説明

半導体装置の製造方法および半導体製造装置

【課題】疎水化処理の信頼性を向上できる技術を提供する。
【解決手段】本発明の疎水化処理装置は、チャンバ10とチャンバ10内に設置されたステージ11を有する。そして、ステージ11上に半導体ウェハWが配置される。一方、タンク13は配管12を介してチャンバ10と接続されている。タンク13内には、HMDS供給部14から供給されたHMDS15が貯蔵されている。このHMDS15は、循環ポンプ17aによって攪拌されている。窒素ガス導入部16からはタンク13内に窒素ガスが導入され、導入された窒素ガスは、HMDS15の液面に吹き付けられる。この窒素ガスによって、気化したHMDS15はチャンバ10内に圧送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造技術および半導体製造装置に関し、特に、半導体ウェハの主面に対して疎水化処理を施した後にレジスト膜を形成する技術に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2004−31634号公報(特許文献1)には、被処理基板と使用するレジスト膜との組み合わせに対応して、最適な気体雰囲気を容易に選択でき、また、最適な成分、濃度を有する気体雰囲気を供給できる疎水化処理装置について記載されている。具体的には、第1の液体の供給流量を第1電空バルブにより制御し、第2の液体の供給流量を第2電空バルブにより制御する。そして、供給された第1の液体および第2の液体をキャリアガスによりオリフィス板を介して気化させた後、気化した気体雰囲気をチャンバ内に供給してウェハをこの気体雰囲気にさらすとしている。
【0003】
特開2003−17387号公報(特許文献2)には、レジスト膜の剥がれを低減できるHMDS(Hexamethyldisilazane)(ヘキサメチルジシラザン)処理方法およびHMDS処理装置について記載されている。具体的には、液体状のHMDSからHMDS蒸気を揮発させる蒸気散逸部をHMDS処理室の内部に備えてHMDS処理装置を構成する。ここで、HMDS処理室内にHMDS蒸気を飽和させて形成したHMDS処理雰囲気を用いてHMDS処理を行なうとしている。
【0004】
特開2004−22857号公報(特許文献3)には、疎水化処理時における不要な分解物の発生を防止し、レジストパターンの欠陥を抑制して、フォトリソグラフィ技術に基づく各種パターンの欠陥発生を防止する技術が記載されている。具体的に基板処理装置は、半導体基板を設置する密閉チャンバと、HMDSを貯蔵するHMDSバブラーと、HMDSバブラー内のHMDSに気化用ガスである窒素ガスを導入してHMDSを気化させる気化用ガス導入部とを備える。そして、気化したHMDSを半導体基板の表面に送出する疎水化処理剤送出部を有する。ここで、気化用ガス導入部とHMDSバブラーとの間に設置され、気化用ガス導入部から送出された窒素ガス中から水分を除去するシリカゲル管を備えるとしている。
【特許文献1】特開2004−31634号公報
【特許文献2】特開2003−17387号公報
【特許文献3】特開2004−22857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、半導体装置の高集積化が進み、半導体装置の製造工程における微細加工も精密なものとなってきている。半導体装置の製造工程では、電極や配線などを形成する際、フォトリソグラフィ技術によるパターニングが使用される。すなわち、フォトリソグラフィ技術では以下に示す一連の工程が行なわれる。例えば、半導体ウェハの主面(素子形成面)上にレジスト膜を塗布した後、半導体装置の回路パターンが形成されたフォトマスクを通して紫外線やエキシマレーザ光線などを照射することにより、マスクパターンをレジスト膜に転写する。その後、現像処理をすることによりレジスト膜のパターニングを行う。そして、パターニングしたレジスト膜をマスクにしてレジスト膜の下層に形成されている下地膜などをエッチングして下地膜の加工をする。これにより、電極や配線などの構造を下地膜に形成することができる。
【0006】
上述したフォトリソグラフィ技術では、レジスト膜のパターニングが行なわれるが、このパターニングしたレジスト膜に膜剥がれが生じると下地膜を所望の形状にパターニングできなくなる。また、2次災害として剥がれたレジストパターンが正常パターンに付着し、パターン欠陥が生じる。したがって、半導体ウェハ上に塗布するレジスト膜と半導体ウェハ(下地膜)との密着性を向上させてレジスト膜の膜剥がれを防止するため、半導体ウェハ上にレジスト膜を塗布する前に半導体ウェハの表面を疎水化する疎水化処理が実施される。すなわち、レジスト膜は主に有機材料から形成されているため、疎水性の性質を有する。このことから、半導体ウェハ(下地膜)の主面が親水性であると、疎水性の性質を有するレジスト膜との密着性が低下する。そこで、半導体ウェハの主面にレジスト膜を塗布する前に半導体ウェハの主面を疎水性とするため、疎水化処理が行なわれる。この疎水化処理は、半導体ウェハの主面上に気化したヘキサメチルジシラザン(以下、HMDSという)を導入して化学反応を起こすことにより行なわれる。
【0007】
図24は、疎水化処理を行なう疎水化処理装置(半導体製造装置)の一例を示す構成図である。図24に示すように、疎水化処理装置は、チャンバ100を有し、このチャンバ100内に設置されたステージ101上に半導体ウェハWが主面を上にした状態で配置されている。このチャンバ100は、配管102を介してタンク103と接続されており、タンク103には、HMDS供給部104から供給されたHMDS105が貯蔵されている。さらに、タンク103に貯蔵されているHMDS105に窒素ガスを導入する窒素ガス導入部106が設けられている。
【0008】
次に、このように構成されている疎水化処理装置で疎水化処理を行なう動作について説明する。まず、チャンバ100内の加熱されたステージ101上に半導体ウェハWを配置する。一方、タンク103には、HMDS供給部104から液体のHMDS105が供給され、HMDS105が液体の状態で貯蔵されている。次に、タンク103に貯蔵されている液体のHMDS105へ窒素ガス供給部106から窒素ガスを供給する。窒素ガスはHMDS105の内部に吹き込まれてバブリングされる。すると、窒素ガスのバブリングにより液体のHMDS105が気化する。気化したHMDS105は、窒素ガスと混合し、配管102を介してチャンバ100へ供給される。すなわち、気化したHMDS105は、タンク103に充填された窒素ガスの圧力によって配管102に圧送され、配管102からチャンバ100内に供給される。チャンバ100内に供給されたHMDS105は、半導体ウェハWの主面上に供給され、半導体ウェハWの主面において化学反応し、半導体ウェハWの主面が疎水化される。
【0009】
このようにして、図24に示す疎水化処理装置で半導体ウェハの疎水化処理が行なわれるが、図24に示す疎水化処理装置では、以下に示す問題点が発生する。つまり、図24に示す疎水化処理装置では、液体のHMDS105中で窒素ガスをバブリングさせることにより、HMDS105を気化させている。このとき、気化するHMDS105の濃度は高く、配管102中で結露しやすくなっている。HMDS105が結露すると、異物が発生し、この異物が配管102を通ってチャンバ100内へ移動し、チャンバ100内のステージ101上に配置されている半導体ウェハWに付着する。すると、疎水化処理工程の後に行なわれるフォトリソグラフィ工程においてレジスト膜に異物が付着し、パターン欠陥が発生するという問題点がある。
【0010】
