説明

半導体装置の作製方法

【課題】薄膜を形成する前に清浄な被形成面にする薄膜形成方法を提供する。
【解決手段】フッ化物ガスを用いたガスプラズマエッチングによって、プラズマCVD装置の反応容器のクリーニングを行った後、反応室内にフッ化物ガスが残留した状態で、反応容器に基板を搬入し、薄膜形成用のプロセスガスを反応室に導入し、基板上に薄膜を形成する。プロセスガスがプラズマ励起することでフッ素ラジカルが生成し、フッ素ラジカルにより薄膜を形成する面、薄膜が形成される面の有機物や酸化物が除去される。エッチング反応の進行によりフッ素ラジカルの濃度は減少し、やがて、薄膜形成用プロセスガスに反応容器内の雰囲気が置換されて、堆積反応が開始し、基板の被形成面に膜が成長する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PECVD法(プラズマ気相成長法 Plasma Enhanced Chamical Vaper Deposition)で薄膜を形成する技術に関する。
【0002】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路及び電子機器は全て半導体装置である。
【背景技術】
【0003】
LSIや、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELディスプレイ)などに用いられる集積回路を製造するには、半導体、絶縁材料または導電性材料でなる薄膜を基板上に形成する成膜工程、この形成された薄膜を上にフォトレジストでなるレジストマスクを形成するフォトリソグラフィー工程、このレジストマスクを用いて薄膜を所定の形状に加工するためのエッチング工程が繰り返される。
【0004】
薄膜を形成する方法の1つとして、プラズマ気相成長法(PECVD法)が知られている。PECVD法とは、ガス状の原料にマイクロ波や高周波を印加することでプラズマ状態にし、原料をラジカルや化学的に活性なイオンに分解し、これらラジカルやイオンの表面反応により基板上に膜を形成する方法である。
【0005】
そのため、プラズマCVD装置で膜を形成すると、基板表面だけでなく、反応容器の内壁、電極、基板ホルダーなどにも原料が反応した生成物が堆積する。この堆積物はパーティクルやダストの原因となる。そこで、このような堆積物を除去するクリーニング工程が定期的に行われる。反応容器のクリーニング方法の代表的な1つとして、プラズマガスエッチングによる方法がある。反応容器内にNFなどのフッ化物ガスを導入し、プラズマ化することで、フッ素ラジカルを生成し、堆積物をエッチングして除去する方法である。フッ素ラジカルと反応して生成されたフッ化物は蒸気圧が高いため、排気系によって反応容器から除去される。
【0006】
クリーニング工程を行うことで、クリーニングガスとして用いてフッ化物ガスが、反応容器の内壁、電極などに吸着する。フッ化物ガスは反応性が非常に高く、クリーニング工程の次に成膜工程を行った場合、残留したフッ化物ガスが膜に混入などすることにより、形成される膜の特性に影響を与えるおそれがあると考えられている。そこで、クリーニングガスに用いたフッ化物ガスの影響を抑える方法が検討されている(特許文献1〜3参照)。
【0007】
例えば、特許文献1(特開2001−345278号公報)では、堆積室をNFガスでクリーニングした後、堆積室に基板を設置しない状態で引き続きHガス100%雰囲気でのグロー放電とHガスで希釈したSiHガス雰囲気でのグロー放電とによる連続放電を複数回行うことで、堆積室内に膜を堆積することで、残留するNFの影響を抑えている。
【0008】
また、特許文献2(特開平8−241865号公報)では、成膜工程で非晶質シリコンの薄膜を形成する場合の、反応容器内からクリーニングガスを除去する後処理方法について記載されている。後処理工程は、反応容器内からクリーニングガスを除去する工程であり、次のように行っている。
【0009】
反応容器をNFガスでクリーニングした後、引き続き、モノシラン(SiH)と水素の混合ガスを後処理用ガスとして反応容器に導入している。後処理用ガスは非晶質シリコン膜を形成するために使用するプロセスガスと同じガスである。この後処理用ガスをプラズマ状態とすることで、残留したNFも分解され、Fを生成する。FはSiHなどの化学種と反応して、SiFなどの蒸気圧の高い揮発物となって、排気系から反応容器から除去される。後処理工程を終了した後、反応容器に基板を搬入し、モノシラン(SiH)と水素の混合ガスを反応容器に導入して、非晶質シリコン膜を形成する。
【0010】
また、特許文献3(特開平7−201738号公報)では、NFなどのフッ化物ガスによって反応容器をクリーニングした後、還元プロセスによって、フッ化物ガスを反応容器内から除去している。還元プロセスは次のような工程である。反応容器に基板を搬入してSi−F結合をSi−H結合に変換できる還元ガスを反応容器に導入し、高周波によって還元ガスを活性化させて、残留するフッ化物と反応させることにより、反応生成物を作り出している。反応容器を減圧することで、この反応生成物が反応容器から除去される。還元ガスには、Si−F結合をSi−H結合に変換できるNHが用いられている。
【0011】
また、特許文献3では、還元プロセスに引き続いて、反応容器にSiH、NH、Nを導入して、窒化シリコン膜を形成する窒化膜の成膜プロセスを行っている。
【特許文献1】特開2001−345278号公報
【特許文献2】特開平8−241865号公報
【特許文献3】特開平7−201738号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
PECVD装置の反応容器のクリーニングに用いられるフッ化物ガス又はフッ素ガスを、PECVD法による薄膜の形成に用いた新しい成膜方法を提供することを課題の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一つは、フッ化物ガスを用いたガスプラズマエッチングによって、プラズマCVD装置(PECVD装置)の反応容器のクリーニングを行った後、反応容器内にフッ化物ガスが残留した状態で、薄膜形成用のプロセスガスを反応容器に導入し、このプロセスガスに電界を印加することでプラズマを発生させ、このプラズマに含まれる活性種の化学反応により基板の被形成面に薄膜を形成する工程を含む半導体装置の作製方法である。フッ化物ガスの代わりにフッ素ガスを用いることもできる。
【0014】
薄膜形成用プロセスガスのプラズマの生成と同時に、残留したフッ化物ガスも分解され、フッ素ラジカルが生成する。このフッ素ラジカルにより基板の被形成面がエッチングされる。このエッチングでは、蒸気圧の高い揮発性のフッ化物が生成され、このフッ化物は反応容器を排気することにより反応容器内から除去される。
【0015】
このフッ素ラジカルのエッチングにより、薄膜の被形成面の有機物や自然酸化物などが除去され、被形成面が清浄な状態とされる。
【0016】
フッ素ラジカルは反応性が高いため、反応容器内にフッ素ラジカルが存在している間は、薄膜形成用プロセスガスによる膜の堆積反応ではなく、フッ素ラジカルによるエッチング反応が進行する。エッチング反応の進行によりフッ素ラジカルの濃度は減少し、やがて、薄膜形成用プロセスガスに反応容器内の雰囲気が置換され、堆積反応が開始し、基板の被形成面に膜が成長する。
【0017】
堆積反応が起こる前に、フッ素ラジカルにより被形成面をエッチングすることで、被形成面に有機物など汚染物質が付着していた場合、その汚染物を除去することができる。また、基板に予め薄膜が形成されている場合、その薄膜を極薄く1.0nm未満の範囲でエッチングした後、膜を形成することが可能になる。
【0018】
フッ化物ガス又はフッ素ガスを反応容器内に導入する方法には、反応容器をフッ化物ガスによりクリーニングして、反応容器内にフッ化物ガス又はフッ素ガスを残留させる方法の他に、基板を反応容器に設置した後に、反応容器内にフッ化物ガス又はフッ素ガスを導入する方法を用いることができる。
【0019】
また、本発明において、薄膜形成用プロセスガスを導入する前に、窒素ガスを導入し、窒素ガスをプラズマ化することで、反応容器内に残留しているフッ化物ガス又はフッ素ガス(Fガス)をプラズマ化することもできる。窒素ガスを導入しながら、プラズマを生成することで、フッ素ラジカルにより被形成面のエッチング反応が進行し、やがて、フッ化物ガス濃度が減少する。
【0020】
しかる後、反応容器内への窒素ガスの導入を停止し、反応容器に薄膜形成用プロセスガスを導入して、PECVD法により基板の被形成面に薄膜を形成する。
【0021】
窒素ガスの他、希ガスガス(He、Ar、Kr、Xe等)が好ましい。窒素ガス及びハロゲンガスのプラズマに含まれるラジカルは、フッ素ラジカルと反応して、揮発性のフッ化物を生成しにくいため、フッ素ラジカルの殆どを基板の被形成面において、反応させることができる。
【0022】
フッ化物とは、組成にフッ素(F)を含む化合物である。本発明において、フッ化物ガスには、OF2、ClF3、NF、FNONOSF6、SFNOSOFなどから選ばれたガスを用いることができる。また、フッ化物ガスには、炭素を組成に含む以下のようなフッ素化合物のガスを用いることができる。パーフルオロカーボン(PFC:Perfluorocarbon)、ハイドロフルオロカーボン(HFC:Hydrofluorocarbon)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC :Hydrochlorofluorocarbon)、エーテル系フッ化物、カルボニル系フッ化物、エステル系フッ化物。
【0023】
パーフルオロカーボンとしては、CF、C、C、C10、C、C、C、Cなどを用いることができる。またハイドロフルオロカーボンとしては、CFCHF、CHFCHF、CFCHFCF、CFCFCHF、CHFCFCHFなどを用いることができる。エーテル系フッ化物としては、CHFOCHF、CFOCHFCFのようなハイドロフルオロエーテル(HFE:Hydrofluoroether)、CFOCF=CF、COCF=CF、CO、C、CO、Cなどを用いることができる。カルボニル系フッ化物としては、CFCOCFなどを用いることができる。エステル系フッ化物としては、CFCOOCHF、CFCOOCなどを用いることができる。
