説明

半導体製造装置

【課題】インナチューブを常に適正に設置できるようにする。
【解決手段】アウタチューブ12と、アウタチューブ12内に設置されたインナチューブ13と、インナチューブ13が設置されるインナチューブ設置部17が突設された炉口フランジ15と、炉口フランジ15の下面を閉塞するシールキャップ23と、シールキャップ23が支持したボート30を昇降させるボートエレベータ6とを備えているCVD装置において、インナチューブ13をインナチューブ設置部17に設置するための位置合わせ治具40を装備する。位置合わせ治具40は固定プレート54と可動プレート57とを有するセンタプレート53を備えており、固定プレート54と可動プレート57とをスプリング59によって連結する。センタプレートをインナチューブにスプリングの弾発力で嵌入できるので、インナチューブを予め設定された一定のセット位置に設置できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置に関し、例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造方法に使用されるCVD装置や拡散装置、酸化装置およびアニール装置等の熱処理装置(furnace )に利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
ICの製造方法において、半導体素子を含む集積回路が作り込まれる半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に窒化シリコン(Si34 )や酸化シリコンおよびポリシリコン等のCVD膜を形成するのに、バッチ式縦形ホットウオール形減圧CVD装置が広く使用されている。
バッチ式縦形ホットウオール形減圧CVD装置(以下、CVD装置という。)は、ウエハが搬入されるインナチューブおよびインナチューブを取り囲むアウタチューブから構成されて縦形に設置されたプロセスチューブと、プロセスチューブによって形成された処理室に処理ガスとしての成膜ガスを供給するガス供給管と、処理室を真空排気する排気管と、プロセスチューブ外に敷設されて処理室を加熱するヒータユニットと、ボートエレベータによって昇降されて処理室の炉口を開閉するシールキャップと、シールキャップの上に垂直に設置されて複数枚のウエハを保持するボートとを備えており、複数枚のウエハがボートによって垂直方向に整列されて保持された状態で処理室に下端の炉口から搬入(ボートローディング)され、シールキャップによって炉口が閉塞された状態で、処理室に成膜ガスがガス供給管から供給されるとともに、ヒータユニットによって処理室が加熱されることにより、ウエハの上にCVD膜が堆積するように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−158081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記したCVD装置においては、インナチューブのセット位置が不適正であると、ウエハ面内均一性が悪化するために、立ち上げ時やメンテナンス時にインナチューブをアウタチューブに常に一定のセット位置に適正に設置する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、インナチューブをアウタチューブに常に適正に設置することができる半導体製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る半導体製造装置は、基板を加熱するヒータユニットと、前記ヒータユニット内に設置されたアウタチューブと、前記アウタチューブ内に設置されたインナチューブと、前記アウタチューブが載置され側面に前記インナチューブが載置されるインナチューブ設置部が突設された炉口フランジと、前記炉口フランジの下面を閉塞し、かつ、ボートが載置されるシールキャップとを備えており、
基部と前記基部に対して弾性体を介して設けられた可動部とからなる位置合わせ治具が、前記シールキャップに設けられ、
前記位置合わせ治具の基部は前記シールキャップに対して相対的に移動しないように設けられ、
