説明

半導体装置の製造方法、半導体装置、露光マスクおよび露光装置

【課題】基板周辺部における少なくとも第2絶縁膜に複数の凹部を形成するすることで、配線を形成する研磨時の絶縁膜剥がれを防止することを可能とする。
【解決手段】基板11上に少なくとも2層以上の配線層を備えた多層配線を形成する工程を備え、配線層を形成する配線は、基板11上に設けられた絶縁膜に配線用凹部(図示せず)を形成して配線用凹部内に導電膜41を埋め込むように絶縁膜上に導電膜41を形成する工程と、導電膜41を研磨して配線用凹部内に導電膜41を残すことで配線を形成する工程とにより形成される半導体装置の製造方法であって、絶縁膜は、第1絶縁膜21と第2絶縁膜22とを積層したものからなり、絶縁膜上に導電膜41を形成する前に、基板周辺部における少なくとも第2絶縁膜22に複数の凹部31を形成する工程を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁膜に形成された溝内に導電膜を埋め込んだ後、絶縁膜上の余剰な導電膜を研磨によって除去し、溝内のみに銅系金属を残して溝配線を形成する際に、配線間の絶縁膜の剥がれを抑制することが容易な半導体装置の製造方法および半導体装置に関するものであり、また上記絶縁膜の剥がれを抑制する製造工程を用いる露光マスクおよび露光装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多層配線構造の半導体装置の製造方法では、配線間を電気的に絶縁する絶縁膜を2種類以上の絶縁膜を積層した構造に形成している。特に、絶縁膜の誘電率(k)の値を小さくするために、従来から使用されていた酸化シリコン膜や窒化シリコン膜に比べ、密着性の弱い種々の絶縁膜が使われている。
【0003】
上記多層配線構造を製造する技術としては、絶縁層に形成した溝および穴に導電材料となる銅を埋め込んで形成する、いわゆるデュアルダマシン方法について開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に開示されている絶縁層は積層構造であり、特許文献1の図3および段落番号0032に「誘電絶縁層2、3および4を付着させて高導電率の相互接続を形成するプロセスを開始する。1対の絶縁層はECR、スパッタリング、プラズマCVD、CVD、スピンコーティング、またはこれらの方法の任意の組み合わせによって付着させることができる。たとえば、これらの絶縁層はポリイミド、窒化シリコン、アルミナ、二酸化シリコン、リンケイ酸ガラス、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、エアロゲル、またはこれらの材料の任意の組み合わせで作ることができる。」ことが記載されている。
【0004】
また、配線(ライン)層の絶縁膜とビア層の絶縁膜との積層構造を有し、ビア層の絶縁膜がTEOS酸化膜/有機ポリマー系スピンオン材料膜の積層膜であり、配線層の絶縁膜がTEOS酸化膜/有機ポリマー系スピンオン材料膜の積層膜である半導体装置が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
このような絶縁膜の低誘電率化に伴い、積層構造の絶縁膜を用いた場合、特に絶縁膜の誘電率kが2.6以下のものを用いると、研磨工程における絶縁膜界面での剥がれが問題となっている。この絶縁膜が剥がれる現象は、いわゆる銅ダマシン法によって銅配線を形成する際に用いる化学的機械研磨(以下CMPという、CMPはChemical Mechanical Polishingの略)工程において特に顕著に現れる。
【0006】
そこで剥がれを回避するために広い絶縁膜部に銅のダミーパターンを形成することが提案されている。しかしながら、スクライブラインへのダミーパターンの形成は技術的に困難であった。この困難でるという理由は、パッケージングを行う際のスクライブ工程にて、ダイサーの目詰まりやメタルの飛散が問題となるためである。また、スクライブパターンには位置合わせのためのマーク等が存在し、ダミーパターンを形成することが不可能な領域もあるためである。さらに、スクライブラインだけでなく、有効領域内でもダミーパターンを形成することが禁止されている領域があるため、ウエハ全面へのダミーパターンの挿入は困難であった。このため、ダミーパターンを挿入できない部分において、CMPでの剥がれが発生するという問題があった。この剥がれは、ウエハエッジ近傍の周辺露光部において、絶縁膜の段差が発生するために、この部分を起点として発生していた。
【0007】
従来の剥がれ防止技術としては、素子取りのできないウエハ周辺部分に所定のパターンを有するマスクで露光を行い、所定形状のダミーパターンを形成し、そこに銅を埋め込むことで、剥がれの発生を防止できるとしたものである(例えば、特許文献2参照。)。
【0008】
しかしながら、特許文献2に開示された方法を、実際の半導体装置の製造に採用した場合には、上記説明したように、スクライブラインへのダミーパターンの挿入が困難であることから、スクライブラインにおいて、周辺露光部から剥がれが発生するという問題があった。また、従来技術では、1ショットで露光される20mm四方乃至30mm四方程度の領域中に、複数の半導体装置製品を形成することも広く行なわれているが、特許文献2に記載された方法では、ダミーマスクを用いた露光部に、ウエハエッジからかなり内側の領域が含まれているため、この部分での半導体装置の形成はできない、すなわち、1ウエハ当たり形成可能な半導体装置数を低下させてしまう問題もあった。
【0009】
【特許文献1】特許第3057054号公報
【特許文献2】特開2000−252281号公報
【非特許文献1】西岡康隆著 「CD制御に基づいた有機Low−k/Cuインテグレーション技術」、グローバルネット株式会社主催“k<2.5に向けたLow−k膜ダマシンプロセスの基礎理論と配線応用技術”p.4-1-1〜4-1-8、2002年2月20日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、配線溝等に埋め込みを行った導電膜の余剰部分のCMP工程で絶縁膜が剥がれる点である。特に、CMP時に圧力が集中するウエハのエッジ近傍または絶縁膜のエッジ近傍での絶縁膜の剥がれを防止することが難しい点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の半導体装置の製造方法は、基板上に少なくとも2層以上の配線層を備えた多層配線を形成する工程を備え、前記配線層を形成する配線は、前記基板上に設けられた絶縁膜に配線用凹部を形成して該配線用凹部内に導電膜を埋め込むように該絶縁膜上に該導電膜を形成する工程と、前記導電膜を研磨して前記配線用凹部内に前記導電膜を残すことで前記配線を形成する工程とにより形成される半導体装置の製造方法であって、前記絶縁膜は、第1絶縁膜と第2絶縁膜とを積層したものからなり、前記絶縁膜上に前記導電膜を形成する前に、前記基板周辺部における少なくとも前記第2絶縁膜に複数の凹部を形成する工程を備えたことを最も主要な特徴とする。
【0012】
本発明の半導体装置は、基板上に少なくとも2層以上の配線層を備えたもので、前記配線層を形成する配線は、前記基板上に設けられた絶縁膜に形成された配線用凹部内に導電膜を埋め込み、その後に絶縁膜上の余剰な前記導電膜を研磨により除去して、前記配線用凹部内のみに残した前記導電膜で形成されたものからなる半導体装置であって、前記絶縁膜は、第1絶縁膜と第2絶縁膜とを積層したものからなり、前記配線用凹部内に前記導電膜を埋め込む前に、前記基板周辺部における少なくとも前記第2絶縁膜に複数の凹部が形成されていることを最も主要な特徴とする。
【0013】
本発明の露光マスクは、基板上に設けられた第1絶縁膜と第2絶縁膜とを積層した絶縁膜に配線用凹部を形成するとともに、前記基板周辺部における少なくとも前記第2絶縁膜に複数の凹部を形成する工程と、前記配線用凹部内および前記複数の凹部内に導電膜を埋め込むように前記絶縁膜上に前記導電膜を形成する工程と、前記導電膜を研磨して前記配線用凹部内に前記導電膜を残すことで配線を形成する工程とを備え、露光により露光マスクに形成されたパターンが転写され、かつ現像処理された感光性レジスト膜をエッチングマスクに用いて少なくとも前記第2絶縁膜をエッチングして前記複数の凹部を形成する工程を有する半導体装置の製造方法で用いられる前記露光マスクであって、前記露光マスクは、透光性を有するマスク基板と、前記マスク基板における前記複数の凹部に対応した位置に形成された遮光パターン、もしくは前記マスク基板の全面に形成された遮光膜における前記複数の凹部に対応した位置に形成された開口パターンを有することを最も主要な特徴とする。
【0014】