そこで、この問題点を解決するために、図25に示すような疎水化処理装置が使用されている。この疎水化処理装置の構成は、図24に示す疎水化処理装置の構成とほぼ同様であるが、窒素ガス供給部106による窒素ガスの供給方法に相違点がある。つまり、図24に示す疎水化処理装置では、液体のHMDS105の内部からバブリングによって窒素ガスを供給している。これに対し、図25に示す疎水化処理装置では、液体のHMDS105の液面に窒素ガスを吹き付けるようにして、窒素ガス供給部106から窒素ガスを供給している。すなわち、窒素ガスは、液体のHMDS105の内部でバブリングされずに、HMDS105の外部から液面にブローされて供給される。この方法で窒素ガスを供給すると、ブローされた窒素ガスによって気化するHMDS105の濃度は、窒素ガスをバブリングすることによりHMDS105を気化させる場合に比べて薄くなる。したがって、気化したHMDS105が配管102で結露しにくくなる。このため、図25に示す疎水化処理装置では、気化したHMDS105が結露することに起因した異物の発生を低減することができ、フォトリソグラフィ工程における異物に起因したパターン欠陥を低減することができる。
【0011】
しかし、本発明者らによれば、図25に示す疎水化処理装置では、以下に示す問題点が発生することを新たに見出した。この問題点について説明する。図25に示す疎水化処理装置では、窒素ガスを液体のHMDS105の液面に吹き付けることにより、HMDS105を気化させている。このとき、気化するHMDS105の濃度が急激に減少してしまう現象を本発明者らは見出したのである。この現象が発生すると、半導体ウェハWの主面に気化したHMDS105が充分に供給されず、半導体ウェハWの主面の疎水化処理を充分に行なうことができない問題点が発生する。すると、この後に行なわれるフォトリソグラフィ工程において、レジスト膜と半導体ウェハW(下地膜)との密着性が低下して、半導体ウェハWからレジスト膜が剥がれてしまう。このため、レジスト膜のパターン欠陥が生じてしまう問題点が発生する。
【0012】
ここで、本発明者らがこの原因を追究したところ、窒素ガスをブローさせている液面にHMDS105に含まれる不純物が集まり、不揮発性成分による被膜が形成されているのではないかということが推測された。すなわち、不揮発性成分による被膜が液体のHMDS105の液面に形成されることにより、HMDS105の気化が妨げられていると考えられる。
【0013】
本発明の目的は、疎水化処理の信頼性を向上できる技術を提供することにある。
【0014】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0016】
本発明による半導体装置の製造方法は、(a)半導体ウェハの主面に対して疎水化処理を行なう工程と、(b)前記半導体ウェハの主面上にレジスト膜を形成する工程と、(c)前記レジスト膜に対して露光・現像処理をすることによりパターニングする工程とを備える。そして、前記(a)工程は、(a1)タンク内に液体の疎水化処理剤を供給する工程と、(a2)前記タンク内で前記疎水化処理剤を攪拌する工程と、(a3)気化した前記疎水化処理剤を前記タンク内から前記半導体ウェハが配置されているチャンバ内に供給することにより、前記半導体ウェハの主面に対して前記疎水化処理を行なう工程とを有する。
【0017】
また、本発明による半導体製造装置は、(a)半導体ウェハが配置されるチャンバと、(b)前記半導体ウェハの主面に対して疎水化処理を行なうための疎水化処理剤と、(c)液体の前記疎水化処理剤を貯蔵するタンクとを備える。そして、気化した前記疎水化処理剤を前記タンクから前記チャンバへ供給することにより、前記半導体ウェハの主面に対して疎水化処理を行なう半導体製造装置に関するものである。ここで、半導体製造装置は、液体の前記疎水化処理剤を攪拌する攪拌部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0019】
タンクに攪拌部を設けて液体の疎水化処理剤(HMDS)を攪拌するように構成しているので、疎水化処理剤の表面に不揮発成分による被膜が形成されることを防止できる。このため、疎水化処理剤の気化が妨げられることを防止できるので、気化した疎水化処理剤の濃度を疎水化処理剤の結露を防止しながら疎水化処理を充分行なえる適切な濃度にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0021】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0022】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0023】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0024】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、フォトリソグラフィ工程で使用する半導体製造装置の構成を示す図である。図1において、フォトリソグラフィ工程で使用する半導体製造装置は、レジスト膜の塗布および現像を行なう塗布・現像装置1と、レジスト膜に対して露光処理を施す露光装置2とを有している。この塗布・現像装置1と露光装置2とは隣接して配置され、塗布・現像装置1と露光装置2によって半導体ウェハが連続的に処理されるようになっている。
【0026】
塗布・現像装置1では、主に半導体ウェハの主面(素子形成面)上にレジスト膜を塗布する工程と、レジスト膜を現像する工程が実施され、露光装置2では、半導体ウェハの主面上に形成されたレジスト膜にマスクを介して露光光を照射する工程が実施される。露光装置2としては、具体的にステッパやスキャナが使用される。
【0027】
次に、塗布・現像装置1と露光装置2とを使用したフォトリソグラフィ工程について、図2に示すフローチャートを参照しながら説明する。図1および図2に示すように、まず、塗布・現像装置(疎水化処理装置も含む)1において、半導体ウェハの主面に対して疎水化処理を実施する(S101)。この疎水化処理は、レジスト膜との密着性を向上してレジスト膜の剥がれを防止するために行なわれるものである。
【0028】
次に、塗布・現像装置1において、半導体ウェハの主面上にレジスト膜を塗布する(S102)。レジスト膜の塗布は、例えば、スピン塗布法により実施される。続いて、レジスト膜を塗布した半導体ウェハに熱処理(ベーク処理)を施す(S103)。このベーク処理は、レジスト膜に含まれる有機成分(溶媒)を除去するために行なわれる。
【0029】
その後、半導体ウェハを塗布・現像装置1から露光装置2へ移動させる。そして、露光装置2において、半導体ウェハの主面上に形成されたレジスト膜に露光光を照射する(S104)。つまり、露光装置2では、マスクを介して半導体ウェハの主面上に形成されたレジスト膜に露光光を照射することにより、マスクに描画されているパターンをレジスト膜に転写する。
【0030】
次に、半導体ウェハを露光装置2から塗布・現像装置1に移動させて、PEB(post exposure bake)処理を実施する(S105)。PEB処理は、露光処理が終わったレジスト膜付き半導体ウェハに施される熱処理であり、例えば、110℃程度に加熱することにより行なわれる。このPEB処理は、例えば、露光光にi線(波長365nmの紫外線)を使用する場合には、露光時に発生する定在波によって、パターン側面に生じるなみなみ形状を緩和する目的で行なわれるものである。また、露光光にKrFエキシマレーザ(波長248nm)を使用する場合には、化学増幅型レジスト膜が使用されるが、この場合、化学増幅型レジスト膜において、触媒反応による酸の発生を加速させる目的でPEB処理が実施される。
【0031】
続いて、塗布・現像装置1で半導体ウェハの主面上に形成されたレジスト膜に対して現像処理が実施される(S106)。この現像処理により、半導体ウェハの主面上に形成されたレジスト膜のパターニングが完成する。その後、現像液を洗浄し、洗浄した半導体ウェハの主面を乾燥させるため、ベーク処理が実施される(S107)。このようにして、塗布・現像装置1と露光装置2を用いたフォトリソグラフィ工程が実施される。その後、パターニングしたレジスト膜をマスクにして、レジスト膜の下層に形成されている下地膜をエッチングすることにより、下地膜を加工することができる。
