説明

半導体装置の製造方法及び検査用ソケット

【課題】半導体装置の歩留りの向上を図る。
【解決手段】トレイ7には、それぞれにウェハレベルCSP5を収容可能な複数のポケット7aが設けられており、かつそれぞれのポケット7aには、ウェハレベルCSP5の複数の半田バンプ3を支持する台座部7bと、台座部7bの周囲に形成された側壁7cとが設けられており、ウェハレベルCSP5の製造の後工程における工程間の搬送などで、このトレイ7のポケット7aでウェハレベルCSP5を収容した際に、半導体チップの主面の有機膜を支持するのではなく複数の半田バンプ3を台座部7bによって支持することにより、前記有機膜に傷が形成されたり、前記有機膜が剥離して異物となって製品に付着したりすることを防止でき、その結果、製品であるウェハレベルCSP5(半導体装置)の歩留りや品質の向上を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイおよび検査用ソケットならびに半導体装置の製造方法に関し、特に、異物付着防止に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体集積回路装置収納用トレイは、トレイ表面に設けられた収納部においてBGA(ボールグリッドアレイタイプの半導体集積回路装置)を支持する面およびBGAの水平方向の動きを規制する壁を含む構成部からなるBGA支持部と、トレイ裏面に設けられ、トレイを表裏反転させた際に、BGAを支持する面およびBGAの水平方向の動きを規制する壁を含む構成部からなるBGA固定部とが嵌合または噛み合わさる構造である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−11572号公報(図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CSP(Chip Scale Package) などの小型の半導体装置のうち、ウェハ・プロセス(前工程)とパッケージ・プロセス(後工程)を一体化した製造技術によって組み立てられるCSP型半導体装置(このような半導体装置を、ウェハレベルCSPまたはウェハプロセスパッケージなどと呼ぶ)が開発されている。
【0005】
ウェハレベルCSPの製造では、その後工程においてダイシングによりウェハ状態から個片化を行い、一度、専用治具に詰め込み、その後、前記専用治具から取り出してトレイに収容し、このトレイに収容した状態で各工程間の搬送などを行うとともに、各検査工程では、トレイから取り出して検査用ソケットに装着して検査を行っている。
【0006】
なお、ウェハレベルCSPでは、半導体チップの主面に形成された配線層上にその保護を目的として有機膜が形成されており、前記トレイや前記検査用ソケットは、ウェハレベルCSPの有機膜を支持する形状となっている。
【0007】
したがって、有機膜を支持することにより、有機膜に傷が形成されたり、有機膜が剥離に至ることがある。有機膜は薄いため、有機膜が剥離すると配線が露出し、配線ショートなどの電気特性不具合が発生することが問題となる。
【0008】
さらに、電気特性不具合や外観品質の低下によって歩留りが低下することが問題となる。
【0009】
なお、前記特許文献1(特開平11−11572号公報)に記載されたトレイでは、そのBGA支持部(ポケットともいう)でウェハレベルCSPを収容する際に、ウェハレベルCSPの表面の有機膜を支持することになるため、有機膜に傷が形成され、異物が発生し、もしくは有機膜が剥離に至ることがあり、したがって、有機膜が剥離して配線が露出したりして配線ショートなどの電気特性不具合を引き起こすことが問題である。
【0010】
さらに、ポケットであるBGA支持部には、裏面側に貫通する孔が広範囲に亘って形成されており、ウェハレベルCSPの表裏を反転させてその外部端子であるボール電極を支持することができないばかりでなく、複数のトレイを積層した際に、有機膜などから発生した異物が下段のトレイ上のウェハレベルCSP上に落下して異物がウェハレベルCSPに付着するという問題も懸念される。
【0011】
本発明の目的は、製品の歩留りを向上させることができるトレイおよび検査用ソケットならびに半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、製品の品質を向上させることができるトレイおよび検査用ソケットならびに半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0013】
さらに、本発明の他の目的は、コストの低減化を図ることができるトレイおよび検査用ソケットならびに半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0014】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0016】
すなわち、本発明は、主面上に形成された配線層を覆う有機膜を有した半導体チップと、前記配線層に電気的に接続される複数のボール電極とを有した半導体装置を収容可能なトレイであって、それぞれに前記半導体装置を収容可能な複数の収容部が設けられており、前記収容部それぞれは、前記半導体装置の前記複数のボール電極を支持する台座部と、前記台座部の周囲に形成された側壁とを有しているものである。
【0017】
また、本発明は、主面上に形成された配線層を覆う有機膜を有した半導体チップと、外部端子である複数のボール電極とを有した半導体装置を装着して前記半導体装置の電気的検査を行うことが可能な検査用ソケットであって、前記半導体装置の前記ボール電極を配置可能な開口部を有しており、前記半導体装置の前記有機膜を支持する絶縁性のシート部材と、前記半導体装置の前記複数のボール電極それぞれに対応して前記シート部材の前記開口部に配置されており、前記ボール電極に接触可能な複数の端子部と、前記シート部材と密着しており、前記端子部に接続する配線が設けられた導体部とを有し、前記シート部材における1つの前記開口部に複数の前記端子部が配置されているものである。