本発明の露光装置は、基板上に設けられた第1絶縁膜と第2絶縁膜とを積層した絶縁膜に配線用凹部を形成するとともに、前記基板周辺部における少なくとも前記第2絶縁膜に複数の凹部を形成する工程と、前記配線用凹部内および前記複数の凹部内に導電膜を埋め込むように前記絶縁膜上に前記導電膜を形成する工程と、前記導電膜を研磨して前記配線用凹部内に前記導電膜を残すことで配線を形成する工程とを備え、前記複数の凹部を形成する工程は、露光により露光マスクに形成されたパターンが転写され、かつ現像処理された感光性レジスト膜をエッチングマスクに用いて少なくとも前記第2絶縁膜をエッチングして前記複数の凹部を形成する工程を有する半導体装置の製造方法で用いられる前記露光マスクが装着された露光装置であって、前記露光マスクは、前記露光マスク基板における前記複数の凹部に対応した位置に形成された遮光パターン、もしくは前記露光マスク基板の全面に形成された遮光膜における前記複数の凹部に対応した位置に形成された開口パターンを有することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の半導体装置の製造方法は、絶縁膜上に導電膜を形成する前に、基板周辺部における少なくとも第2絶縁膜に複数の凹部を形成する工程を備えたため、絶縁膜上に導電膜を形成した際に凹部内にも導電膜が埋め込まれるので、凹部内に埋め込まれた導電膜が絶縁膜を接着する機能を果たすことができる。このため、導電膜を研磨して配線用凹部内に導電膜を残す工程で絶縁膜が剥がれるという問題が解決され、絶縁膜の剥がれの無い研磨を行うことができるという利点がある。特に、比誘電率k=2.6以下、ヤング率が5GPa以下の低誘電率膜を含む絶縁膜に対して、研磨時における絶縁膜の剥がれの発生を抑えるのに効果的である。よって、半導体装置を高い歩留りで製造することができるようになる。さらに、スクライブライン上に複数の凹部は形成されないので、パッケージング工程で目詰まり等の問題も生じない。さらにまた、基板面内の余裕スペースに形成される位置合わせマークにも影響を及ぼすことはない。
【0016】
本発明の半導体装置は、配線用凹部内に導電膜を埋め込む前に、基板周辺部における少なくとも第2絶縁膜に複数の凹部が形成されているため、絶縁膜上に導電膜を形成した際に凹部内にも導電膜が埋め込まれるので、凹部内に埋め込まれた導電膜が絶縁膜を接着する機能を果たすことができる。このため、導電膜を研磨して配線用凹部内に導電膜を残して配線を形成する際に絶縁膜が剥がれるという問題が解決され、絶縁膜の剥がれの無い半導体装置を提供することができるという利点がある。特に、比誘電率k=2.6以下、ヤング率が5GPa以下の低誘電率膜を含む絶縁膜に対して、研磨時における絶縁膜の剥がれの発生を抑えるのに効果的である。よって、歩留りの高い半導体装置となる。さらに、スクライブライン上に複数の凹部は形成されないので、パッケージング工程で目詰まり等の問題も生じない。さらにまた、基板面内の余裕スペースに形成される位置合わせマークにも影響を及ぼすことはない。
【0017】
本発明の露光マスクは、上記説明した本発明の半導体装置の製造方法において、複数の凹部を形成する際に、感光性レジスト膜を露光、現像してエッチングマスクを形成する際の露光マスクとして用いることができる。すなわち、本発明の露光マスクは、マスク基板における複数の凹部に対応した位置に形成された遮光パターンを有するものでは、感光性レジスト膜にネガ型レジストを用い、マスク基板の全面に形成された遮光膜における前記複数の凹部に対応した位置に形成された開口パターンを有するものでは、感光性レジスト膜にポジ型レジストを用いることで、基板周辺部における感光性レジスト膜に、所望の凹部を形成するためのパターンを形成することができる。したがって、本発明の半導体装置の製造方法において、少なくとも第2絶縁膜に複数の凹部を形成するためのエッチングマスクとなる感光性レジスト膜を露光することができるので、少なくとも第2絶縁膜に複数の凹部を形成することができるようになる。それによって導電膜を研磨して配線用凹部内に導電膜を残して配線を形成する際に絶縁膜が剥がれるという問題を解決するプロセスを提供することができ、絶縁膜の剥がれの無い半導体装置を提供することができるという利点が得られる。
【0018】
本発明の露光装置は、本発明の露光マスクが装着された露光装置であるから、上記説明した本発明の露光マスクにより得られる利点と同様なる利点を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
埋め込み配線用の銅膜を研磨する際に、絶縁膜が剥がれるのを防止して品質および歩留りの向上を図るという目的を、溝配線を形成するための銅膜を成膜する前に、基板周辺における絶縁膜に複数の凹部を形成しておくことで実現した。すなわち、基板上に少なくとも2層以上の配線層を備えた多層配線を形成する工程を備え、配線層を形成する配線は、基板上に設けられた絶縁膜に配線用凹部を形成して該配線用凹部内に導電膜を埋め込むように該絶縁膜上に該導電膜を形成する工程と、導電膜を研磨して配線用凹部内に導電膜を残すことで配線を形成する工程とにより形成される半導体装置の製造方法であって、配線間に形成される絶縁膜は、第1絶縁膜と第2絶縁膜とを積層したものからなり、絶縁膜上に導電膜を形成する前に、基板周辺部における少なくとも第2絶縁膜に複数の凹部を形成する工程を備えている。また、上記複数の凹部を形成するために用いる露光マスクおよび露光装置を提供する。
【実施例1】
【0020】
本発明の半導体装置に係る一実施例を、図1の概略構成断面図によって説明する。
【0021】
図1に示すように、本発明の半導体装置1は以下のような構成を成す。例えば素子(例えばトランジスタ等)、配線等(図示せず)が形成された基板(ウエハ)11上に絶縁膜12が形成されている。また、絶縁膜12には、図示はしないが、配線、上層の配線との接続部や電極等が形成されていてもよい。上記基板11には例えばシリコン基板が用いられている。また上記絶縁膜12は、酸化シリコン膜からなり、例えば500nmの厚さに形成されている。
【0022】
上記絶縁膜12上にはビアが形成される第1絶縁膜(ビア層絶縁膜)21が形成されている。ここでは第1絶縁膜21は例えば炭化酸化シリコン(SiOC)系の膜で形成する。上記第1絶縁膜21は、例えばプラズマCVD法により200nmの厚さに成膜されているものである。上記絶縁膜12および第1絶縁膜21の成膜の具体例としては、平行平板型プラズマCVD装置を用い、その際使用する原料ガスのうちシリコン源としてメチルシランを用いた。また成膜条件としては基板温度を300℃〜400℃に設定し、プラズマパワーを150〜350W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。
【0023】
さらに、第1絶縁膜21上には、配線が形成される第2絶縁膜(配線層絶縁膜)22が形成されている。この第2絶縁膜22は、例えば酸化シリコン(SiO2)膜が用いられている。この酸化シリコン膜は、例えばプラズマCVD法により成膜される。上記第2絶縁膜22の膜厚は、例えば300nmとした。
【0024】
上記絶縁膜12のエッジ位置に対して上記第1絶縁膜21および第2絶縁膜22のエッジ位置は内側に形成されている。すなわち、第1絶縁膜21および第2絶縁膜22の最外周部は除去されている。それによって、上記第1絶縁膜21および第2絶縁膜22のエッジ位置は基板11周端から例えば1.5mm内側に形成されている。以下、第1、第2絶縁膜21、22の最外周部の除去された領域を絶縁膜除去領域Rとする。
【0025】
さらに、基板11の周辺部における上記少なくとも第2絶縁膜22(図面では第2絶縁膜22と第1絶縁膜21)には、複数の凹部31(図面では3本の凹部311、312、313)が形成されている。上記凹部31は、それぞれが例えば環状に形成され、かつ同心円状に配置されている。そして各凹部31は、その幅が例えば20μmに形成されており、各凹部31間の間隔が例えば20μmとなるように配置されている。そして、各凹部31は、基板11周端から1.5mm〜2mmの範囲内に形成されている。以下、第1、第2絶縁膜21、22において複数の凹部31が環状に形成されている領域を環状領域Sとする。
【0026】
また、図示はしないが、上記第2絶縁膜22には溝配線を形成するための配線用凹部(配線用溝)が形成され、上記第1絶縁膜21には、上記第2絶縁膜22に形成される配線と下層の配線、電極、接続部等とを接続するビアコンタクト部が形成されるビアホールが形成されている。そして、上記各凹部31、配線用凹部(図示せず)、ビアホール(図示せず)等を埋め込むように導電膜41が上記第2絶縁膜22上に形成されている。この導電膜41は、例えば、密着膜(バリアメタル膜も兼ねても良い)と配線、ビアコンタクト部等を形成する配線形成膜(ビアコンタクト部を形成する膜も含む)とからなっている。例えば密着膜にはタンタル(Ta)膜が用いられ、配線形成膜には銅膜が用いられる。図面では、第2絶縁膜22上の余剰な銅膜および密着膜を化学的機械研磨(以下CMPという、CMPはChemical Mechanical Polishingの略)により除去した後の状態を示した。したがって、上記各凹部31、配線用凹部(図示せず)、ビアホール(図示せず)には、密着膜を介して銅が埋め込まれた状態となっている。また、第1絶縁膜21および第2絶縁膜22の最外周部の絶縁膜12上の一部にも密着膜を介して導電膜41が残される。
【0027】
上記凹部31は、上記説明した形状、配置位置に限定されることはない。その他の形状例、配置例については、後に詳細に説明する。
【0028】
本発明の半導体装置1は、配線用凹部内に導電膜41を埋め込む前に、基板11周辺部における少なくとも第2絶縁膜22に複数の凹部31が形成されているため、第2絶縁膜22上に導電膜41を形成した際に凹部31内にも導電膜41が埋め込まれるので、凹部31内に埋め込まれた導電膜41が第1、第2絶縁膜21、22と接着する機能を果たすことができる。このため、基板11周辺部における第1、第2絶縁膜21、22の膜剥がれ耐性が高められるので、導電膜41を研磨して配線用凹部内に導電膜41を残して配線を形成する際の第1、第2絶縁膜21、22が剥がれるという問題を解決することができ、絶縁膜の剥がれの無い半導体装置1を提供することができるという利点がある。特に、比誘電率k=2.6以下、ヤング率が5GPa以下の低誘電率膜を含む絶縁膜に対して、研磨時における絶縁膜の剥がれの発生を抑えるのに効果的である。よって、歩留りの向上が図れるとともに、絶縁膜の信頼性の向上が図れる。さらに、基板11に形成されるチップ間を分離するスクライブライン上に複数の凹部31は形成されないので、パッケージング工程で目詰まり等の問題も生じない。さらにまた、基板11面内の余裕スペースに形成される位置合わせマーク(図示せず)にも影響を及ぼすことはない。よって、信頼性の高い多層配線構造が構成された半導体装置1となる。