【0032】
次に、上述したフォトリソグラフィ技術のうち疎水化処理技術について図面を参照しながら詳述する。図3は、本実施の形態1における疎水化処理装置(半導体製造装置)の構成を示す図である。この疎水化処理装置は、塗布・現像装置の一部として設けられている。図3において、疎水化処理装置は、チャンバ10を有し、このチャンバ10内に設置されたステージ11上に半導体ウェハWが主面を上にした状態で配置されている。ステージ11にはヒータが設けられており、ステージ11上に配置された半導体ウェハWを加熱することができるように構成されている。
【0033】
このチャンバ10は、配管12を介してタンク13と接続されており、タンク13には、HMDS供給部14から供給されたHMDS(疎水化処理剤)15が貯蔵されている。このHMDSは、半導体ウェハの主面を疎水化するための疎水化処理剤の1つである。さらに、疎水化処理装置には、タンク13に貯蔵されているHMDS15に窒素ガス(圧送ガス)を導入する窒素ガス導入部16が設けられている。そして、窒素ガス導入部16からタンク13内に導入された窒素ガスは、タンク13内に貯蔵されているHMDS15の液面に吹き付けられるようになっている(ブロー)。
【0034】
このように、本実施の形態1における疎水化処理装置では、圧送ガスである窒素ガスをHMDS15の液面に吹き付けることにより、気化したHMDSをタンク13からチャンバ10へ圧送するようになっている。
【0035】
例えば、図24に示すように、窒素ガスをバブリングにより液体のHMDS105に導入する場合、気化するHMDS105の濃度が濃くなってしまう。このため、気化したHMDS105を窒素ガスでタンク103からチャンバ100へ圧送する場合、圧送途中の配管102などで結露が生じてしまう問題点がある。配管102などで結露が生じてしまうと異物が発生し、この異物が配管102を通ってチャンバ100内へ移動し、チャンバ100内のステージ101上に配置されている半導体ウェハWに付着する。すると、疎水化処理工程の後に行なわれるフォトリソグラフィ工程においてレジスト膜に異物が付着し、パターン欠陥が発生するという問題点がある。
【0036】
これに対し、本実施の形態1における疎水化処理装置では、窒素ガスをバブリングで液体のHMDS15に導入する方法をとらずに、窒素ガスをHMDS15の液面に吹き付ける(ブローする)ことによりタンク13内に窒素ガスを導入している。この方法によれば、窒素ガスをバブリングでタンク13内に導入する方法に比べて、気化するHMDS15の濃度を薄くすることができる。すなわち、気化したHMDS15が圧送途中に液化して結露が発生することを防止できる濃度にすることができる。このため、本実施の形態1における疎水化処理装置では、気化したHMDS15が結露することに起因した異物の発生を低減することができ、フォトリソグラフィ工程における異物に起因したパターン欠陥を低減することができる。
【0037】
しかし、本発明者らによれば、窒素ガスを液体のHMDS15の液面に吹き付けることにより、HMDS15を気化させている疎水化処理装置では、以下に示す問題点が発生することを新たに見出した。この問題点について説明する。本実施の形態1における疎水化処理装置では、窒素ガスを液体のHMDS15の液面に吹き付けることにより、HMDS15を気化させている。このとき、気化するHMDS15の濃度が急激に減少してしまう現象を本発明者らは見出したのである。この現象が発生すると、半導体ウェハWの主面に気化したHMDS15が充分に供給されず、半導体ウェハWの主面の疎水化処理を充分に行なうことができない問題点が発生する。すると、この後に行なわれるフォトリソグラフィ工程において、レジスト膜と半導体ウェハW(下地膜)との密着性が低下して、半導体ウェハWからレジスト膜が剥がれてしまう。このため、レジスト膜のパターン欠陥が生じてしまう問題点が発生する。
【0038】
本発明者らがこの原因を追究したところ、窒素ガスをブローさせている液面にHMDS15に含まれる不純物が集まり、不揮発性成分による被膜が形成されているのではないかということが推測された。すなわち、不揮発性成分による被膜が液体のHMDS15の液面に形成されることにより、HMDS15の気化が妨げられていると考えられる。
【0039】
そこで、本実施の形態1における疎水化処理装置では、タンク13内に貯蔵されているHMDS15を攪拌するために、循環ポンプ17aを設けている。このように循環ポンプ17aを設けることにより、HMDSの気化を適切な濃度で行なうことができる。つまり、液体のHMDS15の液面に不純物の不揮発性成分による被膜が形成されることを防止できるので、HMDS15の気化が妨げられることを防止できるのである。これは、循環ポンプ17aによってタンク13内に貯蔵されているHMDS15を攪拌することができるので、不純物の不揮発成分がHMDS15の液面に留まることを防止できる結果、HMDS15の液面に被膜が形成されることを防止できるのである。すなわち、循環ポンプ17aでタンク13内のHMDS15を攪拌できるように構成しているので、HMDS15の液面に被膜が形成されることに起因した急激なHMDS15の濃度減少を抑制することができる。このことから、急激な濃度減少による半導体ウェハの疎水化処理の不足を抑制することができる。言い換えれば、急激な濃度減少を防止して適切な濃度の気化したHMDS15をチャンバ10内に供給することができるので、半導体ウェハの疎水化処理を充分安定して実施することができる。したがって、半導体ウェハの疎水化処理不足によるレジスト膜の剥がれを防止することができ、レジスト膜によるパターンの信頼性を向上することができる。そして、レジスト膜のパターニングにおける信頼性を向上することができるので、半導体装置の製造工程の製造歩留まりを向上することができる。
【0040】
このように本発明の特徴の1つは、タンク13内に貯蔵されているHMDS15を攪拌する循環ポンプ17aを設けている点にある。この循環ポンプの吸水口は液体のHMDS15の内部に設け、HMDS15の排出口はHMDS15の液面よりも上部に位置するように設けることが望ましい。これにより、HMDS15の液面は攪拌されやすくなるので、HMDS15の液面に不純物の不揮発成分による被膜が形成されることをより防止できる。以上のことから、本実施の形態1における疎水化処理装置では、循環ポンプ17aによってHMDS15を攪拌する機能を有しているので、気化したHMDS15を安定した適切な濃度で供給することができる。さらに、窒素ガスをHMDS15の液面に吹き付ける(ブローする)ことによりタンク13内に窒素ガスを導入しているので、気化したHMDSの濃度が高濃度になることを抑制できる。したがって、気化したHMDS15が圧送途中に液化して結露が発生することを防止できる濃度にすることができる。このため、本実施の形態1における疎水化処理装置では、気化したHMDS15が結露することに起因した異物の発生を低減することができ、フォトリソグラフィ工程における異物に起因したパターン欠陥を低減することができる。このように本実施の形態1における疎水化処理装置では、気化したHMDS15の結露を防止しながら、気化したHMDS15の急激な濃度減少を抑制することができる。
【0041】
本実施の形態1における疎水化処理装置は上記のように構成されており、以下に疎水化処理を行なう動作について図3および図4を参照しながら説明する。まず、タンク13側では、HMDS供給部14から液体のHMDS15をタンク13内に供給する(S201)。このようにして供給された液体のHMDS15は、タンク13内で貯蔵される(S202)。タンク13内に貯蔵されている液体のHMDS15が減少すると、HMDS供給部14から新たなHMDS15が供給されるようになっている。そして、タンク13内に貯蔵されている液体のHMDS15を循環ポンプ17aによって攪拌する(S203)。これにより、HMDS15の液面に不純物の不揮発成分による被膜の形成を防止することができる。したがって、HMDS15は被膜に妨げられずに気化することができる。