【0018】
また、本発明は、それぞれの主面上に形成された配線層を覆う有機膜と、前記有機膜の複数の開口部それぞれに配置された外部端子である複数のボール電極とを有する複数の半導体装置形成領域が設けられた半導体ウェハを準備する工程と、前記半導体ウェハを前記半導体装置形成領域に応じてダイシングによって分割して複数の半導体装置を形成する工程と、前記半導体装置を形成する工程の後、前記半導体装置の前記複数のボール電極を支持した状態で検査する工程とを有するものである。
【0019】
また、本発明は、それぞれの主面上に形成された配線層を覆う有機膜と、前記有機膜の複数の開口部それぞれに配置された外部端子である複数のボール電極とを有する複数の半導体装置形成領域が設けられた半導体ウェハを準備する工程と、前記半導体ウェハを前記半導体装置形成領域に応じてダイシングによって分割して複数の半導体装置を形成する工程と、前記半導体装置を形成する工程の後、前記半導体装置の前記複数のボール電極を支持した状態で前記半導体装置を搬送し、その後、前記半導体装置をバーンインテストする工程とを有するものである。
【発明の効果】
【0020】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0021】
主面上の配線層を覆う有機膜を有した半導体チップと複数のボール電極とを備えた半導体装置を収容可能なトレイにおいて、前記半導体装置を収容する複数の収容部それぞれが、複数のボール電極を支持する台座部を有していることにより、半導体装置の製造の後工程における工程間搬送などでこのトレイの収容部に前記半導体装置を収容した際に、有機膜を支持するのではなく台座部によって複数のボール電極を支持するため、有機膜に傷が形成されたり、有機膜が剥離して異物となって製品に付着したりすることを防止でき、その結果、半導体装置の品質と歩留りを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態の半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置の構造の一例を示す平面図である。
【図2】図1に示す半導体装置の構造を示す側面図である。
【図3】図1に示すA部の構造を示す拡大部分平面図である。
【図4】図3に示すA−A線に沿って切断した構造を示す部分断面図である。
【図5】図1に示す半導体装置の組み立てにおける前工程の手順の一例を示すプロセスフロー図と断面図である。
【図6】図1に示す半導体装置の組み立てにおける後工程の手順の一例の一部を示すプロセスフロー図と斜視図と断面図である。
【図7】図1に示す半導体装置の組み立てにおける後工程の手順の一例の一部を示すプロセスフロー図と斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態のトレイの構造の一例を示す平面図である。
【図9】図8に示すトレイの収容部の構造の一例を示す断面図である。
【図10】図9に示すトレイの収容部における台座部の構造の一例を示す部分斜視図である。
【図11】図9に示すトレイにおける半導体装置の収容方法の一例を示す断面図である。
【図12】図8に示すD−D線に沿って切断したトレイ積層状態の構造の一例を示す部分断面図である。
【図13】図8に示すE−E線に沿って切断したトレイ積層状態の構造の一例を示す部分断面図である。
【図14】本発明の実施の形態の検査用ソケットへの半導体装置の装着状態の構造の一例を示す部分断面図である。
【図15】図14に示すF部の構造を示す拡大部分断面図である。
【図16】図14に示す検査用ソケットにおけるコンタクトシートの構造の一例を示す平面図である。
【図17】図1に示す半導体装置の組み立ての後工程で用いられる自動着脱機の中間ポケット部(中継用治具)の構造の一例を示す平面図である。
【図18】図17に示す中間ポケット部の収容部の構造を示す断面図である。
【図19】図1に示す半導体装置の組み立ての後工程で用いられるテストソケットの構造の一例を示す拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の実施の形態では特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0024】
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0025】
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良いものとする。
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0027】
(実施の形態)
図1は本発明の実施の形態の半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置の構造の一例を示す平面図、図2は図1に示す半導体装置の構造を示す側面図、図3は図1に示すA部の構造を示す拡大部分平面図、図4は図3に示すA−A線に沿って切断した構造を示す部分断面図、図5は図1に示す半導体装置の組み立てにおける前工程の手順の一例を示すプロセスフロー図と断面図、図6および図7はそれぞれ図1に示す半導体装置の組み立てにおける後工程の手順の一例の一部を示すプロセスフロー図と斜視図と断面図、図8は本発明の実施の形態のトレイの構造の一例を示す平面図、図9は図8に示すトレイの収容部の構造の一例を示す断面図、図10は図9に示すトレイの収容部における台座部の構造の一例を示す部分斜視図、図11は図9に示すトレイにおける半導体装置の収容方法の一例を示す断面図、図12は図8に示すD−D線に沿って切断したトレイ積層状態の構造の一例を示す部分断面図、図13は図8に示すE−E線に沿って切断したトレイ積層状態の構造の一例を示す部分断面図、図14は本発明の実施の形態の検査用ソケットへの半導体装置の装着状態の構造の一例を示す部分断面図、図15は図14のF部の構造を示す拡大部分断面図、図16は図14に示す検査用ソケットにおけるコンタクトシートの構造の一例を示す平面図、図17は図1に示す半導体装置の組み立ての後工程で用いられる自動着脱機の中間ポケット部(中継用治具)の構造の一例を示す平面図、図18は図17に示す中間ポケット部の収容部の構造を示す断面図、図19は図1に示す半導体装置の組み立ての後工程で用いられるテストソケットの構造の一例を示す拡大部分断面図である。
