説明

半導体装置

【課題】入力信号に基づいて位相の一致した相補の出力信号を生成する。
【解決手段】入力信号INTを受けて反転信号INBを出力するインバータ11と、反転信号INBを受けて内部信号INTTを出力するインバータ12と、反転信号INBを電源とし、入力信号INTを受けて内部信号INBBを出力するインバータ21と、を備える。本発明によれば、一方の信号パス上の信号を他方の信号パスに含まれるインバータの電源として用いていることから、調整用の容量や抵抗を付加することなく、一対の出力信号の位相を正確に一致させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特に、入力信号に基づいて相補の出力信号を生成する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の内部を伝送する信号には、シングルエンド形式の信号とディファレンシャル形式の信号が存在する。シングルエンド形式の信号は1本の信号配線を用いて1ビットを表現するタイプの信号であり、クロック信号やアドレス信号、コマンド信号など、コントロール系の信号に対して用いられることが多い。これに対し、ディファレンシャル形式の信号は2本(一対)の信号配線を用いて1ビットを表現するタイプの信号であり、センスアンプの出力など、データ系の信号に対して用いられることが多い。
【0003】
しかしながら、コントロール系の信号においても、特に高速動作が求められる回路部分においては、ディファレンシャル形式の信号が用いられることがある。例えば、高速なDRAM(Dynamic Random Access Memory)においては、位相制御された内部クロック信号を生成するDLL(Delay Locked Loop)回路が用いられ、内部クロック信号に同期してリードデータの出力が行われる。ここで、DLL回路によって生成される内部クロック信号はシングルエンド形式の信号であるが、内部クロック信号は出力ドライバの近傍でディファレンシャル形式の信号に変換され、ディファレンシャル形式の内部クロック信号に同期してリードデータの出力が行われる。このような信号の変換には、いわゆるスプリッターと呼ばれる回路が用いられる。
【0004】
スプリッター回路は、入力信号を2つの信号パスに分配し、一方の信号パスから同相信号、他方の信号パスから逆相信号を出力する回路である。これら信号パスはいずれも縦続接続された複数のインバータからなり、同相信号を出力する信号パスは偶数段のインバータ、逆相信号を出力する信号パスは奇数段のインバータによって構成される。スプリッター回路の例としては、特許文献1の図3に示すストローブ出力バッファ51が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−112565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スプリッター回路を構成する2つの信号パスは、互いにインバータの段数が異なることから、生成される同相信号と逆相信号の位相が正確に一致しないという問題があった。この問題を解決する方法としては、各信号パスに調整用の容量や抵抗を付加するという方法が考えられるが、同相信号と逆相信号の位相が一致するよう容量値や抵抗値を設計しても、実際に製造すると位相が正しく一致しないことが多い。このため、容量値や抵抗値を何度も変更するといった試行錯誤が必要となり、そのたびにマスク変更を行わなければならないことから、設計コストが高くなるという問題があった。
【0007】
しかも、設計通りに位相を一致させることができたとしても、製造プロセスのばらつきによって位相にズレが生じるばかりでなく、製造後においても、温度変化や電源電圧変動などによっても位相にズレが生じることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面による半導体装置は、入力信号を受けて反転信号を出力する第1のインバータと、前記反転信号を受けて第1の出力信号を出力する第2のインバータと、前記反転信号を電源とし、前記入力信号を受けて第2の出力信号を出力する第3のインバータと、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の他の側面による半導体装置は、入力信号を受けて相補の第1及び第2の出力信号を生成する半導体装置であって、前記入力信号から前記第1の出力信号を生成する第1の信号パスと、前記入力信号から前記第2の出力信号を生成する第2の信号パスと、を備え、前記第1の信号パスに含まれる論理回路の段数は、前記第2の信号パスに含まれる論理回路の段数よりも1段多く、前記第2の信号パスに含まれる所定の論理回路は、前記第1の信号パスに含まれる所定の論理回路の出力を電源として動作することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一方の信号パス上の信号を他方の信号パスに含まれる回路の電源として用いていることから、調整用の容量や抵抗を付加することなく、一対の出力信号の位相を正確に一致させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の好ましい実施形態によるスプリッター回路10の回路図である。
