説明

半導体装置

【課題】寄生インダクタンスを低減し、変換効率の高い非絶縁型DC−DCコンバータの半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置において、ハイサイドドライバ4aがハイサイドスイッチ2より、半導体基板1の周辺に近い領域にあり、ローサイドドライバ4bがローサイドスイッチ3より、半導体基板1の周辺に近い領域にある。これにより、入力コンデンサの正端子からハイサイドスイッチ2とローサイドスイッチ3を経由して、入力コンデンサの負端子に至る経路が短く、かつドライブコンデンサの正端子からローサイドドライバ4aを経由して、ドライブコンデンサの負端子に至る経路が短く、かつブートストラップコンデンサの正端子からハイサイドドライバ4aを経由して、ブートストラップコンデンサの負端子に至る経路が短いため、寄生インダクタンスが小さくなり、変換効率を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源などの電力変換器に用いられる半導体装置に関し、特に、非絶縁型DC−DCコンバータに適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電源などの電力変換器に関して本発明者が検討したところによれば、コンピュータなどのCPU(Central Processing Unit)に使用される電源が低電圧化されるに伴い、同期整流方式による電源が多用されている。また、CPU用の電源に要求される電流変化率(di/dt)はますます大きくなり、電源の出力電圧のリップルを抑制するために、電源の高速化が重要となっている。
【0003】
一般的な直流電圧を変圧する非絶縁型DC−DCコンバータの回路図を図1に示す。入力電源Vinと並列に、入力コンデンサCinが配置される。ハイサイドスイッチQ1及びローサイドスイッチQ2を駆動するドライブ電源Vdriveと並列にドライブコンデンサCdriveが挿入され、ローサイドドライバ33に電力を供給する。ハイサイドスイッチQ1の駆動回路はブートストラップの構成をとり、ハイサイドスイッチQ1がオフの時、ドライブ電源Vdriveから、ブートストラップダイオードDbootを介して、ブートストラップコンデンサCbootに電流が供給され、ハイサイドドライバ32の電源となる。
【0004】
電源制御コントローラ31からのPWM信号を受け、ハイサイドスイッチQ1とローサイドスイッチQ2を交互にオン・オフすることで、端子Vxに方形波を出力し、これを出力インダクタLと出力コンデンサCoutからなる出力フィルタにより直流電圧に平滑し、負荷となるCPU34に電力を供給する。ハイサイドスイッチQ1及びローサイドスイッチQ2には逆並列にダイオードD1とD2が接続されるが、ダイオードD1は出力インダクタLの一方の端子となるVxの電位が上昇した場合、入力電源Vinへの電流の経路を確保する役割がある。また、ダイオードD2はハイサイドスイッチQ1がオフの時、出力インダクタLの還流電流の経路を確保する役割がある。同期整流とは、ダイオードD2に還流電流が流れている際、ローサイドスイッチQ2をオンして、電流の経路をダイオードD2からローサイドスイッチQ2へ変える動作で、ダイオードD2と比べてローサイドスイッチQ2のオン抵抗は大幅に低いことから、導通損失を低減することができる。ローサイドスイッチQ2として、図1にあるようにMOSFET(Metal Oxiside Semiconductor Field Effect Transistor)を用いた場合、同一の半導体基板に内蔵のダイオードがあることから、外付けのダイオードは不要となる。
【0005】
従来、非絶縁型DC−DCコンバータのハイサイドスイッチQ1及びローサイドスイッチQ2には、ディスクリートパッケージのパワーMOSFETが用いられ、これらを駆動するハイサイドドライバ32及びローサイドドライバ33を含むドライバICは、上記ディスクリートパッケージとは異なるパッケージに入っており、それぞれがプリント基板上で接続されている。
【0006】
しかしながら、電源の電流変化率(di/dt)が大きくなるにつれて、プリント基板上の寄生インダクタンス、及びパッケージ内のワイヤボンディングによる寄生インダクタンスの影響による変換効率の低下が無視できなくなっている。
【0007】
また、ディスクリートパッケージに存在するゲート抵抗とドライバ抵抗も同様に、電源の高速化に伴いDC−DCコンバータの変換効率を低下させる原因となっている。この問題を解決するため、同一の半導体基板に、ハイサイドスイッチQ1及びローサイドスイッチQ2と、これらを駆動するハイサイドドライバ32及びローサイドドライバ33を搭載したモノリシック構造が提案されている(例えば特許文献1)。同一の半導体基板に、ハイサイドスイッチQ1及びローサイドスイッチQ2と、これらを駆動するハイサイドドライバ32及びローサイドドライバ33を搭載することで、寄生インダクタンスを低減し、電源の変換効率を向上できる。