【実施例2】
【0029】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施例を、図2〜図7の概略構成斜視図および概略構成断面図によって説明する。図2〜図5では、(1)に概略構成斜視図を示し、(2)に基板直径方向の概略構成断面図を示し、図6〜図7では、概略構成断面図を示した。なお、概略構成断面図は分かり易くするため、厚さ方向に拡大されている。また、図中の基板上に描かれている矢印は基板の回転方向の一例を示すもので、この回転方向は逆方向であってもよい。
【0030】
図2に示すように、基板11上に絶縁膜12を形成する。上記基板11には、例えばシリコン基板が用いられ、図示しない半導体素子、配線等が形成されていてもよい。また上記絶縁膜12は、酸化シリコン膜からなり、例えば500nmの厚さに形成されている。その成膜方法は、例えばプラズマCVD法による。次に、上記絶縁膜12上に第1絶縁膜(例えばビアコンタクトが形成される絶縁膜:ビア層絶縁膜)21を形成する。ここでは第1絶縁膜21はSiOC系の膜で形成する。例えば、SiOC膜、SiOC膜中に窒素もしくは水素が含まれた膜等である。上記第1絶縁膜21は、例えば200nmの厚さに成膜する。この成膜方法は、一例として、平行平板型プラズマCVD装置を用い、原料ガスのシリコン源としてメチルシランを用いた。また成膜条件としては基板温度を300℃〜400℃に設定し、プラズマパワーを150W〜350W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。以下、各種絶縁膜形成した基板11をウエハという。
【0031】
次に、図3に示すように、上記第1絶縁膜21上に第2絶縁膜(例えば配線層が形成される絶縁膜:配線層絶縁膜)22を成膜する。この第2絶縁膜22には、酸化シリコン(SiO2)膜を用いた。この酸化シリコン膜は、例えばプラズマCVD法によって成膜することができ、例えば300nmの厚さに成膜した。
【0032】
次に、図4に示すように、塗布法によって、上記第2絶縁膜22上に感光性レジスト膜51を形成する。ここでは、上記感光性レジスト膜51を感光した部分が現像工程で溶出するポジ型レジストで形成した。そして、基板11を例えば矢印ア方向に回動させながら、露光マスク71を用いて露光Lを感光性レジスト膜51に照射する。その際、感光領域は、ウエハ端部から内側方向に例えば1.5mmの範囲における上記感光性レジスト膜51のエッジ領域、およびさらにウエハ端部から内側方向に、例えば1.5mmから2mmの範囲において20μm間隔にかつ同心円状になる20μm幅の環状領域となるようにした。ここで用いる露光マスク71および露光装置については、後に説明する。なお、斜視図において、露光領域は梨地模様で示した。
【0033】
その後、露光された上記感光性レジスト膜51に対して、通常の現像工程を行い、レジストからなるエッチングマスクを形成する。
【0034】
次に、このエッチングマスクを用いて、上記第2絶縁膜22および第1絶縁膜21をエッチング除去する。この結果、図5に示すように、基板11の周辺部における上記第1、第2絶縁膜21、22に、環状に複数の凹部31(311、312、313)が形成された。これとともに、第1、第2絶縁膜21、22の最外周部分もエッチング除去された。詳しく説明すれば、第1、第2絶縁膜21、22の最外周部の全周にわたって幅1.5mmの領域(絶縁膜除去領域R)が除去され、その内側の第1、第2絶縁膜21、22には、幅20μmの環状の溝からなる複数の凹部31が20μmの間隔をおいて、同心円状に形成された。この領域を環状領域Sとする。
【0035】
その後、感光性レジスト膜51からなるエッチングマスクも除去する。上記図5では、感光性レジスト膜51を除去した後の状態を示した。
【0036】
上記複数の凹部31を形成する工程(第1、第2絶縁膜21、22のエッジ除去工程も含む)は、第1、第2絶縁膜21、22に配線用凹部(図示せず)を形成する工程と一緒、もしくは前後等に行うことができる。この配線用凹部とは、溝配線を形成するための配線溝、上層配線と下層配線、下層の接続部、下層の電極等を繋ぐビアホールをいう。
【0037】
例えば、上記第1絶縁膜21を形成した後に第1絶縁膜21にビアホール(図示せず)を形成する。その後、第1絶縁膜21上に上記第2絶縁膜22を形成した後、配線溝(図示せず)と先に第1絶縁膜21に形成したビアホール(図示せず)を再度開口する工程を行うことによって、溝配線を形成するための配線溝とこの配線溝と下層の配線、接続部、電極等に通じるビアホール(図示せず)を開口する工程を行い、その後、上記複数の凹部31の形成および第1、第2絶縁膜21、22のエッジ領域の除去を行ってもよい。
【0038】
または、上記第1絶縁膜21を形成した後に第1絶縁膜21にビアホール(図示せず)を形成する。その後、第1絶縁膜21上に上記第2絶縁膜22を形成した後、配線溝(図示せず)と先に第1絶縁膜21に形成したビアホール(図示せず)を再度開口する工程を行う。その際、配線溝と同時に上記複数の凹部31の形成および第1、第2絶縁膜21、22のエッジ領域の除去を行ってもよい。
【0039】
または、上記第1絶縁膜21を形成した後に第1絶縁膜21にビアホール(図示せず)を形成する。次に、上記複数の凹部31の形成および第1、第2絶縁膜21、22のエッジ領域の除去を行う。その後、第1絶縁膜21上に上記第2絶縁膜22を形成した後、配線溝(図示せず)と先に第1絶縁膜21に形成したビアホール(図示せず)を再度開口する工程を行うことによって、溝配線を形成するための配線溝とこの配線溝と下層の配線、接続部、電極等に通じるビアホール(図示せず)を開口する工程を行い、その後、上記複数の凹部31の形成および第1、第2絶縁膜21、22のエッジ領域の除去を行ってもよい。
【0040】
このように、複数の凹部31の形成工程は、配線溝およびビアホールを同時形成する、いわゆるデュアルダマシンプロセスに適用することが可能である。このデュアルダマシンプロセスに関しては、種々の方法(例えば特開2001−44189号公報、特許第3057054号公報等に記載されているようなプロセス)が開示されており、ビアホールが形成される第1絶縁膜21と配線が形成される第2絶縁膜22とが積層される構成であり、配線溝、ビアホール等に銅を埋め込んだ後、その銅を研磨工程によって除去するプロセスが採用されるものであれば、本発明に係わる複数の凹部31を形成することができる。
【0041】
次に、図6に示すように、配線用凹部(図示せず)および複数の凹部31内を埋め込むようにして、上記第2絶縁膜22上に導電膜41を形成する。この導電膜41は、下層に密着膜(図示せず)が形成され、その上層に銅が堆積されたものである。上記密着膜は、上記第2、第1絶縁膜22、21、さらに下層の絶縁膜12と銅の密着性を確保しつつ、銅の不要な拡散を防止するものであればよく、例えばタンタル(Ta)膜で形成されている。もしくは、チタン(Ti)膜と窒化チタン(TiN)膜との積層膜、タンタル(Ta)膜と窒化タンタル(TaN)膜との積層膜等で形成されている。ここでは、一例として、スパッタリング法によって、20nmの厚さにタンタル(Ta)膜を形成して密着層とした後、めっきシード層となる銅膜を100nmの厚さに成膜する。その後、めっき法によって、1μmの厚さに銅膜を形成することで、上記導電膜41を構成した。
【0042】
次に、CMPによって、上記第2絶縁膜22上の余剰な上記導電膜41を研磨する。その結果、図7に示すように、配線用凹部(図示せず)および環状領域Sの複数の凹部31内に導電膜41が埋め込まれる。また、第1、第2絶縁膜21、22の最外周部を除去した絶縁膜除去領域Rにも一部、導電膜41が残される。
【0043】
上記CMP条件は、一例として、研磨パッドに、例えば上層が発泡ポリウレタン製で下層がPET(ポリエチレンテレフタレート)製のものを用いた。このような研磨パッドとしては、一例として、上層がロデール社製の厚さ1.2mmのIC1000で下層が同社製の厚さ1.2mmのSUBA400よりなる積層された研磨パッドがある。研磨液(研磨スラリー)には、アルカリ溶媒に分散したコロイダルシリカに酸化剤として過酸化水素水(H22)を添加したものを用いる。例えばJSR社製のCMS7301がある。上記研磨液の供給流量は例えば200ml/minとして、研磨パッドの回転数は例えば100rpm、ウエハ(基板)回転数は例えば:110rpm、研磨圧力は例えば300g/cm2,研磨時間は例えば120secとした。これにより、第2絶縁膜22上の銅膜が除去され、タンタル膜表面が露出された。
【0044】
さらに、第2絶縁膜22上の余剰な密着層をCMPした。このCMPでは、研磨パッドに、例えば上層が発泡ポリウレタン製で下層がPET(ポリエチレンテレフタレート)製のものを用いた。このような研磨パッドとしては、一例として、上層がロデール社製の厚さ1.2mmのIC1000で下層が同社製の厚さ1.2mmのSUBA400よりなる積層された研磨パッドがある。研磨液には、アルカリ溶媒に分散したコロイダルシリカに酸化剤として過酸化水素水(H22)を添加したものを用いる。例えばJSR社製のCMS8301がある。上記研磨液の供給流量は例えば150ml/minとして、研磨パッドの回転数は例えば100rpm、ウエハ(基板)回転数は例えば:110rpm、研磨圧力は例えば300g/cm2,研磨時間は例えば60secとした。これにより、第2絶縁膜22上の密着膜を完全に除去され、酸化シリコンからなる第2絶縁膜22の表層もおよそ50nmの厚さだけ除去された。
