説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】Cuを含有する配線層及びAlを含有するビアプラグ層を備える半導体装置に関し、配線層及びビアプラグ層の信頼性を向上させること。
【解決手段】Cuを含有する配線層と、前記配線層上に形成された層間絶縁膜と、前記配線層上の前記層間絶縁膜内に形成されたビアホールと、前記ビアホール内における前記配線層上に形成された第1のバリア層と、前記第1のバリア層上及び前記ビアホールの側壁に形成された第2のバリア層と、前記第2のバリア層上に形成され、Alを含有する導電層と、を備えることを特徴とする半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の多層配線は、高集積化及び低抵抗化が強く求められている。従来、半導体装置の配線層としては、Al(アルミニウム)配線層が採用される事が多かった。しかし近年、配線加工に関するマージンの向上及び配線の更なる低抵抗化のため、半導体装置の配線層として、Cu(銅)配線層が採用される事が多くなった。
【0003】
この場合、コスト削減の観点から、Cu配線層とAlビアプラグ層との組合せが有効であると考えられる。しかし、Cu配線層とAlビアプラグ層との組合せには、次のような問題がある。
【0004】
第1に、スパッタ法で形成され、Cu配線層とAlビアプラグ層との間に介在するバリアメタル層のバリア崩れ(バリアメタル層が形成されないこと)が問題となる。このバリア崩れは、ビアホールの底面と側面とのエッジ付近で起こりやすく、特にウエーハの周辺部において起こりやすい。ビアホールのエッジ付近は一般に、バリアメタル層のカバレッジが悪いからである。Cu配線層とAlビアプラグ層とを採用する場合にバリア崩れが起こると、Cu配線層のCuがAlビアプラグ層に拡散してしまう。このような拡散が生じると、Cu配線層にボイドが生じ、Cu配線層とAlビアプラグ層との間に接続不良が生じてしまう。
【0005】
第2に、Alビアプラグ層の埋め込み不良(充填不良)が問題となる。Alビアプラグ層の埋め込み不良は、ビアホールのアスペクト比が大きくなると起こりやすくなる。
【0006】
バリア崩れの抑制と埋め込み不良の抑制は、両立が難しい。バリア崩れを抑制するためには、バリアメタル層を厚くすればよい。しかし、バリアメタル層を厚くすると、ビアプラグの開口部においてバリアメタル層のオーバーハングが大きくなり、Alビアプラグ層の埋め込み不良が起こりやすくなる。だからといって、バリアメタル層を薄くすると、ビアホールのエッジ付近のカバレッジが悪くなり、バリア崩れが起こりやすくなる。バリア崩れの抑制と埋め込み不良の抑制は、ビアホールのアスペクト比が2以上になると、両立が大変困難になる。例えば、ビア高さが300nmの場合には、ビア径が150nm以下になると、バリア崩れの抑制と埋め込み不良の抑制との両立が大変困難になる。
【0007】
特許文献1には、Cu配線層とCuビアプラグ層との間に、CoWPキャップメタル層とキャップメタル窒化層とTaを含有するバリアメタル層とが介在する半導体装置が開示されている。特許文献2には、Cu配線層とAlビアプラグ層との間に、Tiを含有するバリアメタル層が介在する半導体装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006−253666号公報
【特許文献2】特開2007−42662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、Cuを含有する配線層及びAlを含有するビアプラグ層を備える半導体装置に関し、配線層及びビアプラグ層の信頼性を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は例えば、Cu(銅)を含有する配線層と、前記配線層上に形成された層間絶縁膜と、前記配線層上の前記層間絶縁膜内に形成されたビアホールと、前記ビアホール内における前記配線層上に形成された第1のバリア層と、前記第1のバリア層上及び前記ビアホールの側壁に形成された第2のバリア層と、前記第2のバリア層上に形成され、Al(アルミニウム)を含有する導電層と、を備えることを特徴とする半導体装置である。