前記位置合わせ治具の可動部が前記シールキャップと相対的に移動して、前記インナチューブの内周面を押圧して前記インナチューブの平面方向の位置を合わせてから前記インナチューブ設置部に設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、位置合わせ治具の可動部がシールキャップと相対的に移動してインナチューブの内周面を押圧してインナチューブの平面方向の位置を合わせてから、インナチューブがインナチューブ設置部に設置されるため、インナチューブを常に一定のセット位置に設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0009】
本実施の形態において、本発明に係る半導体製造装置はCVD装置(バッチ式縦形ホットウオール形減圧CVD装置)として、図1および図2に示されているように構成されている。
図1に示されているように、CVD装置はプロセスチューブ設置室3とボート搬入搬出室4とを有する筐体2を備えており、ボート搬入搬出室4にはウエハ移載装置5およびモータ駆動の送りねじ軸装置によって構成されたボートエレベータ6が設置されている。ボートエレベータ6のモータ6aはメカコントローラ7によって制御されるようになっており、メカコントローラ7は操作部9によって操作可能なメインコントローラ8によって制御されるようになっている。10はウエハキャリアである。
【0010】
図1に示されているように、筐体2のプロセスチューブ設置室3には図2に示されたプロセスチューブ11が、中心線が垂直になるように縦に配されて固定的に設置されている。図2に示されているように、プロセスチューブ11は互いに同心円に配置されたアウタチューブ12とインナチューブ13とを備えており、アウタチューブ12は石英ガラスが使用されて上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に一体成形されており、インナチューブ13は石英ガラスまたは炭化シリコンが使用されて上下両端が開口された円筒形状に形成されている。インナチューブ13の筒中空部はボート30によって同心的に整列した状態に保持された複数枚のウエハ1が搬入される処理室14を形成しており、インナチューブ13の内径は被処理基板としてのウエハ1の最大外径よりも大きく設定されている。
【0011】
図1および図2に示されているように、プロセスチューブ11の下端には上下両端が開口した短尺の円筒形状に形成された炉口フランジ15が、インナチューブ13の下端部と同心円に配設されており、処理室14の炉口16が炉口フランジ15の下端開口によって形成されている。炉口フランジ15の上下両端の外周には各鍔部が径方向外向きにそれぞれ突設されており、炉口フランジ15が筐体2に支持されることにより、プロセスチューブ11は垂直に支持された状態になっている。炉口フランジ15の内周の中間部には円形リング形状のインナチューブ設置部17が水平に突設されており、インナチューブ設置部17は炉口フランジ15の内側空間を上下に仕切っている。
【0012】
図1および図2に示されているように、CVD装置は炉口フランジ15の炉口16を開閉する隔離バルブとしての炉口開閉装置21を備えており、炉口開閉装置21は炉口フランジ15の中心線の延長線と同心円に配置されてボートエレベータ6によって昇降されるように構成されている。炉口開閉装置21はボートエレベータ6によって垂直に昇降されるベース22と、炉口フランジ15の外径と略等しい円盤形状に形成されて炉口フランジ15の下端面に密着して炉口16をシールするシールキャップ23とを備えている。シールキャップ23はベース22の真上に若干の隙間をとって平行に配置されて、ベース22に水平に支持されている。シールキャップ23の上面における周辺部には環状溝24(図5参照)が上面が開口された状態で同心円に没設されており、環状溝24の内部には耐熱性樹脂によって形成されたシールリング25が敷設されている。
【0013】
図2に示されているように、炉口フランジ15の側壁には他端が排気装置(図示せず)に接続された排気管18が、インナチューブ設置部17が仕切った炉口フランジ15の内側空間のうち上側の空間に連通するように接続されており、排気管18はアウタチューブ12とインナチューブ13との隙間によって形成された排気路19を排気するようになっている。炉口開閉装置21には成膜ガスやクリーニングガスを供給するガス供給管20が、インナチューブ設置部17が仕切った炉口フランジ15の内側空間のうち炉口16側である下側の空間に連通するように接続されており、ガス供給管20の他端は原料ガスや窒素ガスおよびクリーニングガスのガスを供給するガス供給装置(図示せず)に接続されている。
【0014】
