説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】チップ欠け等を防止し、製造工程数をそれほど増加させずに低コストで、製造効率及び信頼性の高い貫通配線付き半導体チップを得る。
【解決手段】貫通配線付き半導体チップの製造方法では、先ず、ウェハである基板20の表面側に素子配線層21を形成し、開口部を有する保護層22によって素子配線層21上を被覆する。前記開口部上にバンプ23を形成し、基板表面側のダイシングライン上を所定の深さでダイシングして溝24を形成する。基板表面側に支持基板25を貼着し、基板裏面側を所定の厚さだけ研削し、エッチングにより、素子配線層21の所定の位置に繋がる貫通孔26を形成した後、基板裏面側から貫通孔26内に貫通配線28を形成する。基板裏面側にダイシングテープ29を貼着した後に支持基板25を剥離する。その後、溝24の箇所を分離し、基板20を半導体チップに個片化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通配線(これは「貫通電極」ともいわれる。)付きの半導体チップである半導体装置とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば下記の特許文献に記載されているように、半導体チップの外径寸法とほぼ同じサイズの外径寸法を有する小型パッケージであるチップ・サイズ・パッケージ(Chip Size Package、以下「CSP」という。)の技術が注目されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−128171号公報
【特許文献2】特開2000−68401号公報
【特許文献3】特開平10−79362号公報
【特許文献4】特開2002−16092号公報
【0004】
特許文献1には、貫通電極を有するウェハを個片に分割して多数の半導体チップである半導体装置を製造するための一般的な技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、ウェハを切断して個片化する際に切断位置を認識し易くするために、ウェハ表面における多数のチップ領域間の境界領域に溝を形成し、この溝の形成されたウェハ表面を樹脂で覆い、ウェハ裏面を研磨してその溝を露出させた後に、その溝の露出している境界領域でウェハを分割する技術が開示されている。
【0006】
特許文献3の図41には、ウェハを切断して個片化する際に生じる切断箇所のクラック等を防止するために、ウェハ表面における複数のチップ領域間の切断位置に溝を形成し、この溝の形成されたウェハ表面を樹脂で覆った後、この樹脂が充填された溝部分を切断してウェハを個片に分割する技術が開示されている。
【0007】
更に、特許文献4には、ウェハから個片化される半導体チップの反り等を防止するために、ウェハ表面を樹脂で覆い、このウェハ表面における複数のチップ領域間の切断位置に溝を形成した後に、ウェハ裏面をその溝が露出するまで研磨してウェハを個片に分割する技術が開示されている。
【0008】
図5−1〜図5−3の(a)〜(j)は、特許文献1等に記載された従来の半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【0009】
この貫通配線付き半導体チップの製造方法では、図5−1の(a)の工程において、ウェハである半導体基板1の表面側に、多数の回路素子を形成し、これらの各回路素子上に素子配線層2を形成した後、保護層3を形成する。図5−1の(b)の工程において、半導体基板1の表面に表金属バンプ4を形成する。図5−1の(c)の工程において、半導体基板1の表面に支持基板5を貼り付ける。
【0010】
図5−2の(d)の工程において、半導体基板1の裏面を数十ミクロン(例えば、50ミクロン程度)の厚さに削る。図5−2の(e)の工程において、半導体基板1の裏面に、素子配線層2の所定の位置に繋がる貫通孔6を形成した後、熱酸化による酸化膜を形成し、スパッタ又は化学気相成長法(以下「CVD」という。)によりバリア、シード層を形成する。図5−2の(f)の工程において、感光性レジスト7を貼り付けてから、ホトリソにより、貫通孔6上に開口部7aを形成する。
【0011】
図5−3の(g)の工程において、感光性レジスト7及び開口部7aの全面に電気めっきを施した後、感光性レジスト7と不要なバリア、シード層をエッチングし、開口部7a内に貫通配線8を形成する。図5−3の(h)の工程において、半導体基板1の裏面側にダイシングテープ9を貼り付けてから、半導体基板1の表面側の支持基板5を剥離する。図5−3の(i)の工程において、半導体基板1の表面側からダイシングテープ9に達する深さまでダイシング(さいの目状に切断)した後、図5−3の(j)の工程において、ダイシングテープ9を剥がせば、半導体基板1が個片化され、貫通配線付き半導体チップ10である半導体装置が形成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、図5−1〜図5−3に示す従来の半導体装置の製造方法では、図5−2の(d)の工程において、半導体基板1の裏面が削られて薄くなっているので、図5−3の(i)、(j)の工程において、半導体基板1をダイシングにより個片化する際に、チップ欠けが生じ易い等の課題があった。