【図2】スプリッター回路10のより具体的な回路図である。
【図3】スプリッター回路10の動作を説明するための波形図である。
【図4】スプリッター回路10の動作を説明するための模式図である。
【図5】スプリッター回路10の動作を説明するための別の模式図である。
【図6】スプリッター回路10を用いた半導体装置の一例を示すブロック図である。
【図7】スプリッター回路10a及びコマンドデコーダ131の主要部を示す回路図である。
【図8】スプリッター回路10b及びデータ入出力回路150の主要部を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の好ましい実施形態によるスプリッター回路10の回路図である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態によるスプリッター回路10は、入力信号INTを受けて相補の出力信号OUTB,OUTTを生成する回路であり、入力信号INTから出力信号OUTBを生成する信号パスPASS1と、入力信号INTから出力信号OUTTを生成する信号パスPASS2を備えている。信号パスPASS1は、入力信号INTに対して逆相の出力信号OUTBを生成するパスであり、3つのインバータ11,12,13が縦続接続された構成を有している。一方、信号パスPASS2は、入力信号INTに対して同相の出力信号OUTTを生成するパスであり、2つのインバータ21,22が縦続接続された構成を有している。このように、信号パスPASS1に含まれる論理回路の段数は、信号パスPASS2に含まれる論理回路の段数よりも1段多い。
【0015】
スプリッター回路10を構成するインバータのうち、インバータ11〜13,22については、電源VDDと電源VSSとの間の電圧を動作電源としている。これに対し、インバータ21については、インバータ11の出力である反転信号INBを動作電源としている。かかる構成により、信号パスPASS1とパスPASS2の論理段数が相違しているにもかかわらず、インバータ12の出力である内部信号INTTとインバータ21の出力である内部信号INBBの位相が一致することになる。以下、本実施形態によるスプリッター回路10の回路構成及びその動作についてより詳細に説明する。
【0016】
図2は、スプリッター回路10のより具体的な回路図である。
【0017】
図2に示すように、各インバータはいずれもPチャンネル型MOSトランジスタとNチャンネル型MOSトランジスタの直列回路によって構成されている。以下、個々のインバータについて具体的に説明する。
【0018】
まず、インバータ11はトランジスタP11,N11の直列回路からなる。トランジスタP11,N11のソースはそれぞれ電源VDD及びVSSに接続され、各ゲート電極には入力信号INTが共通に供給される。トランジスタP11,N11の共通ドレインからは反転信号INBが出力される。
【0019】
インバータ12は、トランジスタP12−1,N12−1の直列回路を含み、各ゲート電極には反転信号INBが共通に供給される。トランジスタP12−1,N12−1の共通ドレインからは内部信号INTTが出力される。また、トランジスタP12−1のソースと電源VDDとの間には、トランジスタP12−2が接続されている。トランジスタP12−2のゲート電極には電源VSSが供給されており、このためトランジスタP12−2はオン状態に固定される。さらに、トランジスタN12−1のソースと電源VSSとの間には、トランジスタN12−2が接続されている。トランジスタN12−2のゲート電極には電源VDDが供給されており、このためトランジスタN12−2はオン状態に固定される。
【0020】
インバータ13はトランジスタP13,N13の直列回路からなる。トランジスタP13,N13のソースはそれぞれ電源VDD及びVSSに接続され、各ゲート電極には内部信号INTTが共通に供給される。トランジスタP13,N13の共通ドレインからは出力信号OUTBが出力される。インバータ13はファンアウトを確保するための回路であり、本発明においてこれを設けることは必須でない。