シールキャップ23の中心の上には支持軸26が固定されており、支持軸26の上端には支持板27が水平に固定されている。支持板27にはボート30が垂直に立脚されてボート押さえによって固定されるようになっている。
【0015】
図1および図2に示されているように、ボート30は上下で一対の端板31および32と、両端板31、32間に垂直に配設された複数本の保持部材33とを備えており、各保持部材33には複数条の保持溝34が長手方向に等間隔に配されて互いに同一平面内において開口するようにそれぞれ刻設されている。そして、ウエハ1は複数条の保持溝34間に外周辺部が挿入されることにより、水平にかつ互いに中心を揃えた状態に整列されてボート30に保持されるようになっている。
【0016】
プロセスチューブ11の外部にはヒータユニット35がプロセスチューブ11を包囲するように同心円に設備されており、ヒータユニット35は筐体2に支持されることにより垂直に据え付けられた状態になっている。ヒータユニット35はプロセスチューブ11の内部を全体にわたって均一または所定の温度分布に加熱するように構成されている。
【0017】
ここで、前記構成に係るCVD装置を使用してウエハに窒化シリコン(Si34 )を成膜する場合について説明する。
【0018】
プロセスチューブ11の真下のボート搬入搬出室4において、複数枚のウエハ1はボート30に互いに平行で中心線が揃った状態にウエハ移載装置5によって装填される。複数枚のウエハ1が装填されたボート30はシールキャップ23の上にウエハ1群が並んだ方向が垂直になる状態で載置され、ボートエレベータ6によって上昇されて、炉口フランジ15の炉口16から処理室14に搬入(ボートローディング)されて行く。
【0019】
ボート30が上限に達すると、シールキャップ23に敷設されたシールリング25は炉口フランジ15の下面に押接し、炉口16を気密シールした状態になる。この状態で、ボート30はシールキャップ23に支持されたまま処理室14に存置される。
【0020】
プロセスチューブ11の内部が所定の真空度(例えば、数十〜数万Pa)に排気管18によって排気される。また、プロセスチューブ11の内部がヒータユニット35によって所定の温度(例えば、700〜800℃)に全体にわたって均一に加熱される。次いで、プロセスチューブ11の内部の温度や圧力が安定すると、成膜ガス39がインナチューブ13の処理室14にガス供給管20によって供給される。図ではガス供給管20は一本だけであるが、複数本あっても構わない。
【0021】
成膜ガスとしては、SiH2 Cl2 ガスとアンモニア(NH3 )ガスとが使用される。供給された成膜ガス39はインナチューブ13の処理室14を上昇し、上端開口からインナチューブ13とアウタチューブ12との隙間によって形成された排気路19に流出して排気管18から排気される。成膜ガス39は処理室14を通過する際にウエハ1の表面に接触する。このウエハ1との接触に伴う成膜ガス39による熱CVD反応により、ウエハ1の表面にはSi34 膜が堆積(デポジション)する。
【0022】
Si34 膜が所望の膜厚だけ堆積する予め設定された処理時間が経過すると、シールキャップ23がボートエレベータ6によって下降されることにより、炉口16が開口されるとともに、ウエハ1群がボート30に保持された状態で炉口16からプロセスチューブ11の真下のボート搬入搬出室4に搬出(ボートアンローディング)される。
【0023】
以上のように構成され作用する本実施の形態に係るCVD装置には、インナチューブを常に一定のセット位置に設置するための位置合わせ治具40が装備されている。
【0024】
次に、本発明の主な特徴である位置合わせ治具を、図3以降について説明する。
図3および図4に示されているように、位置合わせ治具40は円形リング形状に形成されたベース41を備えている。ベース41の外径はインナチューブ設置部17の内径よりも小径で、かつ、支持板27の外径よりも大径に設定されており、ベース41の内径は支持板27の外径よりも小径に設定されている。
ベース41の外周の一部には上限ストッパ43がブラケット42を介して取り付けられており、上限ストッパ43は上限位置の高さを調整することができるように構成されている。ベース41の下面の一部には第一把手44の一端部が固定されており、第一把手44は法線上に延在するように径方向外向きに突設されている。
【0025】