【0024】
さらに、炭素を組成に含むフッ素化合物のガスとしては、COF、COF、CFCOF、CF(COF)、CCOFCFOF、CFI、CFOOCF、CFOOOCF、CFCN、CFNOなどから選ばれたガスを用いることもできる。
【発明の効果】
【0025】
薄膜形成用プロセスガスからPECVD法によって膜を形成する前に、フッ素ラジカルにより被形成面をエッチングすることで、被形成面を清浄な状態にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明を説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0027】
まず、本発明の実施の形態で使用されるPECVD装置について説明する。本発明では、容量結合型のPECVD装置が好ましく用いられる。図5は、容量結合型PECVD装置の構成例を示す図面である。
【0028】
図5に示すPECVD装置は、膜を成膜するための反応容器10を有する。反応容器10の電位は接地電位に維持されている。反応容器10内には、上部電極11、下部電極12が設けられている。上部電極11と下部電極12は対向して配置されている。上部電極11には、プロセスガスが導入される配管13が連結されている。上部電極11は、配管13と連結された空洞が形成され、また、下部電極12との対向する面には、この空洞と連結した複数の細孔が形成されている。このような構造によりプロセスガスが配管13、上部電極11を通じて、反応容器10内に供給されるようになっている。
【0029】
上部電極11は配管13を介して高周波発振電源14が電気的に接続されており、高周波発振電源14から出力された高周波電位が上部電極11に印加される。一方、下部電極12の電位は接地電位に維持されている。このような構造により、上部電極11と下部電極12の間に高周波で発振する電界が形成され、反応容器10内に供給されたプロセスガスに、この電界が印加される。
【0030】
下部電極12は、膜を形成するための基板30を設置するステージとしても機能する。また、基板30を加熱するためのヒータが内蔵されている。また、上部電極11には、プロセスガスを加熱するためのヒータが内蔵されている。
【0031】
反応容器10には、排気を行うための排気口15が設けられている。排気口にはロータリポンプ及びドライポンプなどでなる排気手段が連結されている。排気手段の真空ポンプを動作させることで、反応容器10の排気が行われるようになっている。
【0032】
以下、実施の形態1〜4において、図5のPECVD装置を用いて基板上に膜を形成する方法を説明する。この実施の形態1乃至実施の形態4の薄膜の形成プロセスを用いることで、各種の素子を有する半導体装置を形成することができる。
【0033】
(実施の形態1)
図1は成膜方法の一例を示すフローチャートである。図1を参照しながら、薄膜の形成方法を説明する。
【0034】
まず、基板30を反応容器10内に設置しない状態で、反応容器10のクリーニングを行う(ステップS1)。反応容器10内に、クリーニング用のプロセスガスを導入する。高周波発振電源14を作動させ、クリーニング用のプロセスガスに電界を印加して、プラズマ放電させる。プラズマ放電により活性化されたクリーニング用プロセスガスによる、プラズマガスエッチングによって、反応容器10の内壁、上部電極11、下部電極12などに付着した堆積物を除去する。クリーニング用プロセスガスには、フッ化物ガスが少なくとも用いられる。
【0035】
フッ化物ガスには、OF2、ClF3、NF、FNONOSF6、SFNOSOFなどを用いることができる。
【0036】
また、フッ化物ガスには、炭素を組成に含むフッ素化合物のガスを用いることができる。このようなフッ素化合物としては、COF、COF、CFCOF、CF(COF)、CCOFCFOF、CFI、CFOOCF、CFOOOCF、CFCN、CFNO、パーフルオロカーボン(例えば、CF、C、C、C10、C、C、C、Cなど)、ハイドロフルオロカーボン(例えば、CFCHF、CHFCHF、CFCHFCF、CFCFCHF、CHFCFCHFなど)、エーテル系フッ化物(例えば、CHFOCHF、CFOCHFCF、CFOCF=CF、COCF=CF、CO、C、CO、Cなど)、CFCOCFなどのカルボニル系フッ化物、及び、エステル系フッ化物(例えば、CFCOOCHF、CFCOOCなど)などがある。
【0037】
フッ化物ガスの代わりに、フッ素ガス(Fガス)を用いることもできる。
【0038】
フッ化物ガスをプラズマにより活性化することで、フッ素ラジカルが生成され、このフッ素ラジカルと反応容器10の内部に生成された堆積物が反応して、蒸気圧の高い揮発性のフッ化物が生成される。この間、排気口15に連結された排気手段により排気が行われ、このフッ化物は排気口15を通じて反応容器10から除去される。クリーニング用プロセスガスの供給、及び排気を停止し、クリーニングを終了する。
【0039】
次に、基板30を反応容器10内に搬入し、下部電極12上に設置する(ステップS2)。基板30を搬入した反応容器10内には、クリーニング用プロセスガスであるフッ化物ガスが残留し、反応容器10の内壁、上部電極11、下部電極12などに吸着している。
【0040】
次に、基板30上に薄膜を形成する、薄膜形成プロセスを行う(ステップS3)。まず、排気を行い、反応容器10内を所定の圧力にする。そして、排気を行いながら、膜を形成するための薄膜形成用プロセスガスを反応容器10内に供給し、高周波発振電源14を作動させ、薄膜形成用プロセスガスに電界を印加して、プラズマ放電させる。このプラズマ放電と同時に、反応容器10内に残留していたフッ化物ガスもプラズマ放電し、フッ素ラジカルが生成され、フッ素ラジカルが基板30に降り注ぐ状態となる。そのため、このフッ素ラジカルにより基板30の被形成面がエッチングされ、蒸気圧の高い揮発性のフッ化物が生成され、このフッ化物は排気口15から、反応容器10の外部へ除去される。
【0041】
フッ素ラジカルは反応性が高いため、反応容器内にフッ素ラジカルが存在している間は、薄膜形成用プロセスガスによる膜の堆積反応ではなく、フッ素ラジカルによるエッチング反応が優位に進行する。エッチング反応の進行によりフッ素ラジカルの濃度は減少し、やがて、薄膜形成用プロセスガスに反応容器10内の雰囲気が置換され、堆積反応が開始し、基板30の被形成面に膜が成長する。よって、薄膜を形成する直前に、フッ素ラジカルによって薄膜の被形成面をプラズマガスエッチングされるため、被形成面の有機物を除去することができ、清浄な状態の被形成面に薄膜を形成することができる。
【0042】
また、薄膜の被形成面を清浄にするプロセスと、薄膜の形成が同じ反応容器内で連続して行うことができるので、清浄にされた被形成面を大気雰囲気に曝すことなく、薄膜を形成することができる。
【0043】
例えば、クリーニングガスにNFを用い、基板30の被形成面に、酸化シリコン膜が形成され、この酸化シリコン膜上に、非晶質シリコン膜を形成する場合を例に、この薄膜形成プロセスを説明する。非晶質シリコン膜を形成するため、水素(H)とモノシラン(SiH)を薄膜形成用プロセスガスとして用いる。HおよびSiHを反応容器10に供給し、高周波発振電源14により、HおよびSiHに電界を印加してプラズマ放電すると、残留していた、NFもプラズマ放電し、フッ素ラジカルが生成される。まず、このフッ素ラジカルにより、基板30の表面の酸化シリコン膜がエッチングされ、NFが減少すると、酸化シリコン膜上に非晶質シリコンが堆積される。
【0044】
クリーニング工程で反応容器10内に残留したNFは微量であるので、酸化シリコン膜がエッチングされる厚さは1nm未満とすることができ、例えば0.1nm以上0.5nm以下の厚さエッチングすることが可能である。そのため、薄膜形成プロセスにおいて、非晶質シリコン膜が形成される酸化シリコン膜の表面をフッ素ラジカルで清浄な状態にすることができると共に、酸化シリコン膜の厚さを微調整することが可能になる。
【0045】
もちろん、フッ素ラジカルでエッチングできる材料であれば、酸化シリコン以外の材料でもエッチングされる厚さは1nm未満とすることができ、エッチングされる厚さを0.1nm以上0.5nm以下とすることが可能である。
【0046】
なお、反応容器10内のフッ化物ガスの濃度が減少する速度は、反応容器10の圧力、薄膜形成用プロセスガスの種類、流量、上部電極11及び下部電極12の温度によって変動するため、フッ素ラジカルでエッチングされる厚さに合わせて、これらの条件を適宜決定すればよい。
【0047】
所定の厚さに薄膜が形成されたら、薄膜形成用プロセスガスの供給等を停止し、薄膜形成プロセスを終了する。次に、反応容器10内から、薄膜が形成された基板30を取り出す(ステップS4)。以上により、図1のプロセスフローを用いた薄膜の形成が完了する。このプロセスフローに従って薄膜を形成することで、薄膜の被形成面を清浄にするプロセスと、薄膜形成のプロセスが同じ反応容器内で連続して行われるので、清浄にされた被形成面を大気雰囲気に曝すことなく、薄膜を形成することができる。
【0048】
図1のプロセスフローを用いた薄膜形成方法において、薄膜形成プロセス(ステップS3)において、反応容器10内に残留しているフッ化物ガスの濃度は、クリーニングプロセス(ステップS1)が終了してから、薄膜形成プロセス(ステップS3)を開始する時間で調節することができる。
【0049】
(実施の形態2)
図2は成膜方法の一例を示すフローチャートである。図2を参照しながら、薄膜の形成方法を説明する。
【0050】
