説明

半導体集積回路

【課題】電源回路が発熱により破壊されることを抑制する、電源回路の発熱による破壊を抑制する保護回路を提供する、占有面積の小さい保護回路及び電源回路を得る、作製コストの低い保護回路及び電源回路を得る。
【解決手段】電圧変換回路と、分圧回路及び保護回路を有する制御回路とを有し、保護回路は、温度が上昇するとオフ電流が増大する第1の酸化物半導体トランジスタと、オフ電流を電荷として蓄積する容量素子と、第2の酸化物半導体トランジスタと、非反転入力端子に参照電圧が入力されるオペアンプとを有し、第1の酸化物半導体トランジスタは、電圧変換回路又は制御回路の発熱する素子に隣接して配置される電源回路に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される発明の一態様は、半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気機器の用途や仕様の多様化により、電気機器に使用されるIC等の部品の数及び種類が非常に多くなっている。このような部品を動作させるためには、それぞれの部品に応じた電圧及び電流を供給する電源回路が必要である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−96699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような多くの種類及び多くの数の部品を有する電気機器において、上記電源回路が動作する際に発熱し、発熱によって電源回路さらには電気機器が破壊されることが問題となっている。
【0005】
以上を鑑みて、開示される発明の一様態では、電源回路が発熱により破壊されることを抑制することを課題の一とする。
【0006】
開示される発明の一様態は、当該電源回路の発熱による破壊を抑制する保護回路を提供することを課題の一とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示される発明の一様態は、電圧変換回路と、分圧回路及び保護回路を有する制御回路とを有し、当該保護回路は、温度が上昇するとオフ電流が増大する第1の酸化物半導体トランジスタと、当該オフ電流を電荷として蓄積する容量素子と、第2の酸化物半導体トランジスタと、オペアンプとを有し、当該第1の酸化物半導体トランジスタは、当該電圧変換回路又は当該制御回路の発熱する素子の近傍に配置されることを特徴とする半導体集積回路に関する。
【0008】
当該発熱した素子の近傍に配置された第1の酸化物半導体トランジスタが熱の影響を受け、その温度が上昇すると、第1の酸化物半導体トランジスタのオフ時のリーク電流が増加する(以降、本明細書では、酸化物半導体トランジスタのオフ時のリーク電流をオフ電流と呼ぶ)。当該オフ電流は、容量素子に電荷として蓄えられる。容量素子に電荷が蓄えられると、第1の酸化物半導体トランジスタ、容量素子、及びオペアンプの反転入力端子に電気的に接続されている部分の電圧が上昇する。当該部分の電圧が上昇し、当該部分の電圧がオペアンプの非反転入力端子に入力される第1の参照電圧を上回ると、オペアンプの出力電圧が正にシフトする。これにより、第1の酸化物半導体トランジスタの近傍に配置された素子が、所定の温度に達したことを検知することができる。
【0009】
以上により発熱した素子の温度を検知することができ、当該発熱した素子の動作を停止することにより、発熱する素子が動作限界温度を超えることを抑制することができる。
【0010】
このような保護回路を設けることにより、半導体集積回路が発熱により破壊されることを抑制することができる。
【0011】
開示される発明の一様態において、当該制御回路は、バイアス発生回路、参照電圧発生回路、バンドギャップリファレンス、及び電圧レギュレータ回路を有することを特徴とする。
【0012】
開示される発明の一様態において、当該電圧変換回路は、DC−DCコンバータであることを特徴とする。
【0013】
開示される発明の一様態において、当該電圧変換回路は、AC−DCコンバータであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
開示される発明の一様態により、電源回路が発熱により破壊されることを抑制することができる。
【0015】
開示される発明の一様態により、電源回路の発熱による破壊を抑制する保護回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】半導体集積回路の回路図。
【図2】半導体集積回路の回路図。
【図3】オフ電流及び温度の関係を表す図。
【図4】酸化物半導体トランジスタの断面図。
【図5】酸化物半導体トランジスタの配置を示す上面図。
【図6】酸化物半導体トランジスタの配置を示す断面図。
【図7】酸化物材料の結晶構造を説明する図。
【図8】酸化物材料の結晶構造を説明する図。
【図9】酸化物材料の結晶構造を説明する図。
【図10】酸化物材料の結晶構造を説明する図。
【図11】半導体装置の上面図及び断面図。
【図12】半導体装置の上面図及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本明細書に開示された発明の実施の態様について、図面を参照して説明する。但し、本明細書に開示された発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本明細書に開示された発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に示す図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0018】
なお本明細書に開示された発明において、半導体装置とは、半導体を利用することで機能する素子及び装置全般を指し、電子回路、表示装置、発光装置等を含む電気装置およびその電気装置を搭載した電子機器をその範疇とする。
【0019】
なお、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、説明を分かりやすくするために、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0020】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの序数は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
【0021】
[実施の形態1]
<回路構成>
図1は電源回路101の構成例である。電源回路101は、電圧変換回路102、電圧変換回路102の制御回路103を有している。制御回路103は、分圧回路104及び保護回路105を有している。
【0022】
制御回路103から電圧変換回路102、より具体的には、制御回路103のパルス幅変調出力ドライバ123の出力端子から電圧変換回路102のトランジスタ111のゲートに、パルス幅変調信号VGSが入力されることにより、電圧変換回路102は制御される。
【0023】
電圧変換回路102及び制御回路103は、入力電圧VINが入力される入力端子INに電気的に接続されている。電圧変換回路102は、出力電圧VOUTを出力する出力端子OUTに電気的に接続されている。分圧回路104は、出力電圧VOUTの一部を帰還電圧VFBとして制御回路103に帰還させている。
【0024】
電圧変換回路102は、トランジスタ111、コイル112、ダイオード113、及び容量素子114を有するDC−DCコンバータである。
【0025】
DC−DCコンバータは、直流電圧を、別の直流電圧に変換する回路である。DC−DCコンバータの変換方式としては、リニア方式やスイッチング方式が代表的であるが、スイッチング方式のDC−DCコンバータは変換効率に優れる。本実施の形態では、スイッチング方式、特にチョッパ方式であり、トランジスタ、コイル、ダイオード、及びコンデンサを有するDC−DCコンバータを電圧変換回路102として用いる。
【0026】
制御回路103は、分圧回路104、保護回路105、三角波発生回路121、誤差増幅回路122(エラーアンプともいう)、パルス幅変調出力ドライバ123、バイアス発生回路131、参照電圧発生回路132、バンドギャップリファレンス133、電圧レギュレータ回路134を有している。