【0042】
一方、チャンバ10内ではステージ11が加熱され、加熱されたステージ11上に半導体ウェハWが配置される。そして、一定時間経過後、半導体ウェハWが所定の温度に保持される(S301)。
【0043】
続いて、タンク13内に窒素ガス導入部16から窒素ガスを導入する。導入された窒素ガスは、HMDS15の液面に吹き付けられる(ブロー)(S205)。そして、バルブを開くことにより、気化したHMDS105を窒素ガスでチャンバ10へ圧送する(S206)。すなわち、気化したHMDS105は、窒素ガスに圧送されてタンク13から配管12を介してチャンバ10内に導入される。チャンバ10内に導入されたHMDS15は、半導体ウェハWの主面に到達して化学反応を起こし、半導体ウェハWの主面に対して疎水化処理が実施される(S302)。特に、半導体ウェハWは加熱されているので、化学反応が促進して疎水化処理が実施される。このようにして半導体ウェハWの疎水化処理を行なうことができる。
【0044】
本実施の形態1における疎水化処理装置では、タンク13内に貯蔵されている液体のHMDS15を循環ポンプ17aによって攪拌している。このため、HMDS15の液面に不純物の不揮発成分による被膜の形成を防止することができるので、気化するHMDS15の急激な濃度減少を防止でき、安定して適切な濃度のHMDS15を半導体ウェハWに供給することができる。さらに、窒素ガスをHMDS15の液面に吹き付けることにより窒素ガスをタンク13内に導入しているので、気化したHMDS15の濃度をバブリングによって窒素ガスをタンク13内に導入する場合に比べて低濃度にすることができる。したがって、気化したHMDS15の液化による結露の発生を防止できる。すなわち、本実施の形態1における疎水化処理装置によれば、結露を防止しながら、気化するHMDS15の急激な濃度減少を抑制することができる。
【0045】
ここで、循環ポンプ17aによる液体のHMDS15の攪拌は、定期的に行なってもよいし、不定期に行なっても充分な効果が得られる。さらに、所定の枚数の半導体ウェハWに対して疎水化処理を実施する毎に、循環ポンプ17aによって液体のHMDS15を攪拌してもよい。また、半導体ウェハWを1枚処理する毎に循環ポンプ17aを動作させてもよい。さらに、チャンバ10内に半導体ウェハWを配置する前に循環ポンプ17aによる攪拌を行なってもよいし、加熱したステージ11上に半導体ウェハWを配置した状態で循環ポンプ17aを動作させてもよい。さらに、HMDS15の液面を窒素ガスでブローしているときにも循環ポンプ17aで液体のHMDS15を攪拌してもよく、気化したHMDS15を窒素ガスでタンク13からチャンバ10へ圧送している際にも循環ポンプ17aを動作させてもよい。重要な点は、循環ポンプ17aによる液体のHMDS15の攪拌を、HMDS15の液面に被膜ができない頻度で実施すれば、どの工程で実施しても充分な効果が得られる。
【0046】
なお、本実施の形態1では、疎水化処理剤としてHMDSを使用する例について説明しているが、HMDS以外の疎水化処理剤を使用してもよい。さらに、圧送ガスとして窒素ガスを使用しているが、窒素ガス以外にもヘリウムガスやアルゴンガスなどの不活性ガスを圧送ガスとして使用してもよい。
【0047】
次に、半導体ウェハ上での疎水化処理のメカニズムについて図5および図6を参照しながら説明する。図5に示すように、半導体ウェハ20上には、下地膜21が形成されている。この下地膜21上にレジスト膜を塗布する前の工程として疎水化処理を行なう例について説明する。下地膜21の例としては、酸化シリコン膜やポリシリコン膜が挙げられる。この下地膜21には、例えば、水酸基が結合している。水酸基は親水性のため下地膜21の表面は親水性の性質を有することになる。この状態で下地膜21上にレジスト膜を形成することになるが、レジスト膜は有機化合物であり疎水性の性質を有する。このため、水酸基が結合した親水性の下地膜21上に直接疎水性のレジスト膜を形成すると、密着性が低くなり、レジスト膜の処理過程で下地膜21からレジスト膜が剥がれパターン欠陥が生じることになる。
【0048】
そこで、水酸基が結合した下地膜21の表面に疎水化処理を施すことが行なわれている。疎水化処理は上述したようにHMDSを半導体ウェハの主面(下地膜21の表面)に導入することにより行なわれる。図5に示すように、HMDSが下地膜21の表面に到達すると、化学反応を起こし、図6に示す状態となる。つまり、図6に示すように、下地膜21の表面に結合している水酸基の水素がHMDSの構成要素であるトリメチルシリル基に置換する。これにより、下地膜21の表面が疎水化される。この置換反応は、半導体ウェハ20を加熱した状態で実施することにより促進される。このようにして、下地膜21の表面を疎水化することができる。
【0049】
次に、本実施の形態1のように、液体のHMDSを攪拌することによって気化するHMDSの急激な濃度減少を抑制できることを表す実験結果を示す。ここで、本実施の形態1では、循環ポンプを用いて液体のHMDSを攪拌しているが、実験では循環ポンプではなく、単に、液体のHMDSが貯蔵されているタンクを振ることによって液体のHMDSを攪拌している。このように実施の形態1に示す構成と異なる方法によって液体のHMDSを攪拌する例を実験結果として挙げているが、液体のHMDSを攪拌するという点では共通しているため、循環ポンプを用いた場合も実験結果と同様の効果を得ることができると推測される。
【0050】
図7は、実験結果を示すグラフであって、時間(日付)とタンク内で気化したHMDSの濃度(Hz)との関係を示すグラフである。図7において、横軸は日付を示しており、縦軸は気化したHMDSの濃度を示している。HMDSの濃度は例えば臭いセンサと呼ばれる検知器で例えば振動数として測定される。すなわち、HMDSの濃度は振動数で表示されているが、この振動数とHMDSの濃度とは比例関係にある。具体的には、振動数が高ければ高いほど、気化したHMDSの濃度は高くなり、振動数が低ければ低いほど、気化したHMDSの濃度は低くなる関係がある。
【0051】
図7に示すように、日付が2003/4/4から2003/4/9までは、タンク内で気化しているHMDSの濃度は200(Hz)〜220(Hz)程度で推移している。ところが、日付が2003/4/10になると、急激に気化しているHMDSの濃度が減少し、気化しているHMDSの濃度は180(Hz)程度になってしまう。そして、日付が2003/4/13になるまで、気化しているHMDSの濃度は180(Hz)近傍で推移している。ここで、2003/4/14にHMDSが貯蔵されているタンクを振ってみたところ、気化したHMDSの濃度が180(Hz)から210(Hz)程度に上昇している。したがって、タンクを振って液体のHMDSを攪拌することにより、気化するHMDSの濃度が上昇して210(Hz)程度に回復することがわかる。このことから、液体のHMDSを攪拌することにより、気化するHMDSの急激な濃度減少を抑制できることがわかる。その後、再び、気化したHMDSの濃度が減少して190(Hz)程度で推移するが、2003/4/23に再びタンクを振って液体のHMDSを攪拌することにより、気化するHMDSの濃度が上昇して210(Hz)程度に回復することがわかる。
【0052】
この実験結果から、タンク内に貯蔵されているHMDSの液面に不純物の不揮発成分による被膜が形成されて気化するHMDSの濃度が急激に減少すると推測される。そして、液体のHMDSを攪拌することにより被膜が除去されて、再び気化するHMDSの濃度が回復すると推測することができる。したがって、液体のHMDSを攪拌することを被膜が形成されない頻度で実施することによって急激な濃度低下を抑制することができることがわかる。
【0053】