【0021】
インバータ21はトランジスタP21,N21の直列回路からなる。トランジスタP21,N21のソースはいずれもインバータ11の出力端(共通ドレイン)に接続され、各ゲート電極には入力信号INTが共通に供給される。トランジスタP21,N21の共通ドレインからは内部信号INBBが出力される。
【0022】
インバータ22はトランジスタP22,N22の直列回路からなる。トランジスタP22,N22のソースはそれぞれ電源VDD及びVSSに接続され、各ゲート電極には内部信号INBBが共通に供給される。トランジスタP22,N22の共通ドレインからは出力信号OUTTが出力される。インバータ22はファンアウトを確保するための回路であり、本発明においてこれを設けることは必須でない。
【0023】
本実施形態においては、Nチャンネル型MOSトランジスタN11,N12−1,N12−2,N21のチャネル幅が互いに等しく設計されている。このため、Nチャンネル型MOSトランジスタN11,N12−1,N12−2,N21のオン抵抗は互いに等しい。同様に、Pチャンネル型MOSトランジスタP11,P12−1,P12−2,P21のチャネル幅が互いに等しく設計されている。このため、Pチャンネル型MOSトランジスタP11,P12−1,P12−2,P21のオン抵抗も互いに等しい。そして、同じインバータを構成するNチャンネル型MOSトランジスタとPチャンネル型MOSトランジスタのオン抵抗は等しく設計されることから、これらトランジスタN11,N12−1,N12−2,N21,P11,P12−1,P12−2,P21のオン抵抗は互いに等しいことになる。
【0024】
図3は、本実施形態によるスプリッター回路10の動作を説明するための波形図である。
【0025】
図3に示すように、時刻t10にて入力信号INTがローレベルからハイレベルに変化すると、これを受けるインバータ11,21はその出力である反転信号INB及び内部信号INBBを反転させようとする。しかしながら、インバータ21はインバータ11の出力である反転信号INBを電源としていることから、反転信号INBがハイレベルからローレベルに変化するまで、内部信号INBBを反転させる(つまりハイレベルに変化させる)ことができない。このため、時刻t11にて反転信号INBがハイレベルからローレベルに変化した後、時刻t12にて内部信号INBBがハイレベルからローレベルに変化することになる。
【0026】
時刻t12は、反転信号INBがハイレベルからローレベルに変化した後、これを受ける次段の論理回路が反転するタイミングに相当することから、インバータ12の出力である内部信号INTTも時刻t12にて変化する。つまり、インバータ12とインバータ12は、時刻t12にて同時に変化することになる。その結果、インバータ13の出力である出力信号OUTBと、インバータ22の出力である出力信号OUTTも時刻t13にて同時に変化する。
【0027】
入力信号INTがハイレベルからローレベルに変化する場合の動作も同様であり、最終的に出力信号OUTB,OUTTは同時に変化することになる。
【0028】
ここで、インバータ12の出力である内部信号INTTとインバータ21の出力である内部信号INBBが同時に変化する原理についてより詳細に説明する。
【0029】
まず、入力信号INTがローレベルからハイレベルに変化する場合について考える。この場合、インバータ11に含まれるトランジスタN11がオンすることから、反転信号INBがハイレベルからローレベルに変化する。この変化が次段の論理回路にもたらす影響を考えると、図4に示すように、インバータ12に関してはトランジスタP12−1がオンすることから、その出力端である共通ドレインは、トランジスタP12−2,P12−1を介して電源VDDに接続される。一方、インバータ21に関してはトランジスタN21がオンすることから、その出力端である共通ドレインは、トランジスタN11,N21を介して電源VSSに接続される。したがって、トランジスタP12−2,P12−1の直列抵抗と、トランジスタN11,N21の直列抵抗が等しくなるよう設計すれば、内部信号INTTの変化と、内部信号INBBの変化は必ず同時となる。
【0030】
