説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】FEOL段階から製造工程中チャージアップに対して被保護素子を保護する。
【解決手段】半導体装置は、第1導電型半導体基板1の上部に、互いに隣接するように形成された第1導電型ウェル5b及び第2導電型ウェル4bと、第2導電型ウェル4bの表面部に、互いに離間して形成された第1導電型拡散層11b及び第2導電型拡散層14bと、第2導電型ウェル4b上に形成され、第1導電型拡散層11bを露出する開口部10を有する絶縁膜9と、第2導電型拡散層14b上及び第1導電型ウェル5bの一部上を連続して覆うONO膜8と、開口部10上を含む絶縁膜9上に形成され、被保護素子及び第1導電型拡散層11bと電気的に接続された導電膜12とを備える。第2導電型拡散層14bは、第1導電型ウェル5bの表面部にまで延伸している。ONO膜8における第1導電型ウェル5b上に位置する領域上に、基板表面電位制御電極12aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、局所電荷蓄積型不揮発性メモリの製造工程途中において、チャージアップから素子を保護する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
局所電荷蓄積型不揮発メモリの製造工程中において、チャージアップにより電荷注入を受けてしまうと、電荷を製造工程後に除去するのは困難な場合が多い。そのため、製造工程中のメモリ素子部へのチャージアップダメージ制御技術が重要となっている。そこで、製造工程中にメモリ素子部に保護素子を接続し、チャージアップダメージを抑制する構造の半導体装置が提案されている。
【0003】
そのような従来の半導体装置の一例を、図28に示す(例えば、特許文献1を参照)。図28のように、従来の半導体装置において、被保護素子50に、配線40を介し、チャージアップ保護トランジスタ52が接続されている。
【0004】
この構造において、被保護素子50の電極Gに、配線工程中に正のチャージが印加されると、同時にチャージアップ保護トランジスタ52の電極Gにも(アンテナ55が正電荷を集めることにより)正電荷が印加される。このためチャージアップ保護トランジスタ52が導通し、チャージは被保護素子50の電極Gに帯電することなく、接地された基板側41に抜けていく。
【0005】
また、被保護素子50の電極Gに、配線工程中に負のチャージが印加されると、チャージアップ保護トランジスタ52のS/D拡散層とウェル拡散層とが順バイアスとなる。このため、チャージは被保護素子50の電極Gの電極Gに帯電することなく接地された基板側41に抜けていく。
【0006】
以上のような動作により、被保護素子50のチャージアップが防止できるとされている。
【特許文献1】US6337502
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記に説明した半導体装置の場合、チャージアップ保護の効果が発揮されるのは、配線工程以降である。このため、製造工程中のFEOL(front-end-of-line)段階、つまりトランジスタ等の素子を形成する段階において発生するチャージからメモリを保護することはできない。
【0008】
この一方、メモリの微細化が進行するに伴い、FEOL段階における製造工程中のチャージアップが、メモリセル初期閾値電圧Vtのばらつき等に及ぼす影響を無視できなくなり、大きな問題となりつつある。
【0009】
例えば、微細化の進行に伴い、低温プロセスが必要となる。このため、FEOL段階にて蓄積された電荷を引き抜くための熱処理の工程を行なうことができず、配線工程以降にメモリ素子を保護するだけでは不十分となる。
【0010】
また、例えばONO膜厚が30nm程度から15nm程度に薄膜化された場合を考える。この場合に、FEOL段階の製造工程中のチャージングによって例えば10V程度の電圧が長時間にわたって印加されたとすると、メモリセル初期閾値電圧Vtを変動させ得る電荷注入が生じる可能性がある。このように、微細化によって、製造工程中のチャージの影響が顕著になっている。
【0011】
以上に鑑みて、本発明の目的は、FEOL段階から製造工程中チャージアップに対して被保護素子を保護できると共に、製造工程後には、正電圧又は負電圧のいずれに対しても、メモリ素子駆動に必要な電圧以下の電圧においてメモリ素子を保護できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するため、本発明に係る第1の半導体装置は、第1導電型半導体基板の上部に、この順に互いに隣接するように形成された第1の第1導電型ウェル、第1の第2導電型ウェル及び第2の第1導電型ウェルと、第1の第1導電型ウェル及び第1の第2導電型ウェルを含み且つこれらの下方を覆うように形成された第2の第2導電型ウェルと、第1の第1導電型ウェルの表面部に、互いに離間して形成された第1の第2導電型拡散層及び第1の第1導電型拡散層と、第1の第2導電型ウェルの表面部に形成された第2の第2導電型拡散層と、第2の第1導電型ウェルの表面部に形成された第2の第1導電型拡散層と、第1の第1導電型ウェル上に形成され、第1の第2導電型拡散層を露出する開口部を有する絶縁膜と、第1の第2導電型ウェルの表面部に形成され、第1の第1導電型拡散層と第2の第2導電型拡散層と間に位置する素子分離絶縁膜と、第1の第1導電型拡散層上及び第1の第2導電型ウェルの一部上を連続して覆うONO膜と、開口部上を含む絶縁膜上に形成され、被保護素子及び第1の第2導電型拡散層と電気的に接続された導電膜とを備え、第1の第1導電型拡散層は、第1の第2導電型ウェルの表面部にまで延伸しており、第2の第2導電型拡散層は、第2の第1導電型ウェルの表面部にまで延伸していると共に、第2の第1導電型拡散層と接続している。
【0013】
第1の半導体装置によると、被保護素子に対して正の工程チャージがかかった場合、第1の第1導電型ウェルと第1の第2導電型拡散層とからなるダイオードの耐圧により被保護素子が保護される。また、同様に、被保護素子に対して負の工程チャージがかかった場合、第1の第2導電型ウェルと第1の第1導電型拡散層とからなるダイオードの耐圧により被保護素子が保護される。
【0014】
更に、このような工程チャージに対する保護は、半導体措置の製造工程のうちのFEOL段階から発揮される。
【0015】
尚、第2の第1導電型拡散層上、第2の第2導電型拡散層上及び導電膜上に、それぞれ金属シリサイド膜が形成されていることが好ましい。
【0016】
このようにすると、第2の第1導電型拡散層と、第2の第2導電型拡散層との間に逆バイアスがかかった場合に耐圧が0Vに近くなり、実質的に完全に導電することになる。
【0017】
また、ONO膜における第1の第2導電型ウェル上に位置する領域上に、基板表面電位制御電極が形成されていることが好ましい。
【0018】
このようにすると、基板表面電位制御電極に電圧を印加することにより、第1の第2導電型ウェルと第1の第1導電型拡散層との間の負耐圧を、書き込み・消去に支障のない値まで増大させることができる。
【0019】
また、基板表面電位制御電極上に金属シリサイド膜が形成されていることが好ましい。
【0020】
基板表面電位制御電極に対するコンタクトを設けるために、このようにするのがよい。
【0021】
また、第1の第2導電型ウェルにおいて、その表面部における不純物濃度が、より深い領域における不純物濃度に比べて高いことが好ましい。
【0022】
これにより、耐圧制御が容易になる。
【0023】
また、開口部において、導電膜と、第1の第2導電型拡散層との間に形成され、膜厚が4nm以下である介在絶縁膜を備えていても良い。
【0024】
このようになっていても、動作上の問題は生じない。また、導電膜と第1の第2導電型拡散層とが直結している場合、直結部分においてエピ異常成長が生じる場合がある。介在絶縁膜を備えることにより、このようなエピ異常成長を避けることができる。
【0025】
前記の目的を達成するため、本発明に係る第2の半導体装置は、第1導電型半導体基板の上部に、互いに隣接するように形成された第2導電型ウェル及び第1導電型ウェルと、第2導電型ウェルの表面部に、互いに離間して形成された第1導電型拡散層及び第2導電型拡散層と、第2導電型ウェル上に形成され、第1導電型拡散層を露出する開口部を有する絶縁膜と、第2導電型拡散層上及び第1導電型ウェルの一部上を連続して覆うONO膜と、開口部上を含む絶縁膜上に形成され、被保護素子及び第1導電型拡散層と電気的に接続された導電膜とを備え、第2導電型拡散層は、第1導電型ウェルの表面部にまで延伸し、ONO膜における第1導電型ウェル上に位置する領域上に、基板表面電位制御電極が形成されている。