【0013】
このような課題を解決するために、例えば、特許文献2〜4の技術、特に、特許文献3の技術を適用することが考えられる。この場合、例えば、図5−3の(i)の工程において、半導体基板1をダイシングする前に、予めダイシング予定箇所に溝を形成しておき、この溝の形成された半導体基板1の表面を樹脂で覆った後、この樹脂が充填された溝部分をダイシングして半導体基板1を個片化すれば、チップ欠け等の課題を解決できるかもしれない。しかし、このような方法を採用した場合は、製造工程数が増加して製造コストが高くなるという欠点がある。従って、製造工程数をそれほど増加させずに、チップ欠け等の課題を解決することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の半導体装置の製造方法では、対向する第1面及び第2面を有するウェハの前記第1面側に所定のパターンの素子配線層を形成し、開口部を有する保護層によって前記素子配線層上を被覆する工程と、前記開口部上にバンプを選択的に形成して前記素子配線層と電気的に接続する工程と、前記ウェハの第1面におけるダイシングライン上を所定の深さでダイシングして溝を形成する工程と、前記ウェハの第1面側に支持基板を貼着する工程と、前記ウェハの第2面を所定の厚さだけ研削した後、前記第2面側を選択的にエッチングして、前記素子配線層の所定の位置に繋がる貫通孔を形成する工程と、前記ウェハの第2面側から前記貫通孔内に導電膜を選択的に形成し、前記素子配線層と電気的に接続された貫通配線を形成する工程と、前記ウェハの第2面側にダイシングテープを貼着した後に前記支持基板を剥離する工程と、前記溝の箇所を分離し、前記ダイシングテープを剥離して前記ウェハをチップに個片化する工程とを有している。
【0015】
本発明の半導体装置では、対向する第1面及び第2面を有し、ウェハがダイシングされて形成された溝の部分で分離されて個片化されたチップ状の基板と、前記基板の第1面側に形成された所定のパターンの素子配線層と、開口部を有し、前記素子配線層上を被覆する保護層と、前記開口部上に選択的に形成され、前記素子配線層と電気的に接続されたバンプと、前記基板の第2面側が選択的にエッチングされて形成され、前記素子配線層の所定の位置に繋がる貫通孔と、前記貫通孔内に選択的に形成され、前記素子配線層と電気的に接続された貫通配線と、前記基板の分離前に前記溝の内部に形成され、前記基板の分離後に前記基板の側面に固着している金属膜とを備えている。
【0016】
又、前記金属膜に代えて、前記基板の分離前に前記溝に埋め込まれ、前記基板の分離後に前記基板の側面に固着している樹脂膜を設けてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、予めウェハのダイシングライン上に形成した溝の箇所を分離してチップに個片化するので、チップ欠けが生じることなく個片化することができる。しかも、溝の箇所を分離するので、カットする部分が従来よりも少なく、分離スピ−ドも速くすることができる。従って、製造工程数をそれほど増加させずに低コストで、製造効率及び信頼性の高い半導体装置である貫通配線付き半導体チップを製造できる。
【0018】
又、例えば、エッチングにより貫通孔を形成する際に、同時に溝の内部もエッチングすれば、ダイシングによる溝の内部の傷が消えるので、個片化後のチップの強度が増し、安定した加工が可能となり、歩留まりを向上することができる。
【0019】
本発明の半導体装置によれば、基板の側面に金属膜が固着している構造の場合は、基板側面が金属膜で補強されることで、半導体装置の強度が増し、安定した加工が可能となり、歩留まりを向上することができる。
【0020】
又、基板の側面に樹脂膜が固着している構造の場合も、基板側面が樹脂膜で補強されることで、半導体装置の強度が増し、安定した加工が可能となり、歩留まりを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法は、ウェハの表面側に素子配線層を形成し、開口部を有する保護層によって前記素子配線層上を被覆する工程と、前記開口部上に表金属バンプを選択的に形成する工程と、前記ウェハ表面側のダイシングライン上を所定の深さでダイシングして溝を形成する工程と、前記ウェハ表面側に支持基板を貼着する工程と、前記ウェハ裏面側を所定の厚さだけ研削した後、前記ウェハ表面側を選択的にエッチングして、前記素子配線層の所定の位置に繋がる貫通孔を形成する工程と、前記ウェハ裏面側から前記貫通孔内に金属膜を選択的に形成して貫通配線を形成する工程と、前記ウェハ裏面側にダイシングテープを貼着した後に前記支持基板を剥離する工程と、前記溝の箇所を分離し、前記ダイシングテープを剥離して前記ウェハを半導体チップに個片化する工程とを有している。