【0045】
上記製造方法では、第2絶縁膜22、第1絶縁膜21の順でエッチングを行い、絶縁膜のエッジを除去した。ここでは、第2絶縁膜22、第1絶縁膜21ともにエッチングしたが、これはどちらを選択することも可能である。第2絶縁膜22、第1絶縁膜21ともにをエッチングする場合には、凹部31を形成したことによる密着性改善効果を高めることができるが、第2絶縁膜22のみをエッチングして形成した凹部であっても、密着性改善効果は得られる。
【0046】
本発明の半導体装置の製造方法は、第2絶縁膜22上に導電膜41を形成する前に、基板11周辺部における少なくとも第2絶縁膜22に複数の凹部31を形成する工程を備えたため、第2絶縁膜22上に導電膜41を形成した際に凹部31内にも導電膜41が埋め込まれるので、凹部31内に埋め込まれた導電膜41が第1、第2絶縁膜21、22を接着する機能を果たすことができる。このため、導電膜41を研磨して配線用凹部内に導電膜41を残す工程で第2、第1絶縁膜22、21が剥がれるという問題が解決され、絶縁膜の剥がれの無い研磨を行うことができるという利点がある。特に、比誘電率k=2.6以下、ヤング率が5GPa以下の低誘電率膜を含む絶縁膜に対して、研磨時における絶縁膜の剥がれの発生を抑えるのに効果的である。よって、半導体装置1を高い歩留りで製造することができるようになる。さらに、スクライブライン上に複数の凹部は形成されないので、パッケージング工程で目詰まり等の問題も生じない。さらにまた、基板面内の余裕スペースに形成される位置合わせマークにも影響を及ぼすことはない。よって、信頼性の高い多層配線構造が構成された半導体装置1を製造することができる。
【0047】
次に、本発明の半導体装置およびその製造方法に係る上記複数の凹部31の形状例、サイズ例、配置例について、図8〜図13によって詳細に説明する。図8〜図13では、(1)に平面図を示し、(2)にA部拡大図を示す。
【0048】
図8に示すように、絶縁膜の最外周部が除去された絶縁膜除去領域Rの内側に環状領域Sが形成される。この環状領域Sには、上記複数の凹部31が環状に形成される。例えば、各凹部31は3つの同心円状に配置される。同心円状に配置される個数は3つに限定されることはなく、所定の範囲内に入れば2つもしくは4つ以上であってもよい。この構成は、前記図5によって説明した構成と同様である。この構成では、凹部31は環状の溝に形成され、ウエハ半径方向における凹部31の幅は、0.1μm以上150μm以下とし、より好ましくは0.1μm以上50μm以下とする。また凹部31間の間隔は、0.1μm以上150μm以下とし、より好ましくは0.1μm以上50μm以下とする。さらに、絶縁膜除去領域Rの幅Wrは、基板11の端部から例えば少なくとも10mm以内、好ましくは1.0mm以上5.0mm以内とする。
【0049】
図9に示すように、絶縁膜の最外周部が除去された絶縁膜除去領域Rの内側に環状領域Sが形成される。この環状領域Sには、上記複数の凹部31が環状に配置される。例えば、各凹部31は溝形状を成し、その溝形状の凹部31が間隔を置いて例えば3つの環状に配置され、さらに、3つの環状は、例えば同心円状に配置されている。この構成では、凹部31は溝に形成され、ウエハ半径方向における凹部31の幅は、0.1μm以上150μm以下とし、より好ましくは0.1μm以上50μm以下とし、溝の長さは特に規定されない。また凹部31間の幅方向の間隔は、0.1μm以上150μm以下とし、より好ましくは0.1μm以上50μm以下とする。さらに、絶縁膜除去領域Rの幅Wrは、基板11の端部から例えば少なくとも10mm以内、好ましくは1.0mm以上5.0mm以内とする。
【0050】
図10に示すように、絶縁膜の最外周部が除去された絶縁膜除去領域Rの内側に環状領域Sが形成される。この環状領域Sには、上記複数の凹部31が環状に配置される。例えば、各凹部31は穴形状を成し、その穴形状の凹部31が間隔を置いて例えば3つの環状に配置され、さらに、3つの環状に配置された凹部31は、例えば同心円状に配置されている。この構成では、凹部31は例えば矩形(例えば、図面では正方形であるが、長方形、ひし形、平行四辺形等であってもよい)の穴に形成され、ウエハ半径方向における凹部31の幅は、0.1μm以上150μm以下とし、より好ましくは0.1μm以上50μm以下とする。また凹部31間の幅方向の間隔は、0.1μm以上150μm以下とし、より好ましくは0.1μm以上50μm以下とする。さらに、絶縁膜除去領域Rの幅Wrは、基板11の端部から例えば少なくとも10mm以内、好ましくは1.0mm以上5.0mm以内とする。
【0051】
図11に示すように、絶縁膜の最外周部が除去された絶縁膜除去領域Rの内側に環状領域Sが形成される。この環状領域Sには、上記複数の凹部31が環状に配置される。例えば、各凹部31は穴形状を成し、その穴形状の凹部31が間隔を置いて例えば3つの環状に配置され、さらに、3つの環状は、例えば同心円状に配置されている。この構成では、凹部31は例えば円形(例えば、図面では円形であるが、長円形、楕円形等であってもよい)の穴に形成され、ウエハ半径方向における凹部31の幅は、0.1μm以上150μm以下とし、より好ましくは0.1μm以上50μm以下とする。また凹部31間の幅方向の間隔は、0.1μm以上150μm以下とし、より好ましくは0.1μm以上50μm以下とする。さらに、絶縁膜除去領域Rの幅Wrは、基板11の端部から例えば少なくとも10mm以内、好ましくは1.0mm以上5.0mm以内とする。
【0052】
図12に示すように、絶縁膜の最外周部が除去された絶縁膜除去領域Rの内側に環状領域Sが形成される。この環状領域Sには、上記複数の凹部31が環状に配置される。例えば、各凹部31は穴形状を成し、その穴形状の凹部31が間隔を置いて例えば所定の幅の環状領域に配置されている。この構成では凹部31は、例えば矩形(例えば、図面では正方形であるが、長方形、ひし形、平行四辺形等であってもよい)の穴に形成され、もしくは、図示はしていないが円形(例えば、真円形、長円形、楕円形等)の穴に形成され、ウエハ半径方向における凹部31の幅wは、0.1μm以上150μm以下とし、より好ましくは0.1μm以上50μm以下とする。また凹部31間の幅方向の間隔dは、0.1μm以上150μm以下とし、より好ましくは0.1μm以上50μm以下とする。さらに、絶縁膜除去領域Rの幅Wrは、基板11の端部から例えば少なくとも10mm以内、好ましくは1.0mm以上5.0mm以内とする。
【0053】
図13に示すように、絶縁膜の最外周部が除去された絶縁膜除去領域Rの内側に環状領域Sが形成される。この環状領域Sには、上記複数の凹部31が環状に配置される。例えば、各凹部31は十字形状の穴形状を成し、その穴形状の凹部31が間隔を置いて例えば所定の幅の環状領域に配置されている。この構成では凹部31は、ウエハ半径方向における凹部31の幅は1μm以上150μm以下とする。また凹部31間の幅方向の間隔は0.3μm以上150μm以下とする。さらに、絶縁膜除去領域Rの幅Wrは、基板11の端部から例えば少なくとも10mm以内、好ましくは1.0mm以上5.0mm以内とする。
【0054】
そして、図14に示すように、上記各凹部31が配置される環状領域Sは、基板11周縁から基板11の中心方向に向かって0.3mm以上5mm以内の幅Wsを有する環状の領域であり、より好ましくは、基板11周縁から基板11の中心方向に向かって0.5mm以上5mm以内の幅Wsを有する環状の領域である。また、上記環状領域Sの外側の領域は第1、第2絶縁膜21、22を除去した絶縁膜除去領域Rとなっている。この絶縁膜除去領域Rの除去幅Wrは、基板11周縁から内側に、例えば少なくとも10.0mm以内、好ましくは1.0mm以上5.0mm以内とした。
【0055】
次に、上記各数値の根拠を得るために、以下のような複数種のサンプルを作成し、研磨実験を行った結果について説明する。
【0056】
サンプルAは、前記図2〜図5によって説明したように、前記説明した本発明の半導体装置の製造方法によって、基板11上に絶縁膜12を形成し、この絶縁膜12上に第1絶縁膜21、第2絶縁膜22を積層して形成した後、第2、第1絶縁膜22、21の周辺部を除去するとともに、その除去領域より内側に複数の凹部31を形成したものである。ここでは、前記図8に示したように、3本の環状の溝を同心円状に配置した構成の複数の凹部31を形成した。
【0057】
前記図14に示すように、サンプルAでは、絶縁膜除去領域Rの除去幅Wrは1.5mmとした。また、環状領域Sの幅Ws、凹部の幅、凹部間の幅をそれぞれパラメータとした。すなわち、環状領域Sの幅Wsは、0.1mm〜1.0mmまで0.1mm刻みに設定するとともに、1.0mm〜5.0mmまで0.5mm刻みに設定した。また、環状領域Sに形成される「環状の凹部31の幅」/「凹部31の幅方向の間隔」は、0.1μm/0.1μm〜0.5μm/0.5μmまでは0.1μm刻みに設定し、1μm以上では、1μm/1μm、2μm/2μm、5μm/5μm、10μm/10μm、50μm/50μm、50μm/100μm、100μm/50μm、100μm/100μm、150μm/150μm、200μm/200μmに設定した。なお、図14では凹部31の図示は省略した。
【0058】
なお、上記サンプルAは、第1、第2絶縁膜21、22には配線溝、ビアホール等のいわゆる実パターンは形成せず、いわゆるベタ膜の第1、第2絶縁膜21、22に上記複数の凹部31を形成したものである。通常、研磨工程での膜剥がれは、実パターンが形成された膜よりもベタ膜のほうが剥がれ易いことは当業者間では周知の事実となっている。したがって、上記サンプルAで膜剥がれが起こらなければ実パターンが形成された絶縁膜では膜剥がれが起こらないといえる。