【0026】
第2の半導体装置において、被保護素子に負の工程チャージがかかった場合、第1導電型拡散層と第2導電型ウェルとからなるダイオードの耐圧により被保護素子が保護される。同様に、被保護素子に正の工程チャージがかかった場合、第1導電型ウェルと第2導電型拡散層とからなるダイオードの耐圧により被保護素子が保護される。
【0027】
更に、このような工程チャージに対する保護は、半導体措置の製造工程のうちのFEOL段階から発揮される。
【0028】
尚、基板表面電位制御電極上及び導電膜上に、それぞれ金属シリサイド膜が形成されていることが好ましい。
【0029】
また、第1導電型ウェルにおいて、その表面部における不純物濃度が、より深い領域における不純物濃度に比べて高いことが好ましい。
【0030】
これにより、耐圧制御が容易になる。
【0031】
また、開口部において、導電膜と、第1導電型拡散層との間に形成され、膜厚が4nm以下である介在絶縁膜を備えていても良い。
【0032】
このようになっていても、動作上の問題は生じない。
【0033】
また、被保護素子は、ゲート絶縁膜である電荷蓄積層に対する電子、正孔の蓄積、除去により特性が変化する不揮発性半導体記憶装置であり、被保護素子の電荷蓄積層は、ONO膜と同一の膜からなり、被保護素子のゲート電極が延伸して導電膜と電気的に接続していることが好ましい。
【0034】
本発明の第1及び第2の半導体装置のいずれも、このような不揮発性半導体記憶装置を備える半導体装置にも適用できる。
【0035】
前記の目的を達成するため、本発明に係る第1の半導体装置の製造方法は、第1導電型半導体基板に、互いに離間した第1の素子分離絶縁膜及び第2の素子分離絶縁膜を形成する工程(a)と、第1導電型半導体基板の上部に、第1の素子分離絶縁膜を内部に含む第1の第1導電型ウェルを形成する工程(b)と、第1導電型半導体基板の上部に、第2の素子分離絶縁膜を内部に含む第1の第2導電型ウェルを形成する工程と(c)、第1導電型半導体基板の上部に、第2の第1導電型ウェルを形成する工程(d)と、第1導電型半導体基板に、第2の第2導電型ウェルを形成する工程(e)と、第1の第1導電型ウェル内の表面部に、第1の第2導電型拡散層を形成する工程(f)と、第1の第1導電型ウェル及び第1の第2導電型ウェルの表面部に跨るように、第1の第1導電型拡散層を形成する工程(g)と、第1の第2導電型ウェル及び第2の第1導電型ウェルの表面部に跨るように、第2の第2導電型拡散層を形成する工程(h)と、第2の第1導電型ウェル内の表面部に、第2の第1導電型拡散層を形成する工程(i)と、第1の第1導電型ウェル上を覆い且つ開口部を備える絶縁膜を形成する工程(j)と、第1の第1導電型ウェルと第1の第2導電型ウェルとの境界の上方を覆い且つ第2の素子分離絶縁膜上にまで延びるONO膜を形成する工程(k)と、開口部上を含む絶縁膜上に、被保護素子と電気的に接続する導電膜を形成する工程(l)とを備え、工程(a)から工程(l)までを終えた後において、第1の第2導電型ウェルは、第1の第1導電型ウェルと隣接し、第2の第1導電型ウェルは、第1の第2導電型ウェルに対して第1の第1導電型ウェルとは反対側に隣接し、第2の第2導電型ウェルは、第1の第1導電型ウェル及び第1の第2導電型ウェルを含み且つこれらの下方を覆うように形成され、第1の第1導電型拡散層は、第1の素子分離絶縁膜を挟んで第1の第2導電型拡散層とは離間し、第2の第2導電型拡散層は、第2の素子分離絶縁膜を挟んで第1の第1導電型拡散層とは離間し、第2の第1導電型拡散層は、第2の第1導電型ウェル上にて第2の第2導電型拡散層と接続し、開口部は、第1の第2導電型拡散層を露出し、ONO膜は、少なくとも第1の第1導電型拡散層上及び第1の第2導電型ウェルの一部上を覆う。
【0036】
第1の半導体装置の製造方法によると、FEOL段階から工程チャージに対して被保護素子を保護しながら半導体装置を製造することができる。これは、配線工程から後の工程における保護しかできなかった従来技術に対し、有利である。尚、工程(a)〜工程(l)について、その順序は特に限定しない。
【0037】
尚、工程(a)〜(l)よりも後に、配線層を形成する工程(m)を更に備え、該工程(m)において、ONO膜にUV光を照射することが好ましい。
【0038】
このようにすると、UV光により励起された電子が第1導電型半導体基板からONO膜8中に注入される。これにより、第1の第2導電型ウェル5と第1の第1導電型拡散層14との間の負耐圧が増大する。例えば、最終の製造工程後には書き込み・消去に支障を与えない−10V程度にまで回復する。
【0039】
ここで、UV光の照射は、工程(m)における配線材料の成膜工程にて行なっても良い。また、UV光の照射は、工程(m)においてUV照射工程を設けることにより行なっても良い。このいずれの方法を取ることも可能である。
【0040】
また、第2の第1導電型拡散層上、第2の第2導電型拡散層上及び導電膜上のそれぞれについて金属シリサイド膜を形成する工程を備えることが好ましい。
【0041】
このようにすると、それぞれ金属シリサイド膜を備えた半導体装置を製造することができる。
【0042】
また、ONO膜における第1の第2導電型ウェル上方に位置する領域に、基板表面電位制御電極を形成する工程を備えることが好ましい。
【0043】
このようにすると、基板表面電位制御電極に電圧を印加し、ONO膜を電気的に中和することができる。これにより、第1の第2導電型ウェルと第1の第1導電型拡散層との間の負耐圧が増大する。例えば、最終の製造工程後には書き込み・消去に支障を与えない−10V程度にまで回復する。また、これはUV光の照射を行なう場合よりも制御性に優れている。
【0044】
また、第2の第1導電型拡散層上、第2の第2導電型拡散層上、導電膜上及び基板表面電位制御電極上のそれぞれについて、金属シリサイド膜を形成する工程を備えることが好ましい。
【0045】
これにより、それぞれ金属シリサイド膜を備えた半導体装置を製造することができる。
【0046】
前記の目的を達成するため、本発明に係る第2の半導体装置の製造方法は、第1導電型半導体基板に、互いに離間した第1の素子分離絶縁膜及び第2の素子分離絶縁膜を形成する工程(a)と、第1導電型半導体基板の上部に、第1の素子分離絶縁膜を内部に含む第2導電型ウェルを形成する工程(b)と、第1導電型半導体基板の上部に、第2の素子分離絶縁膜を内部に含む第1導電型ウェルを形成する工程(c)と、第2導電型ウェル内の表面部に、第1導電型拡散層を形成する工程(d)と、第1導電型ウェル及び第2導電型ウェルの表面部に跨るように、第2導電型拡散層を形成する工程(e)と、第2導電型ウェル上を覆い且つ開口部を備える絶縁膜を形成する工程(f)と、第1導電型ウェルと第2導電型ウェルとの境界の上方を覆い且つ第2の素子分離絶縁膜上にまで延びるONO膜を形成する工程(g)と、開口部上を含む絶縁膜上に、被保護素子と電気的に接続する導電膜を形成する工程(h)と、ONO膜における第1導電型ウェル上方に位置する領域に、基板表面電位制御電極を形成する工程(i)とを備え、工程(a)から工程(i)までを終えた後において、第1導電型ウェルは、第2導電型ウェルと隣接し、第2導電型拡散層は、第1の素子分離絶縁膜を挟んで第1導電型拡散層とは離間し、開口部は、第1導電型拡散層を露出し、ONO膜は、少なくとも第2導電型拡散層上及び第1導電型ウェルの一部上を覆う。
【0047】
第2の半導体装置の製造方法によると、FEOL段階から工程チャージに対して被保護素子を保護しながら半導体装置を製造することができる。これは、配線工程から後の工程における保護しかできなかった従来技術に対し、有利である。尚、工程(a)〜工程(i)について、その順序は特に限定しない。
【0048】
尚、導電膜上及び基板表面電位制御電極上のそれぞれについて、金属シリサイド膜を形成する工程を備えることが好ましい。
【0049】
このようにすると、それぞれ金属シリサイド膜を備えた半導体装置を製造することができる。
【0050】
また、第1及び第2の半導体装置の製造方法のいずれにおいても、絶縁膜は、酸化シリコン膜又は他のONO膜であっても良い。
【発明の効果】
【0051】