【0010】
本発明の実施形態は例えば、Cu(銅)を含有する配線層を形成し、前記配線層上に第1のバリア層を形成し、前記第1のバリア層の形成後に前記配線層上に層間絶縁膜を形成し、前記配線層上の前記層間絶縁膜内に、前記第1のバリア層の上面が露出するようなビアホールを形成し、前記第1のバリア層上及び前記ビアホールの側壁に第2のバリア層を形成し、前記第2のバリア層上に、Al(アルミニウム)を含有する導電層を形成する、ことを特徴とする半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、Cuを含有する配線層及びAlを含有するビアプラグ層を備える半導体装置に関し、配線層及びビアプラグ層の信頼性を向上させることを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(第1実施例)
図1は、第1実施例の半導体装置101の側方断面図である。該半導体装置101は、基板111と、バリアメタル層121と、Cu配線層122と、保護膜123と、第1の層間絶縁膜131と、第1のバリアメタル層141と、第2のバリアメタル層142と、Al導電層143と、第2の層間絶縁膜151とを具備する。Cu配線層122は、Cu配線層である第1の配線層201を構成している。第1のバリアメタル層141と第2のバリアメタル層142とAl導電層(Alビアプラグ層)143は、ビアプラグ202を構成している。Al導電層143はさらに、Al配線層である第2の配線層203を構成している。第1の配線層201と第2の配線層203は、ビアプラグ202により電気的に接続されている。第1の配線層201はビアプラグ202の下部配線層に相当し、第2の配線層203はビアプラグ202の上部配線層に相当する。
【0013】
基板111はここでは、Si(シリコン)基板である。基板111は、半導体基板でもSOI(Silicon On Insulator)基板でもよい。基板111上には例えば、トランジスタやキャパシタ等の半導体素子が形成されている。
【0014】
バリアメタル層121は、基板111の上方に形成されている。バリアメタル層121はここでは、Ta(タンタル)原子を含有するTa層である。該Ta層には、Cu配線層122内のCu原子の拡散を防止する作用がある。バリアメタル層121は例えば、Ti(チタン)原子を含有するTi層でもよい。バリアメタル層121は例えば、Ta原子及びTi原子を含有する合金膜でもよい。バリアメタル層121は、1つの層を含む単層膜でも2つ以上の層を含む積層膜でもよい。
【0015】
Cu配線層122は、シード層を介してバリアメタル層121上に形成されている。Cu配線層122はここでは、Cu(銅)原子を含有するCu層であり、電解めっき法で形成される。Cu配線層122はここでは、ダマシン配線層である。Cu配線層122は、シングルダマシン配線層でもデュアルダマシン配線層でもよい。
【0016】
保護膜123は、少なくともCu配線層122上に形成されている。保護膜123は、Cu配線層122を保護する膜であり、少なくともCu配線層122の上面を覆っている。保護膜123はここでは、Cu配線層122内のCu原子の酸化を抑制する作用のあるCoWB(Cobalt Tungsten Boron)膜である。CoWB膜は、Cu配線層122上に選択的に成膜する事ができ、且つ、Cu配線層122の酸化ダメージを抑制する事ができる。保護膜123は例えば、Co膜、CoW膜、CoP膜、CoWP膜、CoSnP膜、CoMoP膜でもよい(Co:コバルト、W:タングステン、P:リン、Sn:スズ、Mo:モリブテン)。保護膜123は、1つの膜を含む単層膜でも2つ以上の膜を含む積層膜でもよい。
【0017】
第1の層間絶縁膜131は、基板111の上方に形成されており、第1の配線層201を支持する土台となっている。第1の層間絶縁膜131はここでは、TEOS膜である。第1の層間絶縁膜131は例えば、SiO(二酸化シリコン)膜や低誘電率膜(Low−K膜)でもよい。当該低誘電率膜は、無機膜でも有機膜でもよい。
【0018】