【0027】
分圧回路104は、抵抗124及び抵抗125を有している。分圧回路104は、出力端子OUTから出力される出力電圧VOUTを、抵抗124及び抵抗125の抵抗値に応じて分割する。分圧回路104により、出力電圧VOUTの一部が帰還電圧VFBとして分圧回路104から出力され、誤差増幅回路122の非反転入力端子に入力される。
【0028】
保護回路105は、チャネル形成領域が酸化物半導体膜に形成されるトランジスタである酸化物半導体トランジスタ151、オペアンプ152、酸化物半導体トランジスタ153、容量素子154を有している。
【0029】
酸化物半導体トランジスタ151のゲートには、電圧V1が入力される。電圧V1がハイレベル電位(VH)の時、酸化物半導体トランジスタ151は導通状態(オン状態ともいう)となり、電圧V1がローレベル電位(VL)の時、酸化物半導体トランジスタ151は非導通状態(オフ状態ともいう)となる。酸化物半導体トランジスタ151のソース又はドレインの一方は、入力電圧VINが入力される入力端子INと電気的に接続されている。酸化物半導体トランジスタ151のソース又はドレインの他方は、オペアンプ152の反転入力端子、酸化物半導体トランジスタ153のソース又はドレインの一方、容量素子154の一方の端子に電気的に接続されている。
【0030】
なお、酸化物半導体トランジスタ151のソース又はドレインの他方、酸化物半導体トランジスタ153のソース又はドレインの一方、オペアンプ152の反転入力端子、容量素子154の一方の端子が接続されている部分をノードM1とする。
【0031】
酸化物半導体トランジスタ151は、非導通状態(オフ状態)でのリーク電流(オフ電流)を検出するトランジスタである。酸化物半導体トランジスタ151のゲートに入力される電圧V1は酸化物半導体トランジスタ151が完全に非導通状態となる0V以下が望ましい。
【0032】
酸化物半導体トランジスタ151は、例えば、電圧変換回路102のトランジスタ111又はダイオード113等の発熱する素子、あるいは、電圧レギュレータ回路134等の発熱する回路を構成する素子の近傍に配置する。当該発熱する素子及び酸化物半導体トランジスタ151の配置は、例えば、複数のトランジスタを交互に配置するマルチフィンガー構造となるような配置やコモン・セントロイド配置等を用いればよい。なお、当該発熱する素子及び酸化物半導体トランジスタ151は、横(平面)に並べて形成することによって近傍に配置してもよいし、縦(上下)に重畳させることで近傍に配置してもよい。なお、当該発熱する素子及び酸化物半導体トランジスタ151の配置については後述する。
【0033】
図3に、本実施の形態の酸化物半導体トランジスタにおける温度とオフ電流との関係を示す。
【0034】
図3に用いた酸化物半導体トランジスタは、チャネル長(チャネル形成領域の長さ)Lが3μm、チャネル幅(チャネル形成領域の幅)Wが10cm、ゲート電極と重畳していないソース領域及びドレイン領域の長さLoffが2μmである。また図3のオフ電流の値は、測定で得られたオフ電流の値の単位チャネル幅(1μm)当たりの値である。
【0035】
なお図3では、上述のチャネル長L、チャネル幅W、長さLoffを有する酸化物半導体トランジスタ3個の温度とオフ電流を測定した(当該酸化物半導体トランジスタ3個それぞれの測定結果を、丸(○)、三角(△)、四角(□)で表す)。また図3に示す直線は、上記酸化物半導体トランジスタ3個の測定結果を基に、温度に対してオフ電流が線形に変化すると仮定して計算した計算結果を示す。
【0036】
図3に示すように、本実施の形態の酸化物半導体トランジスタは、高温になるほどオフ電流が増大する。さらに、85℃以上150℃以下の範囲では、温度に対してオフ電流が線形に増大する。これを用いて酸化物半導体トランジスタ151が発熱する素子の温度を検知することができ、当該発熱した素子の動作を停止する。当該発熱した素子の動作を停止することにより、当該発熱した素子が動作限界温度を超えることを抑制することができる。
【0037】
ただし、本実施の形態の酸化物半導体トランジスタのオフ電流は、高温、例えば150℃付近でも、チャネル長1μmあたり1×10−20Aと極めて小さい。そのため、チャネル幅Wを広くしてオフ電流を増やす必要がある。よって酸化物半導体トランジスタ151のチャネル幅Wは1m以上が好ましい。
【0038】
表1は、酸化物半導体トランジスタ151のチャネル長Lを3μm、チャネル幅Wを1×10μm(1m)とし、容量素子154の容量を1×10−10F、容量素子154に蓄えられた電荷をリフレッシュする時間(期間Tとする)を5秒としたときの、ノードM1の電圧V3の計算結果である。ただし表1において、オフ電流の値は図3で測定した測定値を用いている。また期間Tについての詳細な説明は後述する。
【0039】
【表1】

【0040】
表1に示すように、チャネル幅Wが1mであると、電圧V3として充分な電圧値を得ることができる。電源回路101の動作の詳細については後述するが、電圧V3として充分な電圧値を得ることにより、オペアンプ152を動作させ、電圧V4をオペアンプ152から出力させることができる。これにより、発熱する素子の温度検知及び限界温度検出が可能となる。
【0041】
しかしながら、酸化物半導体トランジスタ151のオフ電流が増大すると、電源回路101で使用される消費電流が増えてしまう。そのため、発熱する素子の温度検知及び限界温度検出のために必要なオフ電流及び消費電流との関係を考慮した上で、酸化物半導体トランジスタ151のチャネル幅Wを決定する必要がある。
【0042】
なお、酸化物半導体トランジスタ151のオフ電流は、チャネル幅Wのみならず、ゲート絶縁膜の膜厚、酸化物半導体トランジスタ151自体の大きさ等によって変化する。このため、検知したい温度に応じてこれらを決定する必要がある。
【0043】
オペアンプ152の反転入力端子は、酸化物半導体トランジスタ151のソース又はドレインの他方、酸化物半導体トランジスタ153のソース又はドレインの一方、容量素子154一方の端子に電気的に接続されている。オペアンプ152の非反転入力端子には、第1の参照電圧VREF1が入力される。オペアンプ152の出力端子からは、出力電圧V4が外部に出力される。
【0044】
なお詳細は後述するが、オペアンプ152は、反転入力端子に入力される電圧が、非反転入力端子に入力される第1の参照電圧VREF1を上回ると、出力電圧V4が正にシフトする。そのためオペアンプ152は、コンパレータ(比較器ともいう)であるといえる。
【0045】
酸化物半導体トランジスタ153のゲートには、電圧V2が入力される。電圧V2がハイレベル電位(VH)の時、酸化物半導体トランジスタ153は導通状態となり、電圧V2がローレベル電位(VL)の時、酸化物半導体トランジスタ153は非導通状態となる。酸化物半導体トランジスタ153のソース又はドレインの一方は、酸化物半導体トランジスタ151のソース又はドレインの他方、オペアンプ152の反転入力端子、容量素子154一方の端子に電気的に接続されている。酸化物半導体トランジスタ153のソース又はドレインの他方には、基準電圧であるローレベル電位(VL)が入力される。なお、基準電圧であるローレベル電位(VL)としては、例えば接地電位GNDが用いられる。
【0046】
酸化物半導体トランジスタ153は、容量素子154に蓄えられた電荷を一定時間(期間T)毎にリフレッシュさせるトランジスタである。酸化物半導体トランジスタ153のゲートに、ハイレベル電位(VH)の電圧V2が入力されると、酸化物半導体トランジスタ153は導通状態となる。酸化物半導体トランジスタ153のソース又はドレインの他方は、ローレベル電位(VL)、例えば接地電位GNDが入力されるので、酸化物半導体トランジスタ153のソース又はドレインの一方の電位も接地電位GNDとなる。酸化物半導体トランジスタ153のソース又はドレインの一方と容量素子154の一方の端子は電気的に接続されているので、容量素子154に蓄えられた電荷は放出される。
【0047】
なお、酸化物半導体トランジスタ153のチャネル幅が酸化物半導体トランジスタ151のチャネル幅よりも長いと、酸化物半導体トランジスタ153のオフ電流が酸化物半導体トランジスタ151のオフ電流を上回ってしまう。