【特許文献1】特開2005−203766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1などの従来構造では、半導体基板の中心領域にハイサイドドライバ32及びローサイドドライバ33が配置されているため、半導体装置を取り囲むように配置される入力コンデンサCinとドライブコンデンサCdriveとブートストラップコンデンサCbootとの間の経路の長さが問題となる。すなわち、入力コンデンサCinの正端子からハイサイドスイッチQ1とローサイドスイッチQ2を経由して、入力コンデンサCinの負端子に至る経路が長く、かつドライブコンデンサCdriveの正端子からローサイドスイッチQ2のローサイドドライバ33を経由して、ドライブコンデンサCdriveの負端子に至る経路が長く、かつブートストラップコンデンサCbootの正端子からハイサイドスイッチQ1のハイサイドドライバ32を経由して、ブートストラップコンデンサCbootの負端子に至る経路が長いため、寄生インダクタンスが大きく、変換効率が低いという問題があった。
【0009】
そこで、本発明は前記従来構造の問題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、寄生インダクタンスを低減し、変換効率の高い非絶縁型DC−DCコンバータの半導体装置を提供することである。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
すなわち、代表的なものの概要は、ハイサイドスイッチとハイサイドドライバとローサイドスイッチとローサイドドライバとを有し、これらが同一の半導体基板上に形成された半導体装置において、ハイサイドドライバがハイサイドスイッチより、半導体基板の周辺に近い領域にあり、ローサイドドライバがローサイドスイッチより、半導体基板の周辺に近い領域にあることを特徴とする。あるいは、ハイサイドドライバがハイサイドスイッチより、半導体基板の周辺に近い領域と半導体基板の中心に近い領域にあり、ローサイドドライバがローサイドスイッチより、半導体基板の周辺に近い領域と半導体基板の中心に近い領域にあることを特徴とする。
【0013】
また、ハイサイドスイッチとハイサイドドライバとローサイドドライバとが、ローサイドスイッチが形成された半導体基板とは異なる半導体基板上に形成された半導体装置においては、ハイサイドドライバがハイサイドスイッチより、半導体基板の周辺に近い領域にあり、ローサイドドライバがハイサイドスイッチより、半導体基板の周辺に近い領域にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0015】
すなわち、代表的なものによって得られる効果は、ハイサイドスイッチとハイサイドドライバとローサイドスイッチとローサイドドライバとを有する半導体装置において、この半導体装置を取り囲むように配置される入力コンデンサとドライブコンデンサとブートストラップコンデンサとの間において、入力コンデンサの正端子からハイサイドスイッチとローサイドスイッチを経由して、入力コンデンサの負端子に至る経路が短く、かつドライブコンデンサの正端子からローサイドスイッチのローサイドドライバを経由して、ドライブコンデンサの負端子に至る経路が短く、かつブートストラップコンデンサの正端子からハイサイドスイッチのハイサイドドライバを経由して、ブートストラップコンデンサの負端子に至る経路が短いため、寄生インダクタンスが小さくなり、変換効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0017】
<第1の実施の形態>
まず、図2を用いて、本発明の第1の実施の形態の半導体装置について説明する。図2は、本実施の形態の半導体装置を示すレイアウト図である。この図2は、半導体装置を接続部側から見た図である。
【0018】
本実施の形態の半導体装置は、前述した図1に示すような非絶縁型DC−DCコンバータに適用される。すなわち、非絶縁型DC−DCコンバータの半導体装置は、ハイサイドスイッチQ1とハイサイドドライバ32とローサイドスイッチQ2とローサイドドライバ33とを有する。ハイサイドスイッチQ1は、横型MOSFETからなり、ドレインが入力電源Vinに接続され、ソースが出力インダクタLに接続されている。ハイサイドドライバ32は、ハイサイドスイッチQ1を駆動するドライバであり、ハイサイドスイッチQ1の横型MOSFETのゲートに接続されている。ローサイドスイッチQ2は、横型MOSFETからなり、ドレインが出力インダクタLに接続され、ソースが基準電位GNDに接続されている。ローサイドドライバ33は、ローサイドスイッチQ2を駆動するドライバであり、ローサイドスイッチQ2の横型MOSFETのゲートに接続されている。