【0028】
本実施の形態の半導体装置は、ウェハ・プロセス(前工程)とパッケージ・プロセス(後工程)を一体化した製造技術によって組み立てられるウェハレベルCSP(ウェハプロセスパッケージともいう)5である。
【0029】
図1〜図4に示すウェハレベルCSP5の構成について説明すると、主面2bと、主面2bに配置された複数の電極であるパッド2aと、主面2b上に形成されており、かつ複数のパッド2aそれぞれの配置を変える再配置配線2eと、主面2b上に形成された絶縁膜とを有する半導体チップ2と、再配置配線2eにそれぞれ接続しており、かつ複数のパッド2aの配置と異なった配置で設けられた複数の外部端子である半田バンプ(ボール電極)3とからなり、図4に示すように、再配置配線2eが形成された再配線層上に、絶縁性のポリイミドなどからなる有機膜2iが形成されているものである。
【0030】
さらにウェハレベルCSP5の構成について説明すると、主面2bと、前記主面に対向する裏面2cと、側面2dと、主面2bに形成された集積回路と、主面2bを覆う有機膜2iと、有機膜2iから露出し、主面2bに、第1の間隔で配列された複数の電極であるパッド2aと、有機膜2i上に形成された複数の再配置配線2e(配線)であって、各々の一端部が前記複数の電極であるパッド2aに電気的に接続され、各々の他端部が前記第1の間隔より大きい第2の間隔で配列された複数の再配置配線2eとを有する半導体チップ2と、前記複数の再配置配線2eの他端部上に配置され、それぞれが前記複数の再配置配線2eの他端部に電気的に接続された複数の半田バンプ3とからなる。
【0031】
なお、側面2dは、ウェハ状態からダイシングによって各パッケージに個片化する際に切断されて形成された切断面である。
【0032】
ウェハレベルCSP5は、チップが封止用樹脂などを用いてパッケージングされる半導体装置とは異なって、半導体チップ2の側面2dと裏面2cが露出した構造のものである。
【0033】
また、ウェハレベルCSP5では、図1および図2に示すように、半導体チップ2の主面2bに複数の外部端子である半田バンプ(突起電極)3がアレイ状に並んで配置されており、外観上は、BGA(Ball Grid Array)と同様のものである。
【0034】
さらに、図3および図4に示すように、ウェハレベルCSP5では、半導体チップ2の主面2b上に形成された電極であるパッド2aにさらに再配置配線2eが接続されており、この再配置配線2eに半田バンプ3がAu層2pを介して接続されている。前記再配置配線2eは、アルミニウムなどからなるパッド2aの配置を半田バンプ3が搭載可能な配置に置き換えるための中継用の配線である。すなわち、ウェハレベルCSP5では、パッド2aの配置ピッチが狭ピッチ化されており、外部端子である半田バンプ3をパッド2aに直接搭載できないため、したがって、半田バンプ3が搭載可能なように再配置配線2eによってピッチを拡大して半田バンプ3を再配置配線2eに接続している。
【0035】
これにより、複数の半田バンプ3をアレイ状に配置することが可能になる。
【0036】
なお、再配置配線2eは、例えば、Ni層2j、Cu層2mおよびCr層2nの3層構造であり、表面側から内部に向かって順にNi層2j、Cu層2mおよびCr層2nが配置されており、Cr層2nとパッド2aが接続している。また、Ni層2jは半田バンプ3との接続が良好になるようにAu層2pを介して半田バンプ3と接続している。
【0037】
また、シリコン基板2kの上層には、それぞれ層間絶縁膜である絶縁層2fを介してメタルの配線層が形成されている。
【0038】
また、主面2b上に形成されたパッド2aは、再配置配線2eとの接続部を除いてパッシベーション膜である保護膜2gによって覆われている。さらに、保護膜2g上には、第1の絶縁膜2hが積層して形成されており、この第1の絶縁膜2h上に再配置配線2eが積み上げられて配置されている。さらに、再配置配線2eの上層には、その半田バンプ3との接続部を除いた状態で第2の絶縁膜である有機膜2iが積層されている。
【0039】
なお、保護膜2gは、例えば、SiNから成り、また第1の絶縁膜2hおよび第2の絶縁膜である有機膜2iは、例えば、ポリイミドなどから成る柔らかな膜である。
【0040】
次に、本実施の形態のウェハレベルCSP5(半導体装置)の製造方法を図5に示す前工程と、図6および図7に示す後工程に分けて説明する。
【0041】
まず、図5に示す前工程では、ステップS1のウェハ準備を行った後、ステップS2において、ポリイミド膜である第1の絶縁膜形成を行う。ここでは、半導体ウェハ1の主面1a上に第1の絶縁膜2hを被覆し、その後、パッド2a上の第1の絶縁膜2hを除去するための露光およびエッチングを行い、続いて第1の絶縁膜2hのベーク処理を行う。
【0042】
その後、ステップS3に示すCr−Cu層の形成を、スパッタリングなどに行って再配置配線2eの下地層を形成する。その後、ステップS4に示すCr−Ni層の形成を行う。ここでは、メッキ処理によってCr−Cu層の上にCr−Ni層を形成し、続いて、エッチングによってパターニングを行ってCr−Cu−Niの各層からなる再配置配線2eを形成する。
【0043】
その後、ステップS5に示す第2の絶縁膜である有機膜2iの形成を行う。有機膜2iは、第1の絶縁膜2hと同様に、例えば、ポリイミド膜である。まず、再配置配線2e上に有機膜2iを被覆し、その後、半田バンプ接続部上の有機膜2iを除去するための露光およびエッチングを行い、さらに有機膜2iのベーク処理を行う。
【0044】
その後、ステップS6に示す無電解メッキ処理を行う。すなわち、再配置配線2eの半田バンプ接続部にメッキ処理によりAu層2pを形成する。