【実施例1】
【0022】
図1−1〜図1−3の(a)〜(k)は、本発明の実施例1における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【0023】
(実施例1の構造)
本実施例1の半導体装置である貫通配線付き半導体チップ30は、図1−3の(k)の工程に示されるように、ウェハからダイシングにより個片化された基板(例えば、半導体基板)20を有している。半導体基板20の第1面(例えば、表面)側には、回路素子が形成され、この回路素子上に素子配線層21が形成された後、この素子配線層21が絶縁性の保護層22により被覆されている。
【0024】
保護層22には開口部が形成され、この開口部上にバンプ(例えば、表金属バンプ)23が形成され、この表金属バンプ23が素子配線層21と電気的に接続されている。半導体基板20の第2面(例えば、裏面)側において表金属バンプ23の位置には、素子配線層21に達する深さの貫通孔26が形成されている。そして、貫通孔26内に貫通配線28が充填され、この貫通配線28が素子配線層21と電気的に接続されている。
【0025】
このような構造の貫通配線付き半導体チップ30は、例えば、以下のようにして製造される。
【0026】
(実施例1の製造方法)
貫通配線付き半導体チップ30の製造方法では、図1−1の(a)の工程において、ウェハである半導体基板20の表面側に、多数の回路素子を形成し、これらの各回路素子上に素子配線層21を形成した後、絶縁性の保護層22を形成する。図1−1の(b)の工程において、半導体基板1の表面に、スパッタ、ホトリソ、めっき、エッチング等を用いて表金属バンプ23を形成し、保護層22の開口部を介して素子配線層21と電気的に接続する。図1−1の(c)の工程において、半導体基板20の表面のダイシンダライン上を、数十ミクロン(例えば、40ミクロン程度)の深さでダイシングし、溝24を形成する。図1−1の(d)の工程において、半導体基板20の表面側に、ガラス等の支持基板25を貼り付ける。
【0027】
図1−2の(e)の工程において、半導体基板20の裏面を数十ミクロン(例えば、50ミクロン程度)の厚さに削る。図1−2の(f)の工程において、ホトリソ、エッチング等を用い、半導体基板20の裏面側から、素子配線層21の所定の位置に繋がる貫通孔26を形成した後、熱酸化による酸化膜を形成し、スパッタ又はCVDによりバリア、シード層を形成する。図1−2の(g)の工程において、半導体基板20の裏面に、ドライフイルムのような感光性レジスト27を貼り付けてから、ホトリソにより貫通孔26上に開口部27aを形成する。図1−2の(h)の工程において、感光性レジスト27及び開口部27a上に電気めっきを施した後、その感光性レジスト27と不要なバリア、シード層をエッチングし、開口部27a内に充填された貫通配線28を形成する。
【0028】
図1−3の(i)の工程において、半導体基板20の裏面側に、ダイシングテープ29を貼り付けてから、支持基板25を剥離する。図1−3の(j)の工程において、半導体基板20の表面の溝24内を、ダイシングテープ29に達する深さまでダイシングした後、図1−3の(k)の工程において、ダイシングテープ29を剥がせば、半導体基板20が個片化され、貫通配線付き半導体チップ30である半導体装置が形成される。
【0029】
このようにして製造された貫通配線付き半導体チップ30は、貫通電極を用いた半導体チップを積層したパッケージとして種々の用途に使用される。
【0030】
(実施例1の効果)
本実施例1によれば、図1−3の(j)の工程において、予めダイシングライン上に形成した溝24内をダイシングするので、チップ欠けが生じることなく半導体基板20を個片化することができる。しかも、溝24内をダイシングするので、カットする部分が従来よりも薄く、ダイシングスピ−ドも速くすることができる。従って、製造工程数をそれほど増加させずに低コストで、製造効率及び信頼性の高い貫通配線付き半導体チップ30を製造できる。
【実施例2】
【0031】
図2−1〜図2−3の(a)〜(j)は、本発明の実施例2における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図であり、実施例1を示す図1−1〜図1−3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0032】