【0019】
本実施の形態の半導体装置では、ハイサイドスイッチQ1とローサイドスイッチQ2には、横型MOSFETが用いられているが、この利点などは縦型MOSFETとの違いも含めて、後述する第3の実施の形態において詳しく説明する。
【0020】
なお、本実施の形態の半導体装置を示す図2のレイアウト図において、前述した図1の回路図と対応させた場合に、ハイサイドスイッチ2はハイサイドスイッチQ1(ダイオードD1:ハイサイド内蔵MOSFET)、ハイサイドドライバ4aはハイサイドドライバ32、ローサイドスイッチ3はローサイドスイッチQ2(ダイオードD2:ローサイド内蔵MOSFET)、ローサイドドライバ4bはローサイドドライバ33、制御回路5は電源制御コントローラ31にそれぞれ対応し、同じ構成要素を表すものである。
【0021】
本実施の形態の半導体装置は、図2に示すように、半導体基板1に、ハイサイドスイッチ2とローサイドスイッチ3、ハイサイドスイッチ2を駆動するハイサイドドライバ4aとローサイドスイッチ3を駆動するローサイドドライバ4b、及びハイサイドドライバ4aとローサイドドライバ4bを制御する制御回路5が搭載されている。特に、本実施の形態の半導体装置では、半導体基板1において、ハイサイドドライバ4aがハイサイドスイッチ2より周辺に近い領域にあり、かつ、半導体基板1において、ローサイドドライバ4bがローサイドスイッチ3より周辺に近い領域に配置されている。ハイサイドスイッチ2として、n型MOSFETまたはp型MOSFETが用いられ、ローサイドスイッチ3としてn型MOSFETが用いられる。ハイサイドスイッチ2としてp型MOSFETを用いた方が、図1で示したブートストラップコンデンサCbootやブートストラップダイオードDbootが不要となるので回路が簡素化されるが、p型MOSFETはオン抵抗が大きいという問題があり、大電流を要求されるCPU電源には、ハイサイドスイッチ2としてn型MOSFETが用いられることが多い。
【0022】
図2のA領域を拡大したレイアウト図を図3に示す。ハイサイドドライバ4aから、アルミニウム配線7のゲート電極が右方向に延び、このアルミニウム配線7のゲート電極から枝分かれする形でポリシリコン配線8のゲート電極が延び、このポリシリコン配線8のゲート電極を挟んでソース領域とドレイン領域が配置される。このゲート電極とこれを挟んだソース領域とドレイン領域などで、ハイサイドスイッチ2のMOSFETが構成される。ゲート電極の配線において、長い配線はアルミニウム配線を用い、短い配線はポリシリコン配線を用いる理由はアルミニウム配線の方が抵抗が低く、配線が長くなった場合もゲート抵抗の増加を抑制することができるためである。
【0023】
次に、図4を用いて、本実施の形態の半導体装置により寄生インダクタンスを低減できる理由について説明する。図4は、本実施の形態の半導体装置を実装したプリント基板を示すレイアウト図である。
【0024】
図4では、半導体基板1が半導体パッケージ18に収納され、プリント基板11にフリップチップ実装された状態を示しており、半導体基板1はフリップチップ実装されているため、図2とは左右が反転されている。
【0025】
半導体パッケージ18を取り囲むように、入力コンデンサ12、ブートストラップコンデンサ13、ドライブコンデンサ14が配置されている。入力コンデンサ12はハイサイドスイッチ2とローサイドスイッチ3の近くに配置され、入力コンデンサ12の一方の端子から、ハイサイドスイッチ2とローサイドスイッチ3を経由して、入力コンデンサ12の他端に至る経路が短くなり、寄生インダクタンスを低減することができる。さらに、ブートストラップコンデンサ13はハイサイドドライバ4aの近くに配置され、ブートストラップコンデンサ13の一方の端子からハイサイドドライバ4aを経由して、ブートストラップコンデンサ13の他端に至る経路が短くなり、寄生インダクタンスを低減することができる。さらに、ドライブコンデンサ14はローサイドドライバ4bの近くに配置され、ドライブコンデンサ14の一方の端子からローサイドドライバ4bを経由して、ドライブコンデンサ14の他端に至る経路が短くなり、寄生インダクタンスを低減することができる。この結果、電力変換効率の向上に繋がる。
【0026】
なお、図4のレイアウト図を前述した図1の回路図と対応させた場合に、入力コンデンサ12は入力コンデンサCin、ブートストラップコンデンサ13はブートストラップコンデンサCboot、ドライブコンデンサ14はドライブコンデンサCdriveにそれぞれ対応する。