ベース41の上面には円板形状に形成されたサポートプレート47が同心円に配置されており、サポートプレート47はベース41に対して回動自在に支承されている。すなわち、サポートプレート47の下面にはガイドリング45が同心円に配されてボルト45aによって固定されており、ガイドリング45の下端部はベース41の上面に同心円に没設されたガイド穴46に周方向に回動自在に嵌入されている。
サポートプレート47の外径はベース41の外径と略等しく設定されている。サポートプレート47の下面における第一把手44に対応する位置には、第二把手48の一端部が固定されており、第二把手48は法線上に延在するように径方向外向きに突設されている。サポートプレート47の上面における外周縁部には環状溝49が同心円に座ぐりされており、環状溝49にはサポートリング50が嵌め込まれるようになっている。
サポートリング50の外周には係合爪51が複数個(図示例では三本)、周方向に等間隔(図示例では120度置き)に配されて径方向外向きに突設されている。各係合爪51はインナチューブ設置部17の内周縁部に切り欠かれた切欠部17a(図8参照)を潜り抜けた後に、インナチューブ設置部17の内周縁部に没設された係合部17b(図8参照)に上から係合するように設定されている。
サポートプレート47の中央部には円形の保持孔52が同心円に開設されており、保持孔52の内径はベース41の内径よりも小さく設定されている。
【0026】
サポートプレート47の上面には弗素樹脂が使用されて形成されたセンタプレート53が設置されている。センタプレート53は基部としての固定プレート54と可動部としての可動プレート57とを備えており、固定プレート54と可動プレート57とは円板を一本の弦で分割した関係に形成されている。固定プレート54は半円形よりも大きい円弧形の板形状に形成されており、下面には円盤形状の被保持部55が同心円に突設されている。被保持部55はサポートプレート47の保持孔52に嵌合されており、この状態で、固定プレート54はサポートプレート47にボルト56によって固定されている。
可動プレート57は半円形よりも小さい円弧形の板形状に形成されており、サポートプレート47の上面に弦同士が近接するように固定プレート54に対向して当接されている。固定プレート54と可動プレート57との対向面にはスプリング保持穴58A、58Bが一対ずつ没設されており、スプリング保持穴58Aと58Bとの間にはスプリング59、59がそれぞれ介設されている。スプリング59は固定プレート54に反力をとって可動プレート57を固定プレート54から離間させる方向に付勢するように設定されている。固定プレート54および可動プレート57との上縁部には、迎え角部を構成する面取り部60が形成されている。
【0027】
次に、以上の構成に係る位置合わせ治具40を使用して、インナチューブ13をインナチューブ設置部17に設置する方法を説明する。
【0028】
図5に示されているように、位置合わせ治具40はボート30が外された支持板27の上に載置されて同心円に固定される。すなわち、支持板27およびベース41の位置決め孔61、61に位置決めピン62が嵌入されることにより、位置合わせ治具40は支持板27に同心円に固定される。
【0029】
この際、図5に実線で示されているように、第二把手48が第一把手44から離れる位置に操作されて、サポートプレート47がベース41に対して回動される。これにより、サポートリング50の各係合爪51がインナチューブ設置部17の内周縁部に切り欠かれた各切欠部17a(図8参照)に整合した状態になる。
【0030】
次いで、図6に示されているように、インナチューブ13が位置合わせ治具40の環状溝49に嵌め込まれたサポートリング50の上に同心円に配されて載置される。この際、センタプレート53がインナチューブ13の下端開口部に相対的に下から嵌入される。このとき、センタプレート53の上縁部には迎え角部としての面取り部60が形成されていることにより、センタプレート53の可動プレート57が固定プレート54にスプリング59の弾発力に抗して接近するために、センタプレート53はインナチューブ13の下端開口部に円滑に嵌入する。
センタプレート53がインナチューブ13の下端開口部にスプリング59の弾発力に抗して嵌入すると、固定プレート54に反力をとったスプリング59によって可動プレート57がインナチューブ13の下端開口部の内周面を押すことにより、インナチューブ13の下端開口部の内周面の反対側の部分を固定プレート54の外周面の反対側の部分に押接させる状態になるために、センタプレート53はインナチューブ13を予め設定された一定のセット位置に設置した状態になる。