(実施例2の構造)
本実施例2の半導体装置である貫通配線付き半導体チップ30Aは、図2−3の(j)の工程に示されるように、実施例1の貫通配線付き半導体チップ30と同一の構造である。
【0033】
(実施例2の製造方法)
本実施例2の貫通配線付き半導体チップ30Aの製造方法では、ダイシングライン上に形成する溝24Aの構造が実施例1と異なり、その他の点は実施例1とほぼ同様である。
【0034】
即ち、本実施例2の貫通配線付き半導体チップ30Aの製造方法では、図2−1の(a)の工程において、実施例1と同様に、ウェハである半導体基板20の表面側に素子配線層21及び保護層22を形成し、図2−1の(b)の工程において、実施例1と同様に、半導体基板20の表面に表金属バンプ23を形成する。
【0035】
図2−1の(c)の工程において、半導体基板20の表面のダイシンダライン上をダイシングし、実施例1よりも深い、例えば、60ミクロン程度の溝24Aを形成する。図2−1の(d)の工程において、実施例1と同様に、半導体基板20の表面側に支持基板25を貼り付ける。
【0036】
図2−2の(e)の工程において、半導体基板20の裏面を数十ミクロン(例えば、50ミクロン程度)の厚さに削り、実施例1と異なり、溝24Aを露出させる。図2−2の(f)の工程において、実施例1と同様に、ホトリソ、エッチング等を用い、半導体基板20の裏面側から、素子配線層21の所定の位置に繋がる貫通孔26を形成する。この貫通孔26をエッチングによって形成する際、実施例1と異なり、露出した溝24Aの側面が同時にエッチングされてダイシングによる傷が消える。次に、実施例1と同様に、熱酸化による酸化膜を形成し、スパッタ又はCVDによりバリア、シード層を形成した後、図2−2の(g)の工程において、半導体基板20の裏面に感光性レジスト27を貼り付けてから、ホトリソにより貫通孔26上に開口部27aを形成する。
【0037】
図2−3の(h)の工程において、実施例1と同様に、感光性レジスト27及び開口部27a上に電気めっきを施した後、その感光性レジスト27と不要なバリア、シード層をエッチングし、開口部27a内に充填された貫通配線28を形成する。図2−3の(i)の工程において、実施例1と同様に、半導体基板20の裏面側に、ダイシングテープ29を貼り付けてから、支持基板25を剥離する。その後、実施例1と異なり、図2−3の(j)の工程において、ダイシングテープ29を剥がせば、半導体基板20が個片化され、貫通配線付き半導体チップ30Aである半導体装置が形成される。
【0038】
このようにして製造された貫通配線付き半導体チップ30Aは、実施例1と同様に、貫通電極を用いた半導体チップを積層したパッケージとして種々の用途に使用される。
【0039】
(実施例2の効果)
本実施例2によれば、図2−1の(c)の工程において、ダイシングライン上に実施例1よりも深い溝24Aを形成し、図2−2の(e)の工程において、半導体基板20の裏面を数十ミクロン(例えば、50ミクロン程度)の厚さに削ることで、溝24Aを露出させ、次いで、図2−2の(f)の工程において、貫通孔26をエッチングによって形成している。このエッチングの際に、露出した溝24Aの側面が同時にエッチングされてダイシングによる傷が消えるので、半導体基板20の強度が増し、安定した加工が可能となり、歩留まりを向上することができる。しかも、図2−3の(h)の工程において、露出した溝24Aにより、半導体基板20が既に個片化しているので、実施例1の図1−3の(j)に示すダイシング工程を省略でき、より製造工程数の削減と低コスト化が可能になる。
【実施例3】
【0040】
図3−1〜図3−3の(a)〜(k)は、本発明の実施例3における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図であり、実施例2を示す図2−1〜図2−3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0041】
(実施例3の構造)
本実施例3の半導体装置である貫通配線付き半導体チップ30Bは、図3−3の(k)の工程に示されるように、実施例2の溝24Aよりも幅広の溝24Bがダイシングライン上に形成され、更に、ホトリソ及びメッキによって貫通配線28を形成する際に、その溝24Bにも金属膜31が形成された後、この金属膜31がダイシングされて個片化され、側面が金属膜31で補強された構造をしている。その他の構造は、実施例2の貫通配線付き半導体チップ30Aと同様である。
【0042】
(実施例3の製造方法)