【0045】
その後、ステップS7に示すプローブテストを行い、さらに、ステップS8に示す半田バンプ形成を行う。すなわち、Au層2pにリフローなどを行って外部端子である半田バンプ3を接続する。
【0046】
これにより、ウェハレベルCSP5の製造における前工程を終了する。
【0047】
その後、図6および図7に示す後工程を行う。
【0048】
まず、図6に示すステップS11のウェハ準備を行う。なお、半導体ウェハ1には、それぞれの主面2b上に形成された再配置配線2eを覆う有機膜2iと、有機膜2iの複数の開口部それぞれに配置された外部端子である複数の半田バンプ(ボール電極)3とを備えた複数のデバイス領域(半導体装置形成領域)1cが設けられている。
【0049】
その後、図6に示すステップS12のダイシングと治具詰めを行う。まず、ダイシングでは、半導体ウェハ1をデバイス領域1cに応じてダイシングライン1bに沿って分割する。すなわち、ダイシングライン1bに沿ってブレード9を走行させて半導体ウェハ1を個片化して複数のウェハレベルCSP5を形成する。
【0050】
その後、個片化されたウェハレベルCSP5をピックアップ部8によって突き上げ、ピックアップした後、専用ケース治具10に収容する。その際、ウェハレベルCSP5の外部端子である複数の半田バンプ3が上方を向くように半導体チップ2の裏面2cを下方に向けた状態で専用ケース治具10に収容する治具詰めを行う。
【0051】
その後、ステップS13に示すレーザーマークを行う。その際、本実施の形態では、予め、ボール受け用のトレイ7を準備しておき、このトレイ7に各ウェハレベルCSP5を収容してレーザーマークを行う。
【0052】
ボール受け用のトレイ7は、ウェハレベルCSP5などのようなチップサイズパッケージを、その外部端子として設けられた複数の半田バンプ(ボール電極)3を支持した状態で収容するものである。
【0053】
図8は、ボール受け用のトレイ7の構造の一例を示す図であり、トレイ7の表面7f(図12参照)側には、それぞれにウェハレベルCSP5を収容可能な複数のポケット(収容部)7aがマトリクス配置で設けられており、かつそれぞれのポケット7aには、図9に示すような、ウェハレベルCSP5の複数の半田バンプ(ボール電極)3を支持する台座部7bと、台座部7bの周囲に形成された側壁7cとが設けられている。
【0054】
ここで、本実施の形態のトレイ7が、半導体装置の外部端子であるボール電極(半田バンプ3)を支持可能な理由について説明する。
【0055】
本実施の形態のトレイ7が収容可能な半導体装置は、例えば、ウェハレベルCSP5のように、半導体チップ2の側面2dや裏面2cが露出していて、パッケージサイズがチップサイズにほぼ等しく、かつ半導体チップ2の自重がそのままパッケージの重さとなるような小型・軽量のパッケージである。
【0056】
すなわち、トレイ7に収容可能な半導体装置は、外観形状は、外部端子としてボール電極である半田バンプ3がマトリクス配置で設けられたBGA型のものであるが、一般的なBGAは、フィラーなどが混入された封止用エポキシ系樹脂、BGA基板、金線およびペースト材などを有しているのに対して、ウェハレベルCSP5は、封止用エポキシ系樹脂、BGA基板、金線およびペースト材などを有していないため、その重量は、一般的なBGAに比較して遥かに軽く、半導体チップ単体の重さにほぼ等しい程度の重量である。
【0057】
したがって、トレイ7のポケット7aにおいてその台座部7bで半田バンプ3を支持しても半田バンプ3が潰れることはなく、ボール受けを可能にすることができる。
【0058】
なお、ウェハレベルCSP5では、半導体チップ2の主面2bの再配置配線2e上にその保護・絶縁を目的としてポリイミド膜などの有機膜2iが形成されている。従来のトレイでは、その収容部において、半導体チップ2の主面2b上の有機膜2iを支持していたが、この場合、有機膜2iは薄い膜であるため、搬送時の振動などで剥離したり、脱落して異物になるなどの不具合が生じており、その対策として有機膜2iを厚くして剥離や脱落を防ぐことも考えられるが、半田バンプ3を接続するために有機膜2iに形成する開口部はフォトリソグラフィ技術で形成する。
【0059】
その際、有機膜2iを厚くしてしまうと、フォトリソグラフィ技術によって開口部を形成するのが困難となったり、また開口部の深さが深過ぎると半田バンプ3がAu層2pに届かないという不具合も発生する。さらに、開口部の面積を大きくすると、パッド2aのファインピッチ対応が困難となり、したがって、有機膜2iを厚くすることは好ましくない。なお、有機膜2iは、柔らかい膜であるため、傷を受け易く、厚くしたとしても異物が増える可能性もある。さらには配線を確実に保護するには、半田バンプ3の高さ以上に厚く有機膜2iを形成しないと効果が得られないことから有機膜2iを厚くするのは好ましくない。
【0060】
したがって、本実施の形態のように、半導体チップ2の主面2b上に有機膜2iが覆われているだけでなく、特に半導体チップ2の重さに近い程度の重さの半導体装置を収容対象とすることにより、ボール受けを可能にするトレイ7は、非常に有効である。
【0061】
なお、ウェハレベルCSP5において、その有機膜2iや第1の絶縁膜2hの厚さは、例えば、約5μm程度であり、また、半導体チップ2のパッドピッチは、例えば、約80μm程度であり、バンプピッチは、例えば、約0.4〜0.5mmであり、バンプ径は、例えば、約0.2〜0.25mmである。
【0062】
また、トレイ7は、例えば、カーボンなどの導電性粒子が混入された絶縁性の樹脂材料などで形成されている。
【0063】
本実施の形態のトレイ7によれば、ウェハレベルCSP5の製造の後工程における工程間の搬送などで、このトレイ7のポケット7aでウェハレベルCSP5を収容した際に、半導体チップ2の主面2bの有機膜2iを支持するのではなく複数の半田バンプ3を台座部7bによって支持するため、有機膜2iに傷が形成されたり、有機膜2iが剥離して異物となって製品に付着したりすることを防止できる。