【0027】
図5は、図4のプリント基板11に、入力電源Vinの正端子からハイサイドスイッチQ1(2)及びローサイドスイッチQ2(3)を経由して入力電源Vinの負端子に至る経路の配線を追記したレイアウト図である。図5に示すように、入力電源Vinの正端子に繋がる電源配線15と入力電源Vinの負端子に繋がる基準電位配線(GND配線)16は近接して配置される。これは、電源配線15と基準電位配線16を近接させることで、ハイサイドスイッチ2のスイッチングの際に発生する磁束をキャンセルし、実効的な寄生インダクタンスを低減することを狙ったものである。一方、出力インダクタLに接続される出力配線17は、寄生インダクタンスに配慮する必要はないが、配線抵抗による変換効率の低下が懸念されるので、十分広い配線幅を確保する必要がある。
【0028】
図6は、ハイサイドスイッチ2、ローサイドスイッチ3及び制御回路5が形成された半導体基板1と半導体パッケージ18またはプリント基板11との接続部を説明したレイアウト図である。図6では、ハイサイドスイッチ2、ローサイドスイッチ3及び制御回路5が形成された半導体基板1の接続にバンプ6を使用した例を示している。半導体基板1は、このバンプ6を通じてプリント基板11に接続される。また、この半導体基板1を半導体パッケージ18に収納してプリント基板11に搭載する場合でも、半導体パッケージ18は、バンプ6を通じてプリント基板11に接続される。このように、本実施の形態では、半導体基板1の状態の半導体装置、半導体基板1が半導体パッケージ18に収納された半導体装置のどちらも、接続部にバンプ6が使われている。
【0029】
従来から、半導体基板1と半導体パッケージ18との接続に用いられているワイヤボンディングは、半導体基板1の周辺部にボンディングパッドを設ける必要があるので、ピン数の上限が低い、また半導体基板1の周辺にあるパッドまで配線を引き回す必要があるので配線抵抗が高いといった問題がある。これに対し、バンプ6は半導体基板1全体を接続部とすることができるので、多くのピンを設けることができる。また、半導体基板1の中心領域からバンプ6を介して、半導体パッケージ18またはプリント基板11に接続されるので、半導体基板1の配線引き回しに伴う配線抵抗の増加を抑制することができる。
【0030】
このバンプ6の配置については、例えば、後述する図7に示すような電位に着目したレイアウト例や、図8に示すような電極に着目したレイアウト例が考えられる。
【0031】
図7は、ハイサイドスイッチ2とローサイドスイッチ3のバンプの電位に着目して配置したレイアウト図である。図7に示すように、ハイサイドスイッチ2のドレイン電位に相当するバンプ21は入力電源Vinの正端子に接続され、ハイサイドスイッチ2のソース電位、及びローサイドスイッチ3のドレイン電位に相当するバンプ23は出力インダクタLの一方の端子に接続され、ローサイドスイッチ3のソース電位に相当するバンプ22は入力電源Vinの負端子に接続される。この場合に、ハイサイドスイッチ2では、ドレイン電位に相当するバンプ21とソース電位に相当するバンプ23を縦方向に交互に配置し、また、ローサイドスイッチ3では、ソース電位に相当するバンプ22とドレイン電位に相当するバンプ23を縦方向に交互に配置する。この配置では、ハイサイドスイッチ2とローサイドスイッチ3において、バンプ23は縦方向で同じ位置になる。このように、ソースとドレインのバンプを交互に配置することで、半導体基板1の配線の引き回しを短くすることができ、変換効率の向上が可能となる。
【0032】
図8は、ハイサイドスイッチ2とローサイドスイッチ3のバンプのソース電極とドレイン電極に着目して配置したレイアウト図である。図8において、Sはソースを、Dはドレインをそれぞれ表す。図8に示すように、ハイサイドスイッチ2では、ソースSのバンプとドレインDのバンプを横方向に交互に配置し、かつ、縦方向でも、ソースSのバンプとドレインDのバンプを交互に配置する。同様に、ローサイドスイッチ3でも、横方向と縦方向でソースSのバンプとドレインDのバンプを交互に配置する。このように、ソースSとドレインDのバンプを交互に配置することで、半導体基板1の配線の引き回しを短くすることができ、変換効率の向上が可能となる。
【0033】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ハイサイドスイッチ2、ハイサイドドライバ4a、ローサイドスイッチ3、ローサイドドライバ4bなどを有し、これらが同一の半導体基板1上に形成された半導体装置において、ハイサイドドライバ4aがハイサイドスイッチ2より半導体基板1の周辺に近い領域にあり、かつローサイドドライバ4bがローサイドスイッチ3より半導体基板1の周辺に近い領域に配置されているので、入力コンデンサ12、ブートストラップコンデンサ13、ドライブコンデンサ14との間の経路が短くなる。その結果、寄生インダクタンスが小さくなり、変換効率を向上することができる。