【0031】
ところで、センタプレート53が一枚の円盤に形成されている場合には、センタプレート53はインナチューブ13を一定のセット位置に設置することができない。すなわち、センタプレート53をインナチューブ13の下端開口部に嵌入させる必要上、センタプレート53の外径はインナチューブ13の下端開口部の内径よりも小さめに設定される。例えば、センタプレート53の半径をインナチューブ13の下端開口部の半径よりも1mm小さく設定した場合には、最大で、2mmの誤差が発生することになる。
このように、インナチューブ13のセット位置が不適正であると、例えば、インナチューブ13とアウタチューブ12との同心円の関係にばらつきが発生するために、前述した成膜ガスの流れが周方向において不均一になり、その結果、ウエハ面内の膜厚分布が不均一になってしまう。
しかし、本実施の形態に係る位置合わせ治具40によれば、インナチューブ13を予め設定されたセット位置に常に一定に設置することができるので、ウエハ面内の膜厚分布が不均一になる等の弊害が発生するのを未然に防止することができる。
【0032】
支持板27に位置合わせ治具40によって適正に設置されたインナチューブ13はボートエレベータ6によって上昇されて行き、図7および図8に示されているように、インナチューブ13が設置されていない炉口フランジ15に挿入されて行く。
【0033】
サポートリング50の各係合爪51がインナチューブ設置部17の内周縁部に切り欠かれた各切欠部17aに整合した状態になっているために、ボートエレベータ6の上昇が上限に近づくと、図9に示されているように、各係合爪51は各切欠部17aを潜り抜ける。位置合わせ治具40の上限ストッパ43がインナチューブ設置部17の下面に接触すると、ボートエレベータ6の上昇は自動的に停止される。
【0034】
この状態で、第二把手48が第一把手44に重なる位置(図4の想像線を参照)に操作されて、サポートプレート47がベース41に対して回動される。これにより、サポートリング50の各係合爪51はインナチューブ設置部17の内周縁部に切り欠かれた各切欠部17aから離れて、インナチューブ設置部17の内周縁部に没設された各係合部17bに上から係合した状態になる。
【0035】
次いで、ボートエレベータ6が下降されると、図10に示されているように、サポートリング50の各係合爪51がインナチューブ設置部17の各係合部17bに上から係合した状態になることにより、サポートリング50は位置合わせ治具40の環状溝49の上からインナチューブ設置部17の上に乗り移ることになるために、インナチューブ13はインナチューブ設置部17の上にサポートリング50を介して設置された状態になる。この際、インナチューブ13はサポートリング50の予め設定されたセット位置に設置されているので、インナチューブ設置部17の上に予め設定された一定のセット位置に適正に設置された状態になる。
【0036】
他方、インナチューブ13およびサポートリング50をインナチューブ設置部17に受け渡した位置合わせ治具40は、ボートエレベータ6の下降に伴って炉口フランジ15から離脱して行く。ボートエレベータ6が所定の位置まで下降したところで、位置合わせ治具40は支持板27から外される。
その後、支持板27にはボート30が適宜に設置される。
【0037】
なお、インナチューブ13がインナチューブ設置部17から取り外される場合には、前述したインナチューブ13をインナチューブ設置部17に設置する手順と逆の手順が実施されることになる。
【0038】
前記した実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0039】
1) 位置合わせ治具のセンタプレートを固定プレートと可動プレートとに分割してスプリングによって連結することにより、センタプレートをインナチューブにスプリングの弾発力をもって嵌入させることができるので、位置合わせ治具はインナチューブを予め設定された一定のセット位置に設置することができる。
【0040】
2) 位置合わせ治具のセンタプレートの上縁部に迎え角部としての面取り部を形成することにより、スプリングの弾性をもって可動プレートを固定プレートに対して進退させることができるので、センタプレートをインナチューブの下端開口部に円滑に嵌入させることができる。
【0041】