【0064】
その結果、有機膜2iの剥離により配線が露出して配線ショートなどの電気特性不具合を引き起こすことも防止でき、ウェハレベルCSP5(製品)の品質の向上を図ることができる。
【0065】
さらに、有機膜2iに傷が形成されたり、有機膜2iの剥離を防止することができるため、ウェハレベルCSP5の外観品質を向上させることができる。
【0066】
以上のように、ウェハレベルCSP5の品質の向上を図ることが可能なため、ウェハレベルCSP5(製品)の歩留りを向上させることができる。なお、本実施の形態のトレイ7を採用することにより、例えば、有機膜2iの剥離の発生率を50%から1%以下に低減することができる。
【0067】
また、図9に示すように、トレイ7には、その各ポケット7aにおいて、台座部7bの周囲に第1溝部7dが形成されている。すなわち、各ポケット7aにおいて、台座部7bの外周部に隣接して、かつ台座部7bより窪んだ第1溝部7dが形成されている。
【0068】
これにより、ポケット7a内で発生したシリコン屑などの異物をこの第1溝部7dに落下させることができ、ウェハレベルCSP5に前記異物が付着することを防止することができる。
【0069】
なお、トレイ7は、ウェハレベルCSP5の半田バンプ3を支持するボール受け方式であるため、搬送時などの振動などによって多少のシリコン屑などの異物が発生したとしても、ウェハレベルCSP本体に対してバンプ高さがあるため、異物がウェハレベルCSP本体に傷を与えることを防止できる。
【0070】
また、本実施の形態のトレイ7には、図10に示すように、その台座部7bに第2溝部7eが形成されている。第2溝部7eは、例えば、台座部7bにおいて十字状に形成されている。ただし、第2溝部7eは、台座部7bに形成されていればその形状は十字状に限定されるものではないが、第2溝部7eは、台座部7bから第1溝部7dに連通するように形成されていることが好ましい。
【0071】
すなわち、トレイ7においてポケット7aの台座部7bに第2溝部7eが形成されていることにより、ポケット7aにウェハレベルCSP5が収容されていない場合には、図11に示すように、バキュームパッド20がポケット7aを吸引した際に、台座部7bの第2溝部7eから真空排気がリークするため、バキュームパッド20がトレイ7を吸着することを防止できる。
【0072】
また、トレイ7は、図12および図13に示すように、複数のトレイ7を積み重ねた際に、上段側のトレイ7の裏面7gと、下段側のトレイ7の表面7fとによって囲まれる空間の少なくとも一部が、トレイ7の外部と連通するような形状となっている。
【0073】
すなわち、本実施の形態のトレイ7は、その各ポケット7aにおいて、台座部7bと側壁7cとには貫通孔が全く形成されていない構造である。したがって、複数のトレイ7を積層した際に、上段側のトレイ7と下段側のトレイ7とによって囲まれる空間が密閉状態とならないような構造を有している。トレイ7を積層した際に、図13に示すように上段側のトレイ7の裏面7gに設けられた内壁部7iを下段側のトレイ7の外枠部7jの表面7fで支持する構造となっており、その際、上段側のトレイ7の外周部に設けられた外壁部7hと、下段側のトレイ7の外枠部7jの表面7f側の外周部との間に僅かな隙間が形成されるようになっているため、上段側のトレイ7と下段側のトレイ7とによって囲まれる空間の一部が、トレイ7の外部と前記隙間を介して連通している。したがって、前記隙間を介して図12および図13に示すようにエアー抜けを形成することができる。
【0074】
これにより、複数のトレイ7を積み重ねた状態で、上段側のトレイ7を真空吸着または手作業で下段側のトレイ7から分離して取り出す際に、下段側のトレイ7が密着して上段側のトレイ7といっしょに上昇してくることを防止できる。
【0075】
その結果、トレイ7の使い勝手を向上させて作業性の向上を図ることができる。
【0076】
さらに、トレイ7の各ポケット7aにおいて、台座部7bや側壁7cに貫通孔が形成されていないことにより、複数のトレイ7を積層した際に、上段側のトレイ7のポケット7aから下段側のトレイ7に対してシリコン屑などの異物が落下することを防止でき、搬送時などでトレイ7に付着する異物を低減することができる。
【0077】
以上のように本実施の形態の半導体装置の製造方法では、ウェハレベルCSP5をボール受けすることが可能なトレイ7を採用してその組み立てを行う。
【0078】
図6のステップS13に示すレーザーマーク工程では、このトレイ7にウェハレベルCSP5をボール受けした状態で、ウェハレベルCSP5のマーキングを行う。すなわち、ステップS12に示すダイシングによる個片化後、ウェハレベルCSP5をトレイ7のポケット7aに配置し、複数のボール電極である半田バンプ3を台座部7bによって支持した状態でウェハレベルCSP5に対してレーザー11を用いてマーキングを行う。
【0079】
トレイ7を用いたボール受けでは、ウェハレベルCSP5をポケット7aに収容した際に、ウェハレベルCSP5の半導体チップ2の裏面2c側が上方を向くため、ウェハレベルCSP5をトレイ7に収容した状態でレーザー11によるマーキングを行うことができる。
【0080】
その後、トレイ7にウェハレベルCSP5を収容した状態で次工程まで搬送し、ステップS14に示すバーンイン(B/I)テストおよびBISTなどの信頼性テストを行う。前記バーンインテストは、例えば、図14に示すようなバーンインボード12に取り付けられたバーンインソケット(検査用ソケット)4にウェハレベルCSP5を装着して行われる。
【0081】
なお、バーンインテストを行う際には、ウェハレベルCSP5を収容したトレイ7を、図17に示すように自動着脱機19にセットし、さらに、トレイ7から自動着脱機19の中継用治具である中間ポケット部13のポケット(第2の収容部)13aに、一度ウェハレベルCSP5を移し替えて整列させ、中間ポケット部13で位置決めを行った後、中間ポケット部13からバーンインボード12上のバーンインソケット4に各ウェハレベルCSP5を移し替る。