【0048】
酸化物半導体トランジスタ153のオフ電流が酸化物半導体トランジスタ151のオフ電流を上回ってしまうと、容量素子154に電荷が蓄積されない。
【0049】
そのため、酸化物半導体トランジスタ151のチャネル幅は酸化物半導体トランジスタ153のチャネル幅よりも長い必要がある。
【0050】
容量素子154の一方の端子は、酸化物半導体トランジスタ151のソース又はドレインの他方、オペアンプ152の反転入力端子、酸化物半導体トランジスタ153のソース又はドレインの一方に電気的に接続されている。容量素子154の他方の端子には、基準電圧であるローレベル電位(VL)が入力される。なお、基準電圧であるローレベル電位(VL)としては、例えば接地電位GNDが用いられる。
【0051】
参照電圧発生回路132は、第2の参照電圧VREF2を発生させる回路である。
【0052】
誤差増幅回路122は、参照電圧発生回路132で発生した第2の参照電圧VREF2と帰還電圧VFBの差を積分し、積分して得られた信号をパルス幅変調出力ドライバ123に出力する。三角波発生回路121は、第2の参照電圧VREF2及び第2の参照電圧VREF2を用いて生成された参照電流から三角波を生成して、生成した三角波をパルス幅変調出力ドライバ123に出力する。
【0053】
パルス幅変調出力ドライバ123は、誤差増幅回路122からの出力と、三角波発生回路121からの三角波とを比較して、パルス幅変調信号VGSをトランジスタ111に出力する。
【0054】
バイアス発生回路131とは、バイアス電圧またはバイアス電流を加えるための回路である。バイアス電圧またはバイアス電流を加えることにより、電流の方向を常に一定にすることができる。
【0055】
バンドギャップリファレンス133は、シリコンのバンドギャップエネルギーを用いて基準となる電圧を発生させる回路である。
【0056】
電圧レギュレータ回路134は、出力電圧を一定に保つために調整する回路である。
【0057】
保護回路105の動作について以下に説明する。
<動作>
【0058】
保護回路105の近傍に配置された素子が発熱すると、酸化物半導体トランジスタ151の温度も上昇する。酸化物半導体トランジスタ151は、上述のように高温になるほどオフ電流が増加する。増加した酸化物半導体トランジスタ151のオフ電流は、容量素子154に電荷として蓄えられる。期間T内に容量素子154に電荷が蓄えられると、ノードM1の電圧V3が上昇する。ノードM1の電圧V3が上昇し、電圧V3がオペアンプ152の非反転入力端子に入力される第1の参照電圧VREF1を上回ると、オペアンプ152の出力電圧V4が正にシフトする。これにより、保護回路105の近傍に配置された回路あるいは素子が、所定の温度に達したことを検知することができる。
【0059】
また期間T内にノードM1の電圧V3がオペアンプ152の非反転入力端子に入力される第1の参照電圧VREF1を上回らない場合は、オペアンプ152の出力電圧V4は変化しない。
【0060】
またオペアンプ152の出力電圧V4が期間Tに合わせて断続的に変化する場合は、制御回路103の保護のため、発熱する素子又は電源回路101の動作を停止する。
【0061】
期間Tは、酸化物半導体トランジスタ151のオフ電流、容量素子154の容量値、ノードM1の電圧V3の電圧値によって変化するが、1秒以上10秒以下が望ましい。
【0062】
<回路構成の別の例>
図2に、図1とは異なる回路構成の電源回路を示す。図2に示す電源回路101では、酸化物半導体トランジスタ153のソース又はドレインの一方とオペアンプ152との間に、オペアンプ155が設けられている。
【0063】
オペアンプ155の反転入力端子は、酸化物半導体トランジスタ151のソース又はドレインの他方、酸化物半導体トランジスタ153のソース又はドレインの一方、容量素子154の一方の端子が電気的に接続されている。オペアンプ155の非反転入力端子には、第3の参照電圧VREF3が入力される。オペアンプ155の出力端子は、オペアンプ152の反転入力端子に電気的に接続されている。
【0064】
なお、酸化物半導体トランジスタ151のソース又はドレインの他方、酸化物半導体トランジスタ153のソース又はドレインの一方、容量素子154の一方の端子、オペアンプ155の反転入力端子が接続されている部分をノードM2とする。ノードM2の電圧は、ノードM1と同様に電圧V3である。オペアンプ155は、電圧V3を増幅してオペアンプ152に出力する機能を有する。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態により、電源回路の発熱による破壊を抑制する保護回路を提供することができる。
【0066】
<酸化物半導体トランジスタ>
本実施の形態の酸化物半導体トランジスタについて以下に説明する。
【0067】
図4(A)に示す酸化物半導体トランジスタ901は、絶縁膜902上に形成された、活性層として機能する酸化物半導体層903と、酸化物半導体層903上に形成されたソース電極904及びドレイン電極905と、酸化物半導体層903、ソース電極904及びドレイン電極905上のゲート絶縁膜906と、ゲート絶縁膜906上において酸化物半導体層903と重なる位置に設けられたゲート電極907とを有する。
【0068】
図4(A)に示す酸化物半導体トランジスタ901は、ゲート電極907が酸化物半導体層903の上に形成されているトップゲート型であり、なおかつ、ソース電極904及びドレイン電極905が酸化物半導体層903の上に形成されているトップコンタクト型である。そして、酸化物半導体トランジスタ901は、ソース電極904及びドレイン電極905と、ゲート電極907とが重なっていない。すなわち、ソース電極904及びドレイン電極905とゲート電極907との間には、ゲート絶縁膜906の膜厚よりも大きい間隔が設けられている。よって、酸化物半導体トランジスタ901は、ソース電極904及びドレイン電極905とゲート電極907との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができるので、高速動作を実現することができる。
【0069】
また、酸化物半導体層903は、ゲート電極907が形成された後に酸化物半導体層903にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度領域908を有する。また、酸化物半導体層903のうち、ゲート絶縁膜906を間に挟んでゲート電極907と重なる領域がチャネル形成領域909である。酸化物半導体層903では、一対の高濃度領域908の間にチャネル形成領域909が設けられている。高濃度領域908を形成するためのドーパントの添加は、イオン注入法を用いることができる。ドーパントは、例えばヘリウム、アルゴン、キセノンなどの希ガスや、窒素、リン、ヒ素、アンチモンなどの5族原子などを用いることができる。
【0070】
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域908中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm以上1×1022/cm以下であることが望ましい。
【0071】
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度領域908は、酸化物半導体層903中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度領域908を酸化物半導体層903に設けることで、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることができる。
【0072】
また、酸化物半導体層903は、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)で構成されていても良い。酸化物半導体層903がCAAC−OSで構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体層903の導電率を高めることができるので、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることができる。CAAC−OSについては後述する。