第1のバリアメタル層141は、ビアプラグ202用のビアホールHの形成前に保護膜123上に形成される。従って、第1のバリアメタル層141は、保護膜123の上面とAl導電層143の下面との間には介在しているが、ビアホールHの側面とAl導電層143の側面との間には介在していない。第1のバリアメタル層141はここでは、2つの層を含む積層膜であり、Ti(チタン)原子を含有するTi層BMと、Ti(チタン)原子及びN(窒素)原子を含有するTiN層BMとを含んでいる。TiN層BMには、Cu配線層122内のCu原子及びAl導電層143内のAl原子の拡散を防止する作用がある。Ti層BMとTiN層BMとの間に、Ti(チタン)原子及びO(酸素)原子を含有するTiO層を設けてもよい。該TiO層により、Cu配線層122内のCu原子及びAl導電層143内のAl原子の拡散を防止する効果がさらに高まる。第1のバリアメタル層141は、1つの層を含む単層膜でも2つ以上の層を含む積層膜でもよい。
【0019】
第2のバリアメタル層142は、ビアプラグ202用のビアホールHの形成後に第1のバリアメタル層141上に形成される。従って、第2のバリアメタル層141は、保護膜123の上面とAl導電層143の下面との間と、ビアホールHの側面とAl導電層143の側面との間とに介在している。第2のバリアメタル層142はここでは、1つの層を含む単層膜であり、Ti(チタン)原子を含有するTi層BMを含んでいる。Ti層BMには、Alの濡れ性を向上させる作用がある。第2のバリアメタル層142は、1つの層を含む単層膜でも2つ以上の層を含む積層膜でもよい。
【0020】
Al導電層143は、ビアプラグ202の本体となる層であり、ビアプラグ202用のビアホールHの形成後に第2のバリアメタル層142上に形成される。Al導電層143はここでは、Al(アルミニウム)原子を含有するAl層である。Al導電層143は、Al原子のみを含有していてもよいし、Al原子及びその他の原子(例えばCu原子)を含有していてもよい。Al導電層143はここでは、Alビアプラグ層とAl配線層とを兼ねている。
【0021】
第2の層間絶縁膜151は、第1の層間絶縁膜131上に形成されており、第2の配線層203を支持する土台となっている。第2の層間絶縁膜151はここでは、TEOS膜である。第2の層間絶縁膜151は例えば、SiO(二酸化シリコン)膜や低誘電率膜(Low−K膜)でもよい。当該低誘電率膜は、無機膜でも有機膜でもよい。図1のように、第2の層間絶縁膜151及び第1のバリアメタル層141はここでは、保護膜123を介してCu配線層122上に形成されている。保護膜123はここでは、第2の層間絶縁膜151及び第1のバリアメタル層141とCu配線層122との間に介在している。ビアホールHは、Cu配線層122上の第2の層間絶縁膜151内に形成されている。第1のバリアメタル層141は、ビアホールH内におけるCu配線層122上に形成されている。
【0022】
図2A乃至Hは、図1の半導体装置101の製造工程図である。
【0023】
先ず、図2Aのように、CVDにより、基板111の上方に第1の層間絶縁膜131を堆積する。基板111はここでは、シリコン基板である。第1の層間絶縁膜131はここでは、TEOS膜である。基板111上には、トランジスタやキャパシタ等の半導体素子が形成されているとする。次に、リソグラフィ及びエッチングにより、基板111の表面に配線溝Tを形成する。
【0024】
次に、図2Bのように、スパッタ法により、第1の層間絶縁膜131上にTa層121を堆積する。これにより、配線溝Tの底面及び側面にTa層(バリアメタル層)121が形成される。次に、スパッタ法により、Ta層121上にCuシード層を堆積し、めっき法等により、Cuシード層上にCu層を堆積する。これにより、配線溝T内にCu配線層122が形成される。次に、CMPにより、Cu配線層122を平坦化する。こうして、配線溝T内に埋め込まれた第1の配線層201が形成される。次に、めっき法又は選択CVDにより、Cu配線層122上にCoWB膜123を選択的に堆積する。これにより、少なくともCu配線層122の上面にCoWB膜(保護膜)123が形成される。次に、スパッタ法により、CoWB膜123及び第1の層間絶縁膜131上にTi層BMを堆積し、スパッタ法により、Ti層BM上にTiN層BMを堆積する。こうして、ビアプラグ202用のビアホールHの形成前に、CoWB膜123及び第1の層間絶縁膜131の上面に、第1のバリアメタル層141(Ti層BM及びTiN層BM)が形成される。第1のバリアメタル層141は、CoWB膜123を介してCu配線層122上に形成される。