本実施例3の貫通配線付き半導体チップ30Bの製造方法では、図3−1の(a)の工程において、実施例2と同様に、ウェハである半導体基板20の表面側に素子配線層21及び保護層22を形成し、図3−1の(b)の工程において、実施例2と同様に、半導体基板20の表面に表金属バンプ23を形成する。
【0043】
図3−1の(c)の工程において、半導体基板20の表面のダイシンダライン上を、幅広のダイシングブレード(円形回転刃)によりダイシングし、実施例2の溝24Aと同一の深さ(例えば、60ミクロン程度)で、且つ、この溝24Aよりも幅の広い溝24Bを形成する。図3−1の(d)の工程において、実施例2と同様に、半導体基板20の表面側に支持基板25を貼り付ける。
【0044】
図3−2の(e)の工程において、実施例2と同様に、半導体基板20の裏面を数十ミクロン(例えば、50ミクロン程度)の厚さに削り、溝24Bを露出させる。図3−2の(f)の工程において、実施例2と同様に、ホトリソ、エッチング等を用い、半導体基板20の裏面側から、素子配線層21の所定の位置に繋がる貫通孔26を形成する。この貫通孔26をエッチングによって形成する際、実施例2と同様に、露出した溝24Bの側面が同時にエッチングされてダイシングによる傷が消える。次に、実施例2と同様に、熱酸化による酸化膜を形成し、スパッタ又はCVDによりバリア、シード層を形成した後、図3−2の(g)の工程において、半導体基板20の裏面に感光性レジスト27を貼り付けてから、ホトリソにより貫通孔26上に開口部27aを形成する。
【0045】
図3−3の(h)の工程において、実施例2と異なり、ホトリソ、めっきによって貫通孔26内に貫通配線28を形成する際に、これと同時に、溝24Bにも金属膜31を形成する。図3−3の(i)の工程において、実施例2と同様に、半導体基板20の裏面側に、ダイシングテープ29を貼り付けてから、支持基板25を剥離する。図3−3の(j)の工程において、実施例2と異なり、通常幅のダイシングブレードにより、半導体基板20の表面側から金属膜31の底面をダイシングした後、図3−3の(k)の工程において、ダイシングテープ29を剥がせば、半導体基板20が個片化され、側面が金属膜31で補強された貫通配線付き半導体チップ30Bである半導体装置が形成される。
【0046】
このようにして製造された貫通配線付き半導体チップ30Bは、実施例2と同様に、貫通電極を用いた半導体チップを積層したパッケージとして種々の用途に使用される。
【0047】
(実施例3の効果)
本実施例3によれば、幅広のダイシンダブレードによって溝24Bを広く形成し、ホトリソ、めっきによって貫通配線28を形成すると同時に溝24Bにも金属膜31を形成した後、通常幅のダイシングブレードで金属膜31をダイシングすることで、側面が金属膜31で補強された貫通配線付き半導体チップ30Bを形成している。そのため、半導体チップ側面が金属膜31で補強されることで、半導体チップ30Bの強度が増し、安定した加工が可能となり、歩留まりを向上することができる。
【実施例4】
【0048】
図4−1〜図4−3の(a)〜(k)は、本発明の実施例4における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図であり、実施例3を示す図3−1〜図3−3中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0049】
(実施例4の構造)
本実施例4の半導体装置である貫通配線付き半導体チップ30Cは、図4−3の(k)の工程に示されるように、実施例3の幅広の溝24Bと同様の幅広の溝24Cがダイシングライン上に形成され、更に、実施例3の金属膜31に代えて、その溝24C内に液状の樹脂32が埋め込まれた後、この樹脂32で埋め込まれた溝24Cがダイシングされて個片化され、側面が樹脂32の膜で補強された構造をしている。その他の構造は、実施例3の貫通配線付き半導体チップ30Bと同様である。
【0050】
(実施例4の製造方法)
本実施例4の貫通配線付き半導体チップ30Cの製造方法では、図4−1の(a)の工程において、実施例3と同様に、ウェハである半導体基板20の表面側に素子配線層21及び保護層22を形成し、図4−1の(b)の工程において、実施例3と同様に、半導体基板20の表面に表金属バンプ23を形成する。
【0051】
図4−1の(c)の工程において、半導体基板20の表面のダイシンダライン上を、幅広のダイシングブレードによりダイシングし、実施例3の溝24Bと同一の深さで、且つ、同一の幅の広い溝24Cを形成した後、実施例3とは異なり、液状の樹脂32によってその溝24Cを埋め込む。図4−1の(d)の工程において、実施例3と同様に、半導体基板20の表面側に支持基板25を貼り付ける。
【0052】