次に、液体のHMDSを攪拌することにより気化したHMDSの急激な濃度減少を抑制することができるが、気化したHMDSの急激な濃度減少が生じると、半導体ウェハの疎水化処理が充分に行なうことができないことについて説明する。言い換えれば、液体のHMDSを攪拌することにより、気化したHMDSの濃度低下を抑制できる結果、半導体ウェハの疎水化処理が充分に行なうことができることについて説明する。すなわち、気化したHMDSの濃度と半導体ウェハの疎水化処理の達成度との関係について説明する。
【0054】
半導体ウェハの疎水化処理の達成度を知る目安として接触角というものがある。接触角について図8を参照しながら説明する。図8は、半導体ウェハ20上に水滴22を滴下した状態を示す図である。このとき、水滴22と半導体ウェハ20との間には、図8に示す角度θが形成される。この角度θが接触角と呼ばれるものである。この接触角は、半導体ウェハ20の表面状態によって変化する。例えば、半導体ウェハ20の表面が親水性の性質を有している場合、接触角は小さくなる。一方、半導体ウェハ20の表面が疎水性の性質を有している場合、接触角は大きくなる。したがって、半導体ウェハ20の疎水化処理を行なった後、半導体ウェハ20の主面に水滴22を滴下して接触角を測ることにより、半導体ウェハ20の疎水化処理の達成度を知ることができる。
【0055】
図9は、気化したHMDSの濃度と接触角との関係を示すグラフである。図9において、横軸は気化したHMDSの濃度(Hz)を示しており、縦軸は接触角(°)を示している。図9に示すように、気化したHMDSの濃度と接触角との間には、概ね比例関係があることがわかる。つまり、気化したHMDSの濃度が減少すると接触角が小さくなり、半導体ウェハの疎水化処理が充分に行なわれていないことがわかる。一方、気化したHMDSの濃度が増加すると接触角が大きくなり、半導体ウェハの疎水化処理が充分に行なわれることがわかる。例えば、気化したHMDSの濃度が150(Hz)程度の場合、接触角は43°程度である一方、気化したHMDSの濃度が270(Hz)程度の場合、接触角は48°程度になることがわかる。
【0056】
したがって、例えば、液体のHMDSの表面に不純物の不揮発成分による被膜が形成されて、気化したHMDSの濃度が急激に減少すると、半導体ウェハでの疎水化処理が充分に行なうことができないことがわかる。言い換えれば、本実施の形態1にように液体のHMDSを攪拌してHMDSの液面に被膜が形成されないようにすることにより、急激な濃度減少を抑制できる結果、半導体ウェハでの疎水化処理を充分安定して行なうことができることがわかる。
【0057】
次に、本実施の形態1における半導体装置の製造方法について図面を参照しながら説明する。本実施の形態1で製造する半導体装置としてCMISFET(Complementary Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を例に挙げて説明する。ここでは、本実施の形態1における疎水化処理装置を用いたフォトリソグラフィ工程をゲート電極を形成する工程を例にして説明するが、その他の工程で使用されるフォトリソグラフィ工程に本実施の形態1における疎水化処理装置を適用してもよい。
【0058】
まず、図10に示すように、ホウ素(B)などのp型不純物を導入したシリコン単結晶よりなる半導体基板30を用意する。このとき、半導体基板30は、略円盤形状をした半導体ウェハの状態になっている。そして、半導体基板30の主面上に素子間を分離する素子分離領域31を形成する。素子分離領域31は、素子が互いに干渉しないようにするために設けられる。この素子分離領域31は、例えばLOCOS(local Oxidation of silicon)法やSTI(shallow trench isolation)法を用いて形成することができる。図10では、STI法によって形成された素子分離領域31を示している。STI法では、以下のようにして素子分離領域31を形成している。すなわち、半導体基板30にフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して素子分離溝を形成する。そして、素子分離溝を埋め込むように半導体基板30上に酸化シリコン膜を形成し、その後、化学的機械的研磨法(CMP;chemical mechanical polishing)により、半導体基板30上に形成された不要な酸化シリコン膜を除去する。これにより、素子分離溝内にだけ酸化シリコン膜を埋め込んだ素子分離領域31を形成することができる。
【0059】
次に、素子分離領域31で分離された活性領域に不純物を導入してウェルを形成する。例えば、活性領域のうちnチャネル型MISFET形成領域には、p型ウェル32を形成し、pチャネル型MISFET形成領域には、n型ウェル33を形成する。p型ウェル32は、例えばホウ素などのp型不純物をイオン注入法により半導体基板1に導入することで形成される。同様に、n型ウェル33は、例えばリン(P)や砒素(As)などのn型不純物をイオン注入法により半導体基板30に導入することで形成される。
【0060】
続いて、p型ウェル32の表面領域およびn型ウェル33の表面領域にチャネル形成用の半導体領域を形成する。このチャネル形成用の半導体領域は、チャネルを形成するしきい値電圧を調整するために形成される。
【0061】
次に、図11に示すように、半導体基板30上にゲート絶縁膜34を形成する。ゲート絶縁膜34は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、例えば熱酸化法を使用して形成することができる。ただし、ゲート絶縁膜34は、酸化シリコン膜に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、ゲート絶縁膜34を酸窒化シリコン膜(SiON)としてもよい。すなわち、ゲート絶縁膜34と半導体基板30との界面に窒素を偏析させる構造としてもよい。酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて膜中における界面準位の発生を抑制したり、電子トラップを低減する効果が高い。したがって、ゲート絶縁膜34のホットキャリア耐性を向上でき、絶縁耐性を向上させることができる。また、酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて不純物が貫通しにくい。このため、ゲート絶縁膜34に酸窒化シリコン膜を用いることにより、ゲート電極中の不純物が半導体基板30側に拡散することに起因するしきい値電圧の変動を抑制することができる。酸窒化シリコン膜を形成するのは、例えば、半導体基板30をNO、NOまたはNHといった窒素を含む雰囲気中で熱処理すればよい。また、半導体基板30の表面に酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜34を形成した後、窒素を含む雰囲気中で半導体基板30を熱処理し、ゲート絶縁膜34と半導体基板30との界面に窒素を偏析させることによっても同様の効果を得ることができる。
【0062】
また、ゲート絶縁膜34は、例えば酸化シリコン膜より誘電率の高い高誘電率膜から形成してもよい。従来、絶縁耐性が高い、シリコン−酸化シリコン界面の電気的・物性的安定性などが優れているとの観点から、ゲート絶縁膜34として酸化シリコン膜が使用されている。しかし、素子の微細化に伴い、ゲート絶縁膜34の膜厚について、極薄化が要求されるようになってきている。このように薄い酸化シリコン膜をゲート絶縁膜34として使用すると、MISFETのチャネルを流れる電子が酸化シリコン膜によって形成される障壁をトンネルしてゲート電極に流れる、いわゆるトンネル電流が発生してしまう。
【0063】
そこで、酸化シリコン膜より誘電率の高い材料を使用することにより、容量が同じでも物理的膜厚を増加させることができる高誘電体膜が使用されるようになってきている。高誘電体膜によれば、容量を同じにしても物理的膜厚を増加させることができるので、リーク電流を低減することができる。
【0064】
