説明

半導体装置の製造方法

【課題】信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】基板上に設けられた層間絶縁膜40に開口部48を形成する工程と、開口部48の側面上および底面上、ならびに層間絶縁膜40上に第1金属材料からなる第1膜10を形成する工程と、第1膜10上であって、開口部48内および層間絶縁膜40上に、第1金属材料よりも電気陰性度が小さい第2金属材料からなる第2膜20を形成する工程と、第2膜20上に、第2金属材料よりも電気陰性度が小さい第3金属材料からなる第3膜30を形成する工程と、熱処理する工程と、開口部48外に位置する第1膜10および第2膜20、ならびに第3膜30を研磨によって除去する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を構成する配線パターンには、バリアメタル膜が設けられている場合がある。バリアメタル膜に関する技術としては様々なものが検討されており、例えば非特許文献1に記載のものが開示されている。非特許文献1に記載の技術は、非晶質Ruと多結晶Ruを順に積層したバリアメタル膜上にCu配線を形成するというものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】"Amorphous Ru / Polycrystalline Ru Highly Reliable Stacked Layer Barrier Technology" S. Ogawa et al., Proceedings of IITC 2008, p102-104
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、非特許文献1に記載の技術において、以下の課題があることを見出した。
すなわち、バリアメタル膜を構成するRuは、配線膜を構成するCuよりも電気陰性度が大きい。このため、配線形成プロセス中においてバリアメタル膜に酸素が取り込まれる、あるいはバリアメタル膜が酸化した場合には、バリアメタル膜中の酸素は配線中へ取り込まれてしまう。配線中に酸素が取り込まれると、配線の信頼性は低下する。
従って、配線膜を構成する金属材料よりも電気陰性度が大きい金属材料によってバリアメタル膜が構成される場合において、配線の信頼性が低下してしまうことを抑制し、信頼性の高い半導体装置を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、基板上に設けられた絶縁膜に開口部を形成する工程と、
前記開口部の側面上および底面上、ならびに前記絶縁膜上に第1金属材料からなる第1膜を形成する工程と、
前記第1膜上であって、前記開口部内および前記絶縁膜上に、前記第1金属材料よりも電気陰性度が小さい第2金属材料からなる第2膜を形成する工程と、
前記第2膜上に、前記第2金属材料よりも電気陰性度が小さい第3金属材料からなる第3膜を形成する工程と、
熱処理する工程と、
前記開口部外に位置する前記第1膜および前記第2膜、ならびに前記第3膜を研磨によって除去する工程と、
を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0006】
本発明によれば、まず、第1膜上に、第1膜を構成する第1金属材料よりも電気陰性度が小さい第2金属材料からなる第2膜を形成する。次いで、第2膜上に、第2金属材料よりも電気陰性度が小さい第3金属材料からなる第3膜を形成する。次いで、熱処理をする。そして第3膜を除去する。このため、第1膜から第2膜へ取り込まれた酸素は、最終的に除去される第3膜中へ取り込まれることとなる。すなわち、第2膜中の酸素を低減することができる。従って、信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】図1および図2に示す半導体装置の製造方法を示すフロー図である。
【図4】比較例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1および図2は、第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。また、図3は、図1および図2に示す半導体装置の製造方法を示すフロー図である。本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、図3に示す工程を含むものである。すなわち、基板上に設けられた層間絶縁膜40に開口部48を形成する工程(S01)、開口部48の側面上および底面上、ならびに層間絶縁膜40上に第1膜10を形成する工程(S02)、第1膜10上であって、開口部48内および層間絶縁膜40上に、第2膜20を形成する工程(S03)、第2膜20上に第3膜30を形成する工程(S04)、熱処理する工程(S05)、開口部48外に位置する第1膜10および第2膜20、ならびに第3膜を研磨によって除去する工程(S06)を含む。
【0011】
第1膜10は、第1金属材料からなる。第2膜20は、第1金属材料よりも電気陰性度が小さい第2金属材料からなる。第3膜30は、第2金属材料よりも電気陰性度が小さい第3金属材料からなる。以下、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について、詳細に説明する。
【0012】
図2(a)に示すように、まず、基板上に設けられた層間絶縁膜40に開口部48を形成する(S01)。層間絶縁膜40は、例えば基板上に設けられた層間絶縁膜50上に設けられている。図示していないが、基板は、例えばシリコン基板である。シリコン基板上部には、トランジスタ等の素子(図示せず)が形成された構成とすることができる。層間絶縁膜40の膜厚は、例えば25nm以上300nm以下である。
【0013】
層間絶縁膜40は、例えばSiO膜42、低誘電率絶縁膜44、SiO膜46を順に積層した積層構造を有している。このとき、SiO膜42の膜厚は、例えば25nmである。また、低誘電率絶縁膜44の膜厚は、例えば150nmである。また、SiO膜46の膜厚は、例えば60nmである。
【0014】
開口部48は、リソグラフィ法やエッチングによって層間絶縁膜40中に形成される。本実施形態において、開口部48は、配線溝を構成する。また、開口部48は、例えばコンタクトホールやビアホール等を含んでいてもよい。
【0015】
次に、図2(a)に示すように、開口部48の側面上および底面上、ならびに層間絶縁膜40上に、第1金属材料からなる第1膜10を形成する(S02)。第1膜10は、例えばPVD(Physical Vapor Deposition)法により形成される。また、第1膜10は、例えば10nmの膜厚を有する。第1金属材料は、例えばRuである。
【0016】
次に、第1膜10上であって、開口部48内および層間絶縁膜40上に、第1金属材料よりも電気陰性度が小さい第2金属材料からなる第2膜20を形成する(S03)。
第2膜20の形成は、例えば次のように行われる。まず、第1膜10が形成された基板を、同一装置内の別チャンバーに搬送する。次いで、図2(a)に示すように、第1膜10上に第2金属材料からなるシード膜22を形成する。シード膜22は、例えばPVD法によって形成される。シード膜22の膜厚は、例えば30nmである。