【0025】
次に、塗布法によって、第1のバリアメタル層141上にマスク材301を堆積する。マスク材301は、第1のバリアメタル層141及び第1の層間絶縁膜131を選択的に剥離できるようなマスク材とし、ここではSiLK(登録商標)等の有機ポリフェニレンとする。マスク材301は、SiN(窒化シリコン)膜でもよい。次に、摂氏100乃至400度にて基板111の熱処理を行う。次に、リソグラフィにより、マスク材301上にレジストパターンを形成する。該リソグラフィでは、ビアホールパターンの反転マスクが使用される。次に、図2Cのように、RIE法により、マスク材301のエッチングを行う。該エッチングでは例えば、O及びCHガス又はN及びHガスが使用される。
【0026】
次に、図2Dのように、第1のバリアメタル層141のエッチングを行い、更に、アッシング処理を行う。該エッチングは、第1のバリアメタル141とCoWB膜123とのエッチング選択比を十分に取りながら行われる。該アッシング処理は、O雰囲気中で、摂氏200乃至400度の温度にて行われる。こうして、第1のバリアメタル層141が除去され、ビアホールHの形成予定領域に第1のバリアメタル層141が残る。CoWB膜123はここでは主に、Cu配線層122へのRIEダメージの抑制、及びアッシング処理によるCu配線層122の酸化防止のために設けられている。このCoWB膜123には更に、配線間容量の低減、及びCuのエレクトロマイグレーション不良の抑制の効果もある。次に、マスク材301、第1のバリアメタル層141、及びCoWB膜123のエッチング反応性生成物(残渣)を、無機系又は有機系の薬液で除去する。
【0027】
次に、図2Eのように、CVDにより、基板111の上方に第2の層間絶縁膜151を堆積する。これにより、第1の層間絶縁膜131及びマスク材301上に第2の層間絶縁膜151が形成される。第2の層間絶縁膜151はここでは、TEOS膜である。第2の層間絶縁膜151は、第1のバリアメタル層141の形成後に、CoWB膜123を介してCu配線層122上に形成される。次に、エッチングにより、第2の層間絶縁膜151を平坦化する。第2の層間絶縁膜151は、マスク材301の上面が露出するまで平坦化される。
【0028】
次に、図2Fのように、アッシングにより、マスク材301を除去する。これにより、第1のバリアメタル層141(TiN層BM)の上面が露出するようなビアホールHが形成される。該アッシングは、0.1乃至500Paの圧力下で、摂氏200乃至400度の温度にて行われる。該ビアホールHは、Cu配線層122上の第2の層間絶縁膜151内に形成され、該ビアホールHの側壁は、第2の層間絶縁膜151により構成される。次に、マスク材301及び第2の層間絶縁膜151のエッチング反応性生成物(残渣)を、無機系又は有機系の薬液で除去する。
【0029】
次に、図2Gのように、スパッタ法により、第2の層間絶縁膜151上にTi層BMを堆積する。こうして、ビアプラグ202用のビアホールHの形成後に、第1のバリアメタル層141の上面(TiN層BMの上面)及びビアホールHの側壁上に、第2のバリアメタル層142(Ti層BM)が形成される。Ti層BMには第1に、ビアホールHの表面とAlとの間の濡れ性を向上させる作用がある。Ti層BMにより、ビアホールHの表面とAlとの間の界面エネルギーが低下し、Alの凝集が抑制される。Ti層BMには第2に、Al導電層143の白濁を抑制する作用がある。これは、Ti層BMの作用によって、Al導電層143の上面が(111)面になることに起因する。なお、Ti層に代わり例えばTa層を採用した場合には、ビアホールHの表面とAlとの間の濡れ性が悪くなると共に、Al導電層143に白濁が生じてしまう。次に、加熱スパッタ法により、第2のバリアメタル層142上にAl導電層143を堆積する。こうして、ビアホールH内にAl導電層143が形成される。該加熱スパッタは例えば、摂氏400度程度の温度にて行われる。