まず、実施の形態1のステップS1と同様に、基板30を反応容器10内に設置しない状態で、反応容器10のクリーニングを行う(ステップS11)。このステップS11により、反応容器10内には、クリーニング用プロセスガスであるフッ化物ガスが残留し、反応容器10の内壁、上部電極11、下部電極12などに吸着している。次に、実施の形態のステップS2と同様に、次に、基板30を反応容器10内に搬入し、下部電極12上に設置する(ステップS12)。
【0051】
次に、薄膜形成プロセス(ステップS14)を行う前に、反応容器10内に残留しているフッ化物ガスをプラズマ励起させ、フッ素ラジカルを発生させる。そのために、プロセスガスとして窒素ガス(Nガス)を反応容器10に供給し、窒素ガスのプラズマを生成する(ステップS13)。
【0052】
まず、排気を行い、反応容器10内を所定の圧力にする。そして、排気を行いながら、窒素ガスを反応容器10内に供給し、高周波発振電源14を作動させ、窒素ガスに電界を印加して、プラズマ放電させる。窒素ガスがプラズマ放電すると共に、反応容器10内に残留していたフッ化物ガスもプラズマ放電し、フッ素ラジカルが生成される。このフッ素ラジカルにより基板30の被形成面がエッチングされ、蒸気圧の高い揮発性のフッ化物が生成され、このフッ化物は排気口15から反応容器10から除去される。
【0053】
薄膜形成プロセス(ステップS14)を行う前に、この窒素ガスのプラズマを生成させるプロセスを行うことで、薄膜を形成する直前に、フッ素ラジカルによって薄膜の被形成面をプラズマガスエッチングされるため、被形成面の有機物を除去することができ、清浄な状態の被形成面に薄膜を形成することができる。
【0054】
例えば、クリーニングガスにNFを用い、基板30の被形成面に、酸化シリコン膜が形成されている場合を例に、この窒素ガスのプラズマの生成プロセスを説明する。窒素ガスをプラズマ励起することで、残留していたNFもプラズマ放電し、フッ素ラジカルが生成され、このフッ素ラジカルにより、基板30表面の酸化シリコン膜がエッチングされる。クリーニングプロセス(S11)で反応容器10内に残留したNFは微量であるので、酸化シリコン膜がエッチングされる厚さは1nm未満とすることができ、0.1nm以上0.5nm以下の範囲でエッチングすることが可能である。そのため、薄膜形成プロセスにおいて、非晶質シリコン膜が形成される酸化シリコン膜の表面をフッ素ラジカルで清浄な状態にすることができると共に、酸化シリコン膜の厚さを微調整することが可能になる。
【0055】
フッ素ラジカルでエッチングできる材料であれば、酸化シリコン以外の材料でもエッチングされる厚さは1nm未満とすることができ、エッチングされる厚さを0.1nm以上0.5nm以下とすることが可能である。
【0056】
なお、反応容器10内のフッ化物ガスの濃度が減少する速度は、反応容器10の圧力、窒素ガスの流量、上部電極11及び下部電極12の温度によって変動するため、フッ素ラジカルでエッチングされる厚さに合わせて、これらの条件を適宜決定すればよい。
【0057】
また、プロセスで用いることができるプロセスガスとしては、窒素ガスの他、希ガスガス(He、Ar、Kr、Xe等)が好ましい。窒素ガス及びハロゲンガスのプラズマに含まれるラジカルは、フッ素ラジカルと反応して、揮発性のフッ化物を生成しにくいため、フッ素ラジカルの殆どを基板の被形成面において、反応させることができる。
【0058】
所定の期間、窒素ガスを反応容器10に供給しながら、プラズマ励起させた後、窒素ガスの供給を停止する。次に、反応容器10内に薄膜形成用プロセスガスを供給して、基板30上に薄膜を形成する、薄膜形成プロセスを行う(ステップS14)。排気を行いながら、膜を形成するための薄膜形成用プロセスガスを反応容器10内に供給し、高周波発振電源14を作動させ、薄膜形成用プロセスガスに電界を印加して、プラズマ放電させて、基板30の被形成面に薄膜を形成する。所定の厚さに薄膜が形成されたら、薄膜形成用プロセスガスの供給等を停止し、薄膜の形成プロセスを終了する。
【0059】
次に、反応容器10内から、薄膜が形成された基板30を取り出す(ステップS15)。以上により、図2のプロセスフローを用いた薄膜の形成プロセスが完了する。このプロセスフローに従って薄膜を形成することで、薄膜の被形成面を清浄にするプロセスと、薄膜形成のプロセスが同じ反応容器内で連続して行われるので、清浄にされた被形成面を大気雰囲気に曝すことなく、薄膜を形成することができる。
【0060】
図2のプロセスフローを用いた薄膜形成方法において、窒素ガスのプラズマを生成するプロセス(ステップS13)において、反応容器10内に残留しているフッ化物ガスの濃度は、クリーニングプロセス(ステップS1)が終了してから、窒素ガスのプラズマを生成するプロセス(ステップS3)を開始する時間で調節することができる。
【0061】
(実施の形態3)
図3は成膜方法の一例を示すフローチャートである。図3を参照しながら、薄膜の形成方法を説明する。
【0062】
まず、基板30を反応容器10内に搬入し、下部電極12上に設置する(ステップS2)。
【0063】
次に、フッ化物ガスを反応容器10に供給する(ステップS21)。フッ化物ガスには、NF、SF及びCFから選ばれたガスを用いることができる。このうち、NFガスが好ましい。このとき、反応容器10の圧力は大気圧でも、大気圧よりも低くてもよい。
【0064】
次に、基板30上に薄膜を形成する、薄膜形成プロセスを行う(ステップS23)。排気を行いながら、膜を形成するための薄膜形成用プロセスガスを反応容器10内に供給し、高周波発振電源14を作動させ、薄膜形成用プロセスガスに電界を印加して、プラズマ放電させる。このプラズマ放電と同時に、ステップS21で予め供給されていたフッ化物ガスもプラズマ放電し、フッ素ラジカルが生成される。そのため、このフッ素ラジカルにより基板30の被形成面がエッチングされ、蒸気圧の高い揮発性のフッ化物が生成され、このフッ化物は排気口15から反応容器10から除去される。
【0065】
フッ素ラジカルは反応性が高いため、反応容器内にフッ素ラジカルが存在している間は、薄膜形成用プロセスガスによる膜の堆積反応ではなく、フッ素ラジカルによるエッチング反応が優位に進行する。エッチング反応の進行によりフッ素ラジカルの濃度は減少し、やがて、薄膜形成用プロセスガスに反応容器10内の雰囲気が置換され、堆積反応が開始し、基板30の被形成面に膜が成長する。よって、薄膜を形成する直前に、フッ素ラジカルによって薄膜の被形成面をプラズマガスエッチングされるため、被形成面の有機物を除去することができ、清浄な状態の被形成面に薄膜を形成することができる。
【0066】
例えば、クリーニングガスにNFを用い、基板30の被形成面に、酸化シリコン膜が形成され、この酸化シリコン膜上に、非晶質シリコン膜を形成する場合を例に、この薄膜形成プロセスを説明する。非晶質シリコン膜を形成するため、水素(H)とモノシラン(SiH)を薄膜形成用プロセスガスとして用いる。HおよびSiHを反応容器10に供給し、高周波発振電源14により、HおよびSiHに電界を印加してプラズマ放電すると、NFもプラズマ放電し、フッ素ラジカルが生成される。まず、このフッ素ラジカルにより、基板30の表面の酸化シリコン膜がエッチングされ、次いで、NFが減少すると、酸化シリコン膜上に非晶質シリコンが堆積される。
【0067】
ステップS22で反応容器10に供給するフッ化物ガスの量を調節することで、酸化シリコン膜がエッチングされる厚さは1nm未満とすることができ、0.1nm以上0.5nm以下の範囲でエッチングすることが可能である。そのため、非晶質シリコン膜が形成される酸化シリコン膜の表面をフッ素ラジカルで清浄な状態にすることができると共に、酸化シリコン膜の厚さを微調整することが可能になる。もちろん、フッ素ラジカルでエッチングできる材料であれば、酸化シリコン以外の材料でもエッチングされる厚さは1nm未満とすることができ、エッチングされる厚さを0.1nm以上0.5nm以下とすることが可能である。なお、フッ化物ガスの量の調節は、フッ化物ガスの流量、排気量を調節することで可能である。
【0068】
所定の厚さに薄膜が形成されたら、薄膜形成用プロセスガスの供給を停止し、また排気を停止し、薄膜形成プロセスを終了する。薄膜の被形成面を清浄にするプロセスと、薄膜形成のプロセスが同じ反応容器内で連続して行われるので、清浄にされた被形成面を大気雰囲気に曝すことなく、薄膜を形成することができる。
【0069】
次に、反応容器10内から、薄膜が形成された基板30を取り出す(ステップS24)。以上により、図3のプロセスフローを用いた薄膜の形成が完了する。
【0070】
図3のプロセスフローを用いた薄膜形成方法では、クリーニングプロセスの後に、薄膜形成のプロセスを行わない場合でも、薄膜形成のプロセス(ステップS23)において、薄膜の被形成面をフッ素ラジカルによるプラズマガスエッチングすることができる。
【0071】
(実施の形態4)
図4は成膜方法の一例を示すフローチャートである。図4を参照しながら、薄膜の形成方法を説明する。
【0072】
まず、基板30を反応容器10内に搬入し、下部電極12上に設置する(ステップS31)。次に、図3のステップS22と同様に、フッ化物ガスを反応容器10に供給する(ステップS32)
【0073】
次に、ステップS32で反応容器10内に供給したフッ化物ガスをプラズマ励起させ、フッ素ラジカルを発生させる。そのために、プロセスガスとして、窒素ガス(Nガス)を反応容器10に供給し、窒素ガスのプラズマを生成する(ステップS33)。このプロセスは、図2のステップS13と同様に行うことができる。
【0074】
薄膜形成プロセス(ステップS34)を行う前に、この窒素ガスのプラズマを生成させるプロセスを行うことで、薄膜を形成する直前に、フッ素ラジカルによって薄膜の被形成面をプラズマガスエッチングされるため、被形成面の有機物を除去することができ、清浄な状態の被形成面に薄膜を形成することができる。
【0075】
例えば、クリーニングガスにNFを用い、基板30の被形成面に、酸化シリコン膜が形成されている場合を例に、この窒素ガスのプラズマの生成プロセスを説明する。窒素ガスをプラズマ励起することで、予め供給されていたNFもプラズマ放電し、フッ素ラジカルが生成される。このフッ素ラジカルにより、基板30の表面の酸化シリコン膜がエッチングされる。