本発明の半導体装置及びその製造方法によると、FEOL段階から製造工程中チャージアップに対して被保護素子を保護できるとともに、製造工程後には正電圧又は負電圧のいずれかについて保護耐圧を上昇させて、メモリ素子駆動に必要な電圧以下の電圧においてメモリ素子を保護できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0052】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、各実施形態において、第1導電型としてP型、第2導電型としてN型を想定している。
【0053】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1及び図2は、本実施形態にて例示する半導体装置60の断面構成及び平面構成を模式的に示す図である。
【0054】
図1に示すように、半導体装置60は、第1導電型半導体基板1を用いて構成されている。第1導電型半導体基板1の上部には、互いに離間して第1の素子分離絶縁膜2及び第2の素子分離絶縁膜3が形成されると共に、これらをそれぞれ内部に含むように、第1の第1導電型ウェル4及び第1の第2導電型ウェル5が隣接して形成されている。更に、第1の第2導電型ウェル5に対して第1の第1導電型ウェル4の反対側に接するように、第2の第1導電型ウェル6が形成されている。第1の第1導電型ウェル4及び第1の第2導電型ウェル5の下方に、これら2つのウェルを覆うように、第2の第2導電型ウェル7が形成されている。
【0055】
第1の第1導電型ウェル4の表面部に、第1の第2導電型拡散層11が形成されている。また、第1の第1導電型ウェル4及び第1の第2導電型ウェル5の表面部に跨るように(言い換えると、第1の第1導電型ウェル4の表面部から、第1の第1導電型ウェル4と第1の第2導電型ウェル5との境界を越えて第1の第2導電型ウェル5の表面部まで延びるように)、第1の第1導電型拡散層14が形成されている。これは、第1の素子分離絶縁膜2を挟んで第1の第2導電型拡散層11とは反対側に分離され、且つ、第2の素子分離絶縁膜3とは離間して形成されている。
【0056】
更に、第2の第1導電型ウェル6の表面部に、第2の第1導電型拡散層15が形成されている。また、第1の第2導電型ウェル5及び第2の第1導電型ウェル6の表面部に跨ると共に、第2の第1導電型拡散層15と隣接するように、第2の第2導電型拡散層16が形成されている。
【0057】
また、第1の第1導電型ウェル4における第1の第2導電型拡散層11を挟んで第1の素子分離絶縁膜2とは反対側と、第2の第1導電型ウェル6における第2の第1導電型拡散層15を挟んで第2の第2導電型拡散層16とは反対側とに、他の素子分離絶縁膜21が形成されている。
【0058】
また、第1の第1導電型ウェル4上を覆うと共に、第1の第2導電型拡散層11上に開口部10を有する絶縁膜9が形成されている。絶縁膜9上には、メモリセル電極等の被保護素子から延伸された被保護素子ゲート電極12が形成されている。開口部10を介して、第1の第2導電型拡散層11は、被保護素子ゲート電極12と直接接続している。
【0059】
被保護素子ゲート電極12に対し、その上面には金属シリサイド膜17が形成され、その端部側面には側壁絶縁膜13が形成されている。また、第1の第1導電型ウェル4内の第1の素子分離絶縁膜2上から、第1の第2導電型ウェル5内の第2の素子分離絶縁膜3上までに亘って、第1の第1導電型拡散層14上及び第1の第2導電型ウェル5上を覆うように、ONO膜8が形成されている。また、第2の第1導電型拡散層15上及び第2の第2導電型拡散層16上を覆うように、金属シリサイド膜17が形成されている。
【0060】
更に、以上の各構成要素上を覆うように層間絶縁膜24が形成され、更にその上に、配線層18が形成されている。
【0061】
図2は、半導体装置60の平面レイアウトの一例である。図2において、図1に示した断面となる構造が複数(ここでは2つ)含まれる範囲が例示されている。尚、配線層18、層間絶縁膜24、側壁絶縁膜13、第2の第2導電型ウェル7、第1導電型半導体基板1等については省略し、第1の第1導電型ウェル4、第1の第2導電型ウェル5、第2の第1導電型ウェル6及びONO膜8については、形成範囲を示している。また、第1の第2導電型ウェル5に関しては、基板の表面にまで達している部分についても示している。
【0062】
更に、図2に示された被保護素子ゲート電極12から延びるメモリセルアレイのワード線25と、図2の範囲外(右方)に設けられている他の被保護素子ゲート電極からのびるワード線26についても示している。
【0063】
以上のような半導体装置60において、被保護素子ゲート電極12に正の工程チャージ(半導体装置60の製造途中に加わるチャージ)がかかった場合、第1の第1導電型ウェル4と、第1の第2導電型拡散層11との間の耐圧(例えば、10V)により被保護素子が保護される。また、被保護素子ゲート電極12に負の工程チャージがかかった場合には、第1の第2導電型ウェル5と、第1の第1導電型拡散層14との間の耐圧(例えば、−10V)により被保護素子が保護される。ここで、例に挙げた+10Vは書き込み時の印加電圧により制限されるものであり、−10Vは消去時の印加電圧により制限されるものである。
【0064】
このような半導体装置60の動作について、図3の等価回路図を用いて更に説明する。図3において、第1の第1導電型ウェル4と第1の第2導電型拡散層11とからなるダイオードA、第1の第2導電型ウェル5と第1の第1導電型拡散層14とからなるダイオードB、第1の第1導電型ウェル4と第2の第2導電型ウェル7とからなるダイオードC、第2の第2導電型ウェル7と第1導電型半導体基板1とからなるダイオードD及び第1の第2導電型ウェル5と第2の第1導電型ウェル6とからなるダイオードEと、これらのダイオードの電気的接続が示されている。また、第1の第2導電型ウェル5、第2の第2導電型拡散層16、金属シリサイド膜17、第2の第1導電型拡散層15、第2の第1導電型ウェル6を通って接地に通じる経路Xも示されている。経路Xは、正負いずれのバイアスに対しても導通状態である。更に、被保護素子Yも示されている。
【0065】
ここで、ダイオードAの逆バイアスの耐圧は10V程度、ダイオードBの逆バイアスの耐圧は−7〜−10V程度であり、ダイオードC、D及びEの逆バイアスはいずれも高耐圧である。
【0066】
製造工程中において、被保護素子Yに対して正の工程チャージがかかった場合、等価回路全体の耐圧はダイオードAによって決定される。また、ダイオードAの耐圧以上のチャージがかかった場合、次の様な経路を通じて第1導電型半導体基板1に電流が抜け、被保護素子Yが工程チャージから保護される。つまり、被保護素子ゲート電極12から、耐圧以上の電圧により逆バイアスのダイオードAを通じて第1の第1導電型ウェル4に、ここから同じ導電型の第1の第1導電型拡散層14に、ここから順バイアスのダイオードBを通じて第1の第2導電型ウェル5に導通し、更に、経路Xを通じて第1導電型半導体基板1に至る経路である。
【0067】
また、被保護素子Yに対して負の工程チャージがかかった場合、等価回路全体の耐圧はダイオードBによって決定される。また、ダイオードBの耐圧以上のチャージがかかった場合、次の様な経路を通じて第1導電型半導体基板1に電流が抜け、被保護素子Yが工程チャージから保護される。つまり、被保護素子ゲート電極12から、順バイアスのダイオードAを通じて第1の第1導電型ウェル4に、ここから同じ導電型の第1の第1導電型拡散層14に、ここから耐圧以上の電圧により逆バイアスのダイオードBを通じて第1の第2導電型ウェル5に、ここから順バイアスのダイオードEを通じて第2の第1導電型ウェル6に導通し、更に第1導電型半導体基板1に至る経路である。尚、第1の第2導電型ウェル5からは、経路Xを通ることも考えられる。
【0068】
更に、半導体装置60の場合、後に説明する通り、保護素子が完成した後の配線工程において、UV光照射による電子の励起を利用してONO膜8中の正孔を中和する。これにより、保護耐圧を上昇させて、書き込み・消去電圧を印加することのできる状態に回復させることができる。
【0069】
次に、半導体装置60の製造方法の一例について、その工程を示す断面図である図4〜図11を参照して説明する。
【0070】
まず、図4に示す通り、第1導電型半導体基板1上部に第1の素子分離絶縁膜2及び第2の素子分離絶縁膜3と、他の素子分離絶縁膜21とを形成する。これには、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)を用いればよい。
【0071】