図4−2の(e)の工程において、実施例3と同様に、半導体基板20の裏面を数十ミクロン(例えば、50ミクロン程度)の厚さに削り、樹脂32が埋め込まれた溝24Cを露出させる。図4−2の(f)の工程において、実施例3と同様に、ホトリソ、エッチング等を用い、半導体基板20の裏面側から、素子配線層21の所定の位置に繋がる貫通孔26を形成した後、熱酸化による酸化膜を形成し、スパッタ又はCVDによりバリア、シード層を形成する。図4−2の(g)の工程において、実施例3と同様に、半導体基板20の裏面に感光性レジスト27を貼り付けてから、ホトリソにより貫通孔26上に開口部27aを形成する。
【0053】
図4−3の(h)の工程において、実施例3と異なり、ホトリソ、めっきによって貫通孔26内に貫通配線28を形成した後、図4−3の(i)の工程において、実施例3と同様に、半導体基板20の裏面側に、ダイシングテープ29を貼り付けてから、支持基板25を剥離する。図4−3の(j)の工程において、実施例3と異なり、通常幅のダイシングブレードにより、半導体基板20の表面側から、樹脂32が埋め込まれた溝24Cをダイシングした後、図4−3の(k)の工程において、ダイシングテープ29を剥がせば、半導体基板20が個片化され、側面が樹脂32の膜で補強された貫通配線付き半導体チップ30Cである半導体装置が形成される。
【0054】
このようにして製造された貫通配線付き半導体チップ30Cは、実施例3と同様に、貫通電極を用いた半導体チップを積層したパッケージとして種々の用途に使用される。
【0055】
(実施例4の効果)
本実施例4によれば、幅広のダイシングブレードによって溝24Cを広く形成し、この溝24Cに液状の樹脂32を埋め込んだ後、通常幅のダイシンダブレードにより、樹脂32が埋め込まれた溝24Cをダイシングすることで、側面が樹脂32の膜で補強された貫通配線付き半導体チップ30Cを形成している。そのため、半導体チップ側面が樹脂32の膜で補強されることで、半導体チップ30Cの強度が増し、安定した加工が可能となり、歩留まりを向上することができる。
【0056】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、例えば、貫通配線28及び金属膜31を、めっき以外の方法で形成したり、めっきにより形成される金属膜を他の導電膜に変更したり、溝24C内に埋め込まれる樹脂32を、他の絶縁物に変更したり、或いは、貫通配線付き半導体チップ30A,30B,30Cの製造方法や構造を図示以外のものに変更する等、種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1−1】本発明の実施例1における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図1−2】本発明の実施例1における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図1−3】本発明の実施例1における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図2−1】本発明の実施例2における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図2−2】本発明の実施例2における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図2−3】本発明の実施例2における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図3−1】本発明の実施例3における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図3−2】本発明の実施例3における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図3−3】本発明の実施例3における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図4−1】本発明の実施例4における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図4−2】本発明の実施例4における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図4−3】本発明の実施例4における半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図5−1】従来の半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図5−2】従来の半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【図5−3】従来の半導体装置である貫通配線付き半導体チップの製造方法を示す概略の工程図である。
【符号の説明】