【0034】
さらに、本実施の形態の半導体装置によれば、電源配線15と基準電位配線16の配置や出力配線17の配置を工夫したり、接続部にバンプ6を使用したり、さらにバンプの配置を工夫することで、より一層の変換効率の向上が可能となる。
【0035】
<第2の実施の形態>
図9は、本発明の第2の実施の形態の半導体装置を示すレイアウト図である。
【0036】
本実施の形態の半導体装置において、前記第1の実施の形態と異なる点は、ハイサイドスイッチ2とローサイドスイッチ3のドライバが、半導体基板1の周辺に近い領域に配置されたハイサイドドライバ4a及びローサイドドライバ4bに加えて、半導体基板1の中心に近い領域にもハイサイドドライバ4c及びローサイドドライバ4dとして配置されていることである。このように、ドライバを周辺領域と中心領域に配置することで、ハイサイドドライバ4aと4cからハイサイドスイッチ2までの距離が短くなり、また、ローサイドドライバ4bと4dからローサイドスイッチ3までの距離が短くなり、前記第1の実施の形態と比べて、更なる変換効率の向上が期待できる。
【0037】
例えば、前述した図1において、入力電源Vinの電圧は12V、出力電圧はCPU34の動作電圧となる1V程度なので、ハイサイドスイッチQ1のオン比率は12分の1程度と低い。よって、ローサイドスイッチQ2の損失成分は大部分が導通損失であり、変換効率の向上にはローサイドスイッチQ2のオン抵抗の低減が有効である。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ハイサイドスイッチ2、ハイサイドドライバ4a,4c、ローサイドスイッチ3、ローサイドドライバ4b,4dなどを有し、これらが同一の半導体基板1上に形成された半導体装置において、ハイサイドドライバ4a,4cがハイサイドスイッチ2より半導体基板1の周辺に近い領域と半導体基板1の中心に近い領域にあり、かつローサイドドライバ4b,4dがローサイドスイッチ3より半導体基板1の周辺に近い領域と半導体基板1の中心に近い領域に配置されているので、前記第1の実施の形態に比べてさらに、寄生インダクタンスが小さくなり、変換効率を向上することができる。
【0039】
さらに、本実施の形態の半導体装置においても、前記第1の実施の形態と同様に、電源配線と基準電位配線の配置や出力配線の配置を工夫したり、接続部にバンプを使用したり、さらにバンプの配置を工夫することで、より一層の変換効率の向上が可能となる。
【0040】
<第3の実施の形態>
前記第1及び第2の実施の形態のように、同一の半導体基板に、スイッチとそれを駆動するドライバを搭載した場合、スイッチとして用いられる半導体デバイスは横型MOSFETとなる。横型MOSFETは半導体基板表面にソース領域及びドレイン領域を形成したもので、ソース電極及びドレイン電極も半導体基板表面に形成する(前記特許文献1に横型MOSFETの一例が記載されている)。低耐圧で横型MOSFETは、半導体基板の単位面積当たりの電流容量を大きくできるが、耐圧が高くなると、ソースとドレイン間の横方向の距離を長くする必要があるので、電流容量が小さくなる。
【0041】
これに対し、縦型MOSFETは、ソースとドレイン間の電圧を保持する領域を半導体基板の縦方向に配置したもので、耐圧が高くなっても半導体基板の横方向の距離を長くする必要が無いので、30Vを越えるような高耐圧デバイスでは、横型MOSFETと比べて、半導体基板の単位面積当たりの電流容量を大きくすることができ、オン抵抗を低減することができる(縦型MOSFETについては、例えば特開2005−57050号公報に記載されている)。
【0042】
そこで、ハイサイドスイッチQ1と、ハイサイドスイッチQ1を駆動するハイサイドドライバ4aと、ローサイドスイッチQ2を駆動するローサイドドライバ4bを搭載した半導体基板とは異なる半導体基板に、縦型MOSFETのローサイドスイッチQ2を搭載することが、変換効率の向上に有効である。
【0043】
図10は、本発明の第3の実施の形態の半導体装置を示すレイアウト図である。図10では、ローサイドスイッチ3を異なる半導体基板に搭載した場合の、ハイサイドスイッチ2と、ハイサイドスイッチ2を駆動するハイサイドドライバ4a及びローサイドスイッチ3を駆動するローサイドドライバ4bと、このハイサイドドライバ4a及びローサイドドライバ4bを制御する制御回路5を搭載した半導体基板1を示す。
【0044】