【0030】
次に、図2Hのように、リソグラフィ及びRIEにより、Al導電層143及び第2のバリアメタル層142のパターニングを行う。こうして、ビアホールH内に埋め込まれたビアプラグ202が形成されると共に、該ビアプラグ202と一体化された第2の配線層203が形成される。
【0031】
こうして、図1の半導体装置101が製造される。本実施例において、保護膜123の上面とAl導電層143の下面との間には、第1のバリアメタル層141と第2のバリアメタル層142とが介在している。一方、本実施例において、ビアホールHの側面とAl導電層143の側面との間には、第2のバリアメタル層142は介在しているが、第1のバリアメタル層141は介在していない。そのため、本実施例では、ビアプラグ202の底面のバリアメタル層(141,142)を相対的に厚くし、ビアプラグ202の側面のバリアメタル層(141)を相対的に薄くする事ができる。これにより、本実施例では、バリアメタル層のバリア崩れの抑制とビアプラグ層の埋め込み不良の抑制とを比較的容易に両立する事ができる。これにより、Cl配線層122及びAl導電層143の信頼性を向上させる事ができる。
【0032】
本実施例では、Cu配線層122の上面にCoWB膜123が形成されている。これにより、Cu配線層122内のCu原子の酸化が抑制され、Cu配線層122の信頼性が更に向上する。なお、本実施例では、図4のように、Cu配線層122の上面にCoWB膜123を形成しなくてもよい。この場合、図2Bにおいて、CoWB膜123を堆積する工程は不要である。また、図2Bにおいて、第1のバリアメタル層141(Ti層BM)はCu配線層122及び第1の層間絶縁膜141上に堆積される。第1及び第2のバリアメタル層141及び142は、Cu配線層122の上面とAl導電層143の下面との間に介在する。第2の層間絶縁膜151及び第1のバリアメタル層141は、直接Cu配線層122上に形成される。なお、図4の場合には、Cu原子が第2の層間絶縁膜151中に拡散するのを防止すべく、Cu配線層122の上面をシリサイド化する事が望ましい。
【0033】
本実施例では、第2のバリアメタル層142がTi層を含んでいる。これにより、ビアホールの表面とAlとの間の濡れ性が向上されている。本実施例では更に、第1のバリアメタル層141がTiN層を含んでいる。これにより、Cu配線層122内のCu原子及びAl導電層143内のAl原子の拡散が抑制されている。本実施例では、第1のバリアメタル層141の膜厚が、ウエーハ面内で均一になる。なお、本実施例では、図5のように、第1のバリアメタル層141のTi層BMとTiN層BMとの間にTiO層BMを形成してもよい。これにより、Cu配線層122内のCu原子及びAl導電層143内のAl原子の拡散が更に抑制される。この場合、図2Bにおいて、Ti層BMの堆積後に、大気開放又は強制酸化により、Ti層BM上にTiO層BMを堆積する。続いて、図2Bにおいて、TiO層BM上にTiN層BMを堆積する。
【0034】
本実施例では、Al導電層143は、ビアプラグ202を構成していると共に、第2の配線層203を構成している。これにより、第2の配線層203の形成材料をビアプラグ202の形成材料と別に堆積する必要がなくなり、半導体装置101の製造コストが削減される。なお、本実施例では、図6のように、ビアプラグ202と別に第2の配線層203を形成してもよい。この場合、図2Hでは第2の配線層203は形成せずに、図2Hの後に第2の配線層203を形成する。
【0035】
以下、第2実施例の半導体装置101及びその製造方法について説明する。第2実施例は第1実施例の変形例であり、第2実施例については第1実施例との相違点を中心に説明する。
【0036】
(第2実施例)