【0076】
ステップS32で反応容器10に供給するフッ化物ガスの量を調節することで、酸化シリコン膜がエッチングされる厚さは1nm未満とすることができ、0.1nm以上0.5nm以下の範囲でエッチングすることが可能である。そのため、非晶質シリコン膜が形成される酸化シリコン膜の表面をフッ素ラジカルで清浄な状態にすることができると共に、酸化シリコン膜の厚さを微調整することが可能になる。もちろん、フッ素ラジカルでエッチングできる材料であれば、酸化シリコン以外の材料でもエッチングされる厚さは1nm未満とすることができ、エッチングされる厚さを0.1nm以上0.5nm以下とすることが可能である。なお、フッ化物ガスの量の調節は、フッ化物ガスの流量、排気量を調節することで可能である。
【0077】
このプロセスで用いることができるプロセスガスとしては、窒素ガスの他、希ガスガス(He、Ar、Kr、Xe等)が好ましい。窒素ガス及びハロゲンガスのプラズマに含まれるラジカルは、フッ素ラジカルと反応して、揮発性のフッ化物を生成しにくいため、フッ素ラジカルの殆どを基板の被形成面において、反応させることができる。
【0078】
次に、窒素ガスの供給を停止し、基板30上に薄膜を形成する、薄膜形成プロセスを行う(ステップS34)。排気を行いながら、膜を形成するための薄膜形成用プロセスガスを反応容器10内に供給し、高周波発振電源14を作動させ、薄膜形成用プロセスガスに電界を印加して、プラズマ放電させて、基板30の被形成面に薄膜を形成する。定の厚さに薄膜が形成されたら、薄膜形成用プロセスガスの供給等を停止し、薄膜形成プロセスを終了する。
【0079】
次に、反応容器10内から、薄膜が形成された基板30を取り出す(ステップS35)。以上により、図3のプロセスフローを用いた薄膜の形成が完了する。本実施の形態の成膜方法は、薄膜の被形成面を清浄にするプロセスと、薄膜形成のプロセスが同じ反応容器内で連続して行われるので、清浄にされた被形成面を大気雰囲気に曝すことなく、薄膜を形成することができる。
【0080】
図4のプロセスフローを用いた薄膜形成方法では、クリーニングプロセスの後に、薄膜形成のプロセスを行わない場合でも、薄膜形成のプロセス(ステップS23)において、薄膜の被形成面をフッ素ラジカルによるプラズマガスエッチングすることができる。
【0081】
(実施の形態5)
実施の形態1乃至実施の形態4の薄膜の形成プロセスを用いることで、各種の素子を有する半導体装置を形成することができる。本発明者は、実験により反応容器10内に存在するフッ化物ガスにより被形成面がごくわずかにエッチングされることを確認した。本実施の形態では、その実験について説明する。この実験では、図4のプロセスフローを用いてステップS31〜ステップS34までプロセスを行い、フッ化物ガスによって薄膜がエッチングされる厚さを測定した。以下、実験方法を説明する。
【0082】
基板30として、ガラス基板を用いた。反応容器10内に基板30を搬入し、ガラス基板上に、図5に示す容量結合PECVD装置を用いて、非晶質シリコン膜を形成した。厚さが55nmになるように成膜時間を調節した。非晶質シリコン膜の形成プロセスの条件を以下に示す。
・プロセスガスの種類(流量)
SiH(25sccm)
(150sccm)
・下部電極温度 250℃
・圧力 66.7Pa
・高周波発振電源の発振周波数 27MHz
・高周波電源の出力電力 50W
・電極間距離 25mm
・電極面積 615.75cm
【0083】
フッ化物ガスによってエッチングされる厚さを測定するため、反応容器10から非晶質シリコン膜が形成された基板30を搬出し、非晶質シリコン膜の厚さを測定した。
【0084】
次に、非晶質シリコン膜が形成された基板30を反応容器10に搬入した。内蔵されたヒータにより上部電極11、および下部電極12の温度を200℃に上昇させ、流量200sccmの流量で、60秒間、NFガスを反応容器10に供給した。排気手段である真空ポンプを動作させ、排気を行いながら、NFガスを供給した。NFガスが供給された反応容器10内の圧力は、1.5Pa程度である。
【0085】
次に、排気手段である真空ポンプを動作させながら、窒素ガスを反応容器10に供給し、窒素ガスのプラズマを生成させ、フッ素ラジカルにより基板30に形成された非晶質シリコン膜をエッチングした。窒素ガスのプラズマ処理プロセスの条件を以下に示す。
・プロセスガスの種類(流量)
(200sccm)
・上部電極温度 200℃
・下部電極温度 200℃
・圧力 40Pa
・高周波発振電源の発振周波数 13.56MHz
・高周波発振電源の出力電力 50W
・電極間距離 20mm
・電極面積 651.44cm
【0086】
窒素ガスによるプラズマ処理時間を変化させて、非晶質シリコン膜の厚さの変化を測定した。図6に測定結果を示す。図6は、窒素ガスのプラズマ処理時間に対する、非晶質膜の厚さの変化を示す散布図である。プラズマ処理時間は、5秒、10秒、15秒、20秒、25秒とした。非晶質シリコン膜の厚さの変化は、窒素ガスのプラズマ処理前と後での非晶質シリコン膜の厚さの差分である。非晶質シリコン膜の厚さは膜厚測定装置で計測した。用いた測定装置の精度は0.1nmである。また、非晶質シリコン膜の厚さは、100mm×100mmの矩形の領域で25箇所測定した。
【0087】
図6に示すように、窒素ガスのプラズマ処理によって、NFガスにより、非晶質シリコン膜がエッチングされていることが分かる。また、非晶質シリコン膜を0.5nm以下の厚さ範囲で、より具体的には、0.1nm〜エッチングすることが可能になる。図6の結果は、反応容器10内のNFガス濃度を調節することで、非晶質シリコン膜がエッチングされる厚さを調節できることを示している。
【0088】
よって、図1〜図4に示す薄膜の成膜において、薄膜の形成前に反応容器10にフッ化物ガスを供給し、他のプロセスガスによるプラズマ処理によって、フッ素ラジカルを発生させることで、基板30上に形成されている薄膜、又は基板30を0.1nm単位でエッチングすることが可能である。例えば、薄膜または基板30を0.1nm以上0.5nm以下の範囲でエッチングすることが可能である。
【0089】
(実施の形態6)
本実施の形態では、半導体装置の作製方法の一例として、不揮発性半導体記憶装置の作製について説明する。
【0090】
図7は、不揮発性半導体記憶装置の構成例を示すブロック図である。図7の不揮発性半導体記憶装置は、メモリセルアレイ52と、メモリセルアレイ52に接続され、書き込み動作、消去動作および読み出し動作などを制御するロジック部54が同一の基板上に形成されている。メモリセルアレイ52は、複数のワード線WLと、ワード線WLと交差して形成された複数のビット線BL、およびワード線WL及びビット線BLに接続された複数のメモリセルMCを有する。メモリセルMCのデータの蓄積手段として、実施の形態1で説明した不揮発性メモリトランジスタが用いられる。そのため、電荷保持特性に優れ、信頼性の高い不揮発性半導体記憶装置を得ることができる。
【0091】
ロジック部54の構成は以下の通りである。ワード線選択のためにロウデコーダ62と、ビット線選択のためにカラムデコーダ64が、メモリセルアレイ52の周囲に設けられている。アドレスは、アドレスバッファ56を介してコントロール回路58に送られ、内部ロウアドレス信号及び内部カラムアドレス信号がそれぞれロウデコーダ62及びカラムデコーダ64に転送される。
【0092】
データ書き込み及び消去には、電源電位を昇圧した電位が用いられる。このため、コントロール回路58により動作モードに応じて制御される昇圧回路60が設けられている。昇圧回路60の出力はロウデコーダ62やカラムデコーダ64を介して、メモリセルアレイ52に形成されているワード線Wやビット線BLに供給される。センスアンプ66はカラムデコーダ64から出力されたデータが入力される。センスアンプ66により読み出されたデータは、データバッファ68に保持され、コントロール回路58からの制御により、データがランダムアクセスされ、データ入出力バッファ70を介して出力されるようになっている。書き込みデータは、データ入出力バッファ70を介してデータバッファ68に一旦保持され、コントロール回路58の制御によりカラムデコーダ64に転送される。
【0093】
図8は、メモリセルアレイ52の構成例を示す回路図である。メモリセルMCが行列状に配置されている。図8では、3行×2列のメモリセルMCを示している。各メモリセルMCは1ビットの情報を記憶し、直列に接続されたスイッチング用トランジスタTs、不揮発性メモリメモリトランジスタTmを有する。メモリセルアレイ52は、列ごとに、ビット線BL0、BL1、ソース線SL0、SL1が設けられている。また、行ごとに、第1ワード線WL1〜WL3及び第2ワード線WL11〜WL13が設けられている。
【0094】
ビット線BL0及び第1ワード線WL1で特定されるメモリセルMCに着目すると、スイッチング用トランジスタTsは、ゲートが第2ワード線WL11に接続され、ソースまたはドレインの一方がビット線BL0に接続され、他方が不揮発性メモリトランジスタTmに接続されている。不揮発性メモリトランジスタTmは、ゲートが第1ワード線WL1に接続され、ソースまたはドレインの一方がスイッチング用トランジスタTsに接続され、他方がソース線SL0に接続されている。
【0095】
スイッチング用トランジスタTsと不揮発性メモリメモリトランジスタTmを共にnチャネル型とした場合、ビット線BL0及び第1ワード線WL1で特定されるメモリセルMCにデータを書き込むには、第2ワード線W11とビット線BL0の電位をHレベル、ビット線BL1の電位をLレベルとして、第2ワード線W11に高電圧を印加する。これにより、不揮発性メモリメモリトランジスタTmの電荷蓄積層に電荷が注入される。不揮発性メモリメモリトランジスタTmからデータを消去するには、第1ワード線W1及びビット線BL0の電位をHレベルとし、第2ワード線W11に負の高電圧を印加する。
【0096】
次に、図9〜図15を用いて、不揮発性半導体記憶装置の作製方法について説明する。