本実施の形態においても、ハイサイドドライバ4a及びローサイドドライバ4bが、ハイサイドスイッチ2より半導体基板1の周辺に近い領域に配置されている。これにより、前記第1の実施の形態と同様に、半導体装置を取り囲むように配置される入力コンデンサ12、ブートストラップコンデンサ13、ドライブコンデンサ14との間の経路が短くなり、寄生インダクタンスを低減することができる。
【0045】
さらに、ローサイドスイッチ3を縦型MOSFETとし、図10に示した半導体基板1とは異なる半導体基板に搭載することで、ローサイドスイッチ3のオン抵抗を低減し、変換効率を向上することができる。また、ハイサイドスイッチ2に横型MOSFETを用いるメリットとして、横型MOSFETは縦型MOSFETと比べて、ソースとドレイン間の帰還容量が小さいので、スイッチング損失を低減できる利点がある。
【0046】
なお、本実施の形態の半導体装置は、ハイサイドスイッチ2とハイサイドドライバ4a及びローサイドドライバ4bと制御回路5を搭載した半導体基板1と、ローサイドスイッチ3を搭載した半導体基板とが、同一の半導体パッケージに収納されたものとなる。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ハイサイドスイッチ2、ハイサイドドライバ4a、ローサイドスイッチ3、ローサイドドライバ4bなどを有し、ハイサイドスイッチ2とハイサイドドライバ4aとローサイドドライバ4bが、ローサイドスイッチ3が形成された半導体基板とは異なる半導体基板1上に形成された半導体装置において、ハイサイドドライバ4aがハイサイドスイッチ2より半導体基板1の周辺に近い領域にあり、かつローサイドドライバ4bがハイサイドスイッチ2より半導体基板1の周辺に近い領域に配置され、かつローサイドスイッチ3が縦型MOSFETとして異なる半導体基板に搭載されているので、前記第1の実施の形態に比べてさらに、寄生インダクタンスが小さくなり、変換効率を向上することができる。
【0048】
さらに、本実施の形態の半導体装置においても、前記第1の実施の形態と同様に、電源配線と基準電位配線の配置や出力配線の配置を工夫したり、接続部にバンプを使用したり、さらにバンプの配置を工夫することで、より一層の変換効率の向上が可能となる。
【0049】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の半導体装置は、電源などの電力変換器に用いられる半導体装置に利用可能であり、特に、非絶縁型DC−DCコンバータに適用して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】一般的な非絶縁型DC−DCコンバータの構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の半導体装置を示すレイアウト図である。
【図3】図2のA領域を拡大したレイアウト図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の半導体装置を実装したプリント基板を示すレイアウト図である。
【図5】図4のプリント基板に配線を追記したレイアウト図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の半導体装置において、半導体パッケージまたはプリント基板との接続部を説明したレイアウト図である。
【図7】図6の接続部のバンプの電位に着目して配置したレイアウト図である。
【図8】図6の接続部のバンプのソース電極とドレイン電極に着目して配置したレイアウト図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の半導体装置を示すレイアウト図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態の半導体装置を示すレイアウト図である。
【符号の説明】
【0052】
1…半導体基板、2…ハイサイドスイッチ、3…ローサイドスイッチ、4a,4c…ハイサイドドライバ、4b,4d…ローサイドドライバ、5…制御回路、6…バンプ、7…アルミニウム配線、8…ポリシリコン配線、
11…プリント基板、12…入力コンデンサ、13…ブートストラップコンデンサ、14…ドライブコンデンサ、15…電源配線、16…基準電位配線、17…出力配線、18…半導体パッケージ、
21…バンプ、22…バンプ、23…バンプ、
31…電源制御コントローラ、32…ハイサイドドライバ、33…ローサイドドライバ、34…CPU、