第2実施例の半導体装置101の側方断面図を、図1に示す。第2実施例の半導体装置101は、基板111と、バリアメタル層121と、Cu配線層122と、保護膜123と、第1の層間絶縁膜131と、第1のバリアメタル層141と、第2のバリアメタル層142と、Al導電層143と、第2の層間絶縁膜151とを具備する。Cu配線層122は、Cu配線層である第1の配線層201を構成している。第1のバリアメタル層141と第2のバリアメタル層142とAl導電層(Alビアプラグ層)143は、ビアプラグ202を構成している。Al導電層143はさらに、Al配線層である第2の配線層203を構成している。第1の配線層201と第2の配線層203は、ビアプラグ202により電気的に接続されている。第1の配線層201はビアプラグ202の下部配線層に相当し、第2の配線層203はビアプラグ202の上部配線層に相当する。
【0037】
図3A乃至Jは、図1に示す第2実施例の半導体装置101の製造工程図である。
【0038】
先ず、図3Aのように、CVDにより、基板111の上方に第1の層間絶縁膜131を堆積する。基板111はここでは、シリコン基板である。第1の層間絶縁膜131はここでは、TEOS膜である。基板111上には、トランジスタやキャパシタ等の半導体素子が形成されているとする。次に、リソグラフィ及びエッチングにより、基板111の表面に配線溝Tを形成する。
【0039】
次に、図3Bのように、スパッタ法により、第1の層間絶縁膜131上にTa層121を堆積する。これにより、配線溝Tの底面及び側面にTa層(バリアメタル層)121が形成される。次に、スパッタ法により、Ta層121上にCuシード層を堆積し、めっき法等により、Cuシード層上にCu層を堆積する。これにより、配線溝T内にCu配線層122が形成される。次に、CMPにより、Cu配線層122を平坦化する。こうして、配線溝T内に埋め込まれた第1の配線層201が形成される。次に、めっき法又は選択CVDにより、Cu配線層122上にCoWB膜123を選択的に堆積する。これにより、少なくともCu配線層122の上面にCoWB膜(保護膜)123が形成される。次に、スパッタ法により、CoWB膜123及び第1の層間絶縁膜131上にTi層BMを堆積し、スパッタ法により、Ti層BM上にTiN層BMを堆積する。こうして、ビアプラグ202用のビアホールHの形成前に、CoWB膜123及び第1の層間絶縁膜131の上面に、第1のバリアメタル層141(Ti層BM及びTiN層BM)が形成される。第1のバリアメタル層141は、CoWB膜123を介してCu配線層122上に形成される。
【0040】
次に、塗布法によって、第1のバリアメタル層141上にマスク材301を堆積する。マスク材301は、第1のバリアメタル層141及び第1の層間絶縁膜131を選択的に剥離できるようなマスク材とし、ここではSiN(窒化シリコン)膜とする。マスク材301は、SiLK(登録商標)等の有機ポリフェニレンでもよい。次に、摂氏100乃至400度にて基板111の熱処理を行う。次に、リソグラフィにより、マスク材301上にレジストパターンを形成する。該リソグラフィでは、ビアホールパターンの反転マスクが使用される。次に、図3Cのように、RIE法により、マスク材301のエッチングを行う。
【0041】
次に、図3Dのように、第1のバリアメタル層141のエッチングを行い、更に、アッシング処理を行う。該エッチングは、第1のバリアメタル141とCoWB膜123とのエッチング選択比を十分に取りながら行われる。該アッシング処理は、O雰囲気中で、摂氏200乃至400度の温度にて行われる。こうして、第1のバリアメタル層141が除去され、ビアホールHの形成予定領域に第1のバリアメタル層141が残る。CoWB膜123はここでは主に、Cu配線層122へのRIEダメージの抑制、及びアッシング処理によるCu配線層122の酸化防止のために設けられている。このCoWB膜123には更に、配線間容量の低減、及びCuのエレクトロマイグレーション不良の抑制の効果もある。次に、マスク材301、第1のバリアメタル層141、及びCoWB膜123のエッチング反応性生成物(残渣)を、無機系又は有機系の薬液で除去する。
【0042】
次に、図3Eのように、マスク材301のRIE処理を行い、更に、アッシング処理を行う。こうして、マスク材301が除去され、第1のバリアメタル141の上面(TiN層BMの上面)が露出する。
【0043】