【0073】
そして、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることで、酸化物半導体トランジスタ901の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、酸化物半導体トランジスタ901の微細化により、当該トランジスタを用いた記憶素子の占める面積を縮小化し、単位面積あたりの記憶容量を高めることができる。
【0074】
なお図4(A)に示される酸化物半導体トランジスタ901は、ゲート電極907の側部に、絶縁膜で形成されたサイドウォールを有していてもよい。当該サイドウォールを用いて、チャネル形成領域909及び高濃度領域908との間に、低濃度領域を形成してもよい。当該低濃度領域を設けることで、短チャネル効果による閾値電圧のマイナスシフトを軽減することができる。
【0075】
酸化物半導体トランジスタ901は、酸化物半導体トランジスタ151又は酸化物半導体トランジスタ153、あるいはその両方として用いることができる。またオペアンプ152、オペアンプ155も酸化物半導体トランジスタ901を用いて形成してもよい。
【0076】
また酸化物半導体トランジスタ901は、電圧変換回路102のトランジスタ、ダイオード113として用いることができる。ダイオード113を酸化物半導体トランジスタ901を用いて作製するには、酸化物半導体トランジスタ901のゲート、並びに、ソース又はドレインの一方を接続(ダイオード接続)すればよい。
【0077】
さらに、制御回路103の三角波発生回路121、誤差増幅回路122、パルス幅変調出力ドライバ123、バイアス発生回路131、参照電圧発生回路132、バンドギャップリファレンス133、電圧レギュレータ回路134のそれぞれも、酸化物半導体トランジスタ901を用いて形成することができる。
【0078】
図4(B)に示す酸化物半導体トランジスタ911は、絶縁膜912上に形成されたソース電極914及びドレイン電極915と、ソース電極914及びドレイン電極915上に形成された活性層として機能する酸化物半導体層913と、酸化物半導体層913、ソース電極914及びドレイン電極915上のゲート絶縁膜916と、ゲート絶縁膜916上において酸化物半導体層913と重なる位置に設けられたゲート電極917とを有する。
【0079】
図4(B)に示す酸化物半導体トランジスタ911は、ゲート電極917が酸化物半導体層913の上に形成されているトップゲート型であり、なおかつ、ソース電極914及びドレイン電極915が酸化物半導体層913の下に形成されているボトムコンタクト型である。そして、酸化物半導体トランジスタ911は、酸化物半導体トランジスタ901と同様に、ソース電極914及びドレイン電極915と、ゲート電極917とが重なっていないので、ソース電極914及びドレイン電極915とゲート電極917との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができ、高速動作を実現することができる。
【0080】
また、酸化物半導体層913は、ゲート電極917が形成された後に酸化物半導体層913にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度領域918を有する。また、酸化物半導体層913のうち、ゲート絶縁膜916を間に挟んでゲート電極917と重なる領域がチャネル形成領域919である。酸化物半導体層913では、一対の高濃度領域918の間にチャネル形成領域919が設けられている。
【0081】
高濃度領域918は、上述した、酸化物半導体トランジスタ901が有する高濃度領域908の場合と同様に、イオン注入法を用いて形成することができる。そして、高濃度領域918を形成するためのドーパントの種類については、高濃度領域908の場合を参照することができる。
【0082】
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域918中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm以上1×1022/cm以下であることが望ましい。
【0083】
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度領域918は、酸化物半導体層913中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度領域918を酸化物半導体層913に設けることで、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることができる。
【0084】
また、酸化物半導体層913は、CAAC−OSで構成されていても良い。酸化物半導体層913がCAAC−OSで構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体層913の導電率を高めることができるので、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることができる。
【0085】
そして、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることで、酸化物半導体トランジスタ911の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。
【0086】
なお図4(B)に示される酸化物半導体トランジスタ911は、ゲート電極917の側部に、絶縁膜で形成されたサイドウォールを有していてもよい。当該サイドウォールを用いて、チャネル形成領域919及び高濃度領域918との間に、低濃度領域を形成してもよい。当該低濃度領域を設けることで、短チャネル効果による閾値電圧のマイナスシフトを軽減することができる。
【0087】
酸化物半導体トランジスタ911は、酸化物半導体トランジスタ151又は酸化物半導体トランジスタ153、あるいはその両方として用いることができる。またオペアンプ152、オペアンプ155も酸化物半導体トランジスタ911を用いて形成してもよい。
【0088】
また酸化物半導体トランジスタ911は、電圧変換回路102のトランジスタ、ダイオード113として用いることができる。ダイオード113を酸化物半導体トランジスタ911を用いて作製するには、酸化物半導体トランジスタのゲート、並びに、ソース又はドレインの一方を接続(ダイオード接続)すればよい。
【0089】
さらに、制御回路103の三角波発生回路121、誤差増幅回路122、パルス幅変調出力ドライバ123、バイアス発生回路131、参照電圧発生回路132、バンドギャップリファレンス133、電圧レギュレータ回路134のそれぞれも、酸化物半導体トランジスタ911を用いて形成することができる。
【0090】
図5に、発熱する素子及び酸化物半導体トランジスタ151の配置の例を示す。
【0091】
図5(A)及び図5(B)は、酸化物半導体トランジスタ151、及び、発熱する素子又は発熱する回路を構成する素子として酸化物半導体トランジスタ161を、マルチフィンガー構造となるように配置及びコモン・セントロイド配置した場合の上面図である。
【0092】
なお、図5では、酸化物半導体トランジスタ151(酸化物半導体トランジスタ151_1及び酸化物半導体トランジスタ151_2)及び酸化物半導体トランジスタ161(酸化物半導体トランジスタ161_1及び酸化物半導体トランジスタ161_2)として、酸化物半導体膜144、ソース電極又はドレイン電極として機能する電極142a及び電極142b、ゲート電極148を含む酸化物半導体トランジスタ162を用いる。
【0093】
図5(A)に、酸化物半導体トランジスタ151及び酸化物半導体トランジスタ161をマルチフィンガー構造となるように配置した例を示す。
【0094】