次に、図5に示すように、第1導電型半導体基板1の上部に、所定のイオンを導入することにより、第1の第1導電型ウェル4、第1の第2導電型ウェル5、第2の第1導電型ウェル6及び第2の第2導電型ウェル7を形成する。ここで、第1の第1導電型ウェル4と、第1の第2導電型ウェル5とが接しており、第1の第2導電型ウェル5内に、第2の素子分離絶縁膜3が位置する構成である。第2の第2導電型ウェル7は、第1導電型ウェル4、第1の第2導電型ウェル5を下方から覆うように、これらと第1導電型半導体基板1との間に配置する。
【0072】
このとき、第1の第2導電型ウェル5において、その表面部における不純物濃度を、より深い領域における不純物濃度に比べて高くすることにより、耐圧制御が容易になる。
【0073】
次に、図6に示すように、第1導電型半導体基板1上において、第1の素子分離絶縁膜2上から第2の素子分離絶縁膜3上までに亘って(第1の第1導電型ウェル4上及び第1の第2導電型ウェル5上に接して覆うように)ONO膜8を形成すると共に、その他の領域には絶縁膜9を形成する。ここで、ONO膜8は、例えば、下部酸化シリコン膜(膜厚5nm)、窒化シリコン膜(膜厚5nm)及び上部酸化シリコン膜(膜厚10nm)の積層構造を取る膜である。また、絶縁膜9は、例えば膜厚20nm程度の酸化シリコン膜としても良いし、これもONO膜としても良い。尚、ONO膜8については、メモリセル(図示せず)の電荷保持膜と共通の工程において形成しても良い。
【0074】
次に、図7に示すように、絶縁膜9の一部をエッチング等により除去し、第1の第1導電型ウェル4を露出する開口部10を設ける。
【0075】
次に、図8に示すように、第1の第1導電型ウェル4内に、開口部10を通じて例えばAsイオンを2×1015/cm2 の条件にて不純物拡散し、第1の第2導電型拡散層11を形成する。
【0076】
次に、図9に示す工程を行なう。まず、開口部10を介して第1の第2導電型拡散層11と直接接続するように、絶縁膜9上に被保護素子ゲート電極12を形成する。具体的には、まず例えば多結晶シリコン膜を膜厚200nmにCVD法にて堆積する。次に、該多結晶シリコン膜に対し、Pイオンを2×1015/cm2 の条件にてイオン注入した後、ドライエッチングによりゲート電極のパターンに形成して被保護素子ゲート電極12とする。
【0077】
次に、被保護素子ゲート電極12の側壁を覆うように、側壁絶縁膜13を形成する。このためには、例えば酸化シリコン膜等をCVD法にて堆積した後に、ドライエッチングを行なって被保護素子ゲート電極12の側壁に側壁絶縁膜13を残せばよい。
【0078】
尚、被保護素子ゲート電極12と第1の第2導電型拡散層11とは直接接続すると説明したが、これには限らず、被保護素子ゲート電極12と第1の第2導電型拡散層11との間に薄い絶縁膜(例えば膜厚4nm以下)を介在させても良い。この場合にも、動作上、問題は生じない。更に、被保護素子ゲート電極12と第1の第2導電型拡散層11とが直結している場合、直結部分においてエピ異常成長が生じる場合がある。そこで、この箇所に介在する絶縁膜を備えることにより、このようなエピ異常成長を避けることができる。
【0079】
また、多結晶シリコン膜を堆積した後に、ONO膜8に正孔を注入するチャージアップ工程を設けても良い。このようにすると、第1の第2導電型ウェル5と、次工程にて形成する第1の第1導電型拡散層14との間の負耐圧が、GIDL(Gate-Induced-Drain-Leakage current)成分の増大により、例えば−7V程度に低下する。これにより、更に低耐圧にて被保護素子を保護することができる。
【0080】
次に、図10に示すように、第1の第1導電型拡散層14、第2の第1導電型拡散層15及び第2の第2導電型拡散層16を、それぞれ、第1の第1導電型ウェル4、第2の第1導電型ウェル6及び第1の第2導電型ウェル5に形成する。
【0081】
但し、第1の第1導電型拡散層14は、第1の第1導電型ウェル4上及び第1の第2導電型ウェル5上に跨ると共に、第2の素子分離絶縁膜3とは離間する。つまり、第1の第1導電型拡散層14と、第2の素子分離絶縁膜3との間において、第1の第2導電型ウェル5が基板表面にまで達し、ONO膜8と接している。
【0082】
また、第2の第2導電型拡散層16は、第1の第2導電型ウェル5上及び第2の第1導電型ウェル6に跨ると共に、第2の第1導電型拡散層15と接続するように形成する。
【0083】
また、第1の第1導電型拡散層14及び第2の第1導電型拡散層15は、例えばBイオンを用い、2×1015/cm2 の条件にてイオン注入により形成する。第2の第2導電型拡散層16は、例えばAsイオンを用い、2×1015/cm2 の条件にてイオン注入により形成する。
【0084】
但し、第1の第1導電型拡散層14は、図9に示す被保護素子ゲート電極12を形成するよりも前に形成しても良い。このようにすると、保護素子全体がより早く形成されることになり、より早い工程から、工程チャージに対する保護を行なうことができる。
【0085】
次に、図11に示すように、被保護素子ゲート電極12上、第2の第1導電型拡散層15上及び第2の第2導電型拡散層16上に、それぞれ金属シリサイド膜17を形成する。
【0086】
第2の第1導電型拡散層15と、第2の第2導電型拡散層16との間に逆バイアスがかかった場合、濃度が高い拡散層同士であるため低耐圧となり、電流が流れる状態になる。このとき、両方の拡散層の上にここに金属シリサイド層17が形成されていれば、耐圧は0Vに近くなり、実質的に完全に導電することになる。
【0087】
更に、層間絶縁膜24を形成すると共に、更にその上に配線層18を形成する。
【0088】
ここで、配線層18を形成する工程において、紫外線(UV)の照射を伴う成膜法を用いるか、又は、強制的なUV照射工程を設ける。このようにすると、UV光により励起された電子が、第1導電型半導体基板1からONO膜8中に注入される。これにより、先の工程にてGIDL成分の増大によって−7V程度に低下した、第1の第2導電型ウェル5と第1の第1導電型拡散層14との間の負耐圧が増大する。例えば、最終の製造工程後には書き込み・消去に支障を与えない−10V程度にまで回復する。
【0089】
以上の製造方法によると、被保護素子は、FEOL段階から既に工程チャージに対して保護されている。これは、配線工程から後の工程における保護しかできなかった従来技術に対し、有利である。
【0090】
また、通常ではGIDLは悪影響となるが、逆にこれを積極的に利用して製造工程中には保護耐圧を低下させており、書き込み・消去時の電圧よりも低い体圧による保護を行なうことができる。更に、製造工程後には、保護耐圧を上昇させて、書き込み・消去電圧を印加することができる状態に回復させることができる。
【0091】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図12及び図13は、本実施形態にて例示する半導体装置60aの断面構成及び平面構成を模式的に示す図である。
【0092】
図12に示す通り、半導体装置60aは、図1に示す半導体装置60と類似し、ONO膜8上の基板表面電位制御電極12a等の幾つかの構成要素が追加されている点が相違する。そこで、以下には相違点について詳しく説明し、半導体装置60と同様の構成要素については図1と同じ符号を用いることにより簡略に説明する。
【0093】
半導体装置60aは、半導体装置60と同様に、第1の第1導電型ウェル4内の第1の素子分離絶縁膜2上から、第1の第2導電型ウェル5内の第2の素子分離絶縁膜3までに亘って、第1の第1導電型拡散層14上及び第1の第2導電型ウェル5の一部上を覆うように形成されたONO膜8を有している。
【0094】
これに加えて、本実施形態にて例とする半導体装置60aは、ONO膜8上で且つ第1の第2導電型ウェル5がONO膜8と接している部分の上方の領域に、基板表面電位制御電極12aを備えている。該基板表面電位制御電極12aに対し、側面には側壁絶縁膜13が形成され、また、上面には金属シリサイド膜17が形成されている。
【0095】
また、図13は、半導体装置60aの平面レイアウトの一例である。ここでも、図2に対し、ONO膜8上で且つ第1の第2導電型ウェル5がONO膜8と接している部分の上方に、基板表面電位制御電極12aが形成されていることを示している。
【0096】