次に、図3Fのように、CVDにより、基板111の上方に第2の層間絶縁膜151を堆積する。これにより、第1の層間絶縁膜131及び第1のバリアメタル141上に第2の層間絶縁膜151が形成される。第2の層間絶縁膜151はここでは、TEOS膜である。第2の層間絶縁膜151は、第1のバリアメタル層141の形成後に、CoWB膜123を介してCu配線層122上に形成される。次に、エッチングにより、第2の層間絶縁膜151を平坦化する。
【0044】
次に、第2の層間絶縁膜151上に反射防止膜401を堆積する。次に、リソグラフィにより、反射防止膜401上にレジストパターンを形成する。該リソグラフィでは、ビアホールパターンのマスクが使用される。次に、図3Gのように、反射防止膜401のエッチングを行う。
【0045】
次に、図3Hのように、RIE及びアッシングにより、第2の層間絶縁膜151を除去する。これにより、第1のバリアメタル層141(TiN層BM)の上面が露出するようなビアホールHが形成される。該ビアホールHは、Cu配線層122上の第2の層間絶縁膜151内に形成され、該ビアホールHの側壁は、第2の層間絶縁膜151により構成される。次に、第2の層間絶縁膜151のエッチング反応性生成物(残渣)を、無機系又は有機系の薬液で除去する。
【0046】
次に、図3Iのように、スパッタ法により、第2の層間絶縁膜151上にTi層BMを堆積する。こうして、ビアプラグ202用のビアホールHの形成後に、第1のバリアメタル層141の上面(TiN層BMの上面)及びビアホールHの側壁上に、第2のバリアメタル層142(Ti層BM)が形成される。Ti層BMには第1に、ビアホールHの表面とAlとの間の濡れ性を向上させる作用がある。Ti層BMにより、ビアホールHの表面とAlとの間の界面エネルギーが低下し、Alの凝集が抑制される。Ti層BMには第2に、Al導電層143の白濁を抑制する作用がある。これは、Ti層BMの作用によって、Al導電層143の上面が(111)面になることに起因する。なお、Ti層に代わり例えばTa層を採用した場合には、ビアホールHの表面とAlとの間の濡れ性が悪くなると共に、Al導電層143に白濁が生じてしまう。次に、加熱スパッタ法により、第2のバリアメタル層142上にAl導電層143を堆積する。こうして、ビアホールH内にAl導電層143が形成される。該加熱スパッタは例えば、摂氏400度程度の温度にて行われる。
【0047】
次に、図3Jのように、リソグラフィ及びRIEにより、Al導電層143及び第2のバリアメタル層142のパターニングを行う。こうして、ビアホールH内に埋め込まれたビアプラグ202が形成されると共に、該ビアプラグ202と一体化された第2の配線層203が形成される。
【0048】
第1実施例と第2実施例とを比較する。
【0049】
第1実施例では、図2Eにて、第1のバリアメタル層141の上面(TiN層BMの上面)にマスク材301が存在する状態で、第2層間絶縁膜151が形成される。第1実施例では更に、第2の層間絶縁膜151の形成後に、図2Fにて、マスク材301が除去される。こうして、ビアホールHが形成される。
【0050】
第2実施例では、図3Fにて、第1のバリアメタル層141の上面(TiN層BMの上面)が露出した状態で、第2の層間絶縁膜151が形成される。第2実施例では更に、第2の層間絶縁膜151の形成後に、図3Hにて、第2の層間絶縁膜151にビアホールHが開口される。こうして、ビアホールHが形成される。
【0051】
なお、図1の半導体装置101は、図2の製造方法で製造しても図3の製造方法で製造しても構わない。ただし、製造工程数は通常、図2の製造方法の方が図3の製造方法よりも少なくて済む。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第1実施例の半導体装置の側方断面図である。
【図2A】第1実施例の半導体装置の製造工程図(1/8)である。
【図2B】第1実施例の半導体装置の製造工程図(2/8)である。
【図2C】第1実施例の半導体装置の製造工程図(3/8)である。
【図2D】第1実施例の半導体装置の製造工程図(4/8)である。
【図2E】第1実施例の半導体装置の製造工程図(5/8)である。
【図2F】第1実施例の半導体装置の製造工程図(6/8)である。
【図2G】第1実施例の半導体装置の製造工程図(7/8)である。