入力信号INTがハイレベルからローレベルに変化する場合についても同様であり、この場合、インバータ11に含まれるトランジスタP11がオンすることから、反転信号INBがローレベルからハイレベルに変化する。この変化が次段の論理回路にもたらす影響を考えると、図5に示すように、インバータ12に関してはトランジスタN12−1がオンすることから、その出力端である共通ドレインは、トランジスタN12−2,N12−1を介して電源VSSに接続される。一方、インバータ21に関してはトランジスタP21がオンすることから、その出力端である共通ドレインは、トランジスタP11,P21を介して電源VDDに接続される。したがって、トランジスタN12−2,N12−1の直列抵抗と、トランジスタP11,P21の直列抵抗が等しくなるよう設計すれば、内部信号INTTの変化と、内部信号INBBの変化は必ず同時となる。
【0031】
このように、本実施形態によるスプリッター回路10は、信号パスPASS1上の信号を他方の信号パスPASS2に含まれるインバータ21の電源として用いていることから、調整用の容量や抵抗を付加することなく、一対の出力信号OUTB,OUTTの位相を正確に一致させることが可能となる。このため、容量値や抵抗値を変更するための度重なるマスク変更が不要となり、設計コストを低減することが可能となる。
【0032】
図6は、上述したスプリッター回路10を用いた半導体装置の一例を示すブロック図である。
【0033】
本実施形態による半導体装置100はシンクロナス型のDRAM(Dynamic Random Access Memory)であり、外部端子として、クロック端子111a,111b、コマンド端子112a〜112e、アドレス端子113及びデータ入出力端子114を備えている。その他、データストローブ端子や電源端子なども備えられているが、これらについては図示を省略してある。
【0034】
クロック端子111a,111bは、それぞれ外部クロックCK,/CKが供給される端子であり、供給された外部クロックCK,/CKはクロック入力回路121に供給される。本明細書において信号名の先頭に「/」が付されている信号は、対応する信号の反転信号又はローアクティブな信号であることを意味する。したがって、外部クロックCK,/CKは互いに相補の信号である。クロック入力回路121は外部クロックCK,/CKに基づいて内部クロックPreCLKを生成し、これをDLL回路122に供給する。DLL回路122は、内部クロックPreCLKに基づいて位相制御された内部クロック信号LCLKを生成し、これをスプリッター回路10bやODT制御回路160などに供給するクロック生成回路としての役割を果たす。
【0035】
コマンド端子112a〜112eは、それぞれロウアドレスストローブ信号/RAS、カラムアドレスストローブ信号/CAS、ライトイネーブル信号/WE、チップセレクト信号/CS、及びオンダイターミネーション信号ODTが供給される端子である。これらのコマンド信号CMDは、スプリッター回路10aを介してコマンドデコーダ131に供給される。コマンドデコーダ131は、コマンド信号の保持、デコード及びカウントなどを行うことによって、内部オンダイターミネーション信号IODTを含む各種内部コマンドICMDを生成する回路である。生成された内部コマンドICMDは、アクセス制御回路102に供給される。このうち、内部オンダイターミネーション信号IODTは、ODT制御回路160を介してスプリッター回路10cに供給される。内部オンダイターミネーション信号IODTとは、データ入出力回路150を終端抵抗器として機能させるための信号である。また、ODT制御回路160は、内部オンダイターミネーション信号IODTの位相を内部クロック信号LCLKに同期させるための回路である。
【0036】
アドレス端子113は、アドレス信号ADDが供給される端子であり、供給されたアドレス信号ADDは、アドレス入力回路141に供給される。アドレス入力回路141の出力は、アドレスラッチ回路142に供給され、ラッチされたアドレス信号ADDはアクセス制御回路102に供給される。
【0037】
アクセス制御回路102は、内部コマンドICMD及びアドレス信号ADDに基づいて、メモリセルアレイ101に含まれるいずれかのメモリセルMCへのアクセス動作を制御する回路である。メモリセルMCは、ワード線WLとビット線BLの交点に配置されており、ワード線WLとビット線BLの選択はアドレス信号ADDに基づいて行われる。例えば、内部コマンドICMDがリード動作を示している場合には、アドレス信号ADDによって所定のメモリセルが選択され、当該メモリセルから読み出されたリードデータがデータ入出力回路150及びデータ入出力端子114を介して外部に出力される。また、内部コマンドICMDがライト動作を示している場合には、データ入出力端子114を介してデータ入出力回路150に入力されたライトデータは、アドレス信号ADDにより指定されるメモリセルに書き込まれる。