半導体装置60aについても、第1の実施形態にて説明したのと同様に、被保護素子を工程チャージから保護することができる。つまり、被保護素子ゲート電極12に正の工程チャージがかかった場合、第1の第1導電型ウェル4と、第1の第2導電型拡散層11との間の耐圧(例えば、10V)により被保護素子が保護される。また、被保護素子ゲート電極12に負の工程チャージがかかった場合には、第1の第2導電型ウェル5と、第1の第1導電型拡散層14との間の耐圧(例えば、−10V)により被保護素子が保護される。ここで、例に挙げた+10Vは書き込み時の印加電圧、−10Vは消去時の印加電圧により制限されるものである。
【0097】
このような工程チャージに対する保護については、図3に示す等価回路を用いて更に説明することができる。具体的説明は第1の実施形態の場合と同様であるため、ここでは省略する。
【0098】
以上に加えて、本実施形態の場合、基板表面電位制御電極12aを備えることによりONO膜8中の正孔の制御性が向上している。つまり、第1の実施形態の場合、半導体装置60製造の配線工程において、UV光照射による電子の励起を利用してONO膜8中の正孔を中和する。これに対し、本実施形態の場合、半導体装置60aの製造が完了した後に、ONO膜8上に形成した基板表面電位制御電極12aに所定の電圧を印加することにより、ONO膜8中の正孔を中和する。このことにより、正孔の中和の制御性において、第1の実施形態の場合よりも優位性がある。
【0099】
次に、半導体装置60aの製造方法について以下に説明する。図14〜図16は、図4〜図8に加えて参照する工程図である。
【0100】
初めに、第1の実施形態にて図4〜図8を参照して説明したのと同じ工程を行なう。これにより、図8の構造が得られる。
【0101】
次に、図14に示す工程を行なう。ここでは、開口部10を介して第1の第2導電型拡散層11と直接接続するように、絶縁膜9上に被保護素子ゲート電極12を形成する。これと共に、ONO膜8上に、基板表面電位制御電極12aを形成する。
【0102】
具体的には、まず第1導電型半導体基板1の上方に、例えば膜厚200nmの多結晶シリコン膜をCVD法により堆積する。次に、該多結晶シリコン膜に対し、Pイオンを2×1015/cm2 の条件にてイオン注入する。その後、ドライエッチングによりパターン形成し、被保護素子ゲート電極12及び基板表面電位制御電極12aを得る。
【0103】
次に、被保護素子ゲート電極12及び基板表面電位制御電極12aの側壁を覆うように、側壁絶縁膜13を形成する。このためには、例えば酸化シリコン膜等をCVD法にて堆積した後に、ドライエッチングを行なって被保護素子ゲート電極12及び基板表面電位制御電極12aの側壁に側壁絶縁膜13を残せばよい。
【0104】
尚、被保護素子ゲート電極12と第1の第2導電型拡散層11とは直接接続すると説明したが、これには限らず、薄い絶縁膜(例えば膜厚4nm以下)を介していても良い。この場合にも、動作上、問題は生じない。
【0105】
また、多結晶シリコン膜を堆積した後に、ONO膜8に正孔を注入するチャージアップ工程を設けても良い。このようにすると、第1の第2導電型ウェル5と、次工程にて形成する第1の第1導電型拡散層14との間の負耐圧が、GIDL成分の増大により、例えば−7V程度に低下する。これにより、更に低耐圧にて被保護素子を保護することができる。
【0106】
次に、図15に示すように、第1の第1導電型拡散層14、第2の第1導電型拡散層15及び第2の第2導電型拡散層16を、それぞれ、第1の第1導電型ウェル4、第2の第1導電型ウェル6及び第1の第2導電型ウェル5に形成する。
【0107】
但し、第1の第1導電型拡散層14は、第1の第1導電型ウェル4上及び第1の第2導電型ウェル5上に跨ると共に、第2の素子分離絶縁膜3とは離間する。つまり、第1の第1導電型拡散層14と、第2の素子分離絶縁膜3との間において、第1の第2導電型ウェル5が基板表面にまで達し、ONO膜8と接している。
【0108】
また、第2の第2導電型拡散層16は、第1の第2導電型ウェル5上及び第2の第1導電型ウェル6に跨ると共に、第2の第1導電型拡散層15と接続するように形成する。
【0109】
また、第1の第1導電型拡散層14及び第2の第1導電型拡散層15は、例えばBイオンを用い、2×1015/cm2 の条件にてイオン注入により形成する。第2の第2導電型拡散層16は、例えばAsイオンを用い、2×1015/cm2 の条件にてイオン注入により形成する。
【0110】
但し、第1の第1導電型拡散層14は、図14に示す被保護素子ゲート電極12を形成するよりも前に形成しても良い。このようにすると、保護素子全体がより早く形成されることになり、より早い工程から、工程チャージに対する保護を行なうことができる。
【0111】
次に、図16に示すように、被保護素子ゲート電極12上、第2の第1導電型拡散層15、第2の第2導電型拡散層16上及び基板表面電位制御電極12a上に、それぞれ金属シリサイド膜17を形成する。基板表面電位制御電極12a上の金属シリサイド膜17については、この箇所にコンタクトを設けるために形成する。
【0112】
更に、層間絶縁膜24を形成し、その上に配線層18を形成する。
【0113】
本実施形態の場合、製造工程が完了した後に、基板表面電位制御電極12aに電圧を印加し、ONO膜8に注入されている正孔を抜き取るか、又は、電子によって中和する。このようにすると、先の工程にてGIDL成分の増大によって−7V程度に低下した、第1の第2導電型ウェル5と第1の第1導電型拡散層14との間の負耐圧が増大する。例えば、最終の製造工程後には書き込み・消去に支障を与えない−10V程度にまで回復する。
【0114】
以上の製造方法によると、被保護素子は、FEOL段階から既に工程チャージに対して保護されている。これは、配線工程から後の工程における保護しかできなかった従来技術に対し、有利である。
【0115】
また、通常ではGIDLは悪影響となるが、逆にこれを積極的に利用して製造工程中には保護耐圧を低下させており、書き込み・消去時の電圧よりも低い体圧による保護を行なうことができる。更に、製造工程後には、保護耐圧を上昇させて、書き込み・消去電圧を印加することができる状態に回復させることができるという更なる効果も発揮する。
【0116】
また、UV光照射を利用している第1の実施形態の場合に比べて、電圧印加によって正孔を中和する本実施形態の方法は制御性に優れており、安定性が更に向上している。
【0117】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図17及び図18は、本実施形態にて例示する半導体装置60bの断面構成及び平面構成を模式的に示す図である。
【0118】
図17に示すように、半導体装置60bは、第1導電型半導体基板1を用いて構成されている。第1導電型半導体基板1の上部には、互いに離間して第1の素子分離絶縁膜2及び第2の素子分離絶縁膜3が形成されると共に、これらをそれぞれ内部に含むように、第2導電型ウェル4b及び第1導電型ウェル5bが隣接して形成されている。
【0119】
また、第2導電型ウェル4bの表面部には第1導電型拡散層11bが形成されている。第2導電型ウェル4b及び第1導電型ウェル5bの表面部に跨るように、第2導電型拡散層14bが形成されている。これは、第1の素子分離絶縁膜2を挟んで第1導電型拡散層11bとは反対側に分離され、且つ、第2の素子分離絶縁膜3とは離間して形成されている。
【0120】
また、第2導電型ウェル4bにおける第1導電型拡散層11bを挟んで第1の素子分離絶縁膜2とは反対側に、他の素子分離絶縁膜21が形成されている。
【0121】
また、第2導電型ウェル4b上を覆うと共に、第2導電型拡散層14b上に開口部10を有する絶縁膜9が形成されている。絶縁膜9上には、メモリセル電極等の被保護素子から延伸された被保護素子ゲート電極12が形成されている。開口部10を介して、第1導電型拡散層11bは、被保護素子ゲート電極12と直接接続している。
【0122】
被保護素子ゲート電極12に対し、その上面には金属シリサイド膜17が形成され、その端部側面には側壁絶縁膜13が形成されている。また、第2導電型ウェル4b内の第1の素子分離絶縁膜2上から、第1導電型ウェル5b内の第2の素子分離絶縁膜3上までに亘って、第2導電型拡散層14b上及び第1導電型ウェル5b上を覆うように、ONO膜8が形成されている。
【0123】
また、ONO膜8上で且つ第1導電型ウェル5bがONO膜8と接している部分の上方を領域に、基板表面電位制御電極12aが形成されている。該基板表面電位制御電極12aに対し、側面には側壁絶縁膜13が形成され、また、上面には金属シリサイド膜17が形成されている。
【0124】