【0097】
不揮発性半導体記憶装置において、メモリセルアレイのトランジスタは、ロジック部のトランジスタと比較して駆動電圧が高いため、メモリセルアレイのトランジスタとロジック部のトランジスタは、それぞれ、駆動電圧によって構造を変えることが好ましい。例えば、駆動電圧が小さく、しきい値電圧値のばらつきを小さくしたい場合にはゲート絶縁膜を薄くすることが好ましい。駆動電圧が大きくゲート絶縁膜の絶縁耐圧性が求められる場合にはゲート絶縁膜を厚くすることが好ましい。
【0098】
そこで、本実施の形態では、ゲート絶縁膜の厚さが異なるトランジスタを同一基板上に作製する方法を説明する。また、本実施の形態では、トランジスタおよび不揮発性メモリトランジスタを薄膜トランジスタで作製する方法を説明する。また、本実施の形態では、不揮発性半導体記憶装置として図7の装置を例に、またそのメモリセルアレイ52を図8に示す回路で構成した場合を例に、不揮発性半導体装置の作製方法を説明する。後述する実施の形態4乃至8の不揮発性半導体記憶装置もこの点は同様である。
【0099】
図9〜図12は、本実施の形態の作製工程を説明するための断面図である。図9〜図12において、A−B間にロジック部54に設けられるpチャネル型トランジスタTrpの断面を示し、及びC−D間にロジック部54に設けられるnチャネル型トランジスタTrnの断面を示す。また、E−F間にメモリセルMCに設けられる不揮発性メモリトランジスタTmの断面を示し、G−H間にメモリセルMCのスイッチング用トランジスタTsの断面を示す。また、図13〜15は、本実施の形態の作製工程を説明するための上面図である。図13〜図15の一点鎖線A−B、C−D、E−F及びG−Hで切った断面図が、図9〜図12に対応する。
【0100】
まず、図9(A)に示すように、基板100上に下地絶縁膜102を形成する。基板100は、ガラス基板、石英基板、金属基板(例えばセラミック基板またはステンレス基板など)を用いることができる。下地絶縁膜102は、CVD法やスパッタ法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン等の絶縁材料を用いて形成することができる。例えば、下地絶縁膜102を2層構造とする場合、第1層目の絶縁層として酸化窒化シリコン層を形成し、第2層目の絶縁層として酸化窒化シリコン層を形成するとよい。また、第1層目の絶縁層として窒化シリコン層を形成し、第2層目の絶縁層として酸化シリコン層を形成してもよい。このように、ブロッキング層として機能する下地絶縁膜102を形成することによって、基板100からNaなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属が、この上に形成する素子に悪影響を与えることを防ぐことができる。
【0101】
次に、下地絶縁膜102上に、島状の半導体膜104、106、108、110を形成する。図13が島状の半導体膜104、106、108、110の上面図である。島状の半導体膜104、106、108、110の形成は、次の通りに行うことができる。スパッタ法、LPCVD法、PECVD法等を用いて、シリコン(Si)を主成分とする非晶質半導体膜を形成し、非晶質半導体膜を結晶化させて、結晶性半導体膜を形成する。結晶性半導体膜をエッチングして、島状の半導体膜104、106、108、110を形成する。なお、非晶質半導体膜として、非晶質シリコン膜、非晶質ゲルマニウムまたは非晶質シリコンゲルマニウム膜などを形成することができる。また非晶質半導体膜の結晶化は、レーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法またはこれら方法を組み合わせた方法等により行うことができる。
【0102】
また、基板100として、SOI基板を用いることもできる。この場合、SOI基板の半導体層を、エッチングして、島状の半導体膜104、106、108、110を形成することができる。また、半導体層を部分的に酸化して、酸化させない領域を島状の半導体膜104、106、108、110とすることができる。SOI基板の代わりに、GOI基板、SGOI基板を用いることもできる。
【0103】
次に、図9(A)に示すように、島状の半導体膜104、106、108、110を覆うように絶縁膜112を形成する。絶縁膜112は、LPCVD法、PECVD法により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンでなる単層膜または2層以上の多層膜で形成される。絶縁膜112は、メモリセルMCのトランジスタTsのゲート絶縁膜として機能する。そのため、10nm〜50nmの厚さに形成される。
【0104】
次に、図9(B)に示すように、絶縁膜112を選択的に除去し、半導体膜104、106、108の表面を露出させる。ここでは、メモリ部に設けられた半導体膜110を選択的にレジスト114で覆い、半導体膜104、106、108上に形成された、絶縁膜112をエッチングすることによって除去する。
【0105】
レジスト114を除去し、図9(C)に示すように、半導体膜104、106、108上に絶縁膜116、118、120をそれぞれ形成する。絶縁膜116、118、120の厚さは、1〜10nmが好ましく、1〜5nmがより好ましい。なお、絶縁膜116、及び118は後の工程で除去される。
【0106】
絶縁膜116、118、120は、半導体膜104、106、108を熱処理又は高密度プラズマ処理等によって形成することができる。ここでは、まず、反応容器内に酸素(O)とアルゴン(Ar)との混合ガスを導入し、高密度プラズマにより酸素ラジカルを発生させて、半導体膜104、106、108に酸化処理を行い、半導体膜104、106、108の表面に3nm〜6nm程度の厚さの酸化シリコン層を形成する。プロセスガスの流量は、酸素は0.1〜100sccm、アルゴンは100〜5000sccmとすることができる。
【0107】
続けて、酸化処理を行った反応容器内に、窒素(N)とアルゴン(Ar)との混合ガスを導入し、高密度プラズマにより窒素ラジカルを発生させて、酸化シリコン層を窒化処理する。例えば、窒化処理時間を調節することで、窒素濃度が20〜50atomic%程度の厚さ1nm程度の層を酸化シリコン層に形成することができる。また、この際に、半導体膜110上に形成された絶縁膜112の表面も酸化又は窒化され、酸化窒化シリコン層が形成される場合がある。プロセスの流量は、窒素は20〜2000sccm、アルゴンは100〜10000sccmとすることができる。
【0108】
次に、図10(A)に示すように、絶縁膜112、絶縁膜116、118、120を覆うように電荷蓄積層122を形成する。例えば、電荷蓄積層122の形成に実施の形態1乃至4で説明した薄膜の形成方法を用いることができる。ここでは、実施の形態1の薄膜形成方法を適用する。まず、NFガスを用いて図5のPECVD装置の反応容器10をクリーニングする。そして、図9(C)の状態の基板100を反応容器10に搬入する。薄膜形成用プロセスガスとして、NH及びSiHを反応容器10に供給し、電荷蓄積層122として窒化シリコン膜を形成する。NH及びSiHがプラズマ励起されると、反応容器10に存在しているNFもプラズマ化され、フッ素ラジカルが基板100に降り注ぐ。この結果、絶縁膜112、116、118、120がわずかにエッチングされる。絶縁膜120を薄くすることができることから、メモリトランジスタTmへの書き込み特性または読み出し特性を向上させることができる。
【0109】
次に、図10(B)に示すように、レジスト124を形成し、エッチングにより絶縁膜116、118、電荷蓄積層122を部分的に除去して、半導体膜104、106の上面および、半導体膜108上の絶縁膜120上面を露出させ、メモリトランジスタTmとなる半導体膜108上に電荷蓄積層122を残す。
【0110】
レジスト124を除去し、図10(C)に示すように基板100上に絶縁膜128を形成する。絶縁膜128は、CVD法やスパッタ法等を用いて、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン等でなる絶縁材料を堆積することで、形成される。絶縁膜128は単層膜又は2層以上の多層膜で形成される。例えば、絶縁膜128を単層で設ける場合には、CVD法により酸化窒化シリコン層を5〜50nmの厚さで形成する。また、絶縁膜128を3層構造で設ける場合には、第1層目の絶縁層として酸化窒化シリコン層を形成し、絶縁膜として窒化シリコン層を形成し、第3の絶縁層として酸化窒化シリコン層を形成する。なお、絶縁膜128をPECVD法で形成する場合は、実施の形態1乃至4の薄膜の形成方法を用いることができる。
【0111】
次に、図11(A)に示すように、絶縁膜128上に導電膜130を形成し、導電膜130上に導電膜132を形成する。導電膜130と導電膜132でなる積層膜は、トランジスタTrp、Trn、TsおよびメモリトランジスタTmのゲート電極を構成する。例を示している。もちろん、ゲート電極は単層構造の導電膜で形成することができる。
【0112】
なお、メモリトランジスタTmをMNOS型とする場合は、導電膜130を形成する工程の前に、エッチングを行って、メモリトランジスタTmが形成される領域から絶縁膜128を除去する。
【0113】
導電膜130、132は単層構造または2層以上の多層構造とすることができる。導電膜130、132を構成する導電性材料には、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等から選択された単体金属、これらの金属を主成分とする合金、及び化合物材料、並びにリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン等を用いることができる。例えば金属化合物としては、金属窒化物、シリサイド等がある。
【0114】