【0082】
その際、中間ポケット部13の各ポケット13aには、ウェハレベルCSP5の複数の半田バンプ3を支持可能な第2の台座部13bがそれぞれに設けられており、中間ポケット部13にポケット13aにウェハレベルCSP5を収容した際には、図18に示すように、第2の台座部13bによってウェハレベルCSP5の複数の半田バンプ3を支持する。すなわち、自動着脱機19の中間ポケット部13によってもウェハレベルCSP5をボール受けする。
【0083】
これにより、自動着脱機19の中間ポケット部13においても、ウェハレベルCSP5の半導体チップ2の主面2bの有機膜2iを支持するのではなく半田バンプ3を第2の台座部13bによって支持するため、有機膜2iに傷が形成されたり、有機膜2iが剥離して異物となって製品に付着したりすることを防止できる。
【0084】
その結果、有機膜2iの剥離により配線が露出して配線ショートなどの電気特性不具合を引き起こすことも防止でき、ウェハレベルCSP5の品質の向上を図ることができる。さらに、有機膜2iに傷が形成されたり、有機膜2iの剥離を防止することができるため、ウェハレベルCSP5の外観品質を向上させることができる。また、ウェハレベルCSP5の品質の向上を図ることが可能なため、ウェハレベルCSP5の歩留りを向上させることができる。
【0085】
さらに、各ポケット13aには、図18に示すように第2の台座部13bの周囲に第3溝部13cが形成されており、これにより、ポケット13a内で発生したシリコン屑などの異物をこの第3溝部13cに落下させることができ、ウェハレベルCSP5に前記異物が付着することを防止できる。その結果、半導体チップ2においてチッピングの発生などを阻止することができる。また中間ポケット部13における第2の台座部13bに、トレイ7における第2溝部7eのような真空排気用の溝が形成されていないのは、トレイ7からバーンインソケット4に移す前に一度、整列配置するため、全てのポケット13aに半導体チップ2が収容されことから、バキュームパッド20が第2の台座部13bに吸着する問題は生じない。さらには、仮にチップが収容されていないポケット13aが存在しても、中間ポケット部13が固定治具であるため、トレイ7のようにバキュームパッド20により吸い上げる問題は生じない。このため、中間ポケット部13には、真空排気用の溝は設けないことで製造コストの低減を図ることができる。
【0086】
なお、中間ポケット部13は、トレイ7と同様に、例えば、カーボンなどの導電性粒子が混入された絶縁性の樹脂材料などで形成されている。
【0087】
中間ポケット部13による位置決めを行った後、中間ポケット部13から検査用ソケットであるバーンインソケット4に各ウェハレベルCSP5を移し替えてバーンインテストを行う。
【0088】
図14に示すバーンインソケット4の構成は、ウェハレベルCSP5を配置可能に形成され、かつ底部4bと内壁4dとによって形成された凹部4aと、凹部4aに配置されたウェハレベルCSP5を押圧する押圧部4fが設けられた上蓋4eと、ウェハレベルCSP5の半田バンプ3を配置可能な開口部4iを有しており、かつウェハレベルCSP5の有機膜2iを支持する絶縁性のシート部材4jと、ウェハレベルCSP5の複数の半田バンプ3それぞれに対応してシート部材4jの開口部4iに配置されており、かつ図15に示すように半田バンプ3に接触可能な複数の端子部4gと、シート部材4jと密着しており、かつ端子部4gに接続する配線が設けられた導体部4hとからなり、図16に示すコンタクトシート4cのシート部材4jにおける1つの開口部4iに、複数の端子部4gが配置されているものである。
【0089】
本実施の形態のコンタクトシート4cは、例えば、ポリイミドなどからなるシート部材4jと、導電性のメッキが施された端子部4gと、銅箔などからなる導体部4hから構成されている。バーンインテストは、押圧部4fによりウェハレベルCSP5を押圧した状態で行うため、半田バンプ3に荷重が加わり半田バンプ3の形状が変形してしまう虞がある。このため、シート部材4jを設けることで押圧に対するクッション代わりとしているが、ウェハレベルCSP5の有機膜2iとの接触による傷や剥離による異物が問題となる。そこで本実施の形態では、例えば図16に示すように、シート部材4jの1つの開口部4i内に4つの端子部4gが設けられており、したがって、シート部材4jの各1つの開口部4iに4つの半田バンプ3が配置される。
【0090】
これにより、従来の1つ1つの半田バンプ3に対応して開口部4iが設けられている部材に比較して、シート部材4jの1つの開口部4iの大きさが大きくなり、その結果、ウェハレベルCSP5の有機膜2iとコンタクトシート4cのシート部材4jとの接触面積が小さくなり、有機膜2iによる異物の発生を低減することができる。
【0091】
なお、バーンインテストの際には、図15に示すようにウェハレベルCSP5の半田バンプ3を端子部4gに接触させ、かつウェハレベルCSP5の有機膜2iをシート部材4jが支持するようにバーンインソケット4にウェハレベルCSP5を装着してバーンインテストを行う。
【0092】
その際、シート部材4jの有機膜2iを支持する箇所の面積が小さくなるため、テスト時にシート部材4jとウェハレベルCSP5との間で前記異物やシリコン屑などを挟む要因を減らすことができ、テスト不良の発生を低減することができる。
【0093】
前記バーンインテスト終了後、ウェハレベルCSP5をバーンインソケット4からトレイ7に詰め替えて、図6のステップS15に示すベーク処理であるリテンションベークを行う。前記リテンションベークは、ウェハレベルCSP5をトレイ7に収容した状態で行う。
【0094】