図5(A)において、酸化物半導体トランジスタ151及び酸化物半導体トランジスタ161は、互い違いに並べて配置されている。酸化物半導体トランジスタ151及び酸化物半導体トランジスタ161が互い違いに並べて配置されることにより、酸化物半導体トランジスタ161が発熱し温度が上昇すると、酸化物半導体トランジスタ151の温度も上昇する。これにより酸化物半導体トランジスタ151のオフ電流が上昇する。上述のように、酸化物半導体トランジスタ151のオフ電流が上昇することにより、酸化物半導体トランジスタ161の温度測定及び限界温度検出が可能となる。
【0095】
図5(A)において、酸化物半導体トランジスタ151_1及び酸化物半導体トランジスタ151_2のゲート電極148は、配線164により電気的に接続されている。酸化物半導体トランジスタ151_1及び酸化物半導体トランジスタ151_2のソース電極又はドレイン電極の一方として機能する電極142aは、配線168により電気的に接続されている。酸化物半導体トランジスタ151_1及び酸化物半導体トランジスタ151_2のソース電極又はドレイン電極の他方として機能する電極142bは、配線167により電気的に接続されている。
【0096】
また酸化物半導体トランジスタ161_1及び酸化物半導体トランジスタ161_2のゲート電極148は、配線163により電気的に接続されている。酸化物半導体トランジスタ161_1及び酸化物半導体トランジスタ161_2のソース電極又はドレイン電極の一方として機能する電極142aは、配線166により電気的に接続されている。酸化物半導体トランジスタ161_1及び酸化物半導体トランジスタ161_2のソース電極又はドレイン電極の他方として機能する電極142bは、配線165により電気的に接続されている。
【0097】
図5(B)に、酸化物半導体トランジスタ151及び酸化物半導体トランジスタ161をコモン・セントロイド配置した例を示す。なお図5(B)において、酸化物半導体トランジスタ151は一点波線、酸化物半導体トランジスタ161は点線で示している。
【0098】
図5(B)において、酸化物半導体トランジスタ151及び酸化物半導体トランジスタ161が互い違いになるように配置されている。そのように配置されることにより、酸化物半導体トランジスタ161が発熱し温度が上昇すると、酸化物半導体トランジスタ151の温度も上昇する。これにより酸化物半導体トランジスタ151のオフ電流が上昇する。上述のように、酸化物半導体トランジスタ151のオフ電流が上昇することにより、酸化物半導体トランジスタ161の温度測定及び限界温度検出が可能となる。
【0099】
図5(B)において、酸化物半導体トランジスタ151_1及び酸化物半導体トランジスタ161_2のゲート電極148は、1つの導電膜を用いて形成されている。また酸化物半導体トランジスタ151_2及び酸化物半導体トランジスタ161_1のゲート電極148は、1つの導電膜を用いて形成されている。
【0100】
酸化物半導体トランジスタ151_1及び酸化物半導体トランジスタ161_2のゲート電極148、並びに、酸化物半導体トランジスタ151_2及び酸化物半導体トランジスタ161_1のゲート電極148は、配線171により電気的に接続されている。
【0101】
酸化物半導体トランジスタ151_1及び酸化物半導体トランジスタ151_2のソース電極又はドレイン電極の一方として機能する電極142aは、配線173を用いて電気的に接続されている。酸化物半導体トランジスタ161_1及び酸化物半導体トランジスタ161_2のソース電極又はドレイン電極の一方として機能する電極142aは、1つの導電膜を用いて形成されている。
【0102】
酸化物半導体トランジスタ151_1、酸化物半導体トランジスタ151_2、酸化物半導体トランジスタ161_1、酸化物半導体トランジスタ161_2のソース電極又はドレイン電極の他方として機能する電極142bは、1つの導電膜により形成されている。また電極142bは、配線172に電気的に接続されている。
【0103】
図6に、発熱する素子及び酸化物半導体トランジスタ151の別の配置の例を示す。
【0104】
図6は、酸化物半導体トランジスタ151、及び、発熱する素子又は発熱する回路を構成する素子として半導体基板に設けられたトランジスタを、縦(上下)に重畳させることで近傍に配置した場合の断面図である。
【0105】
図6において、半導体基板200に設けられたトランジスタ211上に酸化物半導体トランジスタ151が形成されている。なお、半導体基板200にはpチャネル型トランジスタとnチャネル型トランジスタの双方が設けられていてもよいし、一方のみが設けられていてもよい。
【0106】
半導体基板200に設けられたpチャネル型トランジスタ及びnチャネル型トランジスタは、一般的な方法により形成すればよい。半導体基板200に設けられたpチャネル型トランジスタ及び半導体基板200に設けられたnチャネル型トランジスタを形成した後に、これらの上に酸化物半導体トランジスタ151を形成する。
【0107】
なお、pチャネル型トランジスタ及びnチャネル型トランジスタが設けられた半導体基板200は、ソース領域及びドレイン領域として機能する高濃度不純物領域201、低濃度不純物領域202を有し、pチャネル型トランジスタ及びnチャネル型トランジスタは、さらにゲート絶縁膜203、ゲート電極204、層間絶縁膜205を有する。
【0108】
酸化物半導体トランジスタ151は、pチャネル型トランジスタ及びnチャネル型トランジスタが設けられた半導体基板200上に設けられた酸化物半導体膜181と、酸化物半導体膜181に接して離間して設けられたソース電極及びドレイン電極として機能する電極182a及び電極182bと、酸化物半導体膜181の少なくともチャネル形成領域上に設けられたゲート絶縁膜183と、酸化物半導体膜181に重畳してゲート絶縁膜183上に設けられたゲート電極184と、を有する。
【0109】
層間絶縁膜205は、酸化物半導体膜181の下地絶縁膜としても機能する。
【0110】
以上本実施の形態では、保護回路105をDC−DCコンバータである電圧変換回路102に用いた例について説明したが、これに限定されない。本実施の形態の保護回路105は、AC−DCコンバータ等他の発熱の大きな回路を有する電源回路に用いることが可能である。
【0111】
また、発熱する素子又は発熱する回路に対して、複数の保護回路105をマトリクス状に設けてもよい。複数の保護回路105をマトリクス状に設けると、当該発熱する素子又は発熱する回路に対して、複数の保護回路105が温度分布を測定する温度センサとして機能する。このような構成にすることにより、温度センサを得ることが可能である。
【0112】
[実施の形態2]
本実施の形態では、開示される発明の一様態で用いられる酸化物半導体トランジスタについて詳細に説明する。なお本実施の形態の酸化物半導体トランジスタは、実施の形態1で説明した酸化物半導体トランジスタに援用可能である。
【0113】
本実施の形態の酸化物半導体トランジスタに用いられる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
【0114】
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
【0115】
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
【0116】
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。
【0117】
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
【0118】
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1(=2/5:2/5:1/5)の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1(=1/3:1/3:1/3)、In:Sn:Zn=2:1:3(=1/3:1/6:1/2)あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5(=1/4:1/8:5/8)の原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
【0119】