例えば、導電膜130を窒化タンタル膜で形成し、導電膜132をタングステン膜で形成する。また、導電膜130を窒化タングステン、窒化モリブデン又は窒化チタンから選ばれた導電材料の単層膜又は積層膜で形成し、導電膜132を、タンタル、モリブデン、チタンから選ばれた導電材料の単層膜は積層膜で形成することができる。
【0115】
次に、図11(B)に示すように、導電膜130、132でなる積層膜をエッチングして、半導体膜104、106、108、110に重なる導電膜134、136、138、140を形成する。この状態の上面図が図14である。
【0116】
次に、図11(C)に示すように、半導体膜104を覆うレジスト142を選択的に形成する。導電膜136、138、140をマスクとして半導体膜106、108、110にn型不純物を添加し、n型の高濃度不純物領域146、150、154を形成する。高濃度不純物領域146、150、154は、ソース領域又はドレイン領域を構成する。このn型不純物の添加により、半導体膜106、108、110に、チャネル形成領域144、148、152が自己整合的に形成される。
【0117】
レジスト142を除去する。次に、図12(A)に示すように、レジスト156、半導体膜106、108、110を覆うレジスト156を形成する。導電膜134をマスクとして半導体膜104、108、110にp型不純物を添加し、p型の高濃度不純物領域160を形成する。高濃度不純物領域160は、ソース領域又はドレイン領域を構成する。このp型不純物の添加により、半導体膜104に、チャネル形成領域158が自己整合的に形成される。
【0118】
レジスト156を除去する。次に、図12(B)に示すように、導電膜134、136、138、140を覆うように絶縁膜162を形成する。絶縁膜162に、高濃度不純物領域146、150、154、160に達する開口部を形成する。絶縁膜162上に半導体膜104、106、108、110にそれぞれ形成された高濃度不純物領域146、150、154、160に電気的に接続する導電膜164を形成する。この状態の上面図が図15である。
【0119】
絶縁膜162は単層構造または積層構造とすることができる。絶縁膜162を構成する絶縁膜として、CVD法やスパッタ法等により、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)等の無機絶縁膜で形成することができる。また、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルフェノール、ベンゾシクロブテン、アクリル等の有機材料でなる膜、シロキサン樹脂等のシロキサン材料からなる膜を用いることができる。
【0120】
導電膜164は単層構造または積層構造とすることができる。導電膜164を構成する導電性材料には、CVD法やスパッタ法等により、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、マンガン(Mn)、ネオジウム(Nd)から選択された単体金属元素、又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いることができる。例えば、アルミニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムとニッケルの合金、ニッケルと、炭素とシリコンの一方又は両方とを含むアルミニウム合金などがある。アルミニウムやアルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電膜164を形成する材料に適している。
【0121】
例えば、3層構造の導電膜164として、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層とバリア層の積層膜、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層と窒化チタン(TiN)層とバリア層の積層膜などがある。なお、バリア層は、チタン、チタンの窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる薄膜で形成される。上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また、還元性の高い元素であるチタンからなるバリア層を形成すると、結晶質半導体層上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この自然酸化膜を還元し、結晶質半導体層と良好なコンタクトをとることができる。
【0122】
以上の工程により、メモリセルアレイ52およびロジック部54を同一基板100上に集積された不揮発性半導体装置を作製することができる。
【0123】
(実施の形態7)
ガラス基板上にTFT(thin film transistor 以下、「TFT」という。)を用いて集積回路を形成するために、ガラス基板上に、単結晶シリコンを形成することを目標に結晶化技術が研究されている。本出願人の研究した、結晶化技術として、ニッケルなどの金属元素を非晶質シリコン膜に添加してシリコンを結晶化させる技術を開発している。この結晶化技術では、金属元素がいわば触媒となり結晶化を促進し、また、結晶化に必要とされる温度を低下させる効果を利用している。金属元素を用いることで、結晶化されたシリコンの結晶方位の配向性を高めることも可能となっている。このような触媒作用のある金属元素としてはFe、Ni、Co、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Auから選ばれた一種または複数種であることが知られている。
【0124】
しかしながら、金属元素は、電気的特性のばらつき、リーク電流の増加などTFTの信頼性を低下させる要因であり、金属元素は、結晶性シリコン膜が形成されてしまえば、不要な存在となる。そこで、本出願人は、金属元素非晶質シリコン膜から除去するゲッタリング技術も開発している。そのゲッタリング技術の1つは、希ガス元素を含む半導体膜をゲッタリングサイトとして用いるゲッタリング技術である。
【0125】
図16を用いて、希ガス元素を含む半導体膜をゲッタリングサイトとして用いるゲッタリングプロセスを含んだ半導体装置の作製方法を説明する。
【0126】
基板200を用意する。使用する基板200は、好ましくはバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどの無アルカリガラス、或いは石英などを用いることができる。次に基板200の表面に、絶縁膜201として無機絶縁膜を10〜200nmの厚さで形成する。絶縁膜201はガラス基板に含まれるアルカリ金属がこの上層に形成する半導体膜中に拡散しないために設けるものであり、また、TFTのチャネル形成領域との界面密度準位を下げるために形成する。絶縁膜201はTFTの下地絶縁膜として機能する。絶縁膜201の好ましい例は、PECVD法で形成される酸化窒化シリコン膜である。プロセスガスにSiH、NH及びNOが用いられた酸化窒化シリコン膜を50nmの厚さに形成し、プロセスガスにSiH及びNOが用いられた酸化窒化シリコン膜を100nmの厚さに形成した、2層構造の酸化窒化シリコン膜を絶縁膜201として形成することができる。
【0127】
次に、絶縁膜201上に、非晶質シリコン膜202を形成する。非晶質シリコン膜202を結晶化した膜をTFTのチャネル形成領域に用いる。非晶質シリコン膜202は、PECVD法や減圧CVD法、或いはスパッタ法で10〜100nmの厚さに形成する。
非晶質シリコン膜202の代わりに、非晶質シリコンゲルマニウム膜を形成することもできる。
【0128】
次に、その後、非晶質シリコン膜202の表面に、結晶化を促進する触媒作用のある金属元素を添加する。シリコンの結晶化を促進する触媒作用のある金属元素としては鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)などがある。これらから選ばれた一種または複数種を用いることができる。例えば、ニッケルを添加する場合、重量換算で1〜100ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル水溶液をスピナーで塗布して触媒含有層203を形成する。この場合、非晶質シリコンは疎水性のため、水溶液により触媒含有層203を形成する場合、均一な層を形成することが困難である。そのため、水溶液を塗布する前に、非晶質シリコン膜202をオゾン含有水溶液で表面処理して、ケミカルオキサイド膜を形成する。このケミカルオキサイド膜をフッ酸と過酸化水素水の混合液でエッチングして、表面を清浄にした後、再度オゾン含有水溶液で処理してケミカルオキサイドを形成する。触媒元素を非晶質シリコン膜202に添加する方法には、溶液を塗布する方法の他に、スパッタ法、蒸着法、プラズマ処理などで、触媒含有層203を形成する方法がある。
【0129】
次に、結晶化のために非晶質シリコン膜202の加熱処理を行う。加熱処理の方法としては、電熱炉を用いるファーネスアニール法や、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどを用いたRTA法(Rapid Thermal Annealing法)などを用いることができる。
【0130】
RTA法で行う場合には、加熱用のランプ光源を1〜60秒、好ましくは30〜60秒点灯させ、それを1〜10回、好ましくは2〜6回繰り返す。ランプ光源の発光強度は任意なものとするが、半導体膜が瞬間的には600〜1000℃、好ましくは650〜750℃程度にまで加熱されるようにする。このような高温になったとしても、半導体膜が瞬間的に加熱されるのみであり、基板100はそれ自身が歪んで変形することはない。こうして、非晶質半導体膜を結晶化させ、図1(c)に示す結晶質半導体膜104を得ることができるが、このような処理で結晶化できるのは触媒元素含有層を設けることによりはじめて達成できるものである。
【0131】