【0017】
次いで、図2(b)に示すように、めっき装置を用いて、シード膜22をシードとしためっき法により、第1膜10上に第2金属材料を堆積する。第2金属材料は、開口部48内を埋め込むように堆積される。これにより、第2膜20が形成される。第2膜20の膜厚は、例えば500nmである。第2金属材料は、例えばCuである。
【0018】
次に、図2(c)に示すように、第2膜20上に、第2金属材料よりも電気陰性度が小さい第3金属材料からなる第3膜30を形成する(S04)。第3膜30は、例えばPVD法によって形成される。第3膜30の膜厚は、例えば50nmである。
第3金属材料としては、第2金属材料よりも電気陰性度が小さい材料が用いられ、例えばTi、Zr、V、Cr、Mn、Y、AlまたはTaが用いられる。
【0019】
次に、図1(a)に示すように、熱処理を行う(S05)。この熱処理によって、第2膜20および第3膜30が熱処理される。なお、図1(a)中の矢印は、酸素の動きを示している。
熱処理は、例えば150℃以上400℃以下の温度で行われる。具体的には、例えば基板に対し、常圧のN雰囲気にて、200℃、30分間の熱処理を実施する。
【0020】
第3膜30は、第2膜20よりも電気陰性度の小さい材料からなるため、第2膜20中の酸素をゲッタリングする機能を有する。このため、第2膜20および第3膜30を熱処理することにより、第2膜20中の酸素は、図1(a)中の矢印に示すように、第3膜30中に取り込まれることとなる。第2膜20中の酸素とは、例えば第1膜10から第2膜20中に取り込まれた酸素や、めっき膜中に存在した酸素等である。
【0021】
次に、図1(b)に示すように、開口部48外に位置する第1膜10および第2膜20、ならびに第3膜30を研磨によって除去する(S06)。当該研磨工程は、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)によって行われる。当該研磨工程によって、第3膜30が除去され、また開口部48外に位置する第1膜10および第2膜20が除去される。これにより、開口部48内には、第1金属材料からなるバリアメタル膜12と、第2金属材料からなる配線膜24が形成されることとなる。
【0022】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の作用および効果を説明する。
図4は、比較例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。比較例に係る半導体装置の製造方法は、図4に示すように、第3膜30を形成する工程と、熱処理する工程を含まない点を除いて、本実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様である。
比較例に係る半導体装置の製造方法によれば、配線形成プロセス中において第1膜10から第2膜20へ取り込まれてしまった酸素は、第2膜20中に保持される。このため、第2膜20によって構成される配線膜24は酸素を保持することとなり、配線の信頼性を低下させてしまう。これにより、半導体装置の信頼性は低下する。
【0023】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法は次のように行われる。まず、第1膜10上に、第1膜10を構成する金属材料よりも電気陰性度が小さい第2金属材料からなる第2膜20を形成する。次いで、第2膜20上に、第2金属材料よりも電気陰性度が小さい第3金属材料からなる第3膜30を形成する。次いで、熱処理する。そして、第3膜30を除去する。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、配線形成プロセス中において第1膜10から第2膜20へ取り込まれてしまった酸素は、最終的に除去される第3膜30中へ取り込まれることとなる。すなわち、第2膜20中の酸素を低減することができる。このため、第2膜20によって構成される配線膜24中の酸素を低減し、配線の信頼性が低下してしまうことを抑制することができる。従って、信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
【0024】
また、第1金属材料としてRuを用いた場合、Cuめっきの埋め込み性能を向上させることができる。これにより、微細なCu配線を実現することが可能となる。さらに、バリアメタル膜としてRuを用いることで、配線の信頼性を向上することもできる。
【0025】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0026】
10 第1膜
12 バリアメタル膜
20 第2膜
22 シード膜
24 配線膜
30 第3膜
40 層間絶縁膜
42 SiO
44 低誘電率絶縁膜
46 SiO
48 開口部
50 層間絶縁膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられた絶縁膜に開口部を形成する工程と、
前記開口部の側面上および底面上、ならびに前記絶縁膜上に第1金属材料からなる第1膜を形成する工程と、
前記第1膜上であって、前記開口部内および前記絶縁膜上に、前記第1金属材料よりも電気陰性度が小さい第2金属材料からなる第2膜を形成する工程と、
前記第2膜上に、前記第2金属材料よりも電気陰性度が小さい第3金属材料からなる第3膜を形成する工程と、
熱処理する工程と、
前記開口部外に位置する前記第1膜および前記第2膜、ならびに前記第3膜を研磨によって除去する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1金属材料は、Ruである半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第2金属材料は、Cuである半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第3金属材料は、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Y、AlまたはTaである半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第2膜を形成する工程において、前記第2膜の形成は、前記第1膜上へ前記第2金属材料からなるシード膜を形成し、前記シード膜をシードとしためっき法により前記第1膜上に前記第2金属材料を堆積することによって行われる半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか1項に記載の半導体装置の製造方法であって、
前記熱処理は、150℃以上400℃以下の温度で行われる半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−204585(P2012−204585A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67557(P2011−67557)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】