3) インナチューブを予め設定されたセット位置に常に一定に設置することにより、ウエハ面内の膜厚分布が不均一になる等の弊害が発生するのを未然に防止することができる。
【0042】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0043】
例えば、位置合わせ治具の可動部は二つ以上設定してもよい。
図11は可動部である可動プレート57を二つ設けた場合を示している。
図12は可動部である可動プレート57を四つ設けた場合を示している。
【0044】
また、センタプレートの分割線は、法線と直角方向(弦)に設定するに限らず、法線の方向に設定してもよい。
【0045】
本発明はCVD装置に限らず、拡散装置、酸化装置およびアニール装置等の半導体製造装置全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施の形態であるCVD装置を示す側面断面図である。
【図2】その主要部の一部省略正面断面図である。
【図3】インナチューブの設置方法を示す分解斜視図である。
【図4】位置合わせ治具を示しており、(a)は平面図であり、(b)は縦断面図である。
【図5】支持板に位置合わせ治具を装着した状態を示す縦断面図である。
【図6】位置合わせ治具にインナチューブを設置した状態を示す縦断面図である。
【図7】インナチューブ設置部を示す縦断面図である。
【図8】その平面断面図である。
【図9】位置合わせ治具のインナチューブ移載前を示す縦断面図である。
【図10】位置合わせ治具のインナチューブ移載後を示す縦断面図である。
【図11】可動プレートを二つ設けた実施の形態を示す平面図である。
【図12】可動プレートを四つ設けた実施の形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0047】
1…ウエハ(被処理基板)、2…筐体、3…プロセスチューブ設置室、4…ボート搬入搬出室、5…ウエハ移載装置、6…ボートエレベータ、7…メカコントローラ、8…メインコントローラ、9…操作部、10…ウエハキャリア、11…プロセスチューブ、12…アウタチューブ、13…インナチューブ、14…処理室、15…炉口フランジ、16…炉口、17…インナチューブ設置部、17a…切欠部、17b…係合部、18…排気管、19…排気路、20…ガス供給管、21…炉口開閉装置、22…ベース、23…シールキャップ、24…環状溝、25…シールリング、26…支持軸、27…支持板、30…ボート、31、32…端板、33…保持部材、34…保持溝、35…ヒータユニット、39…成膜ガス、40…位置合わせ治具、41…ベース、42…ブラケット、43…上限ストッパ、44…第一把手、45…ガイドリング、45a…ボルト、46…ガイド穴、47…サポートプレート、48…第二把手、49…環状溝、50…サポートリング、51…係合爪、52…保持孔、53…センタプレート、54…固定プレート、55…被保持部、56…ボルト、57…可動プレート、58A、58B…スプリング保持穴、59…スプリング、60…面取り部(迎え角部)、61…位置決め孔、62…位置決めピン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を加熱するヒータユニットと、前記ヒータユニット内に設置されたアウタチューブと、前記アウタチューブ内に設置されたインナチューブと、前記アウタチューブが載置され側面に前記インナチューブが載置されるインナチューブ設置部が突設された炉口フランジと、前記炉口フランジの下面を閉塞し、かつ、ボートが載置されるシールキャップとを備えており、
基部と前記基部に対して弾性体を介して設けられた可動部とからなる位置合わせ治具が、前記シールキャップに設けられ、
前記位置合わせ治具の基部は前記シールキャップに対して相対的に移動しないように設けられ、
前記位置合わせ治具の可動部が前記シールキャップと相対的に移動して、前記インナチューブの内周面を押圧して前記インナチューブの平面方向の位置を合わせてから前記インナチューブ設置部に設置されることを特徴とする半導体製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−5198(P2006−5198A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180571(P2004−180571)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】