A…第一の導電層、31c…上面、32…ダミーゲート電極、32A…第二の導電層、32c…上面、Tr1…第一のトランジスタ、Tr2…第二のトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板の表層に形成された素子分離用の溝部に素子分離絶縁膜が埋め込まれることによって、該素子分離絶縁膜の間に第一の方向に延在するように形成された複数の活性領域と、
前記活性領域の表層から深さ方向に形成された不純物拡散層と、
前記半導体基板の表層に、前記複数の活性領域を横切り第二の方向に延在するように形成された複数の埋め込みゲート用の溝部と、
前記埋め込みゲート用の溝部の内壁面を覆うゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜を介して前記活性領域上を跨ぐように前記埋め込みゲート用の溝部に埋め込まれたゲート電極およびダミーゲート電極とを構成すると共に、前記半導体基板の面上において前記第二の方向に延在する複数のワード配線層と、を具備し、
前記ダミーゲート電極の上面が、前記不純物拡散層と前記活性領域との界面よりも下方に位置していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ゲート電極の上面が、前記不純物拡散層と前記活性領域との界面よりも上方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ダミーゲート電極の上面が、前記不純物拡散層と前記活性領域との界面よりも20nm以上、下方に位置することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項4】
対で設けられた隣接する二本のゲート電極と、前記対のゲート電極に第一の方向において隣接する一本のダミーゲート電極とが等間隔で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
隣接する前記ゲート電極同士の間の不純物拡散領域に接続するように形成されたビット線と、
前記ゲート電極と前記ダミーゲート電極との間の不純物拡散領域に接続するように形成されたコンタクトプラグと、を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
半導体基板の表層に形成した素子分離用の溝部に素子分離絶縁膜を埋め込むことによって、該素子分離絶縁膜の間に第一の方向に延在する複数の活性領域を並べて形成する工程と、
前記活性領域の表層にイオンを注入することによって前記活性領域の表層から深さ方向に不純物拡散層を形成する工程と、
前記半導体基板の表層に、前記複数の活性領域を横切るように第二の方向に延在する複数の埋め込みゲート用の溝部を並べて形成する工程と、
前記埋め込みゲート用の溝部の内壁面を覆うようにゲート絶縁膜を形成する工程と、
前記ゲート絶縁膜を介して前記活性領域上を跨ぐように前記埋め込みゲート用の溝部に埋め込まれたゲート電極およびダミーゲート電極とを構成すると共に、前記半導体基板の面上において前記第二の方向に延在する複数のワード配線層を並べて形成する工程と、
前記ダミーゲート電極の上面が前記不純物拡散層と前記活性領域との界面よりも下方に位置するまで前記ダミーゲート電極をエッチバックする工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ゲート電極の上面を、前記不純物拡散層と前記活性領域との界面よりも上方に位置するように前記ワード配線層の上面の位置および/または前記不純物拡散層と前記活性領域との界面の位置を調製することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ダミーゲート電極の上面を、前記不純物拡散層と前記活性領域との界面よりも20nm以上下方に位置するように、前記エッチバックの量および/または前記不純物拡散層と前記活性領域との界面の位置を調製することを特徴とする請求項6または請求項7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
対で設けられた隣接する二本のゲート電極用の溝部と、前記対のゲート電極用の溝部に第一の方向において隣接する一本のダミーゲート電極用の溝部とを同時に等間隔に並べて形成し、
前記ゲート電極用の溝部にゲート電極を構成するワード配線層と、前記ダミーゲート電極用の溝部にダミーゲート電極を構成するワード配線層とを同時に埋め込み形成することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
隣接する前記ゲート電極同士の間の不純物拡散領域に接続するようにビット線を形成する工程と、
前記ゲート電極と前記ダミーゲート電極との間の不純物拡散領域に接続するようにコンタクトプラグを形成する工程と、を有することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−84619(P2012−84619A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227908(P2010−227908)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】