更に、以上の各構成要素上を覆うように層間絶縁膜24が形成され、更にその上に、配線層18が形成されている。
【0125】
図18は、半導体装置60bの平面レイアウトの一例である。図18において、図17に示した断面構造が複数(ここでは2つ)含まれる範囲が例示されている。尚、配線層18、層間絶縁膜24、側壁絶縁膜13、第1導電型半導体基板1等については省略し、第1導電型ウェル5b、第2導電型ウェル4b、基板表面電位制御電極12a、ONO膜8については、形成範囲を示している。また、第1導電型ウェル5bに関しては、基板の表面にまで達している部分についても示している。
【0126】
以上のような半導体装置60bにおいて、被保護素子ゲート電極12に負の工程チャージがかかった場合、第2導電型ウェル4bと第1導電型拡散層11bとの間の耐圧(例えば、−10V)により被保護素子が保護される。また、被保護素子ゲート電極12に正の工程チャージがかかった場合には、第1導電型ウェル5bと第2導電型拡散層14bとの間の耐圧(例えば、10V)により被保護素子が保護される。ここで、例に挙げた+10Vは書き込み時の印加電圧により制限されるものであり、−10Vは消去時の印加電圧により制限されるものである。
【0127】
このような半導体装置60bの動作について、図19の等価回路図を用いて更に説明する。図19において、第1導電型拡散層11bと第2導電型ウェル4bとからなるダイオードA、第2導電型拡散層14bと第1導電型ウェル5bとからなるダイオードB及び第2導電型ウェル4bと第1導電型半導体基板1とからなるダイオードCと、これらのダイオードの電気的接続が示されている。また、第1導電型ウェル5bから第1導電型半導体基板1を通って接地に通じる経路Xと、被保護素子Yも示されている。
【0128】
ここで、ダイオードAの逆バイアスの耐圧は−10V程度、ダイオードBの逆バイアスの耐圧は7〜10V程度であり、ダイオードCの逆バイアスは高耐圧である。
【0129】
製造工程中において、被保護素子Yに対して負の工程チャージがかかった場合、等価回路全体の耐圧はダイオードAによって決定される。また、ダイオードAの耐圧以上の電圧がかかった場合、次の様な経路を通じて第1導電型半導体基板1に電流が抜け、被保護素子Yが工程チャージから保護される。つまり、被保護素子ゲート電極12から、耐圧以上の電圧により逆バイアスのダイオードAを通じて第2導電型ウェル4bに、ここから同じ導電型の第2導電型ウェル4bに、ここから順バイアスのダイオードBを通じて第1導電型ウェル5bに導通し、更に経路Xにより第1導電型半導体基板1に至る経路である。
【0130】
また、被保護素子Yに対して正の工程チャージがかかった場合、等価回路全体の耐圧はダイオードBによって決定される。また、ダイオードBの耐圧以上の電圧がかかった場合、次の様な経路を通じて第1導電型半導体基板1に電流が抜け、被保護素子Yが工程チャージから保護される。つまり、被保護素子ゲート電極12から、順バイアスのダイオードAを通じて第2導電型ウェル4bに、ここから同じ導電型の第2導電型ウェル4bに、ここから耐圧以上の電圧によりダイオードBを通じて第1導電型ウェル5bに導通し、更に経路Xにより第1導電型半導体基板1に至る経路である。
【0131】
更に、半導体装置60bの場合、後にも説明する通り、保護素子が完成した後に基板表面電位制御電極12aを用いて電圧を印加することにより、ONO膜8中の正孔を中和することができる。これにより、保護耐圧を上昇させて、書き込み・消去電圧を印加することのできる状態に回復させることができる。
【0132】
次に、半導体装置60bの製造方法について、その工程を示す断面図である図20〜図27を参照して説明する。
【0133】
まず、図20に示すように、第1導電型半導体基板1の上部に、第1の素子分離絶縁膜2及び第2の素子分離絶縁膜3と、他の素子分離絶縁膜21とを形成する。
【0134】
次に、図21に示すように、第1導電型半導体基板1の上部に、所定のイオンを導入することにより、第2導電型ウェル4b及び第1導電型ウェル5bを形成する。ここで、第2導電型ウェル4bと第1導電型ウェル5bとが接しており、第1導電型ウェル5b内に第2の素子分離絶縁膜3が存在し且つ第2導電型ウェル4b内に第1の素子分離絶縁膜2が存在する構成とする。
【0135】
このとき、第1導電型ウェル5bにおいて、その表面部における不純物濃度を表面から深い領域における不純物濃度に比べて濃くすることにより耐圧制御が容易になる。
【0136】
次に、図22に示すように、第1導電型半導体基板1上において、第1の素子分離絶縁膜2上から第2の素子分離絶縁膜3上に亘って(第2導電型ウェル4b及び第1導電型ウェル5b上に接して覆うように)ONO膜8形成すると共に、その他の領域には絶縁膜9を形成する。ここで、ONO膜8は、例えば、下部酸化シリコン膜(膜厚5nm)、窒化シリコン膜(膜厚5nm)及び上部酸化シリコン膜(膜厚10nm)の積層構造を取る膜である。また、絶縁膜9は、例えば膜厚20nm程度の酸化シリコン膜としても良いし、これもONO膜としても良い。尚、ONO膜8については、メモリセル(図示せず)の電荷保持膜と共通の工程において形成しても良い。
【0137】
次に、図23に示すように、絶縁膜9の一部をエッチング等により除去し、第2導電型ウェル4bを露出する開口部10を設ける。
【0138】
次に、図24に示すように、第2導電型ウェル4b内に、開口部10を通じて例えばAsイオンを2×1015/cm2 の条件にて不純物拡散し、第1導電型拡散層11bを形成する。
【0139】
次に、図25の工程を行なう。まず、開口部10を介して第1導電型拡散層11bと直接接続するように、絶縁膜9上に被保護素子ゲート電極12を形成する。これと同時に、ONO膜8上に、基板表面電位制御電極12aを形成する。
【0140】
具体的には、まず例えば多結晶シリコン膜を膜厚200nmにCVD法にて堆積する。次に、該多結晶シリコン膜に対し、Pイオンを2×1015/cm2 の条件にてイオン注入する。その後、ドライエッチングによりパターン形成し、被保護素子ゲート電極12及び基板表面電位制御電極12aを得る。
【0141】
次に、被保護素子ゲート電極12及び基板表面電位制御電極12aの側壁を覆うように、側壁絶縁膜13を形成する。このためには、例えば酸化シリコン膜等をCVD法にて堆積した後に、ドライエッチングを行なって被保護素子ゲート電極12及び基板表面電位制御電極12aの側壁に側壁絶縁膜13を残せばよい。
【0142】
尚、被保護素子ゲート電極12と第1の第2導電型拡散層11とは直接接続すると説明したが、これには限らず、薄い絶縁膜(例えば膜厚4nm以下)を介していても良い。この場合にも、動作上、問題は生じない。
【0143】
また、多結晶シリコン膜を堆積した後に、ONO膜8に正孔を注入するチャージアップ工程を設けても良い。このようにすると、第1導電型ウェル5bと、次工程にて形成する第2導電型拡散層14bとの間の正耐圧が、GIDL成分の増大により、例えば7V程度に低下する。これにより、更に低耐圧にて被保護素子を保護することができる。
【0144】
次に、図26に示すように、第2導電型ウェル4bに、第2導電型拡散層14bを形成する。この際、第2導電型拡散層14bは、第2導電型ウェル4b及び第1導電型ウェル5b上に跨ると共に、第2の素子分離絶縁膜3とは離間する。つまり、第2導電型拡散層14bと、第2の素子分離絶縁膜3との間において、第1導電型ウェル5bが基板表面にまで達し、ONO膜8と接している。
【0145】
また、第2導電型拡散層14bは、例えば、例えばBイオンを用い、2×1015/cm2 の条件にてイオン注入により形成する。
【0146】
但し、第2導電型拡散層14bは、図25に示す被保護素子ゲート電極12を形成するよりも前に形成しても良い。このようにすると、保護素子全体がより早く形成されることになり、より早い工程から、工程チャージに対する保護を行なうことができる。
【0147】
次に、図27に示すように、被保護素子ゲート電極12上及び基板表面電位制御電極12a上に、金属シリサイド膜17を形成する。更に、層間絶縁膜24を形成し、その上に配線層18を形成する。
【0148】
本実施形態の場合、製造工程が完了した後に、基板表面電位制御電極12aに電圧を印加し、ONO膜8に注入されている電子を抜き取るか、又は、正孔によって中和する。このようにすると、先の工程にてGIDL成分の増大によって7V程度に低下した、第1導電型ウェル5bと第2導電型拡散層14bとの間の正耐圧が増大する。例えば、最終の製造工程後には書き込み・消去に支障を与えない10V程度にまで回復する。