例えば、高誘電体膜として、ハフニウム酸化物の一つである酸化ハフニウム膜(HfO膜)が使用されるが、酸化ハフニウム膜に変えて、ハフニウムアルミネート膜、HfON膜(ハフニウムオキシナイトライド膜)、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)、HfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)、HfAlO膜のような他のハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。さらに、これらのハフニウム系絶縁膜に酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウムなどの酸化物を導入したハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。ハフニウム系絶縁膜は、酸化ハフニウム膜と同様、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜より誘電率が高いので、酸化ハフニウム膜を用いた場合と同様の効果が得られる。
【0065】
続いて、ゲート絶縁膜34上にポリシリコン膜35を形成する。ポリシリコン膜35は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用して、nチャネル型MISFET形成領域に形成されているポリシリコン膜35中にリンや砒素などのn型不純物を導入する。同様に、pチャネル型MISFET形成領域に形成されているポリシリコン膜35中にホウ素などのp型不純物を導入する。
【0066】
続いて、ポリシリコン膜35をパターニングしてゲート電極を形成するが、この工程で実施されるフォトリソグラフィ工程について説明する。まず、ポリシリコン膜35を形成した半導体基板(半導体ウェハ)30を図3に示すチャンバ10内のステージ11上に配置する。このステージ11は所定の温度に加熱されており、この加熱したステージ11上に配置される半導体基板30は所定の温度に加熱される。
【0067】
ここで、タンク13には、既にHMDS供給部14から液体のHMDS15が供給されており、タンク13内に液体のHMDS15が貯蔵されている。そして、貯蔵されている液体のHMDS15は、循環ポンプ17aによって攪拌されている。この攪拌は、液体のHMDS15の液面に不純物の不揮発成分による被膜が形成されない程度の頻度で行なわれている。
【0068】
続いて、窒素ガス導入部16により窒素ガスを導入して液体のHMDS15の液面に吹き付ける(ブロー)。そして、吹き付けた窒素ガスによって気化したHMDS15をタンク13からチャンバ10へ圧送する。チャンバ10へ圧送されたHMDS15は半導体基板30上に到達し、ポリシリコン膜35に結合した水酸基と置換反応してポリシリコン膜35の疎水化処理が行なわれる。ポリシリコン膜35を形成した半導体基板30は、所定の温度に加熱されているので、置換反応が促進される。
【0069】
本実施の形態1では、液体のHMDSを攪拌してHMDSの液面に被膜が形成されないようにしているので、気化したHMDSの急激な濃度減少を抑制できる結果、半導体基板30(ポリシリコン膜35)での疎水化処理を充分安定して行なうことができる。
【0070】
次に、図12に示すように、疎水化処理を施したポリシリコン膜35上にレジスト膜36を塗布する。レジスト膜36の塗布は、例えば、スピン塗布法により実施される。続いて、レジスト膜36を塗布した半導体基板30に熱処理(ベーク処理)を施す。このベーク処理は、レジスト膜に含まれる有機成分(溶媒)を除去するために行なわれる。
【0071】
その後、半導体基板30の主面上に形成されたレジスト膜36に露光光を照射する。つまり、マスクを介して半導体基板30の主面上に形成されたレジスト膜36に露光光を照射することにより、マスクに描画されているパターンをレジスト膜に転写する。
【0072】
次に、半導体基板30に対してPEB処理を実施する。続いて、半導体基板30の主面上に形成されたレジスト膜36に対して現像処理が実施される。この現像処理により、図13に示すように、半導体基板30の主面上に形成されたレジスト膜36のパターニングが完成する。その後、現像液を洗浄し、洗浄した半導体ウェハの主面を乾燥させるため、ベーク処理が実施される。レジスト膜36のパターニングは、ゲート電極形成領域にレジスト膜36が残存し、それ以外の領域にレジスト膜36が残らないように行なわれる。
【0073】
続いて、図14に示すように、パターニングしたレジスト膜36をマスクにしたエッチングによりポリシリコン膜35を加工して、nチャネル型MISFET形成領域にゲート電極37aを形成し、pチャネル型MISFET形成領域にゲート電極37bを形成する。その後、図15に示すように、パターニングしたレジスト膜36を除去する。
【0074】
ここで、nチャネル型MISFET形成領域のゲート電極37aには、ポリシリコン膜35中にn型不純物が導入されている。このため、ゲート電極37aの仕事関数値をシリコンの伝導帯近傍(4.15eV)の値にすることができるので、nチャネル型MISFETのしきい値電圧を低減することができる。一方、pチャネル型MISFET形成領域のゲート電極37bには、ポリシリコン膜35中にp型不純物が導入されている。このため、ゲート電極37bの仕事関数値をシリコンの価電子帯近傍(5.15eV)の値にすることができるので、pチャネル型MISFETのしきい値電圧を低減することができる。このように本実施の形態1では、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETの両方でしきい値電圧を低減することができる(デュアルゲート構造)。
【0075】
続いて、図16に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、ゲート電極37aに整合した浅いn型不純物拡散領域38を形成する。浅いn型不純物拡散領域38は、半導体領域である。同様に、pチャネル型MISFET形成領域に浅いp型不純物拡散領域39を形成する。浅いp型不純物拡散領域39は、ゲート電極37bに整合して形成される。この浅いp型不純物拡散領域39は、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより形成することができる。
【0076】
次に、半導体基板30上に酸化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、酸化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、図17に示すようなサイドウォール40をゲート電極37a、37bの側壁に形成する。ここで、サイドウォール40は、酸化シリコン膜の単層膜から形成するようにしたが、これに限らず、例えば、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の積層膜からなるサイドウォール40を形成してもよい。
【0077】
続いて、図18に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、nチャネル型MISFET形成領域にサイドウォール40に整合した深いn型不純物拡散領域41を形成する。深いn型不純物拡散領域41は、半導体領域である。この深いn型不純物拡散領域41と浅いn型不純物拡散領域38によってソース領域が形成される。同様に、深いn型不純物拡散領域41と浅いn型不純物拡散領域38によってドレイン領域が形成される。このようにソース領域とドレイン領域を浅いn型不純物拡散領域38と深いn型不純物拡散領域41で形成することにより、ソース領域およびドレイン領域をLDD(Lightly Doped Drain)構造とすることができる。
【0078】
同様に、pチャネル型MISFET形成領域にサイドウォール40に整合した深いp型不純物拡散領域42を形成する。この深いp型不純物拡散領域42と浅いp型不純物拡散領域39によってソース領域およびドレイン領域が形成される。したがって、pチャネル型MISFETにおいてもソース領域およびドレイン領域はLDD構造をしている。