ファーネスアニール法を用いる場合には、加熱処理に先立ち、500℃で1時間程度の加熱処理を行い、非晶質シリコン膜202が含有する水素を放出させておく。そして、電熱炉を用いて、窒素雰囲気中で550℃以上600℃以下、好ましくは580℃で4時間の加熱処理を行い、非晶質シリコン膜202を結晶化させる。こうして、図16(B)に示すように結晶性シリコン膜205形成する。さらに結晶化率(膜の全体積における結晶成分の割合)を高め、結晶粒内に残される欠陥を減少させるために、結晶性シリコン膜にレーザ光を照射することも有効である。
【0132】
このようにして得られる結晶性シリコン膜205には、触媒元素(ここではニッケル)が残存している。ニッケルは結晶性シリコン膜205中に一様に分布してはいないが、添加したニッケル濃度から換算すると、触媒元素の平均の濃度は1×1019atomis/cmを越える。本実施の形態では、結晶性シリコン膜205からニッケルをゲッタリングするために、希ガスを含んだ非晶質シリコン膜をゲッタリングサイトに用いる。
【0133】
まず、図16(C)に示すように結晶性シリコン膜205の表面にバリア層206を形成する。バリア層206は、後にゲッタリングサイトを除去する際に、結晶性シリコン膜205がエッチングされないように設けた層である。
【0134】
次に、図16(D)に示すようにバリア層206上に、ゲッタリングサイトとなる非晶質シリコン膜207を形成する。非晶質シリコン膜207には、希ガス元素を1×1020/cm以上の濃度で含ませる。このような非晶質シリコン膜207は、プロセスガスAr及びSiHを用いてPECVD法で形成することができる。また、ターゲットに単結晶シリコンを用い、雰囲気をArとすることでスパッタ法でも非晶質シリコン膜207を形成することができる。
【0135】
希ガスを含む非晶質シリコン膜207を形成した後、加熱処理を行い、加熱処理はファーネスアニール法やRTA法で行う。ファーネスアニール法で行う場合には、窒素雰囲気中において450℃以上600℃以下の加熱温度で処理時間を0.5〜12時間とする。RTA法を用いる場合には、加熱用のランプ光源を1〜60秒、好ましくは30〜60秒点灯させ、それを1〜10回、好ましくは2〜6回繰り返す。ランプ光源の点灯により結晶性シリコン膜205の温度が600℃以上1000℃以下、好ましくは700℃以上750℃以下に上昇するようにする。
【0136】
加熱処理を行うことで、結晶性シリコン膜205中のニッケル元素が非晶質シリコン膜207へと拡散する。拡散したニッケルは非晶質シリコン膜207に捕獲され、ニッケル濃度が減少された結晶性シリコン膜205’が形成される。
【0137】
ゲッタリングのための加熱処理が終了した後、図16(E)に示すように、非晶質シリコン膜207をエッチングにより除去する。バリア層206は結晶性シリコン膜205’が除去されないようにするためのエッチングストッパとして機能する。そのため、バリア層206は酸化シリコンで形成することが好ましい。
【0138】
また、ゲッタリングは、バリア層206を通過させて、ニッケルを結晶性シリコン膜205から非晶質シリコン膜207へと拡散させる。従って、効率良く、また確実にゲッタリングを行うためには、本発明者の知見では、バリア層206となる酸化シリコンの厚さは2nm以下とすることが好ましい。
【0139】
しかしながら、大判基板(面積0.1m以上)の基板100でこのような酸化シリコン膜を形成することは非常に困難である。厚さが2nmを越えないように形成すると、ピンホールが生じやすい。一方、ピンホールができないように酸化シリコン膜を形成すると、厚さが2nm以上となる部分が生じる。このような部分ではニッケルが通過しにくくなり、ゲッタリングが妨げられる。
【0140】
非晶質シリコン膜207の形成プロセスに実施の形態1乃至4の薄膜形成方法を適用することでこのような問題点を解消することができる。
【0141】
まず、バリア層206として酸化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜の形成方法としては、オゾン水で結晶性シリコン膜205の表面を処理してケミカルオキサイド膜を形成する方法が簡便で好ましい。なお、オゾン水の他、また、硫酸、塩酸、硝酸などと過酸化水素水を混合させた水溶液で処理しても同様にケミカルオキサイドを形成することができる。また、酸化シリコン膜の厚さが2nmとなるように、処理時間を調節する。
【0142】
次に、非晶質シリコン膜207をPECVD法で形成する。ここでは、実施の形態2の方法を用いることとする。まず、反応容器10にバリア層206が形成された基板200を搬入する。そして、NFガスを反応容器10に供給する。次に窒素ガスを反応容器に供給ながら、窒素ガスをプラズマ励起させる。このプラズマ処理により、NFガスが分解されて、フッ素ラジカルが生成され、フッ素ラジカルが基板200に降り注ぐ。この結果、バリア層206が0.1nm以上0.5nm以下程度にエッチングされる。その結果、バリア層206から、厚さが2nmを越える部分をなくすことができる。窒素ガスのプラズマ処理を停止し、薄膜形成用プロセスガスとして、Ar及びSiHを反応容器10に供給し、非晶質シリコン膜207を形成する。
【0143】
非晶質シリコン膜207の形成プロセスに実施の形態1乃至実施の形態4の薄膜形成方法を用いることで、エッチングストッパとして確実に機能し、かつゲッタリングが確実に行えるようなバリア層206を容易に形成することができる。
【0144】
図16(A)〜図16(E)のプロセスを経て形成された結晶性シリコン膜205’を用いてTFTを作製することで、各種の半導体装置を作製することができる。例えば、実施の形態6の記憶装置を作製することができる。以下、本発明を用いて作製できるTFTを有する半導体装置の例を説明する。
【0145】
まず、半導体装置の例として、アクティブマトリクス型のELモジュールを説明する。図17(A)は、ELモジュールの構成例を示す正面図であり、図17(B)は図17(A)中のA−A’で切断した断面図である。
【0146】
図17に示すELモジュールは撓めることが可能であり、TFTおよび発光素子を第1基板301と第2基板306との間に形成したシール材305によって封止された構成である。第1基板301上に、画素部302、信号線駆動回路303と走査線駆動回路304とが形成されELモジュール用基板が構成される。
【0147】
シール材305と第2基板306とによってELモジュール用基板を封止することでELモジュールが構成される。図17のELモジュールは、ELモジュール用基板とシール材305と第2基板306で密閉された空間に充填材307が充填されている。充填材307としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、ポリビニルクロライド、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラル、またはエチレンビニレンアセテートを用いることができる。
【0148】
画素部302、信号線駆動回路303および走査線駆動回路304とはTFTを複数有する、図17(B)では信号線駆動回路303に含まれるTFT308と、画素部302に含まれるTFT310のみ図示されている。画素部302は発光素子311を有し、発光素子311は、TFT310と電気的に接続されている。
【0149】
引き回し配線314は外部から素子形成層300内の回路に信号や電源を供給するための配線である。引き回し配線314は、引き回し配線315b、引き回し配線315aを介して2層構造の接続端子316と接続されている。接続端子316はフレキシブルプリントサーキット(FPC)318が有する端子と異方性導電膜319を介して電気的に接続されている。
【0150】
次に、半導体装置の例として、アクティブマトリクス型の液晶モジュールを説明する。図18(A)は、液晶モジュールの正面図であり、図18(B)は図18(A)中のA−A’で切断した断面図である。
【0151】
400は第1基板、点線で示された401は駆動回路部(ソース側駆動回路)、402は画素部、403は駆動回路部(走査線駆動回路)である。第1基板400上に、TFTなどからなる画素部402、TFTなどからなる駆動回路401、403が形成されている。
【0152】
次に図18(B)を用いて、LCDモジュールの断面構造について説明する。TFTは絶縁膜からなる絶縁膜409上に形成される。信号線駆動回路401はnチャネル型TFT411とpチャネル型TFT412とを組み合わせたCMOS回路を有する。画素部402にはスイッチング用TFT413と容量素子414を有する。スイッチング用TFT413は層間絶縁膜421で覆われている。層間絶縁膜421上には画素電極422が形成されている。画素電極422は、スイッチング用TFT413に電気的に接続されている。
【0153】
スイッチング用TFT413の配線、画素電極422、nチャネル型TFT411およびpチャネル型TFT412の配線を覆うように保護膜423が形成されている。保護膜223により、TFTの活性層や層間絶縁膜421等への不純物の侵入を防止することができる。保護膜423上に配向膜424が形成されている。なお、配向膜424は必要に応じて形成される。
【0154】
配線410は、信号線駆動回路401および走査線駆動回路403に入力される信号などを伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)408が接続される。なお、本発明の液晶モジュールには、FPC408のみを取り付けた形態と、FPC408およびPWB双方を取り付けた形態、双方を含む。本実施例の液晶モジュールは、TFTが形成された第1基板400を有する液晶モジュール用基板と、第2基板430を基材とする対向基板と、シール材405と、液晶440と、FPC(フレキシブルプリントサーキット)408とを有する。
【0155】
対向基板は、第2基板430上に、カラーフィルタ431およびブラックマトリクス(BM)432、対向電極433、配向膜434が形成されている。カラーフィルタ431は第1基板400側に設けることもできる。また、対向電極433を第1基板400に設けて、IPS方式の液晶モジュールを構成することができる。