【0038】
本発明によるスプリッター回路は、このような半導体装置100のいくつかの箇所に使用されている。本例では、コマンド信号CMDの各ビットをコマンドデコーダ131に供給するスプリッター回路10a、内部クロック信号LCLKをデータ入出力回路150に供給するスプリッター回路10b、内部オンダイターミネーション信号IODTをデータ入出力回路150に供給するスプリッター回路10cにおいて使用されている。
【0039】
図7は、スプリッター回路10a及びコマンドデコーダ131の主要部を示す回路図である。図7に示すように、コマンドデコーダ131は、コマンド信号CMDの各ビットの論理レベルの組み合わせに基づいて各種内部コマンドICMD(MRS,PRE,REF,ACT,WRITE,ZQCL/S,READ,DESELなど)のいずれかを活性化させる。コマンドデコーダ131は、コマンド信号CMDの各ビットをディファレンシャル形式で受信する回路形式のため、その前段にはコマンド信号CMDの各ビットをディファレンシャル形式に変換するためのスプリッター回路10aが必要となる。このような回路部分に図1に示したスプリッター回路10を適用すれば、位相の一致したディファレンシャル信号がコマンドデコーダ131に供給されるため、コマンドデコーダ131の動作マージンが拡大する。
【0040】
図8は、スプリッター回路10b及びデータ入出力回路150の主要部を示す回路図である。図8に示すように、データ入出力回路150は、リードデータCD,CEを内部クロック信号LCLKに同期させるタイミング調整回路151と、タイミング調整回路151の出力信号DQOP,DQONに基づいてデータ入出力端子114を駆動する出力ドライバ152とを備えている。出力ドライバ152は、電源VDDとVSSとの間に直列接続されたPチャンネル型のMOSトランジスタ152Pと、Nチャンネル型のMOSトランジスタ152Nからなり、それぞれのゲート電極に信号DQOP,DQONが供給される。
【0041】
タイミング調整回路151は、内部クロック信号LCLKをディファレンシャル形式で受信し、これに基づいて信号DQOP,DQONの立ち上がりエッジ及び立ち下がりエッジを調整する回路であることから、内部クロック信号LCLKをディファレンシャル形式に変換するためのスプリッター回路10bが必要となる。このような回路部分に図1に示したスプリッター回路10を適用すれば、位相の一致したディファレンシャル形式の内部クロック信号LCLKがタイミング調整回路151に供給されるため、出力ドライバ152から出力されるリードデータの信号品質が向上する。
【0042】
また、内部クロック信号LCLKによって位相制御された内部オンダイターミネーション信号IODTは、スプリッター回路10cによってディファレンシャル形式の信号に変換され、データ入出力回路150に供給される。内部オンダイターミネーション信号IODTは、データ入出力回路150(チップの外部から見ればデータ入出力端子114)を終端抵抗器として機能させるための信号であり、リードデータの出力動作と同様、出力ドライバ152の動作タイミングを正確に制御する必要がある。このような回路部分に図1に示したスプリッター回路10を適用すれば、タイミングにズレのないディファレンシャル形式の内部オンダイターミネーション信号IODTがデータ入出力回路150に供給されるため、正確なODT動作を行うことが可能となる。
【0043】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0044】
例えば、スプリッター回路を構成する2つの信号パスを全てインバータによって構成することは本発明において必須ではなく、一部のインバータを他の論理回路(NANDゲート回路やNORゲート回路など)に置き換えても構わない。
【符号の説明】
【0045】
N11,N12−1,N12−2,N13,N21,N22 Nチャンネル型MOSトランジスタ
P11,P12−1,P12−2,P13,P21,P22 Pチャンネル型MOSトランジスタ
PASS1,PASS2 信号パス
11〜13,21,22 インバータ
10,10a,10b,10c スプリッター回路
100 半導体装置
101 メモリセルアレイ
102 アクセス制御回路
111a,111b クロック端子
112a〜112e コマンド端子
113 アドレス端子
114 データ入出力端子
121 クロック入力回路
122 DLL回路
131 コマンドデコーダ
141 アドレス入力回路
142 アドレスラッチ回路
150 データ入出力回路
151 タイミング調整回路
152 出力ドライバ