【0079】
このようにして、深いn型不純物拡散領域41および深いp型不純物拡散領域42を形成した後、1000℃程度の熱処理を行なう。これにより、導入した不純物の活性化が行なわれる。
【0080】
その後、図19に示すように、半導体基板30上にコバルト膜43を形成する。このとき、ゲート電極37a、37bに直接接するようにコバルト膜43が形成される。同様に、深いn型不純物拡散領域41および深いp型不純物拡散領域42にもコバルト膜43が直接接する。このコバルト膜43は、例えば、スパッタリング法を使用して形成することができる。そして、コバルト膜43を形成した後、熱処理を施すことにより、ゲート電極37a、37bを構成するポリシリコン膜とコバルト膜43を反応させて、図20に示すようなコバルトシリサイド膜44を形成する。これにより、ゲート電極37a、37bはポリシリコン膜35とコバルトシリサイド膜44の積層構造となる。コバルトシリサイド膜44は、ゲート電極37a、37bの低抵抗化のために形成される。同様に、上述した熱処理により、深いn型不純物拡散領域41および深いp型不純物拡散領域42の表面においてもシリコンとコバルト膜43が反応してコバルトシリサイド膜44が形成される。このため、深いn型不純物拡散領域41および深いp型不純物拡散領域42においても低抵抗化を図ることができる。そして、未反応のコバルト膜43は、半導体基板30上から除去される。なお、本実施の形態1では、コバルトシリサイド膜44を形成するように構成しているが、例えば、コバルトシリサイド膜44に代えてニッケルシリサイド膜やチタンシリサイド膜を形成するようにしてもよい。
【0081】
次に、図21に示すように、半導体基板30の主面上に酸化シリコン膜45を形成する。この酸化シリコン膜45は、例えばTEOS(tetra ethyl ortho silicate)を原料としたCVD法を使用して形成することができる。その後、酸化シリコン膜45の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を使用して平坦化する。
【0082】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、酸化シリコン膜45にコンタクトホール46を形成する。そして、コンタクトホール46の底面および内壁を含む酸化シリコン膜45上にチタン/窒化チタン膜47aを形成する。チタン/窒化チタン膜47aは、チタン膜と窒化チタン膜の積層膜から構成され、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。このチタン/窒化チタン膜47aは、例えば、後の工程で埋め込む膜の材料であるタングステンがシリコン中へ拡散するのを防止する、いわゆるバリア性を有する。
【0083】
続いて、コンタクトホール46を埋め込むように、半導体基板30の主面の全面にタングステン膜47bを形成する。このタングステン膜47bは、例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、酸化シリコン膜45上に形成された不要なチタン/窒化チタン膜47aおよびタングステン膜47bを例えばCMP法を除去することにより、プラグ48を形成することができる。
【0084】
次に、酸化シリコン膜45およびプラグ48上にチタン/窒化チタン膜49a、アルミニウム膜49b、チタン/窒化チタン膜49cを順次、形成する。これらの膜は、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、これらの膜のパターニングを行い、配線50を形成する。さらに、配線50の上層に配線を形成するが、ここでの説明は省略する。このようにして、本実施の形態1における半導体装置を形成することができる。
【0085】
本実施の形態1では、フォトリソグラフィ工程で実施される疎水化処理において、液体のHMDSを攪拌してHMDSの液面に被膜が形成されないようにしているので、気化したHMDSの急激な濃度減少を抑制できる結果、半導体基板30での疎水化処理を充分安定して行なうことができる。このため、半導体基板30の疎水化処理不足によるレジスト膜の剥がれを防止することができ、レジスト膜によるパターンの信頼性を向上することができる。そして、レジスト膜のパターニングにおける信頼性を向上することができるので、半導体装置の製造工程の製造歩留まりを向上することができる。
【0086】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、疎水化処理装置のタンクに循環ポンプを設けて、タンク内に貯蔵されている液体のHMDSを攪拌するように構成していた。これに対し、本実施の形態2では、疎水化処理装置のタンクの内部に攪拌部を設けて、タンク内に貯蔵されている液体のHMDSを攪拌するように構成している例について説明する。
【0087】
図22は、本実施の形態2における疎水化処理装置の構成を示す図である。図22において、本実施の形態2における疎水化処理装置は、前記実施の形態1における疎水化処理装置とほぼ同様の構成をしている。異なる点は、タンク13の内部に攪拌部17bを設けている点である。この攪拌部17bは、例えばプロペラ状の攪拌材から構成されている。そして、このプロペラ状の攪拌材によって、液体のHMDSを攪拌することにより、HMDSの液面に被膜が形成されないようにできる。したがって、気化したHMDSの急激な濃度減少を抑制できる結果、半導体ウェハWでの疎水化処理を充分安定して行なうことができる。このため、半導体ウェハWの疎水化処理不足によるレジスト膜の剥がれを防止することができ、レジスト膜によるパターンの信頼性を向上することができる。そして、レジスト膜のパターニングにおける信頼性を向上することができるので、半導体装置の製造工程の製造歩留まりを向上することができる。
【0088】
(実施の形態3)
前記実施の形態1では、疎水化処理装置のタンクに循環ポンプを設けて、タンク内に貯蔵されている液体のHMDSを攪拌するように構成していた。これに対し、本実施の形態3では、疎水化処理装置のタンクの外部に攪拌部を設けて、タンク内に貯蔵されている液体のHMDSを攪拌するように構成している例について説明する。
【0089】
図23は、本実施の形態3における疎水化処理装置の構成を示す図である。図23において、本実施の形態3における疎水化処理装置は、前記実施の形態1における疎水化処理装置とほぼ同様の構成をしている。異なる点は、タンク13の外部に攪拌部17cを設けている点である。この攪拌部17cは、例えば超音波振動装置から構成されている。そして、この超音波振動装置によって、タンクの外部から液体のHMDSを振動させて攪拌することにより、HMDSの液面に被膜が形成されないようにできる。したがって、気化したHMDSの急激な濃度減少を抑制できる結果、半導体ウェハWでの疎水化処理を充分安定して行なうことができる。このため、半導体ウェハWの疎水化処理不足によるレジスト膜の剥がれを防止することができ、レジスト膜によるパターンの信頼性を向上することができる。そして、レジスト膜のパターニングにおける信頼性を向上することができるので、半導体装置の製造工程の製造歩留まりを向上することができる。
【0090】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】フォトリソグラフィ工程で使用する半導体製造装置の構成を示す図である。
【図2】フォトリソグラフィ工程の処理を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態1における疎水化処理装置の構成を示す図である。
【図4】疎水化処理工程を説明するフローチャートである。
【図5】疎水化処理のメカニズムを説明する図である。
【図6】疎水化処理のメカニズムを説明する図である。
【図7】時間と気化したHMDSの濃度との関係を示すグラフである。