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア密度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間結合距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
【0120】
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低減することにより移動度を上げることができる。
【0121】
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、(a―A)+(b―B)+(c―C)≦rを満たすことを言う。rとしては、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
【0122】
酸化物半導体は単結晶でも、非単結晶でもよい。後者の場合、アモルファスでも、多結晶でもよい。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でも、非アモルファスでもよい。
【0123】
アモルファス状態の酸化物半導体は、比較的容易に平坦な表面を得ることができるため、これを用いてトランジスタを作製した際の界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的高い移動度を得ることができる。
【0124】
また、結晶性を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
【0125】
なお、Raは、JIS B0601で定義されている中心線平均粗さを面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現でき、以下の式にて定義される。
【0126】
【数1】

【0127】
なお、上記において、Sは、測定面(座標(x,y)(x,y)(x,y)(x,y)で表される4点によって囲まれる長方形の領域)の面積を指し、Zは測定面の平均高さを指す。Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて評価可能である。
【0128】
開示される発明の一様態の酸化物半導体膜が結晶性を有する場合には、上記CAAC−OSを用いてもよい。CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)について以下に説明する。
【0129】
本実施の形態では、c軸配向し、かつab面、表面または界面の方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸においては金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列しており、ab面においてはa軸またはb軸の向きが異なる(c軸を中心に回転した)結晶を含む酸化物半導体(CAAC−OS)について説明する。
【0130】
CAAC−OSとは、広義に、非単結晶であって、そのab面に垂直な方向から見て、三角形、六角形、正三角形または正六角形の原子配列を有し、かつc軸方向に垂直な方向から見て、金属原子が層状、または金属原子と酸素原子が層状に配列した相を含む酸化物半導体をいう。
【0131】
CAAC−OSは単結晶ではないが、非晶質のみから形成されているものでもない。また、CAAC−OSは結晶化した部分(結晶部分)を含むが、1つの結晶部分と他の結晶部分の境界を明確に判別できないこともある。
【0132】
CAAC−OSを構成する酸素の一部は窒素で置換されてもよい。また、CAAC−OSを構成する個々の結晶部分のc軸は一定の方向(例えば、CAAC−OSが形成される基板面、CAAC−OSの表面などに垂直な方向)に揃っていてもよい。または、CAAC−OSを構成する個々の結晶部分のab面の法線は一定の方向(例えば、CAAC−OSが形成される基板面、CAAC−OSの表面などに垂直な方向)を向いていてもよい。
【0133】
CAAC−OSは、その組成などに応じて、導体であったり、半導体であったり、絶縁体であったりする。また、その組成などに応じて、可視光に対して透明であったり不透明であったりする。
【0134】
このようなCAAC−OSの例として、膜状に形成され、膜表面または形成される基板面に垂直な方向から観察すると三角形または六角形の原子配列が認められ、かつその膜断面を観察すると金属原子または金属原子および酸素原子(または窒素原子)の層状配列が認められる酸化物半導体を挙げることもできる。
【0135】
CAAC−OSに含まれる結晶構造の一例について図7乃至図9を用いて詳細に説明する。なお、特に断りがない限り、図7乃至図9は上方向をc軸方向とし、c軸方向と直交する面をab面とする。なお、単に上半分、下半分という場合、ab面を境にした場合の上半分、下半分をいう。また、図7において、丸で囲まれたOは4配位のOを示し、二重丸で囲まれたOは3配位のOを示す。
【0136】
図7(A)に、1個の6配位のInと、Inに近接の6個の4配位の酸素原子(以下4配位のO)と、を有する構造を示す。ここでは、金属原子が1個に対して、近接の酸素原子のみ示した構造を小グループと呼ぶ。図7(A)の構造は、八面体構造をとるが、簡単のため平面構造で示している。なお、図7(A)の上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがある。図7(A)に示す小グループは電荷が0である。
【0137】
図7(B)に、1個の5配位のGaと、Gaに近接の3個の3配位の酸素原子(以下3配位のO)と、近接の2個の4配位のOと、を有する構造を示す。3配位のOは、いずれもab面に存在する。図7(B)の上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがある。また、Inも5配位をとるため、図7(B)に示す構造をとりうる。図7(B)に示す小グループは電荷が0である。
【0138】
図7(C)に、1個の4配位のZnと、Znに近接の4個の4配位のOと、を有する構造を示す。図7(C)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。図7(C)に示す小グループは電荷が0である。
【0139】
図7(D)に、1個の6配位のSnと、Snに近接の6個の4配位のOと、を有する構造を示す。図7(D)の上半分には3個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。図7(D)に示す小グループは電荷が+1となる。
【0140】
図7(E)に、2個のZnを含む小グループを示す。図7(E)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には1個の4配位のOがある。図7(E)に示す小グループは電荷が−1となる。
【0141】
ここでは、複数の小グループの集合体を中グループと呼び、複数の中グループの集合体を大グループ(ユニットセルともいう)と呼ぶ。
【0142】
ここで、これらの小グループ同士が結合する規則について説明する。Inの上半分の3個のOは下方向に3個の近接Inを有し、下半分の3個のOは上方向に3個の近接Inを有する。Gaの上半分の1個のOは下方向に1個の近接Gaを有し、下半分の1個のOは上方向に1個の近接Gaを有する。Znの上半分の1個のOは下方向に1個の近接Znを有し、下半分の3個のOは上方向に3個の近接Znを有する。この様に、金属原子の上方向の4配位のOの数と、そのOの下方向にある近接金属原子の数は等しく、同様に金属原子の下方向の4配位のOの数と、そのOの上方向にある近接金属原子の数は等しい。Oは4配位なので、下方向にある近接金属原子の数と、上方向にある近接金属原子の数の和は4になる。従って、金属原子の上方向にある4配位のOの数と、別の金属原子の下方向にある4配位のOの数との和が4個のとき、金属原子を有する二種の小グループ同士は結合することができる。例えば、6配位の金属原子(InまたはSn)が上半分の4配位のOを介して結合する場合、4配位のOが3個であるため、5配位の金属原子(GaまたはIn)または4配位の金属原子(Zn)Oのいずれかと結合することになる。
【0143】