【0059】
そして、前記図6、図7によって説明したように、スパッタリング法によって、第2絶縁膜22上に上記複数の凹部31内を埋め込むように密着層となるタンタル(Ta)膜を20nmの厚さに形成した後、スパッタリング法によって、めっきシード層となる銅膜を例えば100nmの厚さに形成する。その後、めっき法によって、銅膜を例えば1μmの厚さに堆積した後、第2絶縁膜22上の余剰な銅膜を研磨(CMP)除去する。
【0060】
上記銅膜のCMP条件は、前記説明したのと同様である。このCMPによって、第2絶縁膜22上の銅膜が除去され、タンタル膜の表面が露出された。
【0061】
上記サンプルAは、同一条件で処理したものを3枚作製した。そして、各サンプルAに対して、顕微鏡を用いて膜剥がれ状態の目視検査を行った。その結果を表1〜表3に示す。
【0062】
なお、剥がれの判定は以下のように規定した。剥がれが複数の凹部が形成されている環状領域Sを超えて内側に発生したものに関しては、平均の剥がれ幅を測定した。したがって、表では数値で表した。一方、剥がれの幅が複数の凹部が形成されている環状領域Sに収まったものに関しては、全周にわたって剥がれ無いものは◎で表し、複数の凹部が形成されている環状領域S内に数箇所の剥がれが存在するものは○で表し、複数の凹部が形成されている環状領域S内の全周にわたって剥がれが発生したものは△で表し、複数の凹部が形成されている環状領域Sの内側に10mm以上の剥がれが発生したものは×とする。また、データを採取していないものには−で表した。このように、剥がれの発生状態を4段階に分類した。なお、実験では×に相当する状態は観察されなかった。
【0063】
【表1】

【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
上記表1〜表3から判るように、複数の凹部31が形成された環状領域Sの幅Wsが0.3mm以上のものでは、環状領域Sを超える剥がれが2mm以下に抑えられており、理収領域確保の観点から十分な効果が得られる。さらに、環状領域Sの幅Wsが0.5mm以上のものでは、ダミー周辺露光領域を超える剥がれが全く発生せず、より良好な理収領域を確保できるとともに、CMP時の剥がれ発生によるウエハ面へのスクラッチを効果的に抑制できることがわかった。環状領域Sの幅Wsが5mmまでは同様に環状領域Sを超える剥がれは発生しなかったが、理収確保の観点からは、環状領域Sの幅Wsを5mm以下にすることが望ましい。環状の凹部31の幅が200μmであっても、比較例に比べて顕著な効果があるものの、環状領域S内の全周にわたって剥がれが発生した。これは銅研磨時のディッシングが大きくなるために、複数の凹部31の効果が低減したものと考えられる。凹部31の幅方向の間隔が200μmであっても、比較例(比較例については後に説明する)に比べて顕著な効果があるものの、環状領域S内の全周にわたって剥がれが発生した。これは、凹部31が形成されない絶縁膜部の幅が広くなるために、凹部31の効果が低減したものと考えられる。環状の凹部31の幅、凹部31の幅方向の間隔ともに150μm以下では、剥がれ領域が環状領域Sの一部になり、50μm以下では全く剥がれが発生しなかった。したがって、本発明の有効性が実証された。
【0067】
また、上記サンプルAとは別の構成のサンプルを作製した。このサンプルをサンプルBとする。
【0068】
サンプルBは、前記図2〜図5によって説明したように、前記説明した本発明の半導体装置の製造方法によって、基板11上に絶縁膜12を形成し、この絶縁膜12上に第1絶縁膜21、第2絶縁膜22を積層して形成した後、第2、第1絶縁膜22、21の周辺部を除去するとともに、その除去領域より内側に複数の凹部31を形成したものである。ここでは、前記図10に示したように、複数の凹部31は正方形の穴形状を成し、その凹部31が間隔を置いて例えば3つの環状に配置され、その3つの環状は例えば同心円状に配置されている。このような構成の複数の凹部31を第1、第2絶縁膜21、22に形成した。
【0069】
前記図14に示すように、サンプルBでは、絶縁膜除去領域Rの除去幅Wrは1.5mmとした。また、環状領域Sの幅Ws、凹部の幅、凹部間の幅をそれぞれパラメータとした。すなわち、環状領域Sの幅Wsは、0.1mm〜1.0mmまで0.1mm刻みに設定するとともに、1.0mm〜5.0mmまで0.5mm刻みに設定した。また、環状領域Sに形成される「環状の凹部31の幅」/「凹部31の幅方向の間隔」は、0.1μm/0.1μm〜0.5μm/0.5μmまでは0.1μm刻みに設定し、1μm以上では、1μm/1μm、2μm/2μm、5μm/5μm、10μm/10μm、50μm/50μm、50μm/100μm、100μm/50μm、100μm/100μm、150μm/150μm、200μm/200μmに設定した。
【0070】
なお、上記サンプルBは、前記サンプルAと同様に、第1、第2絶縁膜21、22には配線溝、ビアホール等のいわゆる実パターンは形成せず、いわゆるベタ膜の第1、第2絶縁膜21、22に上記複数の凹部31を形成したものである。したがって、上記サンプルBで膜剥がれが起こらなければ実パターンが形成された絶縁膜では膜剥がれが起こらないといえる。
【0071】
そして、前記図6、図7によって説明したように、スパッタリング法によって、第2絶縁膜22上に上記複数の凹部31内を埋め込むように密着層となるタンタル(Ta)膜を20nmの厚さに形成した後、スパッタリング法によって、めっきシード層となる銅膜を例えば100nmの厚さに形成する。その後、めっき法によって、銅膜を例えば1μmの厚さに堆積した後、第2絶縁膜22上の余剰な銅膜を研磨(CMP)除去する。
【0072】
上記銅膜のCMP条件は、前記説明したのと同様である。このCMPによって、第2絶縁膜22上の銅膜が除去され、タンタル膜の表面が露出された。
【0073】
上記サンプルBは、同一条件で処理したものを3枚作製した。そして、各サンプルBに対して、顕微鏡を用いて膜剥がれ状態の目視検査を行った。その結果を表4〜表6に示す。剥がれの判定基準は、前記サンプルAと同様である。
【0074】
【表4】

【0075】
【表5】

【0076】
【表6】

【0077】
上記表4〜表6から判るように、複数の凹部31が形成された環状領域Sの幅Wsが0.3mm以上のものでは、環状領域Sを超える剥がれが2mm以下に抑えられており、理収領域確保の観点から十分な効果が得られる。さらに、環状領域Sの幅Wsが0.5mm以上のものでは、環状領域Sを超える剥がれが全く発生せず、より良好な理収領域を確保できるとともに、CMP時の剥がれ発生によるウエハ面へのスクラッチを効果的に抑制できることがわかった。環状領域Sの幅Wsが5mmまでは同様に環状領域Sを超える剥がれは発生しなかったが、理収確保の観点からは、環状領域Sの幅Wsを5mm以下にすることが望ましい。環状の凹部31の幅が200μmであっても、比較例と比べれば顕著な効果があるものの、環状領域S内の全周にわたって剥がれが発生した。これは銅研磨時のディッシングが大きくなるために、複数の凹部31を形成した効果が低減したものと考えられる。また凹部31の幅方向の間隔が200μmであっても、比較例に比べて顕著な効果があるものの、環状領域S内の全周にわたって剥がれが発生した。これは、凹部31が形成されない絶縁膜部の幅が広くなるために、凹部31の効果が低減したものと考えられる。環状の凹部31の幅、凹部31の幅方向の間隔ともに150μm以下では、剥がれ領域が環状領域Sの一部になり、50μm以下では全く剥がれが発生しなかった。このように、サンプルBにおいてもサンプルAと同様なる結果が得られ、本発明の有効性が実証された。このことは、凹部の形状によらず、所定の環状領域Sの幅Wsと、凹部の幅が0.1μm以上150μm以下であり、凹部間の間隔が0.1μm以上150μm以下であればよいことを示している。
【0078】
次に、比較例として、本発明に係わる複数の凹部を形成しないサンプルCを作製した。 図15に示すように、サンプルCでは、前記サンプルA、Bのように環状領域Sは形成せずに、絶縁膜の最外周部のみを除去した。その絶縁膜除去領域Rの除去幅Wrは1.5mmとした。
【0079】
次に、サンプルCの作製方法の一例を図16〜図21の概略構成斜視図および概略構成断面図によって説明する。図16〜図19では、(1)に概略構成斜視図を示し、(2)に基板直径方向の概略構成断面図を示し、図20〜図21では、概略構成断面図を示した。なお、概略構成断面図は分かり易くするため、厚さ方向に拡大されている。また、図中の基板上に描かれている矢印は基板の回転方向の一例を示すもので、この回転方向は逆方向であってもよい。
【0080】
図16に示すように、基板111上に絶縁膜112を形成する。上記基板111には、例えばシリコン基板が用いられ、図示しない半導体素子、配線等が形成されていてもよい。また上記絶縁膜112は、酸化シリコン膜からなり、例えば500nmの厚さに形成されている。その成膜方法は、例えばプラズマCVD法による。次に、上記絶縁膜112上に第1絶縁膜(例えばビアコンタクトが形成される絶縁膜:ビア層絶縁膜)121を形成する。ここでは第1絶縁膜121はSiOC系の膜で形成する。例えば、SiOC膜、SiOC膜中に窒素もしくは水素が含まれた膜等である。上記第1絶縁膜121は、例えば200nmの厚さに成膜する。この成膜方法は、一例として、平行平板型プラズマCVD装置を用い、原料ガスのシリコン源としてメチルシランを用いた。また成膜条件としては基板温度を300℃〜400℃に設定し、プラズマパワーを150W〜350W、成膜雰囲気の圧力を100Pa〜1000Pa程度に設定する。以下、各種絶縁膜形成した基板111をウエハという。