Vin…入力電源、Cin…入力コンデンサ、Vdrive…ドライブ電源、Cdrive…ドライブコンデンサ、Cboot…ブートストラップコンデンサ、Dboot…ブートストラップダイオード、Q1…ハイサイドスイッチ、Q2…ローサイドスイッチ、D1…ダイオード、D2…ダイオード、L…出力インダクタ、Cout…出力コンデンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレインが入力電源電位に接続され、ソースがインダクタに接続されたハイサイドスイッチと、前記ハイサイドスイッチを駆動するハイサイドドライバと、ドレインが前記インダクタに接続され、ソースが基準電位に接続されたローサイドスイッチと、前記ローサイドスイッチを駆動するローサイドドライバとを有し、前記ハイサイドスイッチと前記ハイサイドドライバと前記ローサイドスイッチと前記ローサイドドライバとが同一の半導体基板上に形成された半導体装置であって、
前記ハイサイドドライバは、前記ハイサイドスイッチより、前記半導体基板の周辺に近い領域に配置され、
前記ローサイドドライバは、前記ローサイドスイッチより、前記半導体基板の周辺に近い領域に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチの接続部には、バンプが用いられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、
前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチには、横型MOSFETが用いられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
ドレインが入力電源電位に接続され、ソースがインダクタに接続されたハイサイドスイッチと、前記ハイサイドスイッチを駆動するハイサイドドライバと、ドレインが前記インダクタに接続され、ソースが基準電位に接続されたローサイドスイッチと、前記ローサイドスイッチを駆動するローサイドドライバとを有し、前記ハイサイドスイッチと前記ハイサイドドライバと前記ローサイドスイッチと前記ローサイドドライバとが同一の半導体基板上に形成された半導体装置であって、
前記ハイサイドドライバは、前記ハイサイドスイッチより、前記半導体基板の周辺に近い領域と前記半導体基板の中心に近い領域とに配置され、
前記ローサイドドライバは、前記ローサイドスイッチより、前記半導体基板の周辺に近い領域と前記半導体基板の中心に近い領域とに配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置において、
前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチの接続部には、バンプが用いられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項4記載の半導体装置において、
前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチには、横型MOSFETが用いられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
ドレインが入力電源電位に接続され、ソースがインダクタに接続されたハイサイドスイッチと、前記ハイサイドスイッチを駆動するハイサイドドライバと、ドレインが前記インダクタに接続され、ソースが基準電位に接続されたローサイドスイッチと、前記ローサイドスイッチを駆動するローサイドドライバとを有し、前記ハイサイドスイッチと前記ハイサイドドライバと前記ローサイドドライバとが第1の半導体基板上に形成され、前記ローサイドスイッチが第2の半導体基板上に形成された半導体装置であって、
前記ハイサイドドライバは、前記ハイサイドスイッチより、前記第1の半導体基板の周辺に近い領域に配置され、
前記ローサイドドライバは、前記ハイサイドスイッチより、前記第1の半導体基板の周辺に近い領域に配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項7記載の半導体装置において、
前記ハイサイドスイッチおよび前記ローサイドスイッチの接続部には、バンプが用いられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項7記載の半導体装置において、
前記ハイサイドスイッチには、横型MOSFETが用いられ、
前記ローサイドスイッチには、縦型MOSFETが用いられていることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−16035(P2010−16035A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172165(P2008−172165)
【出願日】平成20年7月1日(2008.7.1)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】