これらの配位数を有する金属原子は、c軸方向において、4配位のOを介して結合する。また、このほかにも、層構造の合計の電荷が0となるように複数の小グループが結合して中グループを構成する。
【0144】
図8(A)に、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。図8(B)に、3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図8(C)は、図8(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示す。
【0145】
図8(A)においては、簡単のため、3配位のOは省略し、4配位のOは個数のみ示し、例えば、Snの上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがあることを丸枠の3として示している。同様に、図8(A)において、Inの上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがあり、丸枠の1として示している。また、同様に、図8(A)において、下半分には1個の4配位のOがあり、上半分には3個の4配位のOがあるZnと、上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがあるZnとを示している。
【0146】
図8(A)において、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnが、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に3個の4配位のOがあるZnと結合し、そのZnの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に1個の4配位のOがあるZn2個からなる小グループと結合し、この小グループの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
【0147】
ここで、3配位のOおよび4配位のOの場合、結合1本当たりの電荷はそれぞれ−0.667、−0.5と考えることができる。例えば、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Sn(5配位または6配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+4である。従って、Snを含む小グループは電荷が+1となる。そのため、Snを含む層構造を形成するためには、電荷+1を打ち消す電荷−1が必要となる。電荷−1をとる構造として、図7(E)に示すように、2個のZnを含む小グループが挙げられる。例えば、Snを含む小グループが1個に対し、2個のZnを含む小グループが1個あれば、電荷が打ち消されるため、層構造の合計の電荷を0とすることができる。
【0148】
具体的には、図8(B)に示した大グループが繰り返されることで、In−Sn−Zn−O系の結晶(InSnZn)を得ることができる。なお、得られるIn−Sn−Zn−O系の層構造は、InSnZn(ZnO)(mは0または自然数)とする組成式で表すことができる。
【0149】
また、このほかにも、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系酸化物や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn−O系酸化物、Sn−Ga−Zn−O系酸化物、Al−Ga−Zn−O系酸化物、Sn−Al−Zn−O系酸化物や、In−Hf−Zn−O系酸化物、In−La−Zn−O系酸化物、In−Ce−Zn−O系酸化物、In−Pr−Zn−O系酸化物、In−Nd−Zn−O系酸化物、In−Sm−Zn−O系酸化物、In−Eu−Zn−O系酸化物、In−Gd−Zn−O系酸化物、In−Tb−Zn−O系酸化物、In−Dy−Zn−O系酸化物、In−Ho−Zn−O系酸化物、In−Er−Zn−O系酸化物、In−Tm−Zn−O系酸化物、In−Yb−Zn−O系酸化物、In−Lu−Zn−O系酸化物や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn−O系酸化物、Sn−Zn−O系酸化物、Al−Zn−O系酸化物、Zn−Mg−O系酸化物、Sn−Mg−O系酸化物、In−Mg−O系酸化物や、In−Ga−O系の材料などを用いた場合も同様である。
【0150】
例えば、図9(A)に、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。
【0151】
図9(A)において、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInが、4配位のOが1個上半分にあるZnと結合し、そのZnの下半分の3個の4配位のOを介して、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるGaと結合し、そのGaの下半分の1個の4配位のOを介して、4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
【0152】
図9(B)に3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図9(C)は、図9(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示している。
【0153】
ここで、In(6配位または5配位)、Zn(4配位)、Ga(5配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+3であるため、In、ZnおよびGaのいずれかを含む小グループは、電荷が0となる。そのため、これらの小グループの組み合わせであれば中グループの合計の電荷は常に0となる。
【0154】
また、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、図9(A)に示した中グループに限定されず、In、Ga、Znの配列が異なる中グループを組み合わせた大グループも取りうる。
【0155】
具体的には、図9(B)に示した大グループが繰り返されることで、In−Ga−Zn−O系の結晶を得ることができる。なお、得られるIn−Ga−Zn−O系の層構造は、InGaO(ZnO)(nは自然数)とする組成式で表すことができる。
【0156】
n=1(InGaZnO)の場合は、例えば、図10(A)に示す結晶構造を取りうる。なお、図10(A)に示す結晶構造において、図7(B)で説明したように、Ga及びInは5配位をとるため、GaがInに置き換わった構造も取りうる。
【0157】
また、n=2(InGaZn)の場合は、例えば、図10(B)に示す結晶構造を取りうる。なお、図10(B)に示す結晶構造において、図7(B)で説明したように、Ga及びInは5配位をとるため、GaがInに置き換わった構造も取りうる。
【0158】
酸化物半導体膜としてIn−Ga−Zn−O系材料をスパッタリング法で成膜する場合、好ましくは、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1、4:2:3、3:1:2、1:1:2、2:1:3、または3:1:4で示されるIn−Ga−Zn−Oターゲットを用いる。前述の原子数比を有するIn−Ga−Zn−Oターゲットを用いて酸化物半導体膜を成膜することで、多結晶またはCAAC−OSが形成されやすくなる。
【0159】
また、酸化物半導体膜としてIn−Sn−Zn−O系材料をスパッタリング法で成膜する場合、好ましくは、原子数比がIn:Sn:Zn=1:1:1、2:1:3、1:2:2、または20:45:35で示されるIn−Sn−Zn−Oターゲットを用いる。前述の原子数比を有するIn−Sn−Zn−Oターゲットを用いて酸化物半導体膜を成膜することで、多結晶またはCAAC−OSが形成されやすくなる。
【0160】
In−Sn−Zn−O膜を酸化物半導体膜に用いたトランジスタの一例について、図11などを用いて説明する。
【0161】