160 ODT制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を受けて反転信号を出力する第1のインバータと、
前記反転信号を受けて第1の出力信号を出力する第2のインバータと、
前記反転信号を電源とし、前記入力信号を受けて第2の出力信号を出力する第3のインバータと、を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1のインバータは、第1及び第2の電源間に直列接続され、制御電極に前記入力信号が共通に入力される第1の第1及び第2導電型トランジスタを含み、
前記第2のインバータは、制御電極に前記反転信号が共通に入力される直列接続された第2の第1及び第2導電型トランジスタと、前記第1の電源と前記第2の第1導電型トランジスタとの間に接続された第3の第1導電型トランジスタと、前記第2の電源と前記第2の第2導電型トランジスタとの間に接続された第3の第2導電型トランジスタとを含み、
前記第3のインバータは、電源端がいずれも前記第2のインバータの出力端に接続され、制御電極に前記入力信号が共通に入力される第4の第1及び第2導電型トランジスタを含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3の第1及び第2導電型トランジスタは、いずれもオン状態に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1及び第4の第1導電型トランジスタの直列抵抗は、前記第2及び第3の第1導電型トランジスタの直列抵抗と等しく、
前記第1及び第4の第2導電型トランジスタの直列抵抗は、前記第2及び第3の第2導電型トランジスタの直列抵抗と等しいことを特徴とする請求項2又は3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1乃至第4の第1導電型トランジスタはPチャンネル型のMOSトランジスタであり、
前記第1乃至第4の第2導電型トランジスタはNチャンネル型のMOSトランジスタであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1乃至第4の第1導電型トランジスタのチャネル幅は互いに等しく、
前記第1乃至第4の第2導電型トランジスタのチャネル幅は互いに等しいことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
外部から供給されるコマンド信号をデコードするコマンドデコーダをさらに備え、
前記入力信号は前記コマンド信号の各ビットであり、前記第1及び第2の出力信号が前記コマンドデコーダに入力されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
位相制御された内部クロック信号を生成するクロック生成回路と、前記内部クロック信号に同期してデータを外部に出力する出力ドライバとをさらに備え、
前記入力信号は前記内部クロック信号であり、前記第1及び第2の出力信号が前記出力ドライバに入力されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
位相制御された内部オンダイターミネーション信号を生成するODT制御回路と、前記内部オンダイターミネーション信号に同期してデータ入出力端子を終端抵抗器として機能させるデータ入出力回路とをさらに備え、
前記入力信号は前記内部オンダイターミネーション信号であり、前記第1及び第2の出力信号が前記データ入出力回路に入力されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
入力信号を受けて相補の第1及び第2の出力信号を生成する半導体装置であって、
前記入力信号から前記第1の出力信号を生成する第1の信号パスと、
前記入力信号から前記第2の出力信号を生成する第2の信号パスと、を備え、
前記第1の信号パスに含まれる論理回路の段数は、前記第2の信号パスに含まれる論理回路の段数よりも1段多く、
前記第2の信号パスに含まれる所定の論理回路は、前記第1の信号パスに含まれる所定の論理回路の出力を電源として動作することを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−234157(P2011−234157A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103036(P2010−103036)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】