【0156】
第1基板400に対向して、第2基板430がシール材405により固定され、第1基板400と第1の可撓性基板404の間に、シール材405によって、液晶440が封入されている。
【0157】
図18(A)及び図18(B)には、駆動回路401、403をTFTで構成した液晶モジュールを示したが、画素部402のみをTFTで形成し、駆動回路401、403は、シリコンウエハを用いたICチップで構成し、COG法やTAB法により、第1基板400上の画素部402と電気的に接続する構成とすることもできる。
【0158】
本発明の半導体装置は、図17のようなELモジュール及び図18の液晶モジュールを表示部に具備した電子機器を含むものである。以下、液晶モジュールとELモジュールをまとめて「表示モジュール」とよぶ。このような電子機器として、コンピュータ用のモニタ、テレビジョン装置(単にテレビ、またはテレビジョン受信機ともよぶ)、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話装置(単に携帯電話機、携帯電話ともよぶ)およびPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯情報端末、ノート型コンピュータ、カーオーディオ、ナビゲーションシステム、デジタル音楽プレーヤ、携帯型DVD再生装置、携帯型ゲーム機、業務用ゲーム機等が挙げられる。その具体例について、図19を参照して説明する。
【0159】
図19(A)に示す携帯情報端末は、本体9201、表示部9202等を備えている。表示部9202に、表示モジュールが適用される。図19(B)に示すデジタルビデオカメラは、表示部9701、表示部9702等を備えている。表示部9701に、表示モジュールが適用される。図19(C)に示す携帯電話は、本体9101、表示部9102等を備えている。表示部9102表示モジュールが適用される。
【0160】
図19(D)に示す携帯型のテレビジョン装置は、本体9301、表示部9302等を備えている。表示部9302に表示モジュールが適用される。図19(E)に示す携帯型のコンピュータは、本体9401、表示部9402等を備えている。その表示部9402に表示モジュールが適用される。図19(F)に示すテレビジョン装置は、本体9501、表示部9502等を備えている。表示部9502に表示モジュールが適用される。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】薄膜の形成方法を示すフローチャート。
【図2】薄膜の形成方法を示すフローチャート。
【図3】薄膜の形成方法を示すフローチャート。
【図4】薄膜の形成方法を示すフローチャート。
【図5】PECVD装置の構成例を示す図。
【図6】窒素プラズマ処理時間と、非晶質シリコン膜の膜厚の変化の関係を示すグラフ。
【図7】半導体装置の構成例を示すブロック図。
【図8】メモリセルアレイの構成例を示す回路図。
【図9】半導体装置の作製方法を示す断面図。
【図10】半導体装置の作製方法を示す断面図。
【図11】半導体装置の作製方法を示す断面図。
【図12】半導体装置の作製方法を示す断面図。
【図13】半導体装置の作製方法を示す上面図。
【図14】半導体装置の作製方法を示す上面図。
【図15】半導体装置の作製方法を示す上面図。
【図16】半導体装置の作製方法を示す断面図。
【図17】(A)ELモジュールの正面図。(B)ELモジュールの断面図。
【図18】(A)液晶モジュールの正面図。(B)液晶モジュールの断面図。
【図19】半導体装置を表示部に有する電子機器の外観図。(A)携帯情報端末、(B)デジタルビデオカメラ、(C)携帯電話、(D)携帯型のテレビジョン装置、(E)携帯型のコンピュータ、(F)テレビジョン装置。
【符号の説明】
【0162】
10 反応容器
11 上部電極
12 下部電極
13 配管
14 高周波発振電源
15 排気口
30 基板
52 メモリセルアレイ
54 ロジック部
56 アドレスバッファ
58 コントロール回路
60 昇圧回路
62 ロウデコーダ
64 カラムデコーダ
66 センスアンプ
68 データバッファ
70 データ入出力バッファ
100 基板
102 下地絶縁膜
104 半導体膜
106 半導体膜
108 半導体膜
110 半導体膜
112 絶縁膜
114 レジスト
116 絶縁膜
120 絶縁膜
122 電荷蓄積層
124 レジスト
128 絶縁膜
130 導電膜
132 導電膜
134 導電膜
136 導電膜
142 レジスト
144 チャネル形成領域
146 高濃度不純物領域
156 レジスト
158 チャネル形成領域
160 高濃度不純物領域
162 絶縁膜
164 導電膜
200 基板
201 絶縁膜
202 非晶質シリコン膜
203 触媒含有層
205 結晶性シリコン膜
205’ 結晶性シリコン膜
206 バリア層
207 非晶質シリコン膜
210 配線
223 保護膜
300 素子形成層
301 基板
302 画素部
303 信号線駆動回路
304 走査線駆動回路
305 シール材
306 基板
307 充填材
308 TFT
310 TFT
311 発光素子
314 配線
315a 配線
315b 配線
316 接続端子
318 フレキシブルプリントサーキット(FPC)
319 異方性導電膜
400 基板
401 信号線駆動回路
402 画素部
403 走査線駆動回路
404 可撓性基板
405 シール材
408 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
409 絶縁膜
411 nチャネル型TFT
412 pチャネル型TFT
413 スイッチング用TFT
414 容量素子
421 層間絶縁膜
422 画素電極
423 保護膜
424 配向膜
430 基板
431 カラーフィルタ
432 ブラックマトリクス(BM)
433 対向電極
434 配向膜
440 液晶
9101 本体
9102 表示部
9201 本体
9202 表示部
9301 本体
9302 表示部
9401 本体
9402 表示部
9501 本体
9502 表示部
9701 表示部
9702 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器を備えたプラズマCVD装置で、薄膜を形成する工程を含む半導体装置の作製方法であり、
前記反応容器にフッ化物ガスを導入し、前記フッ化物ガスに電界を印加してプラズマを生成して、前記フッ化物ガスによるプラズマガスエッチングによって前記反応容器内をクリーニングし、
前記クリーニングにより、前記フッ化物ガスが残留している前記反応容器内に基板を設置し、
前記反応容器内に、薄膜形成用プロセスガスを導入し、前記プロセスガスに電界を印加してプラズマを生成し、当該プラズマに含まれる活性種の化学反応により前記基板の被形成面に薄膜を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項2】
反応容器を備えたプラズマCVD装置で、薄膜を形成する工程を含む半導体装置の作製方法であり、
前記反応容器にフッ化物ガスを導入し、前記フッ化物ガスに電界を印加してプラズマを生成して、前記フッ化物ガスによるプラズマガスエッチングによって前記反応容器内をクリーニングし、
前記クリーニングにより、前記フッ化物ガスが残留している前記反応容器内に基板を設置し、
前記反応容器内に、窒素ガスまたはハロゲンガスを導入し、前記窒素ガスまたはハロゲンガスに電界を印加してプラズマを生成し、
前記反応容器への前記窒素ガスまたはハロゲンガスの導入を停止し、
前記反応容器に薄膜形成用プロセスガスを前記反応容器に導入し、前記薄膜形成用プロセスガスに電界を印加してプラズマを生成し、当該プラズマに含まれる活性種の化学反応により前記基板の被形成面に薄膜を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項3】
反応容器を備えたプラズマCVD装置で、薄膜を形成する工程を含む半導体装置の作製方法であり、
前記反応容器内に基板を設置し、
前記反応容器にフッ化物ガスを導入し、
前記反応容器への前記フッ化物ガスの導入を停止し、
前記反応容器に薄膜形成用プロセスガスを前記反応容器に導入し、前記薄膜形成用プロセスガスに電界を印加してプラズマを生成し、当該プラズマに含まれる活性種の化学反応により前記基板の被形成面に薄膜を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項4】
反応容器を備えたプラズマCVD装置で、薄膜を形成する工程を含む半導体装置の作製方法であり、
前記反応容器内に基板を設置し、
前記反応容器にフッ化物ガスを導入し、
前記反応容器への前記フッ化物ガスの導入を停止して、前記反応容器内に、窒素ガスまたはハロゲンガスを導入し、前記窒素ガスまたはハロゲンガスに電界を印加してプラズマを生成し、
前記反応容器への前記窒素ガスまたはハロゲンガスの導入を停止し、
前記反応容器に薄膜形成用プロセスガスを前記反応容器に導入し、前記薄膜形成用プロセスガスに電界を印加してプラズマを生成し、当該プラズマに含まれる活性種の化学反応により前記基板の被形成面に薄膜を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記フッ化物ガスは、COF、NF、SF、C又はCFから選ばれたガスであることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記フッ化物ガスの代わりに、フッ素ガスを用いることを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−277707(P2008−277707A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122693(P2007−122693)
【出願日】平成19年5月7日(2007.5.7)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】