【0081】
次に、図17に示すように、上記第1絶縁膜121上に第2絶縁膜(例えば配線層が形成される絶縁膜:配線層絶縁膜)122を成膜する。この第2絶縁膜122には、酸化シリコン(SiO2)膜を用いた。この酸化シリコン膜は、例えばプラズマCVD法によって成膜することができ、例えば300nmの厚さに成膜した。
【0082】
次に、図18に示すように、塗布法によって、上記第2絶縁膜122上に感光性レジスト膜151を形成する。ここでは、上記感光性レジスト膜151を感光した部分が現像工程で溶出するポジ型レジストで形成した。そして、基板111を例えば矢印ア方向に回動させながら、露光マスク(図示せず)を用いて露光Lを感光性レジスト膜151に照射する。その際、感光領域は、ウエハ端部から内側方向に例えば1.5mmの範囲における上記感光性レジスト膜151のエッジ領域となるようにした。なお、斜視図において、露光領域は梨地模様で示した。
【0083】
その後、露光された上記感光性レジスト膜151に対して、通常の現像工程を行い、レジストからなるエッチングマスクを形成する。
【0084】
次に、このエッチングマスクを用いて、上記第2絶縁膜122および第1絶縁膜121をエッチングする。この結果、図19に示すように、基板111の周辺部上における上記第1、第2絶縁膜121、122の最外周部の全周にわたって幅1.5mmの領域(絶縁膜除去領域R)が除去された。
【0085】
その後、感光性レジスト膜151からなるエッチングマスクも除去する。上記図19では、感光性レジスト膜151を除去した後の状態を示した。
【0086】
上記第1第2絶縁膜のエッジを除去する工程は、第1、第2絶縁膜121、122に配線用凹部(図示せず)を形成する工程と一緒、もしくは前後等に行うことができる。この配線用凹部とは、溝配線を形成するための配線溝、上層配線と下層配線、下層の接続部、下層の電極等を繋ぐビアホールをいう。
【0087】
例えば、上記第1絶縁膜121を形成した後に第1絶縁膜121にビアホール(図示せず)を形成する。その後、第1絶縁膜121上に上記第2絶縁膜122を形成した後、配線溝(図示せず)と先に第1絶縁膜121に形成したビアホール(図示せず)を再度開口する工程を行うことによって、溝配線を形成するための配線溝とこの配線溝と下層の配線、接続部、電極等に通じるビアホール(図示せず)を開口する工程を行い、その後、第1、第2絶縁膜121、122にエッジ領域の除去を行ってもよい。
【0088】
または、上記第1絶縁膜121を形成した後に第1絶縁膜121にビアホール(図示せず)を形成する。その後、第1絶縁膜121上に上記第2絶縁膜122を形成した後、配線溝(図示せず)と先に第1絶縁膜121に形成したビアホール(図示せず)を再度開口する工程を行う。その際、配線溝と同時に第1、第2絶縁膜121、122のエッジ領域の除去を行ってもよい。
【0089】
または、上記第1絶縁膜121を形成した後に第1絶縁膜121にビアホール(図示せず)を形成する。次に、第1、第2絶縁膜121、122のエッジ領域の除去を行う。その後、第1絶縁膜121上に上記第2絶縁膜122を形成した後、配線溝(図示せず)と先に第1絶縁膜121に形成したビアホール(図示せず)を再度開口する工程を行うことによって、溝配線を形成するための配線溝とこの配線溝と下層の配線、接続部、電極等に通じるビアホール(図示せず)を開口する工程を行い、その後、上記エッジ領域の除去を行ってもよい。
【0090】
次に、図20に示すように、配線用凹部(図示せず)内を埋め込むようにして、上記第2絶縁膜122上に導電膜141を形成する。この導電膜141は、下層に密着膜(図示せず)が形成され、その上層に銅が堆積されたものである。上記密着膜は、上記第2、第1絶縁膜122、121、さらに下層の絶縁膜112と銅の密着性を確保しつつ、銅の不要な拡散を防止するものであればよく、例えばタンタル(Ta)膜で形成されている。もしくは、チタン(Ti)膜と窒化チタン(TiN)膜との積層膜、タンタル(Ta)膜と窒化タンタル(TaN)膜との積層膜等で形成されている。ここでは、一例として、スパッタリング法によって、20nmの厚さにタンタル(Ta)膜を形成して密着層とした後、めっきシード層となる銅膜を100nmの厚さに成膜する。その後、めっき法によって、1μmの厚さに銅膜を形成することで、上記導電膜141を構成した。
【0091】
次に、CMPによって、上記第2絶縁膜122上の余剰な上記導電膜141を研磨する。その結果、図21に示すように、配線用凹部(図示せず)内に導電膜141が埋め込まれる。また、第1、第2絶縁膜121、122の最外周部を除去した絶縁膜除去領域Rにも導電膜141の一部が残される。
【0092】
上記CMP条件は、一例として、研磨パッドに、例えば上層が発泡ポリウレタン製で下層がPET(ポリエチレンテレフタレート)製のものを用いた。このような研磨パッドとしては、一例として、上層がロデール社製の厚さ1.2mmのIC1000で下層が同社製の厚さ1.2mmのSUBA400よりなる積層された研磨パッドがある。研磨液(研磨スラリー)には、アルカリ溶媒に分散したコロイダルシリカに酸化剤として過酸化水素水(H22)を添加したものを用いる。例えばJSR社製のCMS7301がある。上記研磨液の供給流量は例えば200ml/minとして、研磨パッドの回転数は例えば100rpm、ウエハ(基板)回転数は例えば:110rpm、研磨圧力は例えば300g/cm2,研磨時間は例えば120secとした。これにより、第2絶縁膜122上の銅膜が除去され、タンタル膜表面が露出された。
【0093】
さらに、第2絶縁膜122上の余剰な密着層をCMPした。このCMPでは、研磨パッドに、例えば上層が発泡ポリウレタン製で下層がPET(ポリエチレンテレフタレート)製のものを用いた。このような研磨パッドとしては、一例として、上層がロデール社製の厚さ1.2mmのIC1000で下層が同社製の厚さ1.2mmのSUBA400よりなる積層された研磨パッドがある。研磨液には、アルカリ溶媒に分散したコロイダルシリカに酸化剤として過酸化水素水(H22)を添加したものを用いる。例えばJSR社製のCMS8301がある。上記研磨液の供給流量は例えば150ml/minとして、研磨パッドの回転数は例えば100rpm、ウエハ(基板)回転数は例えば:110rpm、研磨圧力は例えば300g/cm2,研磨時間は例えば60secとした。これにより、第2絶縁膜122上の密着膜を完全に除去され、酸化シリコンからなる第2絶縁膜122の表層もおよそ50nmの厚さだけ除去された。
【0094】
上記サンプルCでは、絶縁膜除去領域Rの除去幅Wrは1.5mmとした。また、サンプルCは、上記サンプルA,Bと同様に3枚作製した。
【0095】
上記サンプルCでは、平均して基板11の周縁(ウエハエッジ)からおよそ10mm〜15mmの幅の領域で、幅広くはがれが観察された。
【0096】
以上、説明したように、上記サンプルA、Bでは、剥がれの発生が抑制されていることがわかった。これは本来密着性が弱いサンプルであったが、エッジ近傍の剥がれが複数の凹部31が形成された環状領域Sによって抑制されたために、剥がれの起点が発生せず、結果として剥がれが生じなかったと考えられる。よって、本発明の有効性が実証された。
【0097】
また、本発明の半導体装置の製造方法では、理収の観点からも有効である。図22に示すように、通常、半導体装置の露光工程ではステッパーが用いられるため、ウエハ面内の全域を露光するには複数回の露光が必要である。通常、1ショット内の露光領域SLには、一般的に複数(例えば、4個、6個、…等)のチップ(図面では一例として4個のチップC1、C2、C3、C4を取る場合を示した)が採られる。したがって、最外周のショットでは、1ショットの露光領域SL内の一部が良品のチップとなるので、前記特開2000−252281号公報に開示されたように、1ショットの全域をダミーパターンとする場合と比較して、チップ取りの理収は良くなる。また、1ショットで1個のチップしか取らない場合であっても、環状領域S内には絶縁膜の剥がれが発生しないため、環状領域Sにぎりぎりの位置にあるショットのチップであっても良品とすることができる。
【0098】
一方、上記比較例の場合には、図23に示すように、最外周のショット内の露光領域SLには、一般的に複数(例えば、4個、6個、…等)のチップ(図面では一例として4個のチップC1、C2、C3、C4を取る場合を示した)が採られる。しかしながら、最外周のショット内のチップは銅膜のCMP時に発生する絶縁膜の剥がれの影響を受けることになる。したがって、最外周のショット内のチップが良品として採れるチップであっても膜剥がれによって不良品となる可能性が高い。また、1ショットで1個のチップしか取らない場合では、最外周部の絶縁膜除去領域Rに対してぎりぎりの位置にあるショットのチップの場合には、絶縁膜の剥がれが生じ、不良品となる。このため、比較例では、本発明よりもチップ取りの理収が悪化することになる。
【実施例3】
【0099】
次に、本発明の半導体装置の製造方法および半導体装置に係る別の実施例を説明する。
【0100】