その後、ウェハレベルCSP5をトレイ7に収容した状態で次工程まで搬送し、そこでステップS16に示すテスティングを行う。テスティング工程でのテスティングは、例えば、ファンクションテストなどであり、ウェハレベルCSP5をトレイ7からテストソケット6に移し替えて、ファンクションテストをテストソケット6で行う。なお、図19に示すようにテストソケット6は、上下動可能に設けられたフローティング台座6aと、ウェハレベルCSP5の半田バンプ3に接触するコンタクトピン6bと、半田バンプ3がコンタクトピン6に接触するまでウェハレベルCSP5を支持する支持部6cとからなり、テスティング時には、ウェハレベルCSP5の半田バンプ3をコンタクトピン6bに接触させて半田バンプ3をコンタクトピン6bで支持した状態でテスト(検査)を行う。テストソケット6には、支持部6cの周囲に異物を落下させウェハレベルCSP5への異物付着を防止する第4溝部6dが形成されている。またフローティング台座6は、半田バンプ3がコンタクトピン6bに接触するまで有機膜2iは支持部6cと接触しているため、有機膜2iの傷や剥離による異物の問題が生じる虞がある。このためできるだけ有機膜2iと支持部6cとの接触面積を低減するために、支持部6cの接触面はウェハレベルCSP5の角部のみ支持するようにL字型の形状をしている。
【0095】
テスティング終了後、再び、テストソケット6からトレイ7にウェハレベルCSP5を移し替え、ウェハレベルCSP5をトレイ7に収容した状態で次工程まで搬送し、そこで図7のステップS17に示す自動外観検査を行う。ここでは、ウェハレベルCSP5をトレイ7から検査用治具14に移し替て、検査用治具14上でウェハレベルCSP5の外観検査を行う。
【0096】
その後、ステップS18に示す出荷トレイ詰替えを行う。すなわち、予め、トレイ7として、耐熱性材料によって形成されているトレイ7と、非耐熱性材料によって形成されている出荷用トレイ15とを準備しておき、ダイシング(ステップS12)〜自動外観検査(ステップS17)までの工程においてバーンインテストとテスティングを除く各工程での処理や工程間搬送には、ベーク処理などの高温処理を含んでいるため、耐熱性材料によって形成されたトレイ7を用いる。その後の工程や出荷にはベーク処理などの高温処理を含まないため非耐熱性材料によって形成された出荷用トレイ15を用いる。
【0097】
そこで、ステップS17に示す自動外観検査終了後、耐熱性材料によって形成されたトレイ7から非耐熱性材料によって形成された出荷用トレイ15にウェハレベルCSP5を移し替る。なお、出荷用トレイ15の構造は、トレイ7の構造と全く同じであり、したがって、出荷用トレイ15においても、ウェハレベルCSP5の複数の半田バンプ3を台座部によって支持するボール受けを行う。
【0098】
前記出荷用トレイ15への移し替え終了後、ステップS19に示す最終外観を行う。ここでは、ウェハレベルCSP5を出荷用トレイ15に収容した状態で実体顕微鏡や金属顕微鏡などを用いて最終の外観検査を行う。
【0099】
その後、ステップS20に示す異物除去を行う。ここでは、ウェハレベルCSP5を収容した出荷用トレイ15に対してエアーブロー装置16などによってエアーを吹き付けるか、または異物吸引などを行って出荷用トレイ15上の異物除去を行う。
【0100】
その後、ステップS21に示す梱包を行う。すなわち、それぞれにウェハレベルCSP5を収容した複数の出荷用トレイ15を積層し、アルミ防湿袋17などに入れて封入する。さらに、バンド18によって束ねた後、内装箱もしくは外装箱に入れてステップS22に示す出荷となる。なお、出荷用トレイ15もトレイ7と同様の構造であるため、出荷の際には、ウェハレベルCSP5の複数の半田バンプ3を支持した状態で出荷を行う。
【0101】
このように、耐熱性材料によって形成されたトレイ7と、非耐熱性材料によって形成された出荷用トレイ15とを準備することにより、ウェハレベルCSP5の製造における工程間搬送では、耐熱性材料からなるトレイ7を使用し、ウェハレベルCSP5の出荷時には、非耐熱性材料からなる出荷用トレイ15を使用することができる。すなわち、工程間搬送と出荷時とで非耐熱性材料の出荷用トレイ15と耐熱性材料のトレイ7とを使い分けることが可能になり、その際、非耐熱性材料は耐熱性材料に比べて安価であるため、従来、コスト高の耐熱性材料のトレイ7のみを使用していたのに比較してトレイ本体のコストの低減化を図ることができる。
【0102】
さらに、出荷用トレイ15もボール受けを行う構造であるため、出荷用トレイ15でウェハレベルCSP5の半田バンプ3を支持した状態で出荷することにより、出荷後の搬送において、振動によって起こる有機膜2iなどの脱落による異物の発生を抑えることができる。
【0103】
以上、本発明者によってなされた発明を発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0104】
例えば、前記実施の形態では、耐熱性材料によって形成されたトレイ7と、非耐熱性材料によって形成された出荷用トレイ15とを準備して、工程間搬送および所定の処理(例えば、高温処理)時にはトレイ7を使用し、出荷時には、出荷用トレイ15を使用する場合を説明したが、非耐熱性材料からなる出荷用トレイ15は、必ずしも準備する必要はなく、耐熱性材料によって形成されたトレイ7のみを準備して、これを工程間搬送や前記所定の処理時に用い、さらに出荷に用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、トレイおよびソケットならびに半導体製造技術に好適である。
【符号の説明】
【0106】
1 半導体ウェハ
1a 主面
1b ダイシングライン
1c デバイス領域(半導体装置形成領域)
2 半導体チップ
2a パッド
2b 主面
2c 裏面
2d 側面
2e 再配置配線
2f 絶縁層
2g 保護膜
2h 第1の絶縁膜
2i 有機膜
2j Ni層
2k シリコン基板
2m Cu層
2n Cr層
2p Au層
3 半田バンプ(ボール電極)
4 バーンインソケット(検査用ソケット)
4a 凹部
4b 底部
4c コンタクトシート
4d 内壁
4e 上蓋
4f 押圧部
4g 端子部
4h 導体部
4i 開口部
4j シート部材
5 ウェハレベルCSP(半導体装置)
6 テストソケット
6a フローティング台座
6b コンタクトピン