【0058】
20 半導体基板
21 素子配線層
22 保護層
23 表金属バンプ
24,24A,24B,24C 溝
25 支持基板
26 貫通孔
28 貫通配線
29 ダイシングテープ
30,30A,30B,30C 貫通配線付き半導体チップ
31 金属膜
32 樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1面及び第2面を有するウェハの前記第1面側に所定のパターンの素子配線層を形成し、開口部を有する保護層によって前記素子配線層上を被覆する工程と、
前記開口部上にバンプを選択的に形成して前記素子配線層と電気的に接続する工程と、
前記ウェハの第1面におけるダイシングライン上を所定の深さでダイシングして溝を形成する工程と、
前記ウェハの第1面側に支持基板を貼着する工程と、
前記ウェハの第2面を所定の厚さだけ研削した後、前記第2面側を選択的にエッチングして、前記素子配線層の所定の位置に繋がる貫通孔を形成する工程と、
前記ウェハの第2面側から前記貫通孔内に導電膜を選択的に形成し、前記素子配線層と電気的に接続された貫通配線を形成する工程と、
前記ウェハの第2面側にダイシングテープを貼着した後に前記支持基板を剥離する工程と、
前記溝の箇所を分離し、前記ダイシングテープを剥離して前記ウェハをチップに個片化する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記ウェハの第2面に対する研削では、前記溝の底面の近傍まで削ることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ウェハの第2面に対する研削では、前記溝の底面が露出する厚さだけ削ることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記エッチングにより前記貫通孔を形成する際に、同時に前記溝の内部もエッチングすることを特徴とする請求項3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記導電膜により前記貫通配線を形成する際に、同時に前記溝の内部にも前記導電膜を形成することを特徴とする請求項3記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ウェハの第1面に前記溝を形成した後に、前記溝を絶縁物により埋め込むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記導電膜は、めっきにより形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁物は、樹脂であることを特徴とする請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
対向する第1面及び第2面を有し、ウェハがダイシングされて形成された溝の部分で分離されて個片化されたチップ状の基板と、
前記基板の第1面側に形成された所定のパターンの素子配線層と、
開口部を有し、前記素子配線層上を被覆する保護層と、
前記開口部上に選択的に形成され、前記素子配線層と電気的に接続されたバンプと、
前記基板の第2面側が選択的にエッチングされて形成され、前記素子配線層の所定の位置に繋がる貫通孔と、
前記貫通孔内に選択的に形成され、前記素子配線層と電気的に接続された貫通配線と、
前記基板の分離前に前記溝の内部に形成され、前記基板の分離後に前記基板の側面に固着している金属膜と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
対向する第1面及び第2面を有し、ウェハがダイシングされて形成された溝の部分で分離されて個片化されたチップ状の基板と、
前記基板の第1面側に形成された所定のパターンの素子配線層と、
開口部を有し、前記素子配線層上を被覆する保護層と、
前記開口部上に選択的に形成され、前記素子配線層と電気的に接続されたバンプと、
前記基板の第2面側が選択的にエッチングされて形成され、前記素子配線層の所定の位置に繋がる貫通孔と、
前記貫通孔内に選択的に形成され、前記素子配線層と電気的に接続された貫通配線と、
前記基板の分離前に前記溝に埋め込まれ、前記基板の分離後に前記基板の側面に固着している樹脂膜と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【公開番号】特開2009−188254(P2009−188254A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−27782(P2008−27782)
【出願日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【Fターム(参考)】