この実施例では、前記実施例1および実施例2で用いた第1絶縁膜21(ビア層の絶縁膜)には、窒化炭化シリコン(SiCN)膜を例えば35nmの厚さに形成した後、その上に炭化酸化シリコン(SiOC)膜を例えば200nmの厚さに形成したものを用いた。上記炭化酸化シリコン(SiOC)としては、例えばブラックダイヤモンド(BD)と呼ばれるものがある。さらに前記実施例1および実施例2で用いた第2絶縁膜22(配線層の絶縁膜)には、例えばポリアリールエーテル膜(例えばSiLKと呼ばれる膜)を100nmの厚さに成膜した後、その上に酸化シリコン(SiO2)膜を例えば200nmの厚さに成膜したものを用いた(なお、酸化シリコン膜は、後のCMP工程で表面が研磨され、最終的には約150nmの厚さとなる。)。また、絶縁膜除去領域の除去幅Wrを約2mm、複数の凹部31が形成される環状領域Sの幅Wsを2mm〜3mmとし、導電膜(銅膜)のエッジカット幅を1.5mmとして積層し、5層積層構造を形成した。すなわち、第1絶縁膜21、第2絶縁膜22、導電膜41のエッジの構成を除いて、前記実施例2と同様の構成とした。そして、前記実施例2で説明したのと同様に、導電膜41を研磨(CMP)して配線およびビアコンタクトを形成した結果、第1、第2絶縁膜21、22の剥がれを発生させること無く半導体装置が形成することができた。
【実施例4】
【0101】
次に、上記半導体装置の製造方法および半導体装置を実現するための露光マスクについて説明する。
【0102】
露光マスクは、上記説明した本発明の半導体装置の製造方法および半導体装置を実現するための環状領域が構成される複数の凹部を形成する際のリソグラフィー工程の露光工程で用いるものである。すなわち、露光マスクは、上記リソグラフィー工程で用いる感光性レジスト膜がポジ型かネガ型かによって、遮光パターンが異なる。例えば、上記第2実施例で説明した感光性レジスト膜がポジ型レジストに用いる露光マスクでは、複数の凹部に対応した位置における、透光性の露光マスク基板の全面に形成された遮光膜に開口パターンが形成される。または上記第2実施例で説明した感光性レジスト膜にネガ型レジストを用いる露光マスクでは、複数の凹部に対応した位置における透光性の露光マスク基板に遮光パターンが形成される。
【0103】
また、露光光源は移動させず、基板を回転させることで基板周辺を露光する周辺露光装置に用いる露光マスクの場合には、基板(ウエハ)の一半径方向に複数の凹部に対応する開口部が形成されていればよい。この場合、基板(ウエハ)を一回転する間中、露光することによって、前記図8のような環状の凹部31を得るための露光パターンが得られる。また間欠に露光することによって、前記図9、図10のような点状の凹部31を得るための露光パターンが得られる。
【0104】
また、プロジェクションアライナーの露光マスクでは、環状の凹部に対応する位置に露光装置の縮小率に対応したマスクパターンを形成すればよい。
【0105】
また、実施例2で記載した感光性レジスト膜にネガ型レジストを用いた場合に用いる露光マスクは、上記ポジ型レジスト用の露光マスクの遮光パターンを反転した遮光パターンを形成した露光マスクとすればよい。すなわち、透過性を有する露光マスク基板に、ポジ型レジスト用の露光マスクの遮光部を開口部とし、開口部を遮光部とする遮光パターンを形成すればよい。
【実施例5】
【0106】
次に、上記半導体装置の製造方法および半導体装置を実現するため露光装置について説明する。
【0107】
上記露光装置は、例えば、ウエハを回転させながらマスクを透過した露光の光をウエハ周辺に照射するウエハ回転型の周辺露光装置であって、本発明の露光マスクを搭載したものである。ウエハ回転型の露光装置としては、例えば特開平9-186066号公報に開示されている周辺露光装置がある。このような周辺露光装置に上記実施例3で説明した露光マスクを搭載する。
【0108】
また、プロジェクションアライナーに上記実施例3で説明した露光マスクを搭載したものである。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の半導体装置の製造方法、半導体装置、露光マスクおよび露光装置は、基板(ウエハ)上に複数層の絶縁膜が形成され、さらにその絶縁膜上に形成された金属膜を研磨によって除去するという用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の半導体装置に係る一実施例を示した概略構成断面図である。
【図2】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施例の一工程を示した概略構成斜視図および概略構成断面図である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施例の一工程を示した概略構成斜視図および概略構成断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施例の一工程を示した概略構成斜視図および概略構成断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施例の一工程を示した概略構成斜視図および概略構成断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施例の一工程を示した概略構成斜視図および概略構成断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施例の一工程を示した概略構成斜視図および概略構成断面図である。
【図8】本発明の半導体装置およびその製造方法に係る複数の凹部の形状例、サイズ例、配置例について示した図面であり、(1)は平面図であり、(2)はA部拡大図である。
【図9】本発明の半導体装置およびその製造方法に係る複数の凹部の形状例、サイズ例、配置例について示した図面であり、(1)は平面図であり、(2)はA部拡大図である。
【図10】本発明の半導体装置およびその製造方法に係る複数の凹部の形状例、サイズ例、配置例について示した図面であり、(1)は平面図であり、(2)はA部拡大図である。
【図11】本発明の半導体装置およびその製造方法に係る複数の凹部の形状例、サイズ例、配置例について示した図面であり、(1)は平面図であり、(2)はA部拡大図である。
【図12】本発明の半導体装置およびその製造方法に係る複数の凹部の形状例、サイズ例、配置例について示した図面であり、(1)は平面図であり、(2)はA部拡大図である。
【図13】本発明の半導体装置およびその製造方法に係る複数の凹部の形状例、サイズ例、配置例について示した図面であり、(1)は平面図であり、(2)はA部拡大図である。
【図14】凹部が配置される環状領域Sと絶縁膜除去領域Rの位置関係を示した平面図である。
【図15】比較例における絶縁膜除去領域Rの位置関係を示した平面図である。
【図16】比較例の製造方法の一工程を示した概略構成斜視図および概略構成断面図である。
【図17】比較例の製造方法の一工程を示した概略構成斜視図および概略構成断面図である。
【図18】比較例の製造方法の一工程を示した概略構成斜視図および概略構成断面図である。
【図19】比較例の製造方法の一工程を示した概略構成斜視図および概略構成断面図である。
【図20】比較例の製造方法の一工程を示した概略構成斜視図および概略構成断面図である。
【図21】比較例の製造方法の一工程を示した概略構成斜視図および概略構成断面図である。
【図22】本発明の半導体装置の製造方法および半導体装置に係る1枚のウエハから取れるチップの理収を説明する平面図である。
【図23】比較例に係る1枚のウエハから取れるチップの理収を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0111】
11…基板、21…第1絶縁膜、22…第2絶縁膜、31…凹部、41…導電膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に少なくとも2層以上の配線層を備えた多層配線を形成する工程を備え、
前記配線層を形成する配線は、
前記基板上に設けられた絶縁膜に配線用凹部を形成して該配線用凹部内に導電膜を埋め込むように該絶縁膜上に該導電膜を形成する工程と、
前記導電膜を研磨して前記配線用凹部内に前記導電膜を残すことで前記配線を形成する工程と
により形成される半導体装置の製造方法であって、
前記絶縁膜は、第1絶縁膜と第2絶縁膜とを積層したものからなり、
前記絶縁膜上に前記導電膜を形成する前に、
前記基板周辺部における少なくとも前記第2絶縁膜に複数の凹部を形成する工程
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記複数の凹部を形成する工程は、
前記絶縁膜上にリソグラフィー用のレジストを塗布してレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜に前記基板周辺部の全周にわたって、複数のパターンを露光し、現像を行って、レジスト膜からなるエッチングマスクを形成する工程と、
前記エッチングマスクを用いて前記絶縁膜をエッチング加工することにより、前記基板の周辺部の少なくとも前記第2絶縁膜の全周にわたって凹部を形成する工程と
を備えたことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記複数の凹部は、前記基板周辺部にそって、それぞれ環状に形成される
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記複数の環状に形成された凹部は、同心円状に配置される
ことを特徴とする請求項3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記複数の凹部は、溝形状を成し、前記基板周辺部にそって、間隔を置いて環状に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記環状に配置された複数の凹部は、複数の環状体を構成し、それぞれの環状体は同心円状に配置される