【図8】接触角を示す図である。
【図9】気化したHMDSの濃度と接触角との関係を示すグラフである。
【図10】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図22】実施の形態2における疎水化処理装置の構成を示す図である。
【図23】実施の形態3における疎水化処理装置の構成を示す図である。
【図24】本発明者らが検討した疎水化処理装置の構成を示す図である。
【図25】本発明者らが検討した疎水化処理装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1 塗布・現像装置
2 露光装置
10 チャンバ
11 ステージ
12 配管
13 タンク
14 HMDS供給部
15 HMDS
16 窒素ガス導入部
17a 循環ポンプ
17b 攪拌部
17c 攪拌部
20 半導体ウェハ
21 下地膜
22 水滴
30 半導体基板
31 素子分離領域
32 p型ウェル
33 n型ウェル
34 ゲート絶縁膜
35 ポリシリコン膜
36 レジスト膜
37a ゲート電極
37b ゲート電極
38 浅いn型不純物拡散領域
39 浅いp型不純物拡散領域
40 サイドウォール
41 深いn型不純物拡散領域
42 深いp型不純物拡散領域
43 コバルト膜
44 コバルトシリサイド膜
45 酸化シリコン膜
46 コンタクトホール
47a チタン/窒化チタン膜
47b タングステン膜
48 プラグ
49a チタン/窒化チタン膜
49b アルミニウム膜
49c チタン/窒化チタン膜
50 配線
100 チャンバ
101 ステージ
102 配管
103 タンク
104 HMDS供給部
105 HMDS
106 窒素ガス導入部
W 半導体ウェハ
θ 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体ウェハの主面に対して疎水化処理を行なう工程と、
(b)前記半導体ウェハの主面上にレジスト膜を形成する工程と、
(c)前記レジスト膜に対して露光・現像処理をすることによりパターニングする工程とを備え、
前記(a)工程は、
(a1)タンク内に液体の疎水化処理剤を供給する工程と、
(a2)前記タンク内で前記疎水化処理剤を攪拌する工程と、
(a3)気化した前記疎水化処理剤を前記タンク内から前記半導体ウェハが配置されているチャンバ内に供給することにより、前記半導体ウェハの主面に対して前記疎水化処理を行なう工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(a2)工程は、循環ポンプを用いて前記疎水化処理剤を攪拌することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(a2)工程は、前記タンクの内部に設けられた攪拌部により前記疎水化処理剤を攪拌することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(a2)工程は、前記タンクの外部に設けられた攪拌部により前記疎水化処理剤を攪拌することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(a2)工程は、超音波振動装置を用いて前記疎水化処理剤を攪拌することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(a3)工程は、前記タンク内に圧送用ガスを導入し、気化した前記疎水化処理剤を前記圧送用ガスによって前記半導体ウェハが配置されている前記チャンバ内に圧送することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置の製造方法であって、
前記(a3)工程は、前記圧送用ガスを前記疎水化処理剤の液面に吹き付けることにより、気化した前記疎水化処理剤を前記半導体ウェハが配置されている前記チャンバ内に圧送することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置の製造方法であって、
前記圧送用ガスは窒素ガスであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置の製造方法であって、
前記疎水化処理剤はヘキサメチルジシラザンであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1記載の半導体装置の製造方法であって、
前記半導体ウェハを加熱した状態で前記疎水化処理を行なうことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
(a)半導体ウェハが配置されるチャンバと、
(b)前記半導体ウェハの主面に対して疎水化処理を行なうための疎水化処理剤と、
(c)液体の前記疎水化処理剤を貯蔵するタンクとを備え、
気化した前記疎水化処理剤を前記タンクから前記チャンバへ供給することにより、前記半導体ウェハの主面に対して疎水化処理を行なう半導体製造装置であって、
液体の前記疎水化処理剤を攪拌する攪拌部を有することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項12】
請求項11記載の半導体製造装置であって、
前記攪拌部は、循環ポンプを用いて前記疎水化処理剤を攪拌することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項13】
請求項11記載の半導体製造装置であって、
前記攪拌部は、前記タンクの内部に設けられていることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項14】
請求項11記載の半導体製造装置であって、
前記攪拌部は、前記タンクの外部に設けられていることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項15】
請求項14記載の半導体製造装置であって、
前記攪拌部は、超音波振動装置を用いて前記疎水化処理剤を攪拌することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項16】
請求項11記載の半導体製造装置であって、
前記タンク内に圧送用ガスを導入し、気化した前記疎水化処理剤を前記圧送用ガスによって前記半導体ウェハが配置されている前記チャンバ内に圧送することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項17】
請求項16記載の半導体製造装置であって、
前記圧送用ガスを前記疎水化処理剤の液面に吹き付けることにより、気化した前記疎水化処理剤を前記半導体ウェハが配置されている前記チャンバ内に圧送することを特徴とする半導体製造装置。
【請求項18】
請求項17記載の半導体製造装置であって、
前記圧送用ガスは窒素ガスであることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項19】
請求項18記載の半導体製造装置であって、
前記疎水化処理剤はヘキサメチルジシラザンであることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項20】
請求項11記載の半導体製造装置であって、
さらに、前記半導体ウェハを加熱する加熱部を備え、
前記加熱部により前記半導体ウェハを加熱した状態で、前記半導体ウェハの主面に気化した前記疎水化処理剤を導入することにより、疎水化処理を行なうことを特徴とする半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−71864(P2008−71864A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247877(P2006−247877)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】