6c 支持部
6d 第4溝部
7 トレイ
7a ポケット(収容部)
7b 台座部
7c 側壁
7d 第1溝部
7e 第2溝部
7f 表面
7g 裏面
7h 外壁部
7i 内壁部
7j 外枠部
8 ピックアップ部
9 ブレード
10 専用ケース治具
11 レーザー
12 バーンインボード
13 中間ポケット部(中継用治具)
13a ポケット(第2の収容部)
13b 第2の台座部
13c 第3溝部
14 検査用治具
15 出荷用トレイ
16 エアーブロー装置
17 アルミ防湿袋
18 バンド
19 自動着脱機
20 バキュームパッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)それぞれの主面上に形成された配線層を覆う有機膜と、前記有機膜の複数の開口部それぞれに配置された外部端子である複数のボール電極とを有する複数の半導体装置形成領域が設けられた半導体ウェハを準備する工程と、
(b)前記半導体ウェハを前記半導体装置形成領域に応じてダイシングによって分割して複数の半導体装置を形成する工程と、
(c)前記(b)工程の後、前記半導体装置の前記複数のボール電極を支持した状態で検査する工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、前記半導体装置の前記有機膜を支持可能な絶縁性のシート部材と、前記半導体装置の前記ボール電極それぞれに接触可能な複数の端子部と、前記端子部に接続する配線が設けられた導体部とを有しており、前記シート部材が有する複数の開口部それぞれに複数の前記端子部が配置された検査用ソケットを準備し、前記(c)工程で、前記半導体装置の前記ボール電極を前記端子部に接触させ、かつ前記半導体装置の前記有機膜を前記シート部材が支持するように前記検査用ソケットに前記半導体装置を装着してバーンインテストを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置の製造方法において、前記半導体装置の前記複数のボール電極を支持可能な第2の台座部をそれぞれに有する複数の第2の収容部を備えた中継用治具を準備し、前記(c)工程で前記半導体装置のバーンインテストを行う際に、一度前記中継用治具の前記第2の収容部に前記半導体装置を配置して前記第2の台座部により前記複数のボール電極を支持し、その後、前記半導体装置の前記ボール電極を前記端子部に接触させ、かつ前記半導体装置の前記有機膜を前記シート部材が支持するように前記検査用ソケットに前記半導体装置を装着してバーンインテストを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の半導体装置の製造方法において、前記中継用治具の前記第2の収容部における前記第2の台座部の周囲に第3溝部が形成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
(a)それぞれの主面上に形成された配線層を覆う有機膜と、前記有機膜の複数の開口部それぞれに配置された外部端子である複数のボール電極とを有する複数の半導体装置形成領域が設けられた半導体ウェハを準備する工程と、
(b)前記半導体ウェハを前記半導体装置形成領域に応じてダイシングによって分割して複数の半導体装置を形成する工程と、
(c)前記(b)工程の後、前記半導体装置の前記複数のボール電極を支持した状態で前記半導体装置を搬送し、その後、前記半導体装置をバーンインテストする工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置の製造方法において、前記半導体装置の前記複数のボール電極を支持可能な台座部と、前記台座部の周囲に形成された側壁とをそれぞれに有する複数の収容部を備えており、非耐熱性材料によって形成されたトレイを準備し、前記(c)工程の後、前記トレイの前記収容部に前記半導体装置を配置し、前記複数のボール電極を前記台座部によって支持した状態で前記半導体装置を出荷することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5記載の半導体装置の製造方法において、前記半導体装置の前記複数のボール電極を支持可能な台座部と、前記台座部の周囲に形成された側壁とをそれぞれに有する複数の収容部を備えたトレイを準備し、前記(b)工程の後、前記半導体装置を前記トレイの前記収容部に配置して前記複数のボール電極を前記台座部によって支持し、前記支持した状態で前記半導体装置にマーキングを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
主面上に形成された配線層を覆う有機膜を有した半導体チップと、外部端子である複数のボール電極とを有した半導体装置を装着して前記半導体装置の電気的検査を行うことが可能な検査用ソケットであって、
前記半導体装置の前記ボール電極を配置可能な開口部を有し、前記半導体装置の前記有機膜を支持する絶縁性のシート部材と、
前記半導体装置の前記複数のボール電極それぞれに対応して前記シート部材の前記開口部に配置されており、前記ボール電極に接触可能な複数の端子部と、
前記シート部材と密着し、前記端子部に接続する配線が設けられた導体部とを有し、
前記シート部材における1つの前記開口部に複数の前記端子部が配置されていることを特徴とする検査用ソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−109386(P2010−109386A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10765(P2010−10765)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【分割の表示】特願2004−70476(P2004−70476)の分割
【原出願日】平成16年3月12日(2004.3.12)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】