ことを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記複数の凹部は、穴形状を成し、前記基板周辺部にそって、間隔を置いて環状に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記環状に配置された複数の凹部は、複数の環状体を構成し、それぞれの環状体は同心円状に配置される
ことを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記穴形状の凹部は、矩形状の穴で形成される
ことを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記穴形状の凹部は、円形状の穴で形成される
ことを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記穴形状の凹部は、十字形状の穴で形成される
ことを特徴とする請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記凹部は、前記基板周縁から前記基板の中心方向に向かって0.3mm以上5mm以内の領域に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記凹部は、前記基板周縁から前記基板の中心方向に向かって0.5mm以上5mm以内の領域に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記複数の凹部は、前記基板の半径方向における凹部の幅が0.1μm以上150μm以下に形成される
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記複数の凹部は、前記基板の半径方向における凹部の幅が0.1μm以上50μm以下に形成される
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記複数の凹部は、前記基板の半径方向における隣接する凹部間の間隔が0.1μm以上150μm以下に形成される
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記複数の凹部は、前記基板の半径方向における隣接する凹部間の間隔が0.1μm以上50μm以下に形成される
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記十字形状の凹部は、前記基板の半径方向における凹部の幅が1μm以上150μm以下に形成される
ことを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記十字形状の凹部は、前記基板の半径方向における隣接する凹部間の間隔が0.3μm以上150μm以下に形成される
ことを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記絶縁膜に前記凹部を形成する際に、前記絶縁膜の少なくとも第2絶縁膜の最外周部を除去する
ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
基板上に少なくとも2層以上の配線層を備えたもので、
前記配線層を形成する配線は、前記基板上に設けられた絶縁膜に形成された配線用凹部内に導電膜を埋め込み、その後に絶縁膜上の余剰な前記導電膜を研磨により除去して、前記配線用凹部内のみに残した前記導電膜で形成されたものからなる半導体装置であって、
前記絶縁膜は第1絶縁膜と第2絶縁膜とを積層したものからなり、
前記配線用凹部内に前記導電膜を埋め込む前に、前記基板周辺部における少なくとも前記第2絶縁膜に複数の凹部が形成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項22】
前記複数の凹部は、
前記絶縁膜上にリソグラフィー用のレジストを塗布してレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜に前記基板周辺部の全周にわたって、複数のパターンを露光し、現像を行って、レジスト膜からなるエッチングマスクを形成する工程と、
前記エッチングマスクを用いて前記絶縁膜をエッチング加工することにより、前記基板の周辺部の少なくとも前記第2絶縁膜の全周にわたって凹部を形成する工程とにより形成されたものからなる
ことを特徴とする請求項21記載の半導体装置。
【請求項23】
前記複数の凹部は、前記基板周辺部にそって、それぞれ環状に形成されている
ことを特徴とする請求項22記載の半導体装置。
【請求項24】
前記複数の環状に形成された凹部は、同心円状に配置されている
ことを特徴とする請求項23記載の半導体装置。
【請求項25】
前記複数の凹部は、溝形状を成し、前記基板周辺部にそって、間隔を置いて環状に配置されている
ことを特徴とする請求項21記載の半導体装置。
【請求項26】
前記環状に配置された複数の凹部は、複数の環状体を構成し、それぞれの環状体は同心円状に配置されている
ことを特徴とする請求項25記載の半導体装置。
【請求項27】
前記複数の凹部は、穴形状を成し、前記基板周辺部にそって、間隔を置いて環状に配置される
ことを特徴とする請求項21記載の半導体装置。
【請求項28】
前記環状に配置された複数の凹部は、複数の環状体を構成し、それぞれの環状体は同心円状に配置される
ことを特徴とする請求項27記載の半導体装置。
【請求項29】
前記穴形状の凹部は、矩形状の穴で形成される
ことを特徴とする請求項27記載の半導体装置。
【請求項30】
前記穴形状の凹部は、円形状の穴で形成される
ことを特徴とする請求項27記載の半導体装置。
【請求項31】
前記穴形状の凹部は、十字形状の穴で形成される
ことを特徴とする請求項27記載の半導体装置。
【請求項32】
前記凹部は、前記基板周縁から前記基板の中心方向に向かって0.3mm以上5mm以内の領域に配置されている
ことを特徴とする請求項21記載の半導体装置。
【請求項33】
前記凹部は、前記基板周縁から前記基板の中心方向に向かって0.5mm以上5mm以内の領域に配置されている
ことを特徴とする請求項21記載の半導体装置。
【請求項34】
前記複数の凹部は、前記基板の半径方向における凹部の幅が0.1μm以上150μm以下に形成されている
ことを特徴とする請求項21記載の半導体装置。
【請求項35】
前記複数の凹部は、前記基板の半径方向における凹部の幅が0.1μm以上50μm以下に形成されている
ことを特徴とする請求項21記載の半導体装置。
【請求項36】
前記複数の凹部は、前記基板の半径方向における隣接する凹部間の間隔が0.1μm以上150μm以下に形成されている
ことを特徴とする請求項21記載の半導体装置。
【請求項37】
前記複数の凹部は、前記基板の半径方向における隣接する凹部間の間隔が0.1μm以上50μm以下に形成されている
ことを特徴とする請求項21記載の半導体装置。
【請求項38】
前記十字形状の凹部は、前記基板の半径方向における凹部の幅が1μm以上150μm以下に形成されている
ことを特徴とする請求項31記載の半導体装置。
【請求項39】
前記十字形状の凹部は、前記基板の半径方向における隣接する凹部間の間隔が0.3μm以上150μm以下に形成されている
ことを特徴とする請求項31記載の半導体装置。
【請求項40】
前記絶縁膜の少なくとも第2絶縁膜の最外周部が除去されている
ことを特徴とする請求項21記載の半導体装置。
【請求項41】
基板上に設けられた第1絶縁膜と第2絶縁膜とを積層した絶縁膜に配線用凹部を形成するとともに、前記基板周辺部における少なくとも前記第2絶縁膜に複数の凹部を形成する工程と、
前記配線用凹部内および前記複数の凹部内に導電膜を埋め込むように前記絶縁膜上に前記導電膜を形成する工程と、
前記導電膜を研磨して前記配線用凹部内に前記導電膜を残すことで配線を形成する工程とを備え、
露光により露光マスクに形成されたパターンが転写され、かつ現像処理された感光性レジスト膜をエッチングマスクに用いて少なくとも前記第2絶縁膜をエッチングして前記複数の凹部を形成する工程を有する
半導体装置の製造方法で用いられる前記露光マスクであって、
前記露光マスクは、透光性を有するマスク基板と、前記マスク基板における前記複数の凹部に対応した位置に形成された遮光パターン、もしくは前記マスク基板の全面に形成された遮光膜における前記複数の凹部に対応した位置に形成された開口パターンとを有する
ことを特徴とする露光マスク。
【請求項42】
基板上に設けられた第1絶縁膜と第2絶縁膜とを積層した絶縁膜に配線用凹部を形成するとともに、前記基板周辺部における少なくとも前記第2絶縁膜に複数の凹部を形成する工程と、
前記配線用凹部内および前記複数の凹部内に導電膜を埋め込むように前記絶縁膜上に前記導電膜を形成する工程と、
前記導電膜を研磨して前記配線用凹部内に前記導電膜を残すことで配線を形成する工程とを備え、
前記複数の凹部を形成する工程は、露光マスクを用いて露光され、かつ現像処理された感光性レジスト膜をエッチングマスクに用いて少なくとも前記第2絶縁膜をエッチングする工程からなる半導体装置の製造方法で用いられる前記露光マスクが装着された露光装置であって、
前記露光マスクは、透光性を有するマスク基板と、前記マスク基板における前記複数の凹部に対応した位置に形成された遮光パターン、もしくは前記マスク基板の全面に形成された遮光膜における前記複数の凹部に対応した位置に形成された開口パターンとを有する
ことを特徴とする露光装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−24810(P2006−24810A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202699(P2004−202699)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】