【図2H】第1実施例の半導体装置の製造工程図(8/8)である。
【図3A】第2実施例の半導体装置の製造工程図(1/10)である。
【図3B】第2実施例の半導体装置の製造工程図(2/10)である。
【図3C】第2実施例の半導体装置の製造工程図(3/10)である。
【図3D】第2実施例の半導体装置の製造工程図(4/10)である。
【図3E】第2実施例の半導体装置の製造工程図(5/10)である。
【図3F】第2実施例の半導体装置の製造工程図(6/10)である。
【図3G】第2実施例の半導体装置の製造工程図(7/10)である。
【図3H】第2実施例の半導体装置の製造工程図(8/10)である。
【図3I】第2実施例の半導体装置の製造工程図(9/10)である。
【図3J】第2実施例の半導体装置の製造工程図(10/10)である。
【図4】第1実施例の第1変形例の半導体装置の側方断面図である。
【図5】第1実施例の第2変形例の半導体装置の側方断面図である。
【図6】第1実施例の第3変形例の半導体装置の側方断面図である。
【符号の説明】
【0053】
101 半導体装置
111 基板
121 バリアメタル層
122 Cu配線層
123 保護膜
131 第1の層間絶縁膜
141 第1のバリアメタル層
142 第2のバリアメタル層
143 Al導電層
151 第2の層間絶縁膜
201 第1の配線層
202 ビアプラグ
203 第2の配線層
301 マスク材
401 反射防止膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cu(銅)を含有する配線層と、
前記配線層上に形成された層間絶縁膜と、
前記配線層上の前記層間絶縁膜内に形成されたビアホールと、
前記ビアホール内における前記配線層上に形成された第1のバリア層と、
前記第1のバリア層上及び前記ビアホールの側壁に形成された第2のバリア層と、
前記第2のバリア層上に形成され、Al(アルミニウム)を含有する導電層と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記配線層と前記第1のバリア層との間に、少なくとも前記配線層の上面を覆う保護膜を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1及び第2のバリア層の各々は、Ti(チタン)を含有する層を含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
Cu(銅)を含有する配線層を形成し、
前記配線層上に第1のバリア層を形成し、
前記第1のバリア層の形成後に前記配線層上に層間絶縁膜を形成し、
前記配線層上の前記層間絶縁膜内に、前記第1のバリア層の上面が露出するようなビアホールを形成し、
前記第1のバリア層上及び前記ビアホールの側壁に第2のバリア層を形成し、
前記第2のバリア層上に、Al(アルミニウム)を含有する導電層を形成する、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ビアホールは、
前記第1のバリア層の上面にマスク材が存在する状態で前記層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜の形成後に前記マスク材を除去する、
ことで形成されることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ビアホールは、
前記第1のバリア層の上面が露出した状態で前記層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜の形成後に前記層間絶縁膜に前記ビアホールを開口する、
ことで形成されることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−294211(P2008−294211A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−137910(P2007−137910)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】