図11は、コプラナー型であるトップゲート・トップコンタクト構造のトランジスタの上面図および断面図である。図11(A)にトランジスタの上面図を示す。また、図11(B)は図11(A)の一点鎖線A1−A2に対応する断面図である。
【0162】
図11(B)に示すトランジスタは、基板500と、基板500上に設けられた下地絶縁膜502と、下地絶縁膜502の周辺に設けられた保護絶縁膜504と、下地絶縁膜502および保護絶縁膜504上に設けられた高抵抗領域506aおよび低抵抗領域506bを有する酸化物半導体膜506と、酸化物半導体膜506上に設けられたゲート絶縁膜508と、ゲート絶縁膜508を介して酸化物半導体膜506と重畳して設けられたゲート電極510と、ゲート電極510の側面と接して設けられた側壁絶縁膜512と、少なくとも低抵抗領域506bと接して設けられた一対の電極514と、少なくとも酸化物半導体膜506、ゲート電極510および一対の電極514を覆って設けられた層間絶縁膜516と、層間絶縁膜516に設けられた開口部を介して少なくとも一対の電極514の一方と接続して設けられた配線518と、を有する。
【0163】
なお、図示しないが、層間絶縁膜516および配線518を覆って設けられた保護膜を有していても構わない。該保護膜を設けることで、層間絶縁膜516の表面伝導に起因して生じる微小リーク電流を低減することができ、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0164】
In−Sn−Zn−O膜を酸化物半導体膜に用いたトランジスタの他の一例について示す。
【0165】
図12は、本実施の形態で作製したトランジスタの構造を示す上面図および断面図である。図12(A)はトランジスタの上面図である。また、図12(B)は図12(A)の一点鎖線B1−B2に対応する断面図である。
【0166】
図12(B)に示すトランジスタは、基板600と、基板600上に設けられた下地絶縁膜602と、下地絶縁膜602上に設けられた酸化物半導体膜606と、酸化物半導体膜606と接する一対の電極614と、酸化物半導体膜606および一対の電極614上に設けられたゲート絶縁膜608と、ゲート絶縁膜608を介して酸化物半導体膜606と重畳して設けられたゲート電極610と、ゲート絶縁膜608およびゲート電極610を覆って設けられた層間絶縁膜616と、層間絶縁膜616に設けられた開口部を介して一対の電極614と接続する配線618と、層間絶縁膜616および配線618を覆って設けられた保護膜620と、を有する。
【0167】
基板600としてはガラス基板を、下地絶縁膜602としては酸化シリコン膜を、酸化物半導体膜606としてはIn−Sn−Zn−O膜を、一対の電極614としてはタングステン膜を、ゲート絶縁膜608としては酸化シリコン膜を、ゲート電極610としては窒化タンタル膜とタングステン膜との積層構造を、層間絶縁膜616としては酸化窒化シリコン膜とポリイミド膜との積層構造を、配線618としてはチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜がこの順で形成された積層構造を、保護膜620としてはポリイミド膜を、それぞれ用いた。
【0168】
なお、図12(A)に示す構造のトランジスタにおいて、ゲート電極610と一対の電極614との重畳する幅をLovと呼ぶ。同様に、酸化物半導体膜606に対する一対の電極614のはみ出しをdWと呼ぶ。
【0169】
本実施の形態は、上記実施の形態と組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0170】
101 電源回路
102 電圧変換回路
103 制御回路
104 分圧回路
105 保護回路
111 トランジスタ
112 コイル
113 ダイオード
114 容量素子
121 三角波発生回路
122 誤差増幅回路
123 パルス幅変調出力ドライバ
124 抵抗
125 抵抗
131 バイアス発生回路
132 参照電圧発生回路
133 バンドギャップリファレンス
134 電圧レギュレータ回路
142a 電極
142b 電極
144 酸化物半導体膜
148 ゲート電極
151 酸化物半導体トランジスタ
151_1 酸化物半導体トランジスタ
151_2 酸化物半導体トランジスタ
152 オペアンプ
153 酸化物半導体トランジスタ
154 容量素子
155 オペアンプ
161 酸化物半導体トランジスタ
161_1 酸化物半導体トランジスタ
161_2 酸化物半導体トランジスタ
162 酸化物半導体トランジスタ
163 配線
164 配線
165 配線
166 配線
167 配線
168 配線
171 配線
172 配線
173 配線
181 酸化物半導体膜
182a 電極
182b 電極
183 ゲート絶縁膜
184 ゲート電極
200 半導体基板
201 高濃度不純物領域
202 低濃度不純物領域
203 ゲート絶縁膜
204 ゲート電極
205 層間絶縁膜
211 トランジスタ
500 基板
502 下地絶縁膜
504 保護絶縁膜
506 酸化物半導体膜
506a 高抵抗領域
506b 低抵抗領域
508 ゲート絶縁膜
510 ゲート電極
512 側壁絶縁膜
514 電極
516 層間絶縁膜
518 配線
600 基板
602 下地絶縁膜
606 酸化物半導体膜
608 ゲート絶縁膜
610 ゲート電極
614 電極
616 層間絶縁膜
618 配線
620 保護膜
901 酸化物半導体トランジスタ
902 絶縁膜
903 酸化物半導体層
904 ソース電極
905 ドレイン電極
906 ゲート絶縁膜
907 ゲート電極
908 高濃度領域
909 チャネル形成領域
911 酸化物半導体トランジスタ
912 絶縁膜
913 酸化物半導体層
914 ソース電極
915 ドレイン電極
916 ゲート絶縁膜
917 ゲート電極
918 高濃度領域
919 チャネル形成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧変換回路と、
分圧回路及び保護回路を有する制御回路と、
を有し、
前記保護回路は、温度が上昇するとオフ電流が増大する第1の酸化物半導体トランジスタと、前記オフ電流を電荷として蓄積する容量素子と、第2の酸化物半導体トランジスタと、非反転入力端子に参照電圧が入力されるオペアンプとを有し、
前記第1の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方は入力電圧が入力され、前記第1の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの他方は、前記容量素子の一方の端子、前記第2の酸化物半導体トランジスタのソース又はドレインの一方、前記オペアンプの反転入力端子に電気的に接続されており、
前記第1の酸化物半導体トランジスタは、前記電圧変換回路又は前記制御回路の発熱する素子の近傍に配置されることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御回路は、バイアス発生回路、参照電圧発生回路、バンドギャップリファレンス、及び電圧レギュレータ回路を有することを特徴とする半導体集積回路。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記電圧変換回路は、DC−DCコンバータであることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項4】
請求項1又は請求項2において、
前記電圧変換回路は、AC−DCコンバータであることを特徴とする半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図11】
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【図12】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−257447(P2012−257447A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−113607(P2012−113607)
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】