【0149】
以上の製造方法によると、被保護素子は、FEOL段階から既に工程チャージに対して保護されている。これは、配線工程から後の工程における保護しかできなかった従来技術に対し、有利である。通常では悪影響となるGIDLについて、逆にこれを積極的に利用して製造工程中には保護耐圧を低下させており、書き込み・消去時の電圧よりも低い体圧による保護を行なうことができる。更に、製造工程後には、保護耐圧を上昇させて、書き込み・消去電圧を印加することができる状態に回復させることができるという更なる効果も発揮する。
【0150】
また、UV光照射を利用している第1の実施形態の場合に比べて、電圧印加によって正孔を中和する本実施形態の方法は制御性に優れており、安定性が更に向上している。
【0151】
また、第1及び第2の実施形態の場合には負側の保護耐圧を低下させる効果があるのに対し、本実施形態の場合、正側の保護耐圧を低下させる効果が発揮される。
【0152】
また、第1〜第3の実施形態において説明した各構成要素の材料、寸法、イオン注入の条件、製造の工程順等について、望ましいものであるが、いずれも例示であって、記載内容には限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明の半導体装置及びその製造方法は、FEOL段階から製造工程中チャージアップに対して被保護素子を保護できるとともに、製造工程後には正電圧又は負電圧のいずれかに対して、メモリ素子駆動に必要な電圧以下の電圧においてメモリ素子を保護でき、特に、局所電荷蓄積型不揮発性メモリの製造工程途中におけるチャージアップから素子を保護する技術として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に例示する半導体装置の要部断面を模式的に示す図である。
【図2】図2は、本発明の第1の実施形態に例示する半導体装置の平面構成を模式的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施形態に例示する半導体装置の等価回路図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態に例示する半導体装置の製造工程を説明する図である。
【図5】図5は、図4に続いて、本発明の第1の実施形態に例示する半導体装置の製造工程を説明する図である。
【図6】図6は、図5に続いて、本発明の第1の実施形態に例示する半導体装置の製造工程を説明する図である。
【図7】図7は、図6に続いて、本発明の第1の実施形態に例示する半導体装置の製造工程を説明する図である。
【図8】図8は、図7に続いて、本発明の第1の実施形態に例示する半導体装置の製造工程を説明する図である。
【図9】図9は、図8に続いて、本発明の第1の実施形態に例示する半導体装置の製造工程を説明する図である。
【図10】図10は、図9に続いて、本発明の第1の実施形態に例示する半導体装置の製造工程を説明する図である。
【図11】図11は、図10に続いて、本発明の第1の実施形態に例示する半導体装置の製造工程を説明する図である。
【図12】図12は、本発明の第2の実施形態に例示する半導体装置の要部断面を模式的に示す図である。
【図13】図13は、本発明の第2の実施形態に例示する半導体装置の平面構成を模式的に示す図である。
【図14】図14は、本発明の第2の実施形態に例示する半導体装置の製造工程を説明する図である。
【図15】図15は、図14に続いて、本発明の第2の実施形態に例示する半導体装置の製造工程を説明する図である。
【図16】図16は、図15に続いて、本発明の第2の実施形態に例示する半導体装置の製造工程を説明する図である。
【図17】図17は、本発明の第3の実施形態に例示する半導体装置の要部断面を模式的に示す図である。
【図18】図18は、本発明の第3の実施形態に例示する半導体装置の平面構成を模式的に示す図である。
【図19】図19は、本発明の第3の実施形態に例示する半導体装置の等価回路図である。
【図20】図20は、本発明の第3の実施形態に例示する半導体装置の平面構成を模式的に示す図である。
【図21】図21は、図20に続いて、本発明の第3の実施形態に例示する半導体装置の平面構成を模式的に示す図である。
【図22】図22は、図21に続いて、本発明の第3の実施形態に例示する半導体装置の平面構成を模式的に示す図である。
【図23】図23は、図22に続いて、本発明の第3の実施形態に例示する半導体装置の平面構成を模式的に示す図である。
【図24】図24は、図23に続いて、本発明の第3の実施形態に例示する半導体装置の平面構成を模式的に示す図である。
【図25】図25は、図24に続いて、本発明の第3の実施形態に例示する半導体装置の平面構成を模式的に示す図である。
【図26】図26は、図25に続いて、本発明の第3の実施形態に例示する半導体装置の平面構成を模式的に示す図である。
【図27】図27は、図26に続いて、本発明の第3の実施形態に例示する半導体装置の平面構成を模式的に示す図である。
【図28】図28は、従来の半導体装置を説明するための図である。
【符号の説明】
【0155】
1 第1導電型半導体基板
2 第1の素子分離絶縁膜
3 第2の素子分離絶縁膜
4 第1の第1導電型ウェル
4b 第2導電型ウェル
5 第1の第2導電型ウェル
5b 第1導電型ウェル
6 第2の第1導電型ウェル
7 第2の第2導電型ウェル
8 ONO膜
9 絶縁膜
10 開口部
11 第1の第2導電型拡散層
11b 第1導電型拡散層
12 被保護素子ゲート電極
12a 基板表面電位制御電極
13 側壁絶縁膜
14 第1の第1導電型拡散層
14b 第2導電型拡散層
15 第2の第1導電型拡散層
16 第2の第2導電型拡散層
17 金属シリサイド層
18 配線層
21 素子分離絶縁膜
24 層間絶縁膜
60 半導体装置
60a 半導体装置
60b 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型半導体基板の上部に、この順に互いに隣接するように形成された第1の第1導電型ウェル、第1の第2導電型ウェル及び第2の第1導電型ウェルと、
前記第1の第1導電型ウェル及び第1の第2導電型ウェルを含み且つこれらの下方を覆うように形成された第2の第2導電型ウェルと、
前記第1の第1導電型ウェルの表面部に、互いに離間して形成された第1の第2導電型拡散層及び第1の第1導電型拡散層と、
前記第1の第2導電型ウェルの表面部に形成された第2の第2導電型拡散層と、
前記第2の第1導電型ウェルの表面部に形成された第2の第1導電型拡散層と、
前記第1の第1導電型ウェル上に形成され、前記第1の第2導電型拡散層を露出する開口部を有する絶縁膜と、
前記第1の第2導電型ウェルの表面部に形成され、前記第1の第1導電型拡散層と前記第2の第2導電型拡散層と間に位置する素子分離絶縁膜と、
前記第1の第1導電型拡散層上及び前記第1の第2導電型ウェルの一部上を連続して覆うONO膜と、
前記開口部上を含む前記絶縁膜上に形成され、被保護素子及び前記第1の第2導電型拡散層と電気的に接続された導電膜とを備え、
前記第1の第1導電型拡散層は、前記第1の第2導電型ウェルの表面部にまで延伸しており、
前記第2の第2導電型拡散層は、前記第2の第1導電型ウェルの表面部にまで延伸していると共に、前記第2の第1導電型拡散層と接続していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2の第1導電型拡散層上、前記第2の第2導電型拡散層上及び前記導電膜上に、それぞれ金属シリサイド膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記ONO膜における前記第1の第2導電型ウェル上に位置する領域上に、基板表面電位制御電極が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記基板表面電位制御電極上に金属シリサイド膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つにおいて、
前記第1の第2導電型ウェルにおいて、その表面部における不純物濃度が、より深い領域における不純物濃度に比べて高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つにおいて、
前記開口部において、前記導電膜と、前記第1の第2導電型拡散層との間に形成され、膜厚が4nm以下である介在絶縁膜を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
第1導電型半導体基板の上部に、互いに隣接するように形成された第2導電型ウェル及び第1導電型ウェルと、
前記第2導電型ウェルの表面部に、互いに離間して形成された第1導電型拡散層及び第2導電型拡散層と、
前記第2導電型ウェル上に形成され、前記第1導電型拡散層を露出する開口部を有する絶縁膜と、
前記第2導電型拡散層上及び前記第1導電型ウェルの一部上を連続して覆うONO膜と、
前記開口部上を含む前記絶縁膜上に形成され、被保護素子及び前記第1導電型拡散層と電気的に接続された導電膜とを備え、
前記第2導電型拡散層は、前記第1導電型ウェルの表面部にまで延伸し、
前記ONO膜における前記第1導電型ウェル上に位置する領域上に、基板表面電位制御電極が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記基板表面電位制御電極上及び前記導電膜上に、それぞれ金属シリサイド膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項7又は8において、
前記第1導電型ウェルにおいて、その表面部における不純物濃度が、より深い領域における不純物濃度に比べて高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一つにおいて、
前記開口部において、前記導電膜と、前記第1導電型拡散層との間に形成され、膜厚が4nm以下である介在絶縁膜を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一つにおいて、
前記被保護素子は、ゲート絶縁膜である電荷蓄積層に対する電子、正孔の蓄積、除去により特性が変化する不揮発性半導体記憶装置であり、
前記被保護素子の電荷蓄積層は、前記ONO膜と同一の膜からなり、
前記被保護素子のゲート電極が延伸して前記導電膜と電気的に接続していることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
第1導電型半導体基板に、互いに離間した第1の素子分離絶縁膜及び第2の素子分離絶縁膜を形成する工程(a)と、
前記第1導電型半導体基板の上部に、前記第1の素子分離絶縁膜を内部に含む第1の第1導電型ウェルを形成する工程(b)と、
前記第1導電型半導体基板の上部に、前記第2の素子分離絶縁膜を内部に含む第1の第2導電型ウェルを形成する工程と(c)、
前記第1導電型半導体基板の上部に、第2の第1導電型ウェルを形成する工程(d)と、
前記第1導電型半導体基板に、第2の第2導電型ウェルを形成する工程(e)と、
前記第1の第1導電型ウェル内の表面部に、第1の第2導電型拡散層を形成する工程(f)と、
前記第1の第1導電型ウェル及び前記第1の第2導電型ウェルの表面部に跨るように、第1の第1導電型拡散層を形成する工程(g)と、
前記第1の第2導電型ウェル及び前記第2の第1導電型ウェルの表面部に跨るように、第2の第2導電型拡散層を形成する工程(h)と、
前記第2の第1導電型ウェル内の表面部に、第2の第1導電型拡散層を形成する工程(i)と、
前記第1の第1導電型ウェル上を覆い且つ開口部を備える絶縁膜を形成する工程(j)と、
前記第1の第1導電型ウェルと前記第1の第2導電型ウェルとの境界の上方を覆い且つ前記第2の素子分離絶縁膜上にまで延びるONO膜を形成する工程(k)と、
前記開口部上を含む前記絶縁膜上に、被保護素子と電気的に接続する導電膜を形成する工程(l)とを備え、
前記工程(a)から前記工程(l)までを終えた後において、
前記第1の第2導電型ウェルは、前記第1の第1導電型ウェルと隣接し、
前記第2の第1導電型ウェルは、前記第1の第2導電型ウェルに対して前記第1の第1導電型ウェルとは反対側に隣接し、
前記第2の第2導電型ウェルは、前記第1の第1導電型ウェル及び前記第1の第2導電型ウェルを含み且つこれらの下方を覆うように形成され、
前記第1の第1導電型拡散層は、第1の素子分離絶縁膜を挟んで前記第1の第2導電型拡散層とは離間し、
前記第2の第2導電型拡散層は、前記第2の素子分離絶縁膜を挟んで前記第1の第1導電型拡散層とは離間し、
前記第2の第1導電型拡散層は、前記第2の第1導電型ウェル上にて前記第2の第2導電型拡散層と接続し、
前記開口部は、前記第1の第2導電型拡散層を露出し、
前記ONO膜は、少なくとも前記第1の第1導電型拡散層上及び前記第1の第2導電型ウェルの一部上を覆うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12において、
工程(a)〜(l)よりも後に、配線層を形成する工程(m)を更に備え、該工程(m)において、前記ONO膜にUV光を照射することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記UV光の照射は、前記工程(m)における配線材料の成膜工程にて行なうことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13において、
前記UV光の照射は、前記工程(m)においてUV照射工程を設けることにより行なうことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか一つにおいて、
前記第2の第1導電型拡散層上、前記第2の第2導電型拡散層上及び前記導電膜上のそれぞれについて金属シリサイド膜を形成する工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項12において、
前記ONO膜における前記第1の第2導電型ウェル上方に位置する領域に、基板表面電位制御電極を形成する工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17において、
前記第2の第1導電型拡散層上、前記第2の第2導電型拡散層上、前記導電膜上及び前記基板表面電位制御電極上のそれぞれについて、金属シリサイド膜を形成する工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
第1導電型半導体基板に、互いに離間した第1の素子分離絶縁膜及び第2の素子分離絶縁膜を形成する工程(a)と、
前記第1導電型半導体基板の上部に、前記第1の素子分離絶縁膜を内部に含む第2導電型ウェルを形成する工程(b)と、
前記第1導電型半導体基板の上部に、前記第2の素子分離絶縁膜を内部に含む第1導電型ウェルを形成する工程(c)と、
前記第2導電型ウェル内の表面部に、第1導電型拡散層を形成する工程(d)と、
前記第1導電型ウェル及び前記第2導電型ウェルの表面部に跨るように、第2導電型拡散層を形成する工程(e)と、
前記第2導電型ウェル上を覆い且つ開口部を備える絶縁膜を形成する工程(f)と、
前記第1導電型ウェルと前記第2導電型ウェルとの境界の上方を覆い且つ前記第2の素子分離絶縁膜上にまで延びるONO膜を形成する工程(g)と、
前記開口部上を含む前記絶縁膜上に、被保護素子と電気的に接続する導電膜を形成する工程(h)と、
前記ONO膜における前記第1導電型ウェル上方に位置する領域に、基板表面電位制御電極を形成する工程(i)とを備え、
前記工程(a)から前記工程(i)までを終えた後において、
前記第1導電型ウェルは、前記第2導電型ウェルと隣接し、
前記第2導電型拡散層は、前記第1の素子分離絶縁膜を挟んで前記第1導電型拡散層とは離間し、
前記開口部は、前記第1導電型拡散層を露出し、
前記ONO膜は、少なくとも前記第2導電型拡散層上及び前記第1導電型ウェルの一部上を覆うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19において、
前記導電膜上及び前記基板表面電位制御電極上のそれぞれについて、金属シリサイド膜を形成する工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項12〜20のいずれか一つにおいて、
前記絶縁膜は、酸化シリコン膜又は他のONO膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−147302(P2010−147302A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323